説明

IPマルチキャストサービス回復方法およびシステム

【課題】不具合ブロックのみ予備S,Gへ退避処理を行うことより、余分な処理による信頼性の低下を解消する。
【解決手段】IPマルチキャスト保守パケットの到着状況による、ノードF、Gの故障報告を元に保守OpSは、不具合ブロックを把握する。不具合ブロック最上流のノードCは、回復対象S,Gパケットとコピーした予備S,Gパケットを同時に下流のノードに送信する。ノードF、Gは、予備S,Gパケットを選択し、回復対象S,Gに変換して視聴者端末h3、h4へ送出し、送出後、完了を保守OpSに報告する。不具合ブロック最上流のノードCは、保守OpSから、パケットの疎通が回復した通知を受信した際は、回復対象S,Gパケットの送出を停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の配信サーバと複数の視聴者端末間を接続する複数のノードで構成されたネットワークにおけるIPマルチキャストサービス回復方法およびシステムに関し、特に、複数ノード間におけるIPマルチキャストの隣接確認が完了し、IPマルチキャストの転送要求が承諾された承諾ルートを経由してIPマルチキャストの通信をしている複数ノードの内、特定の配信サーバから送出されたことを示す送信元情報(S)および特定のグループ情報(G)を有するIPマルチキャスト通信が特定の配信サーバから到達すべき複数の視聴者端末まで疎通しているかを確認して、特定の不具合により視聴者端末まで疎通できていない運用S,Gの不具合ブロックを把握し、前記不具合ブロックについて正常な疎通状況に回復させるIPマルチキャストサービス回復方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1に開示された従来技術のIPマルチキャストサービス回復方法の原理について図9〜図19を用いて説明する。図9は、従来技術のIPマルチキャスト疎通性監視方法を用いて、予備S,Gルートの正常性確認を実施するための発ノードでのIPマルチキャストパケット処理機能を説明するブロック図であり、図10、11は、回復対象S,Gを有するIPマルチキャストパケットのサービス回復における発ノードでのIPマルチキャストパケット処理機能を説明するブロック図であり、図12〜18は、従来技術のIPマルチキャストサービス回復方法の実施例を説明するブロック図であり、図19は、従来技術のIPマルチキャスト到達監視方法の実施例におけるIPマルチキャスト保守パケット内情報を示す図である。
【0003】
図9〜19において、
X01は、上流の配信サーバからの入力パケット、
X02は、下流の中継ノードへの出力パケット、
X03は、通信データ用バッファ、
X04は、IPマルチキャスト保守パケットバッファ、
X05は、送信制御部、
X06は、パケット処理部、
101−1〜101−2は、配信サーバMS1〜MS2、
110−1〜110−4は、視聴者端末h1〜h4、
115は、自ネットワークエリア、
116は、配信サーバ側、
117は、ユーザ側(即ち、視聴者端末側)、
118、119は、ネットワーク境界点、
120は、発ノードA、
121〜122は、中継ノードB〜C、
123〜126は、エッジノードD〜G、
150は、保守OpS(Operating System)
160は、IPマルチキャスト保守パケット情報の内訳である。
【0004】
なお、ノード間のマルチキャスト制御プロトコルにPIM−SSMを、端末視聴管理プロトコルにMLDv2を用いて説明している。また、ノードA(120)〜ノードG(126)の隣接ノード間は、PIM−HelloにてNeighberが確立しており(隣接確認の確立)、さらに、PIM−joinの確認が完了し、MLDv2による視聴者端末からの要求手続きが完了していることを前提としている(承諾ルートの確立)。
【0005】
まず、図9を用いて、従来技術のIPマルチキャスト疎通性監視方法を用いた、予備S,Gルートの正常性確認を実施するための発ノードでのIPマルチキャストパケット処理機能について説明する。
入力パケット(X01)は、通信データ用バッファ(X03)に送信される。並行してIPマルチキャスト保守パケットバッファ(X04)は、予備S,Gを有するIPマルチキャスト保守パケットを予備S,Gルート用の観測用パケットとして送出準備している。送信制御部(X05)は、外部より予備S,Gルートの疎通確認の指示を受けた際は、予備S,GのIPマルチキャスト保守パケットを読み出し制御により挿入し、出力パケット(X02)として送信する。
【0006】
次に、図10、11を用いて回復対象S,Gを有するIPマルチキャストパケット(以下、回復対象S,Gパケットと記す)のサービス回復における発ノードでのIPマルチキャストパケット処理機能について説明する。
【0007】
図10は、サービス回復処理として、回復対象S,Gパケットを予備S,Gルートに退避させる状態の発ノード内のIPマルチキャストパケット処理を示している。入力パケット(X01)は、通信データ用バッファ(X03)に送信される。並行してIPマルチキャスト保守パケットバッファ(X04)は、MKPT(マーキングパケット)を予備S,Gルート用と回復対象S,Gルート用として送出準備している。送信制御部(X05)は、外部より予備S,Gへのサービス回復指示を受けた際は、パケット処理部(X06)に「回復対象S,Gパケットのみコピー実施」、「回復対象S,Gパケットのコピーパケットのみ予備S,Gに変換」するように指示し、併せて、コピーを開始する前にIPマルチキャスト保守パケットバッファより、予備S,Gルート用のMKPTと回復対象S,Gルート用のMKPTを挿入する。
【0008】
図11は、回復対象S,Gパケットを予備S,Gルートに退避を完了した状態の発ノード内のIPマルチキャストパケット処理を示している。送信制御部(X05)は、外部よりサービス回復完了の指示を受信した際は、パケット処理部(X06)へ、回復対象S,Gルートへの転送を停止し、回復対象S,GパケットのS,G情報を予備S,Gに変換して下流へ送信する処理のみ継続して実施する。
【0009】
次に、従来技術のIPマルチキャストサービス回復方法の実施例について、図12〜19を用いて説明する。なお、前提条件として、ノード間のマルチキャスト制御プロトコルをPIM−SSMとし、端末視聴管理プロトコルをMLDv2とする。また、発ノードA(120)からエッジノードD〜G(123〜126)間の回復対象S,Gは、PIM−HelloにてNeighberが確立し、PIM−joinの確認が完了し、MLDv2による視聴者端末からの要求手続きが完了していることを前提としている。
【0010】
<処理11>
まず、図12に示すように、事前処理(その1)として、発ノードA(120)からエッジノードD〜G(123〜126)までの予備S,G用IPマルチキャストルート(予備S,Gルート)の確保を実施する。
〔処理11−a〕
保守OpS(150)は、予備S,Gルートの確保実施を全ノード(120〜126)に通知する。
〔処理11−b〕
保守OpS(150)からの通知(処理11−a)により、各ノードは、以下の処理11−b−1〜処理11−b−3を実施する。
〔処理11−b−1〕
エッジノードD〜G(123〜126)では、予備S,GのPIM−JOINを生成し、上流の中継ノードへPIM−JOINの送信を開始する。
〔処理11−b−2〕
中継ノードB,C(121、122)は、下流エッジノードよりPIM−JOINを受信した場合は、上流の発ノードA(120)へPIM−JOINを送信する。
〔処理11−b−3〕
発ノードA(120)は、予備S,GのPIM−JOINを下流中継ノードから受信した場合は、保守OpS(150)へ通知する。
【0011】
<処理12>
次に、図13に示すように、事前処理(その2)として、発ノードA(120)からエッジノードD〜G(123〜126)までの予備S,Gルートの確保を実施する。
〔処理12−a〕
保守OpS(150)は、全ノード(120〜126)に予備S,Gの疎通性確認の実施を指示するとともに、発ノードA(120)に、予備S,GルートへのIPマルチキャスト保守パケットの送信を指示する。
〔処理12−b〕
発ノードA(120)は、保守OpS(150)の指示(処理12−a)をもとに、予備S,GルートにIPマルチキャスト保守パケットを送信し、エッジノードD〜G(123〜126)までの、疎通性(到達性、経路監視、使用可能帯域)を確認する。
〔処理12−c〕
中継ノードB,C(121、122)は、予備S,GのIPマルチキャスト保守パケットに通過ルート番号(RN)を付与してコピー後、下流のエッジノードD〜G(123〜126)に転送する。
〔処理12−d〕
エッジノードD〜G(123〜126)は、到着した予備S,GのIPマルチキャスト保守パケット内の情報を保守OpS(150)へ報告する。
〔処理12−e〕
保守OpS(150)は、処理12−dの情報を元に、全予備S,Gルートの確保を確認した後、予備S,Gルート上の各ノードA〜G(120〜126)へ疎通正常性の確認が完了したことを通知する。
【0012】
<処理13>
次に、図14に示すように、特定の運用S,GのIPマルチキャストパケットの疎通不具合(不具合グロック)を検知する。
〔処理13−a〕
保守OpS(150)は、全ノード(120〜126)に特定の運用S,Gの疎通性確認の実施を指示すると共に、発ノードA(120)に特定の運用S,GルートへのIPマルチキャスト保守パケットの送信を指示する。
〔処理13−b〕
発ノードA(120)は、処理13−aの指示をもとに、特定の運用SGルートにIPマルチキャスト保守パケットを送信し、エッジノードD〜G(123〜126)までの疎通性(到達性、経路監視、使用可能帯域)を確認する。
〔処理13−c〕
中継ノードB、C(121、122)は、特定の運用S,GのIPマルチキャスト保守パケットに通過ルート番号(RN)を付与してコピー後、下流のエッジノードD〜G(123〜126)に転送する。
〔処理13−d〕
エッジノードD〜G(123〜126)は、特定の運用S,GのIPマルチキャスト保守パケットの到着状況およびパケット内情報を保守OpS(150)へ報告する。
〔処理13−e〕
保守OpS(150)は、処理13−dの情報を元にノードF,G(125、126)が疎通不良(特定の運用S,Gについて視聴者端末h3,4からMLD Report(join有)受信状態で、IPマルチキャスト保守パケットが中継ノードCを通過後、ノードF,Gに未到着)であることから、ノードC,F,G(122、125,126)が不具合ブロックであることを把握する。
【0013】
<処理14−1>
次に、図15に示すように、サービス回復処理として、予備S,Gルートへ回復対象S,Gパケットの退避を実施する(その1)。
処理12で確保した正常な予備S,Gルートについて、継続して正常状態が維持されている場合、以下を実施する。
〔処理14−1−a〕
保守OpS(150)は、不具合が確認された特定の運用S,G(以降、回復対象S,Gと記す)のIPマルチキャストパケットを予備S,Gルートに退避開始することを各ノード(120〜126)に通知する。
〔処理14−1−b〕
発ノードA(120)は、回復対象S,Gルートと予備S,Gルートにマーキングパケット(MPKT)を挿入する。なお、MPKTは、無瞬断での退避を目的とし、エッジノードD〜G(123〜126)にて選択可能とするために挿入するものである。また、ヘッダ内の試験パケット識別子(TPM)にてマーキングパケット認識を可能とする。
〔処理14−1−c〕
発ノードA(120)は、MPKT以降、回復対象S,Gパケットを、回復対象S,Gルートと予備ルートの双方にコピーを送信する。なお予備S,Gルートは、S,G情報を「回復対象S,G」から「予備S,G」に書き換える処理を実施する。
【0014】
<処理14−2−1>
次に、図16に示すように、サービス回復処理として、予備S,Gルートへの回復対象S,Gパケットの退避を実施する(その2:不具合ブロック以外)。
不具合ブロック外であるエッジノードD,E(123,124)にて、MPKTが回復対象S,Gルートおよび予備S,Gルートよりそれぞれ到着したならば、以下を実施する。
〔処理14―2−1−a〕
エッジノードD,E(123,124)にてMPKTを抽出する。
〔処理14―2−1−b〕
エッジノードD,E(123,124)では、MPKT以降の予備S,GのIPマルチキャストパケット内のS,G情報を「予備S,G」から「回復対象S,G」に変換する。
〔処理14―2−1−c〕
MPKT以降の予備S,GルートのIPマルチキャストパケットを実通信パケットとして視聴者端末h1,h2(110−1、110−2)へ転送する(セレクタ切り替えによる選択変更により予備S,Gルートへ無瞬断で退避を実施)。
〔処理14―2−1−d〕
MPKT以降の回復対象S,GルートのIPマルチキャストパケットは、エッジノードD,E(123,124)で破棄する。
〔処理14―2−1−e〕
処理14―2−1−a〜処理14―2−1−dの完了時は、退避処理の完了を保守OpS(150)へ報告する。
【0015】
<処理14−2−2>
次に、図17に示すように、サービス回復処理として、予備S,Gルートへの回復対象S,Gパケットの退避を実施する(その2:不具合ブロック内)。
不具合ブロック内であるエッジノードF,G(125,126)にて、MPKTが回復対象S,Gルートおよび予備S,Gルートよりそれぞれ到着したら、以下を実施する。
〔処理14―2−2−a〕
エッジノードF,G(125,126)にてMPKTを抽出する。
〔処理14―2−2−b〕
エッジノードF,G(125,126)では、MPKT以降の予備S,GのIPマルチキャストパケット内のS,G情報を「予備S,G」から「回復対象S,G」に変換する。
〔処理14―2−2−c〕
MPKT以降の予備S,GルートのIPマルチキャストパケットを実通信パケットとして視聴者端末h3,h4(110−3、110−4)へ転送する(視聴者端末h3,h4はサービスを回復)。
〔処理14―2−2−d〕
処理14―2−2−a〜処理14―2−2−cの完了時は、退避処理の完了を保守OpS(150)へ報告する。
【0016】
<処理15>
次に、図18に示すように、後処理として、不要なIPマルチキャストパケット(キャリアネットワーク内での回復対象S,Gパケット)の送信停止の処理を実施する。
〔処理15−a〕
保守OpS(150)は、発ノードA(120)に回復対象S,Gパケットの送出停止を指示する。
〔処理15−b〕
発ノードA(120)は、回復対象S,Gパケットの送出を停止する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】甲斐英則 外2名“IPマルチキャスト転送網における使用可能帯域監視法”、ネットワークシステム研究会(佐賀大学:2009年1月22日〜23日)、電子情報通信学会技術研究報告(NS2008−126)〔ネットワークシステム〕、ISSN 0913−5685、信学技報Vol.108、No.392
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
このように、上述した従来の技術では、他の通信への影響を与えない方法として、マーキングパケット(MPKT)をもとに、エッジノードにてセレクタによる識別により回復対象S,Gパケットを無瞬断で予備S,Gルートへ退避する技術を用いているが、回復対象S,Gパケットが正常に転送されている他の回復処置不要なノードにおいても、予備S,Gルートへの退避処理を実施しており、処理が複雑となり、逆に余分な処理による故障率の上昇により、信頼性を低下させる課題がある。
【0019】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、回復対象S,Gパケットが正常に転送されている回復処置不要なノードにて実施されている、回復対象S,Gパケットを予備S,Gルートへ退避するという、余分な処理による信頼性の低下を解消するIPマルチキャストサービス回復方法およびシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記目的を達成するため、本発明のIPマルチキャストサービス回復方法は、複数の配信サーバと複数の視聴者端末間を接続する複数のノードで構成されたネットワークにて、特定の配信サーバから送出されたことを示す送信元情報(S)および特定のグループ情報(G)からなる回復対象S,Gを有するIPマルチキャストパケットが、前記特定の配信サーバから到達すべき前記視聴者端末まで疎通できていない不具合ブロックについて正常な疎通状況に回復させるIPマルチキャストサービス回復方法であって、前記不具合ブロックの最上流に位置するノードの処理が、前記視聴者端末まで疎通できていない前記回復対象S,Gを有するIPマルチキャストパケットの回復対象S,Gを、前記視聴者端末まで疎通できることが事前に確認されている特定の未使用のS,Gからなる予備S,Gに変更したIPマルチキャストパケットのコピーパケットを生成して、前記回復対象S,Gを有するIPマルチキャストパケットとともに隣接した下流のノードに転送するステップを含み、前記不具合ブロック内のエッジノードの処理が、上流のノードより到着した予備S,Gを有するIPマルチキャストパケットを選択して、予備S,Gを回復対象S,Gに変換して下流の視聴者端末へ転送するステップを含ことを特徴とする。
【0021】
前記不具合ブロックの最上流に位置するノードの処理は、前記回復対象S,Gを有するIPマルチキャストパケットの下流のノードへの転送を停止するステップを更に含ことが好ましい。
【0022】
また、本発明のIPマルチキャストサービス回復システムは、複数の配信サーバと複数の視聴者端末間を接続する複数のノードで構成されたネットワークにて、特定の配信サーバから送出されたことを示す送信元情報(S)および特定のグループ情報(G)からなる回復対象S,Gを有するIPマルチキャストパケットが、前記特定の配信サーバから到達すべき前記視聴者端末まで疎通できていない不具合ブロックについて正常な疎通状況に回復させるIPマルチキャストサービス回復システムであって、前記不具合ブロックの最上流に位置するノードが、前記視聴者端末まで疎通できていない前記回復対象S,Gを有するIPマルチキャストパケットの回復対象S,Gを、前記視聴者端末まで疎通できることが事前に確認されている特定の未使用のS,Gからなる予備S,Gに変更したIPマルチキャストパケットのコピーパケットを生成して、前記回復対象S,Gを有するIPマルチキャストパケットとともに隣接した下流のノードに転送する機能を備え、前記不具合ブロック内のエッジノードが、上流のノードより到着した予備S,Gを有するIPマルチキャストパケットを選択して、予備S,Gを回復対象S,Gに変換して下流の視聴者端末へ転送する機能を備えることを特徴とする。
【0023】
前記不具合ブロックの最上流に位置するノードは、前記回復対象S,Gを有するIPマルチキャストパケットの下流のノードへの転送を停止する機能を更に備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0024】
本発明は、他の通信への影響を与えない方法として、回復処置が必要なノードのみ回復対象S,Gパケットを予備S,Gルートへ退避する処理を行うことから、課題であった余分な処理による信頼性の低下を解消することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の原理を示す回復対象S,GのIPマルチキャストパケットのサービス回復における発ノードでのIPマルチキャストパケット処理機能に関するブロック図である。
【図2】本発明の原理を示すIPマルチキャストサービス回復方法の実施例のブロック図である。
【図3】本発明の原理を示すIPマルチキャストサービス回復方法の実施例のブロック図である。
【図4】本発明の原理を示すIPマルチキャストサービス回復方法の実施例のブロック図である。
【図5】本発明の原理を示すIPマルチキャストサービス回復方法の実施例のブロック図である。
【図6】本発明の原理を示すIPマルチキャストサービス回復方法の実施例のブロック図である。
【図7】本発明の原理を示すIPマルチキャストサービス回復方法の実施例のブロック図である。
【図8】本発明の原理を示すIPマルチキャスト到達監視法の実施例におけるIPマルチキャスト保守パケット内情報を示す図である。
【図9】従来技術の原理を示すIPマルチキャスト疎通性監視法を用いた、予備S,Gルートの正常性確認実施するための発ノードでのIPマルチキャストパケット処理機能に関するブロック図である。
【図10】従来技術の原理を示す回復対象S,GのIPマルチキャストパケットのサービス回復における発ノードでのIPマルチキャストパケット処理機能に関するブロック図である。
【図11】従来技術の原理を示す回復対象S,GのIPマルチキャストパケットのサービス回復における発ノードでのIPマルチキャストパケット処理機能に関するブロック図である。
【図12】従来技術の原理を示すIPマルチキャストサービス回復方法の実施例のブロック図である。
【図13】従来技術の原理を示すIPマルチキャストサービス回復方法の実施例のブロック図である。
【図14】従来技術の原理を示すIPマルチキャストサービス回復方法の実施例のブロック図である。
【図15】従来技術の原理を示すIPマルチキャストサービス回復方法の実施例のブロック図である。
【図16】従来技術の原理を示すIPマルチキャストサービス回復方法の実施例のブロック図である。
【図17】従来技術の原理を示すIPマルチキャストサービス回復方法の実施例のブロック図である。
【図18】従来技術の原理を示すIPマルチキャストサービス回復方法の実施例のブロック図である。
【図19】従来技術の原理を示すIPマルチキャスト到達監視法の実施例におけるIPマルチキャスト保守パケット内情報を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。本発明のIPマルチキャストサービス回復方法およびシステムは、IPマルチキャストの転送要求が承諾された承諾ルートを経由してIPマルチキャストの通信をしている複数のノードの内、特定の配信サーバから送出されたことを示す送信元情報(以降、Sと記す)および特定のグループ情報(以降、Gと記す)からなる回復対象S,Gを有するIPマルチキャストパケットが、不具合により特定の配信サーバから到達すべき視聴者端末まで疎通できていないエリア(以降、不具合ブロックと記す)を把握し、不具合ブロックについて正常な疎通状況に回復させるものである。
【0027】
図1は、本発明の原理を示す回復対象S,Gを有するIPマルチキャストパケット(以下、回復対象S,Gパケットと記す)のサービス回復における発ノードまたは中継ノードの内、不具合ブロックの最上流に位置するノードでのIPマルチキャストパケット処理機能に関するブロック図である。図2〜7は、本発明の原理を示すIPマルチキャストサービス回復方法の実施例のブロック図である。図8は、本発明の原理を示すIPマルチキャスト到達監視法の実施例におけるIPマルチキャスト保守パケット内情報を示す図である。
【0028】
なお、本説明でも、ノード間のマルチキャスト制御プロトコルにPIM−SSMを、端末視聴管理プロトコルにMLDv2を用いて説明している。また、ノードA(120)〜ノードG(126)の隣接ノード間は、PIM−HelloにてNeighberが確立しており(隣接確認の確立)、さらに、PIM−joinの確認が完了し、MLDv2による視聴者端末からの要求手続きが完了していることを前提としている(承諾ルートの確立)。
【0029】
図1〜8において、
A01は、入力パケット、
A02は、出力パケット、
A03は、通信データ用バッファ、
A05は、送信制御部、
A06は、パケット処理部、
101−1〜101−2は、配信サーバMS1〜MS2、
110−1〜110−4は、視聴者端末h1〜h4、
115は、自ネットワークエリア、
116は、配信サーバ側、
117は、ユーザ側(即ち、視聴者端末側)、
118、119は、ネットワーク境界点、
120は、発ノードA、
121〜122は、中継ノードB〜C、
123〜126は、エッジノードD〜G、
150は、保守OpS(Operating System)、
160は、IPマルチキャスト保守パケット情報の内訳である。
【0030】
本発明のIPマルチキャストサービス回復方法が適用されるキャリアネットワークは、複数の配信サーバMS1,MS2(101−1,101−2)と、複数の視聴者端末h1〜h4(110−1〜110−4)との間を接続し、配信サーバMS1,MS2(101−1,101−2)とキャリアネットワークの境界に位置する1個の発ノードA(120)と、複数の中継ノードB,C(121,122)と、視聴者端末h1〜h4(110−1〜110−4)とキャリアネットワークの境界に位置する複数のエッジノードD〜G(123〜126)と、ネットワークと接続可能な保守OpS(150)から構成されている。
【0031】
複数の配信サーバMS1,MS2(101−1,101−2)の各々は、IPマルチキャストの転送と調停の完了後、IPマルチキャストパケットを隣接の発ノードA(120)に転送する機能を有する。
【0032】
複数の視聴者端末h1〜h4(110−1〜110−4)の各々は、隣接のエッジノードから転送さるIPマルチキャストパケットを受信する機能を有する。
【0033】
発ノードA(120)とエッジノードD〜G(123〜126)間は、特定の中継ノードB,C(121,122)を経由して、特定の未使用S,Gである予備S,Gを有するIPマルチキャストパケットが疎通できる予備S,Gルートを有する。
【0034】
保守OpS(150)が、事前に予備S,Gルートの疎通正常性を確認し、かつ、1つの運用中S,G(以降、運用S,Gと記す)のIPマルチキャストパケットが、不具合により視聴者端末まで疎通できていないS,G(以降、回復対象S,Gと記す)の不具合ブロックを確認した際、発ノードまたは中継ノードの内、不具合ブロックの最上流に位置するノード(以下、不具合ブロック先頭ノードと記す)は、保守OpS(150)からの指示により、自ノードが不具合ブロック先頭ノードであることを認識し、回復対象S,Gパケットから、予備S,Gに変更したIPマルチキャストパケットのコピーパケットを生成し、隣接した不具合ブロック内の下流のノードに転送する機能と、保守OpS(150)から不具合ブロック内のパケットの疎通が回復した通知を受信した際は、不具合が確認された回復対象S,Gパケットの隣接した不具合ブロック内の下流のノードへの転送を停止する機能を有する。
【0035】
不具合ブロック内のエッジノードF,G(125,126)は、保守OpS(150)からの指示をもとに、上流の中継ノードC(122)より到着した予備S,GのIPマルチキャストパケットを選択して、回復対象S,Gに変換して下流の視聴者端末へ転送する機能と、回復対象S,Gパケットが上流の中継ノードC(122)より到着した際はこれを破棄する機能を有する。
【0036】
不具合ブロック外のエッジノードD,E(123,124)は、上流の中継ノードB(121)より到着した回復対象S,Gパケットを選択して、継続して下流の視聴者端末へ転送する機能を有する。
【0037】
まず、図1を用いて本発明の原理を示す回復対象S,Gパケットのサービス回復における発ノードまたは中継ノードの内、不具合ブロックの最上流に位置するノード(不具合ブロック先頭ノード)のIPマルチキャストパケット処理機能について説明する。図1は、サービス回復処理として、回復対象S,Gパケットを予備S,GルートのIPマルチキャストパケット(以降、予備S,Gパケットと記す)にコピーを行い、双方のルートに転送する処理を示している。
入力パケット(A01)は、通信データ用バッファ(A03)に送信される。送信制御部(A05)は、外部よりサービス回復の指示を受けた際は、パケット処理部(A06)に「回復対象S,Gパケットのみコピー実施」、「回復対象S,Gパケットのコピーパケットのみ予備S,Gに変換」を実施する。
【0038】
次に、本発明の原理を示すIPマルチキャストサービス回復方法の実施例について、図2〜7を用いて説明する。なお、前提条件として、ノード間のマルチキャスト制御プロトコルをPIM−SSMとし、端末視聴管理プロトコルをMLDv2とする。加えて、発ノードA(120)からエッジノードD〜G(123〜126)間の回復対象S,Gは、PIM−HelloにてNeighberが確立し、PIM−joinの確認が完了し、MLDv2による視聴者端末からの要求手続きが完了していることを前提としている。
【0039】
<処理1>
まず、図2に示すように、事前処理(その1)として、発ノードA(120)からエッジノードD〜G(123〜126)までの予備S,G用IPマルチキャストルート(予備S,Gルート)の確保を実施する。
〔処理1−a〕
保守OpS(150)は、予備S,Gルートの確保実施を全ノード(120〜126)に通知する。
〔処理1−b〕
保守OpS(150)からの通知(処理1−a)により、各ノードは、以下、処理1−b−1〜処理1−b−3を実施する。
〔処理1−b−1〕
エッジノードD〜G(123〜126)では、予備S,GのPIM−JOINを生成し、上流の中継ノードへPIM−JOINの送信を開始する。
〔処理1−b−2〕
中継ノードB,C(121、122)は、下流エッジノードよりPIM−JOINを受信した場合は、上流の発ノードA(120)へPIM−JOINを送信する。
〔処理1−b−3〕
発ノードA(120)は、予備S,GのPIM−JOINを下流中継ノードから受信した場合は、保守OpS(150)へ通知する。
【0040】
<処理2>
次に、図3に示すように、事前処理(その2)として、発ノードA(120)からエッジノードD〜G(123〜126)までの予備S,Gルートの確保を実施する。
〔処理2−a〕
保守OpS(150)は、全ノード(120〜126)に予備S,Gの疎通性確認の実施を指示するとともに、発ノードA(120)に、予備S,GルートへのIPマルチキャスト保守パケットの送信を指示する。
〔処理2−b〕
発ノードA(120)は、保守OpS(150)の指示(処理2−a)をもとに、予備S,GルートにIPマルチキャスト保守パケットを送信し、エッジノードD〜G(123〜126)までの、疎通性(到達性、経路監視、使用可能帯域)を確認する。
〔処理2−c〕
中継ノードB,C(121、122)は、予備S,GのIPマルチキャスト保守パケットに通過ルート番号(RN)を付与してコピー後、下流のエッジノードD〜G(123〜126)に転送する。
〔処理2−d〕
エッジノードD〜G(123〜126)は、到着した予備S,GのIPマルチキャスト保守パケット内の情報を保守OpS(150)へ報告する。
〔処理2−e〕
保守OpS(150)は、処理2−dの情報を元に、全予備S,Gルートの確保を確認した後、予備S,Gルート上の各ノードA〜G(120〜126)へ疎通正常性の確認が完了したことを通知する。
【0041】
<処理3>
次に、図4に示すように、特定の運用S,GのIPマルチキャストパケットの疎通不具合(不具合グロック)を検知する。
〔処理3−a〕
保守OpS(150)は、全ノード(120〜126)に特定の運用S,Gの疎通性確認の実施を指示すると共に、発ノードA(120)に特定の運用S,GルートへのIPマルチキャスト保守パケットの送信を指示する。
〔処理3−b〕
発ノードA(120)は、処理3−aの指示をもとに、特定の運用SGルートにIPマルチキャスト保守パケットを送信し、エッジノードD〜G(123〜126)までの疎通性(到達性、経路監視、使用可能帯域)を確認する。
〔処理3−c〕
中継ノードB、C(121、122)は、特定の運用S,GのIPマルチキャスト保守パケットに通過ルート番号(RN)を付与してコピー後、下流のエッジノードD〜G(123〜126)に転送する。
〔処理3−d〕
エッジノードD〜G(123〜126)は、特定の運用S,GのIPマルチキャスト保守パケットの到着状況およびパケット内情報を保守OpS(150)へ報告する。
〔処理3−e〕
保守OpS(150)は、処理3−dの情報を元にノードF,G(125、126)が疎通不良(特定の運用S,Gについて視聴者端末h3,4からMLD Report(join有)を受信している状態で、IPマルチキャスト保守パケットが中継ノードCを通過後、ノードF,Gに未到着)であることから、ノードC,F,G(122、125,126)が、不具合ブロック内にあることを把握する。
【0042】
<処理4>
次に、図5に示すように、サービス回復処理として、予備S,Gルートへ回復対象S,Gに変換したコピーパケットの送信を実施する(その1)。
処理2で確保した正常な予備S,Gルートについて、継続して正常状態が維持されている場合、以下を実施する。
〔処理4−a〕
保守OpS(150)は、不具合が確認された特定の運用S,G(回復対象S,G)のIPマルチキャストパケットを予備S,Gルートに退避開始することを各ノード(120〜126)に通知する。また、中継ノードC(122)へは、併せて不具合ブロック先頭ノードであること通知する。
〔処理4−b〕
中継ノードC(122)は、回復対象S,Gパケットとコピーした予備S,Gパケットを同時に下流へ送信する。
【0043】
<処理5>
次に、図6に示すように、サービス回復処理として、予備S,Gルートへ回復対象S,Gに変換したコピーパケットの送信を実施する(その2)。
〔処理5−a〕
エッジノードD,E(123,124)は、回復対象S,Gパケットを継続して視聴者端末h1,h2(110−1,110−2)へ送出する(正常に通信中の回復対象S,Gパケットには影響を与えない)。
〔処理5−b〕
エッジノードF,G(125,126)は、予備S,Gパケットを選択し、予備S,Gを回復対象S,Gに変換して視聴者端末h3,h4(110−3,110−4)へ送出後、完了を保守OpS(150)に報告する(エッジノードF,G収容の視聴者端末h3,h4は、サービス回復となる)。
【0044】
<処理6>
次に、図7に示すように、後処理として、不要なIPマルチキャストパケットの送信停止の処理を実施する。
〔処理6−a〕
中継ノードC(122)は、不具合ブロック内のパケットの疎通が回復した通知を受信した際は、エッジノードF,Gへの回復対象S,Gパケットの送出停止を実施し、完了を保守OpS(150)へ報告する。
【0045】
上述のように、本発明を用いれば、疎通性不具合が確認された特定S,GのIPマルチキャストパケットをサービス回復する際、他の正常通信に影響を与えず、不具合が見つかった特定S,GのIPマルチキャストパケットのみサービス回復させることが可能である。また、不要なトラヒック送出を防ぐことも可能である。さらに、不具合ブロック内の回復処置が必要なノードのみ予備S,Gルートへの退避処理を行うことから、課題であった回復処理不要ノードへの余分な処理による信頼性の低下を解消することができる。
【符号の説明】
【0046】
101−1〜101−2 配信サーバMS1〜MS2
110−1〜110−4 視聴者端末h1〜h4
115 自ネットワークエリア
116 配信サーバ側
117 ユーザ側
118、119 ネットワーク境界点
120 発ノードA
121〜122 中継ノードB〜C
123〜126 エッジノードD〜G
150 保守OpS
160 IPマルチキャスト保守パケット情報
A01、X01 入力パケット
A02、X02 出力パケット
A03、X03 通信データ用バッファ
A05、X05 送信制御部
A06、X06 パケット処理部
X04 IPマルチキャスト保守パケットバッファ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の配信サーバと複数の視聴者端末間を接続する複数のノードで構成されたネットワークにて、特定の配信サーバから送出されたことを示す送信元情報(S)および特定のグループ情報(G)からなる回復対象S,Gを有するIPマルチキャストパケットが、前記特定の配信サーバから到達すべき前記視聴者端末まで疎通できていない不具合ブロックについて正常な疎通状況に回復させるIPマルチキャストサービス回復方法であって、
前記不具合ブロックの最上流に位置するノードの処理は、前記視聴者端末まで疎通できていない前記回復対象S,Gを有するIPマルチキャストパケットの回復対象S,Gを、前記視聴者端末まで疎通できることが事前に確認されている特定の未使用のS,Gからなる予備S,Gに変更したIPマルチキャストパケットのコピーパケットを生成して、前記回復対象S,Gを有するIPマルチキャストパケットとともに隣接した下流のノードに転送するステップを含み、
前記不具合ブロック内のエッジノードの処理は、上流のノードより到着した予備S,Gを有するIPマルチキャストパケットを選択して、予備S,Gを回復対象S,Gに変換して下流の視聴者端末へ転送するステップを含ことを特徴とするIPマルチキャストサービス回復方法。
【請求項2】
前記不具合ブロックの最上流に位置するノードの処理は、前記回復対象S,Gを有するIPマルチキャストパケットの下流のノードへの転送を停止するステップを更に含ことを特徴とする請求項1に記載のIPマルチキャストサービス回復方法。
【請求項3】
複数の配信サーバと複数の視聴者端末間を接続する複数のノードで構成されたネットワークにて、特定の配信サーバから送出されたことを示す送信元情報(S)および特定のグループ情報(G)からなる回復対象S,Gを有するIPマルチキャストパケットが、前記特定の配信サーバから到達すべき前記視聴者端末まで疎通できていない不具合ブロックについて正常な疎通状況に回復させるIPマルチキャストサービス回復システムであって、
前記不具合ブロックの最上流に位置するノードは、
前記視聴者端末まで疎通できていない前記回復対象S,Gを有するIPマルチキャストパケットの回復対象S,Gを、前記視聴者端末まで疎通できることが事前に確認されている特定の未使用のS,Gからなる予備S,Gに変更したIPマルチキャストパケットのコピーパケットを生成して、前記回復対象S,Gを有するIPマルチキャストパケットとともに隣接した下流のノードに転送する機能を備え、
前記不具合ブロック内のエッジノードは、
上流のノードより到着した予備S,Gを有するIPマルチキャストパケットを選択して、予備S,Gを回復対象S,Gに変換して下流の視聴者端末へ転送する機能を備えることを特徴とするIPマルチキャストサービス回復システム。
【請求項4】
前記不具合ブロックの最上流に位置するノードは、
前記回復対象S,Gを有するIPマルチキャストパケットの下流のノードへの転送を停止する機能を更に備えることを特徴とする請求項3に記載のIPマルチキャストサービス回復システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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