説明

LED駆動回路、調光装置、LED照明灯具、LED照明機器、及びLED照明システム

【課題】LEDの低輝度調光時のちらつきを低減することができるLED駆動回路を提供する。
【解決手段】位相制御式調光器2からの交番電圧を入力してLED(LEDモジュール3)を駆動するLED駆動回路であって、位相制御式調光器2内部の位相制御素子がオフからオンになる位相角を検出する位相角検出部7と、前記LEDに電流を供給するスイッチング電源部5と、前記LEDに直列に接続されるスイッチング素子6と、位相角検出部7の出力に応じてスイッチング電源部5及びスイッチング素子6を制御する制御部8とを備え、制御部8が、位相角検出部7によって検出される位相角が所定値以下である場合に、スイッチング素子6を常時オン状態にし、位相角検出部7によって検出される位相角が前記所定値より大きい場合に、スイッチング素子6をパルス駆動するLED駆動回路。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED(Light Emitting Diode)を駆動するLED駆動回路及びLEDの調光を行う調光装置並びにLEDを光源とするLED照明灯具、LED照明機器及びLED照明システムに関する。
【背景技術】
【0002】
LEDは低消費電流で長寿命などの特徴を有し、表示装置だけでなく照明器具等にもその用途が広がりつつある。なお、LED照明器具では、所望の照度を得るために、複数個のLEDを使用する場合が多い。
【0003】
一般的な照明器具は商用AC100V電源を使用することが多く、白熱電球などの一般的な照明灯具に代えてLED照明灯具を使用する場合などを考慮すると、LED照明灯具も一般的な照明灯具と同様に商用AC100V電源を使用する構成であることが望ましい。
【0004】
また、白熱電球を調光制御しようとした場合、スイッチング素子(一般的にはサイリスタ素子やトライアック素子)を交流電源電圧のある位相角でオンすることにより白熱電球への電源供給をボリューム素子一つで簡単に調光制御できる位相制御式調光器(一般に白熱ライコンと呼ばれている)が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−319172号公報
【特許文献2】特開2005−26142号公報
【特許文献3】特開2004−327152号公報
【特許文献4】特許第4199567号公報
【特許文献5】特開2006−236709号公報
【特許文献6】特開2002−231471号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
白熱電球41を位相制御式調光器2で動作させたとき(図16参照)の各部電圧、電流波形の一例を図17に示す。図17では、交流電源1の出力電圧V1の波形、白熱電球41の両端電圧V41の波形、白熱電球41に流れる電流I41の波形が図示されている。トライアックTri1がオフからオンに切り替わると、白熱電球41の両端電圧V41が急峻に上昇し、白熱電球41に流れる電流I41も急峻に上昇して白熱電球41が点灯する。その後、トライアックTri1がオンしている間は白熱電球41に電流が流れ続けるため、交流電源1の出力電圧V1が0V付近になるまで白熱電球41の点灯が維持される。
【0007】
しかしながら、図16に示すように白熱電球41を位相制御式調光器2で調光する場合においても、白熱電球41をワット数の小さな白熱電球にすると、チラツキや点滅が生じ正常に調光できないことが知られている。
【0008】
交流電源使用のLED照明灯具を調光制御しようとした場合、白熱電球を調光制御しようとした場合と同様に位相制御式調光器が用いられることが望まれる。ここで、交流電源使用のLED照明灯具を調光制御することができるLED照明システムの従来例を図18に示す。
【0009】
図18に示すLED照明システムは、位相制御式調光器2と、ダイオードブリッジDB1、スイッチング制御回路CNT1、スイッチング素子Q1、コイルL2、ダイオードD1、コンデンサC4、及び抵抗R2を有するLED駆動回路と、LEDモジュール3とを備えている。図18に示すLED照明システムでは、スイッチング制御回路CNT1が、ダイオードブリッジDB1の正極側出力端に発生する電圧V2の実効値と抵抗R2に流れる電流の値とを検出し、それらの検出結果に基づいてスイッチング素子Q1のオン/オフを制御する。
【0010】
図18に示すLED照明システムにおけるダイオードブリッジDB1の正極側出力端に発生する電圧V2の波形例を図19A及び図19Bに示す。図19Aは明るい調光レベルでの電圧V2の波形を示しており、図19Bは暗い調光レベルでの電圧V2の波形を示している。また、LEDモジュール3の電圧−電流特性を図20に示す。
【0011】
明るい調光レベルに設定された場合、小さい位相角(例えば45°)でトライアックTri1がオフからオンに切り替わり、ダイオードブリッジDB1の正極側出力端に発生する電圧V2が急峻に立ち上がり(図19A参照)、LEDモジュール3が点灯する。その後、LEDモジュール3の両端電圧がLEDモジュール3の順方向電圧を上回っている間LEDモジュール3の点灯が維持される。このとき、LEDモジュール3は図20中の動作点Aの動作点で制御される。
【0012】
また、暗い調光レベルに設定された場合、大きい位相角(例えば141°)でトライアックTri1がオフからオンに切り替わり、ダイオードブリッジDB1の正極側出力端に発生する電圧V2が急峻に立ち上がり(図19B参照)、LEDモジュール3が点灯する。その後、LEDモジュール3の両端電圧がLEDモジュール3の順方向電圧を上回っている間LEDモジュール3の点灯が維持される。このとき、LEDモジュール3は図20中の動作点Cの動作点で制御される。
【0013】
一定の明るさを保つためには、LEDモジュール3の電流を一定値にする事が求められる。しかしながら、LEDモジュール3、LEDモジュール3に電流を供給するスイッチング電源部、位相制御式調光器2、交流電源1から出力される交番電圧等の温度特性や位相制御式調光器2のトライアックTri1のスイッチノイズ、LEDモジュール3に電流を供給するスイッチング電源部のスイッチングノイズ等のノイズにより、LEDモジュール3の電流値の微小な変化は不可避となる。
【0014】
上記のノイズはLEDモジュール3の電流量によらず同様な量が入ってくるため、LEDモジュール3の電流が少ないときは相対的に大きく、LEDモジュール3の電流が多いときは相対的に小さくなる。例えば、LEDモジュール3の電流値が上記のノイズにより1mA変化したとき、動作点Aではほぼ1%の電流変化量となり、目に見えるような光(輝度)の変化にはならないのに対して、動作点CではLEDが点滅することになり、目に見える光(輝度)の変化が発生してしまう。
【0015】
本発明は、上記の状況に鑑み、LEDの低輝度調光時のちらつきを低減することができるLED駆動回路、位相制御式調光装置、LED照明灯具、LED照明機器、及びLED照明システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために本発明に係るLED駆動回路は、位相制御式調光器からの交番電圧を入力してLEDを駆動するLED駆動回路であって、前記位相制御式調光器内部の位相制御素子がオフからオンになる位相角を検出する位相角検出部と、前記LEDに電流を供給するスイッチング電源部と、前記LEDに直列に接続されるスイッチング素子と、前記位相角検出部の出力に応じて前記スイッチング電源部及び前記スイッチング素子を制御する制御部とを備え、前記制御部が、前記位相角検出部によって検出される位相角が所定値以下である場合に、前記スイッチング素子を常時オン状態にし、前記位相角検出部によって検出される位相角が前記所定値より大きい場合に、前記スイッチング素子をパルス駆動する構成(第1の構成)とする。
【0017】
また、上記第1の構成のLED駆動回路において、前記LEDに流れる電流を検出する電流検出部を備え、前記制御部が、前記位相角検出部の出力及び前記電流検出部の出力に応じて前記スイッチング電源部及び前記スイッチング素子を制御する構成(第2の構成)としてもよい。
【0018】
また、上記第1または第2の構成のLED駆動回路において、前記スイッチング素子がオン状態であるとき、前記制御部が、前記スイッチング電源部のオンデューティの最小値を制限する構成(第3の構成)としてもよい。
【0019】
また、上記第1〜3のいずれかの構成のLED駆動回路において、前記LEDに流れる電流がある一定値を下回ると、前記制御部が、前記スイッチング素子をオフ状態にする構成(第4の構成)としてもよい。
【0020】
また、上記第4の構成のLED駆動回路において、前記制御部が、前記交番電圧の周期にあわせて前記スイッチング素子をオン状態にする構成(第5の構成)としてもよい。
【0021】
また、上記第1〜3のいずれかの構成のLED駆動回路において、前記位相角検出部によって検出される位相角がある一定値より大きくなると、前記制御部が、前記スイッチング素子を常時オフ状態にし、前記LEDの点灯を停止する構成(第6の構成)としてもよい。
【0022】
また、上記第1〜3のいずれかの構成のLED駆動回路において、前記制御部が、前記スイッチング電源部内のスイッチング素子に流れる電流のピーク値を、前記スイッチング電源部の入力電圧に応じて制御する構成(第7の構成)としてもよい。
【0023】
また、上記第1〜3のいずれかの構成のLED駆動回路において、前記スイッチング電源部の入力電圧がある一定値を下回ると、前記制御部が、前記スイッチング電源部の動作を停止させる構成(第8の構成)としてもよい。
【0024】
また、上記第1〜8のいずれかの構成のLED駆動回路において、前記スイッチング電源部が、昇圧型スイッチング電源回路である構成(第9の構成)としてもよい。
【0025】
また、上記第9の構成のLED駆動回路において、前記制御部が、前記スイッチング電源部内のスイッチング素子のオン/オフをスイッチング制御する第1のドライブ回路と、前記スイッチング電源部内のスイッチング素子に流れる電流値を一定にするように前記スイッチング電源部内のスイッチング素子の制御端子への供給電圧をアナログ的に制御する第2のドライブ回路と、前記スイッチング電源部の入力電圧、前記LED駆動回路の入力電流、又は前記LEDに流れる電流に応じて、前記第1のドライブ回路による前記スイッチング電源部の駆動及び前記第2のドライブ回路による前記スイッチング電源部の駆動のいずれか一方を選択する選択部とを有する構成(第10の構成)としてもよい。
【0026】
また、上記第10の構成のLED駆動回路において、前記第2のドライブ回路の制御により一定となる前記スイッチング電源部内のスイッチング素子に流れる電流値が切り替え可能である構成(第11の構成)としてもよい。
【0027】
また、上記第10の構成のLED駆動回路において、前記選択部が前記第1のドライブ回路による前記スイッチング電源部の駆動を選択しているときは、前記第2のドライブ回路の動作を停止する構成(第12の構成)としてもよい。
【0028】
また、上記第1〜8のいずれかの構成のLED駆動回路において、前記スイッチング電源部が、降圧型スイッチング電源回路である構成(第13の構成)としてもよい。
【0029】
また、上記第1〜8のいずれかの構成のLED駆動回路において、前記スイッチング電源部が、トランスを有するスイッチング電源回路である構成(第14の構成)としてもよい。
【0030】
また、本発明に係るLED照明灯具は、上記第1〜14のいずれかの構成のLED駆動回路と、前記LED駆動回路の出力側に接続されたLEDとを備える構成(第15の構成)とする。
【0031】
また、本発明に係るLED照明機器は、上記第1〜14のいずれかの構成のLED駆動回路又は上記第15の構成のLED照明灯具を備える構成(第16の構成)とする。
【0032】
また、本発明に係るLED照明システムは、上記第15の構成のLED照明灯具又は上記第16の構成のLED照明機器と、当該LED照明灯具又はLED照明機器の入力側に接続された位相制御式調光器とを備える構成(第17の構成)とする。
【0033】
また、本発明に係る調光装置は、上記第1〜14のいずれかの構成のLED駆動回路と、前記LED駆動回路に交番電圧を供給する位相制御式調光器とを備える構成(第18の構成)とする。
【0034】
また、本発明に係るLED照明システムは、LED照明灯具と、前記LED照明灯具の入力側に接続された上記第18の構成の調光装置とを備える構成(第19の構成)であってもよい。
【発明の効果】
【0035】
本発明によると、LEDに直列に接続されるスイッチング素子が低輝度調光時にパルス駆動するので、LEDが図2B及び図20中の動作点Cのようなノイズに弱い動作点で制御されることを回避することができる。したがって、LEDの低輝度調光時のちらつきを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の第1実施形態に係るLED照明システムの構成を示す図である。
【図2A】交流電源の出力電圧の波形とダイオードブリッジの正極側出力端に発生する電圧の波形例とを示す図である。
【図2B】ダイオードブリッジの正極側出力端に発生する電圧の位相角とLEDモジュールの電流との理想曲線例を示す図である。
【図3A】位相制御式調光器の位相制御素子が位相角45°でオフからオンに切り替わる場合の、スイッチング素子の状態及びLEDモジュールの電流のタイミングチャートである。
【図3B】位相制御式調光器の位相制御素子が位相角135°でオフからオンに切り替わる場合の、スイッチング素子の状態及びLEDモジュールの電流のタイミングチャートである。
【図3C】位相制御式調光器の位相制御素子が位相角141°でオフからオンに切り替わる場合の、スイッチング素子の状態及びLEDモジュールの電流のタイミングチャートである。
【図4】本発明の第2実施形態に係るLED照明システムの構成を示す図である。
【図5】図4のLED照明システムが備えるスイッチング素子制御部の一構成例を示す図である。
【図6A】高輝度調光時でLEDモジュールに流れる電流が最も小さいときの、スイッチング素子の状態及びLEDモジュールに流れる電流のタイミングチャートである。
【図6B】低輝度調光時の、スイッチング素子の状態及びLEDモジュールに流れる電流のタイミングチャートである。
【図7】第2変形例の概要を示す図である。
【図8】第3変形例の概要を示す図である。
【図9】第4変形例の概要を示す図である。
【図10】第7変形例の概要を示す図である。
【図11】第8変形例に係るLED照明システムの構成を示す図である。
【図12】第9変形例に係るLED照明システムの構成を示す図である。
【図13A】第1の製品形態の概要を示す図である。
【図13B】第2の製品形態の概要を示す図である。
【図13C】第3の製品形態の概要を示す図である。
【図14】本発明に係るLED照明灯具、本発明に係るLED照明機器、及び本発明に係るLED照明システムの概略構造例を示す図である。
【図15】本発明に係るLED照明灯具の他の概略構造例を示す図である。
【図16】白熱電球照明システムの一構成例を示す図である。
【図17】図16に示す白熱電球照明システムの各部電圧・電流波形の一例を示す図である。
【図18】従来のLED照明システムの一例を示す図である。
【図19A】明るい調光レベルに設定された場合の図18に示すLED照明システムにおけるダイオードブリッジの正極側出力端に発生する電圧の波形例を示す図である。
【図19B】暗い調光レベルに設定された場合の図18に示すLED照明システムにおけるダイオードブリッジの正極側出力端に発生する電圧の波形例を示す図である。
【図20】LEDモジュールの電圧−電流特性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明の実施形態について図面を参照して以下に説明する。
【0038】
<<第1実施形態>>
本発明の第1実施形態に係るLED照明システムの構成を図1に示す。なお、図1において図18と同一の部分には同一の符号を付し詳細な説明を省略する。図1に示す本発明の第1実施形態に係るLED照明システムは、位相制御式調光器2と、LEDモジュール3と、LED駆動回路4Aとを備えている。LED駆動回路4Aは、本発明に係るLED駆動回路の一例であり、ダイオードブリッジDB1と、スイッチング電源部5と、スイッチング素子6と、ダイオードブリッジDB1の出力電圧電圧(V2−VL)が急峻に立ち上がるときの位相角を検出する位相角検出部7と、位相角検出部7によって検出された位相角に応じてスイッチング電源部5及びスイッチング素子6を制御する制御部8とを有している。図1に示す本発明の第1実施形態に係るLED照明システムでは、交流電源1と位相制御式調光器2とがダイオードブリッジDB1の入力側に直列に接続され、スイッチング電源部5の入力側がダイオードブリッジDB1の出力側に接続され、1個以上のLEDからなるLEDモジュール3とスイッチング素子6とがスイッチング電源部5の出力側に直列に接続されている。
【0039】
本実施形態においては、制御部8は、例えば、スイッチング電源部5の出力電圧又はスイッチング電源部5の出力電力をフィードバックして、スイッチング電源部5をフィードバック制御する。
【0040】
交流電源1の出力電圧V1の波形と、図1に示す本発明の第1実施形態に係るLED照明システムにおけるダイオードブリッジDB1の正極側出力端に発生する電圧V2の波形例とを図2Aに示す。また、電圧V2の位相角とLEDモジュール3の電流との理想曲線例を図2Bに示す。さらに、位相制御式調光器2の位相制御素子(例えばトライアック)が位相角45°でオフからオンに切り替わる場合の、スイッチング素子6の状態及びLEDモジュール3の電流のタイミングチャートを図3Aに示し、位相制御式調光器2の位相制御素子(例えばトライアック)が位相角135°でオフからオンに切り替わる場合の、スイッチング素子6の状態及びLEDモジュール3の電流のタイミングチャートを図3Bに示し、位相制御式調光器2の位相制御素子(例えばトライアック)が位相角141°でオフからオンに切り替わる場合の、スイッチング素子6の状態及びLEDモジュール3の電流のタイミングチャートを図3Cに示す。
【0041】
位相制御式調光器2の位相制御素子(例えばトライアック)が位相角135°以下でオフからオンに切り替わる調光レベルに設定されている場合、すなわち、位相角検出部7によって検出される位相角が135°以下である場合、制御部8の制御により、スイッチング素子6が常時オン状態になり、スイッチング電源部5が図2Bの理想曲線例に則した電流をLEDモジュール3に供給する。ここで、図2B中の動作点BはLEDモジュール3の電流がノイズなどの影響を受けてもちらつきとならない領域の中で最も電流値が小さい動作点である。本実施形態では、位相制御式調光器2の位相制御素子(例えばトライアック)が位相角135°でオフからオンに切り替わる調光レベルに設定されている場合に、LEDモジュール3が動作点Bで制御される。なお、LEDモジュール3に動作点B以上の電流が常時流れるような調光レベルに設定されているときを、高輝度調光時と呼び、それ以外のときを低輝度調光時と呼ぶ。
【0042】
一方、位相制御式調光器2の位相制御素子(例えばトライアック)が135°より大きい位相角でオフからオンに切り替わる調光レベルに設定されている場合、すなわち、位相角検出部7によって検出される位相角が135°より大きい場合、制御部8の制御により、スイッチング素子6がスイッチング動作を行い、スイッチング素子6がオン状態である間スイッチング電源部5が図2B中の動作点Bとなる様LEDモジュール3に電力を供給する。例えば、図3Cのように、制御部8が、オンデューティ50%でスイッチング素子6をパルス駆動すると、LEDモジュール3に流れる電流の平均値は図3Bと比較して半分になる。位相制御式調光器2の位相制御素子(例えばトライアック)が135°より大きい位相角でオフからオンに切り替わる調光レベルに設定されている場合、制御部8は、スイッチング素子6のパルス駆動のオンデューティを、位相角検出部7によって検出された位相角に応じて連続的に又は段階的に調整する。
【0043】
このような動作により、LEDモジュール3が図2B及び図20中の動作点Cのようなノイズに弱い動作点で制御されることを回避することができるので、LEDモジュール3の低輝度調光時のちらつきを低減することができる。
【0044】
<<第2実施形態>>
次に、本発明の第2実施形態に係るLED照明システムの構成を図4に示す。なお、図4において図1と同一の部分には同一の符号を付し詳細な説明を省略する。
【0045】
図4に示す本発明の第2実施形態に係るLED照明システムは、図1に示す本発明の第1実施形態に係るLED照明システムのLED駆動回路4AをLED駆動回路4Bに置換した構成である。
【0046】
LED駆動回路4Bは、LEDモジュール3の電流を検出する電流検出器9をLED駆動回路4Aに追加した構成である。また、LED駆動回路4Bでは、スイッチング素子10を有する昇圧型スイッチング電源回路がスイッチング電源部5として用いられ、NチャネルMOSトランジスタでスイッチング素子6が構成され、分圧抵抗R1及びR2並びにコンデンサC0で位相検出器7が構成され、スイッチング素子制御部11、第1ドライバ12、エラーアンプ13、発振器14、コンパレータ15、第2ドライバ16、逆流防止用ダイオードD1及びD2、並びに定電圧源17で制御部8が構成されている。
【0047】
本実施形態においては、制御部8は、LEDモジュール3の電流をフィードバックして、スイッチング電源部5をフィードバック制御する。LEDモジュール3の光量はLEDモジュール3の電流と比例関係にある。このため、本実施形態のように、制御部8が、LEDモジュール3の電流をフィードバックして、スイッチング電源部5をフィードバック制御する構成にした方が、制御部8が、スイッチング電源部5の出力電圧又はスイッチング電源部5の出力電力をフィードバックして、スイッチング電源部5をフィードバック制御する構成(上述した第1実施形態の構成)に比べて、LEDモジュール3の光量を精度良く制御することができる。
【0048】
位相角検出部7は、ダイオードブリッジDB1の出力電圧電圧(V2−VL)を分圧抵抗R1及びR2で分圧し、コンデンサC0でその分圧を平均化する。交流電源1の出力電圧の周波数(50Hz又は60Hz)よりも低い周波数(例えば5〜6Hz)の時定数を持つ分圧抵抗R1及びR2並びにコンデンサC0を使用する事で、上記平均化が可能となる。
【0049】
エラーアンプ13は、位相検出器7の出力が電流検出器9の出力より大きい場合にHighレベルとなり、それ以外の場合にLowレベルとなるエラー信号を出力する。コンパレータ15は、エラーアンプ13から出力されるエラー信号が発振器14から出力される三角波信号より大きい場合にHighレベルとなり、それ以外の場合にLowレベルとなるPWM(Pulse Width Modulation)信号を出力する。そして、第2ドライバ16は、コンパレータ15から出力されるPWM信号がHighレベルであるときに、スイッチング電源部5のスイッチング素子10をオン状態にし、コンパレータ15から出力されるPWM信号がLowレベルであるときに、スイッチング電源部5のスイッチング素子10をオフ状態にする。
【0050】
例えば、位相角検出部7での分圧比が1/50であり、電流検出器9の電流−電圧変換係数が18Ωであり、交流電源1の出力電圧の振幅が141Vであるとする。
【0051】
位相制御式調光器2の位相制御素子(例えばトライアック)が位相角0°でオフからオンに切り替わる調光レベルに設定されている場合、すなわち、位相角検出部7によって検出される位相角が0°である場合、電圧(V2−VL)は平均化されると約90Vになるので、エラーアンプ13の非反転入力端子に印加される電圧は1.8V(=90V/50)となる。この場合、スイッチング電源部5は電流検出器9の出力が1.8VになるようにPWM制御されるため、LEDモジュール3の電流は100mA(=1.8V×1000/18Ω)となる。
【0052】
また、位相制御式調光器2の位相制御素子(例えばトライアック)が位相角90°でオフからオンに切り替わる調光レベルに設定されている場合、すなわち、位相角検出部7によって検出される位相角が90°である場合、電圧(V2−VL)は平均化されると約45Vになるので、エラーアンプ13の非反転入力端子に印加される電圧は0.9V(=45V/50)となる。この場合、スイッチング電源部5は電流検出器9の出力が0.9VになるようにPWM制御されるため、LEDモジュール3の電流は50mA(=0.9V×1000/18Ω)となる。
【0053】
スイッチング素子制御部11は、高輝度調光時にはスイッチング素子6を常時オン状態にし、低輝度調光時にはスイッチング素子6をパルス駆動する。
【0054】
また、本実施形態では、スイッチング素子6がオン状態であるときに、LEDモジュール3の電流がLEDモジュール3に流れる電流が動作点B(図2B及び図20参照)未満になることを防止するために、定電圧源17を設け、コンパレータ15の非反転入力端子に入力される電圧の下限を定電圧源17から出力される定電圧で設定している。これにより、スイッチング素子6がオン状態であるとき、スイッチング電源部5のオンデューティの最小値が制限される。当該下限の設定値は、位相検出器7の出力が0.18Vとなり、LEDモジュール3の電流が10mAとなるときにコンパレータ15の非反転入力端子に入力される電圧と等しくすることが好ましい。
【0055】
続いて、スイッチング素子制御部11の一構成例について図5を参照して説明する。図5に示す構成例では、スイッチング素子制御部11は、コンパレータ18及び19と、フリップフロップ20と、OR回路21と、定電圧源22及び23とを備えている。コンパレータ18の非反転入力端子には位相角検出部7の出力が入力され、コンパレータ19の非反転入力端子には電流検出器9の出力が入力され、OR回路21の出力が第1ドライバ12に供給される。
【0056】
高輝度調光時にはスイッチング素子6を常時オン状態にするために、高輝度調光時には位相角検出部7の出力が定電圧源22の出力電圧より大きくなるように、定電圧源22の出力電圧を設定している。上記の例では、位相角検出部7の出力が0.18VとなるときLEDモジュール3の電流が10mA(最大電流100mAの1/10)となる。したがって、定電圧源22の出力電圧を0.18Vに設定することで、高輝度調光時にコンパレータ18の出力が常時Highレベルになり、スイッチング素子6を常時オン状態にすることができる。
【0057】
逆に、低輝度調光時には、位相角検出部7の出力が0.18Vを下回り、コンパレータ18からOR回路21にLowレベルの信号が供給されるので、OR回路21はコンパレータ19の出力に応じてスイッチング素子6をON/OFF制御できる。
【0058】
OR回路21は、電流検出器9の出力が定電圧源23の出力電圧より大きくないとき、すなわち電流検出器9によって検出される電流がある一定値を下回るときに、スイッチング素子6をオフ状態にする。また、フリップフロップ20のリセットにより、交流電源1から出力される交番電圧の周期でスイッチング素子6のオフ状態がリセットされる。ダイオードブリッジDB1の出力電圧またはその立ち上がりを検出することで、上記リセットの周期を検出することができる。
【0059】
ここで、高輝度調光時でLEDモジュール3に流れる電流が最も小さいときの、スイッチング素子6の状態及びLEDモジュール3に流れる電流のタイミングチャートを図6Aに示す。また、低輝度調光時の、スイッチング素子6の状態及びLEDモジュール3に流れる電流のタイミングチャートを図6Bに示す。ここで、LEDモジュール3に流れる電流に生じているリップル電流は、電圧(V2−VL)の変動により発生し、交流電源1の出力電圧の周期で発生する。(電圧(V2−VL)が低い時はスイッチング電源部5からLEDモジュール3に供給する電流が低下する)
【0060】
スイッチング素子6がオン状態であるとき、スイッチング電源部5のオンデューティの最小値が制限されているが、位相角が大きくなるにつれ、電圧(V2−VL)の平均値が低くなるため、LEDモジュール3に流れる電流の平均値は低下し、図2B中の動作点Bよりも低くなる。ここで、LEDモジュール3に流れる電流が例えば8mAを下回るとき、制御部8がスイッチング素子6をオフ状態にする。この制御動作により、低輝度調光時に、位相制御式調光器2の位相制御素子(例えばトライアック)がオフからオンに切り替わる位相角が大きくなるにつれて、スイッチング素子6のオフ時間を長くすることができる。
【0061】
<<変形例>>
以上、本発明に係るLED照明システムについて2つの実施形態を説明したが、本発明の範囲は当然の事ながらこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実行することができる。以下にいくつかの変形例を示す。
【0062】
<第1変形例>
上述した第1実施形態または第2実施形態において、制御部8は、位相角検出部7によって検出された位相角がある一定値より大きくなると、スイッチング素子6のパルス駆動のオンデューティを0%とし、スイッチング素子6を常時オフ状態にし、LEDモジュール3の点灯を停止するようにしてもよい。
【0063】
位相制御式調光器を有するLED照明システムにおいて、LEDと位相制御式調光器の組みあわせによっては、位相制御式調光器の最大位相角でもLEDが点灯する場合がある。このような場合には、相制御式調光器の位相制御素子のスイッチノイズ、LEDに電流を供給するスイッチング電源部のスイッチングノイズ等のノイズによりLEDが微点灯するおそれがある。このため、最も低輝度調光となるときに消灯する事が望まれる場合がある。例えば、位相角検出部7の出力がある一定値(例えば0.018V)を下回るときにはスイッチング素子6を常時オフ状態にする制御を制御部8が実行することにより、1%以下の低輝度調光を消灯とすることができる。
【0064】
<第2変形例>
図4に示す本発明の第2実施形態に係るLED照明システムにおいて、エラーアンプ13がスイッチング電源部5の出力電力と所定値との誤差を出力するように変形し、さらに、図7に示す分圧抵抗R3及びR4、コンパレータ24、AND回路25、並びに電流検出器26を追加してもよい。
【0065】
コンパレータ24は、電圧(V2−VL)の分圧値と、電流検出器26の出力(スイッチング電源部5のスイッチング素子10に流れる電流に比例した電圧値)とを比較する。第2ドライバ16は、コンパレータ15の出力とコンパレータ24の出力との論理積に応じてスイッチング素子10を駆動し、スイッチング素子10に流れる電流が多くなるときに、スイッチング素子10をオフ状態にして、スイッチング電源部5の動作を停止する。
【0066】
本変形例では、スイッチング電源部5は、スイッチング電源部5の出力電力がほぼ一定になるように制御される。また、電圧(V2−VL)は0V〜141V(交流電源1が実効電圧100Vの交番電源である場合)で変化する。そのため、図7に示す分圧抵抗R3及びR4、コンパレータ24、AND回路25、並びに電流検出器26を追加しなければ、電圧(V2−VL)が低いときにはスイッチング素子10に多く電流が流れ、電圧(V2−VL)が高いときにはスイッチング素子10に流れる電流が少なくなる。このような電流変化は、力率を低下させる要因となる。
【0067】
したがって、本変形例では、力率を向上させるために、図7に示す分圧抵抗R3及びR4、コンパレータ24、AND回路25、並びに電流検出器26を追加し、電圧(V2−VL)が低いときにはスイッチング素子10に流れる電流を小さくし、電圧(V2−VL)が高いときにはスイッチング素子10に流れる電流を大きくするようにし、スイッチング電源部5の入力電圧(=電圧(V2−VL))に応じて、スイッチング素子10に流れる電流のピーク値を制御するようにしている。
【0068】
また、このように、スイッチング素子10に流れる電流に制限を設けることで、スイッチング電源部5のコイル及びスイッチング素子10に流れる電流を制限でき、スイッチング電源部5のコイル及びスイッチング素子10の定格電流を小さく設定でき、スイッチング電源部5の低コスト化及び省スペース化を図ることができる。
【0069】
<第3変形例>
図4に示す本発明の第2実施形態に係るLED照明システムに、図8に示す分圧抵抗R5及びR6、コンパレータ24、AND回路25、並びに定電圧源27を追加してもよい。
【0070】
図4に示す本発明の第2実施形態に係るLED照明システムでは、位相制御式調光器2の位相制御素子(例えばトライアック)がオフであるときは、位相制御式調光器2内のインピーダンスが、LEDモジュール3とLED駆動回路4Bの総インピーダンスよりも高くなり、位相制御式調光器2からLED駆動回路4Bにエネルギが供給されず、位相制御式調光器2からLED駆動回路4Bに電流が供給されないため、制御部8が正常動作しなくなる。したがって、位相制御式調光器2の位相制御素子(例えばトライアック)がオフであるときは、制御部8の異常動作を回避するために、LED駆動回路4Bが位相制御式調光器2から電流を引かない構成とする必要がある。
【0071】
そのため、本実施例では、電圧(V2−VL)が低いときスイッチング素子10をオフ状態にして、スイッチング電源部5の動作を停止する。定電圧源27から出力される電圧の値は、位相制御式調光器2の位相制御素子(例えばトライアック)がオフしているときに分圧抵抗R5及びR6により生成される電圧(V2−VL)の分圧以上であって、位相制御式調光器2の位相制御素子(例えばトライアック)がオンし有効にLEDモジュール3に電流が供給されるときに分圧抵抗R5及びR6により生成される電圧(V2−VL)の分圧以下に設定する(例えば、定電圧源27の出力電圧を1Vとし、電圧(V2−VL)が50V以下のときにスイッチング素子10をオフ状態にする。)。
【0072】
<第4変形例>
図4に示す本発明の第2実施形態に係るLED照明システムにおいて、第2ドライバ16を図9に示すドライブ28に置換し、さらに、図9に示す分圧抵抗R7及びR8、コンパレータ29、基準電圧源30、並びに電流検出器31を追加してもよい。なお、ドライブ28は、コンパレータ15の出力に応じてスイッチング素子10のオン/オフをスイッチング制御するドライブ回路32と、基準電圧源33と、スイッチング素子10に流れる電流値を一定にするように基準電圧源33から出力される基準電圧と電流検出器31の出力との差に応じてスイッチング素子10の制御端子への供給電圧をアナログ的に制御するドライブ回路34と、ドライブ回路32の出力とドライブ回路34の出力とを択一的に選択してスイッチング素子10の制御端子に供給するスイッチ35とによって構成されている。
【0073】
分圧抵抗R7及びR8により生成される電圧(V2−VL)の分圧が基準電圧源30から出力される電圧よりも大きければ、スイッチ35はドライブ回路32の出力を選択する。一方、分圧抵抗R7及びR8により生成される電圧(V2−VL)の分圧が基準電圧源30から出力される電圧よりも大きくなければ、スイッチ35はドライブ回路34の出力を選択する。
【0074】
位相制御式調光器2の位相制御素子(例えばトライアック)がオフしている場合であって電圧(V2−VL)が低い状態のときは、スイッチング素子10をオンにする事で、LEDモジュール3とLED駆動回路4Bの総インピーダンスを位相制御式調光器2内のインピーダンスよりも低くすることができる。
【0075】
また、位相制御式調光器2の位相制御素子(例えばトライアック)がオンしている場合であって電圧(V2−VL)が低い状態のときは、スイッチング素子10をオフにしてスイッチング制御部5の動作を停止すると、位相制御式調光器2の位相制御素子(例えばトライアック)が交流電源1から出力される交番電圧が0Vになる前にオフしてしまう可能性がある。このとき、LEDモジュール3のちらつきが発生する可能性があるため、位相制御式調光器2の位相制御素子(例えばトライアック)がオンしている場合であって電圧(V2−VL)が低い状態のときは、スイッチング素子10に定電流を流す動作が必要となる。当該動作は、上述した通り、分圧抵抗R7及びR8により生成される電圧(V2−VL)の分圧が定電圧源30から出力される電圧よりも大きいときにスイッチ35がドライブ回路34の出力を選択することによって、実現される。
【0076】
また、位相制御式調光器2の共振による誤動作防止のため、電圧(V2−VL)が立ち上がったときに数百mA、数百μs程度の電流を流すLED駆動回路に関する発明を本出願人が既に特許出願している(特願2009−53307号)。図9に示す構成では、電圧(V2−VL)が立ち上がったときにスイッチ35がドライブ回路34の出力を選択し、スイッチング制御部5が定電流動作しているので、位相制御式調光器2の共振による誤動作を防止することができる。なお、特願2009−53307号で提案した発明では、電流引き抜き部で電流を損失させていたが、図9に示す構成では、スイッチング制御部5内のコイルに電流が蓄えられるため、電流の損失が少ない。
【0077】
なお、ドライブ回路34は、スイッチング素子10の制御端子への供給電圧をアナログ的に制御するため、消費電流が多くなる(たとえば数百μA程度)。このため、スイッチ35がドライブ回路32を選択している間は、ドライブ回路34への電源供給を停止して低消費電流化を図ることが望ましい。当該動作は、例えば、ドライブ回路34への電源供給ラインに開閉スイッチを設けることで簡単に実現することができる。
【0078】
<第5変形例>
上述した第4変形例では、ドライブ回路32の出力とドライブ回路34の出力との選択を電圧(V2−VL)に応じて切り替えたが、これに代えて、LED駆動回路に入力する電流を検知し、ドライブ回路32の出力とドライブ回路34の出力との選択をLED駆動回路に入力する電流に応じて切り替えるようにしてもよい。
【0079】
位相制御式調光器2の位相制御素子(例えばトライアック)が交流電源1から出力される交番電圧が0Vになる前にオフしてしまう現象は、位相制御式調光器2の位相制御素子(例えばトライアック)の電流が保持電流以下になるときに発生するので、LED駆動回路に入力する電流を検知する事により、上記現象の発生を精度よく防止することができる。なお、LED駆動回路に入力する電流の検知は、LED駆動回路の入力端に抵抗などの電流検知手段を設ける事により行うとよい。
【0080】
<第6変形例>
上述した第4変形例では、ドライブ回路32の出力とドライブ回路34の出力との選択を電圧(V2−VL)に応じて切り替えたが、これに代えて、LEDモジュール3に流れる電流を検知し、ドライブ回路32の出力とドライブ回路34の出力との選択をLEDモジュール3に流れる電流に応じて切り替えるようにしてもよい。
【0081】
位相制御式調光器2の位相制御素子(例えばトライアック)が交流電源1から出力される交番電圧が0Vになる前にオフしてしまう現象は、位相制御式調光器2の位相制御素子の電流が保持電流以下になるときに発生するので、上記現象の発生を精度よく防止する観点から、位相制御式調光器2の出力電流(=LED駆動回路に入力する電流)を検知する事が好ましいが、LEDモジュール3に流れる電流を検知する事によっても、上記現象の発生を防止することができる。なお、LEDモジュール3に流れる電流の検知は、電流検出器9を使用できるので、新たな検出器は不要となる。
【0082】
<第7変形例>
位相制御式調光器2の位相制御素子(例えばトライアック)が交流電源1から出力される交番電圧が0Vになる前にオフしてしまう現象の発生を回避するためには、数十mA程度電流を流す必要がある。一方、位相制御式調光器2の共振誤動作を回避のためには数百mAの電流を流す必要がある。
【0083】
図10に示すように、ドライブ36が制御すべき目標電流を切り替える構成にすることにより、スイッチング素子10のオン/オフをスイッチング制御するドライブ1つと、スイッチング素子10の制御端子への供給電圧をアナログ的に制御するドライブ1つとでスイッチング素子10を制御する構成で、上述した二つの回避を両立することができる。これに対して、スイッチング素子10の制御端子への供給電圧をアナログ的に制御するドライブが制御すべき目標電流を切り替えない構成では、上述した二つの回避を両立するために、スイッチング素子10のオン/オフをスイッチング制御するドライブ1つと、スイッチング素子10の制御端子への供給電圧をアナログ的に制御するドライブ2つとでスイッチング素子10を制御する構成にする必要がある。
【0084】
図10において図9と同一の部分には同一の符号を付し詳細な説明を省略する。本変形例では、図10に示すように、図9に示す変形例のドライブ28をドライブ36に置換している。ドライブ36は、基準電圧源33とは値の異なる基準電圧を出力する基準電圧源37と、基準電圧源33の出力と基準電圧源37の出力とを択一的に選択してドライブ回路34に供給するスイッチ38とを、ドライブ28に追加した構成である。
【0085】
通常時において、スイッチ38が基準電圧源33の出力を選択し、スイッチング素子10の電流が数十mA程度に制御される(例えば、電流検出器31の電流−電圧変換係数を1Ωとし、基準電圧源33から出力される基準電圧を50mAとすることで、スイッチング素子10の電流を50mAとすることができる。)。
【0086】
一方、位相制御式調光器2の位相制御素子(例えばトライアック)がオンした後、数百mAの電流を流す条件において、スイッチ38が基準電圧源37の出力を選択し、スイッチング素子10の電流が数百mA程度に制御される(例えば、電流検出器31の電流−電圧変換係数を1Ωとし、基準電圧源37から出力される基準電圧を250mAとすることで、スイッチング素子10の電流を250mAとすることができる。)。
【0087】
<第8変形例>
上述した本発明の第2実施形態では、昇圧型スイッチング電源回路を備えるLED駆動回路に本発明を適用したが、図11に示すように、降圧型スイッチング電源回路を備えるLED駆動回路に本発明を適用してもよい。
【0088】
図11に示す第8変形例に係るLED照明システムは、位相制御式調光器2と、LEDモジュール3と、LED駆動回路4Cとを備えている。LED駆動回路4Cは、本発明に係るLED駆動回路の一例であり、ダイオードブリッジDB1と、降圧型スイッチング電源回路39と、スイッチング素子6と、ダイオードブリッジDB1の正極側出力端に発生する電圧(V2−VL)が急峻に立ち上がるときの位相角を検出する位相角検出部7と、位相角検出部7によって検出された位相角に応じて降圧型スイッチング電源回路39及びスイッチング素子6を制御する制御部8とを有している。図11に示す第8変形例に係るLED照明システムでは、交流電源1と位相制御式調光器2とがダイオードブリッジDB1の入力側に直列に接続され、降圧型スイッチング電源回路39の入力側がダイオードブリッジDB1の出力側に接続され、1個以上のLEDからなるLEDモジュール3とスイッチング素子6とが降圧型スイッチング電源回路39の出力側に直列に接続されている。
【0089】
本変形例においては、制御部8は、例えば、降圧型スイッチング電源回路39の出力電圧又は降圧型スイッチング電源回路39の出力電力をフィードバックして、降圧型スイッチング電源回路39をフィードバック制御する。なお、上述した本発明の第2実施形態と同様に、制御部8が、LEDモジュール3の電流を、フィードバックして、降圧型スイッチング電源回路39をフィードバック制御するようにしてもよい。
【0090】
位相制御式調光器2の位相制御素子(例えばトライアック)が位相角135°以下でオフからオンに切り替わる調光レベルに設定されている場合、すなわち、位相角検出部7によって検出される位相角が135°以下である場合、制御部8の制御により、スイッチング素子6が常時オン状態になり、降圧型スイッチング電源回路39が図2Bの理想曲線例に則した電流をLEDモジュール3に供給する。
【0091】
一方、位相制御式調光器2の位相制御素子(例えばトライアック)が135°より大きい位相角でオフからオンに切り替わる調光レベルに設定されている場合、すなわち、位相角検出部7によって検出される位相角が135°より大きい場合、制御部8の制御により、スイッチング素子6がスイッチング動作を行い、スイッチング素子6がオン状態である間降圧型スイッチング電源回路39が図2B中の動作点Bでの電流値を維持してLEDモジュール3に電流を供給する。
【0092】
<第9変形例>
上述した本発明の第2実施形態では、トランスレスの昇圧型スイッチング電源回路を備えるLED駆動回路に本発明を適用したが、図12に示すように、トランスを有するスイッチング電源回路を備えるLED駆動回路に本発明を適用してもよい。
【0093】
図12に示す第9変形例に係るLED照明システムは、位相制御式調光器2と、LEDモジュール3と、LED駆動回路4Dとを備えている。LED駆動回路4Dは、本発明に係るLED駆動回路の一例であり、ダイオードブリッジDB1と、フライバックトランスを有するスイッチング電源回路40(以下、スイッチング電源回路40と略す)と、スイッチング素子6と、ダイオードブリッジDB1の正極側出力端に発生する電圧(V2−VL)が急峻に立ち上がるときの位相角を検出する位相角検出部7と、位相角検出部7によって検出された位相角に応じてスイッチング電源回路40及びスイッチング素子6を制御する制御部8とを有している。図12に示す第9変形例に係るLED照明システムでは、交流電源1と位相制御式調光器2とがダイオードブリッジDB1の入力側に直列に接続され、スイッチング電源回路40の入力側がダイオードブリッジDB1の出力側に接続され、1個以上のLEDからなるLEDモジュール3とスイッチング素子6とがスイッチング電源回路40の出力側に直列に接続されている。
【0094】
本変形例においては、制御部8は、例えば、スイッチング電源回路40の出力電圧又はスイッチング電源回路40の出力電力をフィードバックして、スイッチング電源回路40をフィードバック制御する。なお、上述した本発明の第2実施形態と同様に、制御部8が、LEDモジュール3の電流を、フィードバックして、スイッチング電源回路40をフィードバック制御するようにしてもよい。
【0095】
位相制御式調光器2の位相制御素子(例えばトライアック)が位相角135°以下でオフからオンに切り替わる調光レベルに設定されている場合、すなわち、位相角検出部7によって検出される位相角が135°以下である場合、制御部8の制御により、スイッチング素子6が常時オン状態になり、スイッチング電源回路40が図2Bの理想曲線例に則した電流をLEDモジュール3に供給する。
【0096】
一方、位相制御式調光器2の位相制御素子(例えばトライアック)が135°より大きい位相角でオフからオンに切り替わる調光レベルに設定されている場合、すなわち、位相角検出部7によって検出される位相角が135°より大きい場合、制御部8の制御により、スイッチング素子6がスイッチング動作を行い、スイッチング素子6がオン状態である間スイッチング電源回路40が図2B中の動作点Bでの電流値を維持してLEDモジュール3に電流を供給する。
【0097】
<<本発明に係る照明システムの製品形態>>
本発明に係る照明システムの製品形態は、次の3つの形態に大別される。
【0098】
<第1の製品形態>
第1の製品形態は、図13Aに示すように、位相制御式調光器に、本発明に係るLED駆動回路をユニット化したアダプタユニットを接続し、当該アダプタユニットに、LEDモジュールをユニット化したLED照明灯具を接続する形態である。
【0099】
<第2の製品形態>
第2の製品形態は、図13Bに示すように、位相制御式調光器と本発明に係るLED駆動回路とをユニット化した調光装置(本発明に係る調光装置)に、LEDモジュールを内蔵するLED照明灯具を接続する形態である。
【0100】
<第3の製品形態>
第3の製品形態は、図13Cに示すように、位相制御式調光器に、本発明に係るLED駆動回路とLEDモジュールとをユニット化したLED照明灯具(本発明に係るLED照明灯具)を接続する形態である。
【0101】
ここで、第3の製品形態における、本発明に係るLED照明灯具、本発明に係るLED照明機器、及び本発明に係るLED照明システムの概略構造例を図14に示す。図14では、電球形の本発明に係るLED照明灯具200を部分切り欠き図で示している。電球形の本発明に係るLED照明灯具200は、筐体または基板202と、筐体または基板202の正面(電球形の頭部側)に設置される1個以上のLEDからなるLEDモジュール201と、筐体または基板202の背面(電球形の下部側)に設置され回路203とを内部に備えている。回路203には、例えば上述した本発明に係るLED駆動回路の各例を用いることができる。
【0102】
電球形の本発明に係るLED照明灯具200がねじ込まれて装着されるLED照明灯具装着部300と、ライトコントロール器(位相制御式調光器)400とが、交流電源1に直列に接続される。電球形の本発明に係るLED照明灯具200とLED照明灯具装着部300によって、LED照明機器(シーリングライト,ペンダントライト,キッチンライト,ダウンライト,スタンドライト,スポットライト,フットライト等)が構成される。そして、電球形の本発明に係るLED照明灯具200と、LED照明灯具装着部300と、ライトコントロール器400とによって、本発明に係るLED照明システム500が構成される。LED照明灯具装着部300は例えば室内の天井壁面に配設され、ライトコントロール器400は例えば室内の側方壁面に配設される。
【0103】
電球形の本発明に係るLED照明灯具200がLED照明灯具装着部300に対して着脱自在であるため、例えば、従来は白熱灯、蛍光灯等の照明灯具を用いていた既存の照明機器及び照明システムにおいて、白熱灯、蛍光灯等の照明灯具を電球形の本発明に係るLED照明灯具200に交換するだけで、低輝度調光時にLEDがちらついて点灯することを低減することができる。
【0104】
図14では、ライトコントロール器400が図18中の位相制御式調光器である場合のライトコントロール器400の外観を図示しており、つまみ式ボリュームにより調光の度合いを変更できるようにしている。なお、つまみ式に代えてスライド式ボリュームにより調光の度合いを変更できるようにしても良いことはいうまでもない。
【0105】
上記では前記ライトコントロール器400としてつまみ式ボリュームやスライド式ボリュームにより人が直接操作するものを挙げたが、これに限らず、リモコン等の無線信号により人が遠隔操作するものであっても良い。即ち、受信側である前記ライトコントロール器本体に無線信号受信部を設け、送信側である送信機本体(例えば、リモコン送信機、携帯端末等)に前記無線信号受信部へライトコントロール信号(例えば、調光信号、ライトON/OFF信号等)を送信する無線信号送信部を設けることで遠隔操作できる。
【0106】
また、本発明に係るLED照明灯具は、電球形のLED照明灯具に限らず、例えば、図15に示す電灯形のLED照明灯具600、環形のLED照明灯具700、又は直管形のLED照明灯具800であってもよい。
【符号の説明】
【0107】
1 交流電源
2 位相制御式調光器
3 LEDモジュール
4A、4B、4C、4D LED駆動回路
5 スイッチング電源部
6 スイッチング素子
7 位相角検出部
8 制御部
9、26、31 電流検出器
10 スイッチング素子
11 スイッチング素子制御部
12 第1ドライバ
13 エラーアンプ
14 発振器
15、24、29 コンパレータ
16 第2ドライバ
17、22、23、27、30 定電圧源
18、19 コンパレータ
20 フリップフロップ
21 OR回路
25 AND回路
28、36 ドライブ
32、34 ドライブ回路
33、37 基準電圧源
35、38 スイッチ
39 降圧型スイッチング電源回路
40 フライバックトランスを有するスイッチング電源回路
200 電球形の本発明に係るLED照明灯具
201 LEDモジュール
202 筐体または基板
203 回路
300 LED照明灯具装着部
400 ライトコントロール器
500 本発明に係るLED照明システム
600 本発明に係る電灯形のLED灯具
700 本発明に係る環形のLED灯具
800 本発明に係る直管形のLED灯具
C0 コンデンサ
D1、D2 逆流防止用ダイオード
DB1 ダイオードブリッジ
R1〜R8 分圧抵抗

【特許請求の範囲】
【請求項1】
位相制御式調光器からの交番電圧を入力してLEDを駆動するLED駆動回路であって、
前記位相制御式調光器内部の位相制御素子がオフからオンになる位相角を検出する位相角検出部と、
前記LEDに電流を供給するスイッチング電源部と、
前記LEDに直列に接続されるスイッチング素子と、
前記位相角検出部の出力に応じて前記スイッチング電源部及び前記スイッチング素子を制御する制御部とを備え、
前記制御部が、前記位相角検出部によって検出される位相角が所定値以下である場合に、前記スイッチング素子を常時オン状態にし、前記位相角検出部によって検出される位相角が前記所定値より大きい場合に、前記スイッチング素子をパルス駆動することを特徴とするLED駆動回路。
【請求項2】
前記LEDに流れる電流を検出する電流検出部を備え、
前記制御部が、前記位相角検出部の出力及び前記電流検出部の出力に応じて前記スイッチング電源部及び前記スイッチング素子を制御する請求項1に記載のLED駆動回路。
【請求項3】
前記スイッチング素子がオン状態であるとき、前記制御部が、前記スイッチング電源部のオンデューティの最小値を制限する請求項1または請求項2に記載のLED駆動回路。
【請求項4】
前記LEDに流れる電流がある一定値を下回ると、前記制御部が、前記スイッチング素子をオフ状態にする請求項1〜3のいずれか1項に記載のLED駆動回路。
【請求項5】
前記制御部が、前記交番電圧の周期にあわせて前記スイッチング素子をオン状態にする請求項4に記載のLED駆動回路。
【請求項6】
前記位相角検出部によって検出される位相角がある一定値より大きくなると、前記制御部が、前記スイッチング素子を常時オフ状態にし、前記LEDの点灯を停止する請求項1〜3のいずれか1項に記載のLED駆動回路。
【請求項7】
前記制御部が、前記スイッチング電源部内のスイッチング素子に流れる電流のピーク値を、前記スイッチング電源部の入力電圧に応じて制御する請求項1〜3のいずれか1項に記載のLED駆動回路。
【請求項8】
前記スイッチング電源部の入力電圧がある一定値を下回ると、前記制御部が、前記スイッチング電源部の動作を停止させる請求項1〜3のいずれか1項に記載のLED駆動回路。
【請求項9】
前記スイッチング電源部が、昇圧型スイッチング電源回路である請求項1〜8のいずれか1項に記載のLED駆動回路。
【請求項10】
前記制御部が、
前記スイッチング電源部内のスイッチング素子のオン/オフをスイッチング制御する第1のドライブ回路と、
前記スイッチング電源部内のスイッチング素子に流れる電流値を一定にするように前記スイッチング電源部内のスイッチング素子の制御端子への供給電圧をアナログ的に制御する第2のドライブ回路と、
前記スイッチング電源部の入力電圧、前記LED駆動回路の入力電流、又は前記LEDに流れる電流に応じて、前記第1のドライブ回路による前記スイッチング電源部の駆動及び前記第2のドライブ回路による前記スイッチング電源部の駆動のいずれか一方を選択する選択部とを有することを特徴とする請求項9に記載のLED駆動回路。
【請求項11】
前記第2のドライブ回路の制御により一定となる前記スイッチング電源部内のスイッチング素子に流れる電流値が切り替え可能であることを特徴とする請求項10に記載のLED駆動回路。
【請求項12】
前記選択部が前記第1のドライブ回路による前記スイッチング電源部の駆動を選択しているときは、前記第2のドライブ回路の動作を停止することを特徴とする請求項10に記載のLED駆動回路。
【請求項13】
前記スイッチング電源部が、降圧型スイッチング電源回路である請求項1〜8のいずれか1項に記載のLED駆動回路。
【請求項14】
前記スイッチング電源部が、トランスを有するスイッチング電源回路である請求項1〜8のいずれか1項に記載のLED駆動回路。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか1項に記載のLED駆動回路と、前記LED駆動回路の出力側に接続されたLEDとを備えることを特徴とするLED照明灯具。
【請求項16】
請求項1〜14のいずれか1項に記載のLED駆動回路又は請求項15に記載のLED照明灯具を備えることを特徴とするLED照明機器。
【請求項17】
請求項15に記載のLED照明灯具又は請求項16に記載のLED照明機器と、当該LED照明灯具又はLED照明機器の入力側に接続された位相制御式調光器とを備えることを特徴とするLED照明システム。
【請求項18】
請求項1〜14のいずれか1項に記載のLED駆動回路と、
前記LED駆動回路に交番電圧を供給する位相制御式調光器とを備えることを特徴とする調光装置。
【請求項19】
LED照明灯具と、
前記LED照明灯具の入力側に接続された請求項18に記載の調光装置とを備えることを特徴とするLED照明システム。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19A】
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【図19B】
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【図20】
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【公開番号】特開2011−165394(P2011−165394A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−24376(P2010−24376)
【出願日】平成22年2月5日(2010.2.5)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】