説明

LEDランプシステム

【課題】LED素子のちらつきを抑制したLEDランプシステムを提供する。
【解決手段】LEDランプシステムは、LED素子25を有する直管形LEDランプ16と、LED素子25を点灯させる専用電源17とを備える。専用電源17は、商用交流電源eを全波整流および平滑し、リプル率が1.3以下の定電流を出力することによりLED素子25を点灯させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定電流をLED素子に供給する電源装置を備えたLEDランプシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、例えば直管形、あるいは電球形などの蛍光ランプに代えて使用可能な光源として、低消費電力でかつ長寿命なLED素子を用いたランプ装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−260578号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、照明器具のリニューアルのために、既存の照明器具にLEDランプを取り付けたいという要求が高く、また、ランプ光色の変更やランプ出力の変化に伴うランプ交換を考慮すると、LED素子を用いたランプ装置では、既存の蛍光ランプの器具本体にそのまま取り付けられるものとすることが好ましい。したがって、このランプ装置では、商用流電源、あるいは蛍光ランプの点灯装置などの交流出力を直流変換して点灯する。そのため、出力電流にリプル成分を多く含み、このリプル成分が所定以上の変動幅を有する場合にはちらつきとして認識される。特に、ランプの全光束が小さく照度が低いランプ装置の場合、このちらつきにより使用者が不快感を覚え、照明としての機能が損なわれるおそれがある。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、LED素子のちらつきを抑制したLEDランプシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のLEDランプシステムは、LED素子を備えた直管状LEDランプを有する。また、LEDランプシステムは、交流電源を整流および平滑し、リプル率が1.3以下の定電流を直管状LEDランプのLED素子に供給してLED素子を点灯させる電源装置を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、リプル率を1.3以下とした定電流を電源装置からLED素子へと供給してLED素子を点灯させるので、出力電流の脈流に起因するLED素子のちらつきを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】一実施形態を示すLEDランプシステムの回路図である。
【図2】同上LEDランプシステムの斜視図である。
【図3】同上電源装置の出力電流の電流波形を示す説明図である。
【図4】同上電源装置の出力電流のリプル率とLED素子のちらつきを感じた被験者の割合との対応を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、一実施形態を、図1ないし図4を参照して説明する。
【0010】
図2において、11はLEDランプシステムを示し、このLEDランプシステム11は、天井直付け形照明器具で、天井に設置される図示しない本体部およびこの本体部に取り付けられる逆富士形の反射体12を有するシステム本体としての器具本体13、この器具本体13の両端に互いに対向して配設された一対の光源取付手段としてのソケット14、これら一対のソケット14間に接続される直管形の光源すなわちランプとしての(直管状)LEDランプである直管形LEDランプ16、およびこの直管形LEDランプ16に電力を供給して直管形LEDランプ16を点灯させる電源装置(電源回路)としての点灯装置である専用電源17を備えている。このLEDランプシステム11は、2灯用であり、一対のソケット14が2組用いられ、2本の直管形LEDランプ16が使用される。
【0011】
本実施形態のLEDランプシステム11は、直管形蛍光ランプを使用する既設の照明器具構造の器具本体13およびソケット14をそのまま使用し、直管形LEDランプ16および専用電源17を使用するLEDランプシステム11としてリニューアルするものである。あるいは、直管形LEDランプ16および専用電源17を使用するLEDランプシステム11を新規に設置する場合でも、直管形蛍光ランプを使用する既存の照明器具構造の器具本体13およびソケット14を流用し、直管形LEDランプ16および専用電源17を使用するLEDランプシステム11として設置するものである。
【0012】
直管形LEDランプ16は、例えば、透光性を有する円筒状で直管形の管体21、この管体21内に収容された発光モジュール22、および管体21の両端に設けられた接続部23を備えている。
【0013】
管体21は、透光性および拡散性を有するガラスや樹脂材料によって、直管形蛍光ランプと略同じ管長および管径で直管形蛍光ランプと略同じ外観の長尺な円筒状に形成され、両端には取付部である接続部23が設けられている。
【0014】
発光モジュール22は、管体21の管軸方向に沿って細長い基板(図示せず)、およびこの基板の長手方向に沿って実装された負荷としての複数のLED素子25を備えている。この発光モジュール22は、基板を平板状とし、その基板の一面にLED素子25を実装して、主に管体21の所定の方向から光が放射されるようにしてもよいし、あるいは、基板を多角形の筒状とし、その基板の周面にLED素子25を実装して、管体21の全周から光が放射されるようにしてもよい。LED素子25は、例えばLED素子の場合、青色光を発光するLEDチップが、青色光で励起されて黄色光を放出する蛍光体を含有した透明樹脂で封止されており、この透明樹脂の表面から白色系の光が放射される。
【0015】
接続部23は、ソケット14に対して接続されるもので、例えば、絶縁性を有する合成樹脂材料によって、直管形蛍光ランプの口金と同様の形状に形成され、管体21の端部に被着して固定されている。また、この接続部23の端面には、直管形蛍光ランプのランプピンと同様の受電部としての一対のランプピン26が突設されている。なお、接続部23は、一対のランプピン26に限らず、1本のランプピンでもよく、あるいは他の構成でもよく、ソケット14に対して電気的接続や支持が可能であればどのような構成でも構わない。また、この接続部23は、例えばアダプタなどを介してソケット14に電気的および物理的に接続してもよい。
【0016】
そして、直管形LEDランプ16は、例えば既存の直管形蛍光ランプ40W形(FL40形、FHF32形)と外径および全光束が略同等なものであり、管軸方向の全長が1300mm未満、1000mm以上の範囲であり、全光束が2000lm以上の定格特性を有している。
【0017】
また、図1に示すように、商用交流電源e(例えば100VAC、50/60Hz)を供給する一対の電源線31が器具本体13内を通じて専用電源17の入力側に接続され、この専用電源17の出力側と各ソケット14とが接続線35で接続されている。なお、図1には、一方の直管形LEDランプ16のみを示すが、他方の直管形LEDランプ16についても同様である。
【0018】
この場合、専用電源17は、例えば、商用交流電源eからの交流電力を整流するブリッジダイオードなどの全波整流素子37、この全波整流素子37からの出力電力を平滑する平滑コンデンサなどの(第1)平滑素子38、および、所望の電圧に変換するチョッパ回路などを含むDC−DCコンバータ40を備え、交流正弦波または交流矩形波の交流電力を直流変換してソケット14を通じて直管形LEDランプ16のランプピン26に供給する。なお、専用電源17は、例えば商用交流電源eからの交流電力を交流電力として出力する蛍光ランプ用の点灯装置などの交流電源の出力側に接続してもよい。
【0019】
DC−DCコンバータ40は、例えば平滑素子38の両端間に電気的に接続されたスイッチング素子41とフライホイールダイオードとなるダイオード42との直列回路、このダイオード42に並列に電気的に接続されたインダクタ43とコンデンサなどの(第2)平滑素子44との直列回路を有しており、図示しない制御手段によりスイッチング素子41がスイッチング制御されることにより降圧動作を行うものである。なお、スイッチング素子41は、例えばMOSFETなどのスイッチング素子でもよい。
【0020】
ここで、専用電源17は、例えば図3に示すような電流波形(ランプ電流包絡波形)Wを有する出力電流(定電流)を出力し、スイッチング素子41のスイッチング制御(スイッチング周波数およびデューティ比)と平滑素子44の容量との少なくともいずれか一方によってそのリプル率RFが設定されている。リプル率RFとは、専用電源17の出力電流の変動幅Ippをランプ電流平均値(実効電流値)Iaにより除したものであり(RF=Ipp/Ia)、出力電流の変動幅Ippとは、出力電流の最大値Imaxから最小値Iminを減じたものである(Ipp=Imax−Imin)。すなわち、リプル率RFが小さいほど、出力電流に含まれる脈流が小さいことを意味する。そして、この専用電源17では、出力電流のリプル率RFが1.3以下となるように設定されている。なお、本実施形態において、専用電源17は、50/60Hzの商用交流電源eを全波整流素子37により全波整流しているため、出力電流に含まれる脈流の周波数は100/120Hzとなっているが、例えば出力電流に含まれる脈流が100Hz以上の周波数であれば、同様に対応して用いることができる。
【0021】
そして、専用電源17では、DC−DCコンバータ40において制御手段がスイッチング素子41をオンすることにより、インダクタ43に増加電流が流れて磁気エネルギが蓄積され、スイッチング素子41をオフすることにより、インダクタ43に蓄積された磁気エネルギがダイオード42を経由して放出され、減少電流が流れて平滑素子44が充電される。以下、同様の回路動作の繰り返しにより、本実施形態では図3に示す電流波形Wを有する定電流、すなわち最小値Iminが0より大きい(0とならない)出力電流が専用電源17から出力され、この出力電流が接続線35、ソケット14および接続部23のランプピン26を介して発光モジュール22のLED素子25に供給されて、LED素子25が点灯する。
【0022】
このとき、専用電源17の出力電流のリプル率RFを1.3以下に設定していることにより、LED素子25のちらつき、換言すれば使用者が目視可能なレベルの発光量の変化を抑制でき、特に、高照度の環境下でのフリッカを少なくできる。
【0023】
ここで、複数の被験者に対してリプル率RFが異なるランプを見せ、ちらつきを感じたかどうかを実験した結果を図4に示す。上記一実施形態に対応する実施例1および実施例2では、リプル率RFをそれぞれ1.3、1.1とし、従来例に対応する比較例では、リプル率RFを1.5とした。図4に示すように、比較例の場合、50%以上の被験者がちらつきを感じたのに対して、実施例1および実施例2の場合には、ちらつきを感じた被験者がそれぞれ10%、5%となった。すなわち、出力電流のリプル率RFを1.3以下とすることにより、LED素子25のちらつきを効果的に抑制できることが分かる。
【0024】
特に、出力電流に含まれる脈流の周波数が比較的小さい範囲、例えば100Hz程度の周波数においては、人間の目によりLED素子25のちらつきを検出可能であるため、使用者がちらつきを感じやすい。このため、100Hz以上の脈流を含む出力電流を出力する専用電源17において、リプル率RFを1.3以下に設定することで、使用者がちらつきを感じやすい周波数帯域の脈流を含む出力電流により点灯するLED素子25であっても、使用者がちらつきを感じにくくなり、ちらつきに起因する不快感を低減できる。
【0025】
さらに、専用電源17の出力電流を、1サイクル毎に最小値Iminが0とならないように制御することにより、LED素子25が一時的に消灯する期間をなくすことができる。このため、使用者がLED素子25のちらつきを、より感じにくくなる。
【0026】
また、この直管形LEDランプ16と適合するLEDランプシステム11では、専用電源17を器具本体13側に配置することにより、直管形LEDランプ16を安価に構成できるとともに、既存の直管形蛍光ランプと同様に交換できるので、直管形LEDランプ16の交換が容易となる。さらに、この直管形LEDランプ16の交換時の費用的な負担を低減でき、また、専用電源17がLED素子25から熱的影響を受けるのを低減でき、専用電源17の信頼性や寿命を向上できる。
【0027】
なお、上記一実施形態において、専用電源17は、出力電流の電流波形Wのリプル率RFを1.3以下に設定すれば、例えば1サイクル毎に出力電圧(出力電流)が0V(0A)となるように構成してもよい。この場合には、例えば直管形LEDランプ16内の回路中の各接続部分の着脱、接触不良、断線などによって回路中に仮にアークが発生した場合でも、直管形LEDランプ16に供給する出力電圧(出力電流)が1サイクル毎に0になることでアークの継続を防止できる。
【0028】
また、LEDランプシステム11としては、例えば一対のソケット14を1組用いた1灯形の照明器具でもよいし、一対のソケット14を3組以上用いた複数灯形の照明器具でもよい。また、天井直付け形照明器具に限らず、埋込形照明器具などでもよい。
【0029】
さらに、ソケット14から直管形LEDランプ16への電力供給は、例えば一対のソケット14の両方から行ってもよいし、一方のみから行ってもよい。一方のソケット14のみから電力供給する場合には、他方のソケット14側では直管形LEDランプ16の端部を支持するのみでもよく、あるいは、他方のソケット14から例えば調光信号を直管形LEDランプ16に伝送し、直管形LEDランプ16に内蔵された調光回路によってLED素子25の点灯状態を調光するようにしてもよい。また、ソケット14を利用せず、器具本体13側に配置した非接触送電部から直管形LEDランプ16側に配置された非接触受電部に対して誘電結合などの方法により非接触で電力供給するようにしてもよい。さらに、ソケット14は直管形LEDランプ16の支持のみに使用し、直管形LEDランプ16に対しては別の給電方法を用いてもよい。
【符号の説明】
【0030】
11 LEDランプシステム
16 直管状LEDランプとしての直管形LEDランプ
17 電源装置としての専用電源
25 LED素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
LED素子を備えた直管状LEDランプと;
交流電源を整流および平滑し、リプル率が1.3以下の定電流を直管状LEDランプのLED素子に供給してLED素子を点灯させる電源装置と;
を具備していることを特徴とするLEDランプシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−9400(P2012−9400A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−146875(P2010−146875)
【出願日】平成22年6月28日(2010.6.28)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】