説明

LEDランプ

【課題】LEDチップ14の発する光を導光体17でより多く捕捉して拡散させることのできるLEDランプ10を提供する。
【解決手段】放熱体11の上端部11bに凸設した導熱柱11cの先端部にモジュール基板15を固定することにより、モジュール基板15だけでなく、導熱柱11cにおける少なくともLEDチップ配置面近傍の外周部を導光体17で覆うことができるように構成する。LEDチップ14の上面から発する光だけでなく、導光体17の内面反射光およびLEDチップ14の外周面やモジュール基板15の表面における乱反射光も導光体17で捕捉し、導光体17の表面から導光体17の周囲に拡散させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LEDチップを光源として内蔵するLEDランプに関する。
【背景技術】
【0002】
近時、消費電力の大きい白熱電球に代えて、消費電力の少ないLEDを光源として用いるLEDランプの需要が高まっている。
一般に、この種のLEDランプは熱伝導性に優れたアルミニウムなどの金属性放熱体と、口金と、半球状の頂部を有し、放熱体の他端に装着した透光性のガラス又はプラスチック材から成るグローブと、LEDチップを実装したモジュール基板と、LEDチップに電力を供給する点灯回路とを備えている。
そして、放熱体の一端にモジュール基板を固定し、放熱体の他端に口金を取り付け、点灯回路を放熱体内に取り付け、モジュール基板を覆うようにグローブを放熱体の一端に取り付け、点灯回路と口金を電気的に接続した構成を備えている。
【0003】
ところで、白熱電球の光源であるフィラメントの発する光は周囲に拡散し、周囲を均等に照らすことができるが、LEDランプの光源として用いられるLEDチップの発する光は高い指向性を有し、前方の狭い領域を強い光で照射するという特性を備えている。そのため、LEDランプを白熱電球の代替品として使用するには、LEDチップの発する光をランプの周囲に拡散させる光拡散手段をLEDランプに設けることが不可欠である。
【0004】
光拡散手段を備えたLEDランプの一形式として、先端部に反射面を形成した導光体を光拡散手段として備え、この導光体の基端部がLEDチップに対向するように導光体を放熱体に固定し、導光体を覆うようにグローブを放熱体に装着したLEDランプが実用に供されている。
【0005】
このLEDランプによれば、LEDチップの発光時、LEDチップの光が導光体の基端部から導光体中に進入して反射面へ導かれ、反射面で反射して導光体の先端部周囲に拡散される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−70972号公報
【特許文献2】特開2011−82132号公報
【特許文献3】特開2011−90828号公報
【特許文献4】特開2011−91033号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した従来のLEDランプによれば、LEDチップから発する光のうちLEDチップの上面から放射される光は導光体で捕捉されて導光体の先端部から周囲に拡散される。LEDチップの光の多くはチップ上面から放射されるが、一部はLEDチップの外周面やモジュール基板の表面で乱反射し、LEDチップの周囲に拡散している。
従来のLEDランプでは、モジュール基板と導光体の基端面及び放熱体の端面が略面一に配置されているため、LEDチップの外周面やモジュール基板の表面で乱反射し、LEDチップの周囲に拡散する光は導光体で捕捉され難い。
本発明はかかる点に鑑み、LEDチップの発する光を導光体でより多く捕捉して拡散させることのできるLEDランプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、放熱体と、口金と、LEDチップを実装したモジュール基板と、LEDチップに電力を供給する点灯回路及び導光体を備え、放熱体の一端にモジュール基板を固定するとともに、導光体の基部がLEDチップに対向するように導光体を放熱体に固定し、放熱体の他端部に口金を取り付け、点灯回路を放熱体内に配置し、点灯回路と口金を電気的に接続し、LEDチップの発光時、LEDチップの光が導光体の基部から導光体中に入射し、入射した光が導光体の表面から射出して導光体の周囲に拡散されるようにしたLEDランプであって、
放熱体の一端に導熱柱を凸設し、導熱柱の先端部にモジュール基板を配置し、モジュール基板及び導熱柱における少なくともモジュール基板の配置面近傍の外周部を導光体で覆うようにしたことを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のLEDランプにおいて、導光体を略球状に形成するとともに、導光体の頂部にLEDチップと対向するように逆多角錐の切欠部を形成したことを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のLEDランプにおいて、導光体を扁平な略球状に形成するとともに、導光体の頂部にLEDチップと対向するように皿状の切欠部を形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明に係るLEDランプでは、LEDチップで発生する熱が導熱柱の先端部から導熱柱を伝って放熱体本体に伝わり、放熱体から外部へ発散される。一方、LEDチップが発する光の多くはチップ上面で生じ、チップ上面から放射されるが、一部はLEDチップの外周面やモジュール基板の表面で乱反射し、LEDチップの周囲に拡散している。
本発明によれば、モジュール基板及び導熱柱における少なくともLEDチップ配置面近傍の外周部を導光体で覆うので、LEDチップの上面から発する光だけでなくLEDチップの外周面やモジュール基板の表面における乱反射光も導光体で捕捉し、導光体の表面から導光体の周囲に拡散させることができる。このため、LEDチップの光の拡散効率が向上する。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、LEDチップの上面から発した光が多角錐の切欠部を構成する各面で反射して拡散するので、よりLEDチップの光の拡散効率が向上する。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、LEDチップの上面から発した光が皿状の切欠部を構成する湾曲面で反射して拡散するので、よりLEDチップの光の拡散効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施例に係るLEDランプを示す断面図である。
【図2】本発明の第1実施例に係るLEDランプの主要部を示す斜視図である。
【図3】本発明の第1実施例に係るLEDランプの導光体を示す斜視図である。
【図4】本発明の第2実施例に係るLEDランプを示す断面図である。
【図5】本発明の第2実施例に係るLEDランプの導光体を示す斜視図である。
【図6】本発明の第3実施例に係るLEDランプを示す断面図である。
【実施例1】
【0015】
以下に本発明を図面に基づき説明するに、図1には本発明の第1実施例に係るLEDランプ10が示されている。図2には本発明の第1実施例に係るLEDランプの主要部が示されている。当該LEDランプは放熱体11と、口金12と、透光性のグローブ13と、LEDチップ14を実装したモジュール基板15と、LEDチップ14に電力を供給する点灯回路16及び導光体17を備えている。
【0016】
放熱体11は熱伝導性及び放熱性に優れたアルミニウム等の金属材料から成り、逆円錐台形の外観を備えた筒構造を有し、外周部には表面積を増加して放熱効果を高めるため多数のフィン11aが形成されている。
【0017】
放熱体11の上端部11bの中央部には円柱状の導熱柱11cが一体に凸設されている。この導熱体11cの先端部にモジュール基板15が固定されている。点灯回路16は放熱体11内蔵され、モジュール基板15と点灯回路16がリード線18で接続されている。このリード線18は導熱柱11cの先端部から放熱体11の上端部裏面まで貫通する貫通穴11dに挿通されている。
【0018】
口金12は放熱体11の下端部に取付けられている。この口金12は国際規格に則った形状、寸法を有する。そして、点灯回路16と口金12がリード線(図示略)で電気的に接続されている。
【0019】
導光体17はアクリル等の樹脂成型品で、中実構造を有し、略球状に形成されるとともに、図3に示すように、頂部に逆多角錘形状の切欠部17aが形成されている。また、導光体17の基部には凹部17bが形成されている。さらにまた、導光体17の表面は梨地に加工されている。この導光体17は基部の凹部17bを導熱柱11cの先端部に嵌合し、接着剤で導熱柱11cに固着されている。導光体17の切欠部17aと凹部17bは、凹部17bを導熱柱11cに嵌合したとき切欠部17aがLEDチップ14に対向するように配置されている。
【0020】
凹部17bの深さLは導光体17によってモジュール基板15だけでなく、導熱柱11cにおける少なくともモジュール基板15の配置面近傍の外周部まで覆うことができる所要寸法に設定されている。そのため、導光体17の基部は導熱柱11cの中間部にまで達している。
【0021】
放熱体11の上端部11bには内外2本のリング凸条11e,11fが形成され、両リング凸条11e,11fによってリング溝11gが区画形成されている。グローブ13は中空構造を有し、リング溝11gにグローブ13の下端開口端部を嵌合し、接着剤で放熱体11の上端部11bに固着されている。このグローブ13によって導光体17が覆われている。
【0022】
第1実施例に係るLEDランプ10の構造は以上の通りであって、LEDチップ14で発生する熱が導熱柱11cの先端部から導熱柱11cを伝って放熱体11本体に伝わり、放熱体11からランプ外部へ発散される。
【0023】
LEDチップ14が発する光の多くはチップ上面で生じ、チップ上面から導光体17中に進入し、多角錐の切欠部17aを構成する各面で反射し、導光体17の梨地の表面から射出するとき拡散される。梨地の表面から射出した光の多くはグローブ13を通過し、一部の光がグローブ13の内面で反射する。また、チップ上面から導光体17中に進入した光の一部は導光体17の内面で反射する。一方、LEDチップ14の発する光の一部はLEDチップ14の外周面やモジュール基板15の表面で乱反射し、LEDチップ14の周囲に拡散する。
【0024】
第1実施例に係るLEDランプ10によれば、放熱体11の上端部11bに凸設した導熱柱11cの先端部にモジュール基板15を固定することにより、モジュール基板15だけでなく、導熱柱11cにおける少なくともLEDチップ配置面近傍の外周部を導光体17で覆うことができるように構成したので、LEDチップ14の上面から発する光だけでなく、導光体17の内面反射光およびLEDチップ14の外周面やモジュール基板15の表面における乱反射光も導光体17で捕捉し、導光体17の表面から導光体17の周囲に拡散させることができる。さらにまたグローブ13の内面反射光が導光体17の梨地の表面で乱反射する。このため、LEDチップ14の光の拡散効率が向上する。
【実施例2】
【0025】
本発明の第2実施例に係るLEDランプ20を図4に示す。当該LEDランプ20の導光体21は中実構造を有し、扁平な略球形状に形成されている。また、図5に示すように、頂部に皿状の切欠部21aが形成されている。導光体21の基部には導熱柱11cの先端部が嵌合する凹部21bが形成されている。そして、導光体21の表面は梨地加工が施されている。
なお、第2実施例に係るLEDランプ20の他の構成は第1実施例に係るLEDランプ10と同じであるので、同一の構成要素に同一の符号を付して説明を省略する。
【0026】
第2実施例に係るLED20ランプでは、LEDチップ14の上面から発した光やグローブ13の内面反射光が導光体21の皿状の切欠部21aを構成する湾曲面で反射して導光体21の周囲に拡散される。
【実施例3】
【0027】
本発明の第3実施例に係るLEDランプ30を図6に示す。第1実施例や第2実施例に係るLEDランプ10,20ではグローブ13を備えることによって白熱電球に近似する形状を呈しているが、第3実施例に係るLEDランプ30ではグローブ13を省略し、樹脂製導光体21によって白熱ランプに近似する形状を呈するように、導光体21が所要形状を備えている。
【0028】
導光体21は略半球状の頂部31aを備え、基端部に導熱柱11cが嵌合する凹部31bが形成されている。この凹部31bは導熱柱11cの全体を覆うことができる所用の深さを備えている。また、基端面31cは放熱体11の上端面11bの略全面を略覆うことができる面積を備えている。導光体31は凹部31bを導熱柱11cに嵌合し、基端面31cを放熱体11の上端面11bに当接させ、接着剤で放熱体11に固着されている。
なお、第3実施例に係るLEDランプ30の他の構成は第1実施例に係るLEDランプ10と同じであるので、同一の構成要素に同一の符号を付して説明を省略する。
【0029】
第3実施例に係るLEDランプ30によれば、破損し易い中空構造のグローブ13を省略し、これに代えて中実構造の導光体31を設けたので、LEDランプ30の強度を高めることができる。
なお、第1,第2,第3実施例に係るLEDランプ10,2030では、円柱状の導熱柱11cを放熱体に設けたが、導熱柱として角柱や台形を採用してもよい。
【符号の説明】
【0030】
10,20,30…LEDランプ
11…放熱体
11b…上端部
11c…導熱柱
12…口金
13…グローブ
14…LEDチップ
15…モジュール基板
16…点灯回路
17,21,31…導光体
17a,21a…切欠部
17b,21b,31b…凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放熱体と、口金と、LEDチップを実装したモジュール基板と、LEDチップに電力を供給する点灯回路及び導光体を備え、放熱体の一端にモジュール基板を固定するとともに、導光体の基部がLEDチップに対向するように導光体を放熱体に固定し、放熱体の他端部に口金を取り付け、点灯回路を放熱体内に配置し、点灯回路と口金を電気的に接続し、LEDチップの発光時、LEDチップの光が導光体の基部から導光体中に入射し、入射した光が導光体の表面から射出して導光体の周囲に拡散されるようにしたLEDランプであって、
放熱体の一端に導熱柱を凸設し、導熱柱の先端部にモジュール基板を配置し、モジュール基板及び導熱柱における少なくともモジュール基板の配置面近傍の外周部を導光体で覆うようにしたことを特徴とするLEDランプ。
【請求項2】
導光体を略球状に形成するとともに、導光体の頂部にLEDチップと対向するように逆多角錐の切欠部を形成したことを特徴とする請求項1に記載のLEDランプ。
【請求項3】
導光体を扁平な略球状に形成するとともに、導光体の頂部にLEDチップと対向するように皿状の切欠部を形成したことを特徴とする請求項1に記載のLEDランプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−74079(P2013−74079A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−211730(P2011−211730)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(593079944)株式会社ビートソニック (37)
【Fターム(参考)】