説明

L10規則化構造のFePtナノドットアレイの製造方法、それを使用して製造されたL10規則化構造のFePtナノドットアレイ及びL10規則化構造のFePtナノドットアレイを使用した高密度磁気記録媒体

【課題】L10規則化構造のFePtナノドットアレイの製造方法を提供する。
【解決手段】L10規則化構造のFePtナノドットアレイを製造する方法は、基板上にFePt薄膜を蒸着する第1工程と、前記第1工程で蒸着されたFePt薄膜上に高分子物質を薄膜に形成する第2工程と、前記FePt薄膜にモールドを接触させる第3工程と、前記モールド及びポリマーパターンをアニーリングする第4工程と、前記アニーリングされたモールド及びポリマーパターンを冷却及び分離させる第5工程と、反応性イオンエッチングを通じてポリマーパターンのサイズを調節する第6工程と、前記ポリマーパターンで覆われていないFePt薄膜をイオンミリングしてFePtナノドットを形成した後、残っているポリマー層を除去する第7工程と、FePtナノドットアレイをアニーリングする第8工程とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、L10規則化構造のFePtナノドットアレイの製造方法、それを使用して製造されたL10規則化構造のFePtナノドットアレイ及びL10規則化構造のFePtナノドットアレイを使用した高密度磁気記録媒体に関するもので、より詳細には、1平方インチ当りテラビット以上の超高密度記録媒体に使用され得るパターン化されたナノドットアレイに関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近、デジタル化が加速化されるにつれてオンライン情報量が幾何級数的に増加し、市場では、益々、より小さくて保存容量が大型化された保存媒体、すなわち単位面積当たりの記録密度が高い保存媒体に対する要求が高まっている。
【0003】
非揮発性保存方式には、磁気記録方式、光記録方式、非揮発性メモリーなど、3大技術分野があるが、その中でも磁気の記録方式が、ビット当りの価格、保存容量及び情報入出力速度の面で、価格的に最も競争力がある。
【0004】
このような磁気記録方式は、磁性体に情報を記録する方式であり、磁気ヘッドという電磁石を使用して、0または1によって磁性体の所望する位置に極性を変えて記録された極性から出る残留磁気によって記録された情報を再生する原理を使用している。
【0005】
前記のような磁気の記録媒体は、水平記録方式に始まり、最近では垂直記録方式が実用化され、さらに大きな記録密度を有するためにパターン磁気の記録媒体に関する研究が進められている。
【0006】
一方、高密度記録実現のために記録媒体に使用される磁性薄膜が有していなければならない特性としては、保磁力(coercivity:Hc)、飽和磁化(saturation magnetization:Ms)、残留磁化(remanent magnetization:Mr)、角形比(squareness:S)及び保磁力角形比(coercivity squareness:S*)を挙げることができる。
【0007】
1平方インチ当りテラビット以上の記録密度は、現在商用化されている垂直記録方式では達成することがほとんど不可能であり、パターンナノドット構造の磁気の記録媒体が有力な方案として注目されてきている。
【0008】
パターン化されたナノドット構造の磁気の記録媒体は、既存の連続的な磁性層を使用する方式から脱して、ナノサイズのドットを製作した後、一定方向に磁化させることで、0または1のビット信号を保存する方式である。このようなパターン化されたナノドット構造の磁気記録媒体は、既存の超常磁性の限界及び低い信号対雑音比実現に対する問題点を克復すれば、保存容量を最大化することができるという長所がある。
【0009】
既存のナノドット製作方式として電子ビームやホログラフィリソグラフィを使用する方式があるが、個々のパターンナノドット記録媒体を製造する度に電子ビームまたはホログラフィリソグラフィ技術を使用しなければならないし、高価な装備を使用しなければならない等、時間と費用が多くかかるという短所がある。
【0010】
また、ナノインプリントリソグラフィ技術を使用したパターン化されたナノドット記録媒体の製造方式は、モールドを使用してある程度生産費用及び生産時間を節減したが、ナノスケールのパターンを得るためには、基本シリコンモールドまたはマスクのデザインに電子ビームなどのリソグラフィを使用しなければならないので、射出成形に比べて製作時間が長く、モールドの破損可能性が大きいという短所がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第7241520号明細書
【特許文献2】米国特許第6331364号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上述したような課題を解決するために案出されたもので、本発明の目的は、CFL(Capillary Force Lithography:毛細管力リソグラフィ)を使用して工程条件を調節し、パターン化されたナノドット磁気記録媒体を製作することによって、超高密度の磁気記録媒体に適用することができる、L10規則化構造のFePtナノドットアレイの製造方法、それを使用して製造されたL10規則化構造のFePtナノドットアレイ、及びL10規則化構造のFePtナノドットアレイを使用した高密度磁気記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述したような目的を達成するための本発明によるL10規則化構造のFePtナノドットアレイの製造方法は、基板上にFePt薄膜を蒸着する第1工程と、前記第1工程で蒸着されたFePt薄膜上にスピンコーティングを使用して高分子物質を薄膜に形成する第2工程と、前記第2工程でスピンコーティングされたFePt薄膜にモールドを接触する第3工程と、前記第3工程で接触されたモールドとポリマーパターンをアニーリング(annealing)する第4工程と、前記第4工程でアニーリングされたモールドとポリマーパターンを冷却及び分離させる第5工程と、反応性イオンエッチングを通じてポリマーパターンのサイズを調節する第6工程と、前記ポリマーパターンで覆われていないFePt薄膜をイオンミリングしてFePtナノドット形成後、残っているポリマー層を除去する第7工程と、FePtナノドットアレイをアニーリングする第8工程とを含む。
【0014】
前記第1工程でのFePt薄膜の蒸着には、DCマグネトロンスパッタリングを使用することができる。
前記第1工程での前記FePt薄膜の厚さは、7nm〜50nmの間であり得る。
【0015】
前記第2工程で蒸着されたFePt薄膜上にスピンコーティングを通じて形成する高分子物質は、PS(ポリスチレン)であり得る。
前記第3工程でスピンコーティングされたFePt薄膜に接触されるモールドの材質は、ポリジメチルシロキサン(PDMS)であり得る。
【0016】
前記第4工程での前記アニーリングにおいて、前記モールドとポリマーパターンを135℃で30分間アニーリングすることができる。
前記第5工程では、前記第4工程でのアニーリングを通じてFePt薄膜上の高分子物質を挙動させ、毛細管現象によって高分子モールド内の陰刻された空の空間を満たすことによって高分子パターンをFePt薄膜上に形成し、一定時間アニーリングされた基板を冷却後、分離させることができる。
【0017】
前記第6工程では、前記反応性イオンエッチング時間を調節することで、前記ポリマーパターンのサイズを調節することができる。
前記第7工程では、ポリマーパターンを形成した後、イオンミリング過程を通じてFePtを蝕刻することによりFePtナノドットアレイを製造し、残っているポリマー層を塩化メチレン溶液で洗い出すことで除去することができる。
【0018】
前記第8工程では、FePtナノドットアレイが規則化されたL10構造を有するように、高真空状態で600℃の温度で1時間アニーリングすることができる。
また、上述したような目的を達成するための本発明によるL10規則化構造のFePtナノドットアレイの製造方法は、FePt薄膜に接触させてパターンを形成する高分子物質で形成されたモールドを製作する第1工程と、基板上にFePt薄膜を蒸着する第2工程と、前記第1工程で蒸着されたFePt薄膜上にスピンコーティングを使用してPS(ポリスチレン)の薄膜を形成する第3工程と、前記第3工程でスピンコーティングされたFePt薄膜にポリジメチルシロキサン(PDMS)材質のモールドを接触する第4工程と、前記第4工程で接触されたモールドとポリマーパターンを135℃で30分間アニーリングする第5工程と、前記第5工程でアニーリングされたモールドとポリマーパターンを冷却及び分離させる第6工程と、反応性イオンエッチングを通じてポリマーパターンのサイズを調節する第7工程と、前記ポリマーパターンで覆われていないFePt薄膜をイオンミリングしてFePtナノドットを形成した後、残っているポリマー層を除去する第8工程と、前記FePtナノドットアレイが規則化されたL10構造を有するように高真空状態で600℃の温度で1時間アニーリングする第9工程とを含む。
【0019】
また、情報を記録する情報記録手段及び前記情報記録手段によって情報が磁気的に記録される情報記録手段からなる磁気記録媒体において、前記情報記録手段は、L10規則化構造のFePtナノドットアレイを含むことができる。
【発明の効果】
【0020】
以上のような構成により、本発明は、CFLを使用してナノドットアレイを製造することにより、超高密度の磁気記録媒体を得ることができるという効果を有する。
また、FePtを使用して磁気薄膜を製造することによって、熱と磁気のエネルギーによっても高い記録安定性を有する磁気記録媒体を得ることができるという効果を有する。
【0021】
また、広い範囲で規則的なパターンナノドットアレイを製造して、産業的に量産が可能なナノドットアレイを適用した磁気記録媒体を製造することができるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明によるFePtパターンナノドットアレイの製造方法の一実施例に対する手順図である。
【図2】本発明によるFePtパターンナノドットアレイの製造方法における、RIE遂行時間とFePtナノドットサイズとの関係を示したグラフである。
【図3】(a)及び(b)は、本発明の一実施例によって製造されたそれぞれ150nm、300nmの間隔を有する110nmドットサイズのFePtパターンナノドットのAFMイメージであり、(c)は、本発明の一実施例によって製造された70nmドットサイズのFePtパターンナノドットのAFMイメージである。ここで、白い目盛りの大きさは、1μmに該当する。
【図4】本発明によるFePtパターンナノドットアレイの製造方法において、異なるアニーリング温度及びドットサイズについて得られたFePtパターンナノドットのXRDグラフである。
【図5】本発明によるFePtパターンナノドットアレイの製造方法における、ドットサイズと保磁力との関係を示したグラフである。
【図6】(a)ないし(c)は、本発明によるFePtパターンナノドットアレイの製造方法によって製造されたFePtパターンナノドットのアニーリング温度によるMFMのイメージである。ここで、白い目盛りの大きさは、1μmに該当する。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付された図面を参照して本発明の実施例を詳しく説明する。まず、図面において同一の構成要素または部品は、同じ参照符号により示されていることに留意されたい。本発明を説明するにおいて関連する公知機能あるいは構成に対する具体的な説明は、本発明の要旨を曖昧にさせないために省略する。
【0024】
図1は、本発明によるFePtパターンナノドットアレイの製造方法の一実施例に対する手順図である。図1に示されるように、本発明によるFePtパターンナノドットアレイの製造方法は、S10工程ないしS80工程を含む8工程からなる。以下、各工程を説明する。
【0025】
まず、基板にFePt薄膜を蒸着する(S10工程)。
FePt薄膜は、スパッタリングにより蒸着される。本発明では、DCマグネトロンスパッタリングを使用してFePt薄膜を蒸着する。
【0026】
当然、前記蒸着方法として前記DCマグネトロンスパッタリング以外にMBE(Molecular Beam Epitaxy)という方法を使用することもできる。前記MBE方法は、超高真空で蒸着するのでサンプルの質(結晶性)が良くなるという長所があるが、大量生産に不利であり、また多くの物質を一緒に蒸着するには相応しくないという短所があるので、本発明では、DCマグネトロンスパッタリングを使用して蒸着する。
【0027】
ここで、前記FePt薄膜の厚さは、7nm〜50nmの間が好ましい。当然、FePt薄膜の厚さを50nm以上に厚くすると、保磁力が大きくなる長所があるが、実験の結果、前記FePt薄膜の厚さを50nm以下にすることによって、規則化された構造の形成が容易で、パターンの模様も均一であることを確認することができた。
【0028】
図1の手順図には図示しないが、前記FePt薄膜の蒸着前に前記FePt薄膜に接触させてパターンを形成するモールドをあらかじめ製作しなければならない。パターンを形成するモールドには、高分子物質を使用することが好ましく、これはアニーリング後、浸透圧力によってパターン形成が容易であり、またパターン形成後の除去が容易だからである。
【0029】
このような高分子物質の例としては、高分子弾性体であるPDMS(ポリジメチルシロキサン)が挙げられる。また、前記のような高分子モールド以外にもSiO等の無機物モールドを使用することもできる。
【0030】
前記PDMSモールドは、パターン化しようとする形状と逆相を有していなければならない。まず、マスター基板に無機質からなるパターンを形成して、それをOプラズマで処理した後、OTS(OcatadecylTricholoroSilane)処理を通じてシラン(silane)界面処理をした後、重合処理されないPDMSを塗布して一定時間が経過した後、無水トルエンなどを使用して洗い出す。
【0031】
次に、蒸着されたFePt薄膜に高分子物質でスピンコーティングする工程である(S20工程)。すなわち、基板上にFePt薄膜を所望する厚さに蒸着した後、FePt薄膜上にスピンコーティングを使用して高分子物質を薄膜形成する。ここで、前記FePt薄膜上にスピンコーティングを通じて形成する高分子物質には、PS(ポリスチレン)を例に挙げることができる。
【0032】
一方、FePt薄膜上にスピンコーティングされる高分子薄膜は、以後に進行されるアニーリング工程で熱によって流動性を有し、エッチング過程を通じてFePt薄膜にパターンを形成しなければならないので、基板に対して蝕刻抵抗性を有する物質でなければならない。
【0033】
次に、スピンコーティングされたFePt薄膜にモールドを接触させる(S30工程)。すなわち、上述したように高分子物質でスピンコーティングされたFePt薄膜に、あらかじめ製作されたPDMSモールドを接触させる。接触過程では、モールドがスピンコーティングされたFePt薄膜に均一に接触することが最も重要であり、基本的に軟性材質からなる高分子物質であるPDMSは、自発的に均一接触が成り立つ。
【0034】
次に、PDMSモールドとポリマーパターンを135℃で30分間アニーリングする(S40工程)。すなわち、前記PDMSモールドをスピンコーティングされたFePt薄膜に接触させた状態で一定温度でアニーリングする。前記アニーリング工程(S40工程)は、熱を通じてFePt薄膜上にスピンコーティングされた高分子薄膜に流動性を付与し、先に接触されたPDMSモールドの陰刻されたパターンの中に毛細管力によって流入させるための工程である。
【0035】
次に、アニーリングされたPDMSモールドとポリマーパターンを冷却して分離させる(S50工程)。すなわち、アニーリングを通じてFePt薄膜上の高分子物質が液体のように挙動して毛細管現象によって高分子モールド内の陰刻された空の空間を満たすことで、高分子パターンをFePt薄膜上に形成させた後、その状態で一定時間アニーリングされた基板を冷却した後、分離させる。
【0036】
次に、前記イオンエッチング過程を通じてFePt薄膜上に形成されたパターンをエッチング抵抗マスクに使用して、反応性イオンエッチング過程(RIE、Reactive Ion Etching)を通じてポリマーパターンの大きさを調節する(S60工程)。ここで、エッチング時間を調節することで現われる効果としては、ドットサイズ(dot size)の調節が挙げられる。
【0037】
次は、前記ポリマーパターンで覆われていないFePt薄膜をイオンミリングして、残っているポリマー層を除去する工程である(S70工程)。すなわち、適切な大きさのポリマーパターンを形成した後に、イオンミリング過程を通じてFePtを蝕刻することで、所望するサイズのFePtナノドットアレイを得ることができる。
【0038】
ここで、残っているポリマー層(polymer layer)は、塩化メチレン溶液で洗い出すことで、きれいに除去する。
次に、所望するサイズに形成されたFePtナノドットアレイが、規則化されたL10構造を有するように、高真空状態で600℃の温度で1時間アニーリングをする(S80工程)。
【0039】
図2は、本発明によるFePtパターンナノドットアレイの製造方法における、RIE遂行時間とFePtナノドットサイズとの関係を示したグラフである。
すなわち、図2を参照すると、反応性イオンエッチングの遂行時間を15秒から25秒まで調節することによって、ドットのサイズを110nmから70nmまで調節可能であることを示している。これは、PDMSモールドを使用してパターンを形成した後、FePt薄膜上にモールドの陰刻された部分が満たされて得られた陽刻の高分子パターン部分と、モールドの陽刻部分が触れて薄膜で存在する高分子残余層で構成される。ここで、反応性イオンエッチング(RIE)の工程によって薄い残余層が先に除去された後、反応時間をさらに長くすると陽刻の高分子パターンのサイズ及び模様に影響を与えるため、反応時間によってドットサイズが調節される。
【0040】
ここで、形成されたナノドットアレイの均一性は、図3で確認することができる。すなわち、図3の(a)及び(b)は、本発明の一実施例によって製造されたそれぞれ150nm、300nmの間隔を有する110nmドットサイズのFePtパターンナノドットのAFMイメージであり、図3の(c)は、本発明の一実施例によって製造された70nmドットサイズのFePtパターンナノドットのAFMイメージである。ここで、白い目盛りの大きさは、1μmである。
【0041】
図4は、本発明によるFePtパターンナノドットアレイの製造方法において、異なるアニーリング温度及びドットサイズについて得られたFePtパターンナノドットのXRDグラフである。
【0042】
アニーリング温度とパターン化されたFePtナノドットの特性に対する関係が、図4に図示されており、500℃で規則化されたL10構造が形成され始め、600℃以上で規則化されたL10構造が完全に形成されることが確認できる。
【0043】
図4に表示された(002)ピークに対する(001)ピークのサイズの割合を示す規則化定数(S)から規則化の程度が分かる。600℃でアニーリングされたFePtドットの場合、0.87としてほぼ完全な規則を示すことが分かった。また、ドットのサイズが70nmに小さくなってもこのような規則化定数の大きさは、維持されることが分かる。このことからして、ドットのサイズが100nm以下になってもL10規則化構造がよく形成されることが分かる。
【0044】
以下、アニーリング温度とナノドットの磁気的特性との関係について説明する。アニーリング温度を調節することで規則化構造を変えることができるという事実は、XRD結果を通じて分かる。ところで、規則化構造は、直接的にFePtの垂直磁気異方性に影響を及ぼすようになる。すなわち、FePtの大きな垂直異方性エネルギーは、大きなL10規則化構造から出るものである。したがって、アニーリング温度によって垂直磁気異方性が変化して、変化した垂直磁気異方性によって磁気的特性、例えば、保磁力(HC=2Ku/Ms)等が影響を受けるようになる。
【0045】
図5は、本発明によるFePtパターンナノドットアレイの製造方法における、ドットサイズと保磁力との関係を示したグラフである。
600℃でアニーリングされたドットアレイの場合、316kA/m(4kOe)以上の保磁力値を示すことが分かる。この値は、隣接したドットから出る磁場(magnetostatic field)に影響を受けないで、それぞれのドットが独自的に記録状態を維持することができる程度に十分な大きさの保磁力値であると言える。
【0046】
一方、ドット内部の磁区は様々な模様を示すことができる。一方向や二方向に割れた場合もあり得、同心円模様で分布することもできる。ところが、様々な磁区の模様の中で、単一磁区が磁気の記録の面で好ましいと言える。なぜなら、上下二方向の状態のみを表示しなければならないからである。上下が混ざったような場合、磁化の大きさが合わせて0になれば、+1または−1のいずれでもないものになってしまうことになる。
【0047】
図6の(a)ないし(c)は、本発明によるFePtパターンナノドットアレイの製造方法によって製造されたFePtパターンナノドットのアニーリング温度によるMFMのイメージである。
【0048】
図6のMFMイメージを参照すると、アニーリング温度にしたがって磁区の様子が異なって見える。すなわち、温度が高くなるほど単一磁区の模様になることが分かる。ゆえに、600℃でアニーリングされた規則化構造のFePtナノドットアレイは、磁気の記録に適切な磁区の模様を有することが分かる。
【0049】
前記のように、本発明によるL10規則化構造のFePtパターンナノドットアレイの製造方法でのFePtは、大きな垂直磁気異方性エネルギーによって熱的安定性が他のその他の物質に比べて優れている。すなわち、ドットのサイズが減った場合に発生する熱的不安定性を解消することができる物質であり、磁気的優秀性を有する物質である。
【0050】
以上のように、本発明によるL10規則化構造のFePtパターンナノドットアレイの製造方法を例示した図面を参照して説明したが、本発明は、本明細書に開示された実施例と図面によって限定されず、本発明の技術思想の範囲内で当業者によって多様な変形が成り立ち得ることは、当然である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上にFePt薄膜を蒸着する第1工程と、
前記第1工程で蒸着されたFePt薄膜上にスピンコーティングを使用して高分子物質を薄膜形成する第2工程と、
前記第2工程でスピンコーティングされたFePt薄膜にモールドを接触させる第3工程と、
前記第3工程で接触されたモールド及びポリマーパターンをアニーリングする第4工程と、
前記第4工程でアニーリングされたモールド及びポリマーパターンを冷却及び分離させる第5工程と、
反応性イオンエッチングを通じてポリマーパターンのサイズを調節する第6工程と、
前記ポリマーパターンで覆われていないFePt薄膜をイオンミリングしてFePtナノドットを形成した後、残っているポリマー層を除去する第7工程、と
FePtナノドットアレイをアニーリングする第8工程とを含むことを特徴とするL10規則化構造のFePtナノドットアレイの製造方法。
【請求項2】
前記第1工程におけるFePt薄膜の蒸着は、DCマグネトロンスパッタリングを使用することを特徴とする、請求項1記載のL10規則化構造のFePtナノドットアレイの製造方法。
【請求項3】
前記第1工程における前記FePt薄膜の厚さが、7nm〜50nmの間であることを特徴とする、請求項1記載のL10規則化構造のFePtナノドットアレイの製造方法。
【請求項4】
前記第2工程で蒸着されたFePt薄膜上にスピンコーティングを通じて形成される高分子物質は、PS(ポリスチレン)であることを特徴とする、請求項1記載のL10規則化構造のFePtナノドットアレイの製造方法。
【請求項5】
前記第3工程でスピンコーティングされたFePt薄膜に接触されるモールドの材質は、ポリジメチルシロキサン(PDMS)であることを特徴とする、請求項1記載のL10規則化構造のFePtナノドットアレイの製造方法。
【請求項6】
前記第4工程における前記アニーリングは、前記モールド及び前記ポリマーパターンを135℃で30分間アニーリングすることを特徴とする、請求項1記載のL10規則化構造のFePtナノドットアレイの製造方法。
【請求項7】
前記第5工程が、前記第4工程でのアニーリングを通じてFePt薄膜上の高分子物質を挙動させ、毛細管現象によって高分子モールド内の陰刻された空の空間を満たすことにより高分子パターンをFePt薄膜上に形成し、一定時間アニーリングされた基板を冷却した後に分離することを特徴とする、請求項1記載のL10規則化構造のFePtナノドットアレイの製造方法。
【請求項8】
前記第6工程が、前記反応性イオンエッチング時間を調節することで前記ポリマーパターンのサイズを調節することを特徴とする、請求項1記載のL10規則化構造のFePtナノドットアレイの製造方法。
【請求項9】
前記第7工程が、ポリマーパターンを形成した後、イオンミリング過程を通じてFePtを蝕刻することによってFePtナノドットアレイを製造し、残っているポリマー層を塩化メチレン溶液で洗い出すことによって除去することを特徴とする、請求項1記載のL10規則化構造のFePtナノドットアレイの製造方法。
【請求項10】
前記第8工程が、規則化されたL10構造を有するFePtナノドットアレイを形成するために、前記FePtナノドットアレイを高真空状態で600℃の温度で1時間アニーリングすることを特徴とする、請求項1記載のL10規則化構造のFePtナノドットアレイの製造方法。
【請求項11】
FePt薄膜に接触させてパターンを形成する、高分子物質で形成されたモールドを製作する第1工程と、
基板上にFePt薄膜を蒸着する第2工程と、
前記第2工程で蒸着されたFePt薄膜上にスピンコーティングを使用してPS(ポリスチレン)を薄膜形成する第3工程と、
前記第3工程でスピンコーティングされたFePt薄膜にポリジメチルシロキサン(PDMS)材質のモールドを接触させる第4工程と、
前記第4工程で接触されたモールド及びポリマーパターンを135℃で30分間アニーリングする第5工程と、
前記第5工程でアニーリングされたモールド及びポリマーパターンを冷却及び分離させる第6工程と、
反応性イオンエッチングを通じてポリマーパターンのサイズを調節する第7工程と、
前記ポリマーパターンで覆われていないFePt薄膜をイオンミリングしてFePtナノドットを形成した後、残っているポリマー層を除去する第8工程と、
前記FePtナノドットアレイが規則化されたL10構造を有するように高真空状態で600℃の温度で1時間アニーリングする第9工程とを含むことを特徴とするL10規則化構造のFePtナノドットアレイの製造方法。
【請求項12】
請求項1ないし請求項10のいずれか一項に記載の方法によって製造されたL10規則化構造のFePtナノドットアレイ。
【請求項13】
情報を記録する情報記録手段及び前記情報記録手段によって情報が磁気的に記録される情報記録手段からなる磁気記録媒体において、
前記情報記録手段が、請求項12に記載のL10規則化構造のFePtナノドットアレイを含むことを特徴とするL10規則化構造のFePtナノドットアレイを使用した高密度磁気の記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−140592(P2010−140592A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−196680(P2009−196680)
【出願日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【出願人】(596071752)コリア アドバンスト インスティテュート オブ サイエンス アンド テクノロジー (60)
【Fターム(参考)】