LED式灯具ユニット、灯台用LED式灯具及びLED式灯台
【課題】コストアップすることなく灯台用LED式灯具に点灯されないLEDが組み込まれないようにできるLED式灯具ユニットを提供する。
【解決手段】LED式灯具ユニット10は、トロイダルレンズ11と、複数の光源としてのLED12と、複数のLEDがトロイダルレンズの焦点の円弧と同一の円弧上に等間隔で放射状に配置された回路基板13と、トロイダルレンズと一体に形成され、トロイダルレンズの焦点の円弧と複数のLEDが配置された円弧が一致するように回路基板を位置決めして収容した枠体14とを備え、複数のLED式灯具ユニット10をトロイダルレンズの曲率半径の中心を一致させて水平面上に隣接して配置することができ、この配置によってトロイダルレンズが単一の円環を形成する扇形状に形成されている。
【解決手段】LED式灯具ユニット10は、トロイダルレンズ11と、複数の光源としてのLED12と、複数のLEDがトロイダルレンズの焦点の円弧と同一の円弧上に等間隔で放射状に配置された回路基板13と、トロイダルレンズと一体に形成され、トロイダルレンズの焦点の円弧と複数のLEDが配置された円弧が一致するように回路基板を位置決めして収容した枠体14とを備え、複数のLED式灯具ユニット10をトロイダルレンズの曲率半径の中心を一致させて水平面上に隣接して配置することができ、この配置によってトロイダルレンズが単一の円環を形成する扇形状に形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はLED式灯具ユニット、灯台用LED式灯具及びLED式灯台に係り、特に、光源としてLED(発光ダイオード)を使用した灯台用LED式灯具を形成するのに適したLED式灯具ユニット、複数のLED式灯具ユニットを組み立てて構成した灯台用LED式灯具、及び該灯台用LED式灯具を塔上のフード内に収容して設置したLED式灯台に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光源にLEDを利用したこの種のLED式灯具は、消費電力が少なく断線事故が少ないため、海上航路標識用の灯具として適用されるようになってきた。従来、この種のLED式灯具として、LEDをその発する光がいずれも水平方向に向くように回路基板の水平円周上に複数放射状に配置し、その外方にLEDの発する光を水平全周方向に集束するレンズを配置して構成したユニットを複数積み重ねたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2001−135102公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述した従来のLED式灯具は、回路基板の水平円周上に複数のLEDを放射状に配置したユニットを、灯具として必要な光度となるように複数積み重ねて構成されているので、360度の全周方向に光を発射することが必要とされる海上航路標識用の灯具、すなわち、海上に浮かべた海上ブイとして使用するには適している。
【0004】
なお、上述した従来のLED式灯具を、陸側の灯火が必要とされない岬の先端などに設置される灯台や、利用者から灯台までの距離が近い港側或いは陸側の光度を低減することができる港の防波堤に設置される灯台などに適用した場合、不要な発光を抑え電源の電力消費を低減することによって、高価な太陽電池や蓄電池の小型化のため、港側或いは陸側のLEDの全部或いは一部を点灯させないようにして使用することが考えられる。しかしながら、組み込まれている大量のLEDを点灯しないままにして使用される灯具は、コストパフォーマンスが良くなく、必要以上に高価なものとなってしまう問題がある。
【0005】
そこで、灯台の設置場所に応じて、回路基板の水平円周上に放射状に配置すべきLEDのうち点灯されないLEDを組み込まず、点灯されないLEDが組み込まれないユニットを別個に制作することも考えられるが、このような対処の仕方では、多品種少量生産となってしまい、ユニットのコストを低減することができず、点灯しない大量のLEDを組み込んだ灯具と変わらず高価なものとなってしまう。
【0006】
よって本発明は、上述した現状に鑑み、陸側の灯火が必要とされない岬の先端などに設置される灯台や、利用者から灯台までの距離が近い港側或いは陸側の光度を低減することができる港の防波堤に設置される灯台などに適用した場合、コストアップすることなく灯台用LED式灯具に点灯されないLEDが組み込まれないようにできるLED式灯具ユニットを提供することを課題としている。
【0007】
本発明はまた、上述した現状に鑑み、陸側の灯火が必要とされない岬の先端などに設置される灯台や、利用者から灯台までの距離が近い港側或いは陸側の光度を低減することができる港の防波堤に設置される灯台などに適用した場合、コストアップすることなく灯台用LED式灯具に点灯されないLEDが組み込まれないようにできるLED式灯具ユニットを使用してコストダウンを図った灯台用LED式灯具及び該灯台用LED式灯具を塔上のフード内に収容して設置したLED式灯台を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためになされた請求項1に係るLED式灯具ユニットは、トロイダルレンズと、複数の光源としてのLEDと、該複数のLEDが前記トロイダルレンズの焦点の円弧と同一の円弧上に等間隔で放射状に配置された回路基板と、前記トロイダルレンズと一体に形成され、前記トロイダルレンズの焦点の円弧と前記複数のLEDが配置された円弧が一致するように前記回路基板を位置決めして収容した枠体とを備えるLED式灯具ユニットであって、複数の当該LED式灯具ユニットを前記トロイダルレンズの曲率半径の中心を一致させて水平面上に隣接して配置することができ、該配置によって前記トロイダルレンズが単一の円環を形成する扇形状に形成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項1記載の発明によれば、LED式灯具ユニットは、トロイダルレンズと複数の光源としてのLEDと回路基板と枠体とを備え、回路基板には複数のLEDがトロイダルレンズの焦点の円弧と同一の円弧上に等間隔で放射状に配置され、トロイダルレンズと一体に形成された枠体には、トロイダルレンズの焦点の円弧と複数のLEDが配置された円弧が一致するように回路基板が位置決めして収容されており、複数のLED式灯具ユニットをトロイダルレンズの曲率半径の中心を一致させて水平面上に隣接して配置することができ、この配置によってトロイダルレンズが単一の円環を形成する扇形状に形成されているので、必要な角度方向に必要な光度の光を発射することができる数のLED式灯具ユニットを、水平面上に隣接して配置するとともに積み重ねることによって、必要な角度方向に必要な光度の光を発射することができる灯台用LED式灯具を構成することができ、必要な数のLED式灯具ユニットを、トロイダルレンズの曲率半径の中心を一致させて配置することができる。
【0010】
請求項2に係るLED式灯具ユニットは、請求項1記載のLED式灯具ユニットにおいて、前記枠体が、前記トロイダルレンズの上下一側縁から前記扇形の中心部に延長され、前記回路基板が水平に位置決め固定された扇形状の水平板と、前記トロイダルレンズの長手方向の両側縁部から前記扇形の中心部に延長された側板と、前記扇形の中心部に延長された前記水平板及び前記側板の延長端を相互に連結する連結板とを有し、前記連結部に、複数の当該LED式灯具ユニットが組み付けられてLED式灯具を形成する支柱に対する取付部が形成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項2記載の発明によれば、枠体が扇形状の水平板と側板と連結板とを有し、トロイダルレンズの上下一側縁から扇形の中心部に延長された水平板とトロイダルレンズの長手方向の両側縁部から前記扇形の中心部に延長された側板の延長端が連結板により連結され、水平板には回路基板が水平に位置決め固定され、連結部には複数のLED式灯具ユニットが組み付けられてLED式灯具を形成する支柱に対する取付部が形成されているので、各LED式灯具ユニットは十分な強度を有するものとして構成され、必要な角度方向に必要な光度の光を放射することができる数のLED式灯具ユニットを、その連結部の取付部を支柱に取り付けることで、トロイダルレンズの曲率半径の中心を一致させて水平面上に隣接して配置するとともに積み重ねることができる。
【0012】
請求項3に係るLED式灯具ユニットは、請求項2記載のLED式灯具ユニットにおいて、前記側板は、複数の当該LED式灯具ユニットを前記トロイダルレンズの曲率半径の中心を一致させて水平面上に隣接して配置したとき互いに隣接する当該LED式灯具ユニット間で相互に嵌合して位置決めする嵌合部を有することを特徴とする。
【0013】
請求項3記載の発明によれば、側板が有する嵌合部は、複数のLED式灯具ユニットをトロイダルレンズの曲率半径の中心を一致させて水平面上に隣接して配置したとき互いに隣接するLED式灯具ユニット間で相互に嵌合して位置決めするので、トロイダルレンズの曲率半径の中心を一致させて水平面上に隣接して配置した隣接するLED式灯具ユニットの複数のLEDが等間隔で放射状に配置される水平面は同一面に保たれることができる。
【0014】
請求項4に係るLED式灯具ユニットは、請求項2又は3記載のLED式灯具ユニットにおいて、複数の当該LED式灯具ユニットを鉛直方向に積み重ねたとき、互いに隣接する当該LED式灯具ユニット間で相互に嵌合して位置決めする嵌合部を備えることを特徴とする。
【0015】
請求項4記載の発明によれば、LED式灯具ユニットが備える嵌合部が、複数のLED式灯具ユニットを鉛直方向に積み重ねたとき互いに隣接するLED式灯具ユニット間で相互に嵌合して位置決めするので、鉛直方向に積み重ねたLED式灯具ユニットのトロイダルレンズの曲率半径の中心は一致された状態に保たれることができる。
【0016】
請求項5に係るLED式灯具ユニットは、請求項2〜4の何れかに記載のLED式灯具ユニットにおいて、前記側板に、前記回路基板に配置された両端の前記LEDを収容する開口を形成したことを特徴とする。
【0017】
請求項5記載の発明によれば、側板には、回路基板に配置された両端のLEDを収容する開口が形成されているので、水平面上に隣接して配置した隣接するLED式灯具ユニットのLEDは、側板の存在にもかかわらず、トロイダルレンズの焦点の円弧と同一の円弧上に等間隔で放射状に連続して配置されることができる。
【0018】
請求項6に係るLED式灯具ユニットは、請求項2〜4の何れかに記載のLED式灯具ユニットにおいて、前記側板に、前記回路基板に配置された両端の前記LEDを収容するとともに、該収容したLEDの発する光を前記トロイダルレンズに直接入射させる窓孔を形成したことを特徴とする。
【0019】
請求項6記載の発明によれば、側板には、回路基板に配置された両端のLEDを収容するとともに、該収容したLEDの発する光をトロイダルレンズに直接入射させる窓孔が形成されているので、水平面上に隣接して配置した隣接するLED式灯具ユニットのLEDは、側板の存在にもかかわらず、トロイダルレンズの焦点の円弧と同一の円弧上に等間隔で放射状に連続して配置され、しかも、側板に邪魔されることなく、窓孔に配置されたLEDが発する光が隣接するLED式灯具ユニットのトロイダルレンズにも入射されることができる。
【0020】
請求項7に係る灯台用LED式灯具は、複数の請求項1〜6の何れかに記載の前記LED式灯具ユニットを鉛直方向に複数積み重ねて構成したことを特徴とする。
【0021】
請求項7記載の発明によれば、灯台用LED式灯具は、複数のLED式灯具ユニットを鉛直方向に複数積み重ねて構成されるので、必要な光度の光を放射することができる。
【0022】
請求項8に係る灯台用LED式灯具は、複数の請求項1〜6の何れかに記載の前記LED式灯具ユニットを前記トロイダルレンズの曲率半径の中心を一致させて水平面上に隣接して配置するとともに鉛直方向に積み重ねて構成したことを特徴とする。
【0023】
請求項8記載の発明によれば、灯台用LED式灯具は、複数のLED式灯具ユニットをトロイダルレンズの曲率半径の中心を一致させて水平面上に隣接して配置するとともに鉛直方向に積み重ねて構成されるので、必要な角度方向に必要な光度の光を放射することができる。
【0024】
請求項9に係るLED式灯台は、請求項8記載のLED式灯具を塔上のフード内に収容して設置したことを特徴とする。
【0025】
請求項9記載の発明によれば、LED式灯台は、LED式灯具を塔上のフード内に収容して設置されるので、必要な光度の光を必要な角度方向に放射することができる。
【0026】
請求項10に係るLED式灯台は、塔上のフード内の収容した複数の請求項7記載の前記灯台用LED式灯具を、複数の当該LED式灯具ユニットを前記トロイダルレンズの曲率半径の中心を一致させて水平面上に隣接して配置した状態から相互の角度位置関係を保って離間するように径方向に移動した位置に設置したことを特徴とする。
【0027】
請求項10記載の発明によれば、LED式灯台は、塔上のフード内の収容した複数の灯台用LED式灯具が、複数の当該LED式灯具ユニットをトロイダルレンズの曲率半径の中心を一致させて水平面上に隣接して配置した状態から相互の角度位置関係を保って離間するように径方向に移動した位置に設置されて構成されているので、フードの半径がトロイダルレンズの曲率半径に比べて大きな場合であっても、フード内径に相当する外形を有する灯台用LED式灯具を備えたLED式灯台として機能されることができる。
【0028】
請求項11に係るLED式灯台は、請求項9〜10の何れかに記載のLED式灯台において、前記灯台用LED式灯具の陸側又は港側に配置される前記LED式灯具ユニットの数を0とするか、又は海上向きに配置される前記LED式灯具ユニットの数よりも少なくしたことを特徴とする。
【0029】
請求項11記載の発明によれば、LED式灯台は、灯台用LED式灯具の陸側又は港側に配置されるLED式灯具ユニットの数が0とするか、又は海上向きに配置されるLED式灯具ユニットの数よりも少なくされているので、陸側の灯火が必要とされない岬の先端などに設置される灯台や、利用者から灯台までの距離が近い港側或いは陸側の光度を低減することができる港の防波堤に設置される灯台が構成されることができる。
【発明の効果】
【0030】
請求項1記載の発明によれば、必要な角度方向に必要な光度の光を放射することができる数のLED式灯具ユニットを、水平面上に隣接して配置するとともに積み重ねることによって、必要な角度方向に必要な光度の光を放射することができる灯台用LED式灯具を構成することができるので、陸側の灯火が必要とされない岬の先端などに設置される灯台や、利用者から灯台までの距離が近い港側或いは陸側の光度を低減することができる港の防波堤に設置される灯台などに適用した場合、コストアップすることなく灯台用LED式灯具に点灯されないLEDが組み込まれないようにできるLED式灯具ユニットを提供することができる。また、必要な数のLED式灯具ユニットをトロイダルレンズの曲率半径の中心を一致させて配置できるので、従来と変わらない形状の灯具も構成することができる。
【0031】
請求項2記載の発明によれば、各LED式灯具ユニットは十分な強度を有するものとして構成され、各必要な角度方向に必要な光度の光を放射することができる数のLED式灯具ユニットを、その連結部の取付部を支柱に取り付けることで、トロイダルレンズの曲率半径の中心を一致させて水平面上に隣接して配置したり、積み重ねることができるので、必要な角度方向に必要な光度の光を放射することができる十分に堅牢な灯台用LED式灯具を容易に構成することができる。
【0032】
請求項3記載の発明によれば、トロイダルレンズの曲率半径の中心を一致させて水平面上に隣接して配置した隣接するLED式灯具ユニットの複数のLEDが等間隔で放射状に配置される水平面は同一面に保たれるので、LED式灯具ユニットを水平面上に隣接して配置して灯台用LED式灯具を構成しても、隣接するLED式灯具ユニットのLEDが発する光の上下方向の発散角度は同一に保たれることができる。
【0033】
請求項4記載の発明によれば、鉛直方向に積み重ねたLED式灯具ユニットのトロイダルレンズの曲率半径の中心は一致された状態に保たれるので、鉛直方向に積み重ねて灯台用LED式灯具を構成しても、積み重ねられたLED式灯具ユニットのLEDが発する光の水平方向の発散角度は同一に保たれることができる。
【0034】
請求項5記載の発明によれば、水平面上に隣接して配置した隣接するLED式灯具ユニットのLEDは、側板の存在にもかかわらず、トロイダルレンズの焦点の円弧と同一の円弧上に等間隔で放射状に連続して配置されるので、LED式灯具ユニットを水平面上に隣接して配置して灯台用LED式灯具を構成しても、隣接するLED式灯具ユニットの境目でも、他の部分と同様にLEDが等間隔で配置されることができる。
【0035】
請求項6記載の発明によれば、水平面上に隣接して配置した隣接するLED式灯具ユニットのLEDは、側板の存在にもかかわらず、トロイダルレンズの焦点の円弧と同一の円弧上に等間隔で放射状に連続して配置され、しかも、側板に邪魔されることなく、窓孔に配置されたLEDが発する光が隣接するLED式灯具ユニットのトロイダルレンズにも入射されるので、LED式灯具ユニットを水平面上に隣接して配置して灯台用LED式灯具を構成しても、隣接するLED式灯具ユニットの境目でも、他の部分と同様にLEDが等間隔で配置され、しかも、隣接するLED式灯具ユニットのトロイダルレンズから発散される光度に差異がなくなり、周方向での光度が均一に保たれることができる。
【0036】
請求項7記載の発明によれば、複数のLED式灯具ユニットを積み重ねることにより、必要な光度の光を放射する灯台用LED式灯具が得られる。
【0037】
請求項8記載の発明によれば、複数のLED式灯具ユニットを水平面上に隣接して配置するとともに積み重ねることにより、必要な角度方向に必要な光度の光を放射する灯台用LED式灯具が得られる。
【0038】
請求項9記載の発明によれば、複数のLED式灯具ユニットを水平面上に隣接して配置するとともに積み重ねたうえで、塔上のフード内に収容することにより、コストアップすることなく必要な光度の光を必要な角度方向に放射するLED式灯台が得られる。
【0039】
請求項10記載の発明によれば、フードの半径がトロイダルレンズの曲率半径に比べて大きな場合であっても、フード内径に相当する外形を有する灯台用LED式灯具を備えたLED式灯台として機能されるので、フード内径に応じたLED式灯具ユニットを用意する必要がなく、コストダウンを図ることができる。
【0040】
請求項11記載の発明によれば、陸側の灯火が必要とされない岬の先端などに設置される灯台や、利用者から灯台までの距離が近い港側或いは陸側の光度を低減することができる港の防波堤に設置される灯台が構成されるので、コストアップすることなく灯台用LED式灯具に点灯されないLEDが組み込まれないようにでき、灯台用LED式灯具を塔上のフード内に収容して設置したLED式灯台を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明に係るLED式灯具ユニットの一実施形態を示す斜視図である。同図において、LED式灯具ユニット10は、円筒レンズ(シリンドリカルレンズ)を長手方向に湾曲させたレンズであるトロイダルレンズ11と、複数の光源としてのLED12と、複数のLED12がトロイダルレンズ11の焦点の円弧と同一の円弧上に等間隔で放射状に配置されたプリント回路基板13と、透明な樹脂材料の一体成型によってトロイダルレンズ11と一体に形成され、トロイダルレンズ11の焦点の円弧と複数のLED12が配置された円弧が一致するように回路基板13を位置決めして収容した枠体14とを備えている。
【0042】
LED式灯具ユニット10は、図2に簡略化して示すように、複数のLED式灯具ユニット10をトロイダルレンズ11の曲率半径の中心Oを一致させて水平面上に隣接して配置することができ、この配置によってトロイダルレンズ11が単一の円環を形成する扇形状に形成されている。図示の例では、60度に広がった扇形に形成されているが、上記条件を満たすものであれば、30度、45度などの角度でもよい。
【0043】
プリント回路基板13は、図3の斜視図及び図4の断面図に示すように、複数のLED12がトロイダルレンズ11の焦点の円弧と同一形状の円弧上に例えば2度の等間隔で放射状に配置された円弧状のLED搭載プリント回路基板13aと、LED搭載プリント回路基板13aと、この回路基盤13aに配置された複数のLED12を点灯駆動するLED駆動回路を構成する電子部品13cとを搭載した駆動回路搭載プリント回路基板13bを有する。
【0044】
駆動回路搭載プリント回路基板13bは、この回路基板13b上に搭載された円弧状のLED搭載プリント回路基板13aに配置されたLED12がトロイダルレンズ11の焦点の円弧に位置するように、スペーサ13cを介して水平板14a上にねじ13dとナット13eによって水平に固定されている。
【0045】
なお、図1において、15は回路基板13上の駆動回路の動作とLED12の点灯に必要な電力を供給するための電力線と、LED点灯のための制御信号を伝送する信号線とを有するケーブルであり、ケーブル15の端末にはコネクタ16が設けられている。端末にコネクタ16を有するケーブル15は、後述する支柱の中空部を通じて導かれ、LEDを所定の周期で間欠点灯させる制御部や太陽電池などによって充電される蓄電池に接続される。
【0046】
枠体14は、図5の斜視図に示すように、トロイダルレンズ11の下側縁から扇形の中心部に延長され、回路基板13が水平に位置決め固定される扇形状の水平板14aと、トロイダルレンズ11の長手方向の両側縁部から扇形の中心部に延長された側板14b及び14cと、扇形の中心部に延長された水平板14a並びに側板14b及び14cの延長端を相互に連結する連結板14dとを有する。連結部14dには、詳細には後述するように、複数のLED式灯具ユニット10が組み付けられてLED式灯具を形成する支柱に対する取付部が形成されている。
【0047】
なお、図示の例では、軽量化のために側板14b及び14cと連結板14dには孔が穿たれており、連結板14dに穿った孔を通じてケーブル15が引き出されている。また、水平板14aはトロイダルレンズ11の下側縁から扇形の中心部に延長されているが、上側縁から延長されていてもよい。
【0048】
枠体14の側板14b及び14cは、複数のLED式灯具ユニット10をトロイダルレンズ11の曲率半径の中心を一致させて水平面上に隣接して配置したとき互いに隣接するLED式灯具ユニット10間で相互に嵌合して位置決めする嵌合部14b1及び14c1をそれぞれ有し、図1に示す例では、嵌合部14b1及び14c1は凸部と凹部とからなっている。
【0049】
また、各LED式灯具ユニット10は、複数のLED式灯具ユニット10を鉛直方向に積み重ねたとき互いに隣接するLED式灯具ユニット間で相互に嵌合して位置決めする嵌合部11a及び11bを備え、図1及び図4に示す例では、嵌合部11a及び11bがトロイダルレンズ11の上縁に沿って突出された凸部と下縁に沿って窪まされた凹部とからなっている。
【0050】
上述した60度の扇形状LED式灯具ユニット10によって360度の全周方向にLED12の光を放射する灯台用LED式灯具を構成するには、図6に示すように、6個のLED式灯具ユニット10が、トロイダルレンズ11の曲率半径の中心を一致させて水平面上に隣接して配置されるように、各LED式灯具ユニット10の枠体14の連結部14dに形成された取付部であるねじ挿通孔14d1を通じて挿入したねじ14eを円筒状の支柱20のねじ孔21にねじ込み固定される。
【0051】
この取付の際に、側板14b及び14cの嵌合部14b1及び14cと、隣接するLED式灯具ユニット10の側板14c及び14bの嵌合部14c1及び14b1とが相互に嵌合してに位置決めするので、隣接するLED式灯具ユニットの複数のLEDが等間隔で放射状に配置される水平面は同一面に保たれ、複数のLED式灯具ユニット10を水平面上に隣接して配置して灯台用LED式灯具を構成しても、隣接するLED式灯具ユニット10のLED12が発する光の上下方向の発散角度は同一に保たれることができる。したがって、6個のLED式灯具ユニット10が円筒状の支柱20にねじ固定された状態では、全体を一枚の円盤として取り扱うことができる。
【0052】
また、上述した60度の扇形状LED式灯具ユニット10によって、240度の角度方向に必要な光度の光を放射する灯台用LED式灯具を構成するには、図7に示すように、240度の角度方向に光を放射するのに必要な4個のLED式灯具ユニット10が、トロイダルレンズ11の曲率半径の中心を一致させて水平面上に隣接して配置されるように、各LED式灯具ユニット10の枠体14の連結部14dに形成された取付部であるねじ挿通孔14d1を通じて挿入したねじ14eを円筒状の支柱20のねじ孔21にねじ込み固定されるとともに、必要な光度の光を放射するのに必要な4個のLED式灯具ユニット10が、トロイダルレンズ11の曲率半径の中心を一致させて鉛直方向に積み重ねられて配置されるように、各LED式灯具ユニット10の枠体14の連結部14dに形成された取付部であるねじ挿通孔14d1を通じて挿入したねじ14eを円筒状の支柱20のねじ孔21にねじ込み固定される。なお、図示の場合、120度の範囲には、LED式灯具ユニット10が1つも配置されていないが、この範囲に、モニタ用として例えば1段分、或いは、光度を低減するため段数を少なくしたLED式灯具ユニット10を配置してもよい。
【0053】
この取付の際に、トロイダルレンズ11の上縁に沿って突出された凸部と下縁に沿って窪まされた凹部とからなる嵌合部11a及び11bが互いに嵌合して鉛直方向に積み重ねたとき互いに隣接するLED式灯具ユニット10間で相互に位置決めされて、鉛直方向に積み重ねたLED式灯具ユニットのトロイダルレンズ11の曲率半径の中心は一致された状態に保たれることができる。したがって、鉛直方向に積み重ねて灯台用LED式灯具を構成しても、積み重ねられたLED式灯具ユニット10のLED12が発する光の水平方向の発散角度は同一に保たれることができる。
【0054】
LED式灯具ユニット10を水平面上に隣接して配置したとき、隣接するLED式灯具ユニット10間に枠体14の側板14b及び14cが存在することになり、枠体14内に収容されるLED搭載回路基板13aはその分小さくなり、回路基板13aの円弧上に等間隔で放射状に配置されたLED12が全て側板14b及び14cの内側に有ると、隣接するLED式灯具ユニット10間において、トロイダルレンズ11から放射される光度が他の部分に比べて小さくなり、光度の欽一性が崩れるようになる。このような光度の均一性の崩れを防ぐには、図8に示すように、LED式灯具ユニット10の枠体14の側板14b及び14cにLED搭載回路基板13aの両端部とそこに配置されたLED12とを収容する開口14b2及び14c2を形成すればよい。
【0055】
このような開口14b2及び14c2を形成することにより、水平面上に隣接して配置した隣接するLED式灯具ユニットのLEDは、側板の存在にもかかわらず、トロイダルレンズの焦点の円弧と同一の円弧上に等間隔で放射状に連続して配置されることができ、LED式灯具ユニットを水平面上に隣接して配置して構成した灯台用LED式灯具において、隣接するLED式灯具ユニットの境目でも、他の部分と同様にLED12が等間隔で配置されることができ、周方向での光度の欽一性が保たれる。
【0056】
また、光度の均一性の崩れを防ぐには、図9に示すように、LED式灯具ユニット10の枠体14の側板14b及び14cにLED搭載回路基板13aの両端部とそこに配置されたLED12とを収容し、収容したLED12の発する光をトロイダルレンズ11に直接入射させる窓孔14b3及び14c3を形成すればよい。このような窓孔14b3及び14c3を形成することにより、水平面上に隣接して配置した隣接するLED式灯具ユニット10のLED12は、側板14b及び14cの存在にもかかわらず、側板14b及び14cに邪魔されることなく、窓孔14b3及び14c3に配置されたLED12が発する光が隣接するLED式灯具ユニット10のトロイダルレンズ11にも入射され、LED式灯具ユニット10を水平面上に隣接して配置して構成した灯台用LED式灯具において、隣接するLED式灯具ユニット10の境目でも、他の部分と同様にLED12が等間隔で配置され、しかも、隣接するLED式灯具ユニット10のトロイダルレンズ11から発散される光度に差異がなくなり、周方向での光度が均一に保たれる。
【0057】
上述したように、LED式灯具ユニット10をトロイダルレンズ11の曲率半径の中心を一致させて水平面上に隣接して配置するとともに鉛直方向に積み重ねてLED式灯具が構成されるが、図10に示すように、90度の扇形状LED式灯具ユニット10′により構成したLED式灯具が塔上のガラス製のフード30内に収容して設置されたとき、大型の灯台のため、ガラス製のフード30の図示しない屋根を支える柱31が設けられている場合には、指向性の高いLEDが発する光が柱31によって遮られ、灯台の外に放射されなくなる部分ができてしまう。
【0058】
このような場合には、図11に示すように、塔上のフード30内の収容した複数のLED式灯具ユニット10′を必要な光度分積み重ねて構成した灯台用LED式灯具を、複数のLED式灯具ユニット10′をトロイダルレンズ11の曲率半径の中心を一致させて水平面上に隣接して配置した状態から相互の角度位置関係を保って離間するように径方向に移動した位置に、支持体21によって相互の位置関係を保って支柱20′に設置すればよい。積み重ねて構成した灯台用LED式灯具を径方向に移動した位置に設置する構成は、移動した位置に固定できれば、図11に示すもので以外の構成でもよい。
【0059】
この構成によって、フード30の半径がトロイダルレンズ11の曲率半径に比べて大きな場合であっても、フード30内径に相当する外形を有する灯台用LED式灯具を備えたLED式灯台として機能されることができ、フード30の屋根を支持する柱31が存在しても、LED12が発する光が柱31によって遮られることがなく、フード内径に応じたLED式灯具ユニット10を用意する必要がなくなり、コストダウンを図ることができる。
【0060】
上述した実施形態の複数のLED式灯具ユニット10を使用して構成したLED式灯具では、LEDの劣化や断線により灯具の光度が低下する障害が発生し、修理を行う必要が生じた場合、一段全体を交換することなしに障害が発生したユニットを交換することにより復旧が可能で、部分的な交換が可能であるので、コストの削減が可能となり、補修部品も一段全体でなく、ユニットで用意すれば済むので、この点からもコストを低減する効果がある。
【0061】
また、灯具を構成するユニットで製造することにより、一段360度の灯具を構成するために必要な数だけ量産効果が生じ、製造コストの低減がかのうである。同時に、製造に使用する金型も小さくて済むことから、かなが多大が安価となり、取り扱いも容易である。
【0062】
さらに、LED搭載回路基板13aの原板は、1m四方の定尺で販売されており、基板製造メーカは定尺から適当な寸法で分割して使用することになるが、360度のユニットの場合、LED搭載回路基板13a′の直径は約45cmとなり、図12の(a)に示すように、定尺1m四方の基板を50cm四方に4分割し、その上にパターンを描き一段分のユニットを製造することになる。この場合、定尺の基板から4個のユニットしか製造することができない。これに対し、90度の扇形状ユニットの場合には、図12(b)に示すように、33cm四方のプリント基板で一段分の灯具が製造できるので、定尺の基板から9段分の扇形状ユニットを製造できるようになり、LED搭載回路基板の製造のコストダウンが可能となる。
【0063】
さらに、360度のユニットを1枚の基板や金型で製造すると、製造時に発生する基板などのゆがみがLEDの発光方向に影響を与え、全体に水平を維持することが困難である。これに対し、分割して製造すれば、取り扱う基板の大きさが小さいので基板に起因する光の放射方向に与える影響は小さくなる。また、複数の基板で一段を構成するので、つなぎ部分で微調整が可能で、基板のゆがみの影響を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明に係るLED式灯具ユニットの一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1のLED式灯具ユニットをトロイダルレンズの曲率半径の中心を一致させて水平面上に隣接して配置した状態を示す簡略平面図である。
【図3】図1のLED式灯具ユニットの回路基板を示す斜視図である。
【図4】図1のLED式灯具ユニットの断面図である。
【図5】図1のLED式灯具ユニットの枠体を示す斜視図である。
【図6】放射角度360度1段の灯台用LED式灯具を示す分解斜視図である。
【図7】放射角度240度4段の灯台用LED式灯具の組み立てを示す斜視図である。
【図8】LED式灯具ユニットの一部分の変形例を示す平面図である。
【図9】LED式灯具ユニットの一部分の他の変形例を示す平面図である。
【図10】塔上のフード内に灯台用LED式灯具を設置して構成したLED式灯台の一実施形態を示す平面図である。
【図11】塔上のフード内に灯台用LED式灯具を設置して構成したLED式灯台の他の実施形態を示す平面図である。
【図12】本発明によるLED式灯具ユニットの効果を説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0065】
10 LED式灯具ユニット
11 トロイダルレンズ
11a、11b 嵌合部
12 LED(発光ダイオード)
13 回路基板(プリント回路基板)
14 枠体
14a 水平板
14b、14c 側板
14d 連結板
14b1、14c1 嵌合部
14b2、14c2 開口
14b3、14c3 窓孔
30 フード
【技術分野】
【0001】
本発明はLED式灯具ユニット、灯台用LED式灯具及びLED式灯台に係り、特に、光源としてLED(発光ダイオード)を使用した灯台用LED式灯具を形成するのに適したLED式灯具ユニット、複数のLED式灯具ユニットを組み立てて構成した灯台用LED式灯具、及び該灯台用LED式灯具を塔上のフード内に収容して設置したLED式灯台に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光源にLEDを利用したこの種のLED式灯具は、消費電力が少なく断線事故が少ないため、海上航路標識用の灯具として適用されるようになってきた。従来、この種のLED式灯具として、LEDをその発する光がいずれも水平方向に向くように回路基板の水平円周上に複数放射状に配置し、その外方にLEDの発する光を水平全周方向に集束するレンズを配置して構成したユニットを複数積み重ねたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2001−135102公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述した従来のLED式灯具は、回路基板の水平円周上に複数のLEDを放射状に配置したユニットを、灯具として必要な光度となるように複数積み重ねて構成されているので、360度の全周方向に光を発射することが必要とされる海上航路標識用の灯具、すなわち、海上に浮かべた海上ブイとして使用するには適している。
【0004】
なお、上述した従来のLED式灯具を、陸側の灯火が必要とされない岬の先端などに設置される灯台や、利用者から灯台までの距離が近い港側或いは陸側の光度を低減することができる港の防波堤に設置される灯台などに適用した場合、不要な発光を抑え電源の電力消費を低減することによって、高価な太陽電池や蓄電池の小型化のため、港側或いは陸側のLEDの全部或いは一部を点灯させないようにして使用することが考えられる。しかしながら、組み込まれている大量のLEDを点灯しないままにして使用される灯具は、コストパフォーマンスが良くなく、必要以上に高価なものとなってしまう問題がある。
【0005】
そこで、灯台の設置場所に応じて、回路基板の水平円周上に放射状に配置すべきLEDのうち点灯されないLEDを組み込まず、点灯されないLEDが組み込まれないユニットを別個に制作することも考えられるが、このような対処の仕方では、多品種少量生産となってしまい、ユニットのコストを低減することができず、点灯しない大量のLEDを組み込んだ灯具と変わらず高価なものとなってしまう。
【0006】
よって本発明は、上述した現状に鑑み、陸側の灯火が必要とされない岬の先端などに設置される灯台や、利用者から灯台までの距離が近い港側或いは陸側の光度を低減することができる港の防波堤に設置される灯台などに適用した場合、コストアップすることなく灯台用LED式灯具に点灯されないLEDが組み込まれないようにできるLED式灯具ユニットを提供することを課題としている。
【0007】
本発明はまた、上述した現状に鑑み、陸側の灯火が必要とされない岬の先端などに設置される灯台や、利用者から灯台までの距離が近い港側或いは陸側の光度を低減することができる港の防波堤に設置される灯台などに適用した場合、コストアップすることなく灯台用LED式灯具に点灯されないLEDが組み込まれないようにできるLED式灯具ユニットを使用してコストダウンを図った灯台用LED式灯具及び該灯台用LED式灯具を塔上のフード内に収容して設置したLED式灯台を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためになされた請求項1に係るLED式灯具ユニットは、トロイダルレンズと、複数の光源としてのLEDと、該複数のLEDが前記トロイダルレンズの焦点の円弧と同一の円弧上に等間隔で放射状に配置された回路基板と、前記トロイダルレンズと一体に形成され、前記トロイダルレンズの焦点の円弧と前記複数のLEDが配置された円弧が一致するように前記回路基板を位置決めして収容した枠体とを備えるLED式灯具ユニットであって、複数の当該LED式灯具ユニットを前記トロイダルレンズの曲率半径の中心を一致させて水平面上に隣接して配置することができ、該配置によって前記トロイダルレンズが単一の円環を形成する扇形状に形成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項1記載の発明によれば、LED式灯具ユニットは、トロイダルレンズと複数の光源としてのLEDと回路基板と枠体とを備え、回路基板には複数のLEDがトロイダルレンズの焦点の円弧と同一の円弧上に等間隔で放射状に配置され、トロイダルレンズと一体に形成された枠体には、トロイダルレンズの焦点の円弧と複数のLEDが配置された円弧が一致するように回路基板が位置決めして収容されており、複数のLED式灯具ユニットをトロイダルレンズの曲率半径の中心を一致させて水平面上に隣接して配置することができ、この配置によってトロイダルレンズが単一の円環を形成する扇形状に形成されているので、必要な角度方向に必要な光度の光を発射することができる数のLED式灯具ユニットを、水平面上に隣接して配置するとともに積み重ねることによって、必要な角度方向に必要な光度の光を発射することができる灯台用LED式灯具を構成することができ、必要な数のLED式灯具ユニットを、トロイダルレンズの曲率半径の中心を一致させて配置することができる。
【0010】
請求項2に係るLED式灯具ユニットは、請求項1記載のLED式灯具ユニットにおいて、前記枠体が、前記トロイダルレンズの上下一側縁から前記扇形の中心部に延長され、前記回路基板が水平に位置決め固定された扇形状の水平板と、前記トロイダルレンズの長手方向の両側縁部から前記扇形の中心部に延長された側板と、前記扇形の中心部に延長された前記水平板及び前記側板の延長端を相互に連結する連結板とを有し、前記連結部に、複数の当該LED式灯具ユニットが組み付けられてLED式灯具を形成する支柱に対する取付部が形成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項2記載の発明によれば、枠体が扇形状の水平板と側板と連結板とを有し、トロイダルレンズの上下一側縁から扇形の中心部に延長された水平板とトロイダルレンズの長手方向の両側縁部から前記扇形の中心部に延長された側板の延長端が連結板により連結され、水平板には回路基板が水平に位置決め固定され、連結部には複数のLED式灯具ユニットが組み付けられてLED式灯具を形成する支柱に対する取付部が形成されているので、各LED式灯具ユニットは十分な強度を有するものとして構成され、必要な角度方向に必要な光度の光を放射することができる数のLED式灯具ユニットを、その連結部の取付部を支柱に取り付けることで、トロイダルレンズの曲率半径の中心を一致させて水平面上に隣接して配置するとともに積み重ねることができる。
【0012】
請求項3に係るLED式灯具ユニットは、請求項2記載のLED式灯具ユニットにおいて、前記側板は、複数の当該LED式灯具ユニットを前記トロイダルレンズの曲率半径の中心を一致させて水平面上に隣接して配置したとき互いに隣接する当該LED式灯具ユニット間で相互に嵌合して位置決めする嵌合部を有することを特徴とする。
【0013】
請求項3記載の発明によれば、側板が有する嵌合部は、複数のLED式灯具ユニットをトロイダルレンズの曲率半径の中心を一致させて水平面上に隣接して配置したとき互いに隣接するLED式灯具ユニット間で相互に嵌合して位置決めするので、トロイダルレンズの曲率半径の中心を一致させて水平面上に隣接して配置した隣接するLED式灯具ユニットの複数のLEDが等間隔で放射状に配置される水平面は同一面に保たれることができる。
【0014】
請求項4に係るLED式灯具ユニットは、請求項2又は3記載のLED式灯具ユニットにおいて、複数の当該LED式灯具ユニットを鉛直方向に積み重ねたとき、互いに隣接する当該LED式灯具ユニット間で相互に嵌合して位置決めする嵌合部を備えることを特徴とする。
【0015】
請求項4記載の発明によれば、LED式灯具ユニットが備える嵌合部が、複数のLED式灯具ユニットを鉛直方向に積み重ねたとき互いに隣接するLED式灯具ユニット間で相互に嵌合して位置決めするので、鉛直方向に積み重ねたLED式灯具ユニットのトロイダルレンズの曲率半径の中心は一致された状態に保たれることができる。
【0016】
請求項5に係るLED式灯具ユニットは、請求項2〜4の何れかに記載のLED式灯具ユニットにおいて、前記側板に、前記回路基板に配置された両端の前記LEDを収容する開口を形成したことを特徴とする。
【0017】
請求項5記載の発明によれば、側板には、回路基板に配置された両端のLEDを収容する開口が形成されているので、水平面上に隣接して配置した隣接するLED式灯具ユニットのLEDは、側板の存在にもかかわらず、トロイダルレンズの焦点の円弧と同一の円弧上に等間隔で放射状に連続して配置されることができる。
【0018】
請求項6に係るLED式灯具ユニットは、請求項2〜4の何れかに記載のLED式灯具ユニットにおいて、前記側板に、前記回路基板に配置された両端の前記LEDを収容するとともに、該収容したLEDの発する光を前記トロイダルレンズに直接入射させる窓孔を形成したことを特徴とする。
【0019】
請求項6記載の発明によれば、側板には、回路基板に配置された両端のLEDを収容するとともに、該収容したLEDの発する光をトロイダルレンズに直接入射させる窓孔が形成されているので、水平面上に隣接して配置した隣接するLED式灯具ユニットのLEDは、側板の存在にもかかわらず、トロイダルレンズの焦点の円弧と同一の円弧上に等間隔で放射状に連続して配置され、しかも、側板に邪魔されることなく、窓孔に配置されたLEDが発する光が隣接するLED式灯具ユニットのトロイダルレンズにも入射されることができる。
【0020】
請求項7に係る灯台用LED式灯具は、複数の請求項1〜6の何れかに記載の前記LED式灯具ユニットを鉛直方向に複数積み重ねて構成したことを特徴とする。
【0021】
請求項7記載の発明によれば、灯台用LED式灯具は、複数のLED式灯具ユニットを鉛直方向に複数積み重ねて構成されるので、必要な光度の光を放射することができる。
【0022】
請求項8に係る灯台用LED式灯具は、複数の請求項1〜6の何れかに記載の前記LED式灯具ユニットを前記トロイダルレンズの曲率半径の中心を一致させて水平面上に隣接して配置するとともに鉛直方向に積み重ねて構成したことを特徴とする。
【0023】
請求項8記載の発明によれば、灯台用LED式灯具は、複数のLED式灯具ユニットをトロイダルレンズの曲率半径の中心を一致させて水平面上に隣接して配置するとともに鉛直方向に積み重ねて構成されるので、必要な角度方向に必要な光度の光を放射することができる。
【0024】
請求項9に係るLED式灯台は、請求項8記載のLED式灯具を塔上のフード内に収容して設置したことを特徴とする。
【0025】
請求項9記載の発明によれば、LED式灯台は、LED式灯具を塔上のフード内に収容して設置されるので、必要な光度の光を必要な角度方向に放射することができる。
【0026】
請求項10に係るLED式灯台は、塔上のフード内の収容した複数の請求項7記載の前記灯台用LED式灯具を、複数の当該LED式灯具ユニットを前記トロイダルレンズの曲率半径の中心を一致させて水平面上に隣接して配置した状態から相互の角度位置関係を保って離間するように径方向に移動した位置に設置したことを特徴とする。
【0027】
請求項10記載の発明によれば、LED式灯台は、塔上のフード内の収容した複数の灯台用LED式灯具が、複数の当該LED式灯具ユニットをトロイダルレンズの曲率半径の中心を一致させて水平面上に隣接して配置した状態から相互の角度位置関係を保って離間するように径方向に移動した位置に設置されて構成されているので、フードの半径がトロイダルレンズの曲率半径に比べて大きな場合であっても、フード内径に相当する外形を有する灯台用LED式灯具を備えたLED式灯台として機能されることができる。
【0028】
請求項11に係るLED式灯台は、請求項9〜10の何れかに記載のLED式灯台において、前記灯台用LED式灯具の陸側又は港側に配置される前記LED式灯具ユニットの数を0とするか、又は海上向きに配置される前記LED式灯具ユニットの数よりも少なくしたことを特徴とする。
【0029】
請求項11記載の発明によれば、LED式灯台は、灯台用LED式灯具の陸側又は港側に配置されるLED式灯具ユニットの数が0とするか、又は海上向きに配置されるLED式灯具ユニットの数よりも少なくされているので、陸側の灯火が必要とされない岬の先端などに設置される灯台や、利用者から灯台までの距離が近い港側或いは陸側の光度を低減することができる港の防波堤に設置される灯台が構成されることができる。
【発明の効果】
【0030】
請求項1記載の発明によれば、必要な角度方向に必要な光度の光を放射することができる数のLED式灯具ユニットを、水平面上に隣接して配置するとともに積み重ねることによって、必要な角度方向に必要な光度の光を放射することができる灯台用LED式灯具を構成することができるので、陸側の灯火が必要とされない岬の先端などに設置される灯台や、利用者から灯台までの距離が近い港側或いは陸側の光度を低減することができる港の防波堤に設置される灯台などに適用した場合、コストアップすることなく灯台用LED式灯具に点灯されないLEDが組み込まれないようにできるLED式灯具ユニットを提供することができる。また、必要な数のLED式灯具ユニットをトロイダルレンズの曲率半径の中心を一致させて配置できるので、従来と変わらない形状の灯具も構成することができる。
【0031】
請求項2記載の発明によれば、各LED式灯具ユニットは十分な強度を有するものとして構成され、各必要な角度方向に必要な光度の光を放射することができる数のLED式灯具ユニットを、その連結部の取付部を支柱に取り付けることで、トロイダルレンズの曲率半径の中心を一致させて水平面上に隣接して配置したり、積み重ねることができるので、必要な角度方向に必要な光度の光を放射することができる十分に堅牢な灯台用LED式灯具を容易に構成することができる。
【0032】
請求項3記載の発明によれば、トロイダルレンズの曲率半径の中心を一致させて水平面上に隣接して配置した隣接するLED式灯具ユニットの複数のLEDが等間隔で放射状に配置される水平面は同一面に保たれるので、LED式灯具ユニットを水平面上に隣接して配置して灯台用LED式灯具を構成しても、隣接するLED式灯具ユニットのLEDが発する光の上下方向の発散角度は同一に保たれることができる。
【0033】
請求項4記載の発明によれば、鉛直方向に積み重ねたLED式灯具ユニットのトロイダルレンズの曲率半径の中心は一致された状態に保たれるので、鉛直方向に積み重ねて灯台用LED式灯具を構成しても、積み重ねられたLED式灯具ユニットのLEDが発する光の水平方向の発散角度は同一に保たれることができる。
【0034】
請求項5記載の発明によれば、水平面上に隣接して配置した隣接するLED式灯具ユニットのLEDは、側板の存在にもかかわらず、トロイダルレンズの焦点の円弧と同一の円弧上に等間隔で放射状に連続して配置されるので、LED式灯具ユニットを水平面上に隣接して配置して灯台用LED式灯具を構成しても、隣接するLED式灯具ユニットの境目でも、他の部分と同様にLEDが等間隔で配置されることができる。
【0035】
請求項6記載の発明によれば、水平面上に隣接して配置した隣接するLED式灯具ユニットのLEDは、側板の存在にもかかわらず、トロイダルレンズの焦点の円弧と同一の円弧上に等間隔で放射状に連続して配置され、しかも、側板に邪魔されることなく、窓孔に配置されたLEDが発する光が隣接するLED式灯具ユニットのトロイダルレンズにも入射されるので、LED式灯具ユニットを水平面上に隣接して配置して灯台用LED式灯具を構成しても、隣接するLED式灯具ユニットの境目でも、他の部分と同様にLEDが等間隔で配置され、しかも、隣接するLED式灯具ユニットのトロイダルレンズから発散される光度に差異がなくなり、周方向での光度が均一に保たれることができる。
【0036】
請求項7記載の発明によれば、複数のLED式灯具ユニットを積み重ねることにより、必要な光度の光を放射する灯台用LED式灯具が得られる。
【0037】
請求項8記載の発明によれば、複数のLED式灯具ユニットを水平面上に隣接して配置するとともに積み重ねることにより、必要な角度方向に必要な光度の光を放射する灯台用LED式灯具が得られる。
【0038】
請求項9記載の発明によれば、複数のLED式灯具ユニットを水平面上に隣接して配置するとともに積み重ねたうえで、塔上のフード内に収容することにより、コストアップすることなく必要な光度の光を必要な角度方向に放射するLED式灯台が得られる。
【0039】
請求項10記載の発明によれば、フードの半径がトロイダルレンズの曲率半径に比べて大きな場合であっても、フード内径に相当する外形を有する灯台用LED式灯具を備えたLED式灯台として機能されるので、フード内径に応じたLED式灯具ユニットを用意する必要がなく、コストダウンを図ることができる。
【0040】
請求項11記載の発明によれば、陸側の灯火が必要とされない岬の先端などに設置される灯台や、利用者から灯台までの距離が近い港側或いは陸側の光度を低減することができる港の防波堤に設置される灯台が構成されるので、コストアップすることなく灯台用LED式灯具に点灯されないLEDが組み込まれないようにでき、灯台用LED式灯具を塔上のフード内に収容して設置したLED式灯台を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明に係るLED式灯具ユニットの一実施形態を示す斜視図である。同図において、LED式灯具ユニット10は、円筒レンズ(シリンドリカルレンズ)を長手方向に湾曲させたレンズであるトロイダルレンズ11と、複数の光源としてのLED12と、複数のLED12がトロイダルレンズ11の焦点の円弧と同一の円弧上に等間隔で放射状に配置されたプリント回路基板13と、透明な樹脂材料の一体成型によってトロイダルレンズ11と一体に形成され、トロイダルレンズ11の焦点の円弧と複数のLED12が配置された円弧が一致するように回路基板13を位置決めして収容した枠体14とを備えている。
【0042】
LED式灯具ユニット10は、図2に簡略化して示すように、複数のLED式灯具ユニット10をトロイダルレンズ11の曲率半径の中心Oを一致させて水平面上に隣接して配置することができ、この配置によってトロイダルレンズ11が単一の円環を形成する扇形状に形成されている。図示の例では、60度に広がった扇形に形成されているが、上記条件を満たすものであれば、30度、45度などの角度でもよい。
【0043】
プリント回路基板13は、図3の斜視図及び図4の断面図に示すように、複数のLED12がトロイダルレンズ11の焦点の円弧と同一形状の円弧上に例えば2度の等間隔で放射状に配置された円弧状のLED搭載プリント回路基板13aと、LED搭載プリント回路基板13aと、この回路基盤13aに配置された複数のLED12を点灯駆動するLED駆動回路を構成する電子部品13cとを搭載した駆動回路搭載プリント回路基板13bを有する。
【0044】
駆動回路搭載プリント回路基板13bは、この回路基板13b上に搭載された円弧状のLED搭載プリント回路基板13aに配置されたLED12がトロイダルレンズ11の焦点の円弧に位置するように、スペーサ13cを介して水平板14a上にねじ13dとナット13eによって水平に固定されている。
【0045】
なお、図1において、15は回路基板13上の駆動回路の動作とLED12の点灯に必要な電力を供給するための電力線と、LED点灯のための制御信号を伝送する信号線とを有するケーブルであり、ケーブル15の端末にはコネクタ16が設けられている。端末にコネクタ16を有するケーブル15は、後述する支柱の中空部を通じて導かれ、LEDを所定の周期で間欠点灯させる制御部や太陽電池などによって充電される蓄電池に接続される。
【0046】
枠体14は、図5の斜視図に示すように、トロイダルレンズ11の下側縁から扇形の中心部に延長され、回路基板13が水平に位置決め固定される扇形状の水平板14aと、トロイダルレンズ11の長手方向の両側縁部から扇形の中心部に延長された側板14b及び14cと、扇形の中心部に延長された水平板14a並びに側板14b及び14cの延長端を相互に連結する連結板14dとを有する。連結部14dには、詳細には後述するように、複数のLED式灯具ユニット10が組み付けられてLED式灯具を形成する支柱に対する取付部が形成されている。
【0047】
なお、図示の例では、軽量化のために側板14b及び14cと連結板14dには孔が穿たれており、連結板14dに穿った孔を通じてケーブル15が引き出されている。また、水平板14aはトロイダルレンズ11の下側縁から扇形の中心部に延長されているが、上側縁から延長されていてもよい。
【0048】
枠体14の側板14b及び14cは、複数のLED式灯具ユニット10をトロイダルレンズ11の曲率半径の中心を一致させて水平面上に隣接して配置したとき互いに隣接するLED式灯具ユニット10間で相互に嵌合して位置決めする嵌合部14b1及び14c1をそれぞれ有し、図1に示す例では、嵌合部14b1及び14c1は凸部と凹部とからなっている。
【0049】
また、各LED式灯具ユニット10は、複数のLED式灯具ユニット10を鉛直方向に積み重ねたとき互いに隣接するLED式灯具ユニット間で相互に嵌合して位置決めする嵌合部11a及び11bを備え、図1及び図4に示す例では、嵌合部11a及び11bがトロイダルレンズ11の上縁に沿って突出された凸部と下縁に沿って窪まされた凹部とからなっている。
【0050】
上述した60度の扇形状LED式灯具ユニット10によって360度の全周方向にLED12の光を放射する灯台用LED式灯具を構成するには、図6に示すように、6個のLED式灯具ユニット10が、トロイダルレンズ11の曲率半径の中心を一致させて水平面上に隣接して配置されるように、各LED式灯具ユニット10の枠体14の連結部14dに形成された取付部であるねじ挿通孔14d1を通じて挿入したねじ14eを円筒状の支柱20のねじ孔21にねじ込み固定される。
【0051】
この取付の際に、側板14b及び14cの嵌合部14b1及び14cと、隣接するLED式灯具ユニット10の側板14c及び14bの嵌合部14c1及び14b1とが相互に嵌合してに位置決めするので、隣接するLED式灯具ユニットの複数のLEDが等間隔で放射状に配置される水平面は同一面に保たれ、複数のLED式灯具ユニット10を水平面上に隣接して配置して灯台用LED式灯具を構成しても、隣接するLED式灯具ユニット10のLED12が発する光の上下方向の発散角度は同一に保たれることができる。したがって、6個のLED式灯具ユニット10が円筒状の支柱20にねじ固定された状態では、全体を一枚の円盤として取り扱うことができる。
【0052】
また、上述した60度の扇形状LED式灯具ユニット10によって、240度の角度方向に必要な光度の光を放射する灯台用LED式灯具を構成するには、図7に示すように、240度の角度方向に光を放射するのに必要な4個のLED式灯具ユニット10が、トロイダルレンズ11の曲率半径の中心を一致させて水平面上に隣接して配置されるように、各LED式灯具ユニット10の枠体14の連結部14dに形成された取付部であるねじ挿通孔14d1を通じて挿入したねじ14eを円筒状の支柱20のねじ孔21にねじ込み固定されるとともに、必要な光度の光を放射するのに必要な4個のLED式灯具ユニット10が、トロイダルレンズ11の曲率半径の中心を一致させて鉛直方向に積み重ねられて配置されるように、各LED式灯具ユニット10の枠体14の連結部14dに形成された取付部であるねじ挿通孔14d1を通じて挿入したねじ14eを円筒状の支柱20のねじ孔21にねじ込み固定される。なお、図示の場合、120度の範囲には、LED式灯具ユニット10が1つも配置されていないが、この範囲に、モニタ用として例えば1段分、或いは、光度を低減するため段数を少なくしたLED式灯具ユニット10を配置してもよい。
【0053】
この取付の際に、トロイダルレンズ11の上縁に沿って突出された凸部と下縁に沿って窪まされた凹部とからなる嵌合部11a及び11bが互いに嵌合して鉛直方向に積み重ねたとき互いに隣接するLED式灯具ユニット10間で相互に位置決めされて、鉛直方向に積み重ねたLED式灯具ユニットのトロイダルレンズ11の曲率半径の中心は一致された状態に保たれることができる。したがって、鉛直方向に積み重ねて灯台用LED式灯具を構成しても、積み重ねられたLED式灯具ユニット10のLED12が発する光の水平方向の発散角度は同一に保たれることができる。
【0054】
LED式灯具ユニット10を水平面上に隣接して配置したとき、隣接するLED式灯具ユニット10間に枠体14の側板14b及び14cが存在することになり、枠体14内に収容されるLED搭載回路基板13aはその分小さくなり、回路基板13aの円弧上に等間隔で放射状に配置されたLED12が全て側板14b及び14cの内側に有ると、隣接するLED式灯具ユニット10間において、トロイダルレンズ11から放射される光度が他の部分に比べて小さくなり、光度の欽一性が崩れるようになる。このような光度の均一性の崩れを防ぐには、図8に示すように、LED式灯具ユニット10の枠体14の側板14b及び14cにLED搭載回路基板13aの両端部とそこに配置されたLED12とを収容する開口14b2及び14c2を形成すればよい。
【0055】
このような開口14b2及び14c2を形成することにより、水平面上に隣接して配置した隣接するLED式灯具ユニットのLEDは、側板の存在にもかかわらず、トロイダルレンズの焦点の円弧と同一の円弧上に等間隔で放射状に連続して配置されることができ、LED式灯具ユニットを水平面上に隣接して配置して構成した灯台用LED式灯具において、隣接するLED式灯具ユニットの境目でも、他の部分と同様にLED12が等間隔で配置されることができ、周方向での光度の欽一性が保たれる。
【0056】
また、光度の均一性の崩れを防ぐには、図9に示すように、LED式灯具ユニット10の枠体14の側板14b及び14cにLED搭載回路基板13aの両端部とそこに配置されたLED12とを収容し、収容したLED12の発する光をトロイダルレンズ11に直接入射させる窓孔14b3及び14c3を形成すればよい。このような窓孔14b3及び14c3を形成することにより、水平面上に隣接して配置した隣接するLED式灯具ユニット10のLED12は、側板14b及び14cの存在にもかかわらず、側板14b及び14cに邪魔されることなく、窓孔14b3及び14c3に配置されたLED12が発する光が隣接するLED式灯具ユニット10のトロイダルレンズ11にも入射され、LED式灯具ユニット10を水平面上に隣接して配置して構成した灯台用LED式灯具において、隣接するLED式灯具ユニット10の境目でも、他の部分と同様にLED12が等間隔で配置され、しかも、隣接するLED式灯具ユニット10のトロイダルレンズ11から発散される光度に差異がなくなり、周方向での光度が均一に保たれる。
【0057】
上述したように、LED式灯具ユニット10をトロイダルレンズ11の曲率半径の中心を一致させて水平面上に隣接して配置するとともに鉛直方向に積み重ねてLED式灯具が構成されるが、図10に示すように、90度の扇形状LED式灯具ユニット10′により構成したLED式灯具が塔上のガラス製のフード30内に収容して設置されたとき、大型の灯台のため、ガラス製のフード30の図示しない屋根を支える柱31が設けられている場合には、指向性の高いLEDが発する光が柱31によって遮られ、灯台の外に放射されなくなる部分ができてしまう。
【0058】
このような場合には、図11に示すように、塔上のフード30内の収容した複数のLED式灯具ユニット10′を必要な光度分積み重ねて構成した灯台用LED式灯具を、複数のLED式灯具ユニット10′をトロイダルレンズ11の曲率半径の中心を一致させて水平面上に隣接して配置した状態から相互の角度位置関係を保って離間するように径方向に移動した位置に、支持体21によって相互の位置関係を保って支柱20′に設置すればよい。積み重ねて構成した灯台用LED式灯具を径方向に移動した位置に設置する構成は、移動した位置に固定できれば、図11に示すもので以外の構成でもよい。
【0059】
この構成によって、フード30の半径がトロイダルレンズ11の曲率半径に比べて大きな場合であっても、フード30内径に相当する外形を有する灯台用LED式灯具を備えたLED式灯台として機能されることができ、フード30の屋根を支持する柱31が存在しても、LED12が発する光が柱31によって遮られることがなく、フード内径に応じたLED式灯具ユニット10を用意する必要がなくなり、コストダウンを図ることができる。
【0060】
上述した実施形態の複数のLED式灯具ユニット10を使用して構成したLED式灯具では、LEDの劣化や断線により灯具の光度が低下する障害が発生し、修理を行う必要が生じた場合、一段全体を交換することなしに障害が発生したユニットを交換することにより復旧が可能で、部分的な交換が可能であるので、コストの削減が可能となり、補修部品も一段全体でなく、ユニットで用意すれば済むので、この点からもコストを低減する効果がある。
【0061】
また、灯具を構成するユニットで製造することにより、一段360度の灯具を構成するために必要な数だけ量産効果が生じ、製造コストの低減がかのうである。同時に、製造に使用する金型も小さくて済むことから、かなが多大が安価となり、取り扱いも容易である。
【0062】
さらに、LED搭載回路基板13aの原板は、1m四方の定尺で販売されており、基板製造メーカは定尺から適当な寸法で分割して使用することになるが、360度のユニットの場合、LED搭載回路基板13a′の直径は約45cmとなり、図12の(a)に示すように、定尺1m四方の基板を50cm四方に4分割し、その上にパターンを描き一段分のユニットを製造することになる。この場合、定尺の基板から4個のユニットしか製造することができない。これに対し、90度の扇形状ユニットの場合には、図12(b)に示すように、33cm四方のプリント基板で一段分の灯具が製造できるので、定尺の基板から9段分の扇形状ユニットを製造できるようになり、LED搭載回路基板の製造のコストダウンが可能となる。
【0063】
さらに、360度のユニットを1枚の基板や金型で製造すると、製造時に発生する基板などのゆがみがLEDの発光方向に影響を与え、全体に水平を維持することが困難である。これに対し、分割して製造すれば、取り扱う基板の大きさが小さいので基板に起因する光の放射方向に与える影響は小さくなる。また、複数の基板で一段を構成するので、つなぎ部分で微調整が可能で、基板のゆがみの影響を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明に係るLED式灯具ユニットの一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1のLED式灯具ユニットをトロイダルレンズの曲率半径の中心を一致させて水平面上に隣接して配置した状態を示す簡略平面図である。
【図3】図1のLED式灯具ユニットの回路基板を示す斜視図である。
【図4】図1のLED式灯具ユニットの断面図である。
【図5】図1のLED式灯具ユニットの枠体を示す斜視図である。
【図6】放射角度360度1段の灯台用LED式灯具を示す分解斜視図である。
【図7】放射角度240度4段の灯台用LED式灯具の組み立てを示す斜視図である。
【図8】LED式灯具ユニットの一部分の変形例を示す平面図である。
【図9】LED式灯具ユニットの一部分の他の変形例を示す平面図である。
【図10】塔上のフード内に灯台用LED式灯具を設置して構成したLED式灯台の一実施形態を示す平面図である。
【図11】塔上のフード内に灯台用LED式灯具を設置して構成したLED式灯台の他の実施形態を示す平面図である。
【図12】本発明によるLED式灯具ユニットの効果を説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0065】
10 LED式灯具ユニット
11 トロイダルレンズ
11a、11b 嵌合部
12 LED(発光ダイオード)
13 回路基板(プリント回路基板)
14 枠体
14a 水平板
14b、14c 側板
14d 連結板
14b1、14c1 嵌合部
14b2、14c2 開口
14b3、14c3 窓孔
30 フード
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トロイダルレンズと、複数の光源としてのLEDと、該複数のLEDが前記トロイダルレンズの焦点の円弧と同一の円弧上に等間隔で放射状に配置された回路基板と、前記トロイダルレンズと一体に形成され、前記トロイダルレンズの焦点の円弧と前記複数のLEDが配置された円弧が一致するように前記回路基板を位置決めして収容した枠体とを備えるLED式灯具ユニットであって、
複数の当該LED式灯具ユニットを前記トロイダルレンズの曲率半径の中心を一致させて水平面上に隣接して配置することができ、該配置によって前記トロイダルレンズが単一の円環を形成する扇形状に形成されている
ことを特徴とするLED式灯具ユニット。
【請求項2】
前記枠体が、前記トロイダルレンズの上下一側縁から前記扇形の中心部に延長され、前記回路基板が水平に位置決め固定された扇形状の水平板と、前記トロイダルレンズの長手方向の両側縁部から前記扇形の中心部に延長された側板と、前記扇形の中心部に延長された前記水平板及び前記側板の延長端を相互に連結する連結板とを有し、前記連結部に、複数の当該LED式灯具ユニットが組み付けられてLED式灯具を形成する支柱に対する取付部が形成されている
ことを特徴とする請求項1記載のLED式灯具ユニット。
【請求項3】
前記側板は、複数の当該LED式灯具ユニットを前記トロイダルレンズの曲率半径の中心を一致させて水平面上に隣接して配置したとき互いに隣接する当該LED式灯具ユニット間で相互に嵌合して位置決めする嵌合部を有する
ことを特徴とする請求項2記載のLED式灯具ユニット。
【請求項4】
複数の当該LED式灯具ユニットを鉛直方向に積み重ねたとき互いに隣接する当該LED式灯具ユニット間で相互に嵌合して位置決めする嵌合部を備える
ことを特徴とする請求項2又は3記載のLED式灯具ユニット。
【請求項5】
前記側板に、前記回路基板に配置された両端の前記LEDを収容する開口を形成した
ことを特徴とする請求項2〜4の何れかに記載のLED式灯具ユニット。
【請求項6】
前記側板に、前記回路基板に配置された両端の前記LEDを収容するとともに、該収容したLEDの発する光を前記トロイダルレンズに直接入射させる窓孔を形成した
ことを特徴とする請求項2〜4の何れかに記載のLED式灯具ユニット。
【請求項7】
複数の請求項1〜6の何れかに記載の前記LED式灯具ユニットを鉛直方向に複数積み重ねて構成した
ことを特徴とする灯台用LED式灯具。
【請求項8】
複数の請求項1〜6の何れかに記載の前記LED式灯具ユニットを前記トロイダルレンズの曲率半径の中心を一致させて水平面上に隣接して配置するとともに鉛直方向に積み重ねて構成した
ことを特徴とする灯台用LED式灯具。
【請求項9】
請求項8記載のLED式灯具を塔上のフード内に収容して設置した
ことを特徴とするLED式灯台。
【請求項10】
塔上のフード内の収容した複数の請求項7記載の前記灯台用LED式灯具を、複数の当該LED式灯具ユニットを前記トロイダルレンズの曲率半径の中心を一致させて水平面上に隣接して配置した状態から相互の角度位置関係を保って離間するように径方向に移動した位置に設置した
ことを特徴とするLED式灯台。
【請求項11】
前記灯台用LED式灯具の陸側又は港側に配置される前記LED式灯具ユニットの数を0とするか、又は海上向きに配置される前記LED式灯具ユニットの数よりも少なくした
ことを特徴とする請求項9〜10の何れかに記載のLED式灯台。
【請求項1】
トロイダルレンズと、複数の光源としてのLEDと、該複数のLEDが前記トロイダルレンズの焦点の円弧と同一の円弧上に等間隔で放射状に配置された回路基板と、前記トロイダルレンズと一体に形成され、前記トロイダルレンズの焦点の円弧と前記複数のLEDが配置された円弧が一致するように前記回路基板を位置決めして収容した枠体とを備えるLED式灯具ユニットであって、
複数の当該LED式灯具ユニットを前記トロイダルレンズの曲率半径の中心を一致させて水平面上に隣接して配置することができ、該配置によって前記トロイダルレンズが単一の円環を形成する扇形状に形成されている
ことを特徴とするLED式灯具ユニット。
【請求項2】
前記枠体が、前記トロイダルレンズの上下一側縁から前記扇形の中心部に延長され、前記回路基板が水平に位置決め固定された扇形状の水平板と、前記トロイダルレンズの長手方向の両側縁部から前記扇形の中心部に延長された側板と、前記扇形の中心部に延長された前記水平板及び前記側板の延長端を相互に連結する連結板とを有し、前記連結部に、複数の当該LED式灯具ユニットが組み付けられてLED式灯具を形成する支柱に対する取付部が形成されている
ことを特徴とする請求項1記載のLED式灯具ユニット。
【請求項3】
前記側板は、複数の当該LED式灯具ユニットを前記トロイダルレンズの曲率半径の中心を一致させて水平面上に隣接して配置したとき互いに隣接する当該LED式灯具ユニット間で相互に嵌合して位置決めする嵌合部を有する
ことを特徴とする請求項2記載のLED式灯具ユニット。
【請求項4】
複数の当該LED式灯具ユニットを鉛直方向に積み重ねたとき互いに隣接する当該LED式灯具ユニット間で相互に嵌合して位置決めする嵌合部を備える
ことを特徴とする請求項2又は3記載のLED式灯具ユニット。
【請求項5】
前記側板に、前記回路基板に配置された両端の前記LEDを収容する開口を形成した
ことを特徴とする請求項2〜4の何れかに記載のLED式灯具ユニット。
【請求項6】
前記側板に、前記回路基板に配置された両端の前記LEDを収容するとともに、該収容したLEDの発する光を前記トロイダルレンズに直接入射させる窓孔を形成した
ことを特徴とする請求項2〜4の何れかに記載のLED式灯具ユニット。
【請求項7】
複数の請求項1〜6の何れかに記載の前記LED式灯具ユニットを鉛直方向に複数積み重ねて構成した
ことを特徴とする灯台用LED式灯具。
【請求項8】
複数の請求項1〜6の何れかに記載の前記LED式灯具ユニットを前記トロイダルレンズの曲率半径の中心を一致させて水平面上に隣接して配置するとともに鉛直方向に積み重ねて構成した
ことを特徴とする灯台用LED式灯具。
【請求項9】
請求項8記載のLED式灯具を塔上のフード内に収容して設置した
ことを特徴とするLED式灯台。
【請求項10】
塔上のフード内の収容した複数の請求項7記載の前記灯台用LED式灯具を、複数の当該LED式灯具ユニットを前記トロイダルレンズの曲率半径の中心を一致させて水平面上に隣接して配置した状態から相互の角度位置関係を保って離間するように径方向に移動した位置に設置した
ことを特徴とするLED式灯台。
【請求項11】
前記灯台用LED式灯具の陸側又は港側に配置される前記LED式灯具ユニットの数を0とするか、又は海上向きに配置される前記LED式灯具ユニットの数よりも少なくした
ことを特徴とする請求項9〜10の何れかに記載のLED式灯台。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−76250(P2009−76250A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−242319(P2007−242319)
【出願日】平成19年9月19日(2007.9.19)
【出願人】(597030338)セナーアンドバーンズ株式会社 (3)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月19日(2007.9.19)
【出願人】(597030338)セナーアンドバーンズ株式会社 (3)
【Fターム(参考)】
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