説明

MQおよびT−プロピルシロキサン樹脂組成物

プロピルシルセスキオキサン樹脂とMQシロキサン樹脂を混合して得られるシロキサン樹脂組成物が開示されている。これらのシロキサン樹脂は様々なパーソナル用、家庭用、自動車用および医療ケア用での利用、特に、顔料含有化粧料配合物における樹脂添加物として有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロピルシルセスキオキサン樹脂とMQシロキサン樹脂を混合して得られるシロキサン樹脂組成物を提供する。本発明のシロキサン樹脂組成物は、様々なパーソナル、家庭用、自動車用および医療ケアでの利用、特に、顔料含有化粧料配合物における樹脂添加物として有用である。
【0002】
関連出願の相互参照。
該当無し。
【背景技術】
【0003】
一般式RSiO(4−n)/2のシロキサン樹脂(式中、Rがアルキル基で、nが一般的に1.8未満の)は、粘着性組成物及びコーティング塗布のような多くの商用上の適用用途において、その有用性のためシリコーンポリマーの重要なファミリーの一つである。シロキサン樹脂の具体的なサブクラスの1つであってMQ樹脂として知られるもの(主に、一般式RSiO1/2の「M」単位と一般式SiOの「Q」単位から構成されるため)は、化粧料配合物における有用性がわかっている。特にMQ樹脂は「長時間使用性(extended wear)」又は「耐移行性(transfer resistant)」化粧料配合物に一般的に用いられている。これらの配合物において、MQ樹脂は、塗布後における顔料の持続性(substantivity)又は他の配合物の皮膚に対する活性(actives)を強化し、より長時間の持続性をもたらし、したがって、長時間使用性の製品をもたらす。
【0004】
MQ樹脂を用いた耐移行性化粧品組成物の典型例は、米国特許第6,071,503号明細書、米国特許第6,074,654号明細書、米国特許第6,139,823号明細書、米国特許第6,340,466号明細書、国際公開第97/17058号パンフレット、および国際公開第97/17059号パンフレットに見出され、そこには、オルガノシロキサン樹脂および揮発性キャリアを伴う液体ジオルガノシロキサン樹脂の組み合わせを含む組成物が開示されている。
【0005】
米国特許第5,330,747号明細書では、トリメチルシリル末端ブロック化樹脂コポリマー、シラノール末端ブロック化液状ポリジオルガノシロキサン、およびフェニル含有液状ポリシロキサンを含む、感圧接着剤組成物に由来する被膜形成剤を用いた、耐久性が強化された化粧料が教示されている。
【0006】
米国特許第5,075,103号明細書および米国特許第5,733,537号明細書では、カール保持力を毛髪に付与するための毛髪処理方法が教示されており、この場合、少なくとも1種類の被膜形成成分が毛髪に適用される。改善点は、被膜形成成分として有機ケイ素化合物である無極性シルセスキオキサン(silsequioxane)が利用されていることである。
【0007】
米国特許第5,800,816号明細書では、a)約0.1〜60重量%のトリメチル化シリカ、b)約0.1〜60重量%の、25℃で0.5〜100センチポアズの粘度を有する、揮発性溶媒、c)0.1〜60重量%の、25℃で200〜1,000,000センチポアズの粘度を有する、不揮発性油、d)0.1〜80%の化粧用として許容され得る担体を含むキャリア:を含む改良された耐移行性を有する化粧品組成物を開示している。
【0008】
米国特許第5,837,223号明細書および米国特許第6,036,947号明細書では、組成物の総重量に対し、a)10〜70%の、25℃で0.5〜20センチポアズの粘度を有する揮発性溶媒、b)0.5〜40%のゲルベ(guerbet)エステル、およびc)0.1〜20%のシロキシシリケートポリマー:
を含む耐移行性の、高い光沢の化粧品スティック状組成物を教示している。
【0009】
英国特許第2,319,527号明細書では、香料放出性の不揮発性ポリシロキサンが開示されており、これは、高分子量ポリジオルガノシロキサン化合物を主成分とし、該ポリマーの有機系置換基の少なくとも1個又はそれ以上が、芳香性アルコールに由来する残基である。
【0010】
特公平6−72085号公報には号明細書では、有機シリコーン樹脂、揮発性シリコーンオイル、およびメイクアップパウダーを含有する、改良された耐水性、耐久性を有するメイクアップ化粧品組成物を教示している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
化粧料におけるMQ樹脂の使用は、長時間使用性又は耐移行性を有する配合物をもたらしているが、かかる配合物に使用されるシロキサン樹脂の特性を改変する必要性が存在する。特に、これらの配合物に使用されるMQ樹脂の被膜は、マットな仕上がり感及び脆弱である。したがって、化粧料配合物において現在使用されているMQ樹脂の長時間使用性及び耐移行性に少なくとも匹敵する特性を提供し、ベタつきのない改善された光沢を有し(すなわち、マットでない)、よりフレキシブルな、改善されたシロキサン樹脂の必要性が存在する。さらにまた、ヘアケア用配合物において処理後の毛髪のカール保持性を改善する樹脂の必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者は、MQ樹脂とプロピルシルセスキオキサン樹脂の相溶性ブレンドを形成することによって改良されたシロキサン樹脂組成物を発見した。得られるシロキサン樹脂組成物は改良された物性を有する。特に、本シロキサン樹脂組成物を含有する化粧品配合物は、長時間崩れないまたは耐久特性を維持する一方で、MQ樹脂単体よりも改良された光沢を有し、そしてより柔軟性がある。
【0013】
本発明は、
A)(RSiO1/2および(SiO4/2単位から選択される、少なくとも80モル%のシロキシ単位を含むMQ樹脂(Rは、独立して、アリール基、カルビノール基、1〜8の炭素原子を有するアルキル基、またはアミノ基であり、R基の少なくとも95モル%がアルキル基であるものとし、aおよびbは0より大きい値を有し、そしてa/bの比は0.5〜1.5である。);
B)少なくとも80モル%のRSiO3/2単位を含むプロピルシルセスキオキサン樹脂(Rは、独立して、アリール基、カルビノール基、1〜8の炭素原子を有するアルキル基、またはアミノ基であり、少なくともRの40モル%がプロピルであるものとする。);
および、任意に
C)揮発性シロキサン又は有機溶媒;
:を混合することによって得られるシロキサン樹脂組成物(成分Bに対する成分Aの重量比が1:99〜99:1である。)を供する。
成分
【0014】
前記シロキサン樹脂は様々なパーソナル用、家庭用、または医療用ケア組成物に有用である。特に、該シロキサン樹脂組成物は着色料添加(color)化粧料配合物の持続性を強化するために使用され得る光沢のあるベタつきのない被膜を提供する。該シロキサン樹脂組成物はカール保持性を強化するためのヘアケア用配合物における添加剤として使用され得る。該シロキサン樹脂組成物は、他のシロキサン樹脂と比べて柔らかい感触を供する、処理された毛髪の感触をさらによくすることも可能である。それ故、本発明は、本明細書に記載のシロキサン樹脂組成物を含む、個人用、家庭用、自動車用または医療ケア用組成物を供する。
【0015】
<発明の詳細な説明>
成分A)は(RSiO1/2および(SiO4/2単位から選択される少なくとも80モル%のシロキシ単位を含むMQ樹脂であり、Rが、アリール基、カルビノール基、1〜8個の炭素原子を有するアルキル基、またはアミノ基であり、少なくとも95%のR基がアルキル基であるものとし、aおよびbが0より大きい値を有し、そしてa/bの比率が0.5〜1.5である。
【0016】
前記MQ樹脂のR単位は、独立して、アリール基、カルビノール基、1〜8個の炭素原子を有するアルキル基、またはアミノ基である。該アルキル基は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、およびオクチルで例示される。該アリール基は、フェニル、ナフチル、ベンジル、トレイル、キシリル、キセニル、メチルフェニル、2−フェニルエチル、2−フェニル−2−メチルエチル、クロロフェニル、ブロモフェニル及びフルオロフェニルで例示され、アリール基は典型的にフェニルである。
【0017】
本発明の目的では、「カルビノール基」が少なくとも1個の炭素結合ヒドロキシル(COH)基を含有している任意の基として定義される。それ故、該カルビノール基は、例えば、
【0018】
【化1】

【0019】
のような1個以上のCOHを含有してもよい。
【0020】
カルビノール基は、アリール器を含まない場合は少なくとも3個の炭素原子を有し、またはアリール基含有カルビノールは少なくとも6個の炭素原子を有する。アリール基を含まない、少なくとも3個の炭素原子を有するカルビノール基は、式ROHを有する基によって例示され、式中Rは少なくとも3個の炭素原子を有する二価の炭化水素基または少なくとも3個の炭素原子を有する二価のヒドロカルボノキシ基である。該R基は−(CH−(式中xは3〜10の値を有する)、−CHCH(CH)−、−CHCH(CH)CH−、−CHCHCH(CHCH)CHCHCH−、および−OCH(CH)(CH−(式中、xは1〜10の値を有する)のようなアルキレン基によって例示される。
【0021】
少なくとも6個の炭素原子を有するアリール含有カルビノール基は、式ROHを有する基によって例示され、式中Rは−(CH−(xは0〜10の値を有する)、−CHCH(CH)(CH−(xは0〜10の値を有する)、−(CH(CH−(xは1〜10の値を有する)のようなアリーレン基である。該アリール含有カルビノール基は典型的に6〜14個の原子を有する。
【0022】
アミノ基は式−RNHまたは−RNHRNHを有する基によって例示され、式中Rは少なくとも2個の炭素原子を有する二価の炭化水素基であり、そしてRは少なくとも2個の炭素原子を有する二価の炭化水素基である。該R基は典型的に2〜20個の炭素原子を有するアルキレン基である。Rはエチレン、プロピレン、−CHCHCH−、ブチレン、−CHCH(CH)CH−、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、3−エチル−ヘキサメチレン、オクタメチレン、およびデカメチレンによって例示される。
【0023】
は典型的に2〜20個の炭素原子を有するアルキレン基である。Rはエチレン、プロピレン、−CHCHCH−、ブチレン、−CHCH(CH)CH−、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、3−エチル−ヘキサメチレン、オクタメチレン、およびデカメチレンによって例示される。
【0024】
典型的なアミノ基は−CHCHCHNH、および−CH(CH)CHCH(H)NCH、−CHCHNHCHCHNH、−CHCHNH、−CHCHNHCH、−CHCHCHCHNH、−(CHCHNH)H、および−CHCHNHCHCHNHCである。
【0025】
典型的に、Rはメチル基である。
【0026】
成分(A)としての使用に適したMQ樹脂およびそれらの調製方法は当技術分野で周知である。例えば、カリー(Currie)らの1957年11月26日の米国特許第2,814,601号明細書(参照されて本明細書の一部とする)では、MQ樹脂が、酸を使うことで水溶性シリケートをケイ酸モノマーまたはケイ酸オリゴマーに変換することによって調製され得ることを開示している。適切な重合がなされた時、該樹脂をトリメチルクロロシランで末端キャップし、MQ樹脂を得る。MQ樹脂を調製する他の方法は、グッドウィンの1958年10月21日の米国特許第2,857,356号明細書(参照されて本明細書の一部とする)に開示されている。グッドウィンはアルキルシリケートおよび加水分解可能なトリアルキルシランオルガノポリシロキサンの混合物と水との共−加水分解によるMQ樹脂の調製方法を開示している。
【0027】
本発明の成分A)に好適なMQ樹脂は、DおよびT単位を含有してもよく、総シロキサン単位の少なくとも80モル%、あるいは90モル%がMおよびQ単位である。該MQ樹脂はヒドロキシ基も含有してもよい。典型的に、該MQ樹脂は総重量%の2〜10重量%、あるいは2〜5重量%のヒドロキシ含有量を有する。該MQ樹脂はさらに「キャップされ」得、残余ヒドロキシ基はM基とさらに反応する。
【0028】
成分(B)は少なくとも80モル%のRSiO3/2単位を含むプロピルシルセスキオキサン樹脂であり、式中Rは、独立して、アリール基、カルビノール基、1〜8個の炭素原子を有するアルキル基、またはアミノ基であり、そして少なくとも40モル%のR基がプロピル基であるものとする。該プロピルシルセスキオキサン樹脂は、シロキサン単位の多くが一般式RSiO3/2のT単位であり、少なくとも40モル%、あるいは50モル%あるいは90モル%のR基がプロピルであるので、ここではT−プロピル樹脂と称する。該R基は上記に記載されたR基と同じの構造によって例示される。
【0029】
シルセスキオキサン樹脂は、当技術分野で周知であり、典型的にハロゲン又はアルコキシ基のようにケイ素原子上で3個の加水分解可能な基を有するオルガノシランを加水分解することによって調製される。それ故、成分(B)はプロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリプロポキシシランを加水分解することにより、または多種のアルコキシシラン類と前述したプロピルアルコキシシランを共−加水分解することによって得られうる。これらのアルコキシシラン類の例は、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、およびフェニルトリメトキシシランが挙げられる。プロピルトリクロロシランは単独で、またはアルコールの存在下で加水分解もされ得る。この場合、共−加水分解は、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、または類似したクロロシラン類と、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、または類似したメチルアルコキシシランとを加えることによって実行され得る。これらの目的に好適なアルコール類については、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブタノール、メトキシエタノール、エトキシメタノール又は類似したアルコール類が挙げられる。同時に使われ得る炭化水素型溶媒の例としては、トルエン、キシレン、又は類似した芳香族炭化水素;ヘキサン、ヘプタン、イソオクタン、または類似した線状または部分的に分岐した飽和炭化水素基;およびクロロヘキサン、または類似した脂肪族炭化水素;が挙げられる。
【0030】
本発明の成分(B)として好適なT−プロピル樹脂は、M、D、およびQ単位を含んでもよく、少なくとも総シロキサン単位の80モル%、あるいは90モル%がT単位であるものとする。該Tプロピル樹脂はヒドロキシおよび/またはアルコキシ基を含有してもよい。典型的に、該Tプロピル樹脂は、総重量%の2〜10重量%のヒドロキシ含有量および総重量%の20重量%までのアルコキシ含有量、あるいは6〜8重量%のヒドロキシ含有量および10重量%までのアルコキシ含有量を有している。
【0031】
成分A)およびB)を混合する時、揮発性シロキサン又は有機溶媒を任意の成分C)として包含することができる。成分任意の揮発性シロキサン又は有機溶媒は、成分A)およびB)が該溶媒と混和性であることを条件に選択され得る。
【0032】
前記揮発性シロキサン溶媒はサイクリックポリシロキサン、線状ポリシロキサン、またはそれらの混合物であり得る。いくつかの代表的な揮発性線状ポリシロキサンは、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、テトラデカメチルヘキサシロキサン、およびヘキサデカメチルヘプタシロキサンである。いくつかの代表的な揮発性サイクリックポリシロキサンは、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、およびドデカメチルシクロヘキサシロキサンである。前記有機溶媒は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールまたはn−プロパノールのようなアルコール;アセトン、メチルエチルケトン、またはメチルイソブチルケトンのようなケトン;ベンゼン、トルエン、又はキシレンのような芳香族炭化水素;ヘプタン、ヘキサン、オクタン、又はイソドデカンのような脂肪族炭化水素;プロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールn−ブチルエーテル、プロピレングリコールn−プロピルエーテル、またはエチレングリコールn−ブチルエーテルのようなグリコールエーテル;ジクロロメタン、1,1,1−トリクロロエタンまたはメチレンクロライドのようなハロゲン化炭化水素、クロロホルム、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ホワイトスピリッツ(揮発油)、ミネラルスピリッツ(軽油)、またはナフサ;またはエステル;であり得る。
【0033】
成分A)およびB)の混合をもたらすために必要な特別な要求または条件はない。それ故、かかる組成物の混合をもたらす本技術分野で既知の任意の方法が使われ得る。成分A)およびB)は、成分C)として上記のような溶媒中に任意に含有され得る。該混合はバッチ、半連続、または連続処理で行われる。
【0034】
混合物内の成分B)に対する成分A)の重量比(すなわちA/B)は、99:1〜1:99、あるいは85:15〜15:85まで変化し得る。
【0035】
本発明のシロキサン樹脂組成物は多種の、パーソナル用、家庭用、自動車用、または医療ケア用での利用に有用である。特に、本発明のシロキサン樹脂組成物は、着色料添加化粧料配合物の持続性を強化するために使用されうる、光沢のあるべたつきのない被膜を提供する。該シロキサン樹脂組成物は、カール保持特性を強化するためにヘアケア用配合物における添加物として使われ得る。それ故、本発明はここに記載されたシロキサン樹脂を含むパーソナル用、家庭用、自動車用、又は医療ケア用の組成物を提供する。
【実施例】
【0036】
以下の実施例は本発明の組成物および方法をさらに説明するために示し、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。特に記載がない限り、実施例における全ての部およびパーセントは重量基準とし、全ての測定値は約23℃で得た。
【0037】
<原料>
MQ樹脂=キシレン中に70.8wt%固形分で溶解した式M0.430.57およびMn=3230を有するMQ樹脂。該MQ樹脂を米国特許第2,676,182号明細書でDaudtによって教示された技術に従って調製した。
Tプロピル樹脂=プロピルシルセスキオキサン樹脂(トルエン中の74.8wt%)。該プロピルシルセスキオキサン樹脂はプロピルトリクロロシランの加水分解から調製した。
フェニルシルセスキオキサン樹脂=フェニルシルセスキオキサン固形フレーク樹脂(100wt%固形分)、フェニルトリクロロシランの加水分解から調製した。
【0038】
<実施例1〜6>
MQ樹脂とTプロピル樹脂の溶液を、混合ホイール上に置くかまたは振ることによってガラス瓶内で混合した。各々の混合物のアリコート(aliquot)を直径2インチのアルミニウム計量皿に注ぎ、110℃で1時間、その後140℃で1時間25分、強制空気オーブンで加熱した。透明度、脆弱性および硬度の定性的な視覚観察結果を作製した(表1)。
【0039】
これらの実施例は、液化されたブレンドの透明度、およびMQ樹脂の充填量が増えると硬度及び脆弱性が増加することに基づいて、MQおよびTプロピル樹脂の予期せぬ混和性を説明している。
【0040】
【表1】

【0041】
図1および2に示されるように、ブレンド組成物に基づく軟化温度における単独の軟化点および規則的な変化が示されたMQ/T(Pr)ブレンドのレオロジー。
【0042】
<比較例7〜19>
MQ/DT(Me)/T(Pr)樹脂ブレンド比較
式D0.15Me20.85Meを有するシロキサン樹脂(トルエン中50.3wt%)を最初に調製した後、Tプロピル樹脂(トルエン中75.5wt%)と混合し、0.75、0.85、0.95(各々キシレン中、59.9、73.3、および70.8wt%)の種々のM:Q比を有するMQ樹脂溶液を混合した。各々の混合物のアリコートは直径2インチのアルミニウム計量皿に注ぎ、一晩中105℃の強制空気オーブンで加熱し、その後1時間30分150℃で加熱した。透明度、脆弱性および硬度の定性的な視覚的観察結果を表2に集約した。
【0043】
これらの例は、DTメチル樹脂とMQ樹脂の非混和性、およびDTメチル樹脂/プロピルシルセスキオキサン加水分解樹脂ブレンドとMQ樹脂の非混和性を説明している。
【0044】
【表2】

【0045】
<実施例20〜25>
パーソナルケア用配合物におけるMQ:Tprブレンド
MQ樹脂、T−プロピル樹脂、およびデカメチルシクロペンタシロキサンは、表3に示した比率で、同質で均一になるまで振り、そして混合ホイールに置いてガラス瓶で混合した。
【0046】
【表3】

【0047】
実施例20〜25のシロキサン樹脂から生じた被膜を、レネタチャート(Leneta chart)を用いて揮発性溶媒中における35%固形物で光沢およびベタつきを評価し、ファンデーション(着色化粧料)で耐久性を評価し、髪の固定性としてカール保持力およびコンディショニングを評価した。。その結果は表4に集約されている。該シロキサン樹脂はデカメチルシクロペンタシロキサンまたはイソドデカンキャリア内で6wt%溶液として一束の髪に塗布される。特別なテスト方法の説明およびこれらの評価内で使われる化粧品形成組成物は表4に従う。
【0048】
【表4】

【0049】
光沢測定:
1) Lenetaチャート(フォーム(Form)N2C)に溶液を、8番Meyerロッドを用いてコーティングする。
2) チャートを1時間乾燥させる。60°光沢度を、携帯型光沢計を用いてチャートの左側1/3の3つの点において測定する。3つの光沢度の値の平均値を計算する。コーティングを、ベタつき、脂っぽさ(greasiness)、指紋跡並びにコーティングがチャートから剥離するかどうか、及びどのように剥離するかについて評価する。
3) 延展(drawdown)が完了してから4時間後、60°光沢度を、携帯型光沢計を用いてチャートの中央部1/3の3つの点において測定する。3つの光沢度の値の平均値を計算する。コーティングを、ベタつき、脂っぽさ、指紋跡並びにコーティングがチャートから剥離するかどうか、及びどのように剥離するかについて評価する。
4) 延展が完了してから24時間後、60°光沢度を、携帯型光沢計を用いてチャートの右側1/3の3つの点において測定する。3つの光沢度の値の平均値を計算する。コーティングを、ベタつき、脂っぽさ、指紋跡並びにコーティングがチャートから剥離するかどうか、及びどのように剥離するかについて評価する。
5) 3つの異なる時点での平均光沢度を用い、総合平均を計算する。
【0050】
カール保持力試験方法
材料
・天然の茶色の新毛髪(virgin brown hair)束又は東洋人毛髪2g、25cmを準備する。
・Comb(登録商標):Ace;参照。
・湿度チャンバ(試験中の温度及び湿度を調節するため)。
【0051】
試験材料(swatch)の前処理(洗浄)の手順:
1) 5束を30秒間、37℃の水道水で湿らせる。
2) この5束を30秒間、泡立てる。5gの30%SLS溶液(Empicol LX28/Albright & Wilson)を用い、この束を下向きに撫でつける(stroke)。確実に毛髪すべてが洗浄されるように同じ動作を繰り返すこと。毛髪を30秒間放置する。
3) この束を1分間、37℃の水道水ですすぐ。
4) 過剰の水を、この束を2本の指の間に3回にさっと通すことにより除去する。
5) この束を一晩、ペーパータオル上で室温にて乾燥させる。
【0052】
試験材料の樹脂での処理及びカールの手順:
ブランクすなわち陰性対照は、溶媒を処理に使用する。
1) 1束を一気に3回37℃の水道水中に浸漬させ、過剰の水を、この束を2本の指の間で撫でつけることにより除去する
2) この束をきれいな支持体上に置き、100マイクロリットルの6%樹脂溶液を束全面に、較正したマイクロピペットを用いて塗布する
3) この束を完全にほぐす
4) この束をスパイラルカーラーロッドで巻き、
5) 試験材料を、一晩、40℃の炉内に放置して乾燥させる。
【0053】
試験−カール保持力測定:
1. 湿度チャンバを試験の2時間前に、70%湿度及び25℃に設定して始動させる。
2. 試験開始10分前、ローラーを少しずつ捩ることにより注意深く毛髪から取り除く。この束の末端部を平らにするためカットする(できるだけ少なくカットする)。
3. 各束が正しくカールされた状態を確保する。
4. この束を湿度チャンバ内に吊るす:この束と接するワックスシーリング(sealing)底面は、チャンバの後方のミリメートル紙面の「0」のライン上でなければならない。
5. 所定の時間間隔で毛髪束の長さを測定する。長さは、ワックスシーリング底面とこの束の底面との距離として測定する。この束の底面は下方に下がり、そのため、視野角(view angle)は常にガラスと垂直になることに注意する。
6. 5時間後、この束を湿度チャンバから取り出し、この束の最大の長さを、完全にカールを延ばすことにより測定する。カール保持力は以下に記載のようにして計算する。
【0054】
【数1】

【0055】
ファンデーション配合物
顔料予備混合物:
50wt% DC 245液
13.16wt% Carde AS 二酸化チタン(カプリリルシラン処理済み)
11.41wt% Carde AS ベンガラ(カプリリルシラン処理済み)
18.26wt% Carde AS 黄色酸化鉄(カプリリルシラン処理済み)
7.17wt% Carde AS 黒酸化鉄(カプリリルシラン処理済み)
【0056】
手順:
1) ワーリングブレンダー内にDC 245液を入れる
2) 二酸化チタンを添加し、パルスボタン(pulse button)を2秒間、計15秒間押すことにより混合する。
3) ベンガラを添加し、二酸化チタンと同様に混合する
4) 他の顔料について継続する
5) すべての材料が分散されたら、30秒間高速で混合して剪断し(shred)、顔料を磨砕する
6) 予備混合物を丸ガラスジャー内に入れ、ペールローラー上に6時間置く。
【0057】
A相
20.50wt% 顔料予備混合物
7.50wt% DC 5225C
8wt% 50%樹脂固形分(溶媒中)
B相
54.80wt% DI水
1.0wt% NaCl
0.20wt% ポリソルベート20
【0058】
油中水型リキッドファンデーションのための手順
1) 顔料分散体をローラー上に1時間置く。
2) 樹脂及び溶媒を計り取り、50%固形分希釈液を作製する。オーブン/ホイール(oven and wheel)を用いて混合する
3) A相の原料成分を合わせ、均一になるまでデュアルブレード式乱流型混合作用を用いて混合する。
4) B相の原料成分を別のビーカー内で合わせ、均一になるまでマグネチックスターラーを用いて混合する。
5) A相の混合速度を1,376rpmに上げ、B相のものを、非常にゆっくりと滴下ろうとによって添加する。この添加は10分間かけて行うのがよい。
混合をさらに10分間継続する。
【0059】
ファンデーション耐久性の方法:Gardner磨耗試験機
1. コラーゲンを8.89cm×7.62cm(3.5インチ×3インチ)片に切断し、1個ずつ各7.62×6.35cm(3インチ×2.5インチ)のポリカーボネートブロック上に置き、湿度チャンバ内に一晩入れる。このチャンバは、一定の98%相対湿度レベルでなければならない。
2. コラーゲン及びブロックをチャンバから取り出す。コラーゲンをブロックにScotchテープで、テープがブロック表面の上部に付かないように注意しながら固定する。
3. およそ1グラムのファンデーションをコラーゲンに、ブロックの上面全体に数珠状に加える。8番Meyerロッドを用い、ロッドを数珠状のファンデーション上に置き、これをブロックの底面に向かって下方に広げることにより、コラーゲンをファンデーションでコーティングする。最終コーティング重量は、およそ0.2グラムとするのがよい。この操作は、適正なコーティング重量を得るまで繰り返してもよい。材料がブロック側面にあれば除去する。
4. コラーゲン上の試料を乾燥させる。乾燥時間は、種々の試料によって異なる。試料全面は、試験前に湿気が全くない状態にしなければならない。コラーゲン上の試料の色を、初期ベースライン色について分光測光計又は比色計を用いて測定する。L、a及びbは、三次元空間内における着色対象物の位置を示す。
5. コラーゲンの入ったブロックを上向きにしてGardner磨耗試験機に載せ、ブロックが試験機内にあることを確認する。Velcroの柔らかい面を損傷ブロックに付着させ、コラーゲン上のファンデーション試料を磨耗させるか、又はファンデーション試料に損傷を与える。損傷ブロックがファンデーション試料全面を前後に擦る。1回の損傷は、1回の前後の動作から成る。コラーゲン上のファンデーション試料に20回損傷を与える。試験機を一定間隔で停止し、色を測定してもよい。
6. ファンデーション試料に20回損傷を与えた後、色をL、a、bとして読み取り、色変化ΔEを計算する(下記等式を参照)。損傷の回数、コーティング重量及び反復回数(repetition)は、被験材料の必要性に合わせて変更してもよい。これは、作業者の判断次第である。
ΔL、Δa及びΔb=磨耗後の値−磨耗前の初期ベースライン時の値
ΔE=(ΔL+Δa*2+Δb*21/2
ΔEが大きいほど、ファンデーションがより多く剥がれ、したがって、ファンデーションの耐久性が低かった。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】図1および2に示されるように、ブレンド組成物に基づく軟化温度における単独の軟化点および規則的な変化が示されたMQ/T(Pr)ブレンドのレオロジー
【図2】図1および2に示されるように、ブレンド組成物に基づく軟化温度における単独の軟化点および規則的な変化が示されたMQ/T(Pr)ブレンドのレオロジー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
A)(RSiO1/2および(SiO4/2単位から選択される、少なくとも80モル%のシロキシ単位を含むMQ樹脂(Rは、独立して、アリール基、カルビノール基、1〜8の炭素原子を有するアルキル基、またはアミノ基であり、R基の少なくとも95モル%がアルキル基であるものとし、aおよびbは0より大きい値を有し、そしてa/bの比は0.5〜1.5である。);
B)少なくとも80モル%のRSiO3/2単位を含むプロピルシルセスキオキサン樹脂(Rは、独立して、アリール基、カルビノール基、1〜8の炭素原子を有するアルキル基、またはアミノ基であり、少なくともRの40モル%がプロピルであるものとする。);および、
、任意に
C)揮発性シロキサン又は有機溶媒;
:を混合することによって得られるシロキサン樹脂組成物(成分Bに対する成分Aの重量比が1:99〜99:1である。)。
【請求項2】
請求項1のシロキサン樹脂を含むパーソナルケア製品。
【請求項3】
前記パーソナルケア製品が化粧品である、請求項2に記載のパーソナルケア製品。
【請求項4】
前記パーソナルケア製品が毛髪ケア製品である、請求項2に記載のパーソナルケア製品。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−520619(P2007−520619A)
【公表日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−552198(P2006−552198)
【出願日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【国際出願番号】PCT/US2005/003106
【国際公開番号】WO2005/075567
【国際公開日】平成17年8月18日(2005.8.18)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VELCRO
【出願人】(596012272)ダウ・コーニング・コーポレイション (347)
【Fターム(参考)】