LED点灯装置及びLED電球
【課題】LED電球が高圧放電ランプ用安定器(チョークコイル)を介して電源に接続されてしまった場合でも、そのLED電球を再使用可能な状態で保護する構成を提供する。
【解決手段】入力電圧を整流する整流回路、整流回路の出力からLED素子に流れる電流を制限する電流制限回路、電流制限回路の出力を制御する制御回路、及びLED素子に並列接続された平滑コンデンサを備えたLED点灯装置において、印加される電圧がブレークダウン電圧を超えると導通する電圧スイッチ素子とインピーダンス素子の直列回路を整流回路の出力端間に接続し、インピーダンス素子に発生する電圧が所定の閾値を超えた場合に制御回路が電流制限回路を非動作状態とするように構成した。
【解決手段】入力電圧を整流する整流回路、整流回路の出力からLED素子に流れる電流を制限する電流制限回路、電流制限回路の出力を制御する制御回路、及びLED素子に並列接続された平滑コンデンサを備えたLED点灯装置において、印加される電圧がブレークダウン電圧を超えると導通する電圧スイッチ素子とインピーダンス素子の直列回路を整流回路の出力端間に接続し、インピーダンス素子に発生する電圧が所定の閾値を超えた場合に制御回路が電流制限回路を非動作状態とするように構成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はLED点灯装置及びそれを用いたLED電球に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LEDの高輝度化が進み、白熱電球や電球形蛍光灯に代わりLED電球が普及しつつある。
図9にLED電球用の従来のLED点灯装置の一例を示す(例えば、特許文献1)。図9のLED点灯装置は、AC電源1からの入力を整流する整流回路2、整流回路2の出力からLED素子9に流れる電流を制限する電流制限回路、及び電流制限回路の出力を制御する制御回路3からなる。電流制限回路はダイオード4、トランジスタ5、電流検出抵抗6、コイル7及びコンデンサ19からなる降圧チョッパ回路で構成される。図9の点灯装置では、入力電圧に対応して整流回路2の出力が脈流電圧となるため、図10のLED電流−1で示すように、入力電圧のゼロクロスに対応してLED素子9に流れる電流が途切れる。即ち、入力電圧の周波数(例えば、50Hz、60Hz)の2倍の周波数でLED素子がON/OFFを繰り返すことになる。このON/OFFの繰返しがあると、特にOFF期間が長い場合、ユーザに光のチラツキ感を与えたり目の疲れや違和感をもたらしたりすることになり、照明として質の低い光となってしまう。
【0003】
そこで、図11に示すLED点灯装置のように、整流回路2の出力端に平滑コンデンサ20を設けて整流回路2の出力電圧を直流化することにより、LED素子9に流れる電流を図10のLED電流−2で示すように直流化することが考えられる。この構成によると、LED電流は連続的となり、照明として質の高い光を得ることができる。しかし、このようないわゆるコンデンサインプット型の回路では、入力力率が悪く、降圧チョッパ回路の動作/非動作に関係なくAC電源1を投入した際の突入電流も大きくなる問題がある。さらに、電源高調波成分も多くなり、AC電源1側からみても好ましくない。
【0004】
そして、上記の問題点を解決するために、図12Aに示すLED点灯装置が提案された。図12Aに示す点灯装置は、図9の点灯装置のコンデンサ19の代わりにそれよりも容量の大きい電解コンデンサ8を設け、降圧チョッパ回路の出力側で入力電圧の脈流を平滑化するものである。図10のLED電流−3で示すように、LED電流には入力電圧に応じたリップルが発生するものの、OFF期間がないため、照明として質の高い光を得ることができる。しかも、入力力率、電源高調波も図9に示す点灯装置とほぼ同等であり、好ましい。また、電解コンデンサ8にコイル7、スイッチ素子5及び電流検出抵抗6等が直列接続されているので、AC電源投入時の突入電流も抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−166192号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、図12Aに示すような点灯装置には、以下のような問題があることが発見された。
上記のようなLED点灯装置を内蔵するLED電球はE26口金などの規格化された口金を備え、簡単に既存の電球と交換できるようになっており、その入力電源として商用AC電源が想定されている。
一方、店舗等では従来から演色性の高いメタルハライドランプのような高圧放電ランプが使用されてきた。この高圧放電ランプもLED電球と同様にE26口金などの口金を備えている。高圧放電ランプの場合、その口金ソケットと商用AC電源の間に安定器が接続される必要があり、その安定器として銅・鉄からなるチョークコイルが用いられる場合が多い。
ここで、上記のLED電球が誤って高圧放電ランプと交換されてしまった場合、図12Bのように、LED点灯装置が高圧放電ランプ用安定器のチョークコイル21を介してAC電源1に接続されてしまうことになる。
【0007】
図12Aの接続(即ち、LED点灯装置がAC電源1に直接接続される場合)において、点灯装置の入力電流は、図13Aに示すように入力電圧のゼロクロスに対応して電流が流れないOFF期間を有し、電流勾配(di/dt)の大きい入力電流波形となる。図12Bの接続において、上記のような電流勾配の大きい電流がチョークコイル21を介して流れようとすると、この電流勾配(di/dt)に起因してチョークコイル21に起電圧が生じる。この起電圧により、図13Bに示すように点灯装置への入力電圧が振動し、そのピーク電圧が通常よりも高くなる。具体的には、当初想定していた入力ピーク電圧(例えば、AC100V入力の場合で140V程度(破線参照))に対して、その数倍のピーク電圧が点灯装置に入力されることになってしまう。
【0008】
この過電圧が、回路部品の最大定格を超えると装置が故障し、あるいは、過電圧吸収素子(サージアブソーバ)の焼損、異電圧入力の保護回路の作動(バリスタの短絡)、ヒューズの溶断等の原因となり、いずれの場合もその後、点灯装置は再使用できなくなる。また、これらの故障の結果として電源ラインに直列に挿入されている他の点灯装置のヒューズが溶断して異常状態の継続を防止する構成となっているものの、電源ラインに安定器(チョークコイル)が介在しているため、それにより電流制限されてヒューズが溶断しにくくなる。その結果として、異常状態が継続して電源ラインに異常な電流が流れ続けてしまう可能性がある。
【0009】
そこで、本発明はLED電球が高圧放電ランプ用安定器(チョークコイル)を介して電源に接続されてしまった場合でも、そのLED電球を再使用可能な状態で保護する構成を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の側面は、入力電圧を整流する整流回路、整流回路の出力からLED素子に流れる電流を制限する電流制限回路、電流制限回路の出力を制御する制御回路、及びLED素子に並列接続された平滑コンデンサを備えたLED点灯装置である。このLED点灯装置において、印加される電圧がブレークダウン電圧を超えると導通する電圧スイッチ素子とインピーダンス素子の直列回路を整流回路の出力端間に接続し、インピーダンス素子に発生する電圧が所定の閾値を超えた場合に制御回路が電流制限回路を非動作状態とするように構成した。
【0011】
ここで、電流制限回路はその出力電流を検出する電流検出抵抗を有し、制御回路が電流検出抵抗に発生する検出電圧に基づいて電流制限回路の出力を制御するよう構成され、インピーダンス素子をこの電流検出抵抗としてもよい。
さらに、積分回路が整流素子を介して整流回路の出力端間に接続され、積分回路の積分出力端に電圧スイッチ素子とインピーダンス素子の直列回路が接続されるようにしてもよい。
また、電流制限回路を降圧チョッパ回路で構成し、電流検出抵抗が降圧チョッパ回路のスイッチング素子に流れる電流を検出するように接続され、制御回路がスイッチング素子をPWM制御するように構成してもよい。
【0012】
本発明の第2の側面は、上記のLED点灯装置、LED素子、LED点灯装置及びLED素子を保持するハウジング、並びにハウジングに結合されるとともに整流回路の入力端が電気的に接続される規格化された口金を備えたLED電球である。ここで、口金をE17又はE26口金とした。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施例によるLED点灯装置の回路図である。
【図2】本発明の第1の実施例によるLED点灯装置を説明する図である。
【図3】本発明の第1の実施例によるLED点灯装置を説明する図である。
【図4】本発明の第2の実施例によるLED点灯装置の回路図である。
【図5】本発明の第2の実施例によるLED点灯装置を説明する図である。
【図6】本発明の第2の実施例によるLED点灯装置を説明する図である。
【図7】本発明の第3の実施例によるLED点灯装置の回路図である。
【図8】本発明の第4の実施例によるLED電球を示す図である。
【図9】従来のLED点灯装置の回路図である。
【図10】従来のLED点灯装置を説明する図である。
【図11】従来のLED点灯装置の回路図である。
【図12A】従来のLED点灯装置の回路図である。
【図12B】従来のLED点灯装置を説明する図である。
【図13A】図12AのLED点灯装置を説明する図である。
【図13B】図12BのLED点灯装置を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明のLED点灯装置は、それを搭載するLED電球が誤って高圧放電ランプと交換されてAC電源から高圧放電ランプ用安定器(チョークコイル)を介して接続されてしまった場合、LED点灯装置の動作を停止する構成を備える。それにより、図13Bに示したような入力電圧の振動を停止させ、点灯装置の故障を回避するものである。なお、以降の説明において、高圧放電ランプが装着されていたソケットにLED電球が装着されることを「誤装着」というものとする。また、「チョークコイル」とは高圧放電ランプ用安定器のチョークコイルをいうものとする。
【0015】
実施例1.
図1に本発明の第1の実施例によるLED点灯装置を示す。LED点灯装置は、入力電圧を整流する整流回路2、整流回路2の出力からLED素子9に流れる電流を制限する電流制限回路、電流制限回路の出力を制御する制御回路3、及びLED素子9に並列接続された平滑コンデンサ8を備える。
【0016】
上記電流制限回路はダイオード4、トランジスタ5(スイッチング素子)、電流検出抵抗6及びコイル7で主に構成される降圧チョッパ回路からなる。但し、電流制限回路は整流回路2からLED素子9へ流れる電流を制限できればフライバックコンバータ等の他の形式の回路構成であってもよい。また、平滑コンデンサ8は電解コンデンサ等からなり、LED素子9への電流を平滑化する。
【0017】
ここで、入力電圧はAC電源1(例えば、商用電源)に接続される場合、及びAC電源1からチョークコイル21を介して接続される場合の双方を想定している。整流回路2は、本実施例では全波整流回路(ダイオードブリッジ)であるが、半波整流回路でも本発明は成り立つ。またさらに、多数のLED素子を接続する場合等、高い整流電圧が必要な場合は倍電圧回路等を用いることもできる。
【0018】
制御回路3は、電流制御回路の出力電流を電流検出抵抗6に発生する電圧によって検出し、この出力電流が設定値となるようにトランジスタ5をPWM制御する。図2は電流検出抵抗6に発生する検出電圧を示す。図示するように、制御回路3は、トランジスタ5をONし、検出電圧(Vsen1)が所定値(Vref1)に達するとトランジスタ5を所定時間OFFしてから再びONする。この繰返しにより上記のPWM制御が行われる。なお、上述のように、図1では制御回路3としてPWM制御回路を示すが、電流制限回路が他の構成からなる場合には他の制御形態の制御回路となり得る。例えば、LED素子9に直列接続されるコイルのインピーダンスを高周波スイッチングにより制御するような構成の場合には、制御回路3は周波数制御回路となり得る。
【0019】
本実施例の点灯装置は、さらに、電圧スイッチ素子10と抵抗11の直列回路を整流回路2の出力端間に備え、抵抗11に発生する電圧が制御回路3に入力される。電圧スイッチ素子10は、印加される電圧がブレークダウン電圧を超えると導通する素子であり、例えば、放電ギャップ(アレスタ)、サイダック、サイリスタ、トランジスタ等、ブレークダウン電圧を設定できる素子であればよい。電圧スイッチ素子10のブレークダウン電圧の設定値は、点灯装置がチョークコイル21を介さずにAC電源に接続された場合に入力される電圧のピーク値よりも高く、点灯装置内の電子部品の最大定格電圧よりも低いものとする。例えば、点灯装置の入力電圧がAC100V用のものであり、使用する回路部品のうちの最も低い最大定格電圧が250Vである場合、ブレークダウン電圧は約160V(>100V×110%×√2)以上250V未満となる値に設定すればよい。
【0020】
ここで、図1の点灯装置を搭載したLED電球が誤装着されてチョークコイル21を介してAC電源に接続された場合を想定する。トランジスタ5が駆動開始すると入力電圧が振動し、これに対応して振動した整流電圧が整流回路2から出力される。ここで、入力電圧の整流電圧のピークが上記ブレークダウン電圧を超えると電圧スイッチ素子10が導通する。電圧スイッチ素子10が導通すると抵抗11に電圧が発生し、その電圧が制御回路3に入力される。
【0021】
図3に、電流検出抵抗6及び抵抗11から制御回路3への入力電圧を示す。同図において、下段(Vsen1)は電流検出抵抗6に発生する検出電圧、上段(Vsen2)は抵抗11に発生する電圧を示す。同図はトランジスタ5が動作を開始して間もなく電圧スイッチ素子10が導通して抵抗11に電圧が発生することを示している。即ち、制御回路3は、抵抗11に発生する電圧(Vsen2)が所定の閾値(Vref2)を超えると、トランジスタ5を停止することにより電流制限回路を非動作としてLED素子9を消灯する。制御回路3においてトランジスタ5のOFF状態がラッチされ、入力電源(即ち、AC電源1)が遮断されるまで停止状態が維持される。トランジスタ5のOFF状態が維持されて回路電流がなくなることにより入力電圧の振動がおさまり、入力電圧は、AC電源1の実効値×√2をピーク電圧とする正弦波(以下、「通常の正弦波」という)となる。
【0022】
上記動作によりLED電球が誤装着された場合であっても、点灯装置は故障することなく保護される。従って、本実施例の点灯装置を搭載したLED電球は、その後チョークコイル21を介さない通常の商用AC電源に接続すれば問題なく使用できる。
【0023】
実施例2.
実施例1では電圧スイッチ素子10及び抵抗11の直列抵抗を設ける構成を示したが、本実施例では、電流検出抵抗6が抵抗11の役割を兼ねる構成を示す。
図4は本発明の第2の実施例によるLED点灯装置を示す。本実施例では、電圧スイッチ素子10が電流検出抵抗6に直列接続される。
【0024】
ここで、図5に、制御回路3に用いるドライバICの構成を示す。電流検出抵抗6に発生する検出電圧が比較器12及び13に入力され、それぞれ基準電圧14及び15と比較される。比較器12はゲートドライバのためのものであり、検出電圧が基準電圧14の値を超えるとLow信号をゲートドライバ部に出力する。ゲートドライバ部は、トランジスタ5をONし、比較器12のLow出力を受けて所定期間トランジスタ5をOFFしてから再びONする。このON/OFF動作の繰返しによりPWM制御が行われる。比較器13は保護用ロジックのためのものであり、検出電圧が基準電圧15を超えるとLow信号をロジック部に出力する。ロジック部にLow信号が入力されると、制御回路3はトランジスタ5を停止して電流制限回路を非動作とする。制御回路3はこのトランジスタ5のOFF状態をAC電源1の遮断時までラッチする。
【0025】
本実施例でも実施例1と同様に、図4の点灯装置を搭載したLED電球が誤装着されてチョークコイル21を介してAC電源に接続された場合を想定する。トランジスタ5が駆動を開始すると入力電圧が振動し、振動した整流電圧が整流回路2から出力される。ここで、入力電圧の整流電圧のピークが上記ブレークダウン電圧を超えると電圧スイッチ素子10が導通する。電圧スイッチ素子10が導通すると電流検出抵抗6に電圧が発生し、この検出電圧が制御回路3に入力される。
【0026】
図6に、電流検出抵抗6から制御回路3への入力電圧を示す。同図はトランジスタ5が動作を開始して間もなく電圧スイッチ素子10が導通することを示している。即ち、制御回路3は、検出電圧が基準電圧14の値(Vref1)を超えないようにトランジスタ5をPWM制御する一方、このPWM制御とは関係なく検出電圧が基準電圧15の値(Vref2)を超えるとトランジスタ5を停止する。そして、制御回路3においてトランジスタ5のOFF状態がラッチされ、AC電源1が遮断されるまで停止状態、即ち、消灯状態が維持される。トランジスタ5のOFF状態が維持されて回路電流がなくなることにより入力電圧の振動がおさまり、入力電圧は通常の正弦波となる。
【0027】
本実施例の構成により、第1の実施例の構成による効果に加えて、必要最小限の追加部品で誤装着対策を行うことができる。本実施例は電圧スイッチ素子10を従来の構成に追加するだけで実現できる。従って、回路部品の実装面積が小さく、実装部品面積及び部品点数が制限されるLED電球用の点灯装置において、本実施例は非常に有利である。
【0028】
実施例3.
実施例2では整流回路2の出力端に直接電圧スイッチ素子10を接続したが、本実施例では積分回路を介して電圧スイッチ素子10を接続する構成を示す。
図7に本発明の第3の実施例によるLED点灯装置の回路図を示す。同図の点灯装置では、整流回路2の出力端に、ダイオード16を介して抵抗17とコンデンサ18からなる積分回路が接続され、その積分出力端に(即ち、コンデンサ18に並列に)電圧スイッチ素子10と電流検出抵抗6の直列回路が接続される。
【0029】
実施例1及び2と同様に、図7の点灯装置を搭載したLED電球が誤装着されてチョークコイル21を介してAC電源に接続された場合を想定する。トランジスタ5が駆動を開始すると入力電圧が振動し、振動した整流電圧が整流回路2から出力される。そして、振動した整流出力電圧がコンデンサ18に充電され、その充電電圧が電圧スイッチ素子10のブレークダウン電圧を超えると電圧スイッチ素子10が導通する。電圧スイッチ素子10が導通すると電流検出抵抗6に電圧が発生し、その検出電圧が制御回路3に入力される。
【0030】
上記構成により、異常なピーク電圧が累積的に所定幅だけ入力された場合のみ、制御回路3がトランジスタ5の動作を停止させることになる。言い換えると、正常入力電圧時に単発のサージ電圧がノイズとして印加された場合であってもトランジスタ5は停止されない。また、この構成は実施例1の構成に組み合わせることもできる。即ち、電圧スイッチ素子10と抵抗11の直列回路をコンデンサ18に並列接続し、電圧スイッチ素子10と抵抗11の接続点を制御回路3に接続してもよい。
【0031】
電圧スイッチ素子10が導通した後の動作は実施例2と同様である。即ち、制御回路3は、電流検出抵抗6に発生する検出電圧が基準電圧15の値(Vref2)を超えるとトランジスタ5の動作を停止して消灯する。そして、制御回路3においてトランジスタ5のOFF状態がラッチされ、AC電源1が遮断されるまで停止状態が維持される。トランジスタ5のOFF状態が維持されて回路電流がなくなることにより入力電圧の振動がおさまり、入力電圧は通常の正弦波となる。
【0032】
本実施例の構成により、第2の実施例の構成による効果に加えて、入力ノイズに起因する制御回路3での誤検出を防止することができる。従って、実施例2の場合と比べて、電圧スイッチ素子10のブレークダウン電圧を低くすることができるので、使用する回路部品の最も低い最大定格電圧とブレークダウン電圧とのマージンを大きくとることができ、保護動作の信頼性を高めることができる。
【0033】
実施例4.
本実施例は上記実施例1〜3のLED点灯装置を搭載したLED電球を示す。
図8は本実施例によるLED電球である。LED電球は、上述したLED点灯装置60、LED素子90、LED点灯装置60及びLED素子90を保持するハウジング70、ハウジング70に取り付けられたカバー75、並びにハウジング70に結合されるとともに整流回路2の入力端が配線61及び62を介して電気的に接続される規格化された口金80を備える。なお、LED電球の仕様に応じてカバー75はあってもなくてもよい。なお、図面(特に、ハウジング70の内部に配置される点灯装置60、配線61及び62並びにLED素子90)は模式的に示したものであり、配置、形状及び大きさは図示したものに限定されない。
【0034】
口金80はE17又はE26口金であればよいが、本発明は、高圧放電ランプの口金と互換性があるものであれば、E10〜E39等の他のサイズの口金や、回しこみタイプの口金だけでなく差し込みタイプの口金を有するLED電球にも適用できる。
【0035】
本実施例によると、誤装着の場合でも故障しないLED点灯装置が内蔵されているので、安全に使用できるLED電球を提供することができ、かつ、誤装着による故障LED電球の廃棄といった資源の無駄を回避することができる。
【0036】
上記に、本発明の最も好適な実施例を示したが、以下を注記しておく。
(1)各実施例において、電圧スイッチ素子10について、保護動作後に印加される電圧がブレークダウン電圧以下となった場合でも非導通状態を維持するものとすることが待機電力等の観点から望ましい。
【0037】
(2)実施例1では、電圧スイッチ素子10に接続されるインピーダンス素子として抵抗11を用いたが、インピーダンス素子は、抵抗、コンデンサ若しくはインダクタ又はこれらの組合せを用いることができる。但し、インダクタのみを用いる場合には、上記(1)のように、電圧スイッチ素子10を、保護動作後に印加される電圧がブレークダウン電圧以下になると非導通状態となるものとする必要がある。
【0038】
(3)実施例1では、電圧スイッチ素子10と抵抗11の直列回路において、電圧スイッチ素子10を高電位側に配置するようにしたが、低電位側に配置してもよい。この場合、電圧スイッチ素子10に追加の抵抗を並列接続して抵抗11と分圧回路を構成してもよい。この構成では、制御回路3は、それまで抵抗11を介して入力されていた電圧が閾値以下に低下することを検出して(言い換えると、抵抗11に発生する電圧が所定値以上になることを検出して)トランジスタ5の動作を停止させることになる。
【0039】
(4)各実施例はAC電源1をAC100V電源として説明したが、AC200V電源にも本発明を適用できる。そして、例えば、使用する回路部品の最も低い最大定格電圧が500Vであった場合、電圧スイッチ素子10のブレークダウン電圧は311V(>200V×10%×√2)以上500V未満とする必要がある。また、AC電源1は商用電源に限らず、構内電源、自家発電等の電源が適用されてもよい。
【符号の説明】
【0040】
2.整流回路
3.制御回路
4.ダイオード
5.トランジスタ
6.電流検出抵抗
7.コイル
8.平滑コンデンサ
9.LED素子
10.電圧スイッチ素子
11.抵抗
12、13.比較器
14、15.基準電圧
16.ダイオード
17.抵抗
18.コンデンサ
60.LED点灯装置
70.ハウジング
80.口金
90.LED素子
【技術分野】
【0001】
本発明はLED点灯装置及びそれを用いたLED電球に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LEDの高輝度化が進み、白熱電球や電球形蛍光灯に代わりLED電球が普及しつつある。
図9にLED電球用の従来のLED点灯装置の一例を示す(例えば、特許文献1)。図9のLED点灯装置は、AC電源1からの入力を整流する整流回路2、整流回路2の出力からLED素子9に流れる電流を制限する電流制限回路、及び電流制限回路の出力を制御する制御回路3からなる。電流制限回路はダイオード4、トランジスタ5、電流検出抵抗6、コイル7及びコンデンサ19からなる降圧チョッパ回路で構成される。図9の点灯装置では、入力電圧に対応して整流回路2の出力が脈流電圧となるため、図10のLED電流−1で示すように、入力電圧のゼロクロスに対応してLED素子9に流れる電流が途切れる。即ち、入力電圧の周波数(例えば、50Hz、60Hz)の2倍の周波数でLED素子がON/OFFを繰り返すことになる。このON/OFFの繰返しがあると、特にOFF期間が長い場合、ユーザに光のチラツキ感を与えたり目の疲れや違和感をもたらしたりすることになり、照明として質の低い光となってしまう。
【0003】
そこで、図11に示すLED点灯装置のように、整流回路2の出力端に平滑コンデンサ20を設けて整流回路2の出力電圧を直流化することにより、LED素子9に流れる電流を図10のLED電流−2で示すように直流化することが考えられる。この構成によると、LED電流は連続的となり、照明として質の高い光を得ることができる。しかし、このようないわゆるコンデンサインプット型の回路では、入力力率が悪く、降圧チョッパ回路の動作/非動作に関係なくAC電源1を投入した際の突入電流も大きくなる問題がある。さらに、電源高調波成分も多くなり、AC電源1側からみても好ましくない。
【0004】
そして、上記の問題点を解決するために、図12Aに示すLED点灯装置が提案された。図12Aに示す点灯装置は、図9の点灯装置のコンデンサ19の代わりにそれよりも容量の大きい電解コンデンサ8を設け、降圧チョッパ回路の出力側で入力電圧の脈流を平滑化するものである。図10のLED電流−3で示すように、LED電流には入力電圧に応じたリップルが発生するものの、OFF期間がないため、照明として質の高い光を得ることができる。しかも、入力力率、電源高調波も図9に示す点灯装置とほぼ同等であり、好ましい。また、電解コンデンサ8にコイル7、スイッチ素子5及び電流検出抵抗6等が直列接続されているので、AC電源投入時の突入電流も抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−166192号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、図12Aに示すような点灯装置には、以下のような問題があることが発見された。
上記のようなLED点灯装置を内蔵するLED電球はE26口金などの規格化された口金を備え、簡単に既存の電球と交換できるようになっており、その入力電源として商用AC電源が想定されている。
一方、店舗等では従来から演色性の高いメタルハライドランプのような高圧放電ランプが使用されてきた。この高圧放電ランプもLED電球と同様にE26口金などの口金を備えている。高圧放電ランプの場合、その口金ソケットと商用AC電源の間に安定器が接続される必要があり、その安定器として銅・鉄からなるチョークコイルが用いられる場合が多い。
ここで、上記のLED電球が誤って高圧放電ランプと交換されてしまった場合、図12Bのように、LED点灯装置が高圧放電ランプ用安定器のチョークコイル21を介してAC電源1に接続されてしまうことになる。
【0007】
図12Aの接続(即ち、LED点灯装置がAC電源1に直接接続される場合)において、点灯装置の入力電流は、図13Aに示すように入力電圧のゼロクロスに対応して電流が流れないOFF期間を有し、電流勾配(di/dt)の大きい入力電流波形となる。図12Bの接続において、上記のような電流勾配の大きい電流がチョークコイル21を介して流れようとすると、この電流勾配(di/dt)に起因してチョークコイル21に起電圧が生じる。この起電圧により、図13Bに示すように点灯装置への入力電圧が振動し、そのピーク電圧が通常よりも高くなる。具体的には、当初想定していた入力ピーク電圧(例えば、AC100V入力の場合で140V程度(破線参照))に対して、その数倍のピーク電圧が点灯装置に入力されることになってしまう。
【0008】
この過電圧が、回路部品の最大定格を超えると装置が故障し、あるいは、過電圧吸収素子(サージアブソーバ)の焼損、異電圧入力の保護回路の作動(バリスタの短絡)、ヒューズの溶断等の原因となり、いずれの場合もその後、点灯装置は再使用できなくなる。また、これらの故障の結果として電源ラインに直列に挿入されている他の点灯装置のヒューズが溶断して異常状態の継続を防止する構成となっているものの、電源ラインに安定器(チョークコイル)が介在しているため、それにより電流制限されてヒューズが溶断しにくくなる。その結果として、異常状態が継続して電源ラインに異常な電流が流れ続けてしまう可能性がある。
【0009】
そこで、本発明はLED電球が高圧放電ランプ用安定器(チョークコイル)を介して電源に接続されてしまった場合でも、そのLED電球を再使用可能な状態で保護する構成を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の側面は、入力電圧を整流する整流回路、整流回路の出力からLED素子に流れる電流を制限する電流制限回路、電流制限回路の出力を制御する制御回路、及びLED素子に並列接続された平滑コンデンサを備えたLED点灯装置である。このLED点灯装置において、印加される電圧がブレークダウン電圧を超えると導通する電圧スイッチ素子とインピーダンス素子の直列回路を整流回路の出力端間に接続し、インピーダンス素子に発生する電圧が所定の閾値を超えた場合に制御回路が電流制限回路を非動作状態とするように構成した。
【0011】
ここで、電流制限回路はその出力電流を検出する電流検出抵抗を有し、制御回路が電流検出抵抗に発生する検出電圧に基づいて電流制限回路の出力を制御するよう構成され、インピーダンス素子をこの電流検出抵抗としてもよい。
さらに、積分回路が整流素子を介して整流回路の出力端間に接続され、積分回路の積分出力端に電圧スイッチ素子とインピーダンス素子の直列回路が接続されるようにしてもよい。
また、電流制限回路を降圧チョッパ回路で構成し、電流検出抵抗が降圧チョッパ回路のスイッチング素子に流れる電流を検出するように接続され、制御回路がスイッチング素子をPWM制御するように構成してもよい。
【0012】
本発明の第2の側面は、上記のLED点灯装置、LED素子、LED点灯装置及びLED素子を保持するハウジング、並びにハウジングに結合されるとともに整流回路の入力端が電気的に接続される規格化された口金を備えたLED電球である。ここで、口金をE17又はE26口金とした。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施例によるLED点灯装置の回路図である。
【図2】本発明の第1の実施例によるLED点灯装置を説明する図である。
【図3】本発明の第1の実施例によるLED点灯装置を説明する図である。
【図4】本発明の第2の実施例によるLED点灯装置の回路図である。
【図5】本発明の第2の実施例によるLED点灯装置を説明する図である。
【図6】本発明の第2の実施例によるLED点灯装置を説明する図である。
【図7】本発明の第3の実施例によるLED点灯装置の回路図である。
【図8】本発明の第4の実施例によるLED電球を示す図である。
【図9】従来のLED点灯装置の回路図である。
【図10】従来のLED点灯装置を説明する図である。
【図11】従来のLED点灯装置の回路図である。
【図12A】従来のLED点灯装置の回路図である。
【図12B】従来のLED点灯装置を説明する図である。
【図13A】図12AのLED点灯装置を説明する図である。
【図13B】図12BのLED点灯装置を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明のLED点灯装置は、それを搭載するLED電球が誤って高圧放電ランプと交換されてAC電源から高圧放電ランプ用安定器(チョークコイル)を介して接続されてしまった場合、LED点灯装置の動作を停止する構成を備える。それにより、図13Bに示したような入力電圧の振動を停止させ、点灯装置の故障を回避するものである。なお、以降の説明において、高圧放電ランプが装着されていたソケットにLED電球が装着されることを「誤装着」というものとする。また、「チョークコイル」とは高圧放電ランプ用安定器のチョークコイルをいうものとする。
【0015】
実施例1.
図1に本発明の第1の実施例によるLED点灯装置を示す。LED点灯装置は、入力電圧を整流する整流回路2、整流回路2の出力からLED素子9に流れる電流を制限する電流制限回路、電流制限回路の出力を制御する制御回路3、及びLED素子9に並列接続された平滑コンデンサ8を備える。
【0016】
上記電流制限回路はダイオード4、トランジスタ5(スイッチング素子)、電流検出抵抗6及びコイル7で主に構成される降圧チョッパ回路からなる。但し、電流制限回路は整流回路2からLED素子9へ流れる電流を制限できればフライバックコンバータ等の他の形式の回路構成であってもよい。また、平滑コンデンサ8は電解コンデンサ等からなり、LED素子9への電流を平滑化する。
【0017】
ここで、入力電圧はAC電源1(例えば、商用電源)に接続される場合、及びAC電源1からチョークコイル21を介して接続される場合の双方を想定している。整流回路2は、本実施例では全波整流回路(ダイオードブリッジ)であるが、半波整流回路でも本発明は成り立つ。またさらに、多数のLED素子を接続する場合等、高い整流電圧が必要な場合は倍電圧回路等を用いることもできる。
【0018】
制御回路3は、電流制御回路の出力電流を電流検出抵抗6に発生する電圧によって検出し、この出力電流が設定値となるようにトランジスタ5をPWM制御する。図2は電流検出抵抗6に発生する検出電圧を示す。図示するように、制御回路3は、トランジスタ5をONし、検出電圧(Vsen1)が所定値(Vref1)に達するとトランジスタ5を所定時間OFFしてから再びONする。この繰返しにより上記のPWM制御が行われる。なお、上述のように、図1では制御回路3としてPWM制御回路を示すが、電流制限回路が他の構成からなる場合には他の制御形態の制御回路となり得る。例えば、LED素子9に直列接続されるコイルのインピーダンスを高周波スイッチングにより制御するような構成の場合には、制御回路3は周波数制御回路となり得る。
【0019】
本実施例の点灯装置は、さらに、電圧スイッチ素子10と抵抗11の直列回路を整流回路2の出力端間に備え、抵抗11に発生する電圧が制御回路3に入力される。電圧スイッチ素子10は、印加される電圧がブレークダウン電圧を超えると導通する素子であり、例えば、放電ギャップ(アレスタ)、サイダック、サイリスタ、トランジスタ等、ブレークダウン電圧を設定できる素子であればよい。電圧スイッチ素子10のブレークダウン電圧の設定値は、点灯装置がチョークコイル21を介さずにAC電源に接続された場合に入力される電圧のピーク値よりも高く、点灯装置内の電子部品の最大定格電圧よりも低いものとする。例えば、点灯装置の入力電圧がAC100V用のものであり、使用する回路部品のうちの最も低い最大定格電圧が250Vである場合、ブレークダウン電圧は約160V(>100V×110%×√2)以上250V未満となる値に設定すればよい。
【0020】
ここで、図1の点灯装置を搭載したLED電球が誤装着されてチョークコイル21を介してAC電源に接続された場合を想定する。トランジスタ5が駆動開始すると入力電圧が振動し、これに対応して振動した整流電圧が整流回路2から出力される。ここで、入力電圧の整流電圧のピークが上記ブレークダウン電圧を超えると電圧スイッチ素子10が導通する。電圧スイッチ素子10が導通すると抵抗11に電圧が発生し、その電圧が制御回路3に入力される。
【0021】
図3に、電流検出抵抗6及び抵抗11から制御回路3への入力電圧を示す。同図において、下段(Vsen1)は電流検出抵抗6に発生する検出電圧、上段(Vsen2)は抵抗11に発生する電圧を示す。同図はトランジスタ5が動作を開始して間もなく電圧スイッチ素子10が導通して抵抗11に電圧が発生することを示している。即ち、制御回路3は、抵抗11に発生する電圧(Vsen2)が所定の閾値(Vref2)を超えると、トランジスタ5を停止することにより電流制限回路を非動作としてLED素子9を消灯する。制御回路3においてトランジスタ5のOFF状態がラッチされ、入力電源(即ち、AC電源1)が遮断されるまで停止状態が維持される。トランジスタ5のOFF状態が維持されて回路電流がなくなることにより入力電圧の振動がおさまり、入力電圧は、AC電源1の実効値×√2をピーク電圧とする正弦波(以下、「通常の正弦波」という)となる。
【0022】
上記動作によりLED電球が誤装着された場合であっても、点灯装置は故障することなく保護される。従って、本実施例の点灯装置を搭載したLED電球は、その後チョークコイル21を介さない通常の商用AC電源に接続すれば問題なく使用できる。
【0023】
実施例2.
実施例1では電圧スイッチ素子10及び抵抗11の直列抵抗を設ける構成を示したが、本実施例では、電流検出抵抗6が抵抗11の役割を兼ねる構成を示す。
図4は本発明の第2の実施例によるLED点灯装置を示す。本実施例では、電圧スイッチ素子10が電流検出抵抗6に直列接続される。
【0024】
ここで、図5に、制御回路3に用いるドライバICの構成を示す。電流検出抵抗6に発生する検出電圧が比較器12及び13に入力され、それぞれ基準電圧14及び15と比較される。比較器12はゲートドライバのためのものであり、検出電圧が基準電圧14の値を超えるとLow信号をゲートドライバ部に出力する。ゲートドライバ部は、トランジスタ5をONし、比較器12のLow出力を受けて所定期間トランジスタ5をOFFしてから再びONする。このON/OFF動作の繰返しによりPWM制御が行われる。比較器13は保護用ロジックのためのものであり、検出電圧が基準電圧15を超えるとLow信号をロジック部に出力する。ロジック部にLow信号が入力されると、制御回路3はトランジスタ5を停止して電流制限回路を非動作とする。制御回路3はこのトランジスタ5のOFF状態をAC電源1の遮断時までラッチする。
【0025】
本実施例でも実施例1と同様に、図4の点灯装置を搭載したLED電球が誤装着されてチョークコイル21を介してAC電源に接続された場合を想定する。トランジスタ5が駆動を開始すると入力電圧が振動し、振動した整流電圧が整流回路2から出力される。ここで、入力電圧の整流電圧のピークが上記ブレークダウン電圧を超えると電圧スイッチ素子10が導通する。電圧スイッチ素子10が導通すると電流検出抵抗6に電圧が発生し、この検出電圧が制御回路3に入力される。
【0026】
図6に、電流検出抵抗6から制御回路3への入力電圧を示す。同図はトランジスタ5が動作を開始して間もなく電圧スイッチ素子10が導通することを示している。即ち、制御回路3は、検出電圧が基準電圧14の値(Vref1)を超えないようにトランジスタ5をPWM制御する一方、このPWM制御とは関係なく検出電圧が基準電圧15の値(Vref2)を超えるとトランジスタ5を停止する。そして、制御回路3においてトランジスタ5のOFF状態がラッチされ、AC電源1が遮断されるまで停止状態、即ち、消灯状態が維持される。トランジスタ5のOFF状態が維持されて回路電流がなくなることにより入力電圧の振動がおさまり、入力電圧は通常の正弦波となる。
【0027】
本実施例の構成により、第1の実施例の構成による効果に加えて、必要最小限の追加部品で誤装着対策を行うことができる。本実施例は電圧スイッチ素子10を従来の構成に追加するだけで実現できる。従って、回路部品の実装面積が小さく、実装部品面積及び部品点数が制限されるLED電球用の点灯装置において、本実施例は非常に有利である。
【0028】
実施例3.
実施例2では整流回路2の出力端に直接電圧スイッチ素子10を接続したが、本実施例では積分回路を介して電圧スイッチ素子10を接続する構成を示す。
図7に本発明の第3の実施例によるLED点灯装置の回路図を示す。同図の点灯装置では、整流回路2の出力端に、ダイオード16を介して抵抗17とコンデンサ18からなる積分回路が接続され、その積分出力端に(即ち、コンデンサ18に並列に)電圧スイッチ素子10と電流検出抵抗6の直列回路が接続される。
【0029】
実施例1及び2と同様に、図7の点灯装置を搭載したLED電球が誤装着されてチョークコイル21を介してAC電源に接続された場合を想定する。トランジスタ5が駆動を開始すると入力電圧が振動し、振動した整流電圧が整流回路2から出力される。そして、振動した整流出力電圧がコンデンサ18に充電され、その充電電圧が電圧スイッチ素子10のブレークダウン電圧を超えると電圧スイッチ素子10が導通する。電圧スイッチ素子10が導通すると電流検出抵抗6に電圧が発生し、その検出電圧が制御回路3に入力される。
【0030】
上記構成により、異常なピーク電圧が累積的に所定幅だけ入力された場合のみ、制御回路3がトランジスタ5の動作を停止させることになる。言い換えると、正常入力電圧時に単発のサージ電圧がノイズとして印加された場合であってもトランジスタ5は停止されない。また、この構成は実施例1の構成に組み合わせることもできる。即ち、電圧スイッチ素子10と抵抗11の直列回路をコンデンサ18に並列接続し、電圧スイッチ素子10と抵抗11の接続点を制御回路3に接続してもよい。
【0031】
電圧スイッチ素子10が導通した後の動作は実施例2と同様である。即ち、制御回路3は、電流検出抵抗6に発生する検出電圧が基準電圧15の値(Vref2)を超えるとトランジスタ5の動作を停止して消灯する。そして、制御回路3においてトランジスタ5のOFF状態がラッチされ、AC電源1が遮断されるまで停止状態が維持される。トランジスタ5のOFF状態が維持されて回路電流がなくなることにより入力電圧の振動がおさまり、入力電圧は通常の正弦波となる。
【0032】
本実施例の構成により、第2の実施例の構成による効果に加えて、入力ノイズに起因する制御回路3での誤検出を防止することができる。従って、実施例2の場合と比べて、電圧スイッチ素子10のブレークダウン電圧を低くすることができるので、使用する回路部品の最も低い最大定格電圧とブレークダウン電圧とのマージンを大きくとることができ、保護動作の信頼性を高めることができる。
【0033】
実施例4.
本実施例は上記実施例1〜3のLED点灯装置を搭載したLED電球を示す。
図8は本実施例によるLED電球である。LED電球は、上述したLED点灯装置60、LED素子90、LED点灯装置60及びLED素子90を保持するハウジング70、ハウジング70に取り付けられたカバー75、並びにハウジング70に結合されるとともに整流回路2の入力端が配線61及び62を介して電気的に接続される規格化された口金80を備える。なお、LED電球の仕様に応じてカバー75はあってもなくてもよい。なお、図面(特に、ハウジング70の内部に配置される点灯装置60、配線61及び62並びにLED素子90)は模式的に示したものであり、配置、形状及び大きさは図示したものに限定されない。
【0034】
口金80はE17又はE26口金であればよいが、本発明は、高圧放電ランプの口金と互換性があるものであれば、E10〜E39等の他のサイズの口金や、回しこみタイプの口金だけでなく差し込みタイプの口金を有するLED電球にも適用できる。
【0035】
本実施例によると、誤装着の場合でも故障しないLED点灯装置が内蔵されているので、安全に使用できるLED電球を提供することができ、かつ、誤装着による故障LED電球の廃棄といった資源の無駄を回避することができる。
【0036】
上記に、本発明の最も好適な実施例を示したが、以下を注記しておく。
(1)各実施例において、電圧スイッチ素子10について、保護動作後に印加される電圧がブレークダウン電圧以下となった場合でも非導通状態を維持するものとすることが待機電力等の観点から望ましい。
【0037】
(2)実施例1では、電圧スイッチ素子10に接続されるインピーダンス素子として抵抗11を用いたが、インピーダンス素子は、抵抗、コンデンサ若しくはインダクタ又はこれらの組合せを用いることができる。但し、インダクタのみを用いる場合には、上記(1)のように、電圧スイッチ素子10を、保護動作後に印加される電圧がブレークダウン電圧以下になると非導通状態となるものとする必要がある。
【0038】
(3)実施例1では、電圧スイッチ素子10と抵抗11の直列回路において、電圧スイッチ素子10を高電位側に配置するようにしたが、低電位側に配置してもよい。この場合、電圧スイッチ素子10に追加の抵抗を並列接続して抵抗11と分圧回路を構成してもよい。この構成では、制御回路3は、それまで抵抗11を介して入力されていた電圧が閾値以下に低下することを検出して(言い換えると、抵抗11に発生する電圧が所定値以上になることを検出して)トランジスタ5の動作を停止させることになる。
【0039】
(4)各実施例はAC電源1をAC100V電源として説明したが、AC200V電源にも本発明を適用できる。そして、例えば、使用する回路部品の最も低い最大定格電圧が500Vであった場合、電圧スイッチ素子10のブレークダウン電圧は311V(>200V×10%×√2)以上500V未満とする必要がある。また、AC電源1は商用電源に限らず、構内電源、自家発電等の電源が適用されてもよい。
【符号の説明】
【0040】
2.整流回路
3.制御回路
4.ダイオード
5.トランジスタ
6.電流検出抵抗
7.コイル
8.平滑コンデンサ
9.LED素子
10.電圧スイッチ素子
11.抵抗
12、13.比較器
14、15.基準電圧
16.ダイオード
17.抵抗
18.コンデンサ
60.LED点灯装置
70.ハウジング
80.口金
90.LED素子
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力電圧を整流する整流回路、該整流回路の出力からLED素子に流れる電流を制限する電流制限回路、該電流制限回路の出力を制御する制御回路、及び該LED素子に並列接続された平滑コンデンサを備えたLED点灯装置であって、
印加される電圧がブレークダウン電圧を超えると導通する電圧スイッチ素子とインピーダンス素子の直列回路が前記整流回路の出力端間に接続され、
前記インピーダンス素子に発生する電圧が所定の閾値を超えた場合に該制御回路が前記電流制限回路を非動作状態とするように構成されたLED点灯装置。
【請求項2】
請求項1のLED点灯装置において、前記電流制限回路がその出力電流を検出する電流検出抵抗を有し、前記制御回路が該電流検出抵抗に発生する検出電圧に基づいて該電流制限回路の出力を制御するよう構成され、前記インピーダンス素子が該電流検出抵抗である、LED点灯装置。
【請求項3】
請求項1又は2のLED点灯装置であって、さらに、積分回路が整流素子を介して前記整流回路の出力端間に接続され、該積分回路の積分出力端に前記電圧スイッチ素子と前記インピーダンス素子の直列回路が接続されたLED点灯装置。
【請求項4】
請求項2又は3のLED点灯装置において、前記電流制限回路が降圧チョッパ回路からなり、前記電流検出抵抗が該降圧チョッパ回路のスイッチング素子に流れる電流を検出するように接続され、前記制御回路が該スイッチング素子をPWM制御するように構成されたLED点灯装置。
【請求項5】
請求項1から4いずれか一項に記載のLED点灯装置、前記LED素子、該LED点灯装置及び該LED素子を保持するハウジング、並びに該ハウジングに結合されるとともに前記整流回路の入力端が電気的に接続される規格化された口金を備えたLED電球。
【請求項6】
請求項5のLED電球において、前記口金がE17又はE26口金であるLED電球。
【請求項1】
入力電圧を整流する整流回路、該整流回路の出力からLED素子に流れる電流を制限する電流制限回路、該電流制限回路の出力を制御する制御回路、及び該LED素子に並列接続された平滑コンデンサを備えたLED点灯装置であって、
印加される電圧がブレークダウン電圧を超えると導通する電圧スイッチ素子とインピーダンス素子の直列回路が前記整流回路の出力端間に接続され、
前記インピーダンス素子に発生する電圧が所定の閾値を超えた場合に該制御回路が前記電流制限回路を非動作状態とするように構成されたLED点灯装置。
【請求項2】
請求項1のLED点灯装置において、前記電流制限回路がその出力電流を検出する電流検出抵抗を有し、前記制御回路が該電流検出抵抗に発生する検出電圧に基づいて該電流制限回路の出力を制御するよう構成され、前記インピーダンス素子が該電流検出抵抗である、LED点灯装置。
【請求項3】
請求項1又は2のLED点灯装置であって、さらに、積分回路が整流素子を介して前記整流回路の出力端間に接続され、該積分回路の積分出力端に前記電圧スイッチ素子と前記インピーダンス素子の直列回路が接続されたLED点灯装置。
【請求項4】
請求項2又は3のLED点灯装置において、前記電流制限回路が降圧チョッパ回路からなり、前記電流検出抵抗が該降圧チョッパ回路のスイッチング素子に流れる電流を検出するように接続され、前記制御回路が該スイッチング素子をPWM制御するように構成されたLED点灯装置。
【請求項5】
請求項1から4いずれか一項に記載のLED点灯装置、前記LED素子、該LED点灯装置及び該LED素子を保持するハウジング、並びに該ハウジングに結合されるとともに前記整流回路の入力端が電気的に接続される規格化された口金を備えたLED電球。
【請求項6】
請求項5のLED電球において、前記口金がE17又はE26口金であるLED電球。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図13A】
【図13B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図13A】
【図13B】
【公開番号】特開2012−169198(P2012−169198A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−30589(P2011−30589)
【出願日】平成23年2月16日(2011.2.16)
【出願人】(000000192)岩崎電気株式会社 (533)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月16日(2011.2.16)
【出願人】(000000192)岩崎電気株式会社 (533)
【Fターム(参考)】
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