説明

MRI装置及びMRI装置用撮影トリガ信号発生ユニット

【課題】傾斜磁場やRFパルスの影響を受けないトリガ信号の生成。
【解決手段】MRI撮影に必要な傾斜磁場及びRFパルスが印加されている被検体の胸部近傍に配置された生体信号検出部91のピックアップ部911は、前記被検体の心音及び呼吸音を音響的な生体信号として収集し、樹脂等の絶縁材料から形成され可撓性を有する導中管913は、前記音響的な生体信号を傾斜磁場やRFパルスが印加されない領域に配置されたトランスジューサ912へ供給する。次いで、トランスジューサ912は、導中管913を介して供給された前記音響的な生体信号を電気的な生体信号へ変換し、撮影トリガ信号発生部93のトリガ信号生成部932は、前記電気的な生体信号に基づいて当該被検体の心拍時相や呼吸時相に同期したトリガ信号を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、MRI装置及びMRI装置用撮影トリガ信号発生ユニットに係り、特に、心拍時相や呼吸時相に同期した画像データの収集を可能とするMRI装置及びMRI装置用撮影トリガ信号発生ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
磁気共鳴イメージング法(MRI)は、静磁場中に置かれた被検体組織の原子核スピンを、そのラーモア周波数をもつ高周波信号(RFパルス)で励起し、この励起に伴って発生する磁気共鳴信号(MR信号)から画像データを再構成するイメージング法である。
【0003】
MRI装置は、生体内から検出されるMR信号に基づいて画像データを生成する画像診断装置であり、解剖学的診断情報のみならず生化学的診断情報や機能診断情報等の多くの情報を得ることができるため、今日の画像診断において不可欠なものとなっている。
【0004】
近年、MRIの高速撮影法の開発により脳や心臓の機能解析も可能となった。特に、心臓のように動きの激しい臓器の画像化を行なう場合には、撮影時間の短縮化が要求されるが、例えば、高速撮影法の1つであるEPI(Echo−planar−imaging)法によれば1枚の画像の撮影時間が100msec以下となり、心臓の所望心拍時相における画像データを収集することができるようになった。心臓に対するMRI撮影では、従来、撮影中に被検体の心電波形を同時に収集し、この心電波形の例えばR波に基づいて所望スライス断面のMRI撮影を行なう方法がとられている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
又、呼吸性移動に起因した画質劣化を防止するために、例えば、被検体の腹部に装着したチューブの伸縮度に基づいて呼吸時相を計測し、呼吸性移動の少ない呼吸時相において画像データを収集する方法も行なわれている。
【0006】
ところで、心拍時相に同期させたMRI撮影では、心電波形等を用いて生成された撮影トリガパルスに基づいてRFパルスや傾斜磁場を被検体に対して印加する必要がある。MRI撮影中の被検体から心電波形を収集する場合、被検体の体表面に装着された複数個のECG電極と心電計本体とを結ぶ複数本の信号線が体表面上に配設され、この信号線とECG電極間の容量性結合によって閉ループが形成される。そして、例えば、EPI撮影のようにRFパルスや傾斜磁場が高速でスイッチングされる場合にはこの閉ループを横切る磁束が大きく変化するため、信号線や体表面上の電極間に誘導電流(誘導ノイズ)が発生し、この誘導電流が心電波形に混入することにより正確な撮影トリガ信号を得ることが困難となる。又、上述の誘導電流が、体表面や体内に流入することにより被検体に対して火傷や感電等の危害を与えるという問題点を有している。
【0007】
このような問題点に対し、被検体の体表面に装着した心音マイクによって心音を収集し、この心音に基づいて撮影トリガ信号を生成する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【特許文献1】特開平8−182661号公報
【特許文献2】特開平2−63011号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述の特許文献2に記載された方法によれば、心音マイクによって収集された心音波形に対して混入する誘導電流は心電波形を用いた場合と比較して低減される。しかしながら、この方法では、電気的な心音波形が傾斜磁場やRFパルスの印加領域に配設された信号線を介して心音計本体へ供給されるため、前記信号線がシールド構造を有しているような場合においても誘導電流の発生を許容レベル以下に抑えることは困難である。
【0009】
本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、MRI撮影中の被検体に対して印加される傾斜磁場やRFパルス等の影響を受けることなく心拍時相や呼吸時相に同期した良好な画像データを生成することが可能なMRI装置及びMRI装置用撮影トリガ信号発生ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、請求項1に係る本発明のMRI装置用撮影トリガ信号発生ユニットは、被検体の生体信号に同期した撮影トリガ信号を発生するMRI装置用撮影トリガ信号発生ユニットであって、MRI撮影に必要な傾斜磁場及びRFパルスが印加された前記被検体の近傍に配置され前記被検体から生ずる心音及び呼吸音の少なくとも何れかを音響的な生体信号として収集する生体信号ピックアップ手段と、前記傾斜磁場及びRFパルスが印加されない領域に配置され前記音響的な生体信号を電気的な生体信号へ変換するトランスジューサと、前記生体信号ピックアップ手段によって収集された前記音響的な生体信号を前記トランスジューサへ供給する導中管と、前記トランスジューサによって得られた前記電気的な生体信号に基づいてトリガ信号を生成するトリガ信号生成手段と、前記トリガ信号を撮影トリガ信号として出力する撮影トリガ信号出力手段とを備えたことを特徴としている。
【0011】
又、請求項3に係る本発明のMRI装置用撮影トリガ信号発生ユニットは、被検体の生体信号に同期した撮影トリガ信号を発生するMRI装置用撮影トリガ信号発生ユニットであって、MRI撮影に必要な傾斜磁場及びRFパルスが印加された前記被検体の近傍に配置され前記被検体から生ずる心音及び呼吸音の少なくとも何れかを音響的な生体信号として収集する生体信号ピックアップ手段と、前記音響的な生体信号を電気的な生体信号へ変換するトランスジューサと、前記トランスジューサの近傍に配置され前記電気的な生体信号を空中送信する送信手段と、前記傾斜磁場及びRFパルスが印加されない領域に配置され空中送信された前記電気的な生体信号を受信する受信手段と、この受信手段によって受信された前記電気的な生体信号に基づいてトリガ信号を生成するトリガ信号生成手段と、前記トリガ信号を撮影トリガ信号として出力する撮影トリガ信号出力手段とを備えたことを特徴としている。
【0012】
一方、請求項10に係る本発明のMRI装置は、被検体の生体信号に同期した撮影トリガ信号に基づいてMRI撮影を行なうMRI装置であって、請求項1乃至請求項9の何れか1項に記載したMRI装置用撮影トリガ信号発生ユニットから供給される撮影トリガ信号に基づいて前記被検体に対するMRI撮影を行なうことを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、MRI撮影中の被検体に対して印加される傾斜磁場やRFパルス等の影響を受けることなく心拍時相や呼吸時相に同期した良好な画像データを確実に生成することができる。このため、当該被検体に対する診断精度及び診断効率が大幅に向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
【実施例】
【0015】
以下に述べる本実施例のMRI装置が備える撮影トリガ信号発生ユニットは、被検体の心音及び呼吸音を音響的な生体信号として収集し、この音響的な生体信号を変換して得られる電気的な生体信号に基づいてMRI撮影に必要な撮影トリガ信号を生成する際、傾斜磁場及びRFパルスが印加された前記被検体の胸部近傍に配置され音響的な生体信号を収集するピックアップ部と、傾斜磁場やRFパルスが印加されない領域に配置され音響的な生体信号を電気的な生体信号へ変換するトランスジューサとを、樹脂等の絶縁材料から形成され音響的な生体信号の伝搬が可能な導中管を用いて接続することにより、傾斜磁場やRFパルスの影響を受けることなく心拍時相や呼吸時相に同期した撮影トリガパルスを生成する。
【0016】
(装置の構成)
本発明の実施例におけるMRI装置の構成につき図1乃至図8を用いて説明する。尚、図1は、本実施例におけるMRI装置の全体構成を示すブロック図であり、図4は、このMRI装置が備える撮影トリガ信号発生ユニットの具体的な構成を示すブロック図である。
【0017】
図1に示すMRI装置200は、被検体150に対して磁場を発生する静磁場発生部1及び傾斜磁場発生部2と、被検体150に対しRFパルスの照射とMR信号の受信を行なう送受信部3と、被検体150を載置する天板4と、この天板4を被検体150の体軸方向へ移動する天板移動機構部5を備えている。
【0018】
更に、MRI装置200は、送受信部3において受信されたMR信号を再構成処理して画像データを生成する画像データ生成部6と、生成した画像データを表示する表示部7と、MR信号の収集条件及び画像データの表示条件の設定や各種コマンド信号の入力等を行なう入力部8と、被検体150から検出された心音や呼吸音に基づいて撮影トリガ信号を発生する撮影トリガ信号発生ユニット9と、MRI装置200が備えた上述の各ユニットを制御する制御部10を備えている。
【0019】
静磁場発生部1は、常伝導磁石あるいは超電導磁石等によって構成される主磁石11と、この主磁石11に電流を供給する静磁場電源12を備え、図示しないガントリの撮影野に配置された被検体150に対して強力な静磁場を形成する。尚、主磁石11は、永久磁石によって構成されていてもよい。
【0020】
一方、傾斜磁場発生部2は、互いに直交するX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向に対して傾斜磁場を形成する傾斜磁場コイル21と、傾斜磁場コイル21の各々に対してパルス電流を供給する傾斜磁場電源22を備えている。
【0021】
傾斜磁場電源22は、制御部10から供給されるシーケンス制御信号及び撮影トリガ信号に基づいて被検体150が置かれた撮影野に対して符号化を行なう。即ち、傾斜磁場電源22は、前記シーケンス制御信号及び撮影トリガ信号に基づいてX軸方向,Y軸方向及びZ軸方向の傾斜磁場コイル21に供給するパルス電流を制御することにより各々の方向に対して傾斜磁場を形成する。そして、X軸方向,Y軸方向及びZ軸方向の傾斜磁場は合成されて互いに直交するスライス選択傾斜磁場、位相エンコード傾斜磁場及び読み出し(周波数エンコード)傾斜磁場が所望の方向に形成され、これらの傾斜磁場は、主磁石11によって形成された静磁場に重畳されて被検体150に印加される。
【0022】
次に、送受信部3は、被検体150に対しRFパルスを照射すると共に被検体150から発生するMR信号を検出するためのRFコイルを有したRFコイルユニット31と、RFコイルに対しRF駆動信号を供給する送信部32と、前記RFコイルが検出したMR信号に対し所定の処理を行なう受信部33を有している。
【0023】
図2は、MRI撮影時に使用されるRFコイルユニット31を、被検体150の体軸方向(図1のZ方向)に垂直な断面(X−Y断面)において示したものであり、このRFコイルユニット31は、被検体150の上方に配置されRFパルスの照射とMR信号の検出を行なう上部RFコイル311と、上部RFコイル311を被検体上方の好適な位置に保持するためのコイル支持部312と、被検体150と天板4の間に配置され被検体150に対しRFパルスの照射とMR信号の検出を行なう下部RFコイル313とを備えている。
【0024】
次に、下部RFコイル313の具体例を図3に示す。但し、図3(a)は、下部RFコイル313の平面図を、図3(b)は、図3(a)の下部RFコイル313におけるA−A’断面を夫々示している。この下部RFコイル313は、X−Z平面において2次元配列された孔を有するコイルカバー313bと、これらの孔の周囲においてループ状に配設されたコイル313aを備え、コイル313aは、可撓性を有する樹脂等によって構成されたコイルカバー313bによって覆われている。
【0025】
更に、コイルカバー313bの表面あるいは内部には、撮影トリガ信号発生ユニット9が備える後述のピックアップ部911が設けられている。尚、図3では、X方向及びZ方向に対し夫々3個の孔が2次元配列された下部RFコイル313について示しているが、孔の個数や配列方法はこれに限定されない。又、孔を有することなく矩形状あるいはループ状のコイルがX−Z平面において1つあるいは複数個配設されていてもよい。
【0026】
図1へ戻って、送受信部3の送信部32は、制御部10から供給されるシーケンス制御信号及び撮影トリガ信号に基づき、主磁石11の静磁場強度によって決定される磁気共鳴周波数(ラーモア周波数)と同じ周波数の搬送波を有し所定の選択励起波形で変調されたパルス電流を生成する。そして、上述のパルス電流を撮影トリガ信号に同期させてRFコイルユニット31の上部RFコイル311及び下部RFコイル313へ供給する。
【0027】
一方、受信部33は、図示しない増幅回路、中間周波変換回路、検波回路、A/D変換器及びフィルタリング回路を備え、RFコイルユニット31の上部RFコイル311及び下部RFコイル313が検出した微小なMR信号を増幅し、更に、中間周波変換、位相検波、フィルタリング等の信号処理を行った後A/D変換を行なう。但し、前記増幅回路は、上部RFコイル311及び下部RFコイル313が検出したMR信号を高S/Nで増幅するために、通常、RFコイルユニット31の近傍に設置される。
【0028】
そして、当該被検体150のMRI撮影に際し、上述の主磁石11及び傾斜磁場コイル21によりMRI装置200の図示しないガントリの中央部に撮影野が形成され、RFコイルユニット31の上部RFコイル311及び下部RFコイル313がその周囲に配置された被検体150は、天板4と共に体軸方向へ移動することによりその撮影対象部位が前記撮影野に配置される。
【0029】
次に、天板4は、ガントリの近傍に設置された図示しない寝台の上面において被検体150の体軸方向にスライド自在に取り付けられ、天板4の上面に載置された被検体150をZ軸方向へ移動することにより撮影対象部位を撮影野の所望位置に設定する。天板移動機構部5は、例えば、上述の寝台に取り付けられ、制御部10から供給される制御信号に基づいて天板移動用駆動信号を生成し、この天板移動用駆動信号によって天板4をZ軸方向に所定速度で移動させる。
【0030】
次に、画像データ生成部6は、データ記憶部61と高速演算部62を備え、データ記憶部61は、MR信号を記憶するMR信号記憶部611及び画像データを記憶する画像データ記憶部612を備えている。そして、MR信号記憶部611には、受信部33によって中間周波変換、位相検波、更にはA/D変換されたMR信号が被検体150の移動に対応して順次保存され、更に、これらのMR信号には、制御部10から供給された撮影位置情報が付帯情報として付加される。一方、画像データ記憶部612には、高速演算部62が上述のMR信号を再構成処理して生成した画像データが保存される。そして、画像データ生成部6の高速演算部62は、MR信号記憶部611に一旦保存されたMR信号と撮影位置情報を読み出し、2次元フーリエ変換等による画像再構成処理を行なって画像データを生成する。
【0031】
表示部7は、図示しない表示データ生成回路と変換回路とモニタを備え、前記表示データ生成回路は、画像データ生成部6の画像データ記憶部612から供給される画像データと入力部8から制御部10を介して供給される被検体情報等の付帯情報を合成して表示データを生成する。そして、前記変換回路は、前記表示データを所定の表示フォーマットに変換し、更に、D/A変換とテレビフォーマット変換を行なって生成した映像信号をCRTあるいは液晶パネルからなる前記モニタに表示する。
【0032】
一方、入力部8は、操作卓上にスイッチやキーボード、マウスなどの各種入力デバイスや表示パネルを備え、被検体情報の入力、MR信号収集条件や画像データ生成条件の設定、心音に基づく第1の生体信号及び呼吸音に基づく第2の生体信号に対する閾値の設定、生体信号を第1の生体信号と第2の生体信号に分離する際のフィルタ特性の設定、不感時間の設定、更には、各種コマンド信号の入力等を行なう。
【0033】
次に、撮影トリガ信号発生ユニット9の具体的な構成につき図4を用いて説明する。この撮影トリガ信号発生ユニット9は、被検体150の心音及び呼吸音を生体信号として検出する生体信号検出部91と、生体信号に混入した環境音を除去する環境音除去部92と、生体信号に同期した撮影トリガ信号を発生する撮影トリガ信号発生部93を備えている。
【0034】
生体信号検出部91は、ピックアップ部911、トランスジューサ912及び導中管913を有している。ピックアップ部911は、被検体150が発生する心音及び呼吸音を音響的な生体信号として収集する機能を有し、傾斜磁場発生部2の傾斜磁場コイル21が発生する傾斜磁場や送受信部3の上部RFコイル311及び下部RFコイル313が発生するRFパルスの影響(例えば、傾斜磁場やRFパルスの印加に起因した誘導電流)を排除するために樹脂等の絶縁材料を用いて形成されている。
【0035】
ピックアップ部911は、例えば、図3において既に述べたように天板4の上方に配置された下部RFコイル313のコイルカバー313bに設けられ、ピックアップ部911の近傍に被検体150の胸部(心臓)が位置するように天板4に対する被検体150の載置が行なわれる。被検体150の心臓近傍にピックアップ部911を配置することにより心音及び呼吸音を高感度で収集することができる。
【0036】
一方、トランスジューサ912は、上述のピックアップ部911を含む被検体150の胸部領域に対して印加される傾斜磁場やRFパルスの影響を受けない他の領域に設けられ、ピックアップ部911が収集した心音及び呼吸音(音響的な生体信号)を電気的な生体信号へ変換する。このトランスジューサ912が有する検出素子(センサ)して圧電素子が通常用いられるが、音響信号を電気信号へ変換する機能を有した他の材料を用いてもよい。
【0037】
導中管913は、ピックアップ部911によって検出された心音や呼吸音をトランスジューサ912へ供給する可撓性を有した中空管であり、ピックアップ部911と同様にして傾斜磁場発生部2の傾斜磁場コイル21が発生する傾斜磁場や送受信部3の上部RFコイル311及び下部RFコイル313が発生するRFパルスの影響を受けない絶縁材料によって形成されている。
【0038】
図5は、傾斜磁場及びRFパルスの印加領域と上述のピックアップ部911及びトランスジューサ912の配置位置を示したものであり、傾斜磁場コイル21による傾斜磁場及びRFコイルユニット31によるRFパルスの印加領域に被検体150の胸部を含む撮影対象部位が配置され、胸部の近傍には、下部RFコイル313に取り付けられた絶縁材料からなるピックアップ部911が配置される。一方、傾斜磁場コイル21及びRFコイルユニット31から所定距離だけ離れ傾斜磁場やRFパルスの影響が及ばない領域にトランスジューサ912が配置され、ピックアップ部911とトランスジューサ912は導中管913によって接続されている。
【0039】
上述のようにピックアップ部911において収集された被検体150の心音及び呼吸音(音響的な生体信号)をトランスジューサ912によって電気的な生体信号へ変換する際、傾斜磁場やRFパルスが印加されている被検体150の胸部近傍に配置した絶縁材料からなるピックアップ部911を用いて心音及び呼吸音を収集し、これらの心音及び呼吸音を絶縁材料からなる導中管913を介して傾斜磁場やRFパルスの影響を受けない領域に配置されたトランスジューサ912へ供給することにより、傾斜磁場やRFパルスの印加に起因した誘導電流の発生を防止することが可能となる。
【0040】
図4へ戻って、環境音除去部92は、生体信号検出部91において検出された電気的な生体信号に混入している環境音(例えば、傾斜磁場コイル21の振動音、冷凍機の振動音、検査室内のBGM、操作者の音声等に起因した周囲雑音)を除去する機能を有し、マイクロフォン921、利得調整部922及び減算処理部923を有している。
【0041】
マイクロフォン921は、MRI装置200の周囲雑音を電気的な環境音として収集する機能を有し、傾斜磁場やRFパルスが印加されない領域に配置される。一方、利得調整部922は、マイクロフォン921から供給される環境音の振幅(利得)を好適な値に調整し、減算処理部923は、生体信号検出部91のトランスジューサ912から供給される電気的な生体信号と利得調整部922から出力される利得調整後の環境音との減算処理により前記生体信号に混入されている環境音を排除する。この場合、利得調整部922は、減算処理部923の出力信号に残留している環境音が最小となるように環境音の利得を調整する。
【0042】
次に、撮影トリガ信号発生部93は、生体信号分離部931、トリガ信号生成部932、トリガ信号記憶部933、信号判定部934及び撮影トリガ信号出力部935を有している。
【0043】
生体信号分離部931は、異なる周波数特性を有する図示しない2つのフィルタ回路を備え、環境音除去部92の減算処理部923から出力された電気的な生体信号の中から、心音に基づく第1の生体信号と呼吸音に基づく第2の生体信号を分離する機能を有している。
【0044】
図6は、前記フィルタ回路が有する周波数特性の具体例を示したものであり、例えば、図6(a)に示すような周波数範囲[200Hz〜2000Hz]を通過帯域とするフィルタ回路によって第1の生体信号を収集し、図6(b)に示すような周波数範囲[20Hz〜200Hz]を通過帯域とするフィルタ回路によって第2の生体信号を収集する。
【0045】
再び図4へ戻って、トリガ信号生成部932は、生体信号分離部931において得られた第1の生体信号及び第2の生体信号を処理して心拍時相に同期した第1のトリガ信号及び呼吸時相に同期した第2のトリガ信号を生成する。心音に基づく第1の生体信号とこの第1の生体信号を処理して生成される第1のトリガ信号につき図7及び図8を用いて説明する。
【0046】
図7は、心拍同期した従来のMRI撮影等において用いられる心電波形(図7(a))と本実施例のMRI撮影において用いられる心音波形(図7(b))を示したものであり、心電波形を用いた場合には、心電波形Seと所定の閾値Teとを比較することにより最大値を有するR波を検出し、このR波の発生タイミングにおいてトリガパルスが生成される。
【0047】
一方、本実施例のように心音波形を用いた場合には、心音波形Spと所定の閾値Tpとを比較することにより閾値Tpより大きな値を示すS1波及びS2波を検出し、S1波とS2波との時間間隔を示す期間T12がS2波とS1波との時間間隔を示す期間T21より短いことに着目して検出したS1波あるいはS2波の発生タイミングにてトリガパルスが生成される。
【0048】
図8は、心音波形SpのS1波に基づいてトリガ信号を生成する場合を示したものであり、撮影トリガ信号発生部93のトリガ信号生成部932は、予め設定された閾値Tpと心音波形Spとを比較し(図8(a))、心音波形SpのS1波及びS2波が閾値Tpを超えるタイミングにてトリガパルスP1及びP2を生成する(図8(b))。次いで、入力部8から供給される不感時間Txの情報(図8(c))によりS2波に基づいたトリガパルスP2を排除する。
【0049】
この場合、S1波からS2波までの時間間隔T12とS2波からS1波までの時間間隔T21は常にT12<T21の関係にあるため、上述の不感時間TxをT12<Tx<T21となるように設定することによりS1波に基づいたトリガパルスP1によって構成される第1のトリガ信号(図8(d))が生成される。又、図8(b)に示したトリガパルスP1及びP2から図8(d)に示したトリガパルスP1を減算することにより、トリガパルスP2によって構成される第1のトリガ信号を生成することも可能である。更に、被検体150から収集した呼吸音に基づく第2の生体信号に対し同様の手順を適用することにより第2の撮影トリガパルスが生成される。
【0050】
次に、図4に示したトリガ信号記憶部933には、トリガ信号生成部932によって生成され後述の信号判定部934によってその特性が良好であると判定されたトリガ信号(第1のトリガ信号及び第2のトリガ信号)が順次記憶される。一方、信号判定部934は、上述のトリガ信号に対する参照データが予め保管された図示しない参照データ記憶部を備え、トリガ信号生成部932において生成されたトリガ信号と前記参照データ記憶部から読み出した参照データとを比較することによりトリガ信号生成部932が生成したトリガ信号の良否を判定する。
【0051】
撮影トリガ信号出力部935は、信号判定部934から供給される判定結果に基づいてトリガ信号記憶部933が生成したトリガ信号あるいはトリガ信号記憶部933において既に保存されているトリガ信号の何れかを撮影トリガ信号として出力する。即ち、信号判定部934によりトリガ信号生成部932が生成したトリガ信号の特性が良好と判定された場合、この判定結果を受信した撮影トリガ信号出力部935は、前記トリガ信号を撮影トリガ信号として制御部10へ出力する。一方、トリガ信号生成部932が生成したトリガ信号の特性が不良と判定された場合、撮影トリガ信号出力部935は、前記撮影トリガ信号の替わりにトリガ信号記憶部933において既に保存されているトリガ信号を読み出し撮影トリガ信号として制御部10へ出力する。
【0052】
次に、図1の制御部10は、主制御部101、シーケンス制御部102及び天板移動制御部103を備えている。主制御部101は、図示しないCPUと記憶回路を備え、MRI装置200を統括して制御する機能を有している。そして、主制御部101の記憶回路には、入力部8にて入力あるいは設定された被検体情報、MR信号収集条件、画像データ生成条件、生体信号に対する閾値Te及びTp、生体信号分離におけるフィルタ特性、不感時間Tx等の情報が保存される。
【0053】
一方、主制御部101のCPUは、上述の入力情報や設定情報に基づいて生成したパルスシーケンス情報(例えば傾斜磁場コイル21やRFコイルユニット31に供給するパルス電流の大きさ、供給時間、供給タイミングなどに関する情報)と撮影トリガ信号発生ユニット9から供給された撮影トリガ信号をシーケンス制御部102に供給する。
【0054】
制御部10のシーケンス制御部102は、図示しないCPUと記憶回路を備え、主制御部101から供給されたパルスシーケンス情報を前記記憶回路に一旦記憶した後、このパルスシーケンス情報と上述の撮影トリガ信号に従ってシーケンス制御信号を生成し傾斜磁場発生部2の傾斜磁場電源22や送受信部3の送信部32を制御する。又、制御部10の天板移動制御部103は、主制御部101から供給される制御信号に基づき、天板4の移動を目的とした天板移動制御信号を生成して天板移動機構部5に供給する。
【0055】
(撮影トリガ信号の発生手順)
次に、本実施例の撮影トリガ信号発生ユニット9による撮影トリガ信号の発生手順につき図9のフローチャートを用いて説明する。
【0056】
MRI撮影に使用する撮影トリガ信号の発生に際し、下部RFコイル313のコイルカバー313bに設けられた生体信号検出部91のピックアップ部911は、被検体150が発生する心音及び呼吸音を音響的な生体信号として収集し(図9のステップS1)、得られた音響的な生体信号は、絶縁材料によって形成された導中管913を介して傾斜磁場やRFパルスの影響を受けない領域に設けられたトランスジューサ912へ供給され電気的な生体信号に変換される(図9のステップS2)。
【0057】
一方、環境音除去部92のマイクロフォン921は、MRI装置200が発生する振動音や操作者の音声等を電気的な環境音として収集し(図9のステップS3)、利得調整部922は、マイクロフォン921から供給される環境音の振幅(利得)を好適な値に調整する(図9のステップS4)。
【0058】
そして環境音除去部92の減算処理部923は、生体信号検出部91のトランスジューサ912から供給される電気的な生体信号と利得調整部922から出力される利得調整後の環境音との減算処理により前記生体信号に混入されている環境音を除去する(図9のステップS5)。
【0059】
次に、撮影トリガ信号発生部93の生体信号分離部931は、環境音除去部92の減算処理部923が出力した環境音排除後の生体信号を受信し、この生体信号が有する心音に基づいた第1の生体信号と呼吸音に基づいた第2の生体信号とをフィルタリング処理によって分離する(図9のステップS6)。そして、トリガ信号生成部932は、生体信号分離部931において分離された第1の生体信号及び第2の生体信号を処理して心拍時相に同期した第1のトリガ信号及び呼吸時相に同期した第2のトリガ信号を生成する(図9のステップS7)。
【0060】
一方、信号判定部934は、トリガ信号生成部932によって生成されたトリガ信号と自己の参照データ記憶部から読み出した参照データとを比較することによりトリガ信号の良否を判定する。そして、前記トリガ信号の特性が良好と判定された場合、この判定結果を受信した撮影トリガ信号出力部935は、前記トリガ信号を撮影トリガ信号として制御部10の主制御部101へ出力する(図9のステップS8)。
【0061】
一方、信号判定部934によりトリガ信号生成部932が生成したトリガ信号の特性が不良と判定された場合、撮影トリガ信号出力部935は、前記トリガ信号の替わりにトリガ信号記憶部933から読み出したトリガ信号を撮影トリガ信号として主制御部101へ出力する(図9のステップS9)。
【0062】
以上、本実施例におけるMRI装置の構成について述べたが、上述の撮影トリガ信号を用いたMRI撮影の具体例については、特開2004−24637号公報、特開2004−329669号、更には、上述の特許文献1等に記載されているため詳細な説明は省略する。
【0063】
(変形例)
次に、本実施例のMRI装置200が備える撮影トリガ信号発生ユニット9の変形例について説明する。
【0064】
上述の実施例における撮影トリガ信号発生ユニット9の生体信号検出部91は、被検体150が発生する心音及び呼吸音を音響的な生体信号として収集するピックアップ部911と、傾斜磁場やRFパルスの影響を受けない領域に設けられ、ピックアップ部911が収集した音響的な生体信号を電気的な生体信号へ変換するトランスジューサ912と、ピックアップ部911によって収集された音響的な生体信号をトランスジューサ912へ供給する導中管913を有し、ピックアップ部911及び導中管913を樹脂等の絶縁材料を用いて形成することにより傾斜磁場やRFパルスに起因した誘導電流の発生を防止することを特徴としている。
【0065】
これに対し、本変形例の生体信号検出部は、被検体150が発生する心音及び呼吸音を音響的な生体信号として検出するピックアップ部と、このピックアップ部が検出した心音及び呼吸音(音響的な生体信号)を電気的な生体信号へ変換するトランスジューサと、この電気的な生体信号を傾斜磁場やRFパルスの影響を受けない領域に設けられた受信部に対して送信する送信部と、前記受信部を有し、傾斜磁場やRFパルスの印加領域に配置された上述のピックアップ部、トランスジューサ及び送信部を一体化すると共に、前記生体信号を無線方式によって前記送信部から前記受信部へ供給することにより傾斜磁場やRFパルスに起因した誘導電流の発生を低減することを特徴としている。
【0066】
図10は、本変形例における撮影トリガ信号発生ユニットの具体的な構成を示すブロック図である。但し、図10において、図4に示した撮影トリガ信号発生ユニット9が備えるユニットと同一の構成及び機能を有するユニットに対しては同一の符号を付加し、詳細な説明は省略する。
【0067】
即ち、図10に示した撮影トリガ信号発生ユニット9aは、被検体150の心音及び呼吸音を生体信号として検出する生体信号検出部91aと、この生体信号に混入した環境音を除去する環境音除去部92と、前記生体信号に同期した撮影トリガ信号を発生する撮影トリガ信号発生部93を備え、生体信号検出部91aは、ピックアップ部911a、トランスジューサ912a、送信部914及び受信部915を有している。
【0068】
ピックアップ部911aは、被検体150が発生する心音及び呼吸音を音響的な生体信号として収集し、トランスジューサ912aは、ピックアップ部911aが収集した心音及び呼吸音(音響的な生体信号)を電気的な生体信号へ変換する。送信部914は、トランスジューサ912aから供給された電気的な生体信号を所定の搬送周波数で変調処理し受信部915に対して空中送信する。この場合、ピックアップ部911a、トランスジューサ912a及び送信部914は一体化され、例えば、傾斜磁場やRFパルスが印加される下部RFコイル313のコイルカバー313bあるいはその近傍に設けられる。
【0069】
一方、受信部915は、傾斜磁場やRFパルスの影響を受けない領域に設けられ送信部914によって空中送信された電波を復調処理して電気的な生体信号を再生する。そして、得られた前記生体信号を環境音除去部92に設けられた減算処理部923へ供給する。
【0070】
以上述べた本発明の実施例及びその変形例によれば、MRI撮影に用いられる撮影トリガ信号を被検体の生体信号に基づいて生成する際、MRI撮影中の当該被検体に対して印加される傾斜磁場やRFパルス等に起因した誘導電流を発生させることなく生体信号を収集することができる。従って、誘導電流が混入していない生体信号を用いることにより良質な撮影トリガ信号の生成が可能となり、この撮影トリガ信号により心拍時相や呼吸時相に同期した画像データを確実に生成することができる。
【0071】
特に、上述の実施例によれば、樹脂等の絶縁材料によって形成されたピックアップ部及び導中管を用いて収集した心音や呼吸音等の音響的な生体信号に基づいて撮影トリガ信号を生成しているため、傾斜磁場やRFパルス等の影響を受けることなく生体信号を収集することができ、更に、心音や呼吸音等の音響的な生体信号の収集に用いる前記ピックアップ部は、被検体の体表面に直接接触させる必要がないため、心電波形を生体信号として収集する場合の大きな問題点であった被検体に対する誘導電流の流入を防止することができ、従って、被検体に対し火傷や感電等の危害を与えない安全なMRI撮影が可能となる。
【0072】
又、上述の変形例によれば、ピックアップ部及びトランスジューサにて得られた生体信号を無線方式によって傾斜磁場やRFパルスが照射されない領域に設けられた受信部へ供給し、この生体信号に基づいて撮影トリガ信号を生成しているため、傾斜磁場やRFパルス等の影響を受けない撮影トリガ信号を生成することができ、更に、被検体に対する誘導電流の流入を低減することができるため被検体に対し火傷や感電等の危害を与えない安全なMRI撮影が可能となる。
【0073】
一方、上述の実施例及びその変形例によれば、心音に基づく第1の撮影トリガ信号と呼吸音に基づく第2の撮影トリガ信号に基づいてMRI撮影を行なうことができるため、呼吸音に基づく第2の撮影トリガ信号によって呼吸性移動の少ない期間を設定し、この期間の所望心拍時相における画像データを第1の撮影トリガ信号に基づいて生成することができる。このため、呼吸性移動の影響が少ない良好な画像データを所望心拍時相において収集することができる。
【0074】
更に、心音及び呼吸音等の音響的な生体信号は、共通のピックアップ部を用いて収集することができ、しかも、上述のようにピックアップ部を被検体の体表面に直接接触させなくても良好な生体信号を収集することができるためピックアップ部の配置に対する自由度が増大し、例えば、天板や下部RFコイル等と一体化して配置することにより被検体に意識されることなく生体信号の収集が可能となる。
【0075】
又、心音及び呼吸音を収集するピックアップ部の開口部は、心電波形を収集する複数からなる電極群の装着面積と比較して小さいため、従来、電極群の装着が困難であった新生児等に対しても容易に適用することができ、更に、このピックアップ部は、廉価な樹脂等によって形成されているため容易に交換することができる。
【0076】
又、上述の実施例及びその変形例によれば、ピックアップ部において心音や呼吸音等の音響的な生体信号と共に収集されたMRI装置の振動音や検査室内のBGM等の環境音を除去する環境音除去部を有しているため、環境音に影響されない良質な撮影トリガ信号を生成することができる。
【0077】
更に、トリガ信号生成部において生成されたトリガ信号の特性が不良の場合には、このトリガ信号の替わりに予め収集されたトリガ信号を撮影トリガ信号として出力することができるため、例えば、被検体による咳き、クシャミ、体動等に伴ってトリガ信号が大幅に乱れるような場合においてもMRI撮影に有効な撮影トリガ信号を安定して出力させることが可能となる。
【0078】
以上、本発明の実施例とその変形例について述べてきたが、本発明は、上述の実施例及び変形例に限定されるものではなく更に変形して実施することが可能である。例えば、上述の実施例における撮影トリガ信号発生ユニット9及び変形例における撮影トリガ信号発生ユニット9aは、被検体150から収集された心音及び呼吸音に基づいて第1の撮影トリガ信号と第2の撮影トリガ信号を発生する場合について述べたが何れか一方のみであっても構わない。
【0079】
又、生体信号検出部91(91a)のピックアップ部911(911a)が備える共通の検出素子を用いて心音と呼吸音を同時に収集する場合について述べたが、心音専用のピックアップ部と呼吸音専用のピックアップ部を夫々独立に用いてもよい。この方法によれば、撮影トリガ信号発生部93の生体信号分離部931は不要となる。
【0080】
一方、上述の実施例におけるピックアップ部911(911a)は、下部PFコイル313に設けられている場合について述べたが、これに限定されるものではなく、例えば、天板4が有するマット41(図2参照)に設けられていてもよく、又、上部RFコイル311に設けられていても構わない。
【0081】
又、生体信号と環境音との減算処理に際し、環境音除去部92のマイクロフォン921にて収集された環境音に対し利得調整する場合について述べたが、生体信号検出部91(91a)のトランスジューサ912(912a)にて得られた電気的な生体信号に対し利得調整を行なってもよい。
【0082】
更に、図8では、心音のS1波に基づくトリガパルスP1あるいはS2波に基づくトリガパルスP2のタイミングにおいて第1のトリガ信号を生成する場合について示したが、トリガパルスP1あるいはトリガパルスP2から所定時間遅れたタイミングにおいて第1のトリガ信号を生成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の実施例におけるMRI装置の全体構成を示すブロック図。
【図2】同実施例のMRI装置に備えられたRFコイルユニットの構成を示す図。
【図3】同実施例のRFコイルユニットに設けられた下部RFコイルの構造を示す図。
【図4】同実施例のMRI装置が備える撮影トリガ信号発生ユニットの具体的な構成を示すブロック図。
【図5】同実施例における傾斜磁場及びRFパルスの印加領域とピックアップ部及びトランスジューサの配置位置を示す図。
【図6】同実施例の生体信号分離部に設けられたフィルタ回路の周波数特性を示す図。
【図7】同実施例のMRI撮影にて用いられる心音波形と従来のMRI撮影にて用いられる心電波形を示す図。
【図8】同実施例の撮影トリガ信号発生部におけるトリガ信号の生成方法を示す図。
【図9】同実施例における撮影トリガ信号の発生手順を示すフローチャート。
【図10】同実施例のMRI装置が備える撮影トリガ信号発生ユニットの変形例を示すブロック図。
【符号の説明】
【0084】
1…静磁場発生部
2…傾斜磁場発生部
3…送受信部
31…RFコイルユニット
313…下部RFコイル
313a…コイル
313b…コイルカバー
4…天板
5…天板移動機構部
6…画像データ生成部
7…表示部
8…入力部
9…撮影トリガ信号発生ユニット
91…生体信号検出部
911…ピックアップ部
912…トランスジューサ
913…導中管
92…環境音除去部
921…マイクロフォン
922…利得調整部
923…減算処理部
93…撮影トリガ信号発生部
931…生体信号分離部
932…トリガ信号生成部
933…トリガ信号記憶部
934…信号判定部
935…撮影トリガ信号出力部
10…制御部
200…MRI装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の生体信号に同期した撮影トリガ信号を発生するMRI装置用撮影トリガ信号発生ユニットであって、
MRI撮影に必要な傾斜磁場及びRFパルスが印加された前記被検体の近傍に配置され前記被検体から生ずる心音及び呼吸音の少なくとも何れかを音響的な生体信号として収集する生体信号ピックアップ手段と、
前記傾斜磁場及びRFパルスが印加されない領域に配置され前記音響的な生体信号を電気的な生体信号へ変換するトランスジューサと、
前記生体信号ピックアップ手段によって収集された前記音響的な生体信号を前記トランスジューサへ供給する導中管と、
前記トランスジューサによって得られた前記電気的な生体信号に基づいてトリガ信号を生成するトリガ信号生成手段と、
前記トリガ信号を撮影トリガ信号として出力する撮影トリガ信号出力手段とを
備えたことを特徴とするMRI装置用撮影トリガ信号発生ユニット。
【請求項2】
前記導中管は、絶縁材料によって形成されることを特徴とする請求項1記載のMRI装置用撮影トリガ信号発生ユニット。
【請求項3】
被検体の生体信号に同期した撮影トリガ信号を発生するMRI装置用撮影トリガ信号発生ユニットであって、
MRI撮影に必要な傾斜磁場及びRFパルスが印加された前記被検体の近傍に配置され前記被検体から生ずる心音及び呼吸音の少なくとも何れかを音響的な生体信号として収集する生体信号ピックアップ手段と、
前記音響的な生体信号を電気的な生体信号へ変換するトランスジューサと、
前記トランスジューサの近傍に配置され前記電気的な生体信号を空中送信する送信手段と、
前記傾斜磁場及びRFパルスが印加されない領域に配置され空中送信された前記電気的な生体信号を受信する受信手段と、
この受信手段によって受信された前記電気的な生体信号に基づいてトリガ信号を生成するトリガ信号生成手段と、
前記トリガ信号を撮影トリガ信号として出力する撮影トリガ信号出力手段とを
備えたことを特徴とするMRI装置用撮影トリガ信号発生ユニット。
【請求項4】
前記生体信号ピックアップ手段は、前記被検体の周囲に配置されたRFコイルあるいは前記被検体が載置された天板の何れかに設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項3に記載したMRI装置用撮影トリガ信号発生ユニット。
【請求項5】
前記生体信号ピックアップ手段は、前記被検体から生ずる心音及び呼吸音を共通の検出素子を用いて同時に収集することを特徴とする請求項1又は請求項3に記載したMRI装置用撮影トリガ信号発生ユニット。
【請求項6】
前記電気的な生体信号を構成する前記心音に基づいた第1の生体信号と前記呼吸音に基づいた第2の生体信号を分離する生体信号分離手段を備え、前記トリガ信号生成手段は、前記生体信号分離手段が分離した第1の生体信号及び第2の生体信号の各々に対応した前記トリガ信号を生成することを特徴とする請求項5記載のMRI装置用撮影トリガ信号発生ユニット。
【請求項7】
前記生体信号分離手段は、異なる周波数特性を有するフィルタ回路により前記第1の生体信号と前記第2の生体信号を分離することを特徴とする請求項6記載のMRI装置用撮影トリガ信号発生ユニット。
【請求項8】
環境音除去手段を備え、前記環境音除去手段は、前記トランスジューサによって得られた前記電気的な生体信号と前記被検体の周囲にて収集した環境音との減算処理により前記電気的な生体信号に混入されている環境音を除去することを特徴とする請求項1又は請求項3に記載したMRI装置用撮影トリガ信号発生ユニット。
【請求項9】
前記トリガ信号生成手段が生成したトリガ信号を保存するトリガ信号記憶手段と前記トリガ信号生成手段が生成したトリガ信号の良否を判定する信号判定手段を備え、前記撮影トリガ信号出力手段は、前記信号判定手段の判定結果に基づいて前記トリガ信号生成手段が生成したトリガ信号あるいは前記トリガ信号記憶手段に予め保存されたトリガ信号の何れかを前記撮影トリガ信号として出力することを特徴とする請求項1又は請求項3に記載したMRI装置用撮影トリガ信号発生ユニット。
【請求項10】
被検体の生体信号に同期した撮影トリガ信号に基づいてMRI撮影を行なうMRI装置であって、
請求項1乃至請求項9の何れか1項に記載したMRI装置用撮影トリガ信号発生ユニットから供給される撮影トリガ信号に基づいて前記被検体に対するMRI撮影を行なうことを特徴とするMRI装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−131200(P2010−131200A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−310114(P2008−310114)
【出願日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】