説明

LEDモジュール

【課題】 使用者の負担を軽減させつつ適切に発光することが可能なLEDモジュールを提供すること。
【解決手段】 基板200と、基板200に搭載されたLEDチップ300と、LEDチップ300を覆う透光樹脂500と、を備えるLEDモジュール101であって、基板200のうち透光樹脂500から露出した領域に搭載され、LEDチップ300に対して電気的に直列または並列に接続された1以上の電子部品600を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LEDモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
図16は、従来のLEDモジュールの一例を示している(たとえば、特許文献1参照)。同図に示されたLEDモジュール900は、基板901にLEDチップ902が搭載されている。基板901上には、枠状のリフレクタ903が形成されている。リフレクタ903によって囲まれた空間には、封止樹脂904が充填されている。LEDモジュール900は、たとえば図示しない回路基板(図示略)に実装されることにより、他の電子部品(図示略)とともに電子回路を構成する。
【0003】
上記電子回路においては、LEDモジュール900を適切に発光させるために、LEDモジュール900に印加される電圧を調整する必要がある。このため、上記電子回路には、たとえば抵抗器を備える必要がある。あるいは、LEDモジュール900に逆方向の電流が流れることを防止するためには、上記電子回路に整流ダイオードを備える必要がある。LEDモジュール900の使用者は、LEDモジュール900の仕様に基づいて上記抵抗器や整流ダイオードを適切に選定し、実装することが強いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−119743号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、使用者の負担を軽減させつつ適切に発光することが可能なLEDモジュールを提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によって提供されるLEDモジュールは、表裏面を有する基板と、上記基板の上記表面に搭載されたLEDチップと、上記LEDチップを覆う透光樹脂と、を備えるLEDモジュールであって、上記基板のうち上記透光樹脂から露出した領域に搭載され、上記LEDチップに対して電気的に直列または並列に接続された1以上の電子部品を備えることを特徴している。
【0007】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記基板は、絶縁材料からなり上記表裏面を有する基材と、この基材上に形成され、上記LEDチップがダイボンディングされるダイボンディング部を有する配線パターンとからなる。
【0008】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記配線パターンは、上記LEDチップと上記1以上の電子部品のいずれかとの間を横切る横断部を有する第1包囲部を有する。
【0009】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記配線パターンは、上記LEDチップと上記1以上の電子部品のいずれかとが離間する方向に延びる側行部を有する。
【0010】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記配線パターンは、上記1以上の電子部品のいずれかとは反対側において上記LEDチップを挟んで上記横断部と対向する対向部を有する。
【0011】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記配線パターンは、上記第1包囲部と上記ダイボンディング部とを連結する連結部を有する。
【0012】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記配線パターンは、上記第1包囲部に対して絶縁されており、上記第1包囲部の開口部を塞ぐ第2包囲部を有する。
【0013】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記配線パターンは、上記第2包囲部から上記LEDチップ側に延びる第1ワイヤボンディング部を有し、上記LEDチップと上記第1ワイヤボンディング部とが、ワイヤによって接続されている。
【0014】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記配線パターンは、上記ダイボンディング部から上記第1ワイヤボンディング部とは反対側に突出する第2ワイヤボンディング部を有し、上記LEDチップと上記第2ワイヤボンディング部とが、ワイヤによって接続されている。
【0015】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記LEDチップを囲み、上記基板の上記表面からその法線方向に突出する堰部を有し、上記透光樹脂は、上記堰部に囲まれた領域に形成されている。
【0016】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記LEDチップを囲み、上記基板の上記表面からその法線方向に突出する堰部を有し、上記堰部は、上記第1包囲部に重なる部分を有する。
【0017】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記堰部は、上記基材のうち上記第1包囲部よりも上記LEDチップ側の領域に重なる部分をさらに有する。
【0018】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記LEDチップを囲み、上記基板の上記表面からその法線方向に突出する堰部を有し、上記堰部は、上記第1包囲部および上記第2包囲部の少なくともいずれかに重なる部分を有する。
【0019】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記堰部は、上記基材のうち上記第1包囲部および上記第2包囲部の少なくともいずれかよりも上記LEDチップ側の領域に重なる部分をさらに有する。
【0020】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記堰部は、金型成型によって形成されている。
【0021】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記堰部は、形成始端および形成終端を有する環状に形成されている。
【0022】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記形成終端は、上記堰部の外方に向かう方向に突出しており、かつ上記配線パターンの一部に重なっている。
【0023】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記透光樹脂は、液状の樹脂材料を上記LEDチップに向けて滴下することにより形成されている。
【0024】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記配線パターンは、外部接続用の1対の表面端子部を有する。
【0025】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記配線パターンは、上記基材の裏面に形成され、上記1対の表面端子部に各別に導通しているとともに、上記基材の厚さ方向視において上記1対の表面端子部と各別に重なる1対の裏面端子部を有する。
【0026】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記各表面端子部および上記各裏面端子部は、上記基材の端縁に沿った形状とされている。
【0027】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記各表面端子部および上記各裏面端子部は、上記基材の端縁から離間した円形状とされている。
【0028】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記配線パターンは、上記基材の上記裏面に形成され、上記ダイボンディング部に導通しているとともに、上記基材の厚さ方向視において上記ダイボンディング部と重なる放熱部を有する。
【0029】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記1以上の電子部品は、上記LEDチップに対して電気的に直列に接続される抵抗器を含む。
【0030】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記1以上の電子部品は、上記LEDチップに対して電気的に直列に接続される整流ダイオードを含む。
【0031】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記LEDチップとともに上記透光樹脂に覆われたツェナーダイオードを備える。
【0032】
このような構成によれば、上記LEDチップに供給される電力の電圧および電流を上記電子部品によって適切に調整することができる。これにより、上記LEDモジュールが組み込まれる電子回路には、上記電子部品に相当する電子部品を備える必要がない。したがって、上記LEDモジュールの使用者に、上記LEDチップの仕様に応じて電子部品を選定したり、これらを実装したりすることを強いることなく、上記LEDチップを適切に点灯させることができる。
【0033】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の第1実施形態に基づくLEDモジュールを示す斜視図である。
【図2】図1のLEDモジュールを示す平面図である。
【図3】図1のLEDモジュールを示す底面図である。
【図4】図2のIV−IV線に沿う断面図である。
【図5】本発明の第2実施形態に基づくLEDモジュールを示す斜視図である。
【図6】図5のLEDモジュールを示す平面図である。
【図7】図5のLEDモジュールを示す底面図である。
【図8】本発明の第3実施形態に基づくLEDモジュールを示す斜視図である。
【図9】図8のLEDモジュールを示す平面図である。
【図10】図8のLEDモジュールを示す底面図である。
【図11】本発明の第4実施形態に基づくLEDモジュールを示す平面図である。
【図12】本発明の第5実施形態に基づくLEDモジュールを示す平面図である。
【図13】図12のXIII−XIII線に沿う断面図である。
【図14】本発明の第6実施形態に基づくLEDモジュールを示す平面図である。
【図15】図14のLEDモジュールを示す底面図である。
【図16】従来のLEDモジュールの一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0036】
図1〜図4は、本発明の第1実施形態に基づくLEDモジュールを示している。本実施形態のLEDモジュール101は、基板200、LEDチップ300、堰部400、透光樹脂500および複数の電子部品600を備えている。LEDモジュール101は、たとえば小型の電球の代替製品として自動車内の各部照明装置の光源手段として用いられる。なお、図2においては、理解の便宜上、透光樹脂500を想像線で示している。
【0037】
基板200は、LEDモジュール101の土台となるものであり、基材210、配線パターン220、表面レジスト膜281および裏面レジスト膜282からなる。基材210は、たとえばガラスエポキシ樹脂などの絶縁材料からなり、本実施形態においては、平面視寸法が10mmX11mm程度、厚さが0.8mm程度とされている。なお、基材210の材質としては、このほかにセラミックス、あるいは表面に絶縁処理が施されたアルミであってもよい。基材210は、表面211および裏面212を有している。表面211および裏面212は、本発明で言う基板の表面および裏面を構成している。
【0038】
配線パターン220は、LEDチップ300および複数の電子部品600を実装し、これらに電流を流すためのものであり、たとえば厚さ10μm程度のCu層、厚さ5μm程度のNi層および厚さ0.2μm程度のAu層からなる。配線パターン220は、ダイボンディング部230、第2ワイヤボンディング部231、第1ワイヤボンディング部232、第1包囲部240、第2包囲部250、1対のパッド261、1対のパッド262、1対の表面端子部271、1対の裏面端子部272および放熱部275を有している。
【0039】
図2に示すように、ダイボンディング部230は、基材210の表面211の中央付近に形成されている。ダイボンディング部230には、LEDチップ300およびツェナーダイオード390がダイボンディングされている。第2ワイヤボンディング部231は、ダイボンディング部230から図中左方に突出した部位である。第2ワイヤボンディング部231とLEDチップ300とは、ワイヤ330によって接続されている。第1ワイヤボンディング部232は、ダイボンディング部230の図中右方に隣接した位置に設けられている。第1ワイヤボンディング部232とLEDチップ300およびツェナーダイオード390とは、ワイヤ330によって接続されている。
【0040】
1対のパッド261は、基材210の表面211の図中上端付近において図中右方寄りに設けられており、互いに図中左右方向に離間して配置されている。1対のパッド262は、基材210の表面211の図中上端付近において図中左方寄りに設けられており、互いに図中左右方向に離間して配置されている。図中左方のパッド261と図中右方のパッド262とは、配線パターン220の一部によって互いに接続されている。1対のパッド261,262は、複数の電子部品600を基板200に実装するために用いられる。
【0041】
第1包囲部240は、ダイボンディング部230を取り囲むように形成された部位であり、横断部241、側行部242および対向部243を有している。本実施形態においては、第1包囲部240は、パッド261から延びている。
【0042】
横断部241は、図中左右方向に延びており、1対のパッド261および1対のパッド262とダイボンディング部230との間を横切っている。側行部242は、横断部241の図中左端から図中下方、すなわち1対のパッド261および1対のパッド262とダイボンディング部230とが離間する方向に延びている。対向部243は、側行部242の図中下端から図中右方に延びており、図中上下方向において横断部241と平行に対向している。対向部243とダイボンディング部230とは、連結部245によって連結されている。本実施形態の第1包囲部240は、ダイボンディング部230を取り囲み、かつ、図中右方に開口する形状となっている。
【0043】
第2包囲部250は、図中上下方向に延びており、第1包囲部240の開口を塞ぐように配置されている。これにより、ダイボンディング部230は、第1包囲部240と第2包囲部250とによって、その四方が取り囲まれている。より詳しくは、ダイボンディング部230を中心とした、基材210の表面211に沿ったあらゆる方位において、第1包囲部240および第2包囲部250のいずれかが存在する構成となっている。第2包囲部250は、第1包囲部240に対しては絶縁されている。第1ワイヤボンディング部232は、第2包囲部250から図中左方に延びる格好となっている。
【0044】
1対の表面端子部271は、LEDモジュール101をたとえば回路基板(図示略)に実装するために用いられる部位であり、基材210の図中下端沿いにおいて図中左右方向に互いに離間して配置されている。各表面端子部271は、矩形状とされている。図中左方の表面端子部271は、図中左方のパッド262とつながっている。図中右方の表面端子部271は、第2包囲部250とつながっている。
【0045】
図3に示すように、1対の裏面端子部272は、基材210の裏面212の図中上端沿いにおいて図中左右方向に互いに離間して配置されている。各裏面端子部272は、基材210の厚さ方向視において表面端子部271と重なっており、いわゆるスルーホール導通部によって表面端子部271と導通している。各裏面端子部272は、矩形状とされている。1対の裏面端子部272は、1対の表面端子部271とともに上述した回路基板(図示略)に実装するために用いられる。このような1対の表面端子部271および1対の裏面端子部272を用いた実装形態としては、たとえば上記回路基板側に設けられたクリップタイプのコネクタによって表面端子部271と裏面端子部272とを挟むことにより実装する形態が挙げられる。あるいは、1対の裏面端子部272のみを用いてたとえばハンダによって実装してもよい。
【0046】
放熱部275は、基材210の裏面212のほぼ中央に配置されており、比較的大サイズの矩形状とされている。放熱部275は、スルーホール導通部を介してダイボンディング部230とつながっている。
【0047】
図1、図2および図4に示すように、表面レジスト膜281は、基材210の表面211および配線パターン220のうち表面211に形成された部位を部分的に覆うように形成されている。表面レジスト膜281は、たとえば白色の絶縁樹脂からなる。図2に示すように、表面レジスト膜281には、複数の開口が形成されている。これらの開口からは、ダイボンディング部230、第2ワイヤボンディング部231、第1ワイヤボンディング部232、1対のパッド261、1対のパッド262および1対の表面端子部271が露出している。
【0048】
一方、第1包囲部240および第2包囲部250は、そのすべてが表面レジスト膜281によって覆われている。図4に示すように、第1包囲部240は、基材210の表面211から上方に隆起した部位となっている。このため、表面レジスト膜281のうち第1包囲部240を覆う部分は、その周囲部分に対して上方に隆起した部位となっている。同様に、表面レジスト膜281のうち第2包囲部250を覆う部分も、その周囲部分に対して上方に隆起した部位となっている。したがって、表面レジスト膜281は、ダイボンディング部230を取り囲む環状の隆起部分を有する構成となっている。
【0049】
図3および図4に示すように、裏面レジスト膜282は、基材210の裏面212および配線パターン220のうち裏面212に形成された部位を部分的に覆うように形成されている。裏面レジスト膜282は、表面レジスト膜281と同様に、たとえば白色の絶縁樹脂からなる。裏面レジスト膜282には、複数の開口が形成されている。これらの開口からは、1対の裏面端子部272が露出している。一方、放熱部275は、裏面レジスト膜282によってそのすべてが覆われている。
【0050】
LEDチップ300は、LEDモジュール101の光源であり、ダイボンディング部230にダイボンディングされている。図4に示すように、本実施形態においては、LEDチップ300は、サブマウント基板310および半導体層320からなる。サブマウント基板310はたとえばSiからなる。サブマウント基板310は、導電性ペーストあるいは絶縁性ペーストによってダイボンディング部230に接合されている。半導体層320は、たとえばGaN系半導体からなり、n型半導体層、p型半導体層およびこれらに挟まれた活性層を有する。このような構成のLEDチップ300からは、たとえば青色光が発せられる。LEDチップ300は、いわゆる2ワイヤタイプとして構成されているが、本発明に用いられるLEDチップ300はこれに限定されず、いわゆる1ワイヤタイプやフリップチップタイプであってもよい。
【0051】
ツェナーダイオード390は、LEDチップ300がたとえば静電破壊することを防止するために設けられている。図2に示すように、ツェナーダイオード390は、LEDチップ300とともにダイボンディング部230にダイボンディングされており、ワイヤ330によって第1ワイヤボンディング部232に接続されている。ツェナーダイオード390のダイボンディング部230への接続はたとえば導電性ペーストが用いられており、ツェナーダイオード390は、ダイボンディング部230と導通している。
【0052】
堰部400は、ダイボンディング部230を取り囲む円環状とされており、たとえば白色のシリコーン樹脂あるいはエポキシ樹脂からなる。本実施形態においては、堰部400は、金型成型によって形成されている。図2および図4に示すように、堰部400は、基材210の厚さ方向視において、第1包囲部240および第2包囲部250に重なる部分を有する。また、堰部400は、基材210の厚さ方向視において、第1包囲部240および第2包囲部250によって取り囲まれた内側領域に重なる部分を有する。さらに、堰部400は、基材210の厚さ方向視において、第1包囲部240および第2包囲部250の外側領域に重なる部分を有する。このように、堰部400は、表面レジスト膜281を介して第1包囲部240および第2包囲部250を跨ぐように形成された部分を有しており、本実施形態においては、堰部400が全周にわたってそのような構成とされている。
【0053】
透光樹脂500は、堰部400に取り囲まれた領域に形成されており、LEDチップ300およびツェナーダイオード390を覆っている。透光樹脂500は、たとえば透明なシリコーン樹脂に蛍光材料が混入された材質からなる。この蛍光材料としては、LEDチップ300からの青色光によって励起されることにより、黄色光を発するものが用いられている。あるいは、LEDチップ300からの青色光によって励起されることにより、赤色光を発する蛍光材料と緑色光を発する蛍光材料とを混合して用いてもよい。本実施形態においては、透光樹脂500は、基材210の表面211の法線方向に堰部400を超えて膨出するドーム状とされている。
【0054】
複数の電子部品600は、LEDチップ300に適切な電圧および電流の電力を供給するために設けられている。図2に示すように、本実施形態においては、複数の電子部品600は、抵抗器610および整流ダイオード620からなる。抵抗器610は、LEDチップ300に印加される電圧を調節するためのものであり、1対のパッド261に対してハンダによって接合されている。整流ダイオード620は、LEDチップ300に逆方向の電流が流れることを防止するためのものであり、1対のパッド262に対してハンダによって接合されている。抵抗器610と整流ダイオード620とは、LEDチップ300に対して直列に接続されている。本実施形態とは異なり、複数の電子部品600がツェナーダイオード390の代替品を含む構成であってもよい。この場合、この電子部品600は、LEDチップ300に対して並列に接続される。
【0055】
次に、LEDモジュール101の作用について説明する。
【0056】
本実施形態によれば、LEDチップ300に供給される電力の電圧および電流を抵抗器610および整流ダイオード620からなる複数の電子部品600によって適切に調整することができる。これにより、LEDモジュール101が組み込まれる電子回路には、複数の電子部品600に相当する電子部品を備える必要がない。したがって、LEDモジュール101の使用者に、LEDチップ300の仕様に応じて電子部品を選定したり、これらを実装したりすることを強いることなく、LEDチップ300を適切に点灯させることができる。
【0057】
第1包囲部240の横断部241は、表面レジスト膜281とともに、抵抗器610および整流ダイオード620とダイボンディング部230との間に位置する、帯状の隆起した部位となる。これにより、抵抗器610および整流ダイオード620を実装するときに用いられるハンダに含まれるフラックスが広がることを、第1包囲部240によって形成された段差によって抑制することができる。抵抗器610および整流ダイオード620を実装した後にLEDチップ300を実装する場合、ダイボンディング部230がフラックスによって覆われていると、LEDチップ300を適切に実装できない。本実施形態によれば、ダイボンディング部230にフラックスが到達することを回避可能であり、LEDチップ300を適切に実装することができる。また、同様に、ツェナーダイオード390を適切に実装することができる。
【0058】
第1包囲部240に側行部242および対向部243を設けることにより、抵抗器610および整流ダイオード620から横断部241を回りこんでダイボンディング部230へとフラックスが到達することを防止することができる。
【0059】
第2包囲部250によって第1包囲部240の開口を塞ぐ構成とすることにより、ダイボンディング部230へのフラックスの到達をより確実に防止することができる。
【0060】
なお、本実施形態においては、第1包囲部240および第2包囲部250を覆う表面レジスト膜281によって、帯状の隆起部位が形成されている。しかし、表面レジスト膜281を備えない構成であっても、第1包囲部240および第2包囲部250を設けることによって帯状の隆起部が形成され、上述した効果が期待できる。
【0061】
第2ワイヤボンディング部231は、ダイボンディング部230につながっており、第1ワイヤボンディング部232は、ダイボンディング部230に隣接している。このような構成により、第2ワイヤボンディング部231および第1ワイヤボンディング部232にフラックスが到達することを防止することが可能である。これは、ワイヤ330を適切にボンディングするのに適している。
【0062】
堰部400は、第1包囲部240および第2包囲部250と重なる部分を有している。抵抗器610および整流ダイオード620を実装した後に堰部400を形成する場合、上述した重なる部分においては、表面レジスト膜281と堰部400との間にフラックスが到達することが抑制されている。したがって、堰部400と表面レジスト膜281との接合強度を高めることができる。また、本実施形態においては、堰部400が第1包囲部240および第2包囲部250に囲まれた内側領域に重なる部分を有する。この部分においては、フラックスが到達する危険性がさらに低い。したがって、堰部400と表面レジスト膜281との接合強度を高めるのに好適である。さらに、堰部400が第1包囲部240および第2包囲部250を跨ぐ構成であることにより、形状的な不連続部となっている第1包囲部240および第2包囲部250による帯状の隆起部を堰部400が抱え込む格好となっている。これによっても、堰部400の接合強度を高める効果が期待できる。なお、堰部400の接合強度を高めるには、第1包囲部240および第2包囲部250の双方と堰部400とが重なることが好ましいが、これに限定されず、堰部400が第1包囲部240および第2包囲部250のいずれかのみと重なる構成であっても、相応の接合強度の向上が期待できる。
【0063】
基材210の端縁に沿って配置された矩形状とされた1対の表面端子部271および1対の裏面端子部272は、上述したクリップタイプのコネクタによって挟むことによりLEDモジュール101を適切に実装できるという利点がある。
【0064】
ダイボンディング部230につながる放熱部275によって、LEDチップ300から発せられる熱を外部に放散することを促進することができる。
【0065】
図5〜図15は、本発明の他の実施形態を示している。なお、これらの図において、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付している。
【0066】
図5〜図7は、本発明の第2実施形態に基づくLEDモジュールを示している。本実施形態のLEDモジュール102は、複数の電子部品600の配置が上述した実施形態と異なっている。
【0067】
本実施形態においては、図6に示すように、LEDチップ300を挟んで、抵抗器610と整流ダイオード620とが図中左右に離間して配置されている。ただし、抵抗器610および整流ダイオード620が、LEDチップ300に対して直列に接続されていることは、上述した実施形態と同様である。
【0068】
抵抗器610および整流ダイオード620が上述した配置とされていることにより、本実施形態の第1包囲部240の各部位は、上述した実施形態と異なる捉え方ができる。たとえば、本実施形態においては、第1包囲部240のうちダイボンディング部230と整流ダイオード620との間において図中上下方向に延びる部位が、横断部241に相当する。また、第1包囲部240のうちダイボンディング部230を挟んで図中上下において図中左右方向に延びる部位それぞれが、側行部242に相当する。
【0069】
このような実施形態によっても、LEDモジュール102の使用者に、LEDチップ300の仕様に応じて電子部品を選定したり、これらを実装したりすることを強いることなく、LEDチップ300を適切に点灯させることができる。また、LEDチップ300およびツェナーダイオード390を適切に実装可能であり、堰部400の接合強度を高めることができる。
【0070】
図8〜図10は、本発明の第3実施形態に基づくLEDモジュールを示している。本実施形態のLEDモジュール103は、複数の電子部品600の配置が上述した実施形態と異なっている。
【0071】
本実施形態においては、図9に示すように、LEDチップ300の図中上方に、2つの抵抗器610が互いに直接に配置されている。また、LEDチップ300の図中左方に、整流ダイオード620が配置されている。このような配置により、本実施形態においては、第1包囲部240のうち、ダイボンディング部230と2つの抵抗器610との間において図中左右方向に延びる部位と、ダイボンディング部230と整流ダイオード620との間において図中上下方向に延びる部位とが、2つの横断部241に相当する。また、ダイボンディング部230の図中下方において図中左右方向に延びる部位は、図中左方の横断部241との関係では側行部242として捉えられ、図中上方の横断部241との関係では対向部243として捉えられる。
【0072】
本実施形態から理解されるとおり、第1包囲部240の各部位は、複数の電子部品600との関係で横断部241、側行部242および対向部243のいずれかになりうるものである。このため、たとえば、第1包囲部240が全長にわたって横断部241として機能する構成となる場合もありうる。
【0073】
このような実施形態によっても、LEDモジュール103の使用者に、LEDチップ300の仕様に応じて電子部品を選定したり、これらを実装したりすることを強いることなく、LEDチップ300を適切に点灯させることができる。また、LEDチップ300およびツェナーダイオード390を適切に実装可能であり、堰部400の接合強度を高めることができる。
【0074】
図11は、本発明の第4実施形態に基づくLEDモジュールを示している。本実施形態のLEDモジュール104は、堰部400の構成が異なる以外は、上述したLEDモジュール101と同様の構成とされている。なお、堰部400の構成以外について、上述したLEDモジュール102,103の構成を採用してもよい。
【0075】
本実施形態においては、堰部400は、たとえばペースト状のシリコーン樹脂材料が、ノズルから基板200(基材210)の表面211に順次送り出されることにより、図示された円環状の形状とされ、これが硬化することにより形成されている。このような手法で形成された堰部400は、形成始端410および形成終端420を有する。
【0076】
形成始端410は、上記シリコーン樹脂材料が送り出され始めた箇所に形成された部位であり、その他の部位よりも若干太い部位となっている。形成終端420は、最後に送り出された上記シリコーン樹脂材料によって形成された部位であり、その他の部位よりも細い部位となっている。堰部400を閉じた円環状とするために、形成始端410と形成終端420は、互いに交差した関係となっている。また、形成終端420は、堰部400の外方に向かって若干突出している。突出した形成終端420は、基材210の厚さ方向視において、第1包囲部240の横断部241と重なっている。
【0077】
このような実施形態によっても、LEDモジュール104の使用者に、LEDチップ300の仕様に応じて電子部品を選定したり、これらを実装したりすることを強いることなく、LEDチップ300を適切に点灯させることができる。また、LEDチップ300およびツェナーダイオード390を適切に実装可能であり、堰部400の接合強度を高めることができる。形成終端420を第1包囲部240と重なる構成とすることにより、形成終端420と表面レジスト膜281との間にフラックスが存在することを防止することができる。形成終端420は、堰部400が表面レジスト膜281から剥離する起点となりやすい部位である。したがって、形成終端420と表面レジスト膜281との接合強度を高めることは、堰部400の剥離を回避するのに好適である。
【0078】
図12および図13は、本発明の第5実施形態に基づくLEDモジュールを示している。本実施形態のLEDモジュール105は、堰部400を備えない点以外は、上述したLEDモジュール101と同様の構成とされている。なお、堰部400を備えない点以外について、上述したLEDモジュール102,103の構成を採用してもよい。
【0079】
本実施形態においては、透光樹脂500の周囲を囲む要素は採用されていない。このような透光樹脂500は、たとえばペースト状または液状の樹脂材料をLEDチップ300およびツェナーダイオード390を覆うように滴下し、これを硬化させることにより形成することができる。透光樹脂500は、第1包囲部240および第2包囲部250と重なる部位を有している。図13に示すように、透光樹脂500は、ドーム状とされている。
【0080】
このような実施形態によっても、LEDモジュール105の使用者に、LEDチップ300の仕様に応じて電子部品を選定したり、これらを実装したりすることを強いることなく、LEDチップ300を適切に点灯させることができる。また、LEDチップ300およびツェナーダイオード390を適切に実装可能である。透光樹脂500を第1包囲部240および第2包囲部250と重なる構成とすることにより、透光樹脂500と表面レジスト膜281との接合強度を高めることができる。
【0081】
図14および図15は、本発明の第6実施形態に基づくLEDモジュールを示している。本実施形態のLEDモジュール106は、1対の表面端子部271および1対の裏面端子部272の構成が上述した実施形態と異なっている。LEDモジュール106のうち1対の表面端子部271および1対の裏面端子部272以外の構成は、上述したLEDモジュール101と同様であるが、1対の表面端子部271および1対の裏面端子部272以外の構成として、上述したLEDモジュール102〜105の構成を採用してもよい。
【0082】
本実施形態においては、各表面端子部271は、円形状とされており、基材210の端縁から若干離間した位置に設けられている。また、各裏面端子部272も同様に円形状とされており、基材210の端縁から若干離間した位置に設けられている。さらに、互いに重なり合う表面端子部271および裏面端子部272とこれらに挟まれた基材210とを貫通する貫通孔が設けられている。この貫通孔は、表面端子部271と裏面端子部272とを導通させるスルーホール導通部として構成されているが、その内部が中空とされている。
【0083】
このような実施形態によっても、LEDモジュール106の使用者に、LEDチップ300の仕様に応じて電子部品を選定したり、これらを実装したりすることを強いることなく、LEDチップ300を適切に点灯させることができる。また、LEDチップ300およびツェナーダイオード390を適切に実装可能であり、堰部400の接合強度を高めることができる。また、1対の表面端子部271および1対の裏面端子部272を利用して、たとえば回路基板に設けられた棒状の金属端子を1対の表面端子部271および1対の裏面端子部272を貫通する上記貫通孔に挿通させることができる。これにより、LEDモジュール106を確実に回路基板に実装することができる。
【0084】
本発明に係るLEDモジュールは、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係るLEDモジュールの各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【符号の説明】
【0085】
101,102,103,104、105,106 LEDモジュール
200 基板
210 基材
211 表面
212 裏面
220 配線パターン
230 ダイボンディング部
231 第2ワイヤボンディング部
232 第1ワイヤボンディング部
240 第1包囲部
241 横断部
242 側行部
243 対向部
250 第2包囲部
245 連結部
261,262 パッド部
271 表面端子部
272 裏面端子部
275 放熱部
281 表面レジスト膜
282 裏面レジスト膜
300 LEDチップ
310 サブマウント基板
320 半導体層
330 ワイヤ
390 ツェナーダイオード
400 堰部
410 形成始端
420 形成終端
500 透光樹脂
600 電子部品
610 抵抗器
620 整流ダイオード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表裏面を有する基板と、
上記基板の上記表面に搭載されたLEDチップと、
上記LEDチップを覆う透光樹脂と、を備えるLEDモジュールであって、
上記基板のうち上記透光樹脂から露出した領域に搭載され、上記LEDチップに対して電気的に直列または並列に接続された1以上の電子部品を備えることを特徴とする、LEDモジュール。
【請求項2】
上記基板は、絶縁材料からなり上記表裏面を有する基材と、この基材上に形成され、上記LEDチップがダイボンディングされるダイボンディング部を有する配線パターンとからなる、請求項1に記載のLEDモジュール。
【請求項3】
上記配線パターンは、上記LEDチップと上記1以上の電子部品のいずれかとの間を横切る横断部を有する第1包囲部を有する、請求項2に記載のLEDモジュール。
【請求項4】
上記配線パターンは、上記LEDチップと上記1以上の電子部品のいずれかとが離間する方向に延びる側行部を有する、請求項3に記載のLEDモジュール。
【請求項5】
上記配線パターンは、上記1以上の電子部品のいずれかとは反対側において上記LEDチップを挟んで上記横断部と対向する対向部を有する、請求項3または4に記載のLEDモジュール。
【請求項6】
上記配線パターンは、上記第1包囲部と上記ダイボンディング部とを連結する連結部を有する、請求項3ないし5のいずれかに記載のLEDモジュール。
【請求項7】
上記配線パターンは、上記第1包囲部に対して絶縁されており、上記第1包囲部の開口部を塞ぐ第2包囲部を有する、請求項3ないし6のいずれかに記載のLEDモジュール。
【請求項8】
上記配線パターンは、上記第2包囲部から上記LEDチップ側に延びる第1ワイヤボンディング部を有し、
上記LEDチップと上記第1ワイヤボンディング部とが、ワイヤによって接続されている、請求項7に記載のLEDモジュール。
【請求項9】
上記配線パターンは、上記ダイボンディング部から上記第1ワイヤボンディング部とは反対側に突出する第2ワイヤボンディング部を有し、
上記LEDチップと上記第2ワイヤボンディング部とが、ワイヤによって接続されている、請求項8に記載のLEDモジュール。
【請求項10】
上記LEDチップを囲み、上記基板の上記表面からその法線方向に突出する堰部を有し、
上記透光樹脂は、上記堰部に囲まれた領域に形成されている、請求項1ないし9のいずれかに記載のLEDモジュール。
【請求項11】
上記LEDチップを囲み、上記基板の上記表面からその法線方向に突出する堰部を有し、
上記堰部は、上記第1包囲部に重なる部分を有する、請求項3ないし6のいずれかに記載のLEDモジュール。
【請求項12】
上記堰部は、上記基材のうち上記第1包囲部よりも上記LEDチップ側の領域に重なる部分をさらに有する、請求項11に記載のLEDモジュール。
【請求項13】
上記LEDチップを囲み、上記基板の上記表面からその法線方向に突出する堰部を有し、
上記堰部は、上記第1包囲部および上記第2包囲部の少なくともいずれかに重なる部分を有する、請求項7ないし9のいずれかに記載のLEDモジュール。
【請求項14】
上記堰部は、上記基材のうち上記第1包囲部および上記第2包囲部の少なくともいずれかよりも上記LEDチップ側の領域に重なる部分をさらに有する、請求項13に記載のLEDモジュール。
【請求項15】
上記堰部は、金型成型によって形成されている、請求項10ないし14のいずれかに記載のLEDモジュール。
【請求項16】
上記堰部は、形成始端および形成終端を有する環状に形成されている、請求項10ないし14のいずれかに記載のLEDモジュール。
【請求項17】
上記形成終端は、上記堰部の外方に向かう方向に突出しており、かつ上記配線パターンの一部に重なっている、請求項16に記載のLEDモジュール。
【請求項18】
上記透光樹脂は、液状の樹脂材料を上記LEDチップに向けて滴下することにより形成されている、請求項1ないし9のいずれかに記載のLEDモジュール。
【請求項19】
上記配線パターンは、外部接続用の1対の表面端子部を有する、請求項2ないし9のいずれかに記載のLEDモジュール。
【請求項20】
上記配線パターンは、上記基材の裏面に形成され、上記1対の表面端子部に各別に導通しているとともに、上記基材の厚さ方向視において上記1対の表面端子部と各別に重なる1対の裏面端子部を有する、請求項19に記載のLEDモジュール。
【請求項21】
上記各表面端子部および上記各裏面端子部は、上記基材の端縁に沿った形状とされている、請求項20に記載のLEDモジュール。
【請求項22】
上記各表面端子部および上記各裏面端子部は、上記基材の端縁から離間した円形状とされている、請求項20に記載のLEDモジュール。
【請求項23】
上記配線パターンは、上記基材の上記裏面に形成され、上記ダイボンディング部に導通しているとともに、上記基材の厚さ方向視において上記ダイボンディング部と重なる放熱部を有する、請求項2ないし9のいずれかに記載のLEDモジュール。
【請求項24】
上記1以上の電子部品は、上記LEDチップに対して電気的に直列に接続される抵抗器を含む、請求項1ないし23のいずれかに記載のLEDモジュール。
【請求項25】
上記1以上の電子部品は、上記LEDチップに対して電気的に直列に接続される整流ダイオードを含む、請求項1ないし24のいずれかに記載のLEDモジュール。
【請求項26】
上記LEDチップとともに上記透光樹脂に覆われたツェナーダイオードを備える、請求項1ないし25のいずれかに記載のLEDモジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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