説明

NKTアクチベータ、CD40アゴニスト、及び任意選択的に抗原を含んでなるアジュバント組合せと、細胞性免疫において相乗的な増強を誘導するためのその使用

α−ガラクトシルセラミド(α−Gal−Cer)又はiGb3のような、少なくとも1つのNKTアクチベータ、CD40アゴニスト、及び任意選択的に抗原を含んでなるアジュバント組合せを開示する。癌のような様々な慢性疾患の治療へのこれら免疫アジュバントの使用についても提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、免疫細胞上でのCD70発現をアップレギュレートして抗原特異的な細胞性免疫を促進する、相乗的なアジュバント組合せに概して関する。より特別には、本発明は、ナチュラルキラーT細胞(NKT)アクチベータ(例えば、α−ガラクトシルセラミド(α−Gal−Cer)又はiGb3)とCD40アゴニスト(例えば、アゴニストの抗CD40抗体、又はCD40Lポリペプチド又はコンジュゲート)を含んでなり、そして任意選択的に標的抗原がさらに含まれる特異的な相乗的組合せに関する。なおさらに、本発明は、抗原特異的な細胞性免疫(即ち、CD8免疫)を増強する、そのような相乗的なアジュバント組合せ又はタンパク質コンジュゲートの投与を含んでなる新規の免疫療法を提供する。具体的には、これらのアジュバント組合せ及び/又はポリペプチドコンジュゲートを免疫アジュバントとして含んでなる組成物の、癌、感染症、自己免疫疾患、アレルギー及び炎症性疾患が含まれる様々な慢性疾患を治療するための使用についても教示する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
微生物に対する身体の防御系、並びに細胞増殖に影響を及ぼす疾患のような他の慢性疾患に対する身体の防御は、自然免疫系の初期反応と獲得免疫系の後期応答によって媒介される。自然免疫には、例えば、微生物の病原体に特徴的であり、哺乳動物細胞上には存在しない構造を認識する機序が関与する。そのような構造の例には、細菌のリポ多糖(LPS)、ウイルスの二本鎖DNA、及び非メチル化CpG DNAヌクレオチドが含まれる。自然免疫応答系のエフェクタ細胞は、好中球、マクロファージ、及びナチュラルキラー細胞(NK細胞)を含む。自然免疫に加えて、哺乳動物が含まれる脊椎動物は、感染作用体への曝露により刺激されて、特別な抗原へのそれぞれの継続的な曝露に伴って強度及び有効性が増加する免疫防御系を進化させてきた。特異的な感染又は抗原攻撃(insult)へ適応するその能力により、この免疫防御機序は、獲得免疫として記載されている。Bリンパ球によって産生される抗体が関与する体液性免疫と、Tリンパ球が媒介する細胞媒介性免疫と呼ばれる2種類の獲得免疫応答がある。
【0003】
2種類の主要なTリンパ球、CD8細胞傷害性リンパ球(CTL)とCD4ヘルパー細胞(Th細胞)が記載されてきた。CD8T細胞は、例えば、ウイルス又は細菌に感染された細胞の上に、クラスI MHC分子によって提示される外来抗原を、T細胞受容体(TCR)を介して認識するエフェクタ細胞である。外来抗原の認識時に、CD8細胞は、活性化、成熟化、及び増殖のプロセスを受ける。この分化プロセスは、外来抗原を表示する標的細胞を破壊する能力のあるCTLクローンをもたらす。一方、Tヘルパー細胞は、エフェクタ免疫応答の体液性と細胞媒介性の両方の形態に関与する。体液性、又は抗体免疫の応答に関しては、Bリンパ球によって、Th細胞との相互作用を介して抗体が産生される。具体的には、循環する微生物のような細胞外の抗原が特殊化した抗原提示細胞(APC)によって取り込まれ、処理されて、クラスII主要組織適合性複合体(MHC)分子に付随してCD4Th細胞へ提示される。次いで、これらのTh細胞がBリンパ球を活性化して、抗体産生をもたらす。対照的に、細胞媒介性、又は細胞性の免疫応答は、標的細胞への成功した感染後のように、細胞内の部位に存在する微生物を中和するように機能する。例えば、微生物抗原のような外来抗原は、被感染細胞内で合成されて、そのような細胞の表面上で、クラスI MHC分子に付随して提示される。そのようなエピトープの提示は、上記に記載のCD8CTLの刺激をもたらすが、これもCD4Th細胞によって刺激されるプロセスである。Th細胞は、Th1細胞及びTh2細胞と呼ばれる、少なくとも2種の明確な亜集団からなる。Th1及びTh2のサブタイプは、抗原への曝露の後で共通の前駆体より分化する、Th細胞の偏向した集団を表す。
【0004】
それぞれのTヘルパー細胞サブタイプは、互いに異なり、それぞれ他の増大及び機能を交差調節する明確な免疫学的効果を促すサイトカインを分泌する。Th1細胞は、インターフェロン(IFN)γ、腫瘍壊死因子α(TNF−α)、インターロイキン−2(IL−2)、及びIL−12のようなサイトカインの多量と少量のIL−4を分泌する。Th1関連サイトカインは、CD8細胞傷害性Tリンパ球(CTL)の活性を促進して、最も頻繁には、細胞内病原体に対する細胞媒介性免疫応答に関連する。対照的に、Th2細胞は、IL−4、IL−13、及びIL−10のようなサイトカインの多量を分泌するが、IFN−γはわずかに分泌して、抗体応答を促進する。Th2応答は、炭疽菌からの保護や寄生虫感染症の消失といった体液性応答に特に関連している。
【0005】
生じる免疫応答がTh1又はTh2のいずれに推進されるかは、関与する病原体とサイトカインのような細胞環境中の因子に主に依存する。Tヘルパー応答、又は正確なTヘルパー亜集合を活性化し得ないと、特別な病原体と戦うのに十分な応答を開始し得ないことだけでなく、再感染に抗する弱い免疫の産生をもたらす可能性がある。多くの感染作用体は、Th1免疫によって具現化されるような細胞媒介性応答が保護及び/又は療法に重要な役割を担うことが期待される、細胞内の病原体である。さらに、これら感染症の多くでは、不適正なTh2応答の誘導が疾患アウトカムに負の影響を及ぼすことが示されている。例には、M tuberculosis(結核)、S. mansoni(マンソン住血吸虫症)、及びまた、逆効果のTh2様優勢免疫応答が含まれる。らい腫性らいも、蔓延しているが不適正なTh2様応答を特徴とするらしい。HIV感染は、別の例を代表する。ここでは、Th1様細胞の他のTh細胞集団に対する比の低下が、疾患症状へ向かう進行に不可欠な役割を果たすことが示唆されている。
【0006】
感染作用体に対する保護手段として、いくつかの微生物からの保護のための予防接種プロトコールが開発されてきた。感染病原体に対する予防接種プロトコールは、乏しいワクチン免疫原性、不適正な種類の応答(「抗体」対「細胞」媒介性免疫)、長期の免疫記憶を誘導する能力の不足、及び/又は所与の病原体の異なる血清型に対する免疫を産生し得ないことによってしばしば妨げられる。現行の予防接種戦略は、所与の血清型と多くの一般病原体、例えば、ウイルスの血清型又は病原体に特異的な抗体の誘導を目標にする。どの血清型が世界中で蔓延しているかを監視するための努力が反復的なベースで行われなければならない。この例は、主要な感染株となることが予期される新生のインフルエンザA血清型を毎年監視することである。
【0007】
予防接種プロトコールを支援するために、特定の感染症に対する免疫応答の産生を支援するアジュバントがさらに開発されてきた。例えば、アルミニウム塩は、ある種の病原体に対する抗体応答を増強するのに比較的安全で有効なワクチンアジュバントとして使用されてきた。そのようなアジュバントの欠点の1つは、それらが細胞媒介性免疫応答を刺激するのに相対的に無効であり、主にTh2に偏った免疫応答を産生することである。
【0008】
保護的な免疫の産生が、抗原への曝露だけでなく、その抗原が遭遇する状況(context)にも依存することは、今日広く認められている。新規の抗原を非炎症状況の宿主へ導入すると、長期の免疫ではなく免疫寛容を産生するのに対し、炎症剤(アジュバント)の存在時に抗原へ曝露すると免疫が引き起こされるという数多くの例が存在する(Mondino et al., Proc. Natl. Acad. Sci., USA 93:2245 (1996); Pulendran et al., J. Exp. Med. 188:2075 (1998); Jenkins et al., Immunity 1 :443 (1994); 及び Kearney et al., Immunity 1 :327 (1994)).
獲得免疫を調節することが知られている天然に存在する分子は、CD40である。CD40は、TNF受容体スーパーファミリーの一員であり、数多くの細胞媒介性免疫応答に必須で、T細胞依存性体液性免疫の発現に必要とされる(Aruffo et al., Cell 72:291 (1993); Farrington et al., Proc Natl Acad Sci., USA 91:1099 (1994); Renshaw et al., J Exp Med 180:1889 (1994))。その本来の役割において、CD4T細胞上で発現されるCD40−リガンドは、DC又はB細胞上で発現されるCD40と相互作用し、APCの活性化の増加と、同時にT細胞のさらなる活性化を促進する(Liu et al Semin Immunol 9:235 (1994); Bishop et al., Cytokine Growth Factor Rev 14:297 (2003))。DCでは、CD40連結により、典型的には、活性化マーカーのアップレギュレーションと炎症性サイトカインの産生といった、TLRを介した刺激に似た応答がもたらされる(Quezada et al. Annu Rev Immunol 22:307 (2004); O'Sullivan B and Thomas R Crit Rev Immunol 22:83 (2003))。CD8応答におけるその重要性は、CD40を介したAPCの刺激により、CD4細胞の非存在時でのCD4依存性CD8T細胞応答がレスキューされることを示す諸研究によって実証された(Lefrancois et al., J Immunol. 164:725 (2000); Bennett et al., Nature 393:478 (1998); Ridge et al., Nature 393:474 (1998); Schoenberger et al., Nature 393:474 (1998))。この知見は、CD40アゴニストが単独で、ある種の疾患状態で欠落しているCD8T細胞応答を潜在的にレスキューする可能性があるという多くの思索の口火となった。
【0009】
しかしながら、他の研究は、CD40刺激単独では、長期免疫を産生するのに不十分であることを実証した。いくつかのモデル系において、抗CD40治療単独では、長期免疫を不十分に産生した。いくつかのモデル系において、抗CD40治療単独では、無効な炎症性サイトカイン産生、抗原特異的T細胞の欠失(Mauri et al. Nat Med 6:673 (2001); Kedl et al. Proc Natl Acad Sci., USA 98:10811 (2001))、そしてB細胞応答の停止(Erickson et al., J Clin Invest 109:613 (2002))をもたらし得る。また、可溶性のトリマー化CD40リガンドが臨床においてCD40経路のアゴニストとして使用されたことがあるが、わずかに報告されたことは、CD40の刺激単独では、長期のCD8T細胞免疫に必要なすべてのシグナルを再構成し得ないという結論に一致している(Vonderheide et al., J Clin Oncol 19:3280 (2001))。
【0010】
様々なアゴニスト抗体が異なるグループによって報告されている。例えば、あるmAb CD40.4(5c3)(PharMingen,カリフォルニア州サンディエゴ)は、CD40とCD40Lの間の活性化をほぼ30〜40%高めると報告されている(Schlossman et al., Leukocyte Typing, 1995, 1 :547-556)。また、Seattle Genetics は、米国特許第6,843,989号において、アゴニスト抗ヒトCD40抗体を使用してヒトの癌を治療する方法を提供すると主張している。彼らの抗体は、刺激性のシグナルを送達して、それがCD40とCD40Lの相互作用を少なくとも45%増強してCD40L媒介性の刺激を増強して、in vivo 抗新生物活性を保有すると主張されている。彼らは、この抗体をS2C6(Bリンパ球に対して強い増殖促進シグナルを伝達することがかつて示されたアゴニスト抗ヒトCD40抗体)より入手している(Paulie et al., 1989, J. Immunol. 142:590-595)。
【0011】
自然免疫応答と獲得免疫応答におけるCD40の活性の故に、様々なCD40アゴニストについて、ワクチンアジュバントとして、そして増強された細胞性免疫が所望される療法における使用法が探究されてきた。最近、あるTLRアゴニスト及び抗CD40治療と組み合わせた抗原での免疫化(組合せTLR/CD40アゴニスト免疫化)が、強力なCD8T細胞増大を誘導し、いずれかのアゴニスト単独での免疫化より10〜20倍高い応答を誘発することが実証された(Ahonen et al., J Exp Med 199:775 (2004))。これは、ウイルス又は微生物の病原体による感染の非存在下で、強力なCD8T細胞応答を産生し得ることを初めて実証したものである。組合せTLR/CD40アゴニスト免疫化により誘発される抗原特異的なCD8T細胞は、溶解機能、γ−インターフェロン産生、及び抗原チャレンジへの二次応答の増強を実証する。CD8T細胞増大の誘導における、抗CD40との相乗的な活性は、TLR1/6、2/6、3、4、5、7、及び9のアゴニストで示された。このことは、組合せTLR/CD40アゴニスト免疫化により、重大な細胞媒介性獲得免疫を誘発するのに必要とされるすべてのシグナルを再構成し得ることを示唆する。
【0012】
NKT細胞は、非多形性CD1d抗原提示分子によって制限されるT細胞受容体を発現する、免疫調節性Tリンパ球であることが知られている。NKT細胞は、CD1dにより提示される糖脂質、α−ガラクトシルセラミド(α−Gal−Cer)を認識する。α−Gal−Cerの認識時に、NKT細胞は、活性化されて、IL−4、IL−10、IL−13、及びIFN−γが含まれるサイトカインを産生して、それ自体は、免疫調節サイトカインの分泌を促進することによって免疫応答をアップレギュレートすることもダウンレギュレートすることもできる。NKT細胞を欠いているマウスは、細菌感染症とある種の腫瘍に対する抵抗性をより受け易くて、宿主防御におけるNKT細胞の重要な役割を実証する。また、単独療法としてのα−Gal−Cerのマウスへの投与によるNKT細胞の活性化は、腫瘍に対する免疫を限られた成功で増強し得ることも示された(Matsuyoshi, H., S. Hirata, Y. Yoshitake, Y. Motomura, D. Fukuma, A. Kurisaki, T. Nakatsura, Y. Nishimura, and S. Senju. 2005「Therapeutic effect of α-galactosylceramide-loaded dendritic cells genetically engineered to express SLC/CCL21 along with tumor antigen against peritoneally disseminated tumor cells(腹腔内播種された腫瘍細胞に対する腫瘍抗原と、SLC/CCL21を発現するように遺伝子工学処理したα−ガラクトシルセラミド負荷樹状細胞の治療効果)」Cancer Sci. 96:889-896; Crowe, N.Y., J.M. Coquet, S.P. Berzins, K. Kyparissoudis, R. Keating, D.G. Pellicci, Y. Hayakawa, D.I. Godfrey, and M.J. Smyth. 2005「Differential antitumor immunity mediated by NKT cell subsets in vivo(NKT細胞サブセットにより in vivo で媒介されるディファレンシャルな抗腫瘍免疫)」J. Exp. Med. 202:1279-1288; Smyth, M.J., N. Y. Crowe, Y. Hayakawa, K. Takeda, H. Yagita, and D.I. Godfrey. 2002「NKT cells - conductors of tumor immunity?(NKT細胞−腫瘍免疫のコンダクター?)」Curr. Opin. Immunol. 14:165-171)。
【0013】
故に、予防接種プロトコールにおいて、又は微生物感染症の間などにおける、獲得免疫応答の有効性を高めるには、新規のより有効なワクチンアジュバントを開発することが重要である。本発明は、このニーズを満足させる上に、他の利点も提供する。かつて、本発明者は、toll様受容体(TLR)アゴニストとCD40アゴニストの組合せを含んでなる新規の相乗的なアジュバントについて報告したことがある。これらのアゴニストは、組合せにおいて、細胞性免疫に対して相乗的な効果を誘発する。これらの相乗的なアジュバントとその予防及び治療上の応用については、US公開特許出願US20040141950(2004年7月22日公開)に開示され、その特許出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。本発明は、別の相乗的なアジュバント組合せの発見と、治療的又は予防的に免疫を強化する組合せとしてのその使用に関する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
発明の概要
本発明は、(i)少なくとも1つのNKTアクチベータ、例えば、α−ガラクトシルセラミド(α−GalCer)又はiGb3;及び(ii)CD40アゴニスト抗体又はその断片、又はモノマー又はマルチマー(トリマー)CD40Lタンパク質のようなCD40Lポリペプチド、CD40Lタンパク断片、又はCD40Lを含有するコンジュゲートといった、少なくとも1つのCD40アゴニスト;及び(iii)任意選択的に、それに対する細胞性免疫応答が望ましくは誘発される抗原の組合せを含んでなる、相乗的な免疫アジュバントに関する。さらに本発明は、そのような組合せの免疫アジュバントとして、そしてT細胞免疫が望ましくは増強される状態を治療することへの使用に関する。
【0015】
以下に詳しく記載するように、これらの免疫組合せは、そのような治療の必要な宿主へ:
(i)CD40アゴニスト又はNKTアクチベータだけの投与に比べて、より高い頻度の抗原特異的CD8T細胞を誘発すること;
(ii)CD40アゴニスト又はNKTアクチベータだけの投与に比べて、より多い量の抗原特異的CD8T細胞を誘発すること;及び
(iii)CD40アゴニスト又はNKTアクチベータだけの投与に比べて、腫瘍免疫を増強することの手段として投与してよい。
【0016】
さらに抗原が含まれてもよい上記の免疫アジュバント組合せは、上記に特定した細胞性免疫応答の増強が療法上望まれるあらゆる疾患又は状態、具体的には、感染症、癌のような増殖性障害、アレルギー、自己免疫障害、炎症障害、及び、細胞性免疫の増強が所望される治療アウトカムである他の慢性疾患を治療するのに使用してよい。本発明の好ましい応用には、具体的には、癌のような慢性疾患の治療が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、抗CD40及びα−GalCerの組合せ投与の効果と、そのような投与が抗原特異的なT細胞の in vivo 増大を相乗的に増強することを示す実験を含有する。
【図2】図2は、組み合わせた抗CD40及びα−GalCerでの免疫化の結果としての免疫応答を定量する実験を含有する。
【図3】図3は、CD40/TLR*予防接種が全身性メラノーマにおいて治療的に介入することを示す、メラノーマ細胞で免疫化したマウスでの実験を含有する。
【図4】図4は、抗CD40及びα−GalCerの投与がDC上でのCD70発現を in vivo で誘導することを示す実験を含有する(この実験では、マウスに以下の組合せを注射した:2μg α−GalCer、50μgポリIC、及び/又は50μg抗CD40(i.p.)。注射後18〜20時間で脾臓を採取した)。
【図5】図5は、α−GalCer/CD40免疫化が、STAT4、IFNγ、及びIFNab非依存性であるがSTAT1及びT−bet依存性である、強力なCD8T細胞応答を誘発することを示す実験を含有する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
発明の詳細な説明
本発明は、相乗的に有効な量の(i)α−ガラクトシルセラミド(α−GalCer)又は別のNKT細胞活性化剤のような、少なくとも1つのナチュラルキラーT細胞(NKT)活性化剤;(ii)少なくとも1つのCD40アゴニスト、及び(iii)任意選択的に、少なくとも1つの抗原を含んでなる、相乗的な免疫アジュバント組合せの使用に関する。これらのアジュバントは、(i)抗原特異的なエフェクタCD8T細胞を増大させる、及び/又は(ii)免疫応答を増強するために使用してよい。それに基づいて、これらの相乗的なアジュバントは、細胞性免疫の増強が所望される、癌や他の増殖性障害、ウイルス及び他の感染症、自己免疫、炎症性疾患、及びアレルギー障害のような状態を有する被検者を治療するために、予防的及び治療的に使用することができる。特に、本主題の相乗的なアジュバントは、ワクチンアジュバントとして使用してよい。故に、このようなワクチンアジュバントの基本成分は、NKT細胞アクチベータ、CD40アゴニスト、及び、保証されるならば、腫瘍又は感染症の抗原の追加であろう。このような発明は、癌又は感染症のように、免疫応答を増強すること、又は自己免疫におけるように免疫応答を改善することが望まれるいかなる状況でも有用であろう。
【0019】
より具体的には、本発明は、NKTアクチベータ、例えば、α−ガラクトシルセラミド(α−Gal−Cer)又はiGb3と、CD40アゴニスト(例えば、CD40Lタンパク質、又はその断片又は誘導体又はマルチマー、又はCD40、好ましくはヒトCD40へ結合するアゴニスト抗体又は抗体断片)、及び任意選択的に抗原を含んでなる新規の相乗的なアゴニスト組合せを提供する。これらのアジュバント組合せは、宿主、好ましくはヒトへ投与されるとき、増強された抗原特異的な細胞性免疫応答を産生するために使用してよい。
【0020】
好ましい態様において、NKTアクチベータは、α−ガラクトシルセラミド(α−Gal−Cer)、イソグロボトリヘキソシルセラミド(iGb3)、又は、例えば、CD1d抗原提示分子によって提示される他の糖脂質のような、NKTを刺激することができる他のあらゆる分子である。
【0021】
また、本発明は、前記相乗的なアジュバント組合せ、それを含有する担体を抗原特異的な免疫応答が望ましくは誘導される宿主、例えば、癌又は感染又はアレルギー障害のような慢性疾患を有する人へ使用する方法、及び前記組成物を産生する方法を提供する。
【0022】
なおさらに、本発明は、増強された抗原特異的な細胞性免疫応答を誘発するための宿主への投与に適している前記新規の相乗的なNKTアクチベータ/CD40アゴニスト組合せを含んでなる組成物を提供する。
【0023】
特に、本発明は、前記新規の相乗的なアジュバント組合せをそのような治療の必要な宿主へ投与して増強された抗原特異的な細胞性免疫応答を誘発することを含んでなる、免疫療法の新規な方法を提供する。好ましい態様において、これらの組成物及びコンジュゲートは、癌、感染症、特に慢性感染症(例えば、ウイルス、細菌、又は寄生虫が関与するもの);又は自己免疫、炎症性、又はアレルギー状態を有しているか又はそれらを発症するリスク状態にある被検者へ投与される。特に、好ましい態様において、本発明は、メラノーマに対する抗原特異的な細胞性免疫応答を誘発するために使用してよい。
【0024】
このように、本発明は、癌や自己免疫疾患、アレルギー障害、及び炎症性疾患のような他の増殖性疾患、並びに、ウイルス、細菌、真菌、又は寄生虫が関与する慢性感染症に対する強力なワクチンの開発を提供し、ここで有効な治療には、組み合わせたNKTアクチベータ/CD40アゴニスト免疫化により産生することが可能である細胞性免疫の量と質が求められる。
【0025】
本発明の応用
本発明は、少なくとも1つのNKTアクチベータ、少なくとも1つのCD40アゴニスト、及び任意選択的に抗原を含んでなる、新規のアジュバント組合せを提供する。本発明には、主題のNKTアクチベータ及びCD40アゴニストと組み合わせた、それに対する増強された細胞性免疫応答が治療的に望まれる、あらゆる抗原の使用が含まれる。いくつかの態様において、抗原は、NKTアクチベータと別に投与してよく、あるいは、宿主は、抗原に自然に曝露されていてもよい。いくつかの態様では、3つの部分、即ち、抗CD40抗体のようなCD40アゴニスト、NKTアクチベータ、及び抗原のすべてを同時に投与してよい。追加的に、いくつかの態様では、3つの部分、即ち、抗CD40抗体のようなCD40アゴニスト、NKTアクチベータ、及び抗原のすべてを別個の独立した実体として同時投与してよい。好ましくは、所望の相乗的な増強を細胞性免疫において達成するために、これら部分のすべてを実質的に同時に投与する。これらの部分は、いずれの順序で投与してもよい。
【0026】
例示の抗原には、限定されないが、細菌、ウイルス、寄生虫の抗原、アレルゲン、自己抗原、及び腫瘍関連抗原が含まれる。特に、抗原には、タンパク抗原、ペプチド、不活性化生物全体、等を含めることができる。
【0027】
本発明に使用し得る抗原の具体例には、A、B、C、又はD型肝炎、インフルエンザウイルス、リステリア、ボツリヌス菌、結核、野兎病、大痘瘡(天然痘)、ウイルス性出血熱、ペスト菌(ペスト)、HIV、ヘルペス、乳頭腫ウイルス由来の抗原と、感染作用体と関連した他の抗原が含まれる。他の抗原には、腫瘍細胞に関連した抗原、自己免疫状態、アレルギー、及び喘息に関連した抗原が含まれる。本主題のアゴニスト組合せ、フラジェリン及び抗CD40抗体と併用したそのような抗原の投与は、そのような疾患状態に対する免疫を付与するための治療用又は予防用ワクチンに使用することができる。
【0028】
いくつかの態様において、本方法及び組成物は、感染作用体からの抗原を含めることによって、感染症を有するリスク状態にあるか又は感染症を有する個体を治療するために使用することができる。感染症は、外来生物又は宿主の内部で生殖する作用体の宿主中での存在に起因する疾患又は状態を意味する。感染症を有するリスク状態にある被検者は、感染症を発症する素因がある被検者である。そのような個体には、例えば、感染性の生物又は作用体への曝露が知られているか又は疑われる被検者を含めることができる。感染症を有するリスク状態にある被検者には、感染性の作用体又は生物への免疫応答を開始する能力が損なわれたことに関連する状態の被検者、例えば、先天性又は獲得性免疫不全の被検者、放射線又は化学療法を受けている被検者、熱傷のある被検者、外傷性損傷のある被検者、手術、又は他の侵襲性の医科又は歯科手技を受けている被検者、又は、類似の免疫不全状態の個体も含めてよい。
【0029】
本発明のワクチン組成物で治療又は予防し得る感染症には、細菌、ウイルス、真菌、及び寄生虫の感染症が含まれる。他のさほど一般的ではない種類の感染症には、リケッチア、マイコプラズマ、及びスクラピー、ウシ海綿状脳症(BSE)、及びプリオン病(例えば、クールー病及びクロイツフェルト−ヤコブ病)を引き起こす作用体も含まれる。ヒトに感染する細菌、ウイルス、真菌、及び寄生虫の例は、よく知られている。感染症は、急性、亜急性、慢性、又は潜在性であってよく、そしてそれは、局在性又は全身性であってよい。さらに、感染は、主に細胞内であり得るか、又は感染性生物体の宿主中の生活環の少なくとも1つの相の間は細胞外であり得る。
【0030】
本主題のワクチン及び方法をそれに対して使用し得る細菌感染症には、グラム陰性菌とグラム陽性菌がともに含まれる。グラム陽性菌の例には、限定されないが、パスツレラ種、ブドウ球菌種、及び連鎖球菌種が含まれる。グラム陰性菌の例には、限定されないが、大腸菌、シュードモナス種、及びサルモネラ種が含まれる。感染菌の具体例には、限定されないが、ヘリコバクター・ピロリ、ボレリア・バーグドフェリ、レジオネラ・ニューモフィラ、マイコバクテリウム種(例えば、結核菌、トリ型結核菌、マイコバクテリウム・イントラセルラーレ、マイコバクテリウム・カンサシイ、マイコバクテリウム・ゴルドネ)、黄色ブドウ球菌、淋菌、髄膜炎菌、リステリア・モノサイトゲネス、化膿性連鎖球菌(A群連鎖球菌)、ストレプトコッカス・アガラクチエ(B群連鎖球菌)、連鎖球菌(ビリダンス群)、糞便連鎖球菌、ストレプトコッカス・ボービス、連鎖球菌(アネロビウス種)、肺炎連鎖球菌、病原性カンピロバクター種、エンテロコッカス種、インフルエンザ菌、炭疽菌、ジフテリア菌、コリネバクテリウム種、エリジペロトリックス・リュージオパチエ、クロストリジウム・ペルフリンゲンス、破傷風菌、エンテロバクター・エロゲネス、肺炎桿菌、パスツレラ・ムルトシダ、バクテロイデス種、フソバクテリウム・ヌクレアタム、ストレプトバチルス・モリニホルミス、トレポネーマ・パリダム、トレポネーマ・ペルテヌエ、レプトスピラ、リケッチア、及びアクチノミセス・イスラエリイが含まれる。
【0031】
ヒトにおいて感染症を引き起こすウイルスの例には、限定されないが、レトロウイルス科(例えば、HIV−I(HTLV−IIIとも呼ばれる)、HIV−II、LAC又はIDLV−III/LAV又はHIV−IIIのようなヒト免疫不全ウイルスとHIV−LPのような他の分離株)、ピコナウイルス科(例えば、ポリオウイルス、A型肝炎ウイルス、エンテロウイルス、ヒトコクサッキーウイルス、リノウイルス、エコーウイルス)、カルシウイルス科(例えば、胃腸炎を誘発する株)、トガウイルス科(例えば、ウマ脳炎ウイルス、風疹ウイルス)、フラビウイルス科(例えば、デングウイルス、脳炎ウイルス、黄熱ウイルス)、コロナウイルス科(例えば、コロナウイルス)、ラブドウイルス科(例えば、水疱性口内炎ウイルス、狂犬病ウイルス)、フィロウイルス科(例えば、エボラウイルス)、パラミクソウイルス科(例えば、パラインフルエンザウイルス、ムンプスウイルス、麻疹ウイルス、呼吸器合胞体ウイルス)、オルトミクソウイルス科(例えば、インフルエンザウイルス)、ブンヤウイルス科(例えば、ハンタウイルス、ブンヤウイルス、フレボウイルス、及びナイロウイルス)、アレナウイルス科(出血熱ウイルス)、レオウイルス科(例えば、レオウイルス、オルビウイルス、ロタウイルス)、ビマウイルス科、ヘパドナウイルス科(B型肝炎ウイルス)、パルボウイルス科(パルボウイルス)、パポバウイルス科(パピローマウイルス、ポリオーマウイルス)、アデノウイルス科(アデノウイルス)、ヘルペスウイルス科(例えば、単純ヘルペスウイルス(HSV)I及びII、帯状疱疹ウイルス、ポックスウイルス)、及びイリドウイルス科(例えば、アフリカブタ発熱性ウイルス)、及び未分類ウイルス(例えば、海綿様脳症の起因体、デルタ型肝炎の病原体、非A非B型肝炎(腸伝播されるクラス1;C型肝炎のように非経口伝播されるクラス2)の病原体;ノルウォークウイルスと関連ウイルス、及びアストロウイルスが含まれる。
【0032】
真菌の例には、アスペルギルス種、コクシジオイデス・イミジス、クリプトコックス・ネオホルマンス、カンジダ・アルビカンスと他のカンジダ種、ブラストミセス・デルマチチジス、ヒストプラズマ・カプスラーツム、クラミジア・トラコマティス、ノカルジア種、及びニューモシスティス・カリニが含まれる。
【0033】
寄生虫には、限定されないが、バベシア・ミクロティ、バベシア・ダイバージェンス、エントメーバ・ヒストリチカ(Entomoeba histolytica)、ランブル鞭毛虫、熱帯リーシュマニア、リーシュマニア種、ブラジルリーシュマニア、リーシュマニアドノバニ、熱帯熱マラリア、四日熱マラリア、卵型マラリア、三日熱マラリア、ゴンディ・トキソプラズマ、ガンビア・トリパノソーマ、及びトリパノソーマ・ローデシェンセ(アフリカ眠り病)、クルーズ・トリパノソーマ(シャーガス病)、及びゴンディ・トキソプラズマ、扁形動物、及び回虫のような、血行性及び/又は組織寄生虫が含まれる。
【0034】
述べたように、本発明には、癌のような増殖性疾患を治療することにおける、そして好ましい態様では、メラノーマを治療することにおける、本主題のコンジュゲートの使用がさらに含まれる。癌は、身体の臓器及び系の正常な機能に干渉する、細胞の非制御増殖の状態である。癌を有する被検者は、その被検者の身体に存在する客観的に測定可能な癌細胞を有する被検者である。癌を発症するリスク状態にある被検者は、例えば、家族歴、遺伝素因、放射線又は他の発癌剤への被検者曝露に基づいて、癌を発症する素因のある被検者である。その元の部位より遊走して生きた臓器へ播種する癌は、最終的には、罹患した臓器の機能悪化を介して被検者の死をもたらし得る。白血病のような造血系の癌は、被検者の正常な造血コンパートメントを打ち負かして、それにより造血系の破綻をもたらし(貧血、血小板減少症、及び好中球減少症の形態で)、最終的には死を引き起こすことができる。
【0035】
転移は、原発腫瘍から身体の他の部分への癌細胞の播種より生じる、原発腫瘍部位とは異なる、癌細胞の領域である。原発腫瘍量の診断時には、被検者について、転移の存在をモニタリングする場合がある。転移は、しばしば、特定症状のモニタリングに加えて、磁気共鳴イメージング(MRI)、コンピュータ断層撮影(CT)、スキャン、血球及び血小板カウント、肝機能試験、胸部X線撮影、及び骨スキャンの単独又は組合せの使用により検出される。
【0036】
本発明に従って含有するアジュバント組合せ及び組成物は、腫瘍関連抗原(TAA)又はDNAコード化の包含によって、多様な癌又は癌を発症するリスク状態の被検者を治療するために使用することができる。これは、腫瘍細胞において発現される抗原である。そのような癌の例には、乳癌、前立腺癌、結腸癌、白血病、慢性リンパ球性白血病のような血液癌、等が含まれる。本発明の予防接種方法を使用して、腫瘍の増殖を阻害するか又は遅延させること、又は腫瘍の大きさを減少させることによって、腫瘍を治療するための免疫応答を刺激することができる。腫瘍関連抗原も、腫瘍細胞において専ら発現される抗原であり得るが、腫瘍細胞に限られるわけではない。
【0037】
追加の癌には、限定されないが、基底細胞癌、胆管癌、膀胱癌、骨癌、脳及び中枢神経系(CNS)の癌、頚部癌、絨毛癌、結直腸癌、結合組織癌、消化器系の癌、子宮内膜癌、食道癌、眼癌、頭頚部癌、胃癌、上皮内新生物、腎癌、喉頭癌、肝臓癌、肺癌(小細胞、大細胞)、ホジキンリンパ腫及び非ホジキンリンパ腫が含まれるリンパ腫;神経芽腫;口腔癌(例えば、唇、舌、口、及び咽頭の癌);卵巣癌;膵臓癌;網膜芽腫;横紋筋肉腫;直腸癌;呼吸器系の癌;肉腫;皮膚癌;胃癌;精巣癌;甲状腺癌;子宮癌;泌尿器系の癌;並びに、他の癌腫及び肉腫が含まれる。
【0038】
本発明に従って含有するアジュバント組合せ及び組成物はまた、多発性硬化症、慢性関節リウマチ、1型糖尿病、乾癬、又は他の自己免疫障害のような自己免疫疾患を治療するために使用することができる。本発明のワクチン及び免疫アジュバントで潜在的に治療し得る他の自己免疫疾患には、クローン病と潰瘍性大腸炎のような他の炎症性腸疾患、全身性紅斑性狼瘡(SLE)、自己免疫脳脊髄炎、重症筋無力症(MG)、橋本甲状腺炎、グッドパスチャー症候群、天疱瘡、グレイブス病、自己免疫溶血性貧血、自己免疫血小板減少性紫斑病、抗コラーゲン抗体を伴う強皮症、混合結合組織病、多発性筋炎、悪性貧血、特発性アジソン病、自己免疫関連不妊症、糸球体腎炎(例えば、三日月形糸球体腎炎、増殖性糸球体腎炎)、水疱性類天疱瘡、シェーグレン症候群、乾癬性関節炎、インスリン抵抗性、自己免疫糖尿病(1型糖尿病;インスリン依存性糖尿病)、自己免疫肝炎、自己免疫血友病、自己免疫リンパ増殖症候群(ALPS)、自己免疫肝炎、自己免疫血友病、自己免疫リンパ増殖症候群、自己免疫ぶどう膜網膜炎、及びギラン・バレー症候群が含まれる。最近、動脈硬化症とアルツハイマー病は、自己免疫疾患として認識されてきた。このように、本発明のこの態様では、抗原は、組織破壊や正常組織の傷害に貢献する望ましくない免疫応答をそれに対して宿主が誘発する、自己抗原であろう。
【0039】
本発明に従って含有するアジュバント組合せ及び組成物はまた、喘息とアレルギー性及び炎症性疾患を治療するために使用することができる。喘息は、気道の炎症及び狭窄と吸入抗原に対する気道の増加反応性を特徴とする呼吸器系の障害である。喘息には、必ずではないが頻繁に、アトピー又はアレルギー症状が伴う。アレルギーは、ある物質(アレルゲン)に対して獲得される過敏症である。アレルギー状態には、湿疹、アレルギー性鼻炎又はコリーザ、枯草熱、気管支喘息、蕁麻疹、及び食物アレルギーと他のアトピー状態が含まれる。アレルゲンは、感受性のある被検者においてアレルギー又は喘息性の応答を誘発し得る物質である。花粉、昆虫毒、動物鱗屑、埃、カビ胞子、及び薬物を含めて、多数のアレルゲンがある。
【0040】
天然及び植物アレルゲンの例には、以下の属に特有なタンパク質が含まれる:イヌ、ヒョウヒダニ、ネコ、ブタクサ、ロチウム(Lotium)、スギ、アルテルナリア、ハンノキ、Alinus、カバノキ、コナラ、オリーブ、ヨモギ、オオバコ、ヒカゲミズ、ブラテラ、ミツバチ、イトスギ、ビャクシン、ツヤ、ヒノキ、ゴキブリ(Periplanet)、アゴピロン(Agopyron)、ライムギ、コムギ、カモガヤ、ウシノケグサ、イチゴツナギ、カラスムギ、シラゲガヤ、ハルガヤ、オオカニツリ、ヌカボ、アワガエリ、クサヨシ、ススメノヒエ、モロコシ、及びブロミス(Bromis)。
【0041】
本発明に従って含有するアジュバント組合せ及び組成物は、特定の状態、例えば、感染症、癌、又は自己免疫状態を治療するための他の療法と組み合わせることができると理解される。例えば、癌の場合、本発明の方法は、化学療法又は放射線療法と組み合わせてよい。
【0042】
ワクチンとしての組成物を作製する方法は、当業者によく知られている。NKTアクチベータ、CD40アゴニスト、及び任意選択的な抗原の有効量は、経験的に決定することができるが、動物モデルにおいて免疫学的に有効な量に基づくことができる。考慮すべき因子には、抗原性、製剤、投与の経路、投与すべき免疫用量の回数、個体の身体状態、体重、及び年齢、等が含まれる。そのような因子は、当業者によりよく知られていて、当業者が決定することができる(例えば、Paoletti and McInnes 編「Vaccines, from Concept to Clinic: A Guide to the Development and Clinical Testing of Vaccines for Human Use(ワクチン、概念から臨床へ:ヒト使用ワクチンの開発及び臨床試験の手引き)」CRCプレス(1999)を参照のこと)。本明細書に開示するように、主題のDNA又はタンパク質コンジュゲートは、単独で、又は他のアジュバントと併用して投与することができると理解される。
【0043】
本発明のアジュバントは、限定されないが、筋肉内、静脈内、皮内、皮下、腹腔内、鼻腔内、経口、又は他の粘膜の経路が含まれる、当該技術分野で知られたいずれの方法によっても、局所的又は全身的に投与することができる。追加の経路には、頭蓋内(例えば、槽内、又は脳室内)、眼窩内、眼、嚢内、髄腔内、及び局所の投与が含まれる。本発明のアジュバント及びワクチン組成物は、好適な無毒の医薬担体において投与し得るか、又はマイクロカプセル剤又は持続放出インプラントにおいて製剤化することができる。本発明の免疫原性組成物は、所望されるならば、所望の細胞性免疫応答を持続させるために、複数回投与することができる。適正な経路、製剤、及び免疫化スケジュールは、当業者によって決定され得る。
【0044】
本発明の方法において、いくつかの例では、抗原とNKTアクチベータ/CD40アゴニストコンジュゲートを別々に投与しても、同じ製剤に組み合わせてもよい。いくつかの例では、数種の抗原を含めることが有益であり得る。細胞性免疫の所望される相乗的な増強を達成するために、これらの組成物は、別々に、又は組み合わせて、いずれの順序で投与してもよい。典型的には、これらの組成物は、互いに短い時間の間で、即ち、互いに約数時間以内に、より好ましくは、約半時間以内に投与する。いくつかの態様において、それらは、互いに約24〜48時間以内に同時投与してよい。
【0045】
いくつかの事例では、アフィニティー精製を促進する部分をアジュバントに含めることが有益であるかもしれない。そのような部分には、アジュバント組合せの機能に干渉しない、比較的小さな分子が含まれる。あるいは、タグは、切断により除去可能であってよい。そのようなタグの例には、ポリヒスチジンタグ、血球凝集素タグ、マルターゼ結合タンパク質、レクチン、グルタチオン−Sトランスフェラーゼ、アビジン、等が含まれる。他の好適なアフィニティータグには、FLAG、緑色蛍光タンパク質(GFP)、myc、等が含まれる。
【0046】
本主題のアジュバント組合せは、生理食塩水のような生理学的に許容される担体とともに投与することができる。本組成物には、クエン酸塩、リン酸塩、酢酸塩、及び重炭酸塩のような緩衝剤、アミノ酸、尿素、アルコール、アスコルビン酸、リン脂質、血清アルブミンのようなタンパク質、エチレンジアミン四酢酸、塩化ナトリウム又は他の塩、リポソーム、マンニトール、ソルビトール、グリセロール、等のような別の担体又は賦形剤も含めてよい。本発明のアジュバントは、対応する投与経路に従って、様々なやり方で製剤化することができる。例えば、摂取又は注射用に液体製剤を作製することができて、ゲル剤又は種々の製剤(procedures)を摂取、吸入、又は局所適用のために作製することができる。そのような製剤を作製するための方法はよく知られていて、例えば、「Remington's Pharmaceutical Sciences(レミントン製薬科学)」第18版、マック・パブリッシング・カンパニー、ペンシルヴェニア州イーストンに見出すことができる。
【0047】
本発明には、DNAベースのワクチンも含まれる。所望の抗原及び/又はCD40アジュバントをコード化し得るこれらのDNAは、裸のDNAとして投与しても、発現ベクターに含まれてもよい。さらに、本主題の核酸配列は、移植片の移植に先立って移植片の細胞へ導入してよい。このDNAは、好ましくは、ヒト被検者における発現を促進するためにヒト化されるものである。
【0048】
本主題のアジュバント組合せには、「マーカー」又は「レポーター」がさらに含まれてよい。マーカー又はレポーター分子の例には、β−ラクタマーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ、アデノシンデアミナーゼ、アミノグリコシドホスホトランスフェラーゼ、ジヒドロ葉酸レダクターゼ、ハイグロマイシンB−ホスホトランスフェラーゼ、チミジンキナーゼ、lacZ、及びキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ、等が含まれる。
【0049】
本主題のアジュバント又は抗原の発現を促進するために使用し得る原核及び真核細胞には、例えば、微生物、植物、及び動物の細胞(例、大腸菌、枯草菌、等のような原核生物、Sf21細胞のような昆虫細胞、サッカロミセス、カンジダ、クリヴェロミセス、シゾサッカロミセス、及びピキアのような酵母細胞、並びに、COS、HEK293、CHO、BHK、NIH 3T3、HeLa、等のような哺乳動物細胞)が含まれる。当業者は、所望の細胞又は生物に適した発現ベクター、プロモーター、選択可能マーカー、等が含まれる、特別な発現系に適した成分を容易に選択することができる。様々な発現系の選択及び使用については、例えば、Ausubel et al.「Current Protocols in Molecular Biology(分子生物学の現行プロトコール)」ジョン・ウィリー・アンド・サンズ、ニューヨーク(1993);及び、Pouwels et al.「Cloning Vectors: A Laboratory Manual(クローニングベクター:実験マニュアル)」:1985 補遺(1987)に見出すことができる。また提供されるのは、本主題のDNA構築体を含有して発現する真核細胞である。
【0050】
細胞移植の場合、細胞は、移植手順によって投与しても、血管壁を介したカテーテル媒介注射手技で投与してもよい。いくつかの事例において、細胞は、血管への放出により投与してよく、そこから細胞は、引き続き、血流によって分布する、及び/又は周囲組織へ遊走する。
【0051】
本発明に有用な「NKTアクチベータ又はアゴニスト」には、当該技術分野で一般的に知られている、NKT細胞のすべてのアクチベータ又はアゴニストが含まれる。NKTアクチベータ又はアゴニストの例には、例えば、US20060211856とUS20060052316(このいずれの公開特許出願も、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に開示される、セラミドと他の糖脂質化合物が含まれる。例えば、これには、引用特許においてNKTアクチベータとして開示されて当該技術分野で知られている、α−ガラクトシルセラミド、α−グルコシルセラミド、ホスファチジルイノシトール及びグリコシルホスファチジルイノシトール、並びに、他の様々な糖脂質化合物及び誘導体が含まれる。Parekh et al., Crit. Rev. Immunol. 25(3): 183-213 (2005); 及び、Parekh et al., J Immunol. 173(l): 3693-706 (2006) も参照のこと。この参考文献のいずれも、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0052】
述べたように、本発明に有用な「CD40アゴニスト」は、好ましくは、CD40へ特異的に結合するアゴニスト抗CD40抗体又はその断片、好ましくはマウス又はヒトのCD40又はCD40Lタンパク質、誘導体、三量体CD40Lコンジュゲートのような多量体を含む。本明細書に使用するように、用語「抗体」は、ポリクローナル及びモノクローナル抗体、並びにその抗原結合断片が含まれる、その最も広い意味で使用される。これには、Fab、F(ab’)2、Fd、及びFv断片が含まれる。
【0053】
さらに、用語「抗体」には、天然抗体だけでなく、単鎖抗体、キメラ抗体、二機能性抗体、及びヒト化抗体のような、非天然に存在する抗体が含まれる。本発明での使用に好ましいのは、キメラ抗体、ヒト化抗体、及び完全ヒト抗体である。キメラ、ヒト化、CDR移植、単鎖、及び二機能性の抗体の合成の方法は、当業者によく知られている。さらに、CD40に特異的な抗体は広く知られていて入手可能であり、好適な宿主をCD40抗原、好ましくはヒトCD40で免疫化することによって作製することができる。
【0054】
本発明の様々な態様の活性に実質的には影響を及ぼさない修飾も、本明細書に提供する本発明の定義内で提供されると理解される。
【実施例】
【0055】
抗原特異的なCD8応答を誘導することにおける、CD40アゴニストのα−GalCerとのシナジー
以下の実験は、TLRアゴニストでかつて観測されたことに類似して、溶解機能のあるCD8細胞を増大させることにおいて、NKTα−ガラクトシルセラミド(α−GalCer)が抗CD40抗体とともにシナジーを与えることを明らかにする。CD40アゴニストとα−GalCerの組合せ投与は、高レベルの細胞媒介性免疫を誘導した。
【0056】
実施例1:
抗CD40とα−GalCerの組合せ投与は、抗原特異的T細胞の in vivo での増大を相乗的に増強する。
【0057】
本実施例は、図1に含まれる実験に関する。ここでは、500μgオバルブミン(Ovalbumin)、100μg抗CD40、100μg S−27609(TLR7アゴニスト)、4μg α−GalCer(i.v.)を図に注記の組合せでマウスに投与した。5日後、先に記載のように、Siinfeklパルス標的を用いた標準CTLアッセイを実施した。注記した試薬の投与後6日目に、OVA特異的CD8T細胞の数を、in vitro での再刺激後にIFNγを産生する抗原特異的CD8T細胞の数と同様に、先に記載のようにテトラマー染色によって定量した。
【0058】
図1の結果は、驚くべきことに、CD40アゴニスト(抗CD40)とTLRアゴニスト(S−27609)、又は抗CD40とα−GalCerと組み合わせた新抗原(OVA)の投与が高レベルのOVA特異的CD8T細胞(OVA−H−2bテトラマーを使用するテトラマー染色によって定量される)とIFN−αを産生するOVA特異的CD8T細胞のリコール(recall)応答を誘発することを実証する。
【0059】
実施例2:
組み合わせた抗CD40及びα−GalCerでの免疫化の結果としての免疫応答を定量すること(図1のデータに基づく)と、保護性抗腫瘍免疫を誘導することにおけるCD40アゴニストのα−GalCerとのシナジーの実証
抗CD40/α−GalCer/OVA又は抗CD40/609/OVAの投与は、この薬剤だけの単独療法としての使用に比較して、抗原特異的CD8T細胞の総数を増強するのにずっとより有効であるので、組合せ療法について、メラノーマのマウスモデルにおいて治療性免疫を誘導するのに有効な手段として試験した。抗CD40及びTLR*又はα−GalCerを使用する初期試験は、ペプチド又はタンパク質全体と一緒にこのアクチベータの組合せを投与すると、きわめて高い(CD8T細胞のうち5%より高いテトラマー+T細胞)頻度の抗原特異的な細胞傷害性T細胞が誘発されることを明示した。次いで、我々は、高頻度の「自己反応性又は腫瘍反応性」T細胞が同系腫瘍に対して保護するように誘発され得るかどうかを探究することにした。チロシナーゼ関連タンパク質−2(TRP−2)は、メラニン合成に関与するタンパク質であり、メラノーマ関連抗原として免疫療法に使用されてきた。TRP−2は、正常メラニン細胞とメラノーマにおいて発現されて、CTLにより認識されるヒト腫瘍抗原として同定されて、引き続き、B16メラノーマの腫瘍拒絶抗原として同定された。CD8T細胞ペプチドエピトープは、ヒトとマウスの両方で記載されている。このCD40/TLRプラットフォームを使用して、抗自己反応性CD8T細胞が誘導され得るかどうかを検証するために、B16メラノーマを(4日前に)与えたマウスを、50μgのTRP−2(ΔVペプチド;TRP−2(SVYDFFVWL))の複素環バージョン、抗CD40及びTLR7*、又は抗CD40及びα−GalCer(並びに、それぞれの単独療法)で腹腔内に免疫化した。
【0060】
図2の結果は、腫瘍の投与後21日での肺転移の数によって判定されるように、抗CD40/TLR/ΔV又は抗CD40/α−GalCer/ΔVの組合せ使用によって、最も有効な治療的保護がもたらされたことを示す。α−GalCerとΔVでは、いくらかの予防的保護がもたらされる。しかしながら、他の療法での我々の経験に基づけば、抗CD40/α−GalCer/ΔVの使用は、α−GalCer/ΔV療法を受けるマウスに比較して、これらマウスの増強された生存をもたらすものである。
【0061】
この in vivo 殺傷アッセイはまた、組合せ療法(OVA/抗CD40/α−GalCer)が試験したいずれの単独療法(抗CD40/OVA又はα−GalCer/OVA又はTLR/OVA)よりも有効であることを示唆する(図2参照)。
【0062】
実施例3:
CD40/TLR*予防接種は、全身性メラノーマに治療的に介入する。
【0063】
本実施例は、図3に含まれる実験に関する。図3に含まれるこの実験では、B6マウス(4匹/群)を100K B16−F10腫瘍細胞の静脈内注射後4日目に免疫化した。特に、注記する薬剤:抗CD40(100μg/マウス、腹腔内)、S27609(TLR7*,100μg)、ΔV−ペプチド(100μg)、又はα−GalCer(4μg,静脈内)の組合せでマウスを免疫化した。腫瘍の投与後20日目に(4日目介入スキームを使用して)肺を取り出して(代表的な写真;図3上を参照のこと)、肺転移の数を目視計数によって定量した(図3の下パネルを参照のこと)。
【0064】
実施例4:
抗CD40抗体とα−GalCerは、DC上でのCD70発現を in vivo で誘導する。
【0065】
図4に含まれる実験では、マウスに以下の組合せを注射した:2μg α−GalCer、50μgポリIC、及び/又は50μg抗CD40(腹腔内)。その後、注射後18〜20時間で脾臓を取り出した。脾臓をコラゲナーゼ消化し、CD11cについて染色して、CD8及びCD8(CD11b)DCによって分析した。
【0066】
この図の結果は、意外にも、CD40アゴニスト及びα−GalCerの組合せを投与したマウスより入手される樹状細胞上でのみ、CD70の発現が誘導されることを明らかにする。
【0067】
本発明者は、抗CD40とTLRアゴニストをともに組み合わせて投与するときにのみ、in vivo の樹状細胞の表面上でCD70発現の増加があることをかつて報告した。さらに、我々は、CD70の発現が抗原特異的CD8T細胞の後続の増大に必須であることを示した。
【0068】
全く予期しなかったが、本主題の新規な相乗的アジュバント組合せの投与では、同様の結果が観測される。特に、そしてTLR及びCD40アゴニストで見られたシナジーに類似して、抗CD40及びα−GalCerの組合せ投与では、CD70のDC上でのアップレギュレーションも見られる。図4に示すように、CD70のCD8及びCD8,CD11cDC上での有意に増加した発現が観測されるのは、抗CD40及びTLRアゴニスト(ポリIC)又は抗CD40及びα−GalCerを投与するときだけである。
【0069】
実施例5:
α−GalCer/CD40免疫化は、STAT4、IFNγ、及びIFNab非依存性であるがSTAT1及びTbet依存性である、強力なCD8T細胞応答を誘発する。
【0070】
シグナル伝達性転写因子(STAT)タンパク質は、細胞増殖の多くの側面を調節する。STAT1は、I型又はII型インターフェロンのいずれかによるシグナルにより遺伝子をアップレギュレートすることに関与している。IFN−γ刺激への応答時に、STAT1は、GAS(インターフェロン−γ活性化配列)プロモーター要素へ結合する、STAT3とのホモ二量体又はヘテロ二量体を形成し;IFN−α又はIFN−βいずれかの刺激への応答時に、STAT1は、ISRE(インターフェロン刺激応答要素)プロモーター要素へ結合し得る、STAT2とのヘテロ二量体を形成する。細胞性免疫におけるIL−12の役割は、STAT−4転写因子によって主に媒介される。STAT−4は、IL−12活性に必須である。T−betは、CD4(TH)リンパ球における細胞系譜の決定を調節する、転写因子のT−ボックスファミリーのメンバーである。これは、IFN−γを活性化することによって一部なされる。T−betは、CD4及びNK細胞におけるIFN産生の制御に必要とされるが、CD8細胞におけるそれには必要とされない。
【0071】
図5に含まれる実験では、マウス(wtB6又はwtB6/129F1及びKO)を50μg抗CD40(FGK45)、2μg α−GalCer、及び200μgの全オバルブミンで静脈内免疫化した。7日後、このマウスを犠牲にして、先に記載のように(Sanchez et al. 2007 Journal of Immunology)、PBLと脾臓細胞を単離し、Kb/ova MHCテトラマーで染色して、ova特異的CD8T細胞を同定した。示すドットプロットを完全に生きているCD8B220−細胞上で制御(gated)して、テトラマー+及び−細胞の表現型を表面マーカーのKLRG1に関して示す。示す数字は、CD8T細胞全体のうちのテトラマー(+)の百分率を表す。示すドットプロットは、PBLについてのものであるが、脾臓も同様の傾向を反映する。この実験は、α−GalCer/CD40免疫化が、STAT4、IFNγ、及びIFNab非依存性であるがSTAT1及びTbet依存性である、強力なCD8T細胞応答を誘発することを示す。
【0072】
結論
図1〜5の実験に含まれる結果に少なくとも基づけば、抗原とNK−T細胞を誘導するアゴニスト(α−GalCer)と一緒のCD40アゴニストの組合せ投与は、これらアゴニストのいずれか単独より高まった免疫を誘導する(免疫に対して相乗的な効果を誘発する)。CD40アゴニスト及びα−GalCerの組合せは、抗原の有無でのあらゆるアゴニスト単独と比較するとき、より高い頻度の抗原特異的CD8T細胞、より多い数の抗原特異的CD8T細胞をもたらして、抗腫瘍免疫を増強する。
【0073】
故に、CD40アゴニストとα−GalCerのようなNK−T細胞アクチベータとの組合せ使用は、腫瘍及び感染症への保護的な細胞媒介性免疫応答を誘発するのに強力なワクチン基盤として役立つことだろう。
【0074】
本明細書に引用する雑誌、特許、及び他の出版物への様々な言及は、現在の到達水準を含み、完全に説明されるかのように、参照により組み込まれる。
【0075】
本発明は、以下に続く特許請求項によってさらに明確にされる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)CD40の少なくとも1つのアゴニスト;
(ii)少なくとも1つのNKTアクチベータ;及び
(iii)任意選択的に、少なくとも1つの所望抗原を含んでなる、
T細胞免疫に対して相乗効果を誘発するアジュバント組合せ。
【請求項2】
NKTアクチベータがα−ガラクトシルセラミド(α−GalCer)又はiGb3である、請求項1のアジュバント組合せ。
【請求項3】
CD40アゴニストが、抗CD40抗体又は抗体断片、又はCD40Lタンパク質、その誘導体、断片、又はマルチマー、又はCD40Lを含有するコンジュゲートである、請求項1のアジュバント組合せ。
【請求項4】
前記免疫グロブリンがキメラ免疫グロブリンである、請求項3のアジュバント組合せ。
【請求項5】
前記免疫グロブリンがヒト化免疫グロブリンである、請求項3のアジュバント組合せ核酸構築体。
【請求項6】
前期免疫グロブリンがヒト免疫グロブリンである、請求項3のアジュバント組合せ。
【請求項7】
前記免疫グロブリンが単鎖免疫グロブリンである、請求項3のアジュバント組合せ。
【請求項8】
前記免疫グロブリンがヒト重鎖及び軽鎖定常領域を含む、請求項3のアジュバント組合せ。
【請求項9】
前記免疫グロブリンが、IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4からなる群より選択される、請求項3のアジュバント組合せ。
【請求項10】
前記免疫グロブリンが、同じプロモーターへ機能可能的に連結されている免疫グロブリン軽鎖コーディング核酸配列及び免疫グロブリン重鎖コーディング核酸配列によってコードされる、請求項3のアジュバント組合せ。
【請求項11】
前記免疫グロブリン軽鎖配列及び免疫グロブリン重鎖配列は、IRESによって介在される、請求項10のアジュバント組合せ。
【請求項12】
前記抗原が、ウイルス、細菌、真菌、又は寄生虫の抗原である、請求項1のアジュバント組合せ。
【請求項13】
前記抗原がヒト抗原である、請求項1のアジュバント組合せ。
【請求項14】
前記ヒト抗原が、その発現が慢性ヒト疾患に相関するか又は関与する、癌抗原、自己抗原、又は他のヒト抗原である、請求項13のアジュバント組合せ。
【請求項15】
前記ウイルス抗原が、HIV、ヘルペス、パピローマウイルス、エボラ、ピコルナ、エンテロウイルス、麻疹ウイルス、ムンプスウイルス、トリインフルエンザウイルス、狂犬病ウイルス、VSV、デングウイルス、肝炎ウイルス、リノウイルス、黄熱病ウイルス、ブンヤウイルス、ポリオーマウイルス、コロナウイルス、風疹ウイルス、エコーウイルス、ポックスウイルス、帯状疱疹、アフリカ豚コレラウイルス、インフルエンザウイルス、及びパラインフルエンザウイルスからなる群より選択されるウイルスに特異的である、請求項12のアジュバント組合せ。
【請求項16】
前記細菌抗原が、サルモネラ、エッシェリヒア、シュードモナス、バチルス、ビブリオ、カンピロバクター、ヘリコバクター、エルウィニア、ボレリア、ペロバクター、クロストリジウム、セラチア、キサントモナス、エルシニア、バークホルデリア、リステリア、シゲラ、パスツレラ、エンテロバクター、コリネバクテリウム、及びストレプトコッカスからなる群より選択される細菌に由来する、請求項12のアジュバント組合せ。
【請求項17】
前記寄生虫抗原が、バベシア、エントアメーバ、リーシュマニア、プラスモジウム、トリパノソーマ、トキソプラズマ、ジアルジア、扁形動物、及び回虫より選択される寄生虫に由来する、請求項12のアジュバント組合せ。
【請求項18】
前記真菌抗原が、アスペルギルス、コクシジオイデス、クリプトコッカス、カンジダ、ノカルジア、ニューモシスティス、及びクラミジアからなる群より選択される真菌に由来する、請求項12のアジュバント組合せ。
【請求項19】
抗原が、前立腺癌、膵臓癌、脳腫瘍、肺癌(小細胞又は大細胞)、骨癌、胃癌、肝臓癌、乳癌、卵巣癌、精巣癌、皮膚癌、リンパ腫、白血病、結腸癌、甲状腺癌、子宮頚部癌、頭頚部癌、肉腫、グリア細胞腫、及び胆嚢癌からなる群より選択されるヒト癌により発現される癌抗原である、請求項1のアジュバント組合せ。
【請求項20】
抗原が、その発現が自己免疫疾患に相関する自己抗原である、請求項1のアジュバント組合せ。
【請求項21】
請求項1〜20のいずれか1項に記載のアジュバント組合せを含有する組換え微生物。
【請求項22】
請求項1〜20のいずれか1項に記載のアジュバント組合せ又は前記アジュバント組合せを含有する組成物を投与することによって、抗原特異的な細胞性免疫応答を誘発するための方法。
【請求項23】
前記投与することが、以下:
(i)CD40アゴニスト又はNKTアクチベータだけの投与に比べてより高い頻度の抗原特異的CD8T細胞を誘導すること;
(ii)CD40アゴニスト又はNKTアクチベータだけの投与に比べてより多い量の抗原特異的CD8T細胞を誘導すること;及び
(iii)CD40アゴニスト又はNKTアクチベータだけの投与に比べて腫瘍免疫を増強することの少なくとも1つをもたらす、請求項22の方法。
【請求項24】
抗原が、ウイルス抗原、細菌抗原、真菌抗原、自己抗原、アレルゲン、及び癌抗原より選択される、請求項23の方法。
【請求項25】
抗原がHIV抗原である、請求項24の方法。
【請求項26】
HIV抗原がgag又はenvである、請求項25の方法。
【請求項27】
抗原がヒト腫瘍によって発現される抗原である、請求項24の方法。
【請求項28】
抗原がメラノーマによって発現される抗原である、請求項24の方法。
【請求項29】
治療される疾患が、癌、アレルギー、炎症性疾患、感染症、及び自己免疫疾患より選択される、請求項23の方法。
【請求項30】
治療される疾患がメラノーマである、請求項29の方法。
【請求項31】
感染症が、ウイルス、細菌、真菌、又は寄生虫によって引き起こされる、請求項23の方法。
【請求項32】
ウイルスがHIVである、請求項31の方法。
【請求項33】
前記投与が、以下:
(i)CD40アゴニスト又はNKTアクチベータ若しくはアゴニスト単独の投与に比べて実質的に増強された一次及び記憶CD8T細胞応答を誘発すること;
(ii)抗原特異的CD8T細胞の指数的増大を誘導すること;及び
(iii)CD4欠損宿主において、正常(非CD4欠損)宿主に匹敵する防御免疫応答を産生することの少なくとも1つをもたらす、請求項30の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2010−525065(P2010−525065A)
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−506275(P2010−506275)
【出願日】平成20年4月25日(2008.4.25)
【国際出願番号】PCT/US2008/005341
【国際公開番号】WO2008/133983
【国際公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【出願人】(509294254)イミュアールエックス・インコーポレーテッド (2)
【Fターム(参考)】