O6−アルキルグアニン−DNAアルキルトランスフェラーゼ及びその変異体
本発明は、式(I’):
[式中、A、L2、M及びBは、明細書に定義された通りである]
で表わされる化合物に関する。これらの化合物は、O6−アルキルグアニン−DNAアルキルトランスフェラーゼ及び変異体の基質である。
[式中、A、L2、M及びBは、明細書に定義された通りである]
で表わされる化合物に関する。これらの化合物は、O6−アルキルグアニン−DNAアルキルトランスフェラーゼ及び変異体の基質である。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
N−メチル−N−ニトロソ尿素のような求電子化合物の変異原性及び発癌性効果は、大部分がDNAのグアニン残基のO6−アルキル化が原因である。DNAのアルキル化に対する防御機構が哺乳動物及び細菌に存在し、並びに、O6−アルキルグアニン−DNAアルキルトランスフェラーゼ(AGT)は特に、これらの損傷を修復することが可能である。AGTは、アルキル化されたグアニンのO6位のアルキル基を、それ自体のシステインの一つのチオール基へと移動させ、それによりAGTの不可逆なアルキル化がなされる。この置換基移動は、二分子求核置換反応を経由して行われ、そしてそれは、アルキル基の移動に加えて、ベンジル基の移動も可能である理由を説明する。
【0002】
腫瘍細胞中におけるAGTの過剰発現が、その作用がDNAのアルキル化に基づく医薬、例えばプロカルバジン、ダカルバジン、テモゾロマイド、及びビス(2−クロロエチル)−N−ニトロソ尿素に対する抵抗性の主な理由である場合、化学療法における増感剤としてのAGT阻害剤の使用が提案された(Pegg et al.,Prog Nucleic Acid Res Mol Biol 51:167−223,1995)。米国特許第5691307号明細書には、ベンジル基上に種々の置換基を有するO6−ベンジルグアニン誘導体、及び、腫瘍細胞中のAGTレベルを減少させ、その結果アルキル化剤の使用に基づく処置への感受性を増大させる、当該誘導体の使用について記載されている。同様に、国際公開第97/20843号には、O6−ベンジル及びO6−ヘテロアリールメチルピリミジン誘導体の形態である、この使用のための他の化合物について開示されている。
【0003】
DE19903895には、AGTをビオチン化し、それにより、ストレプトアビジンで覆われたプレート上におけるその分離及びその検出を、例えばELISAアッセイを用いて可能する、ビオチン化されたO6−アルキルグアニン誘導体とAGTとの間の反応に基づく、AGT用アッセイについて開示されている。この技術は、癌組織におけるAGTレベルを測定するために、及びAGT阻害剤を強調するために提案される。
【0004】
国際公開第01/85221号は、AGTを検出するために、O6−ベンジルグアニンのフルオロ又はヨード放射活性誘導体を使用することを提案している。
【0005】
Damoiseaux他,ChemBiochem.4:285−287,2001は、オリゴデオキシリボヌクレオチドへ組み込まれるO6−アルキルグアニン誘導体、及び、化学療法の有効性を改善するために、癌細胞中のAGTの発現レベルを測定することを目的とした、AGTを標識することを意図されたプローブとしてのそれらの使用について開示している。
【0006】
国際公開第02/083937号には、AGTと融合した対象タンパク質(protein of interest)を検出及び操作するための方法であって、この融合タンパク質を、標識を有するAGT基質と接触させ、それにより、AGTへの対象分子の移動後に、この対象タンパク質を検出又は操作することを可能とすることから成る前記方法について記載されている。この出願はまた、AGTを含む種々の融合タンパク質、AGT基質の構造に関する一般的原則、並びに、種々の標識及び前記標識を検出する方法を開示している。
【0007】
国際公開第2004/031404号には、先に記載された方法で使用され得る、AGTを含む特定の融合タンパク質、及び対象タンパク質、この方法によって得られる標識化された融合タンパク質、及び前記融合タンパク質を使用する方法が記載されている。
【0008】
国際公開第2004/031405号、及び第2005/085470号には、1又は2以上の標識を有する特定のAGT基質、及びそれらの製造方法について記載されており、ここでこれらの基質は、国際公開第02/083937号に記載された方法において使用され得る。
【0009】
AGT基質の例は、以下のベンジルベンジルグアニン誘導体及びベンジルシトシン誘導体である:
【0010】
【化1】
【0011】
【化2】
【発明の概要】
【0012】
本発明は、5個又は6個の原子を有する環を含むリンカーを通じて、対象分子と共有結合されたベンジルヌクレオチドから構成される、AGT酵素又はその変異体の新規基質に関する。これらの基質は、国際公開第02/083937号に記載されたような、AGTと融合された対象タンパク質を検出及び操作するための方法の実施のために特に好適である。この技術は現在、商品名「SNAP−tag」及び「CLIP−tag」として知られる酵素を使用して、Covalysによって利用されている。
【0013】
AGT(O6−アルキルグアニン−DNAアルキルトランスフェラーゼ)は、本明細書において、その由来(ヒト、マウス、ラットなど)に関係なく、野生型AGTを、及び、ベンジルヌクレオチド基質と結合された対象分子を当該酵素のチオール基へと移動させることができるその機能的変異体を意味するものとして理解される。Covalysから販売されている、SNAP−tag酵素(Juillerat et al.,Chemistry&biology,Vol.10,313−317,April 2003)、及びCLIP−tag酵素(Gautier et al.,Chemistry&Biology,15,128−136,February 2008)は、ヒトAGTの変異体であり、その基質は各々、O6−ベンジルグアニン(以下、本明細書でBGと記載される)及びO2−ベンジルシトシン(以下、本明細書でBCと記載される)である。N−AGT酵素(Gronemeyer et al.,Protein Engineering,Design and Selection,Vol.19,No.7,pp.309−316,2006)が、この酵素の別の変異体であり、O6−ベンジルグアニンとの当該酵素の反応性は、SNAP−tag酵素の反応性よりも高い。
【0014】
全く予想外なことに、本発明のAGTの基質とこのAGT酵素との、特にそのSNAP−tag、CLIP−tag、及びN−AGT変異体との反応性は、これらの酵素の従来の基質との反応性よりも極めて高く、そしてそれは、極めてより速いAGT標識化カイネティクスによって表わされる。したがって、本発明のAGT基質によって、AGT及びその変異体の適用を、基質濃度及び標識化時間が現時点で限定的である分野(ハイスループット・スクリーニング、診断、医学的画像など)へと拡張することが可能となる。
【0015】
本発明のAGT基質は、式(I)の化合物:
【0016】
【化3】
【0017】
[式中、
Y−Oは、一緒になって、グアニン、シトシン、ウラシル、チミン、キサンチン、ヒポキサンチンから選択されるヌクレオチドを形成し;
L1及びL2はリンカーであり;
Mは対象分子又は反応性基であり;
Aは、炭素環(carbon−based ring)又は窒素原子を1つ含むヘテロ環を示し、ここで前記炭素環又はヘテロ環は芳香族であるか又は飽和されており、無置換であるか又はカルボキシル基によって置換されており、及び5又は6個の原子を含む]
である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1A】図1Aは、幾つかの官能基化された(反応性基、例えばNHS基を有する)フルオロフォアの式であり、それらの合成は、既知であるか、又はそれらは市販品であり、並びにそれらは本発明の化合物の製造のための中間体として使用され得る。
【図1B】図1Bは、幾つかの官能基化された(反応性基、例えばNHS基を有する)フルオロフォアの式であり、それらの合成は、既知であるか、又はそれらは市販品であり、並びにそれらは本発明の化合物の製造のための中間体として使用され得る。
【図2】図2は、BG−DY647及びBG−メチルベンズアミド−DY647、並びにSNAP−tag酵素との間の反応性の比較を示す。
【図3】図3は、細胞モデルにおいてSNAP−tagST26酵素を用いて得られた結果を示す。
【図4】図4は、SNAP−tagよりも反応性のある変異体であるN−AGT酵素を用いて得られた結果を示す。
【図5】図5は、SNAP−tag酵素との、BG−ATTO647N/BG−メチルベンズアミド−ATTO647Nの反応性の比較を示す。
【図6】図6は、SNAP−tag酵素との、BG−フルオレセイン−5−EX/BG−メチルベンズアミド−フルオレセイン−5−EXの反応性の比較を示す。
【図7】図7は、SNAP−tag酵素との、BG−Tb(KR)/BG−メチルベンズアミド−Tb(KR)の反応性の比較を示す。
【図8】図8は、細胞モデルにおいて、BG−メチルベンズアミド−Tb(KR)基質を使用して得られた結果を示す。
【図9】図9は、SNAP−tag酵素との、BG−DY647/BG−アミノメチルニコチンアミド−DY647の反応性の比較を示す。
【図10】図10は、細胞モデルにおいて、BC−Tb(KR)/BC−メチルベンズアミド−Tb(KR)基質を使用して得られた結果を示す。
【図11】図11は、細胞モデルにおいて、BC−DY647/BC−メチルベンズアミド−DY647基質を使用して得られた結果を示す。
【図12】図12は、SNAP−tag酵素との、BG−DY647/BG−シス−シクロヘキサン−DY647の反応性の比較を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
ヌクレオチドがグアニン、キサンチン、又はヒポキサンチンである式(I)の基質は、式(II):
【0020】
【化4】
【0021】
[式中、
L1、A、L2及びMは、上記と同一の意味を有し、並びにR1は水素、NH2基、又はOH基及びオキソ基から選択される]
に相当する。R1がNH2基又はOH基であるとき、Y−O基は各々グアニン又はキサンチンである点に留意のこと。
【0022】
R1がOH基であるとき、優勢な形態は、R1がオキソ基であり、且つプリンの2位の炭素と3位の窒素との間の結合が単結合である互変異性体である。
【0023】
R1がNH2基である式(II)の基質が好ましい。これらの好ましい基質は、ベンジルグアニンの誘導体である。
【0024】
ヌクレオチドがシトシン、チミン、又はウラシルである、式(I)の基質は、式(III):
【0025】
【化5】
【0026】
[式中、
L1、A、L2及びMは、上記と同一の意味を有し;
R2は水素、NH2、OH基及びオキソ基から選択され;並びに
R3は水素、及びCH3基から選択される]
に相当する。
【0027】
R2がOH基であるとき、優勢な形態は、R2がオキソ基であり、且つピリミジンの4位の炭素と3位の窒素との間の結合が単結合である互変異性体である。
【0028】
R2がNH2基であり、且つR3が水素原子である、式(III)の基質が好ましい。これらの好ましい基質は、シトシン誘導体である。
【0029】
置換基A
置換基Aは、炭素環、又は窒素原子を1個含むヘテロ環であって、ここで前記炭素環又はヘテロ環は芳香族であるか又は飽和されており、無置換であるか又はカルボキシル基によって置換されており、5又は6個の原子を含む。
【0030】
好ましくは、A基は、以下の群から選択される二価の基である:
【0031】
【化6】
【0032】
リンカー
リンカーL1及びL2はそれぞれ、ベンジルヌクレオチド及び対象分子をA基へとつないでいる。これらのリンカーの構造は、A基を、一方でベンジルヌクレオチドと結合させ、及び他方で対象分子と結合させるために選択される化学合成経路によって決定される。
【0033】
一般的に、リンカーは、共有結合性の単結合によって、又は以下の基から選択される二価の有機基によって構成される:1又は2以上の二重結合又は三重結合を場合により含む、直鎖又は分岐鎖のC1−C20アルキレン基;C5−C8シクロアルキレン基、及びC6−C14アリーレン基(前記アルキレン、シクロアルキレン又はアリーレン基は、1若しくは2以上のヘテロ原子、例えば酸素、窒素、硫黄、若しくはリンを、又は1若しくは2以上のカルバモイル若しくはカルボキサミド基を場合により含み、及び前記アルキレン、シクロアルキレン又はアリーレン基は、C1−C8アルキル、C6−C14アリール、スルホネート若しくはオキソ基によって場合により置換される)。
【0034】
特に、リンカーは以下の二価の基から選択され得る:
【0035】
【化7】
【0036】
【化8】
【0037】
[式中、n、m、p、rは1〜16の整数、好ましくは1〜5の整数である。]
【0038】
L1について、以下の式の二価の基が好ましい:
【0039】
【化9】
【0040】
L2について、以下の式の二価の基が好ましい:
【0041】
【化10】
【0042】
[式中、q、u、tは1〜10の整数である。]
【0043】
対象分子
上記の通り、本発明のAGT基質は、対象分子を用いてAGT酵素を標識するために使用されることが特に意図されている。この酵素が対象タンパク質との融合タンパク質の形態で発現されるとき、AGT基質が有する対象分子を用いて、前記タンパク質を、その後標識化することが可能である。
【0044】
対象分子は、SNAP−tag技術に関する文献に示されるように、非常に多様な性質及び機能を有し得、そしてそれは想定される適用に依存する。特に、対象分子は:発光性化合物又はフルオロフォア、放射性分子、1対の結合パートナーの一員、他の生体分子と相互作用することができる分子、他の分子と共有結合又は非共有結合することができる分子、H2O2及びアスコルビン酸に曝露されたときにヒドロキシルラジカルを発生することができる分子、光への曝露後に活性ラジカルを発生することができる分子、固相担体に共有結合される分子、脂質、又は、それ自体が細胞膜へ挿入され得る任意の他の分子、並びに対象とする酵素特性、化学的特性若しくは物理学的特性を有する生体分子から選択され得る。
【0045】
1つの具体的な実施形態において、対象分子は:アビジン、ストレプトアビジン、ビオチンから選択される。
【0046】
別の実施形態において、対象分子は、測定可能なシグナル、特に発光性化合物又はフルオロフォアを発生又は調節することができる標識である。
【0047】
この場合において、及び非限定の例として、対象分子は以下の発光性化合物又はフルオロフォアから選択され得る:
−有機化合物フルオロフォア、例えばシアニン及びその誘導体(特に、商品名DY647、Cy5、DY490として知られているもの)、フルオレセイン及びその誘導体、クマリン及びその誘導体、ローダミン及びその誘導体、カルボピロニン及びその誘導体、オキサジン及びその誘導体、AlexaFluor、Crystal Violet及びその誘導体、ペリレンビスイミド及びその誘導体、スクアレン、BODIPY、NBD(ニトロベンズオキサジアゾール)及びその誘導体、DABCYL(4−((4−(ジメチルアミノ)フェニル)アゾ)安息香酸)及びその誘導体;
−タンパク質フルオロフォア、例えばGFP及びそのバリアント、サンゴから抽出された蛍光性タンパク質、フィコビリタンパク質、例えばB−フィコエリトリン、R−フィコエリトリン、C−フィコシアニン、アロフィコシアニン、特にXL665の名前で知られているもの;
−蛍光性ランタニド錯体、例えばランタニドクリプテート、ランタニドキレート(特に、ユウロピウム、テルビウム、サマリウム、ジスプロシウム、ネオジミウムのキレート及びクリプテート)。
【0048】
対象分子はまた、非蛍光性エネルギーアクセプターであり得、例えば以下の商品名で知られる製品から選択され得る:Anaspec製の製品QXL、特に製品QXL570、QXL610、QXL670及びQXL680;Dyomics製の製品DYQ660及びDYQ661;Invitrogen製の製品QSY7、QSY9及びQSY21;ATTO−TEC製の製品ATTO540Q、ATTO580Q、ATTO621Q。
【0049】
好ましくは、対象分子は、以下の商品名で知られる製品から選択される:
DY647;d2;ATTO647N;ATTO465;フルオレセイン−5−EX;5,6−カルボキシフルオレセイン;ユウロピウムPy−bipyクリプテート;テルビウムDOTA−TATP錯体;ユウロピウムpy−bipy−テトラ酸クリプテート、ユウロピウムトリス−bipyクリプテート、テルビウムクリプテートTb(KR)、ユウロピウムトリス−bipy−ペンタ酸クリプテート、ユウロピウムPy−biTATPクリプテート。
【0050】
さらにより好ましくは、フルオロフォアは、以下のフルオロフォアから選択される:DY647、ATTO647N、フルオレセイン−5−ex、Tb(KR)、及びATTO465。
【0051】
図1A及び1Bは、幾つかの官能基化された(反応性基、例えばNHS基を有する)フルオロフォアの式であり、それらの合成は、既知であるか、又はそれらは市販品であり、並びにそれらは本発明の化合物の製造のための中間体として使用され得る。
【0052】
他の分子とのカップリングを促進する反応性基を有する多くのフルオロフォアは市販されている。例えば、以下のフルオロフォアは、市販のフルオロフォアである:DY647−NHS、DY490−NHS(Dyomics)、5,6−カルボキシフルオレセイン、フルオレセイン−5−EX(Invitrogen)、ATTO647N−NHS及びATTO465−NHS(ATTOTEC)、ユウロピウム トリスビピリジンクリプテート(Cisbio)。
【0053】
種々の置換基を有するシアニンの合成は、文献中で広く開示されている。特に、シアニン及びそれらの合成方法は、US5,268,486、及びUS5,627,027、並びにEP1,322,770に記載されている。
【0054】
希土類錯体は、例えば、US4761481、US5032677、US5055578、US5106957、US5116989、US4761481、US4801722、US4794191、US4637988、US4670572、US4837169、US4859777に記載されている既知の化合物である。他のキレートは9座配位子、例えばターピリジン(EP403593、US5324825、US5202423、US5316909)から成る。希土類は、好ましくはユウロピウム又はテルビウムである。
【0055】
希土類クリプテート及びその製造は特に、EP0180492、EP0601113、及び国際公開第01/96877号に記載されている。
【0056】
Tb(KR)−NHSフルオロフォアの合成は、国際公開第2008/063721号に記載されている。
【0057】
DOTA−TATP−Tb及びその合成は、R.A.Poole et al.,Org.BiomolChem.,2005,3,1013−1024に記載されている。
【0058】
反応性基
通常、反応性基は各々、求電子性又は求核性基であって、それらは好適な求核性基又は求電子性基の存在下で共有結合を形成し得る。反応性基を含む本発明の化合物と官能基を有する対象分子との間の結合反応により、反応性基由来の1又は2以上の原子を含む共有結合を形成する。好ましくは、反応性基は、以下の化合物:アクリルアミド、活性化アミン(例えばカダベリン又はエチレンジアミン)、活性化エステル、アルデヒド、アルキルハライド、無水物、アニリン、アジド、アジリジン、カルボン酸、ジアゾアルカン、ハロアセトアミド、ハロトリアジン、例えばモノクロロトリアジン、ジクロロトリアジン、ヒドラジン(ヒドラジドを含む)、イミドエステル、イソシアネート、イソチオシアネート、マレイミド、スルホニルハライド、又はチオール、ケトン、アミン、酸ハライド、ヒドロキシスクシンイミジルエステル、ヒドロキシスルホスクシンイミジルエステル、アジドニトロフェニル、アジドフェニル、3−(2−ピリジルジチオ)プロピオンアミド、グリオキサール、及び、具体的に以下の式の基:
【0059】
【化11】
【0060】
[式中、
wは0〜8であり、vは0又は1であり、及びArは1〜3個のヘテロ原子を含む、5又は6員環の飽和又は不飽和ヘテロ環であって、場合によりハロゲン原子によって置換される前記ヘテロ環である。]
の内の1つ由来の基である。
【0061】
好ましくは、反応性基は、カルボン酸、アミン、カルボン酸のスクシンイミジルエステル、ハロアセトアミド、ヒドラジン、イソチオシアネート、マレイミド基、脂肪族アミンである。
【0062】
M基が反応性基である、本発明の式(I)の化合物は、Mが対象分子である式(I)の化合物を得るために有用な合成中間体である。
【0063】
好ましい化合物
式(I’)の化合物が好ましい:
【0064】
【化12】
【0065】
[式中、
Bは、以下の式(II’)又は(III’)の基であり:
【0066】
【化13】
【0067】
(式中、
点線は式(I’)の酸素との結合を表し、
R1はH、NH2、OH基又はオキソ基から選択され、
R2はNH2、OH又はオキソから選択され、
R3は、H又はCH3基から選択される);
L2はリンカーであり;
Mは対象分子又は反応性基であり;
Aは、以下の二価の基:
【0068】
【化14】
【0069】
から選択される。]
【0070】
R2がNH2基であり、及び、R3がHである、式(III’)の化合物の基を含む式(I’)の化合物、並びにR1がNH2基である式(II’)の化合物の基を含む式(I’)の化合物が、好ましいサブファミリーを構成する。
【0071】
式(I’)は、M及びL2が先に定義された通りである、以下の式の化合物を含む。各々の式において、L1−A基の意味は以下に示される。
【0072】
L1−A基は、ベンズアミド基を形成する:
【0073】
【化15】
【0074】
L1−A基は、ニコチンアミド基を形成する:
【0075】
【化16】
【0076】
L1−A基は、イソニコチンアミド基を形成する:
【0077】
【化17】
【0078】
L1−A基は、トランス−シクロヘキシルアミド基を形成する:
【0079】
【化18】
【0080】
L1−A基は、シス−シクロヘキシルアミド基を形成する:
【0081】
【化19】
【0082】
L1−A基は、ピペリジニルアミド基を形成する:
【0083】
【化20】
【0084】
L1−A基は、カルボキシベンズアミド基を形成する:
【0085】
【化21】
【0086】
以降の本明細書において、以下の略語が使用され得る:
DCC:ジシクロヘキシルカルボジイミド
DTT:ジチオトレイトール
THF:テトラヒドロフラン
DMF:無水ジメチルホルムアミド
TBTU:O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート
TEAB:重炭酸トリエチルアンモニウム
SPDP:N−スクシンイミジル3−[2−ピリジルジチオ]プロピオネート
TCEP:トリス[2−カルボキシエチル]ホスフィン塩酸塩
DMSO:無水ジメチルスルホキシド
DIPEA:ジイソプロピルエチルアミン
TFA:トリフルオロ酢酸
BG:O6−ベンジルグアニン
BC:O2−ベンジルシトシン
【0087】
DMEM培地:「Dulbecco変法イーグル培地」細胞培養培地、市販されており、且つ多くの適用において使用されている。
FCS:ウシ胎仔血清
NHSのエステル:N−ヒドロキシスクシンイミドのエステル
FRB:FKBP−ラパマイシン複合体との、FRAPタンパク質の結合ドメイン(「FRAPの、FKBP-ラパマイシン結合ドメイン」)
FRAP:FKBP−ラパマイシン複合体に結合するタンパク質(「FKBP-ラパマイシン結合タンパク質」)
FKBP:FK506に結合するタンパク質(「FK506結合タンパク質」)
GST:グルタチオン−S−トランスフェラーゼラーゼ
TBP:トリスビピリジン。表現「ユウロピウムTBPクリプテート」又は頭字語KTBPは、Cisbioから市販されている、図1Aで示される式の化合物を示す。
【0088】
以下のフルオロフォアは市販されている:DY−647−NHS(Dyomics)、5,6−カルボキシフルオレセイン、フルオレセイン−5−EX(Invitrogen)、ATTO647N−NHS(ATTOTEC)及びユウロピウムトリスビピリジンクリプテート(Cisbio)。
【0089】
Tb(KR)−NHSフルオロフォアの合成は、国際公開第2008/063721号に記載されている。
【0090】
合成:
I)ベンジルグアニン−フルオロフォア型の化合物の合成
これらの化合物は、実験編にて参考化合物として示される化合物である:それらはベンジルグアニンとフルオロフォアとの間にL1−A−L2基を含まない。
【0091】
これらの化合物の製造は、文献中に記載されており、そしてそれは、反応性基を有するフルオロフォアと反応できる、別の反応性基を有するBG誘導体を接触させることにある。以下の合成スキームは、BG−NH2又はBG−SH誘導体の使用に基づき、そしてそれらは、N−ヒドロキシスクシンイミド又はマレイミド基のエステルを有するフルオロフォアと接触され得る。かかるフルオロフォアは市販されている。
【0092】
BG−NH2は、Antje Keppler et al.,Nature Biotechnology,2003,21,86−89に記載されたプロトコールに従って合成された。
【0093】
BG−SHの合成
BG−SHを、スキーム1に記載された順番に従って合成した。BG−SHとSPDP(N−スクシンイミジル3−[2−ピリジルジチオ]プロピオネート)との反応の後、ジスルフィド架橋をTCEP(トリス[2−カルボキシエチル]ホスフィン)塩酸塩又はDTTで還元して、当業者に周知の操作条件にて、高収率で所望のBG−SHを得た。
【0094】
【化22】
【0095】
BG−フルオロフォア及びBG−S−フルオロフォアの合成
BG−フルオロフォア及びBG−S−フルオロフォアを、この種のカップリングで一般的に使用される方法に従って製造した。BG−NH2を、NHSエステル基を含むフルオロフォアと速やかに反応させ、分取HPLCによる精製後に、対応するBG−フルオロフォアを得た。フルオロフォアがマレイミド基を有する場合、BG−SHが使用され、BG−S−フルオロフォアを得た(スキーム2)。
【0096】
【化23】
【0097】
II)ベンジルグアニン−L1−A−L2−フルオロフォア型の、本発明の化合物の合成:
以下の合成スキームは、B基がグアニンである化合物に関し、そして対象分子はフルオロフォアである;グアニン以外の基、又はフルオロフォア以外の対象分子を含む化合物の合成は、同一の工程又は実質的に類似のステップを使用する。
【0098】
これらの化合物の製造はまた、種々の反応性基を使用する従来の結合技術の使用に基づく。これらの従来技術は、例えば、Bioconjugate Techniques,G.T.Hermanson,Academic Press,1996,p.137−166に記載されている。
【0099】
特に、これらの化合物の合成は、以下の必須工程を含む:
(a)それらの1つが従来の保護基によって保護されている、2つの反応性基を有するA基の合成;
(b)保護された反応性基及び活性化された反応性基を有するA基を得るための、無保護の反応性基の活性化;
(c)A基中の活性化された反応性基と反応することができる、反応性基を有するBGの誘導体と、先の工程で得られた製造物とを接触させ、BG−L1−A−[保護された反応性基]を形成させること;
(d)A基中の保護された反応性基の脱保護;並びに
(e)先の工程で得られた製造物中のものと反応することができる、反応性基を有するフルオロフォアと、先の工程で得られた製造物とを接触させて、製造物であるBG−L1−A−L2−フルオロフォアを得ること。
【0100】
この非常に一般的な手順の使用は、スキーム及び以下のプロトコール中に、並びに実験編中により詳細に記載されている。
【0101】
保護されたアミン及びカルボキシル基を有する好ましいA基の合成
1)メチルベンズアミドの前駆体
【0102】
【化24】
【0103】
4−アミノメチル安息香酸をトリフルオロアセテート体で保護し、後の合成において微かに塩基性の媒体中で穏和に脱保護を行う。
【0104】
2)メチルニコチンアミド及びメチルイソニコチンアミドの前駆体
【0105】
【化25】
【0106】
市販のシアノニコチニル誘導体から、対応するアミノメチルニコチニル化合物を水素化により得る。アミノ基をその後、トリフルオロアセテート基により保護する。
【0107】
3)トランス-シクロヘキシルアミド、シス-シクロヘキシルアミド、及びピペリジニルアミドの前駆体
【0108】
【化26】
【0109】
上の化合物は市販されているか、又は当業者に周知の手順により合成され得る。
4)カルボキシメチルアジドベンズアミドの前駆体
【0110】
【化27】
【0111】
一般的に使用される標準的条件を用いて、3−ブロモ−4−メチル安息香酸は、対応する3−カルボキシメチル−4−メチル安息香酸へと変換される:求電子種(炭酸ジメチル又はClCO2Me)と反応するリチオ化種の、ハロゲン-リチウム交換による形成。遊離のカルボン酸基をその後、オルソゴナルな脱保護系を得ることが可能な、tert−ブチルエステル形態で保護する。アジドの導入を2工程で行う:芳香族メチルのラジカル臭素化の後、アジ化ナトリウムによる臭素原子の置換。最終的に、tert−ブチルエステルを、TFA存在下で脱保護して、所望の前駆体を得る。
【0112】
反応性基を有するA基と、ベンジルグアニン及びフルオロフォアとのカップリング
1)NHSフルオロフォア
フルオロフォアがNHSのエステルの形態で使用されるときの、ベンジルグアニン及びフルオロフォアを含む、本発明の製造物の一般的合成計画をスキーム3に示す。N−保護されたA基(合成又は出所は先に示された通りである)を無水物の形態(DCCの使用)か、又はN−ヒドロキシスクシンイミジルエステルの形態(TBTUの使用)のいずれかで活性化する。これらの中間体をBG−NH2と速やかに反応させ、式BG−L1−A(N−保護)の製造物を得る。
【0113】
A基の窒素原子における保護基の機能として、使用される脱保護条件が、化合物BG−L1−A−NH2を得ることを可能とする。N−ヒドロキシスクシンイミジルエステル基を含むフルオロフォアの存在下、この化合物は穏和な条件下で反応して、化合物BG−L1−A−L2−フルオロフォアを得る。
【0114】
2)マレイミドフルオロフォア
マレイミド官能基を有するフルオロフォアを使用することも可能である。L1−A基を有するBG誘導体は、BG−L1−A−NH2からのBG−SHの合成で記載したものと同一の計画に従って製造され得る。したがって、BG−L1−A−NH2をSPDPと反応させ、その後TCEPで還元することで、化合物BG−L1−A−NH−CO−(CH2)2−SHを得ることができる(スキーム4)。その後、マレイミド基を有するフルオロフォアの存在下でBG−L1−A−L2−フルオロフォアを得る。
【0115】
本発明の化合物は、対象分子及びAGT酵素を含む融合タンパク質を標識化するためにもちろん特に好適である。したがって、本発明はまた、AGT酵素を有する融合タンパク質の形態で発現される対象タンパク質を、置換基Mを用いて標識化する方法に関し、この方法は、前記融合タンパク質を本発明の化合物と接触させる工程を含む。インビトロにおける、及び細胞モデル中における、種々のAGTバリアントとの本発明の化合物の酵素反応性を試験するために、この方法は、本明細書の以下の実施例において実施される。
【0116】
【化28】
【0117】
【化29】
【0118】
酵素反応性試験
以下の実施例の目的は、参考基質(ベンジルヌクレオチド−フルオロフォア型)から出発して、又は本発明の化合物(ベンジルヌクレオチド−L1−A−L2−フルオロフォア)から出発して、AGT酵素を含む融合タンパク質(SNAP−tag、N−AGT、又はCLIP−tag)への、フルオロフォアの移動カイネティクスを測定することである。
【0119】
これらの実施例から、先行技術の基質と比較して、本発明の基質の、SNAP−tag酵素及びこれらのバリアントの一つとのより高い反応性を実証することが可能となる。
【0120】
SNAP−tag酵素との当該基質の反応性の測定は、インビトロでのモデルか、又は生細胞モデルのいずれかで行われる。
【0121】
インビトロ・モデルにおける、酵素反応性の手順:
SNAP−tag酵素との本発明の基質の反応性試験は、組み換えタンパク質を標識化するインビトロ試験に基づく。この標識化は、1対のFRETパートナーのフルオロフォアメンバーによって各々標識化される、2つのタンパク質の間のFRETシグナルの検出により実証される。
【0122】
この場合において、ラパマイシンの存在下で相互作用するFRB及びFKBPが使用される。
【0123】
FKBPタンパク質は、SNAP−tag技術を用いて、第一のフルオロフォアによって標識化される:このために、GST−SNAPtag−FKBP融合タンパク質が、市販のキット(SNAP発現pSTE7−26bキット,Covalys Biosciences AG,Witterswil/Switzerland)のプロトコールに従って、pSET7−26bプラスミドから製造される。この融合タンパク質をその後、参考BG誘導体と結合した第一のフルオロフォアと、又は本発明のBG誘導体と結合した第一のフルオロフォアと接触させる。
【0124】
FRBタンパク質自体は、場合に応じて、ドナー蛍光性化合物(ユウロピウムTBPクリプテート(KTBP),Cisbio Bioassay)との、又はアクセプター蛍光性化合物(DY647,Dyomics)との従来の結合技術によって、これらの化合物で提供されるプロトコールに従って、カップリングされる。
【0125】
以下の表は、以下の実施例1〜4の各々における、フルオロフォア対の性質を説明する:
【0126】
【表1】
【0127】
各々の実施例において、2nmolの、ユウロピウムクリプテート又はDY647(第二のフルオロフォア)で標識されたFRB組み換えタンパク質を、2nmolのGST−SNAP−tag−FKBP組み換えタンパク質、及び増加する濃度の第一のフルオロフォア(先行技術のBG−フルオロフォア、又は本発明のBG−L1−A−L2−フルオロフォア)によって標識化されたBGと、常温で共インキュベート(co−incubate)した。
【0128】
蛍光の読み取りは、337nmでの励起後、RubyStarマシーン(BMG laboratory)にて、620nm及び665nmで行った。100nMのラパマイシンによる、FRB/FKBPタンパク質相互作用の誘導の前及び後に読み取りを行った。この相互作用は、TR−FRETシグナルの放出により示された。SNAP−tag酵素は、単一の蛍光性基に付着し得るため、TR−FRETシグナルの増大は、反応媒体中の標識化されたタンパク質のパーセンテージと直接的に比例する。このインビトロのモデルにより、当該反応に関与する過剰の基質の関数としての酵素標識カイネティクスを定めることが可能となる。
【0129】
当該結果は、以下の式に従って、d665としてか、又は%標識かのいずれかで示される:
d665=(GST−ST−FKBPタンパク質有りの場合の、665nmでのシグナル)−(GST−ST−FKBPタンパク質無しの場合の、665nmでのシグナル)
【0130】
%標識は、18時間のインキュベーション後に得られる最大標識に相当するシグナルと比較して得られる。
%標識=(測定時間tでのd665/18時間インキュベーション後のd665)×100
【0131】
細胞モデルにおける、酵素反応性試験の手順
この手順により、タイプ2膜貫通型グルタメート受容体(mGluR2)との融合タンパク質の形態である、COS7細胞により発現されるAGTと、本発明の基質との反応性を試験することが可能となる。
【0132】
種々のAGT変異体がこの試験で分析された:Covalys製の SNAP−tag−ST26若しくはCLIP−tag、又はGronemeyer et al.(Protein Engineering,Design&Selection,Vol.19,No.7,pp.309−316,2006)に記載されているN−AGT変異体。
【0133】
プラスミド:
−市販のキット(SNAP発現pSTE7−26bキット,Covalys Biosciences)のプロトコールに従って、pSET7−26bプラスミドから製造された、SNAP−tag−mGluR2プラスミド。
−Invitrogen pcdna3.1プラスミド。このプラスミドは、ネガティブ・コントロールとして使用される;このプラスミドをトランスフェクトされた細胞は、「mock」と表示され、そしてそれは、非特異的標識のレベルを決定することを可能とする。
【0134】
プロトコール:
細胞の一過性トランスフェクションを、Bioradエレクトロポレーターを使用するエレクトロポレーションにより行った:1000万個の細胞が、1μgのSNAP−tag−mGluR2+3μgのpcdna3.1により最終体積300μlでトランスフェクトされた。エレクトロポレーション・パラメーターは、280V及び1000μFである。
【0135】
細胞をその後、ポリオルニチンと共に30分間37℃でインキュベートし、Greiner plates(不透明黒底)に、1ウェル当たり150000細胞で播いた。
【0136】
DMEM+フェノール・レッド+10%FCS+ペニシリン/ストレプトマイシン+非必須アミノ酸培地中、37℃、5%CO2で細胞を培養した。24時間の発現後、第一の洗浄操作を、これと同一の100μlの培地を用いて行った。
【0137】
AGT−mGluR2融合タンパク質の標識を、100μlの完全培地中、本発明のBG−フルオロフォア又はBG−L1−A−L2−フルオロフォアの濃度を増加させながら、1時間、37℃で行った。読み取り前に、4回の洗浄操作を、100μlのTris−Krebsを用いて行った。
【0138】
フルオロフォアとしてATTO647(実施例2)、DY647(実施例1及び5)、並びにフルオレセイン−5−EX(実施例3)を有する基質について、100μlのTris−Krebs中にて、Rubystarマシーンにて、682nmの直接的蛍光を、及びフルオレセイン−5−EX(実施例3)を有するものについては520nmにおける直接的蛍光を読み取った。
【0139】
テルビウムKR錯体を有する基質(実施例4及び6)について、100μlのTris−Krebs中にて、Rubystarマシーンにて、620nmの時間分解蛍光を読み取った。
【実施例】
【0140】
実施例1:BG−メチルベンズアミド−DY647
BG−DY647及びBG−メチルベンズアミド−DY647、並びにSNAP−tag酵素との間の反応性の比較
参考基質BG−DY647の構造:
【0141】
【化30】
【0142】
基質BG−メチルベンズアミド−DY647の構造:
【0143】
【化31】
【0144】
・インビトロにおける、酵素反応性及びタンパク質標識の結果
図2は、SNAP−tag酵素の標識のパーセンテージ変化を、基質濃度の関数として示す。これらの結果は、メチルベンズアミド・ユニットを含む本発明の基質との30分間のインキュベーション後に、標識が著しく改善されることを示しており、これは試験される基質の濃度に無関係であった。
【0145】
・細胞モデルにおいて得られた結果
SNAP−tag ST26酵素を用いた効果
酵素の半飽和濃度は、参考化合物を用いた場合において168nMであったが、本発明の基質を用いた場合において、たった91.3nMであった(図3)。生細胞で得られたこれらの結果は、インビトロ・モデルにおいて得られた結果を裏付けている。本発明の化合物における、この低い半飽和濃度は、低い基質濃度で、ここにおいて100nM未満で作用することを可能とする。
【0146】
AGTの別の変異体に対する本発明の基質の効果を確認するために、N−AGT変異体を用いた細胞外標識のキャラクタリゼーションを行った。
【0147】
N−AGT酵素を用いた効果
図4は、SNAP−tagよりも反応性のある変異体であるN−AGT酵素を用いて得られた結果を示し、半飽和濃度が、参考基質と比較して(43nm)、本発明の化合物において(22.3nm)約2倍低かった。この実施例は、本発明の基質のより大きな反応性は、SNAP−tag ST−26酵素に特異的なものではなく、この酵素の変異体が使用されるときにおいても観察されることを示している。
【0148】
実施例2:BG−メチルベンズアミド−ATTO647
SNAP−tag酵素との、BG−ATTO647N/BG−メチルベンズアミド−ATTO647Nの反応性の比較
参考基質BG−ATTO647Nの構造:
【0149】
【化32】
【0150】
基質BG−メチルベンズアミド−ATTO647Nの構造:
【0151】
【化33】
【0152】
・インビトロにおける、酵素反応性及びタンパク質標識の結果
図5は、SNAP−tag酵素の標識のパーセンテージ変化を、30分間のインキュベーション後における基質濃度の関数として示す:ここにおいても、ATTO647Nによって標識化された酵素のパーセンテージは、本発明の基質が使用されたときに著しく優れていることが観察され、これは試験される基質の濃度に無関係であった。
【0153】
同様の結果が、2つの異なるフルオロフォア、DY647(実施例1)及びATTO647で得られているため、この実施例は、本発明の基質の効果が、対象分子の性質に依存しないことを示している。
【0154】
実施例3:BG−メチルベンズアミド−フルオレセイン−5−EX
SNAP−tag酵素との、BG−フルオレセイン−5−EX/BG−メチルベンズアミド−フルオレセイン−5−EXの反応性の比較。
参考基質BG−フルオレセイン−5−EXの構造:
【0155】
【化34】
【0156】
基質BG−メチルベンズアミド−フルオレセイン−5−EXの構造:
【0157】
【化35】
【0158】
・インビトロにおける、酵素反応性及びタンパク質標識の結果
図6において示された結果は、ここにおいても、SNAP−tag ST−26酵素との本発明の基質の反応性が、参考基質の反応性よりも優れていることを示しており、そしてこれは、参考基質であるBG−フルオレセイン−5−EXの反応性が十分であると考えられ得るとしてもである。これらの結果はまた、本発明の基質の効果が、それに結合される対象分子の性質に依存しないことを裏付けている。
【0159】
実施例4:BG−メチルベンズアミド−Tb(KR)
SNAP−tag酵素との、BG−Tb(KR)/BG−メチルベンズアミド−Tb(KR)の反応性の比較。
参考基質BG−Tb(KR)の構造:
【0160】
【化36】
【0161】
基質BG−メチルベンズアミド−Tb(KR)の構造:
【0162】
【化37】
【0163】
・インビトロにおける、酵素反応性及びタンパク質標識の結果
図7の結果は、参考基質と比較して、SNAP−tag酵素との、本発明の基質のより優れた反応性を示す。結合された分子は先の実施例のような有機化合物フルオロフォアではなく、ポリ大員環と希土類元素から成る錯体であり、そしてそれは先の実施例において試験されたフルオロフォアよりもずっと嵩高い点が特徴である。
【0164】
この実施例は、種々の分子と結合し得る、本発明の基質の普遍的性質を再度示している。
【0165】
・細胞モデルにおいて得られた結果
BG−メチルベンズアミド−Tb(KR)基質を使用して、生細胞の表面において発現された膜貫通タンパク質を標識した時に、インビトロ・モデルにて得られた結果は裏付けられた。本発明の基質を用いて測定された半飽和濃度は、SNAP−tag−ST26酵素において15.4nM、N−AGT変異体において6.4nMであったが(図8)、参考基質であるBG−Tb(KR)(SNAP−tag)を用いた時は60nMであった。
【0166】
実施例5:BG−アミノニコチンアミド−DY647
SNAP−tag酵素との、BG−DY647/BG−アミノメチルニコチンアミド−DY647の反応性の比較。
参考基質BG−DY647の構造:
【0167】
【化38】
【0168】
基質BG−アミノメチルニコチンアミド−DY647の構造:
【0169】
【化39】
【0170】
・インビトロにおける、酵素反応性及びタンパク質標識の結果
図9の曲線は、アミノメチルニコチンアミド・ユニットを含む基質との30分間のインキュベーション後に標識化された酵素のパーセンテージはまた、参考基質で観察されたものよりもずっと優れていることを示し、これは基質の濃度に無関係であった。
【0171】
さらに、アミノメチルニコチンアミド・ユニットを含む基質で観察された反応性の増加は、メチルベンズアミド・ユニットを含む基質で観察されたものと同一桁の大きさであった。
【0172】
これらの結果は、特定の可変性が、本発明の基質の芳香族ユニット(式IのユニットA)において可能であることを示唆している。
【0173】
実施例6:BG−アミノニコチンアミド−Tb(KR)
SNAP−tag酵素との、BG−Tb(KR)/BG−アミノニコチンアミド−Tb(KR)の反応性の比較。
参考基質BG−Tb(KR)の構造:
【0174】
【化40】
【0175】
基質BG−アミノメチルニコチンアミド−Tb(KR)の構造:
【0176】
【化41】
【0177】
先の実施例の化合物で得られた結果と同様の結果が得られた。
【0178】
実施例7:BC−メチルベンズアミド−Tb(KR)
CLIP−tag酵素との、BC−Tb(KR)/BC−メチルベンズアミド−Tb(KR)の反応性の比較。
【0179】
先に記載された通り、CLIP−tag酵素は、ベンジルシトシン誘導体と反応するAGT変異体であって、SNAP−tag酵素と同様、Covalysから市販されている。
参考基質BC−Tb(KR)の構造:
【0180】
【化42】
【0181】
基質BC−メチルベンズアミド−Tb(KR)の構造:
【0182】
【化43】
【0183】
・細胞モデルにおいて得られた結果
本実施例において使用された細胞モデルは、先の実施例において使用されたものとは異なる:融合タンパク質CLIPtag−mGluR2をコードするプラスミド、及び融合タンパク質SNAPtag−mGluR2をコードする別のプラスミドを用いて細胞がコトランスフェクトされるか、又は融合タンパク質SNAPtag−mGluR2をコードする単一のプラスミドを用いて細胞がトランスフェクトされた。
【0184】
各々の細胞群を、300nMのBG−メチルベンズアミド−DY647、及び、増加する濃度の参考基質(BC−Tb(KR))又は本発明の基質(BC−メチルベンズアミド−Tb(KR))の存在下でインキュベートした。Rubystarマシーンにおいて、TR−FRETモードで665nmにて蛍光を測定した。測定されたシグナルは、DY647及びTb(KR)の各々により標識化されたmGluR2の2つの単量体の二量化の後における、エネルギー移動の指標である。
【0185】
本発明のベンジルシトシン誘導体による、CLIPtagの半飽和濃度は131nMであって、一方、参考化合物においては820nMであることが図10で観察された(SNAPtag−mGluR2を発現する細胞において観察されるシグナルは、CLIPtagによるBG−DY647の非特異的固定化のシグナルにのみ対応する)。
【0186】
この実施例は、本発明の基質の予想外の効果が、SNAPtag/ベンジルグアニンに限定されるものではなく、CLIPtag/ベンジルシトシンにおいても観察されることを裏付けている。
【0187】
実施例8:BC−メチルベンズアミド−DY647
CLIP−tag酵素との、BC−DY647/BC−メチルベンズアミド−DY647の反応性の比較。
【0188】
本実施例は、実施例7と同一の方法で行われたが、300nMのBG−メチルベンズアミド−Tb(KR)、及び増加する濃度の参考基質(BC−DY647)又は本発明の基質(BC−メチルベンズアミド−DY647)の存在下において細胞がインキュベートされた。それらの式は以下の通りである:
【0189】
参考基質(BC−DY647)
【0190】
【化44】
【0191】
基質BC−メチルベンズアミド−DY647:
【0192】
【化45】
【0193】
図11に示された結果は、本参考基質に対して(半飽和:1579nM)に対して、本発明の基質のより優れた反応性を裏付けている(半飽和:240nM)。
【0194】
実施例9:BG−シス−シクロヘキサン−DY647
SNAP−tag酵素との、BG−DY647/BG−シス−シクロヘキサン−DY647の反応性の比較。
参考基質BG−DY647(化合物1)の構造:
【0195】
【化46】
【0196】
基質BG−シス−シクロヘキサン−DY647(化合物29)の構造:
【0197】
【化47】
【0198】
・インビトロにおける、酵素反応性及びタンパク質標識の結果
図12の曲線は、シス−シクロヘキサン・ユニットを含む基質との1時間のインキュベーション後に標識化された酵素のパーセンテージは、参考基質で観察されたものよりもずっと優れていることを示し、これは基質の濃度に無関係であった。
【0199】
実施例10:BG−メチルベンズアミド−Atto465
SNAP−tag酵素との、BG−Atto465/Bg−メチルベンズアミド−Atto465の反応性の比較。
参考基質BG−Atto465(化合物35)の構造:
【0200】
【化48】
【0201】
基質BG−メチルベンズアミド−Atto465(化合物36)の構造:
【0202】
【化49】
【0203】
・細胞モデルにおいて得られた結果
生細胞の表面において発現された膜貫通タンパク質の標識化は、BG−メチルベンズアミド−Atto465基質が、参考基質よりも、ずっと優れたSNAP−tagとの反応性を有することを示した。BG−メチルベンズアミド−Atto465を用いて測定された半飽和濃度は213nMであったが、BG−Atto465基質を用いた時は1983nMであった。
【0204】
以下の化合物の合成を以下において説明する:
化合物1:ベンジルグアニン−Dy647
化合物2:ベンジルグアニン−5,6−カルボキシフルオレセイン
化合物3:ベンジルグアニン−フルオレセイン−5−EX
化合物4:ベンジルグアニン−ATTO647N
化合物5:ベンジルグアニン−Tb(KR)
化合物6:4−((2,2,2−トリフルオロアセトアミド)メチル)安息香酸
化合物7:トリフルオロアセトアミドメチルベンズアミド−BG
化合物8:アミノメチルベンズアミド−BG
化合物9:Dy647−メチルベンズアミド−BG
化合物10:ATTO647N−メチルベンズアミド−BG
化合物11:5,6−カルボキシフルオレセイン−メチルベンズアミド−BG
化合物12:フルオレセイン−5−EX−ベンジルアミド−BG
化合物13:Tb(KR)−メチルベンズアミド−BG
化合物14:BG−SH
化合物15:BG−メチルベンズアミド−SH
化合物16:2−(トリフルオロアセトアミドメチル)ニコチン酸
化合物17:2−(トリフルオロアセトアミドメチル)イソニコチン酸
化合物18:DY647−アミノメチルイソニコチンアミド−ベンジルグアニン
化合物19:DY647−アミノメチルニコチンアミド−ベンジルグアニン
化合物20:Tb(KR)−アミノメチルニコチンアミド−ベンジルグアニン
化合物21:ベンジルグアニン−N−Fmoc−ピペリジン
化合物22:ベンジルグアニン−ピペリジン
化合物23:DY647−ピペリジン−ベンジルグアニン
化合物24:ベンジルグアニン−トランス−4−(Fmoc−アミノ)シクロヘキサン
化合物25:ベンジルグアニン−トランス−4−アミノシクロヘキサン
化合物26:DY647−トランス−シクロヘキサン−ベンジルグアニン
化合物27:ベンジルグアニン−シス−4−(Fmoc−アミノ)シクロヘキサン
化合物28:ベンジルグアニン−シス−4−アミノシクロヘキサン
化合物29:DY647−シス−シクロヘキサン−ベンジルグアニン
化合物30:ベンジルシトシン−DY647
化合物31:ベンジルシトシン−Tb(KR)
化合物32:アミノメチルベンズアミド−BC
化合物33:DY647−メチルベンズアミド−BC:
化合物34:Tb(KR)−メチルベンズアミド−BC:
化合物35:Atto465−BG:
化合物36:Atto465−メチルベンズアミン−BG:
【0205】
化合物1:ベンジルグアニン−DY647
【0206】
【化50】
【0207】
10mlの丸底フラスコに4.2mg(15.5μmol)の6−アミノメチルベンジルグアニン、及び11.8mg(15.5μmol)のDY647−NHSを導入した。製造物を4mlの無水ジメチルスルホキシドに部分的に溶解した。
【0208】
当該混合物を1時間撹拌した。Merck Lichrospher RP°18,5μmol,125×4.6カラムを用いたHPLCにて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて、反応を観測した。
【0209】
分取HPLCによる精製を、Vydac C18,10μm,250×22カラムを用いて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて行った。
【0210】
フラクションを回収し、減圧下濃縮した。所望の製造物に相当する青色固体を得た(光学密度測定8.5μmol、55%)。
MS(ES+)m/z:[M+H+]895.3
【0211】
化合物2:ベンジルグアニン−5,6−カルボキシフルオレセイン
【0212】
【化51】
【0213】
1.5mlのエッペンドルフチューブへ、10mmol/lの6−アミノメチルベンジルグアニン(1μmol)を含有する100μlの無水ジメチルスルホキシド溶液、及び10mmol/lの5,6−カルボキシフルオレセイン−NHS(1μmol)を含有する100μlの無水ジメチルスルホキシド溶液を導入した。
【0214】
当該混合物を1時間撹拌した。Merck Lichrospher RP°18,5μmol,125×4.6カラムを用いたHPLCにて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて、反応を観測した。
【0215】
分取HPLCによる精製を、Vydac C18,10μm,250×22カラムを用いて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて行った。
【0216】
フラクションを回収し、減圧下濃縮した。所望の製造物に相当する黄色固体を得た(光学密度測定900nmol、90%)。
MS(ES+)m/z:[M+H+]629.1.
【0217】
化合物3:ベンジルグアニン−フルオレセイン5−Ex
【0218】
【化52】
【0219】
1.5mlのエッペンドルフチューブへ、10mmol/lの6−アミノメチルベンジルグアニン(1μmol)を含有する100μlの無水ジメチルスルホキシド溶液、及び10mmol/lのフルオレセイン−5−EX−NHS(1μmol)を含有する100μlの無水ジメチルスルホキシド溶液を導入した。
【0220】
当該混合物を1時間撹拌した。Merck Lichrospher RP°18,5μmol,125×4.6カラムを用いたHPLCにて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて、反応を観測した。
【0221】
分取HPLCによる精製を、Vydac C18,10μm,250×22カラムを用いて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて行った。
【0222】
フラクションを回収し、減圧下濃縮した。所望の製造物に相当する黄色固体を得た(光学密度測定650nmol、65%)。
MS(ES+)m/z:[M+H+]746.1.
【0223】
化合物4:ベンジルグアニン−ATTO647N
【0224】
【化53】
【0225】
10mlの丸底フラスコに1.8mg(6.7μmol)の6−アミノメチルベンジルグアニン、及び5mg(6.6μmol)のATTO647−NHSを導入した。製造物を4mlの無水ジメチルスルホキシドに部分的に溶解した。
【0226】
当該混合物を1時間撹拌した。Merck Lichrospher RP°18,5μmol,125×4.6カラムを用いたHPLCにて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて、反応を観測した。
【0227】
分取HPLCによる精製を、Vydac C18,10μm,250×22カラムを用いて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて行った。
【0228】
フラクションを回収し、減圧下濃縮した。所望の製造物に相当する青色固体を得た(光学密度測定3.6μmol、54.5%)。
MS(ES+)m/z:[M+H+]898
【0229】
化合物5:ベンジルグアニン−Tb(KR)
【0230】
【化54】
【0231】
1.5mlのエッペンドルフチューブへ、10mmol/lの6−アミノメチルベンジルグアニン(1μmol)を含有する100μlの無水ジメチルスルホキシド溶液、及び10mmol/lのTb(KR)−NHS(1μmol)を含有する100μlの無水ジメチルスルホキシド溶液を導入した。
【0232】
当該混合物を1時間撹拌した。Merck Lichrospher RP°18,5μmol,125×4.6カラムを用いたHPLCにて、25mMのトリエチルアンモニウムアセテートを含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて、反応を観測した。
【0233】
分取HPLCによる精製を、Vydac C18,10μm,250×22カラムを用いて、25mMのトリエチルアンモニウムアセテートを含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて行った。
【0234】
フラクションを回収し、減圧下濃縮した。所望の製造物に相当する白色固体を得た(光学密度測定650nmol、65%)。
MS(ES+)m/z:[M+H+]1685.6
【0235】
化合物6:4−((2,2,2−トリフルオロアセトアミド)メチル)安息香酸
【0236】
【化55】
【0237】
100mlの丸底フラスコへ、2.38g(15.7mmol)の4−(アミノメチル)安息香酸を量り取った。丸底フラスコを氷浴へ入れ、5.6ml(59mmol)のトリフルオロ酢酸無水物をゆっくりと添加した。添加終了後、反応混合物を常温に戻し、そして当該混合物を2時間撹拌した。
【0238】
4℃、16.5mlの水を加えた。沈殿物を、フリットを通じてろ過し、4℃の2×3mlの水を用いて洗浄し、五酸化リンの存在下、真空で48時間乾燥した。
【0239】
所望の製造物に相当する白色固体(3.27g、13.2mmol、84%)を得た。
MS(ES-)m/z:[M−H+]246.2
【0240】
化合物7:トリフルオロアセトアミドメチルベンズアミド−BG
【0241】
【化56】
【0242】
10mlの丸底フラスコへ、593g(2.4mmol)のトリフルオロアセトアミドメチル安息香酸を量り取った。この酸を4mlの無水テトラヒドロフランに溶解し、324.4mg(1.2mmol)の1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミドを加えた。それを常温で2時間撹拌した。得られるジシクロヘキシル尿素の白色沈殿物を、フリットを通じてろ過した。
【0243】
25mlの丸底フラスコへ、162.2mg(0.6mmol)の6−アミノベンジルグアニンを量り取り、2mlの無水ジメチルホルムアミドを加えた。次に、トリフルオロアセトアミドメチル安息香酸無水物のTHF溶液、及び200μlのジイソプロピルエチルアミンを加えた。反応混合物を常温で、2時間撹拌した。Merck Lichrospher RP°18,5μmol,125×4.6カラムを用いたHPLCにて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて、反応を観測した。
【0244】
反応混合物を、黄色固体が生じるまで、減圧下にて溶媒を蒸発乾固させた。5mlのアセトニトリル中でそれを砕き、フリットを通じてろ過した。その後、2×1mlのアセトニトリルで洗浄し、48時間真空乾燥した。
【0245】
所望の製造物に相当するベージュ色固体(289mg、0.58mmol、96%)を得た。
MS(ES+)m/z:[M+H+]500.1
【0246】
化合物8:アミノメチルベンズアミド−BG
【0247】
【化57】
【0248】
50mlの丸底フラスコへ、25mg(50μmol)のN−(4−((2−アミノ−9H−プリン−6−イルオキシ)メチル)ベンジル)−4−((2,2,2−トリフルオロアセトアミド)メチル)ベンズアミドを量り取った。10mlのメタノール、2mlの飽和Na2CO3水溶液、及び4mlの水を加えた。常温で一晩撹拌した。Merck Lichrospher RP°18,5μmol,125×4.6カラムを用いたHPLCにて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて、脱保護を観測した。
【0249】
分取HPLCによる精製を、Vydac C18,10μm,250×22カラムを用いて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて行った。
【0250】
フラクションを回収し、減圧下濃縮した。所望の製造物に相当する白色固体(17.5mg、43μmol、87%)を得た。
MS(ES+)m/z:[M+H+]404.3.
【0251】
化合物9:DY647−メチルベンズアミド−BG
【0252】
【化58】
【0253】
2μmolのアミノメチルベンズアミド−BGを100μlの無水ジメチルスルホキシドに溶解した。2μmolのDY647−NHSの、300μl無水ジメチルスルホキシド溶液、及び2μlのジイソプロピルエチルアミンを加えた。常温で2時間撹拌した。
【0254】
Merck Lichrospher RP°18,5μmol,125×4.6カラムを用いたHPLCにて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて、反応を観測した。
【0255】
分取HPLCによる精製を、Vydac C18,10μm,250×22カラムを用いて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて行った。
【0256】
フラクションを回収し、減圧下濃縮した。所望の製造物に相当する青色固体(光学密度測定1μmol、50%)を得た。
MS(ES+)m/z:[M+H+]1028.4.
【0257】
化合物10:ATTO647N−メチルベンズアミド−BG
【0258】
【化59】
【0259】
200nmolのアミノメチルベンズアミド−BGを100μlの無水ジメチルスルホキシドに溶解した。200nmolのATTO647N−NHSの、20μl無水ジメチルスルホキシド溶液、及び1μlのジイソプロピルエチルアミンを加えた。反応混合物を常温で2時間撹拌した。
【0260】
Merck Lichrospher RP°18,5μmol,125×4.6カラムを用いたHPLCにて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて、反応を観測した。
【0261】
分取HPLCによる精製を、Vydac C18,10μm,250×22カラムを用いて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて行った。
【0262】
フラクションを回収し、減圧下濃縮した。所望の製造物に相当する青色固体(光学密度測定149nmol、74%)を得た。
MS(ES+)m/z:[M+]1031.5.
【0263】
化合物11:5,6−カルボキシフルオレセイン−メチルベンズアミド−BG
【0264】
【化60】
【0265】
1μmolのアミノメチルベンズアミド−BGを100μlの無水ジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解した。1μmolの5,6−カルボキシフルオレセイン−NHSの、50μl無水ジメチルスルホキシド溶液、及び2μlのジイソプロピルエチルアミンを加えた。反応混合物を常温で2時間撹拌した。
【0266】
Merck Lichrospher RP°18,5μmol,125×4.6カラムを用いたHPLCにて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて、反応を観測した。
【0267】
分取HPLCによる精製を、Vydac C18,10μm,250×22カラムを用いて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて行った。
【0268】
フラクションを回収し、減圧下濃縮した。所望の製造物に相当する黄色固体(光学密度測定600nmol、60%)を得た。
MS(ES+)m/z:[M+H+]762.1
【0269】
化合物12:フルオレセイン−5−EX−ベンジルアミド−BG
【0270】
【化61】
【0271】
1μmolのアミノメチルベンズアミド−BGを100μlの無水ジメチルスルホキシドに溶解した。1μmolのフルオレセイン−5−EX−NHSの、40μl無水ジメチルスルホキシド溶液、及び2μlのジイソプロピルエチルアミンを加えた。反応混合物を常温で1時間撹拌した。
【0272】
Merck Lichrospher RP°18,5μmol,125×4.6カラムを用いたHPLCにて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて、反応を観測した。
【0273】
分取HPLCによる精製を、Vydac C18,10μm,250×22カラムを用いて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて行った。
【0274】
フラクションを回収し、減圧下濃縮した。所望の製造物に相当する黄色固体(光学密度測定400nmol、40%)を得た。
MS(ES+)m/z:[M+H+]879.3
【0275】
化合物13:Tb(KR)−メチルベンズアミド−BG
【0276】
【化62】
【0277】
10mlの丸底フラスコに2.3mg(8.5μmol)のアミノメチルベンズアミド−BGの2ml無水ジメチルホルムアミド溶液を量り取った。6μmolのTb(KR)−NHSの、2ml無水ジメチルホルムアミド溶液、及び、20μlのジイソプロピルアミンを加えた。反応混合物を常温で2時間撹拌した。
【0278】
Merck Lichrospher RP°18,5μmol,125×4.6カラムを用いたHPLCにて、25mMのトリエチルアンモニウムアセテート含有する水(pH6)中、アセトニトリルのグラジエントをかけて、反応を観測した。
【0279】
DMFを減圧下留去し、残渣を水に溶解した。分取HPLCによる精製を、Vydac C18,10μm,250×22カラムを用いて、25mMのトリエチルアンモニウムアセテートを含有する水(pH6)中、アセトニトリルのグラジエントをかけて行った。フラクションを回収し、減圧下濃縮した。所望の製造物に相当する白色固体(光学密度測定2.2μmol、36%)を得た。
MS(ES+)m/z:[M+H+]1819.3
【0280】
化合物14:BG−SHの製造
【0281】
【化63】
【0282】
200μlの無水ジメチルホルムアミド、及び1.5mlの0.05M,pH7,MOPS緩衝液に溶解された、0.8mg(3μmol)の6−アミノメチルベンジルグアニンを、10mlの丸底フラスコに量り取った。1.1mg(3.6μmol)のSPDPを加えた。反応混合物を1時間撹拌した。Merck Lichrospher RP°18,5μmol,125×4.6カラムを用いたHPLCにて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて、反応を観測した。
【0283】
反応混合物に2.2mg(14.4μmol)のDTTを加え、2時間撹拌した。反応をHPLCで観測した。
【0284】
分取HPLCによる精製を、Vydac C18,10μm,250×22カラムを用いて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて行った。
【0285】
フラクションを回収し、減圧下濃縮した。所望の製造物に相当する白色固体(光学密度測定2.1μmol、70%)を得た。
MS(ES+)m/z:[M+H+]358.9
【0286】
化合物15:BG−メチルベンズアミド−SH
【0287】
【化64】
【0288】
10ml丸底フラスコ中で,4.5μmolのアミノメチルベンズアミド−ベンジルグアニンを、200μlの無水ジメチルホルムアミド及び1.5mlの0.05M,pH7,MOPS緩衝液に溶解させた。1.7mg(5.4μmol)のSPDPを加えた。反応混合物を1時間撹拌した。Merck Lichrospher RP°18,5μmol,125×4.6カラムを用いたHPLCにて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて、反応を観測した。
【0289】
反応混合物に2.5mg(16.2μmol)のDTTを加え、2時間撹拌した。反応をHPLCで観測した。
【0290】
分取HPLCによる精製を、Vydac C18,10μm,250×22カラムを用いて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて行った。
【0291】
フラクションを回収し、減圧下濃縮した。所望の製造物に相当する白色固体(光学密度測定3μmol、66%)を得た。
MS(ES+)m/z:[M+H+]492.2
【0292】
化合物16:2−(トリフルオロアセトアミドメチル)ニコチン酸
【0293】
【化65】
【0294】
500mg(3.58mmol)の6−シアノピリジン−3−カルボン酸の、50mlメタノール溶液を、100mlの丸底フラスコに量り取った。次に30mgの10%パラジウム炭素を加え、1気圧の水素を4時間添加した。Merck Lichrospher RP°18,5μmol,125×4.6カラムを用いたHPLCにて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて、反応を観測した。形成される製造物が沈殿した。
【0295】
40mlの脱塩水を反応混合物に加え、その後パラジウムを、セライトを通じてろ過し、反応混合物を50mlの丸底フラスコ中、減圧下濃縮した。当該丸底フラスコを氷/水浴に置き、4mlのトリフルオロ酢酸無水物をゆっくりと加えた。反応混合物を2時間撹拌しながら常温に戻した。当該反応をHPLCで観測した。
【0296】
20mlのエーテルを反応混合物に加え、氷/水浴に20分間置いた。沈殿を、フリットを通じてろ過し、そして48時間真空乾燥した。所望の製造物に相当する白色固体(450mg、1.81mmol、54%)を得た。
MS(ES+)m/z:[M+H+]249
【0297】
化合物17:2−(トリフルオロアセトアミドメチル)イソニコチン酸
【0298】
【化66】
【0299】
100mg(675μmol)の6−シアノピリジン−4−カルボン酸の、30mlメタノール溶液を、100mlの丸底フラスコに量り取った。次に10mgの10%パラジウム炭素を加え、1気圧の水素を4時間添加した。Merck Lichrospher RP°18,5μmol,125×4.6カラムを用いたHPLCにて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて、反応を観測した。形成される製造物が沈殿した。
【0300】
20mlの脱塩水を反応沈殿物に加え、パラジウムを、セライトを通じてろ過し、反応混合物を50mlの丸底フラスコ中、減圧下濃縮した。当該丸底フラスコを氷/水浴に置き、3mlのトリフルオロ酢酸無水物をゆっくりと加えた。反応混合物を常温に戻し、その後2時間撹拌を継続した。当該反応をHPLCで観測した。
【0301】
10mlのエーテルを反応混合物に加え、氷/水浴に20分間置いた。沈殿を、フリットを通じてろ過し、そして48時間真空乾燥した。所望の製造物に相当する白色固体(110mg、443mmol、67%)を得た。
MS(ES+)m/z:[M+H+]249
【0302】
化合物18:DY647−アミノメチルイソニコチンアミド −ベンジルグアニン
【0303】
【化67】
【0304】
1μmolのアミノメチルイソニコチンアミド−ベンジルグアニンを含む1.5mlのエッペンドルフチューブへ、1μmolのDy647−NHSの100μl無水ジメチルスルホキシド溶液、及び2μlのジイソプロピルエチルアミンを加えた。Merck Lichrospher RP°18,5μmol,125×4.6カラムを用いたHPLCにて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて、反応を観測した。
【0305】
分取HPLCによる精製を、Vydac C18,10μm,250×22カラムを用いて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて行った。
【0306】
フラクションを回収し、減圧下濃縮した。所望の製造物に相当する青色固体(光学密度測定470nmol、47%)を得た。
MS(ES+)m/z:[M+H+]1029.3
【0307】
化合物19:DY647−アミノメチルニコチンアミド−ベンジルグアニン
【0308】
【化68】
【0309】
1μmolのアミノメチルニコチンアミド−ベンジルグアニンを含む1.5mlのエッペンドルフチューブへ、1μmolのDy647−NHSの100μl無水ジメチルスルホキシド溶液、及び2μlのジイソプロピルエチルアミンを加えた。Merck Lichrospher RP°18,5μmol,125×4.6カラムを用いたHPLCにて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて、反応を観測した。
【0310】
分取HPLCによる精製を、Vydac C18,10μm,250×22カラムを用いて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて行った。
【0311】
フラクションを回収し、減圧下濃縮した。所望の製造物に相当する青色固体(光学密度測定540nmol、54%)を得た。
MS(ES+)m/z:[M+H+]1029.3
【0312】
化合物20:Tb(KR)−アミノメチルニコチンアミド−ベンジルグアニン:
【0313】
【化69】
【0314】
1μmolのアミノメチルニコチンアミド−ベンジルグアニンを含む1.5mlのエッペンドルフチューブへ、1μmolのTb(KR)−NHSの100μl無水ジメチルスルホキシド溶液、及び2μlのジイソプロピルエチルアミンを加えた。Merck Lichrospher RP°18,5μmol,125×4.6カラムを用いたHPLCにて、25mMのトリエチルアンモニウムアセテート、pH6を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて、反応を観測した。
【0315】
分取HPLCによる精製を、Vydac C18,10μm,250×22カラムを用いて、25mMのトリエチルアンモニウムアセテート、pH6を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて行った。
【0316】
フラクションを回収し、減圧下濃縮した。所望の製造物に相当する青色固体(光学密度測定400nmol、40%)を得た。
MS(ES+)m/z:[M+H+]1820.3−[M+2H+]/2=910.5
【0317】
化合物21:ベンジルグアニン−N−Fmoc−ピペリジン
【0318】
【化70】
【0319】
10mlの無水ジメチルホルムアミドに部分的に溶解された48.1mg(178μmol)の6−アミノメチルベンジルグアニンを、50mlの丸底フラスコに量り取った。62.5mg(178μmol)の4−カルボキシ−N−Fmoc−ピペリジン、及び57.1mg(178μmol)のTBTUを加えた。反応混合物を2時間撹拌した。Merck Lichrospher RP°18,5μmol,125×4.6カラムを用いたHPLCにて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて、反応を観測した。
【0320】
分取HPLCによる精製を、Vydac C18,10μm,250×22カラムを用いて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて行った。
【0321】
フラクションを回収し、減圧下濃縮した。所望の製造物に相当する白色固体(38mg、35%)を得た。
MS(ES+)m/z:[M+H+]604.5
【0322】
化合物22:ベンジルグアニン−ピペリジン
【0323】
【化71】
【0324】
190μlの無水ジメチルホルムアミドに溶解された1.8mg(3μmol)のベンジルグアニン−N−Fmoc−ピペリジンを、1.5mlエッペンドルフチューブへ量り取った。10μlのピペリジンを加え、反応混合物を1時間撹拌した。Merck Lichrospher RP°18,5μmol,125×4.6カラムを用いたHPLCにて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて、反応を観測した。
【0325】
分取HPLCによる精製を、Vydac C18,10μm,250×22カラムを用いて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて行った。
【0326】
フラクションを回収し、減圧下濃縮した。所望の製造物に相当する白色固体を得た。当該製造物を、収率を測定することなく、次の反応に直接使用した。
MS(ES+)m/z:382.3
【0327】
化合物23:DY647−ピペリジン−ベンジルグアニン
【0328】
【化72】
【0329】
1.8μmolのベンジルグアニン−ピペリジンを含有する25ml丸底フラスコに、800μlの無水ジメチルスルホキシド、4μlのジイソプロピルエチルアミン、及び0.14mg(1.8μmol)のDy647−NHSを加えた。反応混合物を1時間撹拌した。Merck Lichrospher RP°18,5μmol,125×4.6カラムを用いたHPLCにて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて、反応を観測した。
【0330】
分取HPLCによる精製を、Vydac C18,10μm,250×22カラムを用いて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて行った。
【0331】
フラクションを回収し、減圧下濃縮した。所望の製造物に相当する青色固体(光学密度測定700nmol、40%)を得た。
MS(ES+)m/z:1006.75
【0332】
化合物24:ベンジルグアニン−トランス−4−(Fmoc−アミノ)シクロヘキサン:
【0333】
【化73】
【0334】
20mlの無水ジメチルホルムアミドに部分的に溶解された51mg(189μmol)の6−アミノメチルベンジルグアニンを、50mlの丸底フラスコに量り取った。69mg(189μmol)のトランス−4−(Fmoc−アミノ)カルボキシシクロヘキサン、及び60.7mg(189μmol)のTBTUを加えた。反応混合物を2時間撹拌した。Merck Lichrospher RP°18,5μmol,125×4.6カラムを用いたHPLCにて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて、反応を観測した。
【0335】
分取HPLCによる精製を、Vydac C18,10μm,250×22カラムを用いて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて行った。
【0336】
フラクションを回収し、減圧下濃縮した。所望の製造物に相当する白色固体(16mg、13.7%)を得た。
MS(ES+)m/z:[M+H+]618.6
【0337】
化合物25:ベンジルグアニン−トランス−4−アミノシクロヘキサン
【0338】
【化74】
【0339】
190μlの無水ジメチルホルムアミドに溶解された1.2mg(2μmol)のベンジルグアニン−トランス−4−(Fmoc−アミノ)シクロヘキサンを、1.5mlエッペンドルフチューブへ量り取った。10μlのピペリジンを加え、反応混合物を1時間撹拌した。Merck Lichrospher RP°18,5μmol,125×4.6カラムを用いたHPLCにて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて、反応を観測した。
【0340】
分取HPLCによる精製を、Vydac C18,10μm,250×22カラムを用いて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて行った。
【0341】
フラクションを回収し、減圧下濃縮した。所望の製造物に相当する白色固体を得た。当該製造物を、収率を測定することなく、次の反応に直接使用した。
MS(ES+)m/z:396.3
【0342】
化合物26:DY647−トランス−シクロヘキサン−ベンジルグアニン
【0343】
【化75】
【0344】
2μmolのベンジルグアニン−トランス−4−アミノシクロヘキサンを含む25mlの丸底フラスコに、800μlの無水ジメチルスルホキシド、4μlのジイソプロピルエチルアミン、及び0.14mg(1.8μmol)のDY647−NHSを加えた。反応混合物を1時間撹拌した。Merck Lichrospher RP°18,5μmol,125×4.6カラムを用いたHPLCにて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて、反応を観測した。
【0345】
分取HPLCによる精製を、Vydac C18,10μm,250×22カラムを用いて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて行った。
【0346】
フラクションを回収し、減圧下濃縮した。所望の製造物に相当する青色固体(光学密度測定600nmol、33%)を得た。
MS(ES+)m/z:1020.8
【0347】
化合物27:ベンジルグアニン−シス−4−(Fmoc−アミノ)シクロヘキサン
【0348】
【化76】
【0349】
20mlの無水ジメチルホルムアミドに部分的に溶解された61.3mg(226μmol)の6−アミノメチルベンジルグアニンを、50mlの丸底フラスコに量り取った。82.7mg(226μmol)のシス−4−(Fmoc−アミノ)カルボキシシクロヘキサン、及び72.8mg(226μmol)のTBTUを加えた。反応混合物を2時間撹拌した。Merck Lichrospher RP°18,5μmol,125×4.6カラムを用いたHPLCにて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて、反応を観測した。
【0350】
分取HPLCによる精製を、Vydac C18,10μm,250×22カラムを用いて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて行った。
【0351】
フラクションを回収し、減圧下濃縮した。所望の製造物に相当する白色固体(28mg、20%)を得た。
MS(ES+)m/z:[M+H+]618.6
【0352】
化合物28:ベンジルグアニン-シス-4-アミノシクロヘキサン
【0353】
【化77】
【0354】
190μlの無水ジメチルホルムアミドに溶解された0.7mg(1.1μmol)のベンジルグアニン−シス−4−(Fmoc−アミノ)シクロヘキサンを、1.5mlエッペンドルフチューブへ量り取った。10μlのピペリジンを加え、反応混合物を1時間撹拌した。Merck Lichrospher RP°18,5μmol,125×4.6カラムを用いたHPLCにて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて、反応を観測した。
【0355】
分取HPLCによる精製を、Vydac C18,10μm,250×22カラムを用いて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて行った。
【0356】
フラクションを回収し、減圧下濃縮した。所望の製造物に相当する白色固体を得た。当該製造物を、収率を測定することなく、次の反応に直接使用した。
MS(ES+)m/z:396.3
【0357】
化合物29:DY647−シス−シクロヘキサン−ベンジルグアニン
【0358】
【化78】
【0359】
1μmolのベンジルグアニン−シス−4−アミノシクロヘキサンを含む25mlの丸底フラスコに、800μlの無水ジメチルスルホキシド、4μlのジイソプロピルエチルアミン、及び0.7mg(1μmol)のDY647−NHSを加えた。反応混合物を1時間撹拌した。Merck Lichrospher RP°18,5μmol,125×4.6カラムを用いたHPLCにて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて、反応を観測した。
【0360】
分取HPLCによる精製を、Vydac C18,10μm,250×22カラムを用いて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて行った。
【0361】
フラクションを回収し、減圧下濃縮した。所望の製造物に相当する青色固体(光学密度測定400nmol、40%)を得た。
MS(ES+)m/z:1020.8
【0362】
化合物30:ベンジルシトシン−DY647
【0363】
【化79】
【0364】
1.5mlエッペンドルフチューブに、1μmolのアミノメチルベンジルシトシンの26μl無水ジメチルスルホキシド溶液、1μmolのDY647−NHSの76μl無水ジメチルスルホキシド溶液、及び4μlのジイソプロピルエチルアミンを加えた。
【0365】
反応混合物を1時間撹拌した。Merck Lichrospher RP°18,5μmol,125×4.6カラムを用いたHPLCにて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて、反応を観測した。
【0366】
分取HPLCによる精製を、Vydac C18,10μm,250×22カラムを用いて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて行った。
【0367】
フラクションを回収し、減圧下濃縮した。所望の製造物に相当する青色固体(光学密度測定600nmol、60%)を得た。
MS(ES+)m/z:[M+H+]855.6[M+Na+]877.6
【0368】
化合物31:ベンジルシトシン−Tb(KR)
【0369】
【化80】
【0370】
1.5mlエッペンドルフチューブに、1μmolのアミノメチルベンジルシトシンの26μl無水ジメチルスルホキシド溶液、1μmolのTb(KR)−NHSの110μl無水ジメチルスルホキシド溶液、及び4μlのジイソプロピルエチルアミンを加えた。
【0371】
反応混合物を2時間撹拌した。Merck Lichrospher RP°18,5μmol,125×4.6カラムを用いたHPLCにて、25mMのトリエチルアンモニウムアセテートを含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて、反応を観測した。
【0372】
分取HPLCによる精製を、Vydac C18,10μm,250×22カラムを用いて、25mMのトリエチルアンモニウムアセテートを含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて行った。
【0373】
フラクションを回収し、減圧下濃縮した。所望の製造物に相当する白色固体(光学密度測定350nmol、35%)を得た。
MS(ES+)m/z:[M+H+]1645.2[M+2H+]/2 823.4.
【0374】
化合物32:アミノメチルベンズアミド−BC
【0375】
【化81】
【0376】
2mlエッペンドルフチューブに、6mg(26μmol)のアミノメチルベンジルシトシン、及び6.4mg(26μmol)のトリフルオロアセトアミドメチル安息香酸を量り取った。当該混合物を600μlの無水ジメチルスルホキシドに溶解し、9.2mg(28.6μmol)のTBTU、及び8μlのジイソプロピルエチルアミンを加えた。当該反応混合物を2時間撹拌した。Merck Lichrospher RP°18,5μmol,125×4.6カラムを用いたHPLCにて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて、反応を観測した。
【0377】
分取HPLCによる精製を、Vydac C18,10μm,250×22カラムを用いて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて行った。
【0378】
白色固体が得られるまで、反応混合物を減圧下濃縮した。2mlのメタノールに溶解し、2mlの飽和Na2CO3水溶液、及び4mlの水を加えた。混合物を一晩撹拌した。脱保護をHPLCにて観測した。
【0379】
分取HPLCによる精製を、Vydac C18,10μm,250×22カラムを用いて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて行った。
【0380】
フラクションを回収し、減圧下濃縮した。所望の製造物に相当する白色固体(光学密度測定8.5μmol、32%)を得た。
MS(ES+)m/z:[M+H+]364.4
【0381】
化合物33:DY647−メチルベンズアミド−BC:
【0382】
【化82】
【0383】
1μmolのアミノメチルベンズアミド−BCを含む1.5mlエッペンドルフチューブに、1μmolのDY647−NHSの140μl無水ジメチルスルホキシド溶液、及び4μlのジイソプロピルエチルアミンを加えた。
【0384】
反応混合物を1時間撹拌した。Merck Lichrospher RP°18,5μmol,125×4.6カラムを用いたHPLCにて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて、反応を観測した。
【0385】
分取HPLCによる精製を、Vydac C18,10μm,250×22カラムを用いて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて行った。
【0386】
フラクションを回収し、減圧下濃縮した。所望の製造物に相当する青色固体(光学密度測定400nmol、40%)を得た。
MS(ES+)m/z:[M+H+]988.6[M+Na+]1010.6[M+K+]1026.6.
【0387】
化合物34:Tb(KR)−メチルベンズアミド−BC:
【0388】
【化83】
【0389】
1μmolのアミノメチルベンズアミド−BCを含む1.5mlエッペンドルフチューブに、1μmolのTb(KR)−NHSの120μl無水ジメチルスルホキシド溶液、及び4μlのジイソプロピルエチルアミンを加えた。
【0390】
反応混合物を1時間撹拌した。Merck Lichrospher RP°18,5μmol,125×4.6カラムを用いたHPLCにて、25mMのトリエチルアンモニウムアセテートを含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて、反応を観測した。
【0391】
分取HPLCによる精製を、Vydac C18,10μm,250×22カラムを用いて、25mMのトリエチルアンモニウムアセテートを含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて行った。
【0392】
フラクションを回収し、減圧下濃縮した。所望の製造物に相当する白色固体(光学密度測定270nmol、27%)を得た。
MS(ES+)m/z:[M+H+]1779.3 [M+2H+]/2 890.
【0393】
化合物35:Atto465−BG
【0394】
【化84】
【0395】
1.5mlエッペンドルフチューブへ、BG−NH2の溶液(0.3μmolを100μlの無水DMSOに溶解),ATTO−465−NHSの溶液(0.254μmolを100μlの無水DMSOに溶解),及び3μlのDIPEAを導入した。反応混合物を常温で1.5時間撹拌した。Xbridge C18,3.5μm,4.6×100mmカラムを用いたHPLCにて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて、反応を観測した。
【0396】
分取HPLCによる精製を、Xbridge C18,OBDTM,19×100mmカラムを用いて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて行った。
【0397】
フラクションを回収し、減圧下濃縮した。所望の製造物に相当する黄橙色固体(光学密度測定0.128μmol、収率50%)を得た。
MS(ES+)m/z:[M+H+]548
【0398】
化合物36:Atto465−メチルベンズアミン−BG:
【0399】
【化85】
【0400】
1.5mlエッペンドルフチューブへ、BG−MBA−NH2の溶液(0.3μmolの化合物8を100μlの無水DMSOに溶解)、ATTO−465−NHSの溶液(0.254μmolを100μlの無水DMSOに溶解)、及び3μlのDIPEAを導入した。反応混合物を常温で1.5時間撹拌した。Xbridge C18,3.5μm,4.6×100mmカラムを用いたHPLCにて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて、反応を観測した。
【0401】
分取HPLCによる精製を、Xbridge C18,OBDTM,19×100mmカラムを用いて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて行った。
【0402】
フラクションを回収し、減圧下濃縮した。所望の製造物に相当する黄橙色固体(光学密度測定0.205μmol、収率80%)を得た。
MS(ES+)m/z:[M+H+]681
【背景技術】
【0001】
N−メチル−N−ニトロソ尿素のような求電子化合物の変異原性及び発癌性効果は、大部分がDNAのグアニン残基のO6−アルキル化が原因である。DNAのアルキル化に対する防御機構が哺乳動物及び細菌に存在し、並びに、O6−アルキルグアニン−DNAアルキルトランスフェラーゼ(AGT)は特に、これらの損傷を修復することが可能である。AGTは、アルキル化されたグアニンのO6位のアルキル基を、それ自体のシステインの一つのチオール基へと移動させ、それによりAGTの不可逆なアルキル化がなされる。この置換基移動は、二分子求核置換反応を経由して行われ、そしてそれは、アルキル基の移動に加えて、ベンジル基の移動も可能である理由を説明する。
【0002】
腫瘍細胞中におけるAGTの過剰発現が、その作用がDNAのアルキル化に基づく医薬、例えばプロカルバジン、ダカルバジン、テモゾロマイド、及びビス(2−クロロエチル)−N−ニトロソ尿素に対する抵抗性の主な理由である場合、化学療法における増感剤としてのAGT阻害剤の使用が提案された(Pegg et al.,Prog Nucleic Acid Res Mol Biol 51:167−223,1995)。米国特許第5691307号明細書には、ベンジル基上に種々の置換基を有するO6−ベンジルグアニン誘導体、及び、腫瘍細胞中のAGTレベルを減少させ、その結果アルキル化剤の使用に基づく処置への感受性を増大させる、当該誘導体の使用について記載されている。同様に、国際公開第97/20843号には、O6−ベンジル及びO6−ヘテロアリールメチルピリミジン誘導体の形態である、この使用のための他の化合物について開示されている。
【0003】
DE19903895には、AGTをビオチン化し、それにより、ストレプトアビジンで覆われたプレート上におけるその分離及びその検出を、例えばELISAアッセイを用いて可能する、ビオチン化されたO6−アルキルグアニン誘導体とAGTとの間の反応に基づく、AGT用アッセイについて開示されている。この技術は、癌組織におけるAGTレベルを測定するために、及びAGT阻害剤を強調するために提案される。
【0004】
国際公開第01/85221号は、AGTを検出するために、O6−ベンジルグアニンのフルオロ又はヨード放射活性誘導体を使用することを提案している。
【0005】
Damoiseaux他,ChemBiochem.4:285−287,2001は、オリゴデオキシリボヌクレオチドへ組み込まれるO6−アルキルグアニン誘導体、及び、化学療法の有効性を改善するために、癌細胞中のAGTの発現レベルを測定することを目的とした、AGTを標識することを意図されたプローブとしてのそれらの使用について開示している。
【0006】
国際公開第02/083937号には、AGTと融合した対象タンパク質(protein of interest)を検出及び操作するための方法であって、この融合タンパク質を、標識を有するAGT基質と接触させ、それにより、AGTへの対象分子の移動後に、この対象タンパク質を検出又は操作することを可能とすることから成る前記方法について記載されている。この出願はまた、AGTを含む種々の融合タンパク質、AGT基質の構造に関する一般的原則、並びに、種々の標識及び前記標識を検出する方法を開示している。
【0007】
国際公開第2004/031404号には、先に記載された方法で使用され得る、AGTを含む特定の融合タンパク質、及び対象タンパク質、この方法によって得られる標識化された融合タンパク質、及び前記融合タンパク質を使用する方法が記載されている。
【0008】
国際公開第2004/031405号、及び第2005/085470号には、1又は2以上の標識を有する特定のAGT基質、及びそれらの製造方法について記載されており、ここでこれらの基質は、国際公開第02/083937号に記載された方法において使用され得る。
【0009】
AGT基質の例は、以下のベンジルベンジルグアニン誘導体及びベンジルシトシン誘導体である:
【0010】
【化1】
【0011】
【化2】
【発明の概要】
【0012】
本発明は、5個又は6個の原子を有する環を含むリンカーを通じて、対象分子と共有結合されたベンジルヌクレオチドから構成される、AGT酵素又はその変異体の新規基質に関する。これらの基質は、国際公開第02/083937号に記載されたような、AGTと融合された対象タンパク質を検出及び操作するための方法の実施のために特に好適である。この技術は現在、商品名「SNAP−tag」及び「CLIP−tag」として知られる酵素を使用して、Covalysによって利用されている。
【0013】
AGT(O6−アルキルグアニン−DNAアルキルトランスフェラーゼ)は、本明細書において、その由来(ヒト、マウス、ラットなど)に関係なく、野生型AGTを、及び、ベンジルヌクレオチド基質と結合された対象分子を当該酵素のチオール基へと移動させることができるその機能的変異体を意味するものとして理解される。Covalysから販売されている、SNAP−tag酵素(Juillerat et al.,Chemistry&biology,Vol.10,313−317,April 2003)、及びCLIP−tag酵素(Gautier et al.,Chemistry&Biology,15,128−136,February 2008)は、ヒトAGTの変異体であり、その基質は各々、O6−ベンジルグアニン(以下、本明細書でBGと記載される)及びO2−ベンジルシトシン(以下、本明細書でBCと記載される)である。N−AGT酵素(Gronemeyer et al.,Protein Engineering,Design and Selection,Vol.19,No.7,pp.309−316,2006)が、この酵素の別の変異体であり、O6−ベンジルグアニンとの当該酵素の反応性は、SNAP−tag酵素の反応性よりも高い。
【0014】
全く予想外なことに、本発明のAGTの基質とこのAGT酵素との、特にそのSNAP−tag、CLIP−tag、及びN−AGT変異体との反応性は、これらの酵素の従来の基質との反応性よりも極めて高く、そしてそれは、極めてより速いAGT標識化カイネティクスによって表わされる。したがって、本発明のAGT基質によって、AGT及びその変異体の適用を、基質濃度及び標識化時間が現時点で限定的である分野(ハイスループット・スクリーニング、診断、医学的画像など)へと拡張することが可能となる。
【0015】
本発明のAGT基質は、式(I)の化合物:
【0016】
【化3】
【0017】
[式中、
Y−Oは、一緒になって、グアニン、シトシン、ウラシル、チミン、キサンチン、ヒポキサンチンから選択されるヌクレオチドを形成し;
L1及びL2はリンカーであり;
Mは対象分子又は反応性基であり;
Aは、炭素環(carbon−based ring)又は窒素原子を1つ含むヘテロ環を示し、ここで前記炭素環又はヘテロ環は芳香族であるか又は飽和されており、無置換であるか又はカルボキシル基によって置換されており、及び5又は6個の原子を含む]
である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1A】図1Aは、幾つかの官能基化された(反応性基、例えばNHS基を有する)フルオロフォアの式であり、それらの合成は、既知であるか、又はそれらは市販品であり、並びにそれらは本発明の化合物の製造のための中間体として使用され得る。
【図1B】図1Bは、幾つかの官能基化された(反応性基、例えばNHS基を有する)フルオロフォアの式であり、それらの合成は、既知であるか、又はそれらは市販品であり、並びにそれらは本発明の化合物の製造のための中間体として使用され得る。
【図2】図2は、BG−DY647及びBG−メチルベンズアミド−DY647、並びにSNAP−tag酵素との間の反応性の比較を示す。
【図3】図3は、細胞モデルにおいてSNAP−tagST26酵素を用いて得られた結果を示す。
【図4】図4は、SNAP−tagよりも反応性のある変異体であるN−AGT酵素を用いて得られた結果を示す。
【図5】図5は、SNAP−tag酵素との、BG−ATTO647N/BG−メチルベンズアミド−ATTO647Nの反応性の比較を示す。
【図6】図6は、SNAP−tag酵素との、BG−フルオレセイン−5−EX/BG−メチルベンズアミド−フルオレセイン−5−EXの反応性の比較を示す。
【図7】図7は、SNAP−tag酵素との、BG−Tb(KR)/BG−メチルベンズアミド−Tb(KR)の反応性の比較を示す。
【図8】図8は、細胞モデルにおいて、BG−メチルベンズアミド−Tb(KR)基質を使用して得られた結果を示す。
【図9】図9は、SNAP−tag酵素との、BG−DY647/BG−アミノメチルニコチンアミド−DY647の反応性の比較を示す。
【図10】図10は、細胞モデルにおいて、BC−Tb(KR)/BC−メチルベンズアミド−Tb(KR)基質を使用して得られた結果を示す。
【図11】図11は、細胞モデルにおいて、BC−DY647/BC−メチルベンズアミド−DY647基質を使用して得られた結果を示す。
【図12】図12は、SNAP−tag酵素との、BG−DY647/BG−シス−シクロヘキサン−DY647の反応性の比較を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
ヌクレオチドがグアニン、キサンチン、又はヒポキサンチンである式(I)の基質は、式(II):
【0020】
【化4】
【0021】
[式中、
L1、A、L2及びMは、上記と同一の意味を有し、並びにR1は水素、NH2基、又はOH基及びオキソ基から選択される]
に相当する。R1がNH2基又はOH基であるとき、Y−O基は各々グアニン又はキサンチンである点に留意のこと。
【0022】
R1がOH基であるとき、優勢な形態は、R1がオキソ基であり、且つプリンの2位の炭素と3位の窒素との間の結合が単結合である互変異性体である。
【0023】
R1がNH2基である式(II)の基質が好ましい。これらの好ましい基質は、ベンジルグアニンの誘導体である。
【0024】
ヌクレオチドがシトシン、チミン、又はウラシルである、式(I)の基質は、式(III):
【0025】
【化5】
【0026】
[式中、
L1、A、L2及びMは、上記と同一の意味を有し;
R2は水素、NH2、OH基及びオキソ基から選択され;並びに
R3は水素、及びCH3基から選択される]
に相当する。
【0027】
R2がOH基であるとき、優勢な形態は、R2がオキソ基であり、且つピリミジンの4位の炭素と3位の窒素との間の結合が単結合である互変異性体である。
【0028】
R2がNH2基であり、且つR3が水素原子である、式(III)の基質が好ましい。これらの好ましい基質は、シトシン誘導体である。
【0029】
置換基A
置換基Aは、炭素環、又は窒素原子を1個含むヘテロ環であって、ここで前記炭素環又はヘテロ環は芳香族であるか又は飽和されており、無置換であるか又はカルボキシル基によって置換されており、5又は6個の原子を含む。
【0030】
好ましくは、A基は、以下の群から選択される二価の基である:
【0031】
【化6】
【0032】
リンカー
リンカーL1及びL2はそれぞれ、ベンジルヌクレオチド及び対象分子をA基へとつないでいる。これらのリンカーの構造は、A基を、一方でベンジルヌクレオチドと結合させ、及び他方で対象分子と結合させるために選択される化学合成経路によって決定される。
【0033】
一般的に、リンカーは、共有結合性の単結合によって、又は以下の基から選択される二価の有機基によって構成される:1又は2以上の二重結合又は三重結合を場合により含む、直鎖又は分岐鎖のC1−C20アルキレン基;C5−C8シクロアルキレン基、及びC6−C14アリーレン基(前記アルキレン、シクロアルキレン又はアリーレン基は、1若しくは2以上のヘテロ原子、例えば酸素、窒素、硫黄、若しくはリンを、又は1若しくは2以上のカルバモイル若しくはカルボキサミド基を場合により含み、及び前記アルキレン、シクロアルキレン又はアリーレン基は、C1−C8アルキル、C6−C14アリール、スルホネート若しくはオキソ基によって場合により置換される)。
【0034】
特に、リンカーは以下の二価の基から選択され得る:
【0035】
【化7】
【0036】
【化8】
【0037】
[式中、n、m、p、rは1〜16の整数、好ましくは1〜5の整数である。]
【0038】
L1について、以下の式の二価の基が好ましい:
【0039】
【化9】
【0040】
L2について、以下の式の二価の基が好ましい:
【0041】
【化10】
【0042】
[式中、q、u、tは1〜10の整数である。]
【0043】
対象分子
上記の通り、本発明のAGT基質は、対象分子を用いてAGT酵素を標識するために使用されることが特に意図されている。この酵素が対象タンパク質との融合タンパク質の形態で発現されるとき、AGT基質が有する対象分子を用いて、前記タンパク質を、その後標識化することが可能である。
【0044】
対象分子は、SNAP−tag技術に関する文献に示されるように、非常に多様な性質及び機能を有し得、そしてそれは想定される適用に依存する。特に、対象分子は:発光性化合物又はフルオロフォア、放射性分子、1対の結合パートナーの一員、他の生体分子と相互作用することができる分子、他の分子と共有結合又は非共有結合することができる分子、H2O2及びアスコルビン酸に曝露されたときにヒドロキシルラジカルを発生することができる分子、光への曝露後に活性ラジカルを発生することができる分子、固相担体に共有結合される分子、脂質、又は、それ自体が細胞膜へ挿入され得る任意の他の分子、並びに対象とする酵素特性、化学的特性若しくは物理学的特性を有する生体分子から選択され得る。
【0045】
1つの具体的な実施形態において、対象分子は:アビジン、ストレプトアビジン、ビオチンから選択される。
【0046】
別の実施形態において、対象分子は、測定可能なシグナル、特に発光性化合物又はフルオロフォアを発生又は調節することができる標識である。
【0047】
この場合において、及び非限定の例として、対象分子は以下の発光性化合物又はフルオロフォアから選択され得る:
−有機化合物フルオロフォア、例えばシアニン及びその誘導体(特に、商品名DY647、Cy5、DY490として知られているもの)、フルオレセイン及びその誘導体、クマリン及びその誘導体、ローダミン及びその誘導体、カルボピロニン及びその誘導体、オキサジン及びその誘導体、AlexaFluor、Crystal Violet及びその誘導体、ペリレンビスイミド及びその誘導体、スクアレン、BODIPY、NBD(ニトロベンズオキサジアゾール)及びその誘導体、DABCYL(4−((4−(ジメチルアミノ)フェニル)アゾ)安息香酸)及びその誘導体;
−タンパク質フルオロフォア、例えばGFP及びそのバリアント、サンゴから抽出された蛍光性タンパク質、フィコビリタンパク質、例えばB−フィコエリトリン、R−フィコエリトリン、C−フィコシアニン、アロフィコシアニン、特にXL665の名前で知られているもの;
−蛍光性ランタニド錯体、例えばランタニドクリプテート、ランタニドキレート(特に、ユウロピウム、テルビウム、サマリウム、ジスプロシウム、ネオジミウムのキレート及びクリプテート)。
【0048】
対象分子はまた、非蛍光性エネルギーアクセプターであり得、例えば以下の商品名で知られる製品から選択され得る:Anaspec製の製品QXL、特に製品QXL570、QXL610、QXL670及びQXL680;Dyomics製の製品DYQ660及びDYQ661;Invitrogen製の製品QSY7、QSY9及びQSY21;ATTO−TEC製の製品ATTO540Q、ATTO580Q、ATTO621Q。
【0049】
好ましくは、対象分子は、以下の商品名で知られる製品から選択される:
DY647;d2;ATTO647N;ATTO465;フルオレセイン−5−EX;5,6−カルボキシフルオレセイン;ユウロピウムPy−bipyクリプテート;テルビウムDOTA−TATP錯体;ユウロピウムpy−bipy−テトラ酸クリプテート、ユウロピウムトリス−bipyクリプテート、テルビウムクリプテートTb(KR)、ユウロピウムトリス−bipy−ペンタ酸クリプテート、ユウロピウムPy−biTATPクリプテート。
【0050】
さらにより好ましくは、フルオロフォアは、以下のフルオロフォアから選択される:DY647、ATTO647N、フルオレセイン−5−ex、Tb(KR)、及びATTO465。
【0051】
図1A及び1Bは、幾つかの官能基化された(反応性基、例えばNHS基を有する)フルオロフォアの式であり、それらの合成は、既知であるか、又はそれらは市販品であり、並びにそれらは本発明の化合物の製造のための中間体として使用され得る。
【0052】
他の分子とのカップリングを促進する反応性基を有する多くのフルオロフォアは市販されている。例えば、以下のフルオロフォアは、市販のフルオロフォアである:DY647−NHS、DY490−NHS(Dyomics)、5,6−カルボキシフルオレセイン、フルオレセイン−5−EX(Invitrogen)、ATTO647N−NHS及びATTO465−NHS(ATTOTEC)、ユウロピウム トリスビピリジンクリプテート(Cisbio)。
【0053】
種々の置換基を有するシアニンの合成は、文献中で広く開示されている。特に、シアニン及びそれらの合成方法は、US5,268,486、及びUS5,627,027、並びにEP1,322,770に記載されている。
【0054】
希土類錯体は、例えば、US4761481、US5032677、US5055578、US5106957、US5116989、US4761481、US4801722、US4794191、US4637988、US4670572、US4837169、US4859777に記載されている既知の化合物である。他のキレートは9座配位子、例えばターピリジン(EP403593、US5324825、US5202423、US5316909)から成る。希土類は、好ましくはユウロピウム又はテルビウムである。
【0055】
希土類クリプテート及びその製造は特に、EP0180492、EP0601113、及び国際公開第01/96877号に記載されている。
【0056】
Tb(KR)−NHSフルオロフォアの合成は、国際公開第2008/063721号に記載されている。
【0057】
DOTA−TATP−Tb及びその合成は、R.A.Poole et al.,Org.BiomolChem.,2005,3,1013−1024に記載されている。
【0058】
反応性基
通常、反応性基は各々、求電子性又は求核性基であって、それらは好適な求核性基又は求電子性基の存在下で共有結合を形成し得る。反応性基を含む本発明の化合物と官能基を有する対象分子との間の結合反応により、反応性基由来の1又は2以上の原子を含む共有結合を形成する。好ましくは、反応性基は、以下の化合物:アクリルアミド、活性化アミン(例えばカダベリン又はエチレンジアミン)、活性化エステル、アルデヒド、アルキルハライド、無水物、アニリン、アジド、アジリジン、カルボン酸、ジアゾアルカン、ハロアセトアミド、ハロトリアジン、例えばモノクロロトリアジン、ジクロロトリアジン、ヒドラジン(ヒドラジドを含む)、イミドエステル、イソシアネート、イソチオシアネート、マレイミド、スルホニルハライド、又はチオール、ケトン、アミン、酸ハライド、ヒドロキシスクシンイミジルエステル、ヒドロキシスルホスクシンイミジルエステル、アジドニトロフェニル、アジドフェニル、3−(2−ピリジルジチオ)プロピオンアミド、グリオキサール、及び、具体的に以下の式の基:
【0059】
【化11】
【0060】
[式中、
wは0〜8であり、vは0又は1であり、及びArは1〜3個のヘテロ原子を含む、5又は6員環の飽和又は不飽和ヘテロ環であって、場合によりハロゲン原子によって置換される前記ヘテロ環である。]
の内の1つ由来の基である。
【0061】
好ましくは、反応性基は、カルボン酸、アミン、カルボン酸のスクシンイミジルエステル、ハロアセトアミド、ヒドラジン、イソチオシアネート、マレイミド基、脂肪族アミンである。
【0062】
M基が反応性基である、本発明の式(I)の化合物は、Mが対象分子である式(I)の化合物を得るために有用な合成中間体である。
【0063】
好ましい化合物
式(I’)の化合物が好ましい:
【0064】
【化12】
【0065】
[式中、
Bは、以下の式(II’)又は(III’)の基であり:
【0066】
【化13】
【0067】
(式中、
点線は式(I’)の酸素との結合を表し、
R1はH、NH2、OH基又はオキソ基から選択され、
R2はNH2、OH又はオキソから選択され、
R3は、H又はCH3基から選択される);
L2はリンカーであり;
Mは対象分子又は反応性基であり;
Aは、以下の二価の基:
【0068】
【化14】
【0069】
から選択される。]
【0070】
R2がNH2基であり、及び、R3がHである、式(III’)の化合物の基を含む式(I’)の化合物、並びにR1がNH2基である式(II’)の化合物の基を含む式(I’)の化合物が、好ましいサブファミリーを構成する。
【0071】
式(I’)は、M及びL2が先に定義された通りである、以下の式の化合物を含む。各々の式において、L1−A基の意味は以下に示される。
【0072】
L1−A基は、ベンズアミド基を形成する:
【0073】
【化15】
【0074】
L1−A基は、ニコチンアミド基を形成する:
【0075】
【化16】
【0076】
L1−A基は、イソニコチンアミド基を形成する:
【0077】
【化17】
【0078】
L1−A基は、トランス−シクロヘキシルアミド基を形成する:
【0079】
【化18】
【0080】
L1−A基は、シス−シクロヘキシルアミド基を形成する:
【0081】
【化19】
【0082】
L1−A基は、ピペリジニルアミド基を形成する:
【0083】
【化20】
【0084】
L1−A基は、カルボキシベンズアミド基を形成する:
【0085】
【化21】
【0086】
以降の本明細書において、以下の略語が使用され得る:
DCC:ジシクロヘキシルカルボジイミド
DTT:ジチオトレイトール
THF:テトラヒドロフラン
DMF:無水ジメチルホルムアミド
TBTU:O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート
TEAB:重炭酸トリエチルアンモニウム
SPDP:N−スクシンイミジル3−[2−ピリジルジチオ]プロピオネート
TCEP:トリス[2−カルボキシエチル]ホスフィン塩酸塩
DMSO:無水ジメチルスルホキシド
DIPEA:ジイソプロピルエチルアミン
TFA:トリフルオロ酢酸
BG:O6−ベンジルグアニン
BC:O2−ベンジルシトシン
【0087】
DMEM培地:「Dulbecco変法イーグル培地」細胞培養培地、市販されており、且つ多くの適用において使用されている。
FCS:ウシ胎仔血清
NHSのエステル:N−ヒドロキシスクシンイミドのエステル
FRB:FKBP−ラパマイシン複合体との、FRAPタンパク質の結合ドメイン(「FRAPの、FKBP-ラパマイシン結合ドメイン」)
FRAP:FKBP−ラパマイシン複合体に結合するタンパク質(「FKBP-ラパマイシン結合タンパク質」)
FKBP:FK506に結合するタンパク質(「FK506結合タンパク質」)
GST:グルタチオン−S−トランスフェラーゼラーゼ
TBP:トリスビピリジン。表現「ユウロピウムTBPクリプテート」又は頭字語KTBPは、Cisbioから市販されている、図1Aで示される式の化合物を示す。
【0088】
以下のフルオロフォアは市販されている:DY−647−NHS(Dyomics)、5,6−カルボキシフルオレセイン、フルオレセイン−5−EX(Invitrogen)、ATTO647N−NHS(ATTOTEC)及びユウロピウムトリスビピリジンクリプテート(Cisbio)。
【0089】
Tb(KR)−NHSフルオロフォアの合成は、国際公開第2008/063721号に記載されている。
【0090】
合成:
I)ベンジルグアニン−フルオロフォア型の化合物の合成
これらの化合物は、実験編にて参考化合物として示される化合物である:それらはベンジルグアニンとフルオロフォアとの間にL1−A−L2基を含まない。
【0091】
これらの化合物の製造は、文献中に記載されており、そしてそれは、反応性基を有するフルオロフォアと反応できる、別の反応性基を有するBG誘導体を接触させることにある。以下の合成スキームは、BG−NH2又はBG−SH誘導体の使用に基づき、そしてそれらは、N−ヒドロキシスクシンイミド又はマレイミド基のエステルを有するフルオロフォアと接触され得る。かかるフルオロフォアは市販されている。
【0092】
BG−NH2は、Antje Keppler et al.,Nature Biotechnology,2003,21,86−89に記載されたプロトコールに従って合成された。
【0093】
BG−SHの合成
BG−SHを、スキーム1に記載された順番に従って合成した。BG−SHとSPDP(N−スクシンイミジル3−[2−ピリジルジチオ]プロピオネート)との反応の後、ジスルフィド架橋をTCEP(トリス[2−カルボキシエチル]ホスフィン)塩酸塩又はDTTで還元して、当業者に周知の操作条件にて、高収率で所望のBG−SHを得た。
【0094】
【化22】
【0095】
BG−フルオロフォア及びBG−S−フルオロフォアの合成
BG−フルオロフォア及びBG−S−フルオロフォアを、この種のカップリングで一般的に使用される方法に従って製造した。BG−NH2を、NHSエステル基を含むフルオロフォアと速やかに反応させ、分取HPLCによる精製後に、対応するBG−フルオロフォアを得た。フルオロフォアがマレイミド基を有する場合、BG−SHが使用され、BG−S−フルオロフォアを得た(スキーム2)。
【0096】
【化23】
【0097】
II)ベンジルグアニン−L1−A−L2−フルオロフォア型の、本発明の化合物の合成:
以下の合成スキームは、B基がグアニンである化合物に関し、そして対象分子はフルオロフォアである;グアニン以外の基、又はフルオロフォア以外の対象分子を含む化合物の合成は、同一の工程又は実質的に類似のステップを使用する。
【0098】
これらの化合物の製造はまた、種々の反応性基を使用する従来の結合技術の使用に基づく。これらの従来技術は、例えば、Bioconjugate Techniques,G.T.Hermanson,Academic Press,1996,p.137−166に記載されている。
【0099】
特に、これらの化合物の合成は、以下の必須工程を含む:
(a)それらの1つが従来の保護基によって保護されている、2つの反応性基を有するA基の合成;
(b)保護された反応性基及び活性化された反応性基を有するA基を得るための、無保護の反応性基の活性化;
(c)A基中の活性化された反応性基と反応することができる、反応性基を有するBGの誘導体と、先の工程で得られた製造物とを接触させ、BG−L1−A−[保護された反応性基]を形成させること;
(d)A基中の保護された反応性基の脱保護;並びに
(e)先の工程で得られた製造物中のものと反応することができる、反応性基を有するフルオロフォアと、先の工程で得られた製造物とを接触させて、製造物であるBG−L1−A−L2−フルオロフォアを得ること。
【0100】
この非常に一般的な手順の使用は、スキーム及び以下のプロトコール中に、並びに実験編中により詳細に記載されている。
【0101】
保護されたアミン及びカルボキシル基を有する好ましいA基の合成
1)メチルベンズアミドの前駆体
【0102】
【化24】
【0103】
4−アミノメチル安息香酸をトリフルオロアセテート体で保護し、後の合成において微かに塩基性の媒体中で穏和に脱保護を行う。
【0104】
2)メチルニコチンアミド及びメチルイソニコチンアミドの前駆体
【0105】
【化25】
【0106】
市販のシアノニコチニル誘導体から、対応するアミノメチルニコチニル化合物を水素化により得る。アミノ基をその後、トリフルオロアセテート基により保護する。
【0107】
3)トランス-シクロヘキシルアミド、シス-シクロヘキシルアミド、及びピペリジニルアミドの前駆体
【0108】
【化26】
【0109】
上の化合物は市販されているか、又は当業者に周知の手順により合成され得る。
4)カルボキシメチルアジドベンズアミドの前駆体
【0110】
【化27】
【0111】
一般的に使用される標準的条件を用いて、3−ブロモ−4−メチル安息香酸は、対応する3−カルボキシメチル−4−メチル安息香酸へと変換される:求電子種(炭酸ジメチル又はClCO2Me)と反応するリチオ化種の、ハロゲン-リチウム交換による形成。遊離のカルボン酸基をその後、オルソゴナルな脱保護系を得ることが可能な、tert−ブチルエステル形態で保護する。アジドの導入を2工程で行う:芳香族メチルのラジカル臭素化の後、アジ化ナトリウムによる臭素原子の置換。最終的に、tert−ブチルエステルを、TFA存在下で脱保護して、所望の前駆体を得る。
【0112】
反応性基を有するA基と、ベンジルグアニン及びフルオロフォアとのカップリング
1)NHSフルオロフォア
フルオロフォアがNHSのエステルの形態で使用されるときの、ベンジルグアニン及びフルオロフォアを含む、本発明の製造物の一般的合成計画をスキーム3に示す。N−保護されたA基(合成又は出所は先に示された通りである)を無水物の形態(DCCの使用)か、又はN−ヒドロキシスクシンイミジルエステルの形態(TBTUの使用)のいずれかで活性化する。これらの中間体をBG−NH2と速やかに反応させ、式BG−L1−A(N−保護)の製造物を得る。
【0113】
A基の窒素原子における保護基の機能として、使用される脱保護条件が、化合物BG−L1−A−NH2を得ることを可能とする。N−ヒドロキシスクシンイミジルエステル基を含むフルオロフォアの存在下、この化合物は穏和な条件下で反応して、化合物BG−L1−A−L2−フルオロフォアを得る。
【0114】
2)マレイミドフルオロフォア
マレイミド官能基を有するフルオロフォアを使用することも可能である。L1−A基を有するBG誘導体は、BG−L1−A−NH2からのBG−SHの合成で記載したものと同一の計画に従って製造され得る。したがって、BG−L1−A−NH2をSPDPと反応させ、その後TCEPで還元することで、化合物BG−L1−A−NH−CO−(CH2)2−SHを得ることができる(スキーム4)。その後、マレイミド基を有するフルオロフォアの存在下でBG−L1−A−L2−フルオロフォアを得る。
【0115】
本発明の化合物は、対象分子及びAGT酵素を含む融合タンパク質を標識化するためにもちろん特に好適である。したがって、本発明はまた、AGT酵素を有する融合タンパク質の形態で発現される対象タンパク質を、置換基Mを用いて標識化する方法に関し、この方法は、前記融合タンパク質を本発明の化合物と接触させる工程を含む。インビトロにおける、及び細胞モデル中における、種々のAGTバリアントとの本発明の化合物の酵素反応性を試験するために、この方法は、本明細書の以下の実施例において実施される。
【0116】
【化28】
【0117】
【化29】
【0118】
酵素反応性試験
以下の実施例の目的は、参考基質(ベンジルヌクレオチド−フルオロフォア型)から出発して、又は本発明の化合物(ベンジルヌクレオチド−L1−A−L2−フルオロフォア)から出発して、AGT酵素を含む融合タンパク質(SNAP−tag、N−AGT、又はCLIP−tag)への、フルオロフォアの移動カイネティクスを測定することである。
【0119】
これらの実施例から、先行技術の基質と比較して、本発明の基質の、SNAP−tag酵素及びこれらのバリアントの一つとのより高い反応性を実証することが可能となる。
【0120】
SNAP−tag酵素との当該基質の反応性の測定は、インビトロでのモデルか、又は生細胞モデルのいずれかで行われる。
【0121】
インビトロ・モデルにおける、酵素反応性の手順:
SNAP−tag酵素との本発明の基質の反応性試験は、組み換えタンパク質を標識化するインビトロ試験に基づく。この標識化は、1対のFRETパートナーのフルオロフォアメンバーによって各々標識化される、2つのタンパク質の間のFRETシグナルの検出により実証される。
【0122】
この場合において、ラパマイシンの存在下で相互作用するFRB及びFKBPが使用される。
【0123】
FKBPタンパク質は、SNAP−tag技術を用いて、第一のフルオロフォアによって標識化される:このために、GST−SNAPtag−FKBP融合タンパク質が、市販のキット(SNAP発現pSTE7−26bキット,Covalys Biosciences AG,Witterswil/Switzerland)のプロトコールに従って、pSET7−26bプラスミドから製造される。この融合タンパク質をその後、参考BG誘導体と結合した第一のフルオロフォアと、又は本発明のBG誘導体と結合した第一のフルオロフォアと接触させる。
【0124】
FRBタンパク質自体は、場合に応じて、ドナー蛍光性化合物(ユウロピウムTBPクリプテート(KTBP),Cisbio Bioassay)との、又はアクセプター蛍光性化合物(DY647,Dyomics)との従来の結合技術によって、これらの化合物で提供されるプロトコールに従って、カップリングされる。
【0125】
以下の表は、以下の実施例1〜4の各々における、フルオロフォア対の性質を説明する:
【0126】
【表1】
【0127】
各々の実施例において、2nmolの、ユウロピウムクリプテート又はDY647(第二のフルオロフォア)で標識されたFRB組み換えタンパク質を、2nmolのGST−SNAP−tag−FKBP組み換えタンパク質、及び増加する濃度の第一のフルオロフォア(先行技術のBG−フルオロフォア、又は本発明のBG−L1−A−L2−フルオロフォア)によって標識化されたBGと、常温で共インキュベート(co−incubate)した。
【0128】
蛍光の読み取りは、337nmでの励起後、RubyStarマシーン(BMG laboratory)にて、620nm及び665nmで行った。100nMのラパマイシンによる、FRB/FKBPタンパク質相互作用の誘導の前及び後に読み取りを行った。この相互作用は、TR−FRETシグナルの放出により示された。SNAP−tag酵素は、単一の蛍光性基に付着し得るため、TR−FRETシグナルの増大は、反応媒体中の標識化されたタンパク質のパーセンテージと直接的に比例する。このインビトロのモデルにより、当該反応に関与する過剰の基質の関数としての酵素標識カイネティクスを定めることが可能となる。
【0129】
当該結果は、以下の式に従って、d665としてか、又は%標識かのいずれかで示される:
d665=(GST−ST−FKBPタンパク質有りの場合の、665nmでのシグナル)−(GST−ST−FKBPタンパク質無しの場合の、665nmでのシグナル)
【0130】
%標識は、18時間のインキュベーション後に得られる最大標識に相当するシグナルと比較して得られる。
%標識=(測定時間tでのd665/18時間インキュベーション後のd665)×100
【0131】
細胞モデルにおける、酵素反応性試験の手順
この手順により、タイプ2膜貫通型グルタメート受容体(mGluR2)との融合タンパク質の形態である、COS7細胞により発現されるAGTと、本発明の基質との反応性を試験することが可能となる。
【0132】
種々のAGT変異体がこの試験で分析された:Covalys製の SNAP−tag−ST26若しくはCLIP−tag、又はGronemeyer et al.(Protein Engineering,Design&Selection,Vol.19,No.7,pp.309−316,2006)に記載されているN−AGT変異体。
【0133】
プラスミド:
−市販のキット(SNAP発現pSTE7−26bキット,Covalys Biosciences)のプロトコールに従って、pSET7−26bプラスミドから製造された、SNAP−tag−mGluR2プラスミド。
−Invitrogen pcdna3.1プラスミド。このプラスミドは、ネガティブ・コントロールとして使用される;このプラスミドをトランスフェクトされた細胞は、「mock」と表示され、そしてそれは、非特異的標識のレベルを決定することを可能とする。
【0134】
プロトコール:
細胞の一過性トランスフェクションを、Bioradエレクトロポレーターを使用するエレクトロポレーションにより行った:1000万個の細胞が、1μgのSNAP−tag−mGluR2+3μgのpcdna3.1により最終体積300μlでトランスフェクトされた。エレクトロポレーション・パラメーターは、280V及び1000μFである。
【0135】
細胞をその後、ポリオルニチンと共に30分間37℃でインキュベートし、Greiner plates(不透明黒底)に、1ウェル当たり150000細胞で播いた。
【0136】
DMEM+フェノール・レッド+10%FCS+ペニシリン/ストレプトマイシン+非必須アミノ酸培地中、37℃、5%CO2で細胞を培養した。24時間の発現後、第一の洗浄操作を、これと同一の100μlの培地を用いて行った。
【0137】
AGT−mGluR2融合タンパク質の標識を、100μlの完全培地中、本発明のBG−フルオロフォア又はBG−L1−A−L2−フルオロフォアの濃度を増加させながら、1時間、37℃で行った。読み取り前に、4回の洗浄操作を、100μlのTris−Krebsを用いて行った。
【0138】
フルオロフォアとしてATTO647(実施例2)、DY647(実施例1及び5)、並びにフルオレセイン−5−EX(実施例3)を有する基質について、100μlのTris−Krebs中にて、Rubystarマシーンにて、682nmの直接的蛍光を、及びフルオレセイン−5−EX(実施例3)を有するものについては520nmにおける直接的蛍光を読み取った。
【0139】
テルビウムKR錯体を有する基質(実施例4及び6)について、100μlのTris−Krebs中にて、Rubystarマシーンにて、620nmの時間分解蛍光を読み取った。
【実施例】
【0140】
実施例1:BG−メチルベンズアミド−DY647
BG−DY647及びBG−メチルベンズアミド−DY647、並びにSNAP−tag酵素との間の反応性の比較
参考基質BG−DY647の構造:
【0141】
【化30】
【0142】
基質BG−メチルベンズアミド−DY647の構造:
【0143】
【化31】
【0144】
・インビトロにおける、酵素反応性及びタンパク質標識の結果
図2は、SNAP−tag酵素の標識のパーセンテージ変化を、基質濃度の関数として示す。これらの結果は、メチルベンズアミド・ユニットを含む本発明の基質との30分間のインキュベーション後に、標識が著しく改善されることを示しており、これは試験される基質の濃度に無関係であった。
【0145】
・細胞モデルにおいて得られた結果
SNAP−tag ST26酵素を用いた効果
酵素の半飽和濃度は、参考化合物を用いた場合において168nMであったが、本発明の基質を用いた場合において、たった91.3nMであった(図3)。生細胞で得られたこれらの結果は、インビトロ・モデルにおいて得られた結果を裏付けている。本発明の化合物における、この低い半飽和濃度は、低い基質濃度で、ここにおいて100nM未満で作用することを可能とする。
【0146】
AGTの別の変異体に対する本発明の基質の効果を確認するために、N−AGT変異体を用いた細胞外標識のキャラクタリゼーションを行った。
【0147】
N−AGT酵素を用いた効果
図4は、SNAP−tagよりも反応性のある変異体であるN−AGT酵素を用いて得られた結果を示し、半飽和濃度が、参考基質と比較して(43nm)、本発明の化合物において(22.3nm)約2倍低かった。この実施例は、本発明の基質のより大きな反応性は、SNAP−tag ST−26酵素に特異的なものではなく、この酵素の変異体が使用されるときにおいても観察されることを示している。
【0148】
実施例2:BG−メチルベンズアミド−ATTO647
SNAP−tag酵素との、BG−ATTO647N/BG−メチルベンズアミド−ATTO647Nの反応性の比較
参考基質BG−ATTO647Nの構造:
【0149】
【化32】
【0150】
基質BG−メチルベンズアミド−ATTO647Nの構造:
【0151】
【化33】
【0152】
・インビトロにおける、酵素反応性及びタンパク質標識の結果
図5は、SNAP−tag酵素の標識のパーセンテージ変化を、30分間のインキュベーション後における基質濃度の関数として示す:ここにおいても、ATTO647Nによって標識化された酵素のパーセンテージは、本発明の基質が使用されたときに著しく優れていることが観察され、これは試験される基質の濃度に無関係であった。
【0153】
同様の結果が、2つの異なるフルオロフォア、DY647(実施例1)及びATTO647で得られているため、この実施例は、本発明の基質の効果が、対象分子の性質に依存しないことを示している。
【0154】
実施例3:BG−メチルベンズアミド−フルオレセイン−5−EX
SNAP−tag酵素との、BG−フルオレセイン−5−EX/BG−メチルベンズアミド−フルオレセイン−5−EXの反応性の比較。
参考基質BG−フルオレセイン−5−EXの構造:
【0155】
【化34】
【0156】
基質BG−メチルベンズアミド−フルオレセイン−5−EXの構造:
【0157】
【化35】
【0158】
・インビトロにおける、酵素反応性及びタンパク質標識の結果
図6において示された結果は、ここにおいても、SNAP−tag ST−26酵素との本発明の基質の反応性が、参考基質の反応性よりも優れていることを示しており、そしてこれは、参考基質であるBG−フルオレセイン−5−EXの反応性が十分であると考えられ得るとしてもである。これらの結果はまた、本発明の基質の効果が、それに結合される対象分子の性質に依存しないことを裏付けている。
【0159】
実施例4:BG−メチルベンズアミド−Tb(KR)
SNAP−tag酵素との、BG−Tb(KR)/BG−メチルベンズアミド−Tb(KR)の反応性の比較。
参考基質BG−Tb(KR)の構造:
【0160】
【化36】
【0161】
基質BG−メチルベンズアミド−Tb(KR)の構造:
【0162】
【化37】
【0163】
・インビトロにおける、酵素反応性及びタンパク質標識の結果
図7の結果は、参考基質と比較して、SNAP−tag酵素との、本発明の基質のより優れた反応性を示す。結合された分子は先の実施例のような有機化合物フルオロフォアではなく、ポリ大員環と希土類元素から成る錯体であり、そしてそれは先の実施例において試験されたフルオロフォアよりもずっと嵩高い点が特徴である。
【0164】
この実施例は、種々の分子と結合し得る、本発明の基質の普遍的性質を再度示している。
【0165】
・細胞モデルにおいて得られた結果
BG−メチルベンズアミド−Tb(KR)基質を使用して、生細胞の表面において発現された膜貫通タンパク質を標識した時に、インビトロ・モデルにて得られた結果は裏付けられた。本発明の基質を用いて測定された半飽和濃度は、SNAP−tag−ST26酵素において15.4nM、N−AGT変異体において6.4nMであったが(図8)、参考基質であるBG−Tb(KR)(SNAP−tag)を用いた時は60nMであった。
【0166】
実施例5:BG−アミノニコチンアミド−DY647
SNAP−tag酵素との、BG−DY647/BG−アミノメチルニコチンアミド−DY647の反応性の比較。
参考基質BG−DY647の構造:
【0167】
【化38】
【0168】
基質BG−アミノメチルニコチンアミド−DY647の構造:
【0169】
【化39】
【0170】
・インビトロにおける、酵素反応性及びタンパク質標識の結果
図9の曲線は、アミノメチルニコチンアミド・ユニットを含む基質との30分間のインキュベーション後に標識化された酵素のパーセンテージはまた、参考基質で観察されたものよりもずっと優れていることを示し、これは基質の濃度に無関係であった。
【0171】
さらに、アミノメチルニコチンアミド・ユニットを含む基質で観察された反応性の増加は、メチルベンズアミド・ユニットを含む基質で観察されたものと同一桁の大きさであった。
【0172】
これらの結果は、特定の可変性が、本発明の基質の芳香族ユニット(式IのユニットA)において可能であることを示唆している。
【0173】
実施例6:BG−アミノニコチンアミド−Tb(KR)
SNAP−tag酵素との、BG−Tb(KR)/BG−アミノニコチンアミド−Tb(KR)の反応性の比較。
参考基質BG−Tb(KR)の構造:
【0174】
【化40】
【0175】
基質BG−アミノメチルニコチンアミド−Tb(KR)の構造:
【0176】
【化41】
【0177】
先の実施例の化合物で得られた結果と同様の結果が得られた。
【0178】
実施例7:BC−メチルベンズアミド−Tb(KR)
CLIP−tag酵素との、BC−Tb(KR)/BC−メチルベンズアミド−Tb(KR)の反応性の比較。
【0179】
先に記載された通り、CLIP−tag酵素は、ベンジルシトシン誘導体と反応するAGT変異体であって、SNAP−tag酵素と同様、Covalysから市販されている。
参考基質BC−Tb(KR)の構造:
【0180】
【化42】
【0181】
基質BC−メチルベンズアミド−Tb(KR)の構造:
【0182】
【化43】
【0183】
・細胞モデルにおいて得られた結果
本実施例において使用された細胞モデルは、先の実施例において使用されたものとは異なる:融合タンパク質CLIPtag−mGluR2をコードするプラスミド、及び融合タンパク質SNAPtag−mGluR2をコードする別のプラスミドを用いて細胞がコトランスフェクトされるか、又は融合タンパク質SNAPtag−mGluR2をコードする単一のプラスミドを用いて細胞がトランスフェクトされた。
【0184】
各々の細胞群を、300nMのBG−メチルベンズアミド−DY647、及び、増加する濃度の参考基質(BC−Tb(KR))又は本発明の基質(BC−メチルベンズアミド−Tb(KR))の存在下でインキュベートした。Rubystarマシーンにおいて、TR−FRETモードで665nmにて蛍光を測定した。測定されたシグナルは、DY647及びTb(KR)の各々により標識化されたmGluR2の2つの単量体の二量化の後における、エネルギー移動の指標である。
【0185】
本発明のベンジルシトシン誘導体による、CLIPtagの半飽和濃度は131nMであって、一方、参考化合物においては820nMであることが図10で観察された(SNAPtag−mGluR2を発現する細胞において観察されるシグナルは、CLIPtagによるBG−DY647の非特異的固定化のシグナルにのみ対応する)。
【0186】
この実施例は、本発明の基質の予想外の効果が、SNAPtag/ベンジルグアニンに限定されるものではなく、CLIPtag/ベンジルシトシンにおいても観察されることを裏付けている。
【0187】
実施例8:BC−メチルベンズアミド−DY647
CLIP−tag酵素との、BC−DY647/BC−メチルベンズアミド−DY647の反応性の比較。
【0188】
本実施例は、実施例7と同一の方法で行われたが、300nMのBG−メチルベンズアミド−Tb(KR)、及び増加する濃度の参考基質(BC−DY647)又は本発明の基質(BC−メチルベンズアミド−DY647)の存在下において細胞がインキュベートされた。それらの式は以下の通りである:
【0189】
参考基質(BC−DY647)
【0190】
【化44】
【0191】
基質BC−メチルベンズアミド−DY647:
【0192】
【化45】
【0193】
図11に示された結果は、本参考基質に対して(半飽和:1579nM)に対して、本発明の基質のより優れた反応性を裏付けている(半飽和:240nM)。
【0194】
実施例9:BG−シス−シクロヘキサン−DY647
SNAP−tag酵素との、BG−DY647/BG−シス−シクロヘキサン−DY647の反応性の比較。
参考基質BG−DY647(化合物1)の構造:
【0195】
【化46】
【0196】
基質BG−シス−シクロヘキサン−DY647(化合物29)の構造:
【0197】
【化47】
【0198】
・インビトロにおける、酵素反応性及びタンパク質標識の結果
図12の曲線は、シス−シクロヘキサン・ユニットを含む基質との1時間のインキュベーション後に標識化された酵素のパーセンテージは、参考基質で観察されたものよりもずっと優れていることを示し、これは基質の濃度に無関係であった。
【0199】
実施例10:BG−メチルベンズアミド−Atto465
SNAP−tag酵素との、BG−Atto465/Bg−メチルベンズアミド−Atto465の反応性の比較。
参考基質BG−Atto465(化合物35)の構造:
【0200】
【化48】
【0201】
基質BG−メチルベンズアミド−Atto465(化合物36)の構造:
【0202】
【化49】
【0203】
・細胞モデルにおいて得られた結果
生細胞の表面において発現された膜貫通タンパク質の標識化は、BG−メチルベンズアミド−Atto465基質が、参考基質よりも、ずっと優れたSNAP−tagとの反応性を有することを示した。BG−メチルベンズアミド−Atto465を用いて測定された半飽和濃度は213nMであったが、BG−Atto465基質を用いた時は1983nMであった。
【0204】
以下の化合物の合成を以下において説明する:
化合物1:ベンジルグアニン−Dy647
化合物2:ベンジルグアニン−5,6−カルボキシフルオレセイン
化合物3:ベンジルグアニン−フルオレセイン−5−EX
化合物4:ベンジルグアニン−ATTO647N
化合物5:ベンジルグアニン−Tb(KR)
化合物6:4−((2,2,2−トリフルオロアセトアミド)メチル)安息香酸
化合物7:トリフルオロアセトアミドメチルベンズアミド−BG
化合物8:アミノメチルベンズアミド−BG
化合物9:Dy647−メチルベンズアミド−BG
化合物10:ATTO647N−メチルベンズアミド−BG
化合物11:5,6−カルボキシフルオレセイン−メチルベンズアミド−BG
化合物12:フルオレセイン−5−EX−ベンジルアミド−BG
化合物13:Tb(KR)−メチルベンズアミド−BG
化合物14:BG−SH
化合物15:BG−メチルベンズアミド−SH
化合物16:2−(トリフルオロアセトアミドメチル)ニコチン酸
化合物17:2−(トリフルオロアセトアミドメチル)イソニコチン酸
化合物18:DY647−アミノメチルイソニコチンアミド−ベンジルグアニン
化合物19:DY647−アミノメチルニコチンアミド−ベンジルグアニン
化合物20:Tb(KR)−アミノメチルニコチンアミド−ベンジルグアニン
化合物21:ベンジルグアニン−N−Fmoc−ピペリジン
化合物22:ベンジルグアニン−ピペリジン
化合物23:DY647−ピペリジン−ベンジルグアニン
化合物24:ベンジルグアニン−トランス−4−(Fmoc−アミノ)シクロヘキサン
化合物25:ベンジルグアニン−トランス−4−アミノシクロヘキサン
化合物26:DY647−トランス−シクロヘキサン−ベンジルグアニン
化合物27:ベンジルグアニン−シス−4−(Fmoc−アミノ)シクロヘキサン
化合物28:ベンジルグアニン−シス−4−アミノシクロヘキサン
化合物29:DY647−シス−シクロヘキサン−ベンジルグアニン
化合物30:ベンジルシトシン−DY647
化合物31:ベンジルシトシン−Tb(KR)
化合物32:アミノメチルベンズアミド−BC
化合物33:DY647−メチルベンズアミド−BC:
化合物34:Tb(KR)−メチルベンズアミド−BC:
化合物35:Atto465−BG:
化合物36:Atto465−メチルベンズアミン−BG:
【0205】
化合物1:ベンジルグアニン−DY647
【0206】
【化50】
【0207】
10mlの丸底フラスコに4.2mg(15.5μmol)の6−アミノメチルベンジルグアニン、及び11.8mg(15.5μmol)のDY647−NHSを導入した。製造物を4mlの無水ジメチルスルホキシドに部分的に溶解した。
【0208】
当該混合物を1時間撹拌した。Merck Lichrospher RP°18,5μmol,125×4.6カラムを用いたHPLCにて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて、反応を観測した。
【0209】
分取HPLCによる精製を、Vydac C18,10μm,250×22カラムを用いて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて行った。
【0210】
フラクションを回収し、減圧下濃縮した。所望の製造物に相当する青色固体を得た(光学密度測定8.5μmol、55%)。
MS(ES+)m/z:[M+H+]895.3
【0211】
化合物2:ベンジルグアニン−5,6−カルボキシフルオレセイン
【0212】
【化51】
【0213】
1.5mlのエッペンドルフチューブへ、10mmol/lの6−アミノメチルベンジルグアニン(1μmol)を含有する100μlの無水ジメチルスルホキシド溶液、及び10mmol/lの5,6−カルボキシフルオレセイン−NHS(1μmol)を含有する100μlの無水ジメチルスルホキシド溶液を導入した。
【0214】
当該混合物を1時間撹拌した。Merck Lichrospher RP°18,5μmol,125×4.6カラムを用いたHPLCにて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて、反応を観測した。
【0215】
分取HPLCによる精製を、Vydac C18,10μm,250×22カラムを用いて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて行った。
【0216】
フラクションを回収し、減圧下濃縮した。所望の製造物に相当する黄色固体を得た(光学密度測定900nmol、90%)。
MS(ES+)m/z:[M+H+]629.1.
【0217】
化合物3:ベンジルグアニン−フルオレセイン5−Ex
【0218】
【化52】
【0219】
1.5mlのエッペンドルフチューブへ、10mmol/lの6−アミノメチルベンジルグアニン(1μmol)を含有する100μlの無水ジメチルスルホキシド溶液、及び10mmol/lのフルオレセイン−5−EX−NHS(1μmol)を含有する100μlの無水ジメチルスルホキシド溶液を導入した。
【0220】
当該混合物を1時間撹拌した。Merck Lichrospher RP°18,5μmol,125×4.6カラムを用いたHPLCにて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて、反応を観測した。
【0221】
分取HPLCによる精製を、Vydac C18,10μm,250×22カラムを用いて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて行った。
【0222】
フラクションを回収し、減圧下濃縮した。所望の製造物に相当する黄色固体を得た(光学密度測定650nmol、65%)。
MS(ES+)m/z:[M+H+]746.1.
【0223】
化合物4:ベンジルグアニン−ATTO647N
【0224】
【化53】
【0225】
10mlの丸底フラスコに1.8mg(6.7μmol)の6−アミノメチルベンジルグアニン、及び5mg(6.6μmol)のATTO647−NHSを導入した。製造物を4mlの無水ジメチルスルホキシドに部分的に溶解した。
【0226】
当該混合物を1時間撹拌した。Merck Lichrospher RP°18,5μmol,125×4.6カラムを用いたHPLCにて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて、反応を観測した。
【0227】
分取HPLCによる精製を、Vydac C18,10μm,250×22カラムを用いて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて行った。
【0228】
フラクションを回収し、減圧下濃縮した。所望の製造物に相当する青色固体を得た(光学密度測定3.6μmol、54.5%)。
MS(ES+)m/z:[M+H+]898
【0229】
化合物5:ベンジルグアニン−Tb(KR)
【0230】
【化54】
【0231】
1.5mlのエッペンドルフチューブへ、10mmol/lの6−アミノメチルベンジルグアニン(1μmol)を含有する100μlの無水ジメチルスルホキシド溶液、及び10mmol/lのTb(KR)−NHS(1μmol)を含有する100μlの無水ジメチルスルホキシド溶液を導入した。
【0232】
当該混合物を1時間撹拌した。Merck Lichrospher RP°18,5μmol,125×4.6カラムを用いたHPLCにて、25mMのトリエチルアンモニウムアセテートを含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて、反応を観測した。
【0233】
分取HPLCによる精製を、Vydac C18,10μm,250×22カラムを用いて、25mMのトリエチルアンモニウムアセテートを含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて行った。
【0234】
フラクションを回収し、減圧下濃縮した。所望の製造物に相当する白色固体を得た(光学密度測定650nmol、65%)。
MS(ES+)m/z:[M+H+]1685.6
【0235】
化合物6:4−((2,2,2−トリフルオロアセトアミド)メチル)安息香酸
【0236】
【化55】
【0237】
100mlの丸底フラスコへ、2.38g(15.7mmol)の4−(アミノメチル)安息香酸を量り取った。丸底フラスコを氷浴へ入れ、5.6ml(59mmol)のトリフルオロ酢酸無水物をゆっくりと添加した。添加終了後、反応混合物を常温に戻し、そして当該混合物を2時間撹拌した。
【0238】
4℃、16.5mlの水を加えた。沈殿物を、フリットを通じてろ過し、4℃の2×3mlの水を用いて洗浄し、五酸化リンの存在下、真空で48時間乾燥した。
【0239】
所望の製造物に相当する白色固体(3.27g、13.2mmol、84%)を得た。
MS(ES-)m/z:[M−H+]246.2
【0240】
化合物7:トリフルオロアセトアミドメチルベンズアミド−BG
【0241】
【化56】
【0242】
10mlの丸底フラスコへ、593g(2.4mmol)のトリフルオロアセトアミドメチル安息香酸を量り取った。この酸を4mlの無水テトラヒドロフランに溶解し、324.4mg(1.2mmol)の1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミドを加えた。それを常温で2時間撹拌した。得られるジシクロヘキシル尿素の白色沈殿物を、フリットを通じてろ過した。
【0243】
25mlの丸底フラスコへ、162.2mg(0.6mmol)の6−アミノベンジルグアニンを量り取り、2mlの無水ジメチルホルムアミドを加えた。次に、トリフルオロアセトアミドメチル安息香酸無水物のTHF溶液、及び200μlのジイソプロピルエチルアミンを加えた。反応混合物を常温で、2時間撹拌した。Merck Lichrospher RP°18,5μmol,125×4.6カラムを用いたHPLCにて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて、反応を観測した。
【0244】
反応混合物を、黄色固体が生じるまで、減圧下にて溶媒を蒸発乾固させた。5mlのアセトニトリル中でそれを砕き、フリットを通じてろ過した。その後、2×1mlのアセトニトリルで洗浄し、48時間真空乾燥した。
【0245】
所望の製造物に相当するベージュ色固体(289mg、0.58mmol、96%)を得た。
MS(ES+)m/z:[M+H+]500.1
【0246】
化合物8:アミノメチルベンズアミド−BG
【0247】
【化57】
【0248】
50mlの丸底フラスコへ、25mg(50μmol)のN−(4−((2−アミノ−9H−プリン−6−イルオキシ)メチル)ベンジル)−4−((2,2,2−トリフルオロアセトアミド)メチル)ベンズアミドを量り取った。10mlのメタノール、2mlの飽和Na2CO3水溶液、及び4mlの水を加えた。常温で一晩撹拌した。Merck Lichrospher RP°18,5μmol,125×4.6カラムを用いたHPLCにて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて、脱保護を観測した。
【0249】
分取HPLCによる精製を、Vydac C18,10μm,250×22カラムを用いて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて行った。
【0250】
フラクションを回収し、減圧下濃縮した。所望の製造物に相当する白色固体(17.5mg、43μmol、87%)を得た。
MS(ES+)m/z:[M+H+]404.3.
【0251】
化合物9:DY647−メチルベンズアミド−BG
【0252】
【化58】
【0253】
2μmolのアミノメチルベンズアミド−BGを100μlの無水ジメチルスルホキシドに溶解した。2μmolのDY647−NHSの、300μl無水ジメチルスルホキシド溶液、及び2μlのジイソプロピルエチルアミンを加えた。常温で2時間撹拌した。
【0254】
Merck Lichrospher RP°18,5μmol,125×4.6カラムを用いたHPLCにて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて、反応を観測した。
【0255】
分取HPLCによる精製を、Vydac C18,10μm,250×22カラムを用いて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて行った。
【0256】
フラクションを回収し、減圧下濃縮した。所望の製造物に相当する青色固体(光学密度測定1μmol、50%)を得た。
MS(ES+)m/z:[M+H+]1028.4.
【0257】
化合物10:ATTO647N−メチルベンズアミド−BG
【0258】
【化59】
【0259】
200nmolのアミノメチルベンズアミド−BGを100μlの無水ジメチルスルホキシドに溶解した。200nmolのATTO647N−NHSの、20μl無水ジメチルスルホキシド溶液、及び1μlのジイソプロピルエチルアミンを加えた。反応混合物を常温で2時間撹拌した。
【0260】
Merck Lichrospher RP°18,5μmol,125×4.6カラムを用いたHPLCにて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて、反応を観測した。
【0261】
分取HPLCによる精製を、Vydac C18,10μm,250×22カラムを用いて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて行った。
【0262】
フラクションを回収し、減圧下濃縮した。所望の製造物に相当する青色固体(光学密度測定149nmol、74%)を得た。
MS(ES+)m/z:[M+]1031.5.
【0263】
化合物11:5,6−カルボキシフルオレセイン−メチルベンズアミド−BG
【0264】
【化60】
【0265】
1μmolのアミノメチルベンズアミド−BGを100μlの無水ジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解した。1μmolの5,6−カルボキシフルオレセイン−NHSの、50μl無水ジメチルスルホキシド溶液、及び2μlのジイソプロピルエチルアミンを加えた。反応混合物を常温で2時間撹拌した。
【0266】
Merck Lichrospher RP°18,5μmol,125×4.6カラムを用いたHPLCにて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて、反応を観測した。
【0267】
分取HPLCによる精製を、Vydac C18,10μm,250×22カラムを用いて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて行った。
【0268】
フラクションを回収し、減圧下濃縮した。所望の製造物に相当する黄色固体(光学密度測定600nmol、60%)を得た。
MS(ES+)m/z:[M+H+]762.1
【0269】
化合物12:フルオレセイン−5−EX−ベンジルアミド−BG
【0270】
【化61】
【0271】
1μmolのアミノメチルベンズアミド−BGを100μlの無水ジメチルスルホキシドに溶解した。1μmolのフルオレセイン−5−EX−NHSの、40μl無水ジメチルスルホキシド溶液、及び2μlのジイソプロピルエチルアミンを加えた。反応混合物を常温で1時間撹拌した。
【0272】
Merck Lichrospher RP°18,5μmol,125×4.6カラムを用いたHPLCにて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて、反応を観測した。
【0273】
分取HPLCによる精製を、Vydac C18,10μm,250×22カラムを用いて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて行った。
【0274】
フラクションを回収し、減圧下濃縮した。所望の製造物に相当する黄色固体(光学密度測定400nmol、40%)を得た。
MS(ES+)m/z:[M+H+]879.3
【0275】
化合物13:Tb(KR)−メチルベンズアミド−BG
【0276】
【化62】
【0277】
10mlの丸底フラスコに2.3mg(8.5μmol)のアミノメチルベンズアミド−BGの2ml無水ジメチルホルムアミド溶液を量り取った。6μmolのTb(KR)−NHSの、2ml無水ジメチルホルムアミド溶液、及び、20μlのジイソプロピルアミンを加えた。反応混合物を常温で2時間撹拌した。
【0278】
Merck Lichrospher RP°18,5μmol,125×4.6カラムを用いたHPLCにて、25mMのトリエチルアンモニウムアセテート含有する水(pH6)中、アセトニトリルのグラジエントをかけて、反応を観測した。
【0279】
DMFを減圧下留去し、残渣を水に溶解した。分取HPLCによる精製を、Vydac C18,10μm,250×22カラムを用いて、25mMのトリエチルアンモニウムアセテートを含有する水(pH6)中、アセトニトリルのグラジエントをかけて行った。フラクションを回収し、減圧下濃縮した。所望の製造物に相当する白色固体(光学密度測定2.2μmol、36%)を得た。
MS(ES+)m/z:[M+H+]1819.3
【0280】
化合物14:BG−SHの製造
【0281】
【化63】
【0282】
200μlの無水ジメチルホルムアミド、及び1.5mlの0.05M,pH7,MOPS緩衝液に溶解された、0.8mg(3μmol)の6−アミノメチルベンジルグアニンを、10mlの丸底フラスコに量り取った。1.1mg(3.6μmol)のSPDPを加えた。反応混合物を1時間撹拌した。Merck Lichrospher RP°18,5μmol,125×4.6カラムを用いたHPLCにて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて、反応を観測した。
【0283】
反応混合物に2.2mg(14.4μmol)のDTTを加え、2時間撹拌した。反応をHPLCで観測した。
【0284】
分取HPLCによる精製を、Vydac C18,10μm,250×22カラムを用いて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて行った。
【0285】
フラクションを回収し、減圧下濃縮した。所望の製造物に相当する白色固体(光学密度測定2.1μmol、70%)を得た。
MS(ES+)m/z:[M+H+]358.9
【0286】
化合物15:BG−メチルベンズアミド−SH
【0287】
【化64】
【0288】
10ml丸底フラスコ中で,4.5μmolのアミノメチルベンズアミド−ベンジルグアニンを、200μlの無水ジメチルホルムアミド及び1.5mlの0.05M,pH7,MOPS緩衝液に溶解させた。1.7mg(5.4μmol)のSPDPを加えた。反応混合物を1時間撹拌した。Merck Lichrospher RP°18,5μmol,125×4.6カラムを用いたHPLCにて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて、反応を観測した。
【0289】
反応混合物に2.5mg(16.2μmol)のDTTを加え、2時間撹拌した。反応をHPLCで観測した。
【0290】
分取HPLCによる精製を、Vydac C18,10μm,250×22カラムを用いて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて行った。
【0291】
フラクションを回収し、減圧下濃縮した。所望の製造物に相当する白色固体(光学密度測定3μmol、66%)を得た。
MS(ES+)m/z:[M+H+]492.2
【0292】
化合物16:2−(トリフルオロアセトアミドメチル)ニコチン酸
【0293】
【化65】
【0294】
500mg(3.58mmol)の6−シアノピリジン−3−カルボン酸の、50mlメタノール溶液を、100mlの丸底フラスコに量り取った。次に30mgの10%パラジウム炭素を加え、1気圧の水素を4時間添加した。Merck Lichrospher RP°18,5μmol,125×4.6カラムを用いたHPLCにて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて、反応を観測した。形成される製造物が沈殿した。
【0295】
40mlの脱塩水を反応混合物に加え、その後パラジウムを、セライトを通じてろ過し、反応混合物を50mlの丸底フラスコ中、減圧下濃縮した。当該丸底フラスコを氷/水浴に置き、4mlのトリフルオロ酢酸無水物をゆっくりと加えた。反応混合物を2時間撹拌しながら常温に戻した。当該反応をHPLCで観測した。
【0296】
20mlのエーテルを反応混合物に加え、氷/水浴に20分間置いた。沈殿を、フリットを通じてろ過し、そして48時間真空乾燥した。所望の製造物に相当する白色固体(450mg、1.81mmol、54%)を得た。
MS(ES+)m/z:[M+H+]249
【0297】
化合物17:2−(トリフルオロアセトアミドメチル)イソニコチン酸
【0298】
【化66】
【0299】
100mg(675μmol)の6−シアノピリジン−4−カルボン酸の、30mlメタノール溶液を、100mlの丸底フラスコに量り取った。次に10mgの10%パラジウム炭素を加え、1気圧の水素を4時間添加した。Merck Lichrospher RP°18,5μmol,125×4.6カラムを用いたHPLCにて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて、反応を観測した。形成される製造物が沈殿した。
【0300】
20mlの脱塩水を反応沈殿物に加え、パラジウムを、セライトを通じてろ過し、反応混合物を50mlの丸底フラスコ中、減圧下濃縮した。当該丸底フラスコを氷/水浴に置き、3mlのトリフルオロ酢酸無水物をゆっくりと加えた。反応混合物を常温に戻し、その後2時間撹拌を継続した。当該反応をHPLCで観測した。
【0301】
10mlのエーテルを反応混合物に加え、氷/水浴に20分間置いた。沈殿を、フリットを通じてろ過し、そして48時間真空乾燥した。所望の製造物に相当する白色固体(110mg、443mmol、67%)を得た。
MS(ES+)m/z:[M+H+]249
【0302】
化合物18:DY647−アミノメチルイソニコチンアミド −ベンジルグアニン
【0303】
【化67】
【0304】
1μmolのアミノメチルイソニコチンアミド−ベンジルグアニンを含む1.5mlのエッペンドルフチューブへ、1μmolのDy647−NHSの100μl無水ジメチルスルホキシド溶液、及び2μlのジイソプロピルエチルアミンを加えた。Merck Lichrospher RP°18,5μmol,125×4.6カラムを用いたHPLCにて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて、反応を観測した。
【0305】
分取HPLCによる精製を、Vydac C18,10μm,250×22カラムを用いて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて行った。
【0306】
フラクションを回収し、減圧下濃縮した。所望の製造物に相当する青色固体(光学密度測定470nmol、47%)を得た。
MS(ES+)m/z:[M+H+]1029.3
【0307】
化合物19:DY647−アミノメチルニコチンアミド−ベンジルグアニン
【0308】
【化68】
【0309】
1μmolのアミノメチルニコチンアミド−ベンジルグアニンを含む1.5mlのエッペンドルフチューブへ、1μmolのDy647−NHSの100μl無水ジメチルスルホキシド溶液、及び2μlのジイソプロピルエチルアミンを加えた。Merck Lichrospher RP°18,5μmol,125×4.6カラムを用いたHPLCにて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて、反応を観測した。
【0310】
分取HPLCによる精製を、Vydac C18,10μm,250×22カラムを用いて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて行った。
【0311】
フラクションを回収し、減圧下濃縮した。所望の製造物に相当する青色固体(光学密度測定540nmol、54%)を得た。
MS(ES+)m/z:[M+H+]1029.3
【0312】
化合物20:Tb(KR)−アミノメチルニコチンアミド−ベンジルグアニン:
【0313】
【化69】
【0314】
1μmolのアミノメチルニコチンアミド−ベンジルグアニンを含む1.5mlのエッペンドルフチューブへ、1μmolのTb(KR)−NHSの100μl無水ジメチルスルホキシド溶液、及び2μlのジイソプロピルエチルアミンを加えた。Merck Lichrospher RP°18,5μmol,125×4.6カラムを用いたHPLCにて、25mMのトリエチルアンモニウムアセテート、pH6を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて、反応を観測した。
【0315】
分取HPLCによる精製を、Vydac C18,10μm,250×22カラムを用いて、25mMのトリエチルアンモニウムアセテート、pH6を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて行った。
【0316】
フラクションを回収し、減圧下濃縮した。所望の製造物に相当する青色固体(光学密度測定400nmol、40%)を得た。
MS(ES+)m/z:[M+H+]1820.3−[M+2H+]/2=910.5
【0317】
化合物21:ベンジルグアニン−N−Fmoc−ピペリジン
【0318】
【化70】
【0319】
10mlの無水ジメチルホルムアミドに部分的に溶解された48.1mg(178μmol)の6−アミノメチルベンジルグアニンを、50mlの丸底フラスコに量り取った。62.5mg(178μmol)の4−カルボキシ−N−Fmoc−ピペリジン、及び57.1mg(178μmol)のTBTUを加えた。反応混合物を2時間撹拌した。Merck Lichrospher RP°18,5μmol,125×4.6カラムを用いたHPLCにて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて、反応を観測した。
【0320】
分取HPLCによる精製を、Vydac C18,10μm,250×22カラムを用いて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて行った。
【0321】
フラクションを回収し、減圧下濃縮した。所望の製造物に相当する白色固体(38mg、35%)を得た。
MS(ES+)m/z:[M+H+]604.5
【0322】
化合物22:ベンジルグアニン−ピペリジン
【0323】
【化71】
【0324】
190μlの無水ジメチルホルムアミドに溶解された1.8mg(3μmol)のベンジルグアニン−N−Fmoc−ピペリジンを、1.5mlエッペンドルフチューブへ量り取った。10μlのピペリジンを加え、反応混合物を1時間撹拌した。Merck Lichrospher RP°18,5μmol,125×4.6カラムを用いたHPLCにて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて、反応を観測した。
【0325】
分取HPLCによる精製を、Vydac C18,10μm,250×22カラムを用いて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて行った。
【0326】
フラクションを回収し、減圧下濃縮した。所望の製造物に相当する白色固体を得た。当該製造物を、収率を測定することなく、次の反応に直接使用した。
MS(ES+)m/z:382.3
【0327】
化合物23:DY647−ピペリジン−ベンジルグアニン
【0328】
【化72】
【0329】
1.8μmolのベンジルグアニン−ピペリジンを含有する25ml丸底フラスコに、800μlの無水ジメチルスルホキシド、4μlのジイソプロピルエチルアミン、及び0.14mg(1.8μmol)のDy647−NHSを加えた。反応混合物を1時間撹拌した。Merck Lichrospher RP°18,5μmol,125×4.6カラムを用いたHPLCにて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて、反応を観測した。
【0330】
分取HPLCによる精製を、Vydac C18,10μm,250×22カラムを用いて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて行った。
【0331】
フラクションを回収し、減圧下濃縮した。所望の製造物に相当する青色固体(光学密度測定700nmol、40%)を得た。
MS(ES+)m/z:1006.75
【0332】
化合物24:ベンジルグアニン−トランス−4−(Fmoc−アミノ)シクロヘキサン:
【0333】
【化73】
【0334】
20mlの無水ジメチルホルムアミドに部分的に溶解された51mg(189μmol)の6−アミノメチルベンジルグアニンを、50mlの丸底フラスコに量り取った。69mg(189μmol)のトランス−4−(Fmoc−アミノ)カルボキシシクロヘキサン、及び60.7mg(189μmol)のTBTUを加えた。反応混合物を2時間撹拌した。Merck Lichrospher RP°18,5μmol,125×4.6カラムを用いたHPLCにて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて、反応を観測した。
【0335】
分取HPLCによる精製を、Vydac C18,10μm,250×22カラムを用いて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて行った。
【0336】
フラクションを回収し、減圧下濃縮した。所望の製造物に相当する白色固体(16mg、13.7%)を得た。
MS(ES+)m/z:[M+H+]618.6
【0337】
化合物25:ベンジルグアニン−トランス−4−アミノシクロヘキサン
【0338】
【化74】
【0339】
190μlの無水ジメチルホルムアミドに溶解された1.2mg(2μmol)のベンジルグアニン−トランス−4−(Fmoc−アミノ)シクロヘキサンを、1.5mlエッペンドルフチューブへ量り取った。10μlのピペリジンを加え、反応混合物を1時間撹拌した。Merck Lichrospher RP°18,5μmol,125×4.6カラムを用いたHPLCにて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて、反応を観測した。
【0340】
分取HPLCによる精製を、Vydac C18,10μm,250×22カラムを用いて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて行った。
【0341】
フラクションを回収し、減圧下濃縮した。所望の製造物に相当する白色固体を得た。当該製造物を、収率を測定することなく、次の反応に直接使用した。
MS(ES+)m/z:396.3
【0342】
化合物26:DY647−トランス−シクロヘキサン−ベンジルグアニン
【0343】
【化75】
【0344】
2μmolのベンジルグアニン−トランス−4−アミノシクロヘキサンを含む25mlの丸底フラスコに、800μlの無水ジメチルスルホキシド、4μlのジイソプロピルエチルアミン、及び0.14mg(1.8μmol)のDY647−NHSを加えた。反応混合物を1時間撹拌した。Merck Lichrospher RP°18,5μmol,125×4.6カラムを用いたHPLCにて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて、反応を観測した。
【0345】
分取HPLCによる精製を、Vydac C18,10μm,250×22カラムを用いて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて行った。
【0346】
フラクションを回収し、減圧下濃縮した。所望の製造物に相当する青色固体(光学密度測定600nmol、33%)を得た。
MS(ES+)m/z:1020.8
【0347】
化合物27:ベンジルグアニン−シス−4−(Fmoc−アミノ)シクロヘキサン
【0348】
【化76】
【0349】
20mlの無水ジメチルホルムアミドに部分的に溶解された61.3mg(226μmol)の6−アミノメチルベンジルグアニンを、50mlの丸底フラスコに量り取った。82.7mg(226μmol)のシス−4−(Fmoc−アミノ)カルボキシシクロヘキサン、及び72.8mg(226μmol)のTBTUを加えた。反応混合物を2時間撹拌した。Merck Lichrospher RP°18,5μmol,125×4.6カラムを用いたHPLCにて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて、反応を観測した。
【0350】
分取HPLCによる精製を、Vydac C18,10μm,250×22カラムを用いて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて行った。
【0351】
フラクションを回収し、減圧下濃縮した。所望の製造物に相当する白色固体(28mg、20%)を得た。
MS(ES+)m/z:[M+H+]618.6
【0352】
化合物28:ベンジルグアニン-シス-4-アミノシクロヘキサン
【0353】
【化77】
【0354】
190μlの無水ジメチルホルムアミドに溶解された0.7mg(1.1μmol)のベンジルグアニン−シス−4−(Fmoc−アミノ)シクロヘキサンを、1.5mlエッペンドルフチューブへ量り取った。10μlのピペリジンを加え、反応混合物を1時間撹拌した。Merck Lichrospher RP°18,5μmol,125×4.6カラムを用いたHPLCにて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて、反応を観測した。
【0355】
分取HPLCによる精製を、Vydac C18,10μm,250×22カラムを用いて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて行った。
【0356】
フラクションを回収し、減圧下濃縮した。所望の製造物に相当する白色固体を得た。当該製造物を、収率を測定することなく、次の反応に直接使用した。
MS(ES+)m/z:396.3
【0357】
化合物29:DY647−シス−シクロヘキサン−ベンジルグアニン
【0358】
【化78】
【0359】
1μmolのベンジルグアニン−シス−4−アミノシクロヘキサンを含む25mlの丸底フラスコに、800μlの無水ジメチルスルホキシド、4μlのジイソプロピルエチルアミン、及び0.7mg(1μmol)のDY647−NHSを加えた。反応混合物を1時間撹拌した。Merck Lichrospher RP°18,5μmol,125×4.6カラムを用いたHPLCにて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて、反応を観測した。
【0360】
分取HPLCによる精製を、Vydac C18,10μm,250×22カラムを用いて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて行った。
【0361】
フラクションを回収し、減圧下濃縮した。所望の製造物に相当する青色固体(光学密度測定400nmol、40%)を得た。
MS(ES+)m/z:1020.8
【0362】
化合物30:ベンジルシトシン−DY647
【0363】
【化79】
【0364】
1.5mlエッペンドルフチューブに、1μmolのアミノメチルベンジルシトシンの26μl無水ジメチルスルホキシド溶液、1μmolのDY647−NHSの76μl無水ジメチルスルホキシド溶液、及び4μlのジイソプロピルエチルアミンを加えた。
【0365】
反応混合物を1時間撹拌した。Merck Lichrospher RP°18,5μmol,125×4.6カラムを用いたHPLCにて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて、反応を観測した。
【0366】
分取HPLCによる精製を、Vydac C18,10μm,250×22カラムを用いて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて行った。
【0367】
フラクションを回収し、減圧下濃縮した。所望の製造物に相当する青色固体(光学密度測定600nmol、60%)を得た。
MS(ES+)m/z:[M+H+]855.6[M+Na+]877.6
【0368】
化合物31:ベンジルシトシン−Tb(KR)
【0369】
【化80】
【0370】
1.5mlエッペンドルフチューブに、1μmolのアミノメチルベンジルシトシンの26μl無水ジメチルスルホキシド溶液、1μmolのTb(KR)−NHSの110μl無水ジメチルスルホキシド溶液、及び4μlのジイソプロピルエチルアミンを加えた。
【0371】
反応混合物を2時間撹拌した。Merck Lichrospher RP°18,5μmol,125×4.6カラムを用いたHPLCにて、25mMのトリエチルアンモニウムアセテートを含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて、反応を観測した。
【0372】
分取HPLCによる精製を、Vydac C18,10μm,250×22カラムを用いて、25mMのトリエチルアンモニウムアセテートを含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて行った。
【0373】
フラクションを回収し、減圧下濃縮した。所望の製造物に相当する白色固体(光学密度測定350nmol、35%)を得た。
MS(ES+)m/z:[M+H+]1645.2[M+2H+]/2 823.4.
【0374】
化合物32:アミノメチルベンズアミド−BC
【0375】
【化81】
【0376】
2mlエッペンドルフチューブに、6mg(26μmol)のアミノメチルベンジルシトシン、及び6.4mg(26μmol)のトリフルオロアセトアミドメチル安息香酸を量り取った。当該混合物を600μlの無水ジメチルスルホキシドに溶解し、9.2mg(28.6μmol)のTBTU、及び8μlのジイソプロピルエチルアミンを加えた。当該反応混合物を2時間撹拌した。Merck Lichrospher RP°18,5μmol,125×4.6カラムを用いたHPLCにて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて、反応を観測した。
【0377】
分取HPLCによる精製を、Vydac C18,10μm,250×22カラムを用いて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて行った。
【0378】
白色固体が得られるまで、反応混合物を減圧下濃縮した。2mlのメタノールに溶解し、2mlの飽和Na2CO3水溶液、及び4mlの水を加えた。混合物を一晩撹拌した。脱保護をHPLCにて観測した。
【0379】
分取HPLCによる精製を、Vydac C18,10μm,250×22カラムを用いて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて行った。
【0380】
フラクションを回収し、減圧下濃縮した。所望の製造物に相当する白色固体(光学密度測定8.5μmol、32%)を得た。
MS(ES+)m/z:[M+H+]364.4
【0381】
化合物33:DY647−メチルベンズアミド−BC:
【0382】
【化82】
【0383】
1μmolのアミノメチルベンズアミド−BCを含む1.5mlエッペンドルフチューブに、1μmolのDY647−NHSの140μl無水ジメチルスルホキシド溶液、及び4μlのジイソプロピルエチルアミンを加えた。
【0384】
反応混合物を1時間撹拌した。Merck Lichrospher RP°18,5μmol,125×4.6カラムを用いたHPLCにて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて、反応を観測した。
【0385】
分取HPLCによる精製を、Vydac C18,10μm,250×22カラムを用いて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて行った。
【0386】
フラクションを回収し、減圧下濃縮した。所望の製造物に相当する青色固体(光学密度測定400nmol、40%)を得た。
MS(ES+)m/z:[M+H+]988.6[M+Na+]1010.6[M+K+]1026.6.
【0387】
化合物34:Tb(KR)−メチルベンズアミド−BC:
【0388】
【化83】
【0389】
1μmolのアミノメチルベンズアミド−BCを含む1.5mlエッペンドルフチューブに、1μmolのTb(KR)−NHSの120μl無水ジメチルスルホキシド溶液、及び4μlのジイソプロピルエチルアミンを加えた。
【0390】
反応混合物を1時間撹拌した。Merck Lichrospher RP°18,5μmol,125×4.6カラムを用いたHPLCにて、25mMのトリエチルアンモニウムアセテートを含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて、反応を観測した。
【0391】
分取HPLCによる精製を、Vydac C18,10μm,250×22カラムを用いて、25mMのトリエチルアンモニウムアセテートを含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて行った。
【0392】
フラクションを回収し、減圧下濃縮した。所望の製造物に相当する白色固体(光学密度測定270nmol、27%)を得た。
MS(ES+)m/z:[M+H+]1779.3 [M+2H+]/2 890.
【0393】
化合物35:Atto465−BG
【0394】
【化84】
【0395】
1.5mlエッペンドルフチューブへ、BG−NH2の溶液(0.3μmolを100μlの無水DMSOに溶解),ATTO−465−NHSの溶液(0.254μmolを100μlの無水DMSOに溶解),及び3μlのDIPEAを導入した。反応混合物を常温で1.5時間撹拌した。Xbridge C18,3.5μm,4.6×100mmカラムを用いたHPLCにて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて、反応を観測した。
【0396】
分取HPLCによる精製を、Xbridge C18,OBDTM,19×100mmカラムを用いて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて行った。
【0397】
フラクションを回収し、減圧下濃縮した。所望の製造物に相当する黄橙色固体(光学密度測定0.128μmol、収率50%)を得た。
MS(ES+)m/z:[M+H+]548
【0398】
化合物36:Atto465−メチルベンズアミン−BG:
【0399】
【化85】
【0400】
1.5mlエッペンドルフチューブへ、BG−MBA−NH2の溶液(0.3μmolの化合物8を100μlの無水DMSOに溶解)、ATTO−465−NHSの溶液(0.254μmolを100μlの無水DMSOに溶解)、及び3μlのDIPEAを導入した。反応混合物を常温で1.5時間撹拌した。Xbridge C18,3.5μm,4.6×100mmカラムを用いたHPLCにて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて、反応を観測した。
【0401】
分取HPLCによる精製を、Xbridge C18,OBDTM,19×100mmカラムを用いて、0.2%のトリフルオロ酢酸を含有する水中、アセトニトリルのグラジエントをかけて行った。
【0402】
フラクションを回収し、減圧下濃縮した。所望の製造物に相当する黄橙色固体(光学密度測定0.205μmol、収率80%)を得た。
MS(ES+)m/z:[M+H+]681
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I’)の化合物:
【化1】
[式中、
Bは、以下の式(II’)又は(III’)の基であり:
【化2】
(式中、
点線は式(I’)の酸素との結合を表し、
R1はH、NH2、OH基又はオキソ基から選択され、
R2はNH2、OH又はオキソから選択され、
R3は、H又はCH3基から選択される);
L2はリンカーであり;
Mは対象分子又は反応性基であり;
Aは、以下の二価の基:
【化3】
から選択される。]
【請求項2】
Bが、R1がNH2基である式(II’)の基であることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Bが、R2がNH2基であり、及びR3がHである、式(III’)の基であることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
L2が、共有結合であるか、或いは以下の基:1又は2以上の二重結合又は三重結合を場合により含む、直鎖又は分岐鎖のC1−C20アルキレン基;C5−C8シクロアルキレン基、及びC6−C14アリーレン基、から選択される二価の有機基であって、ここで前記アルキレン、シクロアルキレン又はアリーレン基は、1若しくは2以上のヘテロ原子、例えば酸素、窒素、硫黄、リン、又は1若しくは2以上のカルバモイル若しくはカルボキサミド基を場合により含み、及び前記アルキレン、シクロアルキレン又はアリーレン基は、C1−C8アルキル、C6−C14アリール、スルホネート若しくはオキソ基によって場合により置換される、前記二価の有機基であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
L2が、以下の二価の基:
【化4】
【化5】
[式中、n、m、p、rは1〜16の整数、好ましくは1〜5の整数である]
から選択されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
L2が、以下の基:
【化6】
[式中、q、u、tは1〜10の整数である]
から選択されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
Mが、測定可能なシグナルを発生又は調節することができる標識であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
Mが:発光性化合物又はフルオロフォア、放射性分子、1対の結合パートナーの一員、他の生体分子と相互作用することができる分子、他の分子と共有結合又は非共有結合することができる分子、H2O2及びアスコルビン酸に曝露されるときにヒドロキシルラジカルを発生することができる分子、光への曝露後に活性ラジカルを発生することができる分子、固相担体に共有結合される分子、脂質、又は、それ自体が細胞膜へ挿入され得る任意の他の分子、並びに、対象とする酵素特性、化学的特性若しくは物理学的特性を有する生体分子、から選択される対象分子であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
Mが、アビジン、ストレプトアビジン、ビオチンから選択されることを特徴とする、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
Mが、以下の蛍光性化合物、又はフルオロフォアから選択されることを特徴とする、請求項8に記載の化合物:
−有機化合物フルオロフォア、例えばシアニン及びその誘導体、フルオレセイン及びその誘導体、クマリン及びその誘導体、ローダミン及びその誘導体、カルボピロニン及びその誘導体、オキサジン及びその誘導体、AlexaFluor、Crystal Violet及びその誘導体、ペリレンビスイミド及びその誘導体、スクアレン、BODIPY、NBD(ニトロベンズオキサジアゾール)及びその誘導体、DABCYL(4−((4−(ジメチルアミノ)フェニル)アゾ)安息香酸)及びその誘導体;
−タンパク質フルオロフォア、例えばGFP及びそのバリアント、サンゴから抽出された蛍光性タンパク質、フィコビリタンパク質、例えばB−フィコエリトリン、R−フィコエリトリン、C−フィコシアニン、アロフィコシアニン、特にXL665の名前で知られているもの;
−蛍光性ランタニド錯体、例えばランタニドクリプテート、ランタニドキレート(特に、ユウロピウム、テルビウム、サマリウム、ジスプロシウム、ネオジミウムのキレート及びクリプテート)。
【請求項11】
Mが、以下の基:アクリルアミド、活性化アミン(例えばカダベリン又はエチレンジアミン)、活性化エステル、アルデヒド、アルキルハライド、無水物、アニリン、アジド、アジリジン、カルボン酸、ジアゾアルカン、ハロアセトアミド、ハロトリアジン、例えばモノクロロトリアジン、ジクロロトリアジン、ヒドラジン(ヒドラジドを含む)、イミドエステル、イソシアネート、イソチオシアネート、マレイミド、スルホニルハライド、又はチオール、ケトン、アミン、酸ハライド、ヒドロキシスクシンイミジルエステル、ヒドロキシスルホスクシンイミジルエステル、アジドニトロフェニル、アジドフェニル、3−(2−ピリジルジチオ)−プロピオンアミド、グリオキサール、及び、具体的に以下の式の基:
【化7】
[式中、
wは0〜8であり、vは0又は1であり、及びArは1〜3個のヘテロ原子を含む、5又は6員環の飽和又は不飽和ヘテロ環であって、場合によりハロゲン原子によって置換される前記ヘテロ環である]
から選択される反応性基であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項12】
Mが、以下の基:カルボン酸、アミン、カルボン酸のスクシンイミジルエステル、ハロアセトアミド、ヒドラジン、イソチオシアネート、マレイミド基、脂肪族アミン、から選択される反応性基であることを特徴とする、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
以下の式:
【化8】
【化9】
の一つに該当することを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項14】
以下の式:
【化10】
の一つに該当することを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項15】
AGT酵素との融合タンパク質の形態で発現される対象タンパク質を、置換基Mを用いて標識化する方法であって、前記融合タンパク質を、請求項1〜10、13又は14のいずれか1項に記載の化合物と接触させる工程を含むことを特徴とする、前記方法。
【請求項1】
式(I’)の化合物:
【化1】
[式中、
Bは、以下の式(II’)又は(III’)の基であり:
【化2】
(式中、
点線は式(I’)の酸素との結合を表し、
R1はH、NH2、OH基又はオキソ基から選択され、
R2はNH2、OH又はオキソから選択され、
R3は、H又はCH3基から選択される);
L2はリンカーであり;
Mは対象分子又は反応性基であり;
Aは、以下の二価の基:
【化3】
から選択される。]
【請求項2】
Bが、R1がNH2基である式(II’)の基であることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Bが、R2がNH2基であり、及びR3がHである、式(III’)の基であることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
L2が、共有結合であるか、或いは以下の基:1又は2以上の二重結合又は三重結合を場合により含む、直鎖又は分岐鎖のC1−C20アルキレン基;C5−C8シクロアルキレン基、及びC6−C14アリーレン基、から選択される二価の有機基であって、ここで前記アルキレン、シクロアルキレン又はアリーレン基は、1若しくは2以上のヘテロ原子、例えば酸素、窒素、硫黄、リン、又は1若しくは2以上のカルバモイル若しくはカルボキサミド基を場合により含み、及び前記アルキレン、シクロアルキレン又はアリーレン基は、C1−C8アルキル、C6−C14アリール、スルホネート若しくはオキソ基によって場合により置換される、前記二価の有機基であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
L2が、以下の二価の基:
【化4】
【化5】
[式中、n、m、p、rは1〜16の整数、好ましくは1〜5の整数である]
から選択されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
L2が、以下の基:
【化6】
[式中、q、u、tは1〜10の整数である]
から選択されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
Mが、測定可能なシグナルを発生又は調節することができる標識であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
Mが:発光性化合物又はフルオロフォア、放射性分子、1対の結合パートナーの一員、他の生体分子と相互作用することができる分子、他の分子と共有結合又は非共有結合することができる分子、H2O2及びアスコルビン酸に曝露されるときにヒドロキシルラジカルを発生することができる分子、光への曝露後に活性ラジカルを発生することができる分子、固相担体に共有結合される分子、脂質、又は、それ自体が細胞膜へ挿入され得る任意の他の分子、並びに、対象とする酵素特性、化学的特性若しくは物理学的特性を有する生体分子、から選択される対象分子であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
Mが、アビジン、ストレプトアビジン、ビオチンから選択されることを特徴とする、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
Mが、以下の蛍光性化合物、又はフルオロフォアから選択されることを特徴とする、請求項8に記載の化合物:
−有機化合物フルオロフォア、例えばシアニン及びその誘導体、フルオレセイン及びその誘導体、クマリン及びその誘導体、ローダミン及びその誘導体、カルボピロニン及びその誘導体、オキサジン及びその誘導体、AlexaFluor、Crystal Violet及びその誘導体、ペリレンビスイミド及びその誘導体、スクアレン、BODIPY、NBD(ニトロベンズオキサジアゾール)及びその誘導体、DABCYL(4−((4−(ジメチルアミノ)フェニル)アゾ)安息香酸)及びその誘導体;
−タンパク質フルオロフォア、例えばGFP及びそのバリアント、サンゴから抽出された蛍光性タンパク質、フィコビリタンパク質、例えばB−フィコエリトリン、R−フィコエリトリン、C−フィコシアニン、アロフィコシアニン、特にXL665の名前で知られているもの;
−蛍光性ランタニド錯体、例えばランタニドクリプテート、ランタニドキレート(特に、ユウロピウム、テルビウム、サマリウム、ジスプロシウム、ネオジミウムのキレート及びクリプテート)。
【請求項11】
Mが、以下の基:アクリルアミド、活性化アミン(例えばカダベリン又はエチレンジアミン)、活性化エステル、アルデヒド、アルキルハライド、無水物、アニリン、アジド、アジリジン、カルボン酸、ジアゾアルカン、ハロアセトアミド、ハロトリアジン、例えばモノクロロトリアジン、ジクロロトリアジン、ヒドラジン(ヒドラジドを含む)、イミドエステル、イソシアネート、イソチオシアネート、マレイミド、スルホニルハライド、又はチオール、ケトン、アミン、酸ハライド、ヒドロキシスクシンイミジルエステル、ヒドロキシスルホスクシンイミジルエステル、アジドニトロフェニル、アジドフェニル、3−(2−ピリジルジチオ)−プロピオンアミド、グリオキサール、及び、具体的に以下の式の基:
【化7】
[式中、
wは0〜8であり、vは0又は1であり、及びArは1〜3個のヘテロ原子を含む、5又は6員環の飽和又は不飽和ヘテロ環であって、場合によりハロゲン原子によって置換される前記ヘテロ環である]
から選択される反応性基であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項12】
Mが、以下の基:カルボン酸、アミン、カルボン酸のスクシンイミジルエステル、ハロアセトアミド、ヒドラジン、イソチオシアネート、マレイミド基、脂肪族アミン、から選択される反応性基であることを特徴とする、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
以下の式:
【化8】
【化9】
の一つに該当することを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項14】
以下の式:
【化10】
の一つに該当することを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項15】
AGT酵素との融合タンパク質の形態で発現される対象タンパク質を、置換基Mを用いて標識化する方法であって、前記融合タンパク質を、請求項1〜10、13又は14のいずれか1項に記載の化合物と接触させる工程を含むことを特徴とする、前記方法。
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2012−502667(P2012−502667A)
【公表日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−528396(P2011−528396)
【出願日】平成21年9月22日(2009.9.22)
【国際出願番号】PCT/FR2009/051787
【国際公開番号】WO2010/034931
【国際公開日】平成22年4月1日(2010.4.1)
【出願人】(507179726)シ ビオ アンテルナショナル (9)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月22日(2009.9.22)
【国際出願番号】PCT/FR2009/051787
【国際公開番号】WO2010/034931
【国際公開日】平成22年4月1日(2010.4.1)
【出願人】(507179726)シ ビオ アンテルナショナル (9)
【Fターム(参考)】
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