説明

Inハンダ被覆銅箔リボン導線及びその接続方法

【課題】ガラス基板上の導体電極とリボン導線とを、破損なしに、低コストで、確実に且つ強固に接続する。
【解決手段】ガラス基板4A上のMo金属裏面電極層4Bの露出部上に、厚さ300μm以下の銅箔又は錫メッキ銅箔2の片面又は片面以外の面は僅かに、厚さが100μm以下のInハンダ3(In100〜90%、Ag10〜0%)を被覆したInハンダ被覆銅箔リボン導線1を載置した後、前記銅箔リボン導線1の上面に超音波ハンダコテ5を押し当てて前記Inハンダ3を溶融させて前記電極層4Bに前記銅箔リボン導線1を接続する。他に、前記電極層4Bに、予めInハンダ3(前記組成と同じ)をハンダ付けした後、この上にリボン状の銅箔又は錫メッキ銅箔2載置し、超音波ハンダコテ5により前記電極層4Bに前記銅箔2を接続する方法もある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス基板上に実装される電子装置の導体間の接続に使用するIn(インジウム)ハンダ被覆銅箔リボン導線及びその接続方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント基板又はプラスチック樹脂等のガラス以外の基板上に実装される半導体部品等の電子装置の場合、その電子装置の電極と基板上の回路配線とを接続する際、前記回路配線と外部電極とを接続する際等において、環境問題、基板材料、電極、回路配線等の材料の性質及び生産性等から鉛含有ハンダの使用を避け、特殊なハンダ材料及びハンダ付けの方法の開発が行われている。前記半導体部品等の電子装置における、半導体装置の電極と基板上の回路配線との接続、前記回路配線と外部電極との接続において、Inを含有するハンダを使用し、超音波圧着法により固着して導線間を接続する方法(例えば、特許文献1参照。)、Inを含有する導電性樹脂を使用し、接続箇所に超音波ツールにより超音波を印加して接続する方法(例えば、特許文献2参照。)、Inを含有する導電接着剤を使用し、接続箇所に超音波振動を印加して接続する方法(例えば、特許文献3参照。)等がある。また、同様の半導体部品等の電子装置における、半導体装置の電極と基板上の回路配線との接続、前記回路配線と外部電極との接続において、錫を含有するハンダ主体の表面にInを被覆したハンダ又はこれを使用して導体接続する方法、又は前記電極、回路配線、外部電極等の表面をInを被覆し、ハンダを使用せずに、ハンダ圧着固定する方法(例えば、特許文献4参照。)があり、この方法は、Inと回路配線等の材料であるCuとの接合強度が大きい点、柔らかいInによる接続材料間の熱膨張係数の差による歪みの緩衝効果等を有することが開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開平10−84055号公報
【特許文献2】特開2000−332373号公報
【特許文献3】特開2002−76587号公報
【特許文献4】再公表特許(WO97/00753)号公報
【0004】
本発明が対象とする電子装置、例えば、薄膜太陽電池等であり、これらは、電子装置はガラス基板上に形成されるものであり、その電極膜(又は層)又は導電膜(又は層)の材質は、Cu以外のMo等の金属又はITO(透明導電膜)が使用され、その膜(又は層)の厚み等が極めて薄く機械的強度が低く破損し易いため、接続対象物であるリボン状の錫メッキ銅箔(リボン導線)とを接続する場合、前記従来のハンダを用いた接続方法では、前記金属裏面電極層とリボン導線を金属裏面電極層を損傷することなく、確実に両者を固着することは難しかった。そして、前記特許文献1〜4に記載の半導体等の電子装置は、プリント基板又はプラスチック樹脂等のガラス以外の基板上に実装されるものであり、電極膜(又は層)又は導電膜(又は層)の材質及びその膜(又は層)の厚み及び機械的強度において、大きな相違があり、前記ガラス基板以外の基板上に実装される半導体等の電子装置における導体接続方法を、本発明が対象とするガラス基板上に実装する電子装置の導体接続方法に直ちに転用することは難しい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は前記問題点を解消するもので、本発明の目的は、高価なInハンダの使用量を削減して生産コストを低減し、導体接続が簡単且つ強固にすることが可能なInハンダ被覆銅箔リボン導線及びその製造方法を提供すると共に、前記Inハンダ被覆銅箔リボン導線又はInハンダを使用した簡単且つ少ない工程で、電極膜又は導電膜を破損することなく、両者を確実に且つ強固に固着し、柔らかいInによる接続材料間の熱膨張係数の差による歪みの緩衝する銅箔又は錫メッキ銅箔リボン導線の接続方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明は、前記問題点を解消するためのもので、長尺のリボン状の銅箔又は錫メッキ銅箔の片面のみ又は片面は厚くそれ以外の部分は薄くInハンダを被覆したInハンダ被覆銅箔リボン導線である。
【0007】
(2)本発明は、前記長尺のリボン状の銅箔又は錫メッキ銅箔の厚さが300μm以下で、前記Inハンダの組成は、In及びAgからなり、Inが100〜90重量%、Agが10〜0重量%で、前記片面のInハンダ厚さが100μm以下である前記(1)に記載のInハンダ被覆銅箔リボン導線である。
【0008】
(3)本発明は、ガラス基板上にMoからなる金属裏面電極層、アルカリバリア層、光吸収層、バッファ層、窓層(透明電極層)の順に積層されたCIS系薄膜太陽電池デバイス部が導電パターンにより電気的に接続されたCIS系薄膜太陽電池サーキット(サブモジュール)における前記CIS系薄膜太陽電池サーキット同士又はこれと他の電気素子との接続に使用する前記(1)又は(2)に記載のInハンダ被覆銅箔リボン導線である。
【0009】
(4)本発明は、ガラス基板上に金属電極及び電子デバイスが設置された電子装置における前記金属電極と電子デバイスとの電気的接続又は前記金属電極と外部電極との電気的接続に使用すること前記(1)又は(2)に記載のInハンダ被覆銅箔リボン導線である。
【0010】
(5)本発明は、長尺のリボン状の銅箔又は錫メッキ銅箔を溶融Inハンダ中に先端から順次浸した後、溶融Inハンダから引出し、前記銅箔の下面に被着している溶融Inハンダを金属ヘラ等のハンダ除去手段により除去(削ぎ落)して、前記銅箔又は錫メッキ銅箔の上面又は下面の何れか一方の面にInハンダを被覆するInハンダ被覆銅箔リボン導線の製造方法である。
【0011】
(6)本発明は、長尺のリボン状の銅箔又は錫メッキ銅箔を溶融Inハンダ中に先端から順次浸して前記リボン状の銅箔又は錫メッキ銅箔の周囲全面にInハンダを被覆した後、前記溶融Inハンダから引出し、前記銅箔の下面に被着している溶融Inハンダを金属ヘラ等のハンダ除去手段により除去(削ぎ落)して、上面に被覆したInハンダの厚みが下面の厚みより大であるInハンダ被覆銅箔リボン導線の製造方法である。
【0012】
(7)本発明は、前記長尺のリボン状の銅箔又は錫メッキ銅箔の厚さが300μm以下で、前記Inハンダの組成は、In及びAgからなり、Inが100〜90重量%、Agが10〜0重量%で、前記片面のInハンダ厚さが100μm以下である前記(5)又は(6)に記載のInハンダ被覆銅箔リボン導線の製造方法である。
【0013】
(8)本発明は、ガラス基板上にMoからなる金属裏面電極層、アルカリバリア層、光吸収層、バッファ層、窓層(透明電極層)の順に積層されたCIS系薄膜太陽電池デバイス部が導電パターンにより電気的に接続されたCIS系薄膜太陽電池サーキット(サブモジュール)同士又はこれと他の電気素子とを接続するためのCIS系薄膜太陽電池モジュールの銅箔リボン導線の接続方法であって、露出した金属裏面電極層上に、長尺のリボン状の銅箔又は錫メッキ銅箔の片面のみ又は片面は厚くそれ以外の部分は薄くInハンダを被覆し、前記Inハンダ被覆銅箔リボン導線の片面の厚いInハンダ被覆面を金属裏面電極層に接して載置し、前記Inハンダ被覆銅箔リボン導線の上面に超音波ハンダコテを押し当てて前記Inハンダを溶融させて前記金属裏面電極層に前記Inハンダ被覆銅箔リボン導線を接続するCIS系薄膜太陽電池モジュールの銅箔リボン導線の接続方法である。
【0014】
(9)本発明は、ガラス基板上に金属電極及び電子デバイスが設置された電子装置における前記金属電極と電子デバイスとの電気的接続又は前記金属電極と外部電極との電気的接続するための電子装置の銅箔リボン導線の接続方法であって、露出した金属電極層上に長尺のリボン状の銅箔又は錫メッキ銅箔の片面のみ又は片面以外の部分は薄くInハンダを被覆し、前記Inハンダ被覆銅箔リボン導線の片面の厚いInハンダ被覆面を金属裏面電極層に接して載置し、前記Inハンダ被覆銅箔リボン導線の上面に超音波ハンダコテを加熱しながら押し当てて前記Inハンダを溶融させて前記金属裏面電極層に前記Inハンダ被覆銅箔リボン導線を接続する電子装置の銅箔リボン導線の接続方法である。
【0015】
(10)本発明は、ガラス基板上にMoからなる金属裏面電極層、アルカリバリア層、光吸収層、バッファ層、窓層(透明電極層)の順に積層されたCIS系薄膜太陽電池デバイス部が導電パターンにより電気的に接続されたCIS系薄膜太陽電池サーキット(サブモジュール)同士又はこれと他の電気素子とを接続するためのCIS系薄膜太陽電池モジュールの銅箔リボン導線の接続方法であって、露出した金属裏面電極層上に、予めInハンダをハンダ付けし、該Inハンダ層上に、長尺のリボン状の銅箔又は錫メッキ銅箔を載置し、前記リボン状の銅箔又は錫メッキ銅箔の上面に超音波ハンダコテを押し当てて前記Inハンダを溶融させて前記金属裏面電極層に前記リボン状の銅箔又は錫メッキ銅箔を接続するCIS系薄膜太陽電池モジュールの銅箔リボン導線の接続方法である。
【0016】
(11)本発明は、ガラス基板上に金属電極及び電子デバイスが設置された電子装置における前記金属電極と電子デバイスとの電気的接続又は前記金属電極と外部電極との電気的接続するための電子装置の銅箔リボン導線の接続方法であって、露出した金属電極層上に、予めInハンダをハンダ付けし、該Inハンダ層上に長尺のリボン状の銅箔又は錫メッキ銅箔を載置し、前記リボン状の銅箔又は錫メッキ銅箔の上面に超音波ハンダコテを加熱しながら押し当てて前記Inハンダを溶融させて前記金属裏面電極層に前記リボン状の銅箔又は錫メッキ銅箔を接続する電子装置の銅箔リボン導線の接続方法である。
【0017】
(12)本発明は、前記長尺のリボン状の銅箔又は錫メッキ銅箔の厚さが300μm以下で、前記Inハンダの組成は、In及びAgからなり、Inが100〜90重量%、Agが10〜0重量%で、前記片面のInハンダ厚さが100μm以下である前記(8)乃至(11)の何れか1つに記載のCIS系薄膜太陽電池モジュール又は電子装置の銅箔リボン導線の接続方法である。
【発明の効果】
【0018】
本発明のInハンダ被覆銅箔リボン導線、即ち、厚さが300μm以下の長尺のリボン状の銅箔又は錫メッキ銅箔の片面のみ又は片面は厚くそれ以外の部分は薄くInハンダ被覆銅箔リボン導線により、高価なInハンダの使用量を削減すると共に、ガラス基板上に形成された金属裏面電極層、その他の電極又は導電膜とInハンダ被覆銅箔リボン導線とを、金属裏面電極層等を損傷することなく、確実に固着接続し、柔らかいInによる接続材料間の熱膨張係数の差による歪みの緩衝することができる。
【0019】
本発明の前記薄膜太陽電池又はその他の電子装置におけるInハンダ被覆銅箔リボン導線を用いた接続方法、即ち、ガラス基板上に形成され、露出した金属電極層上に厚さが300μm以下の長尺のリボン状の銅箔又は錫メッキ銅箔の片面のみ又は片面は厚くそれ以外の部分は薄く、Inが100〜90重量%、Agが10〜0重量%のInハンダを被覆したInハンダ被覆銅箔リボン導線をそのInハンダ被覆面を金属裏面電極層に接して載置し、前記Inハンダ被覆銅箔リボン導線の上面に超音波ハンダコテを加熱しながら押し当てて前記Inハンダを溶融させて前記金属裏面電極層(又はその他の電極等)に前記Inハンダ被覆銅箔リボン導線を接続するInハンダ被覆銅箔リボン導線の接続方法(方法1)により、金属裏面電極層(又はその他の電極等)にInハンダ被覆銅箔リボン導線を、金属裏面電極層を損傷することなく、強固に接続することができる。
【0020】
本発明の前記薄膜太陽電池又はその他の電子装置におけるInハンダ被覆銅箔リボン導線を用いた接続方法、即ち、ガラス基板上に形成され、露出した金属電極層上に、予め100〜90重量%、Agが0〜10重量%のInハンダをハンダ付けし、その上に厚さが300μm以下の長尺のリボン状の銅箔又は錫メッキ銅箔を載置し、前記リボン状の銅箔又は錫メッキ銅箔の上面に超音波ハンダコテを加熱しながら押し当てて前記Inハンダを溶融させて前記金属裏面電極層(又はその他の電極等)に前記リボン状の銅箔又は錫メッキ銅箔を接続する銅箔リボン導線の接続方法(方法1)により、金属裏面電極層(又はその他の電極等)に銅箔又は錫メッキ銅箔リボン導線を、金属裏面電極層を損傷することなく、強固に接続することができる。
【0021】
なお、方法1(1工程)の場合は、方法2(2工程)の場合と比べて、工程数が少なく、Inハンダの使用量も少ないため、製造コストを削減することができると共に、前記金属裏面電極層とリボン導線を金属裏面電極層をより確実且つ強固に接続することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明は、ガラス基板上に実装される電子装置、例えば、CIS系薄膜太陽電池、Si系薄膜太陽電池、液晶ディスプレイパネル、プラズマディスプレイパネル等の、電極膜(又は層)又は導電膜(又は層)とリボン導線(銅箔又は錫メッキ銅箔リボン導線)との導体接続に好適なInハンダ被覆錫メッキ銅箔リボン導線及びこのInハンダ又はInハンダ被覆錫メッキ銅箔リボン導線を使用した導体接続方法に関するものである。前記電子装置は、その電極膜(又は層)又は導電膜(又は層)はガラス基板上に形成されるため、その材質は、Cu以外のMo等の金属又はITO(透明導電膜)が使用され、その膜(又は層)の厚み等が極めて薄く機械的強度が低く破損し易い。そのため、ガラス基板以外の基板に実装される電子装置の導体接続に使用されるハンダ、又はこれを使用した導体接続方法を直ちに利用することはできない。
【0023】
そこで、先ず、ガラス基板上に実装される電子装置、例えば、CIS系薄膜太陽電池、Si系薄膜太陽電池、液晶表示装置等の、電極膜又は導電膜とリボン導線(銅箔又は錫メッキ銅箔リボン導線)との導体接続に好適なハンダを選択且つ開発した。Inが100〜90重量%、Agが10〜0重量%、好ましくは、Inが100〜97重量%、Agが3〜0重量%程度、のIn(インジウム)ハンダが前記導体接続に最適であることを発見した。
【0024】
第1の発明であるInハンダ被覆(銅箔又は錫メッキ銅箔)銅箔リボン導線について以下に説明する。
図1に示すように、厚さが300μm以下、好ましくは、150〜160μm程度の長尺のリボン状の銅箔又は錫メッキ銅箔2の片面(上面又は下面の何れか一方の面)に厚さが100μm以下、好ましくは、40μm程度の前記Inハンダ3(Inが100〜90重量%、Agが10〜0重量%、好ましくは、Inが100〜97重量%、Agが3〜0重量%程度、)を被覆したInハンダ被覆錫メッキ銅箔リボン導線1(図1(c)参照。)が好ましい。
【0025】
しかしながら、前記Inハンダ被覆銅箔リボン導線1に前記Inハンダ3を被覆する場合、前記錫メッキ銅(Cu)箔2の上面又は下面の何れか一方の面以外の部分にもInハンダ3が被覆されてしまうため、図1(a)及び(b)に示すように、銅箔又は錫メッキ銅箔2の上面又は下面の何れか一方の面に厚さが100μm以下(好ましくは、40μm程度)のInハンダを被覆し、他の面のInハンダの被覆量(厚み)を前記面よりも少なくしたInハンダ被覆銅箔リボン導線1でも使用上は何ら問題ない。
【0026】
次に、第2の発明である銅(Cu)箔又は錫メッキ銅(Cu)箔2の片面のみ又は片面は厚くそれ以外の部分は薄くInハンダを被覆し、前記片面のInハンダ(100〜90重量%、Agが0〜10重量%、好ましくは、Inが100〜97重量%、Agが3〜0重量%程度)の厚さが100μm以下(好ましくは、40μm程度)であるInハンダ被覆銅箔リボン導線1の製造方法について以下に説明する。
図2に示すように、前記厚さが300μm以下、好ましくは、150〜160μm程度の長尺のリボン状の銅箔又は錫メッキ銅箔2を溶融Inハンダ(Inが100〜90重量%、Agが0〜10重量%)3A中に先端から順次浸して前記リボン状の銅箔又は錫メッキ銅箔2の周囲全面にInハンダ3を被覆した後、溶融Inハンダ3Aから引出し、前記銅箔2の下面に被着している溶融Inハンダ3Aを金属ヘラH等のハンダ除去手段により除去(削ぎ落)すことにより、上面に厚さが100μm以下、好ましくは、40μm程度のInハンダ3(Inが100〜90重量%、Agが0〜10重量%、好ましくは、Inが100〜97重量%、Agが3〜0重量%程度)が被覆されたInハンダ被覆銅箔リボン導線1が作製される。前記銅箔又は錫メッキ銅箔2の片面にInハンダが被覆したInハンダ被覆銅箔リボン導線1は、前記ハンダ除去の工程で、下面及び側面に被着したInハンダ3を完全に除去することはできないし、多少は付着しても使用上問題ない。前記のように不要なInハンダ3を除去して、高価なInハンダの使用量を削減することにより、製造コストを低減することができる。
【0027】
次に、第3の発明である前記Inハンダ被覆銅箔リボン導線1を使用したガラス基板上に実装された電子装置の導体間の接続方法について、以下に説明する。
ガラス基板上に実装された電子装置として、CIS系薄膜太陽電池モジュールの場合を実例にして説明する。
CIS系薄膜太陽電池モジュールは、ガラス基板4A上にMoからなる金属裏面電極層、アルカリバリア層、光吸収層、バッファ層、窓層(透明電極層)の順に積層されたCIS系薄膜太陽電池デバイス部4Cが導電パターンにより電気的に接続されたCIS系薄膜太陽電池サーキット(サブモジュール)が形成され、これら太陽電池デバイス部4C同士又はこれと他の電気素子とを接続するため、銅箔又は錫メッキ銅箔2からなるリボン導線による導体接続を行う必要がある。本発明の導体間の接続方法(方法1)は、図3に示すように、露出したMo金属裏面電極層4B上に、厚さが300μm以下、好ましくは、150〜160μm程度の長尺のリボン状の銅箔又は錫メッキ銅箔2の片面のみ又は片面は厚くそれ以外の部分は薄くInハンダ(Inが100〜90重量%、Agが0〜10重量%、好ましくは、Inが100〜97重量%、Agが3〜0重量%程度)を被覆し、前記片面のInハンダの厚さが100μm以下、好ましくは、40μm程度であるInハンダ被覆銅箔リボン導線1(図1参照。)をそのInハンダ被覆面3を金属裏面電極層4Bに接して載置し、前記Inハンダ被覆銅箔リボン導線1の上面に超音波ハンダコテ5を押し当てて前記Inハンダ3を溶融させて前記金属裏面電極層4Bに前記Inハンダ被覆銅箔リボン導線1を接続する。なお、金属裏面電極層の材料として、Moを例示したが、他の金属材料にも適用することができる。
【0028】
前記導体間の接続方法(方法1)により、金属裏面電極層(又はその他の電極等)4BにInハンダ被覆銅箔リボン導線1を、低温で、簡単な工程で金属裏面電極層4Bを損傷することなく、確実且つ強固に接続し、更に、柔らかいInによる接続材料間の熱膨張係数の差による歪みの緩衝することができる。また、前記導体間の接続方法(方法1)は、CIS系薄膜太陽電池モジュールの導体間の接続に限定するものではなく、ガラス基板上に金属電極及び電子デバイスが設置された電子装置、Si系薄膜太陽電池、液晶ディスプレイパネル、プラズマディスプレイパネル、その他の電子装置にも使用できる。
【0029】
次に、第4の発明である前記Inハンダ被覆銅箔リボン導線1を使用したガラス基板上に実装された電子装置の導体間の他の接続方法(方法2)(ガラス基板上に実装された電子装置として、CIS系薄膜太陽電池モジュールの場合を実例とする。)を以下に説明する。
図4に示すように、露出した金属裏面電極層4B上に、予め、Inが100〜90重量%、Agが0〜10重量%、好ましくは、Inが100〜97重量%、Agが3〜0重量%程度のInハンダ3をハンダ付けし(工程1)、該Inハンダ層3上に、厚さが300μm以下、好ましくは、150〜160μm程度の長尺のリボン状の銅箔又は錫メッキ銅箔2を載置し、前記銅箔又は錫メッキ銅箔2の上面に超音波ハンダコテ5を押し当てて前記Inハンダ3を溶融させて前記金属裏面電極層4Bに前記リボン状の銅箔又は錫メッキ銅箔2を接続する(工程2)。前記導体間の接続方法(方法2)により、金属裏面電極層(又はその他の電極等)4Bに銅箔又は錫メッキ銅箔2からなるリボン導線を、低温で、簡単な工程で金属裏面電極層4Bを損傷することなく、確実且つ強固に接続し、更に、柔らかいInによる接続材料間の熱膨張係数の差による歪みの緩衝することができる。また、前記導体間の接続方法(方法2)は、CIS系薄膜太陽電池モジュールの導体間の接続に限定するものではなく、ガラス基板上に金属電極及び電子デバイスが設置された電子装置、Si系薄膜太陽電池、液晶ディスプレイパネル、プラズマディスプレイパネル、その他の電子装置にも使用できる。
【0030】
この導体間の接続方法(方法2)では、予めInハンダ3をハンダ付けする工程が増えるため、前記導体間の接続方法(方法1)と比べて工程数が多くなる。そして、前記金属裏面電極層とリボン導線との間の固着力も方法1(図3参照。)の方が優れている。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明のInハンダ被覆銅(Cu)箔リボン導線の概略構成図である。
【図2】本発明のInハンダ被覆銅(Cu)箔リボン導線の製造方法の説明図である。
【図3】本発明のInハンダ被覆銅(Cu)箔リボン導線の接続方法(方法1)の説明図である。
【図4】本発明の銅箔又は錫メッキ銅箔からなるリボン導線の接続方法(方法2)の説明図である。
【符号の説明】
【0032】
1 Inハンダ被覆銅(Cu)箔リボン導線
2 銅(Cu)箔又は錫メッキ銅(Cu)箔
3 Inハンダ
3A 溶融Inハンダ
4A ガラス基板
4B Mo金属裏面電極層
4C 太陽電池デバイス部
5 超音波ハンダコテ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺のリボン状の銅箔又は錫メッキ銅箔の片面のみ又は片面は厚くそれ以外の部分は薄くInハンダを被覆したことを特徴とするInハンダ被覆銅箔リボン導線。
【請求項2】
前記長尺のリボン状の銅箔又は錫メッキ銅箔の厚さが300μm以下で、前記Inハンダの組成は、In及びAgからなり、Inが100〜90重量%、Agが10〜0重量%で、前記片面のInハンダ厚さが100μm以下であることを特徴とする請求項1に記載のInハンダ被覆銅箔リボン導線。
【請求項3】
ガラス基板上にMoからなる金属裏面電極層、アルカリバリア層、光吸収層、バッファ層、窓層(透明電極層)の順に積層されたCIS系薄膜太陽電池デバイス部が導電パターンにより電気的に接続されたCIS系薄膜太陽電池サーキット(サブモジュール)における前記CIS系薄膜太陽電池サーキット同士又はこれと他の電気素子との接続に使用することを特徴とする請求項1又は2に記載のInハンダ被覆銅箔リボン導線。
【請求項4】
ガラス基板上に金属電極及び電子デバイスが設置された電子装置における前記金属電極と電子デバイスとの電気的接続又は前記金属電極と外部電極との電気的接続に使用することを特徴とする請求項1又は2に記載のInハンダ被覆銅箔リボン導線。
【請求項5】
長尺のリボン状の銅箔又は錫メッキ銅箔を溶融Inハンダ中に先端から順次浸した後、溶融Inハンダから引出し、前記銅箔の下面に被着している溶融Inハンダを金属ヘラ等のハンダ除去手段により除去(削ぎ落)して、前記銅箔又は錫メッキ銅箔の上面又は下面の何れか一方の面にInハンダを被覆することを特徴とするInハンダ被覆銅箔リボン導線の製造方法。
【請求項6】
長尺のリボン状の銅箔又は錫メッキ銅箔を溶融Inハンダ中に先端から順次浸して前記リボン状の銅箔又は錫メッキ銅箔の周囲全面にInハンダを被覆した後、前記溶融Inハンダから引出し、前記銅箔の下面に被着している溶融Inハンダを金属ヘラ等のハンダ除去手段により除去(削ぎ落)して、上面に被覆したInハンダの厚みが下面の厚みより大であることを特徴とするInハンダ被覆銅箔リボン導線の製造方法。
【請求項7】
前記長尺のリボン状の銅箔又は錫メッキ銅箔の厚さが300μm以下で、前記Inハンダの組成は、In及びAgからなり、Inが100〜90重量%、Agが10〜0重量%で、前記片面のInハンダ厚さが100μm以下であることを特徴とする請求項5又は6に記載のInハンダ被覆銅箔リボン導線の製造方法。
【請求項8】
ガラス基板上にMoからなる金属裏面電極層、アルカリバリア層、光吸収層、バッファ層、窓層(透明電極層)の順に積層されたCIS系薄膜太陽電池デバイス部が導電パターンにより電気的に接続されたCIS系薄膜太陽電池サーキット(サブモジュール)同士又はこれと他の電気素子とを接続するためのCIS系薄膜太陽電池モジュールの銅箔リボン導線の接続方法であって、露出した金属裏面電極層上に、長尺のリボン状の銅箔又は錫メッキ銅箔の片面のみ又は片面は厚くそれ以外の部分は薄くInハンダを被覆し、前記Inハンダ被覆銅箔リボン導線の片面の厚いInハンダ被覆面を金属裏面電極層に接して載置し、前記Inハンダ被覆銅箔リボン導線の上面に超音波ハンダコテを押し当てて前記Inハンダを溶融させて前記金属裏面電極層に前記Inハンダ被覆銅箔リボン導線を接続することを特徴とするCIS系薄膜太陽電池モジュールの銅箔リボン導線の接続方法。
【請求項9】
ガラス基板上に金属電極及び電子デバイスが設置された電子装置における前記金属電極と電子デバイスとの電気的接続又は前記金属電極と外部電極との電気的接続するための電子装置の銅箔リボン導線の接続方法であって、露出した金属電極層上に長尺のリボン状の銅箔又は錫メッキ銅箔の片面のみ又は片面以外の部分は薄くInハンダを被覆し、前記Inハンダ被覆銅箔リボン導線の片面の厚いInハンダ被覆面を金属裏面電極層に接して載置し、前記Inハンダ被覆銅箔リボン導線の上面に超音波ハンダコテを加熱しながら押し当てて前記Inハンダを溶融させて前記金属裏面電極層に前記Inハンダ被覆銅箔リボン導線を接続することを特徴とする電子装置の銅箔リボン導線の接続方法。
【請求項10】
ガラス基板上にMoからなる金属裏面電極層、アルカリバリア層、光吸収層、バッファ層、窓層(透明電極層)の順に積層されたCIS系薄膜太陽電池デバイス部が導電パターンにより電気的に接続されたCIS系薄膜太陽電池サーキット(サブモジュール)同士又はこれと他の電気素子とを接続するためのCIS系薄膜太陽電池モジュールの銅箔リボン導線の接続方法であって、露出した金属裏面電極層上に、予めInハンダをハンダ付けし、該Inハンダ層上に、長尺のリボン状の銅箔又は錫メッキ銅箔を載置し、前記リボン状の銅箔又は錫メッキ銅箔の上面に超音波ハンダコテを押し当てて前記Inハンダを溶融させて前記金属裏面電極層に前記リボン状の銅箔又は錫メッキ銅箔を接続することを特徴とするCIS系薄膜太陽電池モジュールの銅箔リボン導線の接続方法。
【請求項11】
ガラス基板上に金属電極及び電子デバイスが設置された電子装置における前記金属電極と電子デバイスとの電気的接続又は前記金属電極と外部電極との電気的接続するための電子装置の銅箔リボン導線の接続方法であって、露出した金属電極層上に、予めInハンダをハンダ付けし、該Inハンダ層上に長尺のリボン状の銅箔又は錫メッキ銅箔を載置し、前記リボン状の銅箔又は錫メッキ銅箔の上面に超音波ハンダコテを加熱しながら押し当てて前記Inハンダを溶融させて前記金属裏面電極層に前記リボン状の銅箔又は錫メッキ銅箔を接続することを特徴とする電子装置の銅箔リボン導線の接続方法。
【請求項12】
前記長尺のリボン状の銅箔又は錫メッキ銅箔の厚さが300μm以下で、前記Inハンダの組成は、In及びAgからなり、Inが100〜90重量%、Agが10〜0重量%で、前記片面のInハンダ厚さが100μm以下であることを特徴とする請求項8乃至11の何れか1つに記載のCIS系薄膜太陽電池モジュール又は電子装置の銅箔リボン導線の接続方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−207861(P2007−207861A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−22703(P2006−22703)
【出願日】平成18年1月31日(2006.1.31)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成17年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「太陽光発電技術研究開発(先進太陽電池技術研究開発)」委託研究、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000186913)昭和シェル石油株式会社 (322)
【Fターム(参考)】