説明

LNG再ガス化の精製および発電との統合

企図されたプラントは、精製構成部品の運転、および最も好ましくは炭化水素分離器の運転をLNG再ガス化と熱的に統合して冷凍仕事量をもたらし、かつパワーサイクルと統合して構成部品の再沸仕事量をもたらす。このような構成は、分離器が低い温度でかつ低い圧力で作動することを有利に可能にし、それによって分類効率が上がる一方で吸気冷却を使用することによって出力が高められることに注目されたい。最も注目するべきは、このような工程の利点が、LNG再ガス化の加熱仕事量を満足することによって達成されることである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2005年3月30日に出願された本発明者らの米国仮特許出願第60/667002号に対する優先権を主張するものである。
【0002】
本発明の分野は、LNGの再ガス化および利用、特に、処理プラントおよび発電プラントにおける再ガス化からのLNG(液化天然ガス)冷熱の使用である。
【背景技術】
【0003】
天然ガスは、経済的に魅力的な商品になってきたが、液化および再ガス化は著しくエネルギ集約的な工程である。多くの応用例では、天然ガスの液化には高圧天然ガスを1MMscfd液化する毎に約230kWが必要であり、これは1,200MMscfdの液化プラントでは約280MWの電力に相当する。一方LNGを1,200MMscfd再ガス化するには約750MM Btu/hrの加熱仕事量を必要とする。
【0004】
ごく一般的には、加熱仕事量は、海水約100,000gpmを15°F冷却する、海水との熱交換によって、または燃料ガス20MMscfdからの燃焼熱(取り込まれるLNGの1.5%に相当する)を使用して供給される。不運なことにその環境に対するインパクトは、いずれのシナリオにおいても、特に長期にわたり重大である。したがってほとんどの従来型LNG再ガス化工程は、エネルギ的に非効率であるか、しばしば環境的に問題である。少なくとも理論的には、LNG液化で消費された電力のいくらかは、LNGが処理施設で冷媒として使われ、または発電でヒートシンクとして使用される場合には、LNG受入れターミナルで回収可能なこともある。確かに、発電とLNG再ガス化の間には潜在的に大きな相乗効果がある。例えばガスタービン排気からの廃熱はLNG再ガス化のための熱源として直ちに利用可能である。同じように精製または化学プラントのような処理施設との一体化は、これら施設からの廃熱がLNGの再ガス化のために使用されることができるので特に有益なこともある。
【0005】
その他の知られている構成および方法の中では、MandrinおよびGriepentrogが、米国特許第4,036,028号および第4,231,226号それぞれで発電プラントのLNG再ガス化との統合について説明している。同じようなプラントの構成が、公開されているKellerへの米国特許出願第2003/0005698号、Johnson他へのEP 0 683 847、およびKellerへのWO 02/097252で報告されている。このような知られている構成では、LNGの再ガス化のための熱は、ガスタービンの吸気または燃焼排ガスと熱交換状態にある熱交換流体によってもたらされるのが一般的である。これらの構成は、吸気を緻密にすることでガスタービンサイクルの効率を改善し、それによってその出力および効率を向上させる。しかしこのようなLNG再ガス化工程は、LNGを熱するための、ガスタービン吸気の熱含量に依存しており、これは冬の月の間、特に寒冷な気候では利用することができない。したがって従来式方法を伴う追加加熱が必要であることがしばしばである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがってこれらの改良された構成および方法の全てまたはほとんど全ては、以前に知られていた構成に対して少なくともいくらかの利点をもたらしてはいるが、さまざまの不都合が未だに残っている。その中でも、知られている方法のほとんどは、LNGを再ガス化するための加熱源を連続して提供できず、したがって補足的な加熱に依存している。したがって改良された、LNG再ガス化の熱統合のプラント構成および方法が未だに必要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、統合されたプラントの構成および方法を対象としており、そのプラントでは、カラムおよび特に炭化水素分離器に対するエネルギ必要量(および特に塔頭凝縮および再沸仕事量)がLNG再ガス化運転および/または企図されているプラントの発電区域から抽出された熱によってもたらされる。
【0008】
本発明主題の1つの態様では、プラントは、再沸器および塔頭凝縮器を有する炭化水素分離器を含む(炭化水素分離器は比較的近い沸点を有する材料を分別する[例えばパラフィン(例えばプロパンC3)をそのオレフィン対応物(例えばプロピレンC3=)から])。第1の熱交換回路は、液化天然ガス流からの冷凍含量が第1の交換流体を介して塔頭凝縮器へもたらされるように液化天然ガス流および炭化水素分離器に熱結合されており、第2の熱交換回路は、熱源からの熱が第2の交換流体を通して再沸器および液化天然ガス流に伝達されるように熱源、炭化水素分離器、および液化天然ガス流に熱結合されている。
【0009】
したがって、本発明主題の他の態様では、炭化水素分離器を運転する方法は、液化天然ガスによって冷却される第1の熱交換流体を使用して冷凍仕事量を炭化水素分離器の塔頭凝縮器にもたらすステップを含む。さらなるステップでは、熱源によって加熱され、液化天然ガスによって冷却される第2の熱交換流体が炭化水素分離器の再沸仕事量をもたらす。別の観点から見れば、発電区域および液化天然ガス再ガス化区域を備えるプラントを運転する方法は、カラムの塔頭凝縮仕事量をもたらすために液化天然ガス中の冷凍含量を使用するステップ、ならびにカラムの再沸仕事量をもたらし、それによって液化天然ガスを再ガス化するために発電区域からの熱を使用するさらなるステップを含むこともある。
【0010】
特に好ましい態様では、熱源は、吸気冷却器、熱回収ユニット、燃焼排ガス熱交換器、加熱炉、および/または海水交換器であり、炭化水素分離器は、C3分離器(プロパンをプロピレンから分離する)および/またはC2分離器(エタンをエチレンから分離する)である。一般的に炭化水素分離器は100psiaより小さな圧力で、最も一般的には約30psiaと約60psiaの間の圧力で作動するように構成されている。さらなる一般的に好ましい態様では、第1の熱交換回路は、液化天然ガス流が約−250°Fの温度から約−100°Fと−60°Fの間の温度に加熱されるように構成され、液化天然ガス流に結合され、および/または第2の熱交換回路は、液化天然ガス流が約−100°Fと−60°Fの間の温度から40°Fの温度に加熱されるように構成され液化天然ガス流に結合されている。
【0011】
さらに、企図されているプラントは、底部生成物を分離器にもたらすように流体的に分離器に結合されている分割カラムを含むこともある。少なくともこれらの実施形態のいくつかでは、分割カラムが第1の熱交換回路に熱的に結合されている還流凝縮器をさらに含む。したがってLNGの冷凍含量は、少なくとも2つのカラムに冷凍仕事量をもたらすために使用される。このような構成では炭化水素分離器はC3分離器であり分割カラムは脱エタン装置であることが好ましい。
【0012】
本発明のさまざまな目的、特徴、態様および利点は、本発明の好ましい実施形態についての下記詳細な説明からより明白になるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
発明者は、1つまたは複数の精製工程および/または発電の仕組みが再ガス化のために持続的な熱源を提供するプラントの構成でLNGが再ガス化されることができることを発見した。最も好ましいのは、LNGの再ガス化が少なくとも2つの加熱段階を使用して実現され、第1の加熱段階が精製用の構成部品(特に塔頭凝縮器)と熱的に結合された熱伝達流体を使用しており、第2の加熱段階が発電用の構成部品(特に吸気冷却器および/または燃焼排ガス交換器)に熱的に結合された他の熱伝達流体を使用していることである。
【0014】
例えば1つの好ましい態様では、再ガス化ターミナルは、炭化水素分離器、ならびに特にC3(プロパン)およびC3=(プロピレン)生成物を生産するために精製所内のC3分離器に熱的に結合され、一方C3分離器は、電力生産のためにガスタービン吸気を冷却するための冷媒を生成する。さらにLNG再ガス化装置はさらに脱エタン装置およびC2分離器に熱的に結合されることができる。あるいは、他の好ましい態様で別の観点から見て2つの熱伝達回路が使用されることができる。1つの回路は、LNG冷熱を使用して熱的に結合されたC3分離器の還流凝縮器および/または脱エタン装置を冷却し、他方の回路ではガスタービン吸気および排気筒から抽出された熱を使用してC3分離器の再沸器およびLNG気化器を加熱する。C3(プロパン/プロピレン)分離器との統合が、特に大きな還流凝縮仕事量がLNG内の冷凍含量によって供給される場合には著しいエネルギおよび資本上の節約をもたらすことに注目されたい。
【0015】
このような構成では、LNGからの低温を使用してC3分離器が低温で、かつ著しく低い圧力で作動させられることができ、一方C3分離器の再沸器は、さらに、部分的に温められたLNG(このLNGは発電のためのガスタービン吸気を冷却するのに使用されることができる)の低レベル冷凍を実施しないことを特に理解されたい。したがって企図されている構成では、プラント内の1つまたは複数の熱伝達回路(例えばLNG再ガス化ユニット内での精製区域および発電区域のうちで)が著しく全体的熱効率を向上させることを認識されたい。異なる働きの間での熱伝達で同じ熱流体または異なる熱流体が使用されることができる。
【0016】
本発明主題による1つの特に好ましいプラントが図1に描写されており、そのプラントではC3分離器が、発電プラントおよびLNG再ガス化プラントと熱的に統合されている。発明主題に限ってのことではないが、このようなプラントでは一般的に少なくとも2つの別個の熱伝達回路を使うことが好ましく、その第1の回路が、C2またはC3分離器および脱エチレン装置の還流凝縮器を冷却することによって、LNG冷熱を利用してC2分離器内でC2=からC2を分離し、および/またはC3分離器内でC3=からC3を分離し、一方、第2の回路が、ガスタービン吸気および排気筒から抽出した熱を使用してC2またはC3分離器の再沸器およびLNG気化器を加熱する。異なるユニットの間の熱伝達で同じ熱流体または異なる熱流体が使用されることができる。
【0017】
ここで、送り出し速度が一般的に約500MMscfdのLNG流1がLNGポンプ51によって約1250psiのパイプライン圧力で送り出されて流れ2を形成する。次いでLNGは熱交換器52および熱交換器54内で2つの熱伝達回路を使用して加熱される。両方の回路のための熱伝達媒体は、それぞれのLNG温度(極低温である)で不凍性であり、都合の良い熱伝達特性を有することが最も好ましい。例示的で適切な熱伝達媒体にはグリコール‐水の混合物、または当業界でよく知られている複数の成分をもつ混合物がある。図1の構成では、LNGは、交換器52内で約−250°Fから約−100°Fと−60°Fの間に加熱され、第1の熱伝導回路流13を使用して流れ3を形成している。LNGは、交換器54内で約−100°Fと−60°Fの間から約40°Fにさらに加熱され、第2の熱伝導回路流14を使用して流れ4を形成する。気化された生成物の一部、流れ5はガスタービンへの燃料ガスとして使用されるが残りは流れ6としてパイプラインまたはその他の受入れ施設に運搬される。本明細書で使用されているように、数字と関連している「約」という用語は、その数字の+/−10%(10%の値を含む)の範囲を指している。例えば、「約200psia」という用語は180psiaから220psiaの範囲を指す(それぞれの値を含む)。同様に、約−100°Fから40°Fという用語は−110°Fから−36°Fの範囲を指す。
【0018】
C3分離器66は供給流29(一般的には精製所供給ガスからのもの)を塔頭流34(C3=)および底部流33(C3)に分別する。LNGガスを冷媒として使用することにより従来式の蒸気圧縮器(従来技術図3で152)が必要とされないことに注目されたい。さらにC3分離器が著しく低い圧力で、つまり一般的には約40psiaまたはより低い値(従来技術による設計の150psiaおよびこれを超える値に比較して)で作動することができ、分別効率を実質的に向上させていることを特に認識されたい。低い圧力および温度でC3とC3=の間の相対揮発度が増し、分離はより効率的になり、必要エネルギ消費も低くなる。都合の良い熱力学的な特性で分別トレイの数も30%を超えて減少されることができ分離器施設のコストを著しく減少させる。
【0019】
C3分離器で塔頭流34は、凝縮器68内で約−10°F、40psiaに凝縮され第1の熱伝達回路流9を使用して流れ35を形成する(それによってポンプ53によって送り出される流れ13を形成する)。したがって凝縮仕事量は、交換器68で加熱されて流れ13(この流れは次いで交換器52でLNGによって冷却され、したがって流れ7を形成する)を形成する循環熱伝達媒体9によって供給される。第1の熱伝導媒体の供給温度は、−40°Fのような低温であることができ、この低温が凝縮器68の熱交換面積およびコストを有利に減少させることに注意されたい。塔頭流49は還流ドラム69から分けられて還流ポンプ70によって送出され、C3分離器への還流流れ36、およびC3=生成物である流れ37を生成する。C3分離器の再沸器67は、燃焼ガスタービン吸気冷却器56からの熱およびガスタービン排気交換器60からの熱を使用する第2の熱伝達回路によって供給される。第2の加熱回路は第2のLNG熱交換器54にも熱を供給する。
【0020】
C3分離器底部は一般に約18°Fの温度および約55psiaの圧力に保持されている。C3分離器の再沸仕事量は、ガスタービン吸気冷却器56およびガスタービン排気交換器60によって加熱される第2の熱伝導回路流21によって供給される。流れ21は、約60°Fから28°Fに冷却されて流れ16を形成し、再沸器67を加熱し、次いで交換器54からの流れ15と混合され約38°Fの流れ17を形成する。混合流は、次いで循環ポンプ55によって送出されて交換器56内でガスタービン吸気を冷やすのに使用される流れ18を形成する(流れ19も形成する)。吸気22は交換器56内で一般的に約80°Fから約45°Fに冷やされ流れ23を形成する。この時点で空気中の含水量の殆どは凝縮され分割器57から流れ24として除去されるが、この流れは蒸気ボイラシステムへ所要補給水を供給するために使用されることができる。冷やされた空気流25は、次いで発電のためにガスタービン58/59へ送り込まれる。
【0021】
空気がこのように比較的低い温度に冷やされると空気の質量密度が著しく増加し、その結果、空気の質量流量が増加し(ガスタービンは一定の体積流量で作動するので)、続いてガスタービンの出力を増加させる。さらに、冷たい空気温度は、ガスタービンの圧縮器部分58による動力消費も減少させ、ガスタービン(ブライトンサイクル)の発電効率を向上させる。一般的には、吸気温度が3°Fから4°F下がる毎に発電プラントからの出力が約1%増加される。夏季運転中に周囲温度が100°Fから40°Fに下げられると従来型複合サイクル発電プラントの出力は15%を超えて増加されることができる。このような出力の増加は、特に消費者の需要がピークになり電気が割増しで販売されることができる夏季月間中に電力売上げが著しく増加することを意味している。タービン排気26は、次いで交換器60内で第2の媒体流19によって冷却され、冷却された排気27および少なくともその一部が次いで再沸器67に熱をもたらす暖められた媒体流20を形成する。残りの部分は流れ14として交換器(一般的には気化器)54に送られる。
【0022】
同じ構成が、エネルギをさらに節約するためにC2分離器にも適用可能であることを理解されたい。このような構成では、C2分離器はC3分離器より低温で作動するのが一般的である。一般的にC2分離器の塔頭は、C3分離器での約20°Fに比較して、約−40°Fにまたはそれより低く保たれている。C2分離器に適用された場合LNGの低温はより効率良く利用されることができる。同様に、C2分離器からの再沸仕事量は、吸気冷却器内でガスタービン入力部を冷やすのに使用されることができ、これは上記のC3分離器のための構成と同様である。
【0023】
望ましい場合には、図2に示されているように脱エタン装置がC3分離器の前に配置されることもできる。ここでは供給流28(C2、C3=、およびC3を含む)は、エタンの塔頭流30ならびにC3=およびC3の混合された底部流29を生成する脱エタン装置61に送り込まれる。底部流29は次いで下流のC3分離器66へ送り出される。このようなプラントでは、脱エタン装置の塔頭流30は、塔頭交換器63内において冷やされかつ凝縮されて流れ31を形成するが、冷却仕事量は第1の熱伝導回路流10の一部によって供給され、その第1の回路流はそれによって流れ12を形成する。そのように冷却された塔頭流は、次いで分割器64内でC2生成物流101と、ポンプ65で送り出されて脱エタン装置に戻る還流流32に分けられる。図2の残りの構成部品に関しては、前記、図1に対して論じられたのと同じ考察が図2で同じ数表示をもつ同じ要素に対する構成部品に対して適用される。
【0024】
企図されたプラントでは、発電部分、C3分離器(または精製部分でのその他の構成部品)、およびLNG再ガス化プラントは、ガスタービン排気からの廃熱が、LNG気化のための補助的な熱源およびC3分離器の再沸仕事量であることができるように熱的に結合されていることを理解されたい。あるいは、またはさらにLNGを冷却で、および/または脱エタン装置およびC2=分離器内で冷媒として使ってさらに精製複合施設の所要冷凍量を減少させることができる。したがってこのような構成では、取り込まれたLNGを精製複合施設および発電プラントに統合することは、経済的に魅力的である可能性がある。さらに、C3=は、ポリプロピレンのための成分であり、ポリプロピレンが今のところ最も成長率が高い熱可塑性プラスチックであることを認識されたい。LNGと熱的に結合されたC3分離器を使用すると、蒸気再圧縮のような分別方法、または高度に純粋なC3=の流れを生産するためのその他の伝統的な従来式分別方法を使用することなく、ポリプロピレン製造のためのフィードストックとして使用されることができる高品質C3=生成物を生産することができる。
【0025】
その一方で、現在知られているC3分離器の構成はこれらおよびその他の利点を達成することはないのが普通である。C3分離器を伴う知られている一般的なプラントの構成が従来技術図3に描写されており、13,000BPDのポリマグレードのC3=(99.5%純度)を生産するためのC3分離器ユニットの一般的な材料バランスが下記表1に示されている。
【表1】

【0026】
図3のプラントでは、供給流29は、一般的に約30%のC3および約70%のC3=を含む、上流の脱エタン装置からの脱エタンされた生成物である。塔頭の温度の雰囲気で、C3とC3=成分の間の相対揮発度が非常に近接していることが主な原因になりC3=をC3から分けるのが難しいのでC3分離器に対しては多数のトレイ(一般的に240)が必要であるのが一般的である。さらに高度に純粋な(99.5%純度)C3生成物を生産して所要のポリマ品質を満足させるためにもより高い再沸および凝縮仕事量が要求されている。
【0027】
ここで、C3分離器66は、供給流を約70°Fで約150psiaの塔頭流34(C3=)および約90°Fで約165psiaの底部流33(C3)に分別する。分離器は、蒸気圧縮システムによって生成された流れ36で還流される。分別器69からのフラッシュされた蒸気流108は、C3分離器塔頭流34と混合されて流れ101を形成し、その流れ101は蒸気圧縮器152によって約250psiaに圧縮され放出蒸気流102を形成する。一般的には、約20,000BPDのC3分離器ユニットに対して蒸気圧縮器は、8,000馬力を必要とする。蒸気流102は、約100°Fで凝縮されて加熱仕事量を再沸器67にもたらす。温度を制御するために蒸気の一部(流れ104)は、交換器151内で冷却水によって冷却され流れ105を形成し、その流れ105は、交換器67からの冷却された流れと混合される。そのように形成された混合流106は、JT弁153内で約150psiaに減圧されて流れ107を形成する。JTの作用が流れ107を約75°Fに冷却する。液体は、次いで分割器69内で液体流49として分けられ、その液体流はポンプ70によって送出され、流れ36としてC3分離器を還流する。残りの液体は、C3=生成物流37として引き出される。このような構成は、一般的にC3複合物を適正に分類するが、著しい数量のエネルギがつぎ込まれなければならないことを認識されたい。さらに、比較的純度の高いC3=が要求される場合には比較的多数のトレイ故にかなりな額の装置コストが必要になるのが一般的である。このようなC3分離プラントがLNG再ガス化プラントから分けられている場合には、LNG再ガス化とC3の分離との熱結合は実現されないのが一般的である。
【0028】
その一方で、企図された構成においてC3分離器の還流のためにLNG冷熱を使用することが、分別カラムが従来式プラントにおける場合より相当に低い圧力で作動することを有利に可能にし、分別効率を著しく向上させる。より低いカラムの圧力は、C3=とC3の間の相対揮発度の差を増し、より良い分割をもたらし、必要とする分別トレイの数および所要エネルギを減らす。したがって、およびその他の利点の中でも、企図された構成および方法は、精製複合施設の資本コストおよび運転コストを著しく減少させる一方でC3分離器内の蒸気圧縮装置を削除し、脱エタン装置および従来式設計のC2分離器で冷却および加熱仕事量を減少させる。さらに、そうでなければLNG再ガス化のために必要であるエネルギ消費が、大きく回避され、より一般的には全く回避される。
【0029】
好ましい構成では、第2の熱伝達回路がガスタービン吸気および/またはその排気からの含熱量を利用してC3分離器による再沸要求およびLNG再ガス化仕事量に応ずることに特に注目されたい。したがって企図された構成は冷やされた熱伝導回路を使用してガスタービン吸気を冷却する。さらに冷やされた第2の熱伝達回路は、吸気からの含水量の殆どを凝縮し、その含水量は、ボイラに供給される水の補給として回収されることができる(例えば蒸気発電プラントへ)。このようなガスタービンの取入れ口冷却構成は、電力出力および発電効率を向上させることに特に注目されたい。
【0030】
その他の適正な供給ガスの中でも、企図されたガスには相当のC3およびC3=含有物を伴うものもある。したがってLNGからの冷凍含量は、一般的に精製所のFCCユニットおよび/またはCokerユニットからのものである分解ガス(その分解ガスは、エタン、エチレン、プロピレン、ジメチルエーテル、および1つまたは複数のプロパン、アセチレン、メチルアセチレン、プロパジエン、メタン、水素、一酸化炭素、二酸化炭素、およびC4+の成分をも含み得る)からプロピレンを分けかつ精製するのに使われることができる。脱エタン装置が使用される場合には、脱エタンされた分解ガスが、第1の熱伝導回路(LNGによって冷やされる)と熱的に結合されたC3分離器に送り込まれ、C3分離器の再沸器の底部が、ガスタービン吸気およびその排気によって加熱された第2の熱伝導回路によって加熱されるのが一般的には好ましい。第2の熱伝導回路は、次いでLNG蒸発装置を必要なだけ加熱する。適切な供給ガスとしては、さらに、様々なNGL留分(軽質な炭化水素)、部分的に精製された(例えば少なくとも30%、より一般的には少なくとも50%、最も一般的には少なくとも85%精製された)C3ガスおよびその他がある。
【0031】
本発明主題の態様でさらに企図されるものでは、熱伝導回路に対して多数の代替構成が適正であることができることも認識されたい。例えば適切であれば、2つの熱伝導回路は、LNG再ガス化部分と、精製部分および発電部分の少なくとも1つの間で経路設定される単独の回路に一体化されることができる。一方、必要な場合には、熱効率をさらに向上するために企図された構成に1つまたは複数の熱伝導回路が追加されることができる。例えば、追加回路は、バックアップヒートシンクとしておよび/または熱源として(例えば季節的な周囲温度変化、または、追加凝縮器のような追加コールドシンクを補正するために)使用されることもできる。さらに、プラントが操業または処理量を拡大する場合には回路が追加されることができる。
【0032】
同様に、吸気冷却および燃焼排ガスの冷却以外のさまざまな熱源が本明細書における使用に適切であり、特に好ましい熱源には、HRSGユニット、発熱工程またはその反対で加熱された工程の流れからの高および低レベルの廃熱、地熱、燃焼熱、および/または周囲熱(海水または周囲空気を利用して)があることを認識されたい。さらなる適切な代替コールドシンクは、供給ガスおよびその他の交換器、さまざまな凝縮器(塔頭凝縮器、蒸気サイクル凝縮器、その他)でもよく、一般的には発電プラントまたは発電部分および/または精製プラントまたは精製部分で普通に見い出される全ての構成部品および/または流れでもよい。
【0033】
LNGの再ガス化およびさまざまな組成を伴うLNGの処理および発電プラントのLNG液化との統合についてさらなる考慮および態様が、下記番号を有する、我々の同時係属の、その全てが本明細書に参照として組み入れられている国際出願に説明されている:PCT/US03/25372、PCT/US03/26805、およびPCT/US05/24973。
【0034】
上述のように、C3分類器と電力生産の統合についての具体的な実施形態および適用例が開示されてきた。しかし当業者にとっては既に説明されているものの他にも本明細書の発明の概念から逸脱することなく、さらに多くの改変が可能であることが明白であろう。したがって本発明主題は特許請求の範囲の精神以外では制約されるべきではない。さらに明細書および特許請求の範囲の両方を解釈するに当たっては、全ての用語は、文脈と一致する可能な限り最も広範な意味で解釈されるものとする。特に、「含む」または「含んでいる」という用語は、非排他的な意味で要素、構成部品、またはステップを表わし、参照された要素、構成部品、またはステップが存在し、または利用され、またはその他のあからさまには参照されてはいない他の要素、構成部品、またはステップと組み合わさっていることもあるのを指し示しているものと解釈されたい。さらに、本明細書に参考として組み込まれている参照用語の定義または使途が本明細書で与えられたその用語の定義と一致しないまたは対立する場合には、本明細書で与えられたその用語の定義を適用し、参考にされているその用語の定義は適用しない。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明主題による1つの例示的構成を示す図である。
【図2】本発明主題による他の例示的構成を示す図である。
【図3】C3分離器稼動の例示的な知られている構成を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
再沸器および塔頭凝縮器を有する炭化水素分離器と、
液化天然ガス流からの冷凍含量が、第1の交換流体を介して塔頭凝縮器にもたらされるように、液化天然ガス流および炭化水素分離器に熱的に結合されている第1の熱交換回路と、
熱源からの熱が、第2の交換流体を介して再沸器および液化天然ガス流に送られるように、熱源、炭化水素分離器、および液化天然ガス流に熱的に結合されている第2の熱交換回路とを備える、プラント。
【請求項2】
熱源が、吸気冷却器、熱回収ユニット、燃焼廃ガス熱交換器、加熱炉、および海水交換器からなる群から選択される、請求項1に記載のプラント。
【請求項3】
炭化水素分離器が、C3分離器およびC2分離器の少なくとも1つである、請求項1に記載のプラント。
【請求項4】
炭化水素分離器が、100psiaより小さな圧力で作動するように構成されている、請求項1に記載のプラント。
【請求項5】
炭化水素分離器が、約30psiaと約60psiaの間の圧力で作動するように構成されている、請求項1に記載のプラント。
【請求項6】
第1の熱交換回路が、液化天然ガス流が約−250°Fの温度から約−100°Fと−60°Fの間の温度に加熱されるように構成され、液化天然ガス流に結合されている、請求項1に記載のプラント。
【請求項7】
第2の熱交換回路が、液化天然ガス流が約−100°Fと−60°Fの間の温度から約40°Fの温度に加熱されるように構成され、液化天然ガス流に結合されている、請求項1に記載のプラント。
【請求項8】
底部生成物を分離器にもたらすように分離器に流体的に結合された分割カラムをさらに備える、請求項1に記載のプラント。
【請求項9】
分割カラムが、第1の熱交換回路に熱的に結合された還流凝縮器をさらに含む、請求項8に記載のプラント。
【請求項10】
炭化水素分離器がC3分離器であり、分割カラムが脱エタン装置である、請求項8に記載のプラント。
【請求項11】
炭化水素分離器を運転する方法であって、
液化天然ガスによって冷却される第1の熱交換流体を使用して冷凍仕事量を炭化水素分離器の塔頭凝縮器にもたらすステップと、
熱源および液化天然ガスによって加熱される第2の熱交換流体を使用して炭化水素分離器の再沸仕事量をもたらすステップとを含む、方法。
【請求項12】
熱源が、吸気冷却器、熱回収ユニット、燃焼廃ガス熱交換器、加熱炉、および海水交換器からなる群から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
炭化水素分離器が、C3分離器およびC2分離器の少なくとも1つである、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
炭化水素分離器が、100psiaより小さな圧力で作動される、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
炭化水素分離器が、約30psiaと約60MPaの間の圧力で作動される、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
第1の熱交換回路が、液化天然ガス流を−250°Fの温度から約−100°Fと−60°Fの間の温度に加熱する、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
第1の熱交換回路が、液化天然ガス流を約−100°Fと−60°Fの間の温度から40°Fの温度に加熱する、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
分割カラムが流体的に分離器に結合され、それによって底部生成物が分離器にもたらされる、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
分割カラムが、第1の熱交換回路に熱的に結合されている還流凝縮器をさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
炭化水素分離器がC3分離器であり、分割カラムが脱エタン装置である、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
発電部分および液化天然ガス再ガス化部分を備えるプラントを運転する方法であって、
カラムの塔頭凝縮仕事量をもたらすために液化天然ガス内の冷凍含量を使用するステップと、
カラムの再沸仕事量をもたらし、それによって液化天然ガスを再ガス化するために発電部分からの熱を使用するステップとを含む、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−534741(P2008−534741A)
【公表日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−504156(P2008−504156)
【出願日】平成18年3月21日(2006.3.21)
【国際出願番号】PCT/US2006/010368
【国際公開番号】WO2006/104799
【国際公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【出願人】(506354434)フルオー・テクノロジーズ・コーポレイシヨン (35)
【Fターム(参考)】