説明

N−[2−(サイクロヘキシルオキシル)−4−ニトロフェニル]−メタンスルホンアミドを含む細胞老化抑制組成物

本発明はN−[2−(サイクロヘキシルオキシル)−4−ニトロフェニル]−メタンスルホンアミドを含む細胞の老化抑制用組成物に関するものである。本発明で実験に使用した3種の選択的COX−2阻害剤のうち、N−[2−(サイクロヘキシルオキシル)−4−ニトロフェニル]−メタンスルホンアミドであるNS−398のみ細胞老化を抑制し、他のセレコキシブ、ニメスリドは細胞老化を促進した。また、非選択的COX阻害剤3種(アスピリン、イブプロフェン、フルルビプロフェン)は全部細胞老化を促進した。細胞老化が進行する間、COX−2の発現は減少した反面、COX−2の酵素活性は増加し、選択的COX−2阻害剤3種の細胞老化調節効果は細胞内活性酸素の濃度、NF−κB活性、p53及びp21蛋白質の量とは関係なかった。その代わりに、選択的 COX−2阻害剤3種がカベオリン−1の発現を転写水準で調節しながら細胞内総コレステロール濃度を調節することを発見し、この結果は選択的COX−2阻害剤3種の細胞老化調節効果と密接な関連があることを発見した。これとともに選択的COX−2阻害剤3種は全部細胞でコラーゲン合成を増進させ、基質分解酵素(matrix metalloproteinases)であるMMP-2とMMP-9の活性を抑制することを発見した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はN−[2−(サイクロヘキシルオキシル)−4−ニトロフェニル]−メタンスルホンアミドを含む細胞の老化抑制用組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
細胞の老化は発達、成熟、及び腫瘍形成を含む複雑な生物学的過程において重要な役割をし、細胞老化の基本的な特徴を理解するための様々な試みがなされている。しかし、老化の機作が何であるかはまだ完全に知られていない。一方、好気性代謝過程で生じる活性酸素種が細胞を損傷させ、これが老化の重要な要因であるという仮説が説得力を持って受け入れられている。(1)特に最近は、これと関連して分子炎症仮説が提起されたが、これは活性酸素種が転写因子NF-κBの活性を増加させ、これによってシクロオキシゲナーゼ−2(cyclooxygenase−2、COX-2)、iNOSのような炎症誘発遺伝子の発現が誘導され、これによってまた活性酸素種及び活性窒素種が生産されることにより、細胞損傷が加速され、老化が進行されるということである(2)。
【0003】
これを裏付ける証拠として、老化したねずみやはつかねずみの心臓、肝、腎臓、脳などでNF-κB活性が増加したという報告があり(3)、人の角質細胞でNF-κB遺伝子を発現させたら、細胞老化が起こったという報告があった(4)。また、NF-κBの標的遺伝子のうち、炎症誘発遺伝子であるCOX-2,iNOS,IL-1β,TNF-αの発現が老化したねずみの脳、腎臓、脾臓などで増加していたという報告もある(5−9)。DNAマイクロアレイ研究でも、COX-2、IL-1β、MCP-1、Gro-α、ICAM-1のような炎症誘発遺伝子の発現が老化した人の皮膚繊維芽細胞で増加していたということが報告されたことがある(10,11)。
【0004】
COX-2は分子炎症仮説で核心的な分子である。これは、アラキドン酸と酸素からプロスタグランディンH2(PGH2)を作る酵素であるが、PGH2は多くのプロスタグランディン合成の前駆物質となる。COXの二つの同位酵素のうち、COX−1はほとんど一定した水準で発現される反面、COX−2はいろいろな刺激によってその発現が誘導され、多量の多様な種類のプロスタグランディンを合成することになる(12)。COXの最終産物のうち、特にプロスタグランディンE2(PGE2)は炎症反応を起こす重要物質であって、今まで開発された非ステロイド性消炎鎮痛剤のほとんどがCOXの酵素活性部位を抑制する。非ステロイド性消炎鎮痛剤のうち、伝統的に多く使用されてきたアスピリン(aspirin)、イブプロフェン(Ibuprofen)、フルルビプロフェン(flurbiprofen)、及びインドメタシン(indomethacin)などはCOX−1とCOX-2を区別せず、酵素活性を抑制する。最近はCOX−1とCOX-2を選択的に抑制できる阻害剤が開発されたが、選択的 COX−1阻害剤も消炎活性を有しているが、選択的 COX−2阻害剤は非常に強力な消炎効果を有していると知られている(13)。
【0005】
もし、分子炎症が老化を起こす決定的な原因であるならば、COX−2阻害剤は老化過程を遅延させることが可能なはずである。これと関連し、非特異的COX阻害剤が老化過程に及ぼす影響を見た論文があるが、イブプロフェンを長期間服用した女性で老化による認知機能減退が遅延された(14)。しかし、ショウジョウバエではサルチル酸(salicylic acid)、アセチルサルチル酸(acetylsalicylic acid)、インドメタシンを長期間投与した場合、平均寿命が減少したか、何の影響もなかった(15)。細胞老化に対してはアスピリン(aspirin)が人の血管内皮細胞で老化を抑制させた反面、インドメタシンは老化を促進させたが、この場合、阻害剤はCOX酵素活性抑制ではなく、一酸化窒素と活性酸素種の生成を調節することによって老化を調節した(16)。
【0006】
上述したように、最近、老化に対する多様な理論が提案されているが、COX-2の炎症誘発活性が本当に老化過程に関与するのか、またCOX-2阻害剤が老化を予防できるのかに対してはまだ明確ではない。
【0007】
このような老化メカニズムを明確にすることは、老化を逆転させ、正常的な生理学的機能の回復が必要な老化連関性疾病、例えば、ウェルナー症候群及びハッチンソンギルフォード症候群などの治療に重要であると望まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
これに、本発明者は、選択的COX−2阻害剤が老化を抑制できるのかを知るために、人の皮膚繊維芽細胞の細胞老化モデルでCOX−2阻害剤の効果を調査して研究した結果、COX−2阻害剤のうち、特に、N−[2−(サイクロヘキシルオキシル)−4−ニトロフェニル]−メタンスルホンアミドがCOX−2酵素活性とは関係なく細胞老化を調節し、カベオリン−1(caveolin−1)発現調節効果と密接に関連していることを発見したことにより、本発明を完成した。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の目的は、N−[2−(サイクロヘキシルオキシル)−4−ニトロフェニル]−メタンスルホンアミドを含む細胞の老化抑制用組成物を提供することにある。
【0010】
本発明の他の目的及び利点は下記の実施例、請求範囲及び図面によって明確になる。
【発明の効果】
【0011】
以上で詳細に説明したように、本発明はN−[2−(サイクロヘキシルオキシル)−4−ニトロフェニル]−メタンスルホンアミドを含む細胞の老化抑制用組成物に関するものである。
【0012】
本発明で実験に使用した3種の選択的COX−2阻害剤のうち、N−[2−(サイクロヘキシルオキシル)−4−ニトロフェニル]−メタンスルホンアミドであるNS−398のみ細胞老化を抑制し、他のセレコキシブとニメスリドは細胞老化を促進した。また、非選択的COX阻害剤の3種(アスピリン、イブプロフェン、フルルビプロフェン)は全部細胞老化を促進した。
【0013】
細胞老化が進行する間、COX−2の発現は減少した反面、COX−2の酵素活性は増加し、選択的 COX−2阻害剤3種の細胞老化調節効果は細胞内活性酸素の濃度、NF−κB活性、p53及びp21蛋白質の量とは関係なかった。その代わりに、選択的 COX−2阻害剤3種がカベオリン−1の発現を転写水準で調節しながら細胞内総コレステロール濃度を調節することを発見し、この結果は選択的COX−2阻害剤3種の細胞老化調節効果と密接な関連があることを発見した。
【0014】
これとともに選択的 COX−2阻害剤3種は全部細胞でコラーゲン合成を増進させ、基質分解酵素(matrix metalloproteinases)であるMMP-2とMMP-9の活性を抑制することを発見した。
【0015】
以上の結果は、COX−2酵素活性が細胞老化過程を媒介しておらず、本発明の N−[2−(サイクロヘキシルオキシル)−4−ニトロフェニル]−メタンスルホンアミドはCOX−2酵素活性の抑制ではなく、カベオリン−1の発現調節と関連した機作を通して細胞老化を抑制していることが分かり、これを含む組成物が個体老化を調節する可能性も提示している。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1のAは、PD24である細胞にDMSO(the vehicle)、選択的COX−2阻害剤であるNS-398(20μM)、セレコキシブ(celecoxib)(1μM)、ニメスリド(nimesulide)(20 μM)を処理した後、細胞分裂回数(PD)を測定して示したグラフであって、 BはA細胞を35mm dishに植えて、SA−β−gal染色を施した後、撮った写真であって、 Cはこれを光学顕微鏡の下で、総100個の細胞を無作為で数えた後、このうち、SA−β−gal(+)細胞の比率を計算したグラフであって、 Dは非選択的COX阻害剤であるaspirin(1mM)、ibuprofen(20μM)、flurbiprofen(5μM)及び対照区としてDMSOを細胞に処理した後、細胞分裂回数(PD) を測定して示したグラフであって、 EはD細胞のSA−β−gal染色写真であって、 FはEのSA−β−gal(+)細胞の比率をグラフ化したものである。この際にC及びFの誤差棒は二重実験を独立的に二回繰り返したことの平均標準偏差を意味する。
【0017】
*各P<0.05(Mann-Whitney U-test, DMSO処理細胞と比較)
【図2】図2のAは、供与者(1)と供与者(2)の繊維芽細胞を継代別に集めた後、総蛋白質を抽出した後、COX−1及びCOX−2のウェスタンブロット分析を施行した結果であって、β−actinはローディングコントロール(loading control)で使用したものであり、 Bは各継代の細胞培養液を集めてプロスタグランディンE2の濃度を測定した結果をグラフで示したものであって、プロスタグランディンE2が老化過程で増加した結果を示しており(*P<0.05(Mann-Whitney U-test, P15細胞と比較))、 C及びDは、それぞれ選択的COX−2阻害剤(C)と非選択的 COX阻害剤(D)を処理した後、プロスタグランディンE2の濃度を測定した結果をグラフで示したものであって、COX−2阻害剤が効率的にプロスタグランディンE2の生成を抑制する結果を示す(この際に、プロスタグランディンE2の濃度は細胞培養液を集めて分析し、これを細胞数に補正した。誤差棒は三重実験を独立的に二回繰り返したことの平均値の標準偏差であって、*Pは<0.05(Mann-Whitney U-test, DMSO処理細胞と比較)である。
【図3】図3のAは、各継代の細胞にDCFH−DAを入れて37℃で培養した後、細胞抽出物で蛍光を分析した後、活性酸素種の量が老化過程で増加した結果を示すグラフであって、この際に誤差棒は二重実験を独立的に三回繰り返したことの平均値の標準偏差を意味する。*P<0.05(Mann-Whitney U-test, P15細胞と比較)。
【0018】
BはP15及びP29細胞に選択的COX−2阻害剤を処理した後、活性酸素種の量の変化を測定したグラフであって、P15では何ら変化もなかったが、P29では変化させた。この際に誤差棒は二重実験を独立的に三回繰り返したことの平均値の標準偏差を意味する。*P<0.05(Mann-Whitney U-test, DMSO処理細胞と比較)。
【0019】
C及びDは老化過程で抗酸化酵素であるカタラーゼ、SOD-2及びGpx-1の発現程度をwestern blot分析して測定した結果であって、Cは各継代の細胞から、DはP28継代細胞に選択的COX−2阻害剤の存在下で培養された細胞からウェスタンブロットを行った。
【図4】図4は、細胞老化過程において選択的COX−2阻害剤がNF−κB活性に及ぼす効果に対する結果であって、Aは各継代の細胞から細胞質分画と核分画を抽出した後、NF−κB p65抗体を用いてウェスタンブロット分析を行った結果(上方 panel)及び細胞質p65に対する核p65の比率をデンシトメータで計算したグラフ(下方 panel)であって、 Bは、阻害剤の存在下で細胞を培養し、P18に収穫した後、細胞質分画と核分画を抽出した後、NF−κB p65の量をウェスタンブロット分析を行った結果(上方 panel)及び細胞質p65に対する核p65の比率をデンシトメータで計算したグラフ(下方 panel)である。
【図5】図5は、選択的COX−2阻害剤がP53とP21の発現に及ぼす影響をウェスタンブロットで分析した結果であって、COX−2阻害剤の存在下で細胞を培養し、各継代で収穫した後、蛋白質を抽出した後、p53(A)とp21(B)の量を比較した結果である。
【図6】図6は、細胞老化過程で選択的COX−2阻害剤がカベオリン−1(caveolin-1)の発現に及ぼす効果を分析した結果であって、COX−2阻害剤の存在下で細胞を培養し、各継代で収穫した後、蛋白質を抽出した後、カベオリン−1量を比較した結果であって、 Bは細胞に阻害剤を各時間別に処理した後、カベオリン−1量を比較した結果であって、 CはNS-398とDMSO(MG-132の溶媒)、又はNS-398と50μM MG-132(proteasome 阻害剤)を細胞に処理した後、カベオリン−1発現量を比較した結果であって、 Dは、細胞に各時間別に阻害剤を処理した後、総RNAを抽出し、caveolin-1とGAPDH遺伝子に特異的なプライマーを使用してRT-PCRを行った写真であり、この際にGAPDHは各条件別細胞で使用された総RNA量を確認した対照区(上方 panels)であって、caveolin-1 mRNAの量(下方 panel)をGAPDHの量に補正し、 Eは阻害剤の存在下で細胞を培養し、各継代で収穫した後、脂肪成分を抽出し、総コレステロール濃度を測定した結果をグラフ化したものであって、この際にコレステロール濃度は蛋白質濃度に補正し、誤差棒は三重実験を独立的に二回繰り返したことの平均±標準偏差を意味する。*Pは<0.05(Mann-Whitney U-test, DMSO処理細胞と比較)。
【図7】図7のAは、細胞に選択的COX−2阻害剤を5日間処理した後、コラーゲン合成程度を示したグラフであって、この際にコラーゲン値は細胞数に補正し、誤差棒は二重実験を独立的に三回繰り返したことの平均±標準偏差を意味し、(*Pは<0.05(Mann-Whitney U-test, DMSO処理細胞と比較))、 Bは細胞に阻害剤を10日間処理した後、細胞培養液で基質分解酵素−2(MMP-2;67kDa)と基質分解酵素−9(MMP-9;84kDa)の活性をザイモグラフィーで分析した結果であって、選択的COX−2阻害剤が繊維芽細胞で基質分解酵素−2と−9の活性を抑制してコラーゲン分解を減少させることを示唆する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、N−[2−(サイクロヘキシルオキシル)−4−ニトロフェニル]−メタンスルホンアミドを含む細胞の老化抑制用組成物に関するものである。
【0021】
以下、本発明を更に具体的に説明する。
【0022】
本発明はN−[2−(サイクロヘキシルオキシル)−4−ニトロフェニル]−メタンスルホンアミドを含む細胞の老化抑制用組成物に関するものである。
【0023】
本発明で言及した“N−[2−(サイクロヘキシルオキシル)−4−ニトロフェニル]−メタンスルホンアミド”は、下記の化学式1に表記されるスルホンアニリド化合物に属する化合物であって、選択的なCOX−2阻害剤である。
【化1】

【0024】
本発明で“細胞老化抑制”は、細胞内カベオリンの合成を抑制して老化を抑制するか、カベオリン合成を誘導して老化を誘導する方法を言い、ここでカベオリンはカベオリン−1、カベオリン−2及びカベオリン−3の蛋白質及びmRNAを全部含む。また、細胞内のコラーゲン代謝経路を通して細胞の老化を抑制することも含む。
【0025】
本発明の好ましい具現例によると、本発明の老化抑制は細胞内活性酸素種経路、酸化ストレスに敏感に反応する転写因子NF-κBの経路及び細胞内p53及びp21経路とは関係なく細胞老化を調節し、カベオリン−1の経路を通して、例えば、カベオリン−1の合成を抑制して細胞の老化を抑制することができる。また、本発明の阻害剤によってコラーゲン合成を増進させ、基質分解酵素であるMMP-2及びMMP-9の活性を抑制して老化を抑制することができる。
【0026】
本発明において、細胞は動物細胞、好ましくは哺乳動物細胞、更に好ましくは人間の細胞、一番好ましくは人間の繊維芽細胞を意味する。
【0027】
本発明の組成物は研究用組成物として製造されるが、薬剤学的組成物として製造されることもある。本発明の組成物が薬剤学的組成物として製造される場合は、siRNA以外に薬剤学で許容される担体も含む。薬剤学的組成物に含まれる薬剤学的に許容される担体は製剤時に通常的に利用されるものであって、ラクトース、デクストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、でんぶん、アカシアゴム、リン酸カルシウム、アルギネート、ゼラチン、珪酸カルシウム、微細結晶性セルロース、ポリビニールピロリドン、セルロース、水、シロップ、メチルセルロース、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、滑石、ステアリン酸マグネシウム及びミネラルオイルなどを含むが、これに限定されるものではない。本発明の薬剤学的組成物は上記成分以外に潤滑剤、湿潤剤、甘味剤、香味剤、乳化剤、懸濁剤、保存剤などを追加で含むことができる。
【0028】
本発明の薬剤学的組成物は、当該発明の属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施できる方法によって、薬剤学的に許容される担体及び/又は賦形剤を用いて製剤化することによって単位容量形態に製造されるか、又は多容量容器内に内入させて製造されることができる。この際に剤形は、オイル又は水生媒質中の溶液、懸濁液、又は乳化液形態であるか、エキス剤、粉末剤、顆粒剤、錠剤又はカプセル剤形態であり、分散剤又は安定化剤を追加的に含むことができる。
【0029】
薬剤学的に許容される適した担体及び製剤はRemington’s Pharmaceutical Sciences(19th ed., 1995)に詳細に記載されている。
【0030】
本発明の薬剤学的組成物は経口又は非経口で投与することができ、非経口投与である場合には静脈内注入、皮下注入、筋肉注入、腹腔注入、経皮投与などで投与することができる。好ましい投与形態は、全身投与である静脈内注入、皮下注入、筋肉注入、腹腔注入、又は経皮投与である。
【0031】
本発明の薬剤学的組成物の適合した投与量は、製剤化方法、投与方式、患者の年齢、体重、性、病的状態、飲食、投与時間、投与経路、排泄速度、及び反応感応性のような要因によって多様であり、普通に熟練された医者は、所望の治療又は予防に効果的な投与量を容易に決定及び処方することができる。
【0032】
また、本発明はN−[2−(サイクロヘキシルオキシル)−4−ニトロフェニル]−メタンスルホンアミドの有効量を老化細胞に処理する段階を含む細胞の老化抑制方法を提供する。
【0033】
また、本発明はN−[2−(サイクロヘキシルオキシル)−4−ニトロフェニル]−メタンスルホンアミドの有効量を患者に投与する段階を含む、細胞の老化を調節することを必要とする患者の細胞老化調節方法を提供する。
【0034】
本発明の方法は如何なる細胞にも適用することが可能であるが、治療の目的でより重要な細胞は、中枢神経系で(a)複製能(replicative capacity)を有する細胞:例えば、アルツハイマー疾患、パーキンソン疾患、ハンチントン疾患及び脳卒中のような老化−関連疾病で重要な役割をするアストロサイト、内皮細胞及び繊維芽細胞;(b)外皮(integument)に制限された複製能を有する細胞:例えば、皮膚アトロピ、弾性繊維分解(elastolysis)及び皮膚皺、皮脂線過形成、老人性黒点、毛髪白化、及び毛髪損失、慢性皮膚潰瘍及び老化−関連傷治癒能の弱化といった外皮の老化−関連疾病で重要な役割をする繊維芽細胞、皮脂線細胞、メラノサイト、ケラチノサイト、ランゲルハンス細胞及び毛嚢細胞;(c)関節軟骨に制限された複製能を有する細胞:例えば、退行性関節疾患で重要な役割をする軟骨細胞、及び陰窩及び滑繊維芽細胞(lacunal and synovial fibroblasts);(d)骨に制限された複製能を有する細胞:例えば、骨粗鬆症で重要な役割をする造骨細胞、骨髄間質(stromal)繊維芽細胞及び骨前駆細胞;(e)免疫系に制限された複製能を有する細胞:例えば、老化関連免疫系弱化で重要な役割をするB及びTリンフォサイト、モノサイト、中性球(neutrophil)、好酸球、好塩基性白血球、NK細胞及びこれらの各々の前駆細胞;(f)血管系に制限された複製能を有する細胞:例えば、動脈硬化、石灰化、血栓及び動脈瘤といった血管系の老化−関連疾患で重要な役割をする表皮細胞、平滑筋細胞及び外膜繊維芽細胞(adventitial fibroblast)、及び(g)目に制限された複製能を有する細胞:例えば、黄班変性で重要な役割をする着色された上皮及び欠陥内皮細胞。
【0035】
本発明の好ましい具現例によると、本発明に適した細胞は人間細胞のような哺乳類細胞から由来する。更に好ましくは、本発明において細胞は繊維芽細胞である。
【0036】
以下、実施例を通して本発明を更に詳細に説明する。これらの実施例はただ本発明を更に具体的に説明するためのものであって、本発明の要旨によって本発明の範囲がこれらの実施例により制限されないということは本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者にとって自明である。
【実施例】
【0037】
[I.実施例]
本発明の実験のためにN−[2−(サイクロヘキシルオキシル)−4−ニトロフェニル]−メタンスルホンアミドはケイマンケミカル社(Cayman Chemical, co)のNS-398を使用した。
【0038】
<実施例1.細胞培養>
人の皮膚繊維芽細胞はボイス及びハム文献(1983)によって陰茎包皮(foreskin)から分離した後、10%ウシ胎児血清(ライフテクノロジーInc.,グランドアイランド、NY)、ペニシリン(penicillin;100 units/ml)、ストレプトマイシン(streptomycin;100 units/ml)が含まれたDMEM培地で培養した。一般的な培養細胞は継代数が高くなるほど成長速度も遅くなり、継代数30以上の細胞は完全に成長が停止され、既存に報告された複製的老化(replicative senescence)のような特徴的な現象を示し始めた(Yeo et al.,2000 a and b)。
【0039】
<実施例2.COX-2阻害剤による成長速度調節実験>
COX-2阻害剤が細胞老化に及ぼす影響を知るために、選択的COX-2阻害剤の3種であるNS-398、セレコキシブ(celecoxib)、ニメスリド(nimesulide)及びCOX-1とCOX-2の活性を二つとも抑制する非選択的COX阻害剤の3種であるアスピリン(aspirin)、イブプロフェン(ibuprofen)、フルルビプロフェン(flurbiprofen)、そして対照区としてDMSO(vehicle)を細胞に処理した後、次のように一般的な細胞染色方法で染色して細胞分裂回数(PD)を測定した。まず、PD24である細胞にDMSO(対照区)、NS-398(20μM)、celecoxib(1μM)、nimesulide(20μM)、aspirin(1mM)、ibuprofen(20μM)、flurbiprofen(5μM)を各々処理して培養した後、細胞染色法であるトリパンブルー(trypan blue)染色法によって細胞数を計算し、この際に細胞分裂回数(PDs)は下記の数学式1によって計算した。
【数1】

【0040】
前記Aは一継代(passage)から収穫した細胞数であり、Bは前記継代の初期細胞数である。
【0041】
<実施例3.老化−関連β−ガラクトシダーゼ(SA-β-gal)染色>
COX-2阻害剤が細胞老化に及ぼす影響を知るために、選択的COX-2阻害剤の3種であるNS-398、セレコキシブ(celecoxib)、ニメスリド(nimesulide)及びCOX-1とCOX-2の活性を二つとも抑制する非選択的COX阻害剤の3種であるアスピリン(aspirin)、イブプロフェン(ibuprofen)、フルルビプロフェン(flurbiprofen)、そして対照区としてDMSO(vehicle)を細胞に処理した後、老化−関連β−ガラクトシダーゼ(senescence-associated β-galactosidase(SA-β-gal))染色を実施した。この際にβ−ガラクトシダーゼ(senescence-associated β-galactosidase(SA-β-gal))活性染色は、1995年ディムリなどによる方法によって次のように行った(17)。まず、細胞にDMSO(対照区)、NS-398(20μM)、celecoxib(1μM)、nimesulide(20μM)、aspirin(1mM)、ibuprofen(20μM)、flurbiprofen(5μM)を各々処理して培養した。培養した細胞は35mm dishに植えて安定化させた後、PBSで2回洗滌し、3% ホルムアルデヒドで室温で5分間固定した後、PBSで再び洗滌し、β−ガラクトシダーゼ(SA-β-gal)活性溶液(1mg/ml X-gal、40mMシトリック酸/ソジウムフォスフェート、pH6.0、5mM ポタシウムフェロシアナイド、5mMポタシウムフェリシアナイド、150mMソジウムクロライド、2mMマグネシウムクロライド)で37℃で24時間染色し、反応が進行される間、光を遮断して反応を実施した。最終的に染色された細胞を位相差顕微鏡(オリンパス、CK40)で発色程度を確認した後、総100個の細胞を無作為で数え、このうち、SA-β-gal(+)細胞の比率を計算した。前記実験は独立的に二回繰り返して実験し、各値の平均値及び標準偏差を計算した。
【0042】
<実施例4. プロスタグランディンE2(PGE2)分析>
COX-2阻害剤がプロスタグランディンE2(PGE2)量にも影響を与えるのか分析するために、実施例2と同一な方法でCOX-2阻害剤を処理して培養した後、培養された細胞の培養培地をエライザ(ELISA; Cayman Chemicals, Ann Aror, MI)を用いて測定し、培地に分泌されてきたPGE2の量を測定して、この値を細胞数に補正した。
【0043】
<実施例5.活性酸素種の測定>
COX-2阻害剤が細胞老化に及ぼす影響を知るために、実施例2と同一に培養して処理した後、活性酸素種を測定した。培養された細胞は5μM DCFH-DA(Invitrogen, Carlsbad, CA)を処理し、37℃で45分間反応させた後、PBSで洗滌した。細胞を1ml PBSに集めた後、超音波を用いて粉砕した。蛍光分光光度計(Molecular Device Corp., Sunnyvale, CA)で蛍光を測定し、この値を細胞数に補正した。
【0044】
<実施例6.ウェスタンブロット>
COX-2阻害剤が細胞老化に及ぼす影響を知るために、実施例2と同一な条件で培養し、処理した後、ウェスタンブロットを実施した。培養された細胞はPBSで洗滌して集めた後、0.5 mM EDTA, 1 mM PMSF, 10 μg/ml ロイペプチン(leupeptin)、10 μg/ml アプロチニン(aprotinin)、10 μg/mlペプスタチン(pepstatin)が含まれたRIPA緩衝溶液(150 mM NaC1, 100 mM Tris-HCI, 1% ツイン−20、1%ソジウムデオキシコレート、及び0.1% SDS)で粉砕し、これを遠心分離して上澄液のみ集めた細胞抽出物を用いて細胞内蛋白質をSDS−PAGEに分離し、ニトロセルロース膜に移した後、p53, p21, COX-1, COX-2, 及びカベオリン−1(caveolin-1)抗体とそれぞれ反応させ、二トロセルロース膜の蛋白質−抗体複合体をペルオキシダーゼ−接合抗マウス又は抗ウサギ二次抗体と反応させた後、当該バンドをECLキットを使用した化学発光法(アマシャムバイオサイエンス、ボストン、MA)で視覚化して確認した。この際に使用したp53, p21, COX-1に対する抗体は各々オンコジーンサイエンス(Oncogene Science;キャンブリッジ, MA)、セルシグナリングテクノロジー(Cell Signaling technology; ダンヴァーズ, MA)、サンタクルーズバイオテクノロジー(Santa Cruz, CA)から購入し、COX-2とカベオリン−1(caveolin-1)抗体はビーディーバイオサイエンス(BD Bioscience; San jose, CA)から購入した。また、β-actinを細胞内対照蛋白質にして細胞内全体蛋白質量を補正した。
【0045】
<実施例7.RT-PCR>
COX-2阻害剤が細胞老化に及ぼす影響を知るために、実施例2と同一に培養して処理した後、RT-PCRを実施した。細胞の総RNAはトリゾルリエージェント (TRIzol reagent; Life Technology Inc., Grand Island, NY)を使用して抽出した後、総RNA 0.5μgから逆転写(RT)キット(Quiagen, Valencia, CA)を使用してcDNAを合成した。カベオリン−1遺伝子はセンスプライマー(5’-ACA TCT CTA CAC CGT TCC CAT-3’)とアンティセンスプライマー(5’-TGT GTG TCC CTT CTG GTT CTG-3’)を用いて増幅させ、GAPDH遺伝子はセンスプライマー(5’-TGT TGC CAT CAA TGA CCC CTT-3’)とアンティセンスプライマー(5’-CTC CAC GAC GTA CTC AGC G -3’)を用いて増幅させた。前記重合連鎖反応は95℃で30秒、60℃で30秒、72℃で30秒を総25回繰り返して実施し、この際に得たDNA産物はEtBrが含まれた2%アガロース・ゲルで電気泳動した。
【0046】
<実施例8.コレステロール分析>
COX-2阻害剤が細胞老化に及ぼす影響を知るために、実施例2と同一に培養して処理した後、コレステロール分析を実施した。2×106個の細胞からクロロホルム:メタノール=2:1混合物を処理して脂肪成分を抽出した後、バイオビジョン(BioVision, Mountain View, CA)社のマニュアルによる着色方法で570nmで総コレステロール量を測定し、これを蛋白質濃度に補正した。
【0047】
<実施例9.コラーゲン生合成測定>
COX-2阻害剤が細胞老化に及ぼす影響を知るために、実施例2と同一に培養して処理した後、コラーゲン生合成含量を分析した。コラーゲン生合成分析はRobertなどによる方法によって行った(18)。これを簡単に言うと、まず、細胞にL-[2,3-3H]-プロリン(Amersham Bioscience, Boston, MA)を5 μCi/ml濃度で加え、24時間培養した。細胞培養液と細胞を各々集めた後、細胞は100mM NaClと10 mM prolineが含まれた50 mM Tris-HCI(pH 7.2)で超音波を用いて粉砕した。培養液及び細胞抽出物上層液に各々トリクロロアセチックアシド(TCA)を添加し、沈殿物を0.2 M NaOHに溶かした後、150 mM HCIとHEPESで中和した後、細菌のコラゲナーゼ(collagenase)を溶液に添加した。遠心分離後に各々の上層液を合わせた後、放射能を測定した。
【0048】
<実施例10.ゼラチンゲルザイモグラフィー>
COX-2阻害剤が細胞老化に及ぼす影響を知るために、実施例2と同一に培養して処理した後、ゼラチンゲルザイモグラフィーを実施した。細胞培養液を1mg/ml ゼラチンが含まれたSDS-PAGEで電気泳動した。2.5%トリトンX−100でゲルを洗滌した後、50 mM Tris-HCI, 150 mM NaCl, 10mM CaCl2, 0.02% NaN3が含まれた溶液に漬けておき、0.1%クマシーブルー溶液で染色した。
【0049】
[II.実施例結果]
<1. COX-2阻害剤が人の繊維芽細胞で細胞老化を調節する。>
COX-2阻害剤が細胞老化に及ぼす影響を知るために、選択的COX-2阻害剤3種(NS-398、セレコキシブ(celecoxib)、ニメスリド(nimesulide))、COX-1とCOX-2の活性を二つとも抑制する非選択的COX阻害剤3種(アスピリン(aspirin)、イブプロフェン(ibuprofen)、フルルビプロフェン(flurbiprofen))、及び対照区としてDMSO(vehicle)を細胞に処理して細胞分裂回数を調査し、この際にDMSO自体は細胞分裂回数に何ら影響もなかった。
【0050】
前記実験で3種の選択的COX-2阻害剤の一つであるNS-398はDMSOと比べて最大細胞分裂回数を7回増加させた反面、セレコキシブとニメスリドは最大細胞分裂回数を2回減少させた(図1A) 。また、老化マーカーであるSA−β−gal陽性細胞の比率もNS−398がDMSOと比べて2倍減少させた反面、セレコキシブとニメスリドはこれをそれぞれ1.5倍、1.3倍増加させた(図1BとC)。
【0051】
非選択的COX阻害剤であるアスピリン、イブプロフェン、フルルビプロフェンはDMSOと比べて最大細胞分裂回数を各々7回、5回、4回減少させ(図1D)、SA−β−gal陽性細胞の比率も各々1.9倍、1.7倍、1.6倍増加させた(図1EとF)。
【0052】
このような結果は、NS-398が人の繊維芽細胞で細胞老化を強力に抑制する反面、他の選択的COX-2阻害剤と非選択的COX阻害剤は細胞老化を促進することを示している。
【0053】
<2. COX-2阻害剤はCOX-2酵素活性抑制と関係なく、人の繊維芽細胞の老化を調節する。>
細胞老化が進行する間、COX-1とCOX-2の発現は有意に減少し、これを二種類の違う人の繊維芽細胞で観察した(図2A)。しかし、興味深いことに、最終産物であるプロスタグランディンE2の生成は老化過程の間、有意に増加したが(図2B)、これはCOXの発現が減少するにもかかわらず、酵素活性は増加することを示唆する。
【0054】
細胞に選択的COX-2阻害剤を処理すると、プロスタグランディンE2の生成がほぼ完全に遮断されるが(図2C)、これは老化によるプロスタグランディンE2の増加が主にCOX-2酵素活性増加に起因することを示す。 選択的COX-2阻害剤だけでなく、非選択的COX阻害剤もほぼ完全にプロスタグランディンE2の生成を抑制し(図2D),これは本実験に使用された阻害剤が各濃度でCOX-2の酵素活性を効率的に遮断していることを確認してくれる。
【0055】
以上の結果は、COX-2阻害剤が人の繊維芽細胞で細胞老化を調節するが、これがはCOX-2酵素活性抑制とは関係ない機作によるということを示唆する。
【0056】
<3.選択的COX-2阻害剤による細胞老化調節は活性酸素種とは関係ない。>
選択的COX-2阻害剤が細胞老化を調節する機作を明かすために、まず、阻害剤が活性酸素種の発生とNF−κB活性に及ぼす影響を調査してみた。
【0057】
細胞内活性酸素種の量は既存に報告されているように、細胞老化過程の間、漸進的に増加した(図3A)。長期間(65日)阻害剤を処理した後、NS-398は活性酸素種の量を3倍減少させた反面、セレコキシブとニメスリドはその量を1.2倍増加させた(図3B、P29)。しかし、短期間(7日)阻害剤を処理した場合には、三つの薬物とも活性酸素種の量に何の影響を及ばなかった(図3B,P15)。これは、選択的COX-2阻害剤が活性酸素種の発生自体には影響を及ばせないということを示唆する。阻害剤を長期間処理した場合に現れる活性酸素種の調節効果は、阻害剤の細胞老化調節効果による二次的な現象であると考えられる。
【0058】
細胞老化過程の間、カタラーゼ(catalase)、SOD−2(superoxide dismutase-2)、 Gpx-1(glutathione peroxidase-1)のような抗酸化酵素の発現は増加すると観察された(図3C)。これに対し、NS−398はカタラーゼ、SOD−2の発現は減少させ、Gpx-1の発現は増加させた。セレコキシブはカタラーゼ、SOD−2の発現は減少させ、Gpx-1の発現には影響がなかった。ニメスリドはカタラーゼ、SOD−2、Gpx-1の発現を全部減少させた(図3D)。このように阻害剤が抗酸化酵素の発現に影響は及ぼしたが、これが阻害剤の老化調節効果とは一致しなかった。これは、選択的COX-2阻害剤が活性酸素種の発生を調節することによって細胞老化を調節するのではないことを更に示唆する。
【0059】
<4. 選択的COX-2阻害剤による細胞老化調節はNF−κB経路とは関係ない。>
転写因子 NF−κBは酸化ストレスに敏感に反応し、老化過程でその活性が増加すると報告されたことがある(19)。しかし、人の繊維芽細胞の場合には、老化した細胞で若い細胞と比べてむしろNF−κBの核移動が顕著に減少されており(図4A)、選択的COX-2阻害剤はNF−κBの核移動に影響を及ばせなかった(図4B)。このような結果はNF−κBが人の繊維芽細胞の細胞老化過程において決定的な役割をしないことと、選択的COX-2阻害剤の細胞老化調節効果もNF−κB経路とは関係ないことを意味する。
【0060】
<5.選択的COX-2阻害剤による細胞老化の調節はp53/p21経路とは関係ない。>
p53/p21経路は人の繊維芽細胞の細胞老化過程において核心的な役割をするとよく知られている経路である。従って、選択的COX-2阻害剤がp53とp21の発現に及ぼす影響を調査した。
【0061】
p53とp21の発現は細胞老化過程で増加し、これは既存の報告と一致した(図5AとB)。これに対し、NS−398はp53の発現は抑制しなく、p21の発現を抑制した。セレコキシブはp53とp21の発現を同時に抑制した。ニメスリドはp53とp21の発現を増加させた(図5AとB)。このような結果は、阻害剤がp53/p21経路に影響を与えていることを示す。しかし、その影響が阻害剤の老化調節効果とは一致しなかった。これは、選択的COX-2阻害剤がp53/p21経路を通して細胞老化を調節するのではないことを示唆する。
【0062】
<6.選択的COX-2阻害剤の老化調節効果はカベオリン−1(caveolin-1)の発現と密接に連関されている。>
カベオリン−1は人の繊維芽細胞の細胞老化過程において核心的な役割をするとよく知られている更に他の分子である(20)。選択的COX-2阻害剤が細胞老化を調節する機作を究明するために、阻害剤がカベオリン−1の発現に及ぼす影響を調査した。
【0063】
カベオリン−1の発現は既存に報告されているように、老化過程において増加した(図6A)。これに対し、NS-398は全ての継代でその発現を抑制し、その反面、セレコキシブとニメスリドはその発現を増加させた(図6A)。NS−398は4時間だけ処理してもカベオリン−1の発現を著しく抑制した。しかし、セレコキシブとニメスリドは短時間の処理ではカベオリン−1の発現を有意に変化させることができなかった(図6B)。このような結果は選択的COX-2阻害剤の細胞老化調節効果と一致し、従って、選択的COX-2阻害剤の細胞老化調節効果はカベオリン−1の発現と密接した連関があることを示唆する。
【0064】
NS-398のカベオリン−1の発現を抑制する効果が非常に早かったため、NS-398がプロテアソーム(proteasome)による蛋白質分解を通してカベオリン−1の発現を減少させるのかを実験してみた。図6Cに示したように、カベオリン−1の発現に対するNS-398の抑制効果はプロテアソーム阻害剤であるMG132により回復されなかった。これは、NS-398がプロテアソームによる蛋白質分解を通してカベオリン−1の発現を抑制するのではないことを意味する。
【0065】
そうしたら、カベオリン−1の発現は転写水準で調節される可能性が非常に高い。このような可能性を確認するために、カベオリン−1のmRNAの量を測定してみた。実験の結果、NS−398がカベオリン−1のmRNAの量を減少させた反面、セレコキシブとニメスリドはその量を増加させた(図6D)。これは、選択的COX-2阻害剤が転写水準でカベオリン−1の発現を調節することにより細胞老化を調節するということを強く示唆する。
【0066】
コレステロールはカベオリン−1の発現に重要な調節因子として知られている(21)。よって、選択的COX-2阻害剤が細胞内の総コレステロール濃度に及ぼす影響を調査してみた。 細胞内の総コレステロール濃度は若い細胞と比べて老化した細胞で1.7倍増加し(図6E)、これは既存の報告と同様であった(22)。一方、NS−398は総コレステロール濃度を減少させた反面、セレコキシブとニメスリドはその濃度を増加させた(図6E)。このような結果は、選択的COX-2阻害剤が細胞内の総コレステロール濃度を調節することによってカベオリン−1の発現を調節し、これによって細胞老化を調節する可能性が大きいということを示唆する。
【0067】
<7. 選択的COX-2阻害剤が皮膚繊維芽細胞でコラーゲン代謝を改善させる。>
内因性(intrinsic)皮膚老化は真皮層にコラーゲン含量が減少されていることと密接な関連があると知られている。生化学的にコラーゲン含量は、真皮層繊維芽細胞によるコラーゲン合成速度と、繊維芽細胞及び角質細胞から分泌される基質分解酵素(matrix metalloproteinases)によるコラーゲン分解速度の間の均衡によって決定される。個体老化が進行されるほど、皮膚繊維芽細胞におけるコラーゲン合成速度は減少される反面、基質分解酵素による分解速度は増加されることによって、皮膚真皮層のコラーゲン含量が減少される(23)。
【0068】
選択的COX-2阻害剤が皮膚繊維芽細胞の老化を調節することを観察したため、阻害剤がコラーゲン代謝にはどんな影響を及ぼすのか調査してみた。興味深いことに、3種の選択的COX-2阻害剤は全部皮膚繊維芽細胞でコラーゲン合成速度を2倍ほど増加させ(図7A)、基質分解酵素−2と基質分解酵素−9の活性を減少させた(図7B)。このような結果は、コラーゲン代謝にCOX-2酵素活性が関与しており、 選択的COX-2阻害剤が細胞老化に対しては互いに異なる効果を示したが、実際皮膚老化に対しては3種とも抑制する可能性があることを示唆する。
【0069】
[III.考察]
最近、COX-2が炎症誘発性酵素活性を通して個体及び細胞老化を媒介するという提案があった(2,24)。しかし、個体及び細胞老化過程においてCOX-2の機能はまだ明確ではない。本発明において我々は2種の選択的COX-2阻害剤と3種の非選択的COX阻害剤が細胞老化を促進するということを発見し(図1)、これはCOX-2の酵素活性が少なくとも人の繊維芽細胞では細胞老化を媒介しないということを示す。また、3種の選択的COX-2阻害剤が細胞老化に対して各々異なる効果を示したが (図1A)、これはCOX-2阻害剤の細胞老化調節効果が酵素活性とは関係ない機作に起因するということを意味する。このような結果は、アスピリンが人の血管内皮細胞で細胞老化を抑制する反面、インドメタシンン(indomethacin)は細胞老化を促進し、これはCOX酵素活性抑制によるのではなく、一酸化窒素及び活性酸素種の生成調節に起因するという以前の報告と一致する(16)。
【0070】
非選択的COX阻害剤だけでなく、選択的COX-2阻害剤も酵素活性抑制とは関係ない多様な生理活性を有していることが知られている。例えば、NS-398、ニメスリドなどの選択的COX-2阻害剤は、人のプロモノサイト(promonocyte)で活性酸素種を除去する(25)。また、NS-398とセレコキシブはp21とp27の発現だけでなく、NF−κB、ERK、Aktの活性を調節する(26)。しかし、本発明では3種の選択的COX-2阻害剤が繊維芽細胞で活性酸素種の発生やNF−κBの活性に影響を与える証拠は見つけられなかった(図3Bと4B)。また、阻害剤がたとえp53とp21の発現に影響は与えたが、それは阻害剤の細胞老化調節効果とは関連がなかった(図5AとB)。その代わりに我々は選択的COX-2阻害剤がカベオリン−1の発現を調節し、これが阻害剤の細胞老化調節効果と密接な関連があることを発見した(図6A)。
【0071】
カベオラ(Caveolae)は細胞膜の窪んだ部分であるが、エンドサイトーシス(endocytosis)過程で重要な役割をするものとして知られている。カベオリン(Caveolin)はカベオラを構成する主要蛋白質であって、カベオリン−1、カベオリン−2、カベオリン−3の三種類がある。このうち、カベオリン−1は、ほとんどの細胞で発現され、上皮細胞成長因子受容体、G蛋白質、プロテインキナーゼC(protein kinase C)といった多様な信号伝達分子と相互作用をすると知られている(27)。最近はカベオリン−1が人の繊維芽細胞で細胞老化を決め付ける重要な蛋白質であることが報告された。カベオリン−1の発現が老化した細胞で増加し、 上皮細胞成長因子受容体と結合して成長信号を弱化させる(20)。また、老化した繊維芽細胞でカベオリン−1の発現を減少させると、DNA合成が再開され、細胞の模様が若い細胞と同様の模様にもどる(28,29)。
【0072】
本発明で我々は選択的COX-2阻害剤がカベオリン−1の発現及びコレステロール濃度を調節することを発見したが(図6AとE)、これは次のいくつかの面で重要な意味がある。その一、本発見は細胞水準で(たぶん個体水準でも)若さを維持するためには細胞膜を通した受容体媒介性信号伝達が重要であることを再び強調する。なぜなら、カベオリン−1だけでなく、コレステロールも受容体媒介性信号伝達に強い影響を与えるためである(30)。その二、本発見はカベオリン−1を選択的COX-2阻害剤の新しい標的として確立し、これによって阻害剤を老化調節薬物として開発する際に新しい分子基盤を提供することが可能である。
【0073】
転写因子NF−κBは老化の分子炎症仮説で核心的な分子である(2)。活性酸素種によってNF−κBが活性化されると、COX−2のような炎症誘発遺伝子が発現されることによって老化が起こるということである。しかし、本発明で我々は人の繊維芽細胞の場合、細胞老化過程においてNF−κBの活性及びCOX−2の発現が減少されることを観察し、これは少なくとも人の繊維芽細胞には分子炎症仮説が合わないことを示す(図2Aと4A) 。人の繊維芽細胞の老化過程において NF−κBの活性が変わらなかったか、むしろ減少したという以前の報告は我々の結論を支持する(3,31)。
【0074】
本発明によると、繊維芽細胞の老化過程においてCOX−2活性によってプロスタグランディンE2の生成が増加した(図2BとC)。しかし、興味深いことに、COX−2蛋白質の発現は老化過程で減少し(図2A)、これは老化過程においてCOX−2の酵素活性自体が増加したことを意味する。酵素活性が増加したことに対しては、大きく二つの説明が可能である。その一、シクロオキシゲナーゼ(cyclooxygenase)反応が起こるためには、アルキルペロキサイド(alkyl peroxide)又はペルオキシニトライト(peroxynitrite)のようなハイドロペルオキサイド(hydroperoxide)が必要である(12)。細胞老化及び個体老化過程においてアルキルペロキサイドとペルオキシニトライトを含む活性酸素種の発生が増加すると報告されたことがある(32)。本発明でも活性酸素種の発生が細胞老化過程で増加したことを再確認した(図3A)。従って、老化過程で活性酸素種の発生が増加することによりCOX−2の酵素活性が増加された可能性がある。その二、人の肺繊維芽細胞の場合、老化した細胞の培養液でCOXの基質であるアラキドン酸が増加していたという報告がある(33)。遊離脂肪酸は細胞内外で早く平衡に到達するため、培養液でアラキドン酸が増加したということは細胞質でもアラキドン酸が増加したことを意味する。従って、細胞老化過程の間に細胞質内に基質であるアラキドン酸の濃度が増加したことによりCOX-2の酵素活性が増加された可能性もある。
【0075】
コラーゲン合成減少と基質分解酵素活性の増加は皮膚老化の重要な原因であると思われているが(23)、皮膚繊維芽細胞と角質細胞の細胞老化は皮膚老化過程でコラーゲン代謝がこのように変わるのに対する良い説明となる。なぜなら、細胞老化が進行するほど、繊維芽細胞でコラーゲン合成が減少し(34)、繊維芽細胞及び角質細胞で基質分解酵素の活性が増加されるためである(24,35)。本発明で我々は3種の選択的COX-2阻害剤が全部繊維芽細胞でコラーゲン合成を増加させ、 基質分解酵素の活性を抑制することを発見した(図7)。これはCOX−2酵素活性がコラーゲン代謝と連係されていることを示唆する。以前の研究でも、肝星細胞(hepatic stellate cell)の場合、COX-2から由来したプロスタグランディンE2がコラーゲン発現を抑制し、NS−398が繊維芽細胞及び肝星細胞でコラーゲン発現を増加させると報告されたことがある(24,36)。皮膚老化におけるコラーゲン代謝の重要性を鑑みると、選択的COX-2阻害剤が皮膚老化を抑制する可能性が大きい。従って、抗皮膚老化薬物として選択的COX-2阻害剤の効能を試験する価値が充分である。
【0076】
本発明において我々は、選択的COX-2阻害剤が酵素活性とは関係ない機作で細胞水準で老化を調節するということを究明した。しかし、老化過程でCOX-2の正確な機能は不明確なものとして残っている。従って、今後、老化過程におけるCOX-2の機能を究明し、COX-2阻害剤の効能を個体水準で研究する必要がある。
【0077】
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
N−[2−(サイクロヘキシルオキシル)−4−ニトロフェニル]−メタンスルホンアミドを含む細胞老化抑制用組成物。
【請求項2】
前記老化抑制は、COX-2の活性とは関係なくカベオリン蛋白質の発現を抑制して老化を抑制することを特徴とする請求項1に記載の細胞老化抑制用組成物。
【請求項3】
前記老化抑制は、コラーゲン合成を促進し、MMP-2又はMMP-9の活性を抑制して老化を抑制することを更に含む請求項2に記載の細胞老化抑制用組成物。
【請求項4】
前記細胞は、人間細胞から由来したものであることを特徴とする請求項1に記載の細胞老化抑制用組成物。
【請求項5】
前記人間細胞は皮膚繊維芽細胞であることを特徴とする請求項4に記載の細胞老化抑制用組成物。
【請求項6】
N−[2−(サイクロヘキシルオキシル)−4−ニトロフェニル]−メタンスルホンアミドの有効量を老化細胞に処理する段階を含む細胞の老化抑制方法。
【請求項7】
N−[2−(サイクロヘキシルオキシル)−4−ニトロフェニル]−メタンスルホンアミドの有効量を患者に投与する段階を含む、細胞の老化の調節を必要とする人間を除いた哺乳動物の細胞老化調節方法。
【請求項8】
前記患者は、アルツハイマー疾患、パーキンソン疾患、ハンチントン疾患及び脳卒中、退行性関節疾患、皮膚アトロピ、弾性繊維分解(elastolysis)、皮脂線過形成、老人性黒点、毛髪白化及び毛髪損失、慢性皮膚潰瘍症、骨粗鬆症、動脈硬化、石灰化、血栓、動脈瘤及び黄班変性を有する患者の中から選択されることを特徴とする請求項7に記載の人間を除いた哺乳動物の細胞老化調節方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2010−526872(P2010−526872A)
【公表日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−508299(P2010−508299)
【出願日】平成20年5月14日(2008.5.14)
【国際出願番号】PCT/KR2008/002688
【国際公開番号】WO2008/140259
【国際公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(509315630)
【氏名又は名称原語表記】SNU R&DB FOUNDATION
【住所又は居所原語表記】San 56−1, Sillim−dong, Gwanak−gu, Seoul 151−742, Republic of Korea
【Fターム(参考)】