IL−28及び組成物を用いたワクチン及び免疫治療薬並びにその使用方法
IL−28又はその機能的断片をコードする単離された核酸分子との組み合わせで免疫原をコードする1つ以上の単離された核酸分子を含む組成物と組換えワクチンと弱毒化した生きた病原体を開示する。そのような組成物を用いた、個体において免疫原に対する免疫応答を誘導する方法を開示する。例えば、本発明により、免疫原をコードする単離された核酸分子とIL−28又はその機能的断片をコードする単離された核酸分子を含む組成物が提供される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改善されたワクチン、免疫原に対して個体を予防的及び/又は治療的に免疫化するための改善された方法及び改善された免疫治療組成物及び改善された免疫療法に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願は、参照により本明細書に組み込まれる2008年4月4日に出願された米国特許仮出願第61/042,674号に対して優先権を主張する。
【0003】
免疫療法は、ヒトの免疫応答を調節して望ましい治療効果を付与することを指す。免疫治療薬は、個体に投与した場合、望ましくない免疫応答を伴う症状を最終的に減らす又は望ましい免疫応答を高めて最終的に症状を緩和するのに十分な個体の免疫系を調整する組成物を指す。場合によっては、免疫療法は、そのような場合、個体がそれに対して免疫応答を生じる免疫原に個体を暴露するワクチンを個体に投与し、免疫治療薬が免疫応答を高め、及び/又は特定の状態、感染又は疾患を治療する又は予防するのが望ましい免疫応答の一部(たとえば、細胞性又は液性)を選択的に向上させるワクチン接種のプロトコールの一部である。
【0004】
参照により本明細書に組み込まれる特許文献1は、ヒトIL−28AとヒトIL−28Bの核酸配列とアミノ酸配列及びウイルス感染した個体に対するIL−28A又はIL−28Bのタンパク質の投与を開示している。
【0005】
参照により本明細書に組み込まれる特許文献2は、IL−23p19に結合する抗体を開示している。抗体を含む組成物と、IL−28を含む任意のインターロイキンタンパク質との併用での抗IL−23p19抗体を含む、他の作用剤との併用での抗体の投与を含む使用が記載されている。
【0006】
参照により本明細書に組み込まれる特許文献3は、HCVに感染している個体を治療するための抗ウイルス剤との併用でのHCVワクチンを開示している。開示されたHCVワクチンとの併用でHCVに感染した個体を治療するために使用される抗ウイルス化合物のリストにIL−28タンパク質は含まれる。
【0007】
参照により本明細書に組み込まれる特許文献4は、2つ以上の治療タンパク質をコードする核酸分子によって形質移入した癌細胞と、そのような癌細胞を個体に投与することによって癌に罹った個体を治療することを開示している。サイトカインは列記される治療タンパク質に含まれ、IL−28はサイトカインのリストに含まれる。
【0008】
参照により本明細書に組み込まれる特許文献5は、癌細胞標的部分と抗細胞増殖部分を含む抗癌化合物と、癌を治療する及び癌細胞の化学耐性を防ぐ又は阻止するためのそのような化合物の使用を開示している。ホルモンは、列記される癌細胞標的部分に含まれ、IL−28はホルモンのリストに含まれる。
【0009】
参照により本明細書に組み込まれる特許文献6は、治療タンパク質をコードする核酸分子を送達するための処方を開示している。IL−28は、治療タンパク質として記載されたタンパク質のリストに含まれる。
【0010】
ヒトの免疫応答を調節して改善された免疫応答を誘導する作用剤の送達によってワクチンプロトコールを改善することができる。個体がそれに対して免疫応答を生じる免疫原に個体を暴露するワクチンを個体に投与するワクチンプロトコールの一部では、免疫応答を高め、及び/又は特定の状態、感染又は疾患を治療する又は予防するのが望ましい免疫応答の一部(たとえば、細胞性又は液性)を選択的に向上させる作用剤が提供される。
【0011】
ワクチンは、たとえば、アレルゲン、病原体抗原又はヒトの疾患に関与する細胞と関連する抗原のような標的抗原に対して個体を免疫化するのに有用である。ヒトの疾患に関与する細胞と関連する抗原には、癌関連の腫瘍抗原及び自己免疫疾患に関与する細胞に関連する抗原が挙げられる。
【0012】
そのようなワクチンの設計において、ワクチン接種された個体の細胞において標的抗原を産生させるワクチンは免疫系の細胞性免疫を誘導することにおいて有効であることが認識されている。具体的には、弱毒生ワクチン、無毒のベクターを用いる組換えワクチン及びDNAワクチンはそれぞれ、ワクチン接種された個体の細胞において抗原の産生をもたらし、結果的に免疫系の細胞性免疫の誘導を生じる。他方で、死菌ワクチン又は不活化ワクチン、及びタンパク質だけを含むサブユニットワクチンは、有効な液性応答を誘導するが、良好な細胞性の免疫応答を誘導しない。
【0013】
病原体感染に対して防御を提供するのに、及び病原体感染、癌又は自己免疫疾患の治療のために有効な免疫介在療法を提供するのに細胞性の免疫応答が必要であることが多い。従って、ワクチン接種された個体の細胞において標的抗原を産生するワクチン、たとえば、弱毒生ワクチン、無毒のベクターを用いる組換えワクチン及びDNAワクチンが好まれることが多い。
【0014】
病原体感染又はヒトの疾患に対して予防的に又は治療上、個体を免疫化するのにそのようなワクチンが有効であることが多い一方で、改善されたワクチンに対するニーズがある。向上した免疫応答を生じる組成物及び方法に対するニーズがある。
【0015】
同様に、一部の免疫治療薬が患者において免疫応答を調節するのに有用である一方で、改善された免疫治療薬の組成物及び方法に対するニーズが依然として存在したままである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】米国特許第7,135,170号明細書
【特許文献2】米国特許第7,491,391号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第20050037018号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第20060165668号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第20060263368号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第20070066552号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は、組成物、IL−28又はその機能的断片をコードする単離された核酸分子との組み合わせで免疫原をコードする単離された核酸分子に関する。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明はさらに、組成物、免疫原とIL−28又はその機能的断片との双方をコードする単離された核酸分子に関する。
【0019】
本発明は、IL−28又はその機能的断片をコードする単離された核酸分子との組み合わせで免疫原をコードする単離された核酸分子を含む注射用医薬組成物に関する。
【0020】
本発明は、免疫原とIL−28又はその機能的断片との双方をコードする単離された核酸分子を含む注射用医薬組成物に関する。
【0021】
本発明はさらに、組成物、IL−28又はその機能的断片をコードする単離された核酸分子との組み合わせで免疫原をコードする単離された核酸分子を個体に投与することを含む、個体において免疫原に対する免疫応答を誘導する方法に関する。
【0022】
本発明はさらに、免疫原とIL−28又はその機能的断片をコードする核酸分子を個体に投与することを含む、個体において免疫原に対する免疫応答を誘導する方法に関する。
【0023】
本発明はさらに、調節エレメントに操作可能に連結された免疫原をコードするヌクレオチド配列、IL−28又はその機能的断片をコードするヌクレオチド配列を含む組換えワクチンと、個体にそのような組換えワクチンを個体に投与することを含む、個体において免疫原に対する免疫応答を誘導する方法に関する。
【0024】
本発明はさらに、IL−28又はその機能的断片をコードするヌクレオチド配列を含む弱毒化した生きた病原体と、弱毒化した生きた病原体を個体に投与することを含む、個体において病原体に対する免疫応答を誘導する方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】IL−28の同時処理の存在下又は非存在下にてGagプラスミドで免疫化したマウスと比べた場合のマウス脾細胞によるインターフェロンγの応答を測定する実験のデータを示す図である。
【図2】フローサイトメトリーを用いたIL−28処理の存在下又は非存在下での脾細胞の解析のデータを示す図である。
【図3】実施例3に記載された実験のデータを示す図である。3μgのアカゲザルIL−28B(macIL−28B)又は対照としての空のベクターによってRD細胞に形質移入した。形質移入の48時間後のELISAによってサルIL−28Bの存在について上清をアッセイした。
【図4】実施例3に記載された実験のデータを示す図である。HIVPolのみをコードするプラスミドで又はサルIL−28Bをコードするプラスミドと組み合わせてHIVPolをコードするプラスミドでアカゲザルを2回免疫化した。IFNγELISpotによってアッセイした場合、macIL−28Bの添加によって、抗原特異的免疫応答が約3倍高まった。
【図5】免疫スケジュール及びプラスミドマップを示す図である。図5Aは、アジュバントの有無にて複数クレードHIVGag構築物で0日目と14日目にマウスを免疫化し、次いで、各免疫後、CELLECTRA(登録商標)適合定電流装置を用いた電気穿孔法を行ったことを示す。21日目にマウスを屠殺し、リンパ球を単離して分析した。図5Bは、マウスのIL−28BとIL−12の構築物のプラスミドマップを示す。
【図6】試験管内でのマウスIL−12とマウスIL−28Bの発現と分泌を示す図である。図6Aは、形質移入後48時間でのHEK293T細胞溶解物からのマウスIL−12p40とマウスIL−28のタンパク質についてのウエスタンブロットのデータを示す。模擬形質移入細胞には空のpVAXベクターを与えた。図6Bは、形質移入した細胞の上清への活性のあるIL−12p35/p40へテロダイマー及びIL−28タンパク質の分泌を示すELISAのデータを示す。
【図7A】単離した脾細胞のHIVGag特異的なIFNγ及びIL−4のELISpotを示す図である。図7Aは、単離した脾細胞で実施した使用抗原特異的なIFNγELISpotによって測定したTh1応答の誘導に対するサイトカインアジュバントの効果を示す。ELISpotは、IL−12をアジュバントとして又はIL−28Bをアジュバント(n=4)として与えたマウスから回収された脾細胞で実施し、IFNγスポット形成単位(SFU)を数えた。図7Bは、同様にIL−4ELISpotにて測定したTh2応答の誘導に対するサイトカインアジュバントの効果を示す。
【図7B】単離した脾細胞のHIVGag特異的なIFNγ及びIL−4のELISpotを示す図である。図7Aは、単離した脾細胞で実施した使用抗原特異的なIFNγELISpotによって測定したTh1応答の誘導に対するサイトカインアジュバントの効果を示す。ELISpotは、IL−12をアジュバントとして又はIL−28Bをアジュバント(n=4)として与えたマウスから回収された脾細胞で実施し、IFNγスポット形成単位(SFU)を数えた。図7Bは、同様にIL−4ELISpotにて測定したTh2応答の誘導に対するサイトカインアジュバントの効果を示す。
【図8】ワクチン接種した動物の血清におけるHIVGag特異的なIgGを示す図である。免疫後1週間でのHIVGag特異的な抗体の存在について対照(pVAX)の血清又は免疫化した動物(n=4)の血清をアッセイした(図8Aは総IgGを示し、図8BはIgG1を示し、図8CはIgG2aを示す)。
【図9A】免疫の間の制御性T細胞とTGFβ分泌の差次的誘導を示す図である。全群(n=4)から単離した脾細胞で制御性T細胞(CD4+/CD25hi/FoxP3+)の存在をフローサイトメトリーによってアッセイした(図9A)。フローサイトメトリーの解析は、TReg集団での差異を示すが、これらの細胞からのサイトカインの分泌の分析はTGFβの放出での差異を示す(図9B)。p値は、Gag4Yのみでワクチン接種したマウスとGag4YプラスIL−12又はIL−28Bでワクチン接種したマウスの間での比較を反映する。
【図9B】免疫の間の制御性T細胞とTGFβ分泌の差次的誘導を示す図である。全群(n=4)から単離した脾細胞で制御性T細胞(CD4+/CD25hi/FoxP3+)の存在をフローサイトメトリーによってアッセイした(図9A)。フローサイトメトリーの解析は、TReg集団での差異を示すが、これらの細胞からのサイトカインの分泌の分析はTGFβの放出での差異を示す(図9B)。p値は、Gag4Yのみでワクチン接種したマウスとGag4YプラスIL−12又はIL−28Bでワクチン接種したマウスの間での比較を反映する。
【図10A】CD8+T細胞集団、顆粒性及び脱顆粒における変化を示す図である。CD8+T細胞(CD3+/CD8+)の比率は、脾臓及び腸間膜のリンパ球にてフローサイトメトリーによって評価した(図10A)。CD8+T細胞におけるパーフォリンの抗原特異的誘導は、非刺激細胞(NP)のHIVGagペプチド(ペプチド)で刺激した細胞との比較によって解析した。単一実験の結果を示し(図10B)、全実験の平均をグラフにする(図10C)。抗原特異的な細胞溶解性の脱顆粒は、CD107aに対する抗体の存在下でのペプチドによる刺激、次いでフローサイトメトリーを用いた解析によって測定した(図10C)。p値は、Gag4Yのみでワクチン接種したマウスとGag4YプラスIL−12又はIL−28Bでワクチン接種したマウスの間での比較を反映する。
【図10B】CD8+T細胞集団、顆粒性及び脱顆粒における変化を示す図である。CD8+T細胞(CD3+/CD8+)の比率は、脾臓及び腸間膜のリンパ球にてフローサイトメトリーによって評価した(図10A)。CD8+T細胞におけるパーフォリンの抗原特異的誘導は、非刺激細胞(NP)のHIVGagペプチド(ペプチド)で刺激した細胞との比較によって解析した。単一実験の結果を示し(図10B)、全実験の平均をグラフにする(図10C)。抗原特異的な細胞溶解性の脱顆粒は、CD107aに対する抗体の存在下でのペプチドによる刺激、次いでフローサイトメトリーを用いた解析によって測定した(図10C)。p値は、Gag4Yのみでワクチン接種したマウスとGag4YプラスIL−12又はIL−28Bでワクチン接種したマウスの間での比較を反映する。
【図10C】CD8+T細胞集団、顆粒性及び脱顆粒における変化を示す図である。CD8+T細胞(CD3+/CD8+)の比率は、脾臓及び腸間膜のリンパ球にてフローサイトメトリーによって評価した(図10A)。CD8+T細胞におけるパーフォリンの抗原特異的誘導は、非刺激細胞(NP)のHIVGagペプチド(ペプチド)で刺激した細胞との比較によって解析した。単一実験の結果を示し(図10B)、全実験の平均をグラフにする(図10C)。抗原特異的な細胞溶解性の脱顆粒は、CD107aに対する抗体の存在下でのペプチドによる刺激、次いでフローサイトメトリーを用いた解析によって測定した(図10C)。p値は、Gag4Yのみでワクチン接種したマウスとGag4YプラスIL−12又はIL−28Bでワクチン接種したマウスの間での比較を反映する。
【図11A】致死的インフルエンザ抗原投与における死からの保護を示す図である。図11Aは、単離した脾細胞で実施した使用抗原特異的なIFNγELISpotによって測定したTh1応答の誘導に対するIL−12及びIL−28の効果を示す。図11Bは、アジュバントの有無にてインフルエンザNP構築物で0日目と14日目にマウス(n=8)を免疫化し、次いで各免疫後、CELLECTRA(登録商標)適合定電流装置を用いた電気穿孔法を行った実験のデータを示す。42日目に、H1N1インフルエンザ株であるA/PR/8/34の10LD50による鼻内抗原投与をマウスに行った。インフルエンザ感染に伴う死亡率を14日の経過にわたって追跡した(図11B)。
【図11B】致死的インフルエンザ抗原投与における死からの保護を示す図である。図11Aは、単離した脾細胞で実施した使用抗原特異的なIFNγELISpotによって測定したTh1応答の誘導に対するIL−12及びIL−28の効果を示す。図11Bは、アジュバントの有無にてインフルエンザNP構築物で0日目と14日目にマウス(n=8)を免疫化し、次いで各免疫後、CELLECTRA(登録商標)適合定電流装置を用いた電気穿孔法を行った実験のデータを示す。42日目に、H1N1インフルエンザ株であるA/PR/8/34の10LD50による鼻内抗原投与をマウスに行った。インフルエンザ感染に伴う死亡率を14日の経過にわたって追跡した(図11B)。
【図11C】致死的インフルエンザ抗原投与における死からの保護を示す図である。図11Aは、単離した脾細胞で実施した使用抗原特異的なIFNγELISpotによって測定したTh1応答の誘導に対するIL−12及びIL−28の効果を示す。図11Bは、アジュバントの有無にてインフルエンザNP構築物で0日目と14日目にマウス(n=8)を免疫化し、次いで各免疫後、CELLECTRA(登録商標)適合定電流装置を用いた電気穿孔法を行った実験のデータを示す。42日目に、H1N1インフルエンザ株であるA/PR/8/34の10LD50による鼻内抗原投与をマウスに行った。インフルエンザ感染に伴う死亡率を14日の経過にわたって追跡した(図11B)。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本明細書で使用されるとき、用語「IL−28」は、その様々な変異体を含むが、たとえば、限定はされないが、IL−28A、IL−28B及びIL−28Cなどのインターフェロンラムダであるインターロイキン28タンパク質を指す。
【0027】
本明細書で使用されるとき、「機能的断片」は、免疫原と併せて送達された場合、断片なしで免疫原が送達される際に誘導される免疫に比べて高い免疫応答を提供するIL−28の断片を指すことを意味する。断片は一般に10以上のアミノ酸の長さである。
【0028】
本明細書で使用されるとき、「標的タンパク質」は、免疫応答について標的タンパク質として作用する本発明の遺伝子構築物によってコードされたペプチド及びタンパク質を指すことを意味する。用語「標的タンパク質」と「免疫原」は交換可能に使用され、それに対して免疫応答を誘発することができるタンパク質を指す。標的タンパク質は、それに対する免疫応答が所望される、病原体又は癌細胞のような望ましくない細胞型又は自己免疫疾患に関与する細胞に由来するタンパク質と少なくともエピトープを1つ共有する免疫原性のタンパク質である。標的タンパク質に向けられた免疫応答は、標的タンパク質が関係する特定の感染又は疾患に対して個体を保護し、及び/又はそれについて個体を治療するであろう。いくつかの実施形態では、標的タンパク質は、たとえば、ウイルスタンパク質又はその断片のような病原体抗原である。いくつかの実施形態では、標的タンパク質は、HCVに由来するウイルスタンパク質又はその断片である。いくつかの実施形態では、標的タンパク質は、HCV以外のウイルスに由来するウイルスタンパク質又はその断片である。
【0029】
本明細書で使用されるとき、用語「遺伝子構築物」は、標的タンパク質又は免疫調節タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含むDNA又はRNAの分子を指す。コーディング配列は、核酸が投与される個体の細胞にて発現を導くことが可能であるプロモータ及びポリアデニル化シグナルを含む調節エレメントに操作可能に連結された開始シグナルと終止シグナルを含む。
【0030】
本明細書で使用されるとき、用語「発現可能な形態」は、個体の細胞に存在する場合、コーディング配列が発現されるように、標的タンパク質又は免疫調節タンパク質をコードするコーディング配列に操作可能に連結された必要な調節エレメントを含有する遺伝子構築物を指す。
【0031】
本明細書で使用されるとき、用語「エピトープを共有すること」は、もう1つのタンパク質のエピトープと同一である又は実質的に類似する少なくとも1つのエピトープを含むタンパク質を指す。
【0032】
本明細書で使用されるとき、用語「実質的に類似のエピトープ」は、タンパク質のエピトープとは同一ではないが、それにもかかわらず、そのタンパク質と交差反応する細胞性の又は液性の免疫応答を引き起こす構造を有するエピトープを指すことを意味する。
【0033】
本明細書で使用されるとき、用語「細胞内の病原体」は、その生殖サイクル又は生命サイクルの少なくとも一部が宿主細胞内に存在し、その中で病原体タンパク質を産生する又はその産生の原因となるウイルス又は病原性生物を指すことを意味する。
【0034】
本明細書で使用されるとき、用語「過剰増殖性疾患」は、細胞の過剰増殖を特徴とする疾患又は障害を指すことを意味する。
【0035】
本明細書で使用されるとき、用語「過剰増殖関連性タンパク質」は、過剰増殖性疾患に関連するタンパク質を指すことを意味する。
【0036】
本発明は、ワクチンの一部として送達されると、IL−28及びその機能的断片、及びその組み合わせをコードする核酸分子は免疫応答を調節するという発見から生じている。従って、IL−28及びその機能的断片、及びその組み合わせをコードする核酸分子は、ワクチンの成分と組み合わせて又はワクチンの成分として免疫治療薬として送達されてもよい。
【0037】
IL−28タンパク質及びそのようなタンパク質をコードする分子は、それぞれ参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,135,170号及び同第7,157,559号に開示されている。さらに米国特許第6,927,040号及び同第7,038,032号をそれぞれ参照によって本明細書に組み入れる。インターフェロン様タンパク質Zcyto21, Kotenko et al., Nat. Immunol. 4(1):69−77, 2003及びSheppard et al., Nat. Immunol. 4(1):63−68, 2003も参照によって本明細書に組み入れる。
【0038】
ヒトIL−28Aのタンパク質配列についてのGENBANK受入番号はNP_742150及びAAR24510であり、それぞれ参照により本明細書に組み込まれる。
ヒトIL−28Bのタンパク質配列についてのGENBANK受入番号はNP_742151及びAAR24509であり、それぞれ参照により本明細書に組み込まれる
ヒトIL−28Cのタンパク質配列についてのGENBANK受入番号はAAQ01561であり、参照により本明細書に組み込まれる。
参照により本明細書に組み込まれるGENBANK受入番号Q8IZJ0は、インターロイキン−28A前駆体(IL−28A)(インターフェロンラムダ−2)(IFN−ラムダ−2)(サイトカインZCYTO20)を指す。
参照により本明細書に組み込まれるGENBANK受入番号Q8IZI9は、インターロイキン−28B前駆体(IL−28B)(インターフェロンラムダ−3)(IFN−ラムダ−3)(インターフェロンラムダ−4)(IFN−ラムダ−4)(サイトカインZCYTO22)を指す。
参照により本明細書に組み込まれるGENBANK受入番号NM_173065は、ホモサピエンスのインターロイキン28受容体アルファ(インターフェロンラムダ受容体)(IL28RA)、転写変異体3mRNAを指す。
参照により本明細書に組み込まれるGENBANK受入番号NM_172138は、ホモサピエンスのインターロイキン28A(インターフェロンラムダ2)(IL28A)、mRNAを指す。
参照により本明細書に組み込まれるGENBANK受入番号NM_172139は、ホモサピエンスのインターロイキン28B(インターフェロンラムダ3)(IL28B)、mRNAを指す。
参照により本明細書に組み込まれるGENBANK受入番号AY129153は、ホモサピエンスのインターロイキン28受容体Aスプライス変異体3(IL28RA)完全cdsを指し;選択的にスプライスされた。
参照により本明細書に組み込まれるGENBANK受入番号AY129152は、ホモサピエンスのインターロイキン28受容体Aスプライス変異体2(IL28RA)完全cdsを指し;選択的にスプライスされた。
参照により本明細書に組み込まれるGENBANK受入番号AY129151は、ホモサピエンスのインターロイキン28受容体A(IL28RA)mRNA完全cdsを指し;選択的にスプライスされた。
参照により本明細書に組み込まれるGENBANK受入番号AY129149は、ホモサピエンスのインターロイキン28B(IL28B)完全cdsを指す。
参照により本明細書に組み込まれるGENBANK受入番号AY129148は、ホモサピエンスのインターロイキン28A(IL28A)完全cdsを指す。
【0039】
本発明のいくつかの実施形態によれば、IL−28又はその機能的断片をコードする核酸配列、及び免疫原をコードする核酸配列との組み合わせの個体への送達は、免疫原に対する免疫応答を高める。転写因子をコードする核酸分子が個体の細胞に取り込まれると、IL−28又はその機能的断片、及び免疫原をコードするヌクレオチド配列が細胞内で発現され、それによってタンパク質が個体に送達される。本発明の態様は、単一の核酸分子でタンパク質のコーディング配列を送達する方法、異なった核酸分子でタンパク質のコーディング配列を送達する方法並びに組換えワクチンとして及び弱毒化ワクチンの一部としてタンパク質のコーディング配列を送達する方法を提供する。
【0040】
本発明の一部の態様によれば、病原体又は異常な疾患関連の細胞に対して個体を予防的及び/又は治療的免疫化する組成物及び方法が提供される。ワクチンは、たとえば、弱毒生ワクチン、組換えワクチン又は核酸若しくはDNAのワクチンのようなワクチンのいずれの種類であってもよい。IL−28又はその機能的断片をコードする核酸分子を送達することによって、ワクチンで誘導された免疫応答が調節されうる。たとえば、プラスミド又は組換えベクター若しくは弱毒化病原体若しくは細胞のゲノムの一部として発現可能な核酸分子を送達する際、IL−28は特に有用である。感染していない又は疾患に罹っていない個体にて防御的な免疫応答を誘導するために予防的に送達される際、IL−28は特に有用である。IL−28BはIL−28の特に有用な形態である。ヒトにおいて防御的な免疫応答を誘導するのに送達される際、IL−28は特に有用である。いくつかの実施形態では、IL−28をコードする核酸分子は無細胞組成物で送達される。いくつかの実施形態では、IL−28をコードする核酸分子は、癌細胞を含まない組成物で送達される。いくつかの実施形態では、IL−28又はIL−28をコードする核酸分子が他のサイトカインなしで投与される。いくつかの実施形態では、その中に組み込まれる又はそれに連結される非IL−28配列なしでIL−28又はIL−28をコードする核酸分子が提供される。
【0041】
免疫調節タンパク質をコードする単離されたcDNAは、免疫調節タンパク質を産生することができる構築物の構築において出発物質として有用である。常法及び容易に入手できる出発物質を用いて、免疫調節タンパク質をコードする核酸分子を調製してもよい。
【0042】
本発明は、免疫調節タンパク質を送達するための組成物及びその使用方法に関する。本発明の態様は、調節エレメントに操作可能に連結された免疫原をコードするヌクレオチド配列との組み合わせで、調節エレメントに操作可能に連結されたIL−28又はその機能的断片をコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子に関する。本発明の態様は、調節エレメントに操作可能に連結された免疫原をコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子との組み合わせで、調節エレメントに操作可能に連結されたIL−28又はその機能的断片をコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子含む組成物に関する。本発明はさらに、そのような核酸分子を含む注射用医薬組成物に関する。
【0043】
DNA注入(DNAワクチン接種とも言う)、組換えアデノウイルスのような組換えベクター、組換えアデノウイルス関連のウイルス及び組換えワクシニアウイルスを含む幾つかの周知の技術のいずれかを用いて核酸分子を送達してもよい。
【0044】
DNAワクチンは、それぞれ参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,593,972号、同第5,739,118号、同第5,817,637号、同第5,830,876号、同第5,962,428号、同第5,981,505号、同第5,580,859号、同第5,703,055号、同第5,676,594及びその中で引用された優先出願に記載されている。これらの出願に記載された送達プロトコールに加えて、DNAを送達する代替方法は、双方共参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,945,050号及び同第5,036,006に記載されている。
【0045】
投与の経路には、筋肉内、鼻内、腹腔内、皮内、皮下、静脈内、動脈内、眼内、及び口腔、並びに局所、経皮での投与、吸入又は座薬による投与又は粘膜組織への投与、たとえば、膣、直腸、尿道、頬内又は舌下の組織に対する洗浄による投与が挙げられるが、これらに限定されない。投与の好ましい経路には、粘膜への投与、筋肉内、腹腔内、皮内及び皮下への注射が挙げられる。従来の注射、針の無い注射用具又は「微量発射衝撃遺伝子銃」を含むが、これらには限定されない手段によって遺伝子構築物を投与してもよい。
【0046】
投与の別の経路には、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,273,525号、同第5,439,440号、同第5,702,359号、同第5,810,762号、同第5,993,434号、同第6,014,584号、同第6,055,453号、同第6,068,650号、同第6,110,161号、同第6,120,493号、同第6,135,990号、同第6,181,964号、同第6,216,034号、同第6,233,482号、同第6,241,701号、同第6,347,247号、同第6,418,341号、同第6,451,002号、同第6,516,223号、同第6,567,694号、同第6,569,149号、同第6,610,044号、同第6,654,636号、同第6,678,556号、同第6,697,669号、同第6,763,264号、同第6,778,853号、同第6,865,416号、同第6,939,862号及び同第6,958,060に記載されたような遺伝子構築物を送達するための電気穿孔法の使用が関与する。
【0047】
DNAワクチンの送達を円滑にするために好まれる電気穿孔装置及び電気穿孔法の例には、その内容物が全体として参照により本明細書に組み込まれる、Draghia−Akli,らによる米国特許第7,245,963号、Smithらによって出願された米国特許公開第2005/0052630号に記載されたものが挙げられる。全てその全体が本明細書に組み入れられる、2006年10月17日に出願された米国特許仮出願、出願番号60/852,149及び2007年10月10日に出願された同出願番号60/978.982に対して35USC119(e)のもとで利益を主張する2007年10月17日に出願された同時係属、同時所有の米国特許仮出願、出願番号11/874072で提供されたDNAワクチンの送達を円滑にするための電気穿孔装置及び電気穿孔法も好まれる。
【0048】
以下は電気穿孔技術を用いた実施形態の例であり、上記で議論した特許参考文献でさらに詳細に議論される:電気穿孔装置は、ユーザーによって入力された前もって設定された電流に類似する定電流を生じるエネルギーのパルスを哺乳類の所望の組織に送達するように構成される。電気穿孔装置は、電気穿孔構成要素と電極アセンブリ又は取っ手アセンブリを備える。電気穿孔構成要素は、コントローラ、電流波形発生器、インピーダンステスター、波形自動記録器、入力要素、状態報告要素、連通ポート、記憶構成要素、電源及び電源スイッチを含む電気穿孔装置の1つ以上の種々の要素を含み、組み入れることができる。電気穿孔構成要素は、電気穿孔装置の1要素として機能することができ、ほかの要素は電気穿孔構成要素と連通して別々の要素(又は構成要素)である。実施形態の1つでは、電気穿孔構成要素は、電気穿孔装置の1を超える要素として機能することができ、電気穿孔構成要素と分かれた電気穿孔装置のさらにほかの要素と連通することができる。要素は1つの装置として又は互いに連通した別の要素として機能することができるので、1つの電気機械的又は機械的な装置の一部として存在する電気穿孔装置の要素によってCD28構築物を送達するための電気穿孔技術の使用は限定されない。電気穿孔構成要素は、所望の組織で定電流を生じるエネルギーのパルスを送達することが可能であり、フィードバック機構を含む。電極アセンブリは、空間的配置で複数の電極を有する電極アレイを含み、その際、電極アセンブリは、電気穿孔構成要素からエネルギーのパルスを受け取り、電極を介してそれを所望の組織に送達する。複数の電極の少なくとも1つはエネルギーのパルスの送達の間、中性であり、所望の組織でインピーダンスを測定し、インピーダンスを電気穿孔構成要素に伝える。フィードバック機構はインピーダンスを受け取り、電気穿孔構成要素から送達されたエネルギーのパルスを調整して定電流を維持することができる。
【0049】
いくつかの実施形態では、複数の電極が分散化パターンでエネルギーのパルスを送達する。いくつかの実施形態では、複数の電極は、プログラムされた順序のもとで電極の制御を介して分散化パターンでエネルギーのパルスを送達し、プログラムされた順序はユーザーによって電気穿孔構成要素に入力される。いくつかの実施形態では、プログラムされた順序は順序で送達される複数のパルスを含み、その際、複数のパルスの各パルスは、一方がインピーダンスを測定する中性電極である少なくとも2つの活性電極によって送達され、複数のパルスの次のパルスは、一方がインピーダンスを測定する中性電極である少なくとも2つの活性電極の別の1つによって送達される。
【0050】
いくつかの実施形態では、フィードバック機構は、ハードウエア又はソフトウエアのいずれかによって実行される。好ましくは、フィードバック機構は、アナログの閉鎖ループ回路によって実行される。好ましくは、このフィードバックは、50μs、20μs、10μs又は1μs毎に生じるが、好ましくはリアルタイムフィードバック又は瞬時フィードバック(すなわち、応答時間を測定するために利用可能な技法によって測定される実質的に瞬時の)である。いくつかの実施形態では、中性電極が所望の組織でインピーダンスを測定し、フィードバック機構にインピーダンスを伝え、フィードバック機構はインピーダンスに応答し、事前に設定した電流に類似する値で定電流を維持するようにエネルギーのパルスを調整する。いくつかの実施形態では、フィードバック機構は、エネルギーのパルスを送達する間、連続的に及び瞬時的に定電流を維持する。
【0051】
細胞に取り込まれると、遺伝子構築物は、機能する染色体外分子として細胞内に存在したままでありうる。DNAを細胞に導入してもよいが、その際、それはプラスミド(単数)又はプラスミド(複数)の形態で一時的な基準のもとで存在する。或いは、RNAを細胞に投与してもよい。セントロメア、テロメア及び複製開始点を含む線状のミニ染色体としての遺伝子構築物を提供することが熟考される。遺伝子構築物は、対象に投与される弱毒化した生きた微生物又は組換え微生物ベクターにおける遺伝物質の一部を構成してもよい。遺伝子構築物は、遺伝物質が染色体外のままである組換えウイルスワクチンのゲノムの一部であってもよい。遺伝子構築物は、核酸分子の遺伝子発現に必要な調節エレメントを含む。エレメントには、プロモータ、開始コドン、停止コドン及びポリアデニル化シグナルが挙げられる。さらに、標的タンパク質又は免疫調節タンパク質をコードする配列の遺伝子発現にはエンハンサが必要とされることが多い。これらのエレメントは所望のタンパク質をコードする配列に操作可能に連結され、それらが投与される個体にて調節エレメントが操作可能であることが必要である。
【0052】
開始コドンと停止コドンは一般に所望のタンパク質をコードするヌクレオチド配列の一部であるとみなされる。しかしながら、これらの要素は、遺伝子構築物が投与される個体にて機能的であることが必要である。開始コドンと終止コドンはコーディング配列と共にインフレームでなければならない。
【0053】
プロモータ及びポリアデニル化シグナルは個体の細胞内で機能的でなければならない。
【0054】
本発明を実践するのに、特にヒトのための遺伝子ワクチンの製造にて有用なプロモータの例には、シミアンウイルス40(SV40)のプロモータ、マウス乳癌ウイルス(MMTV)のプロモータ、ヒト免疫不全ウイルス(MV)、たとえば、BIVロングターミナルリピート(LTR)のプロモータ、モレニーウイルス、ALV、サイトメガロウイルス(CMV)、たとえば、CMV前初期プロモータ、エプステイン・バーウイルス(EBV)、ラウス肉腫ウイルス(RSV)に由来するプロモータ、並びにヒトの遺伝子、たとえば、ヒトのアクチン、ヒトのミオシン、ヒトのヘモグロビン、ヒトの筋肉クレアチン及びヒトのメタロチオネインのようなヒト遺伝子に由来するプロモータが挙げられるが、こられに限定されない。
【0055】
本発明を実践するのに、特にヒトのための遺伝子ワクチンの製造にて有用なポリアデニル化シグナルの例には、SV40のポリアデニル化シグナル、ウシ成長ホルモンのポリアデニル化(bgh−ポリA)シグナル、及びLTRのポリアデニル化シグナルが挙げられるが、これらに限定されない。特に、pCEP4プラスミド(カリフォルニア州、サンディエゴのインビトロゲン)中のSV40のポリアデニル化シグナルがSV40ポリアデニル化シグナルと呼ばれ、使用される。
【0056】
DNAの発現に必要とされる調節エレメントに加えて、ほかのエレメントもDNA分子に包含されてもよい。そのような追加のエレメントにはエンハンサが挙げられる。エンハンサは、ヒトのアクチン、ヒトのミオシン、ヒトのヘモグロビン、ヒトの筋肉クレアチンのエンハンサ、及びたとえば、CMV、RSV及びEBVに由来するもののようなウイルスのエンハンサを含むが、これらに限定されない群から選択されてもよい。
【0057】
構築物を染色体外で維持し、細胞内で複数コピーの構築物を産生するために遺伝子構築物に哺乳類の複製開始点を設けることができる。インビトロゲン(カリフォルニア州、サンディエゴ)のプラスミドpVAX1、pCEP4及びpREP4は、エプステイン・バーウイルスの複製開始点と、統合しないで高いコピーのエピソーム複製を生じる核抗原EBNA−1のコーディング領域を含有する。
【0058】
免疫応用に関する一部の好ましい実施形態では、標的タンパク質、免疫調節タンパク質、さらに、そのような標的タンパク質に対する免疫応答をさらに高めるタンパク質の遺伝子をコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子が送達される。そのような遺伝子の例は、そのほかのサイトカイン及びケモカイン、たとえば、アルファ−インターフェロン、ガンマ−インターフェロン、血小板由来増殖因子(PDGF)、TNF、GM−CSF、上皮増殖因子(EGF)、IL−1、IL−2、IL−4、IL−6、IL−10、IL−12、及びシグナル配列を欠損し、任意でIgEのシグナルペプチドを含むIL−15を含むIL−15をコードするものである。
【0059】
方法で使用される組成物は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許公開第20030176378号に相当する米国特許出願、出願番号10/139,423に示されたような、1つ以上の以下のタンパク質及び/又はそのようなタンパク質をコードする核酸分子をさらに含んでもよい:主要組織適合複合体クラスI抗原又は主要組織適合複合体クラスII抗原を含む主要組織適合複合体抗原;Apo−1、Fas、TNFR−1、p55、WSL−1、DR3、TRAMP、Apo−3、AIR、LARD、NGRF、DR4、DR5、KILLER、TRAIL−R2、TRICK2及びDR6を含むが、これらに限定されない死のドメイン受容体;死のシグナル、すなわち、FADD、FAP−1、TRADD、RIP、FLICE及びRAIDDを含むが、これらに限定されない死のドメイン受容体と相互作用するタンパク質;又は、FAS−L及びTNFを含むが、これらに限定されない死のドメイン受容体に結合し、アポトーシスを開始するリガンドを含む死のシグナル;並びにFADD、MORT1及びMyD88を含むが、これらに限定されない死のドメイン受容体と相互作用するメディエータ;たとえば、昆虫及び蛇の毒、Psuedomoneusの内毒素のような細菌の内毒素、シグナル鎖毒素を含むリシン、及びゲロニンのようなタンパク質を不活化する二本鎖リボソームに限定されない細胞を殺傷するタンパク質を含む毒素。
【0060】
方法で使用される組成物は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許公開第20070041941号に相当する米国特許出願、出願番号10/560,650に示されたような、1つ以上の以下のタンパク質及び/又はそのようなタンパク質をコードする核酸分子をさらに含んでもよい:たとえば、IL−15タンパク質配列に連結されたIgEのシグナルペプチドを含む融合タンパク質のようなIL−15タンパク質配列に連結された非IL−15シグナルペプチドを含む融合タンパク質を含むIL−15、CD40L、TRAIL;TRAILrecDRC5、TRAIL−R2、TRAIL−R3、TRAIL−R4、RANK、RANKリガンド、Ox40、Ox40リガンド、NKG2D、F461811又はMICA、MICB、NKG2A、NKG2B、NKG2C、NKG2E、NKG2F、CD30、CD153(CD30L)、Fos、c−jun、Sp−1、Ap1、Ap−2、p38、p65Rel、MyD88、IRAK、TRAF6、IkB、NIK、SAPK、SAP1、JNK2、JNK1B2、JNK1B1、JNK2B2、JNK2B1、JNK1A2、JNK2A1、JNK3A1、JNK3A2、NF−カッパB2、p49スプライス形態、NF−カッパB2、p100スプライス形態、NF−カッパB2、p105スプライス形態、NF−カッパB50K鎖前駆体、NFκBp50、ヒトIL−1アルファ、ヒトIL−2、ヒトIL−4、マウスIL−4、ヒトIL−5、ヒトIL−10、ヒトIL−15、ヒトIL−18、ヒトTNFアルファ、ヒトTNFベータ、ヒトインターロイキン12、MadCAM−1、NGFIL−7、VEGF、TNF−R、Fas、CD40L、IL−4、CSF、G−CSF、GM−CSF、M−CSF、LFA−3、ICAM−3、ICAM−2、ICAM−1、PECAM、P150.95、Mac−1、LFA−1、CD34、RANTES、IL−8、MIP−1アルファ、E−セレクトン、CD2、MCP−1、L−セレクトン、P−セレクトン、FLT、Apo−1、Fas、TNFR−1、p55、WSL−1、DR3、TRAMP、Apo−3、AIR、LARD、NGRF、DR4(TRAIL)、DR5、KILLER、TRAIL−R2、TRICK2、DR6、ICE、VLA−1及びCD86(B7.2)。
【0061】
方法で使用される組成物は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許公開第20071014686号に相当する米国特許出願、出願番号10/560,653に示されたような、1つ以上の以下のタンパク質及び/又はそのようなタンパク質をコードする核酸分子をさらに含んでもよい:Fos、c−jun、Sp−1、Ap−1、Ap−2、p38、p65Rel、MyD88、IRAK、TRAF6、IkB,不活性NIK、SAPK、SAP−1、JNK、インターフェロン応答遺伝子、NFkB、Bax、TRAIL、TRAILrec、TRAILrecDRC5、TRAIL−R3、TRAIL−R4、RANK、RANKリガンド、Ox40、Ox40リガンド、NKG2D、MICA、MICB、NKG2A、NKG2B、NKG2C、NKG2E、NKG2F、TAP1及びTAP2。
【0062】
何らかの理由で遺伝子構築物を受け取った細胞を排除することが望ましいのであれば、細胞破壊について標的として役立つ追加のエレメントを添加してもよい。発現可能な形態でのヘルペスチミジンキナーゼ(tk)遺伝子をその遺伝子構築物に含めることができる。薬剤ガングシクロビルを個体に投与することができ、その薬剤はtkを産生する任意の細胞を選択的に殺傷する原因となるので、遺伝子構築物による細胞の選択的破壊の手段を提供する。
【0063】
タンパク質の産生を最大化するために、構築物が投与される細胞での遺伝子発現に上手く適合する調節性配列を選択してもよい。さらに、細胞内で最も効率的に転写されるコドンを選択してもよい。当業者は、細胞内で機能的であるDNA構築物を製造することができる。
【0064】
いくつかの実施形態では、IgEのシグナルペプチドに連結された、本明細書で記載される免疫調節タンパク質のためのコーディング配列を製造するために遺伝子構築物が提供されてもよい。
【0065】
本発明の方法の1つは、筋肉内に、鼻内に、腹腔内に、皮下に、皮内に、若しくは局所に、又は吸入、膣、直腸、尿道、頬内及び舌下から成る群から選択される粘膜組織への洗浄によって核酸分子を投与する工程を含む。
【0066】
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチド機能エンハンサ又は遺伝子ワクチン促進剤の投与と併せて核酸分子が細胞に送達される。ポリヌクレオチド機能エンハンサは、それぞれ参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,593,972号、同第5,962,428号に記載されている。遺伝子ワクチン促進剤は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,739,118号に記載されている。核酸分子と併せて投与される同時作用剤は、核酸分子との混合物として投与されてもよいし、又は核酸分子の投与の前後に別々に、同時に投与されてもよい。さらに、形質移入剤及び/又は複製剤及び/又は炎症剤の役目を行い、ポリヌクレオチド機能エンハンサと同時に投与されてもよいそのほかの作用剤には、増殖因子、サイトカイン及びケモカイン、たとえば、アルファ−インターフェロン、ガンマ−インターフェロン、GM−CSF、血小板由来増殖因子(PDGF)、TNF、上皮増殖因子(EGF)、IL−1、IL−2、IL−4、IL−6、IL−10、IL−12及びIL−15、並びに線維芽細胞増殖因子、表面活性剤、たとえば、免疫刺激複合体(ISCOMS)、モノホスホリル脂質A(WL)を含むLPS類似体、ムラミルペプチド、キノン類似体、及びスクワレン及びスクワレンのような小胞が挙げられ、ヒアルロン酸を使用してもよく、遺伝子構築物と併せて投与されてもよい。いくつかの実施形態では、免疫調節タンパク質をポリヌクレオチド機能エンハンサとして使用してもよい。いくつかの実施形態では、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)(PLG)と関連して核酸分子が提供されて送達/取り込みを高める。
【0067】
本発明に係る医薬組成物は、約1ナノグラム〜約2000マイクログラムのDNAを含む。一部の好ましい実施形態では、本発明に係る医薬組成物は、約5ナノグラム〜約1000マイクログラムのDNAを含む。一部の好ましい実施形態では、医薬組成物は、約10ナノグラム〜約800マイクログラムのDNAを含有する。一部の好ましい実施形態では、医薬組成物は、約0.1〜約500マイクログラムのDNAを含有する。一部の好ましい実施形態では、医薬組成物は、約1〜約350マイクログラムのDNAを含有する。一部の好ましい実施形態では、医薬組成物は、約25〜約250マイクログラムのDNAを含有する。一部の好ましい実施形態では、医薬組成物は、約100〜約200マイクログラムのDNAを含有する。
【0068】
本発明に係る医薬組成物は、使用される投与の方式に従って処方される。医薬組成物が注射用医薬組成物である場合、それは無菌で、発熱物質を含まず、粒子を含まない。等張の処方が好ましく使用される。一般に、等張性のための添加剤には、塩化ナトリウム、デキストロース、マンニトール、ソルビトール及びラクトースが挙げられる。場合によっては、リン酸緩衝生理食塩水のような等張溶液が好まれる。安定剤にはゼラチン及びアルブミンが挙げられる。いくつかの実施形態では、処方に血管収縮剤が添加される。
【0069】
本発明のいくつかの実施形態によれば、免疫原とIL−28又はその機能的断片の組み合わせを個体に送達することによって免疫原に対する免疫応答を誘導する方法が提供される。ワクチンは、弱毒生ワクチン、組換えワクチン又は核酸若しくはDNAのワクチンであってもよい。
【0070】
本発明は、標的タンパク質、すなわち、病原体、アレルゲン又は個体自身の「異常な」細胞と特異的に関連するタンパク質に対する高い免疫応答を引き出すのに有用である。本発明は、病原体タンパク質に対する免疫応答が病原体に対する保護的免疫を提供するように病原性の作用物質及び生物に対して個体を免疫化するのに有用である。本発明は、過剰増殖細胞と特異的に関連する標的タンパク質に対する免疫応答を引き出すことによって癌のような過剰増殖性の疾患及び障害と闘うのに有用である。本発明は、自己免疫状態に関与する細胞と特異的に関連する標的タンパク質に対する免疫応答を引き出すことによって自己免疫性の疾患及び障害と闘うのに有用である。
【0071】
本発明の一部の態様によれば、標的タンパク質及び免疫調節タンパク質をコードするDNA又はRNAは、それが発現される個体の組織の細胞内に導入されるので、コードされたタンパク質を産生する。標的タンパク質及び免疫調節タンパク質をコードするDNA又はRNAの配列は、個体の細胞での発現に必要な調節エレメントに連結される。DNA発現のための調節エレメントにはプロモータ及びポリアデニル化シグナルが挙げられる。さらに、そのほかのエレメント、たとえば、コザック領域も遺伝子構築物に含めてもよい。
【0072】
いくつかの実施形態では、標的タンパク質をコードする発現可能な形態の配列及び免疫調節タンパク質をコードする発現可能な形態の配列が、個体に送達される同一の核酸分子に見い出される。
【0073】
いくつかの実施形態では、標的タンパク質をコードする発現可能な形態の配列は、免疫調節タンパク質をコードする発現可能な形態の配列とは別の核酸分子に存在する。いくつかの実施形態では、標的タンパク質をコードする発現可能な形態の配列と1つ以上の免疫調節タンパク質をコードする発現可能な形態の配列は、免疫調節タンパク質をコードする特定の発現可能な形態の配列を含有する核酸分子とは別である1つの核酸分子に存在する。本発明に従って複数の異なった核酸分子を製造し、送達することができる。
【0074】
核酸分子は、プラスミドDNA,組換えベクターの核酸分子、又は弱毒ワクチンで提供される遺伝物質の一部として提供されてもよい。或いは、いくつかの実施形態では、標的タンパク質及び免疫調節タンパク質は、それらをコードする核酸分子に加えたタンパク質として、又はそれらをコードする核酸分子の代わりのタンパク質として送達されてもよい。
【0075】
遺伝子構築物は、遺伝子発現に必要とされる調節エレメントと操作可能に連結された、標的タンパク質又は免疫調節タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含んでもよい。本発明によれば、標的タンパク質をコードする発現可能な形態のヌクレオチド配列を含む1つの構築物と、免疫調節タンパク質をコードする発現可能な形態のヌクレオチド配列を含む1つの構築物を含む遺伝子構築物の組み合わせが提供される。遺伝子構築物の組み合わせを含むDNA又はRNAの分子の生細胞への送達によって結果的に、DNA又はRNAの発現並びに標的タンパク質及び1つ以上の免疫調節タンパク質の産生を生じる。標的タンパク質に対する高められた免疫応答が結果的に生じる。
【0076】
本発明は、たとえば、ウイルス、原核生物及び病原性真核生物、たとえば、単細胞病原性生物及び多細胞寄生虫のような病原体に対して個体を免疫化するのに使用してもよい。本発明は、細胞に感染し、ウイルスや、淋病菌、リステリア菌及び赤痢菌のような原核生物のように内包されない病原体に対して個体を免疫化するのに特に有用である。さらに、本発明はまた、それらが細胞内病原体である生命サイクルの段階を含む原虫病原体に対して個体を免疫化するのにも有用である。表1は、本発明に係るワクチンを製作できるウイルスの科及び属の一部の一覧を提供する。表に列記される抗原のような病原性抗原で示されるエピトープと一致する又は実質的に類似する少なくとも1つのエピトープを含むペプチドをコードするDNA配列を含むDNA構築物はワクチンにおいて有用である。さらに、本発明はまた、たとえば、表2に列記されるような原核生物病原体及び真核原虫病原体並びに多細胞寄生虫を含むそのほかの病原体に対して個体を免疫化するのにも有用である。
【0077】
表
表1:ウイルス
ピコルナウイルス科
属
リノウイルス:(医学)感冒の約50%の症例に関与
エテロウイルス:(医学)ポリオウイルス、コクサッキーウイルス、エコーウイルス及びヒトのエンテロウイルス、たとえな、A型肝炎ウイルスを含む
アプソウイルス:(獣医学)これらは口蹄疫のウイルスである
標的抗原:VP1、VP2、VP3、VP4、VPG
カルシウイルス科
属
ウイルスのノーウォーク群:(医学)これらのウイルスは流行性胃腸炎の重要な原因因子である。
トガウイルス科
属
アルファウイルス:(医学及び獣医学)例には、シンドビスウイルス、ロスリバーウイルス及び東西ベネズエラのウマ脳炎ウイルスが挙げられる。
レオウイルス:(医学)ルベラウイルス
フラリビリダエ科
例には、(医学)デング熱、黄熱病、日本脳炎、セントルイス脳炎及びダニ媒介性脳炎のウイルスが挙げられる。西ナイルウイルス(GENBANK:NC001563、AF533540、AF404757、AF404756、AF404755、AF404754、AF404753、AF481864、M12294、AF317203、AF196835、AF260969、AF260968、AF260967、AF206518及びAF202541)
代表的な標的抗原:E NS5 C
C型肝炎ウイルス(医学)このウイルスは科には入れられえていないが、トガウイルス又はフラビウイルスのいずれかであると考えられる。類似性のほとんどはトガウイルス科にある。
コロナウイルス科(医学及び獣医学)
感染性気管支炎ウイルス(家禽)
ブタ伝染性胃腸炎ウイルス(ブタ)
ブタ血球凝集性脳脊髄炎(ブタ)
ネコ感染性腹膜炎(ネコ)
ネコ腸コロナウイルス(ネコ)
イヌコロナウイルス(イヌ)
SARS関連コロナウイルス
ヒト呼吸器コロナウイルスは感冒の約40%の原因であるEX.224E,OC43.注:コロナウイルスは非A,非B、又は非C型の肝炎の原因となりうる。
標的抗原:El−Mとも呼ばれる、又はマトリクスタンパク質E2−Sとも呼ばれる、又はスパイクタンパク質E3−BEとも呼ばれる、又は血液凝集−エルテロース糖タンパク質(すべてのコロナウイルスに存在するわけではない)、N−ヌクレオカプシド
ラブドウイルス科
属
ベシクロウイルス、リサウイルス:(医学及び獣医学)狂犬病
標的抗原:Gタンパク質、Nタンパク質
フィロビリダエ科(医学)
出血熱ウイルス、たとえば、マルブルグウイルス及びエボラウイルス
パラミクソウイルス科
属
パラミクソウイルス:(医学及び獣医学)ムンプスウイルス、ニューキャッスル病ウイルス(ニワトリにおける重要な病原体)
モルビリウイルス:(医学及び獣医学)麻疹、イヌジステンパー
ニューモウイルス:(医学及び獣医学)呼吸器シンシチウムウイルス
オルソミクソウイルス科:(医学)インフルエンザウイルス
バンヤウイルス科
属
バンヤウイルス:(医学)カリフォルニア脳炎、ラクロス
フレボウイルス:(医学)リフトバレー熱
ハンタウイルス:プレマラはヘマハギン熱ウイルスである
ナイルウイルス(獣医学)ナイロビヒツジ病
割り振られないバンガウイルス多数
アレナウイルス科(医学)LCM、ラッサ熱ウイルス
レオウイルス科
属
レオウイルス:ヒトの病原体の可能性あり
ロタウイルス:ニワトリにおける急性胃腸炎
オルビウイルス:(医学及び獣医学)コロラドダニ熱
レボンボ(ヒト)ウマ脳炎、青い舌
レトロウイルス科
亜科
オンコリウイルス:(獣医学)(医学)ネコ白血病ウイルス、HTLVI及びHTLVII
レンチウイルス:(医学及び獣医学)HIV、ネコ免疫不全ウイルス、ウマ感染、貧血ウイルス
スプマウイルスパポバウイルス科
亜科
ポリマウイルス:(医学)BKU及びJCUウイルス
亜科
パピローマウイルス:(医学)癌及び乳頭腫の悪性進行に関連する多数のウイルス型
アデノウイルス:(医学)EXAD7、ARD、O.B呼吸器疾患の原因となる−275のような一部のアデノウイルスは腸炎の原因となる
パルボウイルス科(獣医学)
ネコパルボウイルスはネコ腸炎の原因となる
ネコ汎白血球減少症ウイルス
イヌパルボウイルス
ヘルペスウイルス科
亜科
アルファへヘルペスウイルス亜科
属
単純性ウイルス(医学)
HSVI(GENBANK X14112、NC001806)
HSVII(NC001798)
バリセラゾスター(医学、獣医学)
偽狂犬病
バリセラゾスター
亜科
ベータヘルペスウイルス亜科
属
サイトメガロウイルス(医学)
HCMV
ムロメガロウイルス
亜科
ガンマヘルペスウイルス亜科
属
リンホクリプトウイルス(医学)
EBV−(バーキットリンパ腫)
ポックスウイルス科
亜科
コルドポックスウイルス亜科(医学−獣医学)
属
バリオラ(スモールポックス)
ワクシニア(カウポックス)
パラポックスウイルス−獣医学
アウイポックスウイルス−獣医学
カプリポックスウイルス
レポリポックスウイルス
スイポックスウイルス
亜科
エンテモポックスウイルス亜科
ヘパドナウイルス科
B型肝炎ウイルス
未分類のデルタ型肝炎ウイルス
【0078】
表2
細菌性病原体
病原性のグラム陽性の球菌には、肺炎球菌、ブドウ球菌及び連鎖球菌が挙げられる
病原性のグラム陰性球菌には、髄膜炎球菌及び淋病球菌が挙げられる。
病原性の腸のグラム陰性桿菌には、腸内細菌、シュードモナス、アシネトバクター及びエイケネラ、メリオイドシス;サルモネラ;シゲロシス;ヘモフィルス;カンクロイド;ブルセロシス;ツラレミア;エルシニア(パステウレラ);ストレプトバチルス・モルチリフォルミス及びスプリラム;リステリア・モノサイトジーン;エリシペロトリクス・ルシオパチエ;ジフテリア、コレラ、炭疽菌;ドノバノシス(鼡径部肉芽腫)及びバルトネロシスが挙げられる。
病原性嫌気性細菌には、破傷風;ボツリヌス;そのほかのクロストリジウム;結核;ハンセン氏病の細菌、及びそのほかのマイクロ細菌が挙げられる。
病原性のスピロヘータ疾患には、梅毒;トレポネーマ症;イチゴ腫、ピンタ及び風土性梅毒;及びレプトスピラ症が挙げられる。
高等な病原性細菌及び病原性真菌によって引き起こされるそのほかの感染症には、放線菌症、ノカルジア症、クリプトコッカス症、分芽菌症、ヒストプラスマ症及びコクシジオイデス症;カンジダ症;アスペルギルス症;及びムコール菌症;スポロトリクム症;パラコクシジオイデス症;ペトリエリジオシス症;トルロプシス症;足菌腫及びクロモミコーシス;及び皮膚糸状菌症が挙げられる。
リケッチャ感染にはリケッチャ病及びリケッチャ症が挙げられる。
マイコプラズマ及びクラミジア感染の例には、マイコプラズマ性肺炎、鼠径リンパ肉芽腫症、オウム病、及び周産期クラミジア感染が挙げられる。
病原性真核生物
病原性原虫と蠕虫及びそれによる感染症には、アメーバ症;マラリア;リーシュマニア症;トリパノゾーマ症;トキソプラズマ症;カリニ肺炎;ピロプラスマ症;ランブル鞭毛虫症;旋毛虫症;フィラリア症;住血吸虫症;線虫;吸虫又は吸虫類;及び多節条虫類(サナダムシ)の感染が挙げられる。
【0079】
病原体感染に対して防御する遺伝子ワクチンを製造するために、それに対して防御的免疫応答を搭載することができる免疫原タンパク質をコードする遺伝物質を、標的についてのコーディング配列として遺伝子構築物に含めなければならない。DNA及びRNAは双方共相対的に小さく、相対的に容易に製造できるので、本発明は複数の病原性抗原によるワクチン接種を可能にするという追加の利点を提供する。遺伝子ワクチンに使用される遺伝子構築物は、多数の病原性抗原をコードする遺伝物質を含むことができる。たとえば、幾つかのウイルス遺伝子が単一の構築物に包含され、それによって複数の標的を提供してもよい。
【0080】
表1及び表2は、そのために遺伝子ワクチンを調製し、それによって感染から個体を保護することができる病原性の因子及び生物の一部のリストを包含する。一部の好ましい実施形態では、病原体に対して個体を免疫化する方法は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、単純性ヘルペスウイルス(HSV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、西ナイルウイルス(WNV)、又はB型肝炎ウイルス(HBV)に向けられる。
【0081】
本発明の別の態様は、過剰増殖性疾患で特徴的である過剰増殖する細胞に対する防御的免疫応答を付与する方法、及び過剰増殖性疾患に罹っている個体を治療する方法を提供する。過剰増殖性疾患の例には、癌及び乾癬のあらゆる形態が挙げられる。
【0082】
免疫原性の「過剰増殖する細胞」に関連するタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む遺伝子構築物の個体の細胞への導入が結果的に個体のワクチン接種した細胞でそのタンパク質の産生を生じることが発見されている。過剰増殖性疾患に対して免疫化するには、過剰増殖性疾患に関連するタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む遺伝子構築物を個体に投与する。
【0083】
過剰増殖に関連するタンパク質を有効な免疫原性標的にするために、それは、正常な細胞に比べて過剰増殖性の細胞で排他的に又は高いレベルで産生されるタンパク質でなければならない。標的抗原には、そのようなタンパク質、そのようなタンパク質に見い出される少なくとも1つのエピトープを含むその断片及びペプチドが挙げられる。場合によっては、過剰増殖に関連するタンパク質は、タンパク質をコードする遺伝子の突然変異の産物である。変異させたタンパク質は、結果的に正常のタンパク質に見られない異なったエピトープを生じるわずかに異なるアミノ酸配列を有することを除いて正常のタンパク質とほとんど同一のタンパク質をコードする。そのような標的タンパク質には、たとえば、myb、myc、fynのような癌遺伝子、及び転座遺伝子、bcr/abl、ras、src、P53、neu、trk及びEGRFによってコードされるタンパク質であるものが挙げられる。標的抗原としての癌遺伝子産物に加えて、抗癌治療及び防御的療法のための標的タンパク質には、B細胞リンパ腫によって作られる抗体の可変領域及びT細胞リンパ腫のT細胞受容体の可変領域が挙げられ、いくつかの実施形態では、自己免疫疾患のための標的抗原も使用される。そのほかの腫瘍関連のタンパク質、たとえば、モノクローナル抗体17−IAによって認識されるタンパク質及び葉酸塩結合タンパク質又はPSAを含む腫瘍細胞にて高レベルで見い出されるタンパク質を標的抗原として使用することができる。
【0084】
本発明は、癌の1つ以上の幾つかの形態に対して個体を免疫化するのに用いてもよい一方で、本発明は、特定の癌を発症する素因を有する又は癌に罹った後、再発に感受性である個体を予防的に免疫化するのに特に有用である。疫学と同様に遺伝学及び技術の進展によって個体における癌の発症についての確率の判定やリスク評価が可能になっている。遺伝的スクリーニング及び/又は家族病歴を用いて、癌の幾つかの形態のいずれか1つを発症する、特定個体が有する確率を予測することが可能である。
【0085】
同様に、すでに癌を発症している及び治療して癌を除去し、又は寛解に入っている個体は特に、再発及び再発生に敏感である。治療計画の一環として、再発と闘うために、彼らが有していたと診断された癌に対してそのような個体を免疫化することができる。従って、個体がある種の癌を有しており、再発のリスクにあることがいったん分かれば、癌の今後の出現と闘うようにその免疫系を準備するために個体を免疫化することができる。
【0086】
本発明は、過剰増殖性疾患に罹っている個体を治療する方法を提供する。そのような方法では、遺伝子構築物の導入が免疫治療薬として役立ち、標的タンパク質を産生する過剰増殖性細胞と闘うように個体の免疫系を導き、推進する。
【0087】
癌を治療する又は予防することにおいて、細胞を含まない実施形態は特に有用である。
【0088】
本発明は、自己免疫を誘導する細胞の受容体及び「自己」に向けられた抗体を産生する細胞に関連する標的に対する幅広い保護的免疫応答を付与することによって自己免疫疾患及びその障害に罹っている個体を治療する方法を提供する。
【0089】
T細胞が介在する自己免疫疾患には、関節リウマチ(RA)、多発性硬化症(MS)、シューグレン症候群、サルコイドーシス、インスリン依存性糖尿病(IDDM)、自己免疫性甲状腺炎、反応性関節炎、強直性脊椎炎、強皮症、多発性筋炎、皮膚筋炎、乾癬、血管炎、ヴェグナー肉芽腫症、クローン病及び潰瘍性大腸炎が挙げられる。疾患のそれぞれは、内因性抗原に結合するT細胞受容体を特徴とし、自己免疫疾患に関連する炎症性カスケードを開始する。T細胞の可変領域に対するワクチン接種はCTLを始めとする免疫応答を引き出し、これらのT細胞を排除する。
【0090】
RAでは、疾患に関与するT細胞受容体(TCR)の幾つかの特異的な可変領域が性状分析されている。これらのTCRには、Vベータ−3、Vベータ−14、20Vベータ−17及びVa−17が挙げられる。従って、これらのタンパク質の少なくとも1つをコードするDNA構築物によるワクチン接種は、RAに関与するT細胞を標的とする免疫応答を引き出すであろう。それぞれ参照により本明細書に組み込まれるHowell, M. D., et al., 1991 Proc. Nat. Acad. Sci. USA 88:10921−10925; Piliard, X., et al, 1991 Science 253:325−329; Williams, W. V., et al., 1992 J Clin. Invest. 90:326−333を参照のこと。MSでは、疾患に関与するTCRの幾つかの特異的な可変領域が性状分析されている。これらのTCRには、VfP及びVa−10が挙げられる。従って、これらのタンパク質の少なくとも1つをコードするDNA構築物によるワクチン接種は、MSに関与するT細胞を標的とする免疫応答を引き出すであろう。それぞれ参照により本明細書に組み込まれるWucherpfennig, K. W., et al., 1990 Science 248:1016−1019; Oksenberg, J. R., et al, 1990 Nature 345:344−346を参照のこと。
【0091】
強皮症では、疾患に関与するTCRの幾つかの特異的な可変領域が性状分析されている。これらのTCRには、Vベータ−6、Vベータ−8、Vベータ−14及びVa−16、Va−3C、Va−7、Va−14、Va−15、Va−16、Va−28及びVa−12が挙げられる。従って、これらのタンパク質の少なくとも1つをコードするDNA構築物によるワクチン接種は、強皮症に関与するT細胞を標的とする免疫応答を引き出すであろう。
【0092】
T細胞が介在する自己免疫疾患、特にTCRの可変領域が未だに性状分析される必要があるものに罹っている患者を治療するために、滑液生検を実施することができる。存在するT細胞の試料を取り、常法を用いてそれらTCRの可変領域を特定することができる。この情報を用いて遺伝子ワクチンを調製することができる。
【0093】
B細胞が介在する自己免疫疾患には、ループス(SLE)、グレーブ病、重症筋無力症、自己免疫性出血性貧血、自己免疫性血小板減少症、喘息、クリオグロブリン血症、原発性胆汁性硬化症及び悪性貧血が挙げられる。これら疾患のそれぞれは、内因性抗原に結合する抗体を特徴とし、自己免疫疾患に関連する炎症性カスケードを開始する。抗体の可変領域に対するワクチン接種は、CTLを始めとする免疫応答を引き出し、抗体を産生するそれらB細胞を排除するであろう。
【0094】
B細胞が介在する自己免疫疾患に罹っている患者を治療するために、自己免疫活性に関与する抗体の可変領域を特定しなければならない。生検を実施し、炎症部位に存在する抗体の試料を採取することができる。常法を用いて、それら抗体の可変領域を特定することができる。この情報を用いて遺伝子ワクチンを調製することができる。
【0095】
SLEの場合、抗原の1つはDNAであると考えられる。従って、SLEに対して免疫される患者では、抗DNA抗体についてその血清をスクリーニングし、血清で見つけられたそのような抗DNA抗体の可変領域をコードするDNA構築物を含むワクチンを調製することができる。
【0096】
TCR及び抗体の可変領域の共通する構造的特徴は周知である。特定のTCR又は抗体をコードするDNA配列は一般に、参照により本明細書に組み込まれるKabatら(1987年)の免疫学的に関心のあるタンパク質の配列(メリーランド州、ベセスダの米国保健社会福祉省)に記載されたもののような以下の周知の方法に見い出すことができる。さらに、抗体から機能的な可変領域をクローニングする一般的な方法は、参照により本明細書に組み込まれるChaudhary, V. K., et al, 1990 Proc. Natl. Acad Sci. USA 87:1066に見い出すことができる。
【0097】
遺伝子ワクチンを改善する配列をコードする免疫調節タンパク質の発現可能な形態を使用することに加えて、本発明は、改善された弱毒生ワクチン及び抗原をコードする異種遺伝子を送達するための組換えベクターを使用する改善されたワクチンに関する。弱毒生ワクチンと、異種抗原を送達するための組換えベクターを使用するものの例は、それぞれ参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,722,848号、同第5,017,487号、同第5,077,044号、同第5,110,587号、同第5,112,749号、同第5,174,993号、同第5,223,424号、同第5,225,336号、同第5,240,703号、同第5,242,829号、同第5,294,441号、同第5,294,548号、同第5,310,668号、同第5,387,744号、同第5,389,368号、同第5,424,065号、同第5,451,499号、同第5,453,364号、同第5,462,734号、同第5,470,734号、及び同第5,482,713に記載されている。IL−28又はその機能的断片をコードするヌクレオチド配列を含む遺伝子構築物を提供するが、その際、ヌクレオチド配列は、発現を達成するようにワクチンで機能することができる調節性配列に操作可能に連結される。遺伝子構築物が弱毒生ワクチン及び組換えワクチンに組み入れられ、本発明に係る改善されたワクチンを産生する。
【0098】
本発明は、DNAワクチン、弱毒生ワクチン及び組換えワクチンを含むワクチン組成物の一部として個体の細胞に遺伝子構築物を送達する工程を含む個体を免疫化する改善された方法を提供する。遺伝子構築物は、IL−28又はその機能的断片をコードし、発現を達成するようにワクチンで機能することができる調節性配列に操作可能に連結されるヌクレオチド配列を含む。改善されたワクチンは結果として高い細胞性の免疫応答を生じる。
【実施例】
【0099】
実施例1
IL−28はインターフェロンの最新のクラス、インターフェロンラムダの一員であり、IL−28RアルファとIL−10Rベータから構成されるヘテロダイマーの受容体を有する。IL−10Rベータ鎖はIL−10受容体の一部でもあるので、標的受容体へのIL−10の結合の阻止を期待してワクチン接種試験にIL−28を採用した。
【0100】
プラスミドHIVGag構築物と一緒にプラスミドIL−28を含むことは、プラスミドがGagプラスミドのみである組成物で免疫化したマウスに比べると、マウスの脾細胞のインターフェロンガンマの応答を有意に増強した。空のベクター(pVAX)、複数クレードHIVGag構築物(HIVGag−クエン酸ナトリウムとブピバカイン水溶液30μL中10μgのプラスミドHIVGag)又はIL−28プラスミドを伴ったHIVGag構築物(HIVGagIL−28−クエン酸ナトリウムとブピバカイン水溶液30μL中プラスミドHIVGagDNA10μg+プラスミドIL−28DNA5μg)によってマウスを免疫化した。図1のデータに示すように、IL−28は、HIVGagのみに比べて7倍を超えてELISpotの数を増やした。
【0101】
また驚くべきことに、フローサイトメトリーを用いた脾細胞の解析は、IL−28が脾臓のCD8T細胞を増やすことを示唆した。上記のようにマウスを免疫化し、フローサイトメトリーによってCD8T細胞の比率を解析した。図2のデータに示すように、IL−28の添加は、pVAXのみで免疫化したマウスを4.72%超えてCD8T細胞の比率を高め、それは、CD8全体の約20%の増加を説明する。HIVGag構築物のみで免疫化したマウスは、pVAXのマウスを0.48%超えるのみの増加を示したにすぎず、それはCD8全体の約2%の増加を説明する(白棒はpVAX対照を超えたCD8の%増加を示す)。
【0102】
従って、ワクチン接種にアジュバントとしてインターフェロンを用いる以前の試みが期待はずれの結果を有した一方で、本明細書の結果はIL−28がワクチン接種、特にDNAワクチンの接種で有効なアジュバントであることを示している。
【0103】
実施例2
1)HIVGag構築物(HIVGag−クエン酸ナトリウムとブピバカイン水溶液30μL中10μgのプラスミドHIVGag)、又は2)IL−28プラスミドを伴ったHIVGag構築物(HIVGagIL−28−クエン酸ナトリウムとブピバカイン水溶液30μL中プラスミドHIVGagDNA10μg+プラスミドIL−28DNA3μg)、又は3)IL−28タンパク質を伴ったHIVGag構築物(HIVGag−クエン酸ナトリウムとブピバカイン水溶液30μL中10μgのプラスミドHIVGagプラス40ngのIL−28タンパク質)、又は4)インターフェロンγタンパク質を伴ったHIVGag構築物(HIVGag−クエン酸ナトリウムとブピバカイン水溶液30μL中10μgのプラスミドHIVGagプラス40ngのインターフェロンγタンパク質)によってマウスを免疫化した。
【0104】
ELISpotを用いて、プラスミドIL−28を与えたマウスは、HIVGagのみと比べて高い抗Gag免疫応答を示した。IL−28タンパク質もインターフェロンγタンパク質もHIVGagのみと比べて抗Gag免疫応答を高めなかった。
【0105】
実施例3
IL−28B(IFNλ3)はDNAワクチン接種のマウスでの試験で強力なアジュバントとして使用されると示唆されたが、抗原特異的な免疫応答を増強することに関するその有効性は大きな動物、たとえば、非ヒト霊長類では研究されていない。我々は、コドンとRNAを最適化させたアカゲザルIL−28Bを、この動物での免疫アジュバントとしてHIV抗原に対するワクチン接種試験で調べることを望んだ。この方法におけるアジュバントプラスミドの最適化は、コードされた遺伝子の発現を高め、得られたRNAの構造を安定化させるだけでなく、宿主ゲノムへの統合の可能性を低減し、遺伝子内にコードされている可能性があるミクロRNAを排除して結果的に高い安全性特性を生じる。サルIL−28B(macIL−28)の発現の解析は、macIL−28又は空のベクターによる横紋筋肉腫(RD)細胞株の試験管内形質移入を介して行った。空のベクターではなく、macIL−28を形質移入した細胞から回収した上清は、ELISAでアッセイした際、形質移入後48時間で存在する多量のサルIL−28を示し、高度のプラスミド発現を示唆した(図3)。
【0106】
試験管内で高度の発現を見て、我々は、アカゲザルにおけるHIVPolに対する免疫処方計画にmacIL−28Bを加えることを決定した。IL−28Bの添加は、2回の免疫の後、ELISpotで測定した場合、HIVPol特異的なIFNγの放出にて約3倍の増加をもたらす(図4)。これらのデータは、macIL−28BプラスミドはIL−28Bを高いレベルで発現する新規の方法であり、DNAワクチン接種の非ヒト霊長類モデルにて有効な免疫アジュバントとして使用できることを示唆している。
【0107】
実施例4
免疫応答の有効性を改善することは、生命にかかわる病原体に対するワクチンに関する課題の中で最重要である。IL−28Bは、サイトカインの新規に記載されたインターフェロンラムダ(IFNλ)ファミリーに属するが、適応免疫応答に影響を及ぼす、又はワクチンのアジュバントとして作用するその潜在的能力については未だ評価されていない。我々は、DNAワクチン接種の間、複数クレードのコンセンサスHIVGagプラスミドに対する免疫応答を後押しする能力についてIL−28をコードするプラスミドをIL−12のそれと比較した。我々はここで、IL−12と同様にIL−28Bも適応免疫を確実に高めることが可能であることを示す。さらに、我々は、IL−28BがDNAワクチン接種の間、どのように制御性T細胞集団を減らし、一方でIL−12がこの細胞サブセットを増やすのかを初めて記載する。我々はまた、IL−12とは異なって、IL−28Bはワクチン接種された動物で脾臓CD8+T細胞の比率を高めることができ、アジュバントとしてIL−12を与えた動物から得た細胞と比べると、これらの細胞は顆粒性が高く、高い抗原特異的な細胞溶解性の脱顆粒を有することも示す。最後に我々は、IL−28Bが致死的なインフルエンザ抗原投与後の死亡から100%の保護を誘導できることを報告する。これらのデータは、IL−28Bがワクチン又は免疫療法のプロトコールのさらなる検討にとって強い候補であることを示唆している。
【0108】
序論
免疫系とその構成要素の包括的な理解を有することは、感染の間の宿主−病原体の相互作用の理解にとってだけでなく、ワクチンの開発と設計の背景でも重要である。免疫関連のシグナル伝達化合物、たとえば、サイトカインに関して、ワクチン接種試験は、これらの分子がどのように抗原特異的な免疫応答に影響を及ぼすのかを検討する手段を我々に与え得る。
【0109】
DNAワクチン接種は、生体内で抗原特異的な免疫応答を誘導する安全で且つ有効な方法であり1〜3、免疫モジュレータの導入に役立つ。DNAワクチン接種の基本骨格にサイトカインをコードするプラスミドを容易に添加する能力によって、ワクチンのアジュバントとしての潜在的価値を決定することと同様にサイトカインがどのように適応免疫応答に影響するのかを同時に評価することが可能になる。さらに、最適化されたDNAの処方による非ヒト霊長類の最近のデータは、さらに有望な免疫特性を示しつつある。これらの励みになる結果に改良を加えることが重要な目標である。
【0110】
インターフェロンラムダファミリーは、最近発見された3つのサイトカイン、IL−29とIL−28AとIL−28B(それぞれIFNλ1、2及び3)から成る4〜7。3つのサイトカインはすべて試験管内でウイルス感染に応答して発現し、主として樹状細胞及びマクロファージから分泌される4〜7。さらに、これらサイトカインによる細胞の処理が、IL−28受容体を介したSTAT、IRF及びISGFの活性化によって培養におけるウイルスの複製を阻害する抗ウイルス状態を誘導できるという事実により3つのサイトカインはすべてインターフェロンとして分類されている4〜7。受容体の発現が、Tリンパ球を始めとして種々の白血球で示されているが8、抗原特異的な適応免疫応答を方向付けるIL−28の相対的な能力はこの点で広範には検討されていない。
【0111】
この試験では、我々は、DNAワクチン接種の背景でアジュバントとして作用するIL−28Bの能力を分析し、免疫応答を増強するその能力を、強力な且つ最良の確立されたDNA免疫アジュバントである9〜13IL−12のそれと比較した。そうすることで、我々は未だ検討されていない、抗原特異的な適応免疫応答に対するIL−28Bの影響を特徴付けた。IL−28B又はIL−12をコードするプラスミドを含むことは、IFNγのELISpot及びフローサイトメトリーによるパーフォリンの検出によって測定した場合、抗原のみによるワクチン接種を超えて高い抗原特異的な細胞性の免疫応答をもたらす。IL−12ではなくIL−28Bはさらに、抗原特異的IgG2a、抗原特異的細胞溶解性脱顆粒及び脾臓に見られるCD8+T細胞の比率を増やすことができた。さらに、我々は、IL−28Bアジュバントがワクチン接種した動物の脾臓で見られるCD4+/CD25hi/FoxP3+(Treg)細胞の数を減らす一方で、IL−12はこの集団の大きさを増やすことを見い出した。最後に我々はここで、マウスにおけるワクチン接種のアジュバントとして使用したとき、IL−28Bは、致死的なインフルエンザ抗原投与後の死から100%の保護を結果的に生じるように免疫応答を増強することができることを示す。この試験は、IL−28Bが生体内での細胞性免疫の有効なアジュバントとして作用することを示し、DNAワクチン接種後のTreg集団に対するIL−28BとIL−12の差次的効力を初めて記載する。これは、生体内で適応免疫応答を方向付けるIL−28Bの能力の最初の主な分析を構成する。
【0112】
材料及び方法
プラスミド:マウスのp35とp40のタンパク質をコードするIL−12プラスミドは記載されている11,14。マウスのIL−28Bは、遺伝子の5’末端に付加された効率の高いリーダー配列を有し、合成されたが、コドンを最適化し、続いてGeneArt(ドイツ、レネンスベルグ)によりpVAX1の基幹にサブクローニングした。HIV−1Gag(Gag4Y)を発現するプラスミドは以前記載された15ように調製した。
【0113】
動物:動物はすべてペンシルベニア大学の温度制御した光周期のある施設に収容し、その世話は、米国国立衛生研究所とペンシルベニア大学の指針のもとにあった。動物実験はすべて、動物の世話に関する国家と施設の指針に従って実施し、ペンシルベニア大学の施設内倫理委員会によって認可された。
【0114】
マウスの免疫:8週齢のメスBALB/cマウス(ジャクソンラボラトリー)の大腿四頭筋に2週間離して2回注射し、CELLECTRA(登録商標)適合定電流装置(テキサス州、ザウッドランドのVGXファーマシューティカルズ)を用いて以前記載された16ように電気穿孔を行った。マウスにおける実験については、10μgのpVAX1又は10μgのHIV−1Gag(Gag4Y)又はインフルエンザNP(NP)のいずれかのみで、又は実験によって種々の量のマウスIL−12又はマウスIL−28Bのプラスミドと共に動物(群当たりn=4又は8)を免疫化した。種々の遺伝子プラスミドの同時投与には、等張クエン酸緩衝液における0.25%の塩酸ブピバカイン(シグマ)に最終体積30μLで注入する前に指定されたDNAを混合することが含まれる。
【0115】
ELISpot:IFNγとIL−4のELISpotを実施して免疫化したマウスからの抗原特異的なサイトカインの分泌を測定した。ELISpotは、96穴プレート(ミリポア)を用い、製造元のプロトコール(R&Dシステムズ)によって実行した。免疫化したマウスからの2×105個の脾細胞をプレートの各ウェルに加え、R10(陰性対照)、コンカナバリンA(陽性対照)、又は特異的ペプチド(HIV−1がg)抗原(10μg/mL)の存在下で37℃、5%CO2にて刺激した。タンパク質全体に及び、11のアミノ酸が重なり合うHIV−1のコンセンサスGagクレードC15量体ペプチドはAIDS試薬と参照リポジトリ(メリーランド州、フレデリック)から獲得した。
【0116】
細胞培養及びフローサイトメトリー用の染色:免疫化したマウスから回収した脾細胞を洗浄し、次いで最終濃度107細胞/mLでR10培地に再浮遊させた。100μLの体積で細胞を96穴プレートに播き、追加の100μLの培地のみ、HIV−1のGagコンセンサスクレードCを含有する培地又はPMAとイオノマイシン(陽性対照)を含有する培地を加え、プレートを37℃に置いた。脱顆粒を測定するのに使用される培養では、このとき増強染色剤として抗CD107aPEを加えた。細胞内のパーフォリンのレベルを測定するのに使用する培養にはこの抗体を与えなかった。これらの培養について、培地、ペプチド又はPMA/イオノマイシンの添加後10分にMg2+とEGTAをそれぞれ最終濃度6mMと8mMで培養に加え、カルシウム依存性の細胞溶解性の脱顆粒を阻害した17。培養はすべて37℃にて6時間インキュベートした。このインキュベーション時間の最後に、プレートを遠心し、PBSで2回洗浄した。次いで生存率についてのバイオレット染料(LIVE/DEADバイオレット生存率染料、インビトロゲン)で細胞を37℃にて10分間染色した。上記のようにPBSで洗浄した後、4℃にて抗CD4PerCPCy5.5(BDバイオサイエンス)と抗CD8APCCy7(BDバイオサイエンス)によって細胞を外的に染色し、次いで固定と透過化を行った。抗CD3PE−Cy5(BDバイオサイエンス)と抗パーフォリンAPC(eバイオサイエンス)を加え、細胞を再び4℃にてインキュベートした。最後に細胞をPBSで洗浄し、最終濃度1%のPFAで固定した。CD4+/CD25hi/FoxP3+細胞を含むフローサイトメトリーについては、マウス制御性T細胞染色キット(eバイオサイエンス)を採用した。外部染色は上記のように抗CD4FITCと抗CD25APCによって行った。固定、透過化及び内部染色は、抗FoxP3PEを用いて上記のように行った。
【0117】
インフルエンザ抗原の投与:免疫後28日に、30μLのPBS中の10LD50のA/プエルトリコ/8/34を麻酔したマウスに鼻内接種した。抗原投与のマウス群はすべて群当たり8匹のマウスで構成された。抗原投与後、臨床的兆候と死亡率を毎日14日間記録した。
【0118】
統計学:データは、少なくとも3つの独立した実験から回収したデータから算出した平均値±平均値の標準誤差(SE)として表す。適宜、対応のあるスチューデントのt検定を用いて免疫群間の統計的差異を評価し、各実験群について具体的なp値を得た。p値<0.05となる試料間の比較を統計学的に差異があるので有意であるとみなした。
【0119】
結果
マウスのIL−12及びIL−28Bをコードするプラスミドはタンパク質を発現し、分泌する
種々のウイルス病原体に対するワクチン接種についての新規の且つ改善されたアジュバントの発見に対する絶え間ないニーズがある。過去において、IL−12はワクチン接種の試験に採用されると強力なアジュバントであることが示されてきた9〜13。IL−28Bはこの目的で使用されたことはない。抗原特異的な免疫応答を増強するこれらサイトカインの相対的な能力を比較するために、我々はDNAワクチン接種試験で使用するためにマウスIL−1211とマウスIL−28Bをコードするプラスミドを構築した(図5A及び5B)。これら構築物がIL−12及びIL−28Bを発現するかどうかを確認するために、我々は、3μgのプラスミドによるHEK293T細胞への形質移入を介してそれらを試験管内で調べた。その後、細胞を溶解し、溶解物をウエスタンブロットに使用してタンパク質の発現について調べた。マウスIL−12p40とマウスIL−28Bのタンパク質についてのブロットは、双方の構築物が試験管内で上手く発現されることを示している(図6A)。細胞外環境へのサイトカインの分泌を調べるために、形質移入後48時間で細胞上清を得た。形質移入した細胞の培養上清から活性のあるIL−12p35/p40へテロダイマー及びIL−28Bタンパク質を検出するELISAを行った。図6Bに示すように、IL−12及びIL−28Bは双方とも、形質移入した培養上清にておおまかに10,000pg/mLの濃度で存在することが認められた。形質移入した細胞からの双方のサイトカインの発現と放出を確認して、我々は、これらのサイトカインの抗原特異的な免疫応答のアジュバントになる能力を調べるワクチン接種に取り掛かった。
【0120】
IL−28Bはワクチン接種後のHIVGag特異的IFNγ放出のアジュバントになる
IL−28Bが免疫アジュバントとして機能する能力を有するのか有さないのかを判定するために、我々は我々の標的抗原としての複数クレードのコンセンサスHIV−1Gagタンパク質(Gag4Y)をコードするプラスミドとの組み合わせでDNAワクチン接種試験にそれを用いた。IL−28Bのアジュバント効力の有効性を比較する目安を有するために、我々は、非常に強力な免疫アジュバント効力を有することが以前から示されているという事実のためにワクチン接種でアジュバントとして頻繁に採用されるサイトカインであるIL−129〜13とそれを比較した。その目的で、10μgの空のpVAXベクター(対照)又は10μgのHIVGag4Y構築物のみによって右後の大腿四頭筋にて筋肉内で8週齢のBALB/cマウスの群(群当たりn=4)を免疫化し、次いで電気穿孔を行った。追加の群に様々な用量のIL−28B又はIL−12と組み合わせた10μgのHIVGag4Yを与え、その後電気穿孔を行った。IFNγのELISpotアッセイの結果は、Gag4Yのみによる免疫がマウスにおいて細胞性の免疫応答を誘導することができた(100万個の脾細胞当たり約400SFU)が、IL−28Bの包含は、調べたすべての用量でGag特異的なIFNγの放出をさらに数倍高めることができたことを示している(図7A)。IL−28Bの最適なアジュバント効力(Gag4Yのみを3〜4倍上回る)は7〜9μgの範囲に見られ(図7A)、さらなる実験におけるこの用量の使用に我々を導いた。IL−12も、IL−28Bの用量と同じ範囲でちょうど3倍このアッセイでGag特異的なIFNγの放出を高めた(図7A)。各アッセイの解析は、応答にはCD8+T細胞が優勢に介在し(応答全体の>85%)、ワクチン接種の間アジュバントの存在又は非存在によってこの特性は影響されないことを示した(データは示さず)。これらの結果は、IL−28Bは、実際、ワクチン接種の間、抗原特異的な免疫応答を増強するのに使用することができることを示唆し、確立された強力な免疫アジュバントであるIL−12で見られたものに匹敵するか、それを超えるIFNγの放出における増加を伴った。
【0121】
IL−28BがTh1に関連するIFNγの放出の増加を介して細胞性免疫応答を高めるのに使用できたことを確認して、我々は次にこのアジュバントが原型的なTh2サイトカインの放出に影響を及ぼすことができるかどうかを判定することを試みた。従って、我々は、IL−28BがどのようにこのTh2関連のサイトカインの放出に影響するのかを観察するために上記と同様にIL−4のELISpotを採用した。興味深いことに、ワクチン接種にIL−12を含めることは結果的に調べたすべての用量で約200〜約600SFUに及ぶGag特異的なIL−4の放出の増加を生じた(図7B)。IL−4のELISpotアッセイにおけるIL−12の最適な用量は結果的にIL−4のELISpotアッセイにて約400〜約450SFUを生じたが、IL−28を含めることはこの種の効力を示さなかった。代わりに、ワクチン接種にIL−28Bを含めることは結果的にHIVGag4Y構築物のみ(図7B)に全く類似したIL−4の放出を生じ、IL−28Bは、それらの用量で高いIFNγ放出と同時にはIL−4の放出を高めないことを示唆している。従って、IL−28Bは、IFNγの放出(Th1関連の)を誘導するがIL−4の放出(Th2関連の)を誘導しないという点で、IL−12と比べた場合、ワクチン接種の間、さらに「純粋な」Th1関連のサイトカイン特性を誘導するとして考えられ得る。
【0122】
IL−12ではなくIL−28BがHIVGag特異的IgG2aを高める
ウイルス病原体に対する有効なワクチン接種は細胞性と液性の双方の免疫応答を必要とするので、我々は、ワクチン接種の間、アジュバントとして採用した場合、循環しているHIVGag特異的抗体のレベルを増強するIL−28B及びIL−12の相対的な能力を調べることを決定した。これを達成するために、我々は、抗原特異的ELISAにて免疫化したマウスから採取した血清を調べた。HIVGag4Y構築物と併せてIL−12又はIL−28Bを含めることは、結果として図8に示すような顕著に異なる抗体反応を生じた。Gag特異的な総IgGに関しては、IL−28B構築物と一緒にGag4Y構築物による免疫は、調べた最低希釈(1:25)でのGag4Yのみによる免疫に比べて抗原特異的な抗体のレベルでは小さな増加をもたらしている(図8A)。しかしながら、Gag4Yの免疫とともにIL−12を含めることは、抗原特異的なIgGを積極的に抑制し、対照(pVAX)マウスのそれに非常に類似する値を読み取った。IL−12のこの効力は、以前、DNAワクチン接種で報告されていた現象であり14、この試験でも同様に支持されている。我々は次にIgG1とIgG2aを含むIgGの異なった亜型を調べ、免疫分極の追加の効果を判定した。IgG1アイソタイプはマウスにおいてTh2の偏りに関係し、IgG2aはTh1の偏りに関係する18。アジュバントを含めることにかかわりなく、DNAワクチン接種は我々のアッセイではいずれの群でもGag特異的なIgG1抗体のレベルを上げるとは思えなかった(図8B)。しかしながら、ワクチン接種にIL−28Bを含めることは、HIVGag4Yのみでワクチン接種したマウスの血清に比べて、IgG2aの2倍を超える増加をもたらす(図8C)。さらに、対照(pVAX)群と比べてIL−12の群ではIgG2aの増加が見られなかったという事実によって証拠付けられるように、IL−12はこのアッセイで抗体反応を抑制し続けた。従って、IL−28BはTh1に強く偏って抗原特異的な液性の免疫応答を高めることができると思われ、それは、細胞性の免疫応答における効力に一致する(図7A及び7B)。
【0123】
IL−28Bは脾臓のCD4+/CD25hi/FoxP3+細胞を減らすが、IL−12はそれらを増やす
IL−28Bは新規に記載されたIFNλファミリーのメンバーなので、IFNλ3として知られる18〜21。IFNλのそのほかのメンバーにはIL−28A(IFNλ2)及びIL−29(IFNλ1)が挙げられる18〜21。以前の研究によって、IL−29は、IL−2への応答でCD25hi/FoxP3+CD4+T細胞(Treg細胞)の増殖を特異的に誘導するように樹状細胞に働きかける可能性があるという点で免疫の抑制及び寛容で役割を担うことが示唆された5。Treg細胞の誘導又は増殖は、特定の設定の範囲内ではワクチン接種戦略にとって不利な点であるとみなされうるが、CD4+T細胞のこの亜集団に影響を及ぼすIL−28Bの能力は以前検討されていなかった。IL−28BはIL−29と同じIFNファミリーに入るので、我々はそれがTreg細胞集団に類似の効力を発揮しうる可能性に対処した。さらに、我々は、以前調べられていなかった、この種のワクチン接種に設定におけるTreg細胞に影響を及ぼすIL−2の能力も見てみた。
【0124】
フローサイトメトリーによってCD4、CD25及びFoxP3の発現を見ることによって(図9A)、我々は免疫化したマウスにおけるTreg集団に対する、サイトカインの存在及び非存在下でのワクチン接種の影響を検討することができた。この解析の結果は、HIVGag4Y構築物のみによる免疫は、ワクチン接種したマウスの脾臓Tregの比率で小さいが統計的に有意な低下を生じたことを示している(図10B)。この結果は、免疫後のTreg集団における類似の変化を記載している以前の報告に一致する20。ワクチン接種にサイトカインアジュバントを含めることは、様々なやり方でTreg集団を劇的に変化させた。興味深いことに、免疫アジュバントとしてのIL−12の採用は、HIVGag4Y構築物のみによってワクチン接種したマウスに比べて免疫化したマウスにおける脾臓Tregの数を有意に増やした(図9B)。この現象がワクチン接種の設定で報告されたのはこれが初めてであり、免疫についてのアジュバントとしてのIL−12の以前知られていない表現型を構成する可能性がある。また相当に興味があるのは、免疫アジュバントとしてIL−28Bをワクチン接種に含めることは、HIVGag4Y構築物のみによるワクチン接種に比べて脾臓Tregの数を統計的に有意に減らす原因になるという事実であった(図9B)。IL−28Bのこの能力が記載されたのはこれが初めてであり、ワクチン接種のアジュバントとして使用される場合、それはサイトカインの有意な利益としてみなされうる。さらにそれは、同じIFNファミリーにいるが、IL−28BとIL−29の間には重要な差異がありうるという可能性を示唆している。
【0125】
IL−28Bを与えたマウスの脾細胞はTGFβをあまり分泌しない
我々は、IL−12又はIL−28Bをワクチン接種に含めることが、完全に機能的なT制御性細胞の増殖を誘導する代わりに、正常なCD4+細胞をTregに見えるように表現型を変えつつあることが可能であると推論した。従って、これらの細胞が表現型上Tregに似ていることに加えてTregとして機能しているかどうかを判定するために、我々は、Tregを基にした非接触性の免疫抑制の主なメディエータの1つとして認識される21TGFβを産生する能力をワクチン接種したマウスの脾細胞で測定した。これを達成するために、我々は、活性化細胞からのTGFβの放出を測定するために、PMA及びイオノマイシンとの組み合わせと共に各群のマウスの脾細胞を48時間培養した。この時間の最後に、細胞培養から上清を取り、ELISAを用いてTGFβを検出した。図9Bに示すように、Gag4Yのみを与えたマウスに比べてIL−12をアジュバントとして与えたマウスから単離した脾細胞の活性化は結果としてTGFβ産生の統計的に有意な増加を生じた(図9B)。この結果は、IL−12を与えたマウスとHIVGag4Yのみを与えたマウスの間でのフローサイトメトリーで認められたTregの数の差異はTregの集団を正しく特定していることを示唆している。さらに、アジュバントとしてIL−28Bを与えたマウスから単離した脾細胞は、PMAとイオノマイシンで活性化した場合、有意に少ないTGFβしか産生しなかった(図9B)。このことは再び、HIVGag4Yのみを与えたマウスと比べてIL−28Bを与えたマウスにおけるTreg集団での差異を示唆するフローサイトメトリーのデータを支持している。
【0126】
IL−2はTregの誘導及び増殖に重要なサイトカインであるので21、我々は、ワクチン接種した群間でのTreg集団の差異は、IL−2の差次的産生により得ると推論した。この可能性を調べるために、我々は再び各群から単離した活性化脾細胞からのサイトカインの放出を測定した。これらの細胞から産出されたIL−2の解析は、いずれの群間にも有意差がないことを示し、DNAワクチン接種後に見られるTreg集団における差異に関与する代替メカニズムがあることを示唆している。
【0127】
IL−12ではなくIL−28Bが脾臓のCD8+T細胞を増やす
IL−28Bが脾臓のTregの量に影響を及ぼしうることを判定して、我々は、このアジュバントがワクチン接種後そのほかの細胞種に対して類似の効力を有するかどうかを検討することを決定した。その目的で、対照マウス及びワクチン接種したマウスからの脾細胞をフローサイトメトリーによってCD8T細胞(CD3+/CD8+)の存在について解析した。図10Aに示すように、対照(pVAX)の脾臓におけるCD8T細胞の比率は、Gag4Y構築物のみ、又はIL−12アジュバントを伴ったGag4Y構築物を与えたマウスと有意に異なることはなかった。しかしながら、IL−28Bをアジュバントとして与えたマウスは、ほかの群すべてと比べて、脾臓における有意に高い比率のCD8T細胞を示したが、それはIL−28Bが免疫後、脾臓のCD8T細胞集団を増殖させる能力を有することを示唆している。IL−28Bのこの効力が脾臓に限定されているのか、ほかのリンパ系臓器や末梢血で見られうるのかどうかを判定するために、我々は次にマウスの各群からの循環PBMCと同様に腸間膜リンパ節(MLN)から単離したリンパ球を解析した。HIVGag4Y構築物のみで免疫化したマウスは対照のマウスと比べると、MLNで見い出されたCD8+T細胞の数において小さいが統計的に有意な増加を示した。アジュバントとしてIL−12を与えたマウスは、Gag4Yのみを与えたマウスに比べてMLNでCD8+T細胞の数の増加を示し、この増加は統計的に有意に達することができた(図10A)。HIVGag4Yと併せてIL−28Bを与えたマウスは免疫の間、CD8+T細胞の比率でやや高い増加を有したが、それは、印象的な統計的有意(p<0.005)に達した。末梢血から単離されたリンパ球は、IL−28Bアジュバントを与えた群ではCD8+T細胞集団のみの増加を示したが、それは、脾臓において見られたパターンを彷彿させものである(図10A)。これらの結果は、IL−12ではなくIL−28Bが免疫化したマウスの脾臓及び末梢血でCD8+T細胞集団の大きさを高めるが、双方のアジュバントがMLNにおけるCD8+T細胞を増やすことができることを示している。
【0128】
IL−28BはHIVGag特異的なCD8+T細胞のパーフォリン誘導と脱顆粒を高める
IL−28Bがワクチン接種後、脾臓のCD8+T細胞の比率において有意な影響を有すると判定して、我々は、この細胞のサブセットをさらに解析することを決定した。IL−12はCD8+T細胞の顆粒性に影響を及ぼすことが以前から示されていた19。我々の以前の実験は、IL−28BがIL−12に等しいがそれを超える細胞性免疫(IFNγの放出を介した)に対する強い影響を有している(図7A)ことを示唆していたので、我々は、IL−28BがIL−12と同様に細胞の顆粒性に影響を及ぼすことができるかどうかを尋ねた。従って、我々は、各群のマウスの脾臓から単離したCD8+T細胞におけるパーフォリンの抗原特異的誘導を測定する実験を設計した。抗原特異的なパーフォリンの上方制御の量を決定するために、我々は、培地対照と共に、又は一連の重なり合うHIVGagクレードCペプチドと共に単離脾細胞を6時間インキュベートし、その後、細胞性マーカー及びパーフォリンについて細胞外及び細胞内の染色を行い、次いでフローサイトメトリーによる解析を行った(図10B)。細胞溶解性の脱顆粒を防ぐために、方法17に記載したように、EGTAとMg2+を培養に加えた。この刺激の結果は図10Cに提示する。培地のみとインキュベートした群すべてからの脾細胞におけるCD8+T細胞はおおまかに等量のパーフォリンの量を示し、そのことは、アジュバントの有無によるワクチン接種は、この系における基本となるCD8+T細胞の顆粒性に有意な効力を有さないことを示唆している。重なり合うHIVGagペプチドによる脾細胞の刺激は異なる結果を示した。HIVGag4Y構築物のみで免疫化したマウスからの脾細胞におけるCD8+T細胞は、対照マウスに比べてパーフォリンhiのゲートに入る控えめな増加を示した。しかしながら、IL−12又はIL−23Bを与えたマウスから得たCD8+T細胞は双方とも、Gar4Y構築物のみを与えたマウスから得たものよりも明らかに高いパーフォリンhi細胞の比率での増加を示した(図10C)。これらの結果は、IL−12がリンパ球のパーフォリン含量を高める可能性があるという以前の報告22に一致し、この効力がIL−28Bで報告されたのは初めてである。
【0129】
IL−28BがCD8+T細胞のパーフォリン含量に影響を及ぼすという知識と共に、我々はこのサイトカインアジュバントが同様に抗原特異的な脱顆粒に影響を及ぼし得るかどうかを調べた。これを調べるのに、我々は、EGTA又はMg2+を培養に加えないという事実を除いてパーフォリン誘導を測定したのと同様に細胞をインキュベートし、脱顆粒のマーカーであるCD107aに対する抗体23を代わりにペプチド刺激の時点で増強染色剤として加えた。細胞を再び細胞性マーカーの染色に供し、その後フローサイトメトリーによって解析した。我々は、Gag4Y構築物のみを与えたマウスからのCD8+T細胞が低レベルのGag特異的な脱顆粒を示すことを認めた(図10C)。HIVGag4Y構築物との組み合わせでIL−12を与えたマウスからのCD8+T細胞は、Gag構築物のみを与えたマウスと比べて抗原特異的な脱顆粒で小幅な増加を示したが、この差異は統計的な有意には達しなかった。しかしながら、ワクチン接種におけるアジュバントとしてのIL−28Bを与えたマウスからのCD8+T細胞は、アジュバントを与えなかったマウスから採取したT細胞に比べてHIVGag特異的な脱顆粒において有意な増加を示した(図10C)。結果は、IL−28BがDNAワクチン接種でアジュバントとして用いられるとCD8+T細胞の脱顆粒にてより大きい且つ統計的に有意な増加を招くことを示している。
【0130】
IL−28Bは生体内での致死的インフルエンザ抗原投与から保護する
細胞性の免疫応答に関する我々のアッセイは、IL−28BがTh1に偏った細胞性免疫に対して強いアジュバントとして作用する潜在力を有することを示唆したので、我々は、生体内での致死的なウイルス抗原の投与に対して保護するこのサイトカインの能力を調べることを決定した。これを達成するために、我々は上記と同様の方法で4セットの追加マウス(各群当たりn=8匹)を免疫化し、その後電気穿孔を行った。対照マウスには10μgの空のpVAXベクターを与えたが、ほかの群のマウスは、インフルエンザ核タンパク質(NP)をコードする10μgのプラスミドのみ、又はそれに加えてIL−12若しくはIL−28Bを与えた。インフルエンザの核タンパク質は内部構造のタンパク質であり、ビリオンの外側に暴露されていない。従って、NPタンパク質に対して標的とされるインフルエンザ感染に対する免疫は、液性免疫であると同時に細胞性免疫である16。IFNγELISpotを介したワクチン接種したマウスの細胞性免疫の解析は、HIVGag4Y構築物に対する応答を増強したのとほぼ同じようにIL−12及びIL−28BのアジュバントはインフルエンザNP抗原に対して高い応答を誘導した(図11A)。免疫後4週間の休息期間の後(図11B)、H1N1インフルエンザ株:A/プエルトリコ8/34(A/PR/8/34)の10LD50を鼻内にてすべてのマウスに抗原投与した。ウイルス感染に関連した死亡率について次の14日間の経過にわたってマウスをモニターした。この実験の結果は、対照マウスの抗原投与は感染後8日目で結果的に100%の死亡率を生じたことを示している(図11C)。10μgのNP構築物を与えたマウスが以後の14日間で50%の死亡率を示したということは、NP構築物のみでは保護を誘導するのに完全に十分ではないことを示唆している。IL−12は、抗原投与試験でアジュバントとして使用した場合、ウイルス感染に関連した死亡に対して十分な保護を誘導することができることが過去において示されている13,14。NPに対するアジュバントとしてIL−12を与えたマウスが感染による死亡から100%の保護を示したという事実によって示されたように、現在の試験でもこれはそのとおりである。さらに、IL−28Bは強力な細胞性の免疫応答を誘導することができたことを示唆する我々の以前のアッセイに一致して、NPに対するアジュバントとしてIL−28Bを与えたマウスもウイルス抗原投与後100%の生存を示した。この実験の結果は、IL−28BがDNAワクチン接種の間にアジュバントとして使用されると生体内でのウイルス感染に伴った死亡から100%の保護を誘導し得ることを示している。
【0131】
考察
ここに提示した試験は、プラスミドにコードされたIL−28BがDNAワクチン接種でアジュバントとして使用された場合、抗原特異的な免疫応答に対して強力な効力を有し得ることを示している。IL−28Bは、Th1に偏って複数クレードHIVGag抗原に対する抗原特異的な免疫応答を増強することができたが、それは、ワクチン接種したマウスの血清で検出される高いレベルのGag特異的IgG2aと同様に抗原特異的なELISpotにおける大きく高められたIFNγの放出によって証拠付けられた。さらに、これは、DNAワクチン接種後の脾臓Treg集団を減らすIL−28Bの能力を記載する最初の記録である。IL−28Bはまたここで、脾臓CD8+T細胞を増殖させることができることが示され、これらの細胞が同族の抗原に応答して高いパーフォリン誘導と脱顆粒を示すことが示された。IL−28Bが致死的なウイルス抗原投与においてマウスの保護を増強することができたという事実は、ワクチン接種におけるアジュバントとしてのこのサイトカインの継続した試験を強く主張する。
【0132】
IL−12はワクチン接種試験におけるアジュバントとして使用されることが多い高度に強力なサイトカインである9〜13ことが知られているという事実のために、IL−28Bの影響をIL−12に対して測定した。この組み合わせの解析はIL−28Bが、それ以上ではなくても場合によっては少なくともIL−12と同じくらい強力であることを示している。さらに、IL−28Bは、抗原特異的な抗体力価の上昇と、高い程度の抗原特異的な細胞溶解性の脱顆粒か可能である脾臓CD8+T細胞集団の増加を含む、IL−12にはない、ワクチン接種についての追加の利益を与えている。Treg集団に対するIL−28BとIL−12の効力は劇的に異なった。これは、DNAワクチン接種においてIL−12に応答したTregの誘導を分析し、このアジュバントがこの細胞集団を増やし得ることを報告する最初の試験である。この知見の影響は今のところ明らかではないが、この結果は、IL−28Bは細胞性免疫が最重要である特定の状況では優れうることを支持し得る。最近の報告は生体内でのTregの生成に対するIL−12受容体の重要性を強調しているが24、IL−12を与えたマウスがさらに大きなTreg集団を有する具体的なメカニズムは不明のままであり、このサイトカインとTreg集団の誘導及び増殖との間の連鎖の可能性を示唆している。Tregメンバーを減らすIL−28Bの能力は、それがT細胞の一部のサブセット(CD8)を増やすことができる一方でほか(Treg)を減らすので、標的メカニズムである可能性が高いと思われる。具体的なメカニズムに対する追加の試験が必要とされるが、これもまたIL−28受容体が介在することが可能である。
【0133】
ここに提示した結果は、生体内でのIL−28Bの機能の重要な分析を含み、構成し、IL−28Bが免疫応答にどのように影響を及ぼすかということの我々の理解の始まりに寄与する。データは、IL−28BがIFN様の機能に加えて適応免疫応答のレギュレータであり得ることを示唆し、この効力はCD8+T細胞の数と機能に大きく集中していると思われる。IL−28Bが抗原特異的免疫応答を方向付けることができることに加えて抗ウイルス状態を誘導するという事実は、それが天然の免疫と適応性の免疫との間のギャップを繋ぐ独特の能力を有することを示唆している。さらに、IL−28Bは、特定のアジュバント設定にてIL−12を超えた免疫療法のアプローチで独特の役割を有し得る。特に、寛容が特に問題である腫瘍免疫におけるアジュバントとして、IL−28Bが非常に有用であり得る。これを適切に検証するためにさらなる試験が必要である。
【0134】
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23. Belyakov IM, Derby MA, Ahlers JD, et al. Mucosal immunization with HIV−1 peptide vaccine induces mucosal and systemic cytotoxic T lymphocytes and protective immunity in mice against intrarectal recombinant HIV−vaccinia challenge. Proc Natl Acad Sci U S A. 1998;95:1709−1714.
24. Zhao Z, Yu S, Fitzgerald DC, et al. IL−12Rbeta2 promotes the development of CD4+CD25+ regulatory T cells. J Immunol. 2008;181:3870−3876.
【技術分野】
【0001】
本発明は、改善されたワクチン、免疫原に対して個体を予防的及び/又は治療的に免疫化するための改善された方法及び改善された免疫治療組成物及び改善された免疫療法に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願は、参照により本明細書に組み込まれる2008年4月4日に出願された米国特許仮出願第61/042,674号に対して優先権を主張する。
【0003】
免疫療法は、ヒトの免疫応答を調節して望ましい治療効果を付与することを指す。免疫治療薬は、個体に投与した場合、望ましくない免疫応答を伴う症状を最終的に減らす又は望ましい免疫応答を高めて最終的に症状を緩和するのに十分な個体の免疫系を調整する組成物を指す。場合によっては、免疫療法は、そのような場合、個体がそれに対して免疫応答を生じる免疫原に個体を暴露するワクチンを個体に投与し、免疫治療薬が免疫応答を高め、及び/又は特定の状態、感染又は疾患を治療する又は予防するのが望ましい免疫応答の一部(たとえば、細胞性又は液性)を選択的に向上させるワクチン接種のプロトコールの一部である。
【0004】
参照により本明細書に組み込まれる特許文献1は、ヒトIL−28AとヒトIL−28Bの核酸配列とアミノ酸配列及びウイルス感染した個体に対するIL−28A又はIL−28Bのタンパク質の投与を開示している。
【0005】
参照により本明細書に組み込まれる特許文献2は、IL−23p19に結合する抗体を開示している。抗体を含む組成物と、IL−28を含む任意のインターロイキンタンパク質との併用での抗IL−23p19抗体を含む、他の作用剤との併用での抗体の投与を含む使用が記載されている。
【0006】
参照により本明細書に組み込まれる特許文献3は、HCVに感染している個体を治療するための抗ウイルス剤との併用でのHCVワクチンを開示している。開示されたHCVワクチンとの併用でHCVに感染した個体を治療するために使用される抗ウイルス化合物のリストにIL−28タンパク質は含まれる。
【0007】
参照により本明細書に組み込まれる特許文献4は、2つ以上の治療タンパク質をコードする核酸分子によって形質移入した癌細胞と、そのような癌細胞を個体に投与することによって癌に罹った個体を治療することを開示している。サイトカインは列記される治療タンパク質に含まれ、IL−28はサイトカインのリストに含まれる。
【0008】
参照により本明細書に組み込まれる特許文献5は、癌細胞標的部分と抗細胞増殖部分を含む抗癌化合物と、癌を治療する及び癌細胞の化学耐性を防ぐ又は阻止するためのそのような化合物の使用を開示している。ホルモンは、列記される癌細胞標的部分に含まれ、IL−28はホルモンのリストに含まれる。
【0009】
参照により本明細書に組み込まれる特許文献6は、治療タンパク質をコードする核酸分子を送達するための処方を開示している。IL−28は、治療タンパク質として記載されたタンパク質のリストに含まれる。
【0010】
ヒトの免疫応答を調節して改善された免疫応答を誘導する作用剤の送達によってワクチンプロトコールを改善することができる。個体がそれに対して免疫応答を生じる免疫原に個体を暴露するワクチンを個体に投与するワクチンプロトコールの一部では、免疫応答を高め、及び/又は特定の状態、感染又は疾患を治療する又は予防するのが望ましい免疫応答の一部(たとえば、細胞性又は液性)を選択的に向上させる作用剤が提供される。
【0011】
ワクチンは、たとえば、アレルゲン、病原体抗原又はヒトの疾患に関与する細胞と関連する抗原のような標的抗原に対して個体を免疫化するのに有用である。ヒトの疾患に関与する細胞と関連する抗原には、癌関連の腫瘍抗原及び自己免疫疾患に関与する細胞に関連する抗原が挙げられる。
【0012】
そのようなワクチンの設計において、ワクチン接種された個体の細胞において標的抗原を産生させるワクチンは免疫系の細胞性免疫を誘導することにおいて有効であることが認識されている。具体的には、弱毒生ワクチン、無毒のベクターを用いる組換えワクチン及びDNAワクチンはそれぞれ、ワクチン接種された個体の細胞において抗原の産生をもたらし、結果的に免疫系の細胞性免疫の誘導を生じる。他方で、死菌ワクチン又は不活化ワクチン、及びタンパク質だけを含むサブユニットワクチンは、有効な液性応答を誘導するが、良好な細胞性の免疫応答を誘導しない。
【0013】
病原体感染に対して防御を提供するのに、及び病原体感染、癌又は自己免疫疾患の治療のために有効な免疫介在療法を提供するのに細胞性の免疫応答が必要であることが多い。従って、ワクチン接種された個体の細胞において標的抗原を産生するワクチン、たとえば、弱毒生ワクチン、無毒のベクターを用いる組換えワクチン及びDNAワクチンが好まれることが多い。
【0014】
病原体感染又はヒトの疾患に対して予防的に又は治療上、個体を免疫化するのにそのようなワクチンが有効であることが多い一方で、改善されたワクチンに対するニーズがある。向上した免疫応答を生じる組成物及び方法に対するニーズがある。
【0015】
同様に、一部の免疫治療薬が患者において免疫応答を調節するのに有用である一方で、改善された免疫治療薬の組成物及び方法に対するニーズが依然として存在したままである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】米国特許第7,135,170号明細書
【特許文献2】米国特許第7,491,391号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第20050037018号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第20060165668号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第20060263368号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第20070066552号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は、組成物、IL−28又はその機能的断片をコードする単離された核酸分子との組み合わせで免疫原をコードする単離された核酸分子に関する。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明はさらに、組成物、免疫原とIL−28又はその機能的断片との双方をコードする単離された核酸分子に関する。
【0019】
本発明は、IL−28又はその機能的断片をコードする単離された核酸分子との組み合わせで免疫原をコードする単離された核酸分子を含む注射用医薬組成物に関する。
【0020】
本発明は、免疫原とIL−28又はその機能的断片との双方をコードする単離された核酸分子を含む注射用医薬組成物に関する。
【0021】
本発明はさらに、組成物、IL−28又はその機能的断片をコードする単離された核酸分子との組み合わせで免疫原をコードする単離された核酸分子を個体に投与することを含む、個体において免疫原に対する免疫応答を誘導する方法に関する。
【0022】
本発明はさらに、免疫原とIL−28又はその機能的断片をコードする核酸分子を個体に投与することを含む、個体において免疫原に対する免疫応答を誘導する方法に関する。
【0023】
本発明はさらに、調節エレメントに操作可能に連結された免疫原をコードするヌクレオチド配列、IL−28又はその機能的断片をコードするヌクレオチド配列を含む組換えワクチンと、個体にそのような組換えワクチンを個体に投与することを含む、個体において免疫原に対する免疫応答を誘導する方法に関する。
【0024】
本発明はさらに、IL−28又はその機能的断片をコードするヌクレオチド配列を含む弱毒化した生きた病原体と、弱毒化した生きた病原体を個体に投与することを含む、個体において病原体に対する免疫応答を誘導する方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】IL−28の同時処理の存在下又は非存在下にてGagプラスミドで免疫化したマウスと比べた場合のマウス脾細胞によるインターフェロンγの応答を測定する実験のデータを示す図である。
【図2】フローサイトメトリーを用いたIL−28処理の存在下又は非存在下での脾細胞の解析のデータを示す図である。
【図3】実施例3に記載された実験のデータを示す図である。3μgのアカゲザルIL−28B(macIL−28B)又は対照としての空のベクターによってRD細胞に形質移入した。形質移入の48時間後のELISAによってサルIL−28Bの存在について上清をアッセイした。
【図4】実施例3に記載された実験のデータを示す図である。HIVPolのみをコードするプラスミドで又はサルIL−28Bをコードするプラスミドと組み合わせてHIVPolをコードするプラスミドでアカゲザルを2回免疫化した。IFNγELISpotによってアッセイした場合、macIL−28Bの添加によって、抗原特異的免疫応答が約3倍高まった。
【図5】免疫スケジュール及びプラスミドマップを示す図である。図5Aは、アジュバントの有無にて複数クレードHIVGag構築物で0日目と14日目にマウスを免疫化し、次いで、各免疫後、CELLECTRA(登録商標)適合定電流装置を用いた電気穿孔法を行ったことを示す。21日目にマウスを屠殺し、リンパ球を単離して分析した。図5Bは、マウスのIL−28BとIL−12の構築物のプラスミドマップを示す。
【図6】試験管内でのマウスIL−12とマウスIL−28Bの発現と分泌を示す図である。図6Aは、形質移入後48時間でのHEK293T細胞溶解物からのマウスIL−12p40とマウスIL−28のタンパク質についてのウエスタンブロットのデータを示す。模擬形質移入細胞には空のpVAXベクターを与えた。図6Bは、形質移入した細胞の上清への活性のあるIL−12p35/p40へテロダイマー及びIL−28タンパク質の分泌を示すELISAのデータを示す。
【図7A】単離した脾細胞のHIVGag特異的なIFNγ及びIL−4のELISpotを示す図である。図7Aは、単離した脾細胞で実施した使用抗原特異的なIFNγELISpotによって測定したTh1応答の誘導に対するサイトカインアジュバントの効果を示す。ELISpotは、IL−12をアジュバントとして又はIL−28Bをアジュバント(n=4)として与えたマウスから回収された脾細胞で実施し、IFNγスポット形成単位(SFU)を数えた。図7Bは、同様にIL−4ELISpotにて測定したTh2応答の誘導に対するサイトカインアジュバントの効果を示す。
【図7B】単離した脾細胞のHIVGag特異的なIFNγ及びIL−4のELISpotを示す図である。図7Aは、単離した脾細胞で実施した使用抗原特異的なIFNγELISpotによって測定したTh1応答の誘導に対するサイトカインアジュバントの効果を示す。ELISpotは、IL−12をアジュバントとして又はIL−28Bをアジュバント(n=4)として与えたマウスから回収された脾細胞で実施し、IFNγスポット形成単位(SFU)を数えた。図7Bは、同様にIL−4ELISpotにて測定したTh2応答の誘導に対するサイトカインアジュバントの効果を示す。
【図8】ワクチン接種した動物の血清におけるHIVGag特異的なIgGを示す図である。免疫後1週間でのHIVGag特異的な抗体の存在について対照(pVAX)の血清又は免疫化した動物(n=4)の血清をアッセイした(図8Aは総IgGを示し、図8BはIgG1を示し、図8CはIgG2aを示す)。
【図9A】免疫の間の制御性T細胞とTGFβ分泌の差次的誘導を示す図である。全群(n=4)から単離した脾細胞で制御性T細胞(CD4+/CD25hi/FoxP3+)の存在をフローサイトメトリーによってアッセイした(図9A)。フローサイトメトリーの解析は、TReg集団での差異を示すが、これらの細胞からのサイトカインの分泌の分析はTGFβの放出での差異を示す(図9B)。p値は、Gag4Yのみでワクチン接種したマウスとGag4YプラスIL−12又はIL−28Bでワクチン接種したマウスの間での比較を反映する。
【図9B】免疫の間の制御性T細胞とTGFβ分泌の差次的誘導を示す図である。全群(n=4)から単離した脾細胞で制御性T細胞(CD4+/CD25hi/FoxP3+)の存在をフローサイトメトリーによってアッセイした(図9A)。フローサイトメトリーの解析は、TReg集団での差異を示すが、これらの細胞からのサイトカインの分泌の分析はTGFβの放出での差異を示す(図9B)。p値は、Gag4Yのみでワクチン接種したマウスとGag4YプラスIL−12又はIL−28Bでワクチン接種したマウスの間での比較を反映する。
【図10A】CD8+T細胞集団、顆粒性及び脱顆粒における変化を示す図である。CD8+T細胞(CD3+/CD8+)の比率は、脾臓及び腸間膜のリンパ球にてフローサイトメトリーによって評価した(図10A)。CD8+T細胞におけるパーフォリンの抗原特異的誘導は、非刺激細胞(NP)のHIVGagペプチド(ペプチド)で刺激した細胞との比較によって解析した。単一実験の結果を示し(図10B)、全実験の平均をグラフにする(図10C)。抗原特異的な細胞溶解性の脱顆粒は、CD107aに対する抗体の存在下でのペプチドによる刺激、次いでフローサイトメトリーを用いた解析によって測定した(図10C)。p値は、Gag4Yのみでワクチン接種したマウスとGag4YプラスIL−12又はIL−28Bでワクチン接種したマウスの間での比較を反映する。
【図10B】CD8+T細胞集団、顆粒性及び脱顆粒における変化を示す図である。CD8+T細胞(CD3+/CD8+)の比率は、脾臓及び腸間膜のリンパ球にてフローサイトメトリーによって評価した(図10A)。CD8+T細胞におけるパーフォリンの抗原特異的誘導は、非刺激細胞(NP)のHIVGagペプチド(ペプチド)で刺激した細胞との比較によって解析した。単一実験の結果を示し(図10B)、全実験の平均をグラフにする(図10C)。抗原特異的な細胞溶解性の脱顆粒は、CD107aに対する抗体の存在下でのペプチドによる刺激、次いでフローサイトメトリーを用いた解析によって測定した(図10C)。p値は、Gag4Yのみでワクチン接種したマウスとGag4YプラスIL−12又はIL−28Bでワクチン接種したマウスの間での比較を反映する。
【図10C】CD8+T細胞集団、顆粒性及び脱顆粒における変化を示す図である。CD8+T細胞(CD3+/CD8+)の比率は、脾臓及び腸間膜のリンパ球にてフローサイトメトリーによって評価した(図10A)。CD8+T細胞におけるパーフォリンの抗原特異的誘導は、非刺激細胞(NP)のHIVGagペプチド(ペプチド)で刺激した細胞との比較によって解析した。単一実験の結果を示し(図10B)、全実験の平均をグラフにする(図10C)。抗原特異的な細胞溶解性の脱顆粒は、CD107aに対する抗体の存在下でのペプチドによる刺激、次いでフローサイトメトリーを用いた解析によって測定した(図10C)。p値は、Gag4Yのみでワクチン接種したマウスとGag4YプラスIL−12又はIL−28Bでワクチン接種したマウスの間での比較を反映する。
【図11A】致死的インフルエンザ抗原投与における死からの保護を示す図である。図11Aは、単離した脾細胞で実施した使用抗原特異的なIFNγELISpotによって測定したTh1応答の誘導に対するIL−12及びIL−28の効果を示す。図11Bは、アジュバントの有無にてインフルエンザNP構築物で0日目と14日目にマウス(n=8)を免疫化し、次いで各免疫後、CELLECTRA(登録商標)適合定電流装置を用いた電気穿孔法を行った実験のデータを示す。42日目に、H1N1インフルエンザ株であるA/PR/8/34の10LD50による鼻内抗原投与をマウスに行った。インフルエンザ感染に伴う死亡率を14日の経過にわたって追跡した(図11B)。
【図11B】致死的インフルエンザ抗原投与における死からの保護を示す図である。図11Aは、単離した脾細胞で実施した使用抗原特異的なIFNγELISpotによって測定したTh1応答の誘導に対するIL−12及びIL−28の効果を示す。図11Bは、アジュバントの有無にてインフルエンザNP構築物で0日目と14日目にマウス(n=8)を免疫化し、次いで各免疫後、CELLECTRA(登録商標)適合定電流装置を用いた電気穿孔法を行った実験のデータを示す。42日目に、H1N1インフルエンザ株であるA/PR/8/34の10LD50による鼻内抗原投与をマウスに行った。インフルエンザ感染に伴う死亡率を14日の経過にわたって追跡した(図11B)。
【図11C】致死的インフルエンザ抗原投与における死からの保護を示す図である。図11Aは、単離した脾細胞で実施した使用抗原特異的なIFNγELISpotによって測定したTh1応答の誘導に対するIL−12及びIL−28の効果を示す。図11Bは、アジュバントの有無にてインフルエンザNP構築物で0日目と14日目にマウス(n=8)を免疫化し、次いで各免疫後、CELLECTRA(登録商標)適合定電流装置を用いた電気穿孔法を行った実験のデータを示す。42日目に、H1N1インフルエンザ株であるA/PR/8/34の10LD50による鼻内抗原投与をマウスに行った。インフルエンザ感染に伴う死亡率を14日の経過にわたって追跡した(図11B)。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本明細書で使用されるとき、用語「IL−28」は、その様々な変異体を含むが、たとえば、限定はされないが、IL−28A、IL−28B及びIL−28Cなどのインターフェロンラムダであるインターロイキン28タンパク質を指す。
【0027】
本明細書で使用されるとき、「機能的断片」は、免疫原と併せて送達された場合、断片なしで免疫原が送達される際に誘導される免疫に比べて高い免疫応答を提供するIL−28の断片を指すことを意味する。断片は一般に10以上のアミノ酸の長さである。
【0028】
本明細書で使用されるとき、「標的タンパク質」は、免疫応答について標的タンパク質として作用する本発明の遺伝子構築物によってコードされたペプチド及びタンパク質を指すことを意味する。用語「標的タンパク質」と「免疫原」は交換可能に使用され、それに対して免疫応答を誘発することができるタンパク質を指す。標的タンパク質は、それに対する免疫応答が所望される、病原体又は癌細胞のような望ましくない細胞型又は自己免疫疾患に関与する細胞に由来するタンパク質と少なくともエピトープを1つ共有する免疫原性のタンパク質である。標的タンパク質に向けられた免疫応答は、標的タンパク質が関係する特定の感染又は疾患に対して個体を保護し、及び/又はそれについて個体を治療するであろう。いくつかの実施形態では、標的タンパク質は、たとえば、ウイルスタンパク質又はその断片のような病原体抗原である。いくつかの実施形態では、標的タンパク質は、HCVに由来するウイルスタンパク質又はその断片である。いくつかの実施形態では、標的タンパク質は、HCV以外のウイルスに由来するウイルスタンパク質又はその断片である。
【0029】
本明細書で使用されるとき、用語「遺伝子構築物」は、標的タンパク質又は免疫調節タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含むDNA又はRNAの分子を指す。コーディング配列は、核酸が投与される個体の細胞にて発現を導くことが可能であるプロモータ及びポリアデニル化シグナルを含む調節エレメントに操作可能に連結された開始シグナルと終止シグナルを含む。
【0030】
本明細書で使用されるとき、用語「発現可能な形態」は、個体の細胞に存在する場合、コーディング配列が発現されるように、標的タンパク質又は免疫調節タンパク質をコードするコーディング配列に操作可能に連結された必要な調節エレメントを含有する遺伝子構築物を指す。
【0031】
本明細書で使用されるとき、用語「エピトープを共有すること」は、もう1つのタンパク質のエピトープと同一である又は実質的に類似する少なくとも1つのエピトープを含むタンパク質を指す。
【0032】
本明細書で使用されるとき、用語「実質的に類似のエピトープ」は、タンパク質のエピトープとは同一ではないが、それにもかかわらず、そのタンパク質と交差反応する細胞性の又は液性の免疫応答を引き起こす構造を有するエピトープを指すことを意味する。
【0033】
本明細書で使用されるとき、用語「細胞内の病原体」は、その生殖サイクル又は生命サイクルの少なくとも一部が宿主細胞内に存在し、その中で病原体タンパク質を産生する又はその産生の原因となるウイルス又は病原性生物を指すことを意味する。
【0034】
本明細書で使用されるとき、用語「過剰増殖性疾患」は、細胞の過剰増殖を特徴とする疾患又は障害を指すことを意味する。
【0035】
本明細書で使用されるとき、用語「過剰増殖関連性タンパク質」は、過剰増殖性疾患に関連するタンパク質を指すことを意味する。
【0036】
本発明は、ワクチンの一部として送達されると、IL−28及びその機能的断片、及びその組み合わせをコードする核酸分子は免疫応答を調節するという発見から生じている。従って、IL−28及びその機能的断片、及びその組み合わせをコードする核酸分子は、ワクチンの成分と組み合わせて又はワクチンの成分として免疫治療薬として送達されてもよい。
【0037】
IL−28タンパク質及びそのようなタンパク質をコードする分子は、それぞれ参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,135,170号及び同第7,157,559号に開示されている。さらに米国特許第6,927,040号及び同第7,038,032号をそれぞれ参照によって本明細書に組み入れる。インターフェロン様タンパク質Zcyto21, Kotenko et al., Nat. Immunol. 4(1):69−77, 2003及びSheppard et al., Nat. Immunol. 4(1):63−68, 2003も参照によって本明細書に組み入れる。
【0038】
ヒトIL−28Aのタンパク質配列についてのGENBANK受入番号はNP_742150及びAAR24510であり、それぞれ参照により本明細書に組み込まれる。
ヒトIL−28Bのタンパク質配列についてのGENBANK受入番号はNP_742151及びAAR24509であり、それぞれ参照により本明細書に組み込まれる
ヒトIL−28Cのタンパク質配列についてのGENBANK受入番号はAAQ01561であり、参照により本明細書に組み込まれる。
参照により本明細書に組み込まれるGENBANK受入番号Q8IZJ0は、インターロイキン−28A前駆体(IL−28A)(インターフェロンラムダ−2)(IFN−ラムダ−2)(サイトカインZCYTO20)を指す。
参照により本明細書に組み込まれるGENBANK受入番号Q8IZI9は、インターロイキン−28B前駆体(IL−28B)(インターフェロンラムダ−3)(IFN−ラムダ−3)(インターフェロンラムダ−4)(IFN−ラムダ−4)(サイトカインZCYTO22)を指す。
参照により本明細書に組み込まれるGENBANK受入番号NM_173065は、ホモサピエンスのインターロイキン28受容体アルファ(インターフェロンラムダ受容体)(IL28RA)、転写変異体3mRNAを指す。
参照により本明細書に組み込まれるGENBANK受入番号NM_172138は、ホモサピエンスのインターロイキン28A(インターフェロンラムダ2)(IL28A)、mRNAを指す。
参照により本明細書に組み込まれるGENBANK受入番号NM_172139は、ホモサピエンスのインターロイキン28B(インターフェロンラムダ3)(IL28B)、mRNAを指す。
参照により本明細書に組み込まれるGENBANK受入番号AY129153は、ホモサピエンスのインターロイキン28受容体Aスプライス変異体3(IL28RA)完全cdsを指し;選択的にスプライスされた。
参照により本明細書に組み込まれるGENBANK受入番号AY129152は、ホモサピエンスのインターロイキン28受容体Aスプライス変異体2(IL28RA)完全cdsを指し;選択的にスプライスされた。
参照により本明細書に組み込まれるGENBANK受入番号AY129151は、ホモサピエンスのインターロイキン28受容体A(IL28RA)mRNA完全cdsを指し;選択的にスプライスされた。
参照により本明細書に組み込まれるGENBANK受入番号AY129149は、ホモサピエンスのインターロイキン28B(IL28B)完全cdsを指す。
参照により本明細書に組み込まれるGENBANK受入番号AY129148は、ホモサピエンスのインターロイキン28A(IL28A)完全cdsを指す。
【0039】
本発明のいくつかの実施形態によれば、IL−28又はその機能的断片をコードする核酸配列、及び免疫原をコードする核酸配列との組み合わせの個体への送達は、免疫原に対する免疫応答を高める。転写因子をコードする核酸分子が個体の細胞に取り込まれると、IL−28又はその機能的断片、及び免疫原をコードするヌクレオチド配列が細胞内で発現され、それによってタンパク質が個体に送達される。本発明の態様は、単一の核酸分子でタンパク質のコーディング配列を送達する方法、異なった核酸分子でタンパク質のコーディング配列を送達する方法並びに組換えワクチンとして及び弱毒化ワクチンの一部としてタンパク質のコーディング配列を送達する方法を提供する。
【0040】
本発明の一部の態様によれば、病原体又は異常な疾患関連の細胞に対して個体を予防的及び/又は治療的免疫化する組成物及び方法が提供される。ワクチンは、たとえば、弱毒生ワクチン、組換えワクチン又は核酸若しくはDNAのワクチンのようなワクチンのいずれの種類であってもよい。IL−28又はその機能的断片をコードする核酸分子を送達することによって、ワクチンで誘導された免疫応答が調節されうる。たとえば、プラスミド又は組換えベクター若しくは弱毒化病原体若しくは細胞のゲノムの一部として発現可能な核酸分子を送達する際、IL−28は特に有用である。感染していない又は疾患に罹っていない個体にて防御的な免疫応答を誘導するために予防的に送達される際、IL−28は特に有用である。IL−28BはIL−28の特に有用な形態である。ヒトにおいて防御的な免疫応答を誘導するのに送達される際、IL−28は特に有用である。いくつかの実施形態では、IL−28をコードする核酸分子は無細胞組成物で送達される。いくつかの実施形態では、IL−28をコードする核酸分子は、癌細胞を含まない組成物で送達される。いくつかの実施形態では、IL−28又はIL−28をコードする核酸分子が他のサイトカインなしで投与される。いくつかの実施形態では、その中に組み込まれる又はそれに連結される非IL−28配列なしでIL−28又はIL−28をコードする核酸分子が提供される。
【0041】
免疫調節タンパク質をコードする単離されたcDNAは、免疫調節タンパク質を産生することができる構築物の構築において出発物質として有用である。常法及び容易に入手できる出発物質を用いて、免疫調節タンパク質をコードする核酸分子を調製してもよい。
【0042】
本発明は、免疫調節タンパク質を送達するための組成物及びその使用方法に関する。本発明の態様は、調節エレメントに操作可能に連結された免疫原をコードするヌクレオチド配列との組み合わせで、調節エレメントに操作可能に連結されたIL−28又はその機能的断片をコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子に関する。本発明の態様は、調節エレメントに操作可能に連結された免疫原をコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子との組み合わせで、調節エレメントに操作可能に連結されたIL−28又はその機能的断片をコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子含む組成物に関する。本発明はさらに、そのような核酸分子を含む注射用医薬組成物に関する。
【0043】
DNA注入(DNAワクチン接種とも言う)、組換えアデノウイルスのような組換えベクター、組換えアデノウイルス関連のウイルス及び組換えワクシニアウイルスを含む幾つかの周知の技術のいずれかを用いて核酸分子を送達してもよい。
【0044】
DNAワクチンは、それぞれ参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,593,972号、同第5,739,118号、同第5,817,637号、同第5,830,876号、同第5,962,428号、同第5,981,505号、同第5,580,859号、同第5,703,055号、同第5,676,594及びその中で引用された優先出願に記載されている。これらの出願に記載された送達プロトコールに加えて、DNAを送達する代替方法は、双方共参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,945,050号及び同第5,036,006に記載されている。
【0045】
投与の経路には、筋肉内、鼻内、腹腔内、皮内、皮下、静脈内、動脈内、眼内、及び口腔、並びに局所、経皮での投与、吸入又は座薬による投与又は粘膜組織への投与、たとえば、膣、直腸、尿道、頬内又は舌下の組織に対する洗浄による投与が挙げられるが、これらに限定されない。投与の好ましい経路には、粘膜への投与、筋肉内、腹腔内、皮内及び皮下への注射が挙げられる。従来の注射、針の無い注射用具又は「微量発射衝撃遺伝子銃」を含むが、これらには限定されない手段によって遺伝子構築物を投与してもよい。
【0046】
投与の別の経路には、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,273,525号、同第5,439,440号、同第5,702,359号、同第5,810,762号、同第5,993,434号、同第6,014,584号、同第6,055,453号、同第6,068,650号、同第6,110,161号、同第6,120,493号、同第6,135,990号、同第6,181,964号、同第6,216,034号、同第6,233,482号、同第6,241,701号、同第6,347,247号、同第6,418,341号、同第6,451,002号、同第6,516,223号、同第6,567,694号、同第6,569,149号、同第6,610,044号、同第6,654,636号、同第6,678,556号、同第6,697,669号、同第6,763,264号、同第6,778,853号、同第6,865,416号、同第6,939,862号及び同第6,958,060に記載されたような遺伝子構築物を送達するための電気穿孔法の使用が関与する。
【0047】
DNAワクチンの送達を円滑にするために好まれる電気穿孔装置及び電気穿孔法の例には、その内容物が全体として参照により本明細書に組み込まれる、Draghia−Akli,らによる米国特許第7,245,963号、Smithらによって出願された米国特許公開第2005/0052630号に記載されたものが挙げられる。全てその全体が本明細書に組み入れられる、2006年10月17日に出願された米国特許仮出願、出願番号60/852,149及び2007年10月10日に出願された同出願番号60/978.982に対して35USC119(e)のもとで利益を主張する2007年10月17日に出願された同時係属、同時所有の米国特許仮出願、出願番号11/874072で提供されたDNAワクチンの送達を円滑にするための電気穿孔装置及び電気穿孔法も好まれる。
【0048】
以下は電気穿孔技術を用いた実施形態の例であり、上記で議論した特許参考文献でさらに詳細に議論される:電気穿孔装置は、ユーザーによって入力された前もって設定された電流に類似する定電流を生じるエネルギーのパルスを哺乳類の所望の組織に送達するように構成される。電気穿孔装置は、電気穿孔構成要素と電極アセンブリ又は取っ手アセンブリを備える。電気穿孔構成要素は、コントローラ、電流波形発生器、インピーダンステスター、波形自動記録器、入力要素、状態報告要素、連通ポート、記憶構成要素、電源及び電源スイッチを含む電気穿孔装置の1つ以上の種々の要素を含み、組み入れることができる。電気穿孔構成要素は、電気穿孔装置の1要素として機能することができ、ほかの要素は電気穿孔構成要素と連通して別々の要素(又は構成要素)である。実施形態の1つでは、電気穿孔構成要素は、電気穿孔装置の1を超える要素として機能することができ、電気穿孔構成要素と分かれた電気穿孔装置のさらにほかの要素と連通することができる。要素は1つの装置として又は互いに連通した別の要素として機能することができるので、1つの電気機械的又は機械的な装置の一部として存在する電気穿孔装置の要素によってCD28構築物を送達するための電気穿孔技術の使用は限定されない。電気穿孔構成要素は、所望の組織で定電流を生じるエネルギーのパルスを送達することが可能であり、フィードバック機構を含む。電極アセンブリは、空間的配置で複数の電極を有する電極アレイを含み、その際、電極アセンブリは、電気穿孔構成要素からエネルギーのパルスを受け取り、電極を介してそれを所望の組織に送達する。複数の電極の少なくとも1つはエネルギーのパルスの送達の間、中性であり、所望の組織でインピーダンスを測定し、インピーダンスを電気穿孔構成要素に伝える。フィードバック機構はインピーダンスを受け取り、電気穿孔構成要素から送達されたエネルギーのパルスを調整して定電流を維持することができる。
【0049】
いくつかの実施形態では、複数の電極が分散化パターンでエネルギーのパルスを送達する。いくつかの実施形態では、複数の電極は、プログラムされた順序のもとで電極の制御を介して分散化パターンでエネルギーのパルスを送達し、プログラムされた順序はユーザーによって電気穿孔構成要素に入力される。いくつかの実施形態では、プログラムされた順序は順序で送達される複数のパルスを含み、その際、複数のパルスの各パルスは、一方がインピーダンスを測定する中性電極である少なくとも2つの活性電極によって送達され、複数のパルスの次のパルスは、一方がインピーダンスを測定する中性電極である少なくとも2つの活性電極の別の1つによって送達される。
【0050】
いくつかの実施形態では、フィードバック機構は、ハードウエア又はソフトウエアのいずれかによって実行される。好ましくは、フィードバック機構は、アナログの閉鎖ループ回路によって実行される。好ましくは、このフィードバックは、50μs、20μs、10μs又は1μs毎に生じるが、好ましくはリアルタイムフィードバック又は瞬時フィードバック(すなわち、応答時間を測定するために利用可能な技法によって測定される実質的に瞬時の)である。いくつかの実施形態では、中性電極が所望の組織でインピーダンスを測定し、フィードバック機構にインピーダンスを伝え、フィードバック機構はインピーダンスに応答し、事前に設定した電流に類似する値で定電流を維持するようにエネルギーのパルスを調整する。いくつかの実施形態では、フィードバック機構は、エネルギーのパルスを送達する間、連続的に及び瞬時的に定電流を維持する。
【0051】
細胞に取り込まれると、遺伝子構築物は、機能する染色体外分子として細胞内に存在したままでありうる。DNAを細胞に導入してもよいが、その際、それはプラスミド(単数)又はプラスミド(複数)の形態で一時的な基準のもとで存在する。或いは、RNAを細胞に投与してもよい。セントロメア、テロメア及び複製開始点を含む線状のミニ染色体としての遺伝子構築物を提供することが熟考される。遺伝子構築物は、対象に投与される弱毒化した生きた微生物又は組換え微生物ベクターにおける遺伝物質の一部を構成してもよい。遺伝子構築物は、遺伝物質が染色体外のままである組換えウイルスワクチンのゲノムの一部であってもよい。遺伝子構築物は、核酸分子の遺伝子発現に必要な調節エレメントを含む。エレメントには、プロモータ、開始コドン、停止コドン及びポリアデニル化シグナルが挙げられる。さらに、標的タンパク質又は免疫調節タンパク質をコードする配列の遺伝子発現にはエンハンサが必要とされることが多い。これらのエレメントは所望のタンパク質をコードする配列に操作可能に連結され、それらが投与される個体にて調節エレメントが操作可能であることが必要である。
【0052】
開始コドンと停止コドンは一般に所望のタンパク質をコードするヌクレオチド配列の一部であるとみなされる。しかしながら、これらの要素は、遺伝子構築物が投与される個体にて機能的であることが必要である。開始コドンと終止コドンはコーディング配列と共にインフレームでなければならない。
【0053】
プロモータ及びポリアデニル化シグナルは個体の細胞内で機能的でなければならない。
【0054】
本発明を実践するのに、特にヒトのための遺伝子ワクチンの製造にて有用なプロモータの例には、シミアンウイルス40(SV40)のプロモータ、マウス乳癌ウイルス(MMTV)のプロモータ、ヒト免疫不全ウイルス(MV)、たとえば、BIVロングターミナルリピート(LTR)のプロモータ、モレニーウイルス、ALV、サイトメガロウイルス(CMV)、たとえば、CMV前初期プロモータ、エプステイン・バーウイルス(EBV)、ラウス肉腫ウイルス(RSV)に由来するプロモータ、並びにヒトの遺伝子、たとえば、ヒトのアクチン、ヒトのミオシン、ヒトのヘモグロビン、ヒトの筋肉クレアチン及びヒトのメタロチオネインのようなヒト遺伝子に由来するプロモータが挙げられるが、こられに限定されない。
【0055】
本発明を実践するのに、特にヒトのための遺伝子ワクチンの製造にて有用なポリアデニル化シグナルの例には、SV40のポリアデニル化シグナル、ウシ成長ホルモンのポリアデニル化(bgh−ポリA)シグナル、及びLTRのポリアデニル化シグナルが挙げられるが、これらに限定されない。特に、pCEP4プラスミド(カリフォルニア州、サンディエゴのインビトロゲン)中のSV40のポリアデニル化シグナルがSV40ポリアデニル化シグナルと呼ばれ、使用される。
【0056】
DNAの発現に必要とされる調節エレメントに加えて、ほかのエレメントもDNA分子に包含されてもよい。そのような追加のエレメントにはエンハンサが挙げられる。エンハンサは、ヒトのアクチン、ヒトのミオシン、ヒトのヘモグロビン、ヒトの筋肉クレアチンのエンハンサ、及びたとえば、CMV、RSV及びEBVに由来するもののようなウイルスのエンハンサを含むが、これらに限定されない群から選択されてもよい。
【0057】
構築物を染色体外で維持し、細胞内で複数コピーの構築物を産生するために遺伝子構築物に哺乳類の複製開始点を設けることができる。インビトロゲン(カリフォルニア州、サンディエゴ)のプラスミドpVAX1、pCEP4及びpREP4は、エプステイン・バーウイルスの複製開始点と、統合しないで高いコピーのエピソーム複製を生じる核抗原EBNA−1のコーディング領域を含有する。
【0058】
免疫応用に関する一部の好ましい実施形態では、標的タンパク質、免疫調節タンパク質、さらに、そのような標的タンパク質に対する免疫応答をさらに高めるタンパク質の遺伝子をコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子が送達される。そのような遺伝子の例は、そのほかのサイトカイン及びケモカイン、たとえば、アルファ−インターフェロン、ガンマ−インターフェロン、血小板由来増殖因子(PDGF)、TNF、GM−CSF、上皮増殖因子(EGF)、IL−1、IL−2、IL−4、IL−6、IL−10、IL−12、及びシグナル配列を欠損し、任意でIgEのシグナルペプチドを含むIL−15を含むIL−15をコードするものである。
【0059】
方法で使用される組成物は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許公開第20030176378号に相当する米国特許出願、出願番号10/139,423に示されたような、1つ以上の以下のタンパク質及び/又はそのようなタンパク質をコードする核酸分子をさらに含んでもよい:主要組織適合複合体クラスI抗原又は主要組織適合複合体クラスII抗原を含む主要組織適合複合体抗原;Apo−1、Fas、TNFR−1、p55、WSL−1、DR3、TRAMP、Apo−3、AIR、LARD、NGRF、DR4、DR5、KILLER、TRAIL−R2、TRICK2及びDR6を含むが、これらに限定されない死のドメイン受容体;死のシグナル、すなわち、FADD、FAP−1、TRADD、RIP、FLICE及びRAIDDを含むが、これらに限定されない死のドメイン受容体と相互作用するタンパク質;又は、FAS−L及びTNFを含むが、これらに限定されない死のドメイン受容体に結合し、アポトーシスを開始するリガンドを含む死のシグナル;並びにFADD、MORT1及びMyD88を含むが、これらに限定されない死のドメイン受容体と相互作用するメディエータ;たとえば、昆虫及び蛇の毒、Psuedomoneusの内毒素のような細菌の内毒素、シグナル鎖毒素を含むリシン、及びゲロニンのようなタンパク質を不活化する二本鎖リボソームに限定されない細胞を殺傷するタンパク質を含む毒素。
【0060】
方法で使用される組成物は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許公開第20070041941号に相当する米国特許出願、出願番号10/560,650に示されたような、1つ以上の以下のタンパク質及び/又はそのようなタンパク質をコードする核酸分子をさらに含んでもよい:たとえば、IL−15タンパク質配列に連結されたIgEのシグナルペプチドを含む融合タンパク質のようなIL−15タンパク質配列に連結された非IL−15シグナルペプチドを含む融合タンパク質を含むIL−15、CD40L、TRAIL;TRAILrecDRC5、TRAIL−R2、TRAIL−R3、TRAIL−R4、RANK、RANKリガンド、Ox40、Ox40リガンド、NKG2D、F461811又はMICA、MICB、NKG2A、NKG2B、NKG2C、NKG2E、NKG2F、CD30、CD153(CD30L)、Fos、c−jun、Sp−1、Ap1、Ap−2、p38、p65Rel、MyD88、IRAK、TRAF6、IkB、NIK、SAPK、SAP1、JNK2、JNK1B2、JNK1B1、JNK2B2、JNK2B1、JNK1A2、JNK2A1、JNK3A1、JNK3A2、NF−カッパB2、p49スプライス形態、NF−カッパB2、p100スプライス形態、NF−カッパB2、p105スプライス形態、NF−カッパB50K鎖前駆体、NFκBp50、ヒトIL−1アルファ、ヒトIL−2、ヒトIL−4、マウスIL−4、ヒトIL−5、ヒトIL−10、ヒトIL−15、ヒトIL−18、ヒトTNFアルファ、ヒトTNFベータ、ヒトインターロイキン12、MadCAM−1、NGFIL−7、VEGF、TNF−R、Fas、CD40L、IL−4、CSF、G−CSF、GM−CSF、M−CSF、LFA−3、ICAM−3、ICAM−2、ICAM−1、PECAM、P150.95、Mac−1、LFA−1、CD34、RANTES、IL−8、MIP−1アルファ、E−セレクトン、CD2、MCP−1、L−セレクトン、P−セレクトン、FLT、Apo−1、Fas、TNFR−1、p55、WSL−1、DR3、TRAMP、Apo−3、AIR、LARD、NGRF、DR4(TRAIL)、DR5、KILLER、TRAIL−R2、TRICK2、DR6、ICE、VLA−1及びCD86(B7.2)。
【0061】
方法で使用される組成物は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許公開第20071014686号に相当する米国特許出願、出願番号10/560,653に示されたような、1つ以上の以下のタンパク質及び/又はそのようなタンパク質をコードする核酸分子をさらに含んでもよい:Fos、c−jun、Sp−1、Ap−1、Ap−2、p38、p65Rel、MyD88、IRAK、TRAF6、IkB,不活性NIK、SAPK、SAP−1、JNK、インターフェロン応答遺伝子、NFkB、Bax、TRAIL、TRAILrec、TRAILrecDRC5、TRAIL−R3、TRAIL−R4、RANK、RANKリガンド、Ox40、Ox40リガンド、NKG2D、MICA、MICB、NKG2A、NKG2B、NKG2C、NKG2E、NKG2F、TAP1及びTAP2。
【0062】
何らかの理由で遺伝子構築物を受け取った細胞を排除することが望ましいのであれば、細胞破壊について標的として役立つ追加のエレメントを添加してもよい。発現可能な形態でのヘルペスチミジンキナーゼ(tk)遺伝子をその遺伝子構築物に含めることができる。薬剤ガングシクロビルを個体に投与することができ、その薬剤はtkを産生する任意の細胞を選択的に殺傷する原因となるので、遺伝子構築物による細胞の選択的破壊の手段を提供する。
【0063】
タンパク質の産生を最大化するために、構築物が投与される細胞での遺伝子発現に上手く適合する調節性配列を選択してもよい。さらに、細胞内で最も効率的に転写されるコドンを選択してもよい。当業者は、細胞内で機能的であるDNA構築物を製造することができる。
【0064】
いくつかの実施形態では、IgEのシグナルペプチドに連結された、本明細書で記載される免疫調節タンパク質のためのコーディング配列を製造するために遺伝子構築物が提供されてもよい。
【0065】
本発明の方法の1つは、筋肉内に、鼻内に、腹腔内に、皮下に、皮内に、若しくは局所に、又は吸入、膣、直腸、尿道、頬内及び舌下から成る群から選択される粘膜組織への洗浄によって核酸分子を投与する工程を含む。
【0066】
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチド機能エンハンサ又は遺伝子ワクチン促進剤の投与と併せて核酸分子が細胞に送達される。ポリヌクレオチド機能エンハンサは、それぞれ参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,593,972号、同第5,962,428号に記載されている。遺伝子ワクチン促進剤は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,739,118号に記載されている。核酸分子と併せて投与される同時作用剤は、核酸分子との混合物として投与されてもよいし、又は核酸分子の投与の前後に別々に、同時に投与されてもよい。さらに、形質移入剤及び/又は複製剤及び/又は炎症剤の役目を行い、ポリヌクレオチド機能エンハンサと同時に投与されてもよいそのほかの作用剤には、増殖因子、サイトカイン及びケモカイン、たとえば、アルファ−インターフェロン、ガンマ−インターフェロン、GM−CSF、血小板由来増殖因子(PDGF)、TNF、上皮増殖因子(EGF)、IL−1、IL−2、IL−4、IL−6、IL−10、IL−12及びIL−15、並びに線維芽細胞増殖因子、表面活性剤、たとえば、免疫刺激複合体(ISCOMS)、モノホスホリル脂質A(WL)を含むLPS類似体、ムラミルペプチド、キノン類似体、及びスクワレン及びスクワレンのような小胞が挙げられ、ヒアルロン酸を使用してもよく、遺伝子構築物と併せて投与されてもよい。いくつかの実施形態では、免疫調節タンパク質をポリヌクレオチド機能エンハンサとして使用してもよい。いくつかの実施形態では、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)(PLG)と関連して核酸分子が提供されて送達/取り込みを高める。
【0067】
本発明に係る医薬組成物は、約1ナノグラム〜約2000マイクログラムのDNAを含む。一部の好ましい実施形態では、本発明に係る医薬組成物は、約5ナノグラム〜約1000マイクログラムのDNAを含む。一部の好ましい実施形態では、医薬組成物は、約10ナノグラム〜約800マイクログラムのDNAを含有する。一部の好ましい実施形態では、医薬組成物は、約0.1〜約500マイクログラムのDNAを含有する。一部の好ましい実施形態では、医薬組成物は、約1〜約350マイクログラムのDNAを含有する。一部の好ましい実施形態では、医薬組成物は、約25〜約250マイクログラムのDNAを含有する。一部の好ましい実施形態では、医薬組成物は、約100〜約200マイクログラムのDNAを含有する。
【0068】
本発明に係る医薬組成物は、使用される投与の方式に従って処方される。医薬組成物が注射用医薬組成物である場合、それは無菌で、発熱物質を含まず、粒子を含まない。等張の処方が好ましく使用される。一般に、等張性のための添加剤には、塩化ナトリウム、デキストロース、マンニトール、ソルビトール及びラクトースが挙げられる。場合によっては、リン酸緩衝生理食塩水のような等張溶液が好まれる。安定剤にはゼラチン及びアルブミンが挙げられる。いくつかの実施形態では、処方に血管収縮剤が添加される。
【0069】
本発明のいくつかの実施形態によれば、免疫原とIL−28又はその機能的断片の組み合わせを個体に送達することによって免疫原に対する免疫応答を誘導する方法が提供される。ワクチンは、弱毒生ワクチン、組換えワクチン又は核酸若しくはDNAのワクチンであってもよい。
【0070】
本発明は、標的タンパク質、すなわち、病原体、アレルゲン又は個体自身の「異常な」細胞と特異的に関連するタンパク質に対する高い免疫応答を引き出すのに有用である。本発明は、病原体タンパク質に対する免疫応答が病原体に対する保護的免疫を提供するように病原性の作用物質及び生物に対して個体を免疫化するのに有用である。本発明は、過剰増殖細胞と特異的に関連する標的タンパク質に対する免疫応答を引き出すことによって癌のような過剰増殖性の疾患及び障害と闘うのに有用である。本発明は、自己免疫状態に関与する細胞と特異的に関連する標的タンパク質に対する免疫応答を引き出すことによって自己免疫性の疾患及び障害と闘うのに有用である。
【0071】
本発明の一部の態様によれば、標的タンパク質及び免疫調節タンパク質をコードするDNA又はRNAは、それが発現される個体の組織の細胞内に導入されるので、コードされたタンパク質を産生する。標的タンパク質及び免疫調節タンパク質をコードするDNA又はRNAの配列は、個体の細胞での発現に必要な調節エレメントに連結される。DNA発現のための調節エレメントにはプロモータ及びポリアデニル化シグナルが挙げられる。さらに、そのほかのエレメント、たとえば、コザック領域も遺伝子構築物に含めてもよい。
【0072】
いくつかの実施形態では、標的タンパク質をコードする発現可能な形態の配列及び免疫調節タンパク質をコードする発現可能な形態の配列が、個体に送達される同一の核酸分子に見い出される。
【0073】
いくつかの実施形態では、標的タンパク質をコードする発現可能な形態の配列は、免疫調節タンパク質をコードする発現可能な形態の配列とは別の核酸分子に存在する。いくつかの実施形態では、標的タンパク質をコードする発現可能な形態の配列と1つ以上の免疫調節タンパク質をコードする発現可能な形態の配列は、免疫調節タンパク質をコードする特定の発現可能な形態の配列を含有する核酸分子とは別である1つの核酸分子に存在する。本発明に従って複数の異なった核酸分子を製造し、送達することができる。
【0074】
核酸分子は、プラスミドDNA,組換えベクターの核酸分子、又は弱毒ワクチンで提供される遺伝物質の一部として提供されてもよい。或いは、いくつかの実施形態では、標的タンパク質及び免疫調節タンパク質は、それらをコードする核酸分子に加えたタンパク質として、又はそれらをコードする核酸分子の代わりのタンパク質として送達されてもよい。
【0075】
遺伝子構築物は、遺伝子発現に必要とされる調節エレメントと操作可能に連結された、標的タンパク質又は免疫調節タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含んでもよい。本発明によれば、標的タンパク質をコードする発現可能な形態のヌクレオチド配列を含む1つの構築物と、免疫調節タンパク質をコードする発現可能な形態のヌクレオチド配列を含む1つの構築物を含む遺伝子構築物の組み合わせが提供される。遺伝子構築物の組み合わせを含むDNA又はRNAの分子の生細胞への送達によって結果的に、DNA又はRNAの発現並びに標的タンパク質及び1つ以上の免疫調節タンパク質の産生を生じる。標的タンパク質に対する高められた免疫応答が結果的に生じる。
【0076】
本発明は、たとえば、ウイルス、原核生物及び病原性真核生物、たとえば、単細胞病原性生物及び多細胞寄生虫のような病原体に対して個体を免疫化するのに使用してもよい。本発明は、細胞に感染し、ウイルスや、淋病菌、リステリア菌及び赤痢菌のような原核生物のように内包されない病原体に対して個体を免疫化するのに特に有用である。さらに、本発明はまた、それらが細胞内病原体である生命サイクルの段階を含む原虫病原体に対して個体を免疫化するのにも有用である。表1は、本発明に係るワクチンを製作できるウイルスの科及び属の一部の一覧を提供する。表に列記される抗原のような病原性抗原で示されるエピトープと一致する又は実質的に類似する少なくとも1つのエピトープを含むペプチドをコードするDNA配列を含むDNA構築物はワクチンにおいて有用である。さらに、本発明はまた、たとえば、表2に列記されるような原核生物病原体及び真核原虫病原体並びに多細胞寄生虫を含むそのほかの病原体に対して個体を免疫化するのにも有用である。
【0077】
表
表1:ウイルス
ピコルナウイルス科
属
リノウイルス:(医学)感冒の約50%の症例に関与
エテロウイルス:(医学)ポリオウイルス、コクサッキーウイルス、エコーウイルス及びヒトのエンテロウイルス、たとえな、A型肝炎ウイルスを含む
アプソウイルス:(獣医学)これらは口蹄疫のウイルスである
標的抗原:VP1、VP2、VP3、VP4、VPG
カルシウイルス科
属
ウイルスのノーウォーク群:(医学)これらのウイルスは流行性胃腸炎の重要な原因因子である。
トガウイルス科
属
アルファウイルス:(医学及び獣医学)例には、シンドビスウイルス、ロスリバーウイルス及び東西ベネズエラのウマ脳炎ウイルスが挙げられる。
レオウイルス:(医学)ルベラウイルス
フラリビリダエ科
例には、(医学)デング熱、黄熱病、日本脳炎、セントルイス脳炎及びダニ媒介性脳炎のウイルスが挙げられる。西ナイルウイルス(GENBANK:NC001563、AF533540、AF404757、AF404756、AF404755、AF404754、AF404753、AF481864、M12294、AF317203、AF196835、AF260969、AF260968、AF260967、AF206518及びAF202541)
代表的な標的抗原:E NS5 C
C型肝炎ウイルス(医学)このウイルスは科には入れられえていないが、トガウイルス又はフラビウイルスのいずれかであると考えられる。類似性のほとんどはトガウイルス科にある。
コロナウイルス科(医学及び獣医学)
感染性気管支炎ウイルス(家禽)
ブタ伝染性胃腸炎ウイルス(ブタ)
ブタ血球凝集性脳脊髄炎(ブタ)
ネコ感染性腹膜炎(ネコ)
ネコ腸コロナウイルス(ネコ)
イヌコロナウイルス(イヌ)
SARS関連コロナウイルス
ヒト呼吸器コロナウイルスは感冒の約40%の原因であるEX.224E,OC43.注:コロナウイルスは非A,非B、又は非C型の肝炎の原因となりうる。
標的抗原:El−Mとも呼ばれる、又はマトリクスタンパク質E2−Sとも呼ばれる、又はスパイクタンパク質E3−BEとも呼ばれる、又は血液凝集−エルテロース糖タンパク質(すべてのコロナウイルスに存在するわけではない)、N−ヌクレオカプシド
ラブドウイルス科
属
ベシクロウイルス、リサウイルス:(医学及び獣医学)狂犬病
標的抗原:Gタンパク質、Nタンパク質
フィロビリダエ科(医学)
出血熱ウイルス、たとえば、マルブルグウイルス及びエボラウイルス
パラミクソウイルス科
属
パラミクソウイルス:(医学及び獣医学)ムンプスウイルス、ニューキャッスル病ウイルス(ニワトリにおける重要な病原体)
モルビリウイルス:(医学及び獣医学)麻疹、イヌジステンパー
ニューモウイルス:(医学及び獣医学)呼吸器シンシチウムウイルス
オルソミクソウイルス科:(医学)インフルエンザウイルス
バンヤウイルス科
属
バンヤウイルス:(医学)カリフォルニア脳炎、ラクロス
フレボウイルス:(医学)リフトバレー熱
ハンタウイルス:プレマラはヘマハギン熱ウイルスである
ナイルウイルス(獣医学)ナイロビヒツジ病
割り振られないバンガウイルス多数
アレナウイルス科(医学)LCM、ラッサ熱ウイルス
レオウイルス科
属
レオウイルス:ヒトの病原体の可能性あり
ロタウイルス:ニワトリにおける急性胃腸炎
オルビウイルス:(医学及び獣医学)コロラドダニ熱
レボンボ(ヒト)ウマ脳炎、青い舌
レトロウイルス科
亜科
オンコリウイルス:(獣医学)(医学)ネコ白血病ウイルス、HTLVI及びHTLVII
レンチウイルス:(医学及び獣医学)HIV、ネコ免疫不全ウイルス、ウマ感染、貧血ウイルス
スプマウイルスパポバウイルス科
亜科
ポリマウイルス:(医学)BKU及びJCUウイルス
亜科
パピローマウイルス:(医学)癌及び乳頭腫の悪性進行に関連する多数のウイルス型
アデノウイルス:(医学)EXAD7、ARD、O.B呼吸器疾患の原因となる−275のような一部のアデノウイルスは腸炎の原因となる
パルボウイルス科(獣医学)
ネコパルボウイルスはネコ腸炎の原因となる
ネコ汎白血球減少症ウイルス
イヌパルボウイルス
ヘルペスウイルス科
亜科
アルファへヘルペスウイルス亜科
属
単純性ウイルス(医学)
HSVI(GENBANK X14112、NC001806)
HSVII(NC001798)
バリセラゾスター(医学、獣医学)
偽狂犬病
バリセラゾスター
亜科
ベータヘルペスウイルス亜科
属
サイトメガロウイルス(医学)
HCMV
ムロメガロウイルス
亜科
ガンマヘルペスウイルス亜科
属
リンホクリプトウイルス(医学)
EBV−(バーキットリンパ腫)
ポックスウイルス科
亜科
コルドポックスウイルス亜科(医学−獣医学)
属
バリオラ(スモールポックス)
ワクシニア(カウポックス)
パラポックスウイルス−獣医学
アウイポックスウイルス−獣医学
カプリポックスウイルス
レポリポックスウイルス
スイポックスウイルス
亜科
エンテモポックスウイルス亜科
ヘパドナウイルス科
B型肝炎ウイルス
未分類のデルタ型肝炎ウイルス
【0078】
表2
細菌性病原体
病原性のグラム陽性の球菌には、肺炎球菌、ブドウ球菌及び連鎖球菌が挙げられる
病原性のグラム陰性球菌には、髄膜炎球菌及び淋病球菌が挙げられる。
病原性の腸のグラム陰性桿菌には、腸内細菌、シュードモナス、アシネトバクター及びエイケネラ、メリオイドシス;サルモネラ;シゲロシス;ヘモフィルス;カンクロイド;ブルセロシス;ツラレミア;エルシニア(パステウレラ);ストレプトバチルス・モルチリフォルミス及びスプリラム;リステリア・モノサイトジーン;エリシペロトリクス・ルシオパチエ;ジフテリア、コレラ、炭疽菌;ドノバノシス(鼡径部肉芽腫)及びバルトネロシスが挙げられる。
病原性嫌気性細菌には、破傷風;ボツリヌス;そのほかのクロストリジウム;結核;ハンセン氏病の細菌、及びそのほかのマイクロ細菌が挙げられる。
病原性のスピロヘータ疾患には、梅毒;トレポネーマ症;イチゴ腫、ピンタ及び風土性梅毒;及びレプトスピラ症が挙げられる。
高等な病原性細菌及び病原性真菌によって引き起こされるそのほかの感染症には、放線菌症、ノカルジア症、クリプトコッカス症、分芽菌症、ヒストプラスマ症及びコクシジオイデス症;カンジダ症;アスペルギルス症;及びムコール菌症;スポロトリクム症;パラコクシジオイデス症;ペトリエリジオシス症;トルロプシス症;足菌腫及びクロモミコーシス;及び皮膚糸状菌症が挙げられる。
リケッチャ感染にはリケッチャ病及びリケッチャ症が挙げられる。
マイコプラズマ及びクラミジア感染の例には、マイコプラズマ性肺炎、鼠径リンパ肉芽腫症、オウム病、及び周産期クラミジア感染が挙げられる。
病原性真核生物
病原性原虫と蠕虫及びそれによる感染症には、アメーバ症;マラリア;リーシュマニア症;トリパノゾーマ症;トキソプラズマ症;カリニ肺炎;ピロプラスマ症;ランブル鞭毛虫症;旋毛虫症;フィラリア症;住血吸虫症;線虫;吸虫又は吸虫類;及び多節条虫類(サナダムシ)の感染が挙げられる。
【0079】
病原体感染に対して防御する遺伝子ワクチンを製造するために、それに対して防御的免疫応答を搭載することができる免疫原タンパク質をコードする遺伝物質を、標的についてのコーディング配列として遺伝子構築物に含めなければならない。DNA及びRNAは双方共相対的に小さく、相対的に容易に製造できるので、本発明は複数の病原性抗原によるワクチン接種を可能にするという追加の利点を提供する。遺伝子ワクチンに使用される遺伝子構築物は、多数の病原性抗原をコードする遺伝物質を含むことができる。たとえば、幾つかのウイルス遺伝子が単一の構築物に包含され、それによって複数の標的を提供してもよい。
【0080】
表1及び表2は、そのために遺伝子ワクチンを調製し、それによって感染から個体を保護することができる病原性の因子及び生物の一部のリストを包含する。一部の好ましい実施形態では、病原体に対して個体を免疫化する方法は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、単純性ヘルペスウイルス(HSV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、西ナイルウイルス(WNV)、又はB型肝炎ウイルス(HBV)に向けられる。
【0081】
本発明の別の態様は、過剰増殖性疾患で特徴的である過剰増殖する細胞に対する防御的免疫応答を付与する方法、及び過剰増殖性疾患に罹っている個体を治療する方法を提供する。過剰増殖性疾患の例には、癌及び乾癬のあらゆる形態が挙げられる。
【0082】
免疫原性の「過剰増殖する細胞」に関連するタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む遺伝子構築物の個体の細胞への導入が結果的に個体のワクチン接種した細胞でそのタンパク質の産生を生じることが発見されている。過剰増殖性疾患に対して免疫化するには、過剰増殖性疾患に関連するタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む遺伝子構築物を個体に投与する。
【0083】
過剰増殖に関連するタンパク質を有効な免疫原性標的にするために、それは、正常な細胞に比べて過剰増殖性の細胞で排他的に又は高いレベルで産生されるタンパク質でなければならない。標的抗原には、そのようなタンパク質、そのようなタンパク質に見い出される少なくとも1つのエピトープを含むその断片及びペプチドが挙げられる。場合によっては、過剰増殖に関連するタンパク質は、タンパク質をコードする遺伝子の突然変異の産物である。変異させたタンパク質は、結果的に正常のタンパク質に見られない異なったエピトープを生じるわずかに異なるアミノ酸配列を有することを除いて正常のタンパク質とほとんど同一のタンパク質をコードする。そのような標的タンパク質には、たとえば、myb、myc、fynのような癌遺伝子、及び転座遺伝子、bcr/abl、ras、src、P53、neu、trk及びEGRFによってコードされるタンパク質であるものが挙げられる。標的抗原としての癌遺伝子産物に加えて、抗癌治療及び防御的療法のための標的タンパク質には、B細胞リンパ腫によって作られる抗体の可変領域及びT細胞リンパ腫のT細胞受容体の可変領域が挙げられ、いくつかの実施形態では、自己免疫疾患のための標的抗原も使用される。そのほかの腫瘍関連のタンパク質、たとえば、モノクローナル抗体17−IAによって認識されるタンパク質及び葉酸塩結合タンパク質又はPSAを含む腫瘍細胞にて高レベルで見い出されるタンパク質を標的抗原として使用することができる。
【0084】
本発明は、癌の1つ以上の幾つかの形態に対して個体を免疫化するのに用いてもよい一方で、本発明は、特定の癌を発症する素因を有する又は癌に罹った後、再発に感受性である個体を予防的に免疫化するのに特に有用である。疫学と同様に遺伝学及び技術の進展によって個体における癌の発症についての確率の判定やリスク評価が可能になっている。遺伝的スクリーニング及び/又は家族病歴を用いて、癌の幾つかの形態のいずれか1つを発症する、特定個体が有する確率を予測することが可能である。
【0085】
同様に、すでに癌を発症している及び治療して癌を除去し、又は寛解に入っている個体は特に、再発及び再発生に敏感である。治療計画の一環として、再発と闘うために、彼らが有していたと診断された癌に対してそのような個体を免疫化することができる。従って、個体がある種の癌を有しており、再発のリスクにあることがいったん分かれば、癌の今後の出現と闘うようにその免疫系を準備するために個体を免疫化することができる。
【0086】
本発明は、過剰増殖性疾患に罹っている個体を治療する方法を提供する。そのような方法では、遺伝子構築物の導入が免疫治療薬として役立ち、標的タンパク質を産生する過剰増殖性細胞と闘うように個体の免疫系を導き、推進する。
【0087】
癌を治療する又は予防することにおいて、細胞を含まない実施形態は特に有用である。
【0088】
本発明は、自己免疫を誘導する細胞の受容体及び「自己」に向けられた抗体を産生する細胞に関連する標的に対する幅広い保護的免疫応答を付与することによって自己免疫疾患及びその障害に罹っている個体を治療する方法を提供する。
【0089】
T細胞が介在する自己免疫疾患には、関節リウマチ(RA)、多発性硬化症(MS)、シューグレン症候群、サルコイドーシス、インスリン依存性糖尿病(IDDM)、自己免疫性甲状腺炎、反応性関節炎、強直性脊椎炎、強皮症、多発性筋炎、皮膚筋炎、乾癬、血管炎、ヴェグナー肉芽腫症、クローン病及び潰瘍性大腸炎が挙げられる。疾患のそれぞれは、内因性抗原に結合するT細胞受容体を特徴とし、自己免疫疾患に関連する炎症性カスケードを開始する。T細胞の可変領域に対するワクチン接種はCTLを始めとする免疫応答を引き出し、これらのT細胞を排除する。
【0090】
RAでは、疾患に関与するT細胞受容体(TCR)の幾つかの特異的な可変領域が性状分析されている。これらのTCRには、Vベータ−3、Vベータ−14、20Vベータ−17及びVa−17が挙げられる。従って、これらのタンパク質の少なくとも1つをコードするDNA構築物によるワクチン接種は、RAに関与するT細胞を標的とする免疫応答を引き出すであろう。それぞれ参照により本明細書に組み込まれるHowell, M. D., et al., 1991 Proc. Nat. Acad. Sci. USA 88:10921−10925; Piliard, X., et al, 1991 Science 253:325−329; Williams, W. V., et al., 1992 J Clin. Invest. 90:326−333を参照のこと。MSでは、疾患に関与するTCRの幾つかの特異的な可変領域が性状分析されている。これらのTCRには、VfP及びVa−10が挙げられる。従って、これらのタンパク質の少なくとも1つをコードするDNA構築物によるワクチン接種は、MSに関与するT細胞を標的とする免疫応答を引き出すであろう。それぞれ参照により本明細書に組み込まれるWucherpfennig, K. W., et al., 1990 Science 248:1016−1019; Oksenberg, J. R., et al, 1990 Nature 345:344−346を参照のこと。
【0091】
強皮症では、疾患に関与するTCRの幾つかの特異的な可変領域が性状分析されている。これらのTCRには、Vベータ−6、Vベータ−8、Vベータ−14及びVa−16、Va−3C、Va−7、Va−14、Va−15、Va−16、Va−28及びVa−12が挙げられる。従って、これらのタンパク質の少なくとも1つをコードするDNA構築物によるワクチン接種は、強皮症に関与するT細胞を標的とする免疫応答を引き出すであろう。
【0092】
T細胞が介在する自己免疫疾患、特にTCRの可変領域が未だに性状分析される必要があるものに罹っている患者を治療するために、滑液生検を実施することができる。存在するT細胞の試料を取り、常法を用いてそれらTCRの可変領域を特定することができる。この情報を用いて遺伝子ワクチンを調製することができる。
【0093】
B細胞が介在する自己免疫疾患には、ループス(SLE)、グレーブ病、重症筋無力症、自己免疫性出血性貧血、自己免疫性血小板減少症、喘息、クリオグロブリン血症、原発性胆汁性硬化症及び悪性貧血が挙げられる。これら疾患のそれぞれは、内因性抗原に結合する抗体を特徴とし、自己免疫疾患に関連する炎症性カスケードを開始する。抗体の可変領域に対するワクチン接種は、CTLを始めとする免疫応答を引き出し、抗体を産生するそれらB細胞を排除するであろう。
【0094】
B細胞が介在する自己免疫疾患に罹っている患者を治療するために、自己免疫活性に関与する抗体の可変領域を特定しなければならない。生検を実施し、炎症部位に存在する抗体の試料を採取することができる。常法を用いて、それら抗体の可変領域を特定することができる。この情報を用いて遺伝子ワクチンを調製することができる。
【0095】
SLEの場合、抗原の1つはDNAであると考えられる。従って、SLEに対して免疫される患者では、抗DNA抗体についてその血清をスクリーニングし、血清で見つけられたそのような抗DNA抗体の可変領域をコードするDNA構築物を含むワクチンを調製することができる。
【0096】
TCR及び抗体の可変領域の共通する構造的特徴は周知である。特定のTCR又は抗体をコードするDNA配列は一般に、参照により本明細書に組み込まれるKabatら(1987年)の免疫学的に関心のあるタンパク質の配列(メリーランド州、ベセスダの米国保健社会福祉省)に記載されたもののような以下の周知の方法に見い出すことができる。さらに、抗体から機能的な可変領域をクローニングする一般的な方法は、参照により本明細書に組み込まれるChaudhary, V. K., et al, 1990 Proc. Natl. Acad Sci. USA 87:1066に見い出すことができる。
【0097】
遺伝子ワクチンを改善する配列をコードする免疫調節タンパク質の発現可能な形態を使用することに加えて、本発明は、改善された弱毒生ワクチン及び抗原をコードする異種遺伝子を送達するための組換えベクターを使用する改善されたワクチンに関する。弱毒生ワクチンと、異種抗原を送達するための組換えベクターを使用するものの例は、それぞれ参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,722,848号、同第5,017,487号、同第5,077,044号、同第5,110,587号、同第5,112,749号、同第5,174,993号、同第5,223,424号、同第5,225,336号、同第5,240,703号、同第5,242,829号、同第5,294,441号、同第5,294,548号、同第5,310,668号、同第5,387,744号、同第5,389,368号、同第5,424,065号、同第5,451,499号、同第5,453,364号、同第5,462,734号、同第5,470,734号、及び同第5,482,713に記載されている。IL−28又はその機能的断片をコードするヌクレオチド配列を含む遺伝子構築物を提供するが、その際、ヌクレオチド配列は、発現を達成するようにワクチンで機能することができる調節性配列に操作可能に連結される。遺伝子構築物が弱毒生ワクチン及び組換えワクチンに組み入れられ、本発明に係る改善されたワクチンを産生する。
【0098】
本発明は、DNAワクチン、弱毒生ワクチン及び組換えワクチンを含むワクチン組成物の一部として個体の細胞に遺伝子構築物を送達する工程を含む個体を免疫化する改善された方法を提供する。遺伝子構築物は、IL−28又はその機能的断片をコードし、発現を達成するようにワクチンで機能することができる調節性配列に操作可能に連結されるヌクレオチド配列を含む。改善されたワクチンは結果として高い細胞性の免疫応答を生じる。
【実施例】
【0099】
実施例1
IL−28はインターフェロンの最新のクラス、インターフェロンラムダの一員であり、IL−28RアルファとIL−10Rベータから構成されるヘテロダイマーの受容体を有する。IL−10Rベータ鎖はIL−10受容体の一部でもあるので、標的受容体へのIL−10の結合の阻止を期待してワクチン接種試験にIL−28を採用した。
【0100】
プラスミドHIVGag構築物と一緒にプラスミドIL−28を含むことは、プラスミドがGagプラスミドのみである組成物で免疫化したマウスに比べると、マウスの脾細胞のインターフェロンガンマの応答を有意に増強した。空のベクター(pVAX)、複数クレードHIVGag構築物(HIVGag−クエン酸ナトリウムとブピバカイン水溶液30μL中10μgのプラスミドHIVGag)又はIL−28プラスミドを伴ったHIVGag構築物(HIVGagIL−28−クエン酸ナトリウムとブピバカイン水溶液30μL中プラスミドHIVGagDNA10μg+プラスミドIL−28DNA5μg)によってマウスを免疫化した。図1のデータに示すように、IL−28は、HIVGagのみに比べて7倍を超えてELISpotの数を増やした。
【0101】
また驚くべきことに、フローサイトメトリーを用いた脾細胞の解析は、IL−28が脾臓のCD8T細胞を増やすことを示唆した。上記のようにマウスを免疫化し、フローサイトメトリーによってCD8T細胞の比率を解析した。図2のデータに示すように、IL−28の添加は、pVAXのみで免疫化したマウスを4.72%超えてCD8T細胞の比率を高め、それは、CD8全体の約20%の増加を説明する。HIVGag構築物のみで免疫化したマウスは、pVAXのマウスを0.48%超えるのみの増加を示したにすぎず、それはCD8全体の約2%の増加を説明する(白棒はpVAX対照を超えたCD8の%増加を示す)。
【0102】
従って、ワクチン接種にアジュバントとしてインターフェロンを用いる以前の試みが期待はずれの結果を有した一方で、本明細書の結果はIL−28がワクチン接種、特にDNAワクチンの接種で有効なアジュバントであることを示している。
【0103】
実施例2
1)HIVGag構築物(HIVGag−クエン酸ナトリウムとブピバカイン水溶液30μL中10μgのプラスミドHIVGag)、又は2)IL−28プラスミドを伴ったHIVGag構築物(HIVGagIL−28−クエン酸ナトリウムとブピバカイン水溶液30μL中プラスミドHIVGagDNA10μg+プラスミドIL−28DNA3μg)、又は3)IL−28タンパク質を伴ったHIVGag構築物(HIVGag−クエン酸ナトリウムとブピバカイン水溶液30μL中10μgのプラスミドHIVGagプラス40ngのIL−28タンパク質)、又は4)インターフェロンγタンパク質を伴ったHIVGag構築物(HIVGag−クエン酸ナトリウムとブピバカイン水溶液30μL中10μgのプラスミドHIVGagプラス40ngのインターフェロンγタンパク質)によってマウスを免疫化した。
【0104】
ELISpotを用いて、プラスミドIL−28を与えたマウスは、HIVGagのみと比べて高い抗Gag免疫応答を示した。IL−28タンパク質もインターフェロンγタンパク質もHIVGagのみと比べて抗Gag免疫応答を高めなかった。
【0105】
実施例3
IL−28B(IFNλ3)はDNAワクチン接種のマウスでの試験で強力なアジュバントとして使用されると示唆されたが、抗原特異的な免疫応答を増強することに関するその有効性は大きな動物、たとえば、非ヒト霊長類では研究されていない。我々は、コドンとRNAを最適化させたアカゲザルIL−28Bを、この動物での免疫アジュバントとしてHIV抗原に対するワクチン接種試験で調べることを望んだ。この方法におけるアジュバントプラスミドの最適化は、コードされた遺伝子の発現を高め、得られたRNAの構造を安定化させるだけでなく、宿主ゲノムへの統合の可能性を低減し、遺伝子内にコードされている可能性があるミクロRNAを排除して結果的に高い安全性特性を生じる。サルIL−28B(macIL−28)の発現の解析は、macIL−28又は空のベクターによる横紋筋肉腫(RD)細胞株の試験管内形質移入を介して行った。空のベクターではなく、macIL−28を形質移入した細胞から回収した上清は、ELISAでアッセイした際、形質移入後48時間で存在する多量のサルIL−28を示し、高度のプラスミド発現を示唆した(図3)。
【0106】
試験管内で高度の発現を見て、我々は、アカゲザルにおけるHIVPolに対する免疫処方計画にmacIL−28Bを加えることを決定した。IL−28Bの添加は、2回の免疫の後、ELISpotで測定した場合、HIVPol特異的なIFNγの放出にて約3倍の増加をもたらす(図4)。これらのデータは、macIL−28BプラスミドはIL−28Bを高いレベルで発現する新規の方法であり、DNAワクチン接種の非ヒト霊長類モデルにて有効な免疫アジュバントとして使用できることを示唆している。
【0107】
実施例4
免疫応答の有効性を改善することは、生命にかかわる病原体に対するワクチンに関する課題の中で最重要である。IL−28Bは、サイトカインの新規に記載されたインターフェロンラムダ(IFNλ)ファミリーに属するが、適応免疫応答に影響を及ぼす、又はワクチンのアジュバントとして作用するその潜在的能力については未だ評価されていない。我々は、DNAワクチン接種の間、複数クレードのコンセンサスHIVGagプラスミドに対する免疫応答を後押しする能力についてIL−28をコードするプラスミドをIL−12のそれと比較した。我々はここで、IL−12と同様にIL−28Bも適応免疫を確実に高めることが可能であることを示す。さらに、我々は、IL−28BがDNAワクチン接種の間、どのように制御性T細胞集団を減らし、一方でIL−12がこの細胞サブセットを増やすのかを初めて記載する。我々はまた、IL−12とは異なって、IL−28Bはワクチン接種された動物で脾臓CD8+T細胞の比率を高めることができ、アジュバントとしてIL−12を与えた動物から得た細胞と比べると、これらの細胞は顆粒性が高く、高い抗原特異的な細胞溶解性の脱顆粒を有することも示す。最後に我々は、IL−28Bが致死的なインフルエンザ抗原投与後の死亡から100%の保護を誘導できることを報告する。これらのデータは、IL−28Bがワクチン又は免疫療法のプロトコールのさらなる検討にとって強い候補であることを示唆している。
【0108】
序論
免疫系とその構成要素の包括的な理解を有することは、感染の間の宿主−病原体の相互作用の理解にとってだけでなく、ワクチンの開発と設計の背景でも重要である。免疫関連のシグナル伝達化合物、たとえば、サイトカインに関して、ワクチン接種試験は、これらの分子がどのように抗原特異的な免疫応答に影響を及ぼすのかを検討する手段を我々に与え得る。
【0109】
DNAワクチン接種は、生体内で抗原特異的な免疫応答を誘導する安全で且つ有効な方法であり1〜3、免疫モジュレータの導入に役立つ。DNAワクチン接種の基本骨格にサイトカインをコードするプラスミドを容易に添加する能力によって、ワクチンのアジュバントとしての潜在的価値を決定することと同様にサイトカインがどのように適応免疫応答に影響するのかを同時に評価することが可能になる。さらに、最適化されたDNAの処方による非ヒト霊長類の最近のデータは、さらに有望な免疫特性を示しつつある。これらの励みになる結果に改良を加えることが重要な目標である。
【0110】
インターフェロンラムダファミリーは、最近発見された3つのサイトカイン、IL−29とIL−28AとIL−28B(それぞれIFNλ1、2及び3)から成る4〜7。3つのサイトカインはすべて試験管内でウイルス感染に応答して発現し、主として樹状細胞及びマクロファージから分泌される4〜7。さらに、これらサイトカインによる細胞の処理が、IL−28受容体を介したSTAT、IRF及びISGFの活性化によって培養におけるウイルスの複製を阻害する抗ウイルス状態を誘導できるという事実により3つのサイトカインはすべてインターフェロンとして分類されている4〜7。受容体の発現が、Tリンパ球を始めとして種々の白血球で示されているが8、抗原特異的な適応免疫応答を方向付けるIL−28の相対的な能力はこの点で広範には検討されていない。
【0111】
この試験では、我々は、DNAワクチン接種の背景でアジュバントとして作用するIL−28Bの能力を分析し、免疫応答を増強するその能力を、強力な且つ最良の確立されたDNA免疫アジュバントである9〜13IL−12のそれと比較した。そうすることで、我々は未だ検討されていない、抗原特異的な適応免疫応答に対するIL−28Bの影響を特徴付けた。IL−28B又はIL−12をコードするプラスミドを含むことは、IFNγのELISpot及びフローサイトメトリーによるパーフォリンの検出によって測定した場合、抗原のみによるワクチン接種を超えて高い抗原特異的な細胞性の免疫応答をもたらす。IL−12ではなくIL−28Bはさらに、抗原特異的IgG2a、抗原特異的細胞溶解性脱顆粒及び脾臓に見られるCD8+T細胞の比率を増やすことができた。さらに、我々は、IL−28Bアジュバントがワクチン接種した動物の脾臓で見られるCD4+/CD25hi/FoxP3+(Treg)細胞の数を減らす一方で、IL−12はこの集団の大きさを増やすことを見い出した。最後に我々はここで、マウスにおけるワクチン接種のアジュバントとして使用したとき、IL−28Bは、致死的なインフルエンザ抗原投与後の死から100%の保護を結果的に生じるように免疫応答を増強することができることを示す。この試験は、IL−28Bが生体内での細胞性免疫の有効なアジュバントとして作用することを示し、DNAワクチン接種後のTreg集団に対するIL−28BとIL−12の差次的効力を初めて記載する。これは、生体内で適応免疫応答を方向付けるIL−28Bの能力の最初の主な分析を構成する。
【0112】
材料及び方法
プラスミド:マウスのp35とp40のタンパク質をコードするIL−12プラスミドは記載されている11,14。マウスのIL−28Bは、遺伝子の5’末端に付加された効率の高いリーダー配列を有し、合成されたが、コドンを最適化し、続いてGeneArt(ドイツ、レネンスベルグ)によりpVAX1の基幹にサブクローニングした。HIV−1Gag(Gag4Y)を発現するプラスミドは以前記載された15ように調製した。
【0113】
動物:動物はすべてペンシルベニア大学の温度制御した光周期のある施設に収容し、その世話は、米国国立衛生研究所とペンシルベニア大学の指針のもとにあった。動物実験はすべて、動物の世話に関する国家と施設の指針に従って実施し、ペンシルベニア大学の施設内倫理委員会によって認可された。
【0114】
マウスの免疫:8週齢のメスBALB/cマウス(ジャクソンラボラトリー)の大腿四頭筋に2週間離して2回注射し、CELLECTRA(登録商標)適合定電流装置(テキサス州、ザウッドランドのVGXファーマシューティカルズ)を用いて以前記載された16ように電気穿孔を行った。マウスにおける実験については、10μgのpVAX1又は10μgのHIV−1Gag(Gag4Y)又はインフルエンザNP(NP)のいずれかのみで、又は実験によって種々の量のマウスIL−12又はマウスIL−28Bのプラスミドと共に動物(群当たりn=4又は8)を免疫化した。種々の遺伝子プラスミドの同時投与には、等張クエン酸緩衝液における0.25%の塩酸ブピバカイン(シグマ)に最終体積30μLで注入する前に指定されたDNAを混合することが含まれる。
【0115】
ELISpot:IFNγとIL−4のELISpotを実施して免疫化したマウスからの抗原特異的なサイトカインの分泌を測定した。ELISpotは、96穴プレート(ミリポア)を用い、製造元のプロトコール(R&Dシステムズ)によって実行した。免疫化したマウスからの2×105個の脾細胞をプレートの各ウェルに加え、R10(陰性対照)、コンカナバリンA(陽性対照)、又は特異的ペプチド(HIV−1がg)抗原(10μg/mL)の存在下で37℃、5%CO2にて刺激した。タンパク質全体に及び、11のアミノ酸が重なり合うHIV−1のコンセンサスGagクレードC15量体ペプチドはAIDS試薬と参照リポジトリ(メリーランド州、フレデリック)から獲得した。
【0116】
細胞培養及びフローサイトメトリー用の染色:免疫化したマウスから回収した脾細胞を洗浄し、次いで最終濃度107細胞/mLでR10培地に再浮遊させた。100μLの体積で細胞を96穴プレートに播き、追加の100μLの培地のみ、HIV−1のGagコンセンサスクレードCを含有する培地又はPMAとイオノマイシン(陽性対照)を含有する培地を加え、プレートを37℃に置いた。脱顆粒を測定するのに使用される培養では、このとき増強染色剤として抗CD107aPEを加えた。細胞内のパーフォリンのレベルを測定するのに使用する培養にはこの抗体を与えなかった。これらの培養について、培地、ペプチド又はPMA/イオノマイシンの添加後10分にMg2+とEGTAをそれぞれ最終濃度6mMと8mMで培養に加え、カルシウム依存性の細胞溶解性の脱顆粒を阻害した17。培養はすべて37℃にて6時間インキュベートした。このインキュベーション時間の最後に、プレートを遠心し、PBSで2回洗浄した。次いで生存率についてのバイオレット染料(LIVE/DEADバイオレット生存率染料、インビトロゲン)で細胞を37℃にて10分間染色した。上記のようにPBSで洗浄した後、4℃にて抗CD4PerCPCy5.5(BDバイオサイエンス)と抗CD8APCCy7(BDバイオサイエンス)によって細胞を外的に染色し、次いで固定と透過化を行った。抗CD3PE−Cy5(BDバイオサイエンス)と抗パーフォリンAPC(eバイオサイエンス)を加え、細胞を再び4℃にてインキュベートした。最後に細胞をPBSで洗浄し、最終濃度1%のPFAで固定した。CD4+/CD25hi/FoxP3+細胞を含むフローサイトメトリーについては、マウス制御性T細胞染色キット(eバイオサイエンス)を採用した。外部染色は上記のように抗CD4FITCと抗CD25APCによって行った。固定、透過化及び内部染色は、抗FoxP3PEを用いて上記のように行った。
【0117】
インフルエンザ抗原の投与:免疫後28日に、30μLのPBS中の10LD50のA/プエルトリコ/8/34を麻酔したマウスに鼻内接種した。抗原投与のマウス群はすべて群当たり8匹のマウスで構成された。抗原投与後、臨床的兆候と死亡率を毎日14日間記録した。
【0118】
統計学:データは、少なくとも3つの独立した実験から回収したデータから算出した平均値±平均値の標準誤差(SE)として表す。適宜、対応のあるスチューデントのt検定を用いて免疫群間の統計的差異を評価し、各実験群について具体的なp値を得た。p値<0.05となる試料間の比較を統計学的に差異があるので有意であるとみなした。
【0119】
結果
マウスのIL−12及びIL−28Bをコードするプラスミドはタンパク質を発現し、分泌する
種々のウイルス病原体に対するワクチン接種についての新規の且つ改善されたアジュバントの発見に対する絶え間ないニーズがある。過去において、IL−12はワクチン接種の試験に採用されると強力なアジュバントであることが示されてきた9〜13。IL−28Bはこの目的で使用されたことはない。抗原特異的な免疫応答を増強するこれらサイトカインの相対的な能力を比較するために、我々はDNAワクチン接種試験で使用するためにマウスIL−1211とマウスIL−28Bをコードするプラスミドを構築した(図5A及び5B)。これら構築物がIL−12及びIL−28Bを発現するかどうかを確認するために、我々は、3μgのプラスミドによるHEK293T細胞への形質移入を介してそれらを試験管内で調べた。その後、細胞を溶解し、溶解物をウエスタンブロットに使用してタンパク質の発現について調べた。マウスIL−12p40とマウスIL−28Bのタンパク質についてのブロットは、双方の構築物が試験管内で上手く発現されることを示している(図6A)。細胞外環境へのサイトカインの分泌を調べるために、形質移入後48時間で細胞上清を得た。形質移入した細胞の培養上清から活性のあるIL−12p35/p40へテロダイマー及びIL−28Bタンパク質を検出するELISAを行った。図6Bに示すように、IL−12及びIL−28Bは双方とも、形質移入した培養上清にておおまかに10,000pg/mLの濃度で存在することが認められた。形質移入した細胞からの双方のサイトカインの発現と放出を確認して、我々は、これらのサイトカインの抗原特異的な免疫応答のアジュバントになる能力を調べるワクチン接種に取り掛かった。
【0120】
IL−28Bはワクチン接種後のHIVGag特異的IFNγ放出のアジュバントになる
IL−28Bが免疫アジュバントとして機能する能力を有するのか有さないのかを判定するために、我々は我々の標的抗原としての複数クレードのコンセンサスHIV−1Gagタンパク質(Gag4Y)をコードするプラスミドとの組み合わせでDNAワクチン接種試験にそれを用いた。IL−28Bのアジュバント効力の有効性を比較する目安を有するために、我々は、非常に強力な免疫アジュバント効力を有することが以前から示されているという事実のためにワクチン接種でアジュバントとして頻繁に採用されるサイトカインであるIL−129〜13とそれを比較した。その目的で、10μgの空のpVAXベクター(対照)又は10μgのHIVGag4Y構築物のみによって右後の大腿四頭筋にて筋肉内で8週齢のBALB/cマウスの群(群当たりn=4)を免疫化し、次いで電気穿孔を行った。追加の群に様々な用量のIL−28B又はIL−12と組み合わせた10μgのHIVGag4Yを与え、その後電気穿孔を行った。IFNγのELISpotアッセイの結果は、Gag4Yのみによる免疫がマウスにおいて細胞性の免疫応答を誘導することができた(100万個の脾細胞当たり約400SFU)が、IL−28Bの包含は、調べたすべての用量でGag特異的なIFNγの放出をさらに数倍高めることができたことを示している(図7A)。IL−28Bの最適なアジュバント効力(Gag4Yのみを3〜4倍上回る)は7〜9μgの範囲に見られ(図7A)、さらなる実験におけるこの用量の使用に我々を導いた。IL−12も、IL−28Bの用量と同じ範囲でちょうど3倍このアッセイでGag特異的なIFNγの放出を高めた(図7A)。各アッセイの解析は、応答にはCD8+T細胞が優勢に介在し(応答全体の>85%)、ワクチン接種の間アジュバントの存在又は非存在によってこの特性は影響されないことを示した(データは示さず)。これらの結果は、IL−28Bは、実際、ワクチン接種の間、抗原特異的な免疫応答を増強するのに使用することができることを示唆し、確立された強力な免疫アジュバントであるIL−12で見られたものに匹敵するか、それを超えるIFNγの放出における増加を伴った。
【0121】
IL−28BがTh1に関連するIFNγの放出の増加を介して細胞性免疫応答を高めるのに使用できたことを確認して、我々は次にこのアジュバントが原型的なTh2サイトカインの放出に影響を及ぼすことができるかどうかを判定することを試みた。従って、我々は、IL−28BがどのようにこのTh2関連のサイトカインの放出に影響するのかを観察するために上記と同様にIL−4のELISpotを採用した。興味深いことに、ワクチン接種にIL−12を含めることは結果的に調べたすべての用量で約200〜約600SFUに及ぶGag特異的なIL−4の放出の増加を生じた(図7B)。IL−4のELISpotアッセイにおけるIL−12の最適な用量は結果的にIL−4のELISpotアッセイにて約400〜約450SFUを生じたが、IL−28を含めることはこの種の効力を示さなかった。代わりに、ワクチン接種にIL−28Bを含めることは結果的にHIVGag4Y構築物のみ(図7B)に全く類似したIL−4の放出を生じ、IL−28Bは、それらの用量で高いIFNγ放出と同時にはIL−4の放出を高めないことを示唆している。従って、IL−28Bは、IFNγの放出(Th1関連の)を誘導するがIL−4の放出(Th2関連の)を誘導しないという点で、IL−12と比べた場合、ワクチン接種の間、さらに「純粋な」Th1関連のサイトカイン特性を誘導するとして考えられ得る。
【0122】
IL−12ではなくIL−28BがHIVGag特異的IgG2aを高める
ウイルス病原体に対する有効なワクチン接種は細胞性と液性の双方の免疫応答を必要とするので、我々は、ワクチン接種の間、アジュバントとして採用した場合、循環しているHIVGag特異的抗体のレベルを増強するIL−28B及びIL−12の相対的な能力を調べることを決定した。これを達成するために、我々は、抗原特異的ELISAにて免疫化したマウスから採取した血清を調べた。HIVGag4Y構築物と併せてIL−12又はIL−28Bを含めることは、結果として図8に示すような顕著に異なる抗体反応を生じた。Gag特異的な総IgGに関しては、IL−28B構築物と一緒にGag4Y構築物による免疫は、調べた最低希釈(1:25)でのGag4Yのみによる免疫に比べて抗原特異的な抗体のレベルでは小さな増加をもたらしている(図8A)。しかしながら、Gag4Yの免疫とともにIL−12を含めることは、抗原特異的なIgGを積極的に抑制し、対照(pVAX)マウスのそれに非常に類似する値を読み取った。IL−12のこの効力は、以前、DNAワクチン接種で報告されていた現象であり14、この試験でも同様に支持されている。我々は次にIgG1とIgG2aを含むIgGの異なった亜型を調べ、免疫分極の追加の効果を判定した。IgG1アイソタイプはマウスにおいてTh2の偏りに関係し、IgG2aはTh1の偏りに関係する18。アジュバントを含めることにかかわりなく、DNAワクチン接種は我々のアッセイではいずれの群でもGag特異的なIgG1抗体のレベルを上げるとは思えなかった(図8B)。しかしながら、ワクチン接種にIL−28Bを含めることは、HIVGag4Yのみでワクチン接種したマウスの血清に比べて、IgG2aの2倍を超える増加をもたらす(図8C)。さらに、対照(pVAX)群と比べてIL−12の群ではIgG2aの増加が見られなかったという事実によって証拠付けられるように、IL−12はこのアッセイで抗体反応を抑制し続けた。従って、IL−28BはTh1に強く偏って抗原特異的な液性の免疫応答を高めることができると思われ、それは、細胞性の免疫応答における効力に一致する(図7A及び7B)。
【0123】
IL−28Bは脾臓のCD4+/CD25hi/FoxP3+細胞を減らすが、IL−12はそれらを増やす
IL−28Bは新規に記載されたIFNλファミリーのメンバーなので、IFNλ3として知られる18〜21。IFNλのそのほかのメンバーにはIL−28A(IFNλ2)及びIL−29(IFNλ1)が挙げられる18〜21。以前の研究によって、IL−29は、IL−2への応答でCD25hi/FoxP3+CD4+T細胞(Treg細胞)の増殖を特異的に誘導するように樹状細胞に働きかける可能性があるという点で免疫の抑制及び寛容で役割を担うことが示唆された5。Treg細胞の誘導又は増殖は、特定の設定の範囲内ではワクチン接種戦略にとって不利な点であるとみなされうるが、CD4+T細胞のこの亜集団に影響を及ぼすIL−28Bの能力は以前検討されていなかった。IL−28BはIL−29と同じIFNファミリーに入るので、我々はそれがTreg細胞集団に類似の効力を発揮しうる可能性に対処した。さらに、我々は、以前調べられていなかった、この種のワクチン接種に設定におけるTreg細胞に影響を及ぼすIL−2の能力も見てみた。
【0124】
フローサイトメトリーによってCD4、CD25及びFoxP3の発現を見ることによって(図9A)、我々は免疫化したマウスにおけるTreg集団に対する、サイトカインの存在及び非存在下でのワクチン接種の影響を検討することができた。この解析の結果は、HIVGag4Y構築物のみによる免疫は、ワクチン接種したマウスの脾臓Tregの比率で小さいが統計的に有意な低下を生じたことを示している(図10B)。この結果は、免疫後のTreg集団における類似の変化を記載している以前の報告に一致する20。ワクチン接種にサイトカインアジュバントを含めることは、様々なやり方でTreg集団を劇的に変化させた。興味深いことに、免疫アジュバントとしてのIL−12の採用は、HIVGag4Y構築物のみによってワクチン接種したマウスに比べて免疫化したマウスにおける脾臓Tregの数を有意に増やした(図9B)。この現象がワクチン接種の設定で報告されたのはこれが初めてであり、免疫についてのアジュバントとしてのIL−12の以前知られていない表現型を構成する可能性がある。また相当に興味があるのは、免疫アジュバントとしてIL−28Bをワクチン接種に含めることは、HIVGag4Y構築物のみによるワクチン接種に比べて脾臓Tregの数を統計的に有意に減らす原因になるという事実であった(図9B)。IL−28Bのこの能力が記載されたのはこれが初めてであり、ワクチン接種のアジュバントとして使用される場合、それはサイトカインの有意な利益としてみなされうる。さらにそれは、同じIFNファミリーにいるが、IL−28BとIL−29の間には重要な差異がありうるという可能性を示唆している。
【0125】
IL−28Bを与えたマウスの脾細胞はTGFβをあまり分泌しない
我々は、IL−12又はIL−28Bをワクチン接種に含めることが、完全に機能的なT制御性細胞の増殖を誘導する代わりに、正常なCD4+細胞をTregに見えるように表現型を変えつつあることが可能であると推論した。従って、これらの細胞が表現型上Tregに似ていることに加えてTregとして機能しているかどうかを判定するために、我々は、Tregを基にした非接触性の免疫抑制の主なメディエータの1つとして認識される21TGFβを産生する能力をワクチン接種したマウスの脾細胞で測定した。これを達成するために、我々は、活性化細胞からのTGFβの放出を測定するために、PMA及びイオノマイシンとの組み合わせと共に各群のマウスの脾細胞を48時間培養した。この時間の最後に、細胞培養から上清を取り、ELISAを用いてTGFβを検出した。図9Bに示すように、Gag4Yのみを与えたマウスに比べてIL−12をアジュバントとして与えたマウスから単離した脾細胞の活性化は結果としてTGFβ産生の統計的に有意な増加を生じた(図9B)。この結果は、IL−12を与えたマウスとHIVGag4Yのみを与えたマウスの間でのフローサイトメトリーで認められたTregの数の差異はTregの集団を正しく特定していることを示唆している。さらに、アジュバントとしてIL−28Bを与えたマウスから単離した脾細胞は、PMAとイオノマイシンで活性化した場合、有意に少ないTGFβしか産生しなかった(図9B)。このことは再び、HIVGag4Yのみを与えたマウスと比べてIL−28Bを与えたマウスにおけるTreg集団での差異を示唆するフローサイトメトリーのデータを支持している。
【0126】
IL−2はTregの誘導及び増殖に重要なサイトカインであるので21、我々は、ワクチン接種した群間でのTreg集団の差異は、IL−2の差次的産生により得ると推論した。この可能性を調べるために、我々は再び各群から単離した活性化脾細胞からのサイトカインの放出を測定した。これらの細胞から産出されたIL−2の解析は、いずれの群間にも有意差がないことを示し、DNAワクチン接種後に見られるTreg集団における差異に関与する代替メカニズムがあることを示唆している。
【0127】
IL−12ではなくIL−28Bが脾臓のCD8+T細胞を増やす
IL−28Bが脾臓のTregの量に影響を及ぼしうることを判定して、我々は、このアジュバントがワクチン接種後そのほかの細胞種に対して類似の効力を有するかどうかを検討することを決定した。その目的で、対照マウス及びワクチン接種したマウスからの脾細胞をフローサイトメトリーによってCD8T細胞(CD3+/CD8+)の存在について解析した。図10Aに示すように、対照(pVAX)の脾臓におけるCD8T細胞の比率は、Gag4Y構築物のみ、又はIL−12アジュバントを伴ったGag4Y構築物を与えたマウスと有意に異なることはなかった。しかしながら、IL−28Bをアジュバントとして与えたマウスは、ほかの群すべてと比べて、脾臓における有意に高い比率のCD8T細胞を示したが、それはIL−28Bが免疫後、脾臓のCD8T細胞集団を増殖させる能力を有することを示唆している。IL−28Bのこの効力が脾臓に限定されているのか、ほかのリンパ系臓器や末梢血で見られうるのかどうかを判定するために、我々は次にマウスの各群からの循環PBMCと同様に腸間膜リンパ節(MLN)から単離したリンパ球を解析した。HIVGag4Y構築物のみで免疫化したマウスは対照のマウスと比べると、MLNで見い出されたCD8+T細胞の数において小さいが統計的に有意な増加を示した。アジュバントとしてIL−12を与えたマウスは、Gag4Yのみを与えたマウスに比べてMLNでCD8+T細胞の数の増加を示し、この増加は統計的に有意に達することができた(図10A)。HIVGag4Yと併せてIL−28Bを与えたマウスは免疫の間、CD8+T細胞の比率でやや高い増加を有したが、それは、印象的な統計的有意(p<0.005)に達した。末梢血から単離されたリンパ球は、IL−28Bアジュバントを与えた群ではCD8+T細胞集団のみの増加を示したが、それは、脾臓において見られたパターンを彷彿させものである(図10A)。これらの結果は、IL−12ではなくIL−28Bが免疫化したマウスの脾臓及び末梢血でCD8+T細胞集団の大きさを高めるが、双方のアジュバントがMLNにおけるCD8+T細胞を増やすことができることを示している。
【0128】
IL−28BはHIVGag特異的なCD8+T細胞のパーフォリン誘導と脱顆粒を高める
IL−28Bがワクチン接種後、脾臓のCD8+T細胞の比率において有意な影響を有すると判定して、我々は、この細胞のサブセットをさらに解析することを決定した。IL−12はCD8+T細胞の顆粒性に影響を及ぼすことが以前から示されていた19。我々の以前の実験は、IL−28BがIL−12に等しいがそれを超える細胞性免疫(IFNγの放出を介した)に対する強い影響を有している(図7A)ことを示唆していたので、我々は、IL−28BがIL−12と同様に細胞の顆粒性に影響を及ぼすことができるかどうかを尋ねた。従って、我々は、各群のマウスの脾臓から単離したCD8+T細胞におけるパーフォリンの抗原特異的誘導を測定する実験を設計した。抗原特異的なパーフォリンの上方制御の量を決定するために、我々は、培地対照と共に、又は一連の重なり合うHIVGagクレードCペプチドと共に単離脾細胞を6時間インキュベートし、その後、細胞性マーカー及びパーフォリンについて細胞外及び細胞内の染色を行い、次いでフローサイトメトリーによる解析を行った(図10B)。細胞溶解性の脱顆粒を防ぐために、方法17に記載したように、EGTAとMg2+を培養に加えた。この刺激の結果は図10Cに提示する。培地のみとインキュベートした群すべてからの脾細胞におけるCD8+T細胞はおおまかに等量のパーフォリンの量を示し、そのことは、アジュバントの有無によるワクチン接種は、この系における基本となるCD8+T細胞の顆粒性に有意な効力を有さないことを示唆している。重なり合うHIVGagペプチドによる脾細胞の刺激は異なる結果を示した。HIVGag4Y構築物のみで免疫化したマウスからの脾細胞におけるCD8+T細胞は、対照マウスに比べてパーフォリンhiのゲートに入る控えめな増加を示した。しかしながら、IL−12又はIL−23Bを与えたマウスから得たCD8+T細胞は双方とも、Gar4Y構築物のみを与えたマウスから得たものよりも明らかに高いパーフォリンhi細胞の比率での増加を示した(図10C)。これらの結果は、IL−12がリンパ球のパーフォリン含量を高める可能性があるという以前の報告22に一致し、この効力がIL−28Bで報告されたのは初めてである。
【0129】
IL−28BがCD8+T細胞のパーフォリン含量に影響を及ぼすという知識と共に、我々はこのサイトカインアジュバントが同様に抗原特異的な脱顆粒に影響を及ぼし得るかどうかを調べた。これを調べるのに、我々は、EGTA又はMg2+を培養に加えないという事実を除いてパーフォリン誘導を測定したのと同様に細胞をインキュベートし、脱顆粒のマーカーであるCD107aに対する抗体23を代わりにペプチド刺激の時点で増強染色剤として加えた。細胞を再び細胞性マーカーの染色に供し、その後フローサイトメトリーによって解析した。我々は、Gag4Y構築物のみを与えたマウスからのCD8+T細胞が低レベルのGag特異的な脱顆粒を示すことを認めた(図10C)。HIVGag4Y構築物との組み合わせでIL−12を与えたマウスからのCD8+T細胞は、Gag構築物のみを与えたマウスと比べて抗原特異的な脱顆粒で小幅な増加を示したが、この差異は統計的な有意には達しなかった。しかしながら、ワクチン接種におけるアジュバントとしてのIL−28Bを与えたマウスからのCD8+T細胞は、アジュバントを与えなかったマウスから採取したT細胞に比べてHIVGag特異的な脱顆粒において有意な増加を示した(図10C)。結果は、IL−28BがDNAワクチン接種でアジュバントとして用いられるとCD8+T細胞の脱顆粒にてより大きい且つ統計的に有意な増加を招くことを示している。
【0130】
IL−28Bは生体内での致死的インフルエンザ抗原投与から保護する
細胞性の免疫応答に関する我々のアッセイは、IL−28BがTh1に偏った細胞性免疫に対して強いアジュバントとして作用する潜在力を有することを示唆したので、我々は、生体内での致死的なウイルス抗原の投与に対して保護するこのサイトカインの能力を調べることを決定した。これを達成するために、我々は上記と同様の方法で4セットの追加マウス(各群当たりn=8匹)を免疫化し、その後電気穿孔を行った。対照マウスには10μgの空のpVAXベクターを与えたが、ほかの群のマウスは、インフルエンザ核タンパク質(NP)をコードする10μgのプラスミドのみ、又はそれに加えてIL−12若しくはIL−28Bを与えた。インフルエンザの核タンパク質は内部構造のタンパク質であり、ビリオンの外側に暴露されていない。従って、NPタンパク質に対して標的とされるインフルエンザ感染に対する免疫は、液性免疫であると同時に細胞性免疫である16。IFNγELISpotを介したワクチン接種したマウスの細胞性免疫の解析は、HIVGag4Y構築物に対する応答を増強したのとほぼ同じようにIL−12及びIL−28BのアジュバントはインフルエンザNP抗原に対して高い応答を誘導した(図11A)。免疫後4週間の休息期間の後(図11B)、H1N1インフルエンザ株:A/プエルトリコ8/34(A/PR/8/34)の10LD50を鼻内にてすべてのマウスに抗原投与した。ウイルス感染に関連した死亡率について次の14日間の経過にわたってマウスをモニターした。この実験の結果は、対照マウスの抗原投与は感染後8日目で結果的に100%の死亡率を生じたことを示している(図11C)。10μgのNP構築物を与えたマウスが以後の14日間で50%の死亡率を示したということは、NP構築物のみでは保護を誘導するのに完全に十分ではないことを示唆している。IL−12は、抗原投与試験でアジュバントとして使用した場合、ウイルス感染に関連した死亡に対して十分な保護を誘導することができることが過去において示されている13,14。NPに対するアジュバントとしてIL−12を与えたマウスが感染による死亡から100%の保護を示したという事実によって示されたように、現在の試験でもこれはそのとおりである。さらに、IL−28Bは強力な細胞性の免疫応答を誘導することができたことを示唆する我々の以前のアッセイに一致して、NPに対するアジュバントとしてIL−28Bを与えたマウスもウイルス抗原投与後100%の生存を示した。この実験の結果は、IL−28BがDNAワクチン接種の間にアジュバントとして使用されると生体内でのウイルス感染に伴った死亡から100%の保護を誘導し得ることを示している。
【0131】
考察
ここに提示した試験は、プラスミドにコードされたIL−28BがDNAワクチン接種でアジュバントとして使用された場合、抗原特異的な免疫応答に対して強力な効力を有し得ることを示している。IL−28Bは、Th1に偏って複数クレードHIVGag抗原に対する抗原特異的な免疫応答を増強することができたが、それは、ワクチン接種したマウスの血清で検出される高いレベルのGag特異的IgG2aと同様に抗原特異的なELISpotにおける大きく高められたIFNγの放出によって証拠付けられた。さらに、これは、DNAワクチン接種後の脾臓Treg集団を減らすIL−28Bの能力を記載する最初の記録である。IL−28Bはまたここで、脾臓CD8+T細胞を増殖させることができることが示され、これらの細胞が同族の抗原に応答して高いパーフォリン誘導と脱顆粒を示すことが示された。IL−28Bが致死的なウイルス抗原投与においてマウスの保護を増強することができたという事実は、ワクチン接種におけるアジュバントとしてのこのサイトカインの継続した試験を強く主張する。
【0132】
IL−12はワクチン接種試験におけるアジュバントとして使用されることが多い高度に強力なサイトカインである9〜13ことが知られているという事実のために、IL−28Bの影響をIL−12に対して測定した。この組み合わせの解析はIL−28Bが、それ以上ではなくても場合によっては少なくともIL−12と同じくらい強力であることを示している。さらに、IL−28Bは、抗原特異的な抗体力価の上昇と、高い程度の抗原特異的な細胞溶解性の脱顆粒か可能である脾臓CD8+T細胞集団の増加を含む、IL−12にはない、ワクチン接種についての追加の利益を与えている。Treg集団に対するIL−28BとIL−12の効力は劇的に異なった。これは、DNAワクチン接種においてIL−12に応答したTregの誘導を分析し、このアジュバントがこの細胞集団を増やし得ることを報告する最初の試験である。この知見の影響は今のところ明らかではないが、この結果は、IL−28Bは細胞性免疫が最重要である特定の状況では優れうることを支持し得る。最近の報告は生体内でのTregの生成に対するIL−12受容体の重要性を強調しているが24、IL−12を与えたマウスがさらに大きなTreg集団を有する具体的なメカニズムは不明のままであり、このサイトカインとTreg集団の誘導及び増殖との間の連鎖の可能性を示唆している。Tregメンバーを減らすIL−28Bの能力は、それがT細胞の一部のサブセット(CD8)を増やすことができる一方でほか(Treg)を減らすので、標的メカニズムである可能性が高いと思われる。具体的なメカニズムに対する追加の試験が必要とされるが、これもまたIL−28受容体が介在することが可能である。
【0133】
ここに提示した結果は、生体内でのIL−28Bの機能の重要な分析を含み、構成し、IL−28Bが免疫応答にどのように影響を及ぼすかということの我々の理解の始まりに寄与する。データは、IL−28BがIFN様の機能に加えて適応免疫応答のレギュレータであり得ることを示唆し、この効力はCD8+T細胞の数と機能に大きく集中していると思われる。IL−28Bが抗原特異的免疫応答を方向付けることができることに加えて抗ウイルス状態を誘導するという事実は、それが天然の免疫と適応性の免疫との間のギャップを繋ぐ独特の能力を有することを示唆している。さらに、IL−28Bは、特定のアジュバント設定にてIL−12を超えた免疫療法のアプローチで独特の役割を有し得る。特に、寛容が特に問題である腫瘍免疫におけるアジュバントとして、IL−28Bが非常に有用であり得る。これを適切に検証するためにさらなる試験が必要である。
【0134】
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
免疫原をコードする単離された核酸分子とIL−28又はその機能的断片をコードする単離された核酸分子を含む組成物。
【請求項2】
前記核酸分子がプラスミドである請求項1の組成物。
【請求項3】
前記免疫原が、病原体抗原、癌関連抗原、又は自己免疫疾患に関与する細胞に関連する抗原である請求項1の組成物。
【請求項4】
前記免疫原が、病原体抗原である請求項3の組成物。
【請求項5】
免疫原をコードするヌクレオチド配列とIL−28又はその機能的断片をコードするヌクレオチド配列とを含む単離された核酸分子を含む組成物。
【請求項6】
前記核酸分子がプラスミドである請求項5の組成物。
【請求項7】
前記免疫原が、病原体抗原、癌関連抗原、又は自己免疫疾患に関与する細胞に関連する抗原である請求項5の組成物。
【請求項8】
前記免疫原が、病原体抗原である請求項7の組成物。
【請求項9】
請求項1の組成物を含む注射用医薬組成物。
【請求項10】
請求項1の組成物を個体に投与することを含む、前記個体において免疫原に対する免疫応答を誘導する方法。
【請求項11】
請求項5の組成物を個体に投与することを含む、前記個体において免疫原に対する免疫応答を誘導する方法。
【請求項12】
調節エレメントに操作可能に連結された免疫原をコードするヌクレオチド配列と、IL−28又はその機能的断片をコードするヌクレオチド配列とを含む組換えワクチン。
【請求項13】
前記免疫原が、病原体抗原、癌関連抗原、又は自己免疫疾患に関与する細胞に関連する抗原である請求項12の組換えワクチン。
【請求項14】
前記免疫原が、病原体抗原である請求項13の組換えワクチン。
【請求項15】
前記組換えワクチンが組換えワクシニアワクチンである請求項14の組換えワクチン。
【請求項16】
請求項12の組換えワクチンを個体に投与することを含む、前記個体において免疫原に対する免疫応答を誘導する方法。
【請求項17】
IL−28又はその機能的断片をコードするヌクレオチド配列を含む弱毒化した生きた病原体。
【請求項18】
請求項17の弱毒化した生きた病原体を個体に投与することを含む、前記個体において病原体に対する免疫応答を誘導する方法。
【請求項1】
免疫原をコードする単離された核酸分子とIL−28又はその機能的断片をコードする単離された核酸分子を含む組成物。
【請求項2】
前記核酸分子がプラスミドである請求項1の組成物。
【請求項3】
前記免疫原が、病原体抗原、癌関連抗原、又は自己免疫疾患に関与する細胞に関連する抗原である請求項1の組成物。
【請求項4】
前記免疫原が、病原体抗原である請求項3の組成物。
【請求項5】
免疫原をコードするヌクレオチド配列とIL−28又はその機能的断片をコードするヌクレオチド配列とを含む単離された核酸分子を含む組成物。
【請求項6】
前記核酸分子がプラスミドである請求項5の組成物。
【請求項7】
前記免疫原が、病原体抗原、癌関連抗原、又は自己免疫疾患に関与する細胞に関連する抗原である請求項5の組成物。
【請求項8】
前記免疫原が、病原体抗原である請求項7の組成物。
【請求項9】
請求項1の組成物を含む注射用医薬組成物。
【請求項10】
請求項1の組成物を個体に投与することを含む、前記個体において免疫原に対する免疫応答を誘導する方法。
【請求項11】
請求項5の組成物を個体に投与することを含む、前記個体において免疫原に対する免疫応答を誘導する方法。
【請求項12】
調節エレメントに操作可能に連結された免疫原をコードするヌクレオチド配列と、IL−28又はその機能的断片をコードするヌクレオチド配列とを含む組換えワクチン。
【請求項13】
前記免疫原が、病原体抗原、癌関連抗原、又は自己免疫疾患に関与する細胞に関連する抗原である請求項12の組換えワクチン。
【請求項14】
前記免疫原が、病原体抗原である請求項13の組換えワクチン。
【請求項15】
前記組換えワクチンが組換えワクシニアワクチンである請求項14の組換えワクチン。
【請求項16】
請求項12の組換えワクチンを個体に投与することを含む、前記個体において免疫原に対する免疫応答を誘導する方法。
【請求項17】
IL−28又はその機能的断片をコードするヌクレオチド配列を含む弱毒化した生きた病原体。
【請求項18】
請求項17の弱毒化した生きた病原体を個体に投与することを含む、前記個体において病原体に対する免疫応答を誘導する方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【公表番号】特表2011−517938(P2011−517938A)
【公表日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−503239(P2011−503239)
【出願日】平成21年4月6日(2009.4.6)
【国際出願番号】PCT/US2009/039648
【国際公開番号】WO2009/124309
【国際公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【出願人】(504074710)ザ トラスティーズ オブ ザ ユニバーシティ オブ ペンシルバニア (20)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月6日(2009.4.6)
【国際出願番号】PCT/US2009/039648
【国際公開番号】WO2009/124309
【国際公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【出願人】(504074710)ザ トラスティーズ オブ ザ ユニバーシティ オブ ペンシルバニア (20)
【Fターム(参考)】
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