説明

LED用ホルダコネクタ及びその接続構造

【課題】組立性や作業性の向上を図ることのできるLED用ホルダコネクタ及びその接続構造を提供する。
【解決手段】自動車の前照灯等として機能する白色LEDを収納する絶縁性のホルダ10と、ホルダ10に配設されて白色LEDとフレキシブル回路基板を電気的に接続する一対の電気コネクタ20とを備え、ホルダ10を、白色LEDに対向する板部11と、板部11の周縁に形成されて白色LEDの発光部の周囲に接触する接触部12とから形成して板部11から白色LEDの発光部を貫通露出させ、各電気コネクタ20を、ホルダ10の板部11に挿着して白色LEDとフレキシブル回路基板の間に電気的に介在させる。ホルダ10やその一体化された一対の電気コネクタ20を使用して白色LEDを収容・位置決めしたり、収容と同時に電気的に接続するので、組立性、作業性を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、輸送機関の照明装置や交通信号機等として機能するLED用ホルダコネクタ及びその接続構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、保守の必要が少なく、水銀を使用せず、しかも、質量が小さく小型の白色LED(発光ダイオード)が注目されている(特許文献1、2、3参照)。この種の白色LEDは、図示しないフレキシブル回路基板等に小さい導電ゴム等を介し電気的に接続されたり、あるいはハンダによりハンダ付けされており、高出力で広い発光スペクトルを得ることができる。
【特許文献1】特開2007‐106191号公報
【特許文献2】特開2007‐128728号公報
【特許文献3】特開2007‐59202号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来における白色LEDは、以上のようにフレキシブル回路基板等に小さい導電ゴム等を介し単に接続されているので、組立性が悪いという問題がある。また、白色LEDの実装に際し、ハンダ付けの採用されることがあるが、小型の白色LEDを実装する場合には、ハンダ付けの作業がきわめて煩雑化し、組立作業に長時間を要するおそれが少なくない。
【0004】
本発明は上記に鑑みなされたもので、組立性や作業性の向上を図ることのできるLED用ホルダコネクタ及びその接続構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明においては上記課題を解決するため、LEDを収納する絶縁性のホルダと、このホルダに取り付けられてLEDと電気接合物とを電気的に接続する電気コネクタとを備えてなるものであって、
ホルダは、LEDに対向する板部と、この板部に形成されてLEDの発光部の周囲に接触する接触部とを含み、これら板部と接触部のいずれかからLEDの発光部を露出させ、
電気コネクタをホルダの板部と接触部のいずれかに取り付けてLEDと電気接合物との導体部間に介在させるようにしたことを特徴としている。
【0006】
なお、ホルダと電気コネクタとをインサート成形により一体化するとともに、ホルダを耐熱性の成形材料により成形することができる。
また、ホルダは、複数のLEDに対向する板部と、この板部に形成されて各LEDの発光部の周囲に接触する複数の接触部とを含み、これら板部と複数の接触部のいずれかからLEDの発光部を露出させることができる。
【0007】
また、ホルダの接触部の自由端を屈曲してLEDの発光部の周囲に引っ掛けることができる。
また、電気コネクタは、LEDと電気接合物との導体部間に介在する弾性の絶縁性エラストマーと、この絶縁性エラストマーに設けられてLEDと電気接合物との導体部間に接触する導電体とを含むと良い。
【0008】
また、電気コネクタの導電体を、複数の絶縁性エラストマーの間に設けられてLEDと電気接合物との導体部間に接触する弾性の導電性エラストマーとすることが可能である。
また、電気コネクタの導電体を、絶縁性エラストマー中に設けられて両端部が露出し、LEDと電気接合物との導体部間に屈曲可能に接触する複数本の導電ワイヤとすることが可能である。
【0009】
さらに、本発明においては上記課題を解決するため、LEDと電気接合物とを請求項1ないし5いずれかに記載のLED用ホルダコネクタにより電気的に接続するようにしたことを特徴としている。
【0010】
ここで、特許請求の範囲におけるLEDは、数や種類を特に問うものではない。ホルダと電気コネクタとは、インサート成形により一体化されるのが好ましいが、ホルダに電気コネクタを後から圧入等して一体化することもできる。また、ホルダは、単一のLEDを収納するものでも良いし、複数のLEDを並べて収納するものでも良い。
【0011】
電気接合物には、少なくともLEDの発光の妨げとならない各種の電子部品や回路基板等が含まれる。さらに、本発明に係るLED用ホルダコネクタは、輸送機関(例えば各種の自動車、オートバイ、雪上車、水上バイク等)の照明装置、カメラ付き携帯電話機、携帯ゲーム機、液晶テレビ、ビデオカメラ、パソコン、住宅用照明器具、玩具、カーナビ、交通信号機、野外看板等に幅広く利用される。
【0012】
本発明によれば、LEDと電気接合物とを電気的に接続する場合には、ホルダにLEDを収容してその発光部を露出させ、LEDとホルダの複数の電気コネクタとを導通可能に接触させ、その後、ホルダの各電気コネクタと電気接合物を導通可能に接触させれば、LEDと電気接合物とを電気的に接続することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ホルダを、LEDに対向する板部と、この板部に形成されてLEDの発光部の周囲に接触する接触部とから形成し、これら板部と接触部のいずれかからLEDの発光部を露出させ、電気コネクタをホルダの板部と接触部のいずれかに取り付けてLEDと電気接合物との導体部間に介在させるので、組立性や作業性の向上を図ることができるという効果がある。
【0014】
また、ホルダと電気コネクタとをインサート成形により一体化すれば、後工程で挿入・接着する場合に比べ、はるかに高い強度・耐久性のLED用ホルダコネクタを比較的簡単に製造したり、次工程の組み立てを容易にすることができる。また、ホルダを耐熱性の成形材料により成形すれば、高輝度のLEDの発光に伴うホルダの損傷を抑制防止することができる。
【0015】
さらに、ホルダの接触部の自由端を屈曲してLEDの発光部の周囲に引っ掛ければ、簡易な構成でLEDとホルダの一体化を図り、LEDのホルダからの脱落等を防ぐことが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施の形態を説明すると、本実施形態におけるLED用ホルダコネクタは、図1ないし図6に示すように、自動車の前照灯等として機能する白色LED1を収納するホルダ10(図4等)と、ホルダ10に配設されて白色LED1と電気接合物であるフレキシブル回路基板とを電気的に接続する一対の電気コネクタ20と、フレキシブル回路基板を上方から被覆して白色LED1の発光部3を露出させるカバーシートとを備えるようにしている。
【0017】
白色LED1は、図1や図2に示すように、基板等の取付部分に粘着テープ等を用いて粘着される平面矩形のパッケージ板2を備え、このパッケージ板2の表面中央部には発光部3が搭載されており、この発光部3が光透過性を有する略半球状殻形のレンズ4に上方から被覆される。パッケージ板2の表面両端部には、アノードやカソードとして機能する電極5がそれぞれ装着される。
【0018】
ホルダ10と一対の電気コネクタ20とは、特に製造方法が限定されるものではないが、高い信頼性を獲得すべく、ホルダ10を成形する金型に一対の電気コネクタ20がインサートされるインサート成形により一体化される。
ホルダ10は、図3や図4に示すように、白色LED1のパッケージ板2の表面に上方から対向して発光部3やそのレンズ4に貫通される平面矩形の板部11と、この中空の板部11の周縁に直線的に垂下して形成され、パッケージ板2の周縁周面に外側から圧接する接触部12とを備えて形成される。
【0019】
ホルダ10は、絶縁性、耐熱性、弾性を有する成形材料、例えば耐候性や電気絶縁性等に優れるシリコーンゴム、ウレタン、エポキシ樹脂、ポリフェニレンスルフィド等を使用して板部11と接触部12とが一体形成され、粘着テープ等を用いたパッケージ板2の粘着に支障を来たさないよう、接触部12の自由端である下面がパッケージ板2の裏面に揃えて整合される。
【0020】
フレキシブル回路基板は、図示しないが、例えばホルダ10に対向する横長の対向基板部と、この対向基板部の端から屈曲して伸長する細長いコード部とを備えて形成される。このフレキシブル回路基板の対向基板部には、ホルダ10の白色LED1、具体的には発光部3やそのレンズ4を貫通露出させる矩形の貫通孔24が穿孔され、しかも、ホルダ10の電気コネクタ20に導体部として面接触するランドが複数パターン形成される。
【0021】
各電気コネクタ20は、図3ないし図5に示すように、例えば細長い小型のブロック形を呈した弾性の絶縁性エラストマー21と導電体である導電性エラストマー22とを備え、相対向する一対の絶縁性エラストマー21の間に同形の導電性エラストマー22が挟持されることにより構成されており、例え高温で使用される場合にも抵抗を安定させるという特徴を有する。
【0022】
電気コネクタ20の絶縁性エラストマー21は、例えば耐熱性、耐候性、耐寒性、難燃性、電気絶縁性等に優れるシリコーンゴム等が使用される。また、導電性エラストマー22は、例えばシリコーンゴムに銀粒子や可撓性を有する金属線等の導電フィラーが配合されることにより形成される。このような電気コネクタ20は、ホルダ10の板部11の表面端部に一体化されて白色LED1とフレキシブル回路基板との間に圧縮可能に介在され、白色LED1の電極5に上方から面接触するとともに、フレキシブル回路基板のランドに上方から圧接される。
【0023】
なお、各電気コネクタ20は上記構成に何ら限定されるものではない。例えば図6に示すように、細長い小型のブロック形を呈した弾性の絶縁性エラストマー21と同形の導電性エラストマー22とを交互に複数並べることにより形成しても良い。
【0024】
カバーシートは、図示しないが、所定の金属材料を使用してフレキシブル回路基板の対向基板部に対応する平面略横長の矩形に形成され、ホルダ10の白色LED1、具体的には発光部3やそのレンズ4を露出させる平面矩形の露出孔が穿孔される。このカバーシートとフレキシブル回路基板とは、組み立て前に予め積層して一体化しておいても良いし、そうでなくても良い。
【0025】
上記において、白色LED1とフレキシブル回路基板とを電気的に接続する場合には、ホルダ10に白色LED1を収容してその発光部3やレンズ4を露出させ、白色LED1の一対の電極5とホルダ10の各電気コネクタ20とを導通可能に接触させ、ホルダ10に収容された白色LED1を基板等に粘着テープにより粘着する。
【0026】
そして、ホルダ10にフレキシブル回路基板をカバーシートを介して対向させ、ホルダ10の各電気コネクタ20とフレキシブル回路基板のランドとを導通可能に面接触させ、その後、カバーシートを複数の締結具により螺着固定し、フレキシブル回路基板や電気コネクタ20をカバーシートにより保護すれば、白色LED1とフレキシブル回路基板とを電気的に接続することができる。
【0027】
上記構成によれば、小さい個片の導電ゴムにより個々に接続するのではなく、ホルダ10やその一体化された一対の電気コネクタ20を使用して白色LED1を収容・位置決めしたり、収容と同時に電気的に接続するので、組立性、作業性を著しく向上させることができる。また、白色LED1の実装に際し、ハンダ付けを省略することができるので、例え小型の白色LED1を実装する場合でも、組立作業に長時間を要することがない。
【0028】
また、電気コネクタ20として、一般的に強度が不足する導電性エラストマー22のみを使用するのではなく、複数の絶縁性エラストマー21をも併用するので、十分な機械的強度や硬度を容易に確保することが可能になる。さらに、電気コネクタ20の導電性エラストマー22を、ゴムに銀粒子等の導電フィラーを配合して形成するので、前照灯の点灯に伴う高温(例えば130℃等)下でも、安定した電気的接続構造を確保することが可能になる。
【0029】
次に、図7は本発明の第2の実施形態を示すもので、この場合には、ホルダ10の接触部12の自由端13、すなわち下端を幅方向内側に略L字形に屈曲し、この接触部12の自由端13を白色LED1のパッケージ板2の裏面周縁部に着脱自在に係止するようにしている。その他の部分については、上記実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0030】
本実施形態においても上記実施形態と同様の作用効果が期待でき、しかも、白色LED1のパッケージ板2の裏面周縁部にホルダ10の接触部12の自由端13が回りこんで係止するので、簡易な構成で白色LED1とホルダ10の一体化を図り、白色LED1の位置ズレや脱落を有効に防止することができるのは明らかである。
【0031】
なお、上記実施形態のカバーシートは、必要に応じて省略したり、変更等することができる。また、電気コネクタ20の導電体は、上記実施形態に何ら限定されるものではない。例えば導電体を、絶縁性エラストマー21中に埋設されて両端部が露出し、白色LED1とフレキシブル回路基板との導体部間に屈曲可能に接触する複数本の導電ワイヤとしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明に係るLED用ホルダコネクタ及びその接続構造の実施形態におけるLEDを模式的に示す斜視説明図である。
【図2】図1の平面説明図である。
【図3】本発明に係るLED用ホルダコネクタの実施形態におけるホルダを模式的に示す平面説明図である。
【図4】本発明に係るLED用ホルダコネクタの実施形態におけるホルダを模式的に示す断面説明図である。
【図5】本発明に係るLED用ホルダコネクタ及びその接続構造の実施形態における電気コネクタを模式的に示す説明図である。
【図6】本発明に係るLED用ホルダコネクタ及びその接続構造の実施形態における他の電気コネクタを模式的に示す説明図である。
【図7】本発明に係るLED用ホルダコネクタ及びその接続構造の第2の実施形態を模式的に示す断面説明図である。
【符号の説明】
【0033】
1 白色LED(LED)
2 パッケージ板
3 発光部
4 レンズ
5 電極
10 ホルダ
11 板部
12 接触部
13 自由端
20 電気コネクタ
21 絶縁性エラストマー
22 導電性エラストマー(導電体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
LEDを収納する絶縁性のホルダと、このホルダに取り付けられてLEDと電気接合物とを電気的に接続する電気コネクタとを備えてなるLED用ホルダコネクタであって、
ホルダは、LEDに対向する板部と、この板部に形成されてLEDの発光部の周囲に接触する接触部とを含み、これら板部と接触部のいずれかからLEDの発光部を露出させ、
電気コネクタをホルダの板部と接触部のいずれかに取り付けてLEDと電気接合物との導体部間に介在させるようにしたことを特徴とするLED用ホルダコネクタ。
【請求項2】
ホルダと電気コネクタとをインサート成形により一体化するとともに、ホルダを耐熱性の成形材料により成形した請求項1記載のLED用ホルダコネクタ。
【請求項3】
ホルダの接触部の自由端を屈曲してLEDの発光部の周囲に引っ掛けるようにした請求項1又は2記載のLED用ホルダコネクタ。
【請求項4】
電気コネクタは、LEDと電気接合物との導体部間に介在する弾性の絶縁性エラストマーと、この絶縁性エラストマーに設けられてLEDと電気接合物との導体部間に接触する導電体とを含んでなる請求項1、2、又は3記載のLED用ホルダコネクタ。
【請求項5】
電気コネクタの導電体を、複数の絶縁性エラストマーの間に設けられてLEDと電気接合物との導体部間に接触する弾性の導電性エラストマーとした請求項4記載のLED用ホルダコネクタ。
【請求項6】
LEDと電気接合物とを請求項1ないし5いずれかに記載のLED用ホルダコネクタにより電気的に接続するようにしたことを特徴とするLED用ホルダコネクタの接続構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2009−38299(P2009−38299A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−203166(P2007−203166)
【出願日】平成19年8月3日(2007.8.3)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】