説明

MRI装置およびその制御方法

【課題】対象組織について確実に呼吸同期撮像を行うMRI装置およびその制御方法を実現する。
【解決手段】息止め撮像したスカウト画像上で設定された撮像位置についての呼吸同期撮像を予め定められた呼吸の深さで行う撮像手段とそれを制御する制御手段とを有し、前記制御手段は、前記撮像手段に、息止め撮像時の呼吸の深さ(X1)を求めさせ、呼吸同期撮像時の呼吸の深さ(X2)と息止め撮像時の呼吸の深さ(X1)の差に応じて撮像位置を修正させる(105)。前記呼吸の深さは、ナビゲータエコーから再構成された1次元プロファイルに基づいて求められる。前記撮像位置は、冠状動脈が存在する位置である。前記呼吸同期撮像は、心電同期を併用して行われる。前記心電同期併用の呼吸同期撮像は、3Dスキャンによって行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置およびその制御方法に関し、特に、息止め撮像したスカウト(scout)画像上で設定された撮像位置について、呼吸同期撮像を予め定められた呼吸の深さで行うMRI装置およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
MRI装置で心臓、肺野、腹部等を撮像する場合は、体動の影響を排除するために呼吸同期撮像を行う。すなわち、被検体の呼吸を監視しながら磁気共鳴信号を収集し、所定の呼吸位相で得られた磁気共鳴信号を用いて画像を再構成する。呼吸位相の検出には、ナビゲータエコー(navigator echo)から再構成された1次元プロファイル(profile)が利用される(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−202043号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
撮像位置は、事前にスカウト画像上で設定される。スカウト画像の撮像は息止め状態で行われるが、息止め時の呼吸の深さは、呼吸同期撮像時の呼吸の深さと一致するとは限らない。このため、呼吸同期撮像時には、対象組織がスカウト画像上で設定した撮像位置からずれて、正しく撮像できなくなることがある。
【0004】
そこで、本発明の課題は、対象組織について確実に呼吸同期撮像を行うMRI装置およびその制御方法を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するためのひとつの観点での発明は、息止め撮像したスカウト画像上で設定された撮像位置についての呼吸同期撮像を予め定められた呼吸の深さで行う撮像手段とそれを制御する制御手段とを有するMRI装置であって、前記制御手段は、前記撮像手段に、息止め撮像時の呼吸の深さを求めさせ、呼吸同期撮像時の呼吸の深さと息止め撮像時の呼吸の深さの差に応じて撮像位置を修正させることを特徴とするMRI装置である。
【0006】
上記の課題を解決するための他の観点での発明は、息止め撮像したスカウト画像上で設定された撮像位置についての呼吸同期撮像を予め定められた呼吸の深さで行うMRI装置を制御する方法であって、MRI装置に、息止め撮像時の呼吸の深さを求めさせ、呼吸同期撮像時の呼吸の深さと息止め撮像時の呼吸の深さの差に応じて撮像位置を修正させることを特徴とするMRI装置の制御方法である。
【0007】
前記呼吸の深さは、ナビゲータエコーから再構成された1次元プロファイルに基づいて求められることが、呼吸の深さを適切に求める点で好ましい。
前記撮像位置は、冠状動脈が存在する位置であることが、冠状動脈診断用の画像を得る点で好ましい。
【0008】
前記呼吸同期撮像は、心電同期を併用して行われることが、画像品質を良くする点で好ましい。
前記心電同期併用の呼吸同期撮像は、3Dスキャンによって行われることが、3D画像を得る点で好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、MRI装置は、息止め撮像したスカウト画像上で設定された撮像位置についての呼吸同期撮像を予め定められた呼吸の深さで行う撮像手段とそれを制御する制御手段とを有し、前記制御手段は、前記撮像手段に、息止め撮像時の呼吸の深さを求めさせ、呼吸同期撮像時の呼吸の深さと息止め撮像時の呼吸の深さの差に応じて撮像位置を修正させるので、対象組織について確実に呼吸同期撮像を行うMRI装置およびその制御方法を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。なお、本発明は、発明を実施するための最良の形態に限定されるものではない。図1にMRI装置のブロック(block)図を示す。本装置は、発明を実施するための最良の形態の一例である。本装置の構成によって、MRI装置に関する発明を実施するための最良の形態の一例が示される。本装置の動作によって、MRI装置の制御方法に関する発明を実施するための最良の形態の一例が示される。
【0011】
同図に示すように、本装置はマグネットシステム(magnet system)100を有する。マグネットシステム100は、主磁場コイル(coil)部102、勾配コイル部106およびRF(radio frequency)コイル部108を有する。これら各コイル部は概ね円筒状の形状を有し、互いに同軸的に配置されている。
【0012】
マグネットシステム100の内部空間(ボア:bore)に、被検体1が、クレードル(cradle)500に横臥状態で搭載されて、図示しない搬送手段により搬入および搬出される。主磁場コイル部102はマグネットシステム100の内部空間に静磁場を形成する。静磁場の方向は概ね被検体1の体軸の方向に平行である。すなわち、いわゆる水平磁場を形成する。主磁場コイル部102は例えば超伝導コイルを用いて構成される。なお、超伝導コイルに限らず常伝導コイル等を用いて構成してもよい。
【0013】
また、マグネットシステムは、水平磁場方式のものに変えて、静磁場の方向が被検体1の体軸に垂直な垂直磁場方式のものを用いるようにしてもよい。垂直磁場方式では、例えば永久磁石が利用される。
【0014】
勾配コイル部106は、互いに垂直な3軸すなわちスライス(slice)軸、位相軸および周波数軸の方向において、それぞれ静磁場強度に勾配を持たせるための3つの勾配磁場を生じる。
【0015】
静磁場空間における互いに垂直な座標軸をx,y,zとしたとき、いずれの軸もスライス軸とすることができる。その場合、残り2軸のうちの一方を位相軸とし、他方を周波数軸とする。また、スライス軸、位相軸および周波数軸は、相互間の垂直性を保ったままx,y,z軸に関して任意の傾きを持たせることも可能である。本装置では被検体1の体幅の方向をx方向とし、体厚の方向をy方向とし、体軸の方向をz方向とする。
【0016】
スライス軸方向の勾配磁場をスライス勾配磁場ともいう。位相軸方向の勾配磁場を位相エンコード(encode)勾配磁場ともいう。周波数軸方向の勾配磁場をリードアウト(read out)勾配磁場ともいう。リードアウト勾配磁場は周波数エンコード勾配磁場と同義である。このような勾配磁場の発生を可能にするために、勾配コイル部106は3系統の勾配コイルを有する。以下、勾配磁場を単に勾配ともいう。
【0017】
RFコイル部108は、静磁場空間に被検体1の体内のスピン(spin)を励起するためのRF磁場を形成する。以下、RF磁場を形成することをRF励起信号の送信ともいう。また、RF励起信号をRFパルス(pulse)ともいう。
【0018】
励起されたスピンが生じる電磁波すなわち磁気共鳴信号は、RFコイル部108によって受信される。RFコイル部108は、送信系と受信系が別々であって良い。磁気共鳴信号は、周波数ドメイン(domain)すなわちフーリエ(Fourier)空間についてのサンプリング(sampling)信号となる。
【0019】
位相軸方向および周波数軸方向の勾配により、磁気共鳴信号のエンコードを2軸で行えば、磁気共鳴信号は2次元フーリエ空間についてのサンプリング信号として得られ、スライス勾配をも利用してエンコードを3軸で行えば3次元フーリエ空間についての信号として得られる。各勾配は、2次元あるいは3次元フーリエ空間における信号のサンプリング位置を決定する。以下、フーリエ空間をkスペース(k-space)ともいう。
【0020】
勾配コイル部106には勾配駆動部130が接続されている。勾配駆動部130は勾配コイル部106に駆動信号を与えて勾配磁場を発生させる。勾配駆動部130は、勾配コイル部106における3系統の勾配コイルに対応して、3系統の駆動回路を有する。
【0021】
RFコイル部108にはRF駆動部140が接続されている。RF駆動部140はRFコイル部108に駆動信号を与えてRFパルスを送信させ、被検体1の体内のスピンを励起する。
【0022】
RFコイル部108には、また、データ(data)収集部150が接続されている。データ収集部150は、RFコイル部108が受信した受信信号をディジタルデータ(digital data)として収集する。
【0023】
勾配駆動部130、RF駆動部140およびデータ収集部150にはシーケンス(sequence)制御部160が接続されている。シーケンス制御部160は、勾配駆動部130ないしデータ収集部150をそれぞれ制御して磁気共鳴信号の収集を遂行する。
【0024】
シーケンス制御部160は、例えばコンピュータ(computer)等を用いて構成される。シーケンス制御部160はメモリ(memory)を有する。メモリはシーケンス制御部160用のプログラム(program)および各種のデータを記憶している。シーケンス制御部160の機能は、コンピュータがメモリに記憶されたプログラムを実行することにより実現される。以下、スピンの励起とそれに引き続く磁気共鳴信号の収集をスキャン(scan)ともいう。
【0025】
データ収集部150の出力側はデータ処理部170に接続されている。データ収集部150が収集したデータはデータ処理部170に入力される。データ処理部170は、例えばコンピュータ等を用いて構成される。データ処理部170はメモリを有する。メモリはデータ処理部170用のプログラムおよび各種のデータを記憶している。
【0026】
データ処理部170はシーケンス制御部160に接続されている。データ処理部170はシーケンス制御部160の上位にあってそれを統括する。データ処理部170の機能は、データ処理部170がメモリに記憶されたプログラムを実行することによりを実現される。
【0027】
データ処理部170は、データ収集部150が収集したデータをメモリに記憶する。メモリ内にはデータ空間が形成される。このデータ空間はkスペースに対応する。データ処理部170は、kスペースのデータを逆フ−リエ変換することにより画像を再構成する。
【0028】
被検体1には心電検出用の電極112が装着され、それによって検出された心電信号が心電計110を通じてデータ処理部170に入力される。データ処理部170は、心電信号に基づいて心電同期の磁気共鳴撮像を行う。
【0029】
データ処理部170には、表示部180および操作部190が接続されている。表示部180はグラフィックディスプレー(graphic display)等で構成される。操作部190はポインティングデバイス(pointing device)を備えたキーボード(keyboard)等で構成される。
【0030】
表示部180は、データ処理部170から出力される再構成画像および各種の情報を表示する。操作部190は、使用者によって操作され、各種の指令や情報等をデータ処理部170に入力する。使用者は、表示部180および操作部190を通じてインタラクティブ(interactive)に本装置を操作することが可能である。
【0031】
図2に、スキャン用のパルスシーケンス(pulse sequence)の一例を示す。このパルスシーケンスはグラディエントエコー(gradient echo)法によるパルスシーケンスである。図2において、(1)はRF励起のシーケンスを示す。(2)−(4)はいずれも勾配磁場のシーケンスを示す。(5)は磁気共鳴信号のシーケンスを示す。勾配磁場のシーケンスのうち、(2)はスライス勾配、(3)は周波数エンコード勾配、(4)は位相エンコード勾配である。なお、静磁場は一定の磁場強度で常時印加されている。以下同様である。
【0032】
先ず、RFパルスによるスピン励起が行われる。RF励起はスライス勾配Sliceの下での選択励起である。RF励起後に、周波数エンコード勾配Readおよび位相エンコード勾配Phaseが所定のシーケンスで印加され、磁気共鳴信号Signalすなわちエコー(echo)が読み出される。このエコーはイメージングエコーとも呼ばれる。
【0033】
このようなパルスシーケンスが、繰り返し時間TRで所定回数繰り返され、そのつど、エコーが読み出される。繰り返しのたびにエコーの位相エンコードが変更され、所定回数の繰り返しによって、2次元kスペース全体についてのエコー信号収集(2Dスキャン)が行われる。なお、スライス方向にも位相エンコードを行うときは、3次元kスペースについてのエコー信号収集(3Dスキャン)が行われる。2次元kスペースのエコーデータを2次元逆フーリエ変換することにより2D画像が再構成される。3次元kスペースのエコーデータを3次元逆フーリエ変換することにより3D画像が再構成される。
【0034】
図3に、ナビゲータエコー用のパルスシーケンスの一例を示す。このパルスシーケンスはスピンエコー(spin echo)法によるパルスシーケンスである。図3において、(1)はRF励起のシーケンスを示す。(2)−(4)はいずれも勾配磁場のシーケンスを示す。(5)は磁気共鳴信号(MR)すなわちナビゲータエコーのシーケンスを示す。勾配磁場のシーケンスのうち、(2)はスライス勾配(Gs)、(3)は周波数エンコード勾配(Gr)、(4)は位相エンコード勾配(Gp)である。
【0035】
このようなパルスシーケンスを用いて、図4に示すように、被検体1のスライスAについて90°励起を行い、スライスBについて180°励起を行い、両スライスが交差する直線部Cから生じるナビゲータエコーを読み出す。スライスAおよびBは、直線部Cが体軸と概ね平行でかつ体軸からずれ、肺野から腹部にかけて延在するように設定される。
【0036】
なお、90°励起をスライスBについて行い、180°励起をスライスAについて行うようにしてもよい。スライスA,Bは、基本的には、イメージングエコーを獲得するスライスとは無関係に、ナビゲータエコーを適切に獲得できる位置に設定される。
【0037】
ナビゲータエコーを1次元逆フーリエ変換することにより、直線C上のスピンの信号強度分布すなわち1次元のプロファイルが再構成される。直線Cが肺野から腹部にかけて設定されているので、例えば、図5に示すようなプロファイルが得られる。このプロファイルは、中間部を境にして信号強度が大きく異なる。信号強度が小さい部分は肺野に相当し、信号強度が大きい部分は腹部に相当し、中間部が横隔膜に相当する。
【0038】
横隔膜に相当する部分は呼吸とともに体軸方向に往復運動する。以下、横隔膜に相当する部分を単に横隔膜ともいう。呼吸に伴う横隔膜の変位を図6に示す。図6に示すように、横隔膜は吸気時に腹部側に移動し、呼気時に胸部側に移動する。横隔膜の位置は呼吸の深さを表わす。
【0039】
図7に、本装置の動作のフロー(flow)図を示す。この動作は、データ処理部170による制御の下で遂行される。データ処理部170の諸機能のうち、制御に関わる部分は、本発明における制御手段の一例である。それによって制御される本装置の全ての部分は、本発明における撮像手段の一例である。
【0040】
図7に示すように、ステップ(step)101で、撮像位置設定とトラッカー(tracker)設定を行う。撮像位置定とトラッカー設定は、使用者によって行われる。使用者は、表示部180に表示されたスカウト像上で、撮像位置定とトラッカー設定を行う。スカウト像は、予め息止め状態で撮像したものである。
【0041】
図8の(a)に、撮像位置設定とトラッカー設定の一例を示す。図8の(a)に示すように、例えば、心臓部から上腹部にかけて撮像されたスカウト像上で、冠状動脈を含む撮像位置802が、ポインティングデバイス等で設定される。撮像位置802は、例えば、3Dスキャン用の撮像位置である。なお、それに限らず、2Dスキャン用の撮像位置であって良い。
【0042】
スカウト像上には、さらに、トラッカーFOV(Field of View)804が設定され、その中にトラッカー806が設定される。トラッカーFOV804は、ナビゲータエコーが発生用の1次元領域を含むように設定される。トラッカー806は、トラッカーFOV804内で横隔膜上に設定される。このような設定に基づいて、データ処理部170は、トラッカー806の位置X1を求める。X1は、息止め時の呼吸の深さを表わす。
【0043】
なお、トラッカーFOV804は、中心目盛を持つものとしても良い。その場合は、中心目盛を横隔膜に合わせることによりトラッカー設定を行うことができる。中心目盛を原点とすることにより、呼吸の深さを原点に対する相対深さとすることができる。
【0044】
ステップ103で、ゲーティングレベル(gating level)を設定する。ゲーティングレベルは、呼吸同期撮像を行う呼吸の深さである。ゲーティングレベルの設定は、データ処理部170により、被検体1の呼吸の深さの計測値に基づいて行われる。
【0045】
呼吸の深さの計測は、ナビゲータエコーを利用して行われる。計測は所定時間(例えば30sec)にわたって行われる。そして、計測値のヒストグラム(histogram)から頻度が最大となる計測値を特定し、それをゲーティングレベルX2とする。ゲーティングレベルX2には、その上下に所定(例えば数mm程度)の許容範囲が設けられる。
【0046】
図8の(b)に、ゲーティングレベルの一例を示す。図8の(b)に示すように、ゲーティングレベル806’もトラッカーFOV804内のものとなる。トラッカーFOV804におけるゲーティングレベル806’の位置がX2となる。ゲーティングレベルX2は、一般的には息止め時の呼吸の深さX1とは一致せず、例えば図9に示すように、ΔXの相違がある。
【0047】
ステップ105で、撮像位置を修正する。撮像位置の修正は、データ処理部170によって行われる。データ処理部170は、ゲーティングレベルX2とトラッカー位置X1の差ΔX= X2-X1を求め、ΔXに応じて撮像位置を修正する。
【0048】
これによって、最初に設定された撮像位置802は、新たな撮像位置802’に修正される。修正量は、ΔXの関数f(ΔX)で与えられる。関数f(ΔX)は経験的に定められる。関数f(ΔX)は、近似的には1次関数K・ΔXであって良い。その場合、Kの値は経験的に定められる。これによって、修正後の撮像位置802’は、ゲーティングレベルX2(呼吸同期撮影を行う呼吸の深さ)における冠状動脈の位置に一致するものとなる。
【0049】
ステップ107で、呼吸同期撮像を行う。呼吸同期撮像は、図10に示すように、心電同期を併用して行われる。すなわち、心電信号のR波をトリガー(trigger)とし、心臓の拡張中期に合わせて、ナビゲータエコーNbとイメージングエコーImを収集する。このようなエコー収集が心拍ごとに行われる。
【0050】
心拍ごとにナビゲータエコーから呼吸の深さを求め、ゲーティングレベル範囲内のときはイメージングエコーを採用し、ゲーティングレベル範囲外のときはイメージングエコーを廃棄する。このようなエコー収集をkスペースについてのサンプリングデータが全部そろうまで行う。
【0051】
このような呼吸同期撮像が撮像位置802’について行われる。撮像位置802’は、ゲーティングレベルX2における冠状動脈の位置に一致している。このため、冠状動脈について確実に呼吸同期撮像を行うことができる。なお、撮像対象は冠状動脈に限らず、呼吸とともに往復移動する他の内臓であって良い。その場合は、心電同期の併用は不可欠ではない。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】発明を実施するための最良の形態の一例のMRI装置のブロック図である。
【図2】スキャン用のパルスシーケンスの一例を示す図である。
【図3】ナビゲータエコー用のパルスシーケンスの一例を示す図である。
【図4】ナビゲータエコー収集部位の一例を示す図である。
【図5】1次元プロファイルの一例を示す図である。
【図6】呼吸に伴う1次元プロファイルの移動の一例を示す図である。
【図7】本装置の動作のフロー図である。
【図8】撮像位置の設定と修正の一例を示す図である。
【図9】息止め時の呼吸の深さとゲーティングレベルの関係を示す図である。
【図10】心電同期を併用した呼吸同期撮像のタイムチャートである。
【符号の説明】
【0053】
100 : マグネットシステム
102 : 主磁場コイル部
106 : 勾配コイル部
108 : RFコイル部
110 : 心電計
112 : 電極
130 : 勾配駆動部
140 : RF駆動部
150 : データ収集部
160 : シーケンス制御部
170 : データ処理部
180 : 表示部
190 : 操作部
802 : 撮像位置
804 : トラッカーFOV
806 : トラッカー
806’: ゲーティングレベル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
息止め撮像したスカウト画像上で設定された撮像位置についての呼吸同期撮像を予め定められた呼吸の深さで行う撮像手段とそれを制御する制御手段とを有するMRI装置であって、
前記制御手段は、前記撮像手段に、息止め撮像時の呼吸の深さを求めさせ、呼吸同期撮像時の呼吸の深さと息止め撮像時の呼吸の深さの差に応じて撮像位置を修正させる
ことを特徴とするMRI装置。
【請求項2】
前記呼吸の深さは、ナビゲータエコーから再構成された1次元プロファイルに基づいて求められる
ことを特徴とする請求項1に記載のMRI装置。
【請求項3】
前記撮像位置は、冠状動脈が存在する位置である
ことを特徴とする請求項2に記載のMRI装置。
【請求項4】
前記呼吸同期撮像は、心電同期を併用して行われる
ことを特徴とする請求項3に記載のMRI装置。
【請求項5】
前記心電同期併用の呼吸同期撮像は、3Dスキャンによって行われる
ことを特徴とする請求項4に記載のMRI装置。
【請求項6】
息止め撮像したスカウト画像上で設定された撮像位置についての呼吸同期撮像を予め定められた呼吸の深さで行うMRI装置を制御する方法であって、
MRI装置に、
息止め撮像時の呼吸の深さを求めさせ、
呼吸同期撮像時の呼吸の深さと息止め撮像時の呼吸の深さの差に応じて撮像位置を修正させる
ことを特徴とするMRI装置の制御方法。
【請求項7】
前記呼吸の深さは、ナビゲータエコーから再構成された1次元プロファイルに基づいて求められる
ことを特徴とする請求項6に記載のMRI装置の制御方法。
【請求項8】
前記撮像位置は、冠状動脈が存在する位置である
ことを特徴とする請求項7に記載のMRI装置の制御方法。
【請求項9】
前記呼吸同期撮像は、心電同期を併用して行われる
ことを特徴とする請求項8に記載のMRI装置の制御方法。
【請求項10】
前記心電同期併用の呼吸同期撮像は、3Dスキャンによって行われる
ことを特徴とする請求項9に記載のMRI装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−148918(P2008−148918A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−339854(P2006−339854)
【出願日】平成18年12月18日(2006.12.18)
【出願人】(300019238)ジーイー・メディカル・システムズ・グローバル・テクノロジー・カンパニー・エルエルシー (1,125)
【Fターム(参考)】