説明

LIGHTを介する抗細胞増殖性組成物および方法

腫瘍壊死因子スーパーファミリーメンバーLIGHT(p30;TNFSF―14)は、腫瘍に対する免疫反応を誘導するサイトカインである。新規な生化学的アプローチを用いて、腫瘍細胞の表面がLIGHTで装飾される。LIGHTで装飾された細胞をワクチン接種に用い、ネオ抗原または病原体関連抗原を発現する細胞に対する有効で持続的な免疫を誘導できる。細胞レセプター(例えばLTベータレセプター)に対する結合を増強し、阻害剤(例えばデコイレセプター3)による制御を減少させて免疫を刺激する能力を高める、LIGHTの変異体が説明される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
政府の後援
研究は、National Institutes of Health、National Institute of Allergy and Infectious Diseases Grant R37AI03368によって部分的に支持された。連邦政府は、本発明に一定の権利を有し得る。
【0002】
関連出願
この出願は、2006年10月25日に出願された、米国出願第60/854,420号(これは、その全体が明白に参考として本明細書に援用される)への優先権の利益を主張する。
【0003】
本発明は、LTベータレセプターアゴニスト(例えばLIGHT、p30ポリペプチド)、および、腫瘍、癌、新形成および悪性病変等の有害または異常な細胞増殖または高増殖性疾患を治療する方法に関する。本発明は、天然野生型LIGHT(p30ポリペプチド)と比較して、LTベータレセプターまたはHVEMに対する親和性または結合活性の増加または上昇、またはデコイレセプター3(DcR3)に対する親和性または結合活性の減少または低下等、親和性が変更された形態のLIGHT(p30ポリペプチド)にも関する。
【背景技術】
【0004】
腫瘍壊死因子スーパーファミリーメンバーLIGHT(TNFSF―14)は、リンホトキシン―βレセプター(LTβR)、ヘルペスウィルスエントリメディエーター(HVEM)、およびデコイレセプター―3(DcR3)(ヒト癌細胞により発現されるヒトの分子)のリガンドである。膜結合型のLIGHTは、抑制性レセプターBTLA(BおよびTリンパ球アテニュエータ)を活性化するHVEMの能力も調節する(非特許文献1;非特許文献2;非特許文献3;および非特許文献4)。LIGHTは、抗腫瘍反応を媒介するサイトカインとして最近浮上した。
【0005】
LIGHTは、LTβR、HVEMおよびDcR3を結合する能力をもつ、ユニークな免疫治療分子である。LTβレセプターは、組織および炎症のエリアにおけるリンパ系細胞の組織化を助ける複数の遺伝子を制御する(非特許文献5)。例えば、LTβRは、CCL21等のいくつかのケモカインの発現を制御する(非特許文献6;および非特許文献7)。
【0006】
CCL21および関連のケモカインは、ホメオスタシス、感染の間のリンパ系組織、および恐らくは腫瘍環境へのナイーブTリンパ球のトラフィッキングに重要である。LTβRは、T細胞に抗原を提示するリンパ系組織の樹状細胞のための、重要な成長調節因子としても働く(Kabashima等、Immunity 22:439(2005))。LIGHTは、T細胞上のHVEMと相互作用し、T細胞活性化、増殖、および腫瘍特異性細胞障害性T細胞(CTL)への分化のための、強力な共刺激シグナルを提供する。DcR3は、LIGHTのシグナリングレセプターLTβRまたはHVEMに対する結合と有効に競合しうる。最近の研究によると、膜結合型LIGHTが、HVEMおよびBTLAの間の結合を阻害する(非特許文献1)。したがって、LIGHTは、その三つの機能により、免疫を増強するユニークな分子である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Cheung等、Proc Natl Acad Sci USA(2005)102:13218
【非特許文献2】Compaan等、J Biol Chem(2005)280:39553
【非特許文献3】Gonzalez等、Proc Natl Acad Sci USA(2005)102:1116
【非特許文献4】Sedy等、Nat.Immunol.(2005)6:90
【非特許文献5】Ware,CF.Annu Rev Immunol(2005)23:787
【非特許文献6】Cyster,J.G.Annu Rev Immunol.(2005)23:127
【非特許文献7】Dejardin等、Immunity(2002)17:525
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、LTベータレセプターアゴニストが細胞の膜に付着、接合または連結された細胞を提供する。一実施形態においては、LTベータレセプターアゴニストは、LIGHT(p30ポリペプチド)、LTアルファ1ベータ2、LTアルファ2ベータ1、LTベータまたはLTベータレセプター抗体を含む。別の実施形態においては、LTベータレセプターアゴニストは、キメラタンパク質を含み、その部分が、細胞膜(例えば膜上に存在する分子)に結合するリガンド、レセプター、抗体または抗体部分配列(subsequnece)等の結合部分を含む。
【0009】
LTベータレセプターアゴニストが膜に付着、接合または連結される細胞には、高増殖性細胞(例えば腫瘍細胞、癌細胞、悪性細胞、新生物性細胞および転移細胞)および病原体感染細胞等の、有害、不正常または異常細胞が含まれる。LTベータレセプターアゴニストが膜に付着、接合または連結される細胞には、死細胞または生細胞でありうる真核細胞(例えば、ヒト等の哺乳類細胞)が含まれる。
【0010】
LTベータレセプターアゴニストが膜に付着、接合または連結される細胞には、抗原を発現する細胞も含まれる。特定の実施形態においては、細胞は、腫瘍細胞または癌細胞抗原、悪性細胞、新生物性細胞、または転移細胞抗原、ウィルス抗原、細菌性抗原、真菌抗原、または寄生虫抗原からの抗原を発現する。
【0011】
ある実施形態においては、細胞の膜に付着、接合または連結されたLTベータレセプターアゴニストは、LTベータレセプターアゴニストをコードする、細胞の核酸から発現されない。他の実施形態においては、LIGHT(p30ポリペプチド)変異体または多形型が、細胞の膜に付着、接合または連結されるLTベータレセプターアゴニストである場合には、LIGHT(p30ポリペプチド)変異体または多形型が、LIGHT(p30ポリペプチド)変異体または多形型をコードする、細胞の核酸から発現されうる。
【0012】
追加的な実施形態においては、LTベータレセプターアゴニストが、細胞の膜上に存在する分子(例えば抗体等のポリペプチド、または炭水化物)に付着、接合または連結される。細胞の膜に対するLTベータレセプターアゴニストの付着、接合または連結は、共有結合または非共有結合、例えば架橋を介しうる。中間分子へのLTベータレセプターアゴニストの共有結合または非共有結合による細胞の膜に対するLTベータレセプターアゴニストの付着、接合または連結、そして中間分子が、細胞膜上に存在する分子に共有結合または非共有結合される。ある態様においては、中間分子は、第一部分および第二部分を含み、例えば第一部分はビオチンまたはビオチン誘導体であり、第二部分は、アビジン、ニュートラアビジンまたはストレプトアビジン、またはその誘導体もしくはアミノ酸改変体である。
【0013】
LTベータレセプターアゴニストは、哺乳類(例えばヒト)型を含む。LTベータレセプターアゴニストは、LIGHT(p30ポリペプチド)、LTアルファ1ベータ2、LTアルファ2ベータ1、LTベータまたはLTベータレセプター抗体の完全長配列等の、完全長天然配列、または少なくとも部分的なLTベータレセプターアゴニストまたは結合活性を維持するその部分配列でありうる。特定の実施形態において、部分配列は、LIGHT(p30ポリペプチド)(例えば、配列番号1に記載されるLIGHT)の細胞外アミノ酸配列、LIGHT(p30ポリペプチド)(例えば、配列番号2に記載されるLIGHT)の可溶型を含み、またはLIGHT(p30ポリペプチド)は、LIGHTt66(例えば、配列番号2として記載されるLIGHTt66)を含む。
【0014】
LTベータレセプターアゴニストは、LIGHT(p30ポリペプチド)、LTアルファ1ベータ2、LTアルファ2ベータ1、LTベータまたはLTベータレセプター抗体の変異体および多形型等の変異体および多形型、または、少なくとも部分的なLTベータレセプターアゴニストまたは結合活性を維持するその変異体および多形型の部分配列を含む。特定の実施形態においては、LIGHT(p30ポリペプチド)変異体または多形型は、天然野生型LIGHT(p30ポリペプチド)(例えば配列番号1)と比較して、DcR3(デコイレセプター3)に対する親和性または結合活性が低減しているか低く、LIGHT(p30ポリペプチド)変異体または多形型は、天然野生型LIGHT(p30ポリペプチド)(例えば配列番号1)と比較して、LTβRまたはHVEMに対する親和性または結合活性が高いか増加しており;LIGHT(p30ポリペプチド)変異体または多形型は、天然野生型LIGHT(p30ポリペプチド)と比較して、DcR3(デコイレセプター3)に対する親和性または結合活性が低減しているか低いだけでなく、LTβRまたはHVEMに対する親和性または結合活性が高いか増加している。より特定の実施形態においては、LIGHT(p30ポリペプチド)変異体または多形型は、配列番号3〜10のいずれか一つより選択されるアミノ酸配列を含む。
【0015】
本発明は、高増殖性細胞、腫瘍細胞、癌細胞または転移細胞、または病原体感染細胞に対する免疫を促進、刺激、惹起または増大させる方法も提供する。一実施形態においては、方法は、LTベータレセプターアゴニストが細胞膜に付着、接合または連結された細胞を、高増殖性細胞、腫瘍細胞、癌細胞、転移細胞または病原体感染細胞に対する対象の免疫を促進、刺激、惹起または増大させるために有効な量、対象に投与するステップを含む。
【0016】
本発明は、対象の、有害または不正な高増殖性細胞、腫瘍細胞、癌細胞、新生物性細胞、転移細胞、または病原体感染細胞を治療する方法も提供する。一実施形態においては、方法は、LTベータレセプターアゴニストが細胞膜に付着、接合または連結された細胞を、対象の望ましくないかまたは異常な高増殖性細胞、腫瘍細胞、癌細胞、新生物性細胞、転移細胞、または病原体感染細胞を治療するのに有効な量、対象に投与するステップを含む。
【0017】
当該方法で適用可能な細胞には、LTベータレセプターアゴニストがLIGHT(p30ポリペプチド)、LIGHT(p30ポリペプチド)キメラ、LIGHT(p30ポリペプチド)変異体または多形型、LTアルファ1ベータ2、LTアルファ2ベータ1、LTベータまたはLTベータレセプター抗体または抗体部分配列である細胞が含まれる。LTベータレセプターアゴニストが細胞膜に付着、接合または連結された細胞には、細胞の核酸からLTベータレセプターアゴニストが発現されないものが含まれる。LIGHT(p30ポリペプチド)変異体または多形型が細胞の膜に付着、接合または連結された細胞、LIGHT(p30ポリペプチド)変異体または多形型をコードする、細胞の核酸から、LIGHT(p30ポリペプチド)変異体または多形型が発現されうる。細胞には、死細胞または生細胞でありうる、真核細胞(例えば、ヒト等の哺乳類細胞)が含まれる。
【0018】
当該方法で適用可能なLTベータレセプターアゴニストには、LIGHT(p30ポリペプチド)、LIGHT(p30ポリペプチド)キメラ、LIGHT(p30ポリペプチド)変異体または多形型、LTアルファ1ベータ2、LTアルファ2ベータ1、LTベータまたはLTベータレセプター抗体または抗体、完全長およびその部分配列、および少なくとも部分的なLTベータレセプターアゴニストまたは結合活性を維持するその変異体および多形型(例えば完全長天然LIGHT(p30ポリペプチド)、変異体および多形型およびその部分配列)が含まれる。
【0019】
当該方法に適切な標的対象には、造血細胞、脳、皮膚、鼻咽腔、頭部、頸部、肺、甲状腺、腎臓、肝臓、膵臓、胃、腸、結腸、直腸、膀胱、卵巣、子宮、乳房、前立腺、骨、膣、および陰茎等の任意の領域、臓器、組織または生物系に影響するか関わる、望ましくないかまたは異常な高増殖性細胞、腫瘍細胞、癌細胞、悪性細胞、新生物性細胞または転移細胞、または病原体感染細胞を有するか有するリスクがある対象等、このような治療を必要とするものを含む。
【0020】
方法は、高増殖性細胞、腫瘍細胞、癌細胞、新生物性細胞、転移細胞、または病原体感染細胞の転移、増殖または数を低減または減少させるステップ、または、高増殖性細胞、腫瘍細胞、癌細胞、新生物性細胞、転移細胞、または病原体感染細胞の数の増加または転移を阻害または防止するステップ、または高増殖性細胞、腫瘍細胞、癌細胞、新生物性細胞、転移細胞、または病原体感染細胞の数を安定化するステップを含む。
【0021】
本発明は、配列番号1に記載されるLIGHT(p30ポリペプチド)等の天然野生型LIGHT(p30ポリペプチド)と比較して、LTβRまたはHVEMに対する親和性または結合活性が増加しているか高く、またはデコイレセプター3(DcR3)に対する結合親和性または結合活性が低減しているか低い、単離および精製されたLIGHT(p30ポリペプチド)アミノ酸配列およびその部分配列をさらに提供する。特定の実施形態においては、LIGHT(p30ポリペプチド)アミノ酸配列は、配列番号3〜10のいずれか一つ、またはその部分配列を含む。
【0022】
本発明はさらに、配列番号1に記載されるLIGHT(p30ポリペプチド)等の天然野生型LIGHT(p30ポリペプチド)と比較して、LTベータレセプターまたはHVEMに対する親和性または結合活性が増加しているか高く、またはデコイレセプター3(DcR3)に対する結合親和性または結合活性が低減しているか低い、LIGHT(p30ポリペプチド)アミノ酸配列およびその部分配列をコードする、単離および精製されたLIGHT(p30ポリペプチド)核酸を提供する。特定の実施形態において、核酸は、配列番号3〜10のいずれか一つより選択される配列、またはその部分配列コードする。
【0023】
本発明はさらに、配列番号3〜10のいずれか一つより選択される、LIGHT(p30ポリペプチド)アミノ酸配列、またはその部分配列をコードする核酸にハイブリダイズするか相補的であるが、配列番号1等の野生型天然LIGHT(p30ポリペプチド)配列にはハイブリダイズしない、核酸を提供する。
【0024】
本発明はさらに、変異体および多形型等のLIGHT(p30ポリペプチド)アミノ酸配列を発現する細胞(例えば形質転換細胞)を含みホストするベクター(例えば発現ベクター)も提供する。特定の実施形態においては、核酸は、配列番号3〜10のいずれか一つより選択される、LIGHT(p30ポリペプチド)アミノ酸配列、またはその部分配列をコードし、形質転換細胞は、配列番号3〜10のいずれか一つより選択されるアミノ酸配列を発現する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】ヒトLIGHTによる腫瘍成長の抑制。(A)空レトロウィルスベクターを形質導入したEL4細胞(EL4―V)と、ヒトLIGHTコードするレトロウィルスベクターを形質導入したEL4(EL4―LIGHT)が、試料あたり4または5匹のマウスの群において、C57B1/6(B6)マウスあたり7.5×10細胞で、皮下注射された。同種B6マウスにおけるEL4およびEL4―LIGHT腫瘍の成長が、細胞注射の後16日間にわたりキャリパーで測定された。EL4―LIGHT注射群における腫瘍成長は最小限または測定不能にとどまったが、EL4を注射されたマウスには触知可能な腫瘍が急速にできた。(B)EL4―V細胞が、コントロールおよびテスト群の両方で、マウスあたり2.5×10細胞で皮下注射された。その後、EL4―LIGHT細胞(2.5×10)が、テスト群の各マウスに注射された。(A)と同様に腫瘍成長が測定された。EL4―LIGHT細胞は、親EL4細胞の腫瘍成長を強く阻害した。
【図2】LIGHTを介した抗腫瘍反応に対するLIGHTアイソフォームの効果。(A)EL4―LIGHTΔTMまたはEL4―LIGHTt66が、各群のマウスあたり2.5×10細胞で皮下注射された。腫瘍成長が、17日間測定された。(B)マウスにつきEL4―LIGHT(1.25×10細胞)およびEL4―LIGHTt66(1.25×10細胞)が混合され、注射された。EL4―LIGHT(2.5×10細胞)が、コントロールとして別の群に注射された。EL4―LIGHT―t66の存在が、膜LIGHTを発現する細胞を介した抗腫瘍反応を強く阻害したことに注意されたい。
【図3】ビオチンベースのタンパク質固定化系。(A)(膜二重層を横切る)天然LIGHTおよび可溶性LIGHTの固定化の略図。代表的な細胞表面分子(タンパク質)に、灰色の陰影がつけられている。ビオチン誘導体とリンカーが、分子から伸びる単一の灰色線として示される。Neutravidin(商標)テトラマーが、シリンダとして示される。可溶性ヒトLIGHT(LIGHTt66)が、トリマーとして示される。(B)LIGHTで装飾された細胞の構築の略図。標的細胞の細胞表面が、ビオチン誘導体で修飾され、細胞がPBSで洗浄されて、遊離ビオチンが除去された。細胞は、1%ホルマリンで固定され、PBS中Neutravidin(10μg/ml)とともに30分間インキュベートされ、その後洗浄されて、遊離Neutravidinが除去された。その後細胞は、ビオチン化LIGHT(1μg/ml)とともに45分間インキュベートされ、洗浄されて、取り込まれていないLIGHTが除去された。(C)LIGHTで装飾されたEL4細胞上の細胞表面LIGHTの染色。EL4―NA―LIGHT(青色線)およびEL4―NA(灰色の陰影)細胞が、結合バッファー(2%FCSのPBS)中ヒト抗hLIGHT組換え型「Omniclone」抗体(5μg/ml)とともに60分間インキュベートされ、洗浄され、PE結合ヤギ抗ヒトIgG(Southern Biotech)で染色され、フローサイトメトリにより蛍光が検出された。レトロウィルスが形質導入された細胞は、EL4―LIGHT(緑色線)を発現し、EL4―V細胞(灰色の陰影)がコントロールとして使用された。(D)固定化の効率。(C)のような、EL4―LIGHTとEL4―NA―LIGHTの間の表面LIGHT染色の特異的な平均蛍光強度(MFI)が決定された。(E)マウスHVEMのEL4―NA―LIGHT細胞に対する結合。細胞が、結合バッファー(2%FBSのPBS)中マウスHVEM―Fc(20μg/ml)とともに60分間インキュベートされ、洗浄され、PE結合ヤギ抗ヒトIgG(Southern Biotech)で染色され、フローサイトメトリにより蛍光が検出された(線)。親EL4―NA細胞が、陰性コントロールとして使用された(灰色の陰影)。
【図4】LIGHTで装飾された癌細胞での予備免疫による腫瘍成長の抑制。(A)LIGHTによる腫瘍ワクチン接種のデザインの略図。ホルマリン固定されたNeutravidinで装飾されたEL4(EL4―NA)細胞(4×10)、またはヒトLIGHT―Neutravidinで装飾されたEL4(EL4―NA―LIGHT)細胞が、B6マウス(n=4または5のマウス)に皮下注射された。14日後に、これらのマウスを、生EL4細胞(マウスにつき0.5×10細胞)に曝露した。腫瘍成長が、17日間測定された。(B)ホルマリン固定されたヒトLIGHT―Neutravidinで装飾されたEL4(EL4―NA―LIGHT)細胞(4×10)、またはNeutravidinで装飾されたEL4(EL4―NA)細胞(4×10)が、B6マウス(群あたりn=5マウス)に皮下注射された(SC)。14日後に、各群のマウスから血清が集められ、非修飾EL4細胞に結合されたマウス抗体活性がフローサイトメトリで測定された。非修飾EL4細胞が、40μlの結合バッファー中血清(1:5希釈)で60分間インキュベートされ、洗浄され、ヤギ抗マウスIgG―PE二次抗体で染色され、フローサイトメトリにより蛍光が検出された。EL4―NA細胞が予め注射されたマウスは、検出可能な抗EL4抗体活性を生じなかった。しかし、EL4―NA―LIGHT細胞で予備免疫した4匹のマウスのうち3匹において、抗―EL4抗体反応が検出された。(C)予め注射されたEL4―NA―LIGHT細胞の曝露EL4腫瘍成長に対する効果。
【図5】LIGHTで装飾された癌細胞による原発腫瘍成長の抑制。(A)研究デザインの略図。成育可能なEL4細胞(0.5×10)が、B6マウス(n=19)に皮下接種され(SC)、触知可能な厚さに成長させた腫瘍が観察された(典型的に6日目)。ホルマリン固定されたLIGHTで装飾されたEL4細胞(0.5×10)が、6日目に腫瘍塊に注射された。ホルマリン固定されたNeutravidinで装飾されたEL4細胞が、コントロールとして使用された。(B)EL4―NA―LIGHT細胞によるワクチン接種の、確立されたEL4腫瘍に対する効果。
【図6】LIGHTを介した抗腫瘍反応のためのレセプターの必要。EL4―LIGHT細胞(マウスあたり2.5×10細胞)が、(A)hvem欠損マウスに皮下注射された。(B)ltβr欠損マウスに皮下注射された。LTβR欠損マウスは、EL4―LIGHT腫瘍を拒絶できなかった。
【図7】腫瘍環境におけるEL4―LIGHT細胞によるCCL21の誘導。(A)腫瘍環境におけるCCL21分析のための研究デザインの略図。EL4―VまたはEL4―LIGHT細胞が、B6マウスに静脈内注射された。10日後に、ケモカインCCL21のRT―PCR分析のために、脾臓が集められた。(B)EL4―LIGHTが注射されたマウスにおいては、EL4―Vコントロールが注射されたマウスと比較して、腫瘍が浸潤した脾臓におけるCCL21発現が2.5倍増加した。
【図8】図8A−図8D。LIGHTを介した抗腫瘍反応に必要なリガンド。EL4―LIGHT細胞(マウスあたり2.5×10細胞)が、(A)lightおよびltβの両方、(B)light、(C)ltβまたは(D)ltαを遺伝的に欠損するマウスに皮下注射された。腫瘍成長が、16〜39日間測定された。LTβ−/−欠損マウスは、EL4―LIGHT腫瘍を拒絶できず、LTβがLIGHTを介した抗腫瘍反応に関わることが示された。
【図9】図9A−図9B。TおよびB細胞におけるLTβ発現は、LIGHTを介した抗腫瘍反応に必須である。EL4―LIGHT細胞(2.5×10)が、(A)T細胞におけるltβを条件的に欠失した(T―LTβ−/−)マウスまたは(B)B細胞におけるltβを条件的に欠失した(B―LTβ−/−)マウスに皮下注射された。腫瘍成長が、21〜22日間測定された。T細胞コンパートメントまたはB細胞コンパートメントにおけるLTβ欠損マウスは、EL4―LIGHT腫瘍を拒絶できず、T細胞コンパートメントまたはB細胞コンパートメントにおけるLTβの発現が、LIGHTを介した抗腫瘍反応に十分ではないが必須であることが示された。
【図10−1】(図10A)ヒトLIGHTの異型に対するLTβR―Fc、HVEM―FcおよびDcR3―Fcの親和性。LIGHTの優勢型(32S―214E)を安定して発現するEL4細胞が、100μlの結合バッファー中段階的な量のLTβR―Fc(3ng〜50μg/ml)とともに60分間インキュベートされ、洗浄され、PE結合ヤギ抗ヒトIgGで染色され、フローサイトメトリにより蛍光が検出された。実験群から親EL4細胞(陰性コントロール)のバックグラウンド蛍光染色を減算することにより、特異的な平均蛍光強度(MFI)が得られた。Prism GraphPad(v4;San Diego,USA)(左パネル)および二重逆数プロット(右パネル)を用いて、非線形回帰分析法により、平衡結合定数が計算された。(図10B)ヒトLIGHTの異型に対するLTβR―Fc、HVEM―FcおよびDcR3―Fcの親和性。LIGHT変異体32S―214KのLTβR―Fcに対する結合が、(A)と同様に検査された。(図10C)ヒトLIGHTの異型に対するLTβR―Fc、HVEM―FcおよびDcR3―Fcの親和性。LIGHT変異体32L―214EのLTβR―Fcに対する結合が、(A)と同様に検査された。
【図10−2】(図10D)ヒトLIGHTの異型に対するLTβR―Fc、HVEM―FcおよびDcR3―Fcの親和性。LIGHTの様々な多形型(32S―214E、32S―214K、および32L―214E)を安定して発現するEL4細胞が、(A)のようなフローサイトメトリベースのアッセイを用いて、LTβR―Fc、HVEM―FcおよびDcR3―Fcに対する結合活性につき検査された。(図10E)ヒトLIGHTの異型に対するLTβR―Fc、HVEM―FcおよびDcR3―Fcの親和性。LIGHTの多形型の様々な組み合わせ(32S―214E/32S―214K、32S―214E/32L―214E、および32L―214E/32S―214K)を安定して発現するEL4細胞が、(A)のようなフローサイトメトリを用いてLTβR―Fc、HVEM―FcおよびDcR3―Fcに対する結合活性につき検査された。
【図11】図11A−図11B。DcR3の存在下におけるLIGHT発現EL4細胞に対するLTβR―Fcの競合結合アッセイ。(A)段階濃度のDcR3―Fcが、一定濃度のLTβR―Fcの存在下で、LIGHTの様々な多形型(32S―214E、32S―214K、32L―214E/32S―214K)を発現するEL4細胞とともにインキュベートされた。LIGHT発現EL4細胞に対するLTβR―Fcの特異的な結合が、抗LTβR単クローン抗体(BD―A8)により検出された。(B)Prism GraphPad(v4;San Diego,USA)を用いた非線形回帰分析法により、IC50値が計算された。
【図12】図12A−図12B。ビオチンベースのタンパク質固定化系。(A)天然のLIGHTおよび可溶性LIGHTの固定化の略図。天然LIGHTトリマーは、膜貫通領域を含むが、左側に示される。可溶性LIGHTの固定化が、右側に示される。代表的な細胞表面分子(タンパク質)に、灰色に陰影がつけられている。ビオチン誘導体とリンカーが、分子から伸びる単一の灰色線として示される。Neutravidin(商標)テトラマーが、シリンダとして示される。可溶性ヒトLIGHT(LIGHTt66)が、トリマーとして示される。(B)LIGHTで装飾された細胞の構築の略図。(B)LIGHTで装飾された細胞の構築の略図。標的細胞の細胞表面が、ビオチン誘導体で修飾され、細胞がPBSにより洗浄されて、遊離ビオチンが除去された。細胞は、1%ホルマリンで固定された。そして、細胞が、PBS中Neutravidin(商標)(10μg/ml)とともに30分間インキュベートされ、細胞が洗浄されて、遊離Neutravidinが除去された。そして、細胞が、ビオチン化LIGHT(1μg/ml)とともに45分間インキュベートされ、細胞が洗浄されて、取り込まれないLIGHTが除去された。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明は、少なくとも部分的には、LTベータレセプターアゴニストにより修飾された細胞に基づく。特に、細胞は、細胞の膜にLTベータレセプターアゴニストが付着、接合または連結されている。このような細胞は、有害または異常な細胞増殖、過剰増殖(例えば高増殖性疾患)腫瘍、癌、転移および新形成、ならびに病原体感染細胞を治療するために有用である。
【0027】
本発明により、LTベータレセプターアゴニストが細胞の膜に付着、接合または連結されている細胞を含む、LTベータレセプターアゴニストにより修飾されている細胞が提供される。LTベータレセプターアゴニストには、例えば、LIGHT(p30ポリペプチド)、LIGHT(p30ポリペプチド)変異体および多形型、LIGHT(p30ポリペプチド)キメラ、LTアルファ1ベータ2、LTアルファ2ベータ1、LTベータまたはLTベータレセプター抗体が含まれる。LTベータレセプターアゴニストにより修飾される細胞には、有害細胞または高増殖性細胞、腫瘍細胞、癌細胞、新生物性細胞、転移細胞および病原体感染細胞が含まれる。LTベータレセプターアゴニストにより修飾される細胞には、生細胞、成育不能細胞または死細胞でありうる、哺乳類(例えば霊長類またはヒト)細胞等の真核細胞が含まれる。
【0028】
本発明は、レセプターに対する親和性および/または結合活性が変更されたLIGHT(p30ポリペプチド)変異体および多形型にも部分的にもとづく。このようなLIGHT(p30ポリペプチド)変異体および多形型は、例えば配列番号1として記載される天然野生型LIGHT(p30ポリペプチド)と比較して、LTベータレセプター、HVEM、またはDcR3(デコイレセプター3)等のレセプターに対する親和性および/または結合活性が変更されている。
【0029】
本発明により、LTベータレセプター、HVEM、またはDcR3(デコイレセプター3)等のレセプターに対する親和性および/または結合活性が変更されたLIGHT(p30ポリペプチド)変異体が提供される。一実施形態においては、LIGHT(p30ポリペプチド)変異体は、配列番号1として記載される天然野生型LIGHT(p30ポリペプチド)と比較して、DcR3(デコイレセプター3)に対する親和性および/または結合活性が低減しているか低い。別の実施形態においては、LIGHT(p30ポリペプチド)変異体は、配列番号1として記載される天然野生型LIGHT(p30ポリペプチド)と比較して、LTベータレセプターまたはHVEMに対する親和性および/または結合活性が増加しているか高い。LIGHT(p30ポリペプチド)変異体は、天然の環境から単離または精製された多形型を含み、配列番号1と異なる配列を有する。
【0030】
本明細書で使用されるところの用語、細胞の膜に対する「付着、接合または連結」、およびその文法上の変化は、LTベータレセプターアゴニストに関して使用される場合には、アゴニストが、細胞の膜または細胞の膜上に存在する分子(例えばポリペプチド、炭水化物等)に結合または物理的に付着することを意味する。したがって、例えば、細胞の膜に付着または存在するLTベータレセプターアゴニストは、LTベータレセプターアゴニストをコードする、細胞の核酸からのLTベータレセプターアゴニストの発現により、細胞表面上にない。LTベータレセプターアゴニストは、高増殖性細胞、腫瘍細胞、癌細胞、新生物性細胞、転移細胞、または病原体感染細胞等の細胞の膜上に存在する任意の分子に付着、接合または連結されうる。細胞膜上の分子に対するLTベータレセプターアゴニストの結合は、共有結合(例えば架橋)または非共有結合(例えばリガンド―レセプター、抗体―抗原)を介しうる。LTベータレセプターアゴニストが結合された細胞は、腫瘍細胞または癌細胞抗原、新生物性細胞または転移細胞抗原、ウィルス抗原、細菌性抗原、真菌抗原、または寄生虫抗原より選択される抗原であるかこれを発現しうる。
【0031】
LTベータレセプターアゴニストは、細胞の膜または細胞の膜上に存在する分子に、非共有結合または共有結合により「付着、接合または連結」されうる。非共有結合には、水素結合、イオン相互作用、ファンデルワールス相互作用、および疎水的相互作用が含まれる。非共有結合の非限定的な例は、レセプター―リガンド、抗体―抗原および酵素―基質を含む。共有結合は、電子の共有を典型的に伴い、化学結合とも呼ばれる。共有結合の非限定的な例は、アミド結合、非自然および非アミド化学結合、例えばカルボン酸等の炭素連鎖、多炭素連鎖(例えば、グルタル酸、コハク酸およびアジピン酸等のジカルボン酸)、グルタルアルデヒド、N―ヒドロキシスクシンイミドエステル類、二官能性マレイミド類、N,N’―ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)またはN,N’―ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)等を含む他の化学結合または連結手段である。アミド結合の代替群は、例えば、ケトメチレン(例えば―C(=O)―NH―への―C(=O)―CH―)、アミノメチレン(CH―NH)、エチレン、オレフィン(CH=CH)、エーテル(CH―O)、チオエーテル(CH―S)、テトラゾール(CN―)、チアゾール、レトロアミド、チオアミド、またはエステルを含む(例えば、Spatola(1983)Chemistry and Biochemistry of Amino Acids,Peptides and Proteins,第7巻、pp267―357,“Peptide and Backbone Modifications,”Marcel Decker,NYを参照)。
【0032】
LTベータレセプターアゴニストは、細胞の膜または細胞の膜上に存在する分子に、異なる分子の存在または中間分子を介して「付着、接合または連結」されうる。中間分子は、それ自体が細胞の膜または細胞膜上に存在する分子に共有結合または非共有結合されうる。一実施形態においては、中間分子は、第一部分および第二部分等の二つ以上の構成要素を含む。特定の態様においては、第一および第二部分は、互いに結合または物理的に相互作用し、例えば第一部分が、ビオチンまたはビオチン誘導体を含み、第二部分が、アビジン、ニュートラアビジンまたはストレプトアビジン、またはその誘導体もしくはアミノ酸改変体を含む。したがって、細胞の膜または細胞の膜上に存在する分子に対するLTベータレセプターアゴニストの結合には、細胞膜上に存在する分子に結合するアビジン、ニュートラアビジンまたはストレプトアビジン、またはその誘導体もしくはアミノ酸改変体に対する結合を含む。LTベータレセプターアゴニストまたはアゴニストが付着、接合または連結される分子は、それぞれ共有結合または非共有結合により、ビオチンまたはビオチン誘導体、またはアビジン、ニュートラアビジンまたはストレプトアビジンに結合されうる。
【0033】
LTベータレセプターアゴニストは、霊長類およびヒトLTベータレセプターアゴニスト等の哺乳類型を含む。このようなアゴニストは、「アミノ酸」、「タンパク質」、「ポリペプチド」および「ペプチド」配列を含む。「アミノ酸」、「タンパク質」、「ポリペプチド」および「ペプチド」という用語は、アミド結合または同等物により共有結合された二つ以上のアミノ酸または「残基」をさすために本明細書において互換可能に使用される。アミノ酸配列は、グルタルアルデヒド、N―ヒドロキシスクシンイミドエステル類、二官能性マレイミド類、またはN,N’―ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)により形成されるもの等を含む非自然および非アミド化学結合により連結されうる。非アミド結合は、例えば、ケトメチレン、アミノメチレン、オレフィン、エーテル、チオエーテル等を含む(例えば、Spatola Chemistry and Biochemistry of Amino Acids,Peptides and Proteins,第7巻、pp267―357(1983),“Peptide and Backbone Modifications,”Marcel Decker,NYを参照)。
【0034】
LTベータレセプターアゴニスト、キメラおよびLIGHT(p30ポリペプチド)には、LTベータレセプターアゴニストの完全長天然野生型、変異体および多形型、例えば少なくとも部分的なLTベータレセプターアゴニストまたは結合活性を保持するLIGHT(p30ポリペプチド)、HVEMおよびLIGHT(p30ポリペプチド)キメラが含まれる。代表的なLTベータレセプターアゴニスト変異体および多形型には、天然野生型LIGHT(p30ポリペプチド)、例えば配列番号1と比較して、DcR3(デコイレセプター3)に対する親和性が低減しているか低いLIGHT(p30ポリペプチド)、天然野生型LIGHT(p30ポリペプチド)、例えば配列番号1と比較して、LTβRまたはHVEMに対する親和性または結合活性が増加しているか高いLIGHT(p30ポリペプチド)、ならびに、天然野生型LIGHT(p30ポリペプチド)、例えば配列番号1と比較して、LTβRまたはHVEMに対する親和性または結合活性が増加しているか高く、DcR3(デコイレセプター3)に対する親和性が減少しているか低いLIGHT(p30ポリペプチド)が含まれる。具体的な非限定的なLIGHT(p30ポリペプチド)の変異体および多形型には、配列番号3〜10のいずれか一つより選択されるアミノ酸配列が含まれる。
【0035】
代表的なLIGHT(p30ポリペプチド)配列は、以下の通りである:
完全長ヒトLIGHT(アミノ酸配列)(配列番号1)
【0036】
【化1】

膜貫通領域のアミノ酸残基には、陰影がつけられている。LIGHTの細胞外ドメインのアミノ酸残基には、下線が引かれている。
LIGHTの可溶型(AKA:LIGHTt66、アミノ酸配列)(配列番号2)
【0037】
【化2−1】

ヒトLIGHT E214K(アミノ酸配列)(配列番号3)
【0038】
【化2−2】

配列番号3の214位のアミノ酸残基がハイライトされている。
【0039】

ヒトLIGHT S32L(アミノ酸配列)(配列番号4)
【0040】
【化2−3】

配列番号4の32位のアミノ酸残基がハイライトされている。
ヒトLIGHT S9A(アミノ酸位9でのSからのAへの変異、アミノ酸配列)(配列番号5)
【0041】
【化3−1】

配列番号5の9位のアミノ酸残基がハイライトされている。
ヒトLIGHT S27A(アミノ酸位27でのSからのAへの変異、アミノ酸配列)(配列番号6)
【0042】
【化3−2】

配列番号6の9位のアミノ酸残基がハイライトされている。
ヒトLIGHT S9AおよびS27A(アミノ酸位9および27でのSからのAへの変異、アミノ酸配列)(配列番号7)
【0043】
【化3−3】

配列番号7の9および27位のアミノ酸残基がハイライトされている。
ヒトLIGHT S9AおよびS32L(アミノ酸位9でのSからAへ、32位でのSからLへの変異、アミノ酸配列)(配列番号8)
【0044】
【化4−1】

配列番号8の9および32位のアミノ酸残基がハイライトされている。
ヒトLIGHT S27AおよびS32L(アミノ酸位27でのSからAへ、32位でのSからLへの変異、アミノ酸配列)(配列番号9)
【0045】
【化4−2】

配列番号9の27および32位のアミノ酸残基がハイライトされている。
ヒトLIGHT S9AおよびS27AおよびS32L(アミノ酸位9および27でのSからAへ、および32位でのSからLへの変異、アミノ酸配列)(配列番号10)
【0046】
【化5】

配列番号10の9、27および32位のアミノ酸残基がハイライトされている。
【0047】
LTベータレセプターアゴニストは、LTベータレセプターアゴニスト、LIGHT(p30ポリペプチド)、HVEMおよびLIGHT(p30ポリペプチド)キメラの完全長天然野生型、変異型および多形型の部分配列も含む。LTベータレセプターアゴニスト、キメラおよびLIGHT(p30ポリペプチド)の代表的な長さには、LTベータレセプターアゴニスト、LIGHT(p30ポリペプチド)キメラ、LIGHT(p30ポリペプチド)およびHVEMの完全長天然野生型、変異型および多形型、ならびに少なくとも部分的にLTベータレセプターアゴニストまたは結合活性を維持する、LTベータレセプターアゴニスト、LIGHT(p30ポリペプチド)キメラ、LIGHT(p30ポリペプチド)およびHVEMの部分配列が含まれる。代表的なLTベータレセプターアゴニスト部分配列は、約5〜15、20〜25、25〜50、50〜100、100〜150、150〜200、または200〜300アミノ酸残基の長さを含む。
【0048】
特定の実施形態では、LTベータレセプターアゴニスト、LIGHT(p30ポリペプチド)キメラおよびLIGHT(p30ポリペプチド)およびHVEMは、約1〜10、10〜20、15〜20、20〜30、30〜40、40〜50、60〜70、70〜80、80〜90、90〜100またはそれ以上の残基のアミノ酸配列を含むか、それらからなる。具体的な非限定的な例には、LTベータレセプターアゴニストの可溶型、例えば膜貫通領域を欠くアゴニスト、例えば、少なくとも部分的なLTベータレセプター活性を結合し保持する、配列番号1〜10のいずれかに記載のLIGHT(p30ポリペプチド)の細胞外アミノ酸配列、または配列番号2(LIGHTt66)に記載のLIGHT(p30ポリペプチド)の可溶型が含まれる。その他の具体的な非限定的な例には、LTベータレセプターまたはHVEMに結合し、LTベータレセプターアゴニスト活性を有し、配列番号1と比較してDcR3に対する結合が低減しているか低い、配列番号3〜10のいずれかに記載の可溶型のLIGHT(p30ポリペプチド)変異体または多形型が含まれる。
【0049】
したがって、LIGHT(p30ポリペプチド)、LIGHT(p30ポリペプチド)キメラ、LIGHT(p30ポリペプチド)変異体および多形型等のLTベータレセプターアゴニスト、およびHVEMは、一つ以上(2、3、4、5等)の保存的および非保存的置換を伴う配列を含む。「保存的置換」は、生物学的、化学的または構造的に類似の残基による、一つのアミノ酸の置換である。生物学的に類似とは、置換が生物活性、例えばアゴニスト活性と両立することを意味する。構造的に類似とは、アミノ酸がアラニン、グリシンおよびセリン等の類似の長さの側鎖を有するか、類似の大きさを有するか、第一、第二、または追加的ドメインの構造が維持されることを意味する。化学的類似性は、残基が同じ電荷を有するかいずれも親水性または疎水性であることを意味する。特定の例には、イソロイシン、バリン、ロイシンまたはメチオニン等の一つの疎水性残基の、別のものへの置換、または一つの極性残基の別のものへの置換、例えばアルギニンのリシンへの、グルタミン酸のアスパラギン酸への、またはグルタミンのアスパラギンへの、セリンのトレオニンへの置換等が含まれる。通常のアッセイを用いて、異型または多形型が活性、例えばアゴニスト活性または結合活性を有するかを決定しうる。
【0050】
具体例には、LIGHT(p30ポリペプチド)変異型および多形型等のLTベータレセプターアゴニストの、一つ以上のアミノ酸(例えば、1〜3、3〜5、5〜10、10〜20またはそれ以上)残基の置換または欠失が含まれる。変異体または多形型の配列は通常、参照配列対して85%、90%、95%、96%、97%、98%またはそれ以上の同一性を有する。
【0051】
「同一性」および「相同性」という用語およびその文法上の変化は、二以上の参照物が同じであることを意味する。したがって、二つのアミノ酸配列が同一である場合には、それらは同じアミノ酸配列を有する。「同一性のあるエリア、領域またはドメイン」は、二つ以上の参照物の一部が同じであることを意味する。したがって、二つのアミノ酸配列が一つ以上の配列領域において同一または相同である場合には、それらは、これらの領域において同一性を共有する。構造的および機能的に関連したタンパク質間での配列保存の量の変動により、機能または活性を保持するために必要とされる配列同一性の量は、タンパク質、領域およびその領域の機能または活性に依存する。核酸配列に関して使用される「相補的」という用語は、参照領域が100%相補的である、すなわちミスマッチなしで塩基が100%対合することを意味する。
【0052】
二つの配列間の同一性の程度は、従来技術において公知のコンピュータプログラムおよび数学的アルゴリズムを使用して確認できる。%配列同一性(相同性)を計算するこのようなアルゴリズムは通常、比較領域のシーケンスギャップおよびミスマッチを考慮する。例えば、BLAST(例えばBLAST2.0)サーチアルゴリズム(例えば、Altschul等、J.Mol.Biol.215:403(1990),NCBIより一般公開)は、以下のような例示的サーチパラメータを有する:ミスマッチ−2;ギャップオープン5;ギャップエクステンション2。ポリペプチド配列比較では、BLASTPアルゴリズムが、PAM100、PAM250、BLOSUM62またはBLOSUM50等のスコアリングマトリクスと組み合わせて通常用いられる。FASTA(例えばFASTA2およびFASTA3)およびSSEARCH配列比較プログラムも、同一性の程度を数量化するために用いられる(Pearson等、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:2444(1988);Pearson,Methods Mol Biol.132:185(2000);およびSmith等、J.Mol.Biol.147:195(1981))。Delaunayベースの位相写像を用いてタンパク質の構造的な類似性を数量化するためのプログラムも、開発されている(Bostick等、Biochem Biophys Res Commun.304:320(2003))。
【0053】
LIGHT(p30ポリペプチド)、LIGHT(p30ポリペプチド)キメラ、LIGHT(p30ポリペプチド)変異体および多形型等のLTベータレセプターアゴニスト、およびHVEM配列は、天然アミノ酸または合成の非天然アミノ酸またはアミノ酸類似体、または誘導体化された形態のみからなりうる。非天然アミノ酸配列には、Lアミノ酸配列、Dアミノ酸配列、およびLアミノ酸およびDアミノ酸の混合物のアミノ酸配列が含まれる。様々な実施形態においては、LTベータレセプターアゴニストは、Lアミノ酸と置換された一つ以上のDアミノ酸、Dアミノ酸およびLアミノ酸の混合物、またはDアミノ酸残基のみで構成される配列を含む。
【0054】
アミノ酸配列は、線形または環式の構造で、異なる部分(例えば中間物)に付着、接合または連結され、分子内または分子間ジスルフィド結合を形成し、例えば糖または炭水化物残基、リン酸基、脂肪酸、脂質を含むように修飾され、また、同じまたは異なるアミノ酸配列、例えば多量体の組み合わせにおけるLIGHT(p30ポリペプチド)の野生型および変異体または多形等の異なるLTベータレセプターアゴニストと、高次多量体またはオリゴマーを形成しうる。
【0055】
LTベータレセプターアゴニストの追加的な例には、抗体および抗体フラグメントが含まれる。「抗体」とは、任意の単クローンまたは多クローン免疫グロブリン分子、例えばIgM、IgG、IgA、IgE、IgD、およびその任意のサブクラスをいう。IgGのサブクラスの例には、IgG、IgG、IgGおよびIgGである。LTベータレセプターアゴニスト抗体の具体的な例には、3C8および4H8(ラット抗―マウス)、ヤギ多クローン抗体およびマウス抗ヒトBDA8抗体が含まれる。LTベータレセプターアゴニスト抗体の追加的な具体例には、完全ヒト抗体が含まれる。
【0056】
LTベータレセプターアゴニストは、LTベータレセプターアゴニストと異なる部分、キメラタンパク質を含む。換言すれば、キメラLTベータレセプターアゴニストは、天然野生型LTベータレセプターと異なる部分を含みうる。具体例には、細胞膜上に存在する抗体、レセプター、リガンドまたは抗原に結合する抗原、リガンド、レセプターまたは抗体が含まれる。追加的な具体例には、免疫グロブリンを結合するプロテインAドメインが含まれる。
【0057】
従来技術において公知の方法を使用して、ペプチドおよびペプチドミメティクスが生成および単離されうる。ペプチドは、全体的または部分的に、従来技術において公知の化学法を用いて合成されうる(例えば、Caruthers(1980).Nucleic Acids Res.Symp.Ser.215;Horn(1980);およびBanga,A.K.,Therapeutic Peptides and Proteins,Formulation.Processing and Delivery Systems(1995)Technomic Publishing Co.,ペンシルベニア州ランカスターを参照)。様々な固相法を用いて、ペプチド合成が実行でき(例えば、Roberge Science 269:202(1995);Merrifield,Methods Enzymol.289:3(1997)を参照)、例えばABI431A Peptide Synthesizer(Perkin Elmer)をメーカーの指示に従って用いて、自動合成が行われうる。コンビナトリアル方法を用いて、ペプチドおよびペプチドミメティクスを合成することもできる。従来技術において公知の様々な手順および方法論を用いて、ミメティクスを取り入れた合成残基およびポリペプチドが合成されうる(例えば、Organic Syntheses Collective Volumes,Gilman等(編)John Wiley & Sons,Inc.,NYを参照)。化学修飾法により、修飾ペプチドが生成されうる(例えば、Belousov,Nucleic Acids Res.25:3440(1997);Frenkel,Free Radic.Biol.Med.19:373(1995);およびBlommers,Biochemistry 33:7886(1994)を参照。
【0058】
本発明は、自然の天然LIGHT(p30ポリペプチド)(例えば配列番号1)と異なるLIGHT(p30ポリペプチド)変異体および多形型をおよびその部分配列コードする核酸をさらに提供する。同様に提供される核酸は、自然の天然LIGHT(p30ポリペプチド)(例えば配列番号1)と比較してDcR3に対する結合が低減しているか検出不可能である、LTベータレセプターまたはHVEMの一つ以上に対する結合を少なくとも部分的に保持する、LIGHT(p30ポリペプチド)の変異体、多型相および部分配列をコードする。さらに提供される核酸は、自然の天然LIGHT(p30ポリペプチド)(例えば配列番号1)と比較してLTベータレセプターまたはHVEMの一つ以上に対する結合が増加しているか高いLIGHT(p30ポリペプチド)の変異体、多形型および部分配列をコードする。特定の実施形態においては、核酸は、配列番号3〜10のいずれかまたはその部分配列をコードする。さらなる実施形態においては、核酸は、配列番号3〜10のいずれかまたはその部分配列をコードする核酸配列に相補的である。
【0059】
本明細書において遺伝子、ポリヌクレオチド、ヌクレオチド配列、プライマ、オリゴヌクレオチドまたはプローブとも称されうる核酸は、ポリリボヌクレオチドまたはポリデオキシリボヌクレオチドまたは混合されたポリリボ―ポリデオキシリボヌクレオチドおよびそのαアノマー型のいずれかである任意の長さの、自然または修飾されたプリンおよびピリミジン含有ポリマーをさす。二つ以上のプリンおよびピリミジン含有ポリマーは、ホスホエステル結合またはそのアナログにより典型的に連結される。用語は、デオキシリボ核酸(DNA)およびリボ核酸(RNA)を含む全ての形態の核酸をさすために互換可能に用いられうる。核酸は、単鎖、二本鎖、三本鎖、線状または環状でありうる。核酸は、ゲノムDNA、cDNA、およびアンチセンスを含む。RNA核酸は、スプライスまたはスプライスされていないmRNA、rRNA、tRNAまたはアンチセンスでありうる。核酸は、天然、合成、ならびにヌクレオチド類似体および誘導体を含む。
【0060】
遺伝コードの縮重の結果、核酸は、本発明のLIGHT(p30ポリペプチド)変異体および多形型をコードする配列に対する縮重配列を含む。したがって、天然LIGHT(p30ポリペプチド)、例えば配列番号1と異なるLIGHT(p30ポリペプチド)変異体および多形型およびその部分配列をコードする縮重核酸配列が、提供される。
【0061】
核酸は、任意の様々な公知の標準的クローニングおよび化学合成方法のいずれかを用いて生成でき、当業者に公知の部位特異的変異誘発または他の組換え技術によって意図的に変更されうる。シークエンシング、ゲル電気泳動、UVスペクトロメトリにより、ポリヌクレオチドの純度が決定されうる。
【0062】
本発明の核酸は、本明細書において「発現カセット」と称される「発現制御エレメント」により核酸の発現が影響または制御される、核酸コンストラクトに挿入されうる。用語「発現制御エレメント」は、それが操作可能に連結された核酸配列の発現を制御するかこれに影響する一つ以上の核酸配列エレメントをさす。発現制御エレメントは、プロモータ、エンハンサ、転写ターミネータ、遺伝子サイレンサ、タンパク質をコードする遺伝子の前の開始コドン(例えばATG)などを適宜含みうる。
【0063】
核酸配列に操作可能に連結された発現制御エレメントは、核酸配列の転写および適宜翻訳を制御する。用語「操作可能に連結される」は、参照構成要素が、その意図された様式で機能することができる関係にある、並置をいう。典型的には、発現制御エレメントは、遺伝子の5’または3’末端に並置されるが、イントロンでもありうる。
【0064】
発現制御エレメントは、転写を構成的に活性化し、誘導可能(すなわち、活性化のための外部シグナルを必要とする)であるか、抑制解除可能(すなわち、転写をオフにするためにシグナルを必要とし;シグナルがもはや存在しない場合には、転写が活性化または「抑制解除」される)であるエレメントを含む。特定の細胞型または組織の遺伝子発現を制御可能にするために十分な制御エレメント(すなわち、組織特異的制御エレメント)も、本発明の発現カセットに含まれる。典型的には、そのようなエレメントは、コード配列の上流または下流(すなわち、5’および3’)に配置される。プロモータは一般に、コード配列の5’に配置される。組換えDNAまたは合成技術により生成されるプロモータを用いて、本発明のポリヌクレオチドの転写を提供しうる。「プロモータ」は、転写を指向するのに十分な最小限の配列エレメントを意味する。
【0065】
核酸は、宿主細胞中で増殖するために、および必要に応じて後の遺伝子操作のために、プラスミドに挿入されうる。プラスミドは、宿主細胞において安定して増殖される核酸であり得;プラスミドは、核酸を発現させるために、発現制御エレメントを選択的に含みうる。ベクターは、本明細書においてプラスミドと同義的に使用され、宿主細胞における発現のための発現制御エレメントも含みうる。プラスミドおよびベクターは一般に、少なくとも細胞における増殖のための複製開始点およびプロモータを含む。したがって、プラスミドおよびベクターは、例えば、ペプチドおよび抗体をコードする核酸の遺伝子操作、ペプチドおよび抗体またはアンチセンスの産生、および宿主細胞または有機体におけるペプチドおよび抗体の発現に有用である。
【0066】
細菌系プロモータは、T7およびバクテリオファージのpL、plac、ptrp、ptac(ptrp―lacハイブリッドプロモーター)およびテトラサイクリン誘導プロモータ等の誘導性プロモータを含む。昆虫細胞系プロモータは、構成的または誘導性プロモータ(例えばエクジソン)を含む。哺乳類細胞構成的プロモータは、SV40、RSV、ウシ乳頭腫ウィルス(BPV)および他のウィルスプロモータ、または哺乳類細胞のゲノム(例えば、メタロチオネインIIAプロモータ;熱ショックプロモータ)または哺乳類ウィルス(例えば、アデノウィルス後期プロモータ;誘導性マウス乳癌ウィルス末端反復配列)に由来する誘導性プロモータを含む。あるいは、レトロウィルスゲノムが、適切な宿主細胞においてタンパク質または抗体を導入し、発現を導くために、遺伝子操作されうる。
【0067】
発現系には、in vivoの使用のために設計されたベクターがさらに含まれる。特定の非限定的な例には、アデノウィルスベクター(米国特許第5,700,470号および第5,731,172号)、アデノ関連ベクター(米国特許第5,604,090号)、単純ヘルペスウィルスベクター(米国特許第5,501,979号)、レトロウィルスベクター(米国特許第5,624,820号、第5,693,508号および第5,674,703号)、BPVベクター(米国特許第5,719,054号)およびCMVベクター(米国特許第5,561,063号)が含まれる。
【0068】
酵母ベクターは、構成的および誘導性プロモータを含む(例えば、Ausubel等、Current Protocols in Molecular Biology,第2巻、第13章、編,Greene Publish.Assoc.& Wiley Interscience,1988;Grant等、Methods in Enzymology,153:516(1987),編.Wu & Grossman;Bitter Methods in Enzymology,152:673(1987),編.Berger & Kimmel,Acad.Press,N.Y.;およびStrathern等、The Molecular Biology of the Yeast Saccharomyces(1982)編.Cold Spring Harbor Press,第IおよびII巻を参照)。ADHまたはLEU2等の構成的イーストプロモータまたはGAL等の誘導性プロモータが用いられうる(R.Rothstein DNA Cloning,A Practical Approach,第11巻、第3章、編.D.M.Glover,IRL Press,ワシントンD.C.,1986)。例えば相同的組み換えによる、イースト染色体への外来核酸配列の組み入れを促進するベクターは、従来技術において周知である。挿入されるポリヌクレオチドが、従来のベクターに大きすぎる(例えば約12Kb以上)場合に、イースト人工染色体(YAC)が典型的に使用される。
【0069】
発現ベクターは、選択圧に対する耐性を与える選択可能マーカまたは識別可能マーカ(例えばβ―ガラクトシダーゼ)も含み得、これにより、選択されるベクターを有する細胞の選択、成長および増殖が可能となる。あるいは、選択可能マーカは、本発明のポリヌクレオチドを含む第一ベクターと宿主細胞中に同時トランスフェクションされる、第二ベクター上に存在しうる。
【0070】
選択系には、それぞれtk―、hgprt―またはaprt―細胞において用いられうる、単純ヘルペスウィルスチミジンキナーゼ遺伝子(Wigler等、Cell 11:223(1977))、ヒポキサンチン―グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ遺伝子(Szybalska等、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 48:2026(1962))、およびアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Lowy等、Cell 22:817(1980))遺伝子が含まれるがこれに限られない。さらに、抗代謝耐性が、メトトレキセートに対する耐性を与えるdhfr(O’Hare等、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 78:1527(1981));ミコフェノール酸に対する耐性を与えるgpt遺伝子(Mulligan等、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 78:2072(1981));アミノグリコシドG―418に対する耐性を与えるネオマイシン遺伝子(Colberre―Garapin等、J.Mol.Biol.150:1(1981));ピューロマイシン;およびハイグロマイシンに対する耐性を与えるハイグロマイシン遺伝子(Santerre等、Gene 30:147(1984))の選択の基礎として用いられうる。追加的な選択可能遺伝子には、細胞がトリプトファンに代えてインドールを利用することを許容するtrpB;細胞がヒスチジンに代えてヒスチノールを利用することを許容するhisD(Hartman等、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:8047(1988));およびオルニチンデカルボキシラーゼ阻害剤2―(ジフルオロメチル)―DL―オルニチン、DFMOに対する耐性を与えるODC(オルニチンデカルボキシラーゼ)(McConlogue(1987)Current Communications in Molecular Biology,Cold Spring Harbor Laboratory)が含まれる。
【0071】
LIGHT(p30ポリペプチド)変異体または多形型のアミノ酸配列を発現する宿主細胞も、提供される。細胞に導入されたLIGHT(p30ポリペプチド)変異体または多形のアミノ酸配列をコードする核酸を有するこのような細胞は、形質転換細胞と呼ばれる。宿主および形質転換細胞は、LIGHT(p30ポリペプチド)変異体または多形のアミノ酸配列を発現しないが、LIGHT(p30ポリペプチド)変異体または多形のアミノ酸配列またはその部分配列をコードする核酸を含む、核酸またはベクターを増殖するために用いられる細胞を含む。例示的な宿主および形質転換細胞は、配列番号3〜10のいずれか一つより選択されるアミノ酸配列を発現する。一実施形態においては、宿主または形質転換細胞は、原核細胞である。別の実施形態においては、宿主または形質転換細胞は、真核細胞である。様々な態様において、真核細胞は、イーストまたは哺乳類(例えば霊長類、ヒト等)細胞である。
【0072】
宿主および形質転換細胞には、細菌およびイースト等の微生物;および植物、昆虫および哺乳類細胞が含まれるがこれに限られない。例えば、組換えバクテリオファージ核酸、プラスミド核酸またはコスミド核酸発現ベクターにより形質転換される細菌;組換えイースト発現ベクターにより形質転換されるイースト;組換えウィルス発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイクウィルス、CaMV;タバコモザイクウィルス、TMV)によりインフェクションされるか、組換えプラスミド発現ベクター(例えばTiプラスミド)により形質転換される植物細胞系;組換えウィルス発現ベクター(例えばバキュロウィルス)によりインフェクションされる昆虫細胞系;および組換えウィルス発現ベクター(例えばレトロウィルス、アデノウィルス、ワクシニアウィルス)によりインフェクションされる動物細胞系、または一時的または安定的増殖または発現のために操作される形質転換動物細胞系が、提供される。
【0073】
LTベータレセプターアゴニストが細胞の膜または細胞上に存在する分子に付着、接合または連結された細胞、例えばLIGHT(p30ポリペプチド)、LIGHT(p30ポリペプチド)キメラ、LTアルファ1ベータ2、LTアルファ2ベータ1、LTベータまたはLTベータレセプター抗体、LIGHT(p30ポリペプチド)変異体および多型およびその部分配列、ならびにLIGHT(p30ポリペプチド)変異体および多形およびその部分配列コードする核酸は、単離または精製された形を含む。組成物の修飾語として使用される場合の、用語「単離された」は、組成物が人工的に作製されるか、実質的に完全にまたは少なくとも部分的に、自然のin vivo環境から分離されることを意味する。一般に、単離された組成物は、自然で通常伴われる一つ以上の物質、例えば一つ以上のタンパク質、核酸、脂質、炭水化物、細胞膜を実質的に伴わない。用語「単離される」は、マルティマー/オリゴマー、変異体、修飾または誘導体化された形態等の組成物の代替的物理的形態、または人工的に作製された宿主細胞に発現される形態を除外しない。用語「単離される」は、組み合わせのいずれかが人工的に作製される組み合わせがある形態(例えば医薬製剤および組み合わせ組成物)も除外しない。
【0074】
自然で通常伴われる物質を一部、相当数、ほとんどまたは全て含まない場合に、「単離される」組成物は、「精製される」ともなりうる。したがって、実質的に純粋でもあるLIGHT(p30ポリペプチド)変異体または多形は、例えばタンパク質ライブラリのタンパク質またはゲノムまたはcDNAライブラリの核酸等、無数の他の配列中に存在するポリペプチドまたはポリヌクレオチドを含まない。「精製された」組成物は、一つ以上の他の分子と組み合わせられうる。
【0075】
本発明によれば、混合物または組み合わせの組成物が提供される。一実施形態においては、混合物は、LTベータレセプターアゴニストが付着、接合または連結された、二つ以上の細胞を含み、それぞれの細胞に、選択的に異なるLTベータレセプターアゴニストが付着している。他の実施形態においては、混合物は、二つ以上のLIGHT(p30ポリペプチド)配列、例えば変異体または多形および野生型LIGHT(p30ポリペプチド)、または第一LIGHT(p30ポリペプチド)変異体または多形および第一LIGHT(p30ポリペプチド)変異体または多形と異なる第二LIGHT(p30ポリペプチド)変異体または多形を含む。さらなる実施態様においては、混合物は、薬理学上許容可能な担体または賦形剤、すなわち医薬品組成物または医薬製剤を含む。
【0076】
LTベータレセプターアゴニストおよびLIGHT(p30ポリペプチド)変異体および多形のアミノ酸配列により修飾される細胞等の組成物を用いて、有害、異常、または不正常細胞、腫瘍、癌、新生物性細胞および転移細胞等の高増殖性細胞、および病原体感染細胞を、溶解、細胞死またはアポトーシスの標的としうる。したがって、本発明により治療可能な疾患には、有害、異常、または不正常な細胞増殖および高増殖性細胞および疾患、例えば有害、異常細胞または不正常な高増殖性細胞、腫瘍細胞、癌細胞、新生物性細胞、転移細胞または病原体感染細胞を有するかそのリスクがある対象が含まれる。
【0077】
LTベータレセプターアゴニストにより修飾される細胞には、標的の有害、異常または不正常な細胞または高増殖細胞、腫瘍細胞、癌細胞、新生物性細胞、転移細胞および病原体感染細胞の一つ以上の抗原を発現する細胞が含まれるは様々な方法で適用可能である。したがって、有害、異常または不正常細胞、高増殖性細胞、腫瘍、癌、新生および転移細胞を標的化するために、これらの細胞が、LTベータレセプターアゴニストが細胞膜に付着、接合または連結されるように修飾され、修飾された細胞が、有害、異常、または不正常細胞、高増殖性細胞、腫瘍、癌、新生、および転移または病原体感染細胞を、溶解、細胞死またはアポトーシスの標的とするために使用される。このようにして、そのように修飾された細胞が、有害、異常、または不正常細胞、高増殖性細胞、腫瘍、癌、新生および転移細胞、および病原体感染細胞を標的化するために使用されうる。
【0078】
本発明によれば、高増殖性細胞、腫瘍細胞、癌細胞、新生物性細胞または転移細胞、または病原体感染細胞に対する免疫を促進、刺激、惹起または増大する方法が提供される。一実施形態においては、方法は、LTベータレセプターアゴニストが細胞膜に付着、接合または連結された細胞を、高増殖性細胞、腫瘍細胞、癌細胞、新生物性細胞転移細胞または病原体感染細胞に対する対象の免疫を促進、刺激、惹起または増大するために十分な量、対象に投与するステップ、または対象をこれと接触させるステップを含む。
【0079】
本発明によれば、対象の望ましくないかまたは異常な高増殖性細胞、腫瘍細胞、癌細胞、新生物性細胞、転移細胞、または病原体感染細胞を治療する方法も、提供される。一実施形態においては、方法は、LTベータレセプターアゴニストが細胞膜に付着、接合または連結された細胞を、対象の望ましくないかまたは異常な高増殖性細胞、腫瘍細胞、癌細胞、新生物性細胞、転移細胞、または病原体感染細胞を治療するために有効な量、対象に投与するステップ、または対象をこれと接触させるステップを含む。
【0080】
様々な態様においては、LTベータレセプターアゴニストは、LIGHT(p30ポリペプチド)、LTアルファ1ベータ2、LTアルファ2ベータ1、LTベータまたはLTベータレセプター抗体を含む。特定の態様においては、LTベータレセプターアゴニストは、LIGHT(p30ポリペプチド)変異体または多形の配列、例えば配列番号1、2〜10のいずれかの単独または組み合わせ等、LTベータレセプターまたはHVEMに対する結合親和性が増加しているかまたは高いか、DcR3に対する結合親和性または結合活性が低減しているか低いLIGHT(p30ポリペプチド)を含む。追加的な特定の態様においては、抗体は、LTベータレセプターの活性を刺激または増加するアゴニストである。
【0081】
「高増殖性疾患」という用語は、任意の有害、異常または不正常な細胞生存(例えばプログラム細胞死またはアポトーシスの不全)、成長または増殖をいう。このような疾患には、良性過形成、非転移性腫瘍および転移性(新生)腫瘍および癌が含まれる。有害、異常または不正常な細胞増殖および高増殖性疾患は、対象の任意の細胞、組織、臓器、領域または系統に影響しうる。腫瘍は、乳腺、肺、鼻咽腔、甲状腺、頭頸部、脳、リンパ系、胃腸(口、食道、胃、小腸、結腸、直腸)、尿生殖器管(子宮、卵巣、頸部、膀胱、膣、睾丸、陰茎、前立腺)、腎臓、膵臓、肝臓、骨、筋肉、皮を含むがこれに限られない、多数の組織および臓器から生じ得、他の二次的部位に転移する場合もあればしない場合もある。有害または異常な細胞増殖および高増殖性疾患は、例えば癌腫、肉腫、黒色腫、神経、および網状内皮または造血器新生物性細胞および疾患(例えば骨髄腫、リンパ腫または白血病)など、任意の細胞または組織タイプに影響しうる。有害または異常な細胞増殖および高増殖性疾患は、局所的、領域的、または全身的に対象に存在しうる。
【0082】
用語「腫瘍」、「癌」および「新生物」は互換可能に使用され、成長、増殖または生存が、正常な対応細胞の成長、増殖または生存を上回る細胞または細胞の集団、例えば細胞増殖または分化疾患をさす。典型的に、成長は無制御である。「悪性病変」という用語は、付近の組織の浸潤をいう。「転移」という用語は、対象内のより遠位の組織または部位への、腫瘍、癌または新生物の広がりまたは播種をいう。
【0083】
用語「病原体感染細胞」は、ウィルスに感染しているか、その細胞にLTベータレセプターアゴニストも付着、接合または連結している場合に、免疫を刺激しうるウィルス、細菌または寄生虫(病原体)遺伝子または複数の遺伝子を発現するように誘導(形質転換)された、自己ヒト血液細胞等の細胞をさす。LTベータレセプターアゴニストが付着、接合または連結されたこのような病原体感染細胞の投与により、発現された病原体抗原が抗原に対する免疫反応(例えば防御免疫)を誘導することが可能となる。
【0084】
「接触」という用語は、二つ以上の物の間(例えば、LTベータレセプターとアゴニストの間、LTベータレセプターアゴニストが膜に付着、接合または連結された細胞と対象の間等)での直接または間接的結合または相互作用を意味する。本明細書で用いられるところの、接触には、溶液中、固相中、in vitro、ex vivo、細胞中、およびin vivoが含まれる。in vivoの接触は、投与するステップまたは投与と呼ばれうる。
【0085】
腫瘍を含む細胞は、細胞塊に凝集されるか分散されうる。「固形腫瘍」とは、典型的に凝集し、塊を形成する新生物または転移をいう。具体的な非限定的な例には、黒色腫、乳腺、膵臓、子宮および卵巣癌等の内臓腫瘍、精上皮腫を含む精巣癌、胃または結腸癌、肝臓癌、副腎、腎臓および膀胱癌腫、肺、頭頚部癌および脳腫瘍/癌が含まれる。
【0086】
上皮または内分泌組織の悪性病変をさす癌腫は、呼吸器系癌腫、胃腸系癌腫、泌尿生殖系癌腫、精巣癌腫、乳腺癌腫、前立腺癌腫、内分泌系癌腫および黒色腫を含む。典型的な癌腫には、子宮、頸部、肺、前立腺、乳腺、頭頸部、結腸、膵臓、精巣、副腎、腎臓、食道、胃、肝臓および卵巣から形成するもの含まれる。用語は、例えば癌および肉腫組織からなる悪性腫瘍を含む、癌肉腫も含む。腺癌は、腺組織の癌腫、または腫瘍が腺様構造を形成するものを含む。
【0087】
肉腫は、間葉系細胞起源の悪性腫瘍をさす。例示的な肉腫は、例えばリンパ肉腫、脂肪肉腫、骨肉腫、軟骨肉腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫および繊維肉腫を含む。
【0088】
神経新生物は、神経膠腫、神経膠芽細胞腫、髄膜腫、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫、神経膠星状細胞腫、希突起膠細胞腫を含む。
【0089】
通常は固形塊を形成しないためにびまん性の新生物をさす「液性腫瘍」。具体例には、リンパ腫、骨髄腫および白血病等の、細網内皮系または造血系の新生物が含まれる。白血病の非限定的な例には、急性および慢性リンパ芽球、骨髄芽球性および多発性骨髄腫が含まれる。典型的に、このような病気は、低分化型急性白血病、例えば赤芽球性白血病および急性巨核芽球性白血病から生じる。具体的な骨髄性疾患には、急性前骨髄性白血病(APML)、急性骨髄性白血病(AML)および慢性骨髄性白血病(CML)が含まれるがこれに限られない。リンパ性悪性疾患には、B細胞系統ALLおよびT細胞系統ALLを含む急性リンパ芽球性白血病(ALL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、前リンパ性白血病(PLL)、有毛状細胞性白血病(HLL)、およびワルデンストレームマクログロブリン血症(WM)が含まれるがこれに限られない。具体的な悪性リンパ腫には、非ホジキンリンパ腫およびその異型、末梢T細胞リンパ腫、成人T細胞白血病/リンパ腫(ATL)、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)、大型顆粒リンパ球性白血病(LGF)、ホジキン病、およびリード―シュテルンベルク病が含まれるがこれに限られない。
【0090】
腫瘍、癌、悪性病変または新生物は、第II、III、IVまたはV期腫瘍等、任意の段階、例えば初期または進行期にありうる。腫瘍は、前治療が行われたものでも、安定化状態(非進行)でも、寛解状態でもよい。
【0091】
LTベータレセプターアゴニストが膜に付着、接合または連結された細胞、LIGHT(p30ポリペプチド)変異体および多形型、および本発明の方法には、腫瘍、癌、悪性腫瘍または新生物成長、進行、転移、増殖または生存またはin vitroまたはin vivoでの悪化等の高増殖性疾患を阻害、減少、遅延、減速、低減または防止する、任意の他の組成物、治療、プロトコルまたは治療計画を含む、抗増殖、抗腫瘍、抗癌、抗新生物治療、プロトコルおよび療法が含まれる。抗増殖(例えば腫瘍または癌)療法の非限定的な具体例には、化学療法、免疫療法、放射線療法(イオン化または化学的)、局所的熱(温熱療法)療法および外科用切除が含まれる。抗細胞増殖作用または効果を有する、任意の組成物、治療、プロトコル、療法または計画を、本発明の方法において、LTベータレセプターアゴニストが付着した細胞、LIGHT(p30ポリペプチド)変異体および多形型と組み合わせて用いうる。
【0092】
抗増殖または抗腫瘍組成物、療法、プロトコルまたは治療は、細胞周期進行または細胞増殖を防止、妨害、中断、阻害または遅延させ;アポトーシスまたは細胞死を刺激または増強し、核酸またはタンパク質合成または代謝を阻害し、細胞分裂を阻害し、または細胞生存、または必要な細胞生存因子、成長因子またはシグナリング経路(細胞外または細胞内)の産生または利用を減少、低減または阻害するものを含む。抗細胞増殖および抗腫瘍活性を有する化合物クラスの非限定的な例には、アルキル化剤、代謝拮抗物質、植物エキス、植物アルカロイド、ニトロソウレア、ホルモン、ヌクレオシドおよびヌクレオチドアナログが含まれる。抗細胞増殖および抗腫瘍活性を有する薬物の具体的な例には、シクロホスファミド、アザチオプリン、サイクロスポリンA、プレドニソロン、メルファラン、クロランブシル、メクロレタミン、ブスルファン、メトトレキセート、6―メルカプトプリン、チオグアニン、5―フルオロウラシル、シトシンアラビノシド、AZT、5―アザシチジン(5―AZC)、およびデシタビン(5―アザ―2’デオキシシチジン)、シタラビン、1―ベータ―D―アラビノフラノシル―5―アザシトシンおよびジヒドロ―5―アザシチジン等の5―アザシチジン関連化合物、ブレオマイシン、アクチノマイシンD、ミトラマイシン、マイトマイシンC、カルムスチン、ロムスチン、セムスチン、ストレプトゾトシン、ヒドロキシウレア、シスプラチン、ミトタン、プロカルバジン、ダカルバジン、タキソール、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ドキソルビシンおよびジブロモマンニトールが含まれる。
【0093】
本組成物および方法とともに適用可能な追加的な薬剤が、用いられうる。例えば、Rituxan(登録商標)およびHerceptin(Trastuzumab)(抗―Her―2neu抗体)、Bevacizumab(Avastin)、Zevalin、Bexxar、Oncolym、17lA(Edrecolomab)、3F8(抗―神経芽細胞腫抗体)、MDX―CTLA4、Campath(登録商標)、Mylotarg、IMC―C225(Cetuximab)、アウリンスタチン結合体のcBR96およびcAC10(Doronina等、Nat Biotechnol.21:778(2003))等の、腫瘍細胞または癌遺伝子産物を結合する単クローン抗体が、とりわけ、修飾細胞またはLIGHT(p30ポリペプチド)変異体または多形型と組み合わせて発明に従って使用されうる。
【0094】
腫瘍、癌、新生物悪性病変または病原体感染細胞を治療する方法、腫瘍、癌、新生物、悪性病変または病原体感染細胞を有するかそのリスクがあるために必要な対象を治療する方法、および抗腫瘍、抗癌、抗新生物、抗悪性病変、または抗病原体感染細胞療法の有効性を増加または改善する方法が提供される。各実施形態において、方法は、腫瘍、癌、新生物、悪性病変または病原体感染細胞を有するかそのリスクがある対象に、LTベータレセプターアゴニストが細胞の膜に付着、接合または連結された細胞、またはLIGHT(p30ポリペプチド)の変異体および多形型を、腫瘍、癌、新生物、悪性病変または病原体感染細胞を治療するために十分な量、投与するステップと;対象に、LTベータレセプターアゴニストが細胞の膜に付着、接合または連結された細胞、またはLIGHT(p30ポリペプチド)の変異体および多形型を、対象を治療するために十分な量、投与するステップと;腫瘍、癌、新生物、悪性病変療法または病原体感染細胞のための療法を受けたか受けている対象に、LTベータレセプターアゴニストが細胞の膜に付着、接合または連結された細胞、またはLIGHT(p30ポリペプチド)の変異体および多形型を、抗腫瘍、抗癌、抗新生物、抗悪性病変療法または抗病原体感染細胞療法の効果を高めるために十分な量、投与するステップとを含む。
【0095】
本発明の方法は、有害、異常または不正常な細胞増殖または高増殖性疾患、または病原体感染細胞の存在、例えば一つ以上の症状の所見の前(すなわち予防)、同時または後に実施されうる。LTベータレセプターアゴニストが細胞の膜に付着、接合または連結された細胞、またはLIGHT(p30ポリペプチド)の変異体および多形型を、有害、異常または不正常な細胞増殖または高増殖性疾患または病原体感染細胞の症状の発現の前、同時または直後に投与することにより、対象における一つ以上の症状の発生、頻度、重症度、進行または持続時間が減少しうる。さらに、LTベータレセプターアゴニストが細胞の膜に付着、接合または連結された細胞、またはLIGHT(p30ポリペプチド)の変異体および多形型を、一つ以上の症状の発現の前、同時または直後に投与することにより、高増殖性細胞(例えば腫瘍または癌転移)または病原体感染細胞が、対象の他の領域、組織または臓器に広がるのを減少または防止しうる。
【0096】
LTベータレセプターアゴニストが膜に付着、接合または連結された細胞、LIGHT(p30ポリペプチド)の変異体および多形型、および治療方法等の本発明の方法は、対象に検出可能または測定可能な治療的利益または改善を提供しうる。治療的利益または改善は、対象に対する任意の測定可能または検出可能、客観的または主観的、一時的、一過性、または長期的利益、または、対象の組織、臓器、細胞または細胞集団の、状態、疾患または病気、有害な症状、または根本原因の任意の程度の改善である。治療的利益または改善には、疾患、病気または状態と関連した一つ以上の症状または合併症、または疾患、病気または状態の根本原因または影響の発生、頻度、重症度、進行または持続時間の低減または減少が含まれるがこれに限られない。したがって、LTベータレセプターアゴニストが膜に付着、接合または連結された細胞、LIGHT(p30ポリペプチド)変異体および多形型、および本発明の方法には、治療的利益または改善を対象に提供するステップが含まれる。
【0097】
治療的利益または改善が所望の結果である本発明の方法においては、LTベータレセプターアゴニストが膜に付着、接合または連結された細胞、またはLIGHT(p30ポリペプチド)の変異体および多形型が、必要な対象に、十分または有効な量、投与されうる。「十分な量」または「有効な量」は、単一用量または複数用量で、単独または一つ以上の他の組成物(化学療法または免疫刺激薬物等の治療剤)、治療、プロトコル、または治療計画薬剤との組み合わせにおいて、任意の持続時間の(長期または短期の)検出可能な反応、任意の測定可能または検出可能な程度、または任意の持続時間の、対象における所望の結果または対象に対する利益を提供する量をさす。(例えば、治療的利益または改善を提供するための)治療のための用量または「十分な量」または「有効な量」は、典型的には、疾患、病気または状態、または疾患、病気または状態の一つ、複数または全ての有害な症状、影響または合併症を、測定可能な程度まで向上させるために有効であるが、疾患、病気または状態または症状の進行または悪化の抑制または阻害は、良好な結果であると考えられる。
【0098】
用語「向上する」は、対象の状態の検出可能な客観的または主観的な改善を意味する。検出可能な改善には、疾患、病気または状態を原因とするかこれに関連する症状の発生、頻度、重症度、進行または持続時間の客観的または主観的な減少、疾患、病気または状態の根本原因または影響の改善、または疾患、病気または状態の逆戻りが含まれる。
【0099】
したがって、治療は、疾患、病気または状態、または関連する症状または影響、または根本原因の阻害、減少または防止;疾患、病気、状態、症状または影響、または根本原因の進行または悪化、または疾患、病気、状態、または症状の一つ以上の追加的な症状のさらなる悪化または発生の阻害、減少または防止をもたらしうる。したがって、良好な治療結果は、「治療的効果」または「利益」または対象における状態、疾患、病気または症状の一つ以上の症状、または根本原因または影響の発生、頻度、重症度、進行または継続時間の阻害、減少または防止をもたらす。したがって、状態、疾患、病気または症状の一つ以上の根本原因に作用する治療方法が、有益であると考えられる。疾患または状態の進行または悪化の安定化または阻害も、良好な治療結果である。
【0100】
したがって、治療的利益または改善は、状態、疾患または病気に関連するいずれか一つ、大半または全ての症状、合併症、影響または根本原因の完全な消失である必要はない。したがって、対象の状態の漸進的改善、または発生、頻度、重症度、進行、または継続時間の部分的減少、または、一つ以上の関連する有害な症状または合併症または影響または根本原因、疾患または病気の生理的、生化学的、または細胞的兆候または特徴の一つ以上の悪化または進行(例えば、状態、疾患または病気の一つ以上の症状または合併症の安定化)の阻害または回復が、短期または長期間(時間、日、週、月等)ある場合に、良好なエンドポイントが達成される。
【0101】
十分な量または有効な量は、単回投与において提供されうるがその必要はなく、また、単独投与または別の組成物(例えば化学療法または免疫刺激剤)、治療、プロトコルまたは治療計画と組み合わせて投与されうるが、その必要はない。例えば、量は、対象の必要、治療される疾患、病気または状態のステータス、または治療の副作用により示されるとおりに、比例的に増加されうる。さらに、十分な量または有効な量は、第二組成物(例えば化学療法または免疫刺激剤)、治療、プロトコルまたは治療計画を伴わずに単一または複数の用量において与えられる場合には、十分または有効である必要はない。所与の対象において有効または十分であるとみなされる上では、そのような用量に加えて追加的な用量、量または持続時間、または追加的な組成物(例えば化学療法または免疫刺激剤)、治療、プロトコルまたは治療計画も含まれうるためである。十分であるとみなされる量には、別の治療、治療計画またはプロトコルの使用の減少をもたらす量も含まれる。
【0102】
十分な量または有効な量は、治療されるどの対象においても予防または治療上有効である必要はないし、所与の群または集団の治療される対象の大多数に有効である必要もない。治療または療法に典型的であるように、一部の対象は、所与の治療、治療計画またはプロトコルに対して強い反応または弱い反応を示す。十分な量または有効な量は、群または一般集団ではなく、特定の対象における、十分性または有効性を意味する。このような量は、有害、異常、または不正常な細胞増殖または高増殖性疾患(例えば癌、腫瘍、新生物または悪性病変)、または病原体感染細胞のタイプまたはステージ等の治療される状態、所望の治療効果、ならびに個々の対象(例えば対象における生物学的利用能、対象の反応、性別、年齢等)に部分的に依存する。
【0103】
高増殖性疾患(例えば癌、腫瘍、新生物または悪性病変)または病原体感染細胞等の有害、異常、または不正常な細胞増殖に対する、治療的利益または改善の非限定的な具体例には、高増殖性細胞(例えば腫瘍細胞、癌細胞、新生物性細胞、転移細胞)または病原体感染細胞の大きさ、質量または体積の減少、大きさ、質量または体積の増加、または数または転移の増加の阻害または防止、悪化または進行の遅延または阻害、細胞溶解またはアポトーシスの刺激、高増殖性細胞、腫瘍細胞、癌細胞、新生物性細胞、転移細胞、または病原体感染細胞の増殖または数の減少、低減または阻害、または腫瘍または癌転移の減少、低減または阻害、または高増殖性細胞(例えば腫瘍細胞、癌細胞、新生物性細胞、転移細胞)または病原体感染細胞の数の安定化、死亡率の低減、対象の寿命の延長が含まれる。したがって、癌、腫瘍、新生物、悪性病変または病原体感染細胞の完全な消失は生じていない場合であっても、大きさ、質量、体積または転移の増加の阻害または遅延(安定化)により、数日、数週間または数ヶ月間でも寿命が延長(死亡率を減少)されうる。
【0104】
主観的な感覚の改善(例えばエネルギー、食欲の増加、嘔気の減少、可動性または心理的健康状態の改善等)などの、高増殖性疾患(例えば癌、腫瘍、新生物または悪性病変)または病原体感染細胞等の有害、異常または不正常な細胞増殖の症状の発生、頻度、重症度、進行、または継続時間の減少は、全て、治療的利益または改善の例である。減少または低減されうる高増殖性疾患(例えば癌、腫瘍、新生物または悪性病変)に関連する有害な症状および合併症には、例えば痛み、嘔気、食欲不振、無気力および虚弱が含まれる。
【0105】
例えば、LTベータレセプターアゴニストが膜に付着、接合または連結された細胞、またはLIGHT(p30ポリペプチド)変異体または多形型の、十分または有効な量は、投与により高増殖性疾患(例えば癌、腫瘍、新生物または悪性病変)または病原体感染細胞等の有害、異常または不正常な細胞増殖の治療に必要とされる化学療法薬物、放射線、免疫療法または病原体療法の減量がもたらされる場合には、治療効果を有すると考えられる。
【0106】
用語「対象」は、動物、典型的にはヒト、非ヒト霊長類(類人猿、テナガザル、チンパンジ、オランウータン、マカク)、家庭動物(イヌおよびネコ)、家畜(ウマ、ウシ、ヤギ、ヒツジ、ブタ)および実験動物(マウス、ラット、ウサギ、モルモット)等の哺乳類動物をさす。対象は、動物疾患モデル、例えば、in vivo分析または研究のための、高増殖性疾患(例えば癌、腫瘍、新生物または悪性病変)または病原体感染細胞等の有害または異常細胞増殖の動物モデルを含む。
【0107】
治療に適切な対象には、寛解期の対象を含めて、癌、腫瘍、新生物または悪性病変または病原体感染細胞等の有害、異常または不正常な細胞増殖を有するかそのリスクがある者、抗腫瘍、抗癌、抗新生物、抗悪性細胞、抗転移細胞、または抗病原体感染細胞療法を将来受けるか現在または既に受けている者が含まれる。したがって、本発明は、有害、異常または不正常な細胞、癌、腫瘍、新生物、悪性病変または転移、または病原体感染細胞、または、例えば休眠または寛解期間後の再現または再成長による、関連の合併症のリスクがある対象の治療に適用可能である。
【0108】
「リスクがある」対象は、典型的には、有害または異常な免疫反応、免疫不全または免疫疾患、過形成(例えば癌または腫瘍)の発症、または病原体に対する曝露または接触と関連したリスク因子を有する。リスク因子には、性別、ライフスタイル(食事、喫煙)、職業(医療および病院職員、農業および牧畜労働者)、環境因子(発癌物質曝露)、家族歴(自己免疫不全、糖尿病等)、遺伝的素因、曝露等が含まれる。例えば、黒色腫を発症するリスクがある対象には、過度の日光曝露(紫外線)、白い肌、多数の母斑(形成異常母斑)、患者の表現型、家族歴、または過去の黒色腫の病歴が含まれる。したがって、癌を発症するリスクがある対象は、ライフスタイル、職業、環境因子、家族歴、および腫瘍関連遺伝子、遺伝子欠失または遺伝子変異の遺伝子検査により特定されうる。例えば、乳癌を発症するリスクがある対象は、Brcalを欠く。結腸癌を発症するリスクがある対象は、若年または高頻度のポリープ形成、または例えば大腸腺腫症遺伝子(APC)等の癌抑制遺伝子等の欠失または変異を有する。高IgM(HIM)による免疫不全のリスクがある対象は、例えばX染色体のq26に見られる遺伝子TNFSF5の欠損を有する。自己免疫疾患の罹病性は、MHC遺伝子型と関連することが多い。例えば糖尿病では、HLA―DR3およびHLA―DR4との関連がある。
【0109】
LTベータレセプターアゴニストが細胞の膜に付着、接合または連結された細胞、LIGHT(p30ポリペプチド)変異体および多形型を含む組成物が投与されて、単一または複数、例えば有効または十分な量において、意図した効果を提供しうる。例示的な投与量は、連続日または隔日または断続的に投与される。単一または複数用量が、同日または連続日、隔日または断続的に投与されうる。
【0110】
全身的、領域的または局所的投与により、任意の経路で、組成物が投与され、方法が実施されうる。例えば、LTベータレセプターアゴニストが付着された細胞、またはLIGHT(p30ポリペプチド)変異体および多形型が、全身、領域的または局所的に、静脈内、経口(例えば摂取または吸入)、筋肉内、腹腔内、皮内、皮下、腔内、頭蓋内、経皮(局所)、非経口、例えば経粘膜または直腸投与されうる。医薬製剤を含む本発明の組成物および方法は、(微小)封入送達システムにより投与され、または投与のためにインプラントにパッケージされうる。
【0111】
本発明は、医薬品組成物および製剤に含まれる、LTベータレセプターアゴニストが膜に付着、接合または連結された細胞、LIGHT(p30ポリペプチド)変異体および多形型、およびLIGHT(p30ポリペプチド)キメラをさらに提供する。医薬品組成物とは、「薬理学上許容可能な」および「生理的に許容可能な」担体、希釈液または賦形剤をいう。本明細書で使用されるところの、担体、希釈液または賦形剤をさす場合の「薬理学上許容可能な」および「生理的に許容可能な」という用語は、医薬品投与および製剤の他の成分に適合する、溶媒(水性または非水性)、界面活性剤、溶液、エマルション、分散媒、コーティング、および吸収促進および遅延薬剤を含む。このような製剤は、(コートまたは非コート)錠剤、(硬または軟)カプセル、ミクロビーズ、エマルション、粉末、顆粒、結晶、懸濁液、シロップまたはエリキシルに含まれうる。
【0112】
医薬品組成物は、特定の投与経路に適合するように調製されうる。非経口、皮内または皮下投与のための組成物は、水、食塩水、不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒等の滅菌希釈剤を含みうる。製剤は、微生物増殖を防止するための一つ以上の保存剤(例えば、ベンジルアルコールまたはメチルパラベン等の抗菌剤;アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウム等の酸化防止剤;エチレンジアミン四酢酸等のキレート剤;酢酸塩、クエン酸塩またはリン酸塩等のバッファー、および塩化ナトリウムまたはデキストロース等の張化剤)を含みうる。
【0113】
注射のための医薬品組成物には、滅菌注射可能溶液または分散の即時製剤のための、滅菌水溶液(水溶性の場合)または分散および滅菌粉末が含まれる。静脈内投与のためには、適切な担体には、生理食塩水、静菌水、Cremophor EL(商標)(BASF、ニュージャージー州パーシッパニー)またはリン酸緩衝食塩水(PBS)が含まれる。担体は、例えば水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコール、およびポリエセイレン(polyetheylene)グリコール)およびそれらの適切な混合物を含む、溶媒または分散媒でありうる。例えば、レシチン等のコーティングを用いて、または界面活性剤を用いて、流動性が維持されうる。抗菌剤および抗真菌剤には、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸およびチメロサールが含まれる。例えばアルミニウムモノステアレートおよびゼラチン等、吸収を遅延させる薬剤を含めて、注射可能組成物の吸収を延長することができる。
【0114】
経粘膜または経皮的投与には、浸透される障壁に適切な浸透剤が製剤中に使用される。このような浸透剤は、従来技術において周知であり、例えば経粘膜投与のためには、界面活性剤、胆汁酸塩、およびフシジン酸誘導体;経皮的投与のためには、軟膏、塗剤、ゲルまたはクリームを含む。
【0115】
追加的な医薬製剤および送達システムは、公知技術であり、発明の方法で適用可能である(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences(1990)第18版、Mack Publishing Co.,ペンシルベニア州イーストン;The Merck Index(1996)第12版、Merck Publishing Group,ニュージャージー州ホワイトハウス;Pharmaceutical Principles of Solid Dosage Forms,Technonic Publishing Co.,Inc.,ペンシルベニア州ランカスター、(1993);およびPoznansky等、Drug Delivery Systems,R.L.Juliano編、ニュージャージー州オクスフォード(1980)、pp.253―315を参照)。
【0116】
本発明によれば、LTベータレセプターアゴニストが細胞の膜に(例えばポリペプチドまたは炭水化物等、細胞膜上に存在する分子に)付着、接合または連結された細胞を作製する方法が提供される。一実施形態においては、方法には、細胞を、LTベータレセプターアゴニストに、当該細胞と当該LTベータレセプターアゴニストの(例えば、中間分子介した)結合を許容する条件下で接触させ、これによりLTベータレセプターアゴニストが細胞の膜に付着、接合または連結された細胞を生成するステップが含まれる。特定の態様においては、LTベータレセプターアゴニストは、LTベータレセプターアゴニストをコードする、細胞の核酸から発現されず、むしろ共有結合または非共有結合により膜に付着、接合または連結される。他の実施形態においては、方法には、細胞をLIGHT(p30ポリペプチド)変異体または多形型と、LIGHT(p30ポリペプチド)変異体または多形型の間の結合を許容する条件下で接触させ、これによりLIGHT(p30ポリペプチド)変異体または多形型が細胞の膜に付着、接合または連結された細胞を生成するステップが含まれる。この実施形態の特定の態様においては、LIGHT(p30ポリペプチド)変異体または多形型が、LIGHT(p30ポリペプチド)変異体または多形型をコードする、細胞の核酸から発現される。
【0117】
特定の側面においては、LTベータレセプターアゴニストは、LIGHT(p30ポリペプチド)、LTアルファ1ベータ2、LTアルファ2ベータ1、LTベータまたはLTベータレセプター抗体、または細胞膜上に存在する分子に結合するリガンド、レセプターまたは抗体、または抗体の部分配列等の結合部分を含むキメラタンパク質の一つ以上を含む。より特定の態様においては、LIGHT(p30ポリペプチド)は、完全長アミノ酸配列、LIGHTの細胞外アミノ酸配列(例えば配列番号1に記載)、またはLIGHTの可溶型(例えばLIGHTt66、または配列番号2に記載)を含む。追加的な特定の態様においては、LIGHT(p30ポリペプチド)は、天然野生型LIGHT(p30ポリペプチド)と比較してDcR3(デコイレセプター3)に対する親和性が低減したLIGHT(p30ポリペプチド)アミノ酸配列、天然野生型LIGHT(p30ポリペプチド)と比較してLTβRまたはHVEMに対する親和性が高いLIGHT(p30ポリペプチド)アミノ酸配列、または天然野生型LIGHT(p30ポリペプチド)と比較してLTβRまたはHVEMに対する親和性が高く、DcR3(デコイレセプター3)に対する親和性が低減したLIGHT(p30ポリペプチド)アミノ酸配列、例えば配列番号3〜10のいずれかより選択されるLIGHT(p30ポリペプチド)アミノ酸配列を含む。
【0118】
さらなる特定の態様においては、細胞は、高増殖性細胞、腫瘍細胞、癌細胞、新生物性細胞、転移細胞または病原体感染細胞であり、または細胞が、腫瘍細胞または癌細胞抗原、新生物性細胞または転移細胞抗原、ウィルス抗原、細菌性抗原、真菌抗原、または寄生虫抗原より選択される分子を発現する。細胞は、生細胞または死細胞でありうる、真核生物、哺乳類(例えばヒト)細胞でありうる。
【0119】
追加的な特定の態様においては、細胞が、第一部分(例えばビオチンまたはビオチン誘導体)と接触させられた後、第二部分(例えばアビジン、ニュートラアビジンまたはストレプトアビジン、またはその誘導体もしくはアミノ酸改変体)と接触させられ、これにより、細胞に結合された第一部分と第一部分に結合された第二部分とを含み、当該部分が中間分子を含む、分子が生成される。
【0120】
さらなる特定の態様においては、細胞膜に対するレセプターアゴニストの結合は、細胞膜上に存在する抗体に対する結合を介して生じ、LTベータレセプターアゴニストを細胞膜上の分子(例えばタンパク質または炭水化物)に架橋することにより、LTベータレセプターアゴニストが細胞膜に結合する。
【0121】
本発明は、適切なパッケージ材料にパッケージされた、LTベータレセプターアゴニストが細胞の膜に付着、接合または連結された細胞、LIGHT(p30ポリペプチド)変異体または多形型、その組み合わせ組成物および医薬製剤を含むキットを提供する。キットは、構成要素の説明または中の構成要素のin vitro、in vivoまたはex vivoでの使用のための指示を含むラベルまたはパッケージインサートを選択的に含む。典型的な指示には、細胞の増殖を減少または阻害し、高増殖性細胞の増殖を減少または阻害し、新生、腫瘍または癌細胞、悪性病変または転移、または病原体感染細胞の増殖を減少または阻害し、高増殖性疾患を有する対象を治療し、転移性または非転移性新生物、腫瘍、癌、または悪性病変、または病原体感染細胞を有する対象を治療するための指示が含まれる。
【0122】
「パッケージ材料」という用語は、キットの構成要素を収容する物理的構造体をいう。パッケージ材料は、構成要素を無菌的に維持でき、このような目的で一般に使用される材料(例えば紙、段ボール、ガラス、プラスチック、箔、アンプル、バイアル、チューブ等)で作られうる。
【0123】
本発明のキットは、ラベルまたはインサートを含みうる。ラベルまたはインサートは、「印刷物」、例えば紙またはボール紙を含み、または構成要素、キットまたはパッケージ材料(例えばボックス)とは別であるかこれらに固定され、またはキット構成要素を含むアンプル、チューブまたはバイアルに取り付けられる。ラベルまたはインサートは、ディスク(例えばフロッピー(登録商標)ディスケット、ハードディスク、ZIPディスク)等の計算機可読媒体、CD―またはDVD―ROM/RAM、DVD、MP3、磁気テープ等の光ディスク、またはRAMおよびROM等の電子記憶媒体、または磁気/光学記憶媒体、FLASH媒体またはメモリタイプカード等のこれらのハイブリッド等の、を追加的に含みうる。
【0124】
ラベルまたはインサートは、中の一つ以上の構成要素、用量、作用機構、薬物動態および薬動力学を含む活性成分(単数または複数)の臨床薬効薬理の識別情報を含みうる。ラベルまたはインサートは、メーカー情報、ロット番号、メーカー所在地および日付を識別する情報を含みうる。
【0125】
ラベルまたはインサートは、キット構成要素が使できる状態、疾患、病気または症状に関する情報を含みうる。ラベルまたはインサートは、方法、治療プロトコルまたは治療計画においてキット構成要素の一つ以上を使用するための、臨床医または対象のための指示を含みうる。指示には、投与量、頻度または継続時間、および本明細書に記載される方法、治療プロトコルまたは治療計画のいずれかを実施するための指示が含まれうる。典型的な指示には、有害、異常または不正常な細胞、高増殖性疾患または病原体感染細胞を治療するための指示が含まれる。したがって、本発明のキットは、治療、検出、モニタリングまたは診断法を含めて、本明細書に記載される方法のいずれかを実施するためのラベルまたは指示をさらに含みうる。
【0126】
ラベルまたはインサートは、予防的または治療的利益等、構成要素が提供しうる任意の利益に関する情報を含みうる。ラベルまたはインサートは、特定の組成物の使用が適切でない状況に関する、対象または臨床医への警告等、有害な副作用の可能性に関する情報を含みうる。対象が、組成物に適合しない一つ以上の他の薬を既に、将来的にまたは現に服用している場合、または対象が組成物に適合しない別の治療プロトコルまたは治療計画を既に、将来的にまたは現に受けている場合にも、有害な副作用が生じうるため、指示は、かかる不適合成に関係する情報を含みうる。
【0127】
発明キットは、他の構成要素をさらに含みうる。キットの各構成要素は、それぞれの容器に封入され、様々な容器が全て単一のパッケージ内にありうる。発明キットは、冷蔵用に設計されうる。発明キットはさらに、本発明のペプチドまたは抗体を発現する宿主細胞またはコード核酸を含むそれを含むように設計されうる。キット内の細胞は、細胞の使用準備が整うまで、適切な貯蔵条件下で維持されうる。例えば、細胞を解凍し、成長されられるように、一つ以上の細胞を含むキットが、適切な細胞貯蔵媒体を含みうる。
【0128】
別に定義されない限り、本明細書において用いられる全ての技術的および科学的用語は、当技術分野の当業者により一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと類似または等価の方法および材料が、本発明の実行または試験に使用されうるが、本明細書に、適切な方法および材料が記載される。
【0129】
本明細書にあげられる全ての出願、刊行物、特許およびその他の参考文献、GenBank引用およびATCC引用は、参照により全体として本明細書に組み込まれるものとする。矛盾する場合には、定義を含む本明細書が優先する。
【0130】
本明細書で使用されるところの、単数の形「a」、「および」、および「the」は、文脈から逆が明らかに示されない限り、複数への言及を含む。したがって、例えば、「LTベータレセプターアゴニストが膜に付着、接合または連結された細胞」または「LIGHT(p30ポリペプチド)変異体および多形型」への言及には、複数のこのような細胞、変異体または多形型が含まれる。
【0131】
本明細書で使用されるところの、全ての数値または数値範囲は、文脈から逆が明らかに示されない限り、このような範囲内の整数および範囲内の値または整数の分数を含む。したがって、例えば、90〜100%に対する言及には、91%、92%、93%、94%、95%、95%、97%等、ならびに91.1%、91.2%、91.3%、91.4%、91.5%等、92.1%、92.2%、92.3%、92.4%、92.5%等々が含まれる。
【0132】
本発明は、肯定的表現を使用して多数の実施形態を説明することにより、本明細書に一般に開示される。本発明は、物質または材料、方法ステップおよび条件、プロトコル、手順、アッセイまたは分析等の、特定の内容が完全または部分的に除外される実施形態も特に含む。したがって、本発明は、本明細書において一般に本発明が含まないものという観点では表現されないが、発明に特に含まれるとされない態様であっても本明細書において開示されている。
【0133】
本発明の多数の実施形態を説明した。しかしながら、本発明の精神と範囲から逸脱することなく、様々な変更が行われうることが理解されよう。したがって、以下の実施例は、請求項に記載される本発明の範囲を制限することではなく、説明することを目的としたものである。
【実施例】
【0134】
(実施例1)
この実施例は、様々な材料および方法の記載を含む。
【0135】
腫瘍細胞上のLIGHTのビオチンベースの固定化:LIGHTで装飾された癌細胞の構築の略図(図12)により、手順が三つの連続したステップ:(i)癌細胞のビオチン化、(ii)可溶性LIGHTのビオチン化、および(iii)ビオチン化癌細胞上の可溶性LIGHTの固定化、を伴うことが示される。手順の全体で、無菌技術が必要である。
【0136】
癌細胞のビオチン化:癌細胞のソースは、多様な悪性組織から腫瘍切除の後に精製されうる(Greiner等、J Lab Clin Med 109:244(1987);およびO’Brien等、Cytometry 28:81(1997)。本調製においては、EL4細胞を使用した。50×10のEL4細胞が、氷冷ダルベッコリン酸緩衝液生食水(PBS)pH8.0(Invitrogen Corporation,USA;Cat.#14190―144)で3回洗浄されて、組織培養液から混在タンパク質が除去された。細胞は、2つのチューブに等分され(25×10細胞/チューブ)、1mlのPBS(pH8.0)に再懸濁された。市販のビオチン化試薬、NHS―PEO4―Biotin(Pierce、イリノイ州、USA;Cat.#21329)が、この標識反応で使用された。使用の直前に、200μlの超高純度蒸留水(Invitrogen Corporation,cat.#10977―015)が、2mgのNHS―PEO4―Biotinに加えられ、50μlのNHS―PEO4―Biotin溶液が、25×10のEL4細胞を含む各チューブに加えられた。サンプルは、5分毎に断続的に混合しながら、30分間室温でインキュベートされた。それから、細胞が、1mlの冷えたPBS(pH8.0)で3回洗浄されて、未反応ビオチン化試薬が除去された。調製されたEL4細胞は、氷上で1%ホルマリンで30分間固定され(Protocol(商標),USA;Cat.#245―684)、1.2mlの氷冷PBS(pH 7.4)で4回洗浄され、4℃で貯蔵された。
【0137】
可溶性LIGHTのビオチン化:精製された可溶性ヒトLIGHT(LIGHTt66、濃度=PBS中0.262mg/ml、pH8.0)が、ビオチン標識反応において使用された(Rooney等、J.Biol.Chem.275:14307(2000))。使用の直前に、200μlの超高純度蒸留水(Invitrogen)が、2mgのNHS―PEO4―Biotinに加えられ、3.7mlのNHS―PEO4―Biotin溶液が、LIGHTt66に加えられた。サンプルは、氷上で2時間インキュベートされた。その後、42μlの1Mトリス(pH8.0)(Fisher Scientific,USA;Cat.#BPl54―1)が加えられて、反応が止められた。サンプルは、バッファーを三回交換して1リットルのPBSに対して透析された。ビオチン化されたLIGHTt66は、0.22mmのMillex―GVフィルタを通してろ過することにより滅菌され(Millipore、アイルランド、Cat.#SLGV004SL)、小アリコートに再分割され、−80℃で貯蔵された。
【0138】
ビオチン化癌細胞上の可溶性LIGHTの固定化:ビオチン化されホルマリン固定されたEL4細胞(30×10)が、本調製において使用された。細胞が、1mlのPBS(pH7.4)に再懸濁され、10μg/mlのNeutravidin(商標)(Pierce;Cat.#31000)とともに30分間インキュベートされた。細胞は、1mlの氷冷PBS(pH 7.4)で4回洗浄されて、遊離Neutravidin(商標)が除去された。それから、細胞は、ビオチン化LIGHTt66(1μg/ml)とともに45分インキュベートされ、1mlの氷冷PBS(pH7.4)で3回洗浄されて、取り込まれていないLIGHTが除去された。調製された細胞は、滅菌PBS(40×10細胞/ml)に再懸濁され、in vivo抗腫瘍研究のために4℃で貯蔵された。
【0139】
(実施例2)
本実施例は、腫瘍細胞の表面上のLIGHTの発現による、腫瘍成長の抑制を表わすデータを示す。
【0140】
LIGHTを介した腫瘍拒絶の効力を分析するために、EL4腫瘍モデルが使用された。EL4は、C57/BL6(B6)マウスに由来するマウス胸腺腫癌細胞系統である。EL4細胞が、同種B6マウスに皮下注射されると、5〜7日で固形腫瘍ができ、典型的に15〜20日で致死的腫瘍に進行する。潜在的免疫療法としてのヒトLIGHTが、使用された。LIGHTを安定発現するEL4細胞系統が、組換えレトロウィルスを使用して作製された。EL4細胞を発現するヒトLIGHT(EL4―LIGHT)が、同種B6マウスに皮下注射され、腫瘍の成長がモニタされた。15〜20日の時間枠で達成された平均腫瘍サイズは、コントロール(7.5cm)とテスト群の間で有意に異なった(p<0.05)(図1A)。コントロールの空ベクター(EL4―V)が形質導入されたEL4細胞を注射したマウスにおいては、大きな腫瘍が成長した。これに対して、EL4―LIGHT細胞が注射されたマウスでは、腫瘍は成長せず、したがって拒絶された。この結果は、マウス腫瘍細胞に発現されたヒトLIGHTが抗腫瘍反応を誘導したことを示す。
【0141】
非修飾EL4細胞が、LIGHT―発現EL4細胞の存在下で成長するかを決定するために、等しい数のEL4―VおよびEL4―LIGHT細胞が、同じマウスに別々に注射された。EL4―V細胞が、コントロールとして使用された(図1B)。EL4―V細胞が注射されたマウスにおいては、腫瘍が速やかに成長した。混注群では、LIGHT発現EL4細胞の存在が、非LIGHT発現EL4腫瘍の拒絶を遠位で誘発し、腫瘍拒絶の全身的効果が示された。この結果は、二つの理由で重要である。第一に、このことは、LIGHTを有さないEL4―V細胞も拒絶されたことから、腫瘍拒絶がヒトタンパク質の存在によるものではなかったことを示す。第二に、結果は、EL4細胞発現LIGHTが、EL4腫瘍に対する全身反応を媒介できることを示した。
【0142】
(実施例3)
本実施例は、抗腫瘍反応の刺激におけるLIGHTアイソフォームの効果を示す。
【0143】
ヒトおよびマウスにおいては、主なLIGHTのアイソフォームが少なくとも三つ存在する(膜LIGHT、可溶性LIGHTおよびLIGHTΔTM)(Granger等、J Immunol 167:5122(2001)。膜LIGHTは、膜貫通アンカーを伴うLIGHTの完全長型である。膜LIGHTは、可溶型に変化(細胞の外側のタンパク質分解的切断)でき、LIGHTの第三のアイソフォームは、代替的スプライシングにより、膜貫通領域の欠失を生成することにより、形成される(LIGHTΔTM)。LIGHTΔTMは膜貫通領域を欠き、サイトソルに配置される。
【0144】
これらのLIGHTの他のアイソフォームが、抗腫瘍反応を誘導するかを決定するために、組換えレトロウィルスを用いて、LIGHTの可溶型(EL4―LIGHTt66)およびLIGHTΔTM(EL4―LIGHTΔTM)を安定発現するEL4細胞系統が作製された。これらの細胞系統が、二つのマウス群に注射され、腫瘍の増殖がモニタされた。結果(図2A)は、可溶性LIGHTまたはLIGHTΔTMを発現する細胞が、抗腫瘍反応を誘導できなかったことを証明する。
【0145】
可溶性LIGHTが、EL4―LIGHTを介した腫瘍拒絶を損なうか決定するために、EL4―LIGHTおよびEL4―LIGHTt66の混合物が、B6マウスに注射され、腫瘍成長がモニタされた(図2B)。EL4―LIGHT細胞が注射されたマウスは、腫瘍成長の完全消失を示した。これに対して、EL4―LIGHTおよびEL4―可溶性LIGHTの両方が注射されたマウスでは、腫瘍が速やかに成長した。したがって、可溶性LIGHTは、LIGHTに依存する抗腫瘍反応を損なった。これらの結果は、膜結合LIGHTが、LIGHTを介した抗腫瘍活性に必須であることを示す。
【0146】
(実施例4)
本実施例は、ビオチンベースのタンパク質固定化系の記載を含む。
【0147】
ヒトにおけるウィルスおよび細菌ベースのベクター送達系は、安全性の問題が内在する。ベクターベースの送達系のこれらの内在的問題を迂回するために、ベクターに関わらない生化学ベースのアプローチが、機能的LIGHTを腫瘍細胞の表面に付着させるために、開発された。手順は、化学(ビオチン)結合を用いて、事実上任意の細胞表面上に可溶タンパク質を安定してディスプレイするための固定化系である。この方法(図3AおよびBに示される)は、精製された組み換え発現可溶性LIGHT(LIGHTt66)(Rooney,等,J.Biol.Chem.275:14307(2000))およびEL4腫瘍細胞を免疫増強のため使用した。第一に、EL4細胞上の細胞表面タンパク質が、ビオチン化された。次に、可溶性LIGHT(LIGHTT66)もビオチン化された。ビオチン化された可溶性LIGHTが、四量体Neutriavidinの添加により、ビオチン化されたEL4細胞膜タンパク質に固定化された。ビオチンとNeutriavidinの間の結合が強力であるため、このビオチン―Neutriavidin―ビオチン複合体はin vivoで極めて安定している。
【0148】
固定化の効率を決定するために、LIGHTt66が、フローサイトメトリにより検出され、EL4―LIGHT細胞が、比較のために使用された。EL4細胞表面上の固定化された可溶性LIGHTが、抗体染色またはHVEM―Fc(3C図、E)により検出された。LIGHT、LTβR―FcおよびHVEM―Fcの代替レセプターが、記載のように調製された(Rooney等、Methods Enzymol 322:345(2000))。
【0149】
LIGHTで装飾されたEL4細胞(EL4―NA―LIGHTt66)の蛍光強度は、レトロウィルス形質導入EL4細胞(EL4―LIGHT)により発現されるレベルの27%であり(図3D)、本方法が、レトロウィルス形質導入と同等にLIGHTを細胞膜に送達できることを示した。結果は、このビオチンベースの固定化系が、精製されたLIGHTを腫瘍細胞等の細胞表面に付着させる有効な方法であることを示す。したがって、このビオチンベースの固定化系は、LIGHT等の生物学的に活性のLTベータレセプターアゴニストが腫瘍細胞表面に付着または連結されうる例となる。このビオチンベースの細胞膜固定化系は、細胞が動物に投与された時の腫瘍細胞に対する免疫反応を増強するために、LIGHT等のLTベータレセプターアゴニストで腫瘍細胞を修飾するための、実行可能な非ベクターベースの代替物である。
【0150】
(実施例5)
本実施例は、LIGHTが細胞膜に付着、接合または連結されたEL4細胞による、腫瘍成長の抑制を示すデータを含む。
【0151】
癌ワクチンとして機能するLIGHTで装飾された細胞の能力を確認するために、癌ワクチンとしてのLIGHT接合EL4細胞の効力を評価するためのプロトコルが設計された(図4A)。二つのマウス群に、LIGHTt66(EL4―NA―LIGHTt66)に接合されたかNeutravidin(EL4―NA)に接合された、ホルマリン固定されたEL4細胞が注射された。典型的なワクチンの戦略と同様に、免疫反応を生成するために、生EL4腫瘍細胞の注射の14日前に、マウスに、EL4―NA―LIGHTt66またはEL4―NA細胞が注射された。LIGHTで装飾されたEL4細胞による液性免疫の誘発を検査するために、免疫前および免疫後血清が、各マウス群から集められ、非修飾EL4細胞を用いたフローサイトメトリにより、抗EL4抗体活性がテストされた(図4B)。EL4―NA細胞がワクチン接種されたマウスは、検出可能な抗EL4活性を生成しなかった。これに対して、EL4―NA―LIGHTが注射された5匹のマウスのうちの3匹の血清において抗EL4抗体活性が検出され、LIGHTで装飾されたEL4細胞による免疫化が、EL4抗原に対する抗体反応を誘発したことが示された。
【0152】
免疫増強ワクチンとしてのLIGHTで装飾された細胞の能力を確認するために、EL4細胞が各群に注射され、腫瘍成長がモニタされた。LIGHTt66で装飾されたEL4細胞で免疫化されたマウスには、腫瘍成長率の有意な減少がみられた(図4C)。これらのデータは、LIGHTで装飾されたEL4細胞による免疫化が、腫瘍発達を阻害する、EL4腫瘍に対する免疫反応を生成することを示す。
【0153】
(実施例6)
本実施例は、LIGHTが細胞膜に付着、接合または連結されたEL4細胞による、原発腫瘍成長の抑制を示すデータを含む。
【0154】
原発腫瘍の成長を阻害する、LIGHTで装飾されたEL4細胞の能力を評価するために、EL4細胞が、マウスに皮下注射され、定着腫瘍が予め形成されるように、細胞が増殖させられた。それから、ホルマリン固定されたEL4―NA―LIGHT細胞が、腫瘍エリアに注射され、もう16日間腫瘍成長がモニタされた(図5A)。ホルマリン固定されたEL4―NAが、コントロールとして使用された。
【0155】
EL4―NA―LIGHT細胞が注射されたマウスは、EL4―NAコントロールと比較して、腫瘍成長の減少を示した。これらの結果は、定着腫瘍の増殖を抑制する、LIGHT―装飾されたEL4細胞の効力を示す。したがって、LIGHT等のLTベータレセプターアゴニストが付着、接合または連結された腫瘍細胞は、定着腫瘍の治療としても有用である(図5B)。
【0156】
(実施例7)
本実施例は、LIGHTを介した抗腫瘍反応のためのレセプターの必要を示すデータを含む。
【0157】
LIGHTを介した抗腫瘍反応の分子的洞察を得るために、LIGHTを介した抗腫瘍活性のためのレセプターの必要性が評価された。LIGHTは、2つのシグナリングレセプター、HVEMおよびLTβRと相互作用しうる。これらの二つのレセプターのいずれがLIGHTを介した抗腫瘍反応に必要かを決定するために、LTβRおよびHVEMノックアウト(KO)マウスにおける腫瘍拒絶の分析が実行された。
【0158】
HVEM KOマウスにおいては、EL4―LIGHT細胞が拒絶され(図6A)、HVEMがLIGHTを介した抗腫瘍反応に必須でないことが示唆された。後にこれらのマウスが親EL4細胞に曝露されると、腫瘍はできなかった。これに対して、LTβR KOマウスでは、EL4腫瘍は拒絶されず、LTβRによるLIGHTシグナリングが、LIGHTを介した抗腫瘍活性に関与することが示された(図6B)。
【0159】
(実施例8)
本実施例は、LIGHTが腫瘍環境においてCCL21産生を刺激することを示すデータを含む。
【0160】
EL4―LIGHT細胞は、TおよびB細胞を欠くリコンビナーゼ活性化遺伝子―2(RAG2−/−)マウスに静脈内経路で注射されると、脾臓、肝臓および肺において検出された。腫瘍環境においてケモカインを刺激するLIGHTの能力を検査するために、EL4―LIGHT細胞が、RAG2−/−マウスに注射され、実時間RTPCRを用いたCCL21の検出のために脾臓が集められた(図7A)。EL4―LIGHTが注射されたマウスは、コントロールとしてEL4細胞が注射されたマウスと比較して、CCL21発現の2.5倍の増加を示した(図7B)。この結果は、腫瘍環境におけるLIGHTがTおよびB細胞の非存在下でCCL21産生を増加させることを示す。
【0161】
(実施例9)
本実施例は、LIGHTを介した抗腫瘍活性の機構を示すデータの議論を含む。
【0162】
LTβRは、LIGHT、LTβ、およびLTα1β2と相互作用する。LIGHT瞑想抗腫瘍活性に対する内因性LIGHT、LTβおよびLTαの寄与を検査するために、EL4―LIGHT細胞が、LTβRの細胞リガンドの一つ以上(LIGHT−/−LTβ−/−、LIGHT−/−、LTβ−/−、およびLTα−/−)を遺伝的に欠損するマウスに皮下注射された。
【0163】
LIGHT−/−およびLTβ−/−の両方を欠損するマウスにおいては、EL4―LIGHT腫瘍が拒絶されず、内因性LIGHTおよび/またはLTβがLIGHTを介した抗腫瘍活性に関与することが示唆された(図8A)。しかし、EL4―LIGHT細胞がLIGHT−/−マウスに注射されると、腫瘍は拒絶され、内因性LIGHTが腫瘍制御に必要ないことが示された。後にこれらのマウスが親EL4細胞に曝露されると、腫瘍はなお拒絶された(図8B)。
【0164】
リンホトキシンが腫瘍拒絶に関与するかを決定するために、EL4―LIGHT細胞が、LTβ−/−またはLTα−/−マウスに注射された(図8CおよびD)。LTβ欠損マウスは、EL4―LIGHT腫瘍を拒絶できず、LTβがLIGHTを介した抗腫瘍制御に関与することが示唆された。これに対して、LTα−/−マウスにおいては、拒絶のプロセスに、より長い時間が必要であったものの、EL4―LIGHT腫瘍が拒絶され、LTαがLIGHTを介した腫瘍制御に寄与しうるが必須でないことが示唆された。
【0165】
EL4―LIGHT細胞は、LTα−/−マウスに欠けている二次リンパ器官の非存在下で、抗腫瘍反応を誘導できた。さらに、LTα−/−マウスは、LTβR−/−(図6B)およびLTβ−/−(8C図)等、二次リンパ器官を欠く他の変異マウスの表現型コントロールとなった。後に非修飾EL4細胞に曝露された時にEL4―LIGHT腫瘍を拒絶したLIGHT−/−またはLTα−/−欠損マウスは、腫瘍形成を示さず(図8BおよびD)、これらのマウスは、5ヶ月以上腫瘍がないままでとどまり、治療によりEL4腫瘍に対する持続的メモリー応答が誘導されたことが示された。
【0166】
(実施例10)
本実施例は、TおよびBリンパ球におけるLTβの発現が、LIGHTを介した抗腫瘍活性に寄与することを示すデータを含む。
【0167】
LIGHTを介した腫瘍拒絶のための、細胞のLTβ発現の必要をさらに調査するために、T細胞(T―LTβ−/−)またはB細胞(B―LTβ−/−)のLTβが特異的に欠失した条件的ノックアウトマウスが宿主として用いられて、EL4―LIGHTの免疫刺激効果が検査された。EL4―LIGHT細胞が、T―LTβ−/−およびB―LTβ−/−マウスに皮下注射され、腫瘍成長が22日間モニタされた。TまたはB細胞のltβ欠損マウスは、EL4―LIGHT腫瘍を拒絶できなかった。このデータは、TまたはB細胞の両方のLTβ発現が、LIGHTを介した腫瘍拒絶に関与することを示す(図9)。
【0168】
(実施例11)
本実施例は、免疫療法を増強できるLIGHTの異型の記載を含む。
【0169】
ヒトの癌―免疫療法におけるLIGHTの効力は、ヒトの腫瘍に発現されるDcR3により、潜在的に悪影響を受ける。ヒトLIGHTの異型の一定の組み合わせにより、ヒトLTβRおよびヒトDcR3に対するその結合親和性が変更される。LIGHTサブユニットの組み合わせ(32L―214Eおよび32S―214K)により、LIGHTが、ヒトLIGHTの優勢型と比較して、ヒトLTβRに対する高親和性結合、しかしヒトDcR3に対する親和性の減少を達成しうる(図10および表1)。さらに、DcR3の存在下における、LIGHT32L―214E/32S―214Kのこのヘテロ三量体型とLTβRの間の相互作用が評価された。
【0170】
競合結合アッセイは、LIGHT―E214K(アミノ酸位214でのEからKへの変異)およびLIGHT―S32L(アミノ酸位32でのSからLへの変異)の組み合わせに対するLTβRの結合に対するDcR3―Fcの50%結合阻害濃度(IC50)は、LIGHTの優勢型(LIGHT32Sおよび214E、図11、配列番号1)より約2.5倍高いことを示した。特に、LIGHTの優勢型(配列番号1)と比較して、LIGHT―E214KおよびLIGHT―S32Lの組み合わせに対するLTβR―Fcの結合を阻害するために、DcR3―Fcの2.5倍高い濃度が必要だった。したがって、LIGHT―E214KおよびLIGHT―S32Lは、LTβRシグナリング系を活性化するための強力な試薬でありえた。
【0171】
したがって、LIGHT変異体32L―214E/32S―214K分子は、特に癌細胞等の免疫反応を増強する、より有効な形態であると考えられる。効力増強は、LTβRに対する高い結合活性と、DcR3に対する低い結合活性に起因する。DcR3は、様々な癌細胞に高度に発現されることが分かっているため、LIGHT変異体32L―214E/32S―214Kは、LIGHTとそのレセプターHVEMおよびLTβRとの間の相互作用に対するDcR3の阻害作用を最小限にする。さらに、上記のデータによりLTβRがLIGHTを介した抗腫瘍反応に寄与することが示されるため、LIGHT32L―214E/32S―214KのLTβRに対する高い結合活性は、LIGHTを介した抗腫瘍活性も増強しうる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
LTベータレセプターアゴニストが細胞の膜に付着、接合または連結された、細胞。
【請求項2】
前記LTベータレセプターアゴニストが、LIGHT(p30ポリペプチド)、LTアルファ1ベータ2、LTアルファ2ベータ1、LTベータまたはLTベータレセプター抗体を含む、請求項1に記載の細胞。
【請求項3】
前記細胞が、高増殖性細胞である、請求項1に記載の細胞。
【請求項4】
前記細胞が、腫瘍細胞、癌細胞、新生物性細胞または転移細胞である、請求項1に記載の細胞。
【請求項5】
前記細胞が、病原体感染細胞である、請求項1に記載の細胞。
【請求項6】
前記細胞が、腫瘍細胞または癌細胞抗原、新生物性細胞または転移細胞抗原、ウィルス抗原、細菌性抗原、真菌抗原、または寄生虫抗原より選択される抗原を発現する、請求項1に記載の細胞。
【請求項7】
前記LTベータレセプターアゴニストが、該LTベータレセプターアゴニストをコードする、前記細胞の核酸から発現されない、請求項1に記載の細胞。
【請求項8】
前記LTベータレセプターアゴニストが、前記細胞の膜上に存在する分子に付着、接合または連結される、請求項1に記載の細胞。
【請求項9】
前記細胞膜上の前記分子に対する前記LTベータレセプターアゴニストの結合が、共有結合または非共有結合を介する、請求項5に記載の細胞。
【請求項10】
前記分子が、ポリペプチドまたは炭水化物を含む、請求項1に記載の細胞。
【請求項11】
前記LTベータレセプターアゴニストが、中間分子へのLTベータレセプターアゴニストの共有結合または非共有結合を介して、細胞の膜に付着、接合または連結され、該中間分子が、該細胞膜上に存在する分子に共有結合または非共有結合する、請求項1に記載の細胞。
【請求項12】
前記中間分子が、第一部分と第二部分とを含む、請求項11に記載の細胞。
【請求項13】
前記第一部分が、ビオチンまたはビオチン誘導体を含む、請求項12に記載の細胞。
【請求項14】
前記第二部分が、アビジン、ニュートラアビジンまたはストレプトアビジン、またはその誘導体もしくはアミノ酸改変体を含む、請求項12に記載の細胞。
【請求項15】
前記細胞膜に対するLTベータレセプターアゴニストの結合が、アビジン、ニュートラアビジンまたはストレプトアビジン、またはその誘導体もしくはアミノ酸改変体に対する結合により生じ、該アビジン、ニュートラアビジン、ストレプトアビジン、その誘導体またはアミノ酸改変体が、該細胞膜上に存在する分子に結合される、請求項1に記載の細胞。
【請求項16】
前記細胞膜に対するLTベータレセプターアゴニストの結合が、該LTベータレセプターアゴニストを該細胞膜上の分子に架橋することにより生じる、請求項1に記載の細胞。
【請求項17】
前記細胞膜に対するLTベータレセプターアゴニストの結合が、該細胞膜上に存在する抗体に対する結合により生じる、請求項1に記載の細胞。
【請求項18】
LTベータレセプターアゴニストが、該LTベータレセプターアゴニストを前記細胞膜上の分子に架橋することにより、該細胞膜に結合する、請求項1に記載の細胞。
【請求項19】
前記LTベータレセプターアゴニストが、結合部分を含むキメラタンパク質を含む、請求項1に記載の細胞。
【請求項20】
前記LTベータレセプターアゴニストのキメラタンパク質の結合部分が、細胞膜上に存在する分子に結合するリガンド、レセプター、または抗体または抗体の部分配列を含む、請求項19に記載の細胞。
【請求項21】
前記LTベータレセプターアゴニストが、哺乳類のものである、請求項1に記載の細胞。
【請求項22】
前記LTベータレセプターアゴニストが、ヒトのものである、請求項1に記載の細胞。
【請求項23】
前記LIGHT(p30ポリペプチド)が、完全長アミノ酸配列を含む、請求項2に記載の細胞。
【請求項24】
前記LIGHT(p30ポリペプチド)が、LIGHTの細胞外アミノ酸配列を含む、請求項2に記載の細胞。
【請求項25】
前記LIGHT(p30ポリペプチド)が、配列番号1に記載される、LIGHTの細胞外アミノ酸配列を含む、請求項2に記載の細胞。
【請求項26】
前記LIGHT(p30ポリペプチド)が、LIGHTの可溶型を含む、請求項2に記載の細胞。
【請求項27】
前記LIGHT(p30ポリペプチド)が、配列番号2に記載されるLIGHTの可溶型を含む、請求項2に記載の細胞。
【請求項28】
前記LIGHT(p30ポリペプチド)が、LIGHTt66を含む、請求項2に記載の細胞。
【請求項29】
前記LIGHT(p30ポリペプチド)が、配列番号2として記載されるLIGHTt66を含む、請求項2に記載の細胞。
【請求項30】
前記LIGHT(p30ポリペプチド)が、天然野生型LIGHT(p30ポリペプチド)と比較して、DcR3(デコイレセプター3)に対する親和性の低減したLIGHT(p30ポリペプチド)アミノ酸配列を含む、請求項2に記載の細胞。
【請求項31】
前記LIGHT(p30ポリペプチド)が、天然野生型LIGHT(p30ポリペプチド)と比較して、LTβRまたはHVEMに対する親和性が高いLIGHT(p30ポリペプチド)アミノ酸配列を含む、請求項2に記載の細胞。
【請求項32】
前記LIGHT(p30ポリペプチド)が、天然野生型LIGHT(p30ポリペプチド)と比較して、LTβRまたはHVEMに対する親和性が高く、DcR3(デコイレセプター3)に対する親和性の低減したLIGHT(p30ポリペプチド)アミノ酸配列を含む、請求項2に記載の細胞。
【請求項33】
前記LIGHT(p30ポリペプチド)が、配列番号3〜10のいずれか一つより選択されるアミノ酸配列を含む、請求項2に記載の細胞。
【請求項34】
前記LTベータレセプターアゴニストに、ビオチンまたはビオチン誘導体が付着している、請求項1に記載の細胞。
【請求項35】
前記LTベータレセプターアゴニストが、該LTベータレセプターアゴニストをコードする、前記細胞の核酸から発現されない、請求項1に記載の細胞。
【請求項36】
前記細胞が、真核生物のものである、請求項1に記載の細胞。
【請求項37】
前記細胞が、哺乳類のものである、請求項1に記載の細胞。
【請求項38】
前記細胞が、ヒトのものである、請求項1に記載の細胞。
【請求項39】
前記細胞が、死んでいる、請求項1に記載の細胞。
【請求項40】
前記細胞が、生きている、請求項1に記載の細胞。
【請求項41】
請求項1〜40のいずれかに記載の細胞を含む、医薬製剤。
【請求項42】
高増殖性細胞、腫瘍細胞、癌細胞または転移細胞、または病原体感染細胞に対する免疫を促進、刺激、惹起または増大させる方法であり、LTベータレセプターアゴニストが該細胞膜に付着、接合または連結された細胞を、該高増殖性細胞、腫瘍細胞、癌細胞、転移細胞または病原体感染細胞に対する対象の免疫を促進、刺激、惹起または増大させるために有効な量、該対象に投与するステップを含む、方法。
【請求項43】
前記LTベータレセプターアゴニストが、LIGHT(p30ポリペプチド)、LTアルファ1ベータ2、LTアルファ2ベータ1、LTベータまたはLTベータレセプター抗体を含む、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記対象が、望ましくないかまたは異常な高増殖性細胞、腫瘍細胞、癌細胞、新生物性細胞または転移細胞、または病原体感染細胞を有する、請求項42に記載の方法。
【請求項45】
前記高増殖性細胞、腫瘍細胞、癌細胞、新生物性細胞または転移細胞または病原体感染細胞が、造血細胞を含む、請求項43に記載の方法。
【請求項46】
前記高増殖性細胞、腫瘍細胞、癌細胞、新生物性細胞または転移細胞が、脳、皮膚、鼻咽腔、頭部、頸部、肺、甲状腺、腎臓、肝臓、膵臓、胃、腸、結腸、直腸、膀胱、卵巣、子宮、乳房、前立腺、骨、膣、または陰茎より選択される組織または臓器の細胞である、請求項43に記載の方法。
【請求項47】
望ましくないかまたは異常な高増殖性細胞、腫瘍細胞、癌細胞、新生物性細胞、転移細胞、または病原体感染細胞について対象を治療する方法であり、該方法は、LTベータレセプターアゴニストが細胞膜に付着、接合または連結された細胞を、該対象の望ましくないかまたは異常な高増殖性細胞、腫瘍細胞、癌細胞、新生物性細胞、転移細胞、または病原体感染細胞を治療するために有効な量、該対象に投与するステップを含む、方法。
【請求項48】
前記LTベータレセプターアゴニストが、LIGHT(p30ポリペプチド)、LTアルファ1ベータ2、LTアルファ2ベータ1、LTベータまたはLTベータレセプター抗体を含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記治療が、前記高増殖性細胞、腫瘍細胞、癌細胞、新生物性細胞、転移細胞、または病原体感染細胞の転移、増殖または数を低減または減少するか、あるいは該高増殖性細胞、腫瘍細胞、癌細胞、新生物性細胞、転移細胞、または病原体感染細胞の数の増加または転移を阻害または防止するか、あるいは該高増殖性細胞、腫瘍細胞、癌細胞、新生物性細胞、転移細胞、または病原体感染細胞の数を安定化する、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
前記高増殖性細胞、腫瘍細胞、癌細胞、新生物性細胞、転移細胞、または病原体感染細胞が、造血細胞を含む、請求項47に記載の方法。
【請求項51】
前記高増殖性細胞、腫瘍細胞、癌細胞、新生物性細胞または転移細胞が、脳、皮膚、鼻咽腔、頭部、頸部、肺、甲状腺、腎臓、肝臓、膵臓、胃、腸、結腸、直腸、膀胱、卵巣、子宮、乳房、前立腺、骨、膣、または陰茎の細胞を含む、請求項47に記載の方法。
【請求項52】
前記腫瘍または癌が、肉腫、癌腫、黒色腫、リンパ腫、白血病、または骨髄腫を含む、請求項47に記載の方法。
【請求項53】
前記対象が、哺乳類である、請求項42〜52のいずれかに記載の方法。
【請求項54】
前記対象が、ヒトである、請求項42〜52のいずれかに記載の方法。
【請求項55】
前記LTベータレセプターアゴニストが、哺乳類のものである、請求項47に記載の方法。
【請求項56】
前記LTベータレセプターアゴニストが、ヒトのものである、請求項47に記載の方法。
【請求項57】
前記LIGHT(p30ポリペプチド)が、完全長アミノ酸配列を含む、請求項48に記載の方法。
【請求項58】
前記LIGHT(p30ポリペプチド)が、LIGHTの細胞外アミノ酸配列を含む、請求項48に記載の方法。
【請求項59】
前記LIGHT(p30ポリペプチド)が、配列番号1に記載される、LIGHTの細胞外アミノ酸配列を含む、請求項48に記載の方法。
【請求項60】
前記LIGHT(p30ポリペプチド)が、LIGHTの可溶型を含む、請求項48に記載の方法。
【請求項61】
前記LIGHT(p30ポリペプチド)が、配列番号2に記載される、LIGHTの可溶型を含む、請求項48に記載の方法。
【請求項62】
前記LIGHT(p30ポリペプチド)が、LIGHTt66を含む、請求項48に記載の方法。
【請求項63】
前記LIGHT(p30ポリペプチド)が、配列番号2として記載されるLIGHTt66を含む、請求項48に記載の方法。
【請求項64】
前記LIGHT(p30ポリペプチド)が、天然野生型LIGHT(p30ポリペプチド)と比較して、DcR3(デコイレセプター3)に対する親和性の低減したLIGHT(p30ポリペプチド)アミノ酸配列を含む、請求項48に記載の方法。
【請求項65】
前記LIGHT(p30ポリペプチド)が、天然野生型LIGHT(p30ポリペプチド)と比較して、LTβRまたはHVEMに対する親和性が高いLIGHT(p30ポリペプチド)アミノ酸配列を含む、請求項48に記載の方法。
【請求項66】
前記LIGHT(p30ポリペプチド)が、天然野生型LIGHT(p30ポリペプチド)と比較して、LTβRまたはHVEMに対する親和性が高く、DcR3(デコイレセプター3)に対する親和性の低減したLIGHT(p30ポリペプチド)アミノ酸配列を含む、請求項48に記載の方法。
【請求項67】
前記LIGHT(p30ポリペプチド)が、配列番号3〜10のいずれか一つより選択されるアミノ酸配列を含む、請求項48に記載の方法。
【請求項68】
前記LIGHT(p30ポリペプチド)に、ビオチンまたはビオチン誘導体が付着している、請求項48に記載の方法。
【請求項69】
前記細胞が、腫瘍細胞または癌細胞抗原、新生物性細胞または転移細胞抗原、ウィルス抗原、細菌性抗原、真菌抗原、または寄生虫抗原より選択される抗原を発現する、請求項47に記載の方法。
【請求項70】
前記LTベータレセプターアゴニストが、該LTベータレセプターアゴニストをコードする、前記細胞の核酸から発現されない、請求項47に記載の方法。
【請求項71】
前記細胞が、真核生物のものである、請求項47に記載の方法。
【請求項72】
前記細胞が、哺乳類のものである、請求項47に記載の方法。
【請求項73】
前記細胞が、ヒトのものである、請求項47に記載の方法。
【請求項74】
前記細胞が、死んでいる、請求項47に記載の方法。
【請求項75】
前記細胞が、生きている、請求項47に記載の方法。
【請求項76】
LTベータレセプターアゴニストが細胞の膜に付着、接合または連結された細胞を作製する方法であり、
(a)細胞と中間分子との間の結合を許容する条件下で、該細胞を該中間分子と接触させるステップと;
(b)該中間分子とLTベータレセプターアゴニストとの間の結合を許容する条件下で、該細胞を該LTベータレセプターアゴニストと接触させ、これにより該細胞の膜にLTベータレセプターアゴニストが付着、接合または連結された細胞を生成するステップと
を含む、方法。
【請求項77】
前記LTベータレセプターアゴニストが、LIGHT(p30ポリペプチド)、LTアルファ1ベータ2、LTアルファ2ベータ1、LTベータまたはLTベータレセプター抗体を含む、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記細胞が、腫瘍細胞または癌細胞抗原、新生物性細胞または転移細胞抗原、ウィルス抗原、細菌性抗原、真菌抗原、または寄生虫抗原より選択される抗原を発現する、請求項76に記載の方法。
【請求項79】
前記LTベータレセプターアゴニストが、該LTベータレセプターアゴニストをコードする、前記細胞の核酸から発現されない、請求項76に記載の方法。
【請求項80】
前記細胞が、高増殖性細胞、腫瘍細胞、癌細胞、新生物性細胞、転移細胞または病原体感染細胞である、請求項76に記載の方法。
【請求項81】
前記LTベータレセプターアゴニストが、前記細胞膜上に存在する分子に付着、接合または連結される、請求項76に記載の方法。
【請求項82】
前記分子が、ポリペプチドまたは炭水化物を含む、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
前記LTベータレセプターアゴニストが、共有結合または非共有結合により前記細胞膜に付着、接合または連結される、請求項76に記載の方法。
【請求項84】
ステップa)が、前記細胞を第一部分と接触させた後に第二部分と接触させ、これにより、該細胞に結合された第一部分と、該第一部分に結合された第二部分とを含む分子を生成するステップを含む、請求項76に記載の方法。
【請求項85】
前記第一部分が、ビオチンまたはビオチン誘導体を含む、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
前記第二部分が、アビジン、ニュートラアビジンまたはストレプトアビジン、またはその誘導体もしくはアミノ酸改変体を含む、請求項84に記載の方法。
【請求項87】
前記細胞が、腫瘍細胞または癌細胞抗原、新生物性細胞または転移細胞抗原、ウィルス抗原、細菌性抗原、真菌抗原または寄生虫抗原より選択される抗原を発現する、請求項76に記載の方法。
【請求項88】
前記LTベータレセプターアゴニストが、該LTベータレセプターアゴニストをコードする、前記細胞の核酸から発現されない、請求項76に記載の方法。
【請求項89】
前記細胞膜に対するLTベータレセプターアゴニストの結合が、アビジン、ニュートラアビジンまたはストレプトアビジン、またはその誘導体もしくはアミノ酸改変体に対する結合により生じ、該アビジン、ニュートラアビジン、ストレプトアビジン、その誘導体またはアミノ酸改変体が、該細胞膜上に存在する分子タンパク質に結合される、請求項76に記載の方法。
【請求項90】
前記細胞膜に対するLTベータレセプターアゴニストの結合が、該LTベータレセプターアゴニストを該細胞膜上の分子に架橋することにより生じる、請求項76に記載の方法。
【請求項91】
前記細胞膜に対する前記LTベータレセプターアゴニストの結合が、該細胞膜上に存在する抗体に対する結合により生じる、請求項76に記載の方法。
【請求項92】
LTベータレセプターアゴニストが、該LTベータレセプターアゴニストを前記細胞膜上の分子に架橋することにより、該細胞膜に結合する、請求項76に記載の方法。
【請求項93】
前記LTベータレセプターアゴニストが、結合部分を含むキメラタンパク質を含む、請求項76に記載の方法。
【請求項94】
前記LTベータレセプターアゴニストのキメラタンパク質の結合部分が、細胞膜上に存在する分子に結合するリガンド、レセプター、または抗体または抗体の部分配列を含む、請求項76に記載の方法。
【請求項95】
前記LTベータレセプターアゴニストが、哺乳類のものである、請求項76に記載の方法。
【請求項96】
前記LTベータレセプターアゴニストが、ヒトのものである、請求項76に記載の方法。
【請求項97】
前記LIGHT(p30ポリペプチド)が、完全長アミノ酸配列を含む、請求項77に記載の方法。
【請求項98】
前記LIGHT(p30ポリペプチド)が、LIGHTの細胞外アミノ酸配列を含む、請求項77に記載の方法。
【請求項99】
前記LIGHT(p30ポリペプチド)が、配列番号1に記載される、LIGHTの細胞外アミノ酸配列を含む、請求項77に記載の方法。
【請求項100】
前記LIGHT(p30ポリペプチド)が、LIGHTの可溶型を含む、請求項77に記載の方法。
【請求項101】
前記LIGHT(p30ポリペプチド)が、配列番号2に記載される、LIGHTの可溶型を含む、請求項77に記載の方法。
【請求項102】
前記LIGHT(p30ポリペプチド)が、LIGHTt66を含む、請求項77に記載の方法。
【請求項103】
前記LIGHT(p30ポリペプチド)が、配列番号2として記載される、LIGHTt66を含む、請求項77に記載の方法。
【請求項104】
前記LIGHT(p30ポリペプチド)が、天然野生型LIGHT(p30ポリペプチド)と比較して、DcR3(デコイレセプター3)に対する親和性の低減したLIGHT(p30ポリペプチド)アミノ酸配列を含む、請求項77に記載の方法。
【請求項105】
前記LIGHT(p30ポリペプチド)が、天然野生型LIGHT(p30ポリペプチド)と比較して、LTβRまたはHVEMに対する親和性が高いLIGHT(p30ポリペプチド)アミノ酸配列を含む、請求項77に記載の方法。
【請求項106】
前記LIGHT(p30ポリペプチド)が、天然野生型LIGHT(p30ポリペプチド)と比較して、LTβRまたはHVEMに対する親和性が高く、DcR3(デコイレセプター3)に対する親和性の低減したLIGHT(p30ポリペプチド)アミノ酸配列を含む、請求項77に記載の方法。
【請求項107】
前記LIGHT(p30ポリペプチド)が、配列番号3〜10のいずれか一つより選択されるアミノ酸配列を含む、請求項77に記載の方法。
【請求項108】
前記LTベータレセプターアゴニストに、ビオチンまたはビオチン誘導体が付着している、請求項76に記載の方法。
【請求項109】
前記細胞が、真核生物のものである、請求項76に記載の方法。
【請求項110】
前記細胞が、哺乳類のものである、請求項76に記載の方法。
【請求項111】
前記細胞が、ヒトのものである、請求項76に記載の方法。
【請求項112】
前記細胞が、死んでいる、請求項76に記載の方法。
【請求項113】
前記細胞が、生きている、請求項76に記載の方法。
【請求項114】
配列番号3〜10のいずれか一つ、またはその部分配列より選択される、単離または精製されたLIGHT(p30ポリペプチド)アミノ酸配列。
【請求項115】
前記LIGHT(p30ポリペプチド)アミノ酸配列またはその部分配列が、LTベータレセプターまたはHVEMに対する親和性または結合活性が増加しているかまたは高く、あるいはデコイレセプター3(DcR3)に対する結合親和性または結合活性が低減しているか低い、請求項114に記載の単離または精製されたLIGHT(p30ポリペプチド)アミノ酸配列。
【請求項116】
配列番号3〜10のいずれか一つ、またはその部分配列より選択される、LIGHT(p30ポリペプチド)アミノ酸配列をコードする核酸。
【請求項117】
野生型天然LIGHT配列に対してではなく、配列番号3〜10のいずれか一つ、またはその部分配列より選択されるLIGHT(p30ポリペプチド)アミノ酸配列をコードする核酸に対して、ハイブリダイズするか相補的である、核酸。
【請求項118】
前記野生型天然LIGHT配列が、配列番号1を含む、請求項117に記載の核酸。
【請求項119】
配列番号3〜10のいずれか一つ、またはその部分配列より選択されるLIGHT(p30ポリペプチド)アミノ酸配列をコードする核酸を含む、ベクター。
【請求項120】
発現ベクターを含む、請求項119に記載のベクター。
【請求項121】
配列番号3〜10のいずれか一つより選択されるLIGHT(p30ポリペプチド)アミノ酸配列を発現する、形質転換細胞。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10−1】
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【図10−2】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【公表番号】特表2010−508020(P2010−508020A)
【公表日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−534671(P2009−534671)
【出願日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際出願番号】PCT/US2007/022711
【国際公開番号】WO2008/051612
【国際公開日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【出願人】(506400948)ラ ホヤ インスティテュート フォア アラージー アンド イムノロジー (4)
【Fターム(参考)】