説明

N−フルオレニル−N,N−ジフェニルアミン誘導体の製造方法

【課題】低温反応によって、着色性の不純物を実質的に生じさせることなく従来製法と同等以上の収率で白色のN−フルオレニル−N,N−ジフェニルアミン誘導体を製造できる方法を提供すること。
【解決手段】パラジウム触媒、第三級ホスフィン類及び塩基の存在下で、フルオレン化合物をジフェニルアミン化合物と反応せしめて、N−フルオレニル−N,N−ジフェニルアミン誘導体を製造するにあたり、第三級ホスフィン類が式(4):


で示される第三級ホスフィン類であることを特徴とするN−フルオレニル−N,N−ジフェニルアミン誘導体の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機エレクトロニクス材料として有用なN−フルオレニル−N,N−ジフェニルアミン誘導体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、式(3):
【0003】
【化1】

(式中、Rは水素原子又はアルキル基を表し、R及びRは同じであっても異なっていてもよく、水素原子又はアルキル基を表す。)で示されるN−フルオレニル−N,N−ジフェニルアミン誘導体(以下、N−フルオレニル−N,N−ジフェニルアミン誘導体(3)と略記する。)の製造方法としては、銅触媒の存在下で、9,9−ジアルキル−2−ヨードフルオレン類をジアリールアミン類と反応させる、ウルマン反応により製造する方法が知られている(例えば特許文献1参照)。しかしウルマン反応は、1)約180〜250℃の高温を必要とすること、2)この高温反応のために着色性不純物が副生するので、白色の高純度品を得るには活性炭の使用による着色性不純物の除去を必要することから工業的に実施するには未だ満足のいく方法ではない。
【特許文献1】特開平08−283180号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、従来製法と比較してより低温での反応を行うことができ、その低温反応によって、着色性の不純物を実質的に生じさせることなく従来製法と同等以上の収率で白色のN−フルオレニル−N,N−ジフェニルアミン誘導体(3)を製造できる方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、パラジウム触媒、第三級ホスフィン類及び無機塩基の存在下で、式(1):
【0006】
【化2】

(式中、Xは臭素原子又はヨウ素原子を表し、Rは上記と同一の意味を表す。)で示されるフルオレン化合物(以下、フルオレン化合物(1)という。)を式(2):
【0007】
【化3】

(式中、R及びRは上記と同一の意味を表す。)で示されるジフェニルアミン化合物(以下、ジフェニルアミン化合物(2)という。)と反応せしめて、N−フルオレニル−N,N−ジフェニルアミン誘導体(3)を製造するにあたり、第三級ホスフィン類が式(4):
【0008】
【化4】

(式中、R及びRは同じであっても異なっていてもよく、アルキル基又はシクロアルキル基を示し、R、R及びRは水素原子又はアルキル基を示す。また、RとRが互いに結合して、RとRがそれぞれ結合しているピロール環の二つの炭素原子と共に芳香族環を形成していてもよい。)で示される第三級ホスフィン類(以下、第三級ホスフィン類(4)という。)であることを特徴とするN−フルオレニル−N,N−ジフェニルアミン誘導体(3(3)の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の製造方法によれば、従来製法と比較してより低温で反応を行っても、従来製法と同等以上の収率で、かつ着色性不純物が実質的に生成することなく従来製法のような活性炭の使用を行わなくても、白色のN−フルオレニル−N,N−ジフェニルアミン誘導体(3)を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の詳細に述べる。
式(1)及び式(3)中、Rで表されるアルキル基としては、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜20のアルキル基を表し、好ましくは炭素数1〜6のアルキル基である。具体的には、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、3,7−ジメチルオクチル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、イコシル基等が挙げられる。
【0011】
式(2)及び式(3)中、R及びRで表されるアルキル基としては上記のアルキル基が挙げられる。
【0012】
式(4)中、R及びRは同じであっても異なっていてもよく、アルキル基又はシクロアルキル基を表し、中でも好ましくは、R及びRの少なくとも一つがシクロアルキル基である場合である。アルキル基としては上記のアルキル基が挙げられ、シクロアルキル基としては、上記アルキル基を置換基として有していてもよいシクロアルキル基が挙げられ、具体的には例えば、シクロペンチル基、2−メチルシクロペンチル基、3−メチルシクロペンチル基、シクロヘキシル基、2−メチルシクロヘキシル基、3−メチルシクロヘキシル基、4−メチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基等が挙げられる。R、R及びRで表されるアルキル基としては上記のアルキル基が挙げられる。またRとRが互いに結合して、RとRがそれぞれ結合しているピロール環の二つの炭素原子と共に芳香族環を形成するとき、該芳香族環の具体例としては、ベンゼン環等が挙げられる。
【0013】
フルオレン化合物(1)の具体例としては2−ブロモフルオレン、2−ヨードフルオレン、2−ブロモ−9,9−ジメチルフルオレン、2−ヨード−9,9−ジメチルフルオレン、2−ブロモ−9,9−ジエチルフルオレン、2−ヨード−9,9−ジエチルフルオレン、2−ブロモ−9,9−ジプロピルフルオレン、2−ヨード−9,9−ジプロピルフルオレン、2−ブロモ−9,9−ジブチルフルオレン、2−ヨード−9,9−ジブチルフルオレン、2−ブロモ−9,9−ジイソブチルフルオレン、2−ブロモ−9,9−ジペンチルフルオレン、2−ヨード−9,9−ジペンチルフルオレン、2−ブロモ−9,9−ジヘキシルフルオレン、2−ヨード−9,9−ジヘキシルフルオレン、2−ブロモ−9,9−ジオクチルフルオレン、2−ヨード−9,9−ジオクチルフルオレン、2−ブロモ−9,9−ジ(2−エチルヘキシル)フルオレン、2−ヨード−9,9−ジデシルフルオレン、2−ブロモ−9,9−ジ(3,7−ジメチルオクチル)フルオレン等が挙げられる。
【0014】
ジフェニルアミン化合物(2)の具体例としては、ジフェニルアミン、ジ(2−メチルフェニル)アミン、ジ(3−メチルフェニル)アミン、ジ(4−メチルフェニル)アミン、N−フェニル−N−(2−メチルフェニル)アミン、N−フェニル−N−(3−メチルフェニル)アミン、N−フェニル−N−(4−メチルフェニル)アミン等が挙げられる。
【0015】
N−フルオレニル−N,N−ジフェニルアミン誘導体(3)の具体例としては、N−(フルオレン−2−イル)−N,N−ジフェニルアミン、N−(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)−N,N−ジフェニルアミン、N−(9,9−ジエチルフルオレン−2−イル)−N,N−ジフェニルアミン、N−(9,9−ジブチルフルオレン−2−イル)−N,N−ジフェニルアミン、N−(9,9−ジイソブチルフルオレン−2−イル)−N,N−ジフェニルアミン、N−(9,9−ジペンチルフルオレン−2−イル)−N,N−ジフェニルアミン、9,9−ジヘキシルフルオレン−2−イル)−N,N−ジフェニルアミン、N−(9,9−ジオクチルフルオレン−2−イル)−N,N−ジフェニルアミン、N−(9,9−ジ(2−エチルヘキシル)フルオレン−2−イル)−N,N−ジフェニルアミン、N−(9,9−ジデシルフルオレン−2−イル)−N,N−ジフェニルアミン、N−(9,9−ジドデシルフルオレン−2−イル)−N,N−ジフェニルアミン、N−(9,9−ジテトラデシルフルオレン−2−イル)−N,N−ジフェニルアミン、N−(9,9−ジヘキサデシルフルオレン−2−イル)−N,N−ジフェニルアミン、N−(9,9−ジオクタデシルフルオレン−2−イル)−N,N−ジフェニルアミン、N−(9,9−ジイコシルフルオレン−2−イル)−N,N−ジフェニルアミン、
【0016】
N−(フルオレン−2−イル)−N−フェニル−N−(4−メチルフェニル)アミン、N−(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)−N−フェニル−N−(4−メチルフェニル)アミン、N−(9,9−ジエチルフルオレン−2−イル)−N−フェニル−N−(4−メチルフェニル)アミン、N−(9,9−ジブチルフルオレン−2−イル)−N−フェニル−N−(4−メチルフェニル)アミン、N−(9,9−ジイソブチルフルオレン−2−イル)−N−フェニル−N−(4−メチルフェニル)アミン、N−(9,9−ジペンチルフルオレン−2−イル)−N−フェニル−N−(4−メチルフェニル)アミン、9,9−ジヘキシルフルオレン−2−イル)−N−フェニル−N−(4−メチルフェニル)アミン、N−(9,9−ジオクチルフルオレン−2−イル)−N−フェニル−N−(4−メチルフェニル)アミン、N−(9,9−ジ(2−エチルヘキシル)フルオレン−2−イル)−N−フェニル−N−(4−メチルフェニル)アミン、N−(9,9−ジデシルフルオレン−2−イル)−N−フェニル−N−(4−メチルフェニル)アミン、N−(9,9−ジドデシルフルオレン−2−イル)−N−フェニル−N−(4−メチルフェニル)アミン、N−(9,9−ジテトラデシルフルオレン−2−イル)−N−フェニル−N−(4−メチルフェニル)アミン、N−(9,9−ジヘキサデシルフルオレン−2−イル)−N−フェニル−N−(4−メチルフェニル)アミン、N−(9,9−ジオクタデシルフルオレン−2−イル)−N−フェニル−N−(4−メチルフェニル)アミン、N−(9,9−ジイコシルフルオレン−2−イル)−N−フェニル−N−(4−メチルフェニル)アミン、
【0017】
N−(フルオレン−2−イル)−N,N−ジ(4−メチルフェニル)アミン、N−(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)−N,N−ジ(4−メチルフェニル)アミン、N−(9,9−ジエチルフルオレン−2−イル)−N,N−ジ(4−メチルフェニル)アミン、N−(9,9−ジブチルフルオレン−2−イル)−N,N−ジ(4−メチルフェニル)アミン、N−(9,9−ジイソブチルフルオレン−2−イル)−N,N−ジ(4−メチルフェニル)アミン、N−(9,9−ジペンチルフルオレン−2−イル)−N,N−ジ(4−メチルフェニル)アミン、9,9−ジヘキシルフルオレン−2−イル)−N,N−ジ(4−メチルフェニル)アミン、N−(9,9−ジオクチルフルオレン−2−イル)−N,N−ジ(4−メチルフェニル)アミン、N−(9,9−ジ(2−エチルヘキシル)フルオレン−2−イル)−N,N−ジ(4−メチルフェニル)アミン、N−(9,9−ジデシルフルオレン−2−イル)−N,N−ジ(4−メチルフェニル)アミン、N−(9,9−ジドデシルフルオレン−2−イル)−N,N−ジ(4−メチルフェニル)アミン、N−(9,9−ジテトラデシルフルオレン−2−イル)−N,N−ジ(4−メチルフェニル)アミン、N−(9,9−ジヘキサデシルフルオレン−2−イル)−N,N−ジ(4−メチルフェニル)アミン、N−(9,9−ジオクタデシルフルオレン−2−イル)−N,N−ジ(4−メチルフェニル)アミン、N−(9,9−ジイコシルフルオレン−2−イル)−N,N−ジ(4−メチルフェニル)アミン等が挙げられる。
【0018】
第三級ホスフィン類(4)の具体例としては、N−フェニルピロール−2−イル−ジシクロペンチルホスフィン、N−フェニルピロール−2−イル−ジシクロヘキシルホスフィン、N−フェニルピロール−2−イル−ジシクロヘプチルホスフィン、N−フェニルピロール−2−イル−ジイソプロピルホスフィン、N−フェニルピロール−2−イル−ジブチルホスフィン、N−フェニルピロール−2−イル−ジイソブチルホスフィン、N−フェニルピロール−2−イル−ジsec−ブチルホスフィン、N−フェニルピロール−2−イル−ジtert−ブチルホスフィン、N−フェニルインドール−2−イル−ジシクロペンチルホスフィン、N−フェニルインドール−2−イル−ジシクロヘキシルホスフィン、N−フェニルインドール−2−イル−ジシクロヘプチルホスフィン、N−フェニルインドール−2−イル−ジイソプロピルホスフィン、N−フェニルインドール−2−イル−ジブチルホスフィン、N−フェニルインドール−2−イル−ジイソブチルホスフィン、N−フェニルインドール−2−イル−ジsec−ブチルホスフィン、N−フェニルインドール−2−イル−ジtert−ブチルホスフィン等が挙げられる。
【0019】
本発明のN−フルオレニル−N,N−ジフェニルアミン誘導体(3)の製造方法は、パラジウム触媒、第三級ホスフィン類(4)及び塩基の存在下で、フルオレン化合物(1)をジフェニルアミン化合物(2)と好ましくは溶媒中で反応せしめることで実施される。このようにすれば、従来製法よりも低温度で反応を行うことができ、かつタール状不純物を生じさせることなく同等以上の収率でN−フルオレニル−N,N−ジフェニルアミン誘導体(3)を製造することができる。副反応を出来るだけ抑制するには反応に溶媒を使用するのが好ましい。
【0020】
フルオレン化合物(1)は、市販されているものを用いてもよいし、特開2005−120030号公報、Org.Lett.,2001,Vol.3,No.15,2285等に記載の公知の製造方法により製造したものを用いてもよい。
【0021】
ジフェニルアミン化合物(2)の使用量は、フルオレン化合物(1)1モルに対して、通常0.5〜10モルであり、好ましくは0.8モル〜2モルである。
【0022】
パラジウム触媒としては、均一系のパラジウム触媒が好ましく、具体的には、例えばヘキサクロロパラジウム(IV)酸ナトリウム或いはその水和物、ヘキサクロロパラジウム(IV)酸カリウム等の4価のパラジウム化合物、例えば塩化パラジウム(II)、臭化パラジウム(II)、酢酸パラジウム(II)、パラジウムアセチルアセテート(II)、ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム(II)、ジクロロビス(アセトニトリル)パラジウム(II)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、ジクロロテトラアンミンパラジウム(II)、ジクロロ(シクロオクター1,5−ジエン)パラジウム(II)、パラジウムトリフルオロアセテート(II)等の2価のパラジウム化合物、例えばトリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウムクロロホルム錯体(0)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)等の0価のパラジウム化合物等が挙げられる。
【0023】
パラジウム触媒の使用量は、フルオレン化合物(1)1モルに対しパラジウム換算で、通常0.000001〜20モル%、好ましくは0.0001〜10モル%である。
【0024】
第三級ホスフィン類(4)の使用量は、パラジウム触媒1モルに対して、通常0.1〜10モル倍、好ましくは1.0〜5.0モル倍である。
【0025】
塩基としては、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩、例えばリン酸ナトリウム、リン酸カリウム等のアルカリ金属リン酸塩、例えばナトリウム−tert−ブトキシド、カリウム−tert−ブトキシド等の金属アルコキシド等が挙げられる。かかる塩基の使用量は、フルオレン化合物(1)1モルに対して、通常1〜50モル、好ましくは1〜10モルである。
【0026】
溶媒としては、反応に影響を及ぼさなければ特に限定されないが、具体的には例えばトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホシキド等の非プロトン性極性溶媒等が挙げられる。かかる溶媒の使用量は、フルオレン化合物(1)1重量部に対して、通常0.5重量部以上、好ましくは0.5〜50重量部、特に好ましくは1〜20重量部である。
【0027】
反応温度は、通常20〜150℃、好ましくは60〜130℃、特に好ましくは80℃〜120℃である。
【0028】
反応終了後、所望の分離操作、例えば濾過、濃縮等により芳香族アミン化合物(3)を得ることができる。得られた芳香族アミン化合物(3)は、例えば、カラムクロマトグラフィ、再結晶等の所望の精製手段によりさらに精製してもよい。
【実施例】
【0029】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。
【0030】
実施例1
2−ブロモ−9,9−ジメチルフルオレン40g(0.146mol)のトルエン415g溶液に、ジフェニルアミン24.5g(0.145mol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ビスパラジウム2.6g(2.84mmol、Pd換算で5.68mmol)、N−フェニルインドール−2−イル−ジシクロヘキシルホスフィン1.1g(3.24mmol)及びナトリウム−tert−ブトキシド21.2g(0.221mol)を加え、115℃で2時間反応させた。反応終了後、得られた反応混合物を濾過、濃縮し、濃縮残渣を得た。該濃縮残渣をトルエンに溶解し、エタノールを添加して析出した固体を濾別し、白色固体のN−(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)−N,N−ジフェニルアミン42.2g(純度99.2%、収率81%)を得た。
【0031】
実施例2
2−ブロモ−9,9−ジメチルフルオレン2.01g(7.36mmol)のトルエン24g溶液に、ジフェニルアミン1.36g(8.04mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ビスパラジウム201mg(0.220mmol、Pd換算で0.440mmol)、N−フェニルインドール−2−イル−ジシクロヘキシルホスフィン171mg(0.439mmol)及びナトリウム−t−ブトキシド1.06g(11.0mmol)を加え、115℃で12時間反応させた。反応終了後、得られた反応混合物を濾過、濃縮し、濃縮残渣を得た。該濃縮残渣をトルエンに溶解し、シリカゲルカラム(トルエン:ヘキサン=1:1)で精製し、白色固体のN−(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)−N,N−ジフェニルアミン2.57g(純度99.5%、収率97%)を得た。
【0032】
実施例3〜5
実施例2のN−フェニルインドール−2−イル−ジシクロヘキシルホスフィンに代えて表1に示す第三級ホスフィン類(4)を用いた以外は実施例2と同様にして行い、白色固体のN−(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)−N,N−ジフェニルアミンを得た。
【0033】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
パラジウム触媒、第三級ホスフィン類及び塩基の存在下で、式(1):
【化1】

(式中、Xは臭素原子又はヨウ素原子を表し、Rは水素原子又はアルキル基を表す。)で示されるフルオレン化合物を式(2):
【化2】

(式中、R及びRは同じであっても異なっていてもよく、水素原子又はアルキル基を表す。)で示されるジフェニルアミン化合物と反応せしめて、式(3):
【化3】

(式中、R、R及びRは上記と同一の意味を表す。)で示されるN−フルオレニル−N,N−ジフェニルアミン誘導体を製造するにあたり、第三級ホスフィン類が式(4):
【化4】

(式中、R及びRは同じであっても異なっていてもよく、アルキル基又はシクロアルキル基を示し、R、R及びRは水素原子又はアルキル基を示す。また、RとRが互いに結合して、RとRがそれぞれ結合しているピロール環の二つの炭素原子と共に芳香族環を形成していてもよい。)で示される第三級ホスフィン類であることを特徴とするN−フルオレニル−N,N−ジフェニルアミン誘導体の製造方法。
【請求項2】
式(4)示される第三級ホスフィン類中、R及びRの少なくとも一つがシクロアルキル基である、請求項1に記載の製造方法。

【公開番号】特開2008−239529(P2008−239529A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−80537(P2007−80537)
【出願日】平成19年3月27日(2007.3.27)
【出願人】(000167646)広栄化学工業株式会社 (114)
【Fターム(参考)】