説明

LNG気化器用伝熱管とそれを用いたLNG気化器

【課題】 冷却負荷が大きいために表面に酸化皮膜が形成されにくいパネル下部側や下部ヘッダーに配置しても、Al合金伝熱管表面の腐食損傷防止効果および耐エロージョン特性に優れたLNG気化器用伝熱管とその気化器を提供することである。
【解決手段】 内部にLNGが流通し、外表面に海水が供給され、この海水と前記LNGとが熱交換してLNGを気化させる、Al合金の防食皮膜が形成されたLNG気化器用伝熱管3aで、前記防食皮膜として、Znおよび/またはMnそれぞれ0.3〜3.0質量%の範囲で含有し、かつZn+Mnの含有量が0.3〜3.0質量%の範囲にあり、さらにMgを0.3〜5質量%の範囲で含有するAl合金皮膜を形成したのである。低温域で腐食損傷が発生しやすいパネルUの下部側の伝熱管外表面および下部ヘッダー2外表面に対しても、耐エロージョン特性に優れ、耐久性の良好な犠牲防食効果が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、防食効果に優れたLNG(液化天然ガス)気化器用伝熱管およびこの伝熱管を用いたLNG気化器に関する。
【背景技術】
【0002】
液化天然ガス(以下LNGと記す)は、通常、低温高圧の液状で移送あるいは貯蔵され、使用される前に気化される。この気化には、大量のLNGを気化させることができるオープンラックベーパライザ(以下ORVと記す)と称される気化器が用いられる。図1は、このORVの一例を示したもので、ORVは、海水との熱交換によってLNGを加熱して気化させる熱交換器の一種である(例えば、特許文献1参照)。海水は、海水ヘッダー6から散水ノズル7を経てトラフ8に溜められ、トラフ8の側縁部から溢流、伝熱管3aをカーテン状に配列して形成されたパネル3の外面を濡らしながら垂下する。一方、LNGは、LNGマニホールド1に導入されてパネル3の下部に連結されたLNGが流通する下部ヘッダー2に送られ、海水との熱交換によって加熱されてパネル3の各伝熱管3a内で気化して上昇し、気化した天然ガス(NG)は、上部ヘッダー4、4からNGマニホールド5へ導出される。
【0003】
前記パネル3を形成する伝熱管3aの材質として、熱伝導性が良好であること、およびパネル3として要求される複雑な形状に加工しやすいことなどの観点から、通常アルミニウム合金が使用されている。アルミニウム合金は、海水に浸漬された状態では腐食しやすく、一旦腐食し始めると、腐食部分が集中的に侵食され、孔があく孔食を受けやすい欠点がある。このため、海水に浸漬されるなどの用途に用いられるアルミニウム合金については、防食処理が盛んに研究され、現在、犠牲防食作用を利用した防食処理が主流となっている。前記特許文献1では、前記LNG気化器で、パネル3の外面を濡らしながら垂下した海水が溜まった海水ポンド中に浸漬したLNGが流通する下部ヘッダー2に、パネル3(伝熱管3a)の材質であるアルミニウム合金よりも腐食されやすい亜鉛(Zn)などの金属、すなわちイオン化傾向の大きい金属または合金バルク(図示省略)を電気的に接続して犠牲陽極とし、この犠牲陽極が電気化学的に溶解して消耗することにより、対極となる下部ヘッダー2およびパネル3の表面を防食する防食処理法が開示されている。しかし、LNG気化器では、パネル3を構成する伝熱管3aの表面にトラフ8の側縁部から溢流した海水が直接当たるため、前記犠牲陽極を設けていても、いわゆるエロージョン・コロージョンによる腐食の発生は避けがたい。このため、海水が直接接触しないように、また、被覆合金が局部的に剥がれた場合でも、その防食作用によって伝熱管表面の腐食が防止されるように、伝熱管3aの表面に、その材質のアルミニウム合金よりもイオン化傾向の大きい合金(以下被覆合金と記す)を被覆することが望ましい。従来、このような犠牲防食作用を有する合金としてAl−Zn合金がよく知られ、Al−2%Zn合金、またはAl−15%Zn合金などがよく使用されている。この被覆合金を溶射して伝熱管表面に皮膜を形成することにより、腐食が有効に防止される。
【0004】
前記伝熱管表面に形成する皮膜の防食性にさらに向上させるために、例えば、特許文献2では、アルミニウムまたはアルミニウム合金の伝熱管(押出管材)の表面に、第1層として、電気化学的に犠牲層として働くZnを被覆し、熱交換器製造時のろう付けによるZnの蒸発を防止するために、第1層の上に、AlまたはAl−Ca、Al−Zn−Ca系等のAl合金を溶射して耐食性を改善したアルミニウム製熱交換器用管材が開示されている。また、特許文献3では、伝熱管表面に、Al−Zn合金層を形成し、さらにその表面にIn,Sn、HgおよびCdから選ばれる1種または2種以上の元素を含むAl−Zn合金層を形成して高い耐食性を有するようにしたAl合金製伝熱管が開示されている。一方、特許文献4では、Al合金母材管の表面に、Al−Zn合金材をクラッドして厚膜の犠牲陽極被膜を形成したORV型気化器用のフィンチューブ(フィン型伝熱管)が開示されている。
【特許文献1】特開平9−178391号公報
【特許文献2】特開平1−114698号公報
【特許文献3】特公平7−1157号公報
【特許文献4】特開平5−164496号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、ORVのパネル3の下部および下部ヘッダー2は、液体状態の天然ガスであるLNGが流通するため、氷点下まで冷却されている。このようなORVの低温領域で溢流垂下する海水に接触する状態では、伝熱管母材のアルミニウム合金表面に酸化皮膜が形成されにくくなり、Al合金からなる伝熱管母材の電極電位が、特許文献1〜4に記載されたAl−Zn合金皮膜の電極電位よりも低くなり、Al−Zn合金皮膜の犠牲防食作用が発揮されなくなり、伝熱管母材が保護されない虞がある。例えば、海水温度が高い場合、または前記パネルのLNG流通による冷却負荷が大きい場合などの環境条件によっては、Al−Zn合金皮膜の高い電位にアルミ合金伝熱管母材が引っ張られて、伝熱管母材がガルバニック腐食される虞がある。
【0006】
前記伝熱管表面に形成する皮膜には、防食性に加えて耐久性が要求される。Al合金伝熱管母材に対する犠牲防食能力に優れていても、腐食速度が速く、皮膜としての耐久性に劣る場合には、結局は伝熱管母材の損傷を来たすことになる。また、LNG気化器では、前述のように、パネル3を構成する伝熱管3aの表面にトラフ8の側縁部から溢流した海水が直接当たるため、エロージョン・コロージョンに対する対策も必要である。
【0007】
この発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、その課題は、冷却負荷が大きいため、表面に酸化皮膜が形成されにくいパネル下部側や下部ヘッダーに配置しても、Al合金母材表面の腐食損傷を防止する効果および耐久性に優れたLNG気化器用伝熱管と、この伝熱管を用いたLNG気化器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の課題を解決するために、この発明では以下の構成を採用したのである。
【0009】
即ち、請求項1に係るLNG気化器用伝熱管は、内部にLNGが流通し、外表面に海水が供給され、この海水と前記LNGとが熱交換してLNGを気化させる、外表面に防食皮膜が形成されたAl合金からなるLNG気化器用伝熱管であって、前記防食皮膜が、Znおよび/またはMnと、Mgを含有するAl合金皮膜であり、このAl合金皮膜中の、Zn+Mnの含有量、もしくはZnまたはMnの含有量が、それぞれ0.3〜3.0質量%の範囲にあり、かつMgの含有量が0.3〜5.0質量%の範囲にあることを特徴とする。
【0010】
前述のように、伝熱管のアルミニウム合金母材表面に酸化皮膜が形成されにくい環境条件下では、これらの母材合金よりもZnの自然電極電位が高くなるため、Al−Zn溶射皮膜の方が伝熱管または下部ヘッダーの母材合金よりも電位が高くなり、犠牲防食効果が得られなくなる。このため、前記アルミニウム合金表面に酸化皮膜が形成されにくい環境条件下でも、犠牲防食作用を発揮させるためには、熱力学的にAlよりも電位が低い金属の、例えば溶射加工による皮膜を形成する必要がある。このような金属としては、Mgが最適であり、Mgを含有する合金皮膜で、前記伝熱管や下部ヘッダーの材質として用いられるAl合金母材よりも「卑」な皮膜であれば、犠牲防食皮膜として良好に適用できる。なお、熱力学的にAlよりも電位が低い金属としては、Mgの他に、Hf(ハフニウム)、Ti(チタン)、Be(ベリリウム)がある。この中、Ti、Beの酸化皮膜はAlの酸化皮膜よりも強固であり、これらの金属が熱力学的にAlよりも「卑」な金属であっても、LNG気化器が運転される環境を考えると、実質的にAlよりも「貴」な金属となる。また、HfやTiを含有する金属は伸線性が著しくわるく、皮膜形成手段であるフレーム溶射に用いる溶射材に加工することも困難である。したがって、Hf、Tiを犠牲防食用皮膜に適用することはできない。一方、Beには毒性があるため、皮膜形成作業時の危険性やORV運転時の海洋汚染の問題があり、また、非常に高価な材料であるため、犠牲防食用皮膜としては不適である。
【0011】
一方、エロージョン対策としては、伝熱管のAl合金母材で、Alに固溶して母相を強化する元素を添加することが有効であり、また、この元素が化合物として析出した場合に、Al合金皮膜の電極電位を伝熱管のAl合金母材の電極電位よりも貴にしないことが必要である。前記強化元素としては、Zn、Nb、Mn、Zr、Tiなどの元素が挙げられるが、Nb、Zr、TiはAl以上に強固な酸化皮膜を形成するほかに、非常に高価な元素であり、Alとの合金化も難しいなど点から、添加元素としては不適当である。したがって、エロージョン対策としては、Znおよび/またはMnを添加元素とすることが好適である。Znおよび/またはMnは、Al合金母相に固溶している方が望ましいが、それらの添加量等によって、Zn−Mg、Mn−Mg、またはZn−Mn−Mgなど、Mgとの化合物が生成すれば、Al合金母材よりも卑な電極電位が維持される。
【0012】
Zn+Mnの含有量、もしくはZnまたはMnの含有量が0.3%未満では、固溶強化が不十分であり、必要な耐エロージョン特性が得られず、また、3.0質量%を超えるとAl合金母相の強化効果が飽和し、Al合金皮膜中に偏析して耐エロージョン特性に悪影響を及ぼす虞があり、好ましくない。また、Mg含有量が0.3%未満では、皮膜成形条件によらず、Mgがほぼ全てAl母相中に固溶するため、Al合金皮膜の電極電位をAl合金の伝熱管母相の電極電位に比べて十分に卑にする効果が得られない。また、Mg含有量が5質量%を超えると、使用環境によっては必要以上にAl合金皮膜の電極電位が卑になり、溶出するMg量が増大して腐食速度が過大になる危険性があり、好ましくない。
【0013】
請求項2に係るLNG気化器は、上記Al合金皮膜が形成された伝熱管を複数カーテン状に配列したパネルと、このパネルの上部および下部にそれぞれ連結された気化ガス排出用の上部ヘッダーおよびLNG供給用の下部ヘッダーとからなるパネルユニットを備え、前記パネルユニットの上部からパネルの表面に沿って流下させた海水と前記伝熱管内を下部ヘッダー側から上部ヘッダー側へ流通するLNGとの熱交換により、LNGを気化させるようにしたLNG気化器である。
【0014】
請求項3に係るLNG気化器は、前記伝熱管のAl合金皮膜が、少なくともパネル下部および下部ヘッダーの外表面に形成されたLNG気化器である。
【0015】
前述のように、この種のLNG気化器では、下部ヘッダーおよびパネル下部ではLNGが液体状態であるため、氷点下まで冷却されており、このような低温領域で溢流垂下する海水に接触する状態では、伝熱管母材のアルミニウム合金表面に酸化皮膜が形成されにくくなる。このため、少なくともこの低温域のパネル下部および下部ヘッダーに上述のAl合金皮膜を伝熱管に被覆しておくと、耐久性に優れた良好な防食効果が得られる。
【発明の効果】
【0016】
この発明では、LNG気化器用伝熱管の表面に、耐エロージョン特性の向上のため、伝熱管母材の固溶強化元素としてZnおよび/またはMnを添加し、熱力学的にAlよりも電位が低い金属であるMgを含有するAl合金皮膜を形成したので、低温領域で海水に接触して酸化皮膜が形成されにくい使用環境下にあり、腐食損傷が発生しやすいLNG気化器のパネル下部側の伝熱管外表面および下部ヘッダー外表面に対しても、耐エロージョン特性に優れ、耐久性の良好な犠牲防食効果が得られる。それにより、伝熱管の腐食損傷が回避されてLNG気化器の操業効率および耐用年数が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、この発明の実施形態を添付の図1に基づいて説明する。
【0018】
図1は、実施形態の伝熱管が組み込まれたLNG気化器を示したもので、複数の伝熱管3aをカーテン状に配列したパネル3と、このパネル3の上部および下部にそれぞれ連結したLNG供給用の下部ヘッダー2および気化ガス(NG)排出用の上部ヘッダー4とからなるAl合金(例えば、A3203などのAl−Mn系合金、A5083などのAl−Mg系合金、A6063などのAl−Mg−Si系合金)製の複数のパネルユニットUが並列に配置されている。前記下部ヘッダー2および上部ヘッダー4は、それぞれ下部のLNGマニホールド1および上部のNGマニホールド5に接続されている。各パネルユニットUのパネル3間の上方には、LNGを気化させる熱源としての海水を流下させるトラフ8がそれぞれ配置されている。LNGは、下部のLNGマニホールド1から下部ヘッダー2に送られ、パネル3の各伝熱管3a内を上昇する過程で前記海水と熱交換して気化し、上部ヘッダー4から上部のNGマニホールド5を経て、ガスライン(図示省略)に供給される。
【0019】
前記伝熱管3aと下部ヘッダー2のそれぞれの外表面には、Mg含有量が0.3〜5質量%、好ましくは2〜4質量%で、(Zn+Mn)含有量が0.3〜3質量%のAl−Zn−Mn−Mg合金皮膜が、溶射加工により、100〜1000μmの範囲の膜厚に形成されている。この溶射加工によるAl−Zn−Mn−Mg合金皮膜の伝熱管3aおよび下部ヘッダー2、すなわちAl合金母材への密着性を向上させるために、溶射加工による皮膜形成の前処理として、細粒のブラスト剤を用いて、前記Al合金母材の外表面に、ブラスト粗面処理が施され、溶射皮膜とAl合金母材の界面の凹凸が調整される。この界面の凹凸は、ブラスト処理の代わりに機械加工により付与することも可能である。前記Al合金皮膜は、Al−Zn−Mg合金皮膜またはAl−Mn−Mg合金皮膜であってもよい。この場合、Zn含有量またはMg含有量は、いずれも0.3〜3質量%の範囲内である。そして、この伝熱管3aへの前記Al合金皮膜の被覆は、必ずしも、伝熱管3aの全表面に施す必要はなく、少なくともパネル3の下部1m程度までの被覆でよい。なお、溶射膜形成後、Al−Mg合金皮膜への浸透性に優れた、例えば、高分子エポキシ樹脂を溶射膜表面に少なくとも1回塗布する封孔処理を施すことが望ましい。また、この封孔処理の前または/および後に、溶射皮膜表層に存在する気孔欠陥を除去するために、グラインダー研削やショットピーニングなどの機械加工を施すことがより望ましい。
【実施例1】
【0020】
LNG気化器(ORV)のパネル3と下部ヘッダー2(図1参照)付近の環境を模擬するため、まず、直径16mm、厚さ4mmのアルミニウム合金A5083の円板を準備し、この円板の中心を通る直線を境界として、一方の領域表面に、表1に示す各種組成の溶射皮膜を300μmの厚さで成膜し、溶射後は特に何の処理も施さずに、供試材とした。そして、この供試材の、溶射加工を施していない他方の領域裏面に、ペルチェ素子を密着させることにより、前記供試材の円板裏面を氷点下20℃まで冷却した、溶射皮膜が成膜された一方の領域表面を前記氷点下20℃の温度状態で、30℃の市販の人工海水(富田製薬製「マリンアートハイ」)に流速1m/sで20時間曝した後、腐食により形成された前記円板素地のくぼみ量、および溶射皮膜のくぼみ量を表面粗さ計で測定した。測定結果を表1に示す。
【0021】
表1から、従来のAl−Zn系溶射皮膜(NO.1、NO.2)の場合は、溶射皮膜のくぼみ量は1〜2μmと少なく、一方円板素地のくぼみ量は8μm程度と多く、前記海水暴露環境では溶射皮膜の犠牲防食効果があまり発揮されていないことがわかる。また、Zn、Mn、Mgの合金元素が本発明の範囲外のNO.3、NO.4、NO.5の試験片では、溶射皮膜のくぼみ量がAl合金母材(円形素地)のくぼみ量よりもやや少なく、溶射皮膜の犠牲防食効果が発揮されているとはいえない。これに対し、本発明の合金組成を有する溶射皮膜では、溶射皮膜のくぼみ量が5〜10μm程度となって、Al合金母材のくぼみ量(4.5μm以下)よりも大きく、犠牲防食効果が発現されており、かつ溶射皮膜のくぼみ量が比較的小さいことから、溶射皮膜の耐久性も良好に維持されていることがわかる。とくに、供試材NO.10〜13のように、Mg含有量が〜24質量%、Zn+Mnの含有量が1.5〜2.5質量%の場合には、Al合金母材のくぼみ量が1.5μm以下となって防食効果が極めて良好であることがわかる。また、供試材No.16〜19は、Zn、Mn、Zn+Mn、Mgの合金元素が本発明の範囲外であり、見かけ上は犠牲防食効果が認められるが、前述のように、合金元素含有量が増加することによる溶射皮膜中での偏析や腐食速度が過大になるなどの問題点があり、実用に適さない。
【0022】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】LNG気化器の斜視図である。
【符号の説明】
【0024】
1・・・LNGマニホールド
2・・・下部ヘッダー
3・・・パネル
3a・・・伝熱管
4・・・上部ヘッダー
5・・・NGマニホールド
6・・・海水ヘッダー
7・・・散水ノズル
8・・・トラフ
U・・・パネルユニット























【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部にLNGが流通し、外表面に海水が供給され、この海水と前記LNGとが熱交換してLNGを気化させる、外表面に防食皮膜が形成されたAl合金からなるLNG気化器用伝熱管であって、前記防食皮膜が、Znおよび/またはMnと、Mgを含有するAl合金皮膜であり、このAl合金皮膜中の、Zn+Mnの含有量、もしくはZnまたはMnの含有量が、それぞれ0.3〜3.0質量%の範囲にあり、かつMgの含有量が0.3〜5.0質量%の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載のLNG気化器用伝熱管。
【請求項2】
請求項1に記載の溶射皮膜が形成された伝熱管を複数カーテン状に配列したパネルと、このパネルの上部および下部にそれぞれ連結された気化ガス排出用の上部ヘッダーおよびLNG供給用の下部ヘッダーとからなるパネルユニットを備え、前記パネルユニットの上部からパネルの表面に沿って流下させた海水と前記伝熱管内を下部ヘッダー側から上部ヘッダー側へ流通するLNGとの熱交換により、LNGを気化させるようにしたLNG気化器。
【請求項3】
前記伝熱管のAl合金皮膜が、少なくともパネル下部および下部ヘッダーの外表面に形成された請求項2に記載のLNG気化器。

【図1】
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【公開番号】特開2007−78049(P2007−78049A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−265667(P2005−265667)
【出願日】平成17年9月13日(2005.9.13)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】