説明

Mollicutesを検出するためのPNAプローブ

本発明は、Mycoplasmaおよび関連Mollicutesの測定に関連するPNAプローブ、プローブセット、混合物、方法およびキットに関する。本発明は、試料中の1またはそれ以上のMollicutesを検出する、同定するおよび/または定量するためのプローブヌクレオ塩基配列を含む、12−20ヌクレオ塩基含有サブユニットのPNAプローブを、提供する。本発明の1つの実施形態において、この1またはそれ以上のMollicutesは、Mycoplasma、AcholeplasmaまたはUreaplasmaである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本出願は、2005年5月6日に出願された米国仮特許出願第60/678,331号および2006年5月4日に出願された米国特許第11/418,387号(これらの全体が、本明細書に参考として援用される)の利益を主張する。
【0002】
ここで使用する章の標題は、構成のみを目的とするものであり、いかなる意味においても記述される対象を限定すると解釈されるべきではない。
【0003】
1.技術分野
本発明は、Mycoplasmaおよび関連Mollicutesの測定のためなどの、微生物の検出、分析および/または定量の分野に関する。
【背景技術】
【0004】
2.序論
Mollicutes綱の成員は、最も小さく、最も単純な原核生物の1つである。この綱は、Mycoplasma、AcholeplasmaおよびUreaplasma属からの種を含み、病原体であり得、および/または細胞培養中、あるいはある種の生成物および工程中に外因性汚染物質として存在し得る。それらの小さなサイズと堅い細胞壁が存在しないことにより、Mollicutes綱の成員(以下単に「Mollicutes」と称する)は細菌汚染物質を除去するためのフィルターを容易に通り抜ける。小さなサイズのゆえに、これらの生物は限られた生合成能力を有しており、そのことがこれらを必須栄養素および補因子に関して外部供給源依存性にしている。Mollicutesの多くの種が、それゆえ、細胞内寄生生物になるように進化してきた。
【0005】
Mycoplasmaのすべての種が潜在的細胞培養夾雑物として危険物質とみなされる。汚染物質として、Mycoplasma種は培養細胞に多種多様な負の作用を及ぼすことが示された。たとえばMycoplasma種は、必須栄養素に関して培養細胞と競合するまたは細胞死を引き起こし得る毒素を生産することができ、それらのすべてが細胞培養の質と生産性に影響を及ぼし得る。これらの生物は、それゆえ、薬剤、ワクチンおよび他の「生物学的製剤」の生産のために連続細胞培養に依存する、生物医薬品産業にとって重大な懸念である。Acholeplasma属の成員、特にAcholeplasma laidlawiiも、外因性の細胞培養、生成物または工程汚染物質として実質的な懸念となっている。
【0006】
Mollicutesの検出のための現在の培養方法は、これらの選好性生物の増殖のために必要な時間によって制限される。結果として、これらの方法を用いたMollicutesの検出は28日間またはそれ以上かかることがあり、今日の速いペースの医薬品製造および配給とは適合しない時間枠である。Mollicutesの検出のための迅速で単純且つ比較的安価な方法の開発は、常套的な試験および細胞培養、原材料、装置、設備等の事前対策的品質管理を可能にする。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
当業者は、以下で述べる図面の説明が例示だけを目的とすることを了解する。図面の説明は、いかなる意味においても本発明の教示の範囲を限定することを意図しない。
【0008】
特許、特許出願、記事、書物、論文およびインターネットウエブページを含むがこれらに限定されない、本明細書の中で引用するすべての参考文献および同様の資料は、そのような参考文献および同様の資料の形式に関わらず、ありとあらゆる目的のためにそれらの全体が明白に参照によりここに組み込まれる。
【0009】
4.定義
本明細書の解釈のために、以下の定義が適用され、適切な場合は常に、単数で使用される用語は複数も包含し、逆もまた同じである。以下で述べる何らかの定義が、参照によりここに組み込まれる書類を含む、他の何らかの書類におけるその語の用法と矛盾する場合は、以下で述べる定義に従うものとする。
【0010】
a.ここで使用する、「ヌクレオ塩基」は、核酸技術を利用する、または核酸に配列特異的に結合することができるポリヌクレオ塩基鎖を生成するためにペプチド核酸技術を利用する人々に一般的に知られる、天然に生じるおよび非天然に生じる複素環式部分を指す。適切なヌクレオ塩基の非限定的な例は、以下を含む:アデニン、シトシン、グアニン、チミン、ウラシル、5−プロピニル−ウラシル、2−チオ−5−プロピニル−ウラシル、5−メチルシトシン、プソイドイソシトシン、2−チオウラシル、2−チオチミン、2−アミノプリン、N9−(2−アミノ−6−クロロプリン)、N9−(2,6−ジアミノプリン)、ヒポキサンチン、N9−(7−デアザ−グアニン)、N9−(7−デアザ−8−アザ−グアニン)およびN8−(7−デアザ−8−アザ−アデニン)。適切なヌクレオ塩基の他の非限定的な例は、図1Aおよび1Bに例示されているヌクレオ塩基を含む(米国特許第6,357,163号も参照のこと)。
【0011】
b.ここで使用する、「ヌクレオ塩基配列」は、ポリヌクレオ塩基鎖の何らかのセグメント、あるいは2またはそれ以上のセグメントの集合体を指す。適切なポリヌクレオ塩基鎖の非限定的な例は、オリゴデオキシヌクレオチド(たとえばDNA)、オリゴリボヌクレオチド(たとえばRNA)、ペプチド核酸(PNA)、PNAキメラ、核酸類似体および/または核酸ミミックを含む。
【0012】
c.ここで使用する、「ヌクレオ塩基含有サブユニット」という語句は、ヌクレオ塩基を含むポリヌクレオ塩基鎖のサブユニットを指す。オリゴヌクレオチドについては、ヌクレオ塩基含有サブユニットはヌクレオチドである。ペプチドおよびタンパク質については、サブユニットはアミノ酸である。オリゴヌクレオチドおよびペプチドに関して、当業者は、他の種のポリヌクレオ塩基鎖に結合した形態のサブユニットを認識する。
【0013】
d.ここで使用する、「標的配列」は、決定しようとするポリヌクレオ塩基鎖のヌクレオ塩基配列を指す。標的配列は、MollicutesのrRNAのサブ配列であり得る。標的配列は、MollicutesのrDNAのサブ配列であり得る。標的配列は、MollicutesのrRNAのcDNAのサブ配列であり得る。標的配列は、MollicutesのゲノムDNAのサブ配列であり得る。標的配列は、MollicutesのmRNAのサブ配列であり得る。標的配列は、核酸増幅反応から生産されるポリヌクレオ塩基鎖(アンプリコンのポリヌクレオ塩基鎖を含む)のサブ配列であり得る。核酸増幅反応の非限定的な例は、以下を含む:ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、鎖置換増幅法(SDA)、転写を介した増幅法(TMA)、ローリングサークル増幅法(RCA)、サイクリングプローブテクノロジー(CPT)、ループを介した等温増幅法(LAMP)、線形標的等温多量体化および増幅法(LIMA)、およびQβレプリカーゼ。
【0014】
e.ここで使用する、「ポリヌクレオ塩基鎖」は、ヌクレオ塩基含有サブユニットを含む完全な高分子一本鎖を指す。
【0015】
f.ここで使用する、「核酸」は、ヌクレオチドから形成される骨格を有する、ヌクレオ塩基配列含有高分子、またはポリヌクレオ塩基鎖、またはそれらの類似体を指す。好ましいヌクレオチドは、DNA、RNA、L−DNA、およびlocked nucleic acids(LNA)である。疑わしさを避けるため、PNAは核酸ミミックであり、核酸または核酸類似体ではない。PNAはヌクレオチドから形成されないので、核酸ではない。
【0016】
g.ここで使用する、「ペプチド核酸」または「PNA」は、米国特許第5,539,082号、同第5,527,675号、同第5,623,049号、同第5,714,331号、同第5,718,262号、同第5,736,336号、同第5,773,571号、同第5,766,855号、同第5,786,461号、同第5,837,459号、同第5,891,625号、同第5,972,610号、同第5,986,053号、同第6,107,470号および同第6,357,163号においてペプチド核酸と称されるまたはペプチド核酸として特許請求されるポリヌクレオ塩基鎖またはポリヌクレオ塩基鎖のセグメントを含むが、これらに限定されない、2またはそれ以上のPNAサブユニットを含むポリヌクレオ塩基鎖またはポリヌクレオ塩基鎖のセグメントを指す。
【0017】
「ペプチド核酸」または「PNA」という用語はまた、以下の公表文献の中で述べられている核酸ミミックの2またはそれ以上のサブユニットを含むポリヌクレオ塩基鎖またはポリヌクレオ塩基鎖のセグメントにも適用されるものとする:Lagriffoul et al.,Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,4:1081−1082(1994);Petersen et al.,Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,6:793−796(1996);Diderichsen et al.,Tett.Lett.37:475−478(1996);Fujii et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.7:637−627(1997);Jordan et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.7:687−690(1997);Krotz et al.,Tett.Lett.36:6941−6944(1995);Lagriffoul et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.4:1081−1082(1994);Diederichsen,U.,Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,7:1743−1746(1997);Lowe et al.,J.Chem.Soc.Perkin Trans.1,(1997)1:539−546;Lowe et al.,J.Chem.Soc.Perkin Trans.11:547−554(1997);Lowe et al.,J.Chem.Soc.Perkin Trans.1 1:5 55−560(1997);Howarth et al.,J.Org.Chem.62:5441−5450(1997);Altmann,K−H et al.,Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,7:1119−1122(1997);Diederichsen,U.,Bioorganic & Med.Chem.Lett.,8:165−168(1998);Diederichsen et al.,Angew.Chem.Int.Ed.,37:302−305(1998);Cantin et al.,Tett.Lett.,38:4211−4214(1997);Ciapetti et al.,Tetrahedron,53:1167−1176(1997);Lagriffoule et al.,Chem.Eur.J.,3:912−919(1997);Kumar et al.,Organic Letters 3(9): 1269−1272(2001);および国際公開番号第WO96/04000号に開示されているShah et al.のthe Peptide−Based Nucleic Acid Mimics(PENAMs)。
【0018】
一部の実施形態では、「ペプチド核酸」または「PNA」は、式:
【0019】
【化1】

[式中、各々のJは、同じかまたは異なり、H、R、OR、SR、NHR、NR、F、Cl、BrおよびIから成る群より選択される。各々のKは、同じかまたは異なり、O、S、NHおよびNRから成る群より選択される。各々のRは、同じかまたは異なり、場合によりヘテロ原子あるいは置換または非置換アリール基を含み得る、1−5個の炭素原子を有するアルキル基である。各々のAは、単結合、式:−(CJ−の基および式:−(CJC(O)−の基[式中、Jは上記で定義sタンパク質とおりであり、各々のsは1−5の整数である]から成る群より選択される。各々のtは1または2であり、および各々のuは1または2である。各々のLは、同じかまたは異なり、アデニン、シトシン、グアニン、チミン、ウラシル、5−プロピニル−ウラシル、2−チオ−5−プロピニル−ウラシル、5−メチルシトシン、プソイドイソシトシン、2−チオウラシルおよび2−チオチミン、2−アミノプリン、N9−(2−アミノ−6−クロロプリン)、N9−(2,6−ジアミノプリン)、ヒポキサンチン、N9−(7−デアザ−グアニン)、N9−(7−デアザ−8−アザ−グアニン)、N8−(7−デアザ−8−アザ−アデニン)、他の天然に生じるヌクレオ塩基類似体および他の非天然に生じるヌクレオ塩基(たとえば図1Aおよび1B)から独立して選択される。]
の2またはそれ以上の共有結合サブユニットを含むポリヌクレオ塩基鎖またはポリヌクレオ塩基鎖のセグメントである。
【0020】
一部の実施形態では、PNAサブユニットは、メチレンカルボニル結合を通してN−[2−(アミノエチル)グリシン骨格のN−α−グリシル窒素に結合した天然に生じるまたは非天然に生じるヌクレオ塩基であり得る;これは、現在最も一般的に使用される形態のペプチド核酸サブユニットである。
【0021】
h.ここで使用する、「標識」、「レポーター部分」または「検出可能部分」という用語は、交換可能であり、ポリヌクレオ塩基鎖または抗体を装置または方法によって検出可能にするために、ポリヌクレオ塩基鎖または抗体に結合することができる、またはさもなければレポーター系において使用できる部分を指す。たとえば標識は、(i)検出可能なシグナルを与える;(ii)第二標識と相互作用して、第一または第二標識によって与えられる検出可能なシグナルを修飾する;または(iii)捕獲機能(たとえば疎水親和性、抗体/抗原、イオン錯体形成)を付与する、何らかの成分であり得る。
【0022】
i.ここで使用する、「配列特異的に」は、水素結合を通した塩基対合によるハイブリダイゼーションを指す。標準塩基対合の非限定的な例は、チミンまたはウラシルとアデニンの塩基対合およびシトシンとグアニンの塩基対合を含む。塩基対合モチーフの他の非限定的な例は、5−プロピニル−ウラシル、2−チオ−5−プロピニル−ウラシル、2−チオウラシルまたは2−チオチミンのいずれかとアデニンの塩基対合;5−メチルシトシンまたはプソイドイソシトシンのいずれかとグアニンの塩基対合;ヒポキサンチン、N9−(7−デアザ−グアニン)またはN9−(7−デアザ−8−アザ−グアニン)のいずれかとシトシンの塩基対合;2−アミノプリン、N9−(2−アミノ−6−クロロプリン)またはN9−(2,6−ジアミノプリン)のいずれかとチミンまたはウラシルの塩基対合;および万能塩基であるN8−(7−デアザ−8−アザ−アデニン)と、たとえばアデニン、シトシン、グアニン、チミン、ウラシル、5−プロピニル−ウラシル、2−チオ−5−プロピニル−ウラシル、5−メチルシトシン、プソイドイソシトシン、2−チオウラシルおよび2−チオチミン、2−アミノプリン、N9−(2−アミノ−6−クロロプリン)、N9−(2,6−ジアミノプリン)、ヒポキサンチン、N9−(7−デアザ−グアニン)またはN9−(7−デアザ−8−アザ−グアニン)のいずれかのような、他の何らかのヌクレオ塩基との塩基対合を含むが、これらに限定されない(Seela et al.,Nucl.Acids,Res.:28(17):3224−3232(2000)参照)。
【0023】
j.ここで使用する、「キメラ」または「キメラオリゴマー」という用語は、異なるクラスのサブユニットから選択される2またはそれ以上の結合サブユニットを含むポリヌクレオ塩基鎖を指す。たとえばPNA/DNAキメラは、少なくとも1個の2’−デオキシリボ核酸サブユニットに結合した少なくとも1個のPNAサブユニットを含み得る(PNA/DNAキメラの作製に関する例示的な方法および組成物については、国際公開番号第WO96/40709号参照)。キメラの例示的な成分サブユニットは、PNAサブユニット、天然に生じるアミノ酸サブユニット、DNAサブユニット、RNAサブユニットおよび核酸の類似体またはミミックのサブユニットから成る群より選択され得る。
【0024】
k.ここで使用する、「連結高分子」という用語は、リンカーによって連結されている2またはそれ以上のポリマーセグメントを含むポリヌクレオ塩基鎖を指す。連結高分子を形成するように連結され得るポリマーセグメントは、オリゴデオキシヌクレオチド、オリゴリボヌクレオチド、ペプチド、ポリアミド、ペプチド核酸(PNA)およびキメラから成る群より選択され得る。
【0025】
l.ここで使用する、「mollicutes」または「Mollicutes」という用語は、Mycoplasma、AcholeplasmaまたはUreaplasma属の1またはそれ以上の種を指す。
【0026】
m.ここで使用する「固体支持体」または「固体担体」は、その上でポリヌクレオ塩基を合成する、結合する、連結するまたはさもなければ固定化することができる何らかの固相材料を指す。固体支持体は、「樹脂」、「固相」、「表面」および「支持体」などの用語を包含する。固体支持体は、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフルオロエチレン、ポリエチレンオキシおよびポリアクリルアミ供与体どの有機ポリマー、ならびにそれらのコポリマーおよびグラフトで構成され得る。固体支持体はまた、ガラス、シリカ、細孔性ガラス(controlled−pore−glass)(CPG)、または逆相シリカなどの無機物であり得る。固体支持体の形状は、ビーズ、スフェア、粒子、顆粒、ゲルまたは表面の形態であり得る。表面は、平面、実質的に平面または非平面であり得る。固体支持体は、多孔性または非多孔性であり得、膨潤または非膨潤特性を有し得る。固体支持体は、ウエル、くぼみまたは他の入れ物、容器、特徴または位置の形態で構成され得る。複数の固体支持体を、ロボットによる試薬の送達のためにまたはレーザー照射による走査および共焦点または偏向集光(deflective light gathering)を含む検出手段によって指定可能な、様々な位置のアレイに構成することができる。
【0027】
n.ここで使用する、「支持体結合」は、固体支持体上でのまたは固体支持体への固定化を指す。固定化は、たとえば供給結合による、静電固定化による、リガンド/リガンド相互作用を通した結合による、接触によるまたは表面への沈着によるものを含む、何らかの手段によって起こり得ることは了解される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
5.詳細な説明
I.全般:
この「全般」の章で以下に述べる考察は、ここで述べる本発明の様々な実施形態の一部または全部に関係し得ることが了解されるべきである。「または」の使用は、異なる記載がない限り「および/または」を意味する。同様に、「含む(包含する)」(comprise,comprises,comprising,include,includes,including)は交換可能であり、限定を意図しない。様々な実施形態の説明が「含む」という用語を使用する場合、当業者が、一部の特定の場合、実施形態が「基本的に〜から成る」または「から成る」という言語を使用して選択的に表わされ得ることを理解することはさらに了解される。
【0029】
PNA合成
PNAの化学的構築のための方法は周知である(たとえば米国特許第5,539,082号、同第5,527,675号、同第5,623,049号、同第5,714,331号、同第5,718,262号、同第5,736,336号、同第5,773,571号、同第5,766,855号、同第5,786,461号、同第5,837,459号、同第5,891,625号、同第5,972,610号、同第5,986,053号および同第6,107,470号参照)。PNA合成方法についての一般的な参考文献として、Nielsen et al.,Peptide Nucleic Acids;Protocols and Applications,Horizon Scientific Press,Norfolk England(1999)参照。
【0030】
ペプチド核酸の支持体結合自動化学的構築のための化学物質および装置は入手可能である。標識および非標識PNAオリゴマーも同様に、注文に従って作製されるPNAオリゴマーの商業的販売者から入手可能である。PNAの化学的構築は固相ペプチド合成に類似しており、構築の各々のサイクルで、オリゴマーは、伸長するポリマーに付加される次のシントンと縮合することができる反応性アルキルアミノ末端を有する。標準ペプチド化学を利用するので、天然および非天然アミノ酸はPNAオリゴマーに常套的に組み込むことができる。PNAはポリアミドであるので、C末端(カルボキシル末端)およびN末端(アミノ末端)を有する。標的配列への逆方向結合(好ましい方向)に適するハイブリダイゼーションプローブの設計のために、PNAプローブのプローブするヌクレオ塩基配列のN末端は、等価DNAまたはRNAオリゴヌクレオチドの5’−ヒドロキシル末端の等価物である。しかし、PNAオリゴマーはまた、核酸および他のPNAオリゴマーの両方に平行方向で結合することが知られているので、ハイブリダイゼーションの方向は限定ではない。
【0031】
PNA標識:
PNAオリゴマーを標識するための非限定的な方法は、米国特許第6,110,676号、同第6,355,421号、同第6,361,942号および同第6,485,901号に述べられているか、またはさもなければPNA合成の技術分野において周知である。PNAオリゴマーを標識するための他の非限定的な方法はまた、Nielsen et al.,Peptide Nucleic Acids;Protocols and Applications,Horizon Scientific Press,Norfolk England(1999)においても論じられている。PNAオリゴマーおよびオリゴヌクレオチドはまた、米国特許第6,197,513号に述べられているようにタンパク質(たとえば酵素)およびペプチドで標識することもできる。それゆえ、様々な標識PNAオリゴマーを作製するまたは市販の販売者から購入することができる。
【0032】
核酸合成および修飾
核酸オリゴマー(オリゴヌクレオチドおよびオリゴリボヌクレオチド)の合成は常套的となってきた。核酸合成の詳細な説明については、Gait,M.J.,Oligonucleotide Synthesis:a Practical Approach.IRL Press,Oxford England参照。当業者は、標識および非標識オリゴヌクレオチド(DNA、RNAおよびそれらの合成類似体)の両方が容易に入手可能であることを認識する。それらは、市販の装置と試薬を用いて合成できるかまたは注文に応じて生産されるオリゴヌクレオチドの商業的販売者から購入することができる。
【0033】
キメラ合成および修飾
PNAキメラは、核酸とペプチド核酸サブユニットの組合せである。PNAキメラの合成、標識および修飾のための適切な参考文献は、米国特許第6,063,569号に認められる。さらに、PNA合成および標識に関して上述した方法は、しばしばPNAキメラのPNA部分を修飾するために利用できる。加えて、核酸の合成および標識のための周知の方法が、しばしばPNAキメラの核酸部分を修飾するために利用できる。それゆえ、PNAキメラの合成、標識および修飾は、当業者に公知の方法ならびに上記で述べたまたは参照した方法を利用することができる。
【0034】
標識
本発明の実施形態において使用されるポリヌクレオ塩基鎖(たとえばPNAプローブ)または抗体を標識するために使用できる検出可能部分(標識)の非限定的な例は、デキストラン複合体、分枝核酸検出系、発色団、発蛍光団、スピン標識、放射性同位体、酵素、ハプテン、アクリジニウムエステルまたは化学発光化合物を含み得る。他の適切な標識試薬および結合の好ましい方法は、PNA、ペプチドまたは核酸合成の当業者に認識される。
【0035】
ハプテンの非限定的な例は、5(6)−カルボキシフルオレセイン、2,4−ジニトロフェニル、ジゴキシゲニンおよびビオチンを含む。
【0036】
蛍光色素(発蛍光団)の非限定的な例は、5(6)−カルボキシフルオレセイン(Flu)、6−((7−アミノ−4−メチルクマリン−3−アセチル)アミノ)ヘキサン酸(Cou)、5(および6)−カルボキシ−X−ローダミン(Rox)、シアニン2(Cy2)染料、シアニン3(Cy3)染料、シアニン3.5(Cy3.5)染料、シアニン5(Cy5)染料、シアニン5.5(Cy5.5)染料、シアニン7(Cy7)染料、シアニン9(Cy9)染料(シアニン染料、2、3、3.5、5および5.5はAmersham,Arlington Heights,ILからNHSエステルとして入手可能である)またはAlexa染料シリーズ(Molecular Probes,Eugene,OR)を含む。
【0037】
酵素の非限定的な例は、ポリメラーゼ(たとえばTaqポリメラーゼ、クレノウDNAポリメラーゼ、T7 DNAポリメラーゼ、シークエナーゼ、DNAポリメラーゼ1およびphi29ポリメラーゼ)、アルカリホスファターゼ(AP)、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)、ダイズペルオキシダーゼ(SBP)、リボヌクレアーゼおよびプロテアーゼを含む。
【0038】
エネルギー転移
一部の実施形態では、ポリヌクレオ塩基鎖をエネルギー転移セットで標識することができる。エネルギー転移がハイブリダイゼーションを測定する上で有用であるためには、少なくとも1個のエネルギー転移供与体と少なくとも1個のエネルギー転移受容体部分を含むエネルギー転移セットが存在すべきである。しばしばエネルギー転移セットは1個の供与体部分と1個の受容体部分を含むが、これは限定ではない。エネルギー転移セットは、2個以上の供与体部分および/または2個以上の受容体部分を含み得る。供与体と受容体部分は、1またはそれ以上の受容体部分が1またはそれ以上の供与体部分から転移されたエネルギーを受容するようにまたはさもなければ供与体部分からのシグナルを消光するように作動する。それゆえ一部の実施形態では、供与体部分と受容体部分の両方が発蛍光団である。先に列挙した発蛍光団(適切なスペクトル特性を有する)もエネルギー転移受容体として機能し得るが、受容体部分はまた、4−((4−(ジメチルアミノ)フェニル)アゾ)安息香酸(ダブシル(dabcyl))などの非蛍光消光剤部分であり得る。エネルギー転移セットの標識は、ポリヌクレオ塩基鎖の末端で連結され得るかまたはポリヌクレオ塩基鎖内の部位で連結され得る。たとえばエネルギー転移セットの2つの標識の各々は、ポリヌクレオ塩基鎖の最も遠位の末端で連結され得る。
【0039】
供与体と受容体部分の間のエネルギーの転移は、エネルギー転移セットの密接に会合する部分の衝突、または蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)などの無放射工程のような、何らかのエネルギー転移工程を通して起こり得る。FRETが起こるために、エネルギー転移セットの供与体と受容体部分の間でのエネルギーの移動は、2つの部分が空間的に近接することおよび供与体の発光スペクトルが受容体の吸収スペクトルと実質的な重複を有することを必要とする(Yaron et al.Analytical Biochemistry,95:228−235(1979)および特にpage 232,col. 1 through page 234,col.1参照)。あるいは、衝突を介した(無放射)エネルギー転移は、供与体部分の発光スペクトルが受容体部分の吸収スペクトルと実質的な重複を有するか否かに関わらず、極めて密接に会合する供与体と受容体部分の間で起こり得る(Yaron et al.,Analytical Biochemistry,95:228−235(1979)および特にpage 229, col. 1 through page 232,col.1参照)。この工程は、消光が供与体と受容体部分の直接接触によって引き起こされると考えられるので、分子内衝突と称される(Yaron et al.参照)。エネルギー転移はまた、作用機構がまだ記述されていない工程を通して起こり得る。本出願におけるエネルギー転移への言及はこれらの機構的に異なる現象のすべてを包含することが了解されるべきである。また、エネルギー転移が同時に2つ以上のエネルギー転移工程を通して起こり得ること、および検出可能なシグナルの変化が2またはそれ以上のエネルギー転移工程の同時および/または連続作用の測定であり得ることも了解されるべきである。従って、エネルギー転移の機構は本発明の実施形態への限定ではない。
【0040】
自己指示性ポリヌクレオチド鎖におけるエネルギー転移の検出
エネルギー転移セットで標識したとき、我々はポリヌクレオ塩基鎖を自己指示性(self−indicating”と称する)。自己指示性核酸オリゴマーの非限定的な例は、米国特許第6,103,476号、同第6,150,097号および同第6,365,729号に述べられている。自己指示性PNAオリゴマーの非限定的な例は、米国特許第6,355,421号、同第6,485,901号、同第6,528,267号および同第6,649,349号に述べられている。一部の場合には、自己指示性オリゴマーは核酸増幅反応におけるプライマーとして使用できる(たとえば米国特許第5,866,366号、同第6,090,552号、同第6,117,635号および同第6,365,729号)。
【0041】
自己指示性オリゴマーと標的配列の間での雑種形成は、オリゴマーがハイブリダイズしていない状態で存在するときと比較して、ハイブリダイゼーション複合体が形成されたとき検出可能に異なるエネルギー転移セットの少なくとも1つの成員の少なくとも1つの物理的性質を測定することによって観測できる。我々はこの現象をポリヌクレオ塩基鎖の自己指示特性と称する。検出可能シグナルのこの変化は、標的配列へのオリゴマーのハイブリダイゼーションによって引き起こされる供与体と受容体部分の間でのエネルギー転移の効率の変化から生じる。
【0042】
たとえば検出手段は、エネルギー転移セットの供与体の蛍光または受容体発蛍光団を測定することを含み得る。一部の実施形態では、エネルギー転移セットは、供与体発蛍光団の蛍光の測定が、標的配列へのオリゴマーのハイブリダイゼーションを検出、同定または定量するために使用できるように、少なくとも1個の供与体発蛍光団と少なくとも1個の受容体(蛍光または非蛍光)消光剤を含み得る。たとえば標的配列へのオリゴマーのハイブリダイゼーション後に供与体発蛍光団の蛍光の測定可能な上昇が存在し得る(図2参照)。
【0043】
一部の実施形態では、エネルギー転移セットは、少なくとも1個の供与体部分または1個の受容体部分のいずれかまたは両方の蛍光の測定が、標的配列への自己指示性オリゴマーのハイブリダイゼーションを検出、同定または定量するために使用できるように、少なくとも1個の供与体発蛍光団と少なくとも1個の受容体発蛍光団を含み得る。
【0044】
自己指示性PNAオリゴマーはインサイチューハイブリダイゼーションにおいて使用できる。自己指示性PNAオリゴマーはまた、リアルタイムまたは終点での核酸増幅反応の分析のために有用である。
【0045】
検出可能なおよび独立して検出可能な部分/マルチプレックス(多重)分析
マルチプレックスハイブリダイゼーションアッセイが本発明の実施形態に従って実施できる。マルチプレックスアッセイでは、多数の対象条件を同時に検討することができる。マルチプレックスアッセイは、アッセイの間またはアッセイが完了した後に、試料成分またはそれに関連するデータを分類する能力に基づく。本発明の様々な実施形態では、1またはそれ以上の異なる独立して検出可能な部分が、アッセイで使用される2またはそれ以上の異なるプローブを標識するために使用できる。独立して検出可能な部分の各々を識別するおよび/または定量する能力は、異なって(独立して)標識されたプローブの各々の特定標的配列へのハイブリダイゼーションと相関するデータを、試料中で検出しようとする各々の生物(たとえばmollicute)の存在、不在および/または量と相関させることができるので、ハイブリダイゼーションアッセイを多重化するための手段を提供する。その結果として、本発明のマルチプレックスアッセイは、同じ試料および同じアッセイにおいて2またはそれ以上の異なる生物(たとえばmollicute)の存在、不在および/または量を同時に検出するために使用できる。たとえばマルチプレックスアッセイは、各々が独立して検出可能な発蛍光団、または独立して検出可能な発蛍光団のセットで標識されている、2またはそれ以上のPNAプローブを使用することができる。
【0046】
スペーサー/リンカー部分
一般に、スペーサーは、かさの高い標識試薬がプローブのハイブリダイゼーション特性に及ぼし得る有害作用を最小限に抑えるために使用される。リンカーは、典型的にはポリヌクレオ塩基鎖に柔軟性とランダム性を誘導するまたはさもなければポリヌクレオ塩基鎖の2またはそれ以上のヌクレオ塩基配列を連結する。ここで述べるポリヌクレオ塩基鎖のための好ましいスペーサー/リンカー部分は、1またはそれ以上のアミノアルキルカルボン酸(たとえばアミノカプロン酸)、アミノ酸の側鎖(たとえばリシンまたはオルニチンの側鎖)、天然アミノ酸(たとえばグリシン)、アミノオキシアルキル酸(たとえば8−アミノ−3,6−ジオキサオクタン酸)、アルキル二酸(たとえばコハク酸)、アルキルオキシ二酸(たとえばジグリコール酸)またはアルキルジアミン(たとえば1,8−ジアミノ−3,6−ジオキサオクタン)を含み得る。スペーサー/リンカー部分はまた、付随的にまたは意図的に、ポリヌクレオ塩基鎖の水溶解度を改善するように構築され得る(たとえばGildea et al.,Tett.Lett.39:7255−7258(1998)および米国特許第6,326,479号および同第6,770,442号参照)。
【0047】
たとえばスペーサー/リンカー部分は、式:−Y−(O−(CW−Z−を有する1またはそれ以上の連結化合物を含み得る。Y基は、単結合、−(CW−、−C(O)(CW−、−C(S)(CW−および−S(O)(CWから成る群より選択され得る。Z基は、式NH、NR、SまたはOを有し得る。各々のWは、独立してH、R、−OR、F、Cl、BrまたはIであり得る[式中、各々のRは、−CX、−CXCX、−CXCXCX、−CXCX(CXおよび−C(CX
から成る群より独立して選択され得る。各々のXは、独立してH、F、Cl、BrまたはIであり得る]。各々のmは、独立して0または1であり得る。各々のn、oおよびpは、独立して0−10の整数であり得る。
【0048】
ハイブリダイゼーション条件/ストリンジェンシー
核酸ハイブリダイゼーションの当業者は、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーを課するまたは制御するために一般的に使用される因子が、ホルムアミド濃度(または他の化学的変性試薬)、塩濃度(すなわちイオン強度)、ハイブリダイゼーション温度、洗浄剤濃度、pHおよびカオトロッピック剤の存在または不在を含むことを認識する。プローブ/標的の組合せのための最適ストリンジェンシーは、しばしば上記ストリンジェンシー因子のいくつかを固定し、次に1個のストリンジェンシー因子を変化させることの影響を測定する周知の手法によって見出され得る。PNAのハイブリダイゼーションがイオン強度と全く無関係であることを除き、同じストリンジェンシー因子を、PNAの核酸へのハイブリダイゼーションのストリンジェンシーを制御するように調節することができる。アッセイのための最適ストリンジェンシーは、所望識別度が達成されるまで各々のストリンジェンシー因子を検討することによって実験的に決定され得る。
【0049】
適切なハイブリダイゼーション条件
一般に、核酸汚染物質を生じさせるバックグラウンドが標的配列とより密接に関連するほど、ストリンジェンシーをより慎重に制御しなければならない。ブロッキングプローブも、単なるストリンジェンシー因子の最適化によって可能な限界を超えて識別を改善するための手段として使用できる。適切なハイブリダイゼーション条件は、それゆえ、アッセイが正確で(アッセイに関して所望する許容範囲内で)再現性のある結果を生じるように、所望識別度が達成される条件を含む。常套的な実験とここで提供する開示だけを助けとして、当業者は、ここで開示する方法、キットおよび組成物を使用してアッセイを実施するための適切なハイブリダイゼーション条件を容易に決定することができる。適切なハイブリダイゼーション条件は、標的配列へのプローブのハイブリダイゼーションならびにリアルタイムPCR反応におけるようなプライマー部位へのプライマーのハイブリダイゼーションの両方に適用できる。適切なインサイチューハイブリダイゼーション条件は、インサイチューハイブリダイゼーション手順を実施するために適切な条件を含む。それゆえ、適切なハイブリダイゼーションまたは適切なインサイチューハイブリダイゼーション条件は生物学的技術分野において周知であり、所望識別レベルを達成するための特定条件は、付加的な常套的実験を伴ってまたは伴わずに、ここで提供する開示を用いて達成することができる。
【0050】
ブロッキングプローブ
ブロッキングプローブは、プローブポリマーのプローブヌクレオ塩基配列の非標的配列への結合を抑制するために使用できる核酸または非核酸プローブ(たとえばPNAプローブ)である。PNAオリゴマーはブロッキングプローブであり得る(Coull et al.,米国特許第6,110,676号参照)。典型的には、ブロッキングプローブはプローブヌクレオ塩基配列と密接に関連し、好ましくはプローブヌクレオ塩基配列と比較して点突然変異を含む。ブロッキングプローブは、非標的配列へのハイブリダイゼーションによって機能し、それにより、プローブヌクレオ塩基配列と非標的配列の間のハイブリダイゼーションによって形成されるよりも熱力学的に安定な複合体を形成すると考えられる。より安定で好ましい複合体の形成は、プローブヌクレオ塩基配列と非標的配列の間のより不安定で好ましくない複合体の形成をブロックする。それゆえ、ブロッキングプローブは、存在し得るおよびアッセイの成績に干渉し得る非標的配列へのPNAプローブの結合を抑制するために本発明の様々な実施形態に関して使用できる。ブロッキングプローブは単一点突然変異の識別に適用することができる。
【0051】
プローブヌクレオ塩基配列
ポリヌクレオ塩基鎖のプローブヌクレオ塩基配列は、構築物の特異的配列認識部分である。たとえばPNAプローブのプローブヌクレオ塩基配列は、標的配列の存在、不在および/または量が試料中の生物(たとえばmollicute)の存在、不在および/または量を測定するために使用できる、標的配列に配列特異的にハイブリダイズするように設計されたヌクレオ塩基の配列である。それゆえ、選択アッセイ様式のためのPNAプローブの必要条件を十分に考慮して、プローブのプローブヌクレオ塩基配列の長さは、一般に、適切なハイブリダイゼーション条件または適切なインサイチューハイブリダイゼーション条件下でPNAプローブと標的配列の間に安定な複合体が形成されるように選択される。
【0052】
プローブ複合体
一部の実施形態では、2個のプローブが一緒になって標的配列にハイブリダイズするように設計することができ、それにより、各々のプローブのヌクレオ塩基配列は、アッセイにおいて検出しようとする生物の完全な標的配列へのハイブリダイゼーションのために必要なプローブヌクレオ塩基配列の半分または約半分を含む。非限定的な例として、2個のプローブのプローブヌクレオ塩基配列は、参照によりここに組み込まれる、H.Orum et al.,による、“Method of identifying a nucleic acid using triple helix formation of adjacently annealed probes”と題する米国特許第6,027,893号に述べられているように設計し得る。この方法を使用して、標的配列にハイブリダイズするプローブを標識してもよくまたは標識しなくてもよい。しかし、検出されるのは、隣接プローブのアニーリングによって形成されるプローブ複合体である。PNAプローブだけから成る同様の組成物が米国特許第6,287,772号に述べられている。
【0053】
連結高分子
一部の実施形態では、連結高分子をプローブとして使用することができる。先に定義したように、連結高分子は、リンカーによって連結された2またはそれ以上の高分子セグメントを含むポリヌクレオ塩基鎖を指す。従って、一部の実施形態では、PNAプローブは2個のヌクレオ塩基配列を含むように設計することができ、それにより2個のヌクレオ塩基配列の各々は、アッセイにおいて検出しようとする生物の完全な標的配列へのハイブリダイゼーションのために必要なプローブヌクレオ塩基配列の半分または約半分を含む。3個以上の高分子セグメントを使用する場合は、連結高分子セグメントの2またはそれ以上を、様々なセグメントの集合体ヌクレオ塩基配列がアッセイにおいて検出しようとする生物の標的配列へのハイブリダイゼーションのために必要なプローブヌクレオ塩基配列を含むように組み合わせることができる。
【0054】
プローブ
様々な実施形態において、ポリヌクレオ塩基鎖は核酸増幅反応におけるプライマーとして使用することができる。プライマーはオリゴヌクレオチドであり得る。プライマーはPNA/DNAキメラであり得る。一部の実施形態では、プライマーは標識することができる。一部の実施形態では、プライマーは非標識であり得る。プライマーは、PCR増幅反応などの核酸増幅反応において使用できる。
【0055】
非対称および非同調(Asynchronous)PCR
一部の実施形態では、非対称または非同調PCRはアッセイにおいて使用することができる。非対称PCRは、米国特許第5,066,584号の中でGyllensten et al.によって述べられており、米国特許第6,485,901号および6,649,349号では自己指示性プローブと組み合わせて使用されている。非同調PCRは、国際公開番号第WO01/94638号の中でChen et al.によって記述されている。どちらの場合も、増幅反応は二本鎖鋳型のポリヌクレオ塩基一本鎖を他方の鎖よりも多く生産し、過剰に生産されるポリヌクレオ塩基鎖が標的配列を含む。
【0056】
内部陽性対照
一部の実施形態では、内部陽性対照(IPC)を増幅アッセイに含め得る。IPCはプライマー、プローブおよび標的DNAの独立したセットで構成され得る。IPCは、アッセイにおいて増幅が起こったことを確認するために含めることができる。反応において増幅が起こったことを確認することにより、陰性結果が得られた場合に増幅の失敗を除外することが可能である。IPCの増幅は、別個のチューブまたはウエルにおいてあるいはMycoplasmaおよび関連Mollicutesを検出するプローブおよびプライマーの1またはそれ以上と一緒に実施し得る。標的DNAは、プラスミドにクローニングし得るかまたはオリゴヌクレオチドであり得る。内部陽性対照は市販のものが入手可能である。
【0057】
II.本発明の様々な実施形態
a.PNAプローブ:
一部の実施形態では、本発明は1またはそれ以上のPNAプローブを対象とする。1またはそれ以上のPNAプローブは、試料中のMycoplasmaおよび関連Mollicutes(Acholeplasmaおよび/またはUreaplasmaなど)を測定するために選択できる。測定は、試料中のMycoplasma、Acholeplasmaおよび/またはUreaplasma種を検出する、同定するおよび/または定量することを含み得る。1またはそれ以上のPNAプローブは、対象生物内に存在するか否かに関わらず、核酸の分析のために使用することができる。従って、本発明は、生物の分析(たとえばインサイチュー分析)のためならびに対象生物からのまたは対象生物に由来する核酸抽出物の分析(たとえばPCR分析)のために使用することができる。それゆえ、標的配列の供給源は限定ではない。
【0058】
【表1】

注:
1)ヌクレオ塩基配列は、核酸については5’−3’方向、およびPNAについてはN末端からC末端方向に示している。
2)MycoplasmaおよびMollicutes綱の関連種の検出のための公表されている既存のPCRプライマー配列と本発明の核酸プライマー配列の類似性を決定するため、データベースの検索を実施した。National Center for Biotechnology Information(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/blast/bl2seq/bl2.html)より入手可能な「2個の配列の整列」機能を使用して、配列番号1−9を50個以上の公開Mycoplasma標的プライマーのセット(Dussurget and Roulland−Dussoix,1994;Kong et al.,2001;Tang et al.,2000;Uphoff and Drexler,1999;van Kuppeveld,et al.,1994)と比較した。配列番号2、3、5および6−9は、スクリーニングしたプライマーのいずれとも重複しなかったが、配列番号1および4は公知のプライマーといくぶんかの相同性を示した。
【0059】
一般に、本発明はMollicutesの測定のために有用であり得る。PNAプローブは、Mollicutesの種の1またはそれ以上の属の特異的測定のために有用であるプローブヌクレオ塩基配列を含み得る。1またはそれ以上のMollicutesにおいて標的配列を検出するのに適する様々なPNAプローブのプローブヌクレオ塩基配列を表1の配列番号6−9に列挙する。そこで、一部の実施形態では、PNAプローブは、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号6の相補物、配列番号7の相補物、配列番号8の相補物または配列番号9の相補物を含み得る。配列番号1−5として同定するプライマーと組み合わせて、表2に列挙する生物を測定するために1またはそれ以上のPCR増幅反応を実施することができる。表2は、Mollicutes綱に属する100以上の種の生物を特定する。
【0060】
一部の実施形態では、1またはそれ以上のPNAプローブは、12−20ヌクレオ塩基含有サブユニットの長さを有し得る。一部の実施形態では、PNAプローブは、13−18ヌクレオ塩基含有サブユニットの長さを有し得る。一部の実施形態では、PNAプローブは、15−17ヌクレオ塩基含有サブユニットの長さを有し得る。一部の実施形態では、PNAプローブは、表1に列挙する正確なヌクレオ塩基配列を有するように選択できる。従って、一部の実施形態では、PNAプローブのプローブヌクレオ塩基配列は、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号6の相補物、配列番号7の相補物、配列番号8の相補物または配列番号9の相補物である。表1の配列番号6−9として列挙するプローブヌクレオ塩基配列の相補物は、標的配列のコピーを作製するまたは増幅することが可能であり、コピーは標的配列の相補物であって、それゆえ表1に列挙するヌクレオ塩基配列の相補物と結合するので、適切なPNAプローブの製造において潜在的に有用である。
【0061】
【表2】

PNAプローブは、標的配列に相補的なプローブヌクレオ塩基配列を有し得る。あるいは、プローブと標的配列の間に1またはそれ以上の点突然変異(塩基ミスマッチ)が存在するプローブを使用するとき、より大きな配列識別が得られることが明らかにされているので、実質的に相補的なプローブヌクレオ塩基配列が使用できる(Guo et al.,Nature Biotechnology 15:331−335(1997)参照)。
【0062】
本発明は、表1に列挙するプローブヌクレオ塩基配列内の変異が、表2に列挙する生物の特異的検出に適したPNAプローブを提供し得ることを考慮する。一般的な変異は、欠失、挿入およびフレームシフトを含む。ここで述べるパラメータ内でのプローブヌクレオ塩基配列の変異は、本発明の実施形態であるとみなされる。
【0063】
1またはそれ以上のPNAプローブは、プローブヌクレオ塩基配列だけを含み得るか(ここで先に述べたように)または付加的な部分を含み得る。付加的な部分の非限定的な例は、検出可能部分(標識)、リンカー、スペーサー、天然または非天然アミノ酸、ペプチド、酵素および/またはPNA、DNAまたはRNAの他のサブユニットを含む。付加的な部分は、アッセイにおいて機能性または非機能性であり得る。一般に、しかしながら、付加的な部分は、PNAプローブが使用できるアッセイの設計の範囲内で機能性であるように選択される。たとえばPNAプローブは、1またはそれ以上の検出可能部分で標識できる、あるいは2またはそれ以上の独立して検出可能な部分で標識することができる。独立して検出可能な部分は、独立して検出可能な発蛍光団であり得る。検出可能または独立して検出可能のいずれの場合も、PNAプローブは自己指示性であり得る。標識の非限定的な例はここで先に述べられている。
【0064】
PNAプローブは、インサイチューハイブリダイゼーション(ISH)および蛍光インサイチューハイブリダイゼーション(FISH)において使用することができる(たとえば米国特許第6,280,946号、同第6,649,349号、同第6,656,687号および同第6,664,045号参照)。PNAプローブは核酸増幅反応において使用できる(たとえば米国特許第6,355,421号、同第6,361,942号、同第6,441,152号、同第6,485,901号および同第6,649,349号参照)。
【0065】
過剰のプローブは、時として、特異的にハイブリダイズしたプローブの検出可能部分が、まだ存在するがハイブリダイズしていないプローブから生じるバックグラウンドシグナルを上回って検出できるようにアッセイから除去される。しかし、ある種の自己指示性プローブはほとんどまたは全くバックグラウンドを生じないので、過剰のプローブが試料から完全に除去される(洗い流される)という必要条件を排除するために使用できる。
【0066】
非標識非核酸プローブ
本発明のプローブは、作動性であるために検出可能部分で標識される必要はない。PNAプローブを使用するとき、標的配列へのプローブのプローブヌクレオ塩基配列のハイブリダイゼーションによって形成されるPNAプローブ/標的配列複合体を検出することが可能である。たとえば標的配列へのPNAプローブヌクレオ塩基配列のハイブリダイゼーションによって形成されるPNA/核酸複合体は、抗体結合条件下で複合体と特異的に相互作用する抗体を用いて検出できる。PNA/核酸複合体に対する適切な抗体およびそれらの作製と使用のための方法は、たとえば米国特許第5,612,458号に述べられている。
【0067】
PNA/核酸複合体とα−PNA/核酸抗体の相互作用によって形成される抗体/PNA/核酸複合体は、いくつかの方法で検出することができる。たとえばα−PNA/核酸抗体を検出可能部分で標識することができる。適切な検出可能部分はここで先に述べられている。それゆえ、検出可能部分の存在、不在および/または量を、抗体/PNA/核酸複合体および同定しようとする1またはそれ以上のMollicutesの存在、不在および/または量と相関させることができる。あるいは、検出可能部分で標識した二次抗体を用いて抗体/PNA/核酸複合体を検出できる。典型的には、二次抗体は、抗体結合条件下でα−PNA核酸抗体に特異的に結合する。それゆえ、検出可能部分の存在、不在および/または量を、抗体/抗体/PNA/核酸複合体および同定しようとする1またはそれ以上のMollicutesの存在、不在および/または量と相関させることができる。ここで使用する、抗体という用語は、他の抗体または他の抗体フラグメントに特異的に結合する抗体フラグメントを包含する。
【0068】
表面へのプローブの固定化
一部の実施形態では、PNAプローブは溶液中で使用することができる。一部の実施形態では、PNAプローブは支持体上に固定化することができる。従って、PNAプローブの1またはそれ以上を、場合により、対象標的生物の標的配列の検出のために表面に固定化することができる。
【0069】
PNAプローブは、紫外線架橋の周知の工程を用いて表面に固定化できる。PNAプローブは、脱保護には適するが合成支持体からの切断には適さない方法で、表面上で合成することができる(Weiler,J.et al.,Hybridization based DNA screening on peptide nucleic acid (PNA) oligomer arrays.,Nucl.Acids Res.,25, 14:2792−2799(July 1997)参照)。さらにもう1つの実施形態では、PNAプローブは、表面の官能基とプローブ上の適切な官能基の反応によって表面に共有結合することができる(米国特許第6,475,721合参照)。
【0070】
表面へのPNAプローブの化学結合のための方法は、一般に、修飾する支持体上の求電子基と固定化するプローブの求核基(たとえばアミンまたはチオール)の反応を含む。あるいは、求核基が支持体上に存在し、求電子基(たとえば活性化カルボン酸)がプローブ上に存在してもよい。天然PNAはアミノ末端を有するので、PNAは、表面に固定化するための修飾を必ずしも必要としない(米国特許第6,475,721合参照)。
【0071】
表面へのPNAプローブの固定化に適する条件は、一般に高分子の標識に適する条件と同様である。固定化反応は基本的に標識化と等価であり、標識が、高分子を連結しようとする表面に置き換わる。
【0072】
アミノ基、カルボン酸基、イソシアネート、イソチオシアネートおよびマレイミド基で誘導体化される数多くの種類の表面が市販されている。適切な表面の非限定的な例は、膜、チップ(たとえばシリコンチップ)、ガラス、細孔性ガラス、ポリスチレン粒子(ビーズ)、シリカおよび金ナノ粒子を含む。
【0073】
PNAプローブのアレイ
アレイは、2またはそれ以上のプローブが各々規定された位置に固定化されている表面である。PNAプローブのアレイは、たとえば米国特許第6,475,721号ならびに Weiler,J.et al.,Hybridization based DNA screening on peptide nucleic acid(PNA) oligomer arrays.,Nucl.Acids Res.,25,14:2792−2799(July 1997)に述べられている。固定化プローブのプローブヌクレオ塩基配列は、1またはそれ以上の標的生物からの核酸を含み得る試料を調べるために賢明に選択し得る。各々の固定化プローブの位置と組成物が既知であるので、アレイは、試料中に存在し得る2またはそれ以上の標的生物(たとえば1またはそれ以上のMollicutes)からの核酸の同時検出、同定および/または定量のために有用であり得る。さらに、PNAプローブのアレイは、各々のアッセイ後にハイブリダイズした核酸のいずれかを取り除くことによって再生させることができ、それにより、同じアレイを用いて多数の試料を繰り返し分析するための手段を提供する。そこで、PNAプローブまたはPNAプローブセットのアレイは、対象標的生物に関する試料の反復スクリーニングのために有用であり得る。あるいは、少なくとも1個のPNAプローブまたは2個以上のPNAプローブを含み得る。表1で特定するプローブヌクレオ塩基配列を含むPNAプローブは、表2に列挙する1またはそれ以上のMollicutesを測定するのに適し得る。
【0074】
b.PNAプローブセット
一部の実施形態では、本発明はまた、試料中の1またはそれ以上のMollicutesを検出する、同定するおよび/または定量するのに適したプローブセットを対象とする。1またはそれ以上のMollicutesの測定に適するPNAプローブの一般的なおよび好ましい特徴は、ここで先に述べられている。そのようなプローブにおける使用に適する例示的なプローブヌクレオ塩基配列は、表1の配列番号6−9として列挙されている。そのようなPNAプローブの1またはそれ以上を、プローブセットを形成するために1またはそれ以上の他のプローブと組み合わせることができる。
【0075】
従って、一部の実施形態では、セットの少なくとも1個のPNAプローブは、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号6の相補物、配列番号7の相補物、配列番号8の相補物または配列番号9の相補物をプローブヌクレオ塩基配列として含み得る。一部の実施形態では、プローブセットは、配列番号6をプローブヌクレオ塩基配列として含むPNAプローブ、配列番号7をプローブヌクレオ塩基配列として含むPNAプローブ、配列番号8をプローブヌクレオ塩基配列として含むPNAプローブおよび/または配列番号9をプローブヌクレオ塩基配列として含むPNAプローブを含み得る。一部の実施形態では、PNAプローブセットは、配列番号6のPNAプローブ、配列番号7のPNAプローブ、配列番号8のPNAプローブおよび/または配列番号9のPNAプローブを含み得る。
【0076】
1またはそれ以上のMollicutesの特異的測定のために特性決定されたセット内のPNAプローブの分類は、本発明の非常に強力な実施形態であり得る。プローブセットは、少なくとも1個のPNAプローブを含み得るが、PNAプローブだけを含む必要はない。たとえばプローブセットは、PNAプローブおよび核酸プローブおよび/または核酸プライマーの混合物を含み得るが、ただし、セットがここで述べる少なくとも1個のPNAプローブを含むことを条件とする。1またはそれ以上のMollicutesを測定するために有用なPNAプローブは、他の生物についてのプローブと組み合わせることができる。プローブセットは、インサイチューハイブリダイゼーションアッセイまたはPCRアッセイなどのアッセイを実施するために選択されるプライマーおよび/または他の試薬と組み合わせることができる。一部の実施形態では、セットのプローブの一部は、PNAまたは核酸から成るブロッキングプローブであり得る。
【0077】
表1は、1またはそれ以上のMollicutesの測定に適する2またはそれ以上のプローブヌクレオ塩基配列を列挙する。選択的なプローブヌクレオ塩基配列が存在する場合は、アッセイにおける検出可能シグナルを上昇させるために2またはそれ以上のPNAプローブを含むプローブセットを使用できる。単一アッセイにおいて測定できる種の数を増加させるために2またはそれ以上のPNAプローブをセット内で組み合わせることができる。
【0078】
一部の実施形態では、プローブセットは、各々独立して検出可能なプローブが試料中の異なるMollicutesまたはMollicutesのセットを測定するのに適する、2またはそれ以上の独立して検出可能なPNAプローブを含み得る。そのようなアッセイは、Mollicutesの2またはそれ以上の属またはMollicutesの種の各々が、試料中に存在するかどうかが独立して測定される、マルチプレックスアッセイであり得る。一部のマルチプレックスアッセイでは、同定、検出および/または定量しようとする様々な種の各々を測定するために、適切な独立して検出可能なプローブを使用することができる。
【0079】
c.混合物
一部の実施形態では、本発明はまた、試料中の1またはそれ以上のMollicutesを検出する、同定するおよび/または定量するのに適した混合物を対象とする。混合物は、ここで述べる1またはそれ以上のPNAプローブを含み得る。Mollicutesの測定に適するPNAプローブの一般的なおよび好ましい特徴は、ここで先に述べられている。そのようなプローブにおける使用に適する例示的なプローブヌクレオ塩基配列は、表1の配列番号6−9として列挙されている。
【0080】
Mollicutesの特異的測定のためにプローブを混合物に組み合わせることは、本発明の非常に強力な実施形態であり得る。そのような混合物は、少なくとも1個のPNAプローブを含み得るが、PNAプローブだけを含む必要はない。そのような混合物は、PNAプローブ、核酸プローブおよび/または核酸プライマーを組み合わせることができる。そのような混合物は、1またはそれ以上のMollicutesを測定するために有用なPNAプローブを、他の生物の測定のためのプローブと組み合わせることができる。PNAプローブをプライマーおよび/または他の試薬と組み合わせた混合物は、インサイチューハイブリダイゼーションアッセイまたはPCRアッセイなどのアッセイを実施するために選択することができる。一部の実施形態では、混合物のプローブは、PNAまたは核酸から成るブロッキングプローブを含み得る。
【0081】
一部の実施形態では、混合物を形成するために組み合わせる成分は、アッセイを実施するために選択できる。たとえば混合物の成分は、試料中の1またはそれ以上のMollicutesを検出する、同定するおよび/または定量するために使用されるアッセイの一部として核酸増幅反応を実施するために選択できる。そのような混合物は、各々がMollicutesの核酸内のプライマー部位にハイブリダイズすることができる、15−30ヌクレオチド長の少なくとも2個の核酸プライマー、およびMollicutesの核酸内の標的配列にハイブリダイズすることができる、12−20ヌクレオ塩基含有サブユニットの少なくとも1個のPNAプローブを含み得る。
【0082】
たとえば少なくとも2個の核酸プライマーは、各々、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4または配列番号5を含み得るかまたは前記で構成され得る。同様に、1またはそれ以上のPNAプローブのプローブヌクレオ塩基配列は、各々、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号6の相補物、配列番号7の相補物、配列番号8の相補物または配列番号9の相補物を含み得るかまたは前記で構成され得る。1つのそのような混合物は、a)配列番号1のプライマー;配列番号2のプライマー;配列番号3のプライマー;配列番号4のプライマー;および/または配列番号5のプライマー;ならびにb)プローブヌクレオ塩基配列としての配列番号6から成るPNAプローブ;プローブヌクレオ塩基配列としての配列番号7から成るPNAプローブ;プローブヌクレオ塩基配列としての配列番号8から成るPNAプローブ;および/またはプローブヌクレオ塩基配列としての配列番号9から成るPNAプローブを含み得る。
【0083】
一部の実施形態では、混合物は、PCR増幅反応を実施するために選択される他の試薬をさらに含み得る。一部の実施形態では、混合物は内部陽性対照をさらに含み得る。そのような試薬および対照は、市販のものを入手し得るか、またはさもなければ当業者に周知である。
【0084】
一部の実施形態では、混合物の成分はインサイチューハイブリダイゼーションアッセイを実施するために選択される。PNAプローブを使用したインサイチューアッセイは周知である(米国特許第6,280,946号、同第6,649,349号、同第6,656,687号および同第6,664,045号参照)。従って、常套的な実験とここで開示する情報だけで、1またはそれ以上のMollicutesを測定するのに適した混合物の成分を選択することが可能である。
【0085】
一部の実施形態では、混合物の成分は、2以上の生物を測定する、マルチプレックスアッセイを実施するために選択できる。一部の場合、マルチプレックスアッセイはMollicutesの2またはそれ以上の種を測定するように設計することができる。一部の場合、マルチプレックスアッセイはMycoplasmaの3以上の種を測定するように設計することができる。
【0086】
混合物の各々の成分の量は、アッセイの必要条件に基づいて選択される。従って、プローブおよびプライマーの量はアッセイの特定設計によって決定され得る。様々な種のアッセイにおいてPNAプローブおよびプライマーを使用することについては多くが知られているので、ここで述べる開示と組み合わせた常套的な実験だけが、そのようなアッセイを実施するのに適した混合物を製剤するために必要な成分の量を決定することに関与する。
【0087】
d.方法
一部の実施形態では、本発明はまた、試料中の1またはそれ以上のMollicutesを測定するのに適した方法を対象とする。Mollicutesの測定に適するPNAプローブの一般的なおよび好ましい特徴は、ここで先に述べられている。例示的なプローブヌクレオ塩基配列は、表1の配列番号6−9として列挙されている。
【0088】
一部の実施形態では、方法は、a)試料を、12−20ヌクレオ塩基含有サブユニットの1またはそれ以上のPNAプローブと接触させること、ただし1またはそれ以上のPNAプローブの各々は、配列番号6、配列番号7、配列番号8または配列番号9を含むまたは前記から成るプローブヌクレオ塩基配列を含む;およびb)適切なハイブリダイゼーション条件または適切なインサイチューハイブリダイゼーション条件下で、試料中の少なくとも1個の標的配列へのPNAプローブのプローブヌクレオ塩基配列のハイブリダイゼーションを測定し、その結果を試料中の1またはそれ以上のMollicuteの存在、不在および/または量と相関させることを含み得る。この相関は、プローブ/標的配列複合体の直接または間接測定によって可能である。
【0089】
一部の実施形態では、前記方法はインサイチューハイブリダイゼーションアッセイとして実施される。インサイチュー法によって分析する生物は、様々な方法によって分析のために調製できる。細胞をスライドガラスに固定し、フィルム、カメラ、スライドスキャナーまたは顕微鏡で視覚化することができる。あるいは、細胞を固定し、その後フローサイトメーターで分析することができる。スライドスキャナーおよびフローサイトメーターは、対象試料中に存在する標的生物の数を迅速に定量するために特に有用である。
【0090】
生物からの核酸も分析することができる。典型的には、これらの分析のために、しばしば生物の細胞を溶解した後核酸を採集することを通して、生物の核酸を収集する。
【0091】
核酸を採集する場合、核酸増幅反応が実施できる。それゆえ一部の実施形態では、前記方法は、c)試料を、15−30ヌクレオチド長の少なくとも2個の核酸プライマーおよびPCR増幅反応を実施するために選択される他の試薬と接触させること;およびd)標的配列を含む1またはそれ以上のアンプリコンを生産するためにPCR増幅反応を実施することをさらに含み得る。一部の実施形態では、核酸プライマーは、各々、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4または配列番号5を含み得るかまたは前記で構成され得る。一部の実施形態では、PCRアッセイは、エンドポイントPCRアッセイまたはリアルタイムPCRアッセイである。一部の実施形態では、前記の1またはそれ以上のPNAプローブは自己指示性である(たとえば実施例1)。
【0092】
e.キット
一部の実施形態では、本発明は、試料中の1またはそれ以上のMollicutesを測定するアッセイを実施するのに適したキットを対象とする。1またはそれ以上のMollicutesの検出、同定および/または定量に適するPNAプローブの一般的なおよび好ましい特徴は、ここで先に述べられている。
【0093】
本発明のキットは、1またはそれ以上のPNAプローブ、およびアッセイを実施するためまたはさもなければアッセイの実施を単純化するために選択される他の試薬または組成物を含み得る。キットは、たとえばPNA−ISHまたはPNA−FISHアッセイを実施するために選択される緩衝液および/または他の試薬を含み得る。他の実施形態では、緩衝液および/または他の試薬は、PCR反応などの核酸増幅反応を実施するために選択することができる。当業者は、PNA−ISH、PNA−FISHアッセイまたはPCRアッセイを実施するために使用されるキットにおいてどのような種類の試薬が典型的に存在するかを認識する。
【0094】
f.本発明の実施形態を使用するための例示的な適用
ここで述べるPNAプローブ、プローブセット、混合物、方法およびキットは、1またはそれ以上のMollicutesを測定するために有用であることが明らかになった。測定するとは、試料中の1またはそれ以上のMollicutesの存在、不在および/または量を確立することを意味する。さらに、ここで述べるアッセイは迅速に(一部の実施形態、たとえば図6では、わずか35分間)実施することができる。アッセイは、感受性が高く、信頼でき、単一アッセイにおいて、 表2に列挙する生物を検出および/または枚挙することができる。
【0095】
支持体結合しているか溶液中であるかに関わらず、ここで述べるPNAプローブ、プローブセット、混合物、方法および/またはキットは、哺乳動物、昆虫または植物起源の細胞培養物において、完成医薬品、ワクチンまたは他の細胞培養由来の生物学的製剤またはパーソナルケア製品でのそれらの生産のために使用される原材料において、乳製品またはボトル入り飲料水において、1またはそれ以上のMollicutesの迅速で感受性があり、信頼できる検出のために、あるいは環境試料の分析のために使用することができる。これらは、食品、水、医薬品、パーソナルケア製品、乳製品を製造または保存するために使用される原材料、装置、製品または工程の分析のため、あるいは環境試料の分析のために特に有用であり得る。
【0096】
支持体結合しているか溶液中であるかに関わらず、ここで述べるPNAプローブ、プローブセット、混合物、方法および/またはキットは、臨床または動物試料中および環境中の1またはそれ以上のMollicutesの測定のために有用であり得る。臨床試料の非限定的な例は、痰(sputum)、喉頭スワブ、胃洗浄液、気管支洗浄液、生検、吸引液、痰(expectorates)、体液(たとえば脊髄液、胸膜液、心膜液、滑液、血液、膿、羊水および尿)、骨髄および組織切片を含む。適切なPNAプローブ、プローブセット、混合物、方法およびキットはまた、ヒトまたは動物を治療するために使用される臨床標本、装置、備品または製品の分析のために特に有用であり得る。
【0097】
6.実施例
本発明の教示の態様は、以下の実施例に照らしてさらに理解することができるが、これらの実施例は、いかなる意味においても本発明の範囲を限定すると解釈されるべきではない。
【0098】
すべてのPNAオリゴマーは従来の合成および精製手順を用いて調製した。すべての核酸プライマーは商業的供給源より購入した。[Jens/Byron−これは正しいのか?]。
【実施例】
【0099】
実施例1
Mycoplasmaおよび関連する属の検出
Mycoplasma種および関連するMollicutesの属の検出のために多くのポリメラーゼ連鎖反応アッセイが考案されたが(Dussurget,et al.,1994;Haier et al.,1999;Jensen et al.,1999;Kidder et al.,1993;Tang et al.,2000;van Kuppeveld et al.,1992;van Kuppeveld et al.,1994)、この大きくて系統発生的に多様な生物の群に属する配列を選択に増幅するプライマーを特定することの困難さは、これらのプライマーセットのうちで意図する標的に対して完全に特異的であることが示されたものはないという事実に反映されている(Kong et al.,2001)。Mycoplasmaおよび関連する属の検出のためのここで述べるDNAプライマーとPNAプローブの併用は、2つの層の特異性を含むので、これらのこれまでのアッセイよりも特異的である。最初の層の特異性は、標的生物のこの幅広い群の配列多様性を包含するように選択された、ここで述べる5個のDNAプライマー(配列番号1−5)の組合せにある。この実施例で述べるアッセイにおいて使用される条件下で、これらのプライマーは、AcholeplasmaおよびUreaplasma種などの、多くのMycoplasma種および関連するMollicutesの属についてのアンプリコンを生成すると予想された。
【0100】
【表3】

注:1)glu=グルタミン酸;lys=リシン;2)ヌクレオ塩基配列は、核酸プライマーについては5’−3’方向、およびPNAプローブについてはN末端からC末端方向に示している;3)プライマーの一部とプローブの一部の間にはヌクレオ塩基配列の部分的な重複がある。そのような重複は太字で示している。
これらのプライマーは、Bacillus、Lactobacillus、Staphylococcus、StreptococcusおよびClostridiumなどの、最も密接に関連する属の非標的細菌からのDNAの増幅を避けるように設計されたが、他の非標的細菌との不慮の交差反応が起こり得ることは可能であった(Kong et al.,2001;Jensen et al.,1999)。2番目の層の特異性は、ここで述べる4個のPNA(配列番号6−9)の使用にある。アッセイによって標的されるMycoplasmaおよび他のMollicutesから予想される4個のアンプリコンの存在を報告するためにこれらのPNAプローブの配列特異的ハイブリダイゼーションを使用した。アッセイに設計されたこれら2層の特異性により、非標的生物に属するゲノムDNAとの不慮のプライマー交差反応または人工産物から生じるアンプリコンおよびプライマー二量体形成などの副反応がアッセイ結果の解釈を混乱させることはなかった。
【0101】
表3の要点:
プライマー配列:
配列番号1=広く反応性の正方向プライマー
配列番号2=Mycoplasma arginini、Mycoplasma salivarium、Mycoplasma orale、Mycoplasma arthriditis、Mycoplasma hominisおよび関連種を標的する逆方向プライマー
配列番号3=Mycoplasma fermentansおよび関連種を標的する逆方向プライマー
配列番号4=Acholeplasma laidlawiiおよび関連種を標的する逆方向プライマー
配列番号5=Mycoplasma pirum、Mycoplasma pneumoniae、M.genitaliumおよび関連種を標的する逆方向プライマー。
【0102】
プローブ配列:
配列番号6=配列番号1(正方向プライマー)と配列番号2(逆方向プライマー)の組合せを使用して生成されるアンプリコンの検出のための自己指示性PNAプローブ
配列番号7=配列番号1(正方向プライマー)と配列番号3(逆方向プライマー)の組合せを使用して生成されるアンプリコンの検出のための自己指示性PNAプローブ
配列番号8=配列番号1(正方向プライマー)と配列番号4(逆方向プライマー)の組合せを使用して生成されるアンプリコンの検出のための自己指示性PNAプローブ
配列番号9=配列番号1(正方向プライマー)と配列番号5(逆方向プライマー)の組合せを使用して生成されるアンプリコンの検出のための自己指示性PNAプローブ。
【0103】
アッセイの説明:
このアッセイは、4個のPNAプローブ、1個の正方向PCRプライマーおよび4個の逆方向PCRプライマーを含んだ。このプローブセットは、細胞系汚染の95%を生じさせることが報告された8つの「問題」種を含む、Mycoplasmaのほぼすべての公知の種を同定するために選択した。このプローブセットはまた、同じ細胞培養汚染物質として重大な懸念である、Acholeplasma laidlawiの同定も可能にする。このアッセイを用いて測定できる付加的な標的生物は表2に列挙されている。このアッセイは、Spiroplasma、Entomoplasma、Mesoplasma(Mollicutes)ならびに非Mollicutes属のLactobacillusは標的しなかった。
【0104】
PCR条件:
リアルタイムPCR反応については、以下の条件を使用した:PCRチューブに、PCR Mix 40μLおよびMycoplasmaまたはAcholeplasmaゲノムDNA(American Type Culture Collection,Manassas,VA)またはそれらの適切な混合物10μLを添加した。PCR Mixは、1×緩衝液A(Applied Biosystems,Foster City,CA)、MgCl 3.0mM、4個のdNTP(デオキシヌクレオチド三リン酸)の各々0.25mM、PNAプローブ500nM、正方向プライマー100nM、逆方向プライマー100nM、AmpliTaq(商標) Goldポリメラーゼ2単位(Applied Biosystems,Foster City,CA)を含んだ。PCRサイクリング条件を、以下のサイクルプロトコールを用いてABI PRISM(登録商標) 7000 Sequence Detection Systemにおいて実施した:
予熱;95℃、10分間
以下の50サイクル:
95℃、15秒間
60℃、1分間。
【0105】
迅速エンドポイントPCR反応については、以下の条件を使用した:PCRチューブに、PCR Mix 20μLおよびMycoplasma argininiおよびBacillus subtilisゲノムDNA(American Type Culture Collection,Manassas,VA)5μLを添加した。添加した各々のDNAの最終濃度は140fgであった。PCR Mixは、1×KOD Hot Start DNAポリメラーゼ緩衝液(Novagen,Madison,WI)、MgCl 2.0mM、4個のdNTP(デオキシヌクレオチド三リン酸)の各々0.25mM、PNAプローブ(配列番号6)500nM、正方向プライマー(配列番号1)100nM、逆方向プライマー(配列番号2)1000nM、1×KOD Hot Start DNAポリメラーゼ(Novagen,Madison,WI)および1×(50nM)ROX内部標準染料の最終濃度を含んだ。PCRサイクリング条件を、以下のサイクルプロトコールを用いてABI 9800 Fast PCR Systemで実施した。
【0106】
以下の50サイクル:
95℃、2秒間
60℃、5秒間。
【0107】
PCRの完了後、スペクトルの収集とデータの数量化のためにFast PCR SystemプレートをABI Prism 7700 Sequence Detection Systemに移した。蛍光も、紫外線トランスイルミネーターを使用して容易に視覚化された。
【0108】
内部陽性対照:
以下は、PCRアッセイにおいて使用した内部陽性対照の成分の説明である:
【0109】
【化2】

太字部分はIPC内のプライマー部位を示し、下線部分はPNAプローブの結合部位を示す。Vic標識PNAプローブはApplied Biosystemsから市販されている。
【0110】
結果:
図3Aは、PNAに基づくMycoplasmaリアルタイムPCRアッセイの広い動的範囲を示す。この実験では、様々な量のMycoplasma pirumゲノムDNAを反応のための鋳型として使用した。各々の曲線を作成するために使用したM.pirumゲノムDNAの量をナノグラム、ピコグラムまたはフェムトグラムで示す。添加したDNAの量およびM.pirumのゲノムサイズの両方に基づいて算定した、対応する標的コピー数をカッコ内に示す。この図は、アッセイが6対数範囲以上のDNA標的濃度で十分に機能したことを明らかにする。図3Bは配列番号9についてのCtプロットである。このプロットは、反応系に添加した既知濃度の標的DNAと生じたCt値−増幅曲線が検出閾値と交差する点−の間の関係を示す。この直線関係は、未知の試料中に最初に存在する標的DNAの濃度を算定するために使用できる。加えて、この直線の勾配はPCR反応の効率を算定するために使用し得る。
【0111】
図4は、配列番号6に対応するPNAプローブの、その予想標的群(Mycoplasma arginini、Mycoplasma arthriditis、Mycoplasma hominis、Mycoplasma orale、Mycoplasma salivariumおよび関連種)に対する特異性を示す。非標的Mycoplasma種(Mycoplasma fermentans、Acholeplasma laidlawii、Mycoplasma pirum、Mycoplasma pneumoniae)は、これらの種のゲノムDNAからアンプリコンを生産することができるプライマーの反応に存在したにもかかわらず、シグナルを生じなかった。
【0112】
図5は、配列番号8に対応するPNAプローブの、その予想標的群(Acholeplasma laidlawiiおよび関連種)に対する特異性を示す。非標的Mycoplasma種(Mycoplasma arginini、Mycoplasma fermentans、Mycoplasma pirum、Pseudomonas aeruginosaおよびBacillus subtilis)は、これらの種のゲノムDNAからアンプリコンを生産することができるプライマーの反応に存在したにもかかわらず、シグナルを生じなかった。
【0113】
図6は、MycoplasmaリアルタイムPCRアッセイによるMycoplasma種の選択的同定を示す。配列番号1−5に対応するDNAプライマーおよび配列番号6−9に対応するPNAプローブを含むマルチプレックスアッセイを、単一チューブにおいて、標的および非標的細菌からのゲノムDNAと組み合わせた。Mycoplasmaの4つの標的群と関連Mollicutesの代表からのDNAがこのアッセイによって容易に検出された。代表非標的細菌種(Bacillus subtilis、Pseudomonas aeruginosa、Lactobacillus delbrueckii)からのDNAは検出されなかった。
【0114】
図7は、Mollicutes、この場合はMycoplasma argininiの迅速で選択的な終点検出のためにFast PCR Systemと組み合わせた、ここで述べるDNAプライマーとPNAプローブの有用性を示す。標的生物(Mycoplasma argnini、〜1.72のΔRn)と非標的生物(Bacillus subtilis、〜0.59のΔRn)の間の530nmでの最終蛍光値の大きな差は反応の特異性を強調する。〜605nmでの二次蛍光最大値は内部標準に属し、診断値ではない。
【0115】
考察:
非対称PCRは、もう1本の鎖に比べて1本の鎖の選択的増幅を可能にする。これは、過剰生産を所望する鎖の合成を指令するプライマーを大量に添加することによって達成される。過剰に存在するプライマーは、反応チューブ内で使用可能な限られた資源(ヌクレオチド、マグネシウム等)のより大きな割合を消費し、特に反応の対数期の間に、生成物形成の偏りを導く。この実施例で述べるPNAプローブを用いたPCRアッセイでは、過剰生産を所望する生成物は、標的配列を含むポリヌクレオ塩基鎖(すなわちPNAプローブに相補的なヌクレオ塩基配列を含むアンプリコンの鎖)である。この実施例で述べるアッセイでは、正方向プライマー(配列番号1)は0.1μMのレベルで存在し、一方逆方向プライマー(配列番号2−5)は各々1μMの濃度で存在した。PNAプローブは0.5μMの濃度で使用した。
【0116】
製薬材料または工程におけるMycoplasma汚染を検出する上での使用を別にして、この実施例で述べるプライマーとプローブの独自の組合せはまた、インシリコでの特異性試験が、それらがヒトにおける非淋菌性尿道炎および他の尿生殖器感染などの状態に関連するMycoplasmaまたはUreaplasma種の大部分を検出できることを示唆するので、医学的に関係するMycoplasmaの存在/不在検出のために有用であると考えられる(Yoshida et al.,2002)。これらのプライマーおよびプローブはまた、それらが経済的に重要な動物疾患に関与するMycoplasma種を検出すると期待されるので、動物診断適用においても有用であると考えられる(Persson et al.,2002)。
【0117】
このアッセイの目標は、Mycoplasmaおよび関連するMollicutesの属に属する最大数の種を検出することであった。標的群の大きさと系統発生的多様性を考慮して、実験前には、選択プライマー配列がアッセイによって求められる機能的特異性を有するかどうかは不明であった。それゆえ、標的生物であるM.argininiとM. oraleは配列番号2によって表わされる逆方向プライマーに1個のミスマッチを示すが、これらの種が使用した最終的PCR条件下で容易に検出できたことは幾分意外であった。同様に、この配列に2個のミスマッチを示すM.salivariumも、最終アッセイにおいて容易に検出された。
【0118】
本発明の教示を様々な実施形態に関連して説明しているが、本教示がそのような実施形態に限定されることは意図しない。逆に、本教示は、当業者に認識されるように、様々な代替、変更および等価物を包含する。
【0119】
【化3】

【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】図1Aおよび1Bは、本発明の様々な実施形態において使用される核酸プライマーおよび/またはPNAプローブに組み込むことができるいくつかのヌクレオ塩基の例示である。
【図2】図2は、ハイブリダイズしていない(a)およびハイブリダイズした(b)状態の自己指示性PNAプローブの例示である。そのハイブリダイズしていない状態(a)では、蛍光が実質的に消光しており、ハイブリダイズした状態(b)では、検出可能な蛍光の実質的な上昇が存在する。
【図3A】図3Aは、少なくとも2個の核酸プライマーと少なくとも1個のここで述べるPNAプローブを使用した、Mollicutesについてのアッセイのリアルタイム感受性および特異性試験に関するABI7700からの出力データである。
【図3B】図3Bは、図3Aに示したデータのCtプロット分析である。
【図4】図4は、少なくとも2個の核酸プライマーと少なくとも1個のここで述べるPNAプローブを使用した、Mollicutesについてのアッセイのリアルタイム感受性および特異性試験に関するABI7700からの出力データである。
【図5】図5は、少なくとも2個の核酸プライマーと少なくとも1個のここで述べるPNAプローブを使用した、Mollicutesについてのアッセイのリアルタイム感受性および特異性試験に関するABI7700からの出力データである。
【図6】図6は、少なくとも2個の核酸プライマーと少なくとも1個のここで述べるPNAプローブを使用した、Mollicutesについてのアッセイのリアルタイム感受性および特異性試験に関するABI7700からの出力データである。
【図7】図7は、核酸プライマーと少なくとも1個のここで述べるPNAプローブを使用したMollicutesについての高速エンドポイントアッセイに関するABI9800からの出力データである。
【図8】図8は、染料1の化学構造の例示である。
【図1A】

【図1B】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料中の1またはそれ以上のMollicutesを検出する、同定するおよび/または定量するためのプローブヌクレオ塩基配列を含む、12−20ヌクレオ塩基含有サブユニットのPNAプローブ。
【請求項2】
前記1またはそれ以上のMollicutesがMycoplasma、AcholeplasmaまたはUreaplasmaである、請求項1に記載のPNAプローブ。
【請求項3】
前記プローブが、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号6の相補物、配列番号7の相補物、配列番号8の相補物および配列番号9の相補物から成る群より選択されるプローブヌクレオ塩基配列を含む、請求項1に記載のPNAプローブ。
【請求項4】
前記PNAプローブのプローブヌクレオ塩基配列が、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号6の相補物、配列番号7の相補物、配列番号8の相補物または配列番号9の相補物である、請求項1に記載のPNAプローブ。
【請求項5】
前記プローブが標識されていない、請求項1に記載のPNAプローブ。
【請求項6】
前記プローブが少なくとも1つの検出可能部分で標識されている、請求項1に記載のPNAプローブ。
【請求項7】
前記1または複数の検出可能部分が、デキストラン複合体、分枝核酸検出系、発色団、発蛍光団、スピン標識、放射性同位体、酵素、ハプテン、アクリジニウムエステルまたは化学発光化合物から成る群より選択される、請求項6に記載のPNAプローブ。
【請求項8】
前記プローブが支持体結合している、請求項1に記載のPNAプローブ。
【請求項9】
前記プローブが自己指示性である、請求項1に記載のPNAプローブ。
【請求項10】
試料中の1またはそれ以上のMollicutesを検出する、同定するおよび/または定量するのに適するPNAプローブセット。
【請求項11】
前記1またはそれ以上のMollicutesがMycoplasma、AcholeplasmaまたはUreaplasmaである、請求項10に記載のプローブセット。
【請求項12】
各々のPNAプローブが12−20ヌクレオ塩基含有サブユニットを含む、請求項10に記載のプローブセット。
【請求項13】
前記セットの少なくとも1個のPNAプローブが、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号6の相補物、配列番号7の相補物、配列番号8の相補物および配列番号9の相補物から成る群より選択されるプローブヌクレオ塩基配列を含む、請求項10に記載のプローブセット。
【請求項14】
前記セットが、配列番号6をプローブヌクレオ塩基配列として含むPNAプローブ、配列番号7をプローブヌクレオ塩基配列として含むPNAプローブ、配列番号8をプローブヌクレオ塩基配列として含むPNAプローブおよび/または配列番号9をプローブヌクレオ塩基配列として含むPNAプローブを含む、請求項10に記載のプローブセット。
【請求項15】
前記セットが、プローブヌクレオ塩基配列として配列番号6のPNAプローブ、プローブヌクレオ塩基配列として配列番号7のPNAプローブ、プローブヌクレオ塩基配列として配列番号8のPNAプローブおよび/またはプローブヌクレオ塩基配列として配列番号9のPNAプローブを含む、請求項10に記載のプローブセット。
【請求項16】
前記セットのすべてのプローブが1またはそれ以上の検出可能部分で標識されている、請求項10に記載のプローブセット。
【請求項17】
前記セットの少なくとも1個のプローブが自己指示性である、請求項10に記載のプローブセット。
【請求項18】
セットの少なくとも1個のプローブが支持体結合している、請求項10に記載のプローブ前記セット。
【請求項19】
a)各々が1またはそれ以上のMollicutesの核酸内のプライマー配列にハイブリダイズすることができる、15−30ヌクレオチド長の少なくとも2個の核酸プライマー;および
b)1またはそれ以上のMollicutesの核酸内の標的配列にハイブリダイズすることができる、12−20ヌクレオ塩基含有サブユニットの少なくとも1個のPNAプローブ
を含む混合物。
【請求項20】
前記1またはそれ以上のMollicutesがMycoplasma、AcholeplasmaまたはUreaplasmaである、請求項19に記載の混合物。
【請求項21】
c)PCR増幅反応を実施するために選択される他の試薬
をさらに含む、請求項19に記載の混合物。
【請求項22】
内部陽性対照をさらに含む、請求項21に記載の混合物。
【請求項23】
c)インサイチューハイブリダイゼーションアッセイを実施するために選択される他の試薬
をさらに含む、請求項19に記載の混合物。
【請求項24】
前記少なくとも2個の核酸プライマーが各々独立して配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4または配列番号5である、請求項19に記載の混合物。
【請求項25】
前記1または複数のPNAプローブが、各々配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号6の相補物、配列番号7の相補物、配列番号8の相補物および配列番号9の相補物から成る群より独立して選択されるプローブヌクレオ塩基配列を含む、請求項19に記載の混合物。
【請求項26】
各々のプローブのプローブヌクレオ塩基配列が、独立して配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号6の相補物、配列番号7の相補物、配列番号8の相補物または配列番号9の相補物である、請求項19に記載の混合物。
【請求項27】
1または複数のPNAプローブが自己指示性である、請求項19に記載の混合物。
【請求項28】
a)配列番号1のプライマー;配列番号2のプライマー;配列番号3のプライマー;配列番号4のプライマー;および/または配列番号5のプライマー;および
b)プローブヌクレオ塩基配列としての配列番号6から成るPNAプローブ;プローブヌクレオ塩基配列としての配列番号7から成るPNAプローブ;プローブヌクレオ塩基配列としての配列番号8から成るPNAプローブ;および/またはプローブヌクレオ塩基配列としての配列番号9から成るPNAプローブ
を含む、請求項19に記載の混合物。
【請求項29】
a)試料を、12−20ヌクレオ塩基含有サブユニットの1またはそれ以上のPNAプローブと接触させること、ここで該1またはそれ以上のPNAプローブの各々は、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号6の相補物、配列番号7の相補物、配列番号8の相補物および配列番号9の相補物から成る群より独立して選択されるプローブヌクレオ塩基配列を含む;および
b)適切なハイブリダイゼーション条件または適切なインサイチューハイブリダイゼーション条件下で、試料中の少なくとも1個の標的配列への1または複数の該PNAプローブのプローブヌクレオ塩基配列のハイブリダイゼーションを測定し、その結果を試料中の1またはそれ以上のMollicuteの存在、不在および/または量と相関させること
を含む方法。
【請求項30】
前記1またはそれ以上のMollicutesがMycoplasma、AcholeplasmaまたはUreaplasmaである、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
c)前記試料を、15−30ヌクレオチド長の少なくとも2個の核酸プライマーおよびPCR増幅反応を実施するために選択される他の試薬と接触させること;および
d)1または複数の前記標的配列を含む1またはそれ以上のアンプリコンを生産するためにPCR増幅反応を実施すること
をさらに含む、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記PCRアッセイがエンドポイントPCRアッセイまたはリアルタイムPCRアッセイである、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
1または複数の前記PNAプローブが自己指示性である、請求項29に記載の方法。
【請求項34】
e)試料を少なくとも1つの内部陽性対照と接触させること
をさらに含む、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
a)各々が1またはそれ以上のMollicutesの核酸内のプライマー配列にハイブリダイズすることができる、15−30ヌクレオチド長の少なくとも2個の核酸プライマー;および
b)1またはそれ以上のMollicutesの核酸内の標的配列にハイブリダイズすることができる、12−20ヌクレオ塩基含有サブユニットの少なくとも1個のPNAプローブ
を含むキット。
【請求項36】
前記1またはそれ以上のMollicutesがMycoplasma、AcholeplasmaまたはUreaplasmaである、請求項35に記載のキット。
【請求項37】
c)PCR増幅反応を実施するために選択される他の試薬
をさらに含む、請求項35に記載のキット。
【請求項38】
c)少なくとも1つの内部陽性対照
をさらに含む、請求項35に記載のキット。
【請求項39】
少なくとも2個の核酸プライマーが、各々独立して、
配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4または配列番号5
である、請求項38に記載のキット。
【請求項40】
1または複数の前記PNAプローブが各々、
配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号6の相補物、配列番号7の相補物、配列番号8の相補物または配列番号9の相補物
から成る群より独立して選択されるプローブヌクレオ塩基配列を含む、請求項38に記載のキット。
【請求項41】
1または複数の前記PNAプローブが自己指示性である、請求項35に記載のキット。

【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2008−541703(P2008−541703A)
【公表日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−510317(P2008−510317)
【出願日】平成18年5月5日(2006.5.5)
【国際出願番号】PCT/US2006/017764
【国際公開番号】WO2006/122049
【国際公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【出願人】(505310541)アプレラ コーポレイション (12)
【Fターム(参考)】