説明

P2X7受容体アンタゴニストおよび腫瘍壊死因子αを含む医薬組成物

本発明は、炎症疾患の処置に使用するための、P2X受容体アンタゴニスト(ここで、P2X受容体アンタゴニストがアダマンチル誘導体である)である第1活性成分、および腫瘍壊死因子α(TNFα)阻害剤である第2活性成分を含む、医薬製品もしくはキットを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炎症性状態/疾患の、特にリウマチ性関節炎の処置に使用するための薬学的に活性な物質の組み合わせに関する。
【背景技術】
【0002】
慢性炎症性疾患、例えばリウマチ性関節炎は、多遺伝子性であり、非常に複雑であって、多くの炎症性および免疫性メカニズムを含む。これらの疾患の処置は、主に経験的であり、関与するメカニズムがほとんど理解されないまま種々の治療薬が用いられている。近年の研究で、2つの炎症メディエーター、すなわちサイトカインIL−1およびTNFアルファ(TNFα)が、リウマチ性関節炎における炎症プロセスで、鍵となる役割を果たしていることが示唆された。
炎症性状態/疾患の処置に使用するための新規の医薬を開発することが望ましい。
【発明の開示】
【0003】
本発明に従って、治療において、同時に、連続的に、または別個に使用するための、P2X受容体アンタゴニスト(ここで、P2X受容体アンタゴニストはアダマンチル誘導体である)である第1活性成分の製剤、および腫瘍壊死因子α(TNFα)阻害剤である第2活性成分の製剤の組み合わせを含む医薬製品を提供する。
【0004】
別の態様において、本発明は、P2X受容体アンタゴニスト(ここで、P2X受容体アンタゴニストはアダマンチル誘導体である)である第1活性成分の製剤、腫瘍壊死因子α(TNFα)阻害剤である第2活性成分の製剤、およびそれが必要な患者に製剤を同時に、連続的に、または別個に投与するための説明書を含むキットを提供する。
【0005】
P2X受容体(以前はP2Z受容体として知られる)は、リガンド依存性イオンチャネル(ligand-gated ion channel)である。この受容体は、様々な細胞タイプに存在し、主に炎症/免疫プロセスに関与すると知られている細胞、特にマクロファージ、肥満細胞、およびリンパ球(TおよびB)に存在する。細胞外ヌクレオチド、特にアデノシン トリホスフェートによるP2X受容体の活性化は、とりわけインターロイキン−1β(IL−1β)の放出を引き起こすことが知られている。
【0006】
P2X受容体のアンタゴニストは、P2X受容体の活性化を完全にまたは部分的に妨げ得る化合物または他の物質である。
【0007】
P2X受容体アンタゴニズムのアッセイ方法は、当業界で既知であり、例えばP2X受容体が臭化エチジウム(蛍光DNAプローブ)の存在下で、受容体アゴニストを用いて活性化した際に、細胞内のDNA結合臭化エチジウムの蛍光の増大が観察されるという観察に基づくアッセイを記載している WO 01/42194 より知られている。従って、蛍光の増大は、P2X受容体活性の測定として用いられ、その結果、P2X受容体への化合物もしくは物質の効果を定量することができる。
【0008】
WO 01/42194 において、アッセイは、96ウェル平底マイクロタイタープレートを用いて、200μlの10−4Mの臭化エチジウムを含むTHP−1細胞の懸濁液(2.5×10細胞/ml)、25μlの10−5M ベンゾイルベンゾイル アデノシン トリホスフェート(bbATP, 既知のP2X受容体アゴニスト)を含む高カリウム緩衝溶液、および25μlの3×10−5M 試験化合物を含む高カリウム緩衝溶液を含む、250μlの試験溶液で、そのウェルを満たすことによって行う。プレートをプラスチックシートで覆い、37℃で1時間インキュベートした。次に、プレートを、Perkin-Elmer fluorescent plate readerで、励起 520nm、放出 595nm、スリット幅:Ex 15nm, Em 20nmで測定した。比較の目的のために、bbATP(P2X受容体アゴニスト)、およびピリドキサール 5−リン酸(P2X受容体アンタゴニスト)を、コントロールとして別個に試験に用いる。得られた測定値から、試験化合物のpIC50値を計算する。この値は、bbATPアゴニスト活性を50%まで減少させるのに必要な試験化合物の濃度の負の対数である。5.5以上のpIC50値は、通常アンタゴニストを示す。
【0009】
本発明に従って用いられ得るP2X受容体アンタゴニストの例は、WO 00/61569、WO 01/42194、WO 01/44170、および WO 03/41707(これらの内容はすべて言及することによって本明細書中に組み込まれている)に記載されている化合物を含む。
【0010】
より特定的には、本発明の第1の態様において、P2X受容体アンタゴニストが、式(I):
【化1】

[式中、
mは、1、2、または3を表し;
それぞれのR1aは、独立して、水素またはハロゲン原子を表し;
は、C(O)NHまたはNHC(O)を表し;
Arは、
【化2】

の基を表し;
は、結合、酸素原子、またはCO、(CH)1−6、CH=、(CH)1−6O、O(CH)1−6、O(CH)2−6O、O(CH)2−3O(CH)1−3、CR'(OH)、(CH)1−3O(CH)1−3、(CH)1−3O(CH)2−3O、NR5a、(CH)1−6NR5a、NR5a(CH)1−6、(CH)1−3NR5a(CH)1−3、O(CH)2−6NR5a、O(CH)2−3NR5a(CH)1−3、(CH)1−3NR5a(CH)2−3O、NR5a(CH)2−6O、NR5a(CH)2−3O(CH)1−3、CONR5a、NR5aCO、S(O)、S(O)CH、CHS(O)、SONR5a、またはNR5aSOを表し;
nは、0、1、または2であり;
R'は、水素原子またはC−Cアルキルを表し;
2aおよびR3aの一方が、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アミノ、ヒドロキシル、または
(i) 所望により少なくとも1個のC−Cシクロアルキルによって置換されているC−Cアルキル、
(ii) C−Cシクロアルキル、
(iii) 所望により少なくとも1個のC−Cシクロアルキルによって置換されているC−Cアルキルオキシ、および
(iv) C−Cシクロアルキルオキシ
(これらの基はそれぞれ所望により1個以上のフッ素原子によって置換されている)
から選択される基を表し、そして
2aおよびR3aのもう一方は、水素またはハロゲン原子を表し;
4aは、1個もしくは2個の窒素原子、および所望により酸素原子を含む、3〜9員環の飽和もしくは不飽和の脂肪族複素環式環系を表し、該複素環式環系は、所望によりフッ素原子、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、C−Cアルキル、C−Cヒドロキシアルキル、−NR6a7a、−(CH)NR6a7a、および−CONR6a7aから独立して選択される、1個以上の置換基によって置換されているか、または
4aは、−NR6a7a、−(CH)NR6a7aおよび−CONR6a7aから独立して選択される1個以上の置換基によって置換されている3〜8員環の飽和炭素環系を表し、該環系は、所望によりフッ素原子、ヒドロキシルおよびC−Cアルキルから独立して選択される1個以上の置換基によってさらに置換されており;
rは、1、2、3、4、5または6であり;
5aは、水素原子またはC−CアルキルまたはC−Cシクロアルキルを表し;
6aおよびR7aは、それぞれ独立して、水素原子、またはC−Cアルキル、C−CヒドロキシアルキルまたはC−Cシクロアルキルを表すか、または
6aおよびR7aは、それらが結合している窒素原子と一体となって、3〜8員環の飽和複素環式環を形成し;
【0011】
ただし、
(a) AがC(O)NHを表し、かつR4aが1個の窒素原子を含む非置換の3〜8員環の飽和脂肪族複素環式環系を表すとき、Xは結合以外であり、そして
(b) AがC(O)NHを表し、かつXが(CH)1−6またはO(CH)1−6を表すとき、R4aは、非置換イミダゾリル、非置換モルホリニル、非置換ピペリジニル、または非置換ピロリジニルを表さず、そして
(c) AがNHC(O)を表し、かつR4aが1個の窒素原子を含む非置換の3〜8員環の飽和脂肪族複素環式環系を表すとき、Xは結合以外であり、そして
(d) AがNHC(O)を表し、かつXがO(CH)1−6、NH(CH)1−6またはSCHを表すとき、R4aは、非置換1−ピペリジニルまたは非置換1−ピロリジニルを表さず、そして
(e) AがNHC(O)を表し、かつXがO(CH)2−3NH(CH)を表すとき、R4aはイミダゾリルを表さない]の化合物もしくはその薬学的に許容される塩またはそれらの溶媒和物である。
式(I)の化合物は、WO 00/61569 に記載されている。
【0012】
本発明の第2の態様において、P2X受容体アンタゴニストが、式(II):
【化3】

[式中、
は、CHまたはCHCHを表し;
は、C(O)NHまたはNHC(O)を表し;
1bおよびR2bは、それぞれ独立して、水素もしくはハロゲン原子、またはアミノ、ニトロ、C−Cアルキル、またはトリフルオロメチルを表し;
3bは、式(III):
【化4】

の基を表し;
は、酸素もしくは硫黄原子、またはNH、SO、またはSOを表し;
は、酸素もしくは硫黄原子、またはNR11b、SO、またはSOを表し;
は、−OH、−SH、−COH、C−Cアルコキシ、C−Cアルキルチオ、C−Cアルキルスルフィニル、C−Cアルキルスルホニル、−NR6b7b、−C(O)NR8b9b、イミダゾリル、1−メチルイミダゾリル、−N(R10b)C(O)−C−Cアルキル、C−Cアルキルカルボニルオキシ、C−Cアルコキシカルボニルオキシ、−OC(O)NR12b13b、−OCHOC(O)R14b、−OCHOC(O)OR15b、または−OC(O)OCHOR16bを表し;
4bは、C−Cアルキルを表し;
5bは、C−Cアルキルを表し;
6b、R7b、R8b、R9b、R10b、R12b、およびR13bは、それぞれ独立して、水素原子、または所望により少なくとも1個のヒドロキシルによって置換されているC−Cアルキルを表し;
11bは、水素原子、または所望によりヒドロキシルおよびC−Cアルコキシから独立して選択される少なくとも1個の置換基によって置換されているC−Cアルキルを表し;そして
14b、R15b、およびR16bは、それぞれ独立して、C−Cアルキルを表し;
【0013】
ただし、
(i) EがNHC(O)を表し、XがO、SまたはNHを表し、かつYがOを表すとき、Zが−NR6b7b{ここで、R6bが水素原子を表し、そしてR7bが水素原子、または少なくとも1個のヒドロキシルによって置換されているC−Cアルキルの何れかを表す}を表し、そして
(ii) EがNHC(O)を表し、XがO、SまたはNHを表し、YがNHを表し、かつR5bがCHCHを表すとき、ZはOHまたはイミダゾリルではない]の化合物もしくはその薬学的に許容される塩またはそれらの溶媒和物である。
式(II)の化合物は、WO 01/42194 に記載されている。
【0014】
本発明の第3の態様において、P2X受容体アンタゴニストが、式(IV):
【化5】

[式中、
は、CHまたはCHCHを表し;
は、C(O)NHまたはNHC(O)を表し;
1cおよびR2cは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、アミノ、ニトロ、C−Cアルキルまたはトリフルオロメチルを表すが、R1cおよびR2cは、同時に水素を表すことはなく;
3cは、式(V):
【化6】

の基を表し;
4cはC−Cアルキルを表し;
は、酸素もしくは硫黄原子、またはNR13c、SOまたはSOを表し;
5cは、水素を表すか、またはR5cは、C−CアルキルまたはC−Cアルケニルを表し、それぞれは、所望によりハロゲン、ヒドロキシル、(ジ)−C−Cアルキルアミノ、−Y−R6c
【化7】

および窒素、酸素および硫黄から独立して選択される1から4個のヘテロ原子を含む5員もしくは6員環のヘテロ芳香環{ここで、該ヘテロ芳香環は、それ自身、所望によりハロゲン、ヒドロキシルおよびC−Cアルキルから選択される少なくとも1個の置換基によって置換されている}から選択される少なくとも1個の置換基によって置換されており;
は、酸素もしくは硫黄原子、またはNH、SO、またはSOを表し;
6cは、−R7c{ここで、R7cはC−Cアルキルを表し、そしてZは−OH、−COH、−NR8c9c、−C(O)NR10c11cまたは−N(R12c)C(O)−C−Cアルキルを表す}を表し、そして
が酸素もしくは硫黄原子またはNHを表す場合、R6cは、さらに、水素、C−Cアルキル、C−Cアルキルカルボニル、C−Cアルコキシカルボニル、−C(O)NR14c15c、−CHOC(O)R16c、−CHOC(O)OR17cまたは−C(O)OCHOR18cを表し;
8c、R9c、R10c、R11cおよびR12cは、それぞれ独立して、水素原子またはC−Cアルキルを表し;
13cは、水素、C−Cシクロアルキル、C−Cシクロアルキルメチルを表すか、または
13cは、所望によりヒドロキシルおよびC−Cアルコキシから選択される少なくとも1個の置換基によって置換されているC−Cアルキルを表し;そして
14c、R15c、R16c、R17cおよびR18cは、それぞれ独立して、C−Cアルキルを表し;
ただし、
がC(O)NHであり、XがO、NHまたはN(C−Cアルキル)であるとき、R5cは水素原子または非置換C−Cアルキル以外である]の化合物もしくはその薬学的に許容される塩またはそれらの溶媒和物である。
【0015】
望ましい式(IV)の化合物は、R5cが所望により置換されているC−Cアルキルを表し、望ましい置換基が−Y−R6cである化合物である。R5cが1から4個のヘテロ原子を含む5員もしくは6員環のヘテロ芳香環で置換されているとき、環中のヘテロ原子の数は、2以下であることが望ましい。
式(IV)の化合物は、WO 01/44170 で記載されている。
【0016】
本発明の第4の態様において、P2X受容体アンタゴニストが、式(VI)
【化8】

[式中、
mは、1、2、または3を表し;
それぞれのR1dは、独立して、水素またはハロゲン原子を表し;
は、C(O)NHまたはNHC(O)を表し;
Arは、
【化9】

の基を表し;
2dおよびR3dの一方は、ハロゲン、ニトロ、アミノ、ヒドロキシル、または
(i) 所望により少なくとも1個のハロゲン原子によって置換されているC−Cアルキル、
(ii) C−Cシクロアルキル、
(iii) 所望により少なくとも1個のハロゲン原子によって置換されているC−Cアルコキシ、および
(iv) C−Cシクロアルキルオキシ、
から選択される基を表し、そして
2dおよびR3dのもう一方は、水素もしくはハロゲン原子を表し;
4dは、式(X):
【化10】

の基を表し;
は、酸素もしくは硫黄原子、または>N−R8dを表し;
nは、0または1であり;
5dは、所望によりヒドロキシル、ハロゲンおよびC−Cアルコキシから選択される少なくとも1個の置換基によって置換されているC−Cアルキルを表し;
6dおよびR7dは、それぞれ独立して、水素原子、C−Cアルキル{所望によりヒドロキシル、ハロゲン、C−Cアルコキシ、および(ジ)−C−Cアルキルアミノ(それ自身、所望により少なくとも1個のヒドロキシルによって置換されている)から選択される少なくとも1個の置換基によって置換されている}、またはC−Cシクロアルキル{所望によりヒドロキシル、ハロゲンおよびC−Cアルコキシから選択される少なくとも1個の置換基によって置換されている}を表し;そして
8dは、水素原子、または所望によりヒドロキシル、ハロゲンおよびC−Cアルコキシから選択される少なくとも1個の置換基によって置換されているC−Cアルキルを表し;
【0017】
ただし、
(d) nが0であるとき、AがNHC(O)であり、そして
(e) nが1であり、Xが酸素を表し、そしてAがC(O)NHであるとき、R6dおよびR7dは、同時に両方が水素原子を表すことはなく、または同時に両方が非置換C−Cアルキルを表すことはなく、またはR6dおよびR7dの一方が水素原子を表すとき、R6dおよびR7dのもう一方が非置換C−Cアルキルを表すことはなく;そして
(f) nが1であり、Xが、酸素、硫黄、または>NHであり、そしてAがNHC(O)であるとき、R6dおよびR7dは同時に両方が水素原子を表すことはなく、または同時に両方が非置換C−Cアルキルを表すことはなく、またはR6dおよびR7dの一方が水素原子を表すとき、R6dおよびR7dのもう一方は、非置換C−Cアルキルまたは−CHCHOHを表さない]の化合物もしくはその薬学的に許容される塩またはそれらの溶媒和物である。
式(VI)の化合物は、WO 03/41707 に記載されている。
【0018】
本発明の別の態様において、P2X受容体アンタゴニストが、式(XI):
【化11】

[式中、
mは、1、2、または3を表し;
は、C(O)NHまたはNHC(O)を表し;
は、NまたはCHを表し;
は、結合、CO、(CH)1−6、O(CH)1−6、(CH)1−6NH(CH)1−6、(CH)1−6O(CH)1−6、NH(CH)1−6を表し;
は、NR2e3eを表し;
1eは、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アミノ、ヒドロキシル、C−Cアルキル、またはC−Cシクロアルキルを表し、該アルキルまたはシクロアルキルは、所望により1個以上のフッ素原子によって置換されており;
2eおよびR3eは、それぞれ独立して、水素原子、C−Cアルキル、またはC−Cシクロアルキルを表し、該アルキルもしくはシクロアルキルは、所望によりヒドロキシル、ハロゲンまたはC−Cアルコキシから選択される1個以上の基によって置換されているか、または
2eおよびR3eは、それらが結合している窒素原子と一体になって、1から2個の窒素原子、および所望により1個の酸素原子を含む、3〜9員環の飽和単環式もしくは二環式複素環式環を形成し、該複素環式環は、所望によりヒドロキシル、ハロゲン、またはC−Cアルコキシから選択される1個以上の基によって置換されている]の化合物もしくはその薬学的に許容される塩またはそれらの溶媒和物である。
式(XI)の化合物は、本明細書中で上記で引用されている参考文献に記載されている化学によって、またはそれに類似する化学によって製造され得る。
【0019】
さらなる本発明の態様において、P2X受容体アンタゴニストが、
2−クロロ−5−[[2−(2−ヒドロキシ−エチルアミノ)−エチルアミノ]−メチル]−N−(トリシクロ[3.3.1.13,7]デカ−1−イルメチル)−ベンズアミド;
2−クロロ−5−[3−[(3−ヒドロキシプロピル)アミノ]プロピル]−N−(トリシクロ[3.3.1.1]デカ−1−イルメチル)−ベンズアミド;
(R)−2−クロロ−5−[3−[(2−ヒドロキシ−1−メチルエチル)アミノ]プロピル]−N−(トリシクロ[3.3.1.13,7]デカ−1−イルメチル)−ベンズアミド;
2−クロロ−5−[[2−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]エトキシ]メチル]−N−(トリシクロ[3.3.1.13,7]デカ−1−イルメチル)−ベンズアミド;
2−クロロ−5−[3−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]プロピル]−N−(トリシクロ[3.3.1.13,7]デカ−1−イルメチル)ベンズアミド;
2−クロロ−5−[3−(3−ヒドロキシ−プロピルアミノ)−プロポキシ]−N−(トリシクロ[3.3.1.13,7]デカ−1−イルメチル)−ベンズアミド;
2−クロロ−5−[2−(3−ヒドロキシプロピルアミノ)エチルアミノ]−N−(トリシクロ[3.3.1.13,7]デカ−1−イルメチル)−ベンズアミド;
2−クロロ−5−[2−(3−ヒドロキシプロピルスルホニル)エトキシ]−N−(トリシクロ[3.3.1.13,7]デカ−1−イルメチル)−ベンズアミド;
2−クロロ−5−[2−[2−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]エトキシ]エトキシ]−N−(トリシクロ[3.3.1.13,7]デカ−1−イルメチル)−ベンズアミド;
2−クロロ−5−[[2−[[2−(1−メチル−1H−イミダゾール−4−イル)エチル]アミノ]エチル]アミノ]−N−(トリシクロ[3.3.1.13,7]デカ−1−イルメチル)−ベンズアミド;
2−クロロ−5−ピペラジン−1−イルメチル−N−(トリシクロ[3.3.1.1]デカ−1−イルメチル)−ベンズアミド;
2−クロロ−5−(4−ピペリジニルオキシ)−N−(トリシクロ[3.3.1.13,7]デカ−1−イルメチル)−ベンズアミド;
2−クロロ−5−(2,5−ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−イルメチル)−N−(トリシクロ[3.3.1.1]デカ−1−イルメチル)−ベンズアミド;
2−クロロ−5−(ピペリジン−4−イルスルフィニル)−N−(トリシクロ[3.3.1.13,7]デカ−1−イルメチル)−ベンズアミド;
5−クロロ−2−[3−[(3−ヒドロキシプロピル)アミノ]プロピル]−N−(トリシクロ[3.3.1.13,7]デカ−1−イルメチル)−4−ピリジンカルボキサミド;
2−クロロ−5−[3−[[(1R)−2−ヒドロキシ−1−メチルエチル]アミノ]プロピル]−N−(トリシクロ[3.3.1.13,7]デカ−1−イルメチル)−3−ピリジンカルボキサミド;
5−クロロ−2−[3−(エチルアミノ)プロピル]−N−(トリシクロ[3.3.1.13,7]デカ−1−イルメチル)−4−ピリジンカルボキサミド;
5−クロロ−2−[3−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]プロピル]−N−(トリシクロ[3.3.1.13,7]デカ−1−イルメチル)−4−ピリジンカルボキサミド;
5−クロロ−2−[3−[[(2S)−2−ヒドロキシプロピル]アミノ]プロピル]−N−(トリシクロ[3.3.1.13,7]デカ−1−イルメチル)−4−ピリジンカルボキサミド;
N−[2−メチル−5−(9−オキサ−3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナ−3−イルカルボニル)フェニル]−トリシクロ[3.3.1.13,7]デカン−1−アセトアミド;
またはその何れか1つの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である。
【0020】
薬学的に許容される塩は、適用可能であれば、薬学的に許容される無機および有機酸から誘導される酸付加塩、例えばクロライド(chloride)、ブロマイド(bromide)、硫酸塩、リン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、安息香酸塩、4−メトキシ安息香酸塩、2−もしくは4−ヒドロキシ安息香酸塩、4−クロロ安息香酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、アスコルビン酸塩、酢酸塩、コハク酸塩、乳酸塩、グルタル酸塩、グルコン酸塩、トリカルバリル酸塩、ヒドロキシナフタレン−カルボン酸塩、またはオレイン酸塩を含み;そして薬学的に許容される無機および有機塩基から製造される塩を含む。無機塩基から誘導される塩は、アルミニウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩、銅塩、鉄(III)塩、鉄(II)塩、リチウム塩、マグネシウム塩、マンガン(III)塩、マンガン(II)塩、カリウム塩、ナトリウム塩、亜鉛塩、およびビスマス塩を含む。アンモニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、カリウム塩、およびナトリウム塩が特に望ましい。薬学的に許容される有機塩基から誘導される塩は、第1級、第2級、および第3級アミン、環状アミン、例えばアルギニン、ベタイン、コリンなどの塩を含む。薬学的に許容される溶媒和物の例は、水和物を含む。
【0021】
本発明で用いられ得るP2X受容体アンタゴニストの例は、
2−クロロ−5−[[2−(2−ヒドロキシ−エチルアミノ)−エチルアミノ]−メチル]−N−(トリシクロ[3.3.1.13,7]デカ−1−イルメチル)−ベンズアミド, 二塩酸塩;
2−クロロ−5−[3−[(3−ヒドロキシプロピル)アミノ]プロピル]−N−(トリシクロ[3.3.1.1]デカ−1−イルメチル)−ベンズアミド, 塩酸塩;
(R)−2−クロロ−5−[3−[(2−ヒドロキシ−1−メチルエチル)アミノ]プロピル]−N−(トリシクロ[3.3.1.13,7]デカ−1−イルメチル)−ベンズアミド, 塩酸塩;
2−クロロ−5−[[2−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]エトキシ]メチル]−N−(トリシクロ[3.3.1.13,7]デカ−1−イルメチル)−ベンズアミド, 酢酸(1:1)塩;
2−クロロ−5−[3−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]プロピル]−N−(トリシクロ[3.3.1.13,7]デカ−1−イルメチル)ベンズアミド, 塩酸塩;
2−クロロ−5−[3−(3−ヒドロキシ−プロピルアミノ)−プロポキシ]−N−(トリシクロ[3.3.1.13,7]デカ−1−イルメチル)−ベンズアミド, 塩酸塩;
2−クロロ−5−[2−(3−ヒドロキシプロピルアミノ)エチルアミノ]−N−(トリシクロ[3.3.1.13,7]デカ−1−イルメチル)−ベンズアミド, 酢酸塩(1:1);
2−クロロ−5−[2−(3−ヒドロキシプロピルスルホニル)エトキシ]−N−(トリシクロ[3.3.1.13,7]デカ−1−イルメチル)−ベンズアミド;
2−クロロ−5−[2−[2−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]エトキシ]エトキシ]−N−(トリシクロ[3.3.1.13,7]デカ−1−イルメチル)−ベンズアミド, 塩酸塩;
2−クロロ−5−[[2−[[2−(1−メチル−1H−イミダゾール−4−イル)エチル]アミノ]エチル]アミノ]−N−(トリシクロ[3.3.1.13,7]デカ−1−イルメチル)−ベンズアミド;
2−クロロ−5−ピペラジン−1−イルメチル−N−(トリシクロ[3.3.1.1]デカ−1−イルメチル)−ベンズアミド, 二塩酸塩;
2−クロロ−5−(4−ピペリジニルオキシ)−N−(トリシクロ[3.3.1.13,7]デカ−1−イルメチル)−ベンズアミド, 塩酸塩;
2−クロロ−5−(2,5−ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−イルメチル)−N−(トリシクロ[3.3.1.1]デカ−1−イルメチル)−ベンズアミド, 塩酸塩;
2−クロロ−5−(ピペリジン−4−イルスルフィニル)−N−(トリシクロ[3.3.1.13,7]デカ−1−イルメチル)−ベンズアミド;
5−クロロ−2−[3−[(3−ヒドロキシプロピル)アミノ]プロピル]−N−(トリシクロ[3.3.1.13,7]デカ−1−イルメチル)−4−ピリジンカルボキサミド;
2−クロロ−5−[3−[[(1R)−2−ヒドロキシ−1−メチルエチル]アミノ]プロピル]−N−(トリシクロ[3.3.1.13,7]デカ−1−イルメチル)−3−ピリジンカルボキサミド;
5−クロロ−2−[3−(エチルアミノ)プロピル]−N−(トリシクロ[3.3.1.13,7]デカ−1−イルメチル)−4−ピリジンカルボキサミド, 塩酸塩;
5−クロロ−2−[3−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]プロピル]−N−(トリシクロ[3.3.1.13,7]デカ−1−イルメチル)−4−ピリジンカルボキサミド, 塩酸塩;
5−クロロ−2−[3−[[(2S)−2−ヒドロキシプロピル]アミノ]プロピル]−N−(トリシクロ[3.3.1.13,7]デカ−1−イルメチル)−4−ピリジンカルボキサミド, 二塩酸塩;および
N−[2−メチル−5−(9−オキサ−3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナ−3−イルカルボニル)フェニル]−トリシクロ[3.3.1.13,7]デカン−1−アセトアミド, 塩酸塩;
を含む。
【0022】
本発明に用いられるP2X受容体アンタゴニストは、立体異性体の形態で存在し得る。活性成分の全ての幾何および光学異性体およびラセミ体を含むその混合物を含むと解される。互変異性体およびその混合物もまた、本発明の態様を形成する。
【0023】
本発明の製品もしくはキット中の第2の活性成分は、腫瘍壊死因子α(TNFα)阻害剤である。TNFα阻害剤は、TNFα活性を完全にもしくは部分的に阻害し得る化合物もしくは他の物質である。TNFα阻害剤として本発明で用いられ得る化合物もしくは物質の詳細な記載は、例えば公開国際特許出願番号 WO 98/05357 号(これらの内容はすべて言及することによって本明細書中に組み込まれている)で見出され得る。
【0024】
本発明の態様において、腫瘍壊死因子α(TNFα)阻害剤は、TNFαに結合し得る受容体分子である。該受容体分子は、当業界に既知であり、本発明で用いられ得る受容体分子の詳細な記載は、例えば WO 98/05357 の32〜35頁で見出され得る。本発明で特に良い結果を示した受容体分子の例は、エタネルセプト(Expert Opin. Pharmacother. (2001) 2(7); 1137-1148)である。エタネルセプトはヒトのIgGのFc部分に結合する腫瘍壊死因子受容体の細胞外リガンド結合部分からなる融合蛋白質である。それは、チャイニーズハムスター卵巣 (CHO)ほ乳類細胞発現系中に、組み換えDNAテクノロジーによって製造される。エタネルセプトは、蛋白質と結合しその細胞表面のTNF受容体との相互作用をブロックすることによって、プロ炎症サイトカイン腫瘍壊死因子(TNF)の生物学的活性を弱めると考えられている。エタネルセプトは、Amgen and Wyeth Pharmaceuticals によって、商品名‘Enbrel’で販売されている。受容体分子であって、本発明に従って用いられ得るTNFα阻害剤のさらなる例は、Pegsunercept、すなわちPEG化可溶性TNFα阻害剤受容体(Arth. Rheum. (2003) 48, S121)である。
【0025】
本発明の別の態様において、腫瘍壊死因子α(TNFα)阻害剤は、抗TNFα抗体である。本発明による抗TNF抗体の例は、TNFα活性を完全にまたは部分的に阻害し得る、モノクローナル、キメラ、ヒト化、再表面化(resurfaced)、および組み換え抗体およびそれらのフラグメントを含む。該抗体は、当業界で既知であり、例えば WO 98/05357 の13〜32頁に記載されている。本発明で用いられ得る抗TNFα抗体の特定の例は、モノクローナル抗体インフリキシマブおよびアダリムマブ(Adalimumab)(D2E7)である。インフリキシマブは、ヒトの一定領域とマウスの可変領域からなるキメラのIgG1kモノクローナル抗体であり、Centocor によって、商品名‘Remicade’で販売されている。アダリムマブ(D2E7)は、重鎖および軽鎖可変領域およびヒトのIgG1:k一定領域での抗体を与えるファージ・ディスプレイ・テクノロジーを用いて製造される、組み換えヒトIgG1モノクローナル抗体である。アダリムマブ(D2E7)は、Abbott Laboratories によって、商品名‘Humira’で販売されている。本発明で用いられ得る抗TNFα抗体フラグメントのさらなる例は、CDP-870、すなわちTNFαに高い親和性を持って結合するPEG化ヒト化抗体フラグメントである(Cur. Opin. Investig. Drugs. (2003) 4; 588-592)。
【0026】
本発明のさらなる態様において、腫瘍壊死因子α(TNFα)阻害剤は、TNFα受容体に結合し、そして抗TNFα受容体抗体を含む。
【0027】
有益な抗炎症効果をもたらし、従って、種々の急性および慢性炎症状態/疾患、例えばリウマチ性関節炎を処置するのに用いることが可能であることから、本発明による活性成分の選択が有益であることが見出された。炎症性疾患の処置は、該状態に関する疼痛増大の減少および/または疼痛の軽減を含み得る。この点で、本発明の製品は、炎症疾患、特にリウマチ性関節炎によって引き起こされる疼痛の低減または軽減に、特に有益である。
【0028】
本発明のさらなる有益な態様は、TNFα阻害剤の用量を、TNFα阻害剤単独で用いた場合よりも少ない量で用いて、有効に処置し得ることである。生物学的治療薬、例えばTNFα阻害剤の使用が患者に日和見感染を起こし易いために、このことは重要である。さらに、確立された抗TNFα治療薬、例えばエタネルセプトは、薬物を系から除くまでに長い“ウォッシュアウト”期間があるという、さらなる複雑さがある。効力を損なうことなくTNFα阻害剤の用量を低下させてP2Xアンタゴニストと共に投与することは、これらの安全上の懸念を減少させ、場合によっては抗TNFα治療を、その使用が今日までは不適切であると考えられてきた患者の集団に適用することを可能とする。
【0029】
望ましい本発明の態様において、第2活性成分が、腫瘍壊死因子α(TNFα)阻害剤エタネルセプトであり、そしてP2X受容体アンタゴニストである第1活性成分が、
2−クロロ−5−[[2−(2−ヒドロキシ−エチルアミノ)−エチルアミノ]−メチル]−N−(トリシクロ[3.3.1.13,7]デカ−1−イルメチル)−ベンズアミド;
2−クロロ−5−[3−[(3−ヒドロキシプロピル)アミノ]プロピル]−N−(トリシクロ[3.3.1.1]デカ−1−イルメチル)−ベンズアミド;
(R)−2−クロロ−5−[3−[(2−ヒドロキシ−1−メチルエチル)アミノ]プロピル]−N−(トリシクロ[3.3.1.13,7]デカ−1−イルメチル)−ベンズアミド;
2−クロロ−5−[[2−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]エトキシ]メチル]−N−(トリシクロ[3.3.1.13,7]デカ−1−イルメチル)−ベンズアミド;
2−クロロ−5−[3−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]プロピル]−N−(トリシクロ[3.3.1.13,7]デカ−1−イルメチル)ベンズアミド;
2−クロロ−5−[3−(3−ヒドロキシ−プロピルアミノ)−プロポキシ]−N−(トリシクロ[3.3.1.13,7]デカ−1−イルメチル)−ベンズアミド;
2−クロロ−5−[2−(3−ヒドロキシプロピルアミノ)エチルアミノ]−N−(トリシクロ[3.3.1.13,7]デカ−1−イルメチル)−ベンズアミド;
2−クロロ−5−[2−(3−ヒドロキシプロピルスルホニル)エトキシ]−N−(トリシクロ[3.3.1.13,7]デカ−1−イルメチル)−ベンズアミド;
2−クロロ−5−[2−[2−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]エトキシ]エトキシ]−N−(トリシクロ[3.3.1.13,7]デカ−1−イルメチル)−ベンズアミド;
2−クロロ−5−[[2−[[2−(1−メチル−1H−イミダゾール−4−イル)エチル]アミノ]エチル]アミノ]−N−(トリシクロ[3.3.1.13,7]デカ−1−イルメチル)−ベンズアミド;
2−クロロ−5−ピペラジン−1−イルメチル−N−(トリシクロ[3.3.1.1]デカ−1−イルメチル)−ベンズアミド;
2−クロロ−5−(4−ピペリジニルオキシ)−N−(トリシクロ[3.3.1.13,7]デカ−1−イルメチル)−ベンズアミド;
2−クロロ−5−(2,5−ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−イルメチル)−N−(トリシクロ[3.3.1.1]デカ−1−イルメチル)−ベンズアミド;
2−クロロ−5−(ピペリジン−4−イルスルフィニル)−N−(トリシクロ[3.3.1.13,7]デカ−1−イルメチル)−ベンズアミド;
5−クロロ−2−[3−[(3−ヒドロキシプロピル)アミノ]プロピル]−N−(トリシクロ[3.3.1.13,7]デカ−1−イルメチル)−4−ピリジンカルボキサミド;
2−クロロ−5−[3−[[(1R)−2−ヒドロキシ−1−メチルエチル]アミノ]プロピル]−N−(トリシクロ[3.3.1.13,7]デカ−1−イルメチル)−3−ピリジンカルボキサミド;
5−クロロ−2−[3−(エチルアミノ)プロピル]−N−(トリシクロ[3.3.1.13,7]デカ−1−イルメチル)−4−ピリジンカルボキサミド;
5−クロロ−2−[3−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]プロピル]−N−(トリシクロ[3.3.1.13,7]デカ−1−イルメチル)−4−ピリジンカルボキサミド;
5−クロロ−2−[3−[[(2S)−2−ヒドロキシプロピル]アミノ]プロピル]−N−(トリシクロ[3.3.1.13,7]デカ−1−イルメチル)−4−ピリジンカルボキサミド;
N−[2−メチル−5−(9−オキサ−3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナ−3−イルカルボニル)フェニル]−トリシクロ[3.3.1.13,7]デカン−1−アセトアミド;
またはその何れか1つの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物から選択される。この態様の製品は、特に、炎症性疾患、特にリウマチ性関節炎によって引き起こされる疼痛を軽減するまたは緩和するために用いられ得る。
【0030】
第1および第2活性成分を、炎症状態を処置するために、同時に(混合物以外)、連続して、または別個に投与する。“連続して”は、第1および第2活性成分を、何れかの順序で、1つを投与した直後に他方を投与することを意味する。それらは、さらに、別個に投与された場合も、望ましい効果を有する。
【0031】
第1および第2活性成分は、便宜的に、経口投与または非経腸投与(例えば静脈内、皮下、筋肉内、関節内、または吸入)によって、慣用の全身投与形を、例えば錠剤、カプセル剤、丸薬、粉剤、水性もしくは油性溶液もしくは懸濁液、エマルジョン、および滅菌処理した注射可能な水性もしくは油性溶液もしくは懸濁液を用いて投与される。これらの投与形は、通常、例えばアジュバント、担体、結合剤、滑沢剤、希釈剤、安定剤、緩衝剤、乳化剤、粘度制御剤、界面活性剤、保存料、風味剤、および着色料から選択され得る、1個以上の薬学的に許容される成分を含む。当業者に理解されるように、最も適切な活性成分を投与する方法は、幾つかの因子に依存している。しかし、一般的に、第1活性成分は経口投与が望ましく、一方第2活性成分は皮下投与が望ましい。
【0032】
上記の治療の使用のために、投与される用量は、用いられる第1および第2活性成分、投与方法、望ましい処置、および適応される状態もしくは疾患に伴って、当然に変化する。しかし、一般的に、第1および第2活性成分の総用量が、10から2000ミリグラム(mg)、特に10、20、30、40、50、100、150、200、または300から、1800、1500、1200、1000、800、600、500または400mgの範囲である場合に、満足のいく結果が得られる。
【0033】
本発明の医薬製品もしくはキットは、分割した用量で投与されてもよい。分割投与によって投与される場合、第1および第2成分は、互いに異なる頻度で投与されてもよい。しかし、一般的に、それぞれの活性成分の投与頻度は、独立して、7日毎に1回から1日4回の範囲である。
【0034】
本発明の態様において、医薬製品もしくはキットにおける第1活性成分の用量は、5から1000mgの範囲であり、好ましくは1日当たり20、50、100、または200から、800、600、500、または400mgであり、その1日用量は、1日1回から4回の分割投与として投与されてもよく、好ましくは1日1回または2回であり;一方、第2活性成分の用量は、1から100mgの範囲であり、好ましくは5、10、または20から、80、50、または40mgであり、その投与は、7日毎に1回から1日1回の範囲の頻度で投与される。この態様の投与ルーチンは、特に、第1活性成分が経口投与または吸入によって送達され、そして第2活性成分が皮下注射によって投与される。第2活性成分の皮下注射、およびこの態様の投与レジメは、特に、第2活性成分がエタネルセプトである場合に用いられ得る。
【0035】
本発明は、さらに、炎症状態の処置のための医薬の製造における、本発明による医薬製品またはキットの使用を提供する。
【0036】
さらに、本発明は、炎症状態を処置する方法であって、
(a) P2X受容体アンタゴニスト(ここで、P2X受容体アンタゴニストがアダマンチル誘導体である)である第1活性成分(治療有効量);および
(b) 腫瘍壊死因子α(TNFα)阻害剤である、第2活性成分(治療有効量);
を、それが必要な患者に、同時に、連続して、または別個に投与することを含む方法を提供する。
【0037】
本発明の内容において、“治療”という用語はまた、特定の記載に反しない限り、“予防”も含む。“治療の”および“治療上”という用語も、それに応じて解釈されるべきである。
【0038】
予防は、特に、対象の状態もしくは疾患にかかった病歴があるか、またはそのリスクが増大していると考えられるヒトの処置に関連していると予測される。特定の状態もしくは疾患にかかるリスクがあるヒトは、該状態もしくは疾患の家族病歴があるヒト、または特に該状態もしくは疾患にかかりやすいと遺伝子試験もしくはスクリーニングによって特定されたヒトを含む。
【0039】
本発明は、さらに、リウマチ性関節炎、骨関節炎、骨粗鬆症、乾癬、炎症性腸疾患、COPD、喘息、アレルギー性鼻炎、または癌、または例えば多発性硬化症、アルツハイマー病、もしくは卒中といった神経変性疾患の何れか1つの処置のための、3つの組み合わせ治療に関する。
【0040】
リウマチ性関節炎の処置のために、本発明の医薬製品もしくはキットは、“生物学的薬剤”、例えばIL−1受容体アンタゴニスト(例えばアナキンラ(Anakinra))およびIL−1トラップ、IL−18受容体、抗IL−6Ab、抗CD20Ab、抗IL−15Ab、およびCTLA4Igと組み合わされ得る。
【0041】
本発明の医薬製品もしくはキットとの組み合わせに適切な薬剤は、標準的な非ステロイド性抗炎症剤(以後NSAIDとする)、例えばピロキシカム、ジクロフェナク、プロピオン酸、例えばナプロキセン、フルルビプロフェン(flubiprofen)、フェノプロフェン、ケトプロフェン、およびイブプロフェン、フェナメート、例えばメフェナム酸、インドメタシン、スリンダク、アパゾン、ピラゾロン、例えばフェニルブタゾン、サリチレート、例えばアスピリンを含む。シクロオキシゲナーゼ阻害一酸化窒素合成酵素ドナー(CINOD)、および“疾患修飾剤”(DMARD)、例えばシクロスポリン A、レフルノミド;シクレソニド;ヒドロキシクロロキン、d−ペニシラミン、オーラノフィン、または非経腸もしくは経口の金もまた用いられ得る。
【0042】
本発明は、さらに、本発明の医薬製品もしくはキットと、ジロートン(zileuton);ABT-761;フェンレウトン(fenleuton);テポキサリン(tepoxalin);Abbott-79175;Abbott-85761;N−(5−置換)−チオフェン−2−アルキルスルホンアミド;2,6−ジ−tert−ブチルフェノールヒドラゾン;メトキシテトラヒドロピラン、例えば Zeneca ZD-2138;化合物 SB-210661;ピリジニル置換2−シアノナフタレン化合物、例えば L-739,010;2−シアノキノリン化合物、例えば L-746,530;インドールおよびキノリン化合物、例えば MK-591、MK-886、および BAY x 1005 からなる群から選択される、ロイコトリエン生合成阻害剤、5−リポキシゲナーゼ(5−LO)阻害剤、または5−リポキシゲナーゼ活性化蛋白質(FLAP)アンタゴニストとの組み合わせに関する。
【0043】
本発明は、さらに、フェノチアジン−3−オン、例えば L-651,392;アミジノ化合物、例えば CGS-25019c;ベンゾキサラミン(benzoxalamine)、例えばオンタゾラスト(ontazolast);ベンゼンカルボキシイミドアミド、例えば BIIL 284/260;および化合物、例えばザフィルルカスト、アブルカスト(ablukast)、モンテルカスト(montelukast)、プランルカスト、ベルルカスト(verlukast)(MK-679)、RG-12525、Ro-245913、イラルカスト(CGP 45715A)、および BAY x 7195 からなる群から選択される、ロイコトリエン LTB、LTC、LTD、およびLTEにおける受容体アンタゴニストを伴う、本発明の医薬製品もしくはキットに関する。
【0044】
本発明は、さらに、PDE4Dのアイソフォームの阻害剤を含むPDE4阻害剤を伴う、本発明の医薬製品もしくはキットに関する。
【0045】
本発明は、さらに、セチリジン、ロラタジン(loratadine)、デスロラタジン(desloratadine)、フェキソフェナジン、アステミゾール、アゼラスチン、およびクロルフェニラミンを含む抗ヒスタミンH受容体アンタゴニストを伴う、本発明の医薬製品もしくはキットに関する。
【0046】
本発明は、さらに、胃保護H受容体アンタゴニストまたはプロトンポンプ阻害剤(例えばオメプラゾール)を伴う、本発明の医薬製品もしくはキットに関する。
【0047】
本発明は、さらに、プロピルヘキセドリン(propylhexedrine)、フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、シュードエフェドリン、ナファゾリン塩酸塩、オキシメタゾリン塩酸塩、テトラヒドロゾリン塩酸塩、キシロメタゾリン(xylometazoline)塩酸塩、およびエチルノルエピネフリン塩酸塩を含む、α−およびα−アドレナリン受容体アゴニスト血管収縮交感神経興奮薬を伴う、本発明の医薬製品もしくはキットに関する。
【0048】
本発明は、さらに、臭化イプラトロピウム;臭化チオトロピウム;臭化オキシトロピウム;ピレンゼピン;およびテレンゼピンを含む抗コリン作動薬を伴う、本発明の医薬製品またはキットに関する。
【0049】
本発明は、さらに、テオフィリンおよびアミノフィリンを含むメチルキサンチン(xanthanine);クロモグリク酸ナトリウム;またはムスカリン受容体(M1、M2およびM3)アンタゴニストを伴う、本発明の医薬製品またはキットに関する。
【0050】
本発明は、さらに、ケモカイン受容体機能の、例えばCCR1、CCR2、CCR2A、CCR2B、CCR3、CCR4、CCR5、CCR6、CCR7、CCR8、CCR9、CCR10、およびCCR11(C−Cファミリーにおいて);CXCR1、CXCR3、CXCR4、およびCXCR5(C−X−Cファミリーにおいて)、およびCXCR1(C−X−Cファミリーにおいて)のモジュレーターを伴う、本発明の医薬製品またはキットに関する。
【0051】
本発明は、さらに、I型インシュリン様成長因子(IGF−1)模倣薬を伴う、本発明の医薬製品またはキットに関する。
【0052】
本発明は、さらに、
(a) トリプターゼ阻害剤;
(b) 血小板活性化因子(PAF)アンタゴニスト;
(c) インターロイキン変換酵素(ICE)阻害剤;
(d) IMPDH阻害剤;
(e) VLA−4アンタゴニストを含む接着分子阻害剤;
(f) カテプシン;
(g) グルコース−6 ホスフェート デヒドロゲナーゼ阻害剤;
(h) キニン−B−および−B−受容体アンタゴニスト;
(i) 抗痛風剤、例えばコルヒチン;
(j) キサンチン オキシダーゼ阻害剤、例えばアロプリノール;
(k) 尿酸排泄剤、例えばプロベネシド、スルフィンピラゾンおよびベンズブロマロン;
(l) 成長ホルモン分泌促進物質;
(m) トランスフォーミング成長因子(TGFβ);
(n) 血小板由来成長因子(PDGF);
(o) 線維芽細胞成長因子、例えば塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF);
(p) 顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF);
(q) カプサイシン クリーム;
(r) NKP-608C、SB-233412 (talnetant) および D-4418 からなるグループから選択される、タキキニン NKおよびNK受容体アンタゴニスト;および
(s) UT-77 および ZD-0892 からなるグループから選択される、エラスターゼ阻害剤;
(t) 誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)阻害剤;または
(u) TH2細胞で発現される化学誘引物質受容体相同分子(CRTH2アンタゴニスト);
を伴う、本発明の医薬製品またはキットに関する。
【0053】
本発明の医薬製品もしくはキットはまた、骨関節炎の処置のための現存する治療薬と組み合わされ得る。組み合わせに適切な薬剤は、標準的な非ステロイド性抗炎症剤(以後NSAIDとする)、例えばピロキシカム、ジクロフェナク、プロピオン酸、例えばナプロキセン、フルルビプロフェン(flubiprofen)、フェノプロフェン、ケトプロフェン、およびイブプロフェン、フェナメート、例えばメフェナム酸、インドメタシン、スリンダク、アパゾン、ピラゾロン、例えばフェニルブタゾン、サリチレート、例えばアスピリン;誘導型一酸化窒素合成酵素阻害剤(iNOS阻害剤)、およびシクロオキシゲナーゼ阻害一酸化窒素ドナー(CINOD);鎮痛剤(例えばアセトアミノフェンおよびトラマドール);軟骨保持薬(cartilage sparing agent)、例えばジアセレイン(diacerein)、ドキシサイクリン、およびグルコサミン、およびヒアルロン酸、例えば hyalgan およびシンビスク(synvisc)を含む。
【0054】
本発明の医薬製品もしくはキットはまた、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎およびクローン病)の処置のための現存する治療薬と組み合わされ得る。用いられるのに適切な薬剤は、5−アミノサリチレート、チオプリン、アザチオプリン、および6−メルカプトプリン(6-mecaptorurine)を含む。
【0055】
本発明の医薬製品もしくはキットはまた、抗癌剤、例えばエンドスタチンおよびアンジオスタチン、または細胞毒性薬物、例えばアドリアマイシン、ダウノマイシン、シスプラチン、エトポシド、タキソール、タキソテール、およびファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、VegF阻害剤、および代謝拮抗剤、例えば抗悪性腫瘍薬、特にビンカアルカロイド、例えばビンブラスチンおよびビンクリスチンを含む、有糸分裂阻害剤と組み合わされ得る。
【0056】
本発明の医薬製品もしくはキットはまた、抗ウイルス剤、例えばビラセプト(Viracept)、AZT、アシクロビル、およびファムシクロビル(famciclovir)、および抗敗血症化合物、例えば Valant と組み合わされ得る。
【0057】
本発明の医薬製品もしくはキットはまた、カルシウム・チャネル・ブロッカー、抗脂血剤、例えばフィブラート、β−ブロッカー、Ace阻害剤、アンジオテンシン−2受容体アンタゴニスト、および血小板凝集阻害剤と組み合わされ得る。
【0058】
本発明の医薬製品もしくはキットはまた、CNS剤、例えば抗うつ剤(例えばセルトラリン)、抗パーキンソン病薬(例えばデプレニル、L-dopa、Requip、Mirapex、MAOB阻害剤、例えばセレギリン(selegine)およびラサギリン(rasagiline)、comP阻害剤、例えばタスマー(Tasmar)、A−2阻害剤、ドーパミン再取り込み阻害剤、NMDAアンタゴニスト、ニコチンアゴニスト、ドーパミンアゴニスト、および神経型一酸化窒素合成酵素阻害剤)、および抗アルツハイマー薬、例えばドネペジル、タクリン、プロペントフィリン、またはメトリフォネート(metryfonate)と組み合わされ得る。
【0059】
本発明の医薬製品もしくはキットはまた、骨粗鬆症薬、例えばラロキシフェン(roloxifene)、ドロロキシフェン(droloxifene)、ラソフォキシフェン(lasofoxifene)またはフォソマックス(fosomax)、および免疫抑制剤、例えば FK-506、ラパマイシン、シクロスポリン、およびアザチオプリンと組み合わされ得る。
本発明は、さらに、下記の実施例の記載によって理解される。
【実施例】
【0060】
下記のP2Xアンタゴニストを実施例に用いた。
1. N−[2−メチル−5−(9−オキサ−3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナ−3−イルカルボニル)フェニル]−トリシクロ[3.3.1.13,7]デカン−1−アセトアミド, 塩酸塩
【化12】

【0061】
P2Xアンタゴニスト1. (N−[2−メチル−5−(9−オキサ−3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナ−3−イルカルボニル)フェニル]−トリシクロ[3.3.1.13,7]デカン−1−アセトアミド, 塩酸塩)を下記の通りに製造した。
【0062】
a) 3−(4−メチル−3−ニトロベンゾイル)−7−(フェニルメチル)−9−オキサ−3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン
ジクロロメタン(30ml)中の塩化オキサリル(9.6ml)を、45分にわたって、DMF(0.1ml)を含むジクロロメタン(320ml)中の4−メチル−3−ニトロ−安息香酸(10.0g)の氷冷した溶液に滴下した。反応混合物を室温で1時間撹拌し、次に真空で濃縮した。酸塩化物をTHF(320ml)に取り、氷浴中で冷却した後、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(38ml)を、次に3−(フェニルメチル)−9−オキサ−3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン, 二塩酸塩(16.0g)(WO 01/028992 に記載された通りに製造)を、少しずつ加えた。反応物を18時間撹拌し、次に酢酸エチル(600ml)で希釈し、水(2×200ml)で、そして飽和重炭酸ナトリウム(aq)(3×150ml)で洗浄し、次に乾燥し(MgSO)、濾過し、濃縮し、副題化合物を得た(18.5g)。
m/z = 382
【0063】
b) 3−(3−アミノ−4−メチルベンゾイル)−7−(フェニルメチル)−9−オキサ−3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン
還元された鉄粉(7.9g)を、15分にわたって、エタノール/水(3:1, 320ml)中の段階a)の生成物(18.0g)および塩化アンモニウム(7.5g)の溶液に、撹拌しながら、70℃で加えた。反応混合物を2時間還流し、次に濾過し、真空で濃縮した。残渣を酢酸エチル(400ml)に取り、水(2×150ml)で洗浄し、次に有機相を乾燥し(MgSO)、真空で濃縮し、副題化合物を得た(14.5g)。
m/z = 352
【0064】
c) N−[2−メチル−5−[[7−(フェニルメチル)−9−オキサ−3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナ−3−イル]カルボニル]フェニル]−トリシクロ[3.3.1.13,7]デカン−1−アセトアミド
段階a)の方法によって、1−アダマンタン酢酸および段階b)の生成物を用いて製造した。再結晶し(酢酸エチル)、副題化合物を得た。
m/z 528
【0065】
d) N−[2−メチル−5−(9−オキサ−3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナ−3−イルカルボニル)フェニル]−トリシクロ[3.3.1.13,7]デカン−1−アセトアミド, 塩酸塩
1,4−ジオキサン中の4M HCl(8ml)を、酢酸エチル(300ml)中の段階c)の生成物(13.0g)の溶液に加えた。得られた沈殿物を濾過によって単離し、次にエタノール(300ml)に懸濁し、5% パラジウム/炭素(1.2g)を加えた。反応混合物を3気圧の水素下で36時間撹拌した。次にメタノールを窒素雰囲気下で加え、次に触媒を濾過によって除き、ろ液を真空で濃縮した。再結晶し(イソプロパノール:メタノール 25:1, 800ml)、表題化合物を得た(9.1g)。
m/z 438 (M+H)+
δH (400MHz, d6-DMSO, Me4Si, 90℃) 9.06 (1H, s), 7.64 (1H, s), 7.25 (1H, m), 7.19 (1H, m), 4.15 (2H, s), 3.96 (2H, d, J 14Hz), 3.35-3.23 (6H, m), 2.26 (3H, s), 2.14 (2H, s), 1.96 (3H, br s), 1.69-1.62 (12H, m).
【0066】
実施例1
TNFα阻害剤/P2Xアンタゴニストの組み合わせの効果を決定するための薬理学的分析(P2Xアゴニスト添加せず)
ヒト末梢血単球は、EDTA血液チューブ中に集めた、健康なヒトのボランティアの血液から調製した。単球を、連続勾配遠心分離および洗浄によって単離し、細胞の純粋集団を得た。次にリポ多糖(LPS)を、組織培養液中の細胞懸濁液に加え、これを37℃で4〜12時間インキュベートした。次に、TNFα阻害剤および/またはP2Xアンタゴニストまたはビークルを、細胞に加えた。インキュベーション後、次のサイトカインおよびメディエーターの測定のために、細胞上清のサンプルを、96ウェル・プレートに移した。サイトカインIL−1、IL−18、TNFαのための、および、PGE2、NOおよびマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)を含む他のメディエーターのための、特定のELISAアッセイによって、炎症メディエーターの形成を細胞上清で測定した。P2X受容体アンタゴニスト単独、またはTNFα阻害剤単独、またはP2X受容体アンタゴニストとTNFα阻害剤の組み合わせの存在下で放出されるメディエーターのレベルを測定した。次にアンタゴニスト/TNFα阻害剤単独および組み合わせの効果を比較した。P2XアンタゴニストまたはTNFα阻害剤の何れか単独によって達成されるものと比較して、P2Xアンタゴニスト/TNFα阻害剤の組み合わせによる、1つのメディエーター(IL−1またはTNFα)または幾つかのメディエーターに対する、統計学的に有意なレベルの阻害活性は、疾患の処置における効果の増大のインジケーターである。
【0067】
実施例2
TNFα阻害剤/P2Xアンタゴニストの組み合わせの効果を決定するための薬理学的分析(P2Xアゴニスト添加)
ヒト末梢血単球を、EDTA血液チューブ中に集めた、健康なヒトのボランティアの血液から調製した。単球を、連続勾配遠心分離および洗浄によって単離し、細胞の純粋集団を得た。次に、リポ多糖(LPS)を組織培養液中の細胞懸濁液に加え、これを37℃で4〜12時間インキュベートした。次に試験混合物を加え、次にP2X受容体アゴニスト BzATPを加えた。試験混合物は、コントロールとしてはビークル、P2X受容体アンタゴニスト、またはP2X受容体アンタゴニストとTNFα阻害剤の組み合わせを含む。インキュベーション後、次のサイトカインおよびメディエーターの測定のために、細胞上清のサンプルを96ウェル・プレートに移した。サイトカインIL−1、IL−18、TNFαのための、および、PGE2、NOおよびマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)を含む他のメディエーターのための、特定のELISAアッセイによって、炎症メディエーターの形成を細胞上清で測定した。P2X受容体アンタゴニスト単独の存在下、またはP2X受容体アンタゴニストとTNFα阻害剤の組み合わせの存在下で、放出されたメディエーターのレベルを決定した。次に、P2Xアンタゴニスト単独、およびTNFα阻害剤との組み合わせによって生じる効果を比較した。P2Xアンタゴニスト単独で達成されるものと比較して、P2Xアンタゴニスト/TNFα阻害剤の組み合わせによる、1つのメディエーター(IL−1またはTNFα)または幾つかのメディエーターに対する、統計学的に有意なレベルの阻害活性は、疾患の処置における効果の増大のインジケーターである。
【0068】
実施例3
ラットの連鎖球菌細胞壁誘発性関節炎における、TNFα阻害剤/P2Xアンタゴニストの組み合わせの抗炎症活性の評価
連鎖球菌細胞壁(SCW)誘発性関節炎は、メスのルイス・ラット(Lewis rat)の左足首で誘発させた。動物は、5μg(20μL中)のSCW(Lee Laboratories)を左足首に関節内注射することによって感作させた。足首の腫れを注射後3日で評価し、無効対象(明らかな足首の腫れがない動物)を除いた。応答した動物を、試験グループにランダムに割り当てた。
【0069】
関節炎は、SCW(500μL生理食塩水中100μg)の静脈内(iv)注射によって感作させた後、21日で誘発された。誘発後6日満了まで、1日毎に、動物をモニターし、評価した。ラットをおがくずの上に収容し、適宜食料および水を提供した。
【0070】
この実施例において、P2Xアンタゴニスト1を、30mg/kg(4mL/kg, bid)で経口投与した。化合物を、脱イオン水中の1%(w/v) メチルセルロース中の懸濁液として投与し、1日毎に新しく調製した。関節炎の誘発1日前から始めた投与を、誘発後6日満了まで続けた。エタネルセプト(0.5mg/kg)を、皮下注射(1mL/kg)によって、関節炎の誘発1日前、および誘発後1日目、3日目、および5日目に投与した。
【0071】
足首の直径を、−1日から1日毎に、副尺カリパスで測定した。機械的閾値を von Frey フィラメントを用いて、−1、1、3、および5日で評価した。フィラメントを、両足の足部上の足首領域の重量の増加において適用した。引っ込め応答を誘発する第1のフィラメント(filament)を閾値と考えた。
【0072】
足首の腫れおよび機械的閾値への効果を、曲線下領域(AUC)ベースで、個々の日−1からの差違の総計として計算した。相互作用の大きさおよび方向を計算し、データ分析をAUCデータで ANOVA によって、次に Dunnett's test によって行った(SAS version 8.01)。結果を下記の表にまとめる。
【表1】

* p<0.01, ** p<0.001 (関節炎のビークルのコントロールに対して)
*** 組み合わせにおける相加効果以上を示す相互作用スコア
【0073】
上記の結果から、P2Xアンタゴニスト 1およびエタネルセプトの組み合わせは、ポジティブな相互作用を示し、その使用に基づき予測され得るものよりも非常に大きな機械的閾値の減少を生じたことが分かり得る。足首の腫れへのさらなる利点を示さない、組み合わせにおける2つの薬物が von Frey 閾値に対してポジティブな効果を有するという所見は、この薬物の組み合わせは、炎症のある関節の疼痛に対する予測されない十分かつポジティブな効果を有することを示している。
1. 実験手順は、Carlson RP, Jacobsen PB;‘Comparison of adjuvant and streptococcal cell wall-induced arthritis in the rat’ in Morgan DW, Marshall LA, editors; In Vivo Models of Inflammation. Basel: Birkhauser Verlag; 1999 の記載に基づく。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療において、同時に、連続的に、または別個に使用するための、P2X受容体アンタゴニスト(ここで、P2X受容体アンタゴニストはアダマンチル誘導体である)である第1活性成分の製剤および腫瘍壊死因子α(TNFα)阻害剤である第2活性成分の製剤を、組み合わせて含む医薬製品。
【請求項2】
P2X受容体アンタゴニストが、式(I):
【化1】

[式中、
mは、1、2、または3を表し;
それぞれのR1aは、独立して、水素またはハロゲン原子を表し;
は、C(O)NHまたはNHC(O)を表し;
Arは、
【化2】

の基を表し;
は、結合、酸素原子、またはCO、(CH)1−6、CH=、(CH)1−6O、O(CH)1−6、O(CH)2−6O、O(CH)2−3O(CH)1−3、CR'(OH)、(CH)1−3O(CH)1−3、(CH)1−3O(CH)2−3O、NR5a、(CH)1−6NR5a、NR5a(CH)1−6、(CH)1−3NR5a(CH)1−3、O(CH)2−6NR5a、O(CH)2−3NR5a(CH)1−3、(CH)1−3NR5a(CH)2−3O、NR5a(CH)2−6O、NR5a(CH)2−3O(CH)1−3、CONR5a、NR5aCO、S(O)、S(O)CH、CHS(O)、SONR5a、またはNR5aSOを表し;
nは、0、1、または2であり;
R'は、水素原子またはC−Cアルキルを表し;
2aおよびR3aの一方が、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アミノ、ヒドロキシル、または
(i) 所望により少なくとも1個のC−Cシクロアルキルによって置換されているC−Cアルキル、
(ii) C−Cシクロアルキル、
(iii) 所望により少なくとも1個のC−Cシクロアルキルによって置換されているC−Cアルキルオキシ、および
(iv) C−Cシクロアルキルオキシ
(これらの基はそれぞれ所望により1個以上のフッ素原子によって置換されている)
から選択される基を表し、そして
2aおよびR3aのもう一方は、水素またはハロゲン原子を表し;
4aは、1個もしくは2個の窒素原子、および所望により酸素原子を含む、3〜9員環の飽和もしくは不飽和の脂肪族複素環式環系を表し、該複素環式環系は、所望によりフッ素原子、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、C−Cアルキル、C−Cヒドロキシアルキル、−NR6a7a、−(CH)NR6a7a、および−CONR6a7aから独立して選択される、1個以上の置換基によって置換されているか、または
4aは、−NR6a7a、−(CH)NR6a7aおよび−CONR6a7aから独立して選択される1個以上の置換基によって置換されている3〜8員環の飽和炭素環系を表し、該環系は、所望によりフッ素原子、ヒドロキシルおよびC−Cアルキルから独立して選択される1個以上の置換基によってさらに置換されており;
rは、1、2、3、4、5または6であり;
5aは、水素原子またはC−CアルキルまたはC−Cシクロアルキルを表し;
6aおよびR7aは、それぞれ独立して、水素原子、またはC−Cアルキル、C−CヒドロキシアルキルまたはC−Cシクロアルキルを表すか、または
6aおよびR7aは、それらが結合している窒素原子と一体となって、3〜8員環の飽和複素環式環を形成し;
ただし、
(a) AがC(O)NHを表し、かつR4aが1個の窒素原子を含む非置換の3〜8員環の飽和脂肪族複素環式環系を表すとき、Xは結合以外であり、そして
(b) AがC(O)NHを表し、かつXが(CH)1−6またはO(CH)1−6を表すとき、R4aは、非置換イミダゾリル、非置換モルホリニル、非置換ピペリジニル、または非置換ピロリジニルを表さず、そして
(c) AがNHC(O)を表し、かつR4aが1個の窒素原子を含む非置換の3〜8員環の飽和脂肪族複素環式環系を表すとき、Xは結合以外であり、そして
(d) AがNHC(O)を表し、かつXがO(CH)1−6、NH(CH)1−6またはSCHを表すとき、R4aは、非置換1−ピペリジニルまたは非置換1−ピロリジニルを表さず、そして
(e) AがNHC(O)を表し、かつXがO(CH)2−3NH(CH)を表すとき、R4aはイミダゾリルを表さない]の化合物もしくはその薬学的に許容される塩またはそれらの溶媒和物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
P2X受容体アンタゴニストが、式(II):
【化3】

[式中、
は、CHまたはCHCHを表し;
は、C(O)NHまたはNHC(O)を表し;
1bおよびR2bは、それぞれ独立して、水素もしくはハロゲン原子、またはアミノ、ニトロ、C−Cアルキル、またはトリフルオロメチルを表し;
3bは、式(III):
【化4】

の基を表し;
は、酸素もしくは硫黄原子、またはNH、SO、またはSOを表し;
は、酸素もしくは硫黄原子、またはNR11b、SO、またはSOを表し;
は、−OH、−SH、−COH、C−Cアルコキシ、C−Cアルキルチオ、C−Cアルキルスルフィニル、C−Cアルキルスルホニル、−NR6b7b、−C(O)NR8b9b、イミダゾリル、1−メチルイミダゾリル、−N(R10b)C(O)−C−Cアルキル、C−Cアルキルカルボニルオキシ、C−Cアルコキシカルボニルオキシ、−OC(O)NR12b13b、−OCHOC(O)R14b、−OCHOC(O)OR15b、または−OC(O)OCHOR16bを表し;
4bは、C−Cアルキルを表し;
5bは、C−Cアルキルを表し;
6b、R7b、R8b、R9b、R10b、R12b、およびR13bは、それぞれ独立して、水素原子、または所望により少なくとも1個のヒドロキシルによって置換されているC−Cアルキルを表し;
11bは、水素原子、または所望によりヒドロキシルおよびC−Cアルコキシから独立して選択される少なくとも1個の置換基によって置換されているC−Cアルキルを表し;そして
14b、R15b、およびR16bは、それぞれ独立して、C−Cアルキルを表し;
ただし、
(i) EがNHC(O)を表し、XがO、SまたはNHを表し、かつYがOを表すとき、Zが−NR6b7b{ここで、R6bが水素原子を表し、そしてR7bが水素原子、または少なくとも1個のヒドロキシルによって置換されているC−Cアルキルの何れかを表す}を表し、そして
(ii) EがNHC(O)を表し、XがO、SまたはNHを表し、YがNHを表し、かつR5bがCHCHを表すとき、ZはOHまたはイミダゾリルではない]の化合物もしくはその薬学的に許容される塩またはそれらの溶媒和物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
P2X受容体アンタゴニストが、式(IV):
【化5】

[式中、
は、CHまたはCHCHを表し;
は、C(O)NHまたはNHC(O)を表し;
1cおよびR2cは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、アミノ、ニトロ、C−Cアルキルまたはトリフルオロメチルを表すが、R1cおよびR2cは、同時に水素を表すことはなく;
3cは、式(V):
【化6】

の基を表し;
4cはC−Cアルキルを表し;
は、酸素もしくは硫黄原子、またはNR13c、SOまたはSOを表し;
5cは、水素を表すか、またはR5cは、C−CアルキルまたはC−Cアルケニルを表し、それぞれは、所望によりハロゲン、ヒドロキシル、(ジ)−C−Cアルキルアミノ、−Y−R6c
【化7】

および窒素、酸素および硫黄から独立して選択される1から4個のヘテロ原子を含む5員もしくは6員環のヘテロ芳香環{ここで、該ヘテロ芳香環は、それ自身、所望によりハロゲン、ヒドロキシルおよびC−Cアルキルから選択される少なくとも1個の置換基によって置換されている}から選択される少なくとも1個の置換基によって置換されており;
は、酸素もしくは硫黄原子、またはNH、SO、またはSOを表し;
6cは、−R7c{ここで、R7cはC−Cアルキルを表し、そしてZは−OH、−COH、−NR8c9c、−C(O)NR10c11cまたは−N(R12c)C(O)−C−Cアルキルを表す}を表し、そして
が酸素もしくは硫黄原子またはNHを表す場合、R6cは、さらに、水素、C−Cアルキル、C−Cアルキルカルボニル、C−Cアルコキシカルボニル、−C(O)NR14c15c、−CHOC(O)R16c、−CHOC(O)OR17cまたは−C(O)OCHOR18cを表し;
8c、R9c、R10c、R11cおよびR12cは、それぞれ独立して、水素原子またはC−Cアルキルを表し;
13cは、水素、C−Cシクロアルキル、C−Cシクロアルキルメチルを表すか、または
13cは、所望によりヒドロキシルおよびC−Cアルコキシから選択される少なくとも1個の置換基によって置換されているC−Cアルキルを表し;そして
14c、R15c、R16c、R17cおよびR18cは、それぞれ独立して、C−Cアルキルを表し;
ただし、
がC(O)NHであり、XがO、NHまたはN(C−Cアルキル)であるとき、R5cは水素原子または非置換C−Cアルキル以外である]の化合物もしくはその薬学的に許容される塩またはそれらの溶媒和物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
P2X受容体アンタゴニストが、式(VI):
【化8】

[式中、
mは、1、2、または3を表し;
それぞれのR1dは、独立して、水素またはハロゲン原子を表し;
は、C(O)NHまたはNHC(O)を表し;
Arは、
【化9】

の基を表し;
2dおよびR3dの一方は、ハロゲン、ニトロ、アミノ、ヒドロキシル、または
(i) 所望により少なくとも1個のハロゲン原子によって置換されているC−Cアルキル、
(ii) C−Cシクロアルキル、
(iii) 所望により少なくとも1個のハロゲン原子によって置換されているC−Cアルコキシ、および
(iv) C−Cシクロアルキルオキシ、
から選択される基を表し、そして
2dおよびR3dのもう一方は、水素もしくはハロゲン原子を表し;
4dは、式(X):
【化10】

の基を表し;
は、酸素もしくは硫黄原子、または>N−R8dを表し;
nは、0または1であり;
5dは、所望によりヒドロキシル、ハロゲンおよびC−Cアルコキシから選択される少なくとも1個の置換基によって置換されているC−Cアルキルを表し;
6dおよびR7dは、それぞれ独立して、水素原子、C−Cアルキル{所望によりヒドロキシル、ハロゲン、C−Cアルコキシ、および(ジ)−C−Cアルキルアミノ(それ自身、所望により少なくとも1個のヒドロキシルによって置換されている)から選択される少なくとも1個の置換基によって置換されている}、またはC−Cシクロアルキル{所望によりヒドロキシル、ハロゲンおよびC−Cアルコキシから選択される少なくとも1個の置換基によって置換されている}を表し;そして
8dは、水素原子、または所望によりヒドロキシル、ハロゲンおよびC−Cアルコキシから選択される少なくとも1個の置換基によって置換されているC−Cアルキルを表し;
ただし、
(d) nが0であるとき、AがNHC(O)であり、そして
(e) nが1であり、Xが酸素を表し、そしてAがC(O)NHであるとき、R6dおよびR7dは、同時に両方が水素原子を表すことはなく、または同時に両方が非置換C−Cアルキルを表すことはなく、またはR6dおよびR7dの一方が水素原子を表すとき、R6dおよびR7dのもう一方が非置換C−Cアルキルを表すことはなく;そして
(f) nが1であり、Xが、酸素、硫黄、または>NHであり、そしてAがNHC(O)であるとき、R6dおよびR7dは同時に両方が水素原子を表すことはなく、または同時に両方が非置換C−Cアルキルを表すことはなく、またはR6dおよびR7dの一方が水素原子を表すとき、R6dおよびR7dのもう一方は、非置換C−Cアルキルまたは−CHCHOHを表さない]の化合物もしくはその薬学的に許容される塩またはそれらの溶媒和物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
P2X受容体アンタゴニストが、式(XI):
【化11】

[式中、
mは、1、2、または3を表し;
は、C(O)NHまたはNHC(O)を表し;
は、NまたはCHを表し;
は、結合、CO、(CH)1−6、O(CH)1−6、(CH)1−6NH(CH)1−6、(CH)1−6O(CH)1−6、NH(CH)1−6を表し;
は、NR2e3eを表し;
1eは、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アミノ、ヒドロキシル、C−Cアルキル、またはC−Cシクロアルキルを表し、該アルキルまたはシクロアルキルは、所望により1個以上のフッ素原子によって置換されており;
2eおよびR3eは、それぞれ独立して、水素原子、C−Cアルキル、またはC−Cシクロアルキルを表し、該アルキルもしくはシクロアルキルは、所望によりヒドロキシル、ハロゲンまたはC−Cアルコキシから選択される1個以上の基によって置換されているか、または
2eおよびR3eは、それらが結合している窒素原子と一体になって、1から2個の窒素原子、および所望により1個の酸素原子を含む、3〜9員環の飽和単環式もしくは二環式複素環式環を形成し、該複素環式環は、所望によりヒドロキシル、ハロゲン、またはC−Cアルコキシから選択される1個以上の基によって置換されている]の化合物もしくはその薬学的に許容される塩またはそれらの溶媒和物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
P2X受容体アンタゴニストが、
2−クロロ−5−[[2−(2−ヒドロキシ−エチルアミノ)−エチルアミノ]−メチル]−N−(トリシクロ[3.3.1.13,7]デカ−1−イルメチル)−ベンズアミド;
2−クロロ−5−[3−[(3−ヒドロキシプロピル)アミノ]プロピル]−N−(トリシクロ[3.3.1.1]デカ−1−イルメチル)−ベンズアミド;
(R)−2−クロロ−5−[3−[(2−ヒドロキシ−1−メチルエチル)アミノ]プロピル]−N−(トリシクロ[3.3.1.13,7]デカ−1−イルメチル)−ベンズアミド;
2−クロロ−5−[[2−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]エトキシ]メチル]−N−(トリシクロ[3.3.1.13,7]デカ−1−イルメチル)−ベンズアミド;
2−クロロ−5−[3−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]プロピル]−N−(トリシクロ[3.3.1.13,7]デカ−1−イルメチル)ベンズアミド;
2−クロロ−5−[3−(3−ヒドロキシ−プロピルアミノ)−プロポキシ]−N−(トリシクロ[3.3.1.13,7]デカ−1−イルメチル)−ベンズアミド;
2−クロロ−5−[2−(3−ヒドロキシプロピルアミノ)エチルアミノ]−N−(トリシクロ[3.3.1.13,7]デカ−1−イルメチル)−ベンズアミド;
2−クロロ−5−[2−(3−ヒドロキシプロピルスルホニル)エトキシ]−N−(トリシクロ[3.3.1.13,7]デカ−1−イルメチル)−ベンズアミド;
2−クロロ−5−[2−[2−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]エトキシ]エトキシ]−N−(トリシクロ[3.3.1.13,7]デカ−1−イルメチル)−ベンズアミド;
2−クロロ−5−[[2−[[2−(1−メチル−1H−イミダゾール−4−イル)エチル]アミノ]エチル]アミノ]−N−(トリシクロ[3.3.1.13,7]デカ−1−イルメチル)−ベンズアミド;
2−クロロ−5−ピペラジン−1−イルメチル−N−(トリシクロ[3.3.1.1]デカ−1−イルメチル)−ベンズアミド;
2−クロロ−5−(4−ピペリジニルオキシ)−N−(トリシクロ[3.3.1.13,7]デカ−1−イルメチル)−ベンズアミド;
2−クロロ−5−(2,5−ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−イルメチル)−N−(トリシクロ[3.3.1.1]デカ−1−イルメチル)−ベンズアミド;
2−クロロ−5−(ピペリジン−4−イルスルフィニル)−N−(トリシクロ[3.3.1.13,7]デカ−1−イルメチル)−ベンズアミド;
5−クロロ−2−[3−[(3−ヒドロキシプロピル)アミノ]プロピル]−N−(トリシクロ[3.3.1.13,7]デカ−1−イルメチル)−4−ピリジンカルボキサミド;
2−クロロ−5−[3−[[(1R)−2−ヒドロキシ−1−メチルエチル]アミノ]プロピル]−N−(トリシクロ[3.3.1.13,7]デカ−1−イルメチル)−3−ピリジンカルボキサミド;
5−クロロ−2−[3−(エチルアミノ)プロピル]−N−(トリシクロ[3.3.1.13,7]デカ−1−イルメチル)−4−ピリジンカルボキサミド;
5−クロロ−2−[3−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]プロピル]−N−(トリシクロ[3.3.1.13,7]デカ−1−イルメチル)−4−ピリジンカルボキサミド;
5−クロロ−2−[3−[[(2S)−2−ヒドロキシプロピル]アミノ]プロピル]−N−(トリシクロ[3.3.1.13,7]デカ−1−イルメチル)−4−ピリジンカルボキサミド;
N−[2−メチル−5−(9−オキサ−3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナ−3−イルカルボニル)フェニル]−トリシクロ[3.3.1.13,7]デカン−1−アセトアミド;
またはその何れか1つの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
第2活性成分がTNFαに結合可能な受容体分子である、請求項1から7の何れか1項に記載の製品。
【請求項9】
第2活性成分がエタネルセプトである、請求項8に記載の製品。
【請求項10】
第2活性成分が抗TNFα抗体である、請求項1から7の何れか1項に記載の製品。
【請求項11】
第2活性成分がインフリキシマブおよびアダリムマブ(D2E7)から選択される、請求項10に記載の製品。
【請求項12】
P2X受容体アンタゴニスト(ここで、P2X受容体アンタゴニストはアダマンチル誘導体である)である第1活性成分の製剤、腫瘍壊死因子α(TNFα)阻害剤である第2活性成分の製剤、およびそれが必要な患者に製剤を同時に、連続的に、または別個に投与するための説明書を含むキット。
【請求項13】
P2X受容体アンタゴニストが、
2−クロロ−5−[[2−(2−ヒドロキシ−エチルアミノ)−エチルアミノ]−メチル]−N−(トリシクロ[3.3.1.13,7]デカ−1−イルメチル)−ベンズアミド;
2−クロロ−5−[3−[(3−ヒドロキシプロピル)アミノ]プロピル]−N−(トリシクロ[3.3.1.1]デカ−1−イルメチル)−ベンズアミド;
(R)−2−クロロ−5−[3−[(2−ヒドロキシ−1−メチルエチル)アミノ]プロピル]−N−(トリシクロ[3.3.1.13,7]デカ−1−イルメチル)−ベンズアミド;
2−クロロ−5−[[2−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]エトキシ]メチル]−N−(トリシクロ[3.3.1.13,7]デカ−1−イルメチル)−ベンズアミド;
2−クロロ−5−[3−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]プロピル]−N−(トリシクロ[3.3.1.13,7]デカ−1−イルメチル)ベンズアミド;
2−クロロ−5−[3−(3−ヒドロキシ−プロピルアミノ)−プロポキシ]−N−(トリシクロ[3.3.1.13,7]デカ−1−イルメチル)−ベンズアミド;
2−クロロ−5−[2−(3−ヒドロキシプロピルアミノ)エチルアミノ]−N−(トリシクロ[3.3.1.13,7]デカ−1−イルメチル)−ベンズアミド;
2−クロロ−5−[2−(3−ヒドロキシプロピルスルホニル)エトキシ]−N−(トリシクロ[3.3.1.13,7]デカ−1−イルメチル)−ベンズアミド;
2−クロロ−5−[2−[2−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]エトキシ]エトキシ]−N−(トリシクロ[3.3.1.13,7]デカ−1−イルメチル)−ベンズアミド;
2−クロロ−5−[[2−[[2−(1−メチル−1H−イミダゾール−4−イル)エチル]アミノ]エチル]アミノ]−N−(トリシクロ[3.3.1.13,7]デカ−1−イルメチル)−ベンズアミド;
2−クロロ−5−ピペラジン−1−イルメチル−N−(トリシクロ[3.3.1.1]デカ−1−イルメチル)−ベンズアミド;
2−クロロ−5−(4−ピペリジニルオキシ)−N−(トリシクロ[3.3.1.13,7]デカ−1−イルメチル)−ベンズアミド;
2−クロロ−5−(2,5−ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−イルメチル)−N−(トリシクロ[3.3.1.1]デカ−1−イルメチル)−ベンズアミド;
2−クロロ−5−(ピペリジン−4−イルスルフィニル)−N−(トリシクロ[3.3.1.13,7]デカ−1−イルメチル)−ベンズアミド;
5−クロロ−2−[3−[(3−ヒドロキシプロピル)アミノ]プロピル]−N−(トリシクロ[3.3.1.13,7]デカ−1−イルメチル)−4−ピリジンカルボキサミド;
2−クロロ−5−[3−[[(1R)−2−ヒドロキシ−1−メチルエチル]アミノ]プロピル]−N−(トリシクロ[3.3.1.13,7]デカ−1−イルメチル)−3−ピリジンカルボキサミド;
5−クロロ−2−[3−(エチルアミノ)プロピル]−N−(トリシクロ[3.3.1.13,7]デカ−1−イルメチル)−4−ピリジンカルボキサミド;
5−クロロ−2−[3−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]プロピル]−N−(トリシクロ[3.3.1.13,7]デカ−1−イルメチル)−4−ピリジンカルボキサミド;
5−クロロ−2−[3−[[(2S)−2−ヒドロキシプロピル]アミノ]プロピル]−N−(トリシクロ[3.3.1.13,7]デカ−1−イルメチル)−4−ピリジンカルボキサミド;
N−[2−メチル−5−(9−オキサ−3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナ−3−イルカルボニル)フェニル]−トリシクロ[3.3.1.13,7]デカン−1−アセトアミド;
またはその何れか1つの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である、請求項12に記載のキット。
【請求項14】
第2活性成分がTNFαに結合可能な受容体分子である、請求項12から13の何れか1項に記載のキット。
【請求項15】
第2活性成分がエタネルセプトである、請求項14に記載のキット。
【請求項16】
第2活性成分が抗TNFα抗体である請求項12から13の何れか1項に記載のキット。
【請求項17】
第2活性成分がインフリキシマブおよびアダリムマブ(D2E7)から選択される、請求項16に記載のキット。
【請求項18】
炎症性疾患の処置のための医薬の製造における、請求項1から17の何れか1項に記載の医薬製品またはキットの使用。
【請求項19】
炎症性疾患がリウマチ性関節炎である、請求項19に記載の使用。
【請求項20】
炎症性疾患を処置する方法であって、該処置が必要な患者に、
(a) P2X受容体アンタゴニスト(ここで、P2X受容体アンタゴニストはアダマンチル誘導体である)である、(治療有効量の)第1活性成分;および
(b) 腫瘍壊死因子α(TNFα)阻害剤である、(治療有効量の)第2活性成分;
を、同時に、連続して、または別個に投与することを含む方法。
【請求項21】
炎症性疾患がリウマチ性関節炎である、請求項20に記載の方法。

【公表番号】特表2007−501270(P2007−501270A)
【公表日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−532213(P2006−532213)
【出願日】平成16年5月27日(2004.5.27)
【国際出願番号】PCT/SE2004/000817
【国際公開番号】WO2004/105798
【国際公開日】平成16年12月9日(2004.12.9)
【出願人】(391008951)アストラゼネカ・アクチエボラーグ (625)
【氏名又は名称原語表記】ASTRAZENECA AKTIEBOLAG
【Fターム(参考)】