ME−5、ME−2、及びEPP2:子宮内膜症に罹患している女性の血清中に存在する自己抗体と反応するヒト蛋白質抗原
【課題】子宮内膜症を特異的に診断するためのツール
【解決手段】3個のヒト子宮内膜抗原、ME-5、ME-2及びEPP2、並びにそれらの組み合わせを、子宮内膜症に罹患している女性の血清中に存在する抗体のターゲットとし、これらの蛋白質生成物及びヒト抗体のそれらとの反応性を、子宮内膜症患者を診断する診断(用)のアッセイ用ツールとして使用する。
【解決手段】3個のヒト子宮内膜抗原、ME-5、ME-2及びEPP2、並びにそれらの組み合わせを、子宮内膜症に罹患している女性の血清中に存在する抗体のターゲットとし、これらの蛋白質生成物及びヒト抗体のそれらとの反応性を、子宮内膜症患者を診断する診断(用)のアッセイ用ツールとして使用する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、子宮内膜症に罹患している女性の血清中に存在する自己抗体と反応するヒト蛋白質抗原に関し、特にME-5、ME-2、及びEPP2に関する。
【背景技術】
【0002】
子宮内膜症は女性の生殖器関係の障害であり、正常な子宮位置の外側に子宮内膜組織が存在する特徴を有する。最もしばしば、子宮内膜症組織は腹腔中に存在し、その場所にある種々の組織及び器官へ付着する。子宮内膜症は、年間約500万人の米国女性が罹患し、出産可能年齢の女性の有病率は10〜15%である良性な病気である。その発生率は不妊症であるか骨盤痛を訴える女性では60〜80%へ増加する(D.Gosselinら[1999]Curr.Opin.Onco.Endo.& Metabol.Invest.Drugs 1:31)。女性を子宮内膜症へ罹患しやすくする条件は未だ不明である。幾つかの信頼できる報告は逆行性月経は重要な寄与因子である可能性を示すが、このプロセス(逆行性月経)は多くの女性で普通であると考えられる。この理論は又、正常又は理想的子宮内膜と病気の患者中に見られる異所性組織との間に発生する実質的な相違を主な理由として、近年疑問視されている(D.B.Redwine[2002]Fert.Steril.78:686)。その結果、他の遺伝的因子及び免疫学的因子が、罹患しやすい女性での病気の進行に主要な役割を果たすと考えられている。例えば、子宮内膜症は、罹患女性の第一度近親者では、個体群の残りと比べてより高い発生率であると考えられる(Coxhead及びThomas[1993]J.Obstet.Gynacol.13:42)。発生率に加えて、この病気は又、子宮内膜症の第一度近親者である女性でより重篤であることが報告されている(Thomas及びCampbell[2000]Gynacol.Obstet.Invest.50:2)。この障害に関連する明確な遺伝子は知られていないが、そのパターンは、本質的に母方由来であることが非常に推定される。
【0003】
生命を脅かすものではないが、子宮内膜症は、実質的腹部不快感を生じ、不妊の原因となる可能性がある。しかし臨床的なこれらの兆候は実際、他の女性特有の健康障害を表示するので、子宮内膜症の診断が臨床的課題となる。これは、子宮内膜症の診断の遅れの結果に関する近年の研究で強調された(G.K.Husbyら[2003]Acta.Obstet.Gynecol.Scand.82:649)。これらの研究者は、痛みの発生及び子宮内膜症の最終的診断の間に3〜11年の遅れがあることを報告した。この研究では、不妊及び痛みの両方を訴える女性でも、診断の遅れはあまり短くなかった。報告されたこれら兆候に関するこれら遅延は、明らかに相当な量の経済的及び精神的資源の浪費に結びつく。
【0004】
現在外科的腹腔鏡検査は、子宮内膜症の診断の最標準であると考えられている。腹腔鏡検査で、この病気はステージI(軽い病気、1〜5点)からIV(重症の病気、>40点)までポイントシステムを使用して視覚的に段階化される。点は、病変の位置、大きさ、及び深さ(深さがあるか表面的であるか)等の幾つかのパラメーターに従い決定される(T.P.Canavan及びL.Radosh[2000]Postgrad.Med.107:213)。幾つかの意見では(腹腔鏡)操作による危険の可能性を示し、しばしば腹腔鏡はこの病気の決定的な診断をもたらさない(S.Pillaiら[1996]Am.J.Reprod.免疫35:483)。例えば、腹腔鏡は主要な手術として区分されていないが、それは幾つかの特徴(侵襲的、高価、麻酔の必要性、及び完全な手術施設)を有し、それら特徴全体から、この(腹腔鏡)操作を少なくとも診断のためには不都合のある選択とする。実際、子宮内膜症は致命的な障害ではないが、腹腔鏡検査自体は生命の危険性がある。腹部通過進入事故は、この操作による合併症の50%の原因であり、主要な血管への傷害は、死亡率15%の原因となることが報告された(I.A.Brosens及びJ.J.Brosens[2000]Eur.J.Obstet.Gynecol.Reprod.Biol.88:117)。他の欠点として、病気の視覚的ステージ化は、不妊の程度、重篤度、又は兆候の数と相関関係にないことが報告された(T.P.Canavan及びL.Radosh[2000]Postgrad.Med.107:213)。子宮内膜症の診断での腹腔鏡検査の適用場所は再評価されるべきであることが報告された(I.A.Brosens及びJ.J.Brosens[2000]Eur.J.Obstet.Gynecol.Reprod.Biol.88:117)。この理論的根拠は、軽い子宮内膜症は病気では全くなく、全ての女性が子宮内膜症であることを何人かが示唆したことを理由の一部としている(P.R.Koninckx[1994]Hum.Reprod.9:2202)。更に上記記載のように、軽い病気以外のステージでは機能的症状(例えば、不妊、腹部痛み等)があり、それらは更に一般的に診断に利用できる。その結果、従来の「最標準となるもの」は、適切な生物化学的マーカーが特定されるまで、経膣的腹腔鏡検査(THL、より負担の少ない操作)及び磁気共鳴(MR)映像法の組み合わせにより置き換えることが提案された(I.A.Brosens及びJ.J.Brosens[2000]Eur.J.Obstet.Gynecol.Reprod.Biol.88:117)。
【0005】
子宮内膜症の発生率及びこの障害の診断困難性は共に、これら血清ベースの生物化学的マーカーを特定するために設計された実験の適切な理由となる。他の診断フェーズプログラムは、存在する子宮内膜病の可能なマーカーのそれを含むものである。例えば、上皮性卵巣−由来の抗原CA-125のレベルは、子宮内膜症患者の血清、腹水、及び月経性流体中で上昇することが報告された(B.Molら[1998]Fertil.Steril.70:1101)。このマーカーは、良好な特異性を示したが、PID、卵巣癌、又は頸癌患者中での高いレベルに比べ感度が低かった。限界はあるが、CA-125レベルは病気の程度及び治療への反応とある程度相関関係にあるために、マーカーをこの病気にかかる虞のある患者に使用して腹腔鏡検査をより早く行わせることができる(T.P.Canavan及びL.Radosh[2000]Postgrad.Med.107:213)。
【0006】
同様に、Sharpe-Timmsら(Biol.Reprod.[1998]58:988)は、げっ歯類モデルシステムでは子宮内膜症病変はハプトグロビン様蛋白質を分泌することを報告した。ハプトグロブリンは子宮内膜症組織により特異的に合成され、感度の高い逆転写酵素PCR技術を使用しても子宮組織中に検出できない。この抗原も又、癌細胞機能を調整し、子宮内膜症の病理生理へ寄与できることが報告されて注目されている。
【0007】
僅かに異なった研究方向では、D.Gosselinら(Curr.Opin.Oncol.Endo.Metabol.Inv.Drugs[1999]1:31)は、子宮内膜症患者の末梢血及び子宮内膜中の、T及びB細胞、マクロファージ、及びNK細胞のサブセット上に存在する白血球マーカーの、幾つかの異なった組み合わせを使用する診断用のアルゴリズムを報告した。これは、カナダ保健省により承認されているPROCREA Biosciences、Inc.社製、診断用試験(Metrio Test(商標))の発展の基礎を形成した。Metrio Testは、ELISAにより評価される血液生物化学的マーカーと組み合わせたフローサイトメトリ分析による8種の固有の白血球サブセットの評価に基づく(J.BrosensらObstet.Gynecol.Clin.North Am.[2003]30:95-114)。この報告されたテストは95%の特異性及び感度61%である。
【0008】
P.Viganoら(Obstet.Gynecol.[2000]95:115-118)は、細胞間付着分子1の可溶体が子宮内膜により放出され、これらの放出は患者の子宮内膜症の範囲(インプラントの数)と相関関係にあることを報告した。彼らは、可溶性細胞間付着分子1は、逆流した子宮内膜の広がり性を評価する値となりうることを示唆した。しかし、可溶性細胞間付着分子1は同様に、他の病気症状でも放出されることが知られており、この蛋白質のマーカーとしての使用可能価値は幾分減少する。
【0009】
J.Mahnkeら(Fertil.Steril.[2000]73:166-170)は、子宮内膜症の女性の腹水中のVEGF及びIL−6レベルを評価し、それらが病気が進行した患者中では上昇することを発見した。VEGF及びIL−6のレベルは、正常な女性及び病気の軽い患者では低かった。それでも、これらマーカーの診断値は、少なくともVEGFは正常な子宮内膜中の低酸素症により調節される可能性のある血管形成誘導因子として知られているため疑わしい(A.M.SharkeyらJ.Clin. Endocrinol.Metab.[2000]85:402-409)。
【0010】
Matalliotakis及びその共同研究者(Obstet.Gynecol.[2000]95:810-813)は、子宮内膜症の女性の血清中ではコントロール固有群と比較して可溶性CD23レベルが上昇することを発見した。CD23レベルは、ダナゾール又は酢酸ロイプロリドのいずれかでの治療中に非常に減少した。可溶性CD23レベル及び患者の子宮内膜症の重篤度の間には相関性は観察できなかった。上記他の仮想マーカーの幾つかのように、CD23は自己抗体製造に関係する病状と関連し、この蛋白質のレベルは自己免疫病患者中で上昇した。
【0011】
数多くの研究者によりなされた実質的努力、及び上記参照した刊行物中の報告にもかかわらず、子宮内膜症用の真に採用できるマーカーは発見されていない。更に、病気の物理的及び経済的影響、並びに障害診断の困難性は、適切なマーカーの探求が続けられることを求めている。その結果、本発明で開示された活動は、医者が患者のこの病気を検出するのを助ける子宮内膜症のマーカーを特定することを目的としている。他のグループも、これらの研究を行い、これらの発見は数多くの特許書類の内容となっているが、本発明で記載されたME-5、ME-2及びEPP2マーカーの発見とは実質的に異なる。米国特許出願第2003/0032044号には、生殖器関係の管障害を、試料中のインターロイキンIL−13及びIL−15レベルを測定して一般的に検出する方法が記載されている。別の米国特許出願第2002/0192647号では、VEGFR−1遺伝子中の単一のヌクレオチド多形性を測定して、血管形成由来の病気の診断方法を提供している。子宮内膜症は、この血管形成由来の病気群の一種に区分されるが、上記特許請求の範囲のいずれの対象でもない。米国特許出願第2001/046713及び2001/044158号には、試料中の抗−Tomsen-Frienenreich抗体を検出することによる子宮内膜症の診断方法が記載されている。発行された米国特許第6376201号には、子宮内膜症の診断に、主要な組織適合性複合体−クラスI抗原を使用して、上記Metrio Testの基礎を形成することが記載されている。この特許中、MHC−クラスI抗原は、試料中で特別なモノクローナル抗体により検出され、同様の開示は米国特許第5618680号及び国際公開第0043789号にも記載されている。子宮内膜症の診断方法は米国特許第6540980号にも記載されており、好酸球ペルオキシダーゼレベルを測定する。米国特許第6525187号には、患者血清中に存在する自己抗体のターゲットである子宮内膜症の明らかに新規なマーカーが記載されている。子宮内膜症の診断の別の方法が米国特許第6387629号に記載されており、それは、臨床サンプル中のプロテアーゼカテプシンSの測定に基づく。子宮内膜出血関連因子(ebaf)をエンコードする遺伝子が米国特許第6294662号に記載されており、この遺伝子は子宮内膜症の診断に使用できる。しかしebaf遺伝子は、ヒト中の特定の癌(結腸、卵巣、又は精巣)の早期の診断に、より有効に利用できると思われる。米国特許第5877284号には、別の有望な子宮内膜症のマーカーが記載されている。このマーカーは、小さな可溶性蛋白質であり、アフィニティクロマトグラフィーにより子宮内膜症の女性の腹水から単離され、この蛋白質は好中球及びマクロファージへの走化性作用を有する。ヒト子宮内膜機能の検出プロセスは、米国特許第4489166号に記載されており、臨床サンプル中のプロゲストーゲン関連子宮内膜蛋白質(PEP)の定量分析を行う。欧州特許第1191107号には、子宮内膜症の診断方法が記載されており、15の異なるヒト遺伝子グループの1個のレベルの減少を測定する。免疫学的測定プロセスは、欧州特許第0387027号に記載されており、試料を抗−子宮内膜症モノクローナル抗体で評価することにより患者の子宮内膜症を診断する。また、子宮内膜症の診断方法が国際公開第0063675号に記載されており、患者中の生物学的流体中の子宮内膜症因子の増加したレベルを検出する。国際公開第9963116号では、子宮内膜組織中のプロサイモシン量の増加を測定して子宮内膜症を診断する方法を提供する。
【0012】
米国特許第6531277号は、子宮内膜症固有の分泌性蛋白質を開示する。その明細書では、子宮内膜組織のストローマ細胞により生成されるヒトENDO−1の特性を開示した。このENDO−1蛋白質は、分子量40〜50キロダルトン、等電点4.0〜5.5である。この書類の特許請求の範囲は、子宮内膜症組織サンプル中のENDO−1mRNAの発現の違いを測定する分子診断用アッセイに主に関係する。関連する米国出願第2002/0009718号の発明は、免疫学的測定を使用して患者サンプル中のENDO−1糖蛋白質を測定し、子宮内膜症の存在を確定する。それでも、これら書類中に表されたENDO−1の特性は、本発明に記載されているマーカーとは非常に異なっていることを示す。例えばSDS PAGE及びウェスタンブロット法により測定すると、ME-5、ME-2及びEPP2蛋白質は、それぞれ約38、49、及び9キロダルトンの大きさである。ME-2マーカーのみがENDO−1として特定された範囲内であるが、ME-2の等電点は8.8であるから、これら特許に関連する蛋白質ではない。同様に、ME-5及びEPP2抗原の等電点は、それぞれ5.7及び12.5であり、やはりENDO−1蛋白質として特定された値の範囲を充分超えている。更にENDO−1マーカーは、ハプトグロブリン蛋白質ファミリーのメンバーであるが、核酸及びアミノ酸配列を比較すると、ME-5、ME-2及びEPP2マーカーはこの蛋白質ファミリーとは関係しないことが示される。
【0013】
又別の開示では米国特許第5843673号は、腹水又は血清サンプル中の28〜32キロダルトン分子量の糖蛋白質量の減少を測定して女性の子宮内膜症をスクリーニングする方法を提供している。この蛋白質は、等電点が7.0〜9.0であり、子宮内膜起源のストローマ細胞により特異的に分泌される。書類中に開示された糖蛋白質は、蛋白質のアミノ末端領域中で測定されるアミノ酸配列特性(同一性)のおかげで、金属蛋白質分解酵素(metalloproteinase)1(TIMP-1)の組織阻害剤に関係する。この特許中、血清又は腹水中に存在するTIMP-1のレベルが減少した患者中では子宮内膜症が存在することが示された。本発明のME-5、ME-2及びEPP2蛋白質はTIMP-1とは関係なく、それらはこの蛋白質ファミリーと相同性のある測定可能な蛋白質又は核酸でもない。更に上記のように、ME-5、ME-2及びEPP2蛋白質の生物化学的性質はTIMP-1のそれと異なり、それぞれTIMP-1として規定された範囲よりかなり大きいか小さい(それぞれ38、49、又は9キロダルトン)。ME-2の等電点はTIMP-1の範囲よりも上であり、ME-5の等電点は5.7であり、EPP2は12.5であり、より異なっている。
【0014】
子宮内膜症に関係する蛋白質試薬の別の開示は国際公開第01/32920号の書類に含まれ、33遺伝子及びそれらの蛋白質生成物の全てはこの病気に関係すると推測された。これら仮想子宮内膜症マーカーは、罹患した子宮内膜中の遺伝子発現のパターンを正常な組織のそれと比較して特定した。この書類で使用された特異的な表示をする逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応は、mRNAの発現レベルの差異に基づく病気関連遺伝子を特定するために設計された純粋に遺伝的スクリーニングアプローチである。比較されたmRNA個体群は、通常正常な健康な子宮内膜及び罹患した対応部分であり、理想的には両方とも病気に悩んでいる単一の患者から単離される。この技術はmRNAによりエンコードされた蛋白質の機能的活性を検出せず、病気の特徴、兆候、又は身体の病気への応答に基づいては試料を検査しない。後者の方法は、下記記載のようにおそらくマーカー発見のより良いアプローチである。この書類で示された個々の核酸配列は、下記一般群に含まれる;プロテアーゼ又はプロテアーゼ阻害剤、腫瘍サプレッサ蛋白質、免疫系蛋白質、炎症応答性蛋白質、酵素、脂質結合蛋白質、転写因子、及びマトリックス又は細胞付着分子。国際公開第01/32920号に記載されている遺伝子の全ては公知であり、公共データベースに開示された核酸配列によりそれらを特定できる。子宮内膜症中にいずれにせよ含まれるとして特定され関係付けられた個々の核酸配列は下記の通りである:カテプシンD、AEBP−1、ストロメリシン−3、シスタチンB、プロテアーゼ阻害剤1、sFRP4、ゲルソリン、IGFBP−3、二重特異性ホスファターゼ1、PAEP、免疫グロブリンλ鎖、フェリチン、補体3、プロ−α−1型IIIコラーゲン、プロリン4−ヒドロキシラーゼ、α−2型Iコラーゲン、クローディン−4、黒色腫付着蛋白質、プロコラーゲンC−エンドペプチダーゼエンハンサー、未完成ポリペプチド関連複合体αポリペプチド、延長因子1α(EF−1α)、ビタミンD3 25ヒドロキシラーゼ、CSRP−1、ステロイド産生急性調節蛋白質、アポリポ蛋白質E、トランスコバラミンII、プロサポシン、初期成長応答1(EGR1)、リボソーム蛋白質S6、アデノシンデアミナーゼRNA−特異的な蛋白質、RAD21、グアニンヌクレオチド結合蛋白質βポリペプチド2様1(RACK1)、及びポドカリキシン(国際公開第01/32920号中の資料参照)。上記試薬を使用する子宮内膜症の診断の全ては、遺伝子の発現レベルの評価を含む。本発明で記載されたME-5、ME-2及びEPP2蛋白質並びに核酸も同様に、公知でありデータベース中に示されている(下記実施例1参照)。しかし、ME-5、ME-2、又はEPP2配列のいずれも、上記グループのいずれかに該当することはなく、コンピュータ補助相同性比較又は、蛋白質配列中に存在する認識可能な共通配列(モチーフ)の存在に基づく予測される機能のいずれかにより、上記試薬のいずれかに対応することもない。類似遺伝子発現を基礎とする方法がS.Babanらの米国特許出願第2002/0127555号に示された発明中に採用され、そこでは14遺伝子が病気のない女性と比較して子宮内膜症患者中では過剰発現していることが発見された。過剰発現遺伝子は、NADHデヒドロゲナーゼ、hUCC1、パラレミン、クエン酸輸送蛋白質。HIF1−α、ARNT、Glut−1、MnSOD、GPx、ATPシンターゼ、c−jun、Cx43、HSP70、及びcox2である。更にこの書類では、19遺伝子が、病気のない女性と比較して子宮内膜症患者中では低発現であることも報告された。罹患した子宮内膜組織中で低発現する遺伝子は、Cap43、RNAヘリカーゼ、CO3、FKHR、AK3、カタラーゼ、GST、eNOS、12SrRNA、TI227H、CO2、アコニターゼ、ANT−1、Bcl−2、COUP−TF、IL−1β、HSP90、GPx4、及びGRP78である。又別の遺伝子発現方法がH.Hess-Stumppらにより記載された。米国特許出願第2003/0077589号では、子宮内膜症で過剰発現する15遺伝子を発見している。過剰発現遺伝子は、フィブロネクチン、IGFBP−2、経膜的レセプターPTK7、血小板由来増殖因子α、コラーゲン型XVIIIα1、サブチリシン様蛋白質(PACE4)、ラミニンM鎖(メロシン)、エラスチン、コラーゲン型IVα2、p27インターフェロンα−誘導遺伝子、レティキュロカルビン、アルデヒドデヒドロゲナーゼ6、gravin、ニドジェン、及びホスホリパーゼCεである。又上記の通り、本発明のME-5、ME-2及びEPP2蛋白質並びに核酸配列は、後ろの2件の特許に記載されたいずれの遺伝子にも関係しない。
【0015】
これら3件の書類の結果を一緒に比較すると、それらの全てが、子宮内膜症で過剰発現する62個の遺伝子及び低発現する19個の遺伝子の合計を特定するために類似するが同一ではない遺伝子発現方法を採用したことは興味深い。このことから記載された81個の遺伝子は子宮内膜病に関連又は関係することが示される。驚くべきことに、これら3個の独立した研究では、単一のヒト遺伝子又は遺伝子の単一のクラスが子宮内膜症と関連することは、一貫して発見されていない。ある遺伝子が正常な対応物に比べて子宮内膜症組織内で発生した変化のために過剰発現した場合には、罹患した組織の遺伝子発現プロファイルを評価する全ての研究中で再現性よく特定されることが、通常期待される。これは、別の方法でうまく設計された研究中では行われていないように思われ、遺伝子発現探査技術のみに基づくマーカーの発見への方法の追求へ導く。
【0016】
国際公開第94/28021号の書類には、子宮内膜蛋白質、抗原性化合物、及び子宮内膜症検出方法が記載されている。この開示には分子量及び等電点により特定された子宮内膜症固有の蛋白質が含まれる。記載された多くの請求項(に記載されている特性)は、サイズのみに基づくが、残りは分子量及び等電点を規定している。上記書類中の主要な子宮内膜症抗原であり、最初の請求項に記載されているものは、分子量64キロダルトンであり等電点3.5である。その抗原は、子宮内膜症患者から得られた試料中の抗体を測定するために使用され、同様にそれ自体、患者のサンプル中の存在量を直接測定される。更に、94キロダルトン及び等電点3.5の、より大きい分子量を有する子宮内膜症蛋白質も、多分より小さい抗原用と同じ方式で使用されるものとして同様に記載されている。この書類では同様にこれらの蛋白質用核酸をクレームしているが、これらの配列では、本発明のME-5、ME-2及びEPP2蛋白質並びに核酸との比較を可能とする充分な詳細が示されていない。少量のアミノ酸配列が国際公開第94/28021号に示されているが、その書類中にはたったの17残基しか示されておらず、これらの半分以上は不明瞭である。類似する出願は本発明で記載されたME-5、ME-2及びEPP2蛋白質を想像させるが、上記記載された抗原は、本発明で示された3種の子宮内膜症抗原のそれらと、いずれの報告された性質でも匹敵しない。最初に、アミノ末端蛋白質配列の不明瞭でない残基はいずれも、ME-5、ME-2及びEPP2の対応する領域中には存在しない。更に、ME-5、ME-2及びEPP2蛋白質のサイズは、38、49、及び9キロダルトンであり、上記概説された書類中に記載された抗原よりも非常に小さい。更にME-5、ME-2及びEPP2の等電点は5.7、8.8及び12.5であり、他の蛋白質として記載された値をかなり超える。以上より、本発明の子宮内膜ME-5、ME-2及びEPP2抗原は、国際公開第94/28021号に記載されている蛋白質とほとんど共通しないと言える。
【0017】
子宮内膜症の診断用方法及び試薬は、ニュージーランド特許(NZ)第232801号にも記載されており(同様に欧州特許出願第EP−A−0387027号)、本質的に抗−子宮内膜症抗体を使用して患者試料中の子宮内膜症抗原を測定して行われる。分子量が50〜173キロダルトンにわたる種々の抗原が書類中に記載されたが、蛋白質のその他の更なる特性は記載されていない。これらの蛋白質は、培養媒体及び2774卵巣癌細胞の細胞質から混合物として単離され、他の同様に培養されたセルラインからも得ることが出来る。同様に、開示中に記載されたのは、それが卵巣癌関連の抗原と反応するため、最初に単離されたヒトIgMモノクローナルである抗−子宮内膜抗体である。抗体の単離は明らかに、子宮内膜症と関連のない一連の作用を通して行われ、卵巣癌抗原ターゲットは明らかに充分には特徴を特定されていない。抗体は患者のリンパ球とヘテロミエローマとの融合により形成され、モノクローナルの子宮内膜抗原との反応性が次に明らかに発見される。とにかく、示された評価に基づくと、NZ第232801号のいずれの蛋白質も、より小さい本発明のME-5、ME-2及びEPP2蛋白質と同じとは認められない。
【0018】
抗−子宮内膜抗体と反応性のある別のシリーズの子宮内膜抗原が、国際公開第92/18535号に記載されており、これらも同様にSDS PAGE分析により分子量で特徴付けられている。記載された蛋白質抗原フラグメントは、上皮性腺癌細胞の細胞質から単離され、子宮内膜症の指標である子宮内膜抗体の検出に使用できるものとして記載されている。その抗原は、63〜67、33〜37、40〜44、31〜35、及び57〜64キロダルトンのサイズを有する細胞質性蛋白質である。その値は単一の蛋白質種に帰属すると思われるが、サイズ範囲は使用されたSDS PAGEアッセイ方法で固有の誤差(+10%)を反映するように書類中で表される。明らかに使用に好ましい蛋白質は、33〜37、40〜44、及び57〜59キロダルトン蛋白質である。33〜37及び40〜44蛋白質は、書類中で抗原の源として使用するために研究されたセルラインの大部分中に存在するように見える一方、57〜59蛋白質フラグメントは、T47D胸癌細胞ラインに由来する。書類には、子宮内膜抗体を測定するために固体サポート上に個々に(又は混合されて)固定化されたこれらの蛋白質の使用が記載されている。もちろん類似する出願は、ME-5、ME-2及びEPP2抗原をも想像させるが、しかし33〜37キロダルトンフラグメントの可能性を除いては国際公開第92/18535号中の開示と比較されるこの書類中にほとんど存在しない。
【特許文献1】米国特許出願第2003/0032044号明細書
【特許文献2】米国特許出願第2002/0192647号明細書
【特許文献3】米国特許出願第2001/046713号明細書
【特許文献4】米国特許出願第2001/044158号明細書
【特許文献5】米国特許第6376201号明細書
【特許文献6】米国特許第5618680号明細書
【特許文献7】国際公開第0043789号公報
【特許文献8】米国特許第6540980号明細書
【特許文献9】米国特許第6525187号明細書
【特許文献10】米国特許第6387629号明細書
【特許文献11】米国特許第6294662号明細書
【特許文献12】米国特許第5877284号明細書
【特許文献13】米国特許第4489166号明細書
【特許文献14】欧州特許第1191107号明細書
【特許文献15】欧州特許第0387027号明細書
【特許文献16】国際公開第0063675号公報
【特許文献17】国際公開第9963116号公報
【特許文献18】米国特許第6531277号明細書
【特許文献19】米国出願第2002/0009718号明細書
【特許文献20】米国特許第5843673号明細書
【特許文献21】国際公開第01/32920号公報
【特許文献22】米国特許出願第2002/0127555号明細書
【特許文献23】米国特許出願第2003/0077589号明細書
【特許文献24】国際公開第94/28021号公報
【特許文献25】ニュージーランド特許第232801号明細書
【特許文献26】欧州特許出願第EP−A−0387027号明細書
【特許文献27】国際公開第92/18535号公報
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明のまとめ
ME-5(SEQ ID NO:3)の少なくとも5アミノ酸のポリペプチドエピトープをエンコードするSEQ ID NO:2から単離されたヌクレオチド配列を含有する組み換え型ポリヌクレオチドであり、上記エピトープは子宮内膜症と診断される患者からの抗体と特異的に結合するポリヌクレオチド。
そのアミノ酸配列が、SEQ ID NO:3又はSEQ ID NO:3の対立遺伝子変異体の配列と実質的に同一である精製組み換え型ME-5ポリペプチド。
ME-5(SEQ ID NO:3)の少なくとも5アミノ酸のエピトープを含有する精製ポリペプチドであり、上記エピトープは子宮内膜症と診断される患者からの抗体と特異的に結合するポリペプチド。
ME-5ポリペプチド(SEQ ID NO:3)のエピトープへ特異的に結合する抗体から本質的に構成される組成物。
【0020】
下記ステップを含有する、サンプル中のME-5ポリペプチド(SEQ ID NO:3)検出方法:
(a)サンプルをME-5ポリペプチドのエピトープへ特異的に結合する抗体と接触させるステップ、及び
(b)その抗体及びME-5ポリペプチド間の特異的な結合を検出するステップ;
但し、特異的な結合はサンプル中のME-5ポリペプチドの検出を可能とする。
下記ステップを含有する、ヒト患者の子宮内膜症の診断方法:
(a)患者からのサンプル中の、ME-5(SEQ ID NO:3)ポリペプチドのエピトープへ特異的に結合する抗体の実験値(量)を検出するステップ;及び
(b)実験値(量)を子宮内膜症に罹患していない被検体からのコントロールサンプル中の抗体の正常範囲と比較するステップ、
但し、正常範囲を超える実験値(量)は子宮内膜症の診断の正の指標を示す。
【0021】
ME-2(SEQ ID NO:6)の少なくとも5アミノ酸のポリペプチドエピトープをエンコードするSEQ ID NO:5から単離されたヌクレオチド配列を含有する組み換え型ポリヌクレオチドであり、上記エピトープは子宮内膜症と診断される患者からの抗体と特異的に結合するポリヌクレオチド。
そのアミノ酸配列が、SEQ ID NO:6又はSEQ ID NO:6の対立遺伝子変異体の配列と同一である、精製組み換え型ME-2ポリペプチド。
ME-2(SEQ ID NO:6)の少なくとも5アミノ酸のエピトープを含有する精製ポリペプチドであり、上記エピトープは子宮内膜症と診断される患者からの抗体と特異的に結合するポリヌクレオチド。
ME-2ポリペプチド(SEQ ID NO:6)のエピトープへ特異的に結合する抗体から本質的に構成される組成物。
【0022】
下記ステップを含有する、サンプル中のME-2ポリペプチド(SEQ ID NO:6)検出方法:
(a)サンプルをME-2ポリペプチドのエピトープへ特異的に結合する抗体と接触させるステップ、及び
(b)その抗体及びME-2ポリペプチド間の特異的な結合を検出するステップ;
但し、特異的な結合はサンプル中のME-2ポリペプチドの検出を可能とする。
下記ステップを含有する、ヒト患者の子宮内膜症の診断方法:
(a)患者からのサンプル中の、ME-2ポリペプチド(SEQ ID NO:6)のエピトープへ特異的に結合する抗体の実験値(量)を検出するステップ;及び
(b)実験値(量)を子宮内膜症に罹患していない被検体からのコントロールサンプル中の抗体の正常範囲と比較するステップ、
但し、正常範囲を超える実験値(量)は子宮内膜症の診断の正の指標を示す。
【0023】
EEP2(SEQ ID NO:9)の少なくとも5アミノ酸のポリペプチドエピトープをエンコードするSEQ ID NO:8から単離されたヌクレオチド配列を含有する組み換え型ポリヌクレオチドであり、上記エピトープは子宮内膜症と診断される患者からの抗体と特異的に結合するポリヌクレオチド。
そのアミノ酸配列が、SEQ ID NO:9又はSEQ ID NO:9の対立遺伝子変異体の配列と同一である精製組み換え型EEP2ポリペプチド。
EPP2(SEQ ID NO:9)の少なくとも5アミノ酸のエピトープを含有する精製ポリペプチドであり、上記エピトープは子宮内膜症と診断される患者からの抗体と特異的に結合するポリペプチド。
EEP2ポリペプチド(SEQ ID NO:9)のエピトープへ特異的に結合する抗体から本質的に構成される組成物。
【0024】
下記ステップを含有する、サンプル中のEPP2ポリペプチド(SEQ ID NO:9)検出方法:
(a)サンプルをEPP2ポリペプチドのエピトープへ特異的に結合する抗体と接触させるステップ、及び
(b)抗体及びEPP2ポリペプチド間の特異的な結合を検出するステップ;
但し、特異的な結合はサンプル中のEPP2ポリペプチドの検出を可能とする。
下記ステップを含有する、ヒト患者の子宮内膜症の診断方法:
(a)患者からのサンプル中の、EEP2ポリペプチド(SEQ ID NO:9)のエピトープへ特異的に結合する抗体の実験値(量)を検出するステップ;及び
(b)実験値(量)を子宮内膜症に罹患していない被検体からのコントロールサンプル中の抗体の正常範囲と比較するステップ、
但し、正常範囲を超える実験値(量)は子宮内膜症の診断の正の指標を示す。
【0025】
下記群から選ばれた少なくとも一種を含有する組成物;
そのアミノ酸配列が、SEQ ID NO:3又はSEQ ID NO:3の対立遺伝子変異体の配列と実質的に同一である精製組み換え型ME-5ポリペプチド;
そのアミノ酸配列が、SEQ ID NO:6又はSEQ ID NO:6の対立遺伝子変異体の配列と実質的に同一である精製組み換え型ME-2ポリペプチド;及び
そのアミノ酸配列が、SEQ ID NO:9又はSEQ ID NO:9の対立遺伝子変異体の配列と実質的に同一である精製組み換え型EEP2ポリペプチド。
下記群から選ばれた少なくとも一種を含有する組成物;
ME-5(SEQ ID NO:3)の少なくとも5アミノ酸のエピトープを含有する精製ポリペプチド;
ME-2(SEQ ID NO:6)の少なくとも5アミノ酸のエピトープを含有する精製ポリペプチド;及び
EPP2(SEQ ID NO:9)の少なくとも5アミノ酸のエピトープを含有する精製ポリペプチド;
但し、上記エピトープは、子宮内膜症と診断される患者からの抗体と特異的に結合する。
下記ステップを含有する、ヒト患者の子宮内膜症の診断方法:
(a)患者からのサンプル中の、ME-5ポリペプチド(SEQ ID NO:3)、ME-2ポリペプチド(SEQ ID NO:6)、EEP2ポリペプチド(SEQ ID NO:9)の群から選ばれた少なくとも一種へ特異的に結合する抗体の実験値(量)を検出するステップ;及び
(b)実験値(量)を子宮内膜症に罹患していない被検体からのコントロールサンプル中の抗体の正常範囲と比較するステップ、
但し、正常範囲を超える実験値(量)は子宮内膜症の診断の正の指標を示す。
【0026】
上記記載のように、かなりの発見が子宮内膜症のマーカー候補として記載されている。それらのいずれも本発明のME-5、ME-2、又はEPP2蛋白質並びに核酸配列には対応しない。従って、本発明のME-5、ME-2及びEPP2蛋白質は、新規な子宮内膜症用マーカー及びその障害に罹患した女性により生成される抗−子宮内膜抗体のターゲットである。本発明のME-5、ME-2及びEPP2マーカーの発見は、子宮内膜症に罹患している女性は、彼女らの免疫系中に欠陥があるという知見に基づいて予測された。いくつかの免疫系問題は、子宮内膜抗原に対する自己抗体の存在下で発現することが推測された。別の研究者は(S.Pillaiら[1998]Am.J.Reprod.Immunol.39:235;Van Voorhis及びStovall[1997]J.Reprod.Immunol.33:239)これら条件を検討した。明らかに、これは病気の候補マーカーの魅力的な特定手段及び子宮内膜症患者の有効な検出手段を表す。近年、子宮内膜症用血清マーカーの診断の精度の要約として、74%〜83%の感度及び79%〜100%特異性を有する最も優れたマーカーである子宮内膜抗体が示された(J.Brosensら2003]Obstet.Gynecol.Clin.North Am.30:95)。しかし抗体は、例えばME-5、ME-2及びEPP2等の分離して単離された抗原に対しては測定されなかった。
【0027】
使用できる子宮内膜症のマーカーである抗原を特定する(従って、この障害に罹患している女性を検出する助けとなる)プログラムを開始する場合、いくつかの前提がこの病気に関して置かれる。第一に、上記のように、免疫系障害はこれらの女性中に発生して、特異的な子宮内膜抗原に対抗する抗体を生成することを可能とすると推測される。第二にこれらの血清抗体は、抗原特定手段として使用でき、これらの蛋白質は部分的に障害を有する患者の監視用免疫診断(用)のテストシステムの基礎を形成できる。子宮内膜症マーカーの特定方法は、患者血清を子宮内膜組織cDNA発現ライブラリーの免疫スクリーンに使用することである。候補クローンは、臨床的病状の患者を監視するために適切な免疫的測定の発達に完全に特徴付けられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
好ましい態様の詳細な説明
3種の子宮内膜蛋白質の合計は、子宮内膜症患者の血清中に存在する抗体と反応することが示すされる。ME-5子宮内膜症マーカーは約1.4kbのmRNAにより特定され、その1、302ヌクレオチドは本発明中に開示された。この配列から予測できる蛋白質は、サイズで303アミノ酸であり、約35000ダルトンの算出分子量を有する。天然蛋白質生成物は、特異的なモノクローナル抗体を使用してウェスタンブロット法により測定された分子量約38kDを有する。この蛋白質は特に卵巣組織中に多く存在し、子宮内膜組織から単離され、生殖器関係の病気のマーカーとして生殖器関係の組織中のその存在を強く示す。固定化組み換え型ME-5抗原を使用した免疫ブロット法実験中で、多くの子宮内膜症患者が診断され、生成されたシグナルは多くのコントロール被検体で得られたものよりも非常に強かった。
【0029】
ME-2子宮内膜症マーカーは、その1353ヌクレオチドが本発明で開示された約2.0kbのmRNAにより特定される。この配列から予測される蛋白質は、サイズが393アミノ酸であり、約45000ダルトンの分子量算出値を有する。多くの子宮内膜症患者で評価された固定化組み換え型ME-2抗原を使用した免疫ブロット法実験では、生成されたシグナルは多くのコントロール被検体で得られたものよりも非常に強かった。
【0030】
EPP2子宮内膜症マーカーは、その891ヌクレオチドが本発明で開示された約1.0kbのmRNAにより特定される。この配列から予測される蛋白質は、サイズが99アミノ酸であり、約9300ダルトンの分子量算出値を有する。多くの子宮内膜症患者で評価された固定化組み換え型EPP2抗原を使用した免疫ブロット法実験では、生成されたシグナルは多くのコントロール被検体で得られたものよりも非常に強かった。
【0031】
ME-5、ME-2及びEPP2子宮内膜症マーカー及びそれらの核酸に関するこれら及び他の課題の詳細は下記例に含まれる。
上記記載の書類により提示されたように、多くの発見が子宮内膜症のマーカーの候補として記載された。しかし、それらのいずれもここで開示したME-5、ME-2、又はEPP2蛋白質並びに核酸配列とは関連がない。その結果、本発明のME-5、ME-2及びEPP2蛋白質は新規な子宮内膜症用マーカーであり、この障害になやむ女性により生成される抗−子宮内膜抗体のターゲットである。本発明のME-5、ME-2及びEPP2マーカーの発見は、子宮内膜症に罹患している女性はそれらの免疫系の障害を有するという知見に基づいて推定された。いくつかの免疫系問題は子宮内膜抗原に対抗する自己抗体の存在下で現出すると推測される。別の研究者らも(S.Pillaiら[1998]Am.J.Reprod.Immunol.39:235;Van Voorhis及びStovall[1997]J.Reprod.Immunol.33:239)これらの条件を検討した。明らかに、これは病気のマーカー候補の魅力的な特定手段を表し、子宮内膜症患者の監視に使用できる手段と同様に表す。近年、血清子宮内膜症用マーカーの精度の診断のまとめは、感度74%〜83%及び特異性79%〜100%を有する最も優れたマーカー中に含まれる子宮内膜抗体を示した(J.Brosensら2003]Obstet.Gynecol.Clin.North Am.30:95)。しかしこの抗体は、例えばME-5、ME-2及びEPP2等の分離して単離された抗原に対しては測定されていない。
【0032】
使用できる子宮内膜症のマーカーである抗原を特定する(従って、この障害に罹患している女性を検出する助けとなる)プログラムを開始する場合、いくつかの前提がこの病気に関して置かれる。第一に、上記のように、免疫系障害はこれらの女性中に発生して、特異的な子宮内膜抗原に対抗する抗体を生成することを可能とすると推測される。第二にこれらの血清抗体は、抗原特定手段として使用でき、これらの蛋白質は部分的に障害を有する患者の監視用免疫診断(用)のテストシステムの基礎を形成できる。子宮内膜症マーカーの特定方法は、患者血清を子宮内膜組織cDNA発現ライブラリーの免疫スクリーンに使用することである。候補クローンは、臨床的病状の患者を監視するために適切な免疫的測定の発達に完全に特徴付けられる。
【0033】
図面の説明
図1A、1B及び1Cは、単離されたME-5 cDNA用のヌクレオチド配列(SEQ ID NO:1)、ME-5 cDNAのコード領域のヌクレオチド配列(SEQ ID NO:2)及びME-5 cDNAのヌクレオチド配列によりエンコードされた蛋白質の推定アミノ酸配列(SEQ ID NO:3)を示す。図1A中、推定ATG開始コドンの上流に112塩基対の5’非翻訳配列がある。同様に図1A中に、TGA停止コドンの下流に254塩基対の3’非翻訳領域がある。3’非翻訳領域は、mRNAのポリAテイルへ対応するdTのストレッチで終了する。開始コドン(ATG)及び翻訳停止コドン(TGA)は、図1A及びBのcDNA配列中の太字体中に存在する。
【0034】
図2A、2B及び2Cは、単離されたME-2 cDNA用のヌクレオチド配列(SEQ ID NO:4)、ME-2 cDNAのコード領域(SEQ ID NO:5)のヌクレオチド配列及びME-2 cDNAのヌクレオチド配列によりエンコードされた蛋白質の推定アミノ酸配列(SEQ ID NO:6)を示す。図2A中に、ATG開始コドンの上流の54塩基対の5’非翻訳推定配列がある。同様に図2A中に、TAG停止コドンの下流に95塩基対の3’非翻訳領域がある。3’非翻訳領域は、mRNAのポリAテイルへ対応するdTのストレッチで終了する。開始コドン(ATG)及び翻訳停止コドン(TGA)は、図2A及びBのcDNA配列中の太字体中に存在する。
【0035】
図3A、3B及び3Cは、単離されたEPP2 cDNA用のヌクレオチド配列(SEQ ID NO:7)、EPP2 cDNAのコード領域(SEQ ID NO:8)のヌクレオチド配列及びEPP2 cDNAのヌクレオチド配列によりエンコードされた蛋白質の推定アミノ酸配列(SEQ ID NO:9)を示す。図3A中に、ATG開始コドンの上流の45塩基対の5’非翻訳推定配列がある。同様に図3A中に、TAA停止コドンの下流に522塩基対の3’非翻訳領域がある。3’非翻訳領域は、mRNAのポリAテイルへ対応するdTのストレッチで終了する。開始コドン(ATG)及び翻訳停止コドン(TAA)は、図3A及びBのcDNA配列中の太字体中に存在する。
【0036】
図4は、種々のヒト組織中に発現するME-5mRNAのパターンを示す。市販のノーザンブロット(BD Biosciences社製;サンディエゴ、CA)を図1Bの完全32P標識されたME-5コード配列とハイブリダイズした。ハイブリダイゼーション条件及び洗浄は、製造者の記載に従い行った。約1400ヌクレオチドのmRNA(1350ヌクレオチドマーカーの直後に遅れて移動した)と同様に、別のより大きいが多分より少量の情報1800〜2000ヌクレオチド(2400ヌクレオチドマーカーの直前に早く移動した)に対応するハイブリダイズバンドが観察された。ME-5配列は、前立腺、精巣及び子宮組織中に最も豊富な発現が観察されたが、評価した他の組織(脾臓、胸腺、小腸、結腸及び末梢血白血球)中でもより低い量が検出された。
【0037】
図5は、種々のヒト組織中に発現するME-2mRNAのパターンを示す。市販のノーザンブロット(BD Biosciences社製;サンディエゴ、CA)を図2Bの完全32P標識されたME-2コード配列とハイブリダイズした。ハイブリダイゼーション条件及び洗浄は、製造者の記載に従い行った。約2000ヌクレオチドのmRNA(2400ヌクレオチド及び1350ヌクレオチドマーカーの約中間で移動した)に対応するハイブリダイズバンドが観察された。他の強いハイブリダイズバンドはブロット上に検出されなかった。ME-2配列は、前立腺及び精巣組織中に最も豊富な発現が観察された。脾臓、子宮、小腸、結腸、及び末梢血白血球組織中では中間のレベルが検出された。この実験中、より低量のハイブリダイゼーションが胸腺組織中にも観察された。
【0038】
図6は、種々のヒト組織中に発現するEPP2mRNAのパターンを示す。市販のノーザンブロット(BD Biosciences社製;サンディエゴ、CA)を図3Bの完全32P標識されたEPP2コード配列とハイブリダイズした。ハイブリダイゼーション条件及び洗浄は、製造者の記載に従い行った。約1000ヌクレオチドのmRNA(1350ヌクレオチドマーカーの直前に早く移動した)に対応するハイブリダイズバンドが観察された。EPP2配列は、前立腺、精巣、結腸及び末梢血白血球中に最も豊富な発現が観察された。脾臓、胸腺、及び小腸組織中ではより低量のシグナルが視覚化されたが、子宮組織中ではシグナルはほとんど又は全く検出されなかった。
【0039】
図7は、昆虫細胞ホスト中の組み換え型ME-5の発現パターンを示す。ME-5 cDNAを、昆虫細胞中で6Xヒスチジン標識組み換え型蛋白質として発現するようにクローン化した。組み換え型ME-5を発現するSf9昆虫細胞の培養物を調製し、溶解した。培養媒体、PBS洗浄液、並びに細胞溶解産物の可溶性及び不溶性フラクションを、SDS PAGE及びゲルコードブルー(商標)(Pierce Chemicals社製;Rockford、IL)を使用したゲル染色(左パネル)により分析した。発現サンプルは、同様に抗HisGマウスモノクローナル抗体(Invitrogen社製;Carlsbad、CA)及び次に125I標識されたウサギ抗−マウスIgG二次抗体を使用したウェスタンブロット法(右パネル)により評価した。組み換え型蛋白質は、左側の染色ゲル中では多様な蛋白質帯により不明確であったが、ウェスタンブロット法では約38kDの帯が明らかに検出された。これは組み換え型ME-5抗原として予測されたものとほとんど同じ分子量を有する6XHis標識蛋白質の存在を立証する。組み換え型ME-5蛋白質は、細胞培養媒体中に検出されなかったが、いくらかは溶解前に昆虫細胞を洗浄するのに使用されたPBS中に存在した。多くの組み換え型ME-5蛋白質は昆虫細胞溶解産物の可溶性フラクション中に存在することが観察されたが、一部は不溶性材料と一緒であった。
【0040】
図8は、昆虫細胞ホスト中の組み換え型ME-2の発現パターンを示す。ME-2 cDNAを、昆虫細胞中で6Xヒスチジン標識組み換え型蛋白質として発現するようにクローン化した。組み換え型ME-2を発現するSf9昆虫細胞の培養物を調製し、溶解した。培養媒体、PBS洗浄液、並びに細胞溶解産物の可溶性及び不溶性フラクションを、SDS PAGE及びゲルコードブルー(商標)(Pierce Chemicals社製;Rockford、IL)を使用したゲル染色(左パネル)により分析した。発現サンプルは、同様に抗HisGマウスモノクローナル抗体(Invitrogen社製;Carlsbad、CA)及び次に125I標識されたウサギ抗−マウスIgG二次抗体を使用したウェスタンブロット法(右パネル)により評価した。組み換え型蛋白質は、左側の染色ゲル中では多様な蛋白質帯により不明確であったが、ウェスタンブロット法では約49kDの帯が明らかに検出された。これは組み換え型ME-2蛋白質として予測されたものとほとんど同じ分子量を有する6XHis標識蛋白質の存在を立証する。組み換え型ME-2蛋白質は、細胞培養媒体中に検出されなかったが、いくらかは溶解前に昆虫細胞を洗浄するのに使用されたPBS中に存在した。約等量の組み換え型ME-2蛋白質が、昆虫細胞溶解産物の可溶性及び不溶性フラクション中に分散されていることが観察された。
【0041】
図9は、昆虫細胞ホスト中の組み換え型EPP2の発現パターンを示す。EPP2 cDNAを、昆虫細胞中で6Xヒスチジン標識組み換え型蛋白質として発現するようにクローン化した。組み換え型EPP2を発現するSf9昆虫細胞の培養物を調製し、溶解した。培養媒体、PBS洗浄液、並びに細胞溶解産物の可溶性及び不溶性フラクションを、SDS PAGE及びゲルコードブルー(商標)(Pierce Chemicals社製;Rockford、IL)を使用したゲル染色(左パネル)により分析した。発現サンプルは、同様に抗HisGマウスモノクローナル抗体(Invitrogen社製;Carlsbad、CA)及び次に125I標識されたウサギ抗−マウスIgG二次抗体を使用したウェスタンブロット法(右パネル)により評価した。組み換え型蛋白質は、左側の染色ゲル中では多様な蛋白質帯により不明確であったが、ウェスタンブロット法では約9kDの帯が明らかに検出された。これは組み換え型EPP2蛋白質として予測されたものとほとんど同じ分子量を有する6XHis標識蛋白質の存在を立証する。組み換え型EPP2蛋白質は、細胞培養媒体中に検出可能ではなく、いくらかは溶解前に昆虫細胞を洗浄するのに使用されたPBS中に測定可能量は存在しなかった。約等量の組み換え型EPP2蛋白質が、昆虫細胞溶解産物の可溶性及び不溶性フラクション中に分散されていることが観察された。
【0042】
図10は、固定化金属アフィニティクロマトグラフィー(IMAC)を使用した組み換え型6X−標識ME-5蛋白質の単離を示す。組み換え型ME-5蛋白質をSf9昆虫細胞中で発現させ、その細胞をIMACカラム結合バッファ中で溶解した。昆虫細胞(溶解産物)の可溶性フラクションを、ニッケルイオンで荷電されている、キレート化Sepharose Fast Flow(商標)(Amersham Biosciences社製;Piscataway、NJ)のカラム上に供給した。溶解産物をカラム樹脂を通過(漏出:breakthrough)後に捕捉し、カラムをIMAC洗浄バッファを使用して非常によく洗浄した。樹脂へ結合された組み換え型ME-5をイミダゾール含有バッファを使用してカラムから溶離した。溶解産物、漏出液、洗浄液、及び溶離液のサンプルを、SDS PAGE及びウェスタンブロット法で上記記載のように分析した。染色したゲルは昆虫細胞溶解産物の複雑性を示し、それはこの溶解産物及び漏出液サンプルによる蛋白質染色を生じた。合理的な量の非結合蛋白質汚染物質をA20カラムバッファによる洗浄で除去すると、38kD蛋白質へ対応する明白な帯が、イミダゾールでカラムから溶離した物質中に存在した。これらのサンプルのウェスタンブロット法分析は、溶解産物中のかなりのレベルの組み換え型ME-5蛋白質を示し、漏出液の結果から、この特異的試験ではME-5量はカラムの結合容積を超えることを示した。ほとんど痕跡量のME-5が、結合された不純物をSepharoseから除去するために使用されたA20カラムバッファ洗浄液中に存在した。ウェスタンブロット法は、溶離して部分的に精製した38kDME-5抗原との強い抗HisG抗体反応性を示した。
【0043】
図11は、固定化金属アフィニティクロマトグラフィー(IMAC)を使用した組み換え型6X−標識ME-2蛋白質の単離を示す。組み換え型ME-2蛋白質をSf9昆虫細胞中で発現させ、その細胞をIMACカラム結合バッファ中で溶解した。昆虫細胞(溶解産物)の可溶性フラクションを、ニッケルイオンで荷電されている、キレート化Sepharose Fast Flow(商標)(Amersham Biosciences社製;Piscataway、NJ)のカラム上に供給した。溶解産物をカラム樹脂を通過(漏出)後に捕捉し、カラムをIMAC洗浄バッファA10、A15及びA20を使用して非常によく洗浄した。樹脂へ結合された組み換え型ME-2をイミダゾール含有バッファを使用してカラムから溶離した。溶解産物、漏出液、洗浄液、及び溶離液のサンプルを、SDS PAGE及びウェスタンブロット法で上記記載のように分析した。染色したゲルは昆虫細胞溶解産物の複雑性を示し、それはこの溶解産物及び漏出液サンプルによる蛋白質染色を生じた。実質的な量の非結合蛋白質汚染物質をA10、A15及びA20カラムバッファにより樹脂から洗浄で除去した。最終的に、49kD蛋白質へ対応する明白な帯が、イミダゾールでカラムから溶離した物質中に存在した。これらのサンプルのウェスタンブロット法分析は、溶解産物中のかなりのレベルの組み換え型ME-2蛋白質を示し、同様に漏出液の結果から、この特異的試験ではME-2量はカラムの結合容積を超えることを示した。ほとんど痕跡量のME-2が、A10カラムバッファ洗浄液中に存在したが、結合された不純物をSepharoseから除去するために使用されたA15及びA20カラムバッファ洗浄液中にはより強いシグナルが検出された。ウェスタンブロット法は、溶離して部分的に精製した49kDME-2抗原との強い抗HisG抗体反応性を示した。
【0044】
図12は、固定化金属アフィニティクロマトグラフィー(IMAC)を使用した組み換え型6X−標識EPP2蛋白質の単離を示す。組み換え型EPP2蛋白質をSf9昆虫細胞中で発現させ、その細胞を変性用IMACカラム結合バッファ中で溶解した。昆虫細胞・溶解産物を、ニッケルイオンで荷電されている、キレート化Sepharose Fast Flow(商標)(Amersham Biosciences社製;Piscataway、NJ)のカラム上に供給した。溶解産物をカラム樹脂を通過(漏出:breakthrough)後に捕捉し、カラムをA10、A15、A20、A25及びA30のIMAC洗浄バッファを使用して非常によく洗浄した。樹脂へ結合された組み換え型EPP2をイミダゾール含有バッファを使用してカラムから溶離した。溶解産物、漏出液、洗浄液、及び溶離液のサンプルを、SDS PAGE及びウェスタンブロット法で上記記載のように分析した。染色したゲルは昆虫細胞溶解産物の複雑性を示し、それは蛋白質の染色を生じた。更に、漏出液及びA10カラム洗浄液サンプルは、カラムマトリックスへ結合しなかった実質量の材料を含有した。非常に少量の蛋白質汚染物質を、染色したゲルから視覚化されるようにA15、A20、A25、及びA30カラム洗浄バッファを使用して洗浄して除去した。9kD蛋白質へ対応する明白な帯が、イミダゾールでカラムから溶離した物質中に存在した。これらのサンプルのウェスタンブロット法分析は、溶解産物中の検出可能レベルの組み換え型EPP2蛋白質を示した。漏出液、A10、又はA15サンプル中にはEPP2はほとんど又は存在せず、この特異的試験中ではEPP2はカラムへ非常に良く結合したことを示した。ほとんど痕跡量のEPP2が、不純物をSepharoseから除去するために使用されたA20、A25、及びA30カラムバッファ洗浄液中に検出された。ウェスタンブロット法は、溶離した9kDEPP2抗原との強い抗HisG抗体反応性を示した。
【0045】
図13は、単離された組み換え型ME-5蛋白質、並びにRL95−2子宮内膜癌細胞中に存在する天然ME-5抗原のウェスタンブロット法分析を示す。培養したRL95−2細胞を溶解し、可溶性フラクションのサンプルを、4%〜20%トリスグリシンSDS PAGEゲル(Invitrogen社製;Carlsbad、CA)中で電気泳動にかけた。Sf9昆虫細胞からIMACにより単離した組み換え型ME-5のサンプルを、抗ME-5抗体の陽性コントロールとしてゲル上に置いた。ウェスタンブロット法を2D1抗ME-5モノクローナル抗体及び次に125I標識されたウサギ抗−マウスIgG二次抗体を使用して行った。RL95−2蛋白質の間に反応性の明確な帯が観察され(右線)、昆虫細胞組み換え型を僅かに超える分子量を有して移動したことが確認された。
【0046】
図14は、種々のヒト組織中に発現するME-5天然抗原を示すウェスタンブロット法である。SDS PAGEサンプルバッファ(protein medleys(商標):BD Biosciences社製;サンディエゴ、CA)中で抽出された組織蛋白質は、図13で記載された通りに行ったSDS PAGEゲル及びウェスタンブロット法中で分離した。天然ME-5抗原は検討した全ての組織中のいたるところに存在することが確認されたが、心臓、肝臓、卵巣及び腎臓抽出物中では僅かにより豊かであることが観察された。
【0047】
図15A及び図15Bは、組み換え型ME-5の能力を示す代表的ライン免疫ブロット法であり、それは子宮内膜症患者から得られた血清中に存在するが正常なコントロール血清中に存在しない抗体と反応する。それぞれのストリップは、異なった濃度で膜上に差し込まれた固定化抗原を含む。ME-5の蛋白質濃度は、0.018、0.036、0.072、及び0.144ミリグラム/ミリリットル(mg/ml)である。患者及びコントロール間を区別する最適濃度は、ラインブロットストリップの右側に矢印で示された0.036mg/mlである。ライン免疫ブロット法アッセイの1つの利点は、多くの異なった蛋白質を単一のストリップ上で検査でき、追加的な非同族蛋白質をストリップ上に存在させ、内部のコントロールとして働かせることである。試薬コントロール(マウス抗ヒトIgGモノクローナル)は、それぞれのストリップ上に存在し、陽性コントロールとして働く。それぞれのストリップは、正常な人間(コントロール)から又は子宮内膜症と診断される患者からの血清と共にインキュベートされた。合計11個のコントロールのラインブロットパターン(A6、A7、A8、A9、A10、A14、A15、A16、A17、A18、A21)を図15Aに示す。更に、23人の子宮内膜症患者(DS01、DS02、DS03、DS04、DS05、DS06、DS07、DS08、DS10、DS11、DS12、DS13、DS27、DS28、DS29、DS30、DS31、DS32、DS33、DS34、DS36、DS38、DS39)のパターンを図15Bに示す。それぞれの帯の染色強度は、試験された血清のME-5との反応性を示す。この選択されたラインブロットパネル中では、濃度0.036mg/mlのME-5で、18人の子宮内膜症患者が陽性と診断された(DS01、DS03、DS05、DS06、DS10、DS11、DS12、DS27、DS28、DS29、DS30、DS31、DS32、DS33、DS34、DS36、DS38、及びDS39)。更に、5人の子宮内膜症患者(DS02、DS04、DS07、DS08、及びDS13)は、少し低い反応性パターンを示した。11人の正常なコントロール中では、ME-5は明らかにその中の9人と全く反応しなかった(A6、A7、A8、A10、A15、A16、A17、A18、A21)。正常なコントロールの2人(A9、A14)では検出可能シグナルが観察されたが、これらは子宮内膜症患者からの血清で観察されたパターンと比較して非常に弱く、陰性と解された。
【0048】
図16A及び図16Bは、組み換え型ME-2の能力を示す代表的ライン免疫ブロット法であり、それは子宮内膜症患者から得られた血清中に存在するが正常なコントロール血清中に存在しない抗体と反応する。それぞれのストリップは、異なった濃度で膜上に差し込まれた固定化抗原を含む。ストリップに適用されたME-2の蛋白質濃度は、0.009(子宮内膜症血清用のみ)、0.018、0.036、0.072、及び0.144(コントロール血清用のみ)ミリグラム/ミリリットル(mg/ml)である。患者及びコントロール間を区別する最適濃度は、ラインブロットストリップの右側に矢印で示された0.018mg/mlである。ライン免疫ブロット法アッセイの1つの利点は、多くの異なった蛋白質の抗体との反応性を単一のストリップ上で検査でき、追加的な非同族蛋白質をストリップ上に存在させ、内部のコントロールとして働かせることである。試薬コントロール(マウス抗ヒトIgGモノクローナル)は、それぞれのストリップ上に存在し、ヒトIgGを捕捉して陽性コントロールとして働く。それぞれのストリップは、正常な人間(コントロール)から又は子宮内膜症と診断される患者からの血清と共にインキュベートされた。合計11個のコントロールのラインブロットパターン(A01、A02、A03、A06、A08、A15、A20、A21、A22、A23、及びA24)を図16Aに示す。更に、21人の子宮内膜症患者(DS10、DS11、DS12、DS13、DS14、DS17、DS19、DS20、DS21、DS22、DS24、DS25、DS26、DS27、DS28、DS29、DS30、DS31、DS32、DS33、及びDS35)のパターンを図16Bに示す。それぞれの帯の染色強度は、試験された血清のME-2との反応性を示す。この選択されたラインブロットパネル中では、濃度0.018mg/mlのME-2で、15人の子宮内膜症患者が陽性と診断された(DS012、DS17、DS19、DS20、DS21、DS22、DS24、DS25、DS26、DS27、DS28、DS30、DS31、DS33、及びDS35)。更に、6人の子宮内膜症患者(DS10、DS11、DS13、DS14、DS29、及びDS32)は、少し低い反応性パターンを示した。11人の正常なコントロール中では、ME-2は子宮内膜症患者に対して適用される基準0.018mg/mlにおいていずれも反応しなかった。
【0049】
図17A及び図17Bは、組み換え型EPP2の能力を示す代表的ライン免疫ブロット法であり、それは子宮内膜症患者から得られた血清中に存在するが正常なコントロール血清中に存在しない抗体と反応する。それぞれのストリップは、異なった濃度で膜上に差し込まれた固定化抗原を含む。EPP2の蛋白質濃度は、0.01、0.025、0.05、0.1、0.15、0.2、及び0.25ミリグラム/ミリリットル(mg/ml)である。患者及びコントロール間を区別する最適濃度は、ラインブロットストリップの右側に矢印で示された0.05mg/mlである。ライン免疫ブロット法アッセイの1つの利点は、多くの異なった蛋白質を単一のストリップ上で検査でき、追加的な非同族蛋白質をストリップ上に存在させ、内部のコントロールとして働かせることである。試薬コントロール(マウス抗ヒトIgGモノクローナル)は、それぞれのストリップ上に存在し、サンプル中のヒトIgGを捕捉して陽性コントロールとして働く。それぞれのストリップは、正常な人間(コントロール)から又は子宮内膜症と診断される患者からの血清と共にインキュベートされた。合計11個のコントロールのラインブロットパターン(A01、A02、A03、A04、A05、A09、A13、A14、A16、A20、及びA24)を図17Aに示す。更に、39人の子宮内膜症患者(DS06、DS12、DS24、DS05、BBI01、BBI02、BBI03、BBI04、BBI05、BBI06、BBI07、BBI08、BBI09、BBI10、BBI11、BBI12、BBI13、BBI14、BBI15、BBI16、BBI20、BBI21、BBI22、BBI23、BBI24、BBI25、BBI26、BBI27、BBI28、BBI30、BBI31、BBI32、BBI34、BBI35、BBI36、BBI37、BBI38、BBI39、及びBBI40)のパターンを図17Bに示す。それぞれの帯の染色強度は、試験された血清のEPP2との反応性を示す。この選択されたラインブロットパネル中では、濃度0.05mg/mlのEPP2で、33人の子宮内膜症患者が陽性と診断された(DS06、DS12、DS24、DS05、BBI02、BBI03、BBI04、BBI06、BBI07、BBI08、BBI09、BBI10、BBI11、BBI12、BBI13、BBI15、BBI16、BBI20、BBI22、BBI23、BBI25、BBI26、BBI27、BBI28、BBI30、BBI31、BBI32、BBI34、BBI35、BBI37、BBI38、BBI39、及びBBI40)。更に、6人の子宮内膜症患者(BBI01、BBI05、BBI14、BBI21、BBI24、及びBBI36)は、少し低い反応性パターンを示した。11人の正常なコントロール中では、EPP2は基準0.05mg/mlにおいていずれも強く反応しなかった。
【0050】
「ポリペプチド」とは、アミノ酸残基から構成されるポリマー、同族の天然由来の構造変異種、並びにペプチド結合を介して結合した合成的非天然由来のそれらの類似体、同族の天然由来のそれらの類似体、を意味する。合成的ポリペプチドは、例えば自動化ポリペプチド合成機を使用して合成できる。「蛋白質」は、通常大きいポリペプチドを意味する。「ペプチド」は、通常短いポリペプチドを意味する。
従来の表示法がポリペプチド配列を表すためにここで使用され:ポリペプチド配列の左側末端はアミノ−末端であり;ポリペプチド配列の右側末端はカルボキシル末端である。
「保存的置換」は、ポリペプチド中であるアミノ酸をそれと機能的に類似するアミノ酸と置換することをいう。本発明は、保存的置換されたものもその範囲として含むのは当然である。下記6種のグループはそれぞれ、互いに保存的置換基であるアミノ酸を含有する:
1)アラニン(A)、セリン(S)、スレオニン(T);
2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);
3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q);
4)アルギニン(R)、リシン(K);
5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V);及び
6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W)。
【0051】
「対立遺伝子変異体」は、同一の遺伝子座を占める遺伝子の2以上の多形体を意味する。対立遺伝子変異体は突然変異により自然に発生し、母集団中の表現型多形性を生じる。遺伝子突然変異は、無症候性(エンコードされたポリペプチド中で変化しない)の場合もあり、変化したアミノ酸配列を有するポリペプチドをエンコードする場合もある。「対立遺伝子変異体」は同様に、遺伝的対立遺伝子変異体のmRNA転写により得られるcDNAs及びそれらによりエンコードされた蛋白質を意味する。
【0052】
本発明は、患者からのサンプル中の、ME-2、ME-5又はEEP2ポリペプチドへ特異的に結合する抗体の診断的量を検出することにより、患者からのサンプル中での患者の子宮内膜症診断方法を提供する。適切な患者サンプルとして、本発明を限定するものではないが、唾液、血液又は血液生成物(例えば、血清)、腹水、尿、月経性流体、膣性分泌物が挙げられる。抗体は、ここで記載されたいずれかの蛋白質の検出方法により検出できる。しかし、サンドイッチ型アッセイが特に有用である。例えば、全ての抗体が蛋白質A等を使用して固体相上に捕捉され、ME-2、ME-5又はEEP2に特異的な抗体が、直接又は間接に標識されたME-2、ME-5若しくはEEP2又はME-2、ME-5又はEEP2のエピトープを有するそのポリペプチドフラグメントを使用して検出される。別のアッセイ方法では、ME-2、ME-5若しくはEEP2又はその抗原性フラグメントを分子捕捉として使用でき、捕捉された抗体が検出できる。
【0053】
子宮内膜症の女性の腹水中に流出するME-2、ME-5若しくはEEP2は、子宮内膜症の診断方法中に使用できる。これらの方法には、患者の生物学的サンプル中のME-2、ME-5若しくはEEP2の検出が含まれる。適切なサンプルとして、本発明を限定するものではないが、唾液、血液又は血液生成物(例えば、血清)、尿、月経性流体、膣性分泌物及び、特に腹水が挙げられる。ME-2、ME-5又はEEP2は、ここで記載されたいずれかの方法により検出できる。正常な範囲を超えるME-2、ME-5又はEEP2の検出はいずれも、子宮内膜症の診断での正の指標である。
【0054】
2個の核酸又はポリペプチドに関する「実質的に同一」とは、2以上の配列又はサブ配列をいい、次の配列比較アルゴリズムの1個を使用し、又は視覚的検査により測定して、最大一致に関して、比較され、配列された、少なくとも60%、80%、90%、95%若しくは98%ヌクレオチド又はアミノ酸残基の同一性を有する。好ましくは、実質的同一性は、少なくとも約50残基長さである配列の領域の範囲であり、更に好ましくは少なくとも約100残基の領域の範囲で存在し、特に好ましくは配列は少なくとも約150残基を超える範囲で実質的に同一である。最も好ましくは、配列はコード領域の完全長さ全体で実質的に同一である。
【0055】
ここで開示した本発明は、3種の別個の子宮内膜蛋白質をエンコードするヒトcDNA分子の単離、対応する抗原の特定である。これらのcDNA及び対応する抗原は、ME-5、ME-2及びEPP2を意味し、それらから発現する蛋白質は子宮内膜症に罹患している女性の血清中に存在する自己抗体のターゲットである。ME-5、ME-2及びEPP2蛋白質のこれらの特徴は、それらを子宮内膜病の診断用マーカーに使用することを可能とし、これは下記実施例により詳細に示される。
【実施例】
【0056】
実施例1
ME-5、ME-2及びEPP2 cDNAsの同定及びクローニング
子宮内膜症組織cDNAライブラリーが、レーベンカトリック大学のPhilip Koninckx教授により提供された深く包埋(embed)された子宮内膜症組織試料から単離されたポリA+RNAを使用して、生成された。合計RNAがTrizol試薬(Biorad Laboratories社製;Hercules、CA)を使用して組織から単離され、ポリA+RNAを市販のキット(PolyATract(商標);Promega社製;Madison、WI)を使用して、オリゴポリT結合磁性粒子へのハイブリダイゼーションにより調製した。ライブラリー構築は、「Lambda ZAP(商標)IIベクターシステム」を使用して製造者(Stratagene社;サンディエゴ、CA)から得られた取り扱い説明書に従って行った。最初のME-5及びME-2 cDNAクローンは、一次抗体として、軽症の病気と診断された女性から得られた単一の子宮内膜症患者血清試料を使用した免疫スクリーニングにより同定した。この血清を、市販のE.coliファージ溶解産物(Stratagene社製;サンディエゴ、CA)中に、製造者により提供されたプロトコルに従って血清を1:50で希釈することにより、非特異的な抗−E.coli/ラムダファージ抗体に吸着させた。別の実験手順においては、一次抗体として10個の子宮内膜症患者血清試料のプールを使用した以外は同様の免疫スクリーニングプロトコルで、最初にEPP2 cDNAクローンを同定した。このプール中の血清は、種々のステージの子宮内膜病の女性から得られた。再度血清を上記記載の市販のE.coliファージ溶解産物(Stratagene社製;サンディエゴ、CA)で希釈して非特異的な抗−E.coli/ラムダファージ抗体へ吸着させた。全てのスクリーニング実験用ので二次抗体は、ヒト免疫グロブリンと反応する125I標識されたモノクローナル抗体であった。陰性のコントロールヒト血清を、反応性の確認と平行してクローンをスクリーンするのに使用した。免疫反応性クローンを3回プラーク−精製し、製造者(Stratagene社;サンディエゴ、CA)から提供された方法を使用して、in vivo excision法によりpBluescript(商標)SK(−)ファージミドベクター中へ挿入した(rescued)。
【0057】
実施例2
ME-5、ME-2及びEPP2 cDNA及び蛋白質の特徴解析
それぞれの最初に単離されたME-5、ME-2及びEPP2クローンの両方のストランドの配列分析をABI Biosystems373(商標)DNAシークエンサー(PE Applied Biosystems社製;Foster City、CA)に対して行った。上記のように生成された核酸配列をバイオネットソフトウェア(商標)を使用して分析し、核酸及び蛋白質特性を同定し、データベース中に存在する核酸及び蛋白質配列と相同性比較した。
【0058】
ME-5 cDNA配列は、図1A(SEQ ID NO:1)中に示され、ポリdAトラック(track)を除く1279塩基対のサイズである。112塩基対の5’非コード配列は、推定ATG開始コドンのすぐ上流に同定された。TGA停止コドンの下流に254塩基対の3’非コード配列が存在し、その次にmRNAの3’末端にあるポリAテイルに対応するdA残基のストレッチ(延長部)が続く。開始コドン及び停止コドンの両方は、図1A及び1B中に太字体として強調されている。ME-5コード配列は、完全単離されたcDNA配列(図1A)から推定されるものとして図1B(SEQ ID NO:2)に示される。そのコード領域は、開始コドン及び停止コドンを含む912塩基対のサイズである。303アミノ酸の推定蛋白質をコードするcDNAは図1C(SEQ ID NO:3)に示され、分子量の算出値は約35000ダルトンであった。翻訳生成物は、僅かに酸性であり、等電測定値は5.7であった。
コンピュータ補助データベースサーチ(生物工学情報センター [NCBI] Basic Local Alignment Search Tool [BLAST](商標))を、GenBank(商標)核酸データベース中に含まれる配列との相同性比較を行うために使用した。異なる事業で行われた2個の別々の研究所は、本質的に同一のcDNA分子を独立して単離したことが明らかになった。
【0059】
最初に、Scanlan及びその共同研究者は、Scanlanら[Int.J.Cancer 76、652-658(1998)]により発行された「自己由来抗体により認識されるヒト結腸癌抗原の特性評価」文献中に記載された方法を使用して、同一の1−NY−CO−7cDNAを単離した。これらの個々により使用されたアプローチは、ME-5 cDNAの発見に使用されたものと類似し、そのアプローチ中では彼ら研究者は結腸直腸癌患者からの血清で結腸直腸癌cDNAライブラリーをスクリーンした。ME-5配列を1−NY−CO−7のそれと比較すると、両者の実質的な多くの差異が明らかになった。第一に、上記文献中では1−NY−CO−7mRNA配列は、本発明のME-5配列よりもたぶん僅かに小さい1.22kbであると報告された。第二に、1−NY−CO−7蛋白質は、推定ME-5蛋白質よりも非常に大きいサイズの356アミノ酸であると報告された。最後に、2個の配列のカルボキシ末端部中に3個の塩基不適合があり、その中の2個の不適合はアミノ酸置換(changes)を生じている。ヌクレオチド置換は、ME-5コード領域に関するヌクレオチド807(C→G[コドンの第3番目の位置で生じる、アミノ酸置換なし→プロリン])、814(C→G[アルギニン→グリシン])、及び838(C→T[ロイシン→フェニルアラニン])である。上記著者らは、1−NY−CO−7配列は新規であり(発現した配列標識を除き、GenBank/EMBOデータベース中に挙げられたDNA配列とほとんど相同でないか非相同である)、上記蛋白質はテトラトリコペプチド繰り返し(TPR、下記参照)を有すると述べている。1−NY−CO−7配列は、上記文献中に特性を示されたこれら結腸特異的な配列中には示されておらず、どちらかというとそれは更なる核酸又は蛋白質の特性化無しにGenBankへ直接提出されている。1−NY−CO−7GenBank配列をME-5のそれと比較すると、それらは上記記載の3個のヌクレオチド不適合以外は同一であった。
【0060】
第二に、Ballinger及びその共同研究者は、「CHIPの同定−熱ショック蛋白質と相互反応し、及びシャペロン機能を負に制御する新規テトラトリコペプチド繰り返し含有蛋白質」Ballingerら[Mol.Cell.Biol.19、4535-4545(1999)]として発行された文献中に記載された非常に異なった方法を使用してHsp70相互作用蛋白質(CHIP)の特徴的カルボキシ末端を同定した。この文献で、著者らは新規テトラトリコペプチド繰り返し含有蛋白質の単離を目的としている。CHIP配列は、異なったストリンジェンシーでのヒトCyP−40蛋白質用cDNA配列を使用して、心臓性cDNAライブラリーのスクリーニングにより同定された。低いストリンジェンシーハイブリダイゼーション(42℃)は、高いストリンジェンシー(55℃)でハイブリダイズしない12クローンを生じた。上記クローンの特性評価は、それらの8個がヒトCyP−40に対応し、4個のクローンは公知の遺伝子と相同性を有さない配列であるCHIPをエンコードすることを明らかにした。CHIPの特性評価は、それが、CHIPのアミノ末端中の配列を通してこれらの蛋白質のカルボキシ末端へ結合することによりHsc70及びHsp70の両方と相互作用することを明らかにした。興味深いことには組み換え型CHIPは、Hsc70及びHsp70のHsp40−刺激されたATPase活性を阻害し、それが基質−結合サイクルの正反応を調節することを示した。
これらの配列の両方は、本発明のME-5核酸及び蛋白質配列とほぼ完全な相同性を有する。しかし、子宮内膜症の診断におけるME-5の期待される有用性は、上記文献では検討されていなかった。
【0061】
ME-2 cDNA配列は図2A(SEQ ID NO:4)中に示され、ポリdAトラック(track)を除く1332塩基対のサイズである。54塩基対の5’非コード配列は、推定ATG開始コドンのすぐ上流に同定された。TAG停止コドンの下流に95塩基対の3’非コード配列が存在し、その次にmRNAの3’末端にあるポリAテイルに対応するdA残基のストレッチが続く。開始コドン及び停止コドンの両方は、図2A及び2B中に太字体として強調されている。ME-2コード配列は、完全単離されたcDNA配列(図2A)から推定されるものとして図2B(SEQ ID NO:5)に示される。そのコード領域は、開始コドン及び停止コドンを含む1182塩基対のサイズである。393アミノ酸の推定蛋白質をコードするcDNAは図2C(SEQ ID NO:6)に示され、分子量の算出値は約45000ダルトンであった。翻訳生成物は、僅かに酸性であり、等電測定値は8.8であった。
【0062】
コンピュータ補助データベースサーチ(生物工学情報センター [NCBI] Basic Local Alignment Search Tool [BLAST])を、GenBank核酸データベース中に含まれる配列とME-2 cDNAとの相同性比較を行うために使用した。複数の研究グループによりヒトゲノム配列の分析を含む幾つかの発表があるが、全ての書類は直接発表されたことが明らかになった。更に、これらの発表のいずれも科学的論文中に公表されず、それらの全ては「未知の蛋白質」、「仮定的蛋白質」又は「名前の付いていない蛋白質生成物」として表され、特定された生成物又は機能に関するものではない。これらは例えば、登録番号GI:12652526、GI:22761484、及びGI:24431994中に発見される。従ってたとえME-2 cDNA及び蛋白質に対応する配列が社会の共有財産として存在しても、その性質は知られておらず、子宮内膜症へのその蛋白質の関連性は、この共有情報によっては全く予測されなかった。その結果、ME-2 cDNA及び蛋白質配列は独特であり、本発明中に含まれた開示により始めて独占的にヒトの子宮内膜症の病気中に関連付けられた。
【0063】
EPP2 cDNA配列は、図3A(SEQ ID NO:7)中に示され、ポリdAトラックを除く868塩基対のサイズである。45塩基対の5’非コード配列は、推定ATG開始コドンのすぐ上流に同定された。TAA停止コドンの下流に522塩基対の3’非コード配列が存在し、その次にmRNAの3’末端にあるポリAテイルに対応するdA残基のストレッチ(延長部)が続く。開始コドン及び停止コドンの両方は、図3A及び3B中に太字体として強調されている。EPP2コード配列は、完全単離されたcDNA配列(図3A)から推定されるものとして図3B(SEQ ID NO:8)に示される。そのコード領域は、開始コドン及び停止コドンを含む300塩基対のサイズである。99アミノ酸の推定蛋白質をコードするcDNAは図3C(SEQ ID NO:9)に示され、分子量の算出値は約9300ダルトンであった。興味深いことにはアミノ酸の18はアルギニン残基であり、従って翻訳生成物は、非常に塩基性であり、等電測定値は12.5であった。
【0064】
コンピュータ補助データベースサーチ(生物工学情報センター [NCBI] Basic Local Alignment Search Tool [BLAST])を、GenBank核酸データベース中に含まれる配列とEPP2 cDNAとの相同性比較を行うために使用した。上記ME-2用に記載された方法と同様に、EPP2は同様にヒトゲノム配列の分析に関連する研究グループからの幾つかが直接発表されたことが明らかになった。更に、上記記載のように、更に、これらの提案のいずれも科学的論文中に公表されず、それらの全ては「未知の蛋白質」、「仮定的蛋白質」又は「名前の付いていない蛋白質生成物」として表され、特定された生成物又は機能に関するものではない。これらは例えば、登録番号GI:12652993、GI:24308450、及びGI:20892293中に見られる。従ってたとえEPP2 cDNA及び蛋白質に対応する配列が社会の共有財産として存在しても、その性質は知られておらず、子宮内膜症への蛋白質の関連性は、この共有情報によっては全く予測されなかった。その結果、EPP2 cDNA及び蛋白質配列は独特であり、本発明中に含まれた開示により始めて独占的にヒトの子宮内膜症の病気中に関連付けられた。
【0065】
実施例3
放射能標識されたME-5、ME-2及びEPP2プローブのノーザンブロット法:mRNA特性及び発現パターン
正常なヒト組織からのME-5遺伝子の発現プロファイルを、市販のマルチプルティッシュノーザンブロット(BD Biosciences社製;サンディエゴ、CA)を使用したノーザンブロット分析の実施により行い、その結果を図4に示す。上記市販のノーザンブロットは下記組織からのRNAを含有した:脾臓、胸腺、前立腺、精巣、子宮、小腸、結腸(非粘膜性)、及び末梢血白血球。完全な912塩基対コード配列を、低溶融性(low melting)アガロースゲル中の電気泳動により単離し、ランダムプライミングにより32Pで標識した。32P標識されたME-5プローブを、製造者により供給された手順を使用してノーザンブロット法のハイブリダイゼーション用に使用した。洗浄後にブロットをX−線フィルムへ当てた。フィルムの現像において、ノーザンブロット上の約1.4kbの帯は、予測されたサイズのME-5転写に対応する(図4)。この転写は、全ての組織中に見られ、特に前立腺、精巣及び子宮組織中にきわめて多かった。
【0066】
正常なヒト組織からのME-2遺伝子発現プロファイルを、市販のマルチプルティッシュノーザンブロット(BD Biosciences社製;サンディエゴ、CA)を使用したノーザンブロット分析の実施により行い、その結果を図5に示す。上記市販のノーザンブロットは下記組織からのRNAを含有した:脾臓、胸腺、前立腺、精巣、子宮、小腸、結腸(非粘膜性)、及び末梢血白血球。完全な1182塩基対コード配列を、低溶融性アガロースゲル中の電気泳動により単離し、ランダムプライミングにより32Pで標識した。32P標識されたME-2プローブを、製造者により供給された手順を使用してノーザンブロット法のハイブリダイゼーション用に使用した。洗浄後にブロットをX−線フィルムへ当てた。フィルムの現像において、ノーザンブロット上の約2.0kbの帯は、標識されたプローブへハイブリダイズしたME-2転写に対応する(図5)。この転写は、全ての組織中に見られ、特に前立腺及び精巣にきわめて多かった。更に、観察されたかなりのレベルのハイブリダイゼーションは、脾臓、子宮、小腸、結腸、及び末梢血リンパ球組織中で発現したRNAsの量に対応する。興味深いことには、このパターンは末梢血リンパ球により観察されたにもかかわらず、比較的わずかのシグナルしか胸腺組織中に検出できなかった。
【0067】
正常なヒト組織からのEPP2遺伝子発現プロファイルを、市販のマルチプルティッシュノーザンブロット(BD Biosciences社製;サンディエゴ、CA)を使用したノーザンブロット分析の実施により行い、その結果を図6に示す。上記市販のノーザンブロットは下記組織からのRNAを含有した:脾臓、胸腺、前立腺、精巣、子宮、小腸、結腸(非粘膜性)、及び末梢血白血球。完全な300塩基対EPP2コード配列を、低溶融性アガロースゲル中の電気泳動により単離し、ランダムプライミングにより32Pで標識した。32P標識されたEPP2プローブを、製造者により供給された手順を使用してノーザンブロット法のハイブリダイゼーション用に使用した。洗浄後にブロットをX−線フィルムへ当てた。フィルムの現像において、ノーザンブロット上の約1.0kbでの帯は、標識されたプローブへハイブリダイズしたEPP2転写に対応する(図6)。この転写は、全ての組織中に見られ、特に前立腺、精巣、結腸、及び末梢血リンパ球組織中にきわめて多かった。更に、転写は存在したがかなりのレベルのハイブリダイゼーションは、脾臓、胸腺、子宮、及び小腸組織中で発現したRNAsの量よりも低かった。
【0068】
実施例4
昆虫細胞ホスト中での組み換え型ME-5、ME-2及びEPP2蛋白質の発現
ME-5抗原を昆虫細胞中の6Xヒスチジン標識融合蛋白質としての発現用にクローン化した。ME-5 cDNAインサートの配列を、912bpコード領域の側面に並列する特別なプライマーを使用したPCR増幅により生成した。Bam HI及びEco RI制限酵素用の特異的サイトを、プライマー中に組み込み、ベクター配列でME-5リーディングフレームを維持した。PCRアンプリコンをBam HI及びEco RI制限酵素(Stratagene社製;サンディエゴ、CA)で消化し、アガロースゲル電気泳動で精製した。昆虫細胞トランスファーベクターBlue Bac His2a(商標)(Stratagene社製;サンディエゴ、CA)も同様に制限酵素Bam HI及びEco RIで消化し、仔ウシ小腸由来アルカリホスファターゼで処理した。ME-5 cDNAインサートをベクターでライゲートし、被感染能力を持つ菌でトランスフォームした。個々の単離されたクローンを増殖し、プラスミドDNAを単離し、制限酵素Bam HI及びEco RIで消化した。直鎖状ベクターに加えて約900bpの帯を生成するクローンを選択した。幾つかの候補を更にDNA配列分析により特性評価し、PCR増幅及びクローニングのプロセス中に変化が起こらなかったことを確認した。1個のクローンを突然変異を有さないことを確認して、これを組み換え型バキュロウィルスベクターの増殖に使用した。組み換え型バキュロウィルスを、Sf9昆虫細胞の、バキュロウィルスDNA及びME-5トランスファーベクターとの同時トランスフェクションにより生成した。バキュロウィルスをプラーク精製により単離し、パイロット培養物中の発現パターンを評価するために使用した。組み換え型バキュロウィルス及びパイロット規模の培養物の発現パターンを評価した。1個の組み換え型バキュロウィルスクローンを、約38kDの抗原を発現するものとして同定し、それは、昆虫細胞溶解産物の可溶性及び不溶性フラクションの両方中に検出された。クローンを組み換え型ME-5蛋白質の発現用の大規模のウィルスストックへ拡大した。これをSf9昆虫細胞の大規模培養物を感染するために使用した。発現パターンを図7に示し、これをウェスタンブロット法分析によりより良く視覚化した(図7)。組み換え型ME-5の存在を、市販の抗HisGモノクローナル抗体(Invitrogen社製;Carlsbad、CA)及び次に続く125I標識されたウサギ抗−マウスIgG二次抗体により確認した。これは、ME-5として予測された分子量である約38kDの6Xヒスチジン標識蛋白質の存在を保証する。組み換え型は、昆虫細胞溶解産物の、可溶性及び不溶性フラクションの両方中に検出されたが、僅かにより多くの抗原が可溶性フラクション中に局在するようだった。更にいくつかの抗原が、溶解前に感染した細胞を洗浄するために使用したPBS中に存在した。
【0069】
ME-2抗原を、上記ME-5活性用の記載のように、昆虫細胞中の6Xヒスチジン標識融合蛋白質としての発現用にクローン化した。ME-2 cDNAインサートの配列を、1182bpコード領域の側面に並列する特別なプライマーを使用したPCR増幅により生成した。Bam HI及びEco RI制限酵素用の特異的サイトを、プライマー中に組み込み、ベクター配列でME-2リーディングフレームを維持した。PCRアンプリコンをBam HI及びEco RI制限酵素(Stratagene社製;サンディエゴ、CA)で消化し、アガロースゲル電気泳動で精製した。昆虫細胞トランスファーベクターBlue Bac His2a(商標)(Stratagene社製;サンディエゴ、CA)も同様に制限酵素Bam HI及びEco RIで消化し、仔ウシ小腸由来アルカリホスファターゼで処理した。ME-2 cDNAインサートをベクターでライゲートし、被感染能力を持つ菌でトランスフォームした。個々の単離されたクローンを増殖し、プラスミドDNAを単離し、制限酵素Bam HI及びEco RIで消化した。直鎖状ベクターに加えて約1100bpの帯を生成するクローンを選択した。幾つかの候補を更にDNA配列分析により特性評価し、PCR増幅及びクローニングのプロセス中に変化が起こらなかったことを確認した。1個のクローンを突然変異を有さないことを確認して、これを組み換え型バキュロウィルスベクターの増殖に使用した。組み換え型バキュロウィルスを、Sf9昆虫細胞の、バキュロウィルスDNA及びME-2トランスファーベクターとの同時トランスフェクションにより生成した。バキュロウィルスをプラーク精製により単離し、パイロット培養物中の発現パターンを評価するために使用した。組み換え型バキュロウィルス及びパイロット規模の培養物の発現パターンを評価した。1個の組み換え型バキュロウィルスクローンを、約49kDの抗原を発現するとして同定し、それは昆虫細胞溶解産物の、可溶性及び不溶性フラクションの両方中に検出された。クローンを組み換え型ME-2蛋白質の発現用の大規模のウィルスストックへ拡大した。これをSf9昆虫細胞の大規模の培養を感染するために使用した。発現パターンを図8に示し、ウェスタンブロット法分析によりより良く視覚化した(図8)。組み換え型ME-2の存在を、市販の抗HisGモノクローナル抗体(Invitrogen社製;Carlsbad、CA)及び次に続く125I標識されたウサギ抗−マウスIgG二次抗体により確認した。これは、ME-2として予測された分子量である約49kDの6Xヒスチジン標識蛋白質の存在を保証する。組み換え型は、昆虫細胞溶解産物の、可溶性及び不溶性フラクションの両方中に検出されたが、僅かにより多くの抗原が可溶性フラクション中に局在するようだった。更にいくつかの抗原が、溶解前に感染した細胞を洗浄するために使用したPBS中に存在した。
【0070】
EPP2抗原を、上記記載のように、昆虫細胞中の6Xヒスチジン標識融合蛋白質としての発現用にクローン化した。EPP2 cDNAインサートの配列を、300bpコード領域の側面に並列する特別なプライマーを使用したPCR増幅により生成した。Bam HI及びEco RI制限酵素用の特異的サイトを、プライマー中に組み込み、ベクター配列でEPP2リーディングフレームを維持した。PCRアンプリコンをBam HI及びEco RI制限酵素(Stratagene社製;サンディエゴ、CA)で消化し、アガロースゲル電気泳動で精製した。昆虫細胞トランスファーベクターBlue Bac His2a(商標)(Stratagene社製;サンディエゴ、CA)も同様に制限酵素Bam HI及びEco RIで消化し、仔ウシ小腸由来アルカリホスファターゼで処理した。EPP2 cDNAインサートをベクターでライゲートし、被感染能力を持つ菌でトランスフォームした。個々の単離されたクローンは増殖され、プラスミドDNAを単離し、制限酵素Bam HI及びEco RIで消化された。直鎖状ベクターに加えて約300bpの帯を生成するクローンを選択した。幾つかの候補を更にDNA配列分析により特性評価し、PCR増幅及びクローニングのプロセス中に変化が起こらなかったことを確認した。1個のクローンを突然変異を有さないことを確認して、これを組み換え型バキュロウィルスベクターの増殖に使用した。組み換え型バキュロウィルスを、Sf9昆虫細胞の、バキュロウィルスDNA及びEPP2トランスファーベクターとの同時トランスフェクションにより生成した。バキュロウィルスをプラーク精製により単離し、パイロット培養物中の発現パターンを評価するために使用した。組み換え型バキュロウィルス及びパイロット規模の培養物の発現パターンを評価した。1個の組み換え型バキュロウィルスクローンを、約9kDの抗原を発現するとして同定し、それは昆虫細胞溶解産物の、可溶性及び不溶性フラクションの両方中に検出された。クローンを組み換え型EPP2蛋白質の発現用の大規模のウィルスストックへ拡大した。これをSf9昆虫細胞の大規模の培養を感染するために使用した。発現パターンを図9に示し、ウェスタンブロット法分析によりより良く視覚化した(図9)。組み換え型EPP2の存在を、市販の抗HisGモノクローナル抗体(Invitrogen社製;Carlsbad、CA)及び次に続く125I標識されたウサギ抗−マウスIgG二次抗体により確認した。これは、EPP2として予測された分子量である約9kDの6Xヒスチジン標識蛋白質の存在を保証する。組み換え型は、昆虫細胞溶解産物の、可溶性及び不溶性フラクションの両方中に検出されたが、僅かにより多くの抗原が可溶性フラクション中に局在するようだった。ME-5及びME-2蛋白質発現に観察されたパターンとは異なり、EPP2抗原は、溶解前に感染した細胞を洗浄するために使用したPBS中に存在しなかった。
【0071】
実施例5
昆虫細胞からの組み換え型ME-5、ME-2及びEPP2蛋白質の精製
ME-5、ME-2及びEPP2抗原の更なる研究では、単離された蛋白質の実質的量を求めた。これらは特に、ME-5、ME-2及びEPP2蛋白質の子宮内膜症患者血清試料との反応性を評価して、臨床的関連性(妥当量)を確立するために必要である。組み換え型ME-5、ME-2及びEPP2抗原を、細胞溶解産物の可溶性フラクション又はその全体から固定化金属アフィニティクロマトグラフィー(IMAC)により単離した。
【0072】
組み換え型ME-5抗原を、昆虫細胞溶解産物の可溶性フラクションから単離した。簡潔に述べると、ME-5組み換え型バキュロウィルス感染した昆虫細胞を感染3日後に遠心分離により採取した。細胞をPBSで2回洗浄し、細胞ペレットを1時間−70℃で凍結した。解凍後、細胞ペレットを結合バッファ(500mM NaCl、20mMトリス−HCl、pH8.0)中で懸濁し、哺乳動物組織用プロテアーゼ阻害剤カクテル(Sigma社製;St.Louis、MO)を補充した。溶解産物を超音波処理し、18000rpm、4℃で20分間遠心分離し、可溶性及び不溶性フラクションを分離した。可溶性フラクションを結合バッファに対して透析し、18000rpm、4℃で遠心分離してカラムの性能に影響を及ぼす不純物を除去した。ニッケル荷電キレート化Sepharose樹脂(商標)(Amersham Biosciences社製;Piscataway、NJ)を2Xカラム容積の結合バッファで2回平衡化した。樹脂をロッカー上室温で20分間、ME-5昆虫細胞溶解産物でインキュベートした。樹脂/溶解産物混合物をカラム上に供給し、40カラム容積のA20カラム洗浄バッファ(20mMイミダゾール;500mM NaCl;20mMトリス−HCl、pH8.0)で洗浄した。結合されたME-5蛋白質を、カラムから溶離バッファ(500mMイミダゾール;500mM NaCl;20mMトリス−HCl、pH7.5)で溶離した。プロテアーゼ阻害剤カクテルをプールした溶離フラクション中へ添加し、蛋白質濃度をBCAアッセイ(Pierce社製;Rockford、IL)により、BSA標準曲線を使用して測定した。溶離した蛋白質サンプルを、図10に示すように、SDS PAGE、その次のクマシー(商標)ブルーによる染色又はニトロセルロースへのトランスファー及びウェスタンブロット法により分析した。このように単離されたME-5蛋白質試料を複数のアリコートに分割し、−20℃で30%グリセロールで貯蔵した。
【0073】
組み換え型ME-2抗原を、昆虫細胞溶解産物の可溶性フラクションから同様に単離した。簡潔に述べると、ME-2組み換え型バキュロウィルス感染した昆虫細胞を感染3日後に遠心分離により採取した。上記記載のように細胞をPBSで洗浄し、細胞を凍結した。解凍後、可溶性フラクションをニッケル荷電キレート化Sepharose樹脂(商標)(Amersham Biosciences社製;Piscataway、NJ)へ20分間室温で結合させた。樹脂/溶解産物混合物をカラム上に供給し、結合バッファA10(10mMイミダゾール、1M NaCl、20mM トリス−HCl、pH8.0、10%グリセロール、6M尿素)、A15(15mMイミダゾール含有バッファA10)、及びA20(20mMイミダゾール含有バッファA10)で次々に洗浄して変性させた。結合されたME-2蛋白質を、カラムから溶離バッファ(500mMイミダゾール;500mM NaCl;20mMトリス−HCl、pH7.5)で溶離した。プロテアーゼ阻害剤カクテルをプールした溶離フラクション中へ添加し、蛋白質濃度をBCAアッセイ(Pierce社製;Rockford、IL)により、BSA標準曲線を使用して測定した。溶離した蛋白質サンプルを、図11に示すように、SDS PAGE、その次のクマシー(商標)ブルーによる染色又はニトロセルロースへのトランスファー及びウェスタンブロット法により分析した。このように単離されたME-2蛋白質試料を複数のアリコートに分割し、−20℃で30%グリセロールで貯蔵した。
【0074】
組み換え型EPP2抗原を、下記の通り、昆虫細胞溶解産物全体から同様に単離した。EPP2組み換え型バキュロウィルス感染した昆虫細胞を感染3日後に遠心分離により採取した。細胞をPBSで2回洗浄し、細胞ペレットを1時間−70℃で凍結した。解凍後、細胞ペレットを変性用結合バッファ(750mM NaCl;20mMトリス−HCl、pH8.0;10%グリセロール;6MグアニジンHCl)中で懸濁し、哺乳動物組織用プロテアーゼ阻害剤カクテル(Sigma社製;St.Louis、MO)を補充した。溶解産物を超音波処理し、遠心分離して、可溶性及び不溶性フラクションを分離した。可溶性フラクションをニッケル荷電キレート化Sepharose樹脂(商標)(Amersham Biosciences社製;Piscataway、NJ)へ室温で20分間結合させた。樹脂をカラム上に供給し、変性用結合バッファA10(10mMイミダゾール、1M NaCl、20mMトリス−HCl、pH8.0、10%グリセロール、6M尿素)、A15(15mMイミダゾールを含むバッファA10)、A20(20mMイミダゾールを含むバッファA10)、A25(25mMイミダゾールを含むバッファA10)、及びA30(バッファA10と同一であるが30mMイミダゾールを含む)で次々に洗浄した。単離されたEPP2蛋白質を変性用溶離バッファ(250mMイミダゾール、1M NaCl、20mMトリス−HCl、pH7.5、10%グリセロール、6M尿素)で溶離した。プロテアーゼ阻害剤カクテルをプールした溶離フラクション中へ添加し、EPP2蛋白質を0.5MNaCl及びシステイン/シスチンを有する0.2M炭酸水素塩バッファに対して透析し、尿素を除去した。透析後、サンプルを必要であればAquacideで濃縮し、蛋白質濃度をBCAアッセイ(Pierce社製;Rockford、IL)により、BSA標準曲線を使用して測定した。単離されたEPP2蛋白質サンプルを、図12に示すように、SDS PAGE、その次のクマシー(商標)及びウェスタンブロット法により分析した。蛋白質サンプルを−20℃で30%グリセロールで貯蔵した。このように単離されたEPP2蛋白質試料を複数のアリコートに分割し、−20℃で30%グリセロールで貯蔵した。
【0075】
実施例6
抗体調製
ME-5蛋白質へのモノクローナル抗体を、標準的方法(G.Galfreら[1977]Nature,266:550)を変形して(V.T.Oi及びL.A.Herzenberg[1980]In B.B.Mishell及びS.M.Shiigi[eds.] 「細胞免疫学における選択された方法」 [San Francisco:W.H.Freeman])使用して生成した。これらモノクローナル抗体試薬は、ME-5蛋白質特性の追加的研究用に価値が高く、子宮内膜症患者の蛋白質の臨床的有意性を決定するための免疫学的測定の開発を助ける。マウス(BALB/c)を単離された組み換え型ME-5抗原で免疫化し、これらの動物中の抗原への抗体反応を、その動物の血清をELISA及びウェスタンブロット法技術を適用して監視した。抗体反応が強い場合、その動物はME-5抗原に対する別の免疫で追加免疫された。3日後、脾臓を動物から摘出し、免疫細胞を器官から単離した。単離された脾臓細胞を免疫グロブリン非生産性Sp2/0マウス骨髄腫セルライン(M.Shulmanら[1978]Nature276:269)と融合した。得られたハイブリドーマ細胞をHAT試薬を含有する培養媒体中で選択した。候補ハイブリドーマ細胞を最低2回限界稀釈法によりクローン化し、クローンを単離されたME-5抗原を使用してELISAによりスクリーンした。2D1で示される1個のハイブリドーマセルラインが、単離されたME-5抗原と特に良く反応することが発見され、これを下記追加的実験用に選択した。
【0076】
実施例7
天然ME-5抗原の同定及び組織分散
最初に2D1モノクローナルを、培養されたRL95−2子宮内膜癌細胞から得られた蛋白質抽出物へのウェスタンブロット法実験において使用した。培養されたRL95−2細胞を超音波処理により溶解し、不溶性破片を遠心分離により除去した。可溶性フラクションの一部は、単離された組み換え型ME-5蛋白質のサンプルの隣のSDS PAGEゲル上で分析した。図13に、抗ME-5 2D1モノクローナル抗体を使用して得られたウェスタンブロット法分析のパターンを示す。モノクローナルは単離された組み換え型抗原と良く反応し、2D1反応性が推定分子量38kDで観察された。RL95−2蛋白質抽出物中に、天然ME-5蛋白質との反応性の明瞭な帯があり、それは単離された組み換え型よりも僅かに大きいことが示された。
【0077】
天然ME-5抗原のこれらの研究は、種々のヒト器官から得られた組織抽出物を含むように拡張された。これらのウェスタンブロット法実験では、ヒト脾臓、脳、肺、心臓、肝臓、卵巣、胎盤、精巣、骨格筋、及び腎臓等の種々の組織が研究された。市場入手可能なヒト組織蛋白質抽出物(プロテインメドレーズ(商標):BD Biosciences社製;サンディエゴ、CA)のサンプルを、SDS PAGEゲル上で製造者により提供された説明書に従い電気泳動で分離した。蛋白質抽出物をウェスタンブロット法により抗ME-5 2D1モノクローナルを一次抗体として使用して評価し、免疫複合体を125I標識された抗−マウス抗体で検出した。結果は図14に示され、コントロールとして含有された単離された組み換え型ME-5蛋白質との反応性を示す濃い帯が存在する。更に、天然ME-5蛋白質がほとんど全ての検討した組織中に存在することが観察され、適切なことには蛋白質は卵巣組織中に高濃度で存在するように観察された。他の生殖器関係の組織中のME-5蛋白質の存在は、抗原はこの種の器官中に高いレベルで自然に発現することを推認させる。従ってME-5は生殖器系中に起こる機能の調整の主要な役割を有するらしい。その結果ME-5はより確かに、子宮内膜症で生成された抗子宮内膜抗体のターゲットであるといえる。かなりのレベルの発現が同様に心臓、肝臓、及び腎臓組織抽出物中で測定された。これは実施例2中で検討されたCHIP蛋白質が心臓性cDNAライブラリーから単離されたことから同様に根拠づけられる。いくぶん低いが検出可能なレベルの天然ME-5が、残りの組織抽出物の大部分中に観測された。
【0078】
実施例8
臨床的発見:ME-5、ME-2及びEPP2抗原の子宮内膜症患者血清との反応性
ME-5、ME-2及びEPP2蛋白質の臨床的有意性が、ライン免疫ブロット法研究を使用して子宮内膜症患者の血清中に存在する抗体との反応性を測定して評価された。これらのラインブロット法実験は、組み換え型蛋白質と反応するヒト血清中のIgG抗体を同定するために設計された。簡潔に述べると、ラインブロット法はME-5、ME-2及びEPP2組み換え型蛋白質抗原を使用し、その抗原は、ニトロセルロース膜上に分離した位置で表面に伸びるラインの形で固定化される。更に、試薬コントロールラインが、特別なアッセイ条件が次に続くことを確認するために含まれる。膜を多くの個々のストリップへ切断した後、これらを個々の患者血清とインキュベートし、患者IgGが分離したライン中に固定化された抗原へ結合する。上記ストリップを酵素標識された抗ヒトIgG抗体でインキュベートし次に基質反応を行うことにより、免疫複合体を視覚化した。これらの実験を評価する場合には、コントロール血清で処理したストリップを、子宮内膜症患者血清でインキュベートされたストリップと比較し、それぞれの帯のステインの強度の分析を容易とした。ME-5、ME-2及びEPP2抗原との反応性を示す患者血清試料は、シグナル強度がコントロール被検体ストリップ上の蛋白質で得られたものより強い場合には陽性であると考えられる。
【0079】
正常なコントロール被検体血清と処理されたME-5抗原を含有する、いくつかの代表的ラインブロットストリップを図15Aに示す。反対に、代表的子宮内膜症患者の、類似するストリップとの反応性パターンを図15Bに示す。子宮内膜症患者からの血清は、コントロール血清と比較(15A及び15Bのパターンの比較)した場合、一貫してME-5蛋白質とより強く反応する。一般的に特定の濃度のME-5組み換え型は、コントロールと比べ、子宮内膜症患者中の抗体に対する反応性の最も良い識別力を提供することを示した。これらの実験中、及び下記でまとめられる他の場合、この濃度はミリリットル当りME-5が0.036ミリグラムである。この価では、コントロール被検体はほとんど反応しないが、子宮内膜症患者の反応性は実質的である。
【0080】
この実験中、合計47個の子宮内膜症患者血清(Diagnostic Support社製;ボストン、MA)を、24個の陰性のコントロールと共に評価した。いくつかの代表的データを、上記図中に示し、全ての子宮内膜症患者血清の組み換え型ME-5抗原との反応性を表1にまとめた。コントロール反応性を表2に示す。合計27人の子宮内膜症患者は、この実験中強く陽性であった。更に、明確な臨界(cut off)であるミリリットル当たりME-5が0.036ミリグラム未満であることが観察された患者血清の多くは、上記のような陰性のコントロール血清と比較して、より高い濃度の抗原とより良く反応する。コントロール試料のいずれもラインブロットにより測定されたようにME-5抗原への非常に高い抗体反応性を有していなかった。従って、マーカーME-5は、この実験中評価した、少なくとも57%の子宮内膜症患者血清と反応し、子宮内膜症患者からの血清全体の、ME-5蛋白質との反応性パターンは、コントロール血清で観察されたパターンと比較した場合に非常に強かった。
【0081】
正常なコントロール被検体血清と処理されたME-2抗原を含有する、いくつかの代表的ラインブロットストリップを図16Aに示す。反対に、代表的子宮内膜症患者の、類似するストリップとの反応性パターンを図16Bに示す。子宮内膜症患者からの血清は、コントロール血清と比較(16A及び16Bのパターンの比較)した場合、一貫してME-2蛋白質とより強く反応する。一般的に特定の濃度のME-2組み換え型は、コントロールと比べ、子宮内膜症患者中の抗体に対する反応性の最も良い識別力を提供することを示した。これらの実験中、及び下記でまとめられる他の場合、この濃度はミリリットル当りME-2が0.018ミリグラムである。この価では、コントロール被検体はほとんど反応せず、子宮内膜症患者の反応性は実質的である。
【0082】
この実験中、合計47個の子宮内膜症患者血清(Diagnostic Support社製;ボストン、MA)を、24個の陰性のコントロールと共にME-2抗原との反応性を評価した。いくつかの代表的データを、上記図中に示し、全ての子宮内膜症患者血清の組み換え型ME-2抗原との反応性を表3にまとめた。コントロール被検体の反応性を表4に示す。合計25人の子宮内膜症患者は、この実験中強く陽性であった。更に、明確な臨界であるミリリットル当たりME-2が0.018ミリグラム未満であることが観察された患者血清の多くは、上記のような陰性のコントロール血清と比較して、より高い濃度の抗原とより良く反応する。コントロール試料のいずれもラインブロットにより測定されたようにME-2抗原への非常に高い抗体反応性を有していなかった。従って、マーカーME-2は、この実験中評価した、少なくとも53%の子宮内膜症患者血清と反応し、子宮内膜症患者からの血清全体の、ME-2蛋白質との反応性パターンは、コントロール血清で観察されたパターンと比較した場合に非常に強かった。これは更に、2倍のより高い濃度(0.144mg/ml)のME-2抗原は、コントロール血清との反応性を評価された事実、及び、これを観察したシグナル強度はより低い蛋白質レベルの子宮内膜症血清で生成されたものよりも非常に低かった事実により例示される。
【0083】
上記活性に関して記載されたように、EPP2抗原との反応性を示す患者血清試料は、シグナル強度がコントロール被検体ストリップ上の蛋白質で得られるものよりも高い場合、陽性であると考えられ、上記記載同様に、これらの実験を評価する場合、コントロール血清と処理されたストリップは、子宮内膜症患者血清とインキュベートしたストリップとを比較して、それぞれの帯の染色の強度の分析を容易にした。組み換え型EPP2の正常なコントロール被検体血清との反応性を示す、いくつかの代表的ラインブロットストリップを図17Aに示す。反対に、代表的子宮内膜症患者の、類似するストリップとの反応性パターンを図17Bに示す。一般的に子宮内膜症患者からの血清は、コントロール血清(17A及び17Bのパターンの比較)と比較した場合、EPP2蛋白質とより強く反応する。一般的に特定の濃度のEPP2組み換え型は、コントロールと比べ、子宮内膜症患者中の抗体に対する反応性の最も良い識別力を提供することを示した。これらの実験中、及び下記でまとめられる他の場合、この濃度はミリリットル当りEPP2が0.05ミリグラムである。この価では、コントロール被検体はほとんど反応しないが、子宮内膜症患者の反応性は実質的である。
【0084】
この実験中、合計90個の子宮内膜症患者血清(Diagnostic Support社製;ボストン、MA及びBoston Biomedica社製;ボストン)を、24個の陰性のコントロールと共に評価した。いくつかの代表的データを、上記図中に示し、全ての子宮内膜症患者血清の組み換え型EPP2抗原との反応性を表5にまとめた。コントロール被検体反応性を表6に示す。合計55人の子宮内膜症患者は、この実験中強く陽性であった。更に、明確な臨界であるミリリットル当たりEPP2が0.05ミリグラム未満であることが観察された患者血清の多くは、上記のような陰性のコントロール血清と比較して、より高い濃度の抗原とより良く反応する。コントロール試料のいずれもラインブロットにより測定されたようにEPP2抗原への非常に高い抗体反応性を有していなかった。従って、マーカーEPP2は、この実験中評価した、少なくとも61%の子宮内膜症患者血清と反応し、子宮内膜症患者からの血清全体のEPP2蛋白質との反応性パターンは、コントロール血清で観察されたパターンと比較した場合に非常に強かった。
【0085】
個々のME-5、ME-2及びEPP2抗原用の反応性パターンは、全体では53%〜61%であり、これは子宮内膜症診断用マーカーとして充分に使用できることを示す。しかし、表1、3、及び5にまとめた結果の検査を検討すると、異なる子宮内膜症患者は同じようにそれぞれの3個の抗原とは反応しなかったことは明らかである。従って、子宮内膜症患者血清の反応性パターンがそれぞれの3個の抗原として考えられた場合には、このマーカーのパネルは、説得力がある診断用テストとしての使用を可能とする。例示として、47人の患者をそれぞれのME-5、ME-2及びEPP2抗原について評価し、1以上の試料中の抗体との反応性パターンを表7中にまとめた。以上より、83%を超える測定血清は、少なくとも1のME-5、ME-2、又はEPP2抗原と反応する抗体を含有した。その結果、この3個の抗原を診断用テストパネルとして組み合わせて検討する場合、子宮内膜症患者中の抗体がそれらと反応する頻度は非常に高い。
【0086】
表1(ME-5と47人の子宮内膜症患者との反応性の全体のパターン)
子宮内膜症患者血清試料は、市販の製造者から得られ(Diagnostic Support社製;ボストン、MA)、ラインブロットにより組み換え型ME-5抗原との反応性を評価した。
【表1】
【0087】
表2(ME-5と24人のコントロール被検体血清との反応性の全体のパターン)
コントロール被検体血清試料は、体内血液流から得られ、ラインブロットにより組み換え型ME-5抗原との反応性を評価した。
【表2】
【0088】
表3(ME-2と47人の子宮内膜症患者との反応性の全体のパターン)
子宮内膜症患者血清試料は、市販の製造者から得られ(Diagnostic Support社製;ボストン、MA)、ラインブロットにより組み換え型ME-2抗原との反応性を評価した。
【表3】
【0089】
表4(ME-2と24人のコントロール被検体との反応性の全体のパターン)
コントロール被検体血清試料は、体内血液流から得られ、ラインブロットにより組み換え型ME-2抗原との反応性を評価した。
【表4】
【0090】
表5(EPP2と90人の子宮内膜症患者との反応性の全体のパターン)
子宮内膜症患者血清試料は、市販の製造者から得られ(Diagnostic Support社製;ボストン、MA)、ラインブロットにより組み換え型EPP2抗原との反応性を評価した。
【表5】
【0091】
表6(EPP2と24人のコントロール被検体血清との反応性の全体のパターン)
コントロール被検体血清試料は、体内血液流から得られ、ラインブロットにより組み換え型EPP2抗原との反応性を評価した。
【表6】
【0092】
表7(ME-5、ME-2、又はEPP2のパネルと47人の子宮内膜症患者との反応性とを組み合わせたパターンのまとめ)
合計47人の子宮内膜症患者血清試料について、表1、3、及び5に示したようにそれぞれの3個の抗原との反応性を評価した。これらそれぞれの患者の、1以上のマーカーとの全体の反応性をまとめた。
【表7】
【0093】
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1A】単離されたME-5 cDNA用のヌクレオチド配列(SEQ ID NO:1)を示す。
【図1B】推定ME-5コード配列であり、図1AのME-5 cDNAのコード領域のヌクレオチド配列(SEQ ID NO:2)を示す。
【図1C】推定ME-5アミノ酸配列であり、図1AのME-5 cDNAのヌクレオチド配列によりエンコードされた蛋白質の推定アミノ酸配列(SEQ ID NO:3)を示す。
【図2A】単離されたME-2 cDNA用のヌクレオチド配列(SEQ ID NO:4)を示す。
【図2B】推定ME-2コード配列であり、図2AのME-2 cDNAのコード領域(SEQ ID NO:5)のヌクレオチド配列を示す。
【図2C】推定ME-2アミノ酸配列であり、図2AのME-2 cDNAのヌクレオチド配列によりエンコードされた蛋白質の推定アミノ酸配列(SEQ ID NO:6)を示す。
【図3A】単離されたEPP2 cDNA用のヌクレオチド配列(SEQ ID NO:7)を示す。
【図3B】推定EPP2 DNA配列であり、図3AのEPP2 cDNAのコード領域のヌクレオチド配列(SEQ ID NO:8)を示す。
【図3C】推定EPP2アミノ酸配列であり、図3AのEPP2 cDNAのヌクレオチド配列によりエンコードされた蛋白質の推定アミノ酸配列(SEQ ID NO:9)を示す。
【図4】種々のヒト組織中に発現するME-5mRNAのノーザンブロットパターンを示す。
【図5】種々のヒト組織中に発現するME-2mRNAのノーザンブロットパターンを示す。
【図6】種々のヒト組織中に発現するEPP2mRNAのノーザンブロットパターンを示す。
【図7】昆虫細胞ホスト中の組み換え型ME-5の発現パターンを、ゲル染色(左パネル)及びウェスタンブロット法(右パネル)により示す。
【図8】昆虫細胞ホスト中の組み換え型ME-2の発現パターンを、ゲル染色(左パネル)及びウェスタンブロット法(右パネル)により示す。
【図9】昆虫細胞ホスト中の組み換え型EPP2の発現パターンを示す。ゲル染色(左パネル)及びウェスタンブロット法(右パネル)により示す。
【図10】固定化金属アフィニティクロマトグラフィー(IMAC)を使用した組み換え型6X−標識ME-5蛋白質の単離を示す。溶解産物、漏出液、洗浄液、及び溶離液のサンプルを、SDS PAGE及びウェスタンブロット法で分析した。
【図11】固定化金属アフィニティクロマトグラフィー(IMAC)を使用した組み換え型6X−標識ME-2蛋白質の単離を示す。溶解産物、漏出液、洗浄液、及び溶離液のサンプルを、SDS PAGE及びウェスタンブロット法で分析した。
【図12】固定化金属アフィニティクロマトグラフィー(IMAC)を使用した組み換え型6X−標識EPP2蛋白質の単離を示す。溶解産物、漏出液、洗浄液、及び溶離液のサンプルを、SDS PAGE及びウェスタンブロット法で分析した。
【図13】単離された組み換え型ME-5蛋白質、並びにRL95−2子宮内膜癌細胞中に存在する天然ME-5抗原のウェスタンブロット法分析を示す。
【図14】種々のヒト組織中に発現するME-5天然抗原を示すウェスタンブロット法分析を示す。
【図15A】組み換え型ME-5の能力を示す代表的ライン免疫ブロット法分析を示す。患者及びコントロール間を区別する最適濃度は、ラインブロットストリップの右側に矢印で示された0.036mg/mlである。
【図15B】図15Aと同様の組み換え型ME-5の能力を示す代表的ライン免疫ブロット法分析を示す。
【図16A】組み換え型ME-2の能力を示す代表的ライン免疫ブロット法分析を示す。患者及びコントロール間を区別する最適濃度は、ラインブロットストリップの右側に矢印で示された0.018mg/mlである。
【図16B】図16Aと同様の組み換え型ME-2の能力を示す代表的ライン免疫ブロット法分析を示す。
【図17A】組み換え型EPP2の能力を示す代表的ライン免疫ブロット法分析を示す。患者及びコントロール間を区別する最適濃度は、ラインブロットストリップの右側に矢印で示された0.05mg/mlである。
【図17B】図17Aと同様の組み換え型EPP2の能力を示す代表的ライン免疫ブロット法分析を示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、子宮内膜症に罹患している女性の血清中に存在する自己抗体と反応するヒト蛋白質抗原に関し、特にME-5、ME-2、及びEPP2に関する。
【背景技術】
【0002】
子宮内膜症は女性の生殖器関係の障害であり、正常な子宮位置の外側に子宮内膜組織が存在する特徴を有する。最もしばしば、子宮内膜症組織は腹腔中に存在し、その場所にある種々の組織及び器官へ付着する。子宮内膜症は、年間約500万人の米国女性が罹患し、出産可能年齢の女性の有病率は10〜15%である良性な病気である。その発生率は不妊症であるか骨盤痛を訴える女性では60〜80%へ増加する(D.Gosselinら[1999]Curr.Opin.Onco.Endo.& Metabol.Invest.Drugs 1:31)。女性を子宮内膜症へ罹患しやすくする条件は未だ不明である。幾つかの信頼できる報告は逆行性月経は重要な寄与因子である可能性を示すが、このプロセス(逆行性月経)は多くの女性で普通であると考えられる。この理論は又、正常又は理想的子宮内膜と病気の患者中に見られる異所性組織との間に発生する実質的な相違を主な理由として、近年疑問視されている(D.B.Redwine[2002]Fert.Steril.78:686)。その結果、他の遺伝的因子及び免疫学的因子が、罹患しやすい女性での病気の進行に主要な役割を果たすと考えられている。例えば、子宮内膜症は、罹患女性の第一度近親者では、個体群の残りと比べてより高い発生率であると考えられる(Coxhead及びThomas[1993]J.Obstet.Gynacol.13:42)。発生率に加えて、この病気は又、子宮内膜症の第一度近親者である女性でより重篤であることが報告されている(Thomas及びCampbell[2000]Gynacol.Obstet.Invest.50:2)。この障害に関連する明確な遺伝子は知られていないが、そのパターンは、本質的に母方由来であることが非常に推定される。
【0003】
生命を脅かすものではないが、子宮内膜症は、実質的腹部不快感を生じ、不妊の原因となる可能性がある。しかし臨床的なこれらの兆候は実際、他の女性特有の健康障害を表示するので、子宮内膜症の診断が臨床的課題となる。これは、子宮内膜症の診断の遅れの結果に関する近年の研究で強調された(G.K.Husbyら[2003]Acta.Obstet.Gynecol.Scand.82:649)。これらの研究者は、痛みの発生及び子宮内膜症の最終的診断の間に3〜11年の遅れがあることを報告した。この研究では、不妊及び痛みの両方を訴える女性でも、診断の遅れはあまり短くなかった。報告されたこれら兆候に関するこれら遅延は、明らかに相当な量の経済的及び精神的資源の浪費に結びつく。
【0004】
現在外科的腹腔鏡検査は、子宮内膜症の診断の最標準であると考えられている。腹腔鏡検査で、この病気はステージI(軽い病気、1〜5点)からIV(重症の病気、>40点)までポイントシステムを使用して視覚的に段階化される。点は、病変の位置、大きさ、及び深さ(深さがあるか表面的であるか)等の幾つかのパラメーターに従い決定される(T.P.Canavan及びL.Radosh[2000]Postgrad.Med.107:213)。幾つかの意見では(腹腔鏡)操作による危険の可能性を示し、しばしば腹腔鏡はこの病気の決定的な診断をもたらさない(S.Pillaiら[1996]Am.J.Reprod.免疫35:483)。例えば、腹腔鏡は主要な手術として区分されていないが、それは幾つかの特徴(侵襲的、高価、麻酔の必要性、及び完全な手術施設)を有し、それら特徴全体から、この(腹腔鏡)操作を少なくとも診断のためには不都合のある選択とする。実際、子宮内膜症は致命的な障害ではないが、腹腔鏡検査自体は生命の危険性がある。腹部通過進入事故は、この操作による合併症の50%の原因であり、主要な血管への傷害は、死亡率15%の原因となることが報告された(I.A.Brosens及びJ.J.Brosens[2000]Eur.J.Obstet.Gynecol.Reprod.Biol.88:117)。他の欠点として、病気の視覚的ステージ化は、不妊の程度、重篤度、又は兆候の数と相関関係にないことが報告された(T.P.Canavan及びL.Radosh[2000]Postgrad.Med.107:213)。子宮内膜症の診断での腹腔鏡検査の適用場所は再評価されるべきであることが報告された(I.A.Brosens及びJ.J.Brosens[2000]Eur.J.Obstet.Gynecol.Reprod.Biol.88:117)。この理論的根拠は、軽い子宮内膜症は病気では全くなく、全ての女性が子宮内膜症であることを何人かが示唆したことを理由の一部としている(P.R.Koninckx[1994]Hum.Reprod.9:2202)。更に上記記載のように、軽い病気以外のステージでは機能的症状(例えば、不妊、腹部痛み等)があり、それらは更に一般的に診断に利用できる。その結果、従来の「最標準となるもの」は、適切な生物化学的マーカーが特定されるまで、経膣的腹腔鏡検査(THL、より負担の少ない操作)及び磁気共鳴(MR)映像法の組み合わせにより置き換えることが提案された(I.A.Brosens及びJ.J.Brosens[2000]Eur.J.Obstet.Gynecol.Reprod.Biol.88:117)。
【0005】
子宮内膜症の発生率及びこの障害の診断困難性は共に、これら血清ベースの生物化学的マーカーを特定するために設計された実験の適切な理由となる。他の診断フェーズプログラムは、存在する子宮内膜病の可能なマーカーのそれを含むものである。例えば、上皮性卵巣−由来の抗原CA-125のレベルは、子宮内膜症患者の血清、腹水、及び月経性流体中で上昇することが報告された(B.Molら[1998]Fertil.Steril.70:1101)。このマーカーは、良好な特異性を示したが、PID、卵巣癌、又は頸癌患者中での高いレベルに比べ感度が低かった。限界はあるが、CA-125レベルは病気の程度及び治療への反応とある程度相関関係にあるために、マーカーをこの病気にかかる虞のある患者に使用して腹腔鏡検査をより早く行わせることができる(T.P.Canavan及びL.Radosh[2000]Postgrad.Med.107:213)。
【0006】
同様に、Sharpe-Timmsら(Biol.Reprod.[1998]58:988)は、げっ歯類モデルシステムでは子宮内膜症病変はハプトグロビン様蛋白質を分泌することを報告した。ハプトグロブリンは子宮内膜症組織により特異的に合成され、感度の高い逆転写酵素PCR技術を使用しても子宮組織中に検出できない。この抗原も又、癌細胞機能を調整し、子宮内膜症の病理生理へ寄与できることが報告されて注目されている。
【0007】
僅かに異なった研究方向では、D.Gosselinら(Curr.Opin.Oncol.Endo.Metabol.Inv.Drugs[1999]1:31)は、子宮内膜症患者の末梢血及び子宮内膜中の、T及びB細胞、マクロファージ、及びNK細胞のサブセット上に存在する白血球マーカーの、幾つかの異なった組み合わせを使用する診断用のアルゴリズムを報告した。これは、カナダ保健省により承認されているPROCREA Biosciences、Inc.社製、診断用試験(Metrio Test(商標))の発展の基礎を形成した。Metrio Testは、ELISAにより評価される血液生物化学的マーカーと組み合わせたフローサイトメトリ分析による8種の固有の白血球サブセットの評価に基づく(J.BrosensらObstet.Gynecol.Clin.North Am.[2003]30:95-114)。この報告されたテストは95%の特異性及び感度61%である。
【0008】
P.Viganoら(Obstet.Gynecol.[2000]95:115-118)は、細胞間付着分子1の可溶体が子宮内膜により放出され、これらの放出は患者の子宮内膜症の範囲(インプラントの数)と相関関係にあることを報告した。彼らは、可溶性細胞間付着分子1は、逆流した子宮内膜の広がり性を評価する値となりうることを示唆した。しかし、可溶性細胞間付着分子1は同様に、他の病気症状でも放出されることが知られており、この蛋白質のマーカーとしての使用可能価値は幾分減少する。
【0009】
J.Mahnkeら(Fertil.Steril.[2000]73:166-170)は、子宮内膜症の女性の腹水中のVEGF及びIL−6レベルを評価し、それらが病気が進行した患者中では上昇することを発見した。VEGF及びIL−6のレベルは、正常な女性及び病気の軽い患者では低かった。それでも、これらマーカーの診断値は、少なくともVEGFは正常な子宮内膜中の低酸素症により調節される可能性のある血管形成誘導因子として知られているため疑わしい(A.M.SharkeyらJ.Clin. Endocrinol.Metab.[2000]85:402-409)。
【0010】
Matalliotakis及びその共同研究者(Obstet.Gynecol.[2000]95:810-813)は、子宮内膜症の女性の血清中ではコントロール固有群と比較して可溶性CD23レベルが上昇することを発見した。CD23レベルは、ダナゾール又は酢酸ロイプロリドのいずれかでの治療中に非常に減少した。可溶性CD23レベル及び患者の子宮内膜症の重篤度の間には相関性は観察できなかった。上記他の仮想マーカーの幾つかのように、CD23は自己抗体製造に関係する病状と関連し、この蛋白質のレベルは自己免疫病患者中で上昇した。
【0011】
数多くの研究者によりなされた実質的努力、及び上記参照した刊行物中の報告にもかかわらず、子宮内膜症用の真に採用できるマーカーは発見されていない。更に、病気の物理的及び経済的影響、並びに障害診断の困難性は、適切なマーカーの探求が続けられることを求めている。その結果、本発明で開示された活動は、医者が患者のこの病気を検出するのを助ける子宮内膜症のマーカーを特定することを目的としている。他のグループも、これらの研究を行い、これらの発見は数多くの特許書類の内容となっているが、本発明で記載されたME-5、ME-2及びEPP2マーカーの発見とは実質的に異なる。米国特許出願第2003/0032044号には、生殖器関係の管障害を、試料中のインターロイキンIL−13及びIL−15レベルを測定して一般的に検出する方法が記載されている。別の米国特許出願第2002/0192647号では、VEGFR−1遺伝子中の単一のヌクレオチド多形性を測定して、血管形成由来の病気の診断方法を提供している。子宮内膜症は、この血管形成由来の病気群の一種に区分されるが、上記特許請求の範囲のいずれの対象でもない。米国特許出願第2001/046713及び2001/044158号には、試料中の抗−Tomsen-Frienenreich抗体を検出することによる子宮内膜症の診断方法が記載されている。発行された米国特許第6376201号には、子宮内膜症の診断に、主要な組織適合性複合体−クラスI抗原を使用して、上記Metrio Testの基礎を形成することが記載されている。この特許中、MHC−クラスI抗原は、試料中で特別なモノクローナル抗体により検出され、同様の開示は米国特許第5618680号及び国際公開第0043789号にも記載されている。子宮内膜症の診断方法は米国特許第6540980号にも記載されており、好酸球ペルオキシダーゼレベルを測定する。米国特許第6525187号には、患者血清中に存在する自己抗体のターゲットである子宮内膜症の明らかに新規なマーカーが記載されている。子宮内膜症の診断の別の方法が米国特許第6387629号に記載されており、それは、臨床サンプル中のプロテアーゼカテプシンSの測定に基づく。子宮内膜出血関連因子(ebaf)をエンコードする遺伝子が米国特許第6294662号に記載されており、この遺伝子は子宮内膜症の診断に使用できる。しかしebaf遺伝子は、ヒト中の特定の癌(結腸、卵巣、又は精巣)の早期の診断に、より有効に利用できると思われる。米国特許第5877284号には、別の有望な子宮内膜症のマーカーが記載されている。このマーカーは、小さな可溶性蛋白質であり、アフィニティクロマトグラフィーにより子宮内膜症の女性の腹水から単離され、この蛋白質は好中球及びマクロファージへの走化性作用を有する。ヒト子宮内膜機能の検出プロセスは、米国特許第4489166号に記載されており、臨床サンプル中のプロゲストーゲン関連子宮内膜蛋白質(PEP)の定量分析を行う。欧州特許第1191107号には、子宮内膜症の診断方法が記載されており、15の異なるヒト遺伝子グループの1個のレベルの減少を測定する。免疫学的測定プロセスは、欧州特許第0387027号に記載されており、試料を抗−子宮内膜症モノクローナル抗体で評価することにより患者の子宮内膜症を診断する。また、子宮内膜症の診断方法が国際公開第0063675号に記載されており、患者中の生物学的流体中の子宮内膜症因子の増加したレベルを検出する。国際公開第9963116号では、子宮内膜組織中のプロサイモシン量の増加を測定して子宮内膜症を診断する方法を提供する。
【0012】
米国特許第6531277号は、子宮内膜症固有の分泌性蛋白質を開示する。その明細書では、子宮内膜組織のストローマ細胞により生成されるヒトENDO−1の特性を開示した。このENDO−1蛋白質は、分子量40〜50キロダルトン、等電点4.0〜5.5である。この書類の特許請求の範囲は、子宮内膜症組織サンプル中のENDO−1mRNAの発現の違いを測定する分子診断用アッセイに主に関係する。関連する米国出願第2002/0009718号の発明は、免疫学的測定を使用して患者サンプル中のENDO−1糖蛋白質を測定し、子宮内膜症の存在を確定する。それでも、これら書類中に表されたENDO−1の特性は、本発明に記載されているマーカーとは非常に異なっていることを示す。例えばSDS PAGE及びウェスタンブロット法により測定すると、ME-5、ME-2及びEPP2蛋白質は、それぞれ約38、49、及び9キロダルトンの大きさである。ME-2マーカーのみがENDO−1として特定された範囲内であるが、ME-2の等電点は8.8であるから、これら特許に関連する蛋白質ではない。同様に、ME-5及びEPP2抗原の等電点は、それぞれ5.7及び12.5であり、やはりENDO−1蛋白質として特定された値の範囲を充分超えている。更にENDO−1マーカーは、ハプトグロブリン蛋白質ファミリーのメンバーであるが、核酸及びアミノ酸配列を比較すると、ME-5、ME-2及びEPP2マーカーはこの蛋白質ファミリーとは関係しないことが示される。
【0013】
又別の開示では米国特許第5843673号は、腹水又は血清サンプル中の28〜32キロダルトン分子量の糖蛋白質量の減少を測定して女性の子宮内膜症をスクリーニングする方法を提供している。この蛋白質は、等電点が7.0〜9.0であり、子宮内膜起源のストローマ細胞により特異的に分泌される。書類中に開示された糖蛋白質は、蛋白質のアミノ末端領域中で測定されるアミノ酸配列特性(同一性)のおかげで、金属蛋白質分解酵素(metalloproteinase)1(TIMP-1)の組織阻害剤に関係する。この特許中、血清又は腹水中に存在するTIMP-1のレベルが減少した患者中では子宮内膜症が存在することが示された。本発明のME-5、ME-2及びEPP2蛋白質はTIMP-1とは関係なく、それらはこの蛋白質ファミリーと相同性のある測定可能な蛋白質又は核酸でもない。更に上記のように、ME-5、ME-2及びEPP2蛋白質の生物化学的性質はTIMP-1のそれと異なり、それぞれTIMP-1として規定された範囲よりかなり大きいか小さい(それぞれ38、49、又は9キロダルトン)。ME-2の等電点はTIMP-1の範囲よりも上であり、ME-5の等電点は5.7であり、EPP2は12.5であり、より異なっている。
【0014】
子宮内膜症に関係する蛋白質試薬の別の開示は国際公開第01/32920号の書類に含まれ、33遺伝子及びそれらの蛋白質生成物の全てはこの病気に関係すると推測された。これら仮想子宮内膜症マーカーは、罹患した子宮内膜中の遺伝子発現のパターンを正常な組織のそれと比較して特定した。この書類で使用された特異的な表示をする逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応は、mRNAの発現レベルの差異に基づく病気関連遺伝子を特定するために設計された純粋に遺伝的スクリーニングアプローチである。比較されたmRNA個体群は、通常正常な健康な子宮内膜及び罹患した対応部分であり、理想的には両方とも病気に悩んでいる単一の患者から単離される。この技術はmRNAによりエンコードされた蛋白質の機能的活性を検出せず、病気の特徴、兆候、又は身体の病気への応答に基づいては試料を検査しない。後者の方法は、下記記載のようにおそらくマーカー発見のより良いアプローチである。この書類で示された個々の核酸配列は、下記一般群に含まれる;プロテアーゼ又はプロテアーゼ阻害剤、腫瘍サプレッサ蛋白質、免疫系蛋白質、炎症応答性蛋白質、酵素、脂質結合蛋白質、転写因子、及びマトリックス又は細胞付着分子。国際公開第01/32920号に記載されている遺伝子の全ては公知であり、公共データベースに開示された核酸配列によりそれらを特定できる。子宮内膜症中にいずれにせよ含まれるとして特定され関係付けられた個々の核酸配列は下記の通りである:カテプシンD、AEBP−1、ストロメリシン−3、シスタチンB、プロテアーゼ阻害剤1、sFRP4、ゲルソリン、IGFBP−3、二重特異性ホスファターゼ1、PAEP、免疫グロブリンλ鎖、フェリチン、補体3、プロ−α−1型IIIコラーゲン、プロリン4−ヒドロキシラーゼ、α−2型Iコラーゲン、クローディン−4、黒色腫付着蛋白質、プロコラーゲンC−エンドペプチダーゼエンハンサー、未完成ポリペプチド関連複合体αポリペプチド、延長因子1α(EF−1α)、ビタミンD3 25ヒドロキシラーゼ、CSRP−1、ステロイド産生急性調節蛋白質、アポリポ蛋白質E、トランスコバラミンII、プロサポシン、初期成長応答1(EGR1)、リボソーム蛋白質S6、アデノシンデアミナーゼRNA−特異的な蛋白質、RAD21、グアニンヌクレオチド結合蛋白質βポリペプチド2様1(RACK1)、及びポドカリキシン(国際公開第01/32920号中の資料参照)。上記試薬を使用する子宮内膜症の診断の全ては、遺伝子の発現レベルの評価を含む。本発明で記載されたME-5、ME-2及びEPP2蛋白質並びに核酸も同様に、公知でありデータベース中に示されている(下記実施例1参照)。しかし、ME-5、ME-2、又はEPP2配列のいずれも、上記グループのいずれかに該当することはなく、コンピュータ補助相同性比較又は、蛋白質配列中に存在する認識可能な共通配列(モチーフ)の存在に基づく予測される機能のいずれかにより、上記試薬のいずれかに対応することもない。類似遺伝子発現を基礎とする方法がS.Babanらの米国特許出願第2002/0127555号に示された発明中に採用され、そこでは14遺伝子が病気のない女性と比較して子宮内膜症患者中では過剰発現していることが発見された。過剰発現遺伝子は、NADHデヒドロゲナーゼ、hUCC1、パラレミン、クエン酸輸送蛋白質。HIF1−α、ARNT、Glut−1、MnSOD、GPx、ATPシンターゼ、c−jun、Cx43、HSP70、及びcox2である。更にこの書類では、19遺伝子が、病気のない女性と比較して子宮内膜症患者中では低発現であることも報告された。罹患した子宮内膜組織中で低発現する遺伝子は、Cap43、RNAヘリカーゼ、CO3、FKHR、AK3、カタラーゼ、GST、eNOS、12SrRNA、TI227H、CO2、アコニターゼ、ANT−1、Bcl−2、COUP−TF、IL−1β、HSP90、GPx4、及びGRP78である。又別の遺伝子発現方法がH.Hess-Stumppらにより記載された。米国特許出願第2003/0077589号では、子宮内膜症で過剰発現する15遺伝子を発見している。過剰発現遺伝子は、フィブロネクチン、IGFBP−2、経膜的レセプターPTK7、血小板由来増殖因子α、コラーゲン型XVIIIα1、サブチリシン様蛋白質(PACE4)、ラミニンM鎖(メロシン)、エラスチン、コラーゲン型IVα2、p27インターフェロンα−誘導遺伝子、レティキュロカルビン、アルデヒドデヒドロゲナーゼ6、gravin、ニドジェン、及びホスホリパーゼCεである。又上記の通り、本発明のME-5、ME-2及びEPP2蛋白質並びに核酸配列は、後ろの2件の特許に記載されたいずれの遺伝子にも関係しない。
【0015】
これら3件の書類の結果を一緒に比較すると、それらの全てが、子宮内膜症で過剰発現する62個の遺伝子及び低発現する19個の遺伝子の合計を特定するために類似するが同一ではない遺伝子発現方法を採用したことは興味深い。このことから記載された81個の遺伝子は子宮内膜病に関連又は関係することが示される。驚くべきことに、これら3個の独立した研究では、単一のヒト遺伝子又は遺伝子の単一のクラスが子宮内膜症と関連することは、一貫して発見されていない。ある遺伝子が正常な対応物に比べて子宮内膜症組織内で発生した変化のために過剰発現した場合には、罹患した組織の遺伝子発現プロファイルを評価する全ての研究中で再現性よく特定されることが、通常期待される。これは、別の方法でうまく設計された研究中では行われていないように思われ、遺伝子発現探査技術のみに基づくマーカーの発見への方法の追求へ導く。
【0016】
国際公開第94/28021号の書類には、子宮内膜蛋白質、抗原性化合物、及び子宮内膜症検出方法が記載されている。この開示には分子量及び等電点により特定された子宮内膜症固有の蛋白質が含まれる。記載された多くの請求項(に記載されている特性)は、サイズのみに基づくが、残りは分子量及び等電点を規定している。上記書類中の主要な子宮内膜症抗原であり、最初の請求項に記載されているものは、分子量64キロダルトンであり等電点3.5である。その抗原は、子宮内膜症患者から得られた試料中の抗体を測定するために使用され、同様にそれ自体、患者のサンプル中の存在量を直接測定される。更に、94キロダルトン及び等電点3.5の、より大きい分子量を有する子宮内膜症蛋白質も、多分より小さい抗原用と同じ方式で使用されるものとして同様に記載されている。この書類では同様にこれらの蛋白質用核酸をクレームしているが、これらの配列では、本発明のME-5、ME-2及びEPP2蛋白質並びに核酸との比較を可能とする充分な詳細が示されていない。少量のアミノ酸配列が国際公開第94/28021号に示されているが、その書類中にはたったの17残基しか示されておらず、これらの半分以上は不明瞭である。類似する出願は本発明で記載されたME-5、ME-2及びEPP2蛋白質を想像させるが、上記記載された抗原は、本発明で示された3種の子宮内膜症抗原のそれらと、いずれの報告された性質でも匹敵しない。最初に、アミノ末端蛋白質配列の不明瞭でない残基はいずれも、ME-5、ME-2及びEPP2の対応する領域中には存在しない。更に、ME-5、ME-2及びEPP2蛋白質のサイズは、38、49、及び9キロダルトンであり、上記概説された書類中に記載された抗原よりも非常に小さい。更にME-5、ME-2及びEPP2の等電点は5.7、8.8及び12.5であり、他の蛋白質として記載された値をかなり超える。以上より、本発明の子宮内膜ME-5、ME-2及びEPP2抗原は、国際公開第94/28021号に記載されている蛋白質とほとんど共通しないと言える。
【0017】
子宮内膜症の診断用方法及び試薬は、ニュージーランド特許(NZ)第232801号にも記載されており(同様に欧州特許出願第EP−A−0387027号)、本質的に抗−子宮内膜症抗体を使用して患者試料中の子宮内膜症抗原を測定して行われる。分子量が50〜173キロダルトンにわたる種々の抗原が書類中に記載されたが、蛋白質のその他の更なる特性は記載されていない。これらの蛋白質は、培養媒体及び2774卵巣癌細胞の細胞質から混合物として単離され、他の同様に培養されたセルラインからも得ることが出来る。同様に、開示中に記載されたのは、それが卵巣癌関連の抗原と反応するため、最初に単離されたヒトIgMモノクローナルである抗−子宮内膜抗体である。抗体の単離は明らかに、子宮内膜症と関連のない一連の作用を通して行われ、卵巣癌抗原ターゲットは明らかに充分には特徴を特定されていない。抗体は患者のリンパ球とヘテロミエローマとの融合により形成され、モノクローナルの子宮内膜抗原との反応性が次に明らかに発見される。とにかく、示された評価に基づくと、NZ第232801号のいずれの蛋白質も、より小さい本発明のME-5、ME-2及びEPP2蛋白質と同じとは認められない。
【0018】
抗−子宮内膜抗体と反応性のある別のシリーズの子宮内膜抗原が、国際公開第92/18535号に記載されており、これらも同様にSDS PAGE分析により分子量で特徴付けられている。記載された蛋白質抗原フラグメントは、上皮性腺癌細胞の細胞質から単離され、子宮内膜症の指標である子宮内膜抗体の検出に使用できるものとして記載されている。その抗原は、63〜67、33〜37、40〜44、31〜35、及び57〜64キロダルトンのサイズを有する細胞質性蛋白質である。その値は単一の蛋白質種に帰属すると思われるが、サイズ範囲は使用されたSDS PAGEアッセイ方法で固有の誤差(+10%)を反映するように書類中で表される。明らかに使用に好ましい蛋白質は、33〜37、40〜44、及び57〜59キロダルトン蛋白質である。33〜37及び40〜44蛋白質は、書類中で抗原の源として使用するために研究されたセルラインの大部分中に存在するように見える一方、57〜59蛋白質フラグメントは、T47D胸癌細胞ラインに由来する。書類には、子宮内膜抗体を測定するために固体サポート上に個々に(又は混合されて)固定化されたこれらの蛋白質の使用が記載されている。もちろん類似する出願は、ME-5、ME-2及びEPP2抗原をも想像させるが、しかし33〜37キロダルトンフラグメントの可能性を除いては国際公開第92/18535号中の開示と比較されるこの書類中にほとんど存在しない。
【特許文献1】米国特許出願第2003/0032044号明細書
【特許文献2】米国特許出願第2002/0192647号明細書
【特許文献3】米国特許出願第2001/046713号明細書
【特許文献4】米国特許出願第2001/044158号明細書
【特許文献5】米国特許第6376201号明細書
【特許文献6】米国特許第5618680号明細書
【特許文献7】国際公開第0043789号公報
【特許文献8】米国特許第6540980号明細書
【特許文献9】米国特許第6525187号明細書
【特許文献10】米国特許第6387629号明細書
【特許文献11】米国特許第6294662号明細書
【特許文献12】米国特許第5877284号明細書
【特許文献13】米国特許第4489166号明細書
【特許文献14】欧州特許第1191107号明細書
【特許文献15】欧州特許第0387027号明細書
【特許文献16】国際公開第0063675号公報
【特許文献17】国際公開第9963116号公報
【特許文献18】米国特許第6531277号明細書
【特許文献19】米国出願第2002/0009718号明細書
【特許文献20】米国特許第5843673号明細書
【特許文献21】国際公開第01/32920号公報
【特許文献22】米国特許出願第2002/0127555号明細書
【特許文献23】米国特許出願第2003/0077589号明細書
【特許文献24】国際公開第94/28021号公報
【特許文献25】ニュージーランド特許第232801号明細書
【特許文献26】欧州特許出願第EP−A−0387027号明細書
【特許文献27】国際公開第92/18535号公報
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明のまとめ
ME-5(SEQ ID NO:3)の少なくとも5アミノ酸のポリペプチドエピトープをエンコードするSEQ ID NO:2から単離されたヌクレオチド配列を含有する組み換え型ポリヌクレオチドであり、上記エピトープは子宮内膜症と診断される患者からの抗体と特異的に結合するポリヌクレオチド。
そのアミノ酸配列が、SEQ ID NO:3又はSEQ ID NO:3の対立遺伝子変異体の配列と実質的に同一である精製組み換え型ME-5ポリペプチド。
ME-5(SEQ ID NO:3)の少なくとも5アミノ酸のエピトープを含有する精製ポリペプチドであり、上記エピトープは子宮内膜症と診断される患者からの抗体と特異的に結合するポリペプチド。
ME-5ポリペプチド(SEQ ID NO:3)のエピトープへ特異的に結合する抗体から本質的に構成される組成物。
【0020】
下記ステップを含有する、サンプル中のME-5ポリペプチド(SEQ ID NO:3)検出方法:
(a)サンプルをME-5ポリペプチドのエピトープへ特異的に結合する抗体と接触させるステップ、及び
(b)その抗体及びME-5ポリペプチド間の特異的な結合を検出するステップ;
但し、特異的な結合はサンプル中のME-5ポリペプチドの検出を可能とする。
下記ステップを含有する、ヒト患者の子宮内膜症の診断方法:
(a)患者からのサンプル中の、ME-5(SEQ ID NO:3)ポリペプチドのエピトープへ特異的に結合する抗体の実験値(量)を検出するステップ;及び
(b)実験値(量)を子宮内膜症に罹患していない被検体からのコントロールサンプル中の抗体の正常範囲と比較するステップ、
但し、正常範囲を超える実験値(量)は子宮内膜症の診断の正の指標を示す。
【0021】
ME-2(SEQ ID NO:6)の少なくとも5アミノ酸のポリペプチドエピトープをエンコードするSEQ ID NO:5から単離されたヌクレオチド配列を含有する組み換え型ポリヌクレオチドであり、上記エピトープは子宮内膜症と診断される患者からの抗体と特異的に結合するポリヌクレオチド。
そのアミノ酸配列が、SEQ ID NO:6又はSEQ ID NO:6の対立遺伝子変異体の配列と同一である、精製組み換え型ME-2ポリペプチド。
ME-2(SEQ ID NO:6)の少なくとも5アミノ酸のエピトープを含有する精製ポリペプチドであり、上記エピトープは子宮内膜症と診断される患者からの抗体と特異的に結合するポリヌクレオチド。
ME-2ポリペプチド(SEQ ID NO:6)のエピトープへ特異的に結合する抗体から本質的に構成される組成物。
【0022】
下記ステップを含有する、サンプル中のME-2ポリペプチド(SEQ ID NO:6)検出方法:
(a)サンプルをME-2ポリペプチドのエピトープへ特異的に結合する抗体と接触させるステップ、及び
(b)その抗体及びME-2ポリペプチド間の特異的な結合を検出するステップ;
但し、特異的な結合はサンプル中のME-2ポリペプチドの検出を可能とする。
下記ステップを含有する、ヒト患者の子宮内膜症の診断方法:
(a)患者からのサンプル中の、ME-2ポリペプチド(SEQ ID NO:6)のエピトープへ特異的に結合する抗体の実験値(量)を検出するステップ;及び
(b)実験値(量)を子宮内膜症に罹患していない被検体からのコントロールサンプル中の抗体の正常範囲と比較するステップ、
但し、正常範囲を超える実験値(量)は子宮内膜症の診断の正の指標を示す。
【0023】
EEP2(SEQ ID NO:9)の少なくとも5アミノ酸のポリペプチドエピトープをエンコードするSEQ ID NO:8から単離されたヌクレオチド配列を含有する組み換え型ポリヌクレオチドであり、上記エピトープは子宮内膜症と診断される患者からの抗体と特異的に結合するポリヌクレオチド。
そのアミノ酸配列が、SEQ ID NO:9又はSEQ ID NO:9の対立遺伝子変異体の配列と同一である精製組み換え型EEP2ポリペプチド。
EPP2(SEQ ID NO:9)の少なくとも5アミノ酸のエピトープを含有する精製ポリペプチドであり、上記エピトープは子宮内膜症と診断される患者からの抗体と特異的に結合するポリペプチド。
EEP2ポリペプチド(SEQ ID NO:9)のエピトープへ特異的に結合する抗体から本質的に構成される組成物。
【0024】
下記ステップを含有する、サンプル中のEPP2ポリペプチド(SEQ ID NO:9)検出方法:
(a)サンプルをEPP2ポリペプチドのエピトープへ特異的に結合する抗体と接触させるステップ、及び
(b)抗体及びEPP2ポリペプチド間の特異的な結合を検出するステップ;
但し、特異的な結合はサンプル中のEPP2ポリペプチドの検出を可能とする。
下記ステップを含有する、ヒト患者の子宮内膜症の診断方法:
(a)患者からのサンプル中の、EEP2ポリペプチド(SEQ ID NO:9)のエピトープへ特異的に結合する抗体の実験値(量)を検出するステップ;及び
(b)実験値(量)を子宮内膜症に罹患していない被検体からのコントロールサンプル中の抗体の正常範囲と比較するステップ、
但し、正常範囲を超える実験値(量)は子宮内膜症の診断の正の指標を示す。
【0025】
下記群から選ばれた少なくとも一種を含有する組成物;
そのアミノ酸配列が、SEQ ID NO:3又はSEQ ID NO:3の対立遺伝子変異体の配列と実質的に同一である精製組み換え型ME-5ポリペプチド;
そのアミノ酸配列が、SEQ ID NO:6又はSEQ ID NO:6の対立遺伝子変異体の配列と実質的に同一である精製組み換え型ME-2ポリペプチド;及び
そのアミノ酸配列が、SEQ ID NO:9又はSEQ ID NO:9の対立遺伝子変異体の配列と実質的に同一である精製組み換え型EEP2ポリペプチド。
下記群から選ばれた少なくとも一種を含有する組成物;
ME-5(SEQ ID NO:3)の少なくとも5アミノ酸のエピトープを含有する精製ポリペプチド;
ME-2(SEQ ID NO:6)の少なくとも5アミノ酸のエピトープを含有する精製ポリペプチド;及び
EPP2(SEQ ID NO:9)の少なくとも5アミノ酸のエピトープを含有する精製ポリペプチド;
但し、上記エピトープは、子宮内膜症と診断される患者からの抗体と特異的に結合する。
下記ステップを含有する、ヒト患者の子宮内膜症の診断方法:
(a)患者からのサンプル中の、ME-5ポリペプチド(SEQ ID NO:3)、ME-2ポリペプチド(SEQ ID NO:6)、EEP2ポリペプチド(SEQ ID NO:9)の群から選ばれた少なくとも一種へ特異的に結合する抗体の実験値(量)を検出するステップ;及び
(b)実験値(量)を子宮内膜症に罹患していない被検体からのコントロールサンプル中の抗体の正常範囲と比較するステップ、
但し、正常範囲を超える実験値(量)は子宮内膜症の診断の正の指標を示す。
【0026】
上記記載のように、かなりの発見が子宮内膜症のマーカー候補として記載されている。それらのいずれも本発明のME-5、ME-2、又はEPP2蛋白質並びに核酸配列には対応しない。従って、本発明のME-5、ME-2及びEPP2蛋白質は、新規な子宮内膜症用マーカー及びその障害に罹患した女性により生成される抗−子宮内膜抗体のターゲットである。本発明のME-5、ME-2及びEPP2マーカーの発見は、子宮内膜症に罹患している女性は、彼女らの免疫系中に欠陥があるという知見に基づいて予測された。いくつかの免疫系問題は、子宮内膜抗原に対する自己抗体の存在下で発現することが推測された。別の研究者は(S.Pillaiら[1998]Am.J.Reprod.Immunol.39:235;Van Voorhis及びStovall[1997]J.Reprod.Immunol.33:239)これら条件を検討した。明らかに、これは病気の候補マーカーの魅力的な特定手段及び子宮内膜症患者の有効な検出手段を表す。近年、子宮内膜症用血清マーカーの診断の精度の要約として、74%〜83%の感度及び79%〜100%特異性を有する最も優れたマーカーである子宮内膜抗体が示された(J.Brosensら2003]Obstet.Gynecol.Clin.North Am.30:95)。しかし抗体は、例えばME-5、ME-2及びEPP2等の分離して単離された抗原に対しては測定されなかった。
【0027】
使用できる子宮内膜症のマーカーである抗原を特定する(従って、この障害に罹患している女性を検出する助けとなる)プログラムを開始する場合、いくつかの前提がこの病気に関して置かれる。第一に、上記のように、免疫系障害はこれらの女性中に発生して、特異的な子宮内膜抗原に対抗する抗体を生成することを可能とすると推測される。第二にこれらの血清抗体は、抗原特定手段として使用でき、これらの蛋白質は部分的に障害を有する患者の監視用免疫診断(用)のテストシステムの基礎を形成できる。子宮内膜症マーカーの特定方法は、患者血清を子宮内膜組織cDNA発現ライブラリーの免疫スクリーンに使用することである。候補クローンは、臨床的病状の患者を監視するために適切な免疫的測定の発達に完全に特徴付けられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
好ましい態様の詳細な説明
3種の子宮内膜蛋白質の合計は、子宮内膜症患者の血清中に存在する抗体と反応することが示すされる。ME-5子宮内膜症マーカーは約1.4kbのmRNAにより特定され、その1、302ヌクレオチドは本発明中に開示された。この配列から予測できる蛋白質は、サイズで303アミノ酸であり、約35000ダルトンの算出分子量を有する。天然蛋白質生成物は、特異的なモノクローナル抗体を使用してウェスタンブロット法により測定された分子量約38kDを有する。この蛋白質は特に卵巣組織中に多く存在し、子宮内膜組織から単離され、生殖器関係の病気のマーカーとして生殖器関係の組織中のその存在を強く示す。固定化組み換え型ME-5抗原を使用した免疫ブロット法実験中で、多くの子宮内膜症患者が診断され、生成されたシグナルは多くのコントロール被検体で得られたものよりも非常に強かった。
【0029】
ME-2子宮内膜症マーカーは、その1353ヌクレオチドが本発明で開示された約2.0kbのmRNAにより特定される。この配列から予測される蛋白質は、サイズが393アミノ酸であり、約45000ダルトンの分子量算出値を有する。多くの子宮内膜症患者で評価された固定化組み換え型ME-2抗原を使用した免疫ブロット法実験では、生成されたシグナルは多くのコントロール被検体で得られたものよりも非常に強かった。
【0030】
EPP2子宮内膜症マーカーは、その891ヌクレオチドが本発明で開示された約1.0kbのmRNAにより特定される。この配列から予測される蛋白質は、サイズが99アミノ酸であり、約9300ダルトンの分子量算出値を有する。多くの子宮内膜症患者で評価された固定化組み換え型EPP2抗原を使用した免疫ブロット法実験では、生成されたシグナルは多くのコントロール被検体で得られたものよりも非常に強かった。
【0031】
ME-5、ME-2及びEPP2子宮内膜症マーカー及びそれらの核酸に関するこれら及び他の課題の詳細は下記例に含まれる。
上記記載の書類により提示されたように、多くの発見が子宮内膜症のマーカーの候補として記載された。しかし、それらのいずれもここで開示したME-5、ME-2、又はEPP2蛋白質並びに核酸配列とは関連がない。その結果、本発明のME-5、ME-2及びEPP2蛋白質は新規な子宮内膜症用マーカーであり、この障害になやむ女性により生成される抗−子宮内膜抗体のターゲットである。本発明のME-5、ME-2及びEPP2マーカーの発見は、子宮内膜症に罹患している女性はそれらの免疫系の障害を有するという知見に基づいて推定された。いくつかの免疫系問題は子宮内膜抗原に対抗する自己抗体の存在下で現出すると推測される。別の研究者らも(S.Pillaiら[1998]Am.J.Reprod.Immunol.39:235;Van Voorhis及びStovall[1997]J.Reprod.Immunol.33:239)これらの条件を検討した。明らかに、これは病気のマーカー候補の魅力的な特定手段を表し、子宮内膜症患者の監視に使用できる手段と同様に表す。近年、血清子宮内膜症用マーカーの精度の診断のまとめは、感度74%〜83%及び特異性79%〜100%を有する最も優れたマーカー中に含まれる子宮内膜抗体を示した(J.Brosensら2003]Obstet.Gynecol.Clin.North Am.30:95)。しかしこの抗体は、例えばME-5、ME-2及びEPP2等の分離して単離された抗原に対しては測定されていない。
【0032】
使用できる子宮内膜症のマーカーである抗原を特定する(従って、この障害に罹患している女性を検出する助けとなる)プログラムを開始する場合、いくつかの前提がこの病気に関して置かれる。第一に、上記のように、免疫系障害はこれらの女性中に発生して、特異的な子宮内膜抗原に対抗する抗体を生成することを可能とすると推測される。第二にこれらの血清抗体は、抗原特定手段として使用でき、これらの蛋白質は部分的に障害を有する患者の監視用免疫診断(用)のテストシステムの基礎を形成できる。子宮内膜症マーカーの特定方法は、患者血清を子宮内膜組織cDNA発現ライブラリーの免疫スクリーンに使用することである。候補クローンは、臨床的病状の患者を監視するために適切な免疫的測定の発達に完全に特徴付けられる。
【0033】
図面の説明
図1A、1B及び1Cは、単離されたME-5 cDNA用のヌクレオチド配列(SEQ ID NO:1)、ME-5 cDNAのコード領域のヌクレオチド配列(SEQ ID NO:2)及びME-5 cDNAのヌクレオチド配列によりエンコードされた蛋白質の推定アミノ酸配列(SEQ ID NO:3)を示す。図1A中、推定ATG開始コドンの上流に112塩基対の5’非翻訳配列がある。同様に図1A中に、TGA停止コドンの下流に254塩基対の3’非翻訳領域がある。3’非翻訳領域は、mRNAのポリAテイルへ対応するdTのストレッチで終了する。開始コドン(ATG)及び翻訳停止コドン(TGA)は、図1A及びBのcDNA配列中の太字体中に存在する。
【0034】
図2A、2B及び2Cは、単離されたME-2 cDNA用のヌクレオチド配列(SEQ ID NO:4)、ME-2 cDNAのコード領域(SEQ ID NO:5)のヌクレオチド配列及びME-2 cDNAのヌクレオチド配列によりエンコードされた蛋白質の推定アミノ酸配列(SEQ ID NO:6)を示す。図2A中に、ATG開始コドンの上流の54塩基対の5’非翻訳推定配列がある。同様に図2A中に、TAG停止コドンの下流に95塩基対の3’非翻訳領域がある。3’非翻訳領域は、mRNAのポリAテイルへ対応するdTのストレッチで終了する。開始コドン(ATG)及び翻訳停止コドン(TGA)は、図2A及びBのcDNA配列中の太字体中に存在する。
【0035】
図3A、3B及び3Cは、単離されたEPP2 cDNA用のヌクレオチド配列(SEQ ID NO:7)、EPP2 cDNAのコード領域(SEQ ID NO:8)のヌクレオチド配列及びEPP2 cDNAのヌクレオチド配列によりエンコードされた蛋白質の推定アミノ酸配列(SEQ ID NO:9)を示す。図3A中に、ATG開始コドンの上流の45塩基対の5’非翻訳推定配列がある。同様に図3A中に、TAA停止コドンの下流に522塩基対の3’非翻訳領域がある。3’非翻訳領域は、mRNAのポリAテイルへ対応するdTのストレッチで終了する。開始コドン(ATG)及び翻訳停止コドン(TAA)は、図3A及びBのcDNA配列中の太字体中に存在する。
【0036】
図4は、種々のヒト組織中に発現するME-5mRNAのパターンを示す。市販のノーザンブロット(BD Biosciences社製;サンディエゴ、CA)を図1Bの完全32P標識されたME-5コード配列とハイブリダイズした。ハイブリダイゼーション条件及び洗浄は、製造者の記載に従い行った。約1400ヌクレオチドのmRNA(1350ヌクレオチドマーカーの直後に遅れて移動した)と同様に、別のより大きいが多分より少量の情報1800〜2000ヌクレオチド(2400ヌクレオチドマーカーの直前に早く移動した)に対応するハイブリダイズバンドが観察された。ME-5配列は、前立腺、精巣及び子宮組織中に最も豊富な発現が観察されたが、評価した他の組織(脾臓、胸腺、小腸、結腸及び末梢血白血球)中でもより低い量が検出された。
【0037】
図5は、種々のヒト組織中に発現するME-2mRNAのパターンを示す。市販のノーザンブロット(BD Biosciences社製;サンディエゴ、CA)を図2Bの完全32P標識されたME-2コード配列とハイブリダイズした。ハイブリダイゼーション条件及び洗浄は、製造者の記載に従い行った。約2000ヌクレオチドのmRNA(2400ヌクレオチド及び1350ヌクレオチドマーカーの約中間で移動した)に対応するハイブリダイズバンドが観察された。他の強いハイブリダイズバンドはブロット上に検出されなかった。ME-2配列は、前立腺及び精巣組織中に最も豊富な発現が観察された。脾臓、子宮、小腸、結腸、及び末梢血白血球組織中では中間のレベルが検出された。この実験中、より低量のハイブリダイゼーションが胸腺組織中にも観察された。
【0038】
図6は、種々のヒト組織中に発現するEPP2mRNAのパターンを示す。市販のノーザンブロット(BD Biosciences社製;サンディエゴ、CA)を図3Bの完全32P標識されたEPP2コード配列とハイブリダイズした。ハイブリダイゼーション条件及び洗浄は、製造者の記載に従い行った。約1000ヌクレオチドのmRNA(1350ヌクレオチドマーカーの直前に早く移動した)に対応するハイブリダイズバンドが観察された。EPP2配列は、前立腺、精巣、結腸及び末梢血白血球中に最も豊富な発現が観察された。脾臓、胸腺、及び小腸組織中ではより低量のシグナルが視覚化されたが、子宮組織中ではシグナルはほとんど又は全く検出されなかった。
【0039】
図7は、昆虫細胞ホスト中の組み換え型ME-5の発現パターンを示す。ME-5 cDNAを、昆虫細胞中で6Xヒスチジン標識組み換え型蛋白質として発現するようにクローン化した。組み換え型ME-5を発現するSf9昆虫細胞の培養物を調製し、溶解した。培養媒体、PBS洗浄液、並びに細胞溶解産物の可溶性及び不溶性フラクションを、SDS PAGE及びゲルコードブルー(商標)(Pierce Chemicals社製;Rockford、IL)を使用したゲル染色(左パネル)により分析した。発現サンプルは、同様に抗HisGマウスモノクローナル抗体(Invitrogen社製;Carlsbad、CA)及び次に125I標識されたウサギ抗−マウスIgG二次抗体を使用したウェスタンブロット法(右パネル)により評価した。組み換え型蛋白質は、左側の染色ゲル中では多様な蛋白質帯により不明確であったが、ウェスタンブロット法では約38kDの帯が明らかに検出された。これは組み換え型ME-5抗原として予測されたものとほとんど同じ分子量を有する6XHis標識蛋白質の存在を立証する。組み換え型ME-5蛋白質は、細胞培養媒体中に検出されなかったが、いくらかは溶解前に昆虫細胞を洗浄するのに使用されたPBS中に存在した。多くの組み換え型ME-5蛋白質は昆虫細胞溶解産物の可溶性フラクション中に存在することが観察されたが、一部は不溶性材料と一緒であった。
【0040】
図8は、昆虫細胞ホスト中の組み換え型ME-2の発現パターンを示す。ME-2 cDNAを、昆虫細胞中で6Xヒスチジン標識組み換え型蛋白質として発現するようにクローン化した。組み換え型ME-2を発現するSf9昆虫細胞の培養物を調製し、溶解した。培養媒体、PBS洗浄液、並びに細胞溶解産物の可溶性及び不溶性フラクションを、SDS PAGE及びゲルコードブルー(商標)(Pierce Chemicals社製;Rockford、IL)を使用したゲル染色(左パネル)により分析した。発現サンプルは、同様に抗HisGマウスモノクローナル抗体(Invitrogen社製;Carlsbad、CA)及び次に125I標識されたウサギ抗−マウスIgG二次抗体を使用したウェスタンブロット法(右パネル)により評価した。組み換え型蛋白質は、左側の染色ゲル中では多様な蛋白質帯により不明確であったが、ウェスタンブロット法では約49kDの帯が明らかに検出された。これは組み換え型ME-2蛋白質として予測されたものとほとんど同じ分子量を有する6XHis標識蛋白質の存在を立証する。組み換え型ME-2蛋白質は、細胞培養媒体中に検出されなかったが、いくらかは溶解前に昆虫細胞を洗浄するのに使用されたPBS中に存在した。約等量の組み換え型ME-2蛋白質が、昆虫細胞溶解産物の可溶性及び不溶性フラクション中に分散されていることが観察された。
【0041】
図9は、昆虫細胞ホスト中の組み換え型EPP2の発現パターンを示す。EPP2 cDNAを、昆虫細胞中で6Xヒスチジン標識組み換え型蛋白質として発現するようにクローン化した。組み換え型EPP2を発現するSf9昆虫細胞の培養物を調製し、溶解した。培養媒体、PBS洗浄液、並びに細胞溶解産物の可溶性及び不溶性フラクションを、SDS PAGE及びゲルコードブルー(商標)(Pierce Chemicals社製;Rockford、IL)を使用したゲル染色(左パネル)により分析した。発現サンプルは、同様に抗HisGマウスモノクローナル抗体(Invitrogen社製;Carlsbad、CA)及び次に125I標識されたウサギ抗−マウスIgG二次抗体を使用したウェスタンブロット法(右パネル)により評価した。組み換え型蛋白質は、左側の染色ゲル中では多様な蛋白質帯により不明確であったが、ウェスタンブロット法では約9kDの帯が明らかに検出された。これは組み換え型EPP2蛋白質として予測されたものとほとんど同じ分子量を有する6XHis標識蛋白質の存在を立証する。組み換え型EPP2蛋白質は、細胞培養媒体中に検出可能ではなく、いくらかは溶解前に昆虫細胞を洗浄するのに使用されたPBS中に測定可能量は存在しなかった。約等量の組み換え型EPP2蛋白質が、昆虫細胞溶解産物の可溶性及び不溶性フラクション中に分散されていることが観察された。
【0042】
図10は、固定化金属アフィニティクロマトグラフィー(IMAC)を使用した組み換え型6X−標識ME-5蛋白質の単離を示す。組み換え型ME-5蛋白質をSf9昆虫細胞中で発現させ、その細胞をIMACカラム結合バッファ中で溶解した。昆虫細胞(溶解産物)の可溶性フラクションを、ニッケルイオンで荷電されている、キレート化Sepharose Fast Flow(商標)(Amersham Biosciences社製;Piscataway、NJ)のカラム上に供給した。溶解産物をカラム樹脂を通過(漏出:breakthrough)後に捕捉し、カラムをIMAC洗浄バッファを使用して非常によく洗浄した。樹脂へ結合された組み換え型ME-5をイミダゾール含有バッファを使用してカラムから溶離した。溶解産物、漏出液、洗浄液、及び溶離液のサンプルを、SDS PAGE及びウェスタンブロット法で上記記載のように分析した。染色したゲルは昆虫細胞溶解産物の複雑性を示し、それはこの溶解産物及び漏出液サンプルによる蛋白質染色を生じた。合理的な量の非結合蛋白質汚染物質をA20カラムバッファによる洗浄で除去すると、38kD蛋白質へ対応する明白な帯が、イミダゾールでカラムから溶離した物質中に存在した。これらのサンプルのウェスタンブロット法分析は、溶解産物中のかなりのレベルの組み換え型ME-5蛋白質を示し、漏出液の結果から、この特異的試験ではME-5量はカラムの結合容積を超えることを示した。ほとんど痕跡量のME-5が、結合された不純物をSepharoseから除去するために使用されたA20カラムバッファ洗浄液中に存在した。ウェスタンブロット法は、溶離して部分的に精製した38kDME-5抗原との強い抗HisG抗体反応性を示した。
【0043】
図11は、固定化金属アフィニティクロマトグラフィー(IMAC)を使用した組み換え型6X−標識ME-2蛋白質の単離を示す。組み換え型ME-2蛋白質をSf9昆虫細胞中で発現させ、その細胞をIMACカラム結合バッファ中で溶解した。昆虫細胞(溶解産物)の可溶性フラクションを、ニッケルイオンで荷電されている、キレート化Sepharose Fast Flow(商標)(Amersham Biosciences社製;Piscataway、NJ)のカラム上に供給した。溶解産物をカラム樹脂を通過(漏出)後に捕捉し、カラムをIMAC洗浄バッファA10、A15及びA20を使用して非常によく洗浄した。樹脂へ結合された組み換え型ME-2をイミダゾール含有バッファを使用してカラムから溶離した。溶解産物、漏出液、洗浄液、及び溶離液のサンプルを、SDS PAGE及びウェスタンブロット法で上記記載のように分析した。染色したゲルは昆虫細胞溶解産物の複雑性を示し、それはこの溶解産物及び漏出液サンプルによる蛋白質染色を生じた。実質的な量の非結合蛋白質汚染物質をA10、A15及びA20カラムバッファにより樹脂から洗浄で除去した。最終的に、49kD蛋白質へ対応する明白な帯が、イミダゾールでカラムから溶離した物質中に存在した。これらのサンプルのウェスタンブロット法分析は、溶解産物中のかなりのレベルの組み換え型ME-2蛋白質を示し、同様に漏出液の結果から、この特異的試験ではME-2量はカラムの結合容積を超えることを示した。ほとんど痕跡量のME-2が、A10カラムバッファ洗浄液中に存在したが、結合された不純物をSepharoseから除去するために使用されたA15及びA20カラムバッファ洗浄液中にはより強いシグナルが検出された。ウェスタンブロット法は、溶離して部分的に精製した49kDME-2抗原との強い抗HisG抗体反応性を示した。
【0044】
図12は、固定化金属アフィニティクロマトグラフィー(IMAC)を使用した組み換え型6X−標識EPP2蛋白質の単離を示す。組み換え型EPP2蛋白質をSf9昆虫細胞中で発現させ、その細胞を変性用IMACカラム結合バッファ中で溶解した。昆虫細胞・溶解産物を、ニッケルイオンで荷電されている、キレート化Sepharose Fast Flow(商標)(Amersham Biosciences社製;Piscataway、NJ)のカラム上に供給した。溶解産物をカラム樹脂を通過(漏出:breakthrough)後に捕捉し、カラムをA10、A15、A20、A25及びA30のIMAC洗浄バッファを使用して非常によく洗浄した。樹脂へ結合された組み換え型EPP2をイミダゾール含有バッファを使用してカラムから溶離した。溶解産物、漏出液、洗浄液、及び溶離液のサンプルを、SDS PAGE及びウェスタンブロット法で上記記載のように分析した。染色したゲルは昆虫細胞溶解産物の複雑性を示し、それは蛋白質の染色を生じた。更に、漏出液及びA10カラム洗浄液サンプルは、カラムマトリックスへ結合しなかった実質量の材料を含有した。非常に少量の蛋白質汚染物質を、染色したゲルから視覚化されるようにA15、A20、A25、及びA30カラム洗浄バッファを使用して洗浄して除去した。9kD蛋白質へ対応する明白な帯が、イミダゾールでカラムから溶離した物質中に存在した。これらのサンプルのウェスタンブロット法分析は、溶解産物中の検出可能レベルの組み換え型EPP2蛋白質を示した。漏出液、A10、又はA15サンプル中にはEPP2はほとんど又は存在せず、この特異的試験中ではEPP2はカラムへ非常に良く結合したことを示した。ほとんど痕跡量のEPP2が、不純物をSepharoseから除去するために使用されたA20、A25、及びA30カラムバッファ洗浄液中に検出された。ウェスタンブロット法は、溶離した9kDEPP2抗原との強い抗HisG抗体反応性を示した。
【0045】
図13は、単離された組み換え型ME-5蛋白質、並びにRL95−2子宮内膜癌細胞中に存在する天然ME-5抗原のウェスタンブロット法分析を示す。培養したRL95−2細胞を溶解し、可溶性フラクションのサンプルを、4%〜20%トリスグリシンSDS PAGEゲル(Invitrogen社製;Carlsbad、CA)中で電気泳動にかけた。Sf9昆虫細胞からIMACにより単離した組み換え型ME-5のサンプルを、抗ME-5抗体の陽性コントロールとしてゲル上に置いた。ウェスタンブロット法を2D1抗ME-5モノクローナル抗体及び次に125I標識されたウサギ抗−マウスIgG二次抗体を使用して行った。RL95−2蛋白質の間に反応性の明確な帯が観察され(右線)、昆虫細胞組み換え型を僅かに超える分子量を有して移動したことが確認された。
【0046】
図14は、種々のヒト組織中に発現するME-5天然抗原を示すウェスタンブロット法である。SDS PAGEサンプルバッファ(protein medleys(商標):BD Biosciences社製;サンディエゴ、CA)中で抽出された組織蛋白質は、図13で記載された通りに行ったSDS PAGEゲル及びウェスタンブロット法中で分離した。天然ME-5抗原は検討した全ての組織中のいたるところに存在することが確認されたが、心臓、肝臓、卵巣及び腎臓抽出物中では僅かにより豊かであることが観察された。
【0047】
図15A及び図15Bは、組み換え型ME-5の能力を示す代表的ライン免疫ブロット法であり、それは子宮内膜症患者から得られた血清中に存在するが正常なコントロール血清中に存在しない抗体と反応する。それぞれのストリップは、異なった濃度で膜上に差し込まれた固定化抗原を含む。ME-5の蛋白質濃度は、0.018、0.036、0.072、及び0.144ミリグラム/ミリリットル(mg/ml)である。患者及びコントロール間を区別する最適濃度は、ラインブロットストリップの右側に矢印で示された0.036mg/mlである。ライン免疫ブロット法アッセイの1つの利点は、多くの異なった蛋白質を単一のストリップ上で検査でき、追加的な非同族蛋白質をストリップ上に存在させ、内部のコントロールとして働かせることである。試薬コントロール(マウス抗ヒトIgGモノクローナル)は、それぞれのストリップ上に存在し、陽性コントロールとして働く。それぞれのストリップは、正常な人間(コントロール)から又は子宮内膜症と診断される患者からの血清と共にインキュベートされた。合計11個のコントロールのラインブロットパターン(A6、A7、A8、A9、A10、A14、A15、A16、A17、A18、A21)を図15Aに示す。更に、23人の子宮内膜症患者(DS01、DS02、DS03、DS04、DS05、DS06、DS07、DS08、DS10、DS11、DS12、DS13、DS27、DS28、DS29、DS30、DS31、DS32、DS33、DS34、DS36、DS38、DS39)のパターンを図15Bに示す。それぞれの帯の染色強度は、試験された血清のME-5との反応性を示す。この選択されたラインブロットパネル中では、濃度0.036mg/mlのME-5で、18人の子宮内膜症患者が陽性と診断された(DS01、DS03、DS05、DS06、DS10、DS11、DS12、DS27、DS28、DS29、DS30、DS31、DS32、DS33、DS34、DS36、DS38、及びDS39)。更に、5人の子宮内膜症患者(DS02、DS04、DS07、DS08、及びDS13)は、少し低い反応性パターンを示した。11人の正常なコントロール中では、ME-5は明らかにその中の9人と全く反応しなかった(A6、A7、A8、A10、A15、A16、A17、A18、A21)。正常なコントロールの2人(A9、A14)では検出可能シグナルが観察されたが、これらは子宮内膜症患者からの血清で観察されたパターンと比較して非常に弱く、陰性と解された。
【0048】
図16A及び図16Bは、組み換え型ME-2の能力を示す代表的ライン免疫ブロット法であり、それは子宮内膜症患者から得られた血清中に存在するが正常なコントロール血清中に存在しない抗体と反応する。それぞれのストリップは、異なった濃度で膜上に差し込まれた固定化抗原を含む。ストリップに適用されたME-2の蛋白質濃度は、0.009(子宮内膜症血清用のみ)、0.018、0.036、0.072、及び0.144(コントロール血清用のみ)ミリグラム/ミリリットル(mg/ml)である。患者及びコントロール間を区別する最適濃度は、ラインブロットストリップの右側に矢印で示された0.018mg/mlである。ライン免疫ブロット法アッセイの1つの利点は、多くの異なった蛋白質の抗体との反応性を単一のストリップ上で検査でき、追加的な非同族蛋白質をストリップ上に存在させ、内部のコントロールとして働かせることである。試薬コントロール(マウス抗ヒトIgGモノクローナル)は、それぞれのストリップ上に存在し、ヒトIgGを捕捉して陽性コントロールとして働く。それぞれのストリップは、正常な人間(コントロール)から又は子宮内膜症と診断される患者からの血清と共にインキュベートされた。合計11個のコントロールのラインブロットパターン(A01、A02、A03、A06、A08、A15、A20、A21、A22、A23、及びA24)を図16Aに示す。更に、21人の子宮内膜症患者(DS10、DS11、DS12、DS13、DS14、DS17、DS19、DS20、DS21、DS22、DS24、DS25、DS26、DS27、DS28、DS29、DS30、DS31、DS32、DS33、及びDS35)のパターンを図16Bに示す。それぞれの帯の染色強度は、試験された血清のME-2との反応性を示す。この選択されたラインブロットパネル中では、濃度0.018mg/mlのME-2で、15人の子宮内膜症患者が陽性と診断された(DS012、DS17、DS19、DS20、DS21、DS22、DS24、DS25、DS26、DS27、DS28、DS30、DS31、DS33、及びDS35)。更に、6人の子宮内膜症患者(DS10、DS11、DS13、DS14、DS29、及びDS32)は、少し低い反応性パターンを示した。11人の正常なコントロール中では、ME-2は子宮内膜症患者に対して適用される基準0.018mg/mlにおいていずれも反応しなかった。
【0049】
図17A及び図17Bは、組み換え型EPP2の能力を示す代表的ライン免疫ブロット法であり、それは子宮内膜症患者から得られた血清中に存在するが正常なコントロール血清中に存在しない抗体と反応する。それぞれのストリップは、異なった濃度で膜上に差し込まれた固定化抗原を含む。EPP2の蛋白質濃度は、0.01、0.025、0.05、0.1、0.15、0.2、及び0.25ミリグラム/ミリリットル(mg/ml)である。患者及びコントロール間を区別する最適濃度は、ラインブロットストリップの右側に矢印で示された0.05mg/mlである。ライン免疫ブロット法アッセイの1つの利点は、多くの異なった蛋白質を単一のストリップ上で検査でき、追加的な非同族蛋白質をストリップ上に存在させ、内部のコントロールとして働かせることである。試薬コントロール(マウス抗ヒトIgGモノクローナル)は、それぞれのストリップ上に存在し、サンプル中のヒトIgGを捕捉して陽性コントロールとして働く。それぞれのストリップは、正常な人間(コントロール)から又は子宮内膜症と診断される患者からの血清と共にインキュベートされた。合計11個のコントロールのラインブロットパターン(A01、A02、A03、A04、A05、A09、A13、A14、A16、A20、及びA24)を図17Aに示す。更に、39人の子宮内膜症患者(DS06、DS12、DS24、DS05、BBI01、BBI02、BBI03、BBI04、BBI05、BBI06、BBI07、BBI08、BBI09、BBI10、BBI11、BBI12、BBI13、BBI14、BBI15、BBI16、BBI20、BBI21、BBI22、BBI23、BBI24、BBI25、BBI26、BBI27、BBI28、BBI30、BBI31、BBI32、BBI34、BBI35、BBI36、BBI37、BBI38、BBI39、及びBBI40)のパターンを図17Bに示す。それぞれの帯の染色強度は、試験された血清のEPP2との反応性を示す。この選択されたラインブロットパネル中では、濃度0.05mg/mlのEPP2で、33人の子宮内膜症患者が陽性と診断された(DS06、DS12、DS24、DS05、BBI02、BBI03、BBI04、BBI06、BBI07、BBI08、BBI09、BBI10、BBI11、BBI12、BBI13、BBI15、BBI16、BBI20、BBI22、BBI23、BBI25、BBI26、BBI27、BBI28、BBI30、BBI31、BBI32、BBI34、BBI35、BBI37、BBI38、BBI39、及びBBI40)。更に、6人の子宮内膜症患者(BBI01、BBI05、BBI14、BBI21、BBI24、及びBBI36)は、少し低い反応性パターンを示した。11人の正常なコントロール中では、EPP2は基準0.05mg/mlにおいていずれも強く反応しなかった。
【0050】
「ポリペプチド」とは、アミノ酸残基から構成されるポリマー、同族の天然由来の構造変異種、並びにペプチド結合を介して結合した合成的非天然由来のそれらの類似体、同族の天然由来のそれらの類似体、を意味する。合成的ポリペプチドは、例えば自動化ポリペプチド合成機を使用して合成できる。「蛋白質」は、通常大きいポリペプチドを意味する。「ペプチド」は、通常短いポリペプチドを意味する。
従来の表示法がポリペプチド配列を表すためにここで使用され:ポリペプチド配列の左側末端はアミノ−末端であり;ポリペプチド配列の右側末端はカルボキシル末端である。
「保存的置換」は、ポリペプチド中であるアミノ酸をそれと機能的に類似するアミノ酸と置換することをいう。本発明は、保存的置換されたものもその範囲として含むのは当然である。下記6種のグループはそれぞれ、互いに保存的置換基であるアミノ酸を含有する:
1)アラニン(A)、セリン(S)、スレオニン(T);
2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);
3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q);
4)アルギニン(R)、リシン(K);
5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V);及び
6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W)。
【0051】
「対立遺伝子変異体」は、同一の遺伝子座を占める遺伝子の2以上の多形体を意味する。対立遺伝子変異体は突然変異により自然に発生し、母集団中の表現型多形性を生じる。遺伝子突然変異は、無症候性(エンコードされたポリペプチド中で変化しない)の場合もあり、変化したアミノ酸配列を有するポリペプチドをエンコードする場合もある。「対立遺伝子変異体」は同様に、遺伝的対立遺伝子変異体のmRNA転写により得られるcDNAs及びそれらによりエンコードされた蛋白質を意味する。
【0052】
本発明は、患者からのサンプル中の、ME-2、ME-5又はEEP2ポリペプチドへ特異的に結合する抗体の診断的量を検出することにより、患者からのサンプル中での患者の子宮内膜症診断方法を提供する。適切な患者サンプルとして、本発明を限定するものではないが、唾液、血液又は血液生成物(例えば、血清)、腹水、尿、月経性流体、膣性分泌物が挙げられる。抗体は、ここで記載されたいずれかの蛋白質の検出方法により検出できる。しかし、サンドイッチ型アッセイが特に有用である。例えば、全ての抗体が蛋白質A等を使用して固体相上に捕捉され、ME-2、ME-5又はEEP2に特異的な抗体が、直接又は間接に標識されたME-2、ME-5若しくはEEP2又はME-2、ME-5又はEEP2のエピトープを有するそのポリペプチドフラグメントを使用して検出される。別のアッセイ方法では、ME-2、ME-5若しくはEEP2又はその抗原性フラグメントを分子捕捉として使用でき、捕捉された抗体が検出できる。
【0053】
子宮内膜症の女性の腹水中に流出するME-2、ME-5若しくはEEP2は、子宮内膜症の診断方法中に使用できる。これらの方法には、患者の生物学的サンプル中のME-2、ME-5若しくはEEP2の検出が含まれる。適切なサンプルとして、本発明を限定するものではないが、唾液、血液又は血液生成物(例えば、血清)、尿、月経性流体、膣性分泌物及び、特に腹水が挙げられる。ME-2、ME-5又はEEP2は、ここで記載されたいずれかの方法により検出できる。正常な範囲を超えるME-2、ME-5又はEEP2の検出はいずれも、子宮内膜症の診断での正の指標である。
【0054】
2個の核酸又はポリペプチドに関する「実質的に同一」とは、2以上の配列又はサブ配列をいい、次の配列比較アルゴリズムの1個を使用し、又は視覚的検査により測定して、最大一致に関して、比較され、配列された、少なくとも60%、80%、90%、95%若しくは98%ヌクレオチド又はアミノ酸残基の同一性を有する。好ましくは、実質的同一性は、少なくとも約50残基長さである配列の領域の範囲であり、更に好ましくは少なくとも約100残基の領域の範囲で存在し、特に好ましくは配列は少なくとも約150残基を超える範囲で実質的に同一である。最も好ましくは、配列はコード領域の完全長さ全体で実質的に同一である。
【0055】
ここで開示した本発明は、3種の別個の子宮内膜蛋白質をエンコードするヒトcDNA分子の単離、対応する抗原の特定である。これらのcDNA及び対応する抗原は、ME-5、ME-2及びEPP2を意味し、それらから発現する蛋白質は子宮内膜症に罹患している女性の血清中に存在する自己抗体のターゲットである。ME-5、ME-2及びEPP2蛋白質のこれらの特徴は、それらを子宮内膜病の診断用マーカーに使用することを可能とし、これは下記実施例により詳細に示される。
【実施例】
【0056】
実施例1
ME-5、ME-2及びEPP2 cDNAsの同定及びクローニング
子宮内膜症組織cDNAライブラリーが、レーベンカトリック大学のPhilip Koninckx教授により提供された深く包埋(embed)された子宮内膜症組織試料から単離されたポリA+RNAを使用して、生成された。合計RNAがTrizol試薬(Biorad Laboratories社製;Hercules、CA)を使用して組織から単離され、ポリA+RNAを市販のキット(PolyATract(商標);Promega社製;Madison、WI)を使用して、オリゴポリT結合磁性粒子へのハイブリダイゼーションにより調製した。ライブラリー構築は、「Lambda ZAP(商標)IIベクターシステム」を使用して製造者(Stratagene社;サンディエゴ、CA)から得られた取り扱い説明書に従って行った。最初のME-5及びME-2 cDNAクローンは、一次抗体として、軽症の病気と診断された女性から得られた単一の子宮内膜症患者血清試料を使用した免疫スクリーニングにより同定した。この血清を、市販のE.coliファージ溶解産物(Stratagene社製;サンディエゴ、CA)中に、製造者により提供されたプロトコルに従って血清を1:50で希釈することにより、非特異的な抗−E.coli/ラムダファージ抗体に吸着させた。別の実験手順においては、一次抗体として10個の子宮内膜症患者血清試料のプールを使用した以外は同様の免疫スクリーニングプロトコルで、最初にEPP2 cDNAクローンを同定した。このプール中の血清は、種々のステージの子宮内膜病の女性から得られた。再度血清を上記記載の市販のE.coliファージ溶解産物(Stratagene社製;サンディエゴ、CA)で希釈して非特異的な抗−E.coli/ラムダファージ抗体へ吸着させた。全てのスクリーニング実験用ので二次抗体は、ヒト免疫グロブリンと反応する125I標識されたモノクローナル抗体であった。陰性のコントロールヒト血清を、反応性の確認と平行してクローンをスクリーンするのに使用した。免疫反応性クローンを3回プラーク−精製し、製造者(Stratagene社;サンディエゴ、CA)から提供された方法を使用して、in vivo excision法によりpBluescript(商標)SK(−)ファージミドベクター中へ挿入した(rescued)。
【0057】
実施例2
ME-5、ME-2及びEPP2 cDNA及び蛋白質の特徴解析
それぞれの最初に単離されたME-5、ME-2及びEPP2クローンの両方のストランドの配列分析をABI Biosystems373(商標)DNAシークエンサー(PE Applied Biosystems社製;Foster City、CA)に対して行った。上記のように生成された核酸配列をバイオネットソフトウェア(商標)を使用して分析し、核酸及び蛋白質特性を同定し、データベース中に存在する核酸及び蛋白質配列と相同性比較した。
【0058】
ME-5 cDNA配列は、図1A(SEQ ID NO:1)中に示され、ポリdAトラック(track)を除く1279塩基対のサイズである。112塩基対の5’非コード配列は、推定ATG開始コドンのすぐ上流に同定された。TGA停止コドンの下流に254塩基対の3’非コード配列が存在し、その次にmRNAの3’末端にあるポリAテイルに対応するdA残基のストレッチ(延長部)が続く。開始コドン及び停止コドンの両方は、図1A及び1B中に太字体として強調されている。ME-5コード配列は、完全単離されたcDNA配列(図1A)から推定されるものとして図1B(SEQ ID NO:2)に示される。そのコード領域は、開始コドン及び停止コドンを含む912塩基対のサイズである。303アミノ酸の推定蛋白質をコードするcDNAは図1C(SEQ ID NO:3)に示され、分子量の算出値は約35000ダルトンであった。翻訳生成物は、僅かに酸性であり、等電測定値は5.7であった。
コンピュータ補助データベースサーチ(生物工学情報センター [NCBI] Basic Local Alignment Search Tool [BLAST](商標))を、GenBank(商標)核酸データベース中に含まれる配列との相同性比較を行うために使用した。異なる事業で行われた2個の別々の研究所は、本質的に同一のcDNA分子を独立して単離したことが明らかになった。
【0059】
最初に、Scanlan及びその共同研究者は、Scanlanら[Int.J.Cancer 76、652-658(1998)]により発行された「自己由来抗体により認識されるヒト結腸癌抗原の特性評価」文献中に記載された方法を使用して、同一の1−NY−CO−7cDNAを単離した。これらの個々により使用されたアプローチは、ME-5 cDNAの発見に使用されたものと類似し、そのアプローチ中では彼ら研究者は結腸直腸癌患者からの血清で結腸直腸癌cDNAライブラリーをスクリーンした。ME-5配列を1−NY−CO−7のそれと比較すると、両者の実質的な多くの差異が明らかになった。第一に、上記文献中では1−NY−CO−7mRNA配列は、本発明のME-5配列よりもたぶん僅かに小さい1.22kbであると報告された。第二に、1−NY−CO−7蛋白質は、推定ME-5蛋白質よりも非常に大きいサイズの356アミノ酸であると報告された。最後に、2個の配列のカルボキシ末端部中に3個の塩基不適合があり、その中の2個の不適合はアミノ酸置換(changes)を生じている。ヌクレオチド置換は、ME-5コード領域に関するヌクレオチド807(C→G[コドンの第3番目の位置で生じる、アミノ酸置換なし→プロリン])、814(C→G[アルギニン→グリシン])、及び838(C→T[ロイシン→フェニルアラニン])である。上記著者らは、1−NY−CO−7配列は新規であり(発現した配列標識を除き、GenBank/EMBOデータベース中に挙げられたDNA配列とほとんど相同でないか非相同である)、上記蛋白質はテトラトリコペプチド繰り返し(TPR、下記参照)を有すると述べている。1−NY−CO−7配列は、上記文献中に特性を示されたこれら結腸特異的な配列中には示されておらず、どちらかというとそれは更なる核酸又は蛋白質の特性化無しにGenBankへ直接提出されている。1−NY−CO−7GenBank配列をME-5のそれと比較すると、それらは上記記載の3個のヌクレオチド不適合以外は同一であった。
【0060】
第二に、Ballinger及びその共同研究者は、「CHIPの同定−熱ショック蛋白質と相互反応し、及びシャペロン機能を負に制御する新規テトラトリコペプチド繰り返し含有蛋白質」Ballingerら[Mol.Cell.Biol.19、4535-4545(1999)]として発行された文献中に記載された非常に異なった方法を使用してHsp70相互作用蛋白質(CHIP)の特徴的カルボキシ末端を同定した。この文献で、著者らは新規テトラトリコペプチド繰り返し含有蛋白質の単離を目的としている。CHIP配列は、異なったストリンジェンシーでのヒトCyP−40蛋白質用cDNA配列を使用して、心臓性cDNAライブラリーのスクリーニングにより同定された。低いストリンジェンシーハイブリダイゼーション(42℃)は、高いストリンジェンシー(55℃)でハイブリダイズしない12クローンを生じた。上記クローンの特性評価は、それらの8個がヒトCyP−40に対応し、4個のクローンは公知の遺伝子と相同性を有さない配列であるCHIPをエンコードすることを明らかにした。CHIPの特性評価は、それが、CHIPのアミノ末端中の配列を通してこれらの蛋白質のカルボキシ末端へ結合することによりHsc70及びHsp70の両方と相互作用することを明らかにした。興味深いことには組み換え型CHIPは、Hsc70及びHsp70のHsp40−刺激されたATPase活性を阻害し、それが基質−結合サイクルの正反応を調節することを示した。
これらの配列の両方は、本発明のME-5核酸及び蛋白質配列とほぼ完全な相同性を有する。しかし、子宮内膜症の診断におけるME-5の期待される有用性は、上記文献では検討されていなかった。
【0061】
ME-2 cDNA配列は図2A(SEQ ID NO:4)中に示され、ポリdAトラック(track)を除く1332塩基対のサイズである。54塩基対の5’非コード配列は、推定ATG開始コドンのすぐ上流に同定された。TAG停止コドンの下流に95塩基対の3’非コード配列が存在し、その次にmRNAの3’末端にあるポリAテイルに対応するdA残基のストレッチが続く。開始コドン及び停止コドンの両方は、図2A及び2B中に太字体として強調されている。ME-2コード配列は、完全単離されたcDNA配列(図2A)から推定されるものとして図2B(SEQ ID NO:5)に示される。そのコード領域は、開始コドン及び停止コドンを含む1182塩基対のサイズである。393アミノ酸の推定蛋白質をコードするcDNAは図2C(SEQ ID NO:6)に示され、分子量の算出値は約45000ダルトンであった。翻訳生成物は、僅かに酸性であり、等電測定値は8.8であった。
【0062】
コンピュータ補助データベースサーチ(生物工学情報センター [NCBI] Basic Local Alignment Search Tool [BLAST])を、GenBank核酸データベース中に含まれる配列とME-2 cDNAとの相同性比較を行うために使用した。複数の研究グループによりヒトゲノム配列の分析を含む幾つかの発表があるが、全ての書類は直接発表されたことが明らかになった。更に、これらの発表のいずれも科学的論文中に公表されず、それらの全ては「未知の蛋白質」、「仮定的蛋白質」又は「名前の付いていない蛋白質生成物」として表され、特定された生成物又は機能に関するものではない。これらは例えば、登録番号GI:12652526、GI:22761484、及びGI:24431994中に発見される。従ってたとえME-2 cDNA及び蛋白質に対応する配列が社会の共有財産として存在しても、その性質は知られておらず、子宮内膜症へのその蛋白質の関連性は、この共有情報によっては全く予測されなかった。その結果、ME-2 cDNA及び蛋白質配列は独特であり、本発明中に含まれた開示により始めて独占的にヒトの子宮内膜症の病気中に関連付けられた。
【0063】
EPP2 cDNA配列は、図3A(SEQ ID NO:7)中に示され、ポリdAトラックを除く868塩基対のサイズである。45塩基対の5’非コード配列は、推定ATG開始コドンのすぐ上流に同定された。TAA停止コドンの下流に522塩基対の3’非コード配列が存在し、その次にmRNAの3’末端にあるポリAテイルに対応するdA残基のストレッチ(延長部)が続く。開始コドン及び停止コドンの両方は、図3A及び3B中に太字体として強調されている。EPP2コード配列は、完全単離されたcDNA配列(図3A)から推定されるものとして図3B(SEQ ID NO:8)に示される。そのコード領域は、開始コドン及び停止コドンを含む300塩基対のサイズである。99アミノ酸の推定蛋白質をコードするcDNAは図3C(SEQ ID NO:9)に示され、分子量の算出値は約9300ダルトンであった。興味深いことにはアミノ酸の18はアルギニン残基であり、従って翻訳生成物は、非常に塩基性であり、等電測定値は12.5であった。
【0064】
コンピュータ補助データベースサーチ(生物工学情報センター [NCBI] Basic Local Alignment Search Tool [BLAST])を、GenBank核酸データベース中に含まれる配列とEPP2 cDNAとの相同性比較を行うために使用した。上記ME-2用に記載された方法と同様に、EPP2は同様にヒトゲノム配列の分析に関連する研究グループからの幾つかが直接発表されたことが明らかになった。更に、上記記載のように、更に、これらの提案のいずれも科学的論文中に公表されず、それらの全ては「未知の蛋白質」、「仮定的蛋白質」又は「名前の付いていない蛋白質生成物」として表され、特定された生成物又は機能に関するものではない。これらは例えば、登録番号GI:12652993、GI:24308450、及びGI:20892293中に見られる。従ってたとえEPP2 cDNA及び蛋白質に対応する配列が社会の共有財産として存在しても、その性質は知られておらず、子宮内膜症への蛋白質の関連性は、この共有情報によっては全く予測されなかった。その結果、EPP2 cDNA及び蛋白質配列は独特であり、本発明中に含まれた開示により始めて独占的にヒトの子宮内膜症の病気中に関連付けられた。
【0065】
実施例3
放射能標識されたME-5、ME-2及びEPP2プローブのノーザンブロット法:mRNA特性及び発現パターン
正常なヒト組織からのME-5遺伝子の発現プロファイルを、市販のマルチプルティッシュノーザンブロット(BD Biosciences社製;サンディエゴ、CA)を使用したノーザンブロット分析の実施により行い、その結果を図4に示す。上記市販のノーザンブロットは下記組織からのRNAを含有した:脾臓、胸腺、前立腺、精巣、子宮、小腸、結腸(非粘膜性)、及び末梢血白血球。完全な912塩基対コード配列を、低溶融性(low melting)アガロースゲル中の電気泳動により単離し、ランダムプライミングにより32Pで標識した。32P標識されたME-5プローブを、製造者により供給された手順を使用してノーザンブロット法のハイブリダイゼーション用に使用した。洗浄後にブロットをX−線フィルムへ当てた。フィルムの現像において、ノーザンブロット上の約1.4kbの帯は、予測されたサイズのME-5転写に対応する(図4)。この転写は、全ての組織中に見られ、特に前立腺、精巣及び子宮組織中にきわめて多かった。
【0066】
正常なヒト組織からのME-2遺伝子発現プロファイルを、市販のマルチプルティッシュノーザンブロット(BD Biosciences社製;サンディエゴ、CA)を使用したノーザンブロット分析の実施により行い、その結果を図5に示す。上記市販のノーザンブロットは下記組織からのRNAを含有した:脾臓、胸腺、前立腺、精巣、子宮、小腸、結腸(非粘膜性)、及び末梢血白血球。完全な1182塩基対コード配列を、低溶融性アガロースゲル中の電気泳動により単離し、ランダムプライミングにより32Pで標識した。32P標識されたME-2プローブを、製造者により供給された手順を使用してノーザンブロット法のハイブリダイゼーション用に使用した。洗浄後にブロットをX−線フィルムへ当てた。フィルムの現像において、ノーザンブロット上の約2.0kbの帯は、標識されたプローブへハイブリダイズしたME-2転写に対応する(図5)。この転写は、全ての組織中に見られ、特に前立腺及び精巣にきわめて多かった。更に、観察されたかなりのレベルのハイブリダイゼーションは、脾臓、子宮、小腸、結腸、及び末梢血リンパ球組織中で発現したRNAsの量に対応する。興味深いことには、このパターンは末梢血リンパ球により観察されたにもかかわらず、比較的わずかのシグナルしか胸腺組織中に検出できなかった。
【0067】
正常なヒト組織からのEPP2遺伝子発現プロファイルを、市販のマルチプルティッシュノーザンブロット(BD Biosciences社製;サンディエゴ、CA)を使用したノーザンブロット分析の実施により行い、その結果を図6に示す。上記市販のノーザンブロットは下記組織からのRNAを含有した:脾臓、胸腺、前立腺、精巣、子宮、小腸、結腸(非粘膜性)、及び末梢血白血球。完全な300塩基対EPP2コード配列を、低溶融性アガロースゲル中の電気泳動により単離し、ランダムプライミングにより32Pで標識した。32P標識されたEPP2プローブを、製造者により供給された手順を使用してノーザンブロット法のハイブリダイゼーション用に使用した。洗浄後にブロットをX−線フィルムへ当てた。フィルムの現像において、ノーザンブロット上の約1.0kbでの帯は、標識されたプローブへハイブリダイズしたEPP2転写に対応する(図6)。この転写は、全ての組織中に見られ、特に前立腺、精巣、結腸、及び末梢血リンパ球組織中にきわめて多かった。更に、転写は存在したがかなりのレベルのハイブリダイゼーションは、脾臓、胸腺、子宮、及び小腸組織中で発現したRNAsの量よりも低かった。
【0068】
実施例4
昆虫細胞ホスト中での組み換え型ME-5、ME-2及びEPP2蛋白質の発現
ME-5抗原を昆虫細胞中の6Xヒスチジン標識融合蛋白質としての発現用にクローン化した。ME-5 cDNAインサートの配列を、912bpコード領域の側面に並列する特別なプライマーを使用したPCR増幅により生成した。Bam HI及びEco RI制限酵素用の特異的サイトを、プライマー中に組み込み、ベクター配列でME-5リーディングフレームを維持した。PCRアンプリコンをBam HI及びEco RI制限酵素(Stratagene社製;サンディエゴ、CA)で消化し、アガロースゲル電気泳動で精製した。昆虫細胞トランスファーベクターBlue Bac His2a(商標)(Stratagene社製;サンディエゴ、CA)も同様に制限酵素Bam HI及びEco RIで消化し、仔ウシ小腸由来アルカリホスファターゼで処理した。ME-5 cDNAインサートをベクターでライゲートし、被感染能力を持つ菌でトランスフォームした。個々の単離されたクローンを増殖し、プラスミドDNAを単離し、制限酵素Bam HI及びEco RIで消化した。直鎖状ベクターに加えて約900bpの帯を生成するクローンを選択した。幾つかの候補を更にDNA配列分析により特性評価し、PCR増幅及びクローニングのプロセス中に変化が起こらなかったことを確認した。1個のクローンを突然変異を有さないことを確認して、これを組み換え型バキュロウィルスベクターの増殖に使用した。組み換え型バキュロウィルスを、Sf9昆虫細胞の、バキュロウィルスDNA及びME-5トランスファーベクターとの同時トランスフェクションにより生成した。バキュロウィルスをプラーク精製により単離し、パイロット培養物中の発現パターンを評価するために使用した。組み換え型バキュロウィルス及びパイロット規模の培養物の発現パターンを評価した。1個の組み換え型バキュロウィルスクローンを、約38kDの抗原を発現するものとして同定し、それは、昆虫細胞溶解産物の可溶性及び不溶性フラクションの両方中に検出された。クローンを組み換え型ME-5蛋白質の発現用の大規模のウィルスストックへ拡大した。これをSf9昆虫細胞の大規模培養物を感染するために使用した。発現パターンを図7に示し、これをウェスタンブロット法分析によりより良く視覚化した(図7)。組み換え型ME-5の存在を、市販の抗HisGモノクローナル抗体(Invitrogen社製;Carlsbad、CA)及び次に続く125I標識されたウサギ抗−マウスIgG二次抗体により確認した。これは、ME-5として予測された分子量である約38kDの6Xヒスチジン標識蛋白質の存在を保証する。組み換え型は、昆虫細胞溶解産物の、可溶性及び不溶性フラクションの両方中に検出されたが、僅かにより多くの抗原が可溶性フラクション中に局在するようだった。更にいくつかの抗原が、溶解前に感染した細胞を洗浄するために使用したPBS中に存在した。
【0069】
ME-2抗原を、上記ME-5活性用の記載のように、昆虫細胞中の6Xヒスチジン標識融合蛋白質としての発現用にクローン化した。ME-2 cDNAインサートの配列を、1182bpコード領域の側面に並列する特別なプライマーを使用したPCR増幅により生成した。Bam HI及びEco RI制限酵素用の特異的サイトを、プライマー中に組み込み、ベクター配列でME-2リーディングフレームを維持した。PCRアンプリコンをBam HI及びEco RI制限酵素(Stratagene社製;サンディエゴ、CA)で消化し、アガロースゲル電気泳動で精製した。昆虫細胞トランスファーベクターBlue Bac His2a(商標)(Stratagene社製;サンディエゴ、CA)も同様に制限酵素Bam HI及びEco RIで消化し、仔ウシ小腸由来アルカリホスファターゼで処理した。ME-2 cDNAインサートをベクターでライゲートし、被感染能力を持つ菌でトランスフォームした。個々の単離されたクローンを増殖し、プラスミドDNAを単離し、制限酵素Bam HI及びEco RIで消化した。直鎖状ベクターに加えて約1100bpの帯を生成するクローンを選択した。幾つかの候補を更にDNA配列分析により特性評価し、PCR増幅及びクローニングのプロセス中に変化が起こらなかったことを確認した。1個のクローンを突然変異を有さないことを確認して、これを組み換え型バキュロウィルスベクターの増殖に使用した。組み換え型バキュロウィルスを、Sf9昆虫細胞の、バキュロウィルスDNA及びME-2トランスファーベクターとの同時トランスフェクションにより生成した。バキュロウィルスをプラーク精製により単離し、パイロット培養物中の発現パターンを評価するために使用した。組み換え型バキュロウィルス及びパイロット規模の培養物の発現パターンを評価した。1個の組み換え型バキュロウィルスクローンを、約49kDの抗原を発現するとして同定し、それは昆虫細胞溶解産物の、可溶性及び不溶性フラクションの両方中に検出された。クローンを組み換え型ME-2蛋白質の発現用の大規模のウィルスストックへ拡大した。これをSf9昆虫細胞の大規模の培養を感染するために使用した。発現パターンを図8に示し、ウェスタンブロット法分析によりより良く視覚化した(図8)。組み換え型ME-2の存在を、市販の抗HisGモノクローナル抗体(Invitrogen社製;Carlsbad、CA)及び次に続く125I標識されたウサギ抗−マウスIgG二次抗体により確認した。これは、ME-2として予測された分子量である約49kDの6Xヒスチジン標識蛋白質の存在を保証する。組み換え型は、昆虫細胞溶解産物の、可溶性及び不溶性フラクションの両方中に検出されたが、僅かにより多くの抗原が可溶性フラクション中に局在するようだった。更にいくつかの抗原が、溶解前に感染した細胞を洗浄するために使用したPBS中に存在した。
【0070】
EPP2抗原を、上記記載のように、昆虫細胞中の6Xヒスチジン標識融合蛋白質としての発現用にクローン化した。EPP2 cDNAインサートの配列を、300bpコード領域の側面に並列する特別なプライマーを使用したPCR増幅により生成した。Bam HI及びEco RI制限酵素用の特異的サイトを、プライマー中に組み込み、ベクター配列でEPP2リーディングフレームを維持した。PCRアンプリコンをBam HI及びEco RI制限酵素(Stratagene社製;サンディエゴ、CA)で消化し、アガロースゲル電気泳動で精製した。昆虫細胞トランスファーベクターBlue Bac His2a(商標)(Stratagene社製;サンディエゴ、CA)も同様に制限酵素Bam HI及びEco RIで消化し、仔ウシ小腸由来アルカリホスファターゼで処理した。EPP2 cDNAインサートをベクターでライゲートし、被感染能力を持つ菌でトランスフォームした。個々の単離されたクローンは増殖され、プラスミドDNAを単離し、制限酵素Bam HI及びEco RIで消化された。直鎖状ベクターに加えて約300bpの帯を生成するクローンを選択した。幾つかの候補を更にDNA配列分析により特性評価し、PCR増幅及びクローニングのプロセス中に変化が起こらなかったことを確認した。1個のクローンを突然変異を有さないことを確認して、これを組み換え型バキュロウィルスベクターの増殖に使用した。組み換え型バキュロウィルスを、Sf9昆虫細胞の、バキュロウィルスDNA及びEPP2トランスファーベクターとの同時トランスフェクションにより生成した。バキュロウィルスをプラーク精製により単離し、パイロット培養物中の発現パターンを評価するために使用した。組み換え型バキュロウィルス及びパイロット規模の培養物の発現パターンを評価した。1個の組み換え型バキュロウィルスクローンを、約9kDの抗原を発現するとして同定し、それは昆虫細胞溶解産物の、可溶性及び不溶性フラクションの両方中に検出された。クローンを組み換え型EPP2蛋白質の発現用の大規模のウィルスストックへ拡大した。これをSf9昆虫細胞の大規模の培養を感染するために使用した。発現パターンを図9に示し、ウェスタンブロット法分析によりより良く視覚化した(図9)。組み換え型EPP2の存在を、市販の抗HisGモノクローナル抗体(Invitrogen社製;Carlsbad、CA)及び次に続く125I標識されたウサギ抗−マウスIgG二次抗体により確認した。これは、EPP2として予測された分子量である約9kDの6Xヒスチジン標識蛋白質の存在を保証する。組み換え型は、昆虫細胞溶解産物の、可溶性及び不溶性フラクションの両方中に検出されたが、僅かにより多くの抗原が可溶性フラクション中に局在するようだった。ME-5及びME-2蛋白質発現に観察されたパターンとは異なり、EPP2抗原は、溶解前に感染した細胞を洗浄するために使用したPBS中に存在しなかった。
【0071】
実施例5
昆虫細胞からの組み換え型ME-5、ME-2及びEPP2蛋白質の精製
ME-5、ME-2及びEPP2抗原の更なる研究では、単離された蛋白質の実質的量を求めた。これらは特に、ME-5、ME-2及びEPP2蛋白質の子宮内膜症患者血清試料との反応性を評価して、臨床的関連性(妥当量)を確立するために必要である。組み換え型ME-5、ME-2及びEPP2抗原を、細胞溶解産物の可溶性フラクション又はその全体から固定化金属アフィニティクロマトグラフィー(IMAC)により単離した。
【0072】
組み換え型ME-5抗原を、昆虫細胞溶解産物の可溶性フラクションから単離した。簡潔に述べると、ME-5組み換え型バキュロウィルス感染した昆虫細胞を感染3日後に遠心分離により採取した。細胞をPBSで2回洗浄し、細胞ペレットを1時間−70℃で凍結した。解凍後、細胞ペレットを結合バッファ(500mM NaCl、20mMトリス−HCl、pH8.0)中で懸濁し、哺乳動物組織用プロテアーゼ阻害剤カクテル(Sigma社製;St.Louis、MO)を補充した。溶解産物を超音波処理し、18000rpm、4℃で20分間遠心分離し、可溶性及び不溶性フラクションを分離した。可溶性フラクションを結合バッファに対して透析し、18000rpm、4℃で遠心分離してカラムの性能に影響を及ぼす不純物を除去した。ニッケル荷電キレート化Sepharose樹脂(商標)(Amersham Biosciences社製;Piscataway、NJ)を2Xカラム容積の結合バッファで2回平衡化した。樹脂をロッカー上室温で20分間、ME-5昆虫細胞溶解産物でインキュベートした。樹脂/溶解産物混合物をカラム上に供給し、40カラム容積のA20カラム洗浄バッファ(20mMイミダゾール;500mM NaCl;20mMトリス−HCl、pH8.0)で洗浄した。結合されたME-5蛋白質を、カラムから溶離バッファ(500mMイミダゾール;500mM NaCl;20mMトリス−HCl、pH7.5)で溶離した。プロテアーゼ阻害剤カクテルをプールした溶離フラクション中へ添加し、蛋白質濃度をBCAアッセイ(Pierce社製;Rockford、IL)により、BSA標準曲線を使用して測定した。溶離した蛋白質サンプルを、図10に示すように、SDS PAGE、その次のクマシー(商標)ブルーによる染色又はニトロセルロースへのトランスファー及びウェスタンブロット法により分析した。このように単離されたME-5蛋白質試料を複数のアリコートに分割し、−20℃で30%グリセロールで貯蔵した。
【0073】
組み換え型ME-2抗原を、昆虫細胞溶解産物の可溶性フラクションから同様に単離した。簡潔に述べると、ME-2組み換え型バキュロウィルス感染した昆虫細胞を感染3日後に遠心分離により採取した。上記記載のように細胞をPBSで洗浄し、細胞を凍結した。解凍後、可溶性フラクションをニッケル荷電キレート化Sepharose樹脂(商標)(Amersham Biosciences社製;Piscataway、NJ)へ20分間室温で結合させた。樹脂/溶解産物混合物をカラム上に供給し、結合バッファA10(10mMイミダゾール、1M NaCl、20mM トリス−HCl、pH8.0、10%グリセロール、6M尿素)、A15(15mMイミダゾール含有バッファA10)、及びA20(20mMイミダゾール含有バッファA10)で次々に洗浄して変性させた。結合されたME-2蛋白質を、カラムから溶離バッファ(500mMイミダゾール;500mM NaCl;20mMトリス−HCl、pH7.5)で溶離した。プロテアーゼ阻害剤カクテルをプールした溶離フラクション中へ添加し、蛋白質濃度をBCAアッセイ(Pierce社製;Rockford、IL)により、BSA標準曲線を使用して測定した。溶離した蛋白質サンプルを、図11に示すように、SDS PAGE、その次のクマシー(商標)ブルーによる染色又はニトロセルロースへのトランスファー及びウェスタンブロット法により分析した。このように単離されたME-2蛋白質試料を複数のアリコートに分割し、−20℃で30%グリセロールで貯蔵した。
【0074】
組み換え型EPP2抗原を、下記の通り、昆虫細胞溶解産物全体から同様に単離した。EPP2組み換え型バキュロウィルス感染した昆虫細胞を感染3日後に遠心分離により採取した。細胞をPBSで2回洗浄し、細胞ペレットを1時間−70℃で凍結した。解凍後、細胞ペレットを変性用結合バッファ(750mM NaCl;20mMトリス−HCl、pH8.0;10%グリセロール;6MグアニジンHCl)中で懸濁し、哺乳動物組織用プロテアーゼ阻害剤カクテル(Sigma社製;St.Louis、MO)を補充した。溶解産物を超音波処理し、遠心分離して、可溶性及び不溶性フラクションを分離した。可溶性フラクションをニッケル荷電キレート化Sepharose樹脂(商標)(Amersham Biosciences社製;Piscataway、NJ)へ室温で20分間結合させた。樹脂をカラム上に供給し、変性用結合バッファA10(10mMイミダゾール、1M NaCl、20mMトリス−HCl、pH8.0、10%グリセロール、6M尿素)、A15(15mMイミダゾールを含むバッファA10)、A20(20mMイミダゾールを含むバッファA10)、A25(25mMイミダゾールを含むバッファA10)、及びA30(バッファA10と同一であるが30mMイミダゾールを含む)で次々に洗浄した。単離されたEPP2蛋白質を変性用溶離バッファ(250mMイミダゾール、1M NaCl、20mMトリス−HCl、pH7.5、10%グリセロール、6M尿素)で溶離した。プロテアーゼ阻害剤カクテルをプールした溶離フラクション中へ添加し、EPP2蛋白質を0.5MNaCl及びシステイン/シスチンを有する0.2M炭酸水素塩バッファに対して透析し、尿素を除去した。透析後、サンプルを必要であればAquacideで濃縮し、蛋白質濃度をBCAアッセイ(Pierce社製;Rockford、IL)により、BSA標準曲線を使用して測定した。単離されたEPP2蛋白質サンプルを、図12に示すように、SDS PAGE、その次のクマシー(商標)及びウェスタンブロット法により分析した。蛋白質サンプルを−20℃で30%グリセロールで貯蔵した。このように単離されたEPP2蛋白質試料を複数のアリコートに分割し、−20℃で30%グリセロールで貯蔵した。
【0075】
実施例6
抗体調製
ME-5蛋白質へのモノクローナル抗体を、標準的方法(G.Galfreら[1977]Nature,266:550)を変形して(V.T.Oi及びL.A.Herzenberg[1980]In B.B.Mishell及びS.M.Shiigi[eds.] 「細胞免疫学における選択された方法」 [San Francisco:W.H.Freeman])使用して生成した。これらモノクローナル抗体試薬は、ME-5蛋白質特性の追加的研究用に価値が高く、子宮内膜症患者の蛋白質の臨床的有意性を決定するための免疫学的測定の開発を助ける。マウス(BALB/c)を単離された組み換え型ME-5抗原で免疫化し、これらの動物中の抗原への抗体反応を、その動物の血清をELISA及びウェスタンブロット法技術を適用して監視した。抗体反応が強い場合、その動物はME-5抗原に対する別の免疫で追加免疫された。3日後、脾臓を動物から摘出し、免疫細胞を器官から単離した。単離された脾臓細胞を免疫グロブリン非生産性Sp2/0マウス骨髄腫セルライン(M.Shulmanら[1978]Nature276:269)と融合した。得られたハイブリドーマ細胞をHAT試薬を含有する培養媒体中で選択した。候補ハイブリドーマ細胞を最低2回限界稀釈法によりクローン化し、クローンを単離されたME-5抗原を使用してELISAによりスクリーンした。2D1で示される1個のハイブリドーマセルラインが、単離されたME-5抗原と特に良く反応することが発見され、これを下記追加的実験用に選択した。
【0076】
実施例7
天然ME-5抗原の同定及び組織分散
最初に2D1モノクローナルを、培養されたRL95−2子宮内膜癌細胞から得られた蛋白質抽出物へのウェスタンブロット法実験において使用した。培養されたRL95−2細胞を超音波処理により溶解し、不溶性破片を遠心分離により除去した。可溶性フラクションの一部は、単離された組み換え型ME-5蛋白質のサンプルの隣のSDS PAGEゲル上で分析した。図13に、抗ME-5 2D1モノクローナル抗体を使用して得られたウェスタンブロット法分析のパターンを示す。モノクローナルは単離された組み換え型抗原と良く反応し、2D1反応性が推定分子量38kDで観察された。RL95−2蛋白質抽出物中に、天然ME-5蛋白質との反応性の明瞭な帯があり、それは単離された組み換え型よりも僅かに大きいことが示された。
【0077】
天然ME-5抗原のこれらの研究は、種々のヒト器官から得られた組織抽出物を含むように拡張された。これらのウェスタンブロット法実験では、ヒト脾臓、脳、肺、心臓、肝臓、卵巣、胎盤、精巣、骨格筋、及び腎臓等の種々の組織が研究された。市場入手可能なヒト組織蛋白質抽出物(プロテインメドレーズ(商標):BD Biosciences社製;サンディエゴ、CA)のサンプルを、SDS PAGEゲル上で製造者により提供された説明書に従い電気泳動で分離した。蛋白質抽出物をウェスタンブロット法により抗ME-5 2D1モノクローナルを一次抗体として使用して評価し、免疫複合体を125I標識された抗−マウス抗体で検出した。結果は図14に示され、コントロールとして含有された単離された組み換え型ME-5蛋白質との反応性を示す濃い帯が存在する。更に、天然ME-5蛋白質がほとんど全ての検討した組織中に存在することが観察され、適切なことには蛋白質は卵巣組織中に高濃度で存在するように観察された。他の生殖器関係の組織中のME-5蛋白質の存在は、抗原はこの種の器官中に高いレベルで自然に発現することを推認させる。従ってME-5は生殖器系中に起こる機能の調整の主要な役割を有するらしい。その結果ME-5はより確かに、子宮内膜症で生成された抗子宮内膜抗体のターゲットであるといえる。かなりのレベルの発現が同様に心臓、肝臓、及び腎臓組織抽出物中で測定された。これは実施例2中で検討されたCHIP蛋白質が心臓性cDNAライブラリーから単離されたことから同様に根拠づけられる。いくぶん低いが検出可能なレベルの天然ME-5が、残りの組織抽出物の大部分中に観測された。
【0078】
実施例8
臨床的発見:ME-5、ME-2及びEPP2抗原の子宮内膜症患者血清との反応性
ME-5、ME-2及びEPP2蛋白質の臨床的有意性が、ライン免疫ブロット法研究を使用して子宮内膜症患者の血清中に存在する抗体との反応性を測定して評価された。これらのラインブロット法実験は、組み換え型蛋白質と反応するヒト血清中のIgG抗体を同定するために設計された。簡潔に述べると、ラインブロット法はME-5、ME-2及びEPP2組み換え型蛋白質抗原を使用し、その抗原は、ニトロセルロース膜上に分離した位置で表面に伸びるラインの形で固定化される。更に、試薬コントロールラインが、特別なアッセイ条件が次に続くことを確認するために含まれる。膜を多くの個々のストリップへ切断した後、これらを個々の患者血清とインキュベートし、患者IgGが分離したライン中に固定化された抗原へ結合する。上記ストリップを酵素標識された抗ヒトIgG抗体でインキュベートし次に基質反応を行うことにより、免疫複合体を視覚化した。これらの実験を評価する場合には、コントロール血清で処理したストリップを、子宮内膜症患者血清でインキュベートされたストリップと比較し、それぞれの帯のステインの強度の分析を容易とした。ME-5、ME-2及びEPP2抗原との反応性を示す患者血清試料は、シグナル強度がコントロール被検体ストリップ上の蛋白質で得られたものより強い場合には陽性であると考えられる。
【0079】
正常なコントロール被検体血清と処理されたME-5抗原を含有する、いくつかの代表的ラインブロットストリップを図15Aに示す。反対に、代表的子宮内膜症患者の、類似するストリップとの反応性パターンを図15Bに示す。子宮内膜症患者からの血清は、コントロール血清と比較(15A及び15Bのパターンの比較)した場合、一貫してME-5蛋白質とより強く反応する。一般的に特定の濃度のME-5組み換え型は、コントロールと比べ、子宮内膜症患者中の抗体に対する反応性の最も良い識別力を提供することを示した。これらの実験中、及び下記でまとめられる他の場合、この濃度はミリリットル当りME-5が0.036ミリグラムである。この価では、コントロール被検体はほとんど反応しないが、子宮内膜症患者の反応性は実質的である。
【0080】
この実験中、合計47個の子宮内膜症患者血清(Diagnostic Support社製;ボストン、MA)を、24個の陰性のコントロールと共に評価した。いくつかの代表的データを、上記図中に示し、全ての子宮内膜症患者血清の組み換え型ME-5抗原との反応性を表1にまとめた。コントロール反応性を表2に示す。合計27人の子宮内膜症患者は、この実験中強く陽性であった。更に、明確な臨界(cut off)であるミリリットル当たりME-5が0.036ミリグラム未満であることが観察された患者血清の多くは、上記のような陰性のコントロール血清と比較して、より高い濃度の抗原とより良く反応する。コントロール試料のいずれもラインブロットにより測定されたようにME-5抗原への非常に高い抗体反応性を有していなかった。従って、マーカーME-5は、この実験中評価した、少なくとも57%の子宮内膜症患者血清と反応し、子宮内膜症患者からの血清全体の、ME-5蛋白質との反応性パターンは、コントロール血清で観察されたパターンと比較した場合に非常に強かった。
【0081】
正常なコントロール被検体血清と処理されたME-2抗原を含有する、いくつかの代表的ラインブロットストリップを図16Aに示す。反対に、代表的子宮内膜症患者の、類似するストリップとの反応性パターンを図16Bに示す。子宮内膜症患者からの血清は、コントロール血清と比較(16A及び16Bのパターンの比較)した場合、一貫してME-2蛋白質とより強く反応する。一般的に特定の濃度のME-2組み換え型は、コントロールと比べ、子宮内膜症患者中の抗体に対する反応性の最も良い識別力を提供することを示した。これらの実験中、及び下記でまとめられる他の場合、この濃度はミリリットル当りME-2が0.018ミリグラムである。この価では、コントロール被検体はほとんど反応せず、子宮内膜症患者の反応性は実質的である。
【0082】
この実験中、合計47個の子宮内膜症患者血清(Diagnostic Support社製;ボストン、MA)を、24個の陰性のコントロールと共にME-2抗原との反応性を評価した。いくつかの代表的データを、上記図中に示し、全ての子宮内膜症患者血清の組み換え型ME-2抗原との反応性を表3にまとめた。コントロール被検体の反応性を表4に示す。合計25人の子宮内膜症患者は、この実験中強く陽性であった。更に、明確な臨界であるミリリットル当たりME-2が0.018ミリグラム未満であることが観察された患者血清の多くは、上記のような陰性のコントロール血清と比較して、より高い濃度の抗原とより良く反応する。コントロール試料のいずれもラインブロットにより測定されたようにME-2抗原への非常に高い抗体反応性を有していなかった。従って、マーカーME-2は、この実験中評価した、少なくとも53%の子宮内膜症患者血清と反応し、子宮内膜症患者からの血清全体の、ME-2蛋白質との反応性パターンは、コントロール血清で観察されたパターンと比較した場合に非常に強かった。これは更に、2倍のより高い濃度(0.144mg/ml)のME-2抗原は、コントロール血清との反応性を評価された事実、及び、これを観察したシグナル強度はより低い蛋白質レベルの子宮内膜症血清で生成されたものよりも非常に低かった事実により例示される。
【0083】
上記活性に関して記載されたように、EPP2抗原との反応性を示す患者血清試料は、シグナル強度がコントロール被検体ストリップ上の蛋白質で得られるものよりも高い場合、陽性であると考えられ、上記記載同様に、これらの実験を評価する場合、コントロール血清と処理されたストリップは、子宮内膜症患者血清とインキュベートしたストリップとを比較して、それぞれの帯の染色の強度の分析を容易にした。組み換え型EPP2の正常なコントロール被検体血清との反応性を示す、いくつかの代表的ラインブロットストリップを図17Aに示す。反対に、代表的子宮内膜症患者の、類似するストリップとの反応性パターンを図17Bに示す。一般的に子宮内膜症患者からの血清は、コントロール血清(17A及び17Bのパターンの比較)と比較した場合、EPP2蛋白質とより強く反応する。一般的に特定の濃度のEPP2組み換え型は、コントロールと比べ、子宮内膜症患者中の抗体に対する反応性の最も良い識別力を提供することを示した。これらの実験中、及び下記でまとめられる他の場合、この濃度はミリリットル当りEPP2が0.05ミリグラムである。この価では、コントロール被検体はほとんど反応しないが、子宮内膜症患者の反応性は実質的である。
【0084】
この実験中、合計90個の子宮内膜症患者血清(Diagnostic Support社製;ボストン、MA及びBoston Biomedica社製;ボストン)を、24個の陰性のコントロールと共に評価した。いくつかの代表的データを、上記図中に示し、全ての子宮内膜症患者血清の組み換え型EPP2抗原との反応性を表5にまとめた。コントロール被検体反応性を表6に示す。合計55人の子宮内膜症患者は、この実験中強く陽性であった。更に、明確な臨界であるミリリットル当たりEPP2が0.05ミリグラム未満であることが観察された患者血清の多くは、上記のような陰性のコントロール血清と比較して、より高い濃度の抗原とより良く反応する。コントロール試料のいずれもラインブロットにより測定されたようにEPP2抗原への非常に高い抗体反応性を有していなかった。従って、マーカーEPP2は、この実験中評価した、少なくとも61%の子宮内膜症患者血清と反応し、子宮内膜症患者からの血清全体のEPP2蛋白質との反応性パターンは、コントロール血清で観察されたパターンと比較した場合に非常に強かった。
【0085】
個々のME-5、ME-2及びEPP2抗原用の反応性パターンは、全体では53%〜61%であり、これは子宮内膜症診断用マーカーとして充分に使用できることを示す。しかし、表1、3、及び5にまとめた結果の検査を検討すると、異なる子宮内膜症患者は同じようにそれぞれの3個の抗原とは反応しなかったことは明らかである。従って、子宮内膜症患者血清の反応性パターンがそれぞれの3個の抗原として考えられた場合には、このマーカーのパネルは、説得力がある診断用テストとしての使用を可能とする。例示として、47人の患者をそれぞれのME-5、ME-2及びEPP2抗原について評価し、1以上の試料中の抗体との反応性パターンを表7中にまとめた。以上より、83%を超える測定血清は、少なくとも1のME-5、ME-2、又はEPP2抗原と反応する抗体を含有した。その結果、この3個の抗原を診断用テストパネルとして組み合わせて検討する場合、子宮内膜症患者中の抗体がそれらと反応する頻度は非常に高い。
【0086】
表1(ME-5と47人の子宮内膜症患者との反応性の全体のパターン)
子宮内膜症患者血清試料は、市販の製造者から得られ(Diagnostic Support社製;ボストン、MA)、ラインブロットにより組み換え型ME-5抗原との反応性を評価した。
【表1】
【0087】
表2(ME-5と24人のコントロール被検体血清との反応性の全体のパターン)
コントロール被検体血清試料は、体内血液流から得られ、ラインブロットにより組み換え型ME-5抗原との反応性を評価した。
【表2】
【0088】
表3(ME-2と47人の子宮内膜症患者との反応性の全体のパターン)
子宮内膜症患者血清試料は、市販の製造者から得られ(Diagnostic Support社製;ボストン、MA)、ラインブロットにより組み換え型ME-2抗原との反応性を評価した。
【表3】
【0089】
表4(ME-2と24人のコントロール被検体との反応性の全体のパターン)
コントロール被検体血清試料は、体内血液流から得られ、ラインブロットにより組み換え型ME-2抗原との反応性を評価した。
【表4】
【0090】
表5(EPP2と90人の子宮内膜症患者との反応性の全体のパターン)
子宮内膜症患者血清試料は、市販の製造者から得られ(Diagnostic Support社製;ボストン、MA)、ラインブロットにより組み換え型EPP2抗原との反応性を評価した。
【表5】
【0091】
表6(EPP2と24人のコントロール被検体血清との反応性の全体のパターン)
コントロール被検体血清試料は、体内血液流から得られ、ラインブロットにより組み換え型EPP2抗原との反応性を評価した。
【表6】
【0092】
表7(ME-5、ME-2、又はEPP2のパネルと47人の子宮内膜症患者との反応性とを組み合わせたパターンのまとめ)
合計47人の子宮内膜症患者血清試料について、表1、3、及び5に示したようにそれぞれの3個の抗原との反応性を評価した。これらそれぞれの患者の、1以上のマーカーとの全体の反応性をまとめた。
【表7】
【0093】
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1A】単離されたME-5 cDNA用のヌクレオチド配列(SEQ ID NO:1)を示す。
【図1B】推定ME-5コード配列であり、図1AのME-5 cDNAのコード領域のヌクレオチド配列(SEQ ID NO:2)を示す。
【図1C】推定ME-5アミノ酸配列であり、図1AのME-5 cDNAのヌクレオチド配列によりエンコードされた蛋白質の推定アミノ酸配列(SEQ ID NO:3)を示す。
【図2A】単離されたME-2 cDNA用のヌクレオチド配列(SEQ ID NO:4)を示す。
【図2B】推定ME-2コード配列であり、図2AのME-2 cDNAのコード領域(SEQ ID NO:5)のヌクレオチド配列を示す。
【図2C】推定ME-2アミノ酸配列であり、図2AのME-2 cDNAのヌクレオチド配列によりエンコードされた蛋白質の推定アミノ酸配列(SEQ ID NO:6)を示す。
【図3A】単離されたEPP2 cDNA用のヌクレオチド配列(SEQ ID NO:7)を示す。
【図3B】推定EPP2 DNA配列であり、図3AのEPP2 cDNAのコード領域のヌクレオチド配列(SEQ ID NO:8)を示す。
【図3C】推定EPP2アミノ酸配列であり、図3AのEPP2 cDNAのヌクレオチド配列によりエンコードされた蛋白質の推定アミノ酸配列(SEQ ID NO:9)を示す。
【図4】種々のヒト組織中に発現するME-5mRNAのノーザンブロットパターンを示す。
【図5】種々のヒト組織中に発現するME-2mRNAのノーザンブロットパターンを示す。
【図6】種々のヒト組織中に発現するEPP2mRNAのノーザンブロットパターンを示す。
【図7】昆虫細胞ホスト中の組み換え型ME-5の発現パターンを、ゲル染色(左パネル)及びウェスタンブロット法(右パネル)により示す。
【図8】昆虫細胞ホスト中の組み換え型ME-2の発現パターンを、ゲル染色(左パネル)及びウェスタンブロット法(右パネル)により示す。
【図9】昆虫細胞ホスト中の組み換え型EPP2の発現パターンを示す。ゲル染色(左パネル)及びウェスタンブロット法(右パネル)により示す。
【図10】固定化金属アフィニティクロマトグラフィー(IMAC)を使用した組み換え型6X−標識ME-5蛋白質の単離を示す。溶解産物、漏出液、洗浄液、及び溶離液のサンプルを、SDS PAGE及びウェスタンブロット法で分析した。
【図11】固定化金属アフィニティクロマトグラフィー(IMAC)を使用した組み換え型6X−標識ME-2蛋白質の単離を示す。溶解産物、漏出液、洗浄液、及び溶離液のサンプルを、SDS PAGE及びウェスタンブロット法で分析した。
【図12】固定化金属アフィニティクロマトグラフィー(IMAC)を使用した組み換え型6X−標識EPP2蛋白質の単離を示す。溶解産物、漏出液、洗浄液、及び溶離液のサンプルを、SDS PAGE及びウェスタンブロット法で分析した。
【図13】単離された組み換え型ME-5蛋白質、並びにRL95−2子宮内膜癌細胞中に存在する天然ME-5抗原のウェスタンブロット法分析を示す。
【図14】種々のヒト組織中に発現するME-5天然抗原を示すウェスタンブロット法分析を示す。
【図15A】組み換え型ME-5の能力を示す代表的ライン免疫ブロット法分析を示す。患者及びコントロール間を区別する最適濃度は、ラインブロットストリップの右側に矢印で示された0.036mg/mlである。
【図15B】図15Aと同様の組み換え型ME-5の能力を示す代表的ライン免疫ブロット法分析を示す。
【図16A】組み換え型ME-2の能力を示す代表的ライン免疫ブロット法分析を示す。患者及びコントロール間を区別する最適濃度は、ラインブロットストリップの右側に矢印で示された0.018mg/mlである。
【図16B】図16Aと同様の組み換え型ME-2の能力を示す代表的ライン免疫ブロット法分析を示す。
【図17A】組み換え型EPP2の能力を示す代表的ライン免疫ブロット法分析を示す。患者及びコントロール間を区別する最適濃度は、ラインブロットストリップの右側に矢印で示された0.05mg/mlである。
【図17B】図17Aと同様の組み換え型EPP2の能力を示す代表的ライン免疫ブロット法分析を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ME-5(SEQ ID NO:3)の少なくとも5アミノ酸のポリペプチドエピトープをエンコードするSEQ ID NO:2から単離されたヌクレオチド配列を含有する組み換え型ポリヌクレオチドであり、上記エピトープは子宮内膜症(endometriosis)と診断される患者からの抗体と特異的に結合するポリヌクレオチド。
【請求項2】
上記ヌクレオチド配列はSEQ ID NO:1のME-5配列から選ばれる請求項1のポリヌクレオチド。
【請求項3】
上記ヌクレオチド配列は天然ME-5ヌクレオチド配列である請求項1のポリヌクレオチド。
【請求項4】
上記ヌクレオチド配列はSEQ ID NO:2のヌクレオチド1〜912と実質的に同一である請求項1のポリヌクレオチド。
【請求項5】
そのアミノ酸配列が、SEQ ID NO:3又はSEQ ID NO:3の対立遺伝子変異体の配列と実質的に同一である精製組み換え型ME-5ポリペプチド。
【請求項6】
ME-5(SEQ ID NO:3)の少なくとも5アミノ酸のエピトープを含有する精製ポリペプチドであり、上記エピトープは子宮内膜症と診断される患者からの抗体と特異的に結合するポリペプチド。
【請求項7】
ME-5ポリペプチド(SEQ ID NO:3)のエピトープへ特異的に結合する抗体から本質的に構成される組成物。
【請求項8】
上記抗体はモノクローナル抗体である請求項7の組成物。
【請求項9】
下記ステップを含有する、サンプル中のME-5ポリペプチド(SEQ ID NO:3)検出方法:
(a)サンプルをME-5ポリペプチドのエピトープへ特異的に結合する抗体と接触させるステップ、及び
(b)その抗体及びME-5ポリペプチド間の特異的な結合を検出するステップ;
但し、特異的な結合はサンプル中のME-5ポリペプチドの検出を可能とする。
【請求項10】
下記ステップを含有する、ヒト患者の子宮内膜症の診断方法:
(a)患者からのサンプル中の、ME-5(SEQ ID NO:3)ポリペプチドへ特異的に結合する抗体の実験値(量)を検知するステップ;及び
(b)実験値(量)を子宮内膜症に罹患していない被検体からのコントロールサンプル中の抗体の正常範囲と比較するステップ、
但し、正常範囲を超える実験値(量)は子宮内膜症の診断の正の指標を示す。
【請求項11】
上記サンプルは血清を含有する請求項10の方法。
【請求項12】
上記検出ステップは、固定化ME-5又はME-5のエピトープを含有するペプチドでサンプルから抗体を捕捉し、捕捉された抗体を検知することを含む請求項10の方法。
【請求項13】
ME-2(SEQ ID NO:6)の少なくとも5アミノ酸のポリペプチドエピトープをエンコードするSEQ ID NO:5から単離されたヌクレオチド配列を含有する組み換え型ポリヌクレオチドであり、上記エピトープは子宮内膜症と診断される患者からの抗体と特異的に結合するポリヌクレオチド。
【請求項14】
上記ヌクレオチド配列はSEQ ID NO:4のME-2配列から選択される請求項13のポリヌクレオチド。
【請求項15】
上記ヌクレオチド配列は天然ME-2ヌクレオチド配列である請求項13のポリヌクレオチド。
【請求項16】
上記ヌクレオチド配列はSEQ ID NO:5のヌクレオチド1〜1182と実質的に同一である請求項13のポリヌクレオチド。
【請求項17】
そのアミノ酸配列が、SEQ ID NO:6又はSEQ ID NO:6の対立遺伝子変異体の配列と実質的に同一である、精製組み換え型ME-2ポリペプチド。
【請求項18】
ME-2(SEQ ID NO:6)の少なくとも5アミノ酸のエピトープを含有する精製ポリペプチドであり、上記エピトープは子宮内膜症と診断される患者からの抗体と特異的に結合するポリペプチド。
【請求項19】
ME-2ポリペプチド(SEQ ID NO:6)へ特異的に結合する抗体から本質的に構成される組成物。
【請求項20】
上記抗体はモノクローナル抗体である請求項19の組成物。
【請求項21】
下記ステップを含有する、サンプル中のME-2ポリペプチド(SEQ ID NO:6)検出方法:
(a)サンプルをME-2ポリペプチドへ特異的に結合する抗体と接触させるステップ、及び
(b)その抗体及びME-2ポリペプチド間の特異的な結合を検出するステップ;
但し、特異的な結合はサンプル中のME-2ポリペプチドの検出を可能とする。
【請求項22】
下記ステップを含有する、ヒト患者の子宮内膜症の診断方法:
(a)患者からのサンプル中の、ME-2ポリペプチド(SEQ ID NO:6)へ特異的に結合する抗体の実験値(量)を検知するステップ;及び
(b)実験値(量)を子宮内膜症に罹患していない被検体からのコントロールサンプル中の抗体の正常範囲と比較するステップ、
但し、正常範囲を超える実験値(量)は子宮内膜症の診断の正の指標を示す。
【請求項23】
上記サンプルは血清を含有する請求項22の方法。
【請求項24】
上記検出ステップは、固定化ME-2又はME-2のエピトープを含有するペプチドでサンプルから抗体を捕捉し、捕捉された抗体を検知することを含む請求項22の方法。
【請求項25】
EEP2(SEQ ID NO:9)の少なくとも5アミノ酸のポリペプチドエピトープをエンコードするSEQ ID NO:8から単離されたヌクレオチド配列を含有する組み換え型ポリヌクレオチドであり、上記エピトープは子宮内膜症と診断される患者からの抗体と特異的に結合するポリヌクレオチド。
【請求項26】
上記ヌクレオチド配列はSEQ ID NO:7のEEP2配列から選ばれる請求項25のポリヌクレオチド。
【請求項27】
上記ヌクレオチド配列は天然EEP2ヌクレオチド配列である請求項25のポリヌクレオチド。
【請求項28】
上記ヌクレオチド配列はSEQ ID NO:8のヌクレオチド1〜300と実質的に同一である請求項25のポリヌクレオチド。
【請求項29】
そのアミノ酸配列が、SEQ ID NO:9又はSEQ ID NO:9の対立遺伝子変異体の配列と実質的に同一である精製組み換え型EEP2ポリペプチド。
【請求項30】
EPP2(SEQ ID NO:9)の少なくとも5アミノ酸のエピトープを含有する精製ポリペプチドであり、上記エピトープは子宮内膜症と診断される患者からの抗体と特異的に結合するポリペプチド。
【請求項31】
EEP2ポリペプチド(SEQ ID NO:9)へ特異的に結合する抗体から本質的に構成される組成物。
【請求項32】
上記抗体はモノクローナル抗体である請求項31の組成物。
【請求項33】
下記ステップを含有する、ヒトサンプル中のEEP2ポリペプチド(SEQ ID NO:9)検出方法:
(a)サンプルをEEP2ポリペプチドへ特異的に結合する抗体と接触させるステップ、及び
(b)その抗体及びEEP2ポリペプチド間の特異的な結合を検出するステップ;
但し、特異的な結合はサンプル中のEEP2ポリペプチドの検出を可能とする。
【請求項34】
下記ステップを含有する、患者の子宮内膜症の診断方法:
(a)患者からのサンプル中のポリペプチドEEP2(SEQ ID NO:9)へ特異的に結合する抗体の実験値(量)を検知するステップ;及び
(b)実験値(量)を子宮内膜症に罹患していない被検体からのコントロールサンプル中の抗体の正常範囲と比較するステップ、
但し、正常範囲を超える実験値(量)は子宮内膜症の診断の正の指標を示す。
【請求項35】
上記サンプルは血清を含有する請求項34の方法。
【請求項36】
上記検出ステップは、固定化EPP2又はEPP2のエピトープを含有するペプチドでサンプルから抗体を捕捉し、捕捉された抗体を検知することを含む請求項34の方法。
【請求項37】
下記群から選ばれた少なくとも一種を含有する組成物;
そのアミノ酸配列が、SEQ ID NO:3又はSEQ ID NO:3の対立遺伝子変異体の配列と実質的に同一である精製組み換え型ME-5ポリペプチド、;
そのアミノ酸配列が、SEQ ID NO:6又はSEQ ID NO:6の対立遺伝子変異体の配列と実質的に同一である精製組み換え型ME-2ポリペプチド;及び
そのアミノ酸配列が、SEQ ID NO:9又はSEQ ID NO:9の対立遺伝子変異体の配列と実質的に同一である精製組み換え型EEP2ポリペプチド。
【請求項38】
下記群から選ばれた少なくとも一種を含有する組成物;
ME-5(SEQ ID NO:3)の少なくとも5アミノ酸のエピトープを含有する精製ポリペプチド;
ME-2(SEQ ID NO:6)の少なくとも5アミノ酸のエピトープを含有する精製ポリペプチド;及び
EPP2(SEQ ID NO:9)の少なくとも5アミノ酸のエピトープを含有する精製ポリペプチド;
但し、上記エピトープは、子宮内膜症と診断される患者からの抗体と特異的に結合する。
【請求項39】
上記3種のポリペプチド全てを含有する請求項37又は38の組成物。
【請求項40】
下記ステップを含有する、ヒト患者の子宮内膜症の診断方法:
(a)患者からのサンプル中の、ME-5ポリペプチド(SEQ ID NO:3)、ME-2ポリペプチド(SEQ ID NO:6)、EEP2ポリペプチド(SEQ ID NO:9)の群から選ばれた少なくとも一種へ特異的に結合する抗体の実験値(量)を検知するステップ;及び
(b)実験値(量)を子宮内膜症に罹患していない被検体からのコントロールサンプル中の抗体の正常範囲と比較するステップ、
但し、正常範囲を超える実験値(量)は子宮内膜症の診断の正の指標を示す。
【請求項41】
上記サンプルは血清を含有する請求項40の方法。
【請求項42】
上記検出ステップは、固定化ペプチドでサンプルから抗体を捕捉し、捕捉された抗体を検知することを含む請求項40の方法であり、上記ペプチドは、ME-2又はME-2のエピトープを含有するペプチド、ME-5又はME-5のエピトープを含有するペプチド、並びにEEP2又はEEP2のエピトープを含有するペプチドの群から選ばれる方法。
【請求項43】
上記結合しているポリペプチドは、ME-2、ME-5及びEEP2を含む請求項39の方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ME-5(SEQ ID NO:3)の少なくとも5アミノ酸のポリペプチドエピトープをエンコードするSEQ ID NO:2から単離されたヌクレオチド配列を含有する組み換え型ポリヌクレオチドであり、上記エピトープは子宮内膜症(endometriosis)と診断される患者からの抗体と特異的に結合するポリヌクレオチド。
【請求項2】
上記ヌクレオチド配列はSEQ ID NO:1のME-5配列から選ばれる請求項1のポリヌクレオチド。
【請求項3】
上記ヌクレオチド配列は天然ME-5ヌクレオチド配列である請求項1のポリヌクレオチド。
【請求項4】
上記ヌクレオチド配列はSEQ ID NO:2のヌクレオチド1〜912と実質的に同一である請求項1のポリヌクレオチド。
【請求項5】
そのアミノ酸配列が、SEQ ID NO:3又はSEQ ID NO:3の対立遺伝子変異体の配列と実質的に同一である精製組み換え型ME-5ポリペプチド。
【請求項6】
ME-5(SEQ ID NO:3)の少なくとも5アミノ酸のエピトープを含有する精製ポリペプチドであり、上記エピトープは子宮内膜症と診断される患者からの抗体と特異的に結合するポリペプチド。
【請求項7】
ME-5ポリペプチド(SEQ ID NO:3)のエピトープへ特異的に結合する抗体から本質的に構成される組成物。
【請求項8】
上記抗体はモノクローナル抗体である請求項7の組成物。
【請求項9】
下記ステップを含有する、サンプル中のME-5ポリペプチド(SEQ ID NO:3)検出方法:
(a)サンプルをME-5ポリペプチドのエピトープへ特異的に結合する抗体と接触させるステップ、及び
(b)その抗体及びME-5ポリペプチド間の特異的な結合を検出するステップ;
但し、特異的な結合はサンプル中のME-5ポリペプチドの検出を可能とする。
【請求項10】
下記ステップを含有する、ヒト患者の子宮内膜症の診断方法:
(a)患者からのサンプル中の、ME-5(SEQ ID NO:3)ポリペプチドへ特異的に結合する抗体の実験値(量)を検知するステップ;及び
(b)実験値(量)を子宮内膜症に罹患していない被検体からのコントロールサンプル中の抗体の正常範囲と比較するステップ、
但し、正常範囲を超える実験値(量)は子宮内膜症の診断の正の指標を示す。
【請求項11】
上記サンプルは血清を含有する請求項10の方法。
【請求項12】
上記検出ステップは、固定化ME-5又はME-5のエピトープを含有するペプチドでサンプルから抗体を捕捉し、捕捉された抗体を検知することを含む請求項10の方法。
【請求項13】
ME-2(SEQ ID NO:6)の少なくとも5アミノ酸のポリペプチドエピトープをエンコードするSEQ ID NO:5から単離されたヌクレオチド配列を含有する組み換え型ポリヌクレオチドであり、上記エピトープは子宮内膜症と診断される患者からの抗体と特異的に結合するポリヌクレオチド。
【請求項14】
上記ヌクレオチド配列はSEQ ID NO:4のME-2配列から選択される請求項13のポリヌクレオチド。
【請求項15】
上記ヌクレオチド配列は天然ME-2ヌクレオチド配列である請求項13のポリヌクレオチド。
【請求項16】
上記ヌクレオチド配列はSEQ ID NO:5のヌクレオチド1〜1182と実質的に同一である請求項13のポリヌクレオチド。
【請求項17】
そのアミノ酸配列が、SEQ ID NO:6又はSEQ ID NO:6の対立遺伝子変異体の配列と実質的に同一である、精製組み換え型ME-2ポリペプチド。
【請求項18】
ME-2(SEQ ID NO:6)の少なくとも5アミノ酸のエピトープを含有する精製ポリペプチドであり、上記エピトープは子宮内膜症と診断される患者からの抗体と特異的に結合するポリペプチド。
【請求項19】
ME-2ポリペプチド(SEQ ID NO:6)へ特異的に結合する抗体から本質的に構成される組成物。
【請求項20】
上記抗体はモノクローナル抗体である請求項19の組成物。
【請求項21】
下記ステップを含有する、サンプル中のME-2ポリペプチド(SEQ ID NO:6)検出方法:
(a)サンプルをME-2ポリペプチドへ特異的に結合する抗体と接触させるステップ、及び
(b)その抗体及びME-2ポリペプチド間の特異的な結合を検出するステップ;
但し、特異的な結合はサンプル中のME-2ポリペプチドの検出を可能とする。
【請求項22】
下記ステップを含有する、ヒト患者の子宮内膜症の診断方法:
(a)患者からのサンプル中の、ME-2ポリペプチド(SEQ ID NO:6)へ特異的に結合する抗体の実験値(量)を検知するステップ;及び
(b)実験値(量)を子宮内膜症に罹患していない被検体からのコントロールサンプル中の抗体の正常範囲と比較するステップ、
但し、正常範囲を超える実験値(量)は子宮内膜症の診断の正の指標を示す。
【請求項23】
上記サンプルは血清を含有する請求項22の方法。
【請求項24】
上記検出ステップは、固定化ME-2又はME-2のエピトープを含有するペプチドでサンプルから抗体を捕捉し、捕捉された抗体を検知することを含む請求項22の方法。
【請求項25】
EPP2(SEQ ID NO:9)の少なくとも5アミノ酸のポリペプチドエピトープをエンコードするSEQ ID NO:8から単離されたヌクレオチド配列を含有する組み換え型ポリヌクレオチドであり、上記エピトープは子宮内膜症と診断される患者からの抗体と特異的に結合するポリヌクレオチド。
【請求項26】
上記ヌクレオチド配列はSEQ ID NO:7のEPP2配列から選ばれる請求項25のポリヌクレオチド。
【請求項27】
上記ヌクレオチド配列は天然EPP2ヌクレオチド配列である請求項25のポリヌクレオチド。
【請求項28】
上記ヌクレオチド配列はSEQ ID NO:8のヌクレオチド1〜300と実質的に同一である請求項25のポリヌクレオチド。
【請求項29】
そのアミノ酸配列が、SEQ ID NO:9又はSEQ ID NO:9の対立遺伝子変異体の配列と実質的に同一である精製組み換え型EPP2ポリペプチド。
【請求項30】
EPP2(SEQ ID NO:9)の少なくとも5アミノ酸のエピトープを含有する精製ポリペプチドであり、上記エピトープは子宮内膜症と診断される患者からの抗体と特異的に結合するポリペプチド。
【請求項31】
EPP2ポリペプチド(SEQ ID NO:9)へ特異的に結合する抗体から本質的に構成される組成物。
【請求項32】
上記抗体はモノクローナル抗体である請求項31の組成物。
【請求項33】
下記ステップを含有する、ヒトサンプル中のEPP2ポリペプチド(SEQ ID NO:9)検出方法:
(a)サンプルをEPP2ポリペプチドへ特異的に結合する抗体と接触させるステップ、及び
(b)その抗体及びEPP2ポリペプチド間の特異的な結合を検出するステップ;
但し、特異的な結合はサンプル中のEPP2ポリペプチドの検出を可能とする。
【請求項34】
下記ステップを含有する、患者の子宮内膜症の診断方法:
(a)患者からのサンプル中のポリペプチドEPP2(SEQ ID NO:9)へ特異的に結合する抗体の実験値(量)を検知するステップ;及び
(b)実験値(量)を子宮内膜症に罹患していない被検体からのコントロールサンプル中の抗体の正常範囲と比較するステップ、
但し、正常範囲を超える実験値(量)は子宮内膜症の診断の正の指標を示す。
【請求項35】
上記サンプルは血清を含有する請求項34の方法。
【請求項36】
上記検出ステップは、固定化EPP2又はEPP2のエピトープを含有するペプチドでサンプルから抗体を捕捉し、捕捉された抗体を検知することを含む請求項34の方法。
【請求項37】
下記群から選ばれた少なくとも一種を含有する組成物;
そのアミノ酸配列が、SEQ ID NO:3又はSEQ ID NO:3の対立遺伝子変異体の配列と実質的に同一である精製組み換え型ME-5ポリペプチド、;
そのアミノ酸配列が、SEQ ID NO:6又はSEQ ID NO:6の対立遺伝子変異体の配列と実質的に同一である精製組み換え型ME-2ポリペプチド;及び
そのアミノ酸配列が、SEQ ID NO:9又はSEQ ID NO:9の対立遺伝子変異体の配列と実質的に同一である精製組み換え型EPP2ポリペプチド。
【請求項38】
下記群から選ばれた少なくとも一種を含有する組成物;
ME-5(SEQ ID NO:3)の少なくとも5アミノ酸のエピトープを含有する精製ポリペプチド;
ME-2(SEQ ID NO:6)の少なくとも5アミノ酸のエピトープを含有する精製ポリペプチド;及び
EPP2(SEQ ID NO:9)の少なくとも5アミノ酸のエピトープを含有する精製ポリペプチド;
但し、上記エピトープは、子宮内膜症と診断される患者からの抗体と特異的に結合する。
【請求項39】
上記3種のポリペプチド全てを含有する請求項37又は38の組成物。
【請求項40】
下記ステップを含有する、ヒト患者の子宮内膜症の診断方法:
(a)患者からのサンプル中の、ME-5ポリペプチド(SEQ ID NO:3)、ME-2ポリペプチド(SEQ ID NO:6)、EPP2ポリペプチド(SEQ ID NO:9)の群から選ばれた少なくとも一種へ特異的に結合する抗体の実験値(量)を検知するステップ;及び
(b)実験値(量)を子宮内膜症に罹患していない被検体からのコントロールサンプル中の抗体の正常範囲と比較するステップ、
但し、正常範囲を超える実験値(量)は子宮内膜症の診断の正の指標を示す。
【請求項41】
上記サンプルは血清を含有する請求項40の方法。
【請求項42】
上記検出ステップは、固定化ペプチドでサンプルから抗体を捕捉し、捕捉された抗体を検知することを含む請求項40の方法であり、上記ペプチドは、ME-2又はME-2のエピトープを含有するペプチド、ME-5又はME-5のエピトープを含有するペプチド、並びにEPP2又はEPP2のエピトープを含有するペプチドの群から選ばれる方法。
【請求項43】
結合しているポリペプチドは、ME-2、ME-5及びEPP2を含む請求項39の方法。
【請求項1】
ME-5(SEQ ID NO:3)の少なくとも5アミノ酸のポリペプチドエピトープをエンコードするSEQ ID NO:2から単離されたヌクレオチド配列を含有する組み換え型ポリヌクレオチドであり、上記エピトープは子宮内膜症(endometriosis)と診断される患者からの抗体と特異的に結合するポリヌクレオチド。
【請求項2】
上記ヌクレオチド配列はSEQ ID NO:1のME-5配列から選ばれる請求項1のポリヌクレオチド。
【請求項3】
上記ヌクレオチド配列は天然ME-5ヌクレオチド配列である請求項1のポリヌクレオチド。
【請求項4】
上記ヌクレオチド配列はSEQ ID NO:2のヌクレオチド1〜912と実質的に同一である請求項1のポリヌクレオチド。
【請求項5】
そのアミノ酸配列が、SEQ ID NO:3又はSEQ ID NO:3の対立遺伝子変異体の配列と実質的に同一である精製組み換え型ME-5ポリペプチド。
【請求項6】
ME-5(SEQ ID NO:3)の少なくとも5アミノ酸のエピトープを含有する精製ポリペプチドであり、上記エピトープは子宮内膜症と診断される患者からの抗体と特異的に結合するポリペプチド。
【請求項7】
ME-5ポリペプチド(SEQ ID NO:3)のエピトープへ特異的に結合する抗体から本質的に構成される組成物。
【請求項8】
上記抗体はモノクローナル抗体である請求項7の組成物。
【請求項9】
下記ステップを含有する、サンプル中のME-5ポリペプチド(SEQ ID NO:3)検出方法:
(a)サンプルをME-5ポリペプチドのエピトープへ特異的に結合する抗体と接触させるステップ、及び
(b)その抗体及びME-5ポリペプチド間の特異的な結合を検出するステップ;
但し、特異的な結合はサンプル中のME-5ポリペプチドの検出を可能とする。
【請求項10】
下記ステップを含有する、ヒト患者の子宮内膜症の診断方法:
(a)患者からのサンプル中の、ME-5(SEQ ID NO:3)ポリペプチドへ特異的に結合する抗体の実験値(量)を検知するステップ;及び
(b)実験値(量)を子宮内膜症に罹患していない被検体からのコントロールサンプル中の抗体の正常範囲と比較するステップ、
但し、正常範囲を超える実験値(量)は子宮内膜症の診断の正の指標を示す。
【請求項11】
上記サンプルは血清を含有する請求項10の方法。
【請求項12】
上記検出ステップは、固定化ME-5又はME-5のエピトープを含有するペプチドでサンプルから抗体を捕捉し、捕捉された抗体を検知することを含む請求項10の方法。
【請求項13】
ME-2(SEQ ID NO:6)の少なくとも5アミノ酸のポリペプチドエピトープをエンコードするSEQ ID NO:5から単離されたヌクレオチド配列を含有する組み換え型ポリヌクレオチドであり、上記エピトープは子宮内膜症と診断される患者からの抗体と特異的に結合するポリヌクレオチド。
【請求項14】
上記ヌクレオチド配列はSEQ ID NO:4のME-2配列から選択される請求項13のポリヌクレオチド。
【請求項15】
上記ヌクレオチド配列は天然ME-2ヌクレオチド配列である請求項13のポリヌクレオチド。
【請求項16】
上記ヌクレオチド配列はSEQ ID NO:5のヌクレオチド1〜1182と実質的に同一である請求項13のポリヌクレオチド。
【請求項17】
そのアミノ酸配列が、SEQ ID NO:6又はSEQ ID NO:6の対立遺伝子変異体の配列と実質的に同一である、精製組み換え型ME-2ポリペプチド。
【請求項18】
ME-2(SEQ ID NO:6)の少なくとも5アミノ酸のエピトープを含有する精製ポリペプチドであり、上記エピトープは子宮内膜症と診断される患者からの抗体と特異的に結合するポリペプチド。
【請求項19】
ME-2ポリペプチド(SEQ ID NO:6)へ特異的に結合する抗体から本質的に構成される組成物。
【請求項20】
上記抗体はモノクローナル抗体である請求項19の組成物。
【請求項21】
下記ステップを含有する、サンプル中のME-2ポリペプチド(SEQ ID NO:6)検出方法:
(a)サンプルをME-2ポリペプチドへ特異的に結合する抗体と接触させるステップ、及び
(b)その抗体及びME-2ポリペプチド間の特異的な結合を検出するステップ;
但し、特異的な結合はサンプル中のME-2ポリペプチドの検出を可能とする。
【請求項22】
下記ステップを含有する、ヒト患者の子宮内膜症の診断方法:
(a)患者からのサンプル中の、ME-2ポリペプチド(SEQ ID NO:6)へ特異的に結合する抗体の実験値(量)を検知するステップ;及び
(b)実験値(量)を子宮内膜症に罹患していない被検体からのコントロールサンプル中の抗体の正常範囲と比較するステップ、
但し、正常範囲を超える実験値(量)は子宮内膜症の診断の正の指標を示す。
【請求項23】
上記サンプルは血清を含有する請求項22の方法。
【請求項24】
上記検出ステップは、固定化ME-2又はME-2のエピトープを含有するペプチドでサンプルから抗体を捕捉し、捕捉された抗体を検知することを含む請求項22の方法。
【請求項25】
EEP2(SEQ ID NO:9)の少なくとも5アミノ酸のポリペプチドエピトープをエンコードするSEQ ID NO:8から単離されたヌクレオチド配列を含有する組み換え型ポリヌクレオチドであり、上記エピトープは子宮内膜症と診断される患者からの抗体と特異的に結合するポリヌクレオチド。
【請求項26】
上記ヌクレオチド配列はSEQ ID NO:7のEEP2配列から選ばれる請求項25のポリヌクレオチド。
【請求項27】
上記ヌクレオチド配列は天然EEP2ヌクレオチド配列である請求項25のポリヌクレオチド。
【請求項28】
上記ヌクレオチド配列はSEQ ID NO:8のヌクレオチド1〜300と実質的に同一である請求項25のポリヌクレオチド。
【請求項29】
そのアミノ酸配列が、SEQ ID NO:9又はSEQ ID NO:9の対立遺伝子変異体の配列と実質的に同一である精製組み換え型EEP2ポリペプチド。
【請求項30】
EPP2(SEQ ID NO:9)の少なくとも5アミノ酸のエピトープを含有する精製ポリペプチドであり、上記エピトープは子宮内膜症と診断される患者からの抗体と特異的に結合するポリペプチド。
【請求項31】
EEP2ポリペプチド(SEQ ID NO:9)へ特異的に結合する抗体から本質的に構成される組成物。
【請求項32】
上記抗体はモノクローナル抗体である請求項31の組成物。
【請求項33】
下記ステップを含有する、ヒトサンプル中のEEP2ポリペプチド(SEQ ID NO:9)検出方法:
(a)サンプルをEEP2ポリペプチドへ特異的に結合する抗体と接触させるステップ、及び
(b)その抗体及びEEP2ポリペプチド間の特異的な結合を検出するステップ;
但し、特異的な結合はサンプル中のEEP2ポリペプチドの検出を可能とする。
【請求項34】
下記ステップを含有する、患者の子宮内膜症の診断方法:
(a)患者からのサンプル中のポリペプチドEEP2(SEQ ID NO:9)へ特異的に結合する抗体の実験値(量)を検知するステップ;及び
(b)実験値(量)を子宮内膜症に罹患していない被検体からのコントロールサンプル中の抗体の正常範囲と比較するステップ、
但し、正常範囲を超える実験値(量)は子宮内膜症の診断の正の指標を示す。
【請求項35】
上記サンプルは血清を含有する請求項34の方法。
【請求項36】
上記検出ステップは、固定化EPP2又はEPP2のエピトープを含有するペプチドでサンプルから抗体を捕捉し、捕捉された抗体を検知することを含む請求項34の方法。
【請求項37】
下記群から選ばれた少なくとも一種を含有する組成物;
そのアミノ酸配列が、SEQ ID NO:3又はSEQ ID NO:3の対立遺伝子変異体の配列と実質的に同一である精製組み換え型ME-5ポリペプチド、;
そのアミノ酸配列が、SEQ ID NO:6又はSEQ ID NO:6の対立遺伝子変異体の配列と実質的に同一である精製組み換え型ME-2ポリペプチド;及び
そのアミノ酸配列が、SEQ ID NO:9又はSEQ ID NO:9の対立遺伝子変異体の配列と実質的に同一である精製組み換え型EEP2ポリペプチド。
【請求項38】
下記群から選ばれた少なくとも一種を含有する組成物;
ME-5(SEQ ID NO:3)の少なくとも5アミノ酸のエピトープを含有する精製ポリペプチド;
ME-2(SEQ ID NO:6)の少なくとも5アミノ酸のエピトープを含有する精製ポリペプチド;及び
EPP2(SEQ ID NO:9)の少なくとも5アミノ酸のエピトープを含有する精製ポリペプチド;
但し、上記エピトープは、子宮内膜症と診断される患者からの抗体と特異的に結合する。
【請求項39】
上記3種のポリペプチド全てを含有する請求項37又は38の組成物。
【請求項40】
下記ステップを含有する、ヒト患者の子宮内膜症の診断方法:
(a)患者からのサンプル中の、ME-5ポリペプチド(SEQ ID NO:3)、ME-2ポリペプチド(SEQ ID NO:6)、EEP2ポリペプチド(SEQ ID NO:9)の群から選ばれた少なくとも一種へ特異的に結合する抗体の実験値(量)を検知するステップ;及び
(b)実験値(量)を子宮内膜症に罹患していない被検体からのコントロールサンプル中の抗体の正常範囲と比較するステップ、
但し、正常範囲を超える実験値(量)は子宮内膜症の診断の正の指標を示す。
【請求項41】
上記サンプルは血清を含有する請求項40の方法。
【請求項42】
上記検出ステップは、固定化ペプチドでサンプルから抗体を捕捉し、捕捉された抗体を検知することを含む請求項40の方法であり、上記ペプチドは、ME-2又はME-2のエピトープを含有するペプチド、ME-5又はME-5のエピトープを含有するペプチド、並びにEEP2又はEEP2のエピトープを含有するペプチドの群から選ばれる方法。
【請求項43】
上記結合しているポリペプチドは、ME-2、ME-5及びEEP2を含む請求項39の方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ME-5(SEQ ID NO:3)の少なくとも5アミノ酸のポリペプチドエピトープをエンコードするSEQ ID NO:2から単離されたヌクレオチド配列を含有する組み換え型ポリヌクレオチドであり、上記エピトープは子宮内膜症(endometriosis)と診断される患者からの抗体と特異的に結合するポリヌクレオチド。
【請求項2】
上記ヌクレオチド配列はSEQ ID NO:1のME-5配列から選ばれる請求項1のポリヌクレオチド。
【請求項3】
上記ヌクレオチド配列は天然ME-5ヌクレオチド配列である請求項1のポリヌクレオチド。
【請求項4】
上記ヌクレオチド配列はSEQ ID NO:2のヌクレオチド1〜912と実質的に同一である請求項1のポリヌクレオチド。
【請求項5】
そのアミノ酸配列が、SEQ ID NO:3又はSEQ ID NO:3の対立遺伝子変異体の配列と実質的に同一である精製組み換え型ME-5ポリペプチド。
【請求項6】
ME-5(SEQ ID NO:3)の少なくとも5アミノ酸のエピトープを含有する精製ポリペプチドであり、上記エピトープは子宮内膜症と診断される患者からの抗体と特異的に結合するポリペプチド。
【請求項7】
ME-5ポリペプチド(SEQ ID NO:3)のエピトープへ特異的に結合する抗体から本質的に構成される組成物。
【請求項8】
上記抗体はモノクローナル抗体である請求項7の組成物。
【請求項9】
下記ステップを含有する、サンプル中のME-5ポリペプチド(SEQ ID NO:3)検出方法:
(a)サンプルをME-5ポリペプチドのエピトープへ特異的に結合する抗体と接触させるステップ、及び
(b)その抗体及びME-5ポリペプチド間の特異的な結合を検出するステップ;
但し、特異的な結合はサンプル中のME-5ポリペプチドの検出を可能とする。
【請求項10】
下記ステップを含有する、ヒト患者の子宮内膜症の診断方法:
(a)患者からのサンプル中の、ME-5(SEQ ID NO:3)ポリペプチドへ特異的に結合する抗体の実験値(量)を検知するステップ;及び
(b)実験値(量)を子宮内膜症に罹患していない被検体からのコントロールサンプル中の抗体の正常範囲と比較するステップ、
但し、正常範囲を超える実験値(量)は子宮内膜症の診断の正の指標を示す。
【請求項11】
上記サンプルは血清を含有する請求項10の方法。
【請求項12】
上記検出ステップは、固定化ME-5又はME-5のエピトープを含有するペプチドでサンプルから抗体を捕捉し、捕捉された抗体を検知することを含む請求項10の方法。
【請求項13】
ME-2(SEQ ID NO:6)の少なくとも5アミノ酸のポリペプチドエピトープをエンコードするSEQ ID NO:5から単離されたヌクレオチド配列を含有する組み換え型ポリヌクレオチドであり、上記エピトープは子宮内膜症と診断される患者からの抗体と特異的に結合するポリヌクレオチド。
【請求項14】
上記ヌクレオチド配列はSEQ ID NO:4のME-2配列から選択される請求項13のポリヌクレオチド。
【請求項15】
上記ヌクレオチド配列は天然ME-2ヌクレオチド配列である請求項13のポリヌクレオチド。
【請求項16】
上記ヌクレオチド配列はSEQ ID NO:5のヌクレオチド1〜1182と実質的に同一である請求項13のポリヌクレオチド。
【請求項17】
そのアミノ酸配列が、SEQ ID NO:6又はSEQ ID NO:6の対立遺伝子変異体の配列と実質的に同一である、精製組み換え型ME-2ポリペプチド。
【請求項18】
ME-2(SEQ ID NO:6)の少なくとも5アミノ酸のエピトープを含有する精製ポリペプチドであり、上記エピトープは子宮内膜症と診断される患者からの抗体と特異的に結合するポリペプチド。
【請求項19】
ME-2ポリペプチド(SEQ ID NO:6)へ特異的に結合する抗体から本質的に構成される組成物。
【請求項20】
上記抗体はモノクローナル抗体である請求項19の組成物。
【請求項21】
下記ステップを含有する、サンプル中のME-2ポリペプチド(SEQ ID NO:6)検出方法:
(a)サンプルをME-2ポリペプチドへ特異的に結合する抗体と接触させるステップ、及び
(b)その抗体及びME-2ポリペプチド間の特異的な結合を検出するステップ;
但し、特異的な結合はサンプル中のME-2ポリペプチドの検出を可能とする。
【請求項22】
下記ステップを含有する、ヒト患者の子宮内膜症の診断方法:
(a)患者からのサンプル中の、ME-2ポリペプチド(SEQ ID NO:6)へ特異的に結合する抗体の実験値(量)を検知するステップ;及び
(b)実験値(量)を子宮内膜症に罹患していない被検体からのコントロールサンプル中の抗体の正常範囲と比較するステップ、
但し、正常範囲を超える実験値(量)は子宮内膜症の診断の正の指標を示す。
【請求項23】
上記サンプルは血清を含有する請求項22の方法。
【請求項24】
上記検出ステップは、固定化ME-2又はME-2のエピトープを含有するペプチドでサンプルから抗体を捕捉し、捕捉された抗体を検知することを含む請求項22の方法。
【請求項25】
EPP2(SEQ ID NO:9)の少なくとも5アミノ酸のポリペプチドエピトープをエンコードするSEQ ID NO:8から単離されたヌクレオチド配列を含有する組み換え型ポリヌクレオチドであり、上記エピトープは子宮内膜症と診断される患者からの抗体と特異的に結合するポリヌクレオチド。
【請求項26】
上記ヌクレオチド配列はSEQ ID NO:7のEPP2配列から選ばれる請求項25のポリヌクレオチド。
【請求項27】
上記ヌクレオチド配列は天然EPP2ヌクレオチド配列である請求項25のポリヌクレオチド。
【請求項28】
上記ヌクレオチド配列はSEQ ID NO:8のヌクレオチド1〜300と実質的に同一である請求項25のポリヌクレオチド。
【請求項29】
そのアミノ酸配列が、SEQ ID NO:9又はSEQ ID NO:9の対立遺伝子変異体の配列と実質的に同一である精製組み換え型EPP2ポリペプチド。
【請求項30】
EPP2(SEQ ID NO:9)の少なくとも5アミノ酸のエピトープを含有する精製ポリペプチドであり、上記エピトープは子宮内膜症と診断される患者からの抗体と特異的に結合するポリペプチド。
【請求項31】
EPP2ポリペプチド(SEQ ID NO:9)へ特異的に結合する抗体から本質的に構成される組成物。
【請求項32】
上記抗体はモノクローナル抗体である請求項31の組成物。
【請求項33】
下記ステップを含有する、ヒトサンプル中のEPP2ポリペプチド(SEQ ID NO:9)検出方法:
(a)サンプルをEPP2ポリペプチドへ特異的に結合する抗体と接触させるステップ、及び
(b)その抗体及びEPP2ポリペプチド間の特異的な結合を検出するステップ;
但し、特異的な結合はサンプル中のEPP2ポリペプチドの検出を可能とする。
【請求項34】
下記ステップを含有する、患者の子宮内膜症の診断方法:
(a)患者からのサンプル中のポリペプチドEPP2(SEQ ID NO:9)へ特異的に結合する抗体の実験値(量)を検知するステップ;及び
(b)実験値(量)を子宮内膜症に罹患していない被検体からのコントロールサンプル中の抗体の正常範囲と比較するステップ、
但し、正常範囲を超える実験値(量)は子宮内膜症の診断の正の指標を示す。
【請求項35】
上記サンプルは血清を含有する請求項34の方法。
【請求項36】
上記検出ステップは、固定化EPP2又はEPP2のエピトープを含有するペプチドでサンプルから抗体を捕捉し、捕捉された抗体を検知することを含む請求項34の方法。
【請求項37】
下記群から選ばれた少なくとも一種を含有する組成物;
そのアミノ酸配列が、SEQ ID NO:3又はSEQ ID NO:3の対立遺伝子変異体の配列と実質的に同一である精製組み換え型ME-5ポリペプチド、;
そのアミノ酸配列が、SEQ ID NO:6又はSEQ ID NO:6の対立遺伝子変異体の配列と実質的に同一である精製組み換え型ME-2ポリペプチド;及び
そのアミノ酸配列が、SEQ ID NO:9又はSEQ ID NO:9の対立遺伝子変異体の配列と実質的に同一である精製組み換え型EPP2ポリペプチド。
【請求項38】
下記群から選ばれた少なくとも一種を含有する組成物;
ME-5(SEQ ID NO:3)の少なくとも5アミノ酸のエピトープを含有する精製ポリペプチド;
ME-2(SEQ ID NO:6)の少なくとも5アミノ酸のエピトープを含有する精製ポリペプチド;及び
EPP2(SEQ ID NO:9)の少なくとも5アミノ酸のエピトープを含有する精製ポリペプチド;
但し、上記エピトープは、子宮内膜症と診断される患者からの抗体と特異的に結合する。
【請求項39】
上記3種のポリペプチド全てを含有する請求項37又は38の組成物。
【請求項40】
下記ステップを含有する、ヒト患者の子宮内膜症の診断方法:
(a)患者からのサンプル中の、ME-5ポリペプチド(SEQ ID NO:3)、ME-2ポリペプチド(SEQ ID NO:6)、EPP2ポリペプチド(SEQ ID NO:9)の群から選ばれた少なくとも一種へ特異的に結合する抗体の実験値(量)を検知するステップ;及び
(b)実験値(量)を子宮内膜症に罹患していない被検体からのコントロールサンプル中の抗体の正常範囲と比較するステップ、
但し、正常範囲を超える実験値(量)は子宮内膜症の診断の正の指標を示す。
【請求項41】
上記サンプルは血清を含有する請求項40の方法。
【請求項42】
上記検出ステップは、固定化ペプチドでサンプルから抗体を捕捉し、捕捉された抗体を検知することを含む請求項40の方法であり、上記ペプチドは、ME-2又はME-2のエピトープを含有するペプチド、ME-5又はME-5のエピトープを含有するペプチド、並びにEPP2又はEPP2のエピトープを含有するペプチドの群から選ばれる方法。
【請求項43】
結合しているポリペプチドは、ME-2、ME-5及びEPP2を含む請求項39の方法。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15A】
【図15B】
【図16A】
【図16B】
【図17A】
【図17B】
【図1B】
【図1C】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15A】
【図15B】
【図16A】
【図16B】
【図17A】
【図17B】
【公開番号】特開2006−51019(P2006−51019A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−197432(P2005−197432)
【出願日】平成17年7月6日(2005.7.6)
【出願人】(598008477)ダイアグノスティック・プロダクツ・コーポレイション (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−197432(P2005−197432)
【出願日】平成17年7月6日(2005.7.6)
【出願人】(598008477)ダイアグノスティック・プロダクツ・コーポレイション (1)
【Fターム(参考)】
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