説明

LEDパッケージおよびLEDパッケージ実装構造体

【課題】はんだ疲労寿命の向上を実現し、低コストで信頼性の高いLEDパッケージ実装構造体を提供する。
【解決手段】LEDパッケージ10は、回路基板20との実装面に対して垂直な方向に発光面11を持ち、パッケージの側面あるいは側面と底面に接続用端子部121、122、131,132を備え、該接続用端子部を介して回路基板とはんだ接続される。さらに、LEDパッケージ中心側におけるLEDパッケージ本体底面の電極端と回路基板の部品搭載用パッド端の相対位置関係を規定することによりはんだの形状を適正化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LEDパッケージ、LEDパッケージをプリント配線基板等の回路基板に搭載したLEDパッケージ実装構造体および、LEDパッケージ実装構造体を備える液晶表示装置に関する
【背景技術】
【0002】
近年、テレビ、モニタ等の液晶表示装置用バックライトユニットの光源として、LEDの使用が急速に進んでいる。これは、液晶表示装置の性能向上への要求に対応した流れであり、LED光源を使用することにより、従来の冷陰極蛍光管に比較してテレビの低消費電力化、薄型化が可能となる。特に、バックライトを構成するLEDを複数のグループに分割し、映像の内容に応じてグループ単位でLEDの輝度制御を行うエリア制御を実現することで、さらなる低消費電力化と高画質化が可能となる。
【0003】
エリア制御を可能とする液晶表示装置のバックライト方式には、大きく分けて直下型方式とスリムブロック型方式の2つがある。直下型方式では、多数のLED光源を、液晶パネルに対して光軸が垂直になるように面内に分散して配置し、光源からある程度距離を置いたところに配置される拡散板で光を混合して輝度を均一化する。一方、スリムブロック型方式では、複数個のLEDと一連の導光板の組合せを面内に複数組平面的に配列した構成を取り、LEDは、液晶パネルに対して光軸が平行になるよう導光板脇に配置される。光源から出た光は、導光板の側面から入射すると、導光板内を全反射して伝播し、導光板の下面に形成された反射ドットなどにより散乱して、導光板の上面に取り出される。スリムブロック方式は、直下型方式に対して、面内輝度分布の均一化を得るための空間を必要としないため、より薄型化できるのが特徴である。
【0004】
スリムブロック方式を採用した場合、LEDパッケージの実装面に対し光軸が垂直となる一般的な上面発光タイプの表面実装型LEDパッケージ(以下、トップビュー型LEDパッケージと称す)を使用するためには、中継基板にLEDを実装した後、中継基板を回路基板に垂直にはんだ接続するか、中継基板をシャーシに垂直に固定した後コネクタ等で配線を行う必要が生じ、部品点数および組み立て工数が増大してコスト高になる。
【0005】
一方で、特許文献1には、LEDパッケージの実装面に対し光軸が平行となる側面発光タイプの表面実装型LEDパッケージ(以下、サイドビュー型LEDパッケージと称す)が開示されている。サイドビュー型LEDパッケージを使用した場合には、LEDをプリント配線基板等の回路基板に直接搭載するため、コストを抑えられるといった利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−115227
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1のサイドビュー型LEDパッケージを回路基板にはんだ搭載した場合、LEDパッケージと回路基板との間に線膨張率差があるため、LEDのON/OFFに伴う温度変化によりLEDパッケージ電極下のはんだ接続部に亀裂が入って進展していき、最終的にははんだ疲労破壊による導通不良を起こすという問題があった。
【0008】
上述の問題の一解決策として、はんだ供給量を増やして接続部のはんだ厚みを大きくすることが考えられるが、はんだ厚みを大きくした場合には、LEDパッケージの回路基板に対する搭載精度が低下する。すなわち、LEDパッケージの前後・左右方向への位置ずれが大きくなることにより、または、発光面が前後に傾斜あるいは回転することにより、導光板との光結合効率が悪くなる。また、はんだの代替として、はんだ入り熱効果樹脂で接続する等、他の接続手段を採ることも考えられるが、部材費等のコストアップに繋がるため現実的ではない。
【0009】
本発明は、上記問題に鑑み、LEDパッケージと回路基板との間に線膨張率差がある場合でも、LEDパッケージと回路基板とを電気的に接続するはんだの疲労寿命を向上させ、導通不良を防止することを可能とするLEDパッケージおよびLEDパッケージ実装構造体を、低コストで提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的は、LED素子をパッケージ本体に実装したLEDパッケージにおいて、前記パッケージ本体は、発光面が実装面に対して交差するように回路基板上に実装され、該パッケージの側面に回路基板との第1の接続用端子部を備えていることを特徴とするLEDパッケージにより達成することができる。
【0011】
また、上記目的は、LEDパッケージと該LEDパッケージを実装する回路基板がはんだにより電気的に接続された実装構造体において、前記LEDパッケージが、回路基板との実装面に対して交差する方向に発光面を持ち、パッケージの側面に第1の接続用端子部を備え、該接続用端子部を介して回路基板とはんだ接続されていることを特徴とするLEDパッケージ実装構造体により達成することができる。
【0012】
さらに、上記目的は、LEDパッケージと、該パッケージ底面に回路基板との接続用端子部とを備え、前記接続用端子部を介して、発光面が実装面に対して交差するよう回路基板上に実装されたLEDパッケージ実装構造体において、該実装構造体におけるLED発光面の方向の断面において、LEDパッケージ本体底面の電極が、LEDパッケージ中心側の電極端部で湾曲状に形成されており、該湾曲部を曲線近似した際の電極端(P)における接線と回路基板との交点を(Q)とした場合、回路基板のLEDパッケージ中心側における部品搭載用パッド端(R)が、前記(Q)点または、(Q)点よりも(P)点寄りに位置することを特徴とするLEDパッケージ実装構造体により達成することができる。
【0013】
さらに、上記目的は、LEDパッケージと、該パッケージ底面に回路基板との接続用端子部とを備え、前記接続用端子部を介して、発光面が実装面に対して交差するよう回路基板上に実装されたLEDパッケージ実装構造体において、LEDパッケージ実装構造体におけるLED発光面の方向の断面において、LEDパッケージ本体底面の電極が、LEDパッケージ中心側の電極端部で湾曲状に形成されており、はんだ外縁部を曲線近似した際の前記電極端(P)においてはんだ外縁部の接線の傾きが連続していることを特徴とするLEDパッケージ実装構造体により達成することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、LEDパッケージと回路基板との間に線膨張率差がある場合でも、LEDパッケージと回路基板とを電気的に接続するはんだの疲労寿命を向上させ、導通不良を防止することを可能とするLEDパッケージおよびLEDパッケージ実装構造体を、低コストで提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施例1に係るLEDパッケージおよびLEDパッケージ実装構造体の概略正面断面図である。
【図2】本発明の実施例2に係るLEDパッケージおよびLEDパッケージ実装構造体の概略正面断面図である。
【図3】本発明の比較例1に係るLEDパッケージおよびLEDパッケージ実装構造体における概略正面断面図である。
【図4】本発明の比較例2に係るLEDパッケージおよびLEDパッケージ実装構造体における、パッケージ底面電極部の断面拡大図である。
【図5】本発明の実施例3に係るLEDパッケージおよびLEDパッケージ実装構造体における、パッケージ底面電極部の断面拡大図である(基板パッド:NSMD構造)。
【図6】本発明の実施例3に係るLEDパッケージおよびLEDパッケージ実装構造体における、パッケージ底面電極部の断面拡大図である(基板パッド:SMD構造)。
【発明を実施するための形態】
【0016】
特許文献1のようにサイドビュー型LEDパッケージを回路基板にはんだ搭載した場合、LEDのON/OFFに伴う温度変化によりLEDパッケージ電極下のはんだ接続部に亀裂が入って進展していき、最終的にははんだ疲労破壊による導通不良を起こすという問題があった。これは、LEDパッケージの線膨張率が回路基板の線膨張率に比較して小さいため、熱変形に伴う応力がはんだ部に生じることに起因する。特に、テレビ用途向けには、LEDパッケージの信頼性確保の観点から、LEDパッケージ本体としてセラミック材料を、また、部材費削減の観点から、回路基板として安価な有機樹脂材料を用いたプリント配線基板を使用することが多く、両材料の線膨張率差が大きいために、はんだ疲労破壊の問題はより深刻となる。さらに、サイドビュー型パッケージでは、トップビュー型パッケージのようにパッケージの電極面積を大きくとることが難しく、はんだとの接続面積が小さいこと、また、LEDパッケージの集合基板を個片分割化するためのダイシング工程時にパッケージ電極部に発生するバリに起因して、はんだ中にボイドが発生することなども、導通不良に至るまでの時間を短くする要因となっている。
【0017】
以下、上記課題を鑑みなされた本発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0018】
図1に、本発明の実施例1に係るLEDパッケージおよびLEDパッケージ実装構造体の概略正面断面図を示す。
【0019】
LEDパッケージ実装構造体は、表面実装型のLEDパッケージ10を回路基板20にはんだを介して電気的に接続したものである。ここで、LEDパッケージ10は、アルミナを主成分とする複数のグリーンシートを積層して焼成したセラミック焼結体からなるケースを有し、ケース内部にLED素子(図示せず)が実装されている。セラミック材としては、アルミナの他、窒化アルミ、炭化珪素、酸化ベリリウムなどが用いられる。尚、上記セラミックパッケージの代わりにポリアミド等の樹脂パッケージを使用しても良い。
【0020】
LEDパッケージを実装する回路基板の材質は、比較的安価なガラスエポキシ基板のような有機樹脂基板が用いられる他、信頼性に優れるセラミック系基板や熱伝導性に優れる金属ベース基板の使用も可能であり、特に限定されるものではない。
【0021】
LEDパッケージは、回路基板との実装面(紙面と垂直)に対して発光面11(紙面と平行)が垂直になる(交差する)ように実装され、実装された状態に置いて、発光面及び実装面に対し垂直となる(交差する)パッケージの側面に接続用端子部121、122を有する。接続用端子部121、122は、例えばWまたはMoからなるメタライズ層がNiめっきとAuめっきあるいはNiめっきとAgめっきで被覆されている。接続用端子部には、LED素子のp側電極およびn側電極に対応したアノード電極、カソード電極の2つのパッドがある。側面アノード電極パッド121および側面カソード電極パッド122は、パッケージ側面内にレイアウトできる限り、任意の大きさで設置可能である。
【0022】
接続用端子部は、回路基板上の部品搭載用パッド21にはんだ30を介して接続される。ここで、LEDパッケージの接続用端子部121、122と接続される回路基板20側の部品搭載用パッド(あるいはソルダレジスト開口部)において、パッケージ10の発光面11に対して平行となる辺の径(以下、A寸法と称す)は、パッケージ接続用端子部121、122の高さ方向のパッド径(以下、B寸法と称す)の0.5倍から2倍が望ましい。A寸法が、B寸法の0.5倍より小さい場合や2倍よりも大きい場合には、はんだフィレットが適正な形状にならず、はんだ疲労寿命の向上化に繋がらないためである。
【0023】
尚、適正なはんだフィレット形状が形成される範囲で、パッケージの接続用端子部と接続される回路基板側の部品搭載用パッド面積(あるいはソルダレジスト開口面積)は可能な限り大きい方が好ましい。パッド面積が大きいことにより、はんだの接続面積も大きくなり、その結果、放熱特性が向上してLEDのON/OFFに伴う熱ストレスを軽減でき、かつ、はんだが全破断に至るまでの有効経路長が長くなるからである。
【0024】
LEDパッケージと回路基板を接続するために使用するはんだ30の材質としては、熱疲労特性に優れる錫銀二元系共晶はんだ、錫銀銅三元系共晶はんだあるいは錫亜鉛系はんだが好ましい。具体的には、Sn−3.5Ag(融点約221℃)、Sn−3Ag−0.5Cu(融点約217℃)、Sn−9Zn(融点約199℃)などがあげられる。また、従来多く使われ、接合性や疲労寿命特性に優れた錫鉛共晶合金も使用可能なことは言うまでもない。
【0025】
次に、LEDパッケージ構造体を作製する方法について述べる。LEDパッケージを回路基板に接続する場合、予め回路基板上の部品搭載用パッドにはんだをペースト印刷、ディスペンサ塗布またはめっきなどの手段により供給する。
【0026】
LEDパッケージ10は、部品装着機等により、接続用端子部121、122を下方に向けた状態で搬送し、はんだが塗布された部品搭載用のアノードおよびカソードパッド間に収まるように、回路基板上に載置する。LEDパーケージ10を載置した回路基板20は、リフロー炉内にベルト搬送する。リフロー炉内で、回路基板をはんだの融点以上の温度で一定時間加熱させてはんだを一旦溶融させた後、回路基板をリフロー炉内からベルト搬送で取り出す。リフロー炉内には、設定温度の異なるいくつかの加熱ゾーンがあり、最高温度に設定された加熱ゾーンを通過以降、回路基板は徐々に冷却されて、はんだが再凝固する。
【0027】
尚、上述した本実施例に係るはんだのフィレット形状適正化およびLEDパッケージ10の立ち上がり不良抑制は、使用するはんだの供給量、ソルダレジスト開口径、回路基板パッド径などを最適化することにより実現できる。
【0028】
本実施例に係るLEDパッケージの実装構造体によれば、LEDパッケージの側面に接続用端子部を備え、LEDパッケージと該LEDパッケージを実装する回路基板とのはんだ接続面積を大きくとることができるため、LEDパッケージと回路基板との間に線膨張率差がある場合においても、LEDパッケージと回路基板とを電気的に接続するはんだの疲労寿命を向上させ、導通不良を防止することが可能となる。
【実施例2】
【0029】
図2に、本発明の実施例2に係るLEDパッケージおよびLEDパッケージ実装構造体の概略正面断面図を示す。本実施例は、上記実施例1の一部を変形したもので、上記実施例と同様な機能を有する部分については同じ符号をつけ、同一部分については詳細な説明を省略する。
【0030】
実施例2に係るLEDパッケージ実装構造体におけるLEDパッケージの材質およびLEDパッケージを実装する回路基板の材質は、実施例1のLEDパッケージ実装構造体と同様である。しかしながら、実施例1に係るLEDパッケージ実装構造体とは構造的な差異を有しており、実施例2に係るLEDパッケージ実装構造体では、LEDパッケージの側面に加え、底面にも接続用端子部を備えていることを特徴とする。
【0031】
すなわち、実施例2に係るLEDパッケージ実装構造体におけるLEDパッケージは、回路基板との実装面に対して発光面11が垂直になる(交差する)ように実装され、実装された状態に置いて、パッケージの底面に回路基板との第2の接続用端子部131、132を、また、実施例1と同様に発光面及び実装面に対し垂直となる(交差する)パッケージの側面に回路基板との第1の接続用端子部121、122を有する。接続用端子部は、例えばWまたはMoからなるメタライズ層がNiめっきとAuめっきあるいはNiめっきとAgめっきで被覆されている。第1および第2の接続用端子部には、各々LED素子のp側電極およびn側電極に対応したアノード電極、カソード電極の2つのパッドがある。この場合、第1の接続用端子部と第2接続用端子部の同極同士(図2の121と図3の131、図2の122と図3の132)は、パッケージの表面で分離されずに連続して繋がっていても、あるいは、パッケージの表面では分離独立し、パッケージの内部配線により電気的に接続されていても構わない。
【0032】
LEDパッケージと回路基板を接続する為に使用するはんだ材質やLEDパッケージ構造体の作成方法は、実施例1の記載内容と同様である。
【0033】
以下、本発明の第1および第2の実施例に係るLEDパッケージ実装構造体の効果を確認すべく、シミュレーション解析を実施した結果を説明する。はんだ接続部における疲労寿命は、はんだ接続端部に微小な亀裂が発生する寿命(亀裂発生寿命)と、亀裂発生寿命後に亀裂が進展して破断するまでの寿命(亀裂進展寿命)の和で表される。はんだ接続部の疲労寿命を明らかにするため温度サイクル試験を模擬した亀裂進展解析を実施した。解析にははんだの累積損傷を考慮した評価手法を用いた。本手法は、亀裂の発生や進展時に累積するダメージに基づいてはんだ各位置の寿命を評価することで、亀裂進展経路や速度を自動的に算出するものである。解析対象のLEDパッケージ構造体には、0.96mm(縦)x13.04mm(横)x0.4mm(厚み)の回路基板上に、0.8mm(縦)x3mm(横)x1.4mm(高さ)のLEDパッケージが片面実装されている。LEDパッケージとしては、側面に0.92mm(縦)x0.8mm(横)の接続端子部を配置したモデル(実施例1)と、比較として底面に0.8mm(縦)x0.92mm(横)の接続端子部を配置したモデル(比較例1)を検討した。解析は、対称性を考慮して実装構造体の1/2形状をモデル化して実施した。
【0034】
解析モデルに使用した各部材の材質および物性値を表1に示す。LEDパッケージ本体の材質はアルミナとし、LEDパッケージを搭載する回路基板は、エポキシ樹脂を使用したプリント回路基板とした。尚、はんだは温度依存弾塑性体、その他の材料は、温度非依存弾性体と仮定した。温度サイクル条件は、125℃/−55℃である。解析結果に基づく、はんだの破断寿命を表2に示す。
【0035】
【表1】

【0036】
【表2】

【0037】
表2から明らかなように、実施例1,2のサンプルでは、比較例1のサンプルに比較してはんだが破断するまでのサイクル数が長く、本発明に係るLEDパッケージ実装構造体によってはんだ疲労寿命の向上効果が得られることが分かる。
【0038】
以上のように本実施例によれば、第1および第2接続用端子部を介して回路基板にはんだ接続することで、パッケージと回路基板とのはんだ接続面積を実施例1と比較してさらに大きくとることができるため、LEDパッケージと回路基板との間に線膨張率差がある場合においても、LEDパッケージと回路基板とを電気的に接続するはんだの疲労寿命を実施例1と比較してさらに向上させ、導通不良を防止することが可能となる。
【実施例3】
【0039】
図5に、本発明の実施例3に係るLEDパッケージおよびLEDパッケージ実装構造体における、パッケージ底面電極部の断面拡大図を示す。実施例3に係るLEDパッケージ実装構造体では、図2に示す本発明の実施例2に係るLEDパッケージ実装構造体のように、LEDパッケージの底面と側面にそれぞれ接続用端子部を備えていても、あるいは、図3に示す比較例1に係るLEDパッケージ実装構造体のように、LEDパッケージの底面のみに接続用端子部を備えていても構わない。いずれにせよ、本発明の実施例3に係るLEDパッケージおよびLEDパッケージ実装構造体では、LEDパッケージの少なくとも底面に回路基板との接続用端子部を備えており、該接続用端子部を介して、発光面が実装面に対して垂直になるように回路基板上へ実装されている。
【0040】
本発明の実施例3に係るLEDパッケージ実装構造体では、LEDパッケージ本体底面の電極と回路基板の部品搭載用パッドの相対位置関係を規定してはんだの形状を適正化していることに特徴がある。すなわち、本発明の実施例3に係るLEDパッケージ実装構造体では、該実装構造体をLED発光面に対して平行に切断した断面(LED発光面の方向の断面)において、LEDパッケージ本体底面の電極が、LEDパッケージ中心側の電極端部で湾曲状に形成されており、該湾曲部を曲線近似した際の電極端(P)における接線と回路基板との交点を(Q)とした場合、回路基板のLEDパッケージ中心側における部品搭載用パッド端(R)が、前記(Q)点または、(Q)点よりも(P)点寄りに位置している。LEDパッケージ本体底面の電極端と回路基板の部品搭載用パッド端の相対位置関係を本発明のごとく規定することにより、はんだ部において応力集中が起きやすい特異点をなくすことができるため、はんだ疲労寿命の向上化に繋がる。
【0041】
本発明とは異なって、パッド端(R)が(Q)点よりもパッケージ中心寄り(図5においては、(Q)点の右側)に位置する場合には、図4に示した比較例2のごとく、LEDパッケージ実装構造体をLED発光面に対して平行に切断した断面(LED発光面の方向の断面)において、はんだ外縁部を曲線近似した際のパッケージ電極端(P)における片側微分係数に関して、左側微分係数と右側微分係数(図4の接線Aと接線Bの傾きに相当)が一致しない(即ち、接線の傾きが変化する)特異点ができ、該特異点に応力集中が起きやすくなるため、はんだの疲労寿命は短くなる。また、パッド端(R)が(Q)点よりもパッケージ中心側に位置する場合には、図4に示した比較例2のごとく、はんだの中にボイドが残りやすい結果となる。これは、以下の理由による。パッケージ電極部には、LEDパッケージの集合基板を個片分割化するためのダイシング工程時にバリ40が発生し、めっき膜が被覆されていないW等からなるメタライズ層の表面が露出する。このW等からなるメタライズ層の表面ははんだとの濡れ性が悪い結果、該露出面ではボイド41が発生しやすい。特に、図4に示した比較例2の場合、接続用端子部131、132のばり40近傍のLEDパッケージ本体10とはんだ30との隙間がない、あるいは隙間が狭いために、はんだ30のリフロー中に発生したボイド41が抜けずに残存し、はんだ30の疲労寿命が短くなる。言い換えれば、本発明のごとくLEDパッケージ本体10底面の電極と回路基板20の部品搭載用パッドの相対位置関係を規定してはんだの形状を適正化している場合には、ボイド41が抜けやすいためにはんだ疲労寿命の向上化に繋がる。
【0042】
パッド端(R)が(Q)点よりも(P)点寄りに位置する場合(図5においては、(Q)点の左側)は、パッケージの底面電極長をLとして、(R)はパッケージ側面側から(0.9xL)の位置よりもパッケージ中心寄りに設置することが好ましい。この場合、パッケージ側面側から(0.9xL)の位置よりもパッケージ側面寄りに設置した場合よりも、パッケージ電極とのはんだ接続面積が大きくなる為、全破断に至るまでの有効経路長が長くなるからである。
【0043】
尚、回路基板側部品搭載用のパッド構造は、図5に示すように、ソルダレジストがパッド端を被覆してないNSMD(Non Solder Mask Defined)構造でも、図6に示すように、ソルダレジストがパッド端の表面を被覆しているSMD(Solder Mask Defined)構造でも構わない。この場合、NSMD構造ではパッド端を、また、SMD構造ではソルダレジストの開口端を、(R)点として採用することとなる。
【0044】
以下、本発明の実施例3に係るLEDパッケージ実装構造体の効果を確認すべく、実機試験によってはんだの疲労寿命評価を行った結果を説明する。
【0045】
試験に使用したLEDパッケージ、回路基板およびはんだの材質は、第1および実施例2のシミュレーション解析に使用したものと同じである(表1参照)。
【0046】
LEDパッケージサイズは、1mm(縦)x3mm(横)x1.4mm(高さ)であり、パーケージの底面に0.8mm(縦)x0.9mm(横)のアノードおよびカソード電極が1.2mmの間隔をあけて配置されている。
【0047】
該LEDパーケージを前述の方法によって回路基板上にはんだ実装した。回路基板のパッド径は、アノード側およびカソード側ともに0.9mm(縦)x1.0mm(横)であり、両パッド間隔は1.1mmとした(実施例3)。また、比較の為、回路基板のパッド径を0.9mm(縦)x1.1mm(横)として両パッド間隔を0.9mmとしたサンプルも用意した(比較例2)。実装後のはんだ厚は50umであり、実施例3のサンプルでは、前述した回路基板のパッド端(R)が、(Q)点よりもパッケージの側面側寄りに、また、比較例2のサンプルでは、回路基板のパッド端(R)が、(Q)点よりもパッケージの中心側寄りに位置していた。さらに、実施例3のサンプルでは、はんだ断面における外縁部が一様な曲線を描いているのに対し、比較例2のサンプルでは、パッケージ電極端(P)における片側微分係数に関して、左側微分係数と右側微分係数が一致しない特異点ができていた。即ち、実施例3のサンプルでは、はんだ断面における外縁部を曲線近似した場合に、パッケージ電極端(P)において、接線の傾きは連続(滑らかに変化)している。一方で、比較例2のサンプルでは、はんだ断面における外縁部を曲線近似した場合に、パッケージ電極端(P)において、接線の傾きが不連続(急激に変化)である特異点が形成される。
【0048】
試験サンプルは、ΔT=180℃の温度サイクル試験槽(125℃/−55℃)に投入し、一定サイクル毎に取り出した。取り出したサンプルは、樹脂埋め後、ダイアモンドカッターにて切断して断面研磨を行った。研磨面を走査型電子顕微鏡(SEM)にて写真撮影することにより求めたはんだの亀裂進展率(n数=4の平均値)を表3に示す。なお、亀裂進展率は、観察断面においてLEDパッケージ電極とはんだとの接触長さに対する亀裂長さの比を表している。
【0049】
【表3】


※全破断サンプル有り
【0050】
表3から明らかなように、実施例3のサンプルでは、比較例2のサンプルに比較して亀裂進展速度が遅く、本発明に係るLEDパッケージ実装構造体によってはんだ疲労寿命の向上効果が得られることが分かる。
【0051】
以上のように本発明に係る第3の実施例によれば、LEDパッケージ実装構造体をLED発光面に対して平行に切断した断面(LED発光面の方向の断面)において、LEDパッケージ中心側におけるLEDパッケージ本体底面の電極端と回路基板の部品搭載用パッド端の相対位置関係を規定してはんだの形状を適正化することにより、応力集中が起きやすい特異点をなくすことができ、さらには、パッケージ電極部に発生するバリに起因したはんだ中のボイドをなくすことができるため、LEDパッケージと回路基板との間に線膨張率差がある場合においても、LEDパッケージと回路基板とを電気的に接続するはんだの疲労寿命を向上させ、導通不良を防止することが可能となる。
【0052】
実施例1乃至3では、本発明に係るLEDパッケージ及びLEDパッケージ実装構造体について説明してきたが、本発明は実施例1乃至3で説明したLEDパッケージ及びLEDパッケージ実装構造体を備える液晶表示装置について適用することができる。
【0053】
これまで説明してきた実施例は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されない。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0054】
10 表面実装型LEDパッケージ
11 LED発光面
121 接続用端子部(側面アノード電極パッド)
122 接続用端子部(側面カソード電極パッド)
131 接続用端子部(底面アノード電極パッド)
132 接続用端子部(底面カソード電極パッド)
20 回路基板
21 回路基板の部品搭載用パッド
22 ソルダーレジスト
30 はんだ
40 接続用端子部のバリ
41 はんだ中のボイド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
LED素子をパッケージ本体に実装したLEDパッケージにおいて、前記パッケージ本体は、発光面が実装面に対して交差するように回路基板上に実装され、該パッケージの側面に回路基板との第1の接続用端子部を備えていることを特徴とするLEDパッケージ。
【請求項2】
請求項1に記載のLEDパッケージにおいて、前記パッケージ本体は、該パッケージの底面に回路基板との第2の接続用端子部を備えることを特徴とするLEDパッケージ。
【請求項3】
LEDパッケージと該LEDパッケージを実装する回路基板がはんだにより電気的に接続された実装構造体において、前記LEDパッケージが、回路基板との実装面に対して交差する発光面を持ち、パッケージの側面に第1の接続用端子部を備え、該接続用端子部を介して回路基板とはんだ接続されていることを特徴とするLEDパッケージ実装構造体。
【請求項4】
請求項3に記載の実装構造体において、前記LEDパッケージが、回路基板との実装面に対して交差する方向に発光面を持ち、パッケージの底面に第2の接続用端子部を備え、前記第1および前記第2の接続用端子部を介して回路基板とはんだ接続されていることを特徴とするLEDパッケージ実装構造体。
【請求項5】
請求項4に記載のLEDパッケージ実装構造体のLED発光面の方向の断面において、LEDパッケージ本体底面の電極が、LEDパッケージ中心側の電極端部で湾曲状に形成されており、該湾曲部を曲線近似した際の電極端(P)における接線と回路基板との交点を(Q)とした場合、回路基板のLEDパッケージ中心側における部品搭載用パッド端(R)が、前記(Q)点または、(Q)点よりも(P)点寄りに位置することを特徴とするLEDパッケージ実装構造体。
【請求項6】
請求項4に記載のLEDパッケージ実装構造体のLED発光面の方向の断面において、LEDパッケージ本体底面の電極が、LEDパッケージ中心側の電極端部で湾曲状に形成されており、はんだ外縁部を曲線近似した際の前記電極端(P)における片側微分係数に関して、左側微分係数と右側微分係数が同一であることを特徴とするLEDパッケージ実装構造体。
【請求項7】
LEDパッケージと該パッケージ底面に回路基板との接続用端子部とを備え、前記接続用端子部を介して、発光面が実装面に対して交差するよう回路基板上に実装されたLEDパッケージ実装構造体の該実装構造体をLED発光面に対して平行に切断した断面において、LEDパッケージ本体底面の電極が、LEDパッケージ中心側の電極端部で湾曲状に形成されており、該湾曲部を曲線近似した際の電極端(P)における接線と回路基板との交点を(Q)とした場合、回路基板のLEDパッケージ中心側における部品搭載用パッド端(R)が、前記(Q)点または、(Q)点よりも(P)点寄りに位置することを特徴とするLEDパッケージ実装構造体。
【請求項8】
LEDパッケージと該パッケージ底面に回路基板との接続用端子部とを備え、前記接続用端子部を介して、発光面が実装面に対して交差するよう回路基板上に実装されたLEDパッケージ実装構造体のLEDパッケージ実装構造体をLED発光面に対して平行に切断した断面において、LEDパッケージ本体底面の電極が、LEDパッケージ中心側の電極端部で湾曲状に形成されており、はんだ外縁部を曲線近似した際の前記電極端(P)においてはんだ外縁部の接線の傾きが連続していることを特徴とするLEDパッケージ実装構造体。
【請求項9】
請求項3乃至8のいずれかに記載のLEDパッケージ実装構造体を備える液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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