説明

IL−21変異体

アミノ酸残基番号65〜98からなる領域においてアミノ酸が欠失している、IL-21変異体を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、IL-21受容体への改善された結合を有する、IL-21の新規変異体に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
IL-21ペプチドは、国際公開公報第2000/53761号(特許文献1)に最初に開示され、ヒトIL-21遺伝子によってコードされるようなポリペプチドは、配列番号:2として該出願に示された。このプロペプチドは、161アミノ酸残基のペプチドである。便宜上、本出願においては、配列番号:1としてこの配列を繰り返す。当初、、成熟ペプチドは配列番号:1のアミノ酸残基番号33〜162からなるペプチドであると考えられていたが、より最近 (国際公開公報第2004/112703号(特許文献2))、成熟ペプチドは実際には配列番号:2に示すようなアミノ酸残基番号30〜162であると示唆された。IL-21は、例えば悪性黒色腫などの癌の治療に有用であると記載されている。例えば、国際公開公報第2005/53761号(特許文献3)および国際公開公報第2003/103589号(特許文献4)を参照されたい。
【0003】
多様な疾患の治療においてIL-21による有効性が示されているにもかかわらず、医学的必要性を達成するために、活性、選択性、安定性、および循環期間または生物学的半減期などの改善されたまたは別の特性を持つIL-21の変異体が依然として必要である。IL-21受容体のアンタゴニズムもまた治療用途を有すると記載されている。
【0004】
国際公開公報第2004/112703号(特許文献2)は、いくつかのIL-21変異体を記載する。
【0005】
国際公開公報第2006/111524号(特許文献5)は、IL-21受容体への改善された結合を有する、いくつかのIL-21ペプチドを記載する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開公報第2000/53761号
【特許文献2】国際公開公報第2004/112703号
【特許文献3】国際公開公報第2005/53761号
【特許文献4】国際公開公報第2003/103589号
【特許文献5】国際公開公報第2006/111524号
【発明の概要】
【0007】
配列番号:2中のアミノ酸残基番号66〜98に対応する領域の長さが減少すると、IL-21の活性は大部分維持されるかまたは改善さえされることが、現在見出されている。
【0008】
これに対応して、本発明は、配列番号:2中のアミノ酸残基番号66〜98に対応する領域の長さが減少しているIL-21ペプチドに関する。1つの態様において、本発明は、配列番号:2中のアミノ酸残基番号77〜92に対応する領域の長さが減少しているIL-21ペプチドに関する。1つの態様において、本発明は、配列番号:2中のアミノ酸残基番号82〜88に対応する領域の長さが減少しているIL-21ペプチドに関する。1つの態様において、本発明は、配列番号:2中のアミノ酸残基番号71〜92に対応する領域の長さが減少しているIL-21ペプチドに関する。1つの態様において、本発明は、配列番号:2中のアミノ酸残基番号65〜92に対応する領域の長さが減少しているIL-21ペプチドに関する。1つの態様において、本発明は、配列番号:2中のアミノ酸残基番号77〜96に対応する領域の長さが減少しているIL-21ペプチドに関する。1つの態様において、本発明は、配列番号:2中のアミノ酸残基番号83〜86に対応する領域の長さが減少しているIL-21ペプチドに関する。1つの態様において、本発明は、配列番号:2中のアミノ酸残基番号83〜86に対応する領域の長さが減少しているIL-21ペプチドに関する。
【0009】
本発明はまた、配列番号:2中のアミノ酸残基番号66〜98に対応する領域が一続きのアミノ酸残基によって置換されているか、または配列番号:2中のアミノ酸残基番号77〜92に対応する領域が一続きのアミノ酸残基によって置換されており、該一続きのアミノ酸残基が、それに置換される領域より短い、IL-21ペプチドにも関する。
【0010】
1つの態様において、本発明は、療法における本発明のペプチドの使用を提供する。
【0011】
1つの態様において、本発明は、本発明のペプチドを含む薬学的組成物に関する。
【0012】
1つの態様において、本発明は、それを必要とする患者への本発明のペプチドの治療的有効量の投与を含む、治療法を提供する。
【0013】
1つの態様において、本発明は、医薬の製造における本発明のペプチドの使用に関する。
【0014】
1つの態様において、本発明は、本発明のペプチドをコードする核酸構築物;該構築物を含むベクター;および該ベクターを含む宿主細胞に関する。
【0015】
1つの態様において、本発明は、本発明のペプチドに対する特異的抗体に関する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】hIL-WTおよび欠失変異体 [83-86]の用量-反応曲線。Baf3/hIL-21Ra細胞を用いたレポーターアッセイにおいて、hIL-21 cDNA構築物でトランスフェクションされたHEK293 FS細胞由来の上清を分析した。曲線は、単一ではあるが3つ組で行った実験の代表例に相当する。
【図2】hIL-WTおよび図に記載するような欠失変異体の用量-反応曲線。Baf3/hIL-21Ra細胞を用いたレポーターアッセイにおいて、hIL-21 cDNA構築物でトランスフェクションされたHEK293 FS細胞由来の上清を分析した。曲線は、単一ではあるが3つ組で行った実験の代表例に相当する。
【図3】hIL-WTおよび図に記載するような欠失変異体の用量-反応曲線。Baf3/hIL-21Ra細胞を用いたレポーターアッセイにおいて、hIL-21 cDNA構築物でトランスフェクションされたHEK293 FS細胞由来の上清を分析した。曲線は、単一ではあるが3つ組で行った実験の代表例に相当する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
発明の説明
配列番号:2中のアミノ酸残基番号66〜98に対応する領域の長さが減少すると、IL-21の活性が大部分維持されるかまたは改善さえされることが、現在、見出されている。
【0018】
これに対応して、本発明は、配列番号:2中のアミノ酸残基番号66〜98に対応する領域の長さが減少しているIL-21ペプチドに関する。
【0019】
ペプチドという用語には任意の適切なペプチドが含まれ、かつこれは、読者が、各タイプのそれぞれのアミノ酸ポリマー含有分子が有意な相違を伴って関連しかつそれによって本発明の個々の態様を形成し得る (例えば、多数のポリペプチド鎖で構成される抗体などのペプチドは、例えば、一本鎖抗体、ペプチドイムノアドヘシン、または一本鎖免疫原性ペプチドとは有意に異なる)ことを認識するという条件で、別に記載されるかまたは文脈によって否定されない限り、ポリペプチドおよびタンパク質という用語と同義に使用可能である。したがって、ペプチドという用語は、本明細書において一般的に、(アミノ酸の数およびタンパク質分子中で会合する鎖の数に関して)任意の適切なサイズおよび組成の任意の適切なペプチドを指すと理解すべきである。さらに、本明細書記載の本発明の方法および組成物の文脈におけるペプチドは、別に記載されるかまたは文脈によって否定されない限り、非天然および/または非Lアミノ酸の残基を含んでもよい。
【0020】
ペプチドという用語は、別に記載されるかまたは文脈によって否定されない限り(かつポリペプチドおよび/またはタンパク質という用語の個々の態様として論じられる場合)、誘導体化ペプチド分子もまた含む。簡潔には、本発明の文脈において別に記載されるかまたは文脈によって否定されない限り、誘導体は、ペプチドの1つもしくは複数のアミノ酸残基が化学的に修飾されている (例えばアルキル化、アシル化、エステル形成、またはアミド形成によって)か、または1つもしくは複数の非アミノ酸有機および/もしくは無機原子もしくは分子置換基 (例えばポリエチレングリコール (PEG)基、親油性置換基 (任意で、β-アラニン、γ-アミノ酪酸 (GABA)、L/D-グルタミン酸、コハク酸等のスペーサー残基または基によって、ペプチドのアミノ酸配列に連結されていてもよい)、フルオロフォア、ビオチン、放射性核種など)と会合しており、かつ同様にまたはあるいは非必須、非天然、および/もしくは非Lアミノ酸の残基を含んでもよいペプチドである (しかし、そのような誘導体は、それ自体として本発明の独立の特徴と見なされることも可能であり、かつそのような分子をペプチドの意味に含めることは、裸のペプチドおよびそのような誘導体の間に何らかのある種の同等性を暗示するためというよりは本発明を記載する際の便宜性のために行われることを、再び認識されたい) 。そのようなアミノ酸残基の限定されない例には、例えば、2-アミノアジピン酸、3-アミノアジピン酸、β-アラニン、β-アミノプロピオン酸、2-アミノ酪酸、4-アミノ酪酸、6-アミノカプロン酸、2-アミノヘプタン酸、2-アミノイソ酪酸、3-アミノイソ酪酸、2-アミノピメリン酸、2,4-ジアミノ酪酸、デスモシン、2,2’-ジアミノピメリン酸、2,3-ジアミノプロピオン酸、N-エチルグリシン、N-エチルアスパラギン、ヒドロキシリジン、アロヒドロキシリジン、3-ヒドロキシプロリン、4-ヒドロキシプロリン、イソデスモシン、アロイソロイシン、N-メチルグリシン、N-メチルイソロイシン、6-N-メチルリジン、N-メチルバリン、ノルバリン、ノルロイシン、オルニチン、およびスタチンハロゲン化アミノ酸が含まれる。
【0021】
IL-21ペプチドは、抗原に関連する生理学的効果を誘導し、促進し、増大し、かつ/またはさもなくば調節するために;ELISA、ウェスタンブロット、または本明細書に記載されかつ/もしくは当技術分野で公知である他の類似の適切なタンパク質結合技術による検出を可能にするために、かつ/あるいはさもなくば適切な期間(例えば、少なくとも約15分間、少なくとも約30分間、少なくとも約45分間、少なくとも約1時間、少なくとも約2時間、少なくとも約4時間、少なくとも約6時間、少なくとも約12時間、約1〜24時間、約1〜36時間、約1〜48時間、約1〜72時間、約1週間、またはそれより長く)後にこれに検出可能に結合させるために十分な時間、細胞条件、および/または生理学的条件下でIL21受容体に特異的に結合する、任意のペプチドを指す。IL-21ペプチドの結合は、例えば、実施例に記載するように定量可能である。
【0022】
1つの態様において、本発明のIL-21ペプチドは、配列番号:1または配列番号:2に少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を有する。1つの態様において、本発明のIL-21ペプチドは、配列番号:1または配列番号:2に少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を有する。
【0023】
用語「同一性」は、当技術分野に公知であるように、配列を比較することによって定量されるような2つまたはそれ以上のペプチドの配列間の関係を指す。当技術分野において、「同一性」はまた、一連の2つまたはそれ以上のアミノ酸残基間のマッチの数によって定量されるような、ペプチド間の配列関連性の度合いも意味する。「同一性」は、特定の数学的モデルまたはコンピュータプログラム (すなわち「アルゴリズム」)によって対処される、ギャップアラインメント (あるとすれば)を含む、2つまたはそれ以上の配列の小さい方の間の同一マッチパーセントを評価する。関連ペプチドの同一性は、公知の方法によって容易に計算可能である。そのような方法には、限定されるわけではないが、Computational Molecular Biology, Lesk, A. M., ed., Oxford University Press, New York, 1988; Biocomputing: Informatics and Genome Projects, Smith, D. W., ed., Academic Press, New York, 1993; Computer Analysis of Sequence Data, Part 1 , Griffin, A. M., and Griffin, H. G., eds., Humana Press, New Jersey, 1994; Sequence Analysis in Molecular Biology, von Heinje, G., Academic Press, 1987; Sequence Analysis Primer, Gribskov, M. and Devereux, J., eds., M. Stockton Press, New York, 1991 ; およびCarillo et al., SIAM J. Applied Math. 48, 1073 (1988)に記載されるものが含まれる。
【0024】
同一性を定量するための好ましい方法は、試験配列間で最大のマッチを生じるように設計されている。同一性を定量する方法は、公的に入手可能なコンピュータプログラムに記載されている。2つの配列間の同一性を定量するための好ましいコンピュータプログラム法には、GAP (Devereux et al., Nucl. Acid. Res. 12, 387 (1984); Genetics Computer Group, University of Wisconsin, Madison, Wis.)、BLASTP、BLASTN、およびFASTA (Altschul et al., J. Mol. Biol. 215, 403-410 (1990))を含む、GCGプログラムパッケージが含まれる。BLASTXプログラムは、National Center for Biotechnology Information (NCBI)および他の供給源より公的に入手可能である(BLAST Manual, Altschul et al. NCB/NLM/NIH Bethesda, Md. 20894; Altschul et al., 上記)。周知のSmith Watermanアルゴリズムもまた、同一性定量に使用可能である。
【0025】
例えば、コンピュータアルゴリズムGAP (Genetics Computer Group, University of Wisconsin, Madison, Wis.)を用いて、配列同一性パーセントを定量しようとする2つのペプチドをそれぞれのアミノ酸の最適マッチングのために整列化させる(アルゴリズムによって定量されるような、「マッチしたスパン」)。ギャップオープニングペナルティ (平均対角の3倍として計算される;「平均対角」は、用いている比較マトリックスの対角の平均であり;「対角」は、特定の比較マトリックスによって、各々の完全アミノ酸マッチに割り当てられるスコアまたは数である)およびギャップ伸長ペナルティ (通常、ギャップオープニングペナルティの {割合 (1/10)}倍である)、ならびにPAM 250またはBLOSUM 62などの比較マトリックスを、アルゴリズムと組み合わせて用いる。標準的な比較マトリックス (PAM 250比較マトリックスに関しては、Dayhoff et al., Atlas of Protein Sequence and Structure, vol. 5, supp.3 (1978); BLOSUM 62比較マトリックスに関しては、Henikoff et al., Proc. Natl. Acad. Sci USA 89, 10915-10919 (1992)を参照されたい)もまた、アルゴリズムによって用いられる。
【0026】
ペプチド配列比較の好ましいパラメータには、以下が含まれる。
【0027】
アルゴリズム: Needleman et al., J. Mol. Biol. 48, 443-453 (1970); 比較マトリックス: Henikoff et al., PNAS USA 89, 10915-10919 (1992) 由来のBLOSUM 62; ギャップペナルティ: 12、ギャップ長ペナルティ: 4、類似性の閾値: 0。
【0028】
GAPプログラムは上記パラメータで有用である。上述のパラメータは、GAPアルゴリズムを用いたペプチド比較のためのデフォルトパラメータである (末端ギャップに関するペナルティなしとともに)。
【0029】
1つの態様において、本発明のIL-21ペプチドは、配列番号:1または配列番号:2に少なくとも80%類似であるアミノ酸配列を有する。1つの態様において、本発明のIL-21ペプチドは、配列番号:1または配列番号:2に少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を有する。
【0030】
用語「類似性」は、同一性に関連する概念であるが、「同一性」と対照的に、同一マッチおよび保存的置換マッチの両方を含む配列関係を指す。2つのポリペプチド配列が例えば (割合 (10/20))の同一アミノ酸を有しかつ残りがすべて非保存的置換であるならば、同一性および類似性パーセントは、どちらも50%であろう。同じ例において、さらに5つの位置が保存的置換を有するならば、同一性パーセントは50%のままであるが類似性パーセントは75%であろう (割合 (15/20))。したがって、保存的置換がある場合、2つのポリペプチド間の類似性の度合いは2つのポリペプチド間の同一性パーセントよりも高いであろう。
【0031】
配列番号:1または配列番号:2のアミノ酸配列を含むペプチドの保存的修飾 (およびコード核酸に対応する修飾)は、配列番号:1または配列番号:2のアミノ酸配列を含むペプチドに類似した機能的および化学的特性を有するペプチドを生じるであろう。対照的に、配列番号:1または配列番号:2のアミノ酸配列を含むペプチドと比較した際、本発明によるペプチドの機能的および/または化学的特性における実質的な修飾は、 (a) 例えばシートもしくはらせんコンホメーションとしての置換領域における分子主鎖の構造、(b)標的部位での分子の電荷もしくは疎水性、または (c)側鎖体積の維持に対する影響が有意に異なるアミノ酸配列中の置換を選択することによって、達成可能である。
【0032】
例えば「保存的アミノ酸置換」は、その位置のアミノ酸残基の極性または荷電にほとんどまたはまったく影響がないような天然アミノ酸残基の非天然残基での置換を伴うことも可能である。さらに、「アラニンスキャニング突然変異誘発」に関して先に記載されている(例えば、アラニンスキャニング突然変異誘発を論じる、MacLennan et al., Acta Physiol. Scand. Suppl. 643, 55-67 (1998); Sasaki et al., Adv. Biophys. 35, 1-24 (1998)を参照されたい)ように、ポリペプチド中の任意の天然残基をアラニンで置換することもまた可能である。
【0033】
そのような置換が望ましい時点で、当業者が望ましいアミノ酸置換 (保存的であれ非保存的であれ)を決定することも可能である。例えば、すでに記載した突然変異に加えて、本発明によるペプチドの重要な残基を同定するためまたは受容体に対する本明細書に記載のペプチドの親和性を増加させるもしくは減少させるためにアミノ酸置換を用いることも可能である。
【0034】
共通の側鎖特性に基づいて、天然残基をクラス分けすることが可能である:
1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Iie;
2)中性親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;
3)酸性:Asp、Glu;
4)塩基性: His、Lys、Arg;
5)鎖配向に影響を及ぼす残基:Gly、Pro;および
6)芳香族:Trp、Tyr、Phe。
【0035】
そのような変更を行う際、アミノ酸のヒドロパシー指数を考慮してもよい。各アミノ酸には、疎水性および電荷特性に基づいてヒドロパシー指数が割り当てられており、これらはイソロイシン (+4.5);バリン (+4.2);ロイシン (+3.8);フェニルアラニン (+2.8);システイン/シスチン (+2.5);メチオニン (+1.9);アラニン (+1.8);グリシン (-0.4);スレオニン (-0.7);セリン (-0.8);トリプトファン (-0.9);チロシン (-1.3);プロリン (-1.6);ヒスチジン (-3.2);グルタミン酸 (-3.5);グルタミン (-3.5);アスパラギン酸 (-3.5);アスパラギン (-3.5);リジン (-3.9);およびアルギニン (-4.5)である。
【0036】
相互作用性の生物学的機能をタンパク質に与える際にヒドロパシーアミノ酸指数が重要であることが、当技術分野において理解されている。Kyte et al., J. Mol. Biol., 157, 105-131 (1982)。類似のヒドロパシー指数またはスコアを有する他のアミノ酸は特定のアミノ酸で置換されうりかつ類似の生物学的活性が保持され得ることが公知である。ヒドロパシー指数に基づいて変更を行う際、ヒドロパシー指数が±2以内であるアミノ酸の置換が好ましく、±1以内であるものが特に好ましく、かつ±0.5以内であるものがさらにより好ましい。
【0037】
当技術分野において、親水性に基づいて同様のアミノ酸の置換を有効に行うことが可能であることもまた理解されており、この場合と同じく、このように生成された生物学的、機能的に同等のタンパク質またはペプチドが免疫学的態様における使用を意図される場合には特に当てはまる。隣接するアミノ酸の親水性によって定量されるような、タンパク質の最大局所平均親水性は、その免疫原性および抗原性、すなわちタンパク質の生物学的特性と相関する。
【0038】
以下の親水性値がアミノ酸残基に割り当てられている:アルギニン(+3.0);リジン (’3.0);アスパラギン酸 (+3.0±1);グルタミン酸 (+3.0±1);セリン (+0.3);アスパラギン (+0.2);グルタミン (+0.2);グリシン (0);スレオニン (-0.4);プロリン (-0.5±1);アラニン (-0.5);ヒスチジン (-0.5);システイン (-1.0);メチオニン (-1.3);バリン (-1.5);ロイシン (-1.8);イソロイシン (-1.8);チロシン (-2.3);フェニルアラニン (-2.5);トリプトファン (-3.4)。類似の親水性値に基づいて変更を行う際、親水性値が±2以内であるアミノ酸の置換が好ましく、±1以内であるものが特に好ましく、かつ±0.5以内であるものがさらにより特に好ましい。また、親水性に基づいて、一次アミノ酸配列からエピトープを同定してもよい。これらの領域はまた、「エピトープコア領域」とも称される。
【0039】
本発明のペプチドはまた、非天然アミノ酸を含んでもよい。
【0040】
本発明の1つの態様において、配列番号:2中のアミノ酸残基番号66〜98に対応する領域の長さが少なくとも1、例えば少なくとも2、例えば少なくとも3、例えば少なくとも4、例えば少なくとも5、例えば少なくとも6、例えば少なくとも7、例えば少なくとも8、例えば少なくとも9、例えば少なくとも10、例えば少なくとも11、例えば少なくとも12、例えば少なくとも13、例えば少なくとも14、例えば少なくとも15、例えば少なくとも16、例えば少なくとも17、例えば少なくとも18、例えば少なくとも19、例えば少なくとも20、例えば少なくとも21、例えば少なくとも22、例えば少なくとも23、例えば少なくとも24、例えば少なくとも25、例えば少なくとも26、例えば少なくとも27、例えば少なくとも28、例えば少なくとも29、例えば少なくとも30、例えば少なくとも31、例えば少なくとも32アミノ酸残基減少している。
【0041】
1つの態様において、本発明は、配列番号:2中のアミノ酸残基番号77〜92に対応する領域の長さが減少しているIL-21ペプチドに関する。
【0042】
1つの態様において、配列番号:2中のアミノ酸残基番号77〜92に対応する領域の長さが少なくとも1、例えば少なくとも2、例えば少なくとも3、例えば少なくとも4、例えば少なくとも5、例えば少なくとも6、例えば少なくとも7、例えば少なくとも8、例えば少なくとも9、例えば少なくとも10、例えば少なくとも11、例えば少なくとも12、例えば少なくとも13、例えば少なくとも14アミノ酸残基減少している。
【0043】
1つの態様において、本発明は、配列番号:2中のアミノ酸残基番号83〜90に対応する領域の長さが減少しているIL-21ペプチドに関する。
【0044】
1つの態様において、配列番号:2中のアミノ酸残基番号83〜90に対応する領域の長さが少なくとも1、例えば少なくとも2、例えば少なくとも3、例えば少なくとも4、例えば少なくとも5、例えば少なくとも6、例えば少なくとも7アミノ酸残基減少している。
【0045】
1つの態様において、本発明は、配列番号:2中のアミノ酸残基番号82〜88に対応する領域の長さが減少しているIL-21ペプチドに関する。
【0046】
1つの態様において、配列番号:2中のアミノ酸残基番号82〜88に対応する領域の長さが少なくとも1、例えば少なくとも2、例えば少なくとも3、例えば少なくとも4、例えば少なくとも5アミノ酸残基減少している。
【0047】
1つの態様において、本発明は、配列番号:2中のアミノ酸残基番号71〜92に対応する領域の長さが減少しているIL-21ペプチドに関する。
【0048】
1つの態様において、配列番号:2中のアミノ酸残基番号71〜92に対応する領域の長さが少なくとも1、例えば少なくとも2、例えば少なくとも3、例えば少なくとも4、例えば少なくとも5、例えば少なくとも6、例えば少なくとも7、例えば少なくとも8、例えば少なくとも9、例えば少なくとも10、例えば少なくとも11、例えば少なくとも12、例えば少なくとも13、例えば少なくとも14、例えば少なくとも15、例えば少なくとも16、例えば少なくとも17、例えば少なくとも18、例えば少なくとも19、例えば少なくとも20アミノ酸残基減少している。
【0049】
1つの態様において、本発明は、配列番号:2中のアミノ酸残基番号65〜92に対応する領域の長さが減少しているIL-21ペプチドに関する。
【0050】
1つの態様において、配列番号:2中のアミノ酸残基番号65〜92に対応する領域の長さが少なくとも1、例えば少なくとも2、例えば少なくとも3、例えば少なくとも4、例えば少なくとも5、例えば少なくとも6、例えば少なくとも7、例えば少なくとも8、例えば少なくとも9、例えば少なくとも10、例えば少なくとも11、例えば少なくとも12、例えば少なくとも13、例えば少なくとも14、例えば少なくとも15、例えば少なくとも16、例えば少なくとも17、例えば少なくとも18、例えば少なくとも19、例えば少なくとも20、例えば少なくとも21、例えば少なくとも22、例えば少なくとも23、例えば少なくとも24、例えば少なくとも25、例えば少なくとも26、例えば少なくとも27アミノ酸残基減少している。
【0051】
1つの態様において、本発明は、配列番号:2中のアミノ酸残基番号77〜96に対応する領域の長さが減少しているIL-21ペプチドに関する。
【0052】
1つの態様において、配列番号:2中のアミノ酸残基番号77〜96に対応する領域の長さが少なくとも1、例えば少なくとも2、例えば少なくとも3、例えば少なくとも4、例えば少なくとも5、例えば少なくとも6、例えば少なくとも7、例えば少なくとも8、例えば少なくとも9、例えば少なくとも10、例えば少なくとも11、例えば少なくとも12、例えば少なくとも13、例えば少なくとも14、例えば少なくとも15、例えば少なくとも16、例えば少なくとも17、例えば少なくとも18、例えば少なくとも19アミノ酸残基減少している。
【0053】
1つの態様において、本発明は、配列番号:2中のアミノ酸残基番号83〜86に対応する領域の長さが減少しているIL-21ペプチドに関する。
【0054】
1つの態様において、配列番号:2中のアミノ酸残基番号83〜86に対応する領域の長さが少なくとも1、例えば少なくとも2、例えば少なくとも3アミノ酸残基減少している。
【0055】
1つの態様において、本発明は、配列番号:2中のアミノ酸残基番号83〜86に対応する領域の長さが減少しているIL-21ペプチドに関する。
【0056】
1つの態様において、配列番号:2中のアミノ酸残基番号83〜86に対応する領域の長さが少なくとも1、例えば少なくとも2、例えば少なくとも3、例えば少なくとも4、例えば少なくとも5アミノ酸残基減少している。
【0057】
1つの態様において、長さは、言及した領域中のアミノ酸残基の必要な量の欠失によって減少する。1つの態様において、該欠失アミノ酸残基は、該領域のアミノ酸配列中で互いに全てが隣接しているわけではなかった。
【0058】
本発明はまた、配列番号:2中のアミノ酸残基番号66〜98に対応する領域が、一続きのアミノ酸残基によって置換されているか、または配列番号:2中のアミノ酸残基番号77〜92に対応する領域が一続きのアミノ酸残基によって置換されており、該一続きのアミノ酸残基が、それに置換される領域より少なくとも1、例えば少なくとも2、例えば少なくとも3、例えば少なくとも4、例えば少なくとも5、例えば少なくとも6、例えば少なくとも7、例えば少なくとも8、例えば少なくとも9、例えば少なくとも10、例えば少なくとも11、例えば少なくとも12、例えば少なくとも13、例えば少なくとも14、例えば少なくとも15アミノ酸残基短い、IL-21ペプチドにも関する。該一続きのアミノ酸残基は、IL-21起源または非IL-21起源であってもよい。該一続きの本質的な特徴は、それに置換される一続きよりも少なくとも1アミノ酸残基短いことである。該一続きのアミノ酸残基の正確な配列は重要ではなく、本質的な部分とは、一続きが、それに置換される領域よりも短いことである。該一続きのアミノ酸残基の配列は、例えば、IL-21起源または非IL-21起源であってもよい。
【0059】
1つの態様において、該一続きのアミノ酸残基はIL-21起源である。1つの態様において、該一続きのアミノ酸残基は、配列番号:2中のアミノ酸残基番号66〜98に対応する領域内に由来する配列を有する。例えば、この領域内の1つまたは複数のアミノ酸残基を他のアミノ酸残基で置換することによって、IL-21のこの領域に由来する配列を得てもよい。重要なのは、一続きのアミノ酸残基の長さ (それに置換される領域より短い)であるため、置換の性質は重要ではない。IL-21起源の該一続きのアミノ酸残基は、より短い長さを達成するために、配列番号:2中のアミノ酸残基番号66〜98に対応する領域と比較して欠失も含みうり、かつそのような欠失は、領域全体に広がっていてもよいしまたは互いに隣接したアミノ酸残基のものであってもよい。
【0060】
1つの態様において、IL-21起源の一続きのアミノ酸残基は、配列番号:2中のアミノ酸残基番号66〜98の領域内のアミノ酸残基の配列に対して少なくとも50%、例えば少なくとも60%、例えば少なくとも70%、例えば少なくとも80%、例えば少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%同一であるかまたは類似である配列を有する一続きのアミノ酸残基である。
【0061】
1つの態様において、該一続きのアミノ酸残基は、配列番号:2中のアミノ酸残基番号66〜98に対応する領域中に存在するアミノ酸残基の少なくとも1つの非保存的置換を含む。1つの態様において、該一続きのアミノ酸残基は、配列番号:2のアミノ酸番号77〜92の欠失を含む。1つの態様において、該一続きのアミノ酸残基は、配列番号:2のアミノ酸番号83〜90の欠失を含む。1つの態様において、該一続きのアミノ酸残基は、配列番号:2のアミノ酸番号82〜88の欠失を含む。1つの態様において、該一続きのアミノ酸残基は、配列番号:2のアミノ酸番号71〜92の欠失を含む。1つの態様において、該一続きのアミノ酸残基は、配列番号:2のアミノ酸番号65〜92の欠失を含む。1つの態様において、該一続きのアミノ酸残基は、配列番号:2のアミノ酸番号77〜96の欠失を含む。1つの態様において、該一続きのアミノ酸残基は、配列番号:2のアミノ酸番号83〜86の欠失を含む。1つの態様において、該一続きのアミノ酸残基は、配列番号:2のアミノ酸番号83〜88の欠失を含む。1つの態様において、該一続きのアミノ酸残基は、配列番号:2中のアミノ酸残基番号66〜98に対応する領域中に1つまたは複数の非隣接欠失を含む。
【0062】
1つの態様において、IL-21起源の一続きのアミノ酸残基は、配列番号:2中のアミノ酸残基番号77〜92の領域内のアミノ酸残基の配列に対して少なくとも50%、例えば少なくとも60%、例えば少なくとも70%、例えば少なくとも80%、例えば少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%同一であるかまたは類似である配列を有する一続きのアミノ酸残基である。1つの態様において、該一続きのアミノ酸残基は、配列番号:2中のアミノ酸残基番号77〜92に対応する領域中に存在するアミノ酸残基の少なくとも1つの非保存的置換を含む。1つの態様において、該一続きのアミノ酸残基は、配列番号:2中のアミノ酸残基番号77〜92に対応する領域中に存在するアミノ酸残基の少なくとも1つの非保存的置換を含む。1つの態様において、該一続きのアミノ酸残基は、配列番号:2のアミノ酸番号83〜90の欠失を含む。1つの態様において、該一続きのアミノ酸残基は、配列番号:2のアミノ酸番号82〜88の欠失を含む。1つの態様において、該一続きのアミノ酸残基は、配列番号:2のアミノ酸番号83〜86の欠失を含む。1つの態様において、該一続きのアミノ酸残基は、配列番号:2のアミノ酸番号83〜88の欠失を含む。1つの態様において、該一続きのアミノ酸残基は、配列番号:2中のアミノ酸残基番号77〜92に対応する領域中に1つまたは複数の非隣接欠失を含む。
【0063】
1つの態様において、該一続きのアミノ酸残基は非IL-21起源である。そのような一続きのアミノ酸残基は、例えば、配列番号:2中の類似の長さの任意の配列に対する同一性が50%未満である配列を有してもよい。本発明の目的のため、該一続きのアミノ酸残基はまた、配列番号:2のアミノ酸残基番号65〜96の配列に対する同一性が50%未満である配列および/または配列番号:2のアミノ酸残基番号77〜92の配列に対する同一性が50%未満である配列を有してもよい。同じく該一続きのアミノ酸残基の正確な配列は重要ではなく、本質的な部分とは、一続きがそれに置換される領域よりも短いことである。
【0064】
1つの態様において、本発明は、IL-21ペプチドが配列番号:3、4、5もしくは6の配列を持たないかまたはさらなるN末端メチオニンとともに配列番号:3、4、5もしくは6の配列を有するペプチドの配列を持たないという条件で、上記の任意のIL-21ペプチドに関する。1つの態様において、本発明は、IL-21ペプチドが配列番号:7、8、9もしくは10の配列を持たないかまたはさらなるN末端メチオニンとともに配列番号:7、8、9もしくは10の配列を有するペプチドの配列を持たないという条件で、上記の任意のIL-21ペプチドに関する。配列番号:3、4、5、6、7、8、9、および10の配列を有するペプチドは、国際公開公報第2004/112703号に記載される。
【0065】
1つの態様において、本発明は、IL-21ペプチドが配列番号:2中のAsn-68に対応する位置に置換突然変異を持たないという条件で、上記の任意のIL-21ペプチドに関する。
【0066】
1つの態様において、本発明は、配列番号:2中のAsn-68に対応する位置のアミノ酸残基がGlnではないという条件で、上記の任意のIL-21ペプチドに関する。
【0067】
1つの態様において、本発明は、IL-21ペプチドが配列番号:2中のSer-80に対応する位置に置換突然変異を持たないという条件で、上記の任意のIL-21ペプチドに関する。
【0068】
1つの態様において、本発明は、配列番号:2中のSer-80に対応する位置のアミノ酸残基がThrではないという条件で、上記の任意のIL-21ペプチドに関する。
【0069】
1つの態様において、本発明は、IL-21ペプチドが配列番号:2中のGln-87に対応する位置に置換突然変異を持たないという条件で、上記の任意のIL-21ペプチドに関する。
【0070】
1つの態様において、本発明は、配列番号:2中のGln-87に対応する位置のアミノ酸残基がAsnではないという条件で、上記の任意のIL-21ペプチドに関する。
【0071】
1つの態様において、本発明は、IL-21ペプチドが、Asn-68に対応する位置、配列番号:2中のSer-80に対応する位置、および配列番号:2中のGln-87に対応する位置に置換突然変異を持たないという条件で、上記の任意のIL-21ペプチドに関する。
【0072】
1つの態様において、本発明は、配列番号:2中のAsn-68に対応する位置のアミノ酸残基がGlnではなく、配列番号:2中のSer-80に対応する位置のアミノ酸残基がThrではなく、かつ配列番号:2中のGln-87に対応する位置のアミノ酸残基がAsnではないという条件で、上記の任意のIL-21ペプチドに関する。
【0073】
1つの態様において、本発明は、本発明のペプチドをコードする核酸構築物;該構築物を含むベクター;および該ベクターを含む宿主細胞に関する。
【0074】
1つの態様において、本発明は、本発明のペプチドに対して特異的な抗体に関する。1つの態様において、該抗体は、配列番号:1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10のアミノ酸配列を有するポリペプチドまたは国際公開公報第2004/112703号に記載される任意のポリペプチドに結合しない。
【0075】
ペプチドをCHO細胞などの哺乳動物細胞において発現させる場合、N末端シグナルペプチドは、いわゆるシグナルペプチダーゼによって除去されることが多く、これにより、成熟ペプチドが生じる。例えば大腸菌 (E. coli)などの原核細胞において、同じ異種ペプチドを発現させるには、当業者に周知の組換え技術を通じて、成熟ペプチドの配列にさらなるN末端メチオニンを導入することが必要であることが多いことが、当技術分野に周知である。したがって本発明は、N末端メチオニンを伴うまたは伴わない上述のペプチドを含むよう意図される。
【0076】
1つの態様において、本発明は、上記ペプチドの薬学的に許容される塩に関する。
【0077】
本発明の文脈において、用語「薬学的に許容される塩」とは、患者に害がない塩を示すことを意図するものである。そのような塩には、薬学的に許容される酸付加塩、薬学的に許容される金属塩、アンモニウムおよびアルキル化アンモニウム塩が含まれる。酸付加塩には、無機酸ならびに有機酸の塩が含まれる。適切な無機酸の代表的な例には、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、リン酸、硫酸、硝酸等が含まれる。適切な有機酸の代表的な例には、ギ酸、酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、安息香酸、桂皮酸、クエン酸、フマル酸、グリコール酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、シュウ酸、ピクリン酸、ピルビン酸、サリチル酸、コハク酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、酒石酸、アスコルビン酸、パモン酸、ビスメチレンサリチル酸、エタンジスルホン酸、グルコン酸、シトラコン酸、アスパラギン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、EDTA、グリコール酸、p-アミノ安息香酸、グルタミン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸等が含まれる。薬学的に許容される無機または有機酸付加塩のさらなる例には、参照により本明細書に組み入れられる、J. Pharm. Sci. 1977, 66, 2に列挙される薬学的に許容される塩が含まれる。金属塩の例には、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム塩等が含まれる。アンモニウムおよびアルキル化アンモニウム塩の例には、アンモニウム、メチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、エチルアンモニウム、ヒドロキシエチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、ブチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム塩等が含まれる。
【0078】
本発明のペプチドは、血漿中の循環期間および/もしくは生物学的半減期の延長を達成しうるかまたは任意の免疫原性を減少させうる基の付着によってさらに誘導体化されてもよい。そのような効果は、ポリエチレングリコール (PEG);脂肪酸などの親油性基;アルブミンなどの血漿タンパク質;またはアルブミン結合性部分などの特定の基の付着によって得られ得ることが当技術分野に周知である。当技術分野からの例に関しては、例えば、国際公開公報第01/79271号、米国特許第5,739,208号、および国際公開公報第03/44056号を参照されたい。
【0079】
本明細書において、用語「核酸構築物」とは、cDNA、ゲノムDNA、合成DNAまたはRNA起源の任意の核酸分子を示すことを意図するものである。用語「構築物」とは、一本鎖または二本鎖であってもよく、かつ関心対象のタンパク質をコードする完全または部分的な天然ヌクレオチド配列に基づいてもよい、核酸セグメントを示すことを意図するものである。構築物は任意で、他の核酸セグメントを含有してもよい。
【0080】
本発明のタンパク質をコードする本発明の核酸構築物は、適切にゲノム起源またはcDNA起源であってもよく、例えば、標準的技術にしたがって、ゲノムまたはcDNAライブラリーを調製し、かつ合成オリゴヌクレオチドプローブを用いたハイブリダイゼーションによってタンパク質のすべてまたは一部をコードするDNA配列に関してスクリーニングすることによって、得られ得る (Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor, New York)。本発明の目的のため、タンパク質をコードするDNA配列はヒト起源であってもよい、すなわちヒトゲノムDNAまたはcDNAライブラリーに由来してもよい。特にDNA配列はヒト起源であってもよく、例えば特定のヒト臓器もしくは細胞種由来のcDNAまたはヒトゲノムDNA由来の遺伝子であってもよい。また、ペプチドをコードする本発明の核酸構築物を、確立された標準法、例えばホスホアミダイト法によって、または特異的プライマーを用いたポリメラーゼ連鎖反応によって、合成的に調製してもよい。さらに核酸構築物は、全核酸構築物の多様な部分に対応する、合成起源、ゲノム起源またはcDNA起源(適宜)の断片を標準的技術にしたがって連結することによって調製される、混合した合成起源およびゲノム起源、混合した合成起源およびcDNA起源、または混合したゲノム起源およびcDNA起源であってもよい。
【0081】
1つの態様において、核酸構築物はDNA構築物であり、この用語は以下のように用いられるであろう。
【0082】
1つの態様において、本発明は、本発明のDNA構築物を含む組換えベクターに関する。本発明のDNA構築物を挿入する組換えベクターは、任意のベクター、例えば、当技術分野に公知である組換えDNA法に好適に供され得る発現ベクターであってもよい。本発明のタンパク質をコードするDNA配列と、例えばプロモーター配列ならびに任意でターミネーター配列および/または分泌シグナル配列を含むベクター配列とを連結するのに用いる方法は、当業者に周知である (例えば、Sambrookら、前掲書中を参照されたい)。
【0083】
本発明のDNA構築物または組換えベクターを導入する宿主細胞は、本発明のタンパク質を産生可能な任意の細胞であってもよく、かつこれには、当技術分野に公知であるように、細菌、酵母、真菌およびより高次の真核細胞が含まれる。次いで、本発明のタンパク質の発現を可能にする条件下で、形質転換またはトランスフェクションされた宿主細胞を適切な栄養培地中で培養し、その後、生じたタンパク質を培養物から回収する。細胞を培養するのに用いる培地は、宿主細胞を増殖させるのに適した任意の慣用的培地、例えば適切な補助剤を含有する最小培地または複合培地であってもよい。適切な培地は商業的供給業者から入手可能であるし、または公表された配合表(例えばAmerican Type Culture Collectionのカタログ中)にしたがって調製可能である。次いで、遠心分離またはろ過によって培地から宿主細胞を分離する工程、塩、例えば硫酸アンモニウムによって上清またはろ液のタンパク質性構成要素を沈殿させる工程、問題のタンパク質タイプに応じて、多様なクロマトグラフィー法、例えばイオン交換クロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー等によって精製する工程を含む慣用法によって、細胞によって産生されたタンパク質を培地から回収してもよい。
【0084】
本発明のペプチドを用いて、本発明のペプチドに特異的に結合する抗体を作製してもよい。本発明の文脈において、「抗体」には、モノクローナルおよびポリクローナル抗体、ならびにその抗原結合性断片、例えばF(ab’)2およびFab断片が含まれ、遺伝子操作された抗体およびヒト化抗体が含まれる。抗体は、107 M-1より大きいかまたはこれに等しいKaで本発明のペプチドに結合する場合、特異的であると言われる。抗体を調製するための方法は、例えば、Hurrell J. G. R. (Ed.) Monoclonal Hybridoma Antibodies: Techniques and Applications, CRC Press, Boca Raton, Florida, 1982およびSambrok, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbour, New York, 1989に開示される。
【0085】
IL-21は、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、Eppstein-Barrウイルス、インフルエンザウイルス、サイトメガロウイルス、ヘルペスウイルスおよび重症急性呼吸器症候群などのウイルス性疾患;喘息、アレルギー性鼻炎または皮膚のアレルギー性疾患などのアレルギー性疾患;蠕虫感染症などの寄生虫疾患、同種移植片拒絶および糖尿病などの自己免疫疾患;ならびに結腸直腸癌、腎細胞癌、非ホジキンリンパ腫、上皮癌、乳癌、前立腺癌、卵巣癌、結腸癌および黒色腫などの癌の治療に関連づけられている (国際公開公報第2003/103589号)。IL-21受容体のアンタゴニズムはまた、例えば自己免疫疾患、例えば全身性エリテマトーデス (SLE)、関節リウマチ (RA)および炎症性腸疾患 (IBD)などの炎症性疾患の治療に関連づけられている。1つの態様において、本発明のIL-21ペプチドはIL-21のアゴニストであり、IL-21受容体のアゴニズムが有益であると見なされる疾患を治療するのに有用である。1つの態様において、本発明のIL-21ペプチドはIL-21受容体のアンタゴニストであり、IL-21受容体のアンタゴニズムが有益であると見なされる疾患を治療するのに有用である。
【0086】
本明細書において、用語「治療」および「治療すること」は、疾患または障害などの状態と戦う目的のための、患者の管理およびケアを意味する。この用語は、患者が患っている所与の状態のための治療の完全な範囲を、例えば症状もしくは合併症を軽減するため、疾患、障害、もしくは状態の進行を遅延させるため、症状および合併症を軽減するもしくは和らげるため、ならびに/または疾患、障害、もしくは状態を治癒させるもしくは消失させるため、かつ、状態を予防するため(ここで予防とは、疾患、状態、または障害と闘うための患者の管理および看護と理解されるべきでありかつ症状または合併症の発症を予防するための活性ペプチドの投与を含む)活性化合物の投与を含むことが意図される。治療されるべき患者は、哺乳動物、特にヒトであってもよいが、イヌ、ネコ、ウシ、ヒツジおよびブタなどの動物もまた含んでもよい。治療的および予防的 (防止的)レジメンは、本発明の別個の局面に相当する。
【0087】
その結果、1つの態様において、本発明は、療法における本発明のペプチドの使用を提供する。
【0088】
1つの態様において、本発明は、癌の治療における、IL-21のアゴニストである本発明のペプチドの使用を提供する。
【0089】
本発明の文脈において、「癌」とは、肉腫、癌腫、黒色腫、白血病、リンパ腫、乳房、頭頸部、卵巣、膀胱、肺、咽頭、喉頭、食道、胃、小腸、肝臓、膵臓、結腸、女性生殖管、男性生殖管、前立腺、腎臓ならびに中枢神経系における癌などの細胞障害を含む、任意の新生物障害を指す。特に、「癌」とは、悪性黒色腫、非黒色腫皮膚癌、腎細胞癌、頭頸部癌、内分泌系の癌、卵巣癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、乳癌、食道癌、上部胃腸癌、結腸直腸癌、肝臓および胆管癌、膵臓癌、前立腺癌、膀胱癌、精巣癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、骨および軟組織の肉腫、中枢神経系の癌、リンパ腫、白血病、ならびに原発不明癌などの非転移性および転移性新生物障害を示すことを意図するものである。
【0090】
本発明のより具体的な態様において、用語「新生物障害」、「癌」または「腫瘍増殖」は、すべての型の新生物細胞増殖を指すと理解され、これには嚢胞性および固形腫瘍の両方、骨および軟組織腫瘍が含まれ、これには良性および悪性腫瘍の両方が含まれ、これには肛門組織、胆管、膀胱、血球、骨、骨 (続発性)、腸 (結腸および直腸)、脳、脳 (続発性)、乳房、乳房 (続発性)、カルチノイド、子宮頸部、小児癌、目、咽喉 (食道)、頭頸部、カポジ肉腫、腎臓、喉頭、白血病 (急性リンパ芽球性)、白血病 (急性骨髄性)、白血病 (慢性リンパ球性)、白血病 (慢性骨髄性)、白血病 (その他)、肝臓、肝臓 (続発性)、肺、肺 (続発性)、リンパ節 (続発性)、リンパ腫 (ホジキン)、リンパ腫 (非ホジキン)、黒色腫、中皮腫、骨髄腫、卵巣、膵臓、陰茎、前立腺、皮膚、軟組織肉腫、胃、精巣、甲状腺、原発不明腫瘍、膣、外陰部、胎内 (子宮)における腫瘍が含まれる。
【0091】
軟組織腫瘍には、良性神経鞘腫モノソミー、類腱腫、脂肪芽細胞腫、脂肪腫、子宮平滑筋腫、明細胞肉腫、皮膚線維肉腫、ユーイング肉腫、骨外性粘液様軟骨肉腫、粘液様脂肪肉腫、脂肪肉腫、高分化胞巣状横紋筋肉腫、および滑膜肉腫が含まれる。
【0092】
具体的な骨腫瘍には、非骨化線維腫、単房性骨嚢胞、軟骨腫、動脈瘤性骨嚢胞、骨芽腫、軟骨芽腫、軟骨粘液線維腫、骨化線維腫およびエナメル腫、巨細胞腫瘍、線維性異形成症、ユーイング肉腫、好酸性肉芽腫、骨肉腫、軟骨腫、軟骨肉腫、悪性線維性組織球腫、および転移性癌腫が含まれる。
【0093】
白血病は、骨髄によって産生される白血球の癌を指す。これには、限定されるわけではないが、4つの主なタイプの白血病;急性リンパ芽球性 (ALL)、急性骨髄芽球性 (AML)、慢性リンパ球性 (CLL)および慢性骨髄性 (CML)が含まれる。
【0094】
1つの態様において、癌は、悪性黒色腫、非黒色腫皮膚癌、腎細胞癌、頭頸部癌、内分泌系の癌、卵巣癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、乳癌、食道癌、上部胃腸癌、結腸直腸癌、肝臓および胆管癌、膵臓癌、前立腺癌、膀胱癌、精巣癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、骨および軟組織の肉腫、中枢神経系の癌、リンパ腫、白血病、ならびに原発不明癌などの非転移性および転移性新生物障害より選択される。より具体的な態様において、癌は悪性黒色腫である。
【0095】
1つの態様において、本発明は、例えば全身性エリテマトーデス (SLE)、関節リウマチ (RA)および炎症性腸疾患 (IBD) (潰瘍性大腸炎 (UC)およびクローン病 (CD)を含む)、多発性硬化症 (MS)、強皮症および1型糖尿病 (T1D)などの自己免疫疾患、ならびにPV (尋常性天疱瘡)、乾癬、アトピー性皮膚炎、セリアック病、橋本甲状腺炎、グレーブス病 (甲状腺)、シェーグレン症候群、ギラン-バレー症候群、グッドパスチャー症候群、アジソン病 (additon’s disease)、ヴェゲナー肉芽腫、原発性胆汁性硬化症、硬化性胆管炎、自己免疫肝炎、リウマチ性多発筋痛症、レイノー現象 (paynaud’s phenomenon)、側頭動脈炎、巨細胞動脈炎、自己免疫性溶血性貧血、悪性貧血、結節性多発動脈炎、ベーチェット病、原発性胆汁性肝硬変、ブドウ膜炎、心筋炎、リウマチ熱、強直性脊椎炎、糸球体腎炎、サルコイドーシス、皮膚筋炎、重症筋無力症、多発性筋炎、円形脱毛症、および白斑症などの他の疾患および障害の治療における、IL-21のアンタゴニストである、本発明のペプチドの使用を提供する。他の例は国際公開公報第01/46420号に見いだされ得、これは、自己免疫および/または炎症性疾患の治療のためのIL-17の使用に向けられ、そのような疾患のいくつかの例を提供している。
【0096】
1つの態様において、本発明は、本発明のペプチドを含む薬学的組成物に関する。
【0097】
1つの態様において、本発明は、それを必要とする患者への本発明のペプチドの治療的有効量の投与を含む、治療法を提供する。
【0098】
本明細書において、ペプチドの「治療的有効量」は、所与の疾患およびその合併症の臨床的徴候を治癒させ、軽減し、または部分的に抑止するのに十分な量を意味する。これを達成するのに適した量は、「治療的有効量」と定義される。各目的のための有効量は、疾患または傷害のタイプおよび重症度、ならびに被験体の体重および全身状態に依存する。適切な投薬量の決定は、ルーチンの実験を用いて、値のマトリックスを構築しかつマトリックス中の異なる点を試験する工程によって達成可能であり、これはすべて、訓練された医師または獣医師の一般的な技術内である。
【0099】
1つの態様において、本発明は、医薬の製造における本発明のペプチドの使用に関する。
【0100】
1つの態様において、本発明は、それを必要とする患者への本発明のペプチドの有効量の投与を含む、上に列挙するようなウイルス感染症、アレルギー性疾患、自己免疫疾患および癌を治療する方法に関する。
【0101】
1つの態様において、本発明は、上述のようなウイルス感染症、アレルギー性疾患、自己免疫疾患または癌の治療用の医薬の製造のための、本発明のペプチドの使用に関する。
【0102】
例えば癌治療レジメンが2つ以上の薬物または治療様式を含むことが多いことは当技術分野に周知である。したがって、1つの態様において、本発明は、癌の治療に有用な別の薬物の有効量と組み合わせた、本発明のペプチドの有効量の投与を含む、癌の治療法を提供する。本発明において、「と組み合わせた」は、以下の1つまたは複数による治療の(i)前、(ii)それと同時、および/または(iii)その後に、本発明のペプチドが投与されることを意味する。本発明によるペプチドの有効量の使用と組み合わせてもよい薬物および治療の例は、例えば、国際公開公報第2005/037306号、国際公開公報第2003103589号、国際公開公報第2005113001号およびPCT/US2007/73506に見いだされ得る。
【0103】
薬学的組成物
本発明はまた、10-15mg/ml〜200mg/ml、例えば10-10mg/ml〜5mg/mlの濃度で存在する本発明のペプチドを含む薬学的組成物も提供し、ここで該製剤は2.0〜10.0のpHを有する。任意で、該製剤は、1つまたは複数のさらなる上述のような癌剤も含んでもよい。製剤は、緩衝系、保存剤、等張化剤、キレート剤、安定化剤および界面活性剤をさらに含んでもよい。本発明の1つの態様において、薬学的組成物は水性製剤、すなわち水を含む製剤である。そのような製剤は、典型的には溶液または懸濁物である。本発明の1つの態様において、薬学的組成物は水溶液である。用語「水性製剤」は、少なくとも50%w/wの水を含む製剤と定義される。同様に、用語「水溶液」は、少なくとも50%w/wの水を含む溶液と定義され、かつ用語「水性懸濁物」は、少なくとも50%w/wの水を含む懸濁物と定義される。1つの態様において、薬学的組成物は凍結乾燥製剤であり、使用前に医師または患者が溶媒および/または希釈剤をこれに添加する。1つの態様において、薬学的組成物は、いかなる前溶解も伴わずに使用準備ができている、乾燥(例えば凍結乾燥またはスプレー乾燥)製剤である。
【0104】
1つの態様において、本発明は、本発明のペプチドの水溶液および緩衝剤を含む薬学的組成物に関し、ここで該IL-21タンパク質が0.1〜100mg/mlの濃度で存在し、かつ該製剤が約2.0〜約10.0のpHを有する。本発明のIL-21変異体ペプチドを含む、本発明による薬学的組成物の設計は、当業者の知識の範囲内である。pHの選択、どの緩衝剤を使用するか、保存剤、等張剤、キレート剤、安定化剤、界面活性剤、凝集体形成を防止するための薬剤、メチオニン残基のメチオニンスルホキシドへの酸化の阻害剤を添加するかどうか等は、したがって、当業者が決定する知識の範囲内である。本発明の薬学的組成物中に他の成分が存在することも可能である。そのようなさらなる成分には、湿潤剤、乳化剤、酸化防止剤、膨化剤、浸透圧修飾剤、金属イオン、油性ビヒクル、タンパク質(例えばヒト血清アルブミン、ゼラチンまたはタンパク質)および双性イオン(例えばベタイン、タウリン、アルギニン、グリシン、リジンおよびヒスチジンなどのアミノ酸)が含まれてもよい。そのようなさらなる成分は、当然ながら本発明の薬学的組成物の全体の安定性に不都合に影響を及ぼしてはならず、投与法ならびに剤形およびレジメンを十分に考慮して許容される薬学的組成物を設計することは、当業者の知識の範囲内である。
【0105】
本発明のIL-21変異体ペプチドを含有する薬学的組成物を、そのような治療を必要とする患者に、いくつかの部位で、例えば局所部位、例えば皮膚および粘膜部位で、吸収をバイパスする部位、例えば動脈内、静脈内、心臓内の投与で、かつ吸収を伴う部位、例えば皮内、皮下、筋内または腹腔内の投与で、投与してもよい。本発明による薬学的組成物の投与は、そのような治療が必要な患者へのいくつかの投与経路、例えば、舌、舌下、頬、口中、経口、胃および腸内、鼻、肺(例えば細気管支および肺胞またはその組み合わせを介して)、上皮、皮膚、経皮、膣、直腸、目(例えば結膜を介して)、尿管 (uretal)、および非経口経路を介しうる。本発明の薬学的組成物は、いくつかの剤形中で、例えば、溶液、懸濁物、エマルジョン、マイクロエマルジョン、多重エマルジョン、泡、蝋膏、ペースト、硬膏、軟膏、錠剤、コーティング錠剤、洗浄剤、カプセル、例えば硬ゼラチンカプセルおよび軟ゼラチンカプセル、座薬、直腸カプセル、点滴剤、ジェル、スプレー、粉末、エアロゾル、吸入剤、点眼剤、目の軟膏、目の洗浄剤、膣ペッサリー、膣リング、膣軟膏、注射溶液、インサイチュー変換溶液、例えばインサイチューゲル化、インサイチュー硬化、インサイチュー沈殿、インサイチュー結晶化、注入溶液、および移植物として、投与可能である。本発明のペプチドの安定性をさらに増大させ、生物学的利用能を増加させ、可溶性を増加させ、副作用を減少させ、当業者に周知の時間療法を達成し、かつ患者のコンプライアンスを増加させるかまたはこれらの任意の組み合わせのため、本発明の薬学的組成物をさらに例えば共有、疎水性および静電相互作用を通じて、薬物担体、薬物送達系および高度薬物送達系中に混ぜ合わせるかまたはこれらに付着させてもよい。本発明の薬学的組成物は、すべて当業者に周知のデバイスである例えば定量吸入器、乾燥粉末吸入器およびネブライザーを用いた、本発明のペプチドの肺投与のための固体、半固体、粉末および溶液の薬学的組成物において有用である。本発明の薬学的組成物はまた、制御放出、徐放性、持続放出、遅延放出、および緩慢放出の薬物送達系の製剤においてもまた有用である。
【0106】
以下は、本発明の態様の一覧である。
【0107】
態様1: 配列番号:2中のアミノ酸残基番号66〜98に対応する領域の長さが減少しているIL-21ペプチド。
【0108】
態様2: 配列番号:2中のアミノ酸残基番号66〜98に対応する領域の長さが少なくとも1アミノ酸残基減少している、態様1記載のペプチド。
【0109】
態様3: 配列番号:2中のアミノ酸残基番号66〜98に対応する領域の長さが少なくとも2アミノ酸残基減少している、態様2記載のペプチド。
【0110】
態様4: 配列番号:2中のアミノ酸残基番号66〜98に対応する領域の長さが少なくとも3アミノ酸残基減少している、態様3記載のペプチド。
【0111】
態様5: 配列番号:2中のアミノ酸残基番号66〜98に対応する領域の長さが少なくとも4アミノ酸残基減少している、態様4記載のペプチド。
【0112】
態様6: 配列番号:2中のアミノ酸残基番号77〜92に対応する領域の長さが減少しているIL-21ペプチド。
【0113】
態様7: 配列番号:2中のアミノ酸残基番号77〜92に対応する領域の長さが少なくとも1アミノ酸残基減少している、態様6記載のペプチド。
【0114】
態様8: 配列番号:2中のアミノ酸残基番号77〜92に対応する領域の長さが少なくとも2アミノ酸残基減少している、態様7記載のペプチド。
【0115】
態様9: 配列番号:2中のアミノ酸残基番号77〜92に対応する領域の長さが少なくとも3アミノ酸残基減少している、態様8記載のペプチド。
【0116】
態様10: 配列番号:2中のアミノ酸残基番号77〜92に対応する領域の長さが少なくとも4アミノ酸残基減少している、態様9記載のペプチド。
【0117】
態様11: 配列番号:2中のアミノ酸残基番号83〜90に対応する領域の長さが減少しているIL-21ペプチド。
【0118】
態様12: 配列番号:2中のアミノ酸残基番号83〜90に対応する領域の長さが少なくとも1アミノ酸残基減少している、態様11記載のペプチド。
【0119】
態様13: 配列番号:2中のアミノ酸残基番号83〜90に対応する領域の長さが少なくとも2アミノ酸残基減少している、態様12記載のペプチド。
【0120】
態様14: 配列番号:2中のアミノ酸残基番号83〜90に対応する領域の長さが少なくとも3アミノ酸残基減少している、態様13記載のペプチド。
【0121】
態様15: 配列番号:2中のアミノ酸残基番号83〜90に対応する領域の長さが少なくとも4アミノ酸残基減少している、態様14記載のペプチド。
【0122】
態様16: 配列番号:2中のアミノ酸残基番号82〜88に対応する領域の長さが減少しているIL-21ペプチド。
【0123】
態様17: 配列番号:2中のアミノ酸残基番号82〜88に対応する領域の長さが少なくとも1アミノ酸残基減少している、態様16記載のペプチド。
【0124】
態様18: 配列番号:2中のアミノ酸残基番号82〜88に対応する領域の長さが少なくとも2アミノ酸残基減少している、態様17記載のペプチド。
【0125】
態様19: 配列番号:2中のアミノ酸残基番号82〜88に対応する領域の長さが少なくとも3アミノ酸残基減少している、態様18記載のペプチド。
【0126】
態様20: 配列番号:2中のアミノ酸残基番号82〜88に対応する領域の長さが少なくとも4アミノ酸残基減少している、態様19記載のペプチド。
【0127】
態様21: 配列番号:2中のアミノ酸残基番号71〜92に対応する領域の長さが減少しているIL-21ペプチド。
【0128】
態様22: 配列番号:2中のアミノ酸残基番号71〜92に対応する領域の長さが少なくとも1アミノ酸残基減少している、態様21記載のペプチド。
【0129】
態様23: 配列番号:2中のアミノ酸残基番号71〜92に対応する領域の長さが少なくとも2アミノ酸残基減少している、態様22記載のペプチド。
【0130】
態様24: 配列番号:2中のアミノ酸残基番号71〜92に対応する領域の長さが少なくとも3アミノ酸残基減少している、態様23記載のペプチド。
【0131】
態様25: 配列番号:2中のアミノ酸残基番号71〜92に対応する領域の長さが少なくとも4アミノ酸残基減少している、態様24記載のペプチド。
【0132】
態様26: 配列番号:2中のアミノ酸残基番号65〜92に対応する領域の長さが減少しているIL-21ペプチド。
【0133】
態様27: 配列番号:2中のアミノ酸残基番号65〜92に対応する領域の長さが少なくとも1アミノ酸残基減少している、態様26記載のペプチド。
【0134】
態様28: 配列番号:2中のアミノ酸残基番号65〜92に対応する領域の長さが少なくとも2アミノ酸残基減少している、態様27記載のペプチド。
【0135】
態様29: 配列番号:2中のアミノ酸残基番号65〜92に対応する領域の長さが少なくとも3アミノ酸残基減少している、態様28記載のペプチド。
【0136】
態様30: 配列番号:2中のアミノ酸残基番号65〜92に対応する領域の長さが少なくとも4アミノ酸残基減少している、態様29記載のペプチド。
【0137】
態様31: 配列番号:2中のアミノ酸残基番号77〜96に対応する領域の長さが減少しているIL-21ペプチド。
【0138】
態様32: 配列番号:2中のアミノ酸残基番号77〜96に対応する領域の長さが少なくとも1アミノ酸残基減少している、態様31記載のペプチド。
【0139】
態様33: 配列番号:2中のアミノ酸残基番号77〜96に対応する領域の長さが少なくとも2アミノ酸残基減少している、態様32記載のペプチド。
【0140】
態様34: 配列番号:2中のアミノ酸残基番号77〜96に対応する領域の長さが少なくとも3アミノ酸残基減少している、態様33記載のペプチド。
【0141】
態様35: 配列番号:2中のアミノ酸残基番号77〜96に対応する領域の長さが少なくとも4アミノ酸残基減少している、態様34記載のペプチド。
【0142】
態様36: 配列番号:2中のアミノ酸残基番号83〜86に対応する領域の長さが減少しているIL-21ペプチド。
【0143】
態様37: 配列番号:2中のアミノ酸残基番号83〜86に対応する領域の長さが少なくとも1アミノ酸残基減少している、態様36記載のペプチド。
【0144】
態様38: 配列番号:2中のアミノ酸残基番号83〜86に対応する領域の長さが少なくとも2アミノ酸残基減少している、態様37記載のペプチド。
【0145】
態様39: 配列番号:2中のアミノ酸残基番号83〜86に対応する領域の長さが少なくとも3アミノ酸残基減少している、態様38記載のペプチド。
【0146】
態様40: 配列番号:2中のアミノ酸残基番号83〜88に対応する領域の長さが減少しているIL-21ペプチド。
【0147】
態様41: 配列番号:2中のアミノ酸残基番号83〜88に対応する領域の長さが少なくとも1アミノ酸残基減少している、態様40記載のペプチド。
【0148】
態様42: 配列番号:2中のアミノ酸残基番号83〜88に対応する領域の長さが少なくとも2アミノ酸残基減少している、態様41記載のペプチド。
【0149】
態様43: 配列番号:2中のアミノ酸残基番号83〜88に対応する領域の長さが少なくとも3アミノ酸残基減少している、態様42記載のペプチド。
【0150】
態様44: 配列番号:2中のアミノ酸残基番号83〜88に対応する領域の長さが少なくとも4アミノ酸残基減少している、態様43記載のペプチド。
【0151】
態様45: 言及した領域中のアミノ酸残基の必要な量の欠失によって、領域の長さが減少している、態様1〜44のいずれかに記載のペプチド。
【0152】
態様46: 欠失アミノ酸残基が、関与する領域のアミノ酸配列中で互いにすべてが隣接しているわけではない、態様45記載のペプチド。
【0153】
態様47: 領域の長さが、該領域を一続きのアミノ酸残基によって置換することによって減少し、該一続きのアミノ酸残基が、それに置換される領域より少なくとも1アミノ酸残基短い、態様1〜44のいずれかに記載のペプチド。
【0154】
態様48: 一続きのアミノ酸残基が、それに置換される領域より少なくとも2アミノ酸残基短い、態様47記載のIL-21ペプチド。
【0155】
態様49: 一続きのアミノ酸残基が、それに置換される領域より少なくとも3アミノ酸残基短い、態様48記載のIL-21ペプチド。
【0156】
態様50: 一続きのアミノ酸残基が、それに置換される領域より少なくとも4アミノ酸残基短い、態様49記載のIL-21ペプチド。
【0157】
態様51: 一続きのアミノ酸残基が、それに置換される領域より少なくとも5アミノ酸残基短い、態様50記載のIL-21ペプチド。
【0158】
態様52: 一続きのアミノ酸残基が、それに置換される領域より少なくとも6アミノ酸残基短い、態様51記載のIL-21ペプチド。
【0159】
態様53: 配列番号:2中のアミノ酸残基番号66〜98に対応する領域が一続きのアミノ酸残基によって置換されており、該一続きのアミノ酸残基が、それに置換される領域より少なくとも1アミノ酸残基短い、IL-21ペプチド。
【0160】
態様54: 一続きのアミノ酸残基が、それに置換される領域より少なくとも2アミノ酸残基短い、態様53記載のIL-21ペプチド。
【0161】
態様55: 一続きのアミノ酸残基が、それに置換される領域より少なくとも3アミノ酸残基短い、態様54記載のIL-21ペプチド。
【0162】
態様56: 一続きのアミノ酸残基が、それに置換される領域より少なくとも4アミノ酸残基短い、態様55記載のIL-21ペプチド。
【0163】
態様57: 一続きのアミノ酸残基が、それに置換される領域より少なくとも5アミノ酸残基短い、態様56記載のIL-21ペプチド。
【0164】
態様58: 一続きのアミノ酸残基が、それに置換される領域より少なくとも6アミノ酸残基短い、態様57記載のIL-21ペプチド。
【0165】
態様59: 一続きのアミノ酸残基がIL-21起源である、態様47〜58のいずれかに記載のIL-21ペプチド。
【0166】
態様60: 一続きのアミノ酸残基が配列番号:2中のアミノ酸残基番号66〜98に対応する領域内から生じる、態様59記載のIL-21ペプチド。
【0167】
態様61: 一続きのアミノ酸残基が、配列番号:2中のアミノ酸残基番号66〜98に対応する領域中に存在するアミノ酸残基の少なくとも1つの非保存的置換を含む、態様59または60記載のIL-21ペプチド。
【0168】
態様62: 一続きのアミノ酸残基が配列番号:2のアミノ酸番号77〜92の欠失を含む、態様59〜61のいずれかに記載のIL-21ペプチド。
【0169】
態様63: 一続きのアミノ酸残基が配列番号:2のアミノ酸番号83〜90の欠失を含む、態様59〜61のいずれかに記載のIL-21ペプチド。
【0170】
態様64: 一続きのアミノ酸残基が配列番号:2のアミノ酸番号82〜88の欠失を含む、態様59〜61のいずれかに記載のIL-21ペプチド。
【0171】
態様65: 一続きのアミノ酸残基が配列番号:2のアミノ酸番号71〜92の欠失を含む、態様59〜61のいずれかに記載のIL-21ペプチド。
【0172】
態様66: 一続きのアミノ酸残基が配列番号:2のアミノ酸番号65〜92の欠失を含む、態様59〜61のいずれかに記載のIL-21ペプチド。
【0173】
態様67: 一続きのアミノ酸残基が配列番号:2のアミノ酸番号77〜96の欠失を含む、態様59〜61のいずれかに記載のIL-21ペプチド。
【0174】
態様68: 一続きのアミノ酸残基が配列番号:2のアミノ酸番号83〜86の欠失を含む、態様59〜61のいずれかに記載のIL-21ペプチド。
【0175】
態様69: 一続きのアミノ酸残基が配列番号:2のアミノ酸番号83〜88の欠失を含む、態様59〜61のいずれかに記載のIL-21ペプチド。
【0176】
態様70: 一続きのアミノ酸残基が、配列番号:2中のアミノ酸残基番号66〜98に対応する領域中に1つまたは複数の非隣接欠失を含む、態様59〜61のいずれかに記載のIL-21ペプチド。
【0177】
態様71: 一続きのアミノ酸残基が、配列番号:2中のアミノ酸残基番号77〜92に対応する領域中に存在するアミノ酸残基の非保存的置換を少なくとも1つ含む、態様59または60記載のIL-21ペプチド。
【0178】
態様72: 一続きのアミノ酸残基が配列番号:2のアミノ酸番号83〜90の欠失を含む、態様71記載のIL-21ペプチド。
【0179】
態様73: 一続きのアミノ酸残基が配列番号:2のアミノ酸番号82〜88の欠失を含む、態様71記載のIL-21ペプチド。
【0180】
態様74: 一続きのアミノ酸残基が配列番号:2のアミノ酸番号83〜86の欠失を含む、態様71記載のIL-21ペプチド。
【0181】
態様75: 一続きのアミノ酸残基が配列番号:2のアミノ酸番号83〜88の欠失を含む、態様71記載のIL-21ペプチド。
【0182】
態様76: 一続きのアミノ酸残基が、配列番号:2中のアミノ酸残基番号77〜92に対応する領域中に1つまたは複数の非隣接欠失を含む、態様71記載のIL-21ペプチド。
【0183】
態様77: 一続きのアミノ酸残基が非IL-21起源である、態様47〜58のいずれかに記載のIL-21ペプチド。
【0184】
態様78: 配列番号:3、4、5もしくは6の配列を持たないかまたはさらなるN末端メチオニンとともに配列番号:3、4、5もしくは6の配列を有するペプチドの配列を持たないと規定された、態様1〜77のいずれかに記載のIL-21ペプチド。
【0185】
態様79: 配列番号:7、8、9もしくは10の配列を持たないかまたはさらなるN末端メチオニンとともに配列番号:7、8、9もしくは10の配列を有するペプチドの配列を持たないと規定された、態様1〜77のいずれかに記載のIL-21ペプチド。
【0186】
態様80: 配列番号:2中のAsn-68に対応する位置に置換突然変異を持たないと規定された、態様1〜77のいずれかに記載のIL-21ペプチド。
【0187】
態様81: 配列番号:2中のAsn-68に対応する位置のアミノ酸残基がGlnではないと規定された、態様1〜77のいずれかに記載のIL-21ペプチド。
【0188】
態様82: 配列番号:2中のSer-80に対応する位置に置換突然変異を持たないと規定された、態様1〜77のいずれかに記載のIL-21ペプチド。
【0189】
態様83: 配列番号:2中のSer-80に対応する位置のアミノ酸残基がThrではないと規定された、態様1〜77のいずれかに記載のIL-21ペプチド。
【0190】
態様84: 配列番号:2中のGln-87に対応する位置に置換突然変異を持たないと規定された、態様1〜77のいずれかに記載のIL-21ペプチド。
【0191】
態様85: 配列番号:2中のGln-87に対応する位置のアミノ酸残基がAsnではないと規定された、態様1〜77のいずれかに記載のIL-21ペプチド。
【0192】
態様86: Asn-68に対応する位置、配列番号:2中のSer-80に対応する位置、および配列番号:2中のGln-87に対応する位置に置換突然変異を持たないと規定された、態様1〜77のいずれかに記載のIL-21ペプチド。
【0193】
態様87: 配列番号:2中のAsn-68に対応する位置のアミノ酸残基がGlnではなく、配列番号:2中のSer-80に対応する位置のアミノ酸残基がThrではなく、かつ配列番号:2中のGln-87に対応する位置のアミノ酸残基がAsnではないと規定された、態様1〜77のいずれかに記載のIL-21ペプチド。
【0194】
態様88: 実施例に記載するような1つまたは複数のアッセイにおいて、ペプチドの強度が野生型IL-21の強度と少なくとも実質的に類似である、態様1〜87のいずれかに記載のペプチド。
【0195】
態様89: 実施例に記載するような1つまたは複数のアッセイにおいて、ペプチドの強度が野生型IL-21の強度よりも実質的に高い、態様1〜87のいずれかに記載のペプチド。
【0196】
態様90: 実施例に記載するような1つまたは複数のアッセイにおいて、ペプチドの強度が野生型IL-21の強度よりも少なくとも2倍高い、態様1〜87のいずれかに記載のペプチド。
【0197】
態様91: 実施例に記載するような1つまたは複数のアッセイにおいて、ペプチドの強度が野生型IL-21の強度よりも少なくとも5倍高い、態様1〜87のいずれかに記載のペプチド。
【0198】
態様92: 実施例に記載するような1つまたは複数のアッセイにおいて、ペプチドの強度が野生型IL-21の強度よりも約10倍高い、態様1〜87のいずれかに記載のペプチド。
【0199】
態様93: 療法で使用するための、態様1〜92のいずれかに記載のペプチド。
【0200】
態様94: 癌の治療で使用するためのIL-21受容体のアゴニストである、態様1〜92のいずれかに記載のペプチド。
【0201】
態様95: 癌の治療用のIL-21受容体のアゴニストである、態様1〜92のいずれかに記載のペプチド。
【0202】
態様96: 癌が、悪性黒色腫、非黒色腫皮膚癌、腎細胞癌、頭頸部癌、内分泌系の癌、卵巣癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、乳癌、食道癌、上部胃腸癌、結腸直腸癌、肝臓および胆管癌、膵臓癌、前立腺癌、膀胱癌、精巣癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、骨および軟組織の肉腫、中枢神経系の癌、リンパ腫、白血病、ならびに原発不明癌などの非転移性および転移性新生物障害より選択される、態様94または態様95記載のペプチド。
【0203】
態様97: 癌が悪性黒色腫である、態様96記載のペプチド。
【0204】
態様98: 態様1〜92のいずれかに記載のペプチドを含む、薬学的組成物。
【0205】
態様99: IL-21受容体のアゴニストであり、かつ組成物が癌剤をさらに含む、態様98記載の組成物。
【0206】
態様100: 治療が、態様1〜92のいずれかに記載のペプチドの有効量を、それを必要とする患者に、任意で癌剤と組み合わせて投与することを含み、該ペプチドがIL-21受容体のアゴニストである、癌の治療のための方法。
【0207】
態様101: 癌が、悪性黒色腫、非黒色腫皮膚癌、腎細胞癌、頭頸部癌、内分泌系の癌、卵巣癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、乳癌、食道癌、上部胃腸癌、結腸直腸癌、肝臓および胆管癌、膵臓癌、前立腺癌、膀胱癌、精巣癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、骨および軟組織の肉腫、中枢神経系の癌、リンパ腫、白血病、ならびに原発不明癌などの非転移性および転移性新生物障害より選択される、態様100記載の方法。
【0208】
態様102: 癌が悪性黒色腫である、態様101記載の方法。
【0209】
態様103: ペプチドがIL-21受容体のアゴニストである、癌治療用の医薬の製造における、態様1〜92のいずれかに記載のペプチドの使用。
【0210】
態様104: 癌が、悪性黒色腫、非黒色腫皮膚癌、腎細胞癌、頭頸部癌、内分泌系の癌、卵巣癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、乳癌、食道癌、上部胃腸癌、結腸直腸癌、肝臓および胆管癌、膵臓癌、前立腺癌、膀胱癌、精巣癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、骨および軟組織の肉腫、中枢神経系の癌、リンパ腫、白血病、ならびに原発不明癌などの非転移性および転移性新生物障害より選択される、態様103記載の使用。
【0211】
態様105: 癌が悪性黒色腫である、態様104記載の使用。
【0212】
態様106: 癌が、悪性黒色腫、非黒色腫皮膚癌、腎細胞癌、頭頸部癌、内分泌系の癌、卵巣癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、乳癌、食道癌、上部胃腸癌、結腸直腸癌、肝臓および胆管癌、膵臓癌、前立腺癌、膀胱癌、精巣癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、骨および軟組織の肉腫、中枢神経系の癌、リンパ腫、白血病、ならびに原発不明癌などの非転移性および転移性新生物障害より選択される、態様記載の使用。
【0213】
態様107: 癌が悪性黒色腫である、態様106記載の方法。
【0214】
態様108: 炎症性疾患、例えばSLE、RA、およびIBDなどの自己免疫疾患の治療に使用するためのIL-21受容体のアンタゴニストである、態様1〜92のいずれかに記載のペプチド。
【0215】
態様109: 治療が、それを必要とする患者への態様1〜92のいずれかに記載のペプチドの有効量の投与を含み、該ペプチドがIL-21受容体のアンタゴニストである、炎症性疾患、例えばSLE、RA、およびIBDなどの自己免疫疾患の治療のための方法。
【0216】
態様110: ペプチドがIL-21受容体のアンタゴニストである、炎症性疾患、例えばSLE、RA、およびIBDなどの自己免疫疾患の治療用の医薬の製造における、態様1〜92のいずれかに記載のペプチドの使用。
【0217】
態様111: 態様1〜92のいずれかに記載のペプチドをコードする、核酸構築物。
【0218】
態様112: 態様111記載の核酸構築物を含むベクター。
【0219】
態様113: 態様111の核酸構築物または態様112のベクターを含む、宿主。
【0220】
態様114: 態様1〜92のいずれかに記載のペプチドに対する、抗体。
【0221】
態様115: 態様1〜92のいずれかに記載のペプチドに特異的に結合する、抗体。
【0222】
態様116: 野生型IL-21に結合しない、態様112記載の抗体。
【0223】
実施例
Baf細胞を用いた、IL-21受容体へのIL-21ペプチドの結合
stat制御ルシフェラーゼレポーター系を用いた細胞活性アッセイにおいて、hIL-21野生型および突然変異タンパク質を分析した。
【0224】
アッセイは、ヒトIL-21RおよびStat連結ルシフェラーゼレポーター構築物を発現するように安定にトランスフェクションされているネズミBaf3細胞株を使用する。Baf3細胞は、IL-21受容体複合体のシグナル伝達の本質的な構成要素を構成するγC「共通鎖」を内因性に発現する。刺激前に6時間、Baf3/hIL-21R受容体細胞株をIL-3不含培地中で飢餓状態にした。続いて、24時間の細胞刺激を用いて、用量-反応分析を行った。
【0225】
IL-21受容体へのいくつかのIL-21ペプチドの結合を、図1、2、および3に示す。
【0226】
IL-21受容体へのIL-21ペプチドの結合
一過性発現後、stat制御レポーター系における活性分析によって、IL-21変異体をコードするcDNAを分析する。
【0227】
HEK293 FreeStyle細胞(Stengaard-Pedersen et al. N. Engl. J. Med. 349, 554(2003); Invitrogen)にcDNAをトランスフェクションする。トランスフェクション48時間後、血清不含培地から上清を収集し、細胞バイオアッセイにおいて分析する。アッセイは、ヒトIL-21RおよびStat連結ルシフェラーゼレポーター構築物を発現するように安定にトランスフェクションされたネズミBaf3細胞株を使用する。Baf3細胞は、活性IL-21受容体複合体のγC構成要素を内因性に発現する。刺激前に18時間、Baf3/hIL-21R受容体細胞株をIL-3不含培地中で飢餓状態にする。HEK293-FSトランスフェクタント由来の未加工の上清を用いて、用量-反応分析を行う。刺激期間は4時間である。
【0228】
薬理学的方法
以下のインビトロ法を用いて、ADCCの増大を調べる。
【0229】
標的抗原を発現している標的細胞を、標的抗原に対する抗体、およびエフェクター細胞としての末梢血単核細胞、NK細胞、好中球、マクロファージ、単球またはDCとともにインキュベーションする。エフェクター細胞を、IL-21と1〜10日間プレインキュベーションしてもよいし、またはエフェクターおよび標的細胞の両方を含有する培養物にIL-21を添加してもよい。ADCCを増大可能な他の化合物が、培養物またはプレインキュベーション培養物中に含まれてもよい。ADCCの効率は、標的細胞からの特異的51Cr放出として、または先に記載されるようなLDH活性として、測定されるであろう (Golay et al., Haematologica 88:1002-1012, 2003 またはLiu et al., Cancer Immun 2:13, 2002 またはWatanabe et al., Breast Cancer Res Treat 53:199-207, 1999)。
【0230】
先に記載されるようなフローサイトメトリーに基づくアッセイを用いたADCCの測定(Flieger et. al., J Immunother 23:480-486, 2000 またはFlieger et al., J Immunol Methods 180:1-13, 1995 またはFlieger et al., Hybridoma 18:63-68, 1999)。
【0231】
Watanabe et al., Breast Cancer Res Treat 53:199-207, 1999 またはAkewanlop et al., Cancer Res 61 :4061-4065, 2001に記載されるような2色蛍光アッセイを通じたADCPの測定。
【0232】
ADCCの増大を定量するためのインビボ法を以下に概略する:
【0233】
白血病細胞または形質転換細胞を同系動物に静脈注射、腹腔内注射、または皮下注射し、その後、IL-21療法を伴いまたは伴わずに、白血病細胞または形質転換細胞によって発現される抗原を認識する治療用抗体による治療を行う。終点は、腫瘍量および生存である。FcγRI遮断抗体の使用によって、またはFcγRI不全マウスの使用によって、ADCCの関与を確認してもよい。
【0234】
ヒト起源の標的細胞に対するADCCの増大を調べるインビボ法は、先に、Zhang et al., Blood 102:284-288, 2003 またはFlavell et al. Cancer Res 58:5787-5794, 1998に記載されている。これらのモデルにしたがって、ヒト白血病細胞または形質転換細胞を、SCIDマウスに静脈注射、腹腔内注射、または皮下注射し、その後、IL-21療法を伴いまたは伴わずに、白血病細胞または形質転換細胞によって発現される抗原を認識する治療用抗体による治療を行う。
【0235】
腫瘍細胞株、例えばLewis肺癌 (LLC)細胞またはB16-F10黒色腫細胞または腎細胞癌細胞または4T1乳癌腫細胞を、同系マウスに皮下移植する。腫瘍が触知可能になったら、本出願に記載のように、他の抗癌剤と組み合わせてIL-21でマウスを治療する。方法論は、Palumbo et al., Cancer Res. 62, 6966-6972 (2002); Bove et al., Biochem Biophys Res Commun 291, 1001-1005 (2002); Wigginton et al., J Immunol 169, 4467-4474 (2002)に記載される。
【0236】
腫瘍細胞株、例えばLewis肺癌 (LLC)細胞またはB16-F10黒色腫細胞を、同系マウスに皮下移植する。1〜4週間後に原発腫瘍を取り除き、かつ本出願に記載のように、他の抗癌剤と組み合わせてIL-21でマウスを治療する。方法論は、Palumbo et al., Cancer Res. 62, 6966-6972 (2002)に記載される。
【0237】
腫瘍細胞株、例えばLewis肺癌 (LLC)細胞またはB16-F10黒色腫細胞またはrenca腎細胞癌細胞を、同系マウスに静脈内注射し、かつ本出願に記載のように、他の抗癌剤と組み合わせてIL-21でマウスを治療する。方法論は、Amirkhosravi et al., Thromb.Haemost. 87, 930- 936 (2002); Hosaka et al., Cancer Lett 161, 231-240 (2000); Maini et al., In vivo, 17 119-123 (2003)に記載される。
【0238】
腎細胞癌細胞を、同系マウスにおいて、1つの腎臓に腎内注射する。1〜4週間後に原発腫瘍を取り除き、かつ本出願に記載のように、他の抗癌剤と組み合わせてIL-21でマウスを治療する。方法論は、Murphy et al., J Immunol 170, 2727-2733 (2003)に記載する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号:2中のアミノ酸残基番号66〜98に対応する領域の長さが減少しているIL-21ペプチド。
【請求項2】
配列番号:2中のアミノ酸残基番号77〜92に対応する領域の長さが減少しているIL-21ペプチド。
【請求項3】
配列番号:2中のアミノ酸残基番号83〜90に対応する領域の長さが減少しているIL-21ペプチド。
【請求項4】
配列番号:2中のアミノ酸残基番号82〜88に対応する領域の長さが減少しているIL-21ペプチド。
【請求項5】
配列番号:2中のアミノ酸残基番号71〜92に対応する領域の長さが減少しているIL-21ペプチド。
【請求項6】
配列番号:2中のアミノ酸残基番号65〜92に対応する領域の長さが減少しているIL-21ペプチド。
【請求項7】
配列番号:2中のアミノ酸残基番号77〜96に対応する領域の長さが減少しているIL-21ペプチド。
【請求項8】
配列番号:2中のアミノ酸残基番号83〜86に対応する領域の長さが減少しているIL-21ペプチド。
【請求項9】
配列番号:2中のアミノ酸残基番号83〜88に対応する領域の長さが減少しているIL-21ペプチド。
【請求項10】
領域を一続きのアミノ酸残基で置換することによって該領域の長さが減少し、該一続きのアミノ酸残基が、それに置換される領域より少なくとも1アミノ酸残基短い、請求項1〜9のいずれか一項記載のペプチド。
【請求項11】
配列番号:2中のアミノ酸残基番号66〜98に対応する領域が一続きのアミノ酸残基によって置換されており、該一続きのアミノ酸残基が、それに置換される領域より少なくとも1アミノ酸残基短い、IL-21ペプチド。
【請求項12】
IL-21受容体のアゴニストである、請求項1〜11のいずれか一項記載のペプチド。
【請求項13】
IL-21受容体のアンタゴニストである、請求項1〜11のいずれか一項記載のペプチド。
【請求項14】
療法で使用するための請求項1〜13のいずれか一項記載のペプチド。
【請求項15】
癌の治療で使用するためのIL-21受容体のアゴニストである、請求項1〜12のいずれか一項記載のペプチド。
【請求項16】
炎症性疾患、例えばSLE、RA、およびIBDなどの自己免疫疾患の治療で使用するためのIL-21受容体のアンタゴニストである、請求項1〜11または請求項13のいずれか一項記載のペプチド。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれか一項記載のペプチドを含む、薬学的組成物。
【請求項18】
治療が、それを必要とする患者に、請求項15記載のペプチドの有効量を、任意で癌剤と組み合わせて投与することを含む、癌の治療のための方法。
【請求項19】
治療が、それを必要とする患者に、請求項16記載のペプチドの有効量を投与することを含む、炎症性疾患、例えばSLE、RA、およびIBDなどの自己免疫疾患の炎症性疾患の治療のための方法。
【請求項20】
請求項1〜16のいずれか一項記載のペプチドをコードする、核酸構築物。
【請求項21】
請求項20記載の核酸構築物を含む、ベクター。
【請求項22】
請求項20記載の核酸構築物または請求項21記載のベクターを含む、宿主。
【請求項23】
請求項1〜16のいずれか一項記載のペプチドに特異的に結合する、抗体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−507382(P2010−507382A)
【公表日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−533865(P2009−533865)
【出願日】平成19年10月26日(2007.10.26)
【国際出願番号】PCT/EP2007/061543
【国際公開番号】WO2008/049920
【国際公開日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【出願人】(308022346)ノヴォ ノルディスク アクティーゼルスカブ (2)
【Fターム(参考)】