説明

LED表示灯

【課題】複数個のLEDが離散的に配置されて成るLED信号灯であって優れた視認性を実現するものを提供する。
【解決手段】LED信号灯10に、複数個のLED20を、LED信号灯10に離散的に配置される密度がLED信号灯10の外周部においてその中央部より高くなるように配置し、それにより、複数個のLED20の一斉発光時に観察者がLED信号灯10から視覚的に認識する輝度がLED信号灯10の外周部においてその中央部より高くなるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して円形を成す支持体に複数個のLEDが離散的に配置されて成るLED表示灯に関するものであり、特に、観察者のLED表示灯の視認性を向上させる技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、LED(発光ダイオード)の技術進歩により、概して円形を成す支持体に複数個のLEDが離散的に配置されて成るLED表示灯が開発され、既に普及しつつある(例えば、特許文献1参照。)。この種のLED表示灯としては、例えば、信号灯(例えば、交通信号灯、鉄道信号灯、海上信号灯など)や、移動体(例えば、自動車)に装着される表示灯(例えば、テイルランプ)などがある。
【0003】
【特許文献1】特開2001−356720号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
LED表示灯には、遠く離れた場所(例えば、交通信号灯である場合には、例えば200m先)からでも、LED表示灯の表示内容(例えば、点灯している表示灯の位置、色および形という情報や、その表示灯の点灯状態が点滅状態か連続点灯状態かという情報)を観察者(例えば、自動車の運転者や歩行者)が容易にかつ確実に判別することができ、しかも、LED表示灯と背景色とのコントラストが明確であることが要求される。すなわち、LED表示灯には、優れた視認性(誘目性・アイキャッチ性)が要求されるのである。
【0005】
このような事情を背景とし、本発明は、概して円形を成す支持体に複数個のLEDが離散的に配置されて成るLED表示灯であって優れた視認性を実現するものを提供することを課題としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によって下記の各態様が得られる。各態様は、項に区分し、各項には番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、本発明が採用し得る技術的特徴の一部およびそれの組合せの理解を容易にするためであり、本発明が採用し得る技術的特徴およびそれの組合せが以下の態様に限定されると解釈すべきではない。すなわち、下記の態様には記載されていないが本明細書には記載されている技術的特徴を本発明の技術的特徴として適宜抽出して採用することは妨げられないと解釈すべきなのである。
【0007】
さらに、各項を他の項の番号を引用する形式で記載することが必ずしも、各項に記載の技術的特徴を他の項に記載の技術的特徴から分離させて独立させることを妨げることを意味するわけではなく、各項に記載の技術的特徴をその性質に応じて適宜独立させることが可能であると解釈すべきである。
【0008】
(1) LED表示灯であって、
概して円形を成す支持体と、
その支持体に離散的に配置された複数個のLEDと
を含み、
それら複数個のLEDは、それら複数個のLEDの一斉発光時に観察者が当該LED表示灯から視覚的に認識する輝度が前記支持体の外周部において前記支持体の中央部より高くなるように発光させられるLED表示灯。
【0009】
本発明者は、LED表示灯の視認性を向上させるべく、研究を行い、その結果、LED表示灯において支持体に配置された複数個のLEDの一斉発光時に観察者が当該LED表示灯から視覚的に認識する輝度が支持体の外周部においてその中央部より高くなるように、複数個のLEDを支持体に配置する場合には、輝度が支持体全体において一様であるように複数個のLEDを支持体に配置する場合より、観察者のLED表示灯の視認性が向上するという知見を得た。
【0010】
その理由を考察するに、一般に、観察者がLED表示灯の存在に気づくことが必要である状況においては、LED表示灯が大きいほど、観察者は、LED表示灯を発見し易い。一方、LED表示灯の外周部の輝度が中央部の輝度より高い方が、中央部の輝度が外周部の輝度より高い場合より、観察者は、物理的には同じ大きさのLED表示灯を視覚的には(心理的には)大きいと認識する傾向がある。
【0011】
また、LED表示灯の外周部の輝度が中央部の輝度より高い方が、中央部の輝度が外周部の輝度より高い場合より、観察者は、LED表示灯の輪郭を、背景色からより明瞭に区別されるように視覚的に認識し、その結果、LED表示灯の外形形状をより明瞭に視覚的に認識する傾向がある。
【0012】
以上説明した知見に基づき、本項に係るLED表示灯においては、支持体に配置された複数個のLEDが、それら複数個のLEDの一斉発光時に観察者が当該LED表示灯から視覚的に認識する輝度が前記支持体の外周部において前記支持体の中央部より高くなるように発光させられる。
【0013】
したがって、このLED表示灯によれば、観察者のLED表示灯の視認性が向上する。
【0014】
(2) 前記複数個のLEDは、前記支持体に配置される密度が前記支持体の外周部において前記支持体の中央部より高くなるように、前記支持体に配置された(1)項に記載のLED表示灯。
【0015】
上述のように、LED表示灯の外周部の輝度が中央部の輝度より高い方が、中央部の輝度が外周部の輝度より高い場合より、LED表示灯の視認性が高い。一方、複数個のLEDがそれぞれ、支持体全体において一様な強度(明るさないしパワー)で発光させられる場合には、LED表示灯の外周部の輝度を中央部の輝度より高くするために、複数個のLEDを、支持体に配置される密度が支持体の外周部においてその中央部より高くなるように、支持体に配置することが望ましい。
【0016】
このような知見に基づき、本項に係るLED表示灯においては、複数個のLEDが、支持体に配置される密度がその支持体の外周部において中央部より高くなるように、支持体に配置されている。
【0017】
なお付言するに、本項においては、「支持体」上の位置を定義する用語として「中央部」と「外周部」との2つが存在するが、このことを理由に、複数個のLEDが支持体に分布する密度(以下、「LED分布密度」という。)が、支持体上において2段階にしか変化しないと解釈することは妥当ではない。「中央部」において、LED分布密度が一様であることは不可欠ではなく、半径方向に変化することが許容される。同様に、「外周部」において、LED分布密度が一様であることは不可欠ではなく、半径方向に変化することが許容される。
【0018】
(3) 前記複数個のLEDは、概して半径方向において互いに隣接するLED間の距離が前記支持体の外周部において前記支持体の中央部より短くなるように、前記支持体に配置された(2)項に記載のLED表示灯。
【0019】
このLED表示灯によれば、複数個のLEDが、概して半径方向において互いに隣接するLED間の距離が支持体の外周部においてその中央部より短くなるように、支持体に配置され、それにより、当該LED表示灯の輝度が支持体の外周部においてその中央部より高くなることが実現される。
【0020】
(4) 前記複数個のLEDは、概して周方向において互いに隣接するLED間の距離が前記支持体の外周部において前記支持体の中央部より短くなるように、前記支持体に配置された(2)または(3)項に記載のLED表示灯。
【0021】
このLED表示灯によれば、複数個のLEDが、概して周方向において互いに隣接するLED間の距離が支持体の外周部においてその中央部より短くなるように、支持体に配置され、それにより、当該LED表示灯の輝度が支持体の外周部においてその中央部より高くなることが実現される。
【0022】
(5) 前記複数個のLEDは、それら複数個のLEDから発せられる光の強度が前記支持体の外周部において前記支持体の中央部より高くなるように大きさが異なる電力が前記外周部におけるLEDと前記中央部におけるLEDとに供給されることにより、駆動される(1)ないし(4)項のいずれかに記載のLED表示灯。
【0023】
上述のように、LED表示灯の外周部の輝度が中央部の輝度より高い方が、中央部の輝度が外周部の輝度より高い場合より、LED表示灯の視認性が高い。一方、複数個のLEDが支持体全体において一様な密度で分布させられる場合には、LED表示灯の外周部の輝度を中央部の輝度より高くするために、複数個のLEDをそれぞれ、各LEDの光の強度が支持体の外周部においてその中央部より高くなるように、発光させることが望ましい。
【0024】
このような知見に基づき、本項に係るLED表示灯においては、複数個のLEDから発せられる光の強度が支持体の外周部においてその中央部より高くなるように大きさが異なる電力が外周部におけるLEDと中央部におけるLEDとに供給されることにより、複数個のLEDが駆動される。
【0025】
ここに、本明細書における「輝度」と「強度」との定義について説明するに、「輝度」は、観察者が複数個のLED全体を見た場合であって、個々のLEDからの光の明るさを、その周辺のLEDからの光の明るさの影響を受けて観察者が感ずる場合における光の明るさを意味する用語であるのに対し、「強度」は、LED単体からの光の明るさを、その周辺のLEDからの光の明るさの影響を受けることなく測定する場合における光の明るさを意味する用語である。したがって、「輝度」は、互いに隣接する複数個のLEDの総合的な明るさであるのに対し、「強度」は、1個のLED単独の明るさである。
【0026】
(6) さらに、前記複数個のLEDが点灯するモードを、それらLED全部が、各LEDに設定された基準強度で点灯するノーマルモードと、それらLEDのうち前記支持体の外周部に配置されたものは前記基準強度で点灯するが、前記支持体の中央部に配置されたものは点灯しないかまたは前記基準強度より低い強度で点灯する節電モードとに切り換える制御装置を含む(1)ないし(5)項のいずれかに記載のLED表示灯。
【0027】
このLED表示灯においては、観察者によって認識される輝度が、支持体の外周部においてその中央部より高いため、LED表示灯の機能をできる限り維持しつつ、一部のLEDしか点灯させないことが必要である場合には、支持体の中央部に配置されたLEDを点灯させるより、支持体の外周部に配置されたLEDを点灯させる方が望ましい。
【0028】
このような知見に基づき、本項に係るLED表示灯によれば、複数個のLEDが点灯するモードが、それらLED全部が、各LEDに設定された基準強度で点灯するノーマルモードと、それらLEDのうち前記支持体の外周部に配置されたものは前記基準強度で点灯するが、前記支持体の中央部に配置されたものは点灯しないかまたは前記基準強度より低い強度で点灯する節電モードとに切り換えられる。
【0029】
なお付言するに、複数個のLEDが点灯するモードをノーマルモードと節電モードとに切り換える技術は、LED表示灯の輝度が支持体の外周部においてその中央部におけるより増加するパターンで分布する場合に限らず、LED表示灯の輝度が支持体全体に一様に分布する場合またはLED表示灯の輝度が支持体の中央部においてその外周部におけるより増加するパターンで分布する場合においても、節電効果を実現するために有効である。
【0030】
(7) 前記制御装置は、常には前記ノーマルモードを選択するが、非常時には前記節電モードを選択する(6)項に記載のLED表示灯。
【0031】
LED表示灯を点灯させるためには電力が必要であるが、災害時などの非常時には、節電が必要になる場合がある。一方、前記(6)項における「節電モード」を選択すれば、LED表示灯の機能低下を抑制しつつ、その消費電力を節減することが可能となる。
【0032】
このような知見に基づき、本項におけるLED表示灯によれば、複数個のLEDが点灯するモードとして、常には、ノーマルモードが選択されるが、非常時には、節電モードが選択される。
【0033】
(8) LED表示灯であって、
概して円形を成す支持体と、
その支持体に離散的に配置された複数個のLEDと
を含み、
それら複数個のLEDは、前記支持体に配置される密度が前記支持体の外周部において前記支持体の中央部より高くなるように、前記支持体に配置されたLED表示灯。
【0034】
このLED表示灯によれば、LED分布密度の適正化により、観察者のLED表示灯の視認性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明のさらに具体的な実施の形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明する。
【0036】
図1には、本発明の第1実施形態に従うLED信号灯10が正面図で示されている。このLED信号灯10は、例えば、3灯式信号機や1灯点滅式信号機に使用される。図1に示すように、このLED信号灯10においては、同じ色の光を発する複数個の点光源としての複数個のLED(発光ダイオード)20が空間離散的に配置されている。それらLED20は、後述の中央管制装置からの点灯指令に応答して、一斉に点灯させられる。
【0037】
図2には、このLED信号灯10が側面断面図で示されている。このLED信号灯10は、概して円形容器状を成すケース22を備えている。そのケース22には、概して円形状を成す合成樹脂製取付板24が気密に装着される。具体的には、取付板24の外周縁に、それの全周を覆うように、ゴム製のパッキン26が気密に取り付けられ、そのパッキン26を介して、取付板24の外周縁がケース22の外周縁に装着される。
【0038】
その取付板24には、それの全表面にわたって、複数個のLED20が離散的に装着される。それらLED20は、複数の同心円に沿って並んで配置されるとともに、同じ同心円上においては、等間隔で配置される。それらLED20を位置決めするために、取付板24には、LED20と同数の貫通穴30が形成されている。各貫通穴30には、図3に拡大断面図で示すように、1個のLED20がわずかな隙間を残して貫通させられる。これにより、LED20が、対応する貫通穴30によって位置決めされる。
【0039】
図2および図3に示すように、取付板24には、各貫通穴30ごとに、概して部分円筒状を成すひさし32が一体的に形成されている。ひさし32は、取付板24の前面から直角に突出するように取付板24に形成されている。
【0040】
このひさし32は、図3および図4に示すように、対応する貫通穴30によって位置決めされるLED20(以下、「対応するLED20」という。)のうち取付板24の前面から直角に突出する部分を、それの上面から覆うように、取付板24に形成されている。このひさし32は、対応するLED20の長さ寸法に沿って延びる内周面を有するとともに、その内周面が、対応するLED20の外周面に接触する。よって、このひさし32により、取付板24に対して各LED20が延びる向きを正確化することが容易となる。
【0041】
図2および図3に示すように、取付板24の背後に、それと平行に、プリント基板34が配置されている。そのプリント基板34は、図示しない固定具により、ケース22に固定されている。そのプリント基板34には、導電パターン36が形成されており、取付板24に装着された各LED20から延びるリードフレーム38がその導電パターン36に半田付けされる。
【0042】
図2に示すように、取付板24の前面に、概して凸状に湾曲して板状を成す透明の合成樹脂製カバー40が取り付けられている。具体的には、そのカバー40の外周縁が、取付板24の外周縁に気密に取り付けられている。このカバー40により、取付板24の前面が全体的に覆われる。取付板24に装着された複数個のLED20から出射する光は、カバー40を透過する。
【0043】
このLED信号灯10においては、複数個のLED20の一斉発光時に観察者がこのLED信号灯10から視覚的に認識する輝度が取付板24の外周部においてその中央部より高くなるように、複数個のLED20が、取付板24に配置される密度が取付板24の外周部においてその中央部より高くなるように、取付板24に配置されている。
【0044】
具体的には、図5にグラフで表すように、複数個のLED20が、概して半径方向において互いに隣接するLED20間の距離である半径方向ピッチが取付板24の外周部においてその中央部より短くなるように、取付板24に配置されている。本実施形態においては、図5にグラフで表すように、半径方向ピッチが、取付板24の中心点から半径方向外向きに移動するにつれて概して連続的に(3以上の段階を有して)減少するように、複数個のLED20が取付板24に配置されている。
【0045】
さらに、複数個のLED20が、概して周方向において互いに隣接するLED20間の距離である周方向ピッチが取付板24の外周部においてその中央部より短くなるように、取付板24に配置されている。
【0046】
その結果、図6にグラフで表すように、複数個のLED20の一斉発光時には、このLED信号灯10の輝度が、取付板24の外周部においてその中央部より高くなる。したがって、このLED信号灯10によれば、輝度が、取付板24全体において一様に分布する場合よりも、取付板24の中央部においてその外周部より高くなるように分布する場合よりも、観察者のLED信号灯10の視認性が向上する。
【0047】
以上の説明から明らかなように、本実施形態においては、説明の便宜上、LED信号灯10が前記(1)項に係る「LED表示灯」の一例を構成し、取付板24が前記(1)項における「支持体」の一例を構成し、取付板24のうち、図1において最も外側に位置する3個の同心円に沿って並んだ複数個のLED20が配置されている領域が、同項における「外周部」の一例を構成し、取付板24のうちの残りの領域が、同項における「中央部」の一例を構成していると考えることが可能である。
【0048】
なお付言するに、本実施形態においては、LED信号灯10の輝度が取付板24の外周部においてその中央部より高くなるように複数個のLED20が発光させられるようにするために、それら複数個のLED20が、取付板24に配置される密度がその取付板24の外周部においてその中央部より高くなるように、取付板24に配置されている。すなわち、LED分布密度の非一様化という技術が採用されているのである。
【0049】
これに対し、複数個のLED20が、それら複数個のLED20から発せられる光の強度が取付板24の外周部においてその中央部より高くなるように大きさが異なる電力が外周部における複数個のLED20と中央部における複数個のLED20とに供給されることにより、駆動され、その結果、LED信号灯10の輝度が取付板24の外周部においてその中央部より高くなるように複数個のLED20が発光させられる態様で本発明を実施することが可能である。すなわち、LED強度分布の非一様化という技術が採用される態様で本発明を実施することが可能なのである。ただし、そのLED強度分布の非一様化という技術は、上述のLED分布密度の非一様化という技術に対して置換的に用いたり追加的に用いることが可能である。
【0050】
次に、本発明の第2実施形態を説明する。ただし、本実施形態は、第1実施形態と共通する要素が多く、異なるのは、LED信号灯に複数個のLEDが配置されるパターンに関する要素のみであるため、異なる要素についてのみ詳細に説明し、共通する要素については同一の符号または名称を使用して引用することにより、重複した説明を省略する。
【0051】
図7には、本実施形態に従うLED信号灯60が正面図で示されている。このLED信号灯60に複数個のLED20が配置されるパターンは、図1に示すLED信号灯10に複数個のLED20が配置されるパターンとは同一ではないが、LED信号灯60の輝度がLED信号灯60の外周部において中央部より高いという輝度分布を実現する点では共通する。
【0052】
図8にグラフで表すように、本実施形態においては、互いに隣接するLED20間の半径方向ピッチが、図5にグラフで表す変化パターンとは異なるパターンで変化する。具体的には、本実施形態においては、半径方向ピッチが、第1実施形態における半径方向ピッチより不連続的に変化する。
【0053】
さらに具体的には、本実施形態においては、半径方向ピッチが2段階で変化し、換言すれば、半径方向ピッチは、取付板24の全領域を、その取付板24の中心点を含む中央部と、その取付板24の外周円を含む外周部とに二分割した場合において、中央部に配置された複数個のLED20に共通に割り当てられる長い半径方向ピッチと、外周部に配置された複数個のLED20に共通に割り当てられる短い半径方向ピッチとの2つしか存在しない。
【0054】
本実施形態においては、図9にグラフで表すように、複数個のLED20の一斉発光時には、このLED信号灯60の輝度が、取付板24の外周部においてその中央部より高くなる。したがって、このLED信号灯60によれば、輝度が、取付板24全体において一様に分布する場合よりも、取付板24の中央部においてその外周部より高くなるように分布する場合よりも、観察者のLED信号灯60の視認性が向上する。
【0055】
図9に示す輝度分布パターンを、図6に示す輝度分布パターンと比較すると、前者の方が後者より、LED信号灯60の外周部における輝度の増加勾配が急である。その結果、図7から容易に予想されるように、図7に示すLED信号灯60における輝度が低い領域と高い領域との間の境界が、図1に示すLED信号灯10における輝度が低い領域と高い領域との間の境界が顕著である。
【0056】
次に、本発明の第3実施形態を説明する。ただし、本実施形態は、第1実施形態または第2実施形態と共通する要素が多く、異なるのは、LED信号灯において複数個のLEDを点灯するモードを変化させるための要素のみであるため、異なる要素についてのみ詳細に説明し、共通する要素については同一の符号または名称を使用して引用することにより、重複した説明を省略する。
【0057】
図10には、本実施形態に従う交通信号機80が、この交通信号機80を遠隔的に指令する中央管制装置82と共に概念的にブロック図で表されている。この交通信号機80は、互いに異なる色を発光する3個のLED信号灯10を用いる。いずれのLED信号灯10も、第1実施形態に従うLED信号灯10と共通する構成を有する。
【0058】
本実施形態に従う交通信号機80は、さらに、それらLED信号灯10の点灯・消灯を制御する制御装置84を用いる。この交通信号機80は、制御装置84を介して、中央管制装置82と通信可能である。その中央管制装置82は、有線または無線で、制御装置84に、交通信号機80に対する指令を送出する。
【0059】
制御装置84は、よく知られている手法により、中央管制装置82から受信した指令に従い、各LED信号灯10の点灯・消灯状態を制御する。
【0060】
本実施形態においては、常には、図示しない電力会社から供給される電力により、交通信号機80が作動させられるが、その電力会社からの電力供給が途絶えた非常時には、それにもかかわらず、交通信号機80の一応の作動が可能であるようにするために、交通信号機80ごとにローカルに補助電源(例えば、バッテリや発電機など、継続的使用のために節電が要求される電源)86が設置されている。
【0061】
したがって、本実施形態においては、非常時には、電力会社に依存することなく、補助電源86から供給される電力により、交通信号機80が作動させられる。
【0062】
本実施形態においては、複数個のLED20が点灯するモードとして、それらLED20全部が、各LED20に設定された基準強度で点灯するノーマルモードと、それらLED20のうち取付板24の外周部に配置されたもの(図1に示すLED信号灯10においては、最も外周側に位置する3つの同心円上に配置された複数個のLED20)のみが、各LED20に設定された基準強度で点灯する節電モードとを有する。
【0063】
本実施形態においては、すべてのLED20につき、共通の基準強度が設定されている。したがって、すべてのLED20には、その点灯時に、同じ大きさの電力が供給されることになる。
【0064】
その制御装置84は、さらに、中央管制装置82から受信した情報に基づき、常にはノーマルモードを選択するが、非常時には節電モードを選択する。
【0065】
図11には、その制御装置84の動作が概念的にフローチャートで表されている。まず、ステップS1において、中央管制装置82から、非常時であるか否かを表す信号が入力され、その信号に基づき、非常時であるか否かが判定される。
【0066】
今回は、非常時ではないと仮定すると、ステップS2において、複数個のLED20が点灯するモードとしてノーマルモードが選択される。これに対し、今回は、非常時であると仮定すると、ステップS3において、複数個のLED20が点灯するモードとして節電モードが選択される。
【0067】
したがって、非常時には、節電モードが選択され、その結果、各LED信号灯10を点灯することが必要である場合には、そのLED信号灯10における全部のLED20のうちLED信号灯10の外周部に配置されたもののみが一斉に点灯される。
【0068】
よって、本実施形態によれば、各LED信号灯10の輝度が、その外周部においてその中央部より高いため、節電が要求される非常時には、LED信号灯10の機能(視認性)の低下を抑制しつつ、その消費電力を節減することが可能となる。
【0069】
以上、本発明の実施の形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、前記[発明の開示]の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の第1実施形態に従うLED信号灯10を示す正面図である。
【図2】図1に示すLED信号灯10を示す側面断面図である。
【図3】図2に示すLED信号灯10を構成する取付板24およびプリント基板34のうち、代表的なLED20に関連する部分を拡大して示す側面断面図である。
【図4】図2に示すLED信号灯10を構成する取付板24のうち、代表的なLED20に関連する部分を拡大して示す正面図である。
【図5】図1に示すLED信号灯10における複数個のLED20の半径方向ピッチが半径方向位置に応じて変化するパターンを表すグラフである。
【図6】図1に示すLED信号灯10の輝度が半径方向位置に応じて変化するパターンを表すグラフである。
【図7】本発明の第2実施形態に従うLED信号灯60を示す正面図である。
【図8】図7に示すLED信号灯60における複数個のLED20の半径方向ピッチが半径方向位置に応じて変化するパターンを表すグラフである。
【図9】図7に示すLED信号灯60の輝度が半径方向位置に応じて変化するパターンを表すグラフである。
【図10】本発明の第3実施形態に従う交通信号機80を中央管制装置82と共に概念的に表すブロック図である。
【図11】図10に示す制御装置84の動作を概念的に表すフローチャートである。
【符号の説明】
【0071】
10 LED信号灯
20 LED
24 取付板
60 LED信号灯
80 交通信号機
82 制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
LED表示灯であって、
概して円形を成す支持体と、
その支持体に離散的に配置された複数個のLEDと
を含み、
それら複数個のLEDは、それら複数個のLEDの一斉発光時に観察者が当該LED表示灯から視覚的に認識する輝度が前記支持体の外周部において前記支持体の中央部より高くなるように発光させられるLED表示灯。
【請求項2】
前記複数個のLEDは、前記支持体に配置される密度が前記支持体の外周部において前記支持体の中央部より高くなるように、前記支持体に配置された請求項1に記載のLED表示灯。
【請求項3】
前記複数個のLEDは、概して半径方向において互いに隣接するLED間の距離が前記支持体の外周部において前記支持体の中央部より短くなるように、前記支持体に配置された請求項2に記載のLED表示灯。
【請求項4】
前記複数個のLEDは、概して周方向において互いに隣接するLED間の距離が前記支持体の外周部において前記支持体の中央部より短くなるように、前記支持体に配置された請求項2または3に記載のLED表示灯。
【請求項5】
前記複数個のLEDは、それら複数個のLEDから発せられる光の強度が前記支持体の外周部において前記支持体の中央部より高くなるように大きさが異なる電力が前記外周部におけるLEDと前記中央部におけるLEDとに供給されることにより、駆動される請求項1ないし4のいずれかに記載のLED表示灯。
【請求項6】
さらに、前記複数個のLEDが点灯するモードを、それらLED全部が、各LEDに設定された基準強度で点灯するノーマルモードと、それらLEDのうち前記支持体の外周部に配置されたものは前記基準強度で点灯するが、前記支持体の中央部に配置されたものは点灯しないかまたは前記基準強度より低い強度で点灯する節電モードとに切り換える制御装置を含む請求項1ないし5のいずれかに記載のLED表示灯。
【請求項7】
前記制御装置は、常には前記ノーマルモードを選択するが、非常時には前記節電モードを選択する請求項6に記載のLED表示灯。
【請求項8】
LED表示灯であって、
概して円形を成す支持体と、
その支持体に離散的に配置された複数個のLEDと
を含み、
それら複数個のLEDは、前記支持体に配置される密度が前記支持体の外周部において前記支持体の中央部より高くなるように、前記支持体に配置されたLED表示灯。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2009−181696(P2009−181696A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−17115(P2008−17115)
【出願日】平成20年1月29日(2008.1.29)
【出願人】(593049095)三協高分子株式会社 (6)
【Fターム(参考)】