説明

LNG再ガス化と統合された発電のための構造及び方法

LNG冷熱は、パワー出力を増加させるため複合発電プラントの複数のサイクルで使用される。特に、好ましいプラント構造は、複合サイクル発電プラントを、第1のステージにおいてLNG冷熱がオープンパワーサイクル又はクローズパワーサイクルで冷却を行う再ガス化工程と統合する。より好ましくは、LNGの大部分が第1のステージにおいて気化される。第2のステージにおいて、LNG冷熱は、スチームパワータービンへの冷却水を冷却するため使用される熱伝達媒体を冷却し、発電プラント内の燃焼タービンの吸気冷却器を冷却する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2004年7月14日に出願された、参照により全文が本明細書に取り込まれる、出願番号が第60/588,275号である米国特許仮出願の優先権を主張する。
【0002】
本発明の分野は、液体天然ガス(LNG)を使用する発電であり、特に、本発明は、LNG再ガス化設備における発電、及び/又は、複合サイクル発電プラントへの統合に関係する。
【背景技術】
【0003】
米国は数十年間に亘ってエネルギーキャリアとして原油を輸入しているが、天然ガス需要は主に国内供給業者から満たされている。しかし、天然ガスの国内供給は、工業的消費者、居住消費者、及び/又は、電気事業消費者からの需要増加のために減少し始めている。この状況は、旧来の発電プラントの新しい「クリーン燃焼」天然ガス発電プラントへの交換によりさらに悪化している。その結果、LNG輸入は、経済的に魅力が増し始め、既存のLNG再ガス化設備が今や拡大されているのと同時に、新しい再ガス化設備が追加されている。従来型のLNG再ガス化設備は、典型的に、オープンラック式海水気化器、液中燃焼式気化器、(たとえば、グリコール−水の混合物を使用する)中間的な流体気化器、又は、外気気化器のような外部熱源を必要とする。LNG気化は、比較的エネルギー集約型プロセスであり、典型的に、LNG中のエネルギー含有量の約3%の熱エネルギーを必要とする。
【0004】
複合サイクル発電プラントは、発電するためにスチームタービンとガスタービンの両方を使用し、一般的に、ガス又はスチームだけのプラントよりも高いエネルギー変換効率を達成する。発電プラントは、Mandrinによる米国特許第4,036,028号明細書及びGriepentrogによる米国特許第4,231,226号明細書それぞれに記載されているように、LNG再ガス化と結合されてもよい。類似した構造が、Kellerによる米国特許出願公開第2003/0005698号明細書と、Johnsonらによる欧州特許第0683847号明細書及び欧州特許第0828925号明細書と、Kellerによる国際公開第02/097252号パンフレットと、Johnsonによる国際公開第95/16105号パンフレット及び国際公開第96/38656号パンフレットで報告されている。このような知られた構造では、LNGの再ガス化のための熱は、タービン排気又は複合サイクル発電プラントと熱交換する熱交換流体によって供給される。
【0005】
上記の構造の一部はLNG再ガス化のエネルギー消費を削減するが、発電効率の増加は多くの場合に大きくない。なおさらに、まだ他にも困難なことはあるが、これらの構造の一部における熱伝達は熱伝達媒体の凝固点によって制限される。その上、LNGの冷却内容物は少なくともある程度まで利用されるが、電力又はその他のパワーはこのような構造から取り出されない。
【0006】
欧州特許第0496283号明細書に記載されているように、さらなる知られている構造では、パワーは、ガスタービン排気によって加熱され、LNG再ガス化回路によって冷却される作動流体(ここでは、水)によって駆動されるスチーム膨張タービンによって発生される。このような構造はプラントの効率を少なくともある程度まで増大するが、いくつかの問題が残る。たとえば、水又は水とグリコールの混合物の凝固点は比較的高いので、LNGの極低温冷却内容物は典型的に使用されない。高い凝固温度に関連した困難を解決するため、水を含有しない流体がランキン(Rankine)サイクル発電における作動流体として利用される。このような構造は、流体がバッチ蒸留サイクルにおいて動作する蒸留塔によって供給されている、Matsumoto及びAokiによる米国特許第4,388,092号明細書に例示されている。しかし、このようなバッチシステムの操作は困難であり、かつ、複雑である。その上、このようなランキンサイクルプロセスの大半は、LNG再ガス化において全温度範囲を利用できない。Makによる欧州特許第0009387号明細書、Mintaによる国際公開第99/50536号パンフレット、又は、Bowenによる国際公開第99/50539号パンフレットに記載されているようなさらなるクローズサイクル動作では、クローズサイクルプロセスは、パワーを生産するため、LNG又はPLNG中の冷熱内容物を利用する。このような概念的に比較的単純なプロセスは、LNG冷熱から少なくともある程度のエネルギーを供給するが、上記の欠点に類似した種々の欠点が残る。
【0007】
LNGが典型的により低い発熱量で典型的に希薄LNGに処理される場合に、LNGは、J.Makによって国際公開第2004/109180号パンフレット及び国際公開第2004/109206号パンフレットに記載されているように、蒸留プロセス内のオープンサイクルで作動流体として使用される。このような構造では、フラッシュLNGの一部分が圧力をかけるため送り込まれ、冷熱の大部分が抽出された後に膨張する。このように膨張したLNGは、次に処理のため脱メタン化器へ供給される。このようなプロセスは、典型的に、パワー副産物を伴う希薄LNGの生産においてかなりのエネルギー節約を行う。さらに、これらのプロセスは、濃厚LNGからの比較的純粋なエタンとより重い炭化水素成分の生産もまた可能にする。しかし、このような構造は、典型的に、名目的な発電要件を伴うLNGプロセシングに限定され、LNG再ガス化設備内の発電におけるLNG冷熱の完全利用には役立たない。
【0008】
したがって、LNG利用及び再ガス化の多数のプロセス及び構造が技術的に知られているが、それらの全部、殆ど全部は一つ以上の不利な問題がある。よって、LNG利用及び再ガス化のための改良された構造及び方法を提供することが依然として必要とされている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、LNG中の冷却内容物が複合パワー生産設備の複数のステージにおいて発電を行い、及び/又は、発電を増加させるために利用されるプラント内でLNGを処理する構造及び方法を対象とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の本旨の一態様において、発電プラントは、LNGを受け入れ、作動流体を冷却し、それによって、加熱されたLNGを発生するように構成された第1の熱交換器を有する。膨張器がさらに設けられ、作動流体を受け入れ、発電機を駆動するように構成される。第2の熱交換器は、加熱されたLNGを受け入れ、熱伝達媒体流体を冷却し、それによって、気化されたLNGを発生するように構成される。意図されたプラントは、熱伝達媒体を受け入れ、それぞれ吸気冷却器及びスチームタービンサイクルを冷却するように構成された第3及び第4の熱交換器をさらに含む。
【0011】
作動流体はクローズサイクル内で循環させられ、好ましくは、多成分作動流体からなることに注意すべきである。典型的に、第1の熱交換器は、加熱されたLNGが少なくとも部分的に気化されるように構成される。意図されたプラントにおける熱伝達媒体に関しては、一般的に、媒体はグリコール−水混合物を含むことが好ましい。第1の熱交換器中のLNGは、好ましくは、約−250°F〜約−50°Fの温度を有し、第2の熱交換器中のLNGは、好ましくは、約−50°F〜約40°Fの温度を有する。クローズサイクルを伴う構造では、典型的に、好ましくは、LNGは、LNGが第1の熱交換器へ入る前に、パイプライン圧力まで送り込まれる。所望に応じて、意図されたプラントは、吸気冷却器から燃料ガス加湿器へ凝縮水を供給する凝縮水ラインを備える。
【0012】
或いは、作動流体は、オープンパワー生産サイクルを形成するためLNGでもよい。このような構造では、典型的に、好ましくは、LNGは、(たとえば、燃料燃焼式ヒーター、海水ヒーター、排気ガスヒーター、及び/又は、極低温プロセスコンポーネントのような)第1の熱交換器に入る前に、超臨界圧力まで送り込まれ、次に、膨張器内でパイプライン圧力まで膨張させられる。効率を高めるため、補助熱交換器が、膨張器からの膨張器放出を使用して超臨界LNGを予熱するため設けられる。よって、加熱され、加圧されたLNGは、膨張器に入る前に、300°F〜500°Fの温度を有する。
【0013】
その結果、プラントを運転する方法は、作動流体を冷却し、それによって、加熱されたLNGを発生するため、第1の熱交換器内でLNGが加熱されるステップを有する。作動流体は、次に、発電機に連結された膨張器を駆動し、それによって電気を生産するため利用され、加熱されたLNGは、熱伝達媒体流体を冷却し、それによって、気化したLNGを発生するため、第2の熱交換器でさらに加熱される。熱伝達媒体は、次に、それぞれ吸気冷却器及びスチームタービンサイクルを冷却するため第3及び第4の熱交換器で使用される。
【0014】
本発明の種々の目的、特長、態様、及び/又は、利点は、添付図面と共に、発明の好ましい実施形態についての以下の詳細な説明からより明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
発明者は、LNG中の再ガス化内容物は、気化されたLNGを供給する(より好ましくは、気化されたLNGはパイプライン圧力で供給される)プロセスにおける発電のため効率的に使用され、プラント内の複数の地点でパワーが発生され、及び/又は、発電が増大されることを発見した。特に好ましい態様では、プラントは、燃焼タービン発電機と熱回収スチーム発電機をLNG再ガス化ユニットと組み合わせ、燃焼タービンがガス化されたLNGの一部分の燃焼によって駆動される。
【0016】
特に好ましいプラント構造では、パワーは、ランキンパワーサイクルを使用する第1のステージで生産され、作動流体は、典型的に、LNGの極低温(好ましくは、約−250°F〜−50°Fの範囲内)の使用を最適化するために多成分流体混合物を含む。或いは、LNGは、第1のステージ内のオープンランキンパワーサイクルでも使用され、それによって、外部作動流体の使用をなくす。特定の構造(オープンサイクル又はクローズサイクル)とは無関係に、一般的に、好ましくは、LNGは、少なくともパイプライン圧力(たとえば、約1200psig〜約1500psig)、又は、それより高い圧力まで送り込まれる。
【0017】
パワー生産及び/又は発電の増加の第2のステージは、好ましくは、プラントの出力を最大化するため、LNG冷却内容物を使用する種々のプロセス成分及び/又は流体の冷却を含む。最も好ましくは、燃焼タービン吸気及び排気は、ランキンサイクルで予め加熱されたLNGの残留低温内容物(典型的に約−50°F〜40°Fの範囲内)を利用する複合サイクル発電プラントにおいて冷却される。よって、極低温冷却内容物は、残留LNG冷熱が一以上のプロセスにおいてパワー生産を促進するため活用されている間に、発電サイクルで利用され得ることが理解されるべきである。オプション的な第3のステージでは、第2のステージの冷蔵されたガスタービン吸気からの凝縮水が回収され、ガスタービン燃料ガスを少なくとも部分的に飽和させるため使用され得る。
【0018】
本明細書で使用されているように、以下の例において、数字に関連した用語「約」は、その数字の絶対値より20%下から始まり、その数字の絶対値より20%上までを含む範囲を表す。たとえば、用語「約−100°F」は、−80°F〜−120°Fの範囲を表し、用語「約1000psig」は800psig〜1200psigの範囲を表す。
【0019】
図1に示されるような第1の典型的な構造では、ランキンパワーサイクルは、多成分作動流体を使用し、発電がLNG再ガス化及び/又は処理プラントと動作的に結合されたクローズパワーサイクルである。最も典型的に、LNG再ガス化プラントは、表1に示されたガス組成をもつ1.2BSCFDの天然ガスを生産するように構成される。ここで、貯蔵庫(又は、その他の適切な供給源)からのLNGストリーム1は、約25psig〜80psigの圧力と約−260°F〜−250°Fの温度で供給される。ストリーム1は、LNGポンプ51によって、典型的に、加圧されたLNGストリーム2を形成するために約1200〜1500psigである適切な圧力まで、又は、特定のパイプライン要件を満たすために必要とされるようなその他の圧力まで送り込まれる。加圧されたLNGストリーム2は、交換器52内で作動流体ストリーム15により約−50°Fの温度まで加熱される。LNG再ガス化中の冷却放出は、多成分作動流体を凝縮するため使用される。
【表1】

【0020】
多成分作動流体に関して、一般的に好ましくは、作動流体組成は、再ガス化中にLNGの極低温温度、典型的に約−250°F〜約−50°Fを効率的に利用するため選択される。したがって、典型的な好ましい多成分作動流体は、10%のメタンと、40%のエタンと、50%のプロパンとからなる。しかし、代替的な適切な成分及びモル分率もまた適切であるとみなされ、主に所望の熱交換曲線と、LNGの温度及び組成と、所望の発電とに依存する。その結果として、適切な多成分流体は、約0°F〜100°F(露点温度)から約−150°F〜−180°F(沸点温度)までの可変温度で凝縮する。多成分流体の可変凝縮温度は、近接した温度アプローチ及び効率的なパワーサイクルを実現する際に非常に望ましい最小損失仕事をもつ可変LNG再ガス化温度を有利に利用することが理解されるべきである。なおさらに、混合された作業流体の組成及び成分は、典型的にLNG組成及び再ガス化圧力によって決定されるLNG気化曲線と適合するように必要に応じて調整され得ることが認められるべきである。よって、混合された作業流体は窒素のような炭化水素ではない成分をさらに含有する。熱交換器52の典型的な熱交換曲線は図6に示されている。
【0021】
図1をさらに参照すると、作業流体ストリーム10は、ポンプ53によって約1500psig(又は、それ以上、たとえば、1500−2500psig)までストリーム11へ送り込まれ、ストリーム12を形成するため、膨張器放出ストリーム14によって交換器68内で加熱される。加熱された流体はヒーター54内で、好ましくは、外部熱媒体91を用いて約500°Fまでさらに加熱される。あらゆるタイプの外部熱源がここで用いるため適切であると考えられ、典型的な熱源はガスタービン、廃熱回収ユニット、及び/又は、燃焼式ヒーターからの排気ガスを含むことが認められるであろう。よって、さらに加熱されたストリーム13の温度は著しく変化する。しかし、一般的に好ましくは、温度は少なくとも300°Fであり、より好ましくは、少なくとも350°F〜450°Fであり、最も好ましくは、約500°F以上(たとえば、550°F〜700°F以上)である。このようにして発生させられた高圧高温作業流体13は、次に、ストリーム14を形成する膨張器55内で約15psig〜45psigまで膨張させられ、発電機を駆動するため使用され得るパワーを発生する。膨張器放出ストリーム14中の残りの熱容量は、好ましくは、続いて、ランキンサイクルを繰り返すためにストリーム10を形成する交換器52において極低温温度で凝縮されるストリーム15を形成する交換器68内で回収される。
【0022】
このような典型的な構造では、約5000GPMの作動流体がランキンパワーサイクル内を循環させられ、約55000kWの電力を発生する。勿論、発電効率はより高い温度の作動流体を使用することによりさらに高められることに注意すべきである。代替的に、又は、付加的に、作動流体の圧力は、パワー生産を増やすため(たとえば、1500及び3000psig以上に)高められる。最終的に、経済上の考慮(たとえば、機器費用及び加熱所要量)は、作動流体の最も望ましい圧力及び温度を決定する。
【0023】
図1による構造の第2の発電ステージにおいて、ストリーム3からの(約−50°F〜40°F)のLNGの残留冷却内容物は、複合サイクル発電プラント内で循環させられる熱伝達媒体(たとえば、グリコール−水混合物又はアルコールベースの溶媒)を冷やすために利用される。ここで、LNGは、グリコール−水混合物ストリーム21を用いて交換器56内で加熱される。LNGは、約40°Fまで気化されてストリーム4を形成し、一方、グリコール−水混合物は約0°F〜20°Fまで冷却される。最も好ましい態様では、冷やされたグリコール−水混合物22は、最初に、空気予冷却器57内で約100°Fから約40°〜50°Fまで燃焼用空気(ストリーム25)を冷やすため使用される。この冷却ステップにおいて、空気中の水分内容物の大部分は凝縮される(ストリーム26)。吸気からの水分内容物の除去は、有利的に、ガスタービン61による質量流量及び圧縮を削減し、これによって、ガスタービン発電機の電力消費を低減し、全体的な発電効率を高める。吸気からの凝縮水の量は大きく(たとえば、多湿性の場所で10体積百分率と同じ量)、発電効率は、その結果、実質的に高められることに注意すべきである。さらに、空気予冷却は、(冷やされた空気の密度の増加に起因して)ガスタービンを流れる空気質量流量をより高くすることをさらに可能にし、このことがガスタービンパワー出力及び効率を再び高める。典型的な図5A及び5Bは、周囲空気温度が従来型の複合サイクル発電プラントの発電に与える影響を示す。さらに、ガスタービン吸気冷却は、発電能力を周囲温度の変化から切り離すことに注意すべきである。従来型の発電プラントは、周囲温度が上昇するとき、パワー出力の降下に直面する。ガスタービン吸気冷却によって、パワー出力及び発電効率は、年間を通じて最適レベルに保たれ、発電プラントの経済的側面を劇的に改善する。図5A及び5Bに示されているように、空気予冷却は、典型的に、ガスタービン出力性能を約15%ずつ改善する。しかし、空気予冷却器に除氷装置が装備され、ガスタービンがより高い流量を取り扱うため設計されているならば、周囲空気がさらに冷却されるとき、より高い効率及び出力が達成されることが認められるであろう。
【0024】
図1をさらに参照すると、ガスタービン発電機61は、冷却され、好ましくは、乾燥した空気(ストリーム27)及び燃料ガス(ストリーム30)を発電のため使用する。燃料ガスは、気化されたLNG(ストリーム4)の一部分が典型的に250psig、又は、ガスタービンによって必要とされる他の圧力まで減圧された後、その気化されたLNGの一部分から供給される。燃料ガスの減圧は、付加的なパワーを生産するため(たとえば、ポンプ、コンプレッサ、又は、その他のコンポーネントを作動し、又は、発電するため)さらに使用されることが認められるであろう。ガスタービン排気(ストリーム33)からの熱は、典型的に、付加的なスチーム及びパワーの発生のための熱回収スチーム発生ユニット62(HRSG)によって捕捉される。冷却された燃料ガスストリーム34は、約300°F以下の温度でHRSGから雰囲気へ出る。
【0025】
殆どの好ましい構造では、スチームサイクルは、典型的に、発電用の過熱されたスチーム41によって駆動される複数のマルチステージスチームタービン63を含む。グリコール−水冷却剤ストリーム23の使用によって、このようなサイクルにおける発電は実質的に促進されることに注意すべきである。ここで、典型的に水道システムからの約80°Fの冷却水ストリーム50は、交換器66内で冷却剤によって約50°Fまで冷やされ、それによって、ポンプ67により送り込まれてストリーム21を形成するストリーム24を形成する。冷やされた冷却水51は、次に、蒸気表面復水器64内で使用され、スチーム排気圧が低下され、発電が増大させられるので有利であるより低い温度で蒸気復水器が動作することを可能にする。たとえば、80°Fの冷却水を用いる従来型の蒸気表面復水器は、典型的に、約2psiaで動作し、一方、本発明の主旨による蒸気表面復水器は、約1psia以下の低い動作圧を有する。表面復水器の動作圧が低下することは、タービン排気圧が低下することを意味する。復水器43は、ポンプ65によって、ストリーム40を形成するために望ましい圧力まで送り込まれる。スチームタービンパワー出力は、典型的に、約10%〜13%増加される。
【0026】
必要に応じて、意図された構造は、図2に概略的に示されているように燃料ガス飽和器をさらに含む。ここで、第2のステージの空気予冷却器57から凝縮された水は、ストリーム26を介してポンプ58によって送り込まれてストリーム28を形成し、ストリーム28は加熱されたストリーム29を形成する約250°Fまで外部熱源92を使用するヒーター59でさらに加熱される。温水のストリーム29は、燃料ガスストリーム30と混合するため、典型的に向流接触装置であるカラム60へ送られる。技術的には多数の適切な接触装置が知られているが、特に好ましい装置は、熱と質量の伝達動作のため構成されたカラムパッキング又はカラムトレイを含む。このようにして飽和した燃料ガスは、次に、含水燃料ガスストリーム32としてガスタービン61の燃焼器へ供給され、余分の水はストリーム31を介して除去される。ガスタービンの膨張器セクションへの質量流量が増加すると、パワー出力が約10%増加することが認められるであろう。図2の残りの要素に関して、図1の同様の番号をもつ同様のコンポーネントに対する検討と同じ検討が適用される。
【0027】
図3に示されているような(たとえば、外部作動流体が利用できないか、又は、望ましくない)第2の典型的な構造では、LNGはオープンランキンサイクルにおいて作動流体として使用される。このような構造では、LNGストリーム2は、第2のLNGポンプ53によって、好ましくは超臨界圧(たとえば、約1500psig〜2500psig、又は、それ以上)まで送り込まれ、約150°Fのストリーム3を形成するため膨張器放出ストリーム15と熱交換されるストリーム14を形成する。超臨界LNGは、ヒーター54内で外部熱源91を用いて約300°F〜500°F(又はそれ以上)までさらに加熱され、次に、発電機を駆動するため使用されるパワーを発生するため、膨張器55の中で約1000psig(又はその他の圧力、そして、最も好ましくはパイプライン圧力)まで膨張される。このようなオープンランキンパワーサイクルは、匹敵する動作条件下で約45000kWを発生するように計算される。図3の残りの要素に関して、図1の同様の番号をもつ同様のコンポーネントに対する検討と同じ検討が適用される。
【0028】
上記の図2のクローズ型混合コンポーネントサイクルと同じように、図3の意図されたオープンサイクル構造は、図4に概略的に示されるような燃料ガス飽和器をさらに含む。ここで、空気予冷却器57から凝縮された水は、燃料ガスを飽和させるため利用される。燃料飽和プロセスに関して、構造及び動作的特長は前の図2の構造において説明された構造及び動作的特長と実質的に同じであることに注意すべきである。図4の残りの要素に関して、図2及び図3の同様の番号をもつ同様のコンポーネントに対する検討と同じ検討が適用される。
【0029】
一般的に好ましくは、意図されたプラントの第1のステージにおいて、LNGストリームは所望の圧力まで送り込まれ、ランキンパワーサイクルを動作させるために低温を供給する。このようなプラントにおいて、LNGは、熱伝達媒体を冷やし、それによって、複合サイクルプラントのパワー出力と効率を高めるためにさらに使用される。その上、ガスタービン吸気口冷却器からの凝縮された水は、発電プラントへの燃料ガスを飽和させるため使用されてもよい。したがって、LNG再ガス化は燃料ガス燃焼式ヒーター又は海水ヒーターを用いることなく実現されることが認められる。
【0030】
その結果として、また、別の観点から見ると、LNG再ガス化プラントは、仕事を生産するために、少なくとも1種以上の炭化水素又はその他の成分(たとえば、10%のメタン、40%のエタン、及び、50%のプロパン)、又は、超臨界LNGを含有する多成分作動流体を膨張させる膨張器を含むランキンパワーサイクルを含む。ランキンサイクルは、好ましくは、パイプライン圧力以上の圧力までLNGを送り込み、任意で、膨張器排気を用いて加圧されたLNGを予熱し、外部熱源(たとえば、ガスタービン、廃熱回収ユニット、及び/又は、燃焼式ヒーターからの排気ガス)によってLNGを加熱する。ランキンサイクルを出るLNGは、約−50°Fの温度で、少なくとも部分的に気化される(たとえば、少なくとも30%、より典型的には少なくとも50%、そしてより典型的には少なくとも70〜90%気化される)。したがって、このように加熱されたLNGから低温がさらに取り出される。
【0031】
好ましいプラントにおいて、第2のステージが組み込まれ、(典型的に約−50°F〜40°Fで)予熱されたLNG中の残りの比較的高レベルの低温が熱伝達媒体(たとえば、グリコール−水混合物)を冷却するため使用され、この熱伝達媒体が次にガスタービンへの燃焼タービン吸気を冷却し、及び/又は、(たとえば、HRSGの)スチームサイクル内の表面復水器への冷却水を冷やす。このような構造は、実質的に複合サイクル発電プラントにおける発電効率を実質的に高める。
【0032】
さらに、意図されたプラントは、ガスタービンへの燃料ガスを飽和させるために第2のステージにおけるガスタービン空気予冷却器からの凝縮水を使用する第3のステージをさらに備える。飽和ステップは、典型的に、水の気化熱を供給するため、約200°F〜300°Fの外部熱源(たとえば、ガスタービン、廃熱回収ユニット、及び/又は、燃焼式ヒーターからの排気ガス)を使用する。通常は雰囲気へ放出される廃熱回収ユニットからの排気ガス(約300°F)からのような低レベルの廃熱が利用できることも認められるであろう。したがって、第3のステージは、ガスタービンの膨張器セクションへの質量流量を増加させ、それによって、ガスタービン発電効率及び出力をなおさらに増加させる。
【0033】
LNGはオープンランキンパワーサイクル中の作動流体として第1のステージで利用されるが、一般的に好ましくは、LNGは(ここでは、臨界凝縮圧力(cricondenbar)より高い)超臨界圧まで送り込まれ、膨張器排気及び(たとえば、プラントと一体化した、又は、プラントと熱的に結合された)付加的な熱源によって加熱され、パイプラインまで膨張させられる。このように膨張させられたLNGは、次に、第2のステージにおいて発電プラントへの冷却剤として利用され、その後にパイプラインガスになる。よって、一部の好ましい構造では、発電サイクルと、発電プラントの一体化は、LNGを再ガス化すると共に、低温内容物を利用する(ここで、LNGの組成と再ガス化されたLNGの組成は実質的に同じである)。膨張器吐き出し圧力は、好ましくは、およそパイプライン圧力であるので、膨張器の膨張比は制限され、したがって、前の多成分作動流体より効率が低い。しかし、このような構造は、外部作動流体を用いずに動作される点が有利であり、プロセス構造及び動作を実質的に簡単化することが認められであろう。
【0034】
適切な熱源は、ガスタービン燃焼用空気、表面復水器への冷却水、及び/又は、ガスタービン又は燃料燃焼式ヒーターからの排気ガスを特に含む。しかし、多数の代替的な熱源もまた考えられ、複合サイクルプラント以外のユニットもまた熱源として適切であると考えられることがわかるであろう。たとえば、適切な代替的な熱源は、LNGが空気又はその他のガスを冷却する多数の極低温プロセス(たとえば、空気分離プラント)と、排気ガスを供給するプロセス(たとえば、燃焼タービン、改質排気ガスなど)と、冷シンクとして機能するその他のプロセス(たとえば、液体二酸化炭素生産プラント、淡水化プラント、又は、食品冷凍設備)とを含む。
【0035】
一般的に好ましくは、適切なプラントは、LNG再ガス化設備及びLNG受入基地を含み、特に好ましい構造は、LNGの少なくとも一部が発電するため使用されるプロセスにおいてLNGが再ガス化され、好ましくは、複合パワーサイクルに一体化された、LNG再ガス化設備及びLNG受入基地を含む。本明細書で提案された教示と併せて使用するため適した典型的な構造は、参照してここに組み込まれた、出願番号がPCT/US03/25372及びPCT/US03/26805である同一出願人による同時係属中の国際特許出願に記載されている。よって、特定の熱源に依存して、LNGの再ガス化に必要なエネルギーは、意図された熱源によって完全に、又は、部分的に供給される。熱源がLNGをガス化するために不十分な量の熱を供給する場合、補助的な熱が供給されることがわかるであろう。適切な補助熱源は、スチームタービン放出からの廃熱、排気ガスからの凝縮負荷、(たとえば、建物に空調を設置することによる)空気、海水による周囲加熱、又は、燃料ガスを含む。その結果、意図された構造及びプロセスは、発電効率及び柔軟性を改良するために既存の再ガス化プラントを改造するため使用されてもよく、又は、新しい設備に使用されてもよいことがわかるであろう。
【0036】
したがって、多数の利点が本発明の主旨による構造を使用して達成されることが認められるであろう。特に、意図された構造は、従来型の複合サイクル発電プラントと結合され得る外部作動流体の有無にかかわらず、非常に効率的なLNG発電サイクルを提供する。さらに、殆どの構造において、LNG再ガス化のための外部加熱は不要であり、よって、従来型のLNG再ガス化においてLNGを加熱するためにこれまで必要とされていた燃料ガス又は海水の必要性がなくなる。
【0037】
したがって、LNG再ガス化が一体化された発電の構造及び方法に関する具体的な実施形態及びアプリケーションが開示されている。しかし、上記された変更以外のより多数の変更が本明細書における発明の概念を逸脱することなく可能であることは当業者に明白であろう。したがって、本発明の主旨は、本開示の精神を除いては制限されるべきでない。その上、明細書を解釈する上で、すべての用語は、前後関係と一致したできるだけ広義に解釈されるべきである。特に、用語「備える、含む(comprises)」及び「備えている、含んでいる(comprising)」は、非排他的な意味で要素、コンポーネント、又は、ステップを参照していると解釈されるべきであり、参照された要素、コンポーネント、又は、ステップが、存在するか、利用されるか、明示的に参照されていない他の要素、コンポーネント、又は、ステップと組み合わされることを示している。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】多成分流体ランキンパワーサイクル用の本発明の本旨による典型的な一パワーサイクル構造の概略図である。
【図2】燃料ガス飽和を含む多成分流体ランキンパワーサイクル用の本発明の本旨による別の典型的なパワーサイクル構造の概略図である。
【図3】LNG ランキンパワーサイクル用の本発明の本旨によるさらなる典型的なパワーサイクル構造の概略図である。
【図4】燃料ガス飽和を含むLNG ランキンパワーサイクル用の本発明の本旨によるなおさらなる典型的なパワーサイクル構造の概略図である。
【図5A】種々の周囲温度での複合サイクル発電プラント出力のグラフである。
【図5B】種々の周囲温度での複合サイクル発電プラント出力のグラフである。
【図6】熱交換器52の典型的な放熱曲線を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
LNGを受け入れ、加熱されたLNGを発生するため作動流体を冷却するように構成された第1の熱交換器、及び、発電機を駆動するために作動流体を受け入れるように構成された膨張器と、
加熱されたLNGを受け入れ、気化されたLNGを発生するため熱伝達媒体流体を冷却するように構成された第2の熱交換器と、
熱伝達媒体を受け入れ、それぞれ吸気冷却器及びスチームタービンサイクルを冷却するように構成された第3の熱交換器及び第4の熱交換器と
を備える、発電プラント。
【請求項2】
作動流体がクローズサイクル内で循環させられる、請求項1に記載の発電プラント。
【請求項3】
作動流体が多成分作動流体である、請求項2に記載の発電プラント。
【請求項4】
第1の熱交換器が、加熱されたLNGが少なくとも部分的に気化されるように構成される、請求項1に記載の発電プラント。
【請求項5】
熱伝達媒体がグリコール−水混合物を含む、請求項1に記載の発電プラント。
【請求項6】
第1の熱交換器中のLNGが−250°F〜−50°Fの温度を有し、第2の熱交換器中のLNGが−50°F〜40°Fの温度を有する、請求項1に記載の発電プラント。
【請求項7】
第1の熱交換器及び第2の熱交換器が、LNGがおよそ1日当たり約2億標準立方フィート〜1日当たり20億標準立方フィートの流速で気化されるように構成される、請求項1に記載の発電プラント。
【請求項8】
LNGが第1の熱交換器へ入る前にLNGをパイプライン圧力まで送り込むポンプをさらに備える、請求項1に記載の発電プラント。
【請求項9】
吸気冷却器から燃料ガス加湿器へ凝縮水を供給する凝縮水ラインをさらに備える、請求項1に記載の発電プラント。
【請求項10】
作動流体がオープンパワー生産サイクルを形成するようにLNGである、請求項1に記載の発電プラント。
【請求項11】
LNGを超臨界圧力まで送り込むポンプをさらに備える、請求項10に記載の発電プラント。
【請求項12】
第1の熱交換器が、燃料燃焼式ヒーター、海水ヒーター、排気ガスヒーター、及び、極低温プロセスコンポーネントからなる群より選択されたコンポーネントを備える、請求項11に記載の発電プラント。
【請求項13】
膨張器が超臨界LNGをパイプライン圧力まで膨張させるように構成される、請求項11に記載の発電プラント。
【請求項14】
膨張器からの膨張器放出を使用して超臨界LNGを予熱するように構成された補助熱交換器をさらに備える、請求項11に記載の発電プラント。
【請求項15】
第1の熱交換器及び補助熱交換器が、超臨界LNGが約300°F〜500°Fの温度を有するように構成される、請求項14に記載の発電プラント。
【請求項16】
作動流体を冷却し、それによって、加熱されたLNGを発生するため、第1の熱交換器内でLNGを加熱するステップと、
電気を発電するために発電機に連結された膨張器を駆動するように作動流体を使用するステップと、
熱交換媒体流体を冷却し、それによって、気化されたLNGを発生するため、第2の熱交換器内で加熱されたLNGをさらに加熱するステップと、
それぞれ吸気冷却器及びスチームタービンサイクルを冷却するため、第3の熱交換器及び第4の熱交換器内で熱伝達媒体を使用するステップと
を備える、プラントを運転する方法。
【請求項17】
第1の熱交換器が、加熱されたLNGが少なくとも部分的に気化されるように構成される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
作動流体が多成分作動流体である、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
作動流体がLNGである、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
LNGが第1の熱交換器へ入る前に少なくともパイプライン圧力まで送り込まれる、請求項16に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【公表番号】特表2008−506883(P2008−506883A)
【公表日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−521632(P2007−521632)
【出願日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【国際出願番号】PCT/US2005/024973
【国際公開番号】WO2006/019900
【国際公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【出願人】(506354434)フルオー・テクノロジーズ・コーポレイシヨン (35)
【Fターム(参考)】