説明

LED駆動装置及びそれを用いた照明装置

【課題】電源電圧が低下して復帰した場合に、光源部に過電流が流れるのを防ぐことのできるLED駆動装置及びそれを用いた照明装置を提供する。
【解決手段】直流電源DC1の電源電圧を所望の直流電圧に変換して出力するDC/DCコンバータ部1と、電源電圧を検出する入力電圧検出部2と、複数のLED60から成る光源部6を流れる負荷電流を検出する電流検出部4と、入力電圧検出部2での検出電圧に基づいて負荷電流を制御する制御部5とを備え、制御部5は、電源電圧が第1の閾値電圧V1よりも低下すると、負荷電流を電源電圧が低下していない通常時よりも小さくなるように制御し、電源電圧が復帰して第2の閾値電圧V2よりも上昇すると、一定期間、入力電圧検出部2の検出電圧に基づく値よりも負荷電流が小さくなるように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源としての発光ダイオードを駆動するLED駆動装置及びそれを用いた照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(以下、「LED」と呼ぶ)は、白熱電球に比べて長寿命で応答性が良いことから、LEDを光源とする照明装置が従来から多数提供されている。例えば、自動車のストップランプ等にLEDを光源とした車両用リアコンビネーションランプが用いられることが多くなってきており、その駆動装置が特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1に記載の車両用リアコンビネーションランプ装置は、複数のLEDを直列に接続したLEDユニットと、昇圧回路により昇圧した電圧をLEDに印加する制御ユニットとを備える。制御ユニットは、定電流回路と、定電流回路にかかる電圧を検出する電圧検出回路を有し、電圧検出回路で検出された電圧が複数個のLEDを発光させるに足る可能な限り低い電圧となるように昇圧電圧を制御する。
【0004】
一方、電源電圧が所定の電圧値よりも低くなった場合に、LEDに供給される電流量を低減することで、LEDよりも重要な機能を果たす機器に供給される電流量を確保する車両用LED駆動装置が特許文献2に開示されている。
【0005】
この車両用LED駆動装置では、電源の電圧値を測定する測定手段と、測定された電源の電圧値に基づいて、電源配線に設けられたスイッチング素子に入力される駆動信号のデューティ比を制御する制御手段とを備えている。制御手段は、電源の電圧値が所定の電圧値よりも大きい場合には、LEDを一定の輝度で発光させるように駆動信号のデューティ比を制御する。そして、制御手段は、電源の電圧値が所定の電圧値以下の場合には、LEDの輝度が一定の輝度に対して下がるように、すなわち、LEDに供給される電流量が低減するように駆動信号のデューティ比を制御する。これにより、メータなどのLEDよりも重要な機器に供給される電流量を確保している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−187614号公報
【特許文献2】特開2010−163105号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記の車両用LED駆動装置では、電源の電圧値が所定の電圧値以上に復帰した場合に、LEDが所定の輝度となるように電流を制御してしまう。このため、例えば電源の電圧値が瞬間的に所定の電圧値以上に復帰した場合、LEDに過電流が流れてしまい、LEDを劣化させてしまうという問題があった。
【0008】
本発明は、上記の点に鑑みて為されたもので、電源電圧が低下して復帰した場合に、光源部に過電流が流れるのを防ぐことのできるLED駆動装置及びそれを用いた照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のLED駆動装置は、外部電源の電源電圧を所定の直流電圧に変換し且つ発光ダイオードから成る光源部に点灯電力を供給する電源部と、前記電源部に入力される前記電源電圧を検出する入力電圧検出部と、前記光源部を流れる負荷電流を検出する電流検出部と、前記入力電圧検出部の検出電圧に基づいて前記負荷電流を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記電源電圧が所定の閾値電圧よりも低下すると、前記負荷電流を前記電源電圧が低下していない通常時よりも小さくなるように制御し、前記電源電圧が復帰して前記所定の閾値電圧よりも上昇すると、一定期間、前記入力電圧検出部の検出電圧に基づく値よりも前記負荷電流が小さくなるように制御することを特徴とする。
【0010】
このLED駆動装置において、前記制御部は、前記一定期間において前記負荷電流を段階的に増大させるように制御することが好ましい。
【0011】
このLED駆動装置において、前記制御部は、前記一定期間において前記負荷電流を指数関数的に増大させるように制御することが好ましい。
【0012】
このLED駆動装置において、前記電源部は、少なくとも1つのスイッチング素子を有し且つ前記スイッチング素子のオン/オフを切り替えることで出力を制御するDC/DCコンバータ部から成り、前記制御部は、前記スイッチング素子のオン時間の幅を変化させることで前記負荷電流を制御することが好ましい。
【0013】
このLED駆動装置において、前記制御部は、マイコンで構成されることが好ましい。
【0014】
このLED駆動装置において、前記制御部は、前記電源電圧の低下時に前記電源電圧の低下に伴って前記負荷電流を減少させるように制御することが好ましい。
【0015】
このLED駆動装置において、前記制御部は、前記通常時には前記所定の閾値電圧を第1の閾値電圧に設定し、前記電源電圧の低下時には、前記所定の閾値電圧を前記第1の閾値電圧よりも大きい第2の閾値電圧に設定することが好ましい。
【0016】
本発明の照明装置は、上記何れかのLED駆動装置と、前記光源部と、前記光源部及び前記LED駆動装置を保持する器具本体とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、電源電圧が低下して復帰した場合に、光源部に過電流が流れるのを防ぐことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係るLED駆動装置の実施形態1を示す図で、(a)は回路概略図で、(b)は動作波形図である。
【図2】同上のLED駆動装置における電源電圧と目標電流値との相関図である。
【図3】本発明に係るLED駆動装置の実施形態2を示す図で、(a)は回路概略図で、(b)は動作波形図である。
【図4】同上のLED駆動装置における動作を説明するためのフローチャート図である。
【図5】同上のLED駆動装置における電源電圧と目標電流値との相関図である。
【図6】本発明に係る照明装置の実施形態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(実施形態1)
以下、本発明に係るLED駆動装置の実施形態1について図面を用いて説明する。本実施形態は、図1(a)に示すように、DC/DCコンバータ部(電源部)1と、入力電圧検出部2と、出力電圧検出部3と、電流検出部4と、制御部5とから構成される。DC/DCコンバータ部1の入力端間には、外部電源である直流電源DC1が接続され、出力端間には1乃至複数のLED60を直列に接続して成る光源部6が接続されている。なお、本実施形態では、光源部6を複数個のLED60を直列に接続して構成しているが、並列に接続して構成してもよい。また、直流電源DC1としては、例えばバッテリや直流電源装置、商用交流電源を整流平滑する直流電源回路などが採用される。
【0020】
DC/DCコンバータ部1は、昇圧トランスT1を備えるフライバック型コンバータであって、昇圧トランスT1の1次巻線T10には、コンデンサC1と、MOSFETから成るスイッチング素子Q0とが接続されている。また、昇圧トランスT1の2次巻線T11には、ダイオードD1を介して平滑用コンデンサC2が接続されている。スイッチング素子Q0は、後述する出力制御部50から駆動信号を与えられることによりオン/オフ制御される。そして、DC/DCコンバータ部1は、出力制御部50によりスイッチング素子のオン時間の幅、すなわちオンデューティ比を変化させることで、入力電圧を所望の直流電圧に昇圧して出力する。これにより、DC/DCコンバータ部1は光源部6に点灯電力を供給する。
【0021】
入力電圧検出部2は、DC/DCコンバータ部1の入力電圧、すなわち直流電源DC1の電源電圧を検出するもので、DC/DCコンバータ部1の入力端間に接続される抵抗R1〜R3の直列回路で構成される。入力電圧検出部2は、DC/DCコンバータ部1の入力電圧を抵抗R1〜R3により分圧する。そして、分圧した入力電圧は、後述する制御部5のコンパレータCP2の非反転入力端子に入力される。
【0022】
出力電圧検出部3は、光源部6に印加される負荷電圧を検出するもので、光源部6に並列に接続される抵抗R4〜R6の直列回路で構成される。出力電圧検出部3は、光源部6の負荷電圧を抵抗R4〜R6により分圧する。そして、分圧した出力電圧は、後述する制御部5の出力制御部50に入力される。
【0023】
電流検出部4は、光源部6を流れる負荷電流を検出するものであって、光源部6と直列に接続される検出抵抗R7と、抵抗R8,R9及びオペアンプOP1から成る非反転増幅回路とで構成される。負荷電流が流れることにより生じる検出抵抗R7の両端電圧は、非反転増幅回路で増幅され、後述する出力制御部50のコンパレータCP1の非反転入力端子に入力される。
【0024】
制御部5は、DC/DCコンバータ部1の出力電圧を制御する出力制御部50を備える。出力制御部50は、DC/DCコンバータ部1のスイッチング素子Q0に駆動信号を与える駆動回路50Aと、コンパレータCP1とを備える。コンパレータCP1の非反転入力端子には、オペアンプOP1の出力電圧が入力され、反転入力端子には、後述する制御電源7の制御電圧VC1を分圧した電圧が入力される。ここで、非反転入力端子の入力電圧は、電流検出部4の検出抵抗R7を流れる負荷電流に対応する電圧であり、反転入力端子の入力電圧は、負荷電流の目標電流値に対応する電圧である。すなわち、コンパレータCP1では、負荷電流と目標電流値とを比較している。
【0025】
したがって、コンパレータCP1では、負荷電流値と目標電流値とを比較し、その誤差に基づく出力信号を駆動回路50Aに出力する。そして、駆動回路50Aは、コンパレータCP1の出力信号に基づいて駆動信号のオン時間の幅を制御する。これにより、光源部6を流れる負荷電流が目標電流値と一致するようにDC/DCコンバータ部1の出力電圧が制御される。
【0026】
また、出力制御部50には、出力電圧検出部3で検出された負荷電圧が入力されており、当該負荷電圧に基づいて、例えば断線等による光源部6の異常を判定する。そして、出力制御部50は、光源部6に異常が発生していると判定すると、駆動回路50Aによりスイッチング素子Q0のオン/オフ制御を停止させたり、駆動信号のオン時間の幅を短くしたりすることで、DC/DCコンバータ部1の出力を制限する。
【0027】
制御部5は、制御電源7から制御電圧VC1を供給されることで動作する。制御電源7は、直流電源DC1から入力される電源電圧に基づいて制御電圧VC1を生成する。この制御電圧VC1は、抵抗R10,R11,R12から成る分圧回路により分圧され、制御電圧VC1を分圧した電圧がコンパレータCP2の反転入力端子に入力される。
【0028】
ここで、抵抗R11には、NPN型トランジスタから成るスイッチング素子Q1が並列に接続されており、そのベース端子はコンパレータCP2の出力端子に接続されている。したがって、コンパレータCP2の出力信号によりスイッチング素子Q1のオン/オフが切り替えられ、抵抗R11の分圧回路への接続が切り替えられる。そして、抵抗R11の
分圧回路への接続が切り替えられることによって制御電圧VC1の分圧値が変化し、コンパレータCP2の反転入力端子に入力される電圧値も変化する。
【0029】
すなわち、制御部5は、コンパレータCP2の非反転入力端子の入力電圧と、スイッチング素子Q1のオン時における反転入力端子の入力電圧とを比較することで、直流電源DC1の電源電圧と第1の閾値電圧V1とを比較している。また、制御部5は、コンパレータCP2の非反転入力端子の入力電圧と、スイッチング素子Q1のオフ時における反転入力端子の入力電圧とを比較することで、直流電源DC1の電源電圧と第2の閾値電圧V2(>V1)とを比較している。
【0030】
コンパレータCP2の出力端子には、NPN型トランジスタから成るスイッチング素子Q2のベース端子が接続されている。スイッチング素子Q2のコレクタ端子には、抵抗R17を介して制御電圧VC1が入力されている。また、スイッチング素子Q2のコレクタ端子は、NPN型トランジスタから成るスイッチング素子Q3のベース端子に接続されている。スイッチング素子Q3のエミッタ端子は、抵抗R16を介してグランドに接続されている。また、スイッチング素子Q3及び抵抗R16の直列回路には、抵抗R15及びコンデンサC3が各々並列に接続されている。
【0031】
スイッチング素子Q3のコレクタ端子には、抵抗R13,14を介して制御電圧VC1が入力されている。抵抗R13及び抵抗14の接続点は、出力制御部50のコンパレータCP1の反転入力端子に接続されている。したがって、コンパレータCP1の反転入力端子には、制御電圧VC1を分圧した電圧が入力される。
【0032】
以下、本実施形態の動作について説明する。先ず、電源電圧が低下していない通常時では、コンパレータCP2の非反転入力端子の入力電圧が反転入力端子の入力電圧よりも大きいため、コンパレータCP2はハイレベルの出力信号を出力する。このため、スイッチング素子Q2はオン状態、スイッチング素子Q3はオフ状態を維持し、コンパレータCP1の反転入力端子には、抵抗R13〜R15で構成される分圧回路により制御電圧VC1を分圧した電圧が入力される。このコンパレータCP1の反転入力端子の入力電圧が、通常時の目標電流値に対応する。したがって、通常時においては、出力制御部50は、負荷電流が通常時の目標電流値と一致するようにスイッチング素子Q0のオン時間の幅を制御する(図1(b)参照)。
【0033】
一方、電源電圧が低下してコンパレータCP2の非反転入力端子の入力電圧が反転入力端子の入力電圧よりも小さくなる、すなわち、電源電圧が第1の閾値電圧V1を下回ると、コンパレータCP2はローレベルの出力信号を出力する。このため、スイッチング素子Q2がオフ、スイッチング素子Q3がオンに切り替わることで、抵抗R16が抵抗R13〜R15で構成される分圧回路に接続される。これにより、制御電圧VC1の分圧値が通常時よりも低下し、当該分圧値がコンパレータCP1の反転入力端子に入力される。このコンパレータCP1の反転入力端子の入力電圧が、電源電圧の低下時の目標電流値に対応する。したがって、電源電圧の低下時においては、出力制御部50は、負荷電流が電源電圧の低下時の目標電流値と一致するようにスイッチング素子Q0のオン時間の幅を制御する。これにより、電源電圧の低下時には、通常時よりも小さい負荷電流が光源部6に流れる(図1(b)参照)。
【0034】
ここで、電源電圧の低下時には、コンパレータCP2のローレベルの出力信号がスイッチング素子Q1のベース端子に入力されることにより、スイッチング素子Q1がオフに切り替わる。これにより、コンパレータCP1において電源電圧と比較される閾値電圧が、第1の閾値電圧V1から第2の閾値電圧V2に切り替わる。
【0035】
その後、電源電圧が復帰して上昇し、コンパレータCP2の非反転入力端子の入力電圧が反転入力端子の入力電圧よりも大きくなる、すなわち、電源電圧が第2の閾値電圧V2を上回ると、コンパレータCP2はハイレベルの出力信号を出力する。このため、スイッチング素子Q2がオン、スイッチング素子Q3がオフに切り替わることで、抵抗R16が抵抗R13〜R15で構成される分圧回路から切り離される。
【0036】
ここで、抵抗R15に並列に接続されたコンデンサC3が充電を開始することにより、制御電圧VC1の分圧値が指数関数的に増大する。すなわち、図1(b)に示すように、目標電流値が、電源電圧の低下時の目標電流値から通常時の目標電流値まで徐々に増加する。したがって、電源電圧の復帰時においては、負荷電流が目標電流値と一致するように出力制御部50がスイッチング素子Q0のオン時間の幅を制御することにより、負荷電流が一定期間、指数関数的に徐々に増大する。
【0037】
上述のように、本実施形態では、直流電源DC1の電源電圧が低下して復帰した場合に、光源部6を流れる負荷電流が一定期間、入力電圧検出部2の検出電圧に基づく値よりも負荷電流が小さくなるように制御部5がDC/DCコンバータ部1を制御する。したがって、本実施形態では、直流電源DC1の電源電圧が低下して復帰した場合に、光源部6に急激に過大な電流が流れるのを防ぐことができ、過電流によりLED60が劣化するのを回避することができる。また、本実施形態では、電源電圧の復帰時に負荷電流が指数関数的に徐々に増大するため、光源部6の光出力が急激に変化することもなく、違和感を少なくすることができる。
【0038】
なお、本実施形態では、通常時には電源電圧が第1の閾値電圧V1を下回らなければ目標電流値が低下せず、電源電圧の低下時には電源電圧が第2の閾値電圧V2を上回るまで復帰しなければ通常時の目標電流値に復帰しないようになっている。すなわち、本実施形態では、図2に示すように、制御部5が第1の閾値電圧V1及び第2の閾値電圧V2を設定することで、閾値電圧にヒステリシス特性を持たせている。このため、ノイズ等による電源電圧の微小な変動によって、目標電流値が変動するのを防止することができる。
【0039】
(実施形態2)
以下、本発明に係るLED駆動装置の実施形態2について図面を用いて説明する。但し、本実施形態の基本的な構成は実施形態1と共通であるので、共通する部位には同一の番号を付して説明を省略する。本実施形態は、図3(a)に示すように、制御部5をマイコン51で構成したことに特徴がある。
【0040】
マイコン51は、例えばA/D変換機能や、各種プログラムを記憶するフラッシュメモリを内蔵した汎用マイコンであって、制御電源7から供給される制御電圧VC1によって動作する。なお、本実施形態のマイコン51は、水晶振動子52、コンデンサC4,C5で構成される共振回路から発振する発振信号を基準クロックとして用いているが、マイコン51の内部クロックを基準クロックとして用いてもよい。
【0041】
マイコン51は、入力電圧検出部2で検出された電圧をA/D変換し、ディジタル値の電源電圧値として読み込む。また、マイコン51は、電流検出部4の検出抵抗R7に生じる両端電圧をA/D変換し、ディジタル値の負荷電流検出値として読み込む。更に、マイコン51は、負荷電流が目標電流値と一致するようにスイッチング素子Q0のオン時間の幅を設定し、設定値に基づいてD/A変換してアナログ信号の駆動信号をスイッチング素子Q0に入力する。
【0042】
また、本実施形態では、電流検出部4と光源部6との間にMOSFETから成るスイッチング素子Q4を接続している。そして、当該スイッチング素子Q4のゲート端子にマイコン51からPWM信号を入力してスイッチング素子Q4のオン/オフを制御することにより、光源部6の点灯期間を変化させ、光源部6を調光することができる。なお、PWM制御による光源部6の調光については従来周知であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0043】
以下、本実施形態の動作について主に図4を用いて説明する。先ず、電源電圧が低下していない通常時の動作について説明する。マイコン51は、入力電圧検出部2から電源電圧値を読み込み、当該電源電圧値と、内蔵メモリに記憶された通常時の閾値電圧V0とを比較する。そして、電源電圧値が通常時の閾値電圧V0よりも大きい場合、すなわち電源電圧が低下していない場合には、通常時の目標電流値I0を内蔵メモリから読み込む。一方、マイコン51は、電流検出部4から負荷電流検出値を読み込み、通常時の目標電流値I0と負荷電流検出値との誤差を演算し、当該誤差を無くすようにスイッチング素子Q0のオン時間の幅を設定する。そして、マイコン51から駆動信号をスイッチング素子Q0に与えることで、DC/DCコンバータ部1の出力を制御する。上記動作は、電源電圧値が通常時の閾値電圧V0よりも小さくなるまで繰り返される。
【0044】
一方、電源電圧値が通常時の閾値電圧V0よりも小さい場合、すなわち電源電圧が低下した場合には、マイコン51は、当該電源電圧値に対応する目標電流値を内蔵メモリから読み込む。また、マイコン51は、上記と同様に電流検出部4から負荷電流検出値を読み込み、目標電流値と負荷電流検出値との誤差を演算し、当該誤差を無くすようにスイッチング素子Q0のオン時間の幅を設定する。そして、マイコン51から駆動信号をスイッチング素子Q0に与えることで、DC/DCコンバータ部1の出力を制御する。上記動作は、電源電圧値が通常時の閾値電圧V0よりも大きくなる、すなわち電源電圧が復帰するまで繰り返される。
【0045】
したがって、図5に示すように、電源電圧が低下した場合には、マイコン51により電源電圧に対応した目標電流値が設定され、負荷電流が当該目標電流値と一致するようにDC/DCコンバータ部1の出力が制御される。これにより、マイコン51は、電源電圧の低下に伴って光源部6を流れる負荷電流を減少させるように制御するので、電源電圧の低下に伴う負荷電流の増大を抑制できる。また、負荷電流も電源電圧に基づいてきめ細かく変化するために、光源部6の光出力が急激に変化することがなく、違和感を少なくすることができる。
【0046】
その後、電源電圧値が通常時の閾値電圧V0よりも大きくなった場合、すなわち電源電圧が復帰した場合には、マイコン51は、内蔵されたタイマーによるカウントを開始し、現在の目標電流値を一定値増加させた値を新たな目標電流値として読み込む。また、マイコン51は、上記と同様に電流検出部4から負荷電流検出値を読み込み、目標電流値と負荷電流検出値との誤差を演算し、当該誤差を無くすようにスイッチング素子Q0のオン時間の幅を設定する。そして、マイコン51から駆動信号をスイッチング素子Q0に与えることで、DC/DCコンバータ部1の出力を制御する。上記動作は、タイマーによるカウントを開始してから一定時間P1を経過するまで繰り返される。
【0047】
そして、一定時間P1が経過すると、マイコン51は電流検出部4から負荷電流検出値を読み込み、当該検出値と通常時の目標電流値I0とを比較する。そして、負荷電流検出値が通常時の目標電流値I0よりも大きければ、マイコン51は通常時の動作に復帰する。負荷電流検出値が通常時の目標電流値I0に達していない場合には、マイコン51は、再度現在の目標電流値を一定値増加させた値を新たな目標電流値として読み込み、上記の動作を繰り返す。
【0048】
したがって、電源電圧の復帰時においては、目標電流値を段階的に増大させ、負荷電流が当該目標電流値と一致するようにマイコン51がスイッチング素子Q0のオン時間の幅を制御することにより、負荷電流が段階的に徐々に増大する(図3(b)参照)。
【0049】
上述のように、本実施形態では、直流電源DC1の電源電圧が低下して復帰した場合に、光源部6を流れる負荷電流が一定期間、入力電圧検出部2の検出電圧に基づく値よりも負荷電流が小さくなるように制御部5がDC/DCコンバータ部1を制御する。したがって、本実施形態では、実施形態1と同様に、流電源DC1の電源電圧が低下して復帰した場合に、光源部6に急激に過大な電流が流れるのを防ぐことができ、過電流によりLED60が劣化するのを回避することができる。また、本実施形態では、電源電圧の復帰時に負荷電流が段階的に徐々に増大するため、光源部6の光出力が急激に変化することもなく、違和感を少なくすることができる。更に、本実施形態では、制御部5をマイコン51で構成しているため、プログラムを変更することで様々な設定を行うことができ、細やかな点灯制御を行うことができる。
【0050】
以下、本発明に係る照明装置の実施形態について図面を用いて説明する。本実施形態はヘッドランプ(前照灯)であって、図6に示すように、器具本体A1と、光源部6を有する光源ユニットA2と、光源部6から照射される光を配光する光学ユニットA3とを備える。また、本実施形態は、光源部6が取付固定されて光源部6が発する熱を放熱する放熱板A4と、光源ユニットA2及び放熱板A4を器具本体A1に固定するための固定用治具A5とを備える。そして、光源部6には、上記何れかの実施形態のLED駆動装置B1が出力線B2を介して接続されている。また、LED駆動装置B1は、入力線B3を介して直流電源DC1と接続されている。本実施形態では、直流電源DC1として車載用のバッテリを用いている。
【0051】
本実施形態は、上記何れかの実施形態のLED駆動装置B1を備えているので、電源電圧が低下して復帰した場合に、光源部6に過電流が流れるのを防ぐことができる。
【0052】
なお、照明装置としては上記実施形態のヘッドランプには限定されず、例えばルームランプのような車室内用照明装置や、テールランプ、車幅灯、ブレーキランプのような車外灯照明装置に広く用いることができる。勿論、車両用以外の一般的な照明用途の照明器具に用いても構わない。
【0053】
例えば、上記何れかの実施形態のLED駆動装置B1をルームランプのような車室内用照明装置に用いる場合には、光源部6の前面に配置される光学ユニットA3の配光特性は、遠方への照明に適する特性から車室内の照明に適する特性に変更すべきである。また、この場合には、器具本体A1の形状も車室内での配置に適する形状に変更すべきであるのは言うまでもない。また、車両用以外の一般的な照明用途の照明器具に用いる場合には、直流電源DC1として、車載用のバッテリに代えて商用交流電源を整流平滑する直流電源回路などを用いるのが望ましい。
【符号の説明】
【0054】
1 DC/DCコンバータ部(電源部)
2 入力電圧検出部
4 電流検出部
5 制御部
6 光源部
60 LED
DC1 直流電源(外部電源)



【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部電源の電源電圧を所定の直流電圧に変換し且つ発光ダイオードから成る光源部に点灯電力を供給する電源部と、前記電源部に入力される前記電源電圧を検出する入力電圧検出部と、前記光源部を流れる負荷電流を検出する電流検出部と、前記入力電圧検出部の検出電圧に基づいて前記負荷電流を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記電源電圧が所定の閾値電圧よりも低下すると、前記負荷電流を前記電源電圧が低下していない通常時よりも小さくなるように制御し、前記電源電圧が復帰して前記所定の閾値電圧よりも上昇すると、一定期間、前記入力電圧検出部の検出電圧に基づく値よりも前記負荷電流が小さくなるように制御することを特徴とするLED駆動装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記一定期間において前記負荷電流を段階的に増大させるように制御することを特徴とする請求項1記載のLED駆動装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記一定期間において前記負荷電流を指数関数的に増大させるように制御することを特徴とする請求項1記載のLED駆動装置。
【請求項4】
前記電源部は、少なくとも1つのスイッチング素子を有し且つ前記スイッチング素子のオン/オフを切り替えることで出力を制御するDC/DCコンバータ部から成り、前記制御部は、前記スイッチング素子のオン時間の幅を変化させることで前記負荷電流を制御することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のLED駆動装置。
【請求項5】
前記制御部は、マイコンで構成されることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載のLED駆動装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記電源電圧の低下時に前記電源電圧の低下に伴って前記負荷電流を減少させるように制御することを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載のLED駆動装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記通常時には前記所定の閾値電圧を第1の閾値電圧に設定し、前記電源電圧の低下時には、前記所定の閾値電圧を前記第1の閾値電圧よりも大きい第2の閾値電圧に設定することを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載のLED駆動装置。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか1項に記載のLED駆動装置と、前記光源部と、前記光源部及び前記LED駆動装置を保持する器具本体とを備えることを特徴とする照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−33644(P2013−33644A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−169249(P2011−169249)
【出願日】平成23年8月2日(2011.8.2)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】