説明

Nicotianaβ−1,2−キシロシルトランスフェラーゼをコードする新規なヌクレオチド配列

新規なβ1,2−キシロシルトランスフェラーゼヌクレオチド配列およびその使用を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、β1,2−キシロシルトランスフェラーゼ(XylT)をコードする、ニコチアナ(Nicotiana)種および栽培品種由来の、特にニコチアナ・ベンタミアーナ(Nicotiana benthamiana)およびニコチアナ・タバカム栽培品種Petite Havana SR1(Nicotiana tabacum cv. Petite Havana SR1)由来の新規なヌクレオチド配列、ならびに対応する未改変Nicotiana植物に比べて低レベルまたは変更されたパターンの免疫原性タンパク質結合N−グリカンを、特にタンパク質結合N−グリカンに低レベルのβ−1,2−キシロース残基を有する改変されたNicotiana植物、特にNicotiana benthamianaおよびNicotiana tabacum cv. Petite Havana SR1植物を生産するためのそれらの使用に関するものである。このようなNicotiana植物は、内在性Nicotiana XylT遺伝子の発現を低下させることによって、例えば内在性Nicotiana XylT遺伝子の活性を改変することによって、タンパク質結合N−グリカンに低レベルのβ−1,2−キシロース残基を提供する、XylT遺伝子の別のアレルに内在性Nicotiana XylT遺伝子を交換することによって、またはその任意の組み合わせによって得ることができる。
【背景技術】
【0002】
関連技術の説明
抗体、ワクチン、ヒト血液製剤、ホルモン、成長調節因子などの価値を付加した組換えタンパク質を生産するためのトランスジェニック植物の使用は、動物および昆虫細胞培養、酵母、糸状菌、および細菌などのさらに慣例的な系に比べて多数の実際的利点、経済的利点、および安全性の利点があると言われている(Stoger et al., 2002; Twyman et al, 2003; Fischer et al., 2004に総説されている)。
【0003】
タンパク質合成経路は、植物および動物において大部分は同じであるものの、翻訳後修飾、特にグリカン鎖構造に関して幾分差がある。したがって、植物由来の組換えヒトタンパク質は、哺乳動物に存在しない糖質基β(1→2)−キシロースおよびα(1→3)−フコースを有するが、多数のネイティブなヒト糖タンパク質に見出される末端ガラクトースおよびシアル酸残基を欠如する傾向にある(Twyman et al., 2003)。
【0004】
UDP−キシロースからタンパク質結合N−グリカンのコアβ結合型マンノースへのキシロースの転移を触媒する酵素は、β−1,2−キシロシルトランスフェラーゼ(XylT)である。XylTは、植物および一部の無脊椎動物種、例えばシストソーマ(Schistosoma)種(Khoo et al., 1997)およびカタツムリ(例えばMulder et al., 1995) に独特な酵素であり、ヒトや他の脊椎動物にも存在しない。
【0005】
Tezukaら(1992)は、シカモア(アセル・シュードプラタヌスL.(Acer pseudoplatanus L.))のXylTをキャラクタリゼーションした。
【0006】
Zengら(1997)は、ダイズミクロソームからのXylTの精製について記載した。ダイズXylT cDNAの部分だけが単離された(WO99/29835A1)。
【0007】
Strasserら(2000)およびWO01/64901は、アラビドプシス(Arabidopsis)XylT遺伝子の単離、コードされるXylTタンパク質の推定アミノ酸配列、ならびにそのin vitroおよびin vivo酵素活性を記載している。
【0008】
XylT cDNAおよびXylT遺伝子の実験的に実証された配列および推定配列、その部分、または相同配列を同定する、以下のデータベースエントリーを確認することができる:
【0009】
【表1】

【0010】
Strasserら(2004a)は、植物におけるN−グリコシル化経路のモデュレーションに関する二つのアプローチについて報告している:第一の転写後遺伝子サイレンシングは、高等真核生物におけるハイブリッドおよび複合N−グリカンへのオリゴマンノシド残基のプロセシングに関与する酵素であるβ−1,2−N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼI(GnTI)の発現をノックダウンして、Nicotiana benthamianaにおける複合N−グリカンの形成に及ぼすGnTI発現の影響を標定するために使用された。N−グリカンのプロファイリングからは、総N−グリカンのパターンの重大な変化が明らかとならず、これは、Nicotiana benthamianaにおいてGnTIの軽微な残留活性でも複合N−グリカンの生合成が可能なことを示している。彼らは、XylTのノックダウンのための類似のアプローチが、β−1,2−キシロシル化N−グリカンの重大な減少を招いたことをさらに報告している。第二に、N−グリカンからのβ−1,2−キシロースおよびα−1,3−フコース残基の完全な脱離を達成するために、挿入突然変異系を使用した三重ノックアウトArabidopsis植物が作製された。これらの植物は、活性β−1,2−キシロシルトランスフェラーゼおよびコアα−1,3−フコシルトランスフェラーゼの完全欠損を示し、免疫原性のタンパク質結合N−グリカンを欠如し、かつ末端β−N−アセチルグルコサミン残基を有するヒト化構造を主に合成する(Strasserら、2004b)。
【0011】
タバコなどの葉作物は、組換えタンパク質を商業生産するための有力な候補と考えられる(例えばTwyman et al、2003を参照されたい)。
【0012】
本発明の目的は、特定のNicotiana種または栽培品種におけるXylTの発現を改変するためにさらに適する、Nicotiana種および栽培品種由来の、特にNicotiana benthamianaおよびNicotiana tabacum cv. Petite Havana SR1由来の代替XylT cDNA配列およびTylT遺伝子配列を提供することである。
【0013】
発明の概要
本発明の一局面では、タンパク質結合N−グリカン上に低レベルのβ−1,2−キシロース残基を有するNicotiana植物細胞または植物を生産する方法が提供され、その方法は、Nicotiana種または栽培品種の植物細胞にキメラ遺伝子を導入してトランスジェニック植物細胞を作製する工程であって、このキメラ遺伝子が、作動可能に連結した植物発現可能プロモーター;Nicotiana XylTタンパク質をコードするヌクレオチド配列またはその相補体より選択される20個のうち少なくとも19個の連続ヌクレオチドのヌクレオチド配列であって、このヌクレオチド配列が、該Nicotiana種または栽培品種から好ましくは得ることができ、この20個のうち少なくとも19個の連続ヌクレオチドが、Nicotiana種または栽培品種特異的XylTアミノ酸を少なくとも一つコードするヌクレオチド配列か、あるいはNicotiana XylT遺伝子もしくはNicotiana XylT cDNAのヌクレオチド配列、またはその相補体より選択される20個のうち少なくとも19個の連続ヌクレオチドのヌクレオチド配列であって、このヌクレオチド配列が、そのNicotiana種または栽培品種から好ましくは得ることができ、この20個のうち少なくとも19個の連続ヌクレオチドが、Nicotiana種特異的XylTヌクレオチドを少なくとも一つ含むヌクレオチド配列を含む第一のセンスDNA領域;およびこの第一のDNA領域の相補体に少なくとも95%の配列同一性を有する少なくとも19個の連続ヌクレオチドのヌクレオチド配列を含む第二のアンチセンスDNA領域を含む転写可能DNA領域であって、この転写可能DNA領域から転写されたRNA分子が、少なくとも第一のセンスDNA領域から転写されたRNA領域と、第二のアンチセンスDNA領域から転写されたRNA領域との間で二本鎖RNA領域を形成することができる転写可能DNA領域;ならびに植物において機能する転写終結ポリアデニル化シグナルを含むDNA領域を含む工程と;トランスフォーメーションされていないNicotiana植物細胞よりも低レベルのβ−1,2−キシロース残基をタンパク質結合N−グリカン上に有するトランスジェニックNicotiana植物細胞を同定する工程と;このトランスジェニックNicotiana植物細胞を再生してトランスジェニックNicotiana植物を得る工程と;場合により、トランスフォーメーションされていないNicotiana植物よりも低レベルのβ−1,2−キシロース残基をタンパク質結合N−グリカン上に有するトランスジェニックNicotiana植物を同定する工程とを含む。このNicotiana種または栽培品種特異的XylTアミノ酸またはヌクレオチドは、Nicotiana benthamiana特異的またはNicotiana tabacum cv. Petite Havana SR1特異的XylTアミノ酸またはヌクレオチドのことがあり、Nicotiana種または栽培品種は、好ましくはそれぞれNicotiana benthamianaまたはNicotiana tabacum cv. Petite Havana SR1のことがある。Nicotiana XylTタンパク質をコードするヌクレオチド配列は、配列番号12もしくは配列番号14のアミノ酸配列または配列番号4、配列番号6、配列番号8、もしくは配列番号10のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含むことがあり、Nicotiana XylT遺伝子のヌクレオチド配列は、配列番号11、配列番号13、もしくは配列番号21のヌクレオチド配列または配列番号3、配列番号5、配列番号8、配列番号10、または配列番号17のヌクレオチド配列を含むことがある。
【0014】
タンパク質結合N−グリカン上に低レベルのβ−1,2−キシロースを有するNicotiana植物細胞または植物を生産する方法を提供することが本発明の別の目的であり、その方法は、Nicotiana種または栽培品種の植物細胞または植物に一つまたは複数の二本鎖RNA分子を提供する工程であって、この二本鎖RNA分子が二つのRNA鎖を含み、一方のRNA鎖が、Nicotiana XylTタンパク質をコードするヌクレオチド配列またはその相補体より選択される20から21個のうち19個の連続ヌクレオチドのRNAヌクレオチド配列であって、このヌクレオチド配列が、該Nicotiana種または栽培品種から好ましくは得ることができ、この20から21個のうち19個の連続ヌクレオチドが、Nicotiana種または栽培品種特異的XylTアミノ酸を少なくとも一つコードするRNAヌクレオチド配列か、あるいはNicotiana XylT遺伝子もしくはNicotiana XylT cDNAのヌクレオチド配列またはその相補体より選択される20から21個のうち19個の連続ヌクレオチドのRNAヌクレオチド配列であって、このヌクレオチド配列が、このNicotiana種または栽培品種から好ましくは得ることができ、この20から21個のうち19個の連続ヌクレオチドが、Nicotiana種または栽培品種特異的XylTヌクレオチドを少なくとも一つ含むRNAヌクレオチド配列から実質的になる工程;およびこの一つまたは複数の二本鎖RNA分子を含まない同じNicotiana植物細胞または植物に比べて低レベルのβ−1,2−キシロース残基をタンパク質結合N−グリカン上に有する、この一つまたは複数の二本鎖RNA分子を含むNicotiana植物細胞または植物を同定する工程を含む。この二本鎖RNAは、Nicotiana種または栽培品種の植物細胞のゲノムにキメラ遺伝子を組み込んでトランスジェニック植物細胞を作製すること、および場合によりその植物細胞を再生してトランスジェニック植物を得ることによって、植物細胞または植物に提供することができ、このキメラ遺伝子は、Nicotiana XylTタンパク質をコードするヌクレオチド配列またはその相補体より選択される20個のうち少なくとも19個の連続ヌクレオチドをアンチセンスおよび/またはセンス方向に含むDNA領域であって、このヌクレオチド配列が、該Nicotiana種または栽培品種から好ましくは得ることができ、この20個のうち19個の連続ヌクレオチドが、Nicotiana種または栽培品種特異的XylTアミノ酸を少なくとも一つコードするDNA領域か、あるいはNicotiana XylT遺伝子もしくはNicotiana XylT cDNAのヌクレオチド配列、またはその相補体より選択される20個のうち少なくとも19個の連続ヌクレオチドをアンチセンスおよび/またはセンス方向に含むDNA領域であって、このヌクレオチド配列が、このNicotiana種または栽培品種から好ましくは得ることができ、この20個のうち19個の連続ヌクレオチドが、Nicotiana種特異的XylTヌクレオチドを少なくとも一つ含むDNA領域(このDNA領域は、植物発現可能プロモーターに作動可能に連結している);ならびに植物において機能する転写終結ポリアデニル化シグナルを含むDNA領域を含む。Nicotiana種または栽培品種特異的XylTアミノ酸またはヌクレオチドは、Nicotiana benthamiana特異的またはNicotiana tabacum cv. Petite Havana SR1特異的XylTアミノ酸またはヌクレオチドのことがあり、このNicotiana種または栽培品種は、好ましくはそれぞれNicotiana benthamianaまたはNicotiana tabacum cv. Petite Havana SR1のことがある。Nicotiana XylTタンパク質をコードするヌクレオチド配列は、配列番号12もしくは配列番号14のアミノ酸配列または配列番号4、配列番号6、配列番号8、もしくは配列番号10のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含むことがあり、Nicotiana XylT遺伝子のヌクレオチド配列は、配列番号11、配列番号13、もしくは配列番号21のヌクレオチド配列または配列番号3、配列番号5、配列番号8、配列番号10、もしくは配列番号17のヌクレオチド配列を含むことがある。
【0015】
本発明のなお別の目的は、Nicotiana XylT DNAフラグメントを同定する方法を提供し、その方法は、Nicotiana種または栽培品種から得ることができるゲノムDNAまたはcDNAを提供する工程;以下の群から手段を選択する工程:配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、もしくは配列番号14のアミノ酸配列をコードする、プローブとして使用するためのヌクレオチド配列を含むDNAフラグメント;配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号17、もしくは配列番号21のいずれか一つのヌクレオチド配列を含む、プローブとして使用するためのDNAフラグメント;配列番号4もしくは配列番号6のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列より選択される20から1513個の間の連続ヌクレオチドからなるヌクレオチド配列を含む、プローブとして使用するためのDNAフラグメントもしくはオリゴヌクレオチド;配列番号8、配列番号10、配列番号12、もしくは配列番号14のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列より選択される20から3574個の間の連続ヌクレオチドからなるヌクレオチド配列を含む、プローブとして使用するためのDNAフラグメントもしくはオリゴヌクレオチド;配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号17、もしくは配列番号21のいずれか一つのヌクレオチド配列より選択される20から3574個の間の連続ヌクレオチドからなるヌクレオチド配列を含む、プローブとして使用するためのDNAフラグメントもしくはオリゴヌクレオチド;配列番号4もしくは配列番号6のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列より選択される20から200個の間の連続ヌクレオチドを含むヌクレオチド配列を有する、PCR反応におけるプライマーとして使用するためのオリゴヌクレオチド配列;配列番号8、配列番号10、配列番号12、もしくは配列番号14のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列より選択される20から200個の間の連続ヌクレオチドを含むヌクレオチド配列を有する、PCR反応におけるプライマーとして使用するためのオリゴヌクレオチド配列;配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号17、もしくは配列番号21のいずれか一つのヌクレオチド配列より選択される20から200個の間の連続ヌクレオチドを含むヌクレオチド配列を有する、PCR反応におけるプライマーとして使用するためのオリゴヌクレオチド配列;または配列番号1、配列番号2、配列番号15、配列番号16、配列番号19、もしくは配列番号20のいずれか一つのヌクレオチド配列を有する、PCR反応におけるプライマーとして使用するためのオリゴヌクレオチド;ならびにゲノムDNAもしくはcDNA、およびプライマーを使用してPCRを行うことによって、またはゲノムDNAもしくはcDNA、およびプローブを使用してハイブリダイゼーションを行うことによって、Nicotiana種または栽培品種からXylT DNAフラグメントを同定するためにその手段を利用する工程を含む。同定されたフラグメントは、続いて単離して、低レベルのβ−1,2−キシロース残基をタンパク質結合N−グリカン上に有するNicotiana植物細胞または植物を得るために使用することができる。
【0016】
本発明は、タンパク質結合N−グリカン上の低レベルのβ−1,2−キシロース残基と相関するNicotiana XylTアレルを同定する方法もまた提供し、その方法は、Nicotiana種または栽培品種の異なる植物系統の集団であって、場合により突然変異誘発された集団を提供する工程;上記の方法によりこの集団の各植物系統におけるNicotiana XylTアレルを同定する工程;この集団の各植物系統のタンパク質結合N−グリカン上のβ−1,2−キシロース残基のレベルを分析し、他の植物系統よりも低レベルのβ−1,2−キシロース残基をタンパク質結合N−グリカン上に有する植物系統を同定する工程;および植物系統におけるタンパク質結合N−グリカン上の低レベルのβ−1,2−キシロース残基を特異的Nicotiana XylTアレルの存在と相関づける工程を含む。このNicotiana XylTアレルを、選択したNicotiana植物細胞または植物に導入して、タンパク質結合N−グリカン上に低レベルのβ−1,2−キシロース残基を有するNicotiana植物細胞または植物を得ることができる。
【0017】
配列番号12もしくは配列番号14のアミノ酸配列、またはNicotiana benthamiana特異的XylTアミノ酸を少なくとも一つコードするその任意の部分を含むタンパク質をコードする単離されたDNAフラグメント;配列番号11、配列番号13、もしくは配列番号21のヌクレオチド配列、またはNicotiana benthamiana特異的XylTヌクレオチドを少なくとも一つ含むその任意の部分を含む単離されたDNAフラグメント;配列番号4、配列番号6、配列番号8、もしくは配列番号10のアミノ酸配列、またはNicotiana tabacum cv. Petite Havana SR1特異的XylTアミノ酸を少なくとも一つコードするその任意の部分を含むタンパク質をコードする単離されたDNAフラグメント;および配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、もしくは配列番号17のヌクレオチド配列、またはNicotiana tabacum cv. Petite Havana SR1特異的XylTヌクレオチドを少なくとも一つ含むその任意の部分を含む単離されたDNAフラグメントを提供することが、本発明のなお別の目的である。
【0018】
本発明は、以下の作動可能に連結したDNAフラグメントを含むキメラ遺伝子をさらに提供する:植物発現可能プロモーター;Nicotiana XylTタンパク質をコードするヌクレオチド配列またはその相補体より選択される20個のうち少なくとも19個の連続ヌクレオチドをアンチセンス方向に含む第一のDNA領域であって、この20個のうち19個の連続ヌクレオチドが、Nicotiana種または栽培品種特異的XylTアミノ酸を少なくとも一つコードする第一のDNA領域か、あるいはNicotiana XylT遺伝子もしくはNicotiana XylT cDNAのヌクレオチド配列、またはその相補体より選択される20個のうち少なくとも19個の連続ヌクレオチドをアンチセンス方向に含む第一のDNA領域であって、この20個のうち19個の連続ヌクレオチドが、Nicotiana種特異的XylTヌクレオチドを少なくとも一つ含む第一のDNA領域と;およびNicotiana XylTタンパク質をコードするヌクレオチド配列またはその相補体より選択される20個のうち少なくとも19個の連続ヌクレオチドをセンス方向に含む第二のDNA領域であって、この20個のうち19個の連続ヌクレオチドが、Nicotiana種または栽培品種特異的XylTアミノ酸を少なくとも一つコードする第二のDNA領域か、あるいはNicotiana XylT遺伝子もしくはNicotiana XylT cDNAのヌクレオチド配列、またはその相補体より選択される20個のうち少なくとも19個の連続ヌクレオチドをセンス方向に含む第二のDNA領域であって、この20個のうち19個の連続ヌクレオチドが、Nicotiana種特異的XylTヌクレオチドを少なくとも一つ含む第二のDNA領域とを含む転写可能DNA領域であって、この転写可能DNA領域の転写により生成したRNA分子が、少なくとも第一のDNA領域に対応するRNA領域と、第二のDNA領域に対応するRNA領域との間で塩基対形成することによって二本鎖RNA領域を形成することができる転写可能DNA領域;ならびに植物において機能する転写終結ポリアデニル化シグナルを含むDNA領域。このキメラ遺伝子は、植物発現可能プロモーター;Nicotiana XylTタンパク質をコードするヌクレオチド配列またはその相補体より選択される20個のうち少なくとも19個の連続ヌクレオチドをセンスまたはアンチセンス方向に含むDNA領域であって、この20個からの19個の連続ヌクレオチドは、Nicotiana種または栽培品種特異的XylTアミノ酸を少なくとも一つコードするDNA領域か、あるいはNicotiana XylT遺伝子もしくはNicotiana XylT cDNAのヌクレオチド配列、またはその相補体より選択される20個のうち少なくとも19個の連続ヌクレオチドをセンスまたはアンチセンス方向に含むDNA領域であって、この20個からの19個の連続ヌクレオチドは、Nicotiana種特異的XylTヌクレオチドを少なくとも一つの含むDNA領域;および植物において機能する転写終結ポリアデニル化シグナルを含むDNA領域もまた含むことがある。
【0019】
このようなキメラ遺伝子を含むNicotiana植物細胞およびこのようなNicotiana植物細胞から実質的になるNicotiana植物、ならびにその種子もまた本発明により提供される。
【0020】
本発明は、Nicotiana植物におけるタンパク質結合N−グリカン上のβ−1,2−キシロース残基のレベルを減少させるために、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、もしくは配列番号14のアミノ酸配列、またはNicotiana種もしくは栽培品種特異的XylTアミノ酸を少なくとも一つコードする20個のうち少なくとも19個の連続ヌクレオチドを含むその任意の部分を含むタンパク質をコードするヌクレオチド配列を使用すること、あるいはNicotiana植物におけるタンパク質結合N−グリカン上のβ−1,2−キシロース残基のレベルを減少させるために、Nicotiana種もしくは栽培品種におけるXylT遺伝子もしくはXylT cDNAを同定するために、Nicotiana種もしくは栽培品種におけるタンパク質結合N−グリカン上の低レベルのβ−1,2−キシロース残基と相関するXylT遺伝子のアレルを同定するために、またはNicotiana種もしくは栽培品種におけるタンパク質結合N−グリカン上の低レベルのβ−1,2−キシロース残基と相関するXylT遺伝子のアレルを導入するために、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号17、もしくは配列番号21のヌクレオチド配列をヌクレオチド配列、またはNicotiana種もしくは栽培品種特異的XylTヌクレオチドを少なくとも一つ含む20個のうち少なくとも19個の連続ヌクレオチドを含むその任意の部分を含むヌクレオチド配列を使用することにもまた関する。
【0021】
本発明の性質は、本明細書下記に明らかになる本発明の前述および他の目的、利点、および特徴と共に、以下に示す本発明の種々の態様の詳細な説明、添付の特許請求の範囲、および図面を参照してさらに明確に理解することができる。
【0022】
本発明の種々の態様の詳細な説明
本発明は、Nicotiana種および栽培品種、特にNicotiana benthamianaおよびNicotiana tabacum cv. Petite Havana SR1由来のXylT遺伝子およびXylT cDNAが、例えば内在性Nicotiana XylT遺伝子の活性を改変することによって、内在性Nicotiana XylT遺伝子を、タンパク質結合N−グリカン上に低レベルのβ−1,2−キシロース残基を提供する、そのNicotiana XylT遺伝子の別のアレルに交換することによって、またはその任意の組み合わせによって、タンパク質結合N−グリカン上に低レベルのβ−1,2−キシロース残基を有する、それらのNicotiana種および栽培品種の植物、特にそれぞれNicotiana benthamiana植物およびNicotiana tabacum cv. Petite Havana SR1植物を得るための優れた起源ヌクレオチド配列であるという発見に基づく。
【0023】
一態様では、本発明は、Nicotiana種または栽培品種の植物細胞または植物に一つまたは複数のサイレンシングRNA分子を提供することにより、Nicotiana植物細胞または植物における内在性XylT遺伝子の発現を減少させることによって、タンパク質結合N−グリカン上に低レベルのβ−1,2−キシロース残基を有するNicotiana植物細胞または植物を得るための方法に関し、ここで、このサイレンシングRNA分子は、前記Nicotiana種もしくは栽培品種から好ましくは得られるNicotiana XylTタンパク質をコードするヌクレオチド配列の部分を含み、前記部分は、Nicotiana種もしくは栽培品種特異的XylTアミノ酸を少なくとも一つコードするか、またはこのサイレンシングRNA分子は、前記Nicotiana種もしくは栽培品種から好ましくは得られる、Nicotiana XylT遺伝子もしくはNicotiana XylT cDNAのヌクレオチド配列の部分を含み、前記部分はNicotiana種または栽培品種特異的XylTヌクレオチドを少なくとも一つ含む。
【0024】
本明細書に使用する「サイレンシングRNA」または「サイレンシングRNA分子」は、植物細胞に導入したときに標的遺伝子の発現を減少させる任意のRNA分子を表す。このようなサイレンシングRNAは、RNA分子が、ターゲット核酸の配列の、好ましくはターゲット遺伝子のコード配列の相補体に95%の配列同一性を有する少なくとも20個の連続ヌクレオチドの配列を含む、例えばいわゆる「アンチセンスRNA」のことがある。しかし、アンチセンスRNAは、プロモーター配列および転写終結シグナルポリアデニル化シグナルを含む、ターゲット遺伝子の調節配列に対することもある。サイレンシングRNAには、ターゲット核酸の配列に95%の配列同一性を有する少なくとも20個の連続ヌクレオチドの配列をRNA分子が含むいわゆる「センスRNA」がさらに含まれる。他のサイレンシングRNAは、WO01/12824またはUS6423885(両文書は、参照により本明細書に組み入れられる)に記載されたような、ターゲット核酸の配列の相補体に95%の配列同一性を有する少なくとも20個の連続ヌクレオチドを含む「非ポリアデニル化RNA」のことがある。なお別の種類のサイレンシングRNAは、ターゲット核酸の配列もしくはその相補体に95%の配列同一性を有する少なくとも20個の連続ヌクレオチドを含み、かつWO03/076619に記載された大部分二本鎖の領域(ジャガイモやせいも病ウイロイド型ウイロイド由来核局在シグナルを含むか、またはCUGトリヌクレオチド繰り返し部分を含む大部分二本鎖の領域を含む)をさらに含む、WO03/076619(参照により本明細書に組み入れられる)に記載されたRNA分子である。サイレンシングRNAは、本明細書に規定されるセンスおよびアンチセンス鎖を含む二本鎖RNAのこともまたあり、ここで、このセンスおよびアンチセンス鎖は、相互に塩基対形成して、二本鎖RNA領域を形成することができる(好ましくはこのセンスおよびアンチセンスRNAの前記少なくとも20個の連続ヌクレオチドは相互に相補的である)。このセンスおよびアンチセンス領域は一つのRNA分子内にもまた存在することがあり、その結果としてこのセンスおよびアンチセンス領域が二本鎖RNA領域を形成すると、ヘアピンRNA(hpRNA)が形成することができる。hpRNAは当技術分野で周知である(例えば参照により本明細書に組み入れられるWO99/53050を参照されたい)。hpRNAは、大部分相補的であり得るが、完全には相補的である必要はない長いセンスおよびアンチセンス領域を有する長鎖hpRNA(典型的には約200bpよりも大きく、200〜1000bpの間の範囲である)として分類されることがある。hpRNAは、かなり小さく、約30から約42bpの大きさの範囲で、94bpよりもあまり長くはないこともまたある(参照により本明細書に組み入れられるWO04/073390を参照されたい)。サイレンシングRNAは、例えばWO2005/052170、WO2005/047505、またはUS2005/0144667(全ての文書は参照により本明細書に組み入れられる)に記載された人工マイクロRNA分子のこともまたある。
【0025】
別の態様では、サイレンシングRNA分子は、サイレンシングRNA分子、特に二本鎖RNA(「dsRNA」)分子を生成することができるキメラ遺伝子を含むNicotiana種または栽培品種のトランスジェニック植物細胞または植物を生産することによって、Nicotiana種または栽培品種の植物細胞または植物に提供され、ここで、このようなdsRNA分子の相補的RNA鎖は、前記Nicotiana種もしくは栽培品種から好ましくは得られる、Nicotiana XylTタンパク質をコードするヌクレオチド配列の部分を含む(ここで前記部分は、Nicotiana種もしくは栽培品種特異的TylTアミノ酸を少なくとも一つコードする)か、またはこのようなdsRNA分子の相補的RNA鎖は、前記Nicotiana種もしくは栽培品種から好ましくは得られる、Nicotiana XylT遺伝子またはNicotiana XylT cDNAのヌクレオチド配列の部分を含む(ここで、前記部分は、Nicotiana種または栽培品種特異的TylTヌクレオチドを少なくとも一つ含む)。
【0026】
本明細書に使用する「Nicotiana」には、非限定的に、ニコチアナ・アカウリス、N.アクミナータ、N.アフリカーナ、N.アラータ、N.アンプレキシカウリス、N.アレンシイ、N.アテヌアータ、N.ベナビデシイ、N.ビゲロビイ、N.ボナリエンシス、N.カビコラ、N.クレベランディイ、N.コルディフォリア、N.コリンボサ、N.デブネイ、N.エクセルシオール、N.フォルゲチアーナ、N.フラグランス、N.グラウカ、N.グルチノーサ、N.グッドスピーディイ、N.ゴッセイ、N.ヒブリッド、N.イングルバ、N.カワカミイ、N.ナイティアーナ、N.ラングスドルフィイ、N.リネアリス、N.ロンギフロラ、N.マリティマ、N.メガロシフォン、N.ミエルシイ、N.ノクティフロラ、N.ヌディカウリス、N.オブツシフォリア、N.オクシデンタリス、N.オトフォラ、N.パニクラータ、N.パウシフロラ、N.ペツニオイデス、N.プルンバギニフォリア、N.クアドリバルビス、N.ライモンディイ、N.レパンダ、N.ロスラータ、N.ロツンディフォリア、N.ルスティカ、N.セチェリイ、N.シムランス、N.ソラニフォリア、N.スペガジニイ、N.ストックトニイ、N.スアベオレンス、N.シルベストリス、N.チルシフロラ、N.トメントーサ、N.トメントシフォルミス、N.トリゴノフィラ、N.ウンブラティカ、N.ウンデュラータ、N.ベルティナ、N.ウィガンディオイデスおよびN.x サンデラなどの全ての公知のNicotiana種ならびに非限定的にcv. Burley21、cv. Delgold、cv. Petit Havana、cv. Petit Havana SR1、cv. Samsun、およびcv. XanthiなどのNicotiana tabacum栽培品種などの全ての公知のNicotiana栽培品種が含まれる。
【0027】
普通のタバコであるNicotiana tabacumは、二倍体種であるNicotiana sylvestrisおよびNicotiana tomentosiformisを起源とする四倍体雑種である。
【0028】
Nicotiana XylT遺伝子またはNicotiana XylT cDNAは、Nicotiana種もしくは栽培品種に自然に存在するXylT遺伝子のヌクレオチド配列を表すか、またはNicotiana種もしくは栽培品種に自然に存在するXylT遺伝子のmRNAに対応するcDNAを表す。同様に、Nicotiana XylTタンパク質は、Nicotiana種または栽培品種に自然に存在するタンパク質を表す。
【0029】
Nicotiana XylTタンパク質をコードするヌクレオチド配列の例には、配列番号12または配列番号14に示すアミノ酸配列をコードする、Nicotiana benthamianaから得られる配列および配列番号4、配列番号6、配列番号8、または配列番号10に示すアミノ酸配列をコードする、Nicotiana tabacum cv. Petite Havana SR1から得られる配列が含まれる。
【0030】
Nicotiana XylT遺伝子のヌクレオチド配列の例には、配列番号11、配列番号13、または配列番号21に示すヌクレオチド配列を含む、Nicotiana benthamianaから得られる配列および配列番号7または配列番号9に示すヌクレオチド配列を含むNicotiana tabacum cv. Petite Havana SR1から得られる配列が含まれる。
【0031】
Nicotiana XylT cDNAのヌクレオチド配列の例には、配列番号3、配列番号5、または配列番号17に示すヌクレオチド配列を含むNicotiana tabacum cv. Petite Havana SR1から得られる配列が挙げられる。
【0032】
しかし、例示されたヌクレオチド配列またはその部分を使用して、Nicotiana種または栽培品種におけるNicotiana XylT遺伝子またはNicotiana XylT cDNAのさらなるヌクレオチド配列を同定することができること、およびこのようなヌクレオチド配列またはその部分が、例えばNicotiana植物におけるタンパク質結合N−グリカン上のβ−1,2−キシロース残基のレベルを減少させるためにもまた使用することができることは、当業者に一見して明らかであろう。例示されるヌクレオチド配列は、以下を選択するために使用することができよう:
i)配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、もしくは配列番号14のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む、プローブとして使用するためのDNAフラグメント;
ii)配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号17、もしくは配列番号21のいずれか一つのヌクレオチド配列を含む、プローブとして使用するためのDNAフラグメント;
iii)配列番号4もしくは配列番号6のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列より選択される20から1513個の間の連続ヌクレオチドからなるヌクレオチド配列を含む、プローブとして使用するためのDNAフラグメントまたはオリゴヌクレオチド;
iv)配列番号8、配列番号10、配列番号12、もしくは配列番号14のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列より選択される20から3574個の間の連続ヌクレオチドからなるヌクレオチド配列を含む、プローブとして使用するためのDNAフラグメントまたはオリゴヌクレオチド;
v)配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号17、もしくは配列番号21のいずれか一つのヌクレオチド配列より選択される20から3574個の間の連続ヌクレオチドからなるヌクレオチド配列を含む、プローブとして使用するためのDNAフラグメントまたはオリゴヌクレオチド;
vi)配列番号4もしくは配列番号6のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列より選択される20から200個の間の連続ヌクレオチドを含むヌクレオチド配列を有する、PCR反応におけるプライマーとして使用するためのオリゴヌクレオチド配列;
vii)配列番号8、配列番号10、配列番号12、もしくは配列番号14のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列より選択される20から200個の間の連続ヌクレオチドを含むヌクレオチド配列を有する、PCR反応におけるプライマーとして使用するためのオリゴヌクレオチド配列;
viii)配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号1 1、配列番号13、配列番号17、もしくは配列番号21のいずれか一つのヌクレオチド配列より選択される20から200個の間の連続ヌクレオチドを含むヌクレオチド配列を有する、PCR反応におけるプライマーとして使用するためのオリゴヌクレオチド配列;または
ix)配列番号1、配列番号2、配列番号15、配列番号16、配列番号19、もしくは配列番号20のいずれか一つのヌクレオチド配列を有する、PCR反応におけるプライマーとして使用するためのオリゴヌクレオチド。
【0033】
Nicotiana種もしくは栽培品種由来のゲノムDNAもしくはcDNA、および言及したオリゴヌクレオチドをプライマーとして使用したPCRを行うことによって、またはNicotiana種もしくは栽培品種由来のゲノムDNAもしくはcDNAと、言及したプローブとの間で好ましくはストリンジェントな条件でハイブリダイゼーションを行うことによって、このような他のNicotiana XylT遺伝子もしくはNicotiana XylT cDNAまたはそのフラグメントを同定および/または単離することができる。
【0034】
本明細書に使用する「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」は、プローブとターゲット配列との間で少なくとも95%、好ましくは少なくとも97%の配列同一性があるならば、ハイブリダイゼーションが概して起こるものであることを意味する。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の例は、50%ホルムアミド、5×SSC(150mM NaCl、15mMクエン酸三ナトリウム)、50mMリン酸ナトリウム(pH7.6)、5×Denhardt溶液、10%硫酸デキストラン、およびサケ精子DNAなどの20μg/ml変性断片化キャリアDNAを含む溶液中での一晩のインキュベーションに続いて、約65℃の0.1×SSC中でハイブリダイゼーション支持体を例えば約10分間(2回)洗浄することである。他のハイブリダイゼーションおよび洗浄条件は周知であり、Sambrook et al, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Second Edition, Cold Spring Harbor, NY(1989)の特に第11章に例示されている。
【0035】
「Nicotiana種特異的XylT ヌクレオチド」または「Nicotiana栽培品種特異的XylTヌクレオチド」は、それぞれ配列番号25に示すNicotiana tabacum cv. Xanthi由来XylT遺伝子の、もしくは配列番号23に示すNicotiana tabacum cv. Xanthi由来XylT cDNAの対応するヌクレオチド配列と異なるか、またはそれに存在しない、Nicotiana種または栽培品種由来のXylT遺伝子またはXylT cDNAのヌクレオチド配列のヌクレオチドを表す。
【0036】
「Nicotiana種特異的XylTアミノ酸」または「Nicotiana栽培品種特異的XylTアミノ酸」は、それぞれ配列番号26に示すNicotiana tabacum cv. Xanthi由来XylT遺伝子によりコードされるか、もしくは配列番号24に示すNicotiana tabacum cv. Xanthi由来XylT cDNAによりコードされるXylTタンパク質の対応するアミノ酸配列と異なるか、またはそれに存在しない、Nicotiana種または栽培品種由来のXylT遺伝子またはXylT cDNAによりコードされるXylTタンパク質のアミノ酸配列のアミノ酸を表す。
【0037】
本発明の目的で、Nicotiana種もしくは栽培品種由来のXylT遺伝子もしくはXylT cDNAのヌクレオチド配列における、またはNicotiana種もしくは栽培品種由来のXylT遺伝子もしくはXylT cDNAによりコードされるXylTタンパク質のアミノ酸配列におけるNicotiana種または栽培品種特異的XylTヌクレオチドまたはアミノ酸の存在を判定するために、Nicotiana種または栽培品種由来のXylTヌクレオチド配列またはアミノ酸配列は、グローバルアライメント手順を使用してこれらの配列をアライメントすることによって、Nicotiana tabacum cv. Xanthi由来の対応するXylTヌクレオチド配列またはアミノ酸配列と比較される(ヌクレオチド配列について、使用する初期設定のスコア行列は、ミスマッチペナルティー=2、開始ギャップペナルティー=4、伸長ギャップペナルティー=1の「標準線形」である。タンパク質配列について、初期設定のスコア行列は「blosum 62」(Henikoff and Henikoff, 1992)である)。アライメントを行うために、Align Plusプログラム(Scientific & Educational Software, USAが提供)を使用してもよい。
【0038】
そのようなグローバルDNAアライメントの一例は、図1の配列番号23に表すNicotiana tabacum cv. Xanthi由来XylT cDNA配列と、配列番号3および5に表すNicotiana tabacum cv. Petite Havana SR1由来XylT cDNA配列とのグローバルDNAアライメントである。このグローバルDNAアライメントに基づき判定されるNicotiana tabacum cv. Petite Havana SR1特異的XylTヌクレオチドの例には、
- 配列番号3の位置1041、1323、1332、または1421のヌクレオチド、および
- 配列番号5の位置
【0039】
【表2】

【0040】
のヌクレオチドが挙げられる。
【0041】
このようなグローバルDNAアライメントの別の例は、図3の配列番号25に表すNicotiana tabacum cv. Xanthi由来XylT遺伝子配列と、配列番号7および9に表すNicotiana tabacum cv. Petite Havana SR1由来XylT遺伝子配列との、ならびに配列番号11および13に表すNicotiana benthamiana由来XylT遺伝子配列とのグローバルDNAアライメントである。このグローバルDNAアライメントに基づき判定されるNicotiana tabacum cv. Petite Havana SR1特異的XylTヌクレオチドの例には:
- 配列番号7の位置
【0042】
【表3】

【0043】
のヌクレオチド、および
- 配列番号9の位置
【0044】
【表4】

【0045】
のヌクレオチドが挙げられる。
【0046】
このグローバルDNAアライメントに基づき判定されるNicotiana benthamiana特異的XylT ヌクレオチドの例には:
- 配列番号11の位置
【0047】
【表5】

【0048】
のヌクレオチド、および
- 配列番号13の位置
【0049】
【表6】

【0050】
のヌクレオチドが挙げられる。
【0051】
このようなグローバルタンパク質アライメントの一例は、図2の配列番号24に表すNicotiana tabacum cv. Xanthi由来XylT cDNA配列によりコードされるXylTタンパク質配列と、配列番号4および6に表すNicotiana tabacum cv. Petite Havana SR1由来XylT cDNA配列によりコードされるXylTタンパク質配列とのグローバルタンパク質アライメントである。このグローバルタンパク質アライメントに基づき判定されるNicotiana tabacum cv. Petite Havana SR1特異的XylTアミノ酸の例には:
- 配列番号4の位置472または502のアミノ酸、および
- 配列番号6の位置
【0052】
【表7】

【0053】
のアミノ酸が挙げられる。
【0054】
このようなグローバルタンパク質アライメントの別の例は、図4の配列番号26に表すNicotiana tabacum cv. Xanthi由来XylT遺伝子配列によりコードされるXylTタンパク質配列と、配列番号8および10に表すNicotiana tabacum cv. Petite Havana SR1由来XylT遺伝子配列によりコードされるXylTタンパク質配列との、ならびに配列番号12および14に表すNicotiana benthamiana由来XylT遺伝子配列によりコードされるXylTタンパク質配列とのグローバルタンパク質アライメントである。このグローバルタンパク質アライメントに基づき判定されたNicotiana tabacum cv. Petite Havana SR1特異的XylTアミノ酸の例には:
- 配列番号8の位置
【0055】
【表8】

のアミノ酸、および
- 配列番号10の位置183、212、297、312、333、または349のアミノ酸
が挙げられる。
【0056】
このグローバルタンパク質アライメントの基づき判定されるNicotiana benthamiana特異的XylTアミノ酸の例には:
- 配列番号12の位置
【0057】
【表9】

【0058】
のアミノ酸、および
- 配列番号14の位置
【0059】
【表10】

【0060】
のアミノ酸が挙げられる。
【0061】
サイレンシングRNA分子に、特に二本鎖RNA分子の一方の鎖に含まれる、Nicotiana XylTタンパク質をコードするヌクレオチド配列の部分およびNicotiana XylT遺伝子またはNicotiana XylT cDNAのヌクレオチド配列の部分は、少なくとも19個の連続ヌクレオチド長でなければならないが、約19個の連続ヌクレオチド(nt)から、最長でNicotiana XylTタンパク質をコードする配列またはNicotiana XylT遺伝子もしくはcDNA配列の(ヌクレオチド)長に等しい長さまで変動することがある。したがって、センスまたはアンチセンスヌクレオチド配列の合計長は、少なくとも25nt、または少なくとも約50nt、または少なくとも約100nt、または少なくとも約150nt、または少なくとも約200nt、または少なくとも約500ntのことがある。センスまたはアンチセンスヌクレオチド配列の合計長に上限はないと予想される。しかし、実際的な理由(例えばキメラ遺伝子の安定性など)から、センスまたはアンチセンスヌクレオチド配列の長さは5000ntを超えてはならず、詳細には2500ntを超えてはならず、約1000ntまでに限定されることがある。
【0062】
Nicotiana XylTタンパク質をコードするヌクレオチド配列の部分またはNicotiana XylT遺伝子もしくはNicotiana XylT cDNA(センスまたはアンチセンス領域)のヌクレオチド配列の部分の合計長が長いほど、これらの領域と、それが相補するNicotiana種または栽培品種由来内在性XylT遺伝子における対応する配列との間の配列同一性の要求が厳密ではなくなる。好ましくは、関心対象の核酸は、対応するターゲット配列と少なくとも約75%、詳細には少なくとも約80%、さらに詳細には少なくとも約85%、全く詳細には約90%、著しくは約95%、さらに著しくは約100%の配列同一性を有さねばならず、全く著しくはターゲット配列またはその相補体の対応する部分と同一である。しかし、関心対象の核酸が、ターゲットXylT核酸の対応する部分と100%の配列同一性を有する約19個の連続ヌクレオチド、詳細には約25nt、さらに詳細には約50nt、著しくは約100nt、全く著しくは約150ntの配列を常に含むことが好ましく、ここで、前記約19個の連続ヌクレオチド、詳細には約25nt、さらに詳細には約50nt、著しくは約100nt、全く著しくは約150ntが少なくとも一つのNicotiana種もしくは栽培品種特異的XylTアミノ酸をコードするか、または少なくとも一つのNicotiana種もしくは栽培品種特異的XylTヌクレオチドを含む。
【0063】
本発明の目的で、パーセントで表現した二つの関連するヌクレオチド配列またはアミノ酸配列の「配列同一性」は、二つの最適にアラインメントされた配列中で、同一の残基を有する位置の数を、比較した位置の数で割ったもの(×100)を表す。ギャップ、すなわちある残基が一方の配列に存在するが、もう一方の配列には存在しない場合のアライメントにおける位置は、非同一残基を有する位置とみなされる。好ましくは、配列同一性を計算するために、および対応するセンスまたはアンチセンス配列を設計するために、特に短いセンス配列のために、ギャップ数は最少にしなければならない。
【0064】
RNA分子のヌクレオチド配列を対応するDNA分子のヌクレオチドと参照することによって規定するときはいつも、ヌクレオチド配列中のチミン(T)はウラシル(U)と交換しなければならないことは明らかであろう。参照がRNAまたはDNA分子に行われるかどうかは、適用の状況で明らかであろう。
【0065】
特定のターゲット遺伝子をサイレンシングするために最低限必要なことは、ターゲット遺伝子配列に対応する約20〜21個の連続ヌクレオチド長のヌクレオチド配列がサイレンシングキメラ遺伝子ヌクレオチド配列に存在することであると実証されており、ここで、この20〜21個のうち少なくとも19個の連続ヌクレオチドは、対応するターゲット遺伝子配列と同一である。本明細書に使用する「20個のうち19個の連続ヌクレオチド」は、ターゲット遺伝子から選択され、一つのミスマッチヌクレオチドを有する20個の連続ヌクレオチド配列を表す。
【0066】
Nicotiana種または栽培品種由来の内在性XylT遺伝子をサイレンシングするために、サイレンシングキメラ遺伝子ヌクレオチド配列は、Nicotiana XylTタンパク質をコードするヌクレオチド配列由来の20〜21個のうち少なくとも19個の連続ヌクレオチド(ここで、前記20〜21個のうち少なくとも19個の連続ヌクレオチドは、Nicotiana種もしくは栽培品種特異的XylTアミノ酸を少なくとも一つコードする)を含むか、またはNicotiana XylT遺伝子もしくはNicotiana XylT cDNAのヌクレオチド配列由来の20〜21個のうち少なくとも19個の連続ヌクレオチド(ここで、前記20〜21個のうち少なくとも19個の連続ヌクレオチドは、Nicotiana種もしくは栽培品種特異的XylTヌクレオチドを少なくとも一つ含む)ことが好ましい。
【0067】
本明細書に使用する「タンパク質結合N−グリカン上に低レベルのβ−1,2−キシロース残基を有するNicotiana植物」は、XylT活性が減少または消失している結果として、本発明の方法により処理されていない対照Nicotiana植物におけるタンパク質結合N−グリカン上のβ−1,2−キシロース残基のレベルに比べて低レベルのβ−1,2−キシロース残基をタンパク質結合N−グリカン上に生じるか、またはタンパク質結合N−グリカン上のβ−1,2−キシロース残基が不在である植物(特に本発明の方法により得られるNicotiana植物)である。本発明の方法により得られるNicotiana植物由来タンパク質のグリカン上に存在するβ−1,2−キシロース残基のレベルを、本発明の方法により処理されていない対照Nicotiana植物由来タンパク質のグリカン上に存在するβ−1,2−キシロース残基のレベルと比較することによって、XylT活性の指標を得ることができる。植物のタンパク質結合N−グリカン上のβ−1,2−キシロース残基のレベルは、例えばFayeら(Analytical Biochemistry, 1993, 209: 104-108)により記載されたキシロース特異的抗体を用いた例えばウエスタンブロット分析によって、または例えばKolarichおよびAltmann(2000, Anal. Biochem. 285: 64-75)により記載されたマトリックス支援レーザ脱離/イオン化時間飛行型質量分析(MALDI-TOF-MS)を用いて、もしくは例えばHenrikssonら(2003, Biochem. J. 375: 61-73)によって記載された液体クロマトグラフィータンデム質量分析(LC/MS/MS)を用いて、植物糖タンパク質から単離したグリカンを質量分析することによって測定することができる。
【0068】
Nicotiana XylTの発現を減少させる、本発明によるキメラ遺伝子をコードするdsRNAは、WO99/53050(参照により本明細書に組み入れられる)の開示によりセンスRNA領域とアンチセンスRNA領域との間のスペーサー配列に例えば位置する、異種イントロンなどのイントロンを含むことがある。
【0069】
上記のような二本鎖RNA分子が、植物細胞において約20〜21個のヌクレオチドの小さなRNAフラグメントに切断され、そのフラグメントが対応するmRNAの分解(degeneration)におけるガイド配列として作用することが明らかとなった(Baulcombe, 2004により総説されている)。したがって別の態様では、本発明は、タンパク質結合N−グリカン上に低レベルのβ−1,2−キシロース残基を有するNicotiana植物細胞または植物を生産するための方法を対象とし、その方法は以下の工程を含む:
a)Nicotiana種または栽培品種の植物の細胞に一つまたは複数の二本鎖RNA分子を提供する工程であって、この二本鎖RNA分子が、二つのRNA鎖を含み、一方のRNA鎖が、前記Nicotiana種もしくは栽培品種から好ましくは得られる、Nicotiana XylTタンパク質をコードするヌクレオチド配列より選択される20から21個の連続ヌクレオチドのRNAヌクレオチド配列であって、前記20から21個の連続ヌクレオチドが、種もしくは栽培品種特異的XylTアミノ酸を少なくとも一つコードするRNAヌクレオチド配列から実質的になるか、または一方のRNA鎖が、前記Nicotiana種もしくは栽培品種から好ましくは得られる、Nicotiana XylT遺伝子もしくはNicotiana XylT cDNAのヌクレオチド配列由来の20から21個の連続ヌクレオチドのRNAヌクレオチド配列であって、前記20から21個の連続ヌクレオチドが、Nicotiana種もしくは栽培品種特異的XylTヌクレオチドを少なくとも一つ含むRNAヌクレオチド配列から実質的になる工程;および
b)一つまたは複数の二本鎖RNA分子を含まない同じNicotiana植物よりもタンパク質結合N−グリカン上に低レベルのβ−1,2−キシロース残基を有する、これらの一つまたは複数の二本鎖RNA分子を含むNicotiana植物を同定する工程。
【0070】
言及した20〜21nt長のdsRNA配列もまた、従来のアンチセンスRNA介在性サイレンシングまたはセンスRNA介在性サイレンシングの過程で作製される。したがって、本発明の別の態様では、タンパク質結合N−グリカン上に低レベルのβ−1,2−キシロース残基を有するNicotiana植物細胞または植物を生産するための方法が提供され、その方法は、作動可能に連結した以下のDNAフラグメントを含むキメラ遺伝子をNicotiana種または栽培品種の植物の細胞に提供する工程を含む:
a)植物発現可能プロモーター;
b)前記Nicotiana種もしくは栽培品種から好ましくは得られる、Nicotiana XylTタンパク質をコードするヌクレオチド配列より選択される少なくとも20個の連続ヌクレオチドをアンチセンスまたはセンス方向に含むDNA領域であって、前記少なくとも20個の連続ヌクレオチドが、Nicotiana種もしくは栽培品種特異的XylTアミノ酸を少なくとも一つコードするDNA領域か、または前記Nicotiana種もしくは栽培品種から好ましくは得られる、Nicotiana XylT遺伝子もしくはNicotiana XylT cDNAのヌクレオチド配列由来の少なくとも20個の連続ヌクレオチドをアンチセンスまたはセンス方向に含むDNA領域であって、前記少なくとも20個の連続ヌクレオチドが、Nicotiana種もしくは栽培品種特異的XylTヌクレオチドを少なくとも一つ含むDNA領域;および
c)植物において機能する転写終結ポリアデニル化シグナルを含むDNA領域。
【0071】
したがって、言及したアンチセンスまたはセンスヌクレオチド領域は、21nt、40nt、50nt、100nt、200nt、300nt、500nt、1000nt、または実に約2000nt長以上などの約21ntから約5000nt長のことがある。さらに、使用される阻害性XylT遺伝子分子またはキメラ遺伝子のコード領域のヌクレオチド配列が、内在性Nicotiana XylT遺伝子(Nicotiana植物細胞における発現が減少するようにターゲティングされている)に完全に同一または相補的であることは本発明のために必要ない。配列が長いほど、全体的な配列同一性の要求は厳密ではなくなる。したがって、センスまたはアンチセンス領域は、内在性Nicotiana遺伝子のヌクレオチド配列またはその相補体に約40%または50%または60%または70%または80%または90%または100%の全体的な配列同一性を有することがある。しかし、言及したようにアンチセンスまたはセンス領域は、XylT遺伝子のヌクレオチド配列に約100%の配列同一性を有する19〜20個の連続ヌクレオチドのヌクレオチド配列を好ましくは含まねばならず、前記19〜20個の連続ヌクレオチドは、Nicotiana種もしくは栽培品種特異的XylTアミノ酸を少なくともコードするか、またはNicotiana種もしくは栽培品種特異的XylTヌクレオチドを少なくとも一つ含む。約100%の配列同一性のストレッチは、約50、75、または100ntでありうる。
【0072】
転写された場合にアンチセンスまたはセンスサイレンシングRNAをもたらす、上に言及したキメラ遺伝子の効率は、異常非ポリアデニル化XylT阻害性RNA分子の発現を生じるDNAエレメントの包含によってさらに高めることができる。その目的に適するこのようなDNAエレメントの一つは、WO00/01133に記載された自己スプライシングリボザイムをコードするDNA領域である。作製されたRNA分子に、WO03/076619に記載された核局在シグナルまたは核内繋留シグナルを提供することによってもまたこの効率を高めることができる。
【0073】
Nicotiana benthamianaおよびNicotiana tabacum由来の例示されたXylTヌクレオチド配列は、タンパク質結合N−グリカン上の低レベルのβ−1,2−キシロース残基と相関する、Nicotiana種または栽培品種の植物集団におけるXylTアレルを同定するためにもまた使用することができる。このようなNicotiana種または栽培品種の植物集団は、以前に突然変異誘発した集団であってもよい。次に、従来の育種技法を用いて、選択されたNicotiana種または栽培品種の植物系統に同定されたXylTアレルを導入することができる。
【0074】
Nicotiana植物をトランスフォーメーションする方法もまた、当技術分野において周知である。NicotianaのAgrobacterium介在性トランスフォーメーションは、例えばZambryskiら(1983, EMBO J. 2: 2143-2150)、De Blockら(1984, EMBO J. 3(8):1681-1689)、またはHorschら(Science (1985) 227: 1229-1231)に記載されている。
【0075】
本発明によって得られるトランスフォーメーションされたNicotiana植物またはタンパク質結合N−グリカン上に低レベルのβ−1,2−キシロース残基を有する、得られるNicotiana植物(ここで、内在性Nicotiana XylT遺伝子は、タンパク質結合N−グリカン上の、本来のXylTアレルに比べて低レベルのβ−1,2−キシロース残基と相関するXylTアレルに交換されている)を従来の育種スキームに使用して、同一の特性を有するより多くの植物を生産するか、あるいは同一もしくは関連する植物種の他の栽培品種または雑種植物に本発明によるキメラ遺伝子を導入することができる。トランスフォーメーションされた植物から得られる種子は、安定なゲノム挿入物として本発明のキメラ遺伝子を含有し、この種子もまた本発明に包含される。
【0076】
さらに、アンチセンス、センス、もしくは二本鎖RNA、またはコードするキメラ遺伝子の導入は、ターゲット遺伝子の発現のほとんど無抑制または非常に小さな抑制からターゲット遺伝子の非常に強い抑制または実に100%もの抑制までの範囲の表現型の分布に至り得ることが公知である。しかし、当業者は、所望の程度のサイレンシングおよび所望の表現型に至るそれらの植物細胞、植物、事象、または植物系統を選択することができるものである。
【0077】
本明細書に使用する「含む」は、一つまたは複数の特徴、整数、工程、もしくは構成要素、またはその群の存在または付加を除外するのではなく参照するものとして、定められた特徴、整数、工程、または構成要素の存在を詳記することと解釈することができる。したがって、例えばヌクレオチドまたはアミノ酸の配列を含む核酸またはタンパク質は、実際に引用されたものよりも多数のヌクレオチドまたはアミノ酸を含むことがあり、すなわちより大きな核酸またはタンパク質に埋め込まれていることがある。機能的または構造的に規定されたDNA領域を含むキメラ遺伝子は、追加のDNA領域などを含むことがある。
【0078】
以下の非限定的な実施例は、Nicotiana種、特にNicotiana benthamianaおよびNicotiana栽培品種、特にNicotiana tabacum cv. Petite Havana SR1におけるタンパク質結合N−グリカン上のβ−1,2−キシロース残基レベルを変更するためのキメラ遺伝子ならびにその使用を説明する。実施例に別に述べない限り、全てのリコンビナントDNA技法は、Sambrook et al. (1989) Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Second Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, NYおよびAusubel et al. (1994) Current Protocols in Molecular Biology, Current Protocols, USAの第1および2巻に記載された標準プロトコールにより実施される。植物の分子的な作業のための標準的な材料および方法は、BIOS Scientific Publications Ltd (UK)およびBlackwell Scientific Publications, UKが共同出版したPlant Molecular Biology Labfax (1993)、R.D.D. Croy著に記載されている。
【0079】
この説明および実施例にわたり、配列リストに表す以下の配列表が参照される:
配列番号1 Nicotiana XylT遺伝子またはcDNAの部分を増幅するために適したオリゴヌクレオチドXylF4のヌクレオチド配列。
配列番号2 Nicotiana XylT遺伝子またはcDNAの部分を増幅するために適したオリゴヌクレオチドXylR4のヌクレオチド配列。
配列番号3 Nicotiana tabacum cv. Petite Havana SR1 XylT遺伝子変異体1の部分cDNA配列。
配列番号4 Nicotiana tabacum cv. Petite Havana SR1 XylTタンパク質変異体1の部分アミノ酸配列。
配列番号5 Nicotiana tabacum cv. Petite Havana SR1 XylT遺伝子変異体2の部分cDNA配列。
配列番号6 Nicotiana tabacum cv. Petite Havana SR1 XylTタンパク質変異体2の部分アミノ酸配列。
配列番号7 Nicotiana tabacum cv. Petite Havana SR1 XylT遺伝子変異体1の部分ヌクレオチド配列。
配列番号8 Nicotiana tabacum cv. Petite Havana SR1 XylTタンパク質変異体1の部分アミノ酸配列。
配列番号9: Nicotiana tabacum cv. Petite Havana SR1 XylT遺伝子変異体2の部分ヌクレオチド配列。
配列番号10 Nicotiana tabacum cv. Petite Havana SR1 XylTタンパク質変異体2の部分アミノ酸配列。
配列番号11 Nicotiana benthamiana XylT遺伝子変異体1の部分ヌクレオチド配列。
配列番号12 Nicotiana benthamiana XylTタンパク質変異体1の部分アミノ酸配列。
配列番号13 Nicotiana benthamiana XylT遺伝子変異体2の部分ヌクレオチド配列。
配列番号14 Nicotiana benthamiana XylTタンパク質変異体2の部分アミノ酸配列。
配列番号15 Nicotiana tabacum cv. Petite Havana SR1 XylT遺伝子またはcDNAの部分を増幅するために適したオリゴヌクレオチドXylF8のヌクレオチド配列。
配列番号16 Nicotiana tabacum cv. Petite Havana SR1 XylT遺伝子またはcDNAの部分を増幅するために適したオリゴヌクレオチドXylR8のヌクレオチド配列。
配列番号17 Nicotiana tabacum cv. Petite Havana SR1 XylT遺伝子変異体1の部分cDNA配列。
配列番号18 ベクターpTKW20のT−DNA領域のヌクレオチド配列。
配列番号19 Nicotiana benthamiana XylT遺伝子またはcDNAの部分を増幅するために適したオリゴヌクレオチドXylF9のヌクレオチド配列。
配列番号20: Nicotiana benthamiana XylT遺伝子またはcDNAの部分を増幅するために適したオリゴヌクレオチドXylR9のヌクレオチド配列。
配列番号21 Nicotiana benthamiana XylT遺伝子変異体1の部分配列。
配列番号22 ベクターpTKW29のT−DNA領域のヌクレオチド配列。
配列番号23 推定β−(1,2)−キシロシルトランスフェラーゼ(アクセッション番号AJ627182)についてのNicotiana tabacum cv. Xanthi mRNA。
配列番号24 配列番号23によってコードされる推定β−(1,2)−キシロシルトランスフェラーゼ。
配列番号25 推定β−(1,2)−キシロシルトランスフェラーゼ(アクセッション番号AJ627183)についてのNicotiana tabacum cv. Xanthi xylt遺伝子。
配列番号26 配列番号25によってコードされる推定β−(1,2)−キシロシルトランスフェラーゼ。
【0080】
実施例
実施例1:Nicotiana tabacum cv. Petite Havana SR1およびNicotiana benthamiana由来XylT cDNA配列およびXylT遺伝子配列の単離のための縮重プライマーの設計
Nicotiana tabacum cv. Petite Havana SR1およびNicotiana benthamiana由来XylT cDNAおよびゲノムDNAのPCR増幅に縮重プライマーとして使用するオリゴヌクレオチド配列は、推定XylTタンパク質(アクセッション番号AJ627183)をコードする、Nicotiana tabacum cv. Xanthi由来ゲノムDNA配列のエキソン配列に基づき設計した。フォワードプライマー(配列番号1)は、クローニング目的でその5’末端にCACCを有するように設計した。このようにして、以下の縮重プライマーを作製した:
【0081】
【表11】

【0082】
実施例2:Nicotiana tabacum cv. Petite Havana SR1からのXylT cDNA配列の単離
実施例1に記載した縮重プライマーを使用して、Nicotiana tabacum cv. Petite Havana SR1からXylT cDNA配列を単離した:
【0083】
RNAは、製造業者のプロトコール通りにRNeasy Plant Mini Kit(Qiagen)を用いてNicotiana tabacum cv. Petite Havana SR1の葉から抽出し、製造業者の説明書通りにSuperscript(商標)RT−PCR用第一鎖合成システム(Invitrogen Life Technologies)を用いてcDNA合成に使用した。
【0084】
テンプレートとしてcDNAおよびプライマー対XylF4/XylR4を使用して、以下の条件でPCR増幅を行った:94℃で15秒間(変性)および68℃で3分間(アニーリングおよび伸長)を40サイクル。
【0085】
約1500塩基対のDNAフラグメントを増幅し、pENTR(商標)/D−TOPO(登録商標)ベクター(Invitrogen)にクローニングし、いくつかのクローンを配列決定した(配列番号3の配列XylTc2Ntおよび配列番号5の配列XylTc7Ntを含む)。
【0086】
推定XylTタンパク質をコードするNicotiana tabacum cv. Xanthi由来mRNA配列(アクセッション番号AJ627182;配列番号23)と、Nicotiana tabacum cv. Petite Havana SR1から単離されたXylT cDNA配列(配列番号3および5)との間のアライメントを図1に示す。
【0087】
Nicotiana tabacum cv. Xanthi由来mRNA配列によりコードされる推定XylTタンパク質(アクセッション番号AJ627182;配列番号24)と、Nicotiana tabacum cv. Petite Havana SR1から単離されたcDNA配列によりコードされる推定XylTタンパク質(配列番号4および6)との間のアライメントを図2に示す。
【0088】
実施例3:Nicotiana tabacum cv. Petite Havana SR1およびNicotiana benthamianaのXylT遺伝子配列の単離
実施例1に記載した縮重プライマーを使用して、Nicotiana tabacum cv. Petite Havana SR1およびNicotiana benthamianaからXylT遺伝子配列を単離した。
【0089】
DNAは、BernatzkyおよびTanksley(1986)が記載したプロトコールに基づいてNicotiana tabacum cv. Petite Havana SR1およびNicotiana benthamianaの葉から抽出した。
【0090】
テンプレートとしてゲノムDNAおよびプライマー対XylF4/XylR4を使用して、以下の条件でPCR増幅を行った:94℃で15秒間(変性)および68℃で4分30秒間(アニーリングおよび伸長)を40サイクル。
【0091】
PCR増幅のためのテンプレートとしてNicotiana tabacum cv. Petite Havana SR1由来ゲノムDNAを使用して、約3400塩基対のDNAフラグメントを増幅し、pENTR(商標)/D−TOPO(登録商標)ベクター(Invitrogen)にクローニングし、いくつかのクローンを配列決定した(配列番号7の配列XylTg1Ntおよび配列番号9の配列XylTg3Ntを含むもの)。
【0092】
XylTゲノムDNA配列XylTg1NtおよびXylTg3Ntは、二つの推定イントロン配列および三つの推定エキソン配列を含む。イントロン配列の配置は:
- XylTg1Ntについて:配列番号7の位置679のヌクレオチドから位置1974のヌクレオチドまで、および位置2125のヌクレオチドから位置2722のヌクレオチドまで、ならびに
- XylTg3Ntについて:配列番号9の位置658のヌクレオチドから位置1953のヌクレオチドまで、および位置2104のヌクレオチドから位置2701のヌクレオチドまでである。
【0093】
PCR増幅用のテンプレートとしてNicotiana benthamiana由来ゲノムDNAを用いて、約3300塩基対から約3600塩基対との間のDNAフラグメントを増幅し、pENTR(商標)/D−TOPO(登録商標)ベクター(Invitrogen)にクローニングし、いくつかのクローンを配列決定した(配列番号11の配列XylTg14Nbおよび配列番号13の配列XylTg19Nbを含む)。
【0094】
XylTゲノムDNA配列であるXylTg14NbおよびXylTg19Nbは、二つの推定イントロン配列および三つの推定エキソン配列を含む。イントロン配列の配置は:
- 配列番号11の位置658のヌクレオチドから位置1917のヌクレオチドまで、および位置2068のヌクレオチドから位置2612のヌクレオチドまでのXylTg14Nbならびに
- 配列番号13の位置649のヌクレオチドから位置2194のヌクレオチドまで、および位置2345のヌクレオチドから位置2888のヌクレオチドまでのXylTgl9Nbである。
【0095】
推定XylTタンパク質をコードするNicotiana tabacum cv. Xanthi由来ゲノムDNA配列(アクセッション番号AJ627183;配列番号25)と、Nicotiana tabacum cv. Petite Havana SR1から単離されたXylTゲノムDNA配列(配列番号7および9)およびNicotiana benthamianaから単離されたXylTゲノムDNA配列(配列番号11および13)との間のアライメントを図3に示す。
【0096】
Nicotiana tabacum cv. Xanthi由来ゲノムDNA配列によりコードされる推定XylTタンパク質(アクセッション番号AJ627183;配列番号26)と、Nicotiana tabacum cv. Petite Havana SR1から単離されたゲノムDNA配列(配列番号8および10)およびNicotiana benthamianaから単離されたゲノムDNA配列(配列番号12および14)によりコードされる推定XylTタンパク質との間のアライメントを図4に示す。
【0097】
実施例4:Nicotiana XylTサイレンシング遺伝子を含有するT−DNAベクターの構築
実施例2および3に記載したNicotiana XylT配列から増幅したDNAフラグメントを使用して、キメラ遺伝子を含むT−DNAベクターを構築したが、このキメラ遺伝子は、転写の際に、増幅したDNAフラグメントからセンスおよびアンチセンスDNA配列を含むRNA分子をもたらし、そのRNA分子は、塩基対を形成して二本鎖RNA分子を形成することができた。このようなキメラ遺伝子を使用して、Nicotianaにおける、特にNicotiana tabacum cv. Petite Havana SR1およびNicotiana benthamianaにおけるXylT遺伝子の発現を減少させることができる。
【0098】
4.1 Nicotiana tabacum cv. Petite Havana SR1由来XylT配列から増幅したDNAフラグメントを有するXylTサイレンシング遺伝子を含むT−DNAベクターの構築
Nicotiana tabacum cv. Petite Havana SR1由来XylT cDNA配列のPCR増幅に非縮重プライマーとして使用するオリゴヌクレオチド配列を、実施例2で単離したNicotiana tabacum cv. Petite Havana SR1由来cDNA配列に基づいて設計した。クローニング目的でその5’末端にCACCを有するようにフォワードプライマー(配列番号15)を設計した。このようにして、以下の非縮重プライマーを作製した:
【0099】
【表12】

【0100】
テンプレートとして実施例2に記載したNicotiana tabacum cv. Petite Havana SR1のXylT cDNA配列から増幅したDNAフラグメントを含むベクター(配列番号3のXylTc2Nt)およびプライマー対XylF8/XylR8を使用して、以下の条件でPCR増幅を行った:94℃で15秒間(変性)、56℃で30秒間(アニーリング)および68℃で45秒間(伸長)を25サイクル。
【0101】
約470bpのDNAフラグメント(XylTi4Nt;配列番号17)を増幅し、pENTR(商標)/D−TOPO(登録商標)ベクター(Invitrogen)にクローニングし、プラスミドpKW19をもたらした。Gateway(登録商標)LR Clonase(商標)II(Invitrogen)を用いてプラスミドpKW19をpHellsgate12(Helliwell and Waterhouse, Methods (2003) 30: 289-295)でリコンビネーションし、プラスミドpTKW20をもたらした。
【0102】
したがって、pTKW20のT−DNA配列(配列番号18)は:
・以下を含むキメラXylTサイレンシング遺伝子:
- カリフラワーモザイクウイルス35S転写体のプロモーター領域を含むフラグメント(Odell et al., 1985)
(配列番号18のヌクレオチド969からヌクレオチド2314)
- センス方向にクローニングされたNicotiana tabacum cv. Petite Havana SR1 XylT cDNA配列の部分を含むフラグメント
(配列番号18のヌクレオチド2365からヌクレオチド2834)
- ヒマ由来カターゼ1(catase-1)遺伝子のイントロンを含有するフラグメント
(配列番号18のヌクレオチド2893からヌクレオチド3088)
- RoscheおよびWesthoff(1995)により記載されたフラベリア・トリネルビア(Flaveria trinervia)由来ピルビン酸オルトリン酸ジキナーゼ遺伝子の第二イントロンを逆方向に含有するフラグメント
(配列番号18のヌクレオチド3130からヌクレオチド3871)
- アンチセンス方向にクローニングされたNicotiana tabacum cv. Petite Havana SR1 XylT cDNA配列の部分を含むフラグメント
(配列番号18のヌクレオチド3957からヌクレオチド4426)
- De Greveら(1982)に記載されたアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)のオクトピンシンターゼ遺伝子の3’非翻訳領域を含むフラグメント
(配列番号18のヌクレオチド4479からヌクレオチド5244)および
・以下を含む選択マーカーをコードするキメラ遺伝子:
- Agrobacterium tumefaciens T−DNAのノパリンシンターゼ遺伝子のプロモーター領域を含むフラグメント
(配列番号18のヌクレオチド5512からヌクレオチド5744)
- nptII抗生物質耐性遺伝子を含むフラグメント
(配列番号18のヌクレオチド5745からヌクレオチド6690)
- A. tumefaciens T−DNAのノパリンシンターゼ遺伝子の3’非翻訳領域を含むフラグメント
(配列番号18のヌクレオチド6691からヌクレオチド7396)
を含む。
【0103】
ヘルパーTi−プラスミドを含むAgrobacterium tumefaciensに、このT−DNAベクターを導入した。
【0104】
4.2 Nicotiana benthamiana由来XylT配列から増幅したDNAフラグメントを有するXylTサイレンシング遺伝子を含むT−DNAベクターの構築
Nicotiana benthamiana由来XylT遺伝子配列のPCR増幅において非縮重プライマーとして使用するオリゴヌクレオチド配列を、実施例3で単離したNicotiana benthamiana由来遺伝子配列に基づいて設計した。フォワードプライマー(配列番号19)は、その5’末端にGGCCGGATCCTCGを有するように設計し、リバースプライマー(配列番号20)は、クローニング目的でその5’末端にGGCCATCGATGGTACCを有するように設計した。このようにして、以下の非縮重プライマーを作製した:
【0105】
【表13】

【0106】
テンプレートとして実施例3に記載したNicotiana benthamianaのXylT遺伝子配列から増幅したDNAフラグメントを含むベクター(配列番号11のXylTg14Nb)およびプライマー対XylF9/XylR9を使用して、以下の条件でPCR増幅を行った:94℃で15秒間(変性)、58℃で30秒間(アニーリング)、および68℃で30秒間(伸長)を25サイクル。
【0107】
約430bpのDNAフラグメント(XylTiNb;配列番号21)を増幅し、XhoIおよびKpnIならびにBamHIおよびClaIでそれぞれ消化した。XhoI/KpnIおよびBamHI/ClaIで消化したフラグメントを、XhoI/KpnIおよびBamHI/ClaIで消化したpHANNIBALにクローニングし(Helliwell and Waterhouse, 2003)、pKW28をもたらした。
【0108】
したがって、プラスミドpKW28は、以下を含むキメラXylTサイレンシング遺伝子を制限部位MscIとPstIとの間に含む:
・カリフラワーモザイクウイルス35S転写体のプロモーター領域を含むフラグメント(Odell et al., 1985)
(配列番号22のヌクレオチド3779からヌクレオチド2434)
・センス方向にクローニングされたNicotiana benthamiana XylT遺伝子配列の部分を含むフラグメント
(配列番号22のヌクレオチド2427からヌクレオチド2023)
・RoscheおよびWesthoff(1995)に記載されたFlaveria trinervia由来ピルビン酸オルトリン酸ジキナーゼ遺伝子の第二イントロンを含有するフラグメント
(配列番号22のヌクレオチド1991からヌクレオチド1250)
・アンチセンス方向にクローニングされたNicotiana benthamiana XylT遺伝子配列の部分を含むフラグメント
(配列番号22のヌクレオチド1211からヌクレオチド807)
・De Greveら(1982)により記載されたAgrobacterium tumefaciensのオクトピンシンターゼ遺伝子の3’非翻訳領域を含むフラグメント
(配列番号22のヌクレオチド786からヌクレオチド76)。
【0109】
プラスミドpKW28は、MscIおよびPstIで消化させ、以下を含む選択マーカーをコードするキメラ遺伝子と一緒に、PstIおよびSmaIを用いて切断したT−DNAベクターのT−DNA境界の間にキメラ遺伝子を導入し、pTKW29をもたらした(pTKW29のT−DNAの配列を配列番号22に示す):
・A. tumefaciens T−DNAのノパリンシンターゼ遺伝子のプロモーター領域を含むフラグメント
(配列番号22のヌクレオチド3854からヌクレオチド4140)
・barホスフィノトリシン耐性遺伝子を含むフラグメント(De Block et al., 1987)
(配列番号22のヌクレオチド4161からヌクレオチド4712)
・A. tumefaciens T−DNAのノパリンシンターゼ遺伝子の3’非翻訳領域を含むフラグメント
(配列番号22のヌクレオチド4731からヌクレオチド4991)。
【0110】
ベクターpTKW29は、pGSC1700由来である(Cornelissen and Vandewiele, 1989)。このベクターのバックボーンは、以下の遺伝子エレメントを含有する:
・エシェリキア・コリ(Escherichia coli)における複製のためのプラスミドpBR322(Bolivar et al., 1977)由来複製起点(ORI ColE1)およびAgrobacterium tumefaciensにおける複製のためのシュードモナス(Pseudomonas)プラスミドpVS1(Itoh et al., 1984)由来複製起点(ORI pVS1)を含む制限フラグメントを含むプラスミドコア
・Escherichia coliおよびAgrobacterium tumefaciensにおけるプラスミドの増殖およびのために、ストレプトマイシンおよびスペクチノマイシン耐性を付与する選択マーカー遺伝子(aadA)
・トランスポゾンTn903由来nptI遺伝子のネオマイシンホスフォトランスフェラーゼコード配列のフラグメントからなるDNA領域(Oka et al., 1981)。
【0111】
このT−DNAベクターを、ヘルパーTi−プラスミドを含むAgrobacterium tumefaciensに導入する。
【0112】
実施例5: XylTサイレンシング遺伝子を有するトランスジェニックNicotiana植物の分析
実施例4に記載したAgrobacterium tumefaciens株を用いて、Nicotiana植物をトランスフォーメーションした:
【0113】
5.1 XylTサイレンシング遺伝子を有するトランスジェニックNicotiana tabacum cv. Petite Havana SR1植物の分析
Zambryskiら(1983)に記載されたプロトコール通りに、実施例4.1に記載したAgrobacterium tumefaciens株を用いてNicotiana tabacum cv. Petite Havana SR1植物をトランスフォーメーションした。実施例4.1に記載したキメラ遺伝子を含むトランスジェニックNicotiana tabacumを52系統得た。
【0114】
サザンブロット分析を用いて分子レベルでトランスジェニック植物系統を分析した。同様に、ノーザンブロット分析を用いてXylT RNA発現についてその植物系統を分析する。
【0115】
XylT活性の指標は、トランスジェニック系統由来タンパク質のグリカン上に存在するβ−1,2−キシロース残基のレベルを非トランスフォーメーション植物のレベルと比較することによって得ることができる。植物のタンパク質結合N−グリカン上のβ−1,2−キシロース残基のレベルは、例えばFayeら(1993)により記載されたキシロース特異的抗体を用いた例えばウエスタンブロットにより、または例えばKolarichおよびAltmann(2000)により記載されたマトリックス支援レーザ脱離/イオン化飛行時間型質量分析(MALDI−TOF−MS)を用いた、もしくは例えばHenrikssonら(2003)により記載された液体クロマトグラフィータンデム質量分析(LC/MS/MS)を用いた植物糖タンパク質から単離されたグリカンの質量分析により、測定することができる。
【0116】
5.2 XylTサイレンシング遺伝子を有するトランスジェニックNicotiana benthamiana植物の分析
同様に、実施例4.2に記載したAgrobacterium tumefaciens株を用いてNicotiana benthamiana植物をトランスフォーメーションし、XylTの発現およびタンパク質のグリカン上に存在するβ-1,2-キシロース残基のレベルを上記のように分析した。
【0117】
pTKW29を用いた葉ディスクトランスフォメーション後に、実施例4.2に記載したキメラ遺伝子を含むトランスジェニックNicotiana benthamianaの54系統を得た。
【0118】
これらの植物系の内在性タンパク質のグリカン上に存在するβ−1,2−キシロース残基のレベルを判定するために、β−1,2−キシロース特異的抗体を用いたウエスタンブロットにより、各個体の可溶性葉タンパク質を分析した。
【0119】
6個の試料が抗体と非常に弱い反応を示し、6個の試料が抗体と検出可能な反応を示さなかった。他の試料について、抗体との反応レベルは、弱から野生型レベルまでの範囲であった。
【0120】
pTKW29由来キメラXylTサイレンシング遺伝子の挿入数を判定するために、β−1,2−キシロース特異的抗体に対して非常に弱いまたは負の反応を示す植物系統由来ゲノムDNAを単離し、EcoRIで消化し、35Sプロモーター領域に及ぶプローブおよびホスフィノトリシン耐性bar遺伝子のコード領域に及ぶプローブを用いたサザンブロットにより分析した。
【0121】
12植物系統のうちただ一つの挿入を示したものはなかった。ウエスタンブロット分析を用いると、一つの植物系統が二つの挿入を含有し、キシロースについて陰性であった。
【0122】
これらの二つのキメラXylTサイレンシング遺伝子が独立して挿入されたかどうかを試験するために、およびウエスタンブロットでキシロースについて陰性であり、単一のキメラXylTサイレンシング遺伝子を含有する植物を得るために、二つの挿入を含有する植物系統の自家受精により生じた子孫を播種し、ウエスタンブロット分析により25植物系統を分析した。
【0123】
【表14】

【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1】推定XylTタンパク質をコードするNicotiana tabacum cv. XanthiのcDNA配列(アクセッション番号AJ627182;配列番号23)と、Nicotiana tabacum cv. Petite Havana SR1から単離された二つの異なるXylT cDNA配列(配列番号3および5)との間のグローバルDNAアライメント(以下のパラメーターを有する標準線形スコア行列に基づく:ミスマッチペナルティー=2、開始ギャップペナルティー=4、および伸長ギャップペナルティー=1)を示す図である。点は、Nicotiana tabacum cv. Xanthi cDNA配列における対応するヌクレオチドと同一のNicotiana tabacum cv. Petite Havana SR1 cDNA配列におけるヌクレオチドを表し;横棒は、Nicotiana tabacum cv. Xanthi cDNA配列におけるヌクレオチドに対応するNicotiana tabacum cv. Petite Havana SR1 cDNA配列におけるヌクレオチドの不在を表す。
【図2】Nicotiana tabacum cv. Xanthi由来cDNA配列によりコードされる推定XylTタンパク質(アクセッション番号AJ627182; 配列番号24)と、Nicotiana tabacum cv. Petite Havana SR1から単離された二つの異なるXylT cDNA配列によりコードされる推定XylTタンパク質(配列番号4および6)との間のグローバルタンパク質アライメント(blossum 62スコア行列に基づく)を示す図である。点は、Nicotiana tabacum cv. Xanthiタンパク質配列における対応するアミノ酸と同一のNicotiana tabacum cv. Petite Havana SR1タンパク質配列におけるアミノ酸を表し;横棒は、Nicotiana tabacum cv. Xanthiタンパク質配列におけるアミノ酸に対応するNicotiana tabacum cv. Petite Havana SR1タンパク質配列におけるアミノ酸の不在を表す。
【図3】推定XylTタンパク質をコードするNicotiana tabacum cv. Xanthi由来ゲノムDNA配列(アクセッション番号AJ627183;配列番号25)と、Nicotiana tabacum cv. Petite Havana SR1から単離された二つの異なるXylTゲノムDNA配列(配列番号7および9)およびNicotiana benthamianaから単離された二つの異なるXylTゲノムDNA配列(配列番号11および13)との間のグローバルタンパク質アライメント(以下のパラメーターを有する標準線形スコア行列に基づく:ミスマッチペナルティー=2、開始ギャップペナルティー=4、および伸長ギャップペナルティー=1)を示す図である。点は、Nicotiana tabacum cv. XanthiゲノムDNA配列における対応するヌクレオチドと同一のNicotiana tabacum cv. Petite Havana SR1ゲノムDNA配列におけるヌクレオチドを表し;横棒は、Nicotiana tabacum cv. XanthiゲノムDNA配列におけるヌクレオチドに対応するNicotiana tabacum cv. Petite Havana SR1ゲノムDNA配列におけるヌクレオチドの不在を表す。
【図4】Nicotiana tabacum cv. Xanthi由来ゲノムDNA配列によりコードされる推定XylTタンパク質(アクセッション番号AJ627183;配列番号26)と、Nicotiana tabacum cv. Petite Havana SR1から単離された二つの異なるXylTゲノムDNA配列(配列番号8および10)により、およびNicotiana benthamianaから単離された二つの異なるXylTゲノムDNA配列(配列番号12および14)によりコードされる推定XylTタンパク質との間のグローバルタンパク質アライメント(blossum 62スコア行列に基づく)を示す図である。点は、Nicotiana tabacum cv. Xanthiタンパク質配列における対応するアミノ酸と同一のNicotiana tabacum cv. Petite Havana SR1タンパク質配列におけるアミノ酸を表し;横棒は、Nicotiana tabacum cv. Xanthiタンパク質配列におけるアミノ酸に対応するNicotiana tabacum cv. Petite Havana SR1タンパク質配列におけるアミノ酸の不在を表す。
【図1−1】

【図1−2】

【図1−3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)Nicotiana種または栽培品種の植物細胞内にキメラ遺伝子を導入してトランスジェニック植物細胞を作製することであって、該キメラ遺伝子は、以下の作動可能に連結したDNAフラグメントを含む:
i)植物発現可能プロモーター;
ii)下記:
(1)Nicotiana XylTタンパク質をコードするヌクレオチド配列またはその相補体より選択される20個のうち少なくとも19個の連続ヌクレオチドのヌクレオチド配列を含む第一のセンスDNA領域であって、該ヌクレオチド配列が、該Nicotiana種または栽培品種から好ましくは得ることができ、該20個のうち少なくとも19個の連続ヌクレオチドが、Nicotiana種または栽培品種特異的XylTアミノ酸を少なくとも一つコードするヌクレオチド配列を含むか、またはNicotiana XylT遺伝子もしくはNicotiana XylT cDNAのヌクレオチド配列またはその相補体より選択され、該ヌクレオチド配列が、該Nicotiana種または栽培品種から好ましくは得ることができ、該20個のうち少なくとも19個の連続ヌクレオチドが、Nicotiana種特異的XylTヌクレオチドを少なくとも一つ含む、ヌクレオチド配列;および
(2)該第一のDNA領域の相補体に少なくとも95%の配列同一性を有する少なくとも19個の連続ヌクレオチドのヌクレオチド配列を含む第二のアンチセンスDNA領域
を含む転写可能DNA領域であって、
該転写可能DNA領域から転写されたRNA分子は、少なくとも、該第一のセンスDNA領域から転写されたRNA領域と、該第二のアンチセンスDNA領域から転写されたRNA領域との間で二本鎖RNA領域を形成することができる転写可能DNA領域である、転写可能DNA領域;および
iii)植物において機能する転写終結ポリアデニル化シグナルを含むDNA領域;
b)場合により、トランスフォーメーションされていないNicotiana植物細胞よりも低レベルのβ−1,2−キシロース残基をタンパク質結合N−グリカン上に有するトランスジェニックNicotiana植物細胞を同定すること;
c)場合により、該トランスジェニックNicotiana植物細胞を再生してトランスジェニックNicotiana植物を得ること;
d)場合により、トランスフォーメーションされていないNicotiana植物よりも低レベルのβ−1,2−キシロース残基をタンパク質結合N−グリカン上に有するトランスジェニックNicotiana植物を同定すること
の工程を含む、タンパク質結合N−グリカン上に低レベルのβ−1,2−キシロース残基を有するNicotiana植物細胞または植物を生産する方法。
【請求項2】
Nicotiana種特異的XylTアミノ酸がNicotiana benthamiana特異的XylTアミノ酸であり、該Nicotiana種が好ましくはNicotiana benthamianaである、請求項1記載の方法。
【請求項3】
Nicotiana XylTタンパク質をコードするヌクレオチド配列が、配列番号12または配列番号14のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
Nicotiana種特異的XylTヌクレオチドがNicotiana benthamiana特異的XylTヌクレオチドであり、該Nicotiana種が好ましくはNicotiana benthamianaである、請求項1から3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
Nicotiana XylT遺伝子のヌクレオチド配列が、配列番号11、配列番号13、または配列番号21のヌクレオチド配列を含む、請求項1から4のいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
Nicotiana栽培品種特異的XylTアミノ酸がNicotiana tabacum cv. Petite Havana SR1特異的XylTアミノ酸であり、該Nicotiana栽培品種が好ましくはNicotiana tabacum cv. Petite Havana SR1である、請求項1記載の方法。
【請求項7】
Nicotiana XylTタンパク質をコードするヌクレオチド配列が、配列番号4、配列番号6、配列番号8、または配列番号10のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む、請求項1または6記載の方法。
【請求項8】
Nicotiana栽培品種特異的XylT ヌクレオチドがNicotiana tabacum cv. Petite Havana SR1特異的XylTヌクレオチドであり、該Nicotiana栽培品種が好ましくはNicotiana tabacum cv. Petite Havana SR1である、請求項1、6または7のいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
Nicotiana XylT遺伝子またはNicotiana XylT cDNAのヌクレオチド配列が、配列番号3、配列番号5、配列番号8、配列番号10、または配列番号17のヌクレオチド配列を含む、請求項1または6から8のいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
第一および第二のDNA領域が少なくとも50個の連続ヌクレオチドを含む、請求項1から9のいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
第一および第二のDNA領域が少なくとも200個の連続ヌクレオチドを含む、請求項1から9のいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
タンパク質結合N−グリカン上に低レベルのβ−1,2−キシロース残基を有するNicotiana植物細胞または植物を生産する方法であって、以下:
a)Nicotiana種または栽培品種の植物細胞または植物に一つまたは複数の二本鎖RNA分子を提供することであって、該二本鎖RNA分子が二つのRNA鎖を含み、一つのRNA鎖が、Nicotiana XylTタンパク質をコードするヌクレオチド配列より選択される20から21個のうち19個の連続ヌクレオチドのRNAヌクレオチド配列またはその相補体であって、該ヌクレオチド配列が、該Nicotiana種または栽培品種から好ましくは得ることができ、該20から21個のうち19個の連続ヌクレオチドが、Nicotiana種または栽培品種特異的XylTアミノ酸を少なくとも一つコードするか、またはNicotiana XylT遺伝子もしくはNicotiana XylT cDNAのヌクレオチド配列またはその相補体より選択され、該ヌクレオチド配列が、該Nicotiana種または栽培品種から好ましくは得ることができ、該20から21個のうち19個の連続ヌクレオチドが、Nicotiana種または栽培品種特異的XylTヌクレオチドを少なくとも一つ含む;および
b)該一つまたは複数の二本鎖RNA分子を含まない、同じNicotiana植物細胞または植物に比べて低レベルのβ−1,2−キシロース残基をタンパク質結合N−グリカン上に有する、該一つまたは複数の二本鎖RNA分子を含むNicotiana植物細胞または植物を同定すること
の工程を含む方法。
【請求項13】
該二本鎖RNAが、Nicotiana種または栽培品種の植物細胞のゲノムにキメラ遺伝子を組み込むことによって該植物細胞または植物に提供され、トランスジェニック植物細胞を作製し、場合により、該植物細胞を再生してトランスジェニック植物を得る方法であって、該キメラ遺伝子が、以下の作動可能に連結したDNAフラグメント:
a)植物発現可能プロモーター;
b)Nicotiana XylTタンパク質をコードするヌクレオチド配列より選択される20個のうち少なくとも19個の連続ヌクレオチドをアンチセンス方向に含むDNA領域またはその相補体であって、該ヌクレオチド配列が、該Nicotiana種または栽培品種から好ましくは得ることができ、該20個のうち19個の連続ヌクレオチドが、Nicotiana種または栽培品種特異的XylTアミノ酸を少なくとも一つコードするか、またはNicotiana XylT遺伝子もしくはNicotiana XylT cDNAのヌクレオチド配列またはその相補体より選択され、該ヌクレオチド配列が、該Nicotiana種または栽培品種から好ましくは得ることができ、該20個のうち19個の連続ヌクレオチドが、アンチセンス方向に、Nicotiana種特異的XylTヌクレオチドを少なくとも一つ含む、DNA領域;および
c)植物において機能する転写終結ポリアデニル化シグナルを含むDNA領域
を含む、請求項12記載の方法。
【請求項14】
二本鎖RNAが、植物細胞のゲノムにキメラ遺伝子を組み込むことによって該植物細胞または植物に提供され、トランスジェニック植物細胞を作製し、場合により、該植物細胞を再生してトランスジェニック植物を得る方法であって、該キメラ遺伝子が、以下の作動可能に連結したDNAフラグメント:
a)植物発現可能プロモーター;
b)Nicotiana XylTタンパク質をコードするヌクレオチド配列より選択される20個のうち少なくとも19個の連続ヌクレオチドまたはその相補体を含むDNA領域であって、該ヌクレオチド配列が、該Nicotiana種または栽培品種から好ましくは得ることができ、該20個のうち19個の連続ヌクレオチドが、それが相補するNicotiana種特異的または栽培品種特異的XylTアミノ酸を少なくとも一つコードするか、またはNicotiana XylT遺伝子もしくはNicotiana XylT cDNAのヌクレオチド配列より選択される20個のうち少なくとも19個の連続ヌクレオチドまたはその相補体を含み、該ヌクレオチド配列が、該Nicotiana種または栽培品種から好ましくは得ることができ、該20個のうち19個の連続ヌクレオチドが、センス方向に、Nicotiana種特異的XylTヌクレオチドを少なくとも一つ含む、DNA領域;および
c)植物において機能する転写終結ポリアデニル化シグナルを含むDNA領域
を含む、請求項12記載の方法。
【請求項15】
二本鎖RNAが、植物細胞のゲノムにキメラ遺伝子を組むことによって該植物細胞または植物に提供され、トランスジェニック植物細胞を作製し、場合により、該植物細胞を再生してトランスジェニック植物を得る方法であって、該キメラ遺伝子が、以下の作動可能に連結したDNAフラグメント:
a)植物発現可能プロモーター;
b)下記:
i)Nicotiana XylTタンパク質をコードするヌクレオチド配列より選択される20個のうち少なくとも19個の連続ヌクレオチドまたはその相補体をアンチセンス方向に含む第一のDNA領域であって、該ヌクレオチド配列が、該Nicotiana種または栽培品種から好ましくは得ることができ、該20個のうち19個の連続ヌクレオチドが、Nicotiana種または栽培品種特異的XylTアミノ酸を少なくとも一つコードする第一のDNA領域か、あるいはNicotiana XylT遺伝子もしくはNicotiana XylT cDNAのヌクレオチド配列より選択される20個のうち少なくとも19個の連続ヌクレオチドまたはその相補体をアンチセンス方向に含み、該ヌクレオチド配列が、該Nicotiana種または栽培品種から好ましくは得ることができ、該20個のうち19個の連続ヌクレオチドが、Nicotiana種特異的XylTヌクレオチドを少なくとも一つ含む、第一のDNA領域;
ii)Nicotiana XylTタンパク質をコードするヌクレオチド配列より選択される20個のうち少なくとも19個の連続ヌクレオチドまたはその相補体をセンス方向に含む第二のDNA領域であって、該ヌクレオチド配列が、該Nicotiana種または栽培品種から好ましくは得ることができ、該20個のうち19個の連続ヌクレオチドが、Nicotiana種または栽培品種特異的XylTアミノ酸を少なくとも一つコードするか、またはNicotiana XylT遺伝子もしくはNicotiana XylT cDNAのヌクレオチド配列またはその相補体より選択され、該ヌクレオチド配列が、該Nicotiana種または栽培品種から好ましくは得ることができ、該20個のうち19個の連続ヌクレオチドが、Nicotiana種特異的XylTヌクレオチドを少なくとも一つ含む、第二のDNA領域
を含む転写可能DNA領域であって、該転写可能DNA領域の転写により生成するRNA分子が、少なくとも該第一のDNA領域に対応するRNA領域と、該第二のRNA領域に対応するRNA領域との間で塩基対形成することによって二本鎖RNA領域を形成することができる転写可能DNA領域;および
c)植物において機能する転写終結ポリアデニル化シグナルを含むDNA領域
を含む、請求項12記載の方法。
【請求項16】
Nicotiana種特異的XylTアミノ酸が、Nicotiana benthamiana特異的XylTアミノ酸であり、該Nicotiana種が、好ましくはNicotiana benthamianaである、請求項12から15のいずれか1項記載の方法。
【請求項17】
Nicotiana XylTタンパク質をコードするヌクレオチド配列が、配列番号12または配列番号14のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む、請求項12から16のいずれか1項記載の方法。
【請求項18】
Nicotiana種特異的XylTヌクレオチドがNicotiana benthamiana特異的XylTヌクレオチドであり、該Nicotiana種が好ましくはNicotiana benthamianaである、請求項12から17のいずれか1項記載の方法。
【請求項19】
Nicotiana XylT遺伝子のヌクレオチド配列が、配列番号11、配列番号13、または配列番号21のヌクレオチド配列を含む、請求項12から18のいずれか1項記載の方法。
【請求項20】
Nicotiana栽培品種特異的XylTアミノ酸がNicotiana tabacum cv. Petite Havana SR1特異的XylTアミノ酸であり、該Nicotiana栽培品種が好ましくはNicotiana tabacum cv. Petite Havana SR1である、請求項12から15のいずれか1項記載の方法。
【請求項21】
Nicotiana XylTタンパク質をコードするヌクレオチド配列が、配列番号4、配列番号6、配列番号8、または配列番号10のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む、請求項12から15または20のいずれか1項記載の方法。
【請求項22】
Nicotiana栽培品種特異的XylTヌクレオチドがNicotiana tabacum cv. Petite Havana SR1特異的XylTヌクレオチドであり、該Nicotiana栽培品種が好ましくはNicotiana tabacum cv. Petite Havana SR1である、請求項12から15、20または21のいずれか1項記載の方法。
【請求項23】
Nicotiana XylT遺伝子またはNicotiana XylT cDNAのヌクレオチド配列が、配列番号3、配列番号5、配列番号8、配列番号10、または配列番号17のヌクレオチド配列を含む、請求項12から15、または20から22のいずれか1項記載の方法。
【請求項24】
タンパク質結合N−グリカン上に低レベルのβ−1,2−キシロース残基を有するNicotiana植物細胞または植物を生産する方法であって、以下:
a)以下:
i)配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、または配列番号14のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む、プローブとして使用するための、DNAフラグメント;
ii)配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号17、または配列番号21のいずれか一つのヌクレオチド配列を含む、プローブとして使用するための、DNAフラグメント;
iii)配列番号4もしくは配列番号6のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列より選択される20から1513個の間の連続ヌクレオチドからなるヌクレオチド配列を含む、プローブとして使用するための、DNAフラグメントもしくはオリゴヌクレオチド;
iv)配列番号8、配列番号10、配列番号12、もしくは配列番号14のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列より選択される20から3574個の間の連続ヌクレオチドからなるヌクレオチド配列を含む、プローブとして使用するための、DNAフラグメントもしくはオリゴヌクレオチド;
v)配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号17、もしくは配列番号21のいずれか一つのヌクレオチド配列より選択される20から3574個の間の連続ヌクレオチドからなるヌクレオチド配列を含む、プローブとして使用するためのDNAフラグメントもしくはオリゴヌクレオチド;
vi)配列番号4もしくは配列番号6のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列より選択される20から200個の間の連続ヌクレオチドを含むヌクレオチド配列を有する、PCR反応におけるプライマーとして使用するための、オリゴヌクレオチド配列;
vii)配列番号8、配列番号10、配列番号12、もしくは配列番号14のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列より選択される20から200個の間の連続ヌクレオチドを含むヌクレオチド配列を有する、PCR反応におけるプライマーとして使用するための、オリゴヌクレオチド配列;
viii)配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号17、もしくは配列番号21のいずれか一つのヌクレオチド配列より選択される20から200個の間の連続ヌクレオチドを含むヌクレオチド配列を有する、PCR反応におけるプライマーとして使用するための、オリゴヌクレオチド配列;または
ix)配列番号1、配列番号2、配列番号15、配列番号16、配列番号19、もしくは配列番号20のいずれか一つのヌクレオチド配列を有する、PCR反応におけるプライマーとして使用するための、オリゴヌクレオチド;
の群より選択される手段を用いて、第一のNicotiana種または栽培品種から得ることができるDNA配列をコードするXylTタンパク質のフラグメントを同定すること
b)該第一または第二のNicotiana種または栽培品種の植物細胞または植物に一つまたは複数の二本鎖RNA分子を提供することであって、該二本鎖RNA分子が二つのRNA鎖を含み、一つのRNA鎖が、該XylTタンパク質をコードするDNAフラグメントのヌクレオチド配列より選択される20から21個の連続ヌクレオチドのRNAヌクレオチド配列またはその相補体から実質的になり、該20から21個の連続ヌクレオチドが、それぞれNicotiana種もしくは栽培品種特異的XylTアミノ酸を少なくとも一つコードするか、または該20から21個の連続ヌクレオチドが、それぞれNicotiana種もしくは栽培品種特異的XylTヌクレオチドを少なくとも一つ含む;および
c)該一つまたは複数の二本鎖RNA分子を含まない同じNicotiana植物細胞または植物よりも低レベルのβ−1,2−キシロース残基をタンパク質結合N−グリカン上に有する、該一つまたは複数の二本鎖RNA分子を含むNicotiana種または栽培品種を同定すること
の工程を含む方法。
【請求項25】
一つまたは複数の二本鎖RNA分子の提供が、DNAフラグメントをコードするXylTタンパク質のヌクレオチド配列より選択される20個のうち少なくとも19個の連続ヌクレオチドの第一のヌクレオチド配列またはその相補体を含む一つまたは複数の二本鎖RNA分子を、植物細胞または植物に提供することによって達成され、該20個のうち少なくとも19個の連続ヌクレオチドが、Nicotiana種もしくは栽培品種特異的XylTアミノ酸を少なくとも一つコードするか、または該20個のうち少なくとも19個の連続ヌクレオチドが、Nicotiana種もしくは栽培品種特異的XylTヌクレオチドを少なくとも一つおよび該第一のヌクレオチド配列の相補体である第二のヌクレオチド配列を含む、請求項24記載の方法。
【請求項26】
二本鎖RNA分子が、植物細胞のゲノムにキメラDNAを組み込むことによって該植物細胞または植物に提供され、トランスジェニック植物細胞を作製し、場合により該植物細胞を再生してトランスジェニック植物を得る方法であって、該キメラDNAが、以下の作動可能に連結したDNAフラグメント:
a)植物発現可能プロモーター;
b)以下:
i)XylTタンパク質をコードするDNAフラグメントのヌクレオチド配列より選択される20個のうち少なくとも19個の連続ヌクレオチドのヌクレオチド配列またはその相補体を含む第一のセンスDNA領域であって、該20個のうち少なくとも19個の連続ヌクレオチドが、それぞれNicotiana種もしくは栽培品種特異的XylTアミノ酸を少なくとも一つコードするか、または該20個のうち少なくとも19個の連続ヌクレオチドが、それぞれNicotiana種もしくは栽培品種特異的XylTヌクレオチドを少なくとも一つ含む第一のセンスDNA領域である;
ii)該第一のDNA領域の相補体と少なくとも95%の配列同一性を有する少なくとも19個の連続ヌクレオチドのヌクレオチド配列を含む第二のアンチセンスDNA領域
を含む転写可能DNA領域であって、
該転写可能領域から転写されたRNA分子が、少なくとも該第一のセンスDNA領域から転写されたRNA領域と、該第二のアンチセンスDNA領域から転写されたRNA領域との間で二本鎖RNA領域を形成することができる転写可能DNA領域;および
c)植物において機能する転写終結ポリアデニル化シグナルを含むDNA領域
を含む、請求項24記載の方法。
【請求項27】
タンパク質結合N−グリカン上に低レベルのβ−1,2−キシロース残基を有するNicotiana植物を、別のNicotiana植物と交配して、タンパク質結合N−グリカン上に低レベルのβ−1,2−キシロース残基を有するNicotiana子孫植物を得る工程をさらに含む、請求項1から26のいずれか1項記載の方法。
【請求項28】
Nicotiana XylT DNAフラグメントを同定する方法であって、以下:
a)Nicotiana種または栽培品種から得ることができるゲノムDNAまたはcDNAを提供すること;
b)以下の群:
i)配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、もしくは配列番号14のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む、プローブとして使用するための、DNAフラグメント;
ii)配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号17、もしくは配列番号21のいずれか一つのヌクレオチド配列を含む、プローブとして使用するための、DNAフラグメント;
iii)配列番号4もしくは配列番号6のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列より選択される20から1513個の間の連続ヌクレオチドからなるヌクレオチド配列を含む、プローブとして使用するための、DNAフラグメントもしくはオリゴヌクレオチド;
iv)配列番号8、配列番号10、配列番号12、もしくは配列番号14のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列より選択される20から3574個の間の連続ヌクレオチドからなるヌクレオチド配列を含む、プローブとして使用するための、DNAフラグメントもしくはオリゴヌクレオチド;
v)配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号17、もしくは配列番号21のいずれか一つのヌクレオチド配列より選択される20から3574個の間の連続ヌクレオチドからなるヌクレオチド配列を含む、プローブとして使用するための、DNAフラグメントもしくはオリゴヌクレオチド;
vi)配列番号4もしくは配列番号6のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列より選択される20から200個の間の連続ヌクレオチドを含むヌクレオチド配列を有する、PCR反応におけるプライマーとして使用するための、オリゴヌクレオチド配列;
vii)配列番号8、配列番号10、配列番号12、もしくは配列番号14のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列より選択される20から200個の間の連続ヌクレオチドを含むヌクレオチド配列を有する、PCR反応におけるプライマーとして使用するための、オリゴヌクレオチド配列;
viii)配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号17、もしくは配列番号21のいずれか一つのヌクレオチド配列より選択される20から200個の間の連続ヌクレオチドを含むヌクレオチド配列を有する、PCR反応におけるプライマーとして使用するための、オリゴヌクレオチド配列;または
ix)配列番号1、配列番号2、配列番号15、配列番号16、配列番号19、もしくは配列番号20のいずれか一つのヌクレオチド配列を有する、PCR反応におけるプライマーとして使用するための、オリゴヌクレオチド;
から手段を選択すること
c)該ゲノムDNAもしくは該cDNA、および該プライマーを用いてPCRを行うことによって、または該ゲノムDNAもしくは該cDNA、および該プローブを用いてハイブリダイゼーションを行うことによって、該Nicotiana種または栽培品種からXylT DNAフラグメントを同定すること
の工程を含む方法。
【請求項29】
Nicotiana XylT DNAフラグメントを単離する方法であって、以下:
a)請求項28記載の方法により該Nicotiana XylT DNAフラグメントを同定すること、および
b)該Nicotiana XylT DNAフラグメントを単離すること
の工程を含む方法。
【請求項30】
タンパク質結合N−グリカン上の低レベルのβ−1,2−キシロース残基と相関するNicotiana XylTアレルを同定する方法であって、以下:
(a)異なる植物系統のNicotiana種または栽培品種の集団、場合により突然変異を誘発された集団を提供すること;
(b)請求項28記載の方法により、該集団の各植物系統においてNicotiana XylTアレルを同定すること;
(c)該集団の各植物系統のタンパク質結合N−グリカン上のβ−1,2−キシロース残基のレベルを分析し、他の植物系統よりも低レベルのβ−1,2−キシロース残基をタンパク質結合N−グリカン上に有する植物系統を同定すること;
(d)植物系統におけるタンパク質結合N−グリカン上の該低レベルのβ−1,2−キシロース残基を、特異的Nicotiana XylTアレルの存在と相関づけること
の工程を含む方法。
【請求項31】
タンパク質結合N−グリカン上に低レベルのβ−1,2−キシロース残基を有するNicotiana植物細胞または植物を得る方法であって、以下:
a)請求項30記載の方法によりタンパク質結合N−グリカン上の低レベルのβ−1,2−キシロース残基と相関するNicotiana XylTアレルを同定すること;および
b)選択したNicotiana植物系統に該Nicotiana XylTアレルを導入すること
の工程を含む方法。
【請求項32】
配列番号12もしくは配列番号14のアミノ酸配列を含むタンパク質をコードする単離されたDNAフラグメント、またはNicotiana benthamiana特異的XylTアミノ酸を少なくとも一つコードするその任意の部分。
【請求項33】
配列番号11、配列番号13、もしくは配列番号21のヌクレオチド配列を含む、請求項32記載の単離されたDNAフラグメント、またはNicotiana benthamiana特異的XylTヌクレオチドを少なくとも一つ含むその任意の部分。
【請求項34】
配列番号4、配列番号6、配列番号8、もしくは配列番号10のアミノ酸配列を含むタンパク質をコードする単離されたDNAフラグメント、またはNicotiana tabacum cv. Petite Havana SR1特異的XylTアミノ酸を少なくとも一つコードするその任意の部分。
【請求項35】
配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、もしくは配列番号17のヌクレオチド配列を含む、請求項34記載の単離されたDNAフラグメント、またはNicotiana tabacum cv. Petite Havana SR1特異的XylTヌクレオチドを少なくとも一つ含むその任意の部分。
【請求項36】
Nicotiana種またはNicotiana栽培品種特異的XylTアミノ酸を少なくとも一つコードする、請求項28記載の方法により得ることができる単離されたDNAフラグメント。
【請求項37】
Nicotiana種またはNicotiana栽培品種特異的XylTヌクレオチドを少なくとも一つ含む、請求項36記載の単離されたDNAフラグメント。
【請求項38】
以下の作動可能に連結したDNAフラグメント:
a)植物発現可能プロモーター;
b)以下:
i)Nicotiana XylTタンパク質をコードするヌクレオチド配列より選択される20個のうち少なくとも19個の連続ヌクレオチドまたはその相補体をアンチセンス方向に含む第一のDNA領域であって、該20個のうち19個の連続ヌクレオチドが、Nicotiana種もしくは栽培品種特異的XylTアミノ酸を少なくとも一つコードする第一のDNA領域か、あるいはNicotiana XylT遺伝子もしくはNicotiana XylT cDNAのヌクレオチド配列またはその相補体より選択される20個のうち少なくとも19個の連続ヌクレオチドを含む第一のDNA領域であって、該20個のうち19個の連続ヌクレオチドが、Nicotiana種特異的XylTヌクレオチドを少なくとも一つ含む第一のDNA領域;および
ii)Nicotiana XylTタンパク質をコードするヌクレオチド配列より選択される20個のうち少なくとも19個の連続ヌクレオチドまたはその相補体をセンス方向に含む第二のDNA領域であって、該20個のうち19個の連続ヌクレオチドが、Nicotiana種もしくは栽培品種特異的XylTアミノ酸を少なくとも一つコードする第二のDNA領域か、あるいはNicotiana XylT遺伝子もしくはNicotiana XylT cDNAのヌクレオチド配列またはその相補体より選択される20個のうち少なくとも19個の連続ヌクレオチドをセンス方向に含む第二のDNA領域であって、該20個のうち19個の連続ヌクレオチドが、Nicotiana種特異的XylTヌクレオチドを少なくとも一つ含む第二のDNA領域
を含む転写可能DNA領域であって、
該転写可能DNA領域の転写により生成するRNA分子が、少なくとも該第一のDNA領域に対応するRNA領域と、該第二のRNA領域に対応するRNA領域との間で塩基対形成することによって二本鎖RNA領域を形成することができる転写可能DNA領域;および
c)植物において機能する転写終結ポリアデニル化シグナルを含むDNA領域
を含むキメラ遺伝子。
【請求項39】
以下の作動可能に連結したDNAフラグメント:
a)植物発現可能プロモーター;
b)Nicotiana XylTタンパク質をコードするヌクレオチド配列より選択される20個のうち少なくとも19個の連続ヌクレオチドまたはその相補体をセンス方向に含むDNA領域であって、該20個のうち19個の連続ヌクレオチドが、Nicotiana種もしくは栽培品種特異的XylTアミノ酸を少なくとも一つコードするDNA領域か、あるいはNicotiana XylT遺伝子もしくはNicotiana XylT cDNAのヌクレオチド配列またはその相補体より選択される20個のうち少なくとも19個の連続ヌクレオチドをセンス方向含むDNA領域であって、該20個のうち19個の連続ヌクレオチドが、Nicotiana種特異的XylTヌクレオチドを少なくとも一つ含むDNA領域;および
c)植物において機能する転写終結ポリアデニル化シグナルを含むDNA領域
を含むキメラ遺伝子。
【請求項40】
以下の作動可能に連結したDNAフラグメント:
a)植物発現可能プロモーター;
b)Nicotiana XylTタンパク質をコードするヌクレオチド配列より選択される20個のうち少なくとも19個の連続ヌクレオチドまたはその相補体をアンチセンス方向に含むDNA領域であって、該20個のうち19個の連続ヌクレオチドが、Nicotiana種もしくは栽培品種特異的XylTアミノ酸を少なくとも一つコードするDNA領域か、あるいはNicotiana XylT遺伝子もしくはNicotiana XylT cDNAのヌクレオチド配列またはその相補体より選択される20個のうち少なくとも19個の連続ヌクレオチドをアンチセンス方向に含むDNA領域であって、該20個のうち19個の連続ヌクレオチドが、Nicotiana種特異的XylTヌクレオチドを少なくとも一つ含むDNA領域;および
c)植物において機能する転写終結ポリアデニル化シグナルを含むDNA領域
を含むキメラ遺伝子。
【請求項41】
Nicotiana種特異的XylTアミノ酸が、Nicotiana benthamiana特異的XylTアミノ酸である、請求項38〜40のいずれか1項記載のキメラ遺伝子。
【請求項42】
Nicotiana XylTタンパク質をコードするヌクレオチド配列が、配列番号12または配列番号14のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む、請求項38〜41のいずれか1項記載のキメラ遺伝子。
【請求項43】
Nicotiana種特異的XylTヌクレオチドがNicotiana benthamiana特異的XylTヌクレオチドである、請求項38〜42のいずれか1項記載のキメラ遺伝子。
【請求項44】
Nicotiana XylT遺伝子のヌクレオチド配列が、配列番号11、配列番号13、または配列番号21のヌクレオチド配列を含む、請求項38〜43のいずれか1項記載のキメラ遺伝子。
【請求項45】
Nicotiana栽培品種特異的XylTアミノ酸が、Nicotiana tabacum cv. Petite Havana SR1特異的XylTアミノ酸である、請求項38〜40のいずれか1項記載のキメラ遺伝子。
【請求項46】
Nicotiana XylTタンパク質をコードするヌクレオチド配列が、配列番号4、配列番号6、配列番号8、または配列番号10のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む、請求項38〜40、または45のいずれか1項記載のキメラ遺伝子。
【請求項47】
Nicotiana栽培品種特異的XylTヌクレオチドが、Nicotiana tabacum cv. Petite Havana SR1特異的XylTヌクレオチドである、請求項38〜40、45、または46のいずれか1項記載のキメラ遺伝子。
【請求項48】
Nicotiana XylT遺伝子またはNicotiana XylT cDNAのヌクレオチド配列が、配列番号3、配列番号5、配列番号8、配列番号10、または配列番号17のヌクレオチド配列を含む、請求項38〜40または45〜47のいずれか1項記載のキメラ遺伝子。
【請求項49】
請求項38〜48のいずれか1項記載のキメラ遺伝子を含む、Nicotiana植物細胞。
【請求項50】
請求項49記載のNicotiana植物細胞から実質的になるNicotiana植物。
【請求項51】
請求項31記載の方法により得られるNicotiana植物細胞または植物。
【請求項52】
請求項50または請求項51記載のNicotiana植物の種子。
【請求項53】
Nicotiana植物におけるタンパク質結合N−グリカン上のβ−1,2−キシロース残基のレベルを減少させるための、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、もしくは配列番号14のアミノ酸配列を含むタンパク質をコードするヌクレオチド配列の、またはNicotiana種もしくは栽培品種特異的XylTアミノ酸を少なくとも一つコードする20個のうち少なくとも19個の連続ヌクレオチドを含む、その任意の部分の使用。
【請求項54】
Nicotiana植物におけるタンパク質結合N−グリカン上のβ−1,2−キシロース残基のレベルを減少させるための、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号17、もしくは配列番号21のヌクレオチド配列の、またはNicotiana種もしくは栽培品種特異的XylTヌクレオチドを少なくとも一つ含む20個のうち少なくとも19個の連続ヌクレオチドを含むその任意の部分の使用。
【請求項55】
Nicotiana種または栽培品種におけるXylT遺伝子またはXylT cDNAを同定するための、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、もしくは配列番号14のアミノ酸配列を含むタンパク質をコードするヌクレオチド配列の、またはNicotiana種もしくは栽培品種特異的XylTアミノ酸を少なくとも一つコードするその任意の部分の使用。
【請求項56】
Nicotiana種または栽培品種におけるXylT遺伝子またはXylT cDNAを同定するための、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号17、もしくは配列番号21のヌクレオチド配列を含むヌクレオチド配列の、またはNicotiana種もしくは栽培品種特異的XylTヌクレオチドを少なくとも一つ含むその任意の部分の使用。
【請求項57】
Nicotiana種または栽培品種におけるタンパク質結合N−グリカン上の低レベルのβ−1,2−キシロース残基と相関するXylT遺伝子のアレルを同定するための、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、もしくは配列番号14のアミノ酸配列を含むタンパク質をコードするヌクレオチド配列の、またはNicotiana種もしくは栽培品種特異的XylTアミノ酸を少なくとも一つコードするその任意の部分の使用。
【請求項58】
Nicotiana種または栽培品種におけるタンパク質結合N−グリカン上の低レベルのβ−1,2−キシロース残基と相関するXylT遺伝子のアレルを同定するための、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号17、もしくは配列番号21のヌクレオチド配列を含むヌクレオチド配列の、またはNicotiana種もしくは栽培品種特異的XylTヌクレオチドを少なくとも一つ含むその任意の部分の使用。
【請求項59】
Nicotiana種または栽培品種におけるタンパク質結合N−グリカン上の低レベルのβ−1,2−キシロース残基に相関するXylT遺伝子のアレルを導入するための、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、もしくは配列番号14のアミノ酸配列を含むタンパク質をコードするヌクレオチド配列の、またはNicotiana種もしくは栽培品種特異的XylTアミノ酸を少なくとも一つコードするその任意の部分の使用。
【請求項60】
Nicotiana種または栽培品種におけるタンパク質結合N−グリカン上の低レベルのβ−1,2−キシロース残基に相関するXylT遺伝子のアレルを導入するための、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号17、もしくは配列番号21のヌクレオチド配列を含むヌクレオチド配列の、またはNicotiana種もしくは栽培品種特異的XylTヌクレオチドを少なくとも一つ含むその任意の部分の使用。

【図2】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図3−3】
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【図3−4】
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【図3−5】
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【図3−6】
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【図3−7】
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【図3−8】
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【図3−9】
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【図3−10】
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【図3−11】
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【図3−12】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【公表番号】特表2009−529898(P2009−529898A)
【公表日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−500746(P2009−500746)
【出願日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際出願番号】PCT/EP2007/002322
【国際公開番号】WO2007/107296
【国際公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(501018298)バイエル・バイオサイエンス・エヌ・ヴェー (12)
【氏名又は名称原語表記】Bayer BioScience N.V.
【Fターム(参考)】