説明

IZM−2結晶固体およびその調製方法

本発明は、名称IZM−2の下で表記され、以下に与えられるX線回折パターンを有する結晶固体に関する。前記固体は、無水物をベースとし酸化物のモルに関して、一般式:XO:aY:bM2/nO(ここで、Xは少なくとも1種の四価元素であり、Yは少なくとも1種の三価元素であり、Mはn価を有する少なくとも1種のアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属であり、aおよびbはそれぞれYおよびM2/nOのモル数を示し、aは0〜5であり、bは0〜1である)によって表される化学組成を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本明細書において以降ではIZM−2と称される新規なミクロ孔結晶固体、このような固体の調製方法、および吸着剤または分離剤としてのこのような固体の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ミクロ孔性結晶性物質、例えば、ゼオライトまたはシリコアルミノリン酸塩は、石油産業において、触媒、触媒担体、吸着剤、または分離剤として広範に用いられている固体である。多くのミクロ孔性結晶構造が発見されているが、精製および石油化学の産業では、ガスの精製もしくは分離、または炭素もしくは他の種の転化などの適用のための特殊な特性を有する新規なゼオライト構造が常に研究されている。
【0003】
ミクロ孔アルミノケイ酸塩は一般には、アルカリまたはアルカリ土類のカチオン、有機種、例えば、アミンまたは四級アンモニウム化合物、金属酸化物、ケイ素およびアルミニウムを含む水性の反応混合物から調製される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、新規な結晶構造を有している、IZM−2結晶固体と称される新規な結晶固体に関する。このような固体は、酸化物のモルに関して無水物ベース(anhydrous base)で表現される一般式:XO:aY:bM2/nO(式中、Xは少なくとも1種の四価元素を示し、Yは少なくとも1種の三価の元素を示し、Mはn価を有する少なくとも1種のアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属を示し、aおよびbはそれぞれaYおよびM2/nOのモル数を示し、aは0〜0.5の範囲であって、bは0〜1の範囲である)によって規定される化学組成を有する。
【0005】
本発明のIZM−2結晶固体は、表1に示されるピークを少なくとも含むX線回折図を有する。この新規なIZM−2結晶固体は新規な結晶性構造を有する。
【0006】
この回折図は、放射線結晶学的分析によって、回折計を用いて従来の粉末技術を採用し、銅のKα1ピークにより得られる(λ=1.5406Å)。角度2θによって提示される回折ピークの位置から、サンプルの特徴的な格子面間隔dhklを、ブラッグ(Bragg)の関係を用いて計算する。dhklの推定測定誤差Δ(dhkl)を、2θの測定における絶対誤差Δ(2θ)の関数としてブラッグの関係によって計算する。±0.02°の絶対誤差Δ(2θ)は通常受け入れられる。dhklの各々の値における相対強度Irelは、対応する回折ピークの高さから測定される。本発明のIZM−2結晶固体のX線の回折図は、表1に示されるdhklの値にピークを少なくとも含む。dhklの列において、格子面間隔の平均値はオングストローム(Å)で示される。これらの値の各々は、±0.6Å〜±0.01Åの測定誤差Δ(dhkl)を補充されなければならない。
【0007】
【表1】

【0008】
相対強度Irelが、相対的強度スケールに対して与えられており、100という値はX線回折図において最も強いピークに帰せられる:Vw<15;15≦W<30;30≦Mw<50;50≦M<65;65≦S<85;Vs≧85。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】焼成固体IZM−2のX線回折図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のIZM−2結晶固体は、図1に与えられる焼成体におけるそのX線回折図によって特徴づけられる、新規な基本的結晶構造またはトポロジーを有する。
【0011】
このIZM−2固体は、酸化物のモルに関して無水物ベースで表現される一般式:XO:aY:bM2/nO(式中、Xは少なくとも1種の四価元素を示し、Yは少なくとも1種の三価元素を示し、Mはn価を有する少なくとも1種のアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属である)によって規定される化学組成を有する。上記のこの式において、aは、Yのモル数を示し、0〜0.5の範囲、より好ましくは0〜0.05の範囲、一層より好ましくは0.0016〜0.02の範囲であり、bはM2/nOのモル数を示し、0〜1の範囲、より好ましくは0〜0.5の範囲、一層より好ましくは0.005〜0.5の範囲である。
【0012】
本発明によれば、Xは好ましくは、ケイ素、ゲルマニウム、チタンおよびこれらの四価元素のうちの少なくとも2種の混合物から選択され;より好ましくはXはケイ素であり、Yは好ましくは、アルミニウム、ホウ素、鉄、インジウムおよびガリウムから選択され;より好ましくはYはアルミニウムである。Mは好ましくは、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムおよびこの金属のうちの少なくとも2種の混合物から選択され、より好ましくはMはナトリウムである。好ましくは、Xはケイ素を示し、本発明のIZM−2結晶固体は、この固体IZM−2の組成物に元素Yが存在しない場合に、完全にケイ酸質の固体である。いくつかの元素Xの混合物、詳細には、ゲルマニウムおよびチタンから選択される別の元素X、好ましくはゲルマニウムとケイ素との混合物を元素Xとして用いることも有利である。従って、ケイ素が別の元素Xとの混合物として存在する場合、本発明のIZM−2結晶固体は、結晶メタロシリケートであり、このものは、それがその焼成型である場合、表1に記載されるX線回折図と同一のX線回折図を有している。再度より好ましくは、および元素Yの存在下に、Xはケイ素であり、Yはアルミニウムである:本発明のIZM−2結晶固体は、結晶アルミノシリケートであり、このものは、それがその焼成型であるならば、表1に記載されるX線回折図と同一のX線回折図を有している。
【0013】
より一般的には、本発明の前記IZM−2固体は、一般式:XO:aY:bM2/nO:cR:dHO(式中、Rは2個の四級窒素原子を含む有機種を示し、Xは少なくとも1種の四価元素を示し、Yは少なくとも1種の三価元素を示し、Mはn価を有するアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属であり、a、b、cおよびdはそれぞれ、Y、M2/nO、RおよびHOのモル数を示し、aは0〜0.5の範囲であり、bは0〜1の範囲であり、cは0〜2の範囲であり、dは0〜2の範囲である)によって表わされる化学組成を有し、この式ならびにa、b、cおよびdがとる値は、前記IZM−2固体が好ましくはその焼成体である式および値である。
【0014】
より正確には、合成された際の形態(as-synthesized form)にある前記固体IZM−2は、化学式:XO:aY:bM2/nO:cR;dHO(I)(式中、Rは2個の四級窒素原子を含む有機種であり、Xは少なくとも1種の四価元素を示し、Yは少なくとも1種の三価元素を示し、Mはn価を有するアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属であり、a、b、cおよびdはそれぞれ、Y、M2/nO、RおよびHOのモル数を示し、aは0〜0.5の範囲であり、bは0〜1の範囲であり、cは0.005〜2の範囲、好ましくは0.01〜0.5の範囲であり、dは0.005〜2の範囲、好ましくは0.01〜1の範囲である)によって表わされる化学的組成を有する。
【0015】
合成された際の形態にあるIZM−2結晶固体の化学組成を規定するために上記に与えられる式(I)では、aの値は、0〜0.5の範囲、より好ましくは0〜0.05の範囲、一層より好ましくは0.0016〜0.02の範囲である。好ましくはbは好ましくは0〜1の範囲であり;より好ましくはbは0〜0.5の範囲であり、一層より好ましくはbは0.005〜0.5の範囲である。cの値は、0.005〜2の範囲、有利には0.01〜0.5の範囲である。dがとる値は0.005〜2の範囲、好ましくは0.01〜1の範囲である。
【0016】
その合成された際の形態、すなわち、直接的に合成からの、および当業者に周知であるあらゆる焼成工程(単数または複数)の前の形態では、前記IZM−2固体は、下記のような2個の四級窒素原子を有している有機種R、またはその分解生成物、もしくはその前駆体を少なくとも含む。本発明の好ましい態様では、上記の式(I)において、要素Rは1,6−ビス(メチルピペリジニウム)ヘキサンであって、その展開式を下に示す。前記有機種Rは、テンプレートとして機能し、このものは、熱処理および/または化学的処理などの、当該分野において公知の従来の手段によって排除され得る。
【0017】
【化1】

【0018】
本発明のIZM−2結晶固体は好ましくはゼオライト固体である。
【0019】
本発明はまた、以下が反応される本発明によるIZM−2結晶固体の調製方法であって、少なくとも1種の酸化物XOの少なくとも1種の源、場合による少なくとも1種の酸化物Yの少なくとも1種の源、場合による少なくとも1種のn価を有するアルカリおよび/またはアルカリ土類金属の少なくとも1種の源、および2個の四級窒素原子を含む少なくとも1種の有機種Rを含む水性混合物が反応させられ、該混合物は、好ましくは、モル組成:
XO/Y 少なくとも2、好ましくは少なくとも20、より好ましくは60〜600;
O/XO 1〜100、好ましくは10〜70;
R/XO 0.002〜2、好ましくは0.05〜0.5;
2/n/XO 0〜1、好ましくは0.005〜0.5
(ここで、Xは、ケイ素、ゲルマニウムおよびチタンによって形成される群から選択される1種以上の四価元素、好ましくはケイ素であり、Yは、アルミニウム、鉄、ホウ素、インジウムおよびガリウムによって形成される群から選択される1種以上の三価元素、好ましくはアルミニウムであり、Mは、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムおよびこれらの金属の少なくとも2種の混合物から選択される1種以上のアルカリおよび/またはアルカリ土類金属、好ましくはナトリウムである)
を有する、方法に関する。
【0020】
本発明の方法によると、Rは有機テンプレートとして機能する2個の四級窒素原子を有する有機種である。好ましくは、Rは窒素含有化合物1,6−ビス(メチルピペリジニウム)ヘキサンである。本発明のIZM−2結晶固体の合成のための有機種テンプレート中に存在する四級アンモニウムカチオンと会合するアニオンは、アセタートアニオン、スルファートアニオン、カルボキシラートアニオン、テトラフルオロボラートアニオン、ハリドアニオン(フルオリド、クロリド、ブロミド、ヨージド等)、ヒドロキシドアニオンおよびこれらの複数の組合せから選択される。好ましくは、IZM−2結晶固体の合成のためのテンプレート種中に存在する四級アンモニウムカチオンと会合するアニオンは、ヒドロキシドアニオンおよびブロミドアニオンから選択される。IZM−2結晶固体のためのテンプレートとして用いられる前記有機窒素含有種は、当業者に公知であるあらゆる方法を用いて合成される。1,6−ビス(メチルピペリジニウム)ヘキサン二臭化物の合成のために、1モルの1,6−ジブロモヘキサンが、エタノール中少なくとも2モルのN−メチルピペリジンと混合される。一般には、この混合物は、3〜10時間の範囲のある期間にわたって還流下に加熱される。ろ過、ジエチルエーテルなどのエーテル化溶媒を用いる沈殿、次いでエタノール/エーテル混合物からの再結晶化後、1,6−ビス(メチルピペリジニウム)ヘキサン二臭化物を得る。1,6−ビス(メチルピペリジニウム)ヘキサン二臭化物は好ましくは、酸化銀AgOを用いる1,6−ビス(メチルピペリジニウム)ヘキサン二臭化物の水溶液の周囲温度での処理によって得られる。
【0021】
固体結晶IZM−2の調製法を行うために使用される元素X源は、元素Xを含み当該元素を水溶液中に活性な形態で遊離させ得るあらゆる化合物であり得る。有利には、元素Xがケイ素である場合、シリカ源は、ゼオライトを合成する際に現在用いられているもののいずれか、例えば、固体粉末シリカ、ケイ酸、コロイダルシリカ、溶解シリカまたはテトラエトキシシラン(tetraethoxysilane:TEOS)であり得る。粉体シリカのうち、沈降シリカ、特に、アルカリ金属ケイ酸塩の溶液からの沈降によって得られたもの、例えば、アエロジルシリカ(aerosil silica)、発熱性シリカ、例えば、「CAB−O−SIL(登録商標)」およびシリカゲルを用いることが可能である。種々の粒子サイズを有する、例えば、10〜15nmまたは40〜50nmの平均等価径を有するコロイダルシリカ、例えば、商標名「LUDOX(登録商標)」の下で販売されているものを用いることが可能である。好ましくは、ケイ素源はLUDOX(登録商標)−AS−40である。
【0022】
IZM−2結晶固体の調製方法を行うために場合により用いられ得る元素Y源は、元素Yを含みかつ当該元素を水溶液中に活性な形態で遊離させ得るあらゆる化合物であり得る。Yがアルミニウムである好ましい場合、アルミナ源は、好ましくは、アルミン酸ナトリウム、またはアルミニウム塩、例えば、塩化物、硝酸塩、水酸化物または硫酸塩、アルミニウムアルコキシドまたは適切なアルミナ、好ましくは水和されたまたは水和可能な形態のもの、例えば、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、ガンマアルミナまたはアルファもしくはベータ三水和物である。上記で上げられた源の混合物を用いることも可能である。
【0023】
n価を有するアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属Mの源は有利には、前記金属Mのハロゲン化物または水酸化物、好ましくは前記金属Mの水酸化物である。
【0024】
本発明のIZM−2固体の調製方法を行うために、好ましくは、少なくとも1種の酸化物XOの少なくとも1種の源、場合による少なくとも1種の酸化物Yの少なくとも1種の源、場合によるn価を有する少なくとも1種のアルカリおよび/またはアルカリ土類金属の必要に応じて少なくとも1種の源、2個の四級窒素原子を含んでいる少なくとも1種の有機種Rを含んでいる水性混合物は、水酸化物イオンの少なくとも1種の源も含む。前記水酸化物イオン源は有利には、有機テンプレート種Rが水酸化物の形態、すなわち、1,6−ビス(メチルピペリジニウム)ヘキサン二水酸化物である場合にはそれに由来し、またはアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属M源が水酸化物の形態、例えば水酸化ナトリウムである場合にはそれに由来する。
【0025】
さらに、本発明の方法の好ましい実施形態によれば、ケイ素の酸化物、場合によるアルミナ、1,6−ビス(メチルピペリジニウム)ヘキサン二臭化物および水酸化ナトリウムを含んでいる水性混合物が反応させられる。本発明の方法の別の好ましい実施形態によれば、ケイ素の酸化物、場合によるアルミナおよび1,6−ビス(メチルピペリジニウム)ヘキサン二水酸化物を含んでいる水性混合物が反応させられる。
【0026】
本発明の方法は、ゲルとして公知であり、かつ、少なくとも1種の酸化物XOの少なくとも1種の源、場合による少なくとも1種の酸化物Yの少なくとも1種の源、少なくとも1種の有機種R、および場合によるn価を有する少なくとも1種のアルカリおよび/またはアルカリ土類金属の少なくとも1種の源を含む水性反応混合物を調製する工程からなる。前記試薬の量は、前記ゲルに、一般式(I)XO:aY:bM2/nO:cR:dHO(ここで、a、b、cおよびdは、cおよびdが0超である場合に上記の基準を満たす)を有する合成された際の形態でIZM−2結晶固体にそれが結晶化することを可能にする組成を提供するように調節される。次に、ゲルは、IZM−2結晶固体が生じるまで水熱処理を受ける。ゲルは有利には、自己生成反応圧力下、場合によっては、ガス、例えば窒素を添加することによって、120〜200℃の範囲、好ましくは140〜180℃の範囲、より好ましくは160〜175℃の範囲の温度で、本発明による固体IZM−2結晶が合成された際の形態で形成されるまで、水熱条件に供される。結晶化を得るために必要な時間は一般には、ゲル中の試薬の組成、攪拌および反応温度に応じて1時間から数カ月までの間の幅で変動する。好ましくは、結晶化期間は2時間〜21日の範囲である。反応は、一般には、攪拌しながら、または攪拌なしで、好ましくは攪拌の存在下で行われる。
【0027】
結晶の形成に必要な時間を減らすため、および/または総結晶化期間を減らすためにこの反応混合物に種結晶(seed)を添加することが有利である場合がある。不純物を損ねてIZM−2結晶固体の形成を増進するために種結晶を使用することが有利である場合もある。このような種結晶は、固体結晶、好ましくは固体IZM−2の結晶を含む。結晶性の種は一般には、反応混合物中で用いられる酸化物XOの重量で0.01〜10%の範囲の割合で添加される。
【0028】
IZM−2固体の結晶化を生じる水熱処理工程の終わりには、固相がろ過、洗浄、乾燥、次いで焼成される。焼成工程は、100〜1000℃の範囲、好ましくは400〜650℃の範囲の温度で、数時間〜数日の範囲、好ましくは3〜48時間の範囲の期間にわたって行われる1回以上の加熱工程によって有利に実行される。好ましくは、焼成は、2連続の加熱工程で行われる。
【0029】
前記焼成工程の終わりには、得られたIZM−2固体は、表1に示されるピークを少なくとも含んでいるX線回折図を有する固体である。これは合成された際の形態の固体IZM−2に存在する水も有機種Rも含まない。
【0030】
本発明は、汚染を制御するための吸着剤として、または分離のためのモレキュラーシーブとしての本発明のIZM−2固体の使用にも関する。
【0031】
従って、本発明はまた、本発明のIZM−2結晶固体を含んでいる吸着剤に関連する。吸着剤として用いられる場合、本発明のIZM−2結晶固体は一般には、分離されるべき流体が結晶固体に接近することを可能にするチャネルおよび空洞を含む無機マトリクス相に分散させられる。これらのマトリクスは好ましくは、鉱物酸化物、例えば、シリカ類、アルミナ類、シリカ−アルミナ類または粘土類である。マトリクスは一般には、こうして形成された吸着剤の質量の2〜25%を示す。
【0032】
本発明は、以下の実施例に例証されるが、この実施例は決して限定されるものではない。
【0033】
(実施例1:1,6−ビス(メチルピペリジニウム)ヘキサン二臭化物(テンプレートA)の調製)
50gの1,6−ジブロモヘキサン(0.20モル、99%、Alfa Aesar)を、50gのN−メチルピペリジン(0.51モル、99%、Alfa Aesar)および200mLのエタノールを含んでいる1Lのフラスコに添加した。反応媒体を攪拌して、5時間にわたり還流下に加熱した。次いで混合物を周囲温度まで冷却して、ろ過した。混合物を300mLの冷ジエチルエーテルに注ぎ、次いで形成された沈殿物をろ過して、100mLのジエチルエーテルで洗浄した。得られた固体をエタノール/エーテル混合物から再結晶化した。得られた固体は、12時間にわたって真空乾燥させられた。71gの白色固体を得た(すなわち収率80%)。
【0034】
生成物は、予想されたH NMRスペクトルを有していた。H NMR(DO,ppm/TMS):1.27(4H,m);1.48(4H,m);1.61(4H,m);1.70(8H,m);2.85(6H,s);3.16(12H,m)。
【0035】
(実施例2:1,6−ビス(メチルピペリジニウム)ヘキサン二水酸化物(テンプレートB)の調製)
18.9gのAgO(0.08モル、99%、Aldrich)を、30gのテンプレートA(0.07モル)および100mLの脱イオン水を含んでいる250mLのテフロン(登録商標)ビーカーに添加した。反応媒体を、遮光下に12時間にわたって攪拌した。次いで混合物をろ過した。得られたろ液は、1,6−ビス(メチルピペリジニウム)ヘキサン二水酸化物の水溶液から構成されていた。この種を、ギ酸を標準として用いるプロトンNMRによって分析した。
【0036】
(実施例3:本発明に合致するIZM−2固体の調製)
Aldrichが販売している商品名Ludox(登録商標) AS−40として公知のシリカのコロイド状懸濁物の20.161gを、1.685gの水酸化ナトリウム(Prolabo)、9.901gのテンプレートAおよび68.252gの脱イオン水から構成される溶液に組み込んだ。混合物のモル組成は以下の通りであった:SiO:0.17NaO:0.17A:33.33HO。混合物を30分間にわたって激しく攪拌した。均質化の後、混合物をオートクレーブに移した。オートクレーブは、攪拌を伴って(200rpm)170℃で1日間加熱された。得られた結晶生成物をろ過して、脱イオン水で洗浄し(中性pHまで)、次いで100℃で終夜乾燥させた。固体をマッフル炉に入れて、ここで焼成を行った:焼成サイクルは、200℃への昇温、2時間にわたる200℃の段階、550℃への昇温、続いて、8時間にわたる550℃の段階、次いで周囲温度への復帰を含んでいた。
【0037】
固体焼成生成物を、X線回折によって分析したところ、固体IZM−2によって構成されていると特定された。焼成された固体IZM−2の回折図は図1に示される。
【0038】
(実施例4:本発明に合致するIZM−2固体の調製)
Aldrichが販売する商品名Ludox(登録商標) AS−40として公知のシリカのコロイド状懸濁液20.150gを、0.106gのアルミン酸ナトリウム(Carlo erba)、1.634gの水酸化ナトリウム(Prolabo)、9.896gのテンプレートAおよび68.215gの脱イオン水から構成される溶液中に組み込んだ。混合物のモル組成は以下の通りであった:SiO:0.004Al:0.17NaO:0.17A:33.33HO。混合物を、30分間にわたり激しく攪拌した。均質化の後、混合物をオートクレーブに移した。オートクレーブを攪拌しながら(200rpm)170℃で6時間加熱した。得られた結晶生成物をろ過して、脱イオン水で洗浄し(中性のpHまで)、次いで100℃で終夜乾燥させた。固体をマッフル炉に入れて、ここで焼成を行った:焼成サイクルは、200℃への昇温、2時間にわたる200℃の段階、550℃への昇温、続いて、8時間にわたる550℃の段階、次いで周囲温度への復帰を含んでいた。
【0039】
固体焼成生成物を、X線回折によって分析したところ、固体IZM−2によって構成されていると特定された。焼成された固体IZM−2の回折図は図1に示される。
【0040】
(実施例5:本発明に合致するIZM−2固体の調製)
Aldrichが販売する商品名Ludox(登録商標) AS−40として公知のシリカのコロイド状懸濁液20.115gを、0.422gのアルミン酸ナトリウム(Carlo erba)、1.48gの水酸化ナトリウム(Prolabo)、9.879gの化合物Aおよび68.104gの脱イオン水から構成される溶液中に組み込んだ。混合物のモル組成は以下の通りであった:SiO:0.017Al:0.17NaO:0.17A:33.33HO。混合物を、30分間にわたり激しく攪拌した。均質化の後、混合物をオートクレーブに移した。オートクレーブを攪拌しながら(200rpm)170℃で8日間加熱した。得られた結晶生成物をろ過して、脱イオン水で洗浄し(中性のpHまで)、次いで100℃で終夜乾燥させた。固体をマッフル炉に入れて、ここで焼成を行った:焼成サイクルは、200℃への昇温、2時間にわたる200℃の段階、550℃への昇温、続いて、8時間にわたる550℃の段階、次いで周囲温度への復帰を含んでいた。
【0041】
固体焼成生成物を、X線回折によって分析したところ、固体IZM−2によって構成されていると特定された。焼成された固体IZM−2の回折図は図1に示される。
【0042】
(実施例6:本発明に合致するIZM−2固体の調製)
Aldrichが販売する商品名Ludox(登録商標) AS−40として公知のシリカのコロイド状懸濁液21.048gを、23.96重量%のテンプレートBの水溶液30.843gおよび脱イオン水48.109gからなる溶液中に組み込んだ。混合物のモル組成は以下の通りであった:SiO:0.17B:33.33HO。混合物を、30分間にわたり激しく攪拌した。均質化の後、混合物をオートクレーブに移した。オートクレーブを攪拌しながら(200rpm)170℃で10日間加熱した。得られた結晶生成物をろ過して、脱イオン水で洗浄し(中性のpHまで)、次いで100℃で終夜乾燥させた。固体をマッフル炉に入れて、ここで焼成を行った:焼成サイクルは、200℃への昇温、2時間にわたる200℃の段階、550℃への昇温、続いて、8時間にわたる550℃の段階、次いで周囲温度への復帰を含んでいた。
【0043】
固体焼成生成物を、X線回折によって分析したところ、固体IZM−2によって構成されていると特定された。焼成された固体IZM−2の回折図は図1に示される。
【0044】
(実施例7:本発明に合致するIZM−2固体の調製)
Aldrichが販売する商品名Ludox(登録商標) AS−40として公知のシリカのコロイド状懸濁液21.035gを、23.96重量%のテンプレートBの水溶液30.825g、水酸化アルミニウム(Aldrich)0.091gおよび脱イオン水48.049gからなる溶液中に組み込んだ。混合物のモル組成は以下の通りであった:SiO:0.004Al:0.17B:33.33HO。混合物を、30分間にわたり激しく攪拌した。均質化の後、混合物をオートクレーブに移した。オートクレーブを攪拌しながら(200rpm)170℃で15日間加熱した。得られた結晶生成物をろ過して、脱イオン水で洗浄し(中性のpHまで)、次いで100℃で終夜乾燥させた。固体をマッフル炉に入れて、ここで焼成を行った:焼成サイクルは、200℃への昇温、2時間にわたる200℃の段階、550℃への昇温、続いて、8時間にわたる550℃の段階、次いで周囲温度への復帰を含んでいた。
【0045】
固体焼成生成物を、X線回折によって分析したところ、固体IZM−2によって構成されていると特定された。焼成された固体IZM−2の回折図は図1に示される。
【0046】
(実施例8:本発明に合致するIZM−2固体の調製)
Aldrichが販売する商品名Ludox(登録商標) AS−40として公知のシリカのコロイド状懸濁液20.998gを、23.96重量%のテンプレートBの水溶液30.770g、水酸化ナトリウム(Aldrich)0.364gおよび脱イオン水47.868gからなる溶液中に組み込んだ。混合物のモル組成は以下の通りであった:SiO:0.017Al:0.17B:33.33HO。混合物を、30分間にわたり激しく攪拌した。均質化の後、混合物をオートクレーブに移した。オートクレーブを攪拌しながら(200rpm)170℃で21日間加熱した。得られた結晶生成物をろ過して、脱イオン水で洗浄し(中性のpHまで)、次いで100℃で終夜乾燥させた。固体をマッフル炉に入れて、ここで焼成を行った:焼成サイクルは、200℃への昇温、2時間にわたる200℃の段階、550℃への昇温、続いて、8時間にわたる550℃の段階、次いで周囲温度への復帰を含んでいた。
【0047】
固体焼成生成物を、X線回折によって分析したところ、固体IZM−2によって構成されていると特定された。焼成された固体IZM−2の回折図は図1に示される。
【0048】
(実施例9:IZM−2固体を含んでいる吸着剤の調製)
実施例3の焼成された固体を、Zアームミキサー中でベーマイト(Pural SB3,Sasol)と混練する工程、およびピストン押出機を用いてこの得られたペースト状物を押し出す工程によって、押出物に成形した。次いで押出物を空気中120℃で12時間にわたり乾燥させ、マッフル炉中で空気の流れの中、550℃で2時間にわたり焼成した。
【0049】
このように調製された吸着剤は、80%のIZM−2ゼオライト固体および20%のアルミナから構成された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表:
【表1】

(ここで、Vs=非常に強い;S=強い;M=中程度;Mw=中程度に弱い;W=弱い;Vw=非常に弱い)
に示されるピークを少なくとも含むX線回折図を有し、かつ、酸化物のモルに関して無水ベースで表される一般式:XO:aY:bM2/nO(ここで、Xは少なくとも1種の四価元素を示し、Yは少なくとも1種の三価元素を示し、Mはn価を有する少なくとも1種のアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属であり、aおよびbはそれぞれ:YおよびM2/nOのモル数を示し、;aは0〜0.5の範囲であり、bは0〜1の範囲である)によって規定される化学組成を有するIZM−2結晶固体。
【請求項2】
Xはケイ素である、請求項1に記載のIZM−2結晶固体。
【請求項3】
Yはアルミニウムである、請求項1または2に記載のIZM−2結晶固体。
【請求項4】
aは0.0016〜0.02の範囲であり、bは0.005〜0.5の範囲である、請求項1〜3のいずれか1つに記載のIZM−2結晶固体。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1つに記載のIZM−2結晶固体を調製する方法であって、水性媒体中で、少なくとも1種の酸化物XOの少なくとも1種の源、場合による少なくとも1種の酸化物Yの少なくとも1種の源、場合によるn価を有する少なくとも1種のアルカリおよび/またはアルカリ土類金属の少なくとも1種の源、および2個の四級窒素原子を含んでいる少なくとも1種の有機種Rを混合する工程と、次いでIZM−2結晶固体が生じるまで該混合物の水熱処理を行う工程と、続いてろ過、洗浄、乾燥および焼成の工程とを包含する、方法。
【請求項6】
請求項5に記載のIZM−2結晶固体を調製する方法であって、前記反応混合物のモル組成が:
XO/Y 少なくとも2;
O/XO 1〜100;
R/XO 0.02〜2;
2/nO/XO 0〜1
であるようにされる、方法。
【請求項7】
Rは1,6−ビス(メチルピペリジニウム)ヘキサンである、請求項5または6に記載のIZM−2結晶固体を調製する方法。
【請求項8】
請求項1〜4のいずれか1つに記載のIZM−2結晶固体または請求項5〜7のいずれか1つに従って調製されたIZM−2結晶固体の、吸着剤としての使用。

【図1】
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【公表番号】特表2010−531801(P2010−531801A)
【公表日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−514027(P2010−514027)
【出願日】平成20年5月14日(2008.5.14)
【国際出願番号】PCT/FR2008/000675
【国際公開番号】WO2009/004131
【国際公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【出願人】(509119887)イエフペ (21)
【Fターム(参考)】