説明

PCカード及びPCカードの製造方法

【課題】プリント基板が十分に保護され、かつ、製造コストがかからないPCカード及びPCカードの製造方法を提供する。
【解決手段】一端21側にPCカードスロットに挿入される挿入部を有すると共に、他端22側に前記PCカードスロットからはみ出す露出部を有する回路基板と、所定の部品配置データに基づいて前記回路基板に配置された電子部品7と、前記回路基板の前記露出部を保護する露出側カバーとを具備してなり、前記露出側カバーは、前記回路基板の前記露出部の基板面に密着するカバー板材から構成され、前記カバー板材は、前記露出部と略同一の形状であって、カバー板材の前記回路基板と対向する側の面には、前記電子部品7との干渉を避けるために前記所定の部品配置データに基づいて形成された凹部17,18が設けられていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にPCカードのカバーについて改良を図ったPCカード及びPCカードの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、PCカードは、メモリ、モデム、FAX、LANカード等として商品化されており、コンピュータ等のスロットに挿入して使用されている。このようなPCカードは、電子部品を搭載したプリント基板と、プリント基板を保護するためのカバー体とから概略構成されている。
【0003】
近年、情報処理機器の発展と共に、PCカードにも高性能、高機能化が要求されるようになったが、PCカードはコンピュータ等のスロットに挿入して使用されるという理由から、そのサイズが規格化されており、物理的な制限があった。
そこで、従来から、PCカードを保護しているカバー等に工夫を凝らすことによって、PCカードを構成するプリント基板に大型の電子部品を搭載してきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−160377号公報
【特許文献2】国際公開第05/020047号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、PCカードの用途は様々であり、例えばオーディオコネクタを複数搭載させる場合など、PCカードの規格幅よりも幅の広い部位を有するプリント基板が必要な場合がある。
このような場合には、PCカードをコンピュータ等のスロットに挿入させ、PCカードの一端側にあるフロントコネクタ部とコンピュータ等を接続させた状態で、他端がスロットの外部に出るようにさせる。そして、この外部に出る他端側の領域の幅を、PCカードの規格幅よりも大きくし、この領域にオーディオコネクタ等のバックコネクタを搭載させてきた。
【0006】
しかしながら、この外部に出るプリント基板の他端側の領域のサイズは、商品ごとにサイズが異なることから、商品ごとに他端側を保護する手段を構築しなければならなく、この技術に問題があった。
【0007】
仮に、プリント基板の他端側の領域に何もカバー等を設けず保護しなかった場合、プリント基板自体の厚さが薄いことから強度的に弱いという不都合があった。また、プリント基板に搭載した電子部品が外気に触れることとなるので、埃等に起因した接触不良が起きるといった問題もあった。
【0008】
一方、プリント基板の他端側を樹脂カバー等で保護しようとする場合には、樹脂カバーを形成するための金型を用意する必要があった。
大量に商品化するPCカードであれば、この金型の金額は大きな問題とはならないが、テスト用のPCカードを製造する場合など少量のPCカードを製造する場合には、この金型の金額は無視できず、コスト面での問題があった。
【0009】
このような背景の下、プリント基板を十分に保護することができ、かつ、製造コストが抑えられたPCカードが要望されていたが、プリント基板の保護と製造コストの低下との両立は困難であるとして、有効適切なものが提供されていないのが実情である。
【0010】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、その目的は、プリント基板が十分に保護され、かつ、製造コストが抑えられたPCカード及びPCカードの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供している。
本発明のPCカードは、一端側にPCカードスロットに挿入される挿入部を有すると共に、他端側に前記PCカードスロットからはみ出す露出部を有する回路基板と、所定の部品配置データに基づいて前記回路基板に配置された電子部品と、前記回路基板の前記露出部を保護する露出側カバーとを具備してなり、前記露出側カバーは、前記回路基板の前記露出部の基板面に密着するカバー板材から構成され、前記カバー板材は、前記露出部と略同一の形状であって、カバー板材の前記回路基板と対向する側の面には、前記電子部品との干渉を避けるために前記所定の部品配置データに基づいて形成された凹部が設けられていることを特徴とする。
【0012】
また、本発明のPCカードにおいては、前記カバー板材の内部にシールド用のシールド層が設けられており、該シールド層は回路基板のグランドと電気的に接続されていることが好ましい。
【0013】
また、本発明のPCカードの製造方法は、一端側にPCカードスロットに挿入される挿入部を有するとともに、他端側に前記PCカードスロットからはみ出す露出部を有する回路基板に、所定の部品配置データに基づいて電子部品を配置する工程と、前記露出部と略同一の形状のカバー板材を用意し、該カバー板材の前記回路基板と対向する側の面に、前記電子部品との干渉を避けるための凹部を前記所定の部品配置データに基づいて形成する工程と、前記カバー板材を前記回路基板の露出部の基板面に密着させて露出側カバーとする工程と、を具備してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、上記構成を採用した結果、回路基板の露出部を露出側カバーによって覆うので、回路基板の強度を十分に補強することができ、また、回路基板の電子部品に埃等が接触するのを防ぐことができ、回路基板を十分に保護することができる。
また、露出側カバーを構成するカバー板材が、電子部品との干渉を避けるために所定の部品配置データに基づいて形成された凹部が設けられているので、露出部の形状を薄くすることができる。
【0015】
また、カバー板材には、それぞれ間にシールド層が設けられており、該シールド層は回路基板のグランドと電気的に接続されているので、回路基板の平面側ないし底面側からの電磁波ノイズを防ぐことができる。
以上のようにして、十分なEMI対策を採ることができる。
【0016】
また、カバー板材に、電子部品との干渉を避けるための凹部を所定の部品配置データに基づいて形成するので、露出側カバーを容易に製造できる。特に、モールド成型等に比べて金型が必要なく、研削装置等で部品配置データに基づいて凹部を設けることで露出側カバーを容易に製造できる。また、設計変更等で部品配置パターンが変更になっても、変更後の部品配置データを利用することで、設計変更に対応した露出側カバーを容易に製造できる。以上より、PCカードを容易に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明の第1の実施形態であるPCカードを示すもので、図1(a)は、斜視図を、図1(b)は、図1(a)のA−A’間断面図を、図1(c)は、一部カバーを省略して示した斜視図である。
【図2】図2(a)は、第3のカバー体を示す平面図で、図2(b)は、第4のカバー体を示す平面図である。
【図3】図3は、本発明の第1の実施形態であるPCカードの製造工程を表すフローチャートである。
【図4】図4は、本発明の第2の実施形態のPCカード1Bを示す図で、図4(a)は、斜視図を、図4(b)は、図4(a)のB−B’間断面図である。
【図5】図5(a)は、第3のカバー体を示す平面図で、図5(b)は第4のカバー体を示す平面図で、図5(c)は、図5(a)のC−C’間断面図で、図5(d)は、図5(b)のD−D’間断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態であるPCカード及びPCカードの製造方法について、図面を参照して説明する。
【0019】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の実施形態であるPCカードを示すもので、図1(a)は、斜視図を、図1(b)は、図1(a)のA−A’間断面図を、図1(c)は、一部カバーを省略して示した斜視図である。図2(a)は、第3のカバー体を示す平面図で、図2(b)は、第4のカバー体を示す平面図である。
【0020】
図1(a)ないし図1(c)に示すように、本実施形態のPCカード1Aは、回路基板であるプリント基板2と、プリント基板2の長手方向一端21側の一面21aを覆う第1のカバー3と、一端21側の他面21bを覆う第2のカバー4と、プリント基板2の長手方向他端22側の一面22aを覆うカバー板材である第3のカバー5と、他端22側の他面22bを覆うカバー板材である第4のカバー6とを有した構成となっている。
第1のカバー体3及び第2のカバー体4は、PCカードスロットに挿入されるプリント基板2の挿入部を保護する挿入側カバーであり、第3のカバー体5及び第4のカバー体6は、PCカードスロットからはみ出すプリント基板2の露出部を保護する露出側カバーである、一対のカバー板材である。
【0021】
プリント基板2は、両面に所定の電子部品7が配置されており、それらが所定の配線10によって電気的に接続されている。また、プリント基板2の一端21側には、PCカード1Aをコンピュータ等のスロットに挿入した際に、コンピュータ等と信号を送受信するためのフロントコネクタ8が設けられ、他端22側には、外部装置との信号を送受信するためのオーディオコネクタ等のバックコネクタ9が設けられている。これらの電子部品7、フロントコネクタ8、バックコネクタ9及び配線10の配置は、予め作成されていた部品配置データによって形成されている。
なお、本実施形態では、バックコネクタ9が3つ設けられており、バックコネクタ9をプリント基板2の他端22側に配置した際の幅の長さmが、プリント基板2の一端21側の幅の長さlよりも長くなるように構成されている。
【0022】
また、プリント基板2は、平面視T字型になっており、一端21側に幅の狭い領域11が設けられ、他端22側に幅の広い領域12が設けられているように構成されている。すなわち、他端22側の幅の長nさが、一端21側の幅の長さlよりも長く構成されている。
他端22側の幅の広い領域12は、PCカード1Aをコンピュータ等のスロットに挿入した際に、スロットの外方に配置されるように構成されている。
【0023】
第1のカバー体3及び第2のカバー体4は、プリント基板2の挿入部である一端21側の幅の狭い領域11を略覆うように構成されており、領域11を略覆うことができるのであれば、どのような構成であっても構わない。
例えば、第1のカバー体3及び第2のカバー体4は、それぞれ平面視略矩形の平板部31,41と、平板部31,41の側縁部に構成された側板部32,42とから概略構成されており、金属板等で形成されている。
そして、第1のカバー体3の側板部31の先端部に図示略の凸状部が設けられ、第2のカバー体4の側板部42の先端部に図示略の凹条部が設けられ、これらが係合している。以上のように、第1のカバー体3及び第2のカバー体4は、プリント基板2の一端21側を覆うように配置されている。
なお、第1のカバー体3及び第2のカバー体4の幅の長さsは、プリント基板2の側面を覆うための側板部31,41が設けられていることから、プリント基板2の一端21側の幅の長さlよりもやや長く構成されている。
【0024】
また、第3のカバー体5及び第4のカバー体6は、ともにプリント基板2と同様な素材で構成されており、プリント基板2の露出部である第1のカバー体3及び第2のカバー体4によって覆われていない領域11の一部及び領域12を覆うように構成されている。すなわち、第3のカバー体5及び第4のカバー体6は、主にプリント基板2の他端22側の幅の広い領域12を覆うように構成されている。
【0025】
また、第3のカバー体5は、プリント基板2の他端22側の一面22aを、第4のカバー体6はプリント基板2の他端22側の他面22bを覆うように配置されており、第3のカバー体5及び第4のカバー体6の間にプリント基板2が挟まれるように構成されている。そして、第3のカバー体5及び第4のカバー体6とプリント基板2とは、それぞれに設けられた雌ネジ孔13,14に、雄ネジ15を螺合させることによって接着固定されている。
なお、第3のカバー体5及び第4のカバー体6の幅の長さrは、プリント基板2の他端22側の幅の長さnと同一に形成されている。
したがって、第3のカバー体5及び第4のカバー体6でプリント基板2の他端22側を覆った際に、プリント基板2の側面は第3のカバー体5及び第4のカバー体6によって覆われることがなく、空気に曝されるように構成されている。
【0026】
また、第3のカバー体5は、図2(a)に示すように、平面視した際に、プリント基板2の他端22側と略同型に形成されているが、プリント基板2の他端22に対応する縁部52に略矩形に食い込んだ孔部16が設けられている。この孔部16は、バックコネクタ9の大きさに合わせて形成されており、図1(a)に示すように、第3のカバー体5をプリント基板2に取り付けた際に、この孔部16からバックコネクタ9が突出するように構成されている。
第4のカバー体6は、図2(b)に示すように、平面視した際に、プリント基板2の他端22側と略同型に形成されている。
【0027】
また、第3のカバー体5及び第4のカバー体6は、図1(b),図2(a)及び図2(b)に示すように、プリント基板2に搭載された電子部品7と直接接触することがないように、それぞれ電子部品7と対向する位置に凹部17,18が設けられている。そして、凹部17,18は、プリント基板2に電子部品7等を配置する際に用いられた部品配置データに基づいて形成されている。
【0028】
以上のようにプリント基板2の他端22側を第3のカバー体5及び第4のカバー体6によって覆うことで、プリント基板2の強度を補強することができ、また、電子部品7に埃等が接触するのを防ぐことができる。
また、第3のカバー体5及び第4のカバー体6には、電子部品7との干渉を避けるために所定の部品配置データに基づいて形成された凹部17,18が設けられているので、PCカード1Aを薄くすることができる。
【0029】
次に、本実施形態のPCカード1Aの製造方法について図面を用いて説明する。
図3は、本実施形態のPCカード1Aの製造工程を表すフローチャートである。
【0030】
図3に示すように、本実施形態のPCカード1Aを製造する際には、まず、プリント基板2に設ける電子部品7、フロントコネクタ8、バックコネクタ9及び配線10の配置に関する部品配置データを作成する(S1)。
そして、実際にその部品配置データを用いてプリント基板2の両面2a,2bに電子部品7等を搭載し、所定の配線10を設ける(S2)。
【0031】
次に、所定の電子部品7等を形成した後に、プリント基板2に第1のカバー体3及び第2のカバー体4を取り付ける(S3)。
第1のカバー体3及び第2のカバー体4は、どのような形態であっても構わず、プリント基板2の挿入部である一端21側が保護されればよい。
例えば、第1のカバー体3及び第2のカバー体4は、平面視略矩形の平板部31,41と、平板部31,41の側縁部に構成された側板部32,42とから概略構成され、金属板等で形成されたものを用いる。
そして、第1のカバー体3をプリント基板2の一端21側の一面21aを覆うように配置し、第2のカバー体4をプリント基板2の一端21側の他面21bを覆うように配置する。この際、第1のカバー体3の側板部32の先端部に設けられた凸状部と、第2のカバー体4の側板部の先端部42に設けられた凹状部とを係合させる。
以上のようにして、第1のカバー体3及び第2のカバー体4をプリント基板2に取り付ける。これにより、プリント基板2の一端21側が保護される。
【0032】
また、上記工程とは別に、図3に示すように第3のカバー体5及び第4のカバー体6を作製する(S4)。
具体的には、まず、プリント基板2とは別に、プリント基板2と同様な形状の新たなプリント基板を2つ用意する。次に、プリント基板2に電子部品7等を形成する際に用いた部品配置データをもとに、それぞれの他端側に凹部17,18及び孔部16を形成する。そして、プリント基板2の第1のカバー体3ないし第2のカバー体4で覆われていない領域11の一部と他端22側の領域12を覆う形状になるように、2つの新たなプリント基板を切断する。この凹部17,18を設ける工程と新たなプリント基板を切断する工程は逆であっても構わない。
以上のようにして、図2に示すような第3のカバー体5及び第4のカバー体6を作製する。
【0033】
第1のカバー体3及び第2のカバー体4が取り付けられたプリント基板2と、第3のカバー体5及び第4のカバー体6の準備ができたら、今度は、プリント基板2の露出部である他端22側に第3のカバー体5及び第4のカバー体6を取り付ける(S5)。
具体的には、第3のカバー体5をプリント基板2の他端22側の一面22aを覆うように配置し、第4のカバー体6をプリント基板2の他端22側の他面22bを覆うように配置する。この際、第3のカバー体5及び第4のカバー体6は、それぞれ凹部17,18が設けられた面がプリント基板2と対向するように配置され、第3のカバー体5、プリント基板2、第4のカバー体6は密着する。
このような凹部17,18及び孔部16を設けたことで、プリント基板2の他端22側に配置された電子部品7やバックコネクタ9と第3のカバー体5及び第4のカバー体6とが接することがなくなり、電子部品7やバックコネクタ9が損傷することを防ぐことができる。
その後、適宜の方法によって第3のカバー体5及び第4のカバー体6とプリント基板1とを接着させる。例えば、第3のカバー体5及び第4のカバー体6とプリント基板2とにそれぞれ設けられた雌ネジ孔13,14に雄ネジ15を螺合させることによって接着固定させる。
以上のようにして、図1(a)に示すPCカード1Aが製造される。
【0034】
このように、本実施形態では、プリント基板2の他端22側を覆う第3のカバー体5及び第4のカバー体6を、プリント基板2と同様なプリント基板を素材として製造するので、安価に製造することができる。すなわち、プリント基板2の他端22側を樹脂カバーで覆う際に必要だった金型を用意する必要がなくなり、コストダウンを図ることができる。
また、プリント基板2に電子部品7等を配置する際に用いた部品配置データを利用して凹部17,18や孔部16を形成するので、凹部17,18や孔部16の形状を精度良く容易に形成することができる。
また、設計変更等で電子部品7等の配置パターンを変更しても、変更後の部品配置データを利用することで、設計変更に対応した第3のカバー体5及び第4のカバー体6を容易に製造できる。
【0035】
なお、本実施形態では、プリント基板2に第1のカバー体3及び第2のカバー体4を取り付けた後に、第3のカバー体5及び第4のカバー体6を取り付けたが、第3のカバー体5及び第4のカバー体6を先に取り付けても構わない。
また、第3のカバー体5及び第4のカバー体6を、雄ネジ15を用いてプリント基板2に取り付けたが、テープ等によって取り付けても構わない。
【0036】
[第2の実施形態]
図4は、第2の実施形態のPCカード1Bを示す図で、図4(a)は、斜視図を、図4(b)は、図4(a)のB−B’間断面図である。図5(a)は、第3のカバー体を示す平面図で、図5(b)は第4のカバー体を示す平面図で、図5(c)は、図5(a)のC−C’間断面図で、図5(d)は、図5(b)のD−D’間断面図である。
なお、本実施形態は、第1の実施形態の変形例であり、同様の部分については説明を省略する。
【0037】
図4に示すように、本実施形態では、第3のカバー体5及び第4のカバー体6にシールド用のシールド層19及びグランドパターン20が設けられた構成となっている。
具体的には、図4及び図5に示すように、第3のカバー体5及び第4のカバー体6は、それぞれ間にシールド層を有した構成となっている。すなわち、第3のカバー体5及び第4のカバー体6は、それぞれプリント基板2と同様のプリント基板をもとに製造されているところ、本実施形態では、プリント基板の間にCu等で形成されたシールド層が形成されたプリント基板をもとに製造されている。
また、第3のカバー体5及び第4のカバー体6が、それぞれプリント基板2のグランドと接する部分にCu等で形成されたグランドパターン20が形成された構成となっている。また、各カバー体5,6が、プリント基板2に雄ネジ15を用いて取り付けられる時に、シールド層は雄ネジ15を介してプリント基板2のグランドと電気的に接続される。
【0038】
本実施形態では、このように第3のカバー体5及び第4のカバー体6に、シールド層19及びグランドパターン20を形成した結果、EMI対策を行うことができるようになった。
すなわち、第3のカバー体5及び第4のカバー体6に設けられたシールド層19によって、PCカード1Bの一面1a側及び他面1b側から電磁波ノイズが侵入するのを防ぎ、プリント基板2に与える影響を低減させることができる。
また、第3のカバー体5及び第4のカバー体6に設けられたグランドパターン20によって、それぞれPCカード1Bの側面1C側、特に第3のカバー体5及び第4のカバー体6とプリント基板2との接着部分の隙間から、電磁波ノイズが浸入するのを防ぎ、プリント基板2に与える影響を低減させることができる。
この結果、プリント基板2に設けられた電子部品7等が電磁波ノイズから保護されることとなる。
また、逆に、プリント基板2に設けられた電子部品7から発生する電磁波ノイズが、外部に漏れて他の電子部品に影響を与えることを防ぐこともできる。
【0039】
なお、本実施形態のPCカード1Bの製造方法は、略第1の実施形態と同様である。具体的には、第3のカバー体5及び第4のカバー体6を製造するもととなったプリント基板として、Cu等によって形成されたシールド層19が形成されたプリント基板を用いる点と、第3のカバー体5及び第4のカバー体6に凹部17,18及び孔部16を設けた後に、Cu等から形成されるグランドパターン20を形成する以外は、第1の実施形態と同様である。
【0040】
以上、本発明を実施形態に基づき説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、PCカードを製造する製造業において幅広く利用することができる。
【符号の説明】
【0042】
1A,1B・・・PCカード、2・・・プリント基板、3・・・第1のカバー体、4・・・第2のカバー体、5・・・第3のカバー体、6・・・第4のカバー体、7・・・電子部品、17,18・・・凹部、19・・・シールド層、20・・・グランドパターン、21・・・プリント基板の一端、21a・・・プリント基板の一端側の一面、21b・・・プリント基板の一端側の他面、22・・・プリント基板の他端、22a・・・プリント基板の他端側の一面、22b・・・プリント基板の他端側の他面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端側にPCカードスロットに挿入される挿入部を有すると共に、他端側に前記PCカードスロットからはみ出す露出部を有する回路基板と、
所定の部品配置データに基づいて前記回路基板に配置された電子部品と、
前記回路基板の前記露出部を保護する露出側カバーとを具備してなり、
前記露出側カバーは、前記回路基板の前記露出部の基板面に密着するカバー板材から構成され、前記カバー板材は、前記露出部と略同一の形状であって、カバー板材の前記回路基板と対向する側の面には、前記電子部品との干渉を避けるために前記所定の部品配置データに基づいて形成された凹部が設けられていることを特徴とするPCカード。
【請求項2】
前記カバー板材の内部にシールド用のシールド層が設けられており、該シールド層は回路基板のグランドと電気的に接続されていることを特徴とする請求項1に記載のPCカード。
【請求項3】
一端側にPCカードスロットに挿入される挿入部を有するとともに、他端側に前記PCカードスロットからはみ出す露出部を有する回路基板に、所定の部品配置データに基づいて電子部品を配置する工程と、
前記露出部と略同一の形状のカバー板材を用意し、該カバー板材の前記回路基板と対向する側の面に、前記電子部品との干渉を避けるための凹部を前記所定の部品配置データに基づいて形成する工程と、
前記カバー板材を前記回路基板の露出部の基板面に密着させて露出側カバーとする工程と、を具備してなることを特徴とするPCカードの製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2010−160615(P2010−160615A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−1607(P2009−1607)
【出願日】平成21年1月7日(2009.1.7)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】