説明

PCR精製とオリゴヌクレオチド除去のための方法

ポリメラーゼまたはリガーゼの反応混合物から組み込まれていないオリゴヌクレオチドを除去して、所望のポリヌクレオチド生成物を精製する方法が提供される。該方法は、(a)DNAポリメラーゼまたは核酸リガーゼ、ヌクレアーゼ、3’および5’部分を有する上流オリゴヌクレオチド、およびテンプレート核酸、を含む混合物を形成する工程、(b)ヌクレアーゼを用いて上流オリゴヌクレオチドの3’部分を消化する工程、(c)ポリメラーゼを用いて消化された上流オリゴヌクレオチドを伸長する工程、またはリガーゼを用いて消化された上流オリゴヌクレオチドを下流オリゴヌクレオチドに連結する工程であり、伸長または連結工程によりポリヌクレオチド生成物を形成する工程、ならびに(d)組み込まれていない上流オリゴヌクレオチドを反応混合物から除去するために、混合物と3’認識基に結合する結合基を有する基質とを接触させる工程を包含する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(背景)
核酸配列解析は主な研究分野、医療分野、産業分野で非常に重要である。例として、CasKey,Science 236:1223−1228(1987);Landegrenら,Science 242:229−237(1988);ならびに、Arnheimら,Ann.Rev.Biochem.61:131−156(1992)を参照のこと。最も一般に使用されている配列解析の技術はポリメラーゼ連鎖反応(PCR)である。PCRおよびその他の配列決定技術には、ポリメラーゼを用いたオリゴヌクレオチドプライマーの伸長が含まれる。ポリメラーゼを用いたプライマーの伸長はまた、インビボにおいて、DNA複製のときおよびRNAを形成するためのDNAの転写のときに起こる。
【0002】
インビボでのDNA複製の忠実度は、部分的に、DNAポリメラーゼの3’→5’エキソヌクレアーゼプルーフリーディング活性により保たれている。誤ったヌクレオチドが組み込まれて、テンプレートとのミスマッチが形成される場合、それは3’→5’エキソヌクレアーゼにより除去される。しかしながら、最も広くPCRに使用されている耐熱性DNAポリメラーゼ、Thermus aquaticus(Taq)ポリメラーゼは、3’→5’エキソヌクレアーゼを欠いている。
【0003】
その他の配列決定または核酸解析の方法は、オリゴヌクレオチドのライゲーションを含むか、またはオリゴヌクレオチドのライゲーションとオリゴヌクレオチドのポリメラーゼによる伸長の両方を含む。技術の1つは、Whiteleyらによる米国特許第4,883,750号の、オリゴヌクレオチドライゲーションアッセイ(OLA)である。この方法は、変性したテンプレート核酸試料の中に標的配列が存在するか否かを決定するために使用される。2本のオリゴヌクレオチドプローブが設計され、それらは一方のオリゴヌクレオチドの5’側塩基が他方の3’側塩基に隣接した状態で、標的配列にハイブリダイズする。これらの2つの塩基がテンプレートDNAの標的配列と完全なハイブリッドを形成した場合、これらのオリゴヌクレオチドはDNAリガーゼによって互いに連結される。テンプレートDNAが標的配列上のこれら2つの塩基のうちの1つで突然変異を起こしていた場合、オリゴヌクレオチドは連結され得ない。耐熱性リガーゼを使用した場合、反応は、まさにPCRのような繰返しサイクルの中で実施され得る。この方法により、シグナル/ノイズ比は大きく改善され得る(WuとWallace,Genomics 4:560(1989);Barany,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:189(1991)参照)。OLAとPCRを組合わせたアッセイは、Eggerding,米国特許第6,130,073号;およびNickersonら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:8923−8927(1990)に記載されている。
【0004】
PCR、およびオリゴヌクレオチドを使用した、ポリメラーゼに基づく他のアッセイにおいて、ライゲーションに基づくアッセイにおいてと同様に、多くの場合、その後の解析工程に用いるため、反応混合物から、伸長されていない、もしくは連結されていないオリゴヌクレオチドを除去する必要がある。これは、例えば、入れ子の(nested)PCRとPCR産物の配列決定、または増幅産物が、プライマーが競合的にハイブリダイズする配列にハイブリダイズする場合に必要なことである。したがって、迅速かつ簡便に、ポリメラーゼおよびリガーゼの反応混合物から、伸長されていないオリゴヌクレオチドを除去する技術が必要とされる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の要旨)
本発明の1つの実施形態は、組み込まれていないオリゴヌクレオチドを反応混合物から除去する方法を提供する。その方法は、以下の工程:(a)DNAポリメラーゼまたは核酸リガーゼ、ヌクレアーゼ、3’部分および5’部分を有する上流オリゴヌクレオチド(ここで、その3’部分は3’認識基および3’末端ヌクレオチドを有する)、およびテンプレート核酸、を含む混合物を形成する工程、(b)ヌクレアーゼを用いて、上流オリゴヌクレオチドの3’部分を消化する工程、(c)ポリメラーゼを用いて、その消化された上流オリゴヌクレオチドを伸長する工程、または、リガーゼを用いて、その消化された上流オリゴヌクレオチドを下流オリゴヌクレオチドに連結する工程であり、その伸長工程または連結工程により、ポリヌクレオチド生成物を形成する工程、ならびに(d)組み込まれていない上流オリゴヌクレオチドを反応混合物から除去するために、その混合物と3’認識基に結合する結合基を有する基質とを接触させる工程、を包含する。この方法で使用されるDNAポリメラーゼまたは核酸リガーゼ、およびヌクレアーゼは、同じまたは異なる酵素複合体であり得る。
【0006】
この実施形態では、認識基は一般に上流オリゴヌクレオチドの3’末端ヌクレオチドに付着する。その認識基は、その3’認識基が除去されるまで、上流オリゴヌクレオチドが伸長または連結されることを防ぎ得る。上流オリゴヌクレオチドの3’部分はテンプレートと相補的でなくてもよく、その結果、その3’部分は、3’認識基とともに、3’→5’プルーフリーディングエキソヌクレアーゼにより除去される傾向がある。
【0007】
本発明の別の実施形態は、組み込まれていないオリゴヌクレオチドを反応混合物から除去する方法を提供する。その方法は、以下の工程:(a)核酸リガーゼ、ヌクレアーゼ、3’部分および5’部分を有する下流オリゴヌクレオチド(ここで、その5’部分は5’認識基および5’末端ヌクレオチドを含む)、およびテンプレート核酸、を含む混合物を形成する工程、(b)ヌクレアーゼを用いて、下流オリゴヌクレオチドの5’部分を消化する工程、(c)リガーゼを用いて、その消化された下流オリゴヌクレオチドを上流オリゴヌクレオチドに連結する工程であり、その連結工程により、ポリヌクレオチド生成物を形成する工程、ならびに(d)組み込まれていない下流オリゴヌクレオチドを反応混合物から除去するために、その混合物と5’認識基に結合する結合基を有する基質とを接触させる工程、を包含する。この核酸リガーゼおよびヌクレアーゼは、同じまたは異なる酵素複合体である。
【0008】
この実施形態では、5’認識基は一般に下流オリゴヌクレオチドの5’末端ヌクレオチドに付着し、その5’認識基が除去されるまで、下流オリゴヌクレオチドが連結されることを防止する。
【0009】
(発明の詳細な説明)
(定義)
「核酸ポリメラーゼ」は、DNAまたはRNAテンプレートのいずれかを使用して、ヌクレオシド三リン酸からの核酸生成物の形成を触媒する酵素である。「核酸ポリメラーゼ」はRNAポリメラーゼおよびDNAポリメラーゼの両方を含む。
【0010】
「DNAポリメラーゼ」は、DNAを合成するポリメラーゼを意味する。これは、DNAに依存性DNAポリメラーゼ(DNAをテンプレートとして使用する)、およびRNA依存性DNAポリメラーゼすなわち逆転写酵素(RNAをテンプレートとして使用する)の両方を含む。
【0011】
「オリゴヌクレオチド」とは、ポリ核酸、もしくは第二の核酸配列にハイブリダイズし得る、共有結合で連結された一連の核酸塩基を指す。適切な条件下でテンプレートにハイブリダイズする場合、ヌクレオチドを加えることで、オリゴヌクレオチドは、DNAポリメラーゼにより伸長される基質として働き得る。オリゴヌクレオチドはまた、リガーゼの基質としても働き得る。上流オリゴヌクレオチドが下流オリゴヌクレオチドに接するテンプレートにハイブリダイズする場合、2つのオリゴヌクレオチドは連結され得る。そのオリゴヌクレオチドは、主に、デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチド、または両者の混合物から成り得る。そのオリゴヌクレオチドはまた、改変ヌクレオチドを含み得る。通常、モノマーは、ホスホジエステル結合により連結され、ポリヌクレオチドを形成する。しかしながら、そのオリゴヌクレオチドのヌクレオシドモノマーは、他の結合によっても連結され得る。オリゴヌクレオチドは、標的テンプレートに特異的にハイブリダイズし、ヌクレアーゼを用いた消化の後にポリメラーゼにより伸長、またはリガーゼにより連結されるのに十分な任意の長さであり得る。この長さは、6オリゴヌクレオチド程度から1000ヌクレオチド以上に及び得る。代表的に、オリゴヌクレオチドは約9ヌクレオチドから約100ヌクレオチド、約10ヌクレオチドから約50ヌクレオチド、または、約10ヌクレオチドから約25ヌクレオチドの長さに及ぶ。3’認識基を含むオリゴヌクレオチドの3’部分を除去するため(または、一部のライゲーション反応において5’部分に認識基が存在する場合、5’認識基を含むオリゴヌクレオチドの5’部分を除去するため)のヌクレアーゼによる切断の後、そのオリゴヌクレオチドは、ポリメラーゼによる伸長またはリガーゼによるライゲーションを可能にするのに十分安定にテンプレートにハイブリダイズするために十分な数の、ハイブリダイズしているヌクレオチドを含む。そのオリゴヌクレオチドにおけるヌクレオチドモノマーの配列は、認識基のようなその他の基により中断もしくは付加され得る。「オリゴヌクレオチド」という用語はまた、天然に存在するポリヌクレオチドのアナログを含む。そのようなアナログの例には、それらに限定されるものではないが、ペプチド核酸とLOCKED NUCLEIC ACID(LNA)が挙げられる。ペプチド核酸の開示については、Egholmら、Science 254:1497(1991);WO92/20702;ならびに米国特許第6,180,767号および第5,714,331号を参照のこと。ペプチド核酸は、塩基が結合する主鎖として、糖−リン酸の代わりに、ペプチド主鎖を有している。
【0012】
「改変ヌクレオチド」は、例えば、Scheit,Nucleotide Analog(John Wiley,New York 1980)およびUhlmanとPeyman,Chemical Review 90:543−584(1990)で記載されているような、ジデオキシリボヌクレオチドおよび改変塩基部分または改変糖部分を有する合成ヌクレオチドを含む。このようなアナログは、結合能を増強させ、変質を減らし、特異性を向上させるように設計された合成ヌクレオチドを含む。「改変ヌクレオチド」という用語はまた、3’−ジデオキシリボヌクレオチド、3’−デオキシリボヌクレオチド、3’−NH、3’−SH、3’−ホスホグリコアルデヒド、および3’−Pヌクレオチドのような、3’末端をブロックし、伸長やライゲーションが起こらないようにしたヌクレオチド、および、その3’−ヒドロキシルにビオチンのような認識基が結合したヌクレオチドを含む。「改変ヌクレオチド」という用語はまた、5’−デオキシリボヌクレオチド、5’−NH、5’−SHのような、5’末端をブロックし、5’末端のライゲーションが起こらないようにしたヌクレオチド、および、その5’−ヒドロキシルにビオチンのような認識基が結合したヌクレオチドを含む。「改変ヌクレオチド」という用語はまた、3’−または5’−ヒドロキシル以外の部分に認識基が結合したヌクレオチドを含む。「改変ヌクレオチド」という用語はまた、ハイブリダイズする部分が主にDNAであるオリゴヌクレオチドに関連した通常のリボヌクレオチドを含む。「改変ヌクレオチド」という用語はまた、「APヌクレオチド」として本明細書中で呼ばれる、塩基を欠いたヌクレオチドを含む。APは、欠けている塩基がピリミジンであるかプリンであるかによって、それぞれ脱ピリミジン(apyrimidinic)、または脱プリン(apurinic)を意味する。
【0013】
本明細書中で使用される場合、「ヌクレオチド」は本質的に、塩基、糖、リン酸またはポリリン酸から成る部分を含み、また同様に、それらの塩基、糖、リン酸が改変された部分を含む。それはまた、リン酸を有さないかまたは化学的に異なる基でリン酸が置換された部分を含む。例えば、本明細書中で使用される場合、「ポリヌクレオチド」は、そのヌクレオシドまたは改変ヌクレオシドが、メチルホスホネート結合、またはホスホロチオネート結合のような、改変ホスホジエステル結合によって連結されるポリマーを含む。「ヌクレオチド」という用語はまた、APヌクレオチドを含み、これは塩基を欠き、その塩基が、グリセロールのような脱塩基性基によって置換されたものである。
【0014】
【化1】

「テンプレート核酸」とは、RNAおよびDNAの両方を含む。それは、オリゴヌクレオチドが結合し、ポリメラーゼによるオリゴヌクレオチドの伸長、またはリガーゼによるオリゴヌクレオチドのライゲーションのためのテンプレートとして働く、ポリ核酸を指す。
【0015】
「認識基」とは、結合基により認識され得、特異的に付加され得るオリゴヌクレオチドに結合した化学基を指す。認識基は共有結合、または非共有結合され得る。好ましくは、それは共有結合される。それが非共有結合される場合、その付加は、望ましくは、ポリメラーゼまたはリガーゼ反応条件下で、および結合基に接触する条件下で、非常に安定である。認識基は、オリゴヌクレオチドの任意のヌクレオチドまたはヌクレオシド残基上の合成可能な任意の部分に付加され得る。例えば、認識基は、3’末端ヌクレオチドの3’ヒドロキシルまたは5’末端ヌクレオチドの5’ヒドロキシルに付加され得る。認識基はまた、オリゴヌクレオチドの内部残基に付加され得る。認識基が付加のために2つの適切な部分を有している場合、その認識基は、ヌクレオチドまたはヌクレオシドの両側に隣接して、ポリ核酸の主鎖の一部を形成し得る。
【0016】
本明細書中で使用される場合、「3’末端ヌクレオチド」は、オリゴヌクレオチドの3’方向の最も端にあるヌクレオチドを指す。このヌクレオチドは、遊離3’−OHを有し得るか、または、ブロック基もしくは3’認識基に付加されているか、または3’デオキシヌクレオチドにおけるように存在しない、3’ヒドロキシルを有し得る。オリゴヌクレオチドはまた、環状であり得る、そのため、3’末端ヌクレオチドは、例えば自身の3’ヒドロキシルを介して、そのオリゴヌクレオチドの別のヌクレオチドに付加されている。
【0017】
本明細書中で使用される場合、「5’末端ヌクレオチド」は、オリゴヌクレオチドの5’方向の最も端にあるヌクレオチドを指す。このヌクレオチドは、遊離5’−OHもしくは5’−モノ、ジ、もしくはトリ−リン酸を有し得るか、または、ブロック基もしくは5’認識基に付加されているか、または5’デオキシヌクレオチドにおけるように存在しない、5’ヒドロキシルを有し得る。オリゴヌクレオチドはまた、環状であり得る、そのため、5’末端ヌクレオチドは、例えば自身の5’ヒドロキシルを介して、そのオリゴヌクレオチドの別のヌクレオチドに付加されている。
【0018】
「サイズ排除クロマトグラフィー樹脂」は、天然材料もしくは合成材料で作製されており、サイズ排除クロマトグラフィーに適した、任意のタイプの固相マトリックスを指す。これには、例えば、デキストラン、アガロース、ポリアクリルアミド、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0019】
「結合基」は、その結合基を含む基質に反応混合物が接触する工程の条件下において、認識基に特異的に結合する化学基を指す。その結合は、共有結合性または非共有結合性相互作用により得る。非共有結合性相互作用は、例えば、イオン性または疎水性、またはそれらの混合であり得る。その相互作用は、認識基を含むオリゴヌクレオチドの大部分、または、さらに実質的に全てが、結合基を含む基質に結合し、それによって反応混合物から除去されるのに十分に強くあるべきである。ここでの「実質的に全て」は、少なくとも80%を意味する。代替の実施形態では、認識基を含むオリゴヌクレオチドの少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%が結合基を含む基質に結合し、それによって反応混合物から除去される。結合基は、例えば、抗体、タンパク質、糖、金属カチオン、または他の化学基であり得る。
【0020】
適切な認識基としては、ジゴキシゲニン、フルオレセイン、そしてビオチンが挙げられる。適切な結合基としては、ジゴキシゲニンに結合する抗ジゴキシゲニン抗体;フルオレセインに結合する抗フルオレセイン抗体;およびビオチンに結合する抗ビオチン抗体、ストレプトアビジン、またはアビジンが挙げられる。別の適切な認識基はポリヒスチジンである。この場合、適切な結合基はNi2+カチオンである。代表的には、Niカチオンはキレーターに結合している。ポリヒスチジンは、このペプチドがNiカチオンと安定的に相互作用する限り、ほぼ任意の長さの連続したヒスチジン残基を含み得る。代表的に、およそ6マーのヒスチジンが使用される。別の適切な認識基−結合基の対は、フェニルボロン酸(PBA)を含む認識基およびサリチルヒドロキサム酸(SHA)を含む結合基(逆も可)である。PBA(左)、SHA(右)を含む基を、それらのPBA−SHA複合体を形成する反応とともに下に示す。Rは、オリゴヌクレオチドまたは結合基支持体への付加点を表す。付加点は、示されている点だけでなく、任意の化学的に付加可能な点であり得る。「フェニルボロン酸を含む基」という用語はまた、例えば、フェニル基が第2のボロン酸で置換された基のような、PBA官能性を残している他の基を含む。同様に「サリチルヒドロキサム酸を含む基」という用語は、PBA含有基およびSHA含有基が互いに結合する能力を保っている限り、例えばフェニル環が置換されているような、SHA官能性を残している他の基を含む。Prolinx Inc.,Bothell,Washingtonの製品を参照のこと。
【0021】
【化2】

PBA−SHA結合は、フェニルボロン酸またはフェニル−1,3−ジボロン酸のような競合物を付加の際、可逆性である。例えば、米国特許第5,594,111号;同第6,156,884号;および同第5,623,055号、ならびにProlinx,Inc.,Redmond,Wash.からの製品説明書を参照のこと。
【0022】
本明細書中で使用される場合、「RNAse H」は、RNA:DNAヘテロ2重鎖の一部であるRNAを切断する酵素を意味する。1つもしくはそれ以上のRNA残基のオリゴヌクレオチドへの組み込みにより、そのオリゴヌクレオチドがDNAテンプレート鎖にハイブリダイズした場合、そのオリゴヌクレオチドはハイブリダイズしたRNA残基で切断され得る。いくつかのRNAse Hは、1つのオリゴヌクレオチドにただ1つののみのリボヌクレオチドを、基質として必要とする。他は、最大4つまでのリボヌクレオチドでできたセグメントを必要とする。RNAse H活性は、逆転写酵素を含む、いくつかのポリメラーゼにも見られ得る。RNAse Hはまた、別個の酵素でもよい。適切なRNAse Hの1つは、Thermus thermophilus、またはTth、RNAse Hである。その他の適切なRNAse H酵素は、ヒトおよびE.coliのRNAse Hを含む。
【0023】
本明細書中で使用される場合、「酵素複合体」は、タンパク質を意味する。そのタンパク質は、1つまたはそれ以上のポリペプチド鎖であり得る。それが1つ以上のポリペプチド鎖を有する場合、通常それらのポリペプチド鎖は共同で作用する。1つの酵素複合体は1つの酵素活性、または1つ以上の酵素活性を有し得る。例えば、1つの酵素複合体はポリメラーゼ活性とヌクレアーゼ活性の両方を有し得るか、またはリガーゼ活性とヌクレアーゼ活性の両方を有し得る。1つより多い酵素活性のための活性部位は、オーバーラップしているかもしくは同じ活性部位であり得るか、または、それらは酵素複合体上で空間的に分離され得る。
【0024】
「5’キナーゼ」は、核酸の5’−OHへリン酸を付加するキナーゼを指す。
【0025】
「3’ホスファターゼ」は、3’−ホスホヌクレオチドからリン酸を除去して遊離3’−OHを生じさせる酵素を指す。
【0026】
「APエンドヌクレアーゼ」は、APヌクレオチド(塩基を欠いたヌクレオチド)の5’部分を切断し、遊離3’−OHを隣接したヌクレオチドに生じさせ、APヌクレオチドに5’−リン酸を生じさせる、任意の酵素を指す。
【0027】
本明細書中で使用される場合、「上流」はオリゴヌクレオチドの5’末端の方向を意味し、「下流」はオリゴヌクレオチドの3’末端の方向を意味する。2つのオリゴヌクレオチドがテンプレートにハイブリダイズした場合、最も5’位にあるオリゴヌクレオチド、すなわち、テンプレートの最も3’位にハイブリダイズしたオリゴヌクレオチドは、上流オリゴヌクレオチドと呼ばれる。最も3’位にあるオリゴヌクレオチド、すなわち、テンプレートの最も5’位にハイブリダイズしたオリゴヌクレオチドは、下流オリゴヌクレオチドと呼ばれる。
【0028】
本明細書中で使用される場合、「dRpase」は5’末端APエンドヌクレオチドを切り取る酵素を指す。
【0029】
「ヌクレアーゼ」は、核酸を、ヌクレオシド間のホスホジエステル結合、または他の結合で切断する酵素を指す。ヌクレアーゼは、核酸基質の3’末端または5’末端から1度に1つのヌクレオチドを除去するエキソヌクレアーゼであり得、または、基質核酸の内部結合を切断し、各生成物中に少なくとも2つのヌクレオチドを有する2つの生成物を生成するエンドヌクレアーゼであり得る。
【0030】
(説明)
本発明の1つの実施形態は、ビオチンのような認識基を有する上流オリゴヌクレオチドの3’部分を標識する工程に関連する。一般に、その認識基は3’末端ヌクレオチドに付加するが、それはまた、内部ヌクレオチドにも付加し得る。そのオリゴヌクレオチドはポリメラーゼまたはリガーゼ反応混合物において使用され、それはポリメラーゼにより伸長されるか、またはリガーゼにより下流オリゴヌクレオチドに連結される。上流オリゴヌクレオチドの3’末端ヌクレオチドは、その末端ヌクレオチドが除去されない限り伸長または連結され得ないように、ブロックされ得る。そのブロックは、認識基自体であるまたは別のブロック基であり得る。通常、認識基は3’末端ヌクレオチドに付加され、また上流オリゴヌクレオチドの伸長や連結をブロックする。上流オリゴヌクレオチドの3’部分は、その上流オリゴヌクレオチドが結合するテンプレート核酸の標的配列に対して非相補的であり得る。次いで、ヌクレアーゼは、ある種のポリメラーゼの3’→5’プルーフリーディングエキソヌクレアーゼ活性のように、3’認識基を含む上流オリゴヌクレオチドの3’部分を除去する。3’末端ヌクレオチドがブロックされている場合、少なくともそのヌクレオチドは、ポリメラーゼが上流オリゴヌクレオチドを伸長し得る前、またはリガーゼが上流オリゴヌクレオチドを下流オリゴヌクレオチドに連結し得る前に、除去されなければならない。上流オリゴヌクレオチドの3’部分がテンプレートに対して非相補的である場合、プルーフリーディングエキソヌクレアーゼはそれを除去する可能性が高い。上流オリゴヌクレオチドの、3’認識基を含む3’部分の除去に続いて、上流オリゴヌクレオチドはポリメラーゼによって伸長されるかまたは、リガーゼによって下流オリゴヌクレオチドに連結される。したがって、所望の伸長された、または連結された生成物は3’認識基を欠いており、一方で、未反応上流オリゴヌクレオチドは、まだ認識基を含んでいる。認識基に結合する基を含む基質に反応混合物を接触させることにより、認識基を含むオリゴヌクレオチドは、認識基を欠く所望の生成物から除去され得る。例えば、認識基がビオチンである場合、その混合物はアビジンまたはストレプトアビジンを含む基質に接触させることができる。本発明は、PCR、逆転写酵素PCR、RNA生成物のランオフ解析、一塩基伸長、およびその他のアッセイを含む、全てのタイプの核酸ポリメラーゼ反応混合物に利用できる。本発明はまた、リガーゼ反応単独、またはポリメラーゼ反応と組合わせたリガーゼ反応に利用できる。
【0031】
認識基を含む未反応オリゴヌクレオチドを除去するため、反応混合物を結合基を含む基質に接触させる。その結合基は、種々の支持体、例えば、ビーズ、マイクロチャネル、フィルター、またはアガロースまたはセルロースのような線維、に付加される。結合したオリゴヌクレオチドとその混合物のその他の物質との間の分離は、種々の方法によって実行され得る。例として、結合基を含む固相基質の重力による沈降、遠心分離、磁力による分離(この場合、結合基は磁性の基質に付加される)、クロマトグラフィー、結合基を含む基質を除去するための濾過、結合基を含むフィルターを通すことによるその混合物のろ過、および電気泳動が挙げられる。結合基を含む基質は、単量体の形態で結合基自体であり得る。この場合、結合基と、結合したオリゴヌクレオチドは、例えば、クロマトグラフィー、電気泳動、濾過、または凝集、および抗体抗原を含むオリゴヌクレオチドとクロスリンクした格子を形成する2価抗体の場合におけるように、結合基の沈降のような、種々の方法でその混合物から分離し得る。
【0032】
別の実施形態は、ビオチンのような認識基を有する下流オリゴヌクレオチドの5’部分を標識する工程に関連する。その認識基は、5’末端ヌクレオチドまたは内部ヌクレオチドに付加され得る。その下流オリゴヌクレオチドは、リガーゼ反応において、上流オリゴヌクレオチドに連結されるために使用される。下流オリゴヌクレオチドの5’末端ヌクレオチドはブロックされ得、その結果、その末端ヌクレオチドが除去されない限り連結され得ない。ブロックは、認識基そのものであり得るか、または別のブロック基であり得る。通常、5’認識基は、5’末端ヌクレオチドに付加され、その5’認識基が除去されるまで、下流オリゴヌクレオチドの上流オリゴヌクレオチドへのライゲーションをブロックする。下流オリゴヌクレオチドの5’部分は、そのオリゴヌクレオチドが結合するテンプレート核酸の標的配列に対して非相補的であり得る。その反応において、5’→3’エキソヌクレアーゼのようなヌクレアーゼは、5’認識基を含む下流オリゴヌクレオチドの5’部分を除去する。5’末端ヌクレオチドがブロックされている場合、少なくともそのヌクレオチドは、リガーゼが下流オリゴヌクレオチドを連結し得る前に除去されなければならない。下流オリゴヌクレオチドおよび上流オリゴヌクレオチドは、その下流オリゴヌクレオチドの5’認識基を含む5’部分の除去に続いて、その下流オリゴヌクレオチドの遊離5’−リン酸が、その上流オリゴヌクレオチドの3’ヒドロキシルの隣に位置するように、設計される。このことにより、下流オリゴヌクレオチドは、リガーゼによって、上流オリゴヌクレオチドに効率よく連結されることが可能である。したがって、所望の連結された生成物は5’認識基を欠いており、一方、未反応の下流オリゴヌクレオチド、およびいくつかの所望でない生成物はまだ認識基を含んでいる。その認識基に結合する基を含む基質と反応混合物とを接触させることにより、認識基を含む未反応の下流オリゴヌクレオチドおよび所望でない生成物は、認識基を欠いた所望の生成物から除去され得る。例えば、認識基がビオチンである場合、その混合物はアビジンまたはストレプトアビジンを含む基質と接触させ得る。
【0033】
本発明のいくつかの実施形態の利点としては、反応混合物から未反応のオリゴヌクレオチドを容易に除去し、それによって、所望のポリヌクレオチド生成物の部分的な精製を行うことが挙げられる。例えば、実験者がそのポリヌクレオチド生成物によって、最初の反応のオリゴヌクレオチドが干渉する第2の反応を行いたい場合、そのオリゴヌクレオチドを除去することは重要な工程である。これは例えば、入れ子のPCRまたはPCR産物の配列決定における場合である。
【0034】
本発明のいくつかの実施形態の別の利点は、本発明のヌクレアーゼ消化工程がプルーフリーディング機能を果たし得ることである、このことにより、所望の生成物の収量は、テンプレートの非標的位置にハイブリダイズしたオリゴヌクレオチドの伸長またライゲーションの結果生じた収量と比較して、増加する。ポリメラーゼ連鎖反応において、これは例えば、プライマーダイマーおよび他の所望でない反応生成物の収量を減少させる結果をもたらす。
【0035】
本発明のいくつかの実施形態の別の利点は、認識基が予め除去されることなく伸長または連結されたオリゴヌクレオチドもまた、反応混合物から除去されることである。このことは、これらの所望でない反応生成物を除去する工程により、所望のポリヌクレオチド生成物の純度を改善する。
【0036】
(3’認識基法)
本発明の実施形態としては、組み込まれていないオリゴヌクレオチドを反応混合物から除去する方法が挙げられる。本方法は、工程(a):以下(i)DNAポリメラーゼまたは核酸リガーゼ、(ii)ヌクレアーゼ、(iii)3’部分および5’部分を有する上流オリゴヌクレオチド(その3’部分が3’認識基および3’末端ヌクレオチドを含む)、および(iv)テンプレート核酸、を含む混合物を形成する工程、を包含する。そのDNAポリメラーゼまたは核酸リガーゼ、およびヌクレアーゼは、同じまたは別個の酵素複合体であり得る。本方法はまた、工程(b):ヌクレアーゼを用いて、上流オリゴヌクレオチドの3’部分を消化する工程、および工程(c):ポリメラーゼを用いて、消化された上流オリゴヌクレオチドを伸長させる工程、またはリガーゼを用いて、消化された上流オリゴヌクレオチドを下流オリゴヌクレオチドへ連結する工程(伸長工程または連結工程がポリヌクレオチド生成物を形成する)を包含する。その方法は、工程(d):その混合物と3’認識基に結合する結合基を含む基質とを接触させ、組み込まれていない上流オリゴヌクレオチドを反応混合物から除去する工程、をさらに包含する。本方法は、本明細書中において、以降は「3’認識基法」と呼ばれる。
【0037】
3’認識基法の特定の実施形態において、混合物の構成要素(i)は核酸ポリメラーゼであり、工程(c)は、ポリメラーゼを用いて、上流オリゴヌクレオチドを伸長させ、ポリヌクレオチド生成物を形成する工程である。その混合物が核酸ポリメラーゼを含む場合、その混合物は2本のオリゴヌクレオチドを含み得る。これは、代表的に、その混合物がポリメラーゼ連鎖反応混合物である場合である。両方のオリゴヌクレオチドは、同じ3’認識基または異なる3’認識基を含み得るかまたは1本のオリゴヌクレオチドのみが3’認識基を含み得る。
【0038】
3’認識基法の別の実施形態において、反応混合物は、逆転写酵素−PCR反応混合物である。
【0039】
3’認識基法の異なる実施形態において、DNAポリメラーゼは、DNA依存性DNAポリメラーゼまたは逆転写酵素であり得る。
【0040】
ポリメラーゼとヌクレアーゼは、同じ酵素複合体または別個の酵素複合体の一部であり得る。
【0041】
ポリメラーゼが逆転写酵素である1つの実施形態において、その混合物は、DNA依存性DNAポリメラーゼをさらに含む。逆転写酵素とDNA依存性DNAポリメラーゼは、同じまたは別個の酵素複合体であり得る。それらが同じ酵素複合体である場合、特定の実施形態において、逆転写酵素とDNA依存性DNAポリメラーゼは、以下である:例えば、Anaerocellum, thermophilum DNAポリメラーゼ、Bacillus pallidus DNAポリメラーゼ、Bacillus stearothermophilus DNAポリメラーゼ、Carboxydothermus hydrogenoformans DNAポリメラーゼ、Thermoactinomyces vulgaris DNAポリメラーゼ、Thermoanaerobacter thermohydrosulfuricus DNAポリメラーゼ、Thermosipho africanus DNAポリメラーゼ、Thermotoga neapolitana DNAポリメラーゼ、Thermus aquaticus DNAポリメラーゼ、Thermus thermophilus DNAポリメラーゼ、またはThermus ZO5 DNAポリメラーゼ。
【0042】
ポリメラーゼおよびヌクレアーゼが同じ酵素複合体である1つの実施形態において、ヌクレアーゼは、3’→5’エキソヌクレアーゼである。この実施形態において、酵素複合体は、以下であり得る:例えば、Pyrococcus furiosusポリメラーゼTHERMALACE、DEEP VENT DNAポリメラーゼ(Pyrococcus sp.GB−D)、VENT DNAポリメラーゼ(Thermococcus litoralis)、Bacillus stearothermophilus DNAポリメラーゼ、9TMDNAポリメラーゼ(Thermococcus sp.9N−7株)、ACUPOL DNAポリメラーゼ、PROOFSTART DNAポリメラーゼ(Pyrococcus sp.)、Pyrococcus woesei DNAポリメラーゼ、Thermococcus gorgonarius DNAポリメラーゼ、AMPLITHERM DNAポリメラーゼ、KOD DNAポリメラーゼ(Pyrococcus kodakarensis)、Thermococcus fumicolans DNAポリメラーゼ、DYNAZYME EXT DNAポリメラーゼ(Thermus brockaianus)、Thermosipho africanus DNAポリメラーゼ、Pyrodictium occultum DNAポリメラーゼ、Pyrococcus kodakarensis DNAポリメラーゼ、Thermotoga maritima DNAポリメラーゼ、Thermotoga neapolitana DNAポリメラーゼ、Bacillus pallidus DNAポリメラーゼ、Carboxydothermus hydrogenoformans DNAポリメラーゼ、Pyrococcus furiosus DNAポリメラーゼ、Pyrococcus sp.GB−D DNAポリメラーゼ、Thermococcus litoralis DNAポリメラーゼ、Thermococcus sp.9N−7株DNAポリメラーゼ、またはThermus brockaianus DNAポリメラーゼ。
【0043】
本発明の別の特定の実施形態において、ポリメラーゼおよびヌクレアーゼは別個の酵素複合体である。この場合の特定の実施形態において、ポリメラーゼは、以下である:Thermus aquaticus DNAポリメラーゼ、Thermus thermophilus DNAポリメラーゼ、ZO5 DNAポリメラーゼ(Thermus sp.ZO5)、SPS17 DNAポリメラーゼ(Thermus sp.SPS17)、Thermoactinomyces vulgaris DNAポリメラーゼ、Thermoanaerobacter thermohydrosulfuricus DNAポリメラーゼ、Anaerocellum thermophilum DNAポリメラーゼ、またはFY7 DNAポリメラーゼ(Thermoanaerobacter thermohydrosulfuricus FY7)。
【0044】
ポリメラーゼおよびヌクレアーゼが別個の酵素複合体である場合の、別の特定の実施形態において、ヌクレアーゼは、そのポリメラーゼ活性を欠いた、3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を有する変異体ポリメラーゼである。そのヌクレアーゼは、以下の変異体であり得る:例えば、Pyrococcus furiosusポリメラーゼTHERMALACE、DEEP VENT DNAポリメラーゼ(Pyrococcus sp.GB−D)、VENT DNAポリメラーゼ(Thermococcus litoralis)、Bacillus stearothermophilus DNAポリメラーゼ、9TMDNAポリメラーゼ(Thermococcus sp.9N−7株)、ACUPOL DNAポリメラーゼ、PROOFSTART DNAポリメラーゼ(Pyrococcus sp.)、Pyrococcus woesei DNAポリメラーゼ、Thermococcus gorgonarius DNAポリメラーゼ、AMPLITHERM DNAポリメラーゼ、KOD DNAポリメラーゼ(Pyrococcus kodakarensis)、Thermococcus fumicolans DNAポリメラーゼ、DYNAZYME EXT DNAポリメラーゼ(Thermus brockaianus)、Thermosipho africanus DNAポリメラーゼ、Pyrodictium occultum DNAポリメラーゼ、Pyrococcus kodakarensis DNAポリメラーゼ、Thermotoga maritima DNAポリメラーゼ、Thermotoga neapolitana DNAポリメラーゼ、Bacillus pallidus DNAポリメラーゼ、Carboxydothermus hydrogenoformans DNAポリメラーゼ、Pyrococcus furiosus DNAポリメラーゼ、Pyrococcus sp.GB−D DNAポリメラーゼ、Thermococcus litoralis DNAポリメラーゼ、Thermococcus sp.9N−7株DNAポリメラーゼ、またはThermus brockaianus DNAポリメラーゼ。
【0045】
ポリメラーゼおよびヌクレアーゼが別個の酵素複合体である場合の、本発明の別の特定の実施形態において、ポリメラーゼは、3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を有する野生型ポリメラーゼの変異体形態であり、その変異体形態はエキソヌクレアーゼ活性を失っている。この実施形態において、ポリメラーゼは、以下の変異体形態であり得る:例えば、Pyrococcus furiosusポリメラーゼTHERMALACE、DEEP VENT DNAポリメラーゼ(Pyrococcus sp.GB−D)、VENT DNAポリメラーゼ(Thermococcus litoralis)、Bacillus stearothermophilus DNAポリメラーゼ、9TMDNAポリメラーゼ(Thermococcus sp.9N−7株)、ACUPOL DNAポリメラーゼ、PROOFSTART DNAポリメラーゼ(Pyrococcus sp.)、Pyrococcus woesei DNAポリメラーゼ、Thermococcus gorgonarius DNAポリメラーゼ、AMPLITHERM DNAポリメラーゼ、KOD DNAポリメラーゼ(Pyrococcus kodakarensis)、Thermococcus fumicolans DNAポリメラーゼ、DYNAZYME EXT DNAポリメラーゼ(Thermus brockaianus)、Thermosipho africanus DNAポリメラーゼ、Pyrodictium occultum DNAポリメラーゼ、Pyrococcus kodakarensis DNAポリメラーゼ、Thermotoga maritima DNAポリメラーゼ、Thermotoga neapolitana DNAポリメラーゼ、Bacillus pallidus DNAポリメラーゼ、Carboxydothermus hydrogenoformans DNAポリメラーゼ、Pyrococcus furiosus DNAポリメラーゼ、Pyrococcus sp.GB−D DNAポリメラーゼ、Thermococcus litoralis DNAポリメラーゼ、Thermococcus sp.9N−7株DNAポリメラーゼ、またはThermus brockaianus DNAポリメラーゼ。
【0046】
本発明の1つの特定の実施形態において、その混合物は、種々の量の3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を有する、2つ以上のDNAポリメラーゼの混合物を含む。
【0047】
本発明において有用なDNAポリメラーゼの参考文献は、以下の表に示されている。
【0048】
(3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を有するDNAポリメラーゼ)
【0049】
【表1−1】

【0050】
【表1−2】

【0051】
【表1−3】

(3’→5’ヌクレアーゼ活性を欠くDNAポリメラーゼ)
【0052】
【表2】

(3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を除去するDNAポリメラーゼに対する変異体)
【0053】
【表3】

(RT活性を有するDNAポリメラーゼ)
【0054】
【表4】

本発明の特定の実施形態において、ヌクレアーゼは活性化工程が適用されるまでは不活性である。このことは、遊離オリゴヌクレオチドがテンプレートにハイブリダイズする前に、遊離オリゴヌクレオチドの変質を防止するために有益であり得る。本発明の1つの実施形態において、ヌクレアーゼはPROOFSTART DNAポリメラーゼである。ヌクレアーゼの活性化を制御する手段としては、そのヌクレアーゼを不活性にするための酵素の化学改変が挙げられ、ここで、高温は、酵素を活性化するためにその化学改変を変化させる。米国特許第5,773,258号および同第5,677,152号等を参照のこと。これは、環状無水物を用いて酵素を誘導体化することによって達成され得る。環状無水物は、例えば、無水コハク酸、無水シトラコン酸、無水シス−アコニン酸(cis−aconic anhydride)であり得る。制御された不活性化の別の方法は、ヌクレアーゼに抗体を結合させる工程であり、ここで、抗体は高温により不活性化される。別の不活性化の方法は、ヌクレアーゼに低温では結合し、高温では結合しないアプタマーまたはペプチドの使用である。別の不活性化の方法は、ヌクレアーゼを物理的バリアによってオリゴヌクレオチドから分離する工程である。例えば、高温で融解するワックスバリアが使用され得る。2価陽イオンのような酵素活性に必要な必須要素もまた、同様にして分離され得る。
【0055】
3’認識基法の別の実施形態において、その混合物は核酸リガーゼを含み、その方法は、ポリヌクレオチド生成物を形成するため、そのリガーゼを用いて、消化された上流オリゴヌクレオチドを下流オリゴヌクレオチドに連結する工程を包含する。この実施形態は、例えば、オリゴヌクレオチドリガーゼアッセイに使用され得る。オリゴヌクレオチドリガーゼアッセイの説明に関しては、Whiteleyら、米国特許第4,883,750号を参照のこと。
【0056】
3’認識基法の特定の実施形態において、上流オリゴヌクレオチドの3’末端ヌクレオチドは、未消化上流オリゴヌクレオチドの伸長またはライゲーションを防止するブロック基によって改変される。
【0057】
特定の実施形態において、そのブロック基は、3’−デオキシヌクレオチドまたはジデオキシヌクレオチドである。その他の特定の実施形態において、そのブロック基は3’−ホスホグリコアルデヒド、3’−リン酸、3’−メルカプト、または3’−アミノである。ホスホグリコアルデヒドは、−OP(O)(OH)OCHCHO基を指す。
【0058】
特定の実施形態において、ブロック基は3’認識基を含む。
【0059】
1つの特定の実施形態において、上流ヌクレオチドは3’認識基が除去されない限り伸長または連結され得ない。
【0060】
3’認識基法の1つの特定の実施形態において、ヌクレアーゼは3’→5’エキソヌクレアーゼである。
【0061】
3’認識基法の1つの特定の実施形態において、3’末端ヌクレオチドは3’認識基の全てまたは一部を含む。別の特定の実施形態において、内部ヌクレオチドは3’認識基の全てまたは一部を含む。
【0062】
3’認識基法の1つの実施形態において、上流オリゴヌクレオチドの3’部分はテンプレートと非相補的である。「非相補的」とは、3’部分がテンプレートに対してヌクレオチド配列が完全には相補的でないことを意味する。3’部分はテンプレートに対する1塩基のミスマッチを有し得るか、またはテンプレートに対して相補的な、連続したヌクレオチドを有さないことが有り得るか、またはテンプレートに対して中間相補性の配列を有し得る。3’部分がテンプレートに対して非相補的である場合、上流オリゴヌクレオチドの5’部分は、一般にテンプレートに対して3’部分よりも相補的である。5’部分は一般にテンプレートに対して完全に相補的であるが、しかし、反応条件下で上流オリゴヌクレオチドがテンプレートにハイブリダイズし、また、伸長するためにポリメラーゼの基質として、または別のハイブリダイズするオリゴヌクレオチドへ連結するためにリガーゼの基質として働き得るように、テンプレートに対して十分に相補的な任意の配列を有し得る。
【0063】
ハイブリダイゼーション条件は配列依存性であり、異なる環境パラメータ下で異なる。より長い配列はより高い温度で特異的にハイブリダイズする。核酸のハイブリダイゼーションの広範な指針は、Tijssenの、Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology−Hybridization with Nucleic Acid Probes,2章「Overview of principles of hybridization and the strategy of nucleic acid probe assays」,1ページ Elsevier、New York(1993)に見られる。一般に、高ストリンジェントなハイブリダイゼーションと洗浄の条件は、規定のイオン強度とpHとにおける特定の配列に関する融点温度(T)より約5℃低い温度に選択される。代表的に、「ストリンジェントな条件」下において、プローブはその標的配列にハイブリダイズするが、他の配列にはハイブリダイズしない。例えば、「ストリンジェントな条件」または「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」とは、プローブがその標的配列に対して、他の配列に対してよりも検出可能な程度に大きな度合い(例えば、少なくともバックグラウンドの2倍を超える)でハイブリダイズする条件を意図している。ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーおよび/または洗浄の条件の制御により、プローブに対して100%相補的な標的配列が同定され得る(相同プロービング)。あるいは、ストリンジェンシー条件は、低度の相似性が検出されるように、いくつかの配列のミスマッチを許容するように調整され得る(異種プロービング)。一般に、オリゴヌクレオチドプローブは、長さが約1000ヌクレオチドよりも少ない、好ましくは、長さで500ヌクレオチドよりも少ない。
【0064】
代表的に、ストリンジェントな条件は、pH7.0〜8.3において、短いプローブ(例えば、10〜50ヌクレオチド)では少なくとも約30℃、長いプローブ(例えば、50ヌクレオチドより長い)では少なくとも約60℃の温度で、塩濃度が約1.5Mよりも少ないNaイオン、代表的に約0.01〜1.0MのNaイオンを含む条件である。
【0065】
特異性において重要な因子は、イオン強度と反応混合物の温度である。DNA−DNAハイブリッドに関しては、TはMeinkothおよびWahl,Anal.Biochem.138:267−284(1984)の式で近似され得る:T=81.5℃+16.6(logM)+0.41(%GC)−0.61(%form)−500/L;ここで、Mは1価陽イオンのモル濃度、%GCはDNAにおけるグアノシンとシチジンヌクレオチドのパーセンテージ、%formはハイブリダイゼーション溶液中のホルムアルデヒドのパーセンテージ、そしてLは塩基対でのハイブリッドの長さである。Tは(規定のイオン強度およびpHにおける)相補的な標的配列の50%が、完全にマッチしたプローブにハイブリダイズする温度である。あるいは、Tは、PRIMER EXPRESS(Applied Biosystems)のような、いくつかの商業的に入手可能なプログラムから決定され得る。Tはまた、Sambrookら(1989)Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第2版,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Plainview,New York)に記載されているように、実験的に決定され得る。
【0066】
非常に高度にストリンジェントな条件は、特定のプローブに関するTと同等かまたはそれよりわずかに高くなるように選択される。
【0067】
ストリンジェントな洗浄条件の例は、65℃で、15分間の0.2×SSC洗浄である(SSC緩衝液の記述については、Sambrookら(1989)Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第2版,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Plainview,New Yorkを参照)。
【0068】
は1%のミスマッチごとに約1℃ずつ下げられる;したがって、T、ハイブリダイゼーション、および/または洗浄の条件は、所望の同一性配列にハイブリダイズするよう調整され得る。例えば、90%の同一性を有した配列に関して、Tは約10℃下げられる。したがって、90%以上の同一性を有した配列が探索される場合、洗浄温度は、完全に相補的な配列を同定するために使用されるものよりも、一般的に約10℃低い。
【0069】
一般的に、ストリンジェントな条件は、規定のイオン強度およびpHにおける特定の配列とその相補鎖のTよりも約5℃低い温度に選択される。しかしながら、高度にストリンジェントな条件は、Tよりも1、2、3、または4℃低い温度でハイブリダイゼーションおよび/または洗浄を利用し得る;中程度にストリンジェントな条件は、Tよりも5、6、7、8、9または10℃低い温度でハイブリダイゼーションおよび/または洗浄を利用し得る;低ストリンジェンシー条件は、Tよりも11、12、13、14、15または20℃低い温度でハイブリダイゼーションおよび/または洗浄を利用し得る。これらのパラメータ、ハイブリダイゼーション組成物および洗浄組成物、ならびに所望の温度を用いることで、当業者は、ハイブリダイゼーションおよび/または洗浄溶液のストリンジェンシーにおけるバリエーションが本質的に記載されていることを理解する。核酸のハイブリダイゼーションの広範な指針は、Tijssen(1993)、Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology−Hybridization with Nucleic Acid Probes,第1部 第2章(Elsevier、New York);Ausubelら(編)(1995)Current Protocols in Molecular Biology,第2章(Greene Publishing and Wiley−Interscience,New York)に見られる。また、Sambrookら(1989)Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第2版,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Plainview,New York)を参照のこと。
【0070】
3’認識基法の1つの実施形態において、オリゴヌクレオチドの3’部分に含まれる全てのヌクレオシドは、ヌクレアーゼによる加水分解に耐性のある結合によりつながれる。この場合において、ヌクレアーゼがそのオリゴヌクレオチドを切断する場合、それは通常、オリゴヌクレオチドの3’部分全体を切断する。ヌクレアーゼ耐性のある結合としては、メチルホスホネート結合およびホスホロチオネート結合が挙げられる。
【0071】
3’認識基法の別の実施形態において、上流オリゴヌクレオチドの3’部分に含まれる全てのヌクレオシドはホスホジエステル結合によって結合され、上流オリゴヌクレオチドの5’部分は加水分解に耐性のある結合を含む。例えば、加水分解に耐性のある結合は、メチルホスホネート結合またはホスホロチオネート結合であり得る。この実施形態では、3’→5’エキソヌクレアーゼは、加水分解に耐性のある結合で消化を停止させて、隣接するヌクレオチド上に3’末端ヒドロキシルを残す傾向がある。したがって、この結合は所望の消化点に配置され得る。
【0072】
本発明の方法におけるテンプレート核酸はDNAまたはRNAであり得る。
【0073】
本発明の1つの実施形態において、結合基を含む基材は、サイズ排除クロマトグラフィー樹脂であり、混合物はその樹脂を通される。この方法は、3’認識基を含む未反応オリゴヌクレオチドが除去されると同時に、未反応のヌクレオチドのような低分子の除去を可能にする。本明細書中で使用される「樹脂」は、デキストラン、ポリアクリルアミド、アガロース等、およびその混合物のような、天然ポリマーおよび合成ポリマーの両方を指す。
【0074】
本発明の1つの実施形態において、認識基は抗体によって認識される基であり、結合基は抗体である。例えば、認識基はジゴキシゲニン、フルオレセイン、またはビオチンであり得、結合基は適切な認識基を認識する抗体であり得る。
【0075】
認識基がビオチンである場合、結合基はまた、例えば、アビジンまたはストレプトアビジンであり得る。
【0076】
別の特定の実施形態において、認識基はフェニルボロン酸を含み、結合基はサリチルヒドロキサム酸を含む。別の特定の実施形態において、認識基はサリチルヒドロキサム酸を含み、結合基はフェニルボロン酸を含む。
【0077】
別の特定の実施形態において、認識基はポリヒスチジンであり、結合基はニッケルカチオン−キレート錯体である。ニッケルカチオンのキレーターの例は、ニトリロ三酢酸またはEDTAである。認識基はまた、ニッケルカチオン−キレートを含み得、結合基はポリヒスチジンであり得る。
【0078】
別の特定の実施形態において、認識基はオリゴヌクレオチドのヌクレオチド配列であり、結合基は相補的ヌクレオチド配列である。
【0079】
3’認識基法の別の特定の実施形態において、上流オリゴヌクレオチドの3’部分はLヌクレオチドから成り、これはL型立体配置を有するヌクレオチドを意味する。L核酸は一般的に、ポリメラーゼによってもリガーゼによっても認識されず、したがって、3’部分がLヌクレオチドから成る上流オリゴヌクレオチドは通常、その3’部分が除去されない限り、ポリメラーゼによって伸長され得ず、リガーゼによっても連結され得ない。上流オリゴヌクレオチドの3’部分がLヌクレオチドから成る場合、結合基は、3’Lヌクレオチドにハイブリダイズする相補的Lオリゴヌクレオチドであり得る。あるいは、他の結合基が3’Lヌクレオチド部分に組み込まれ得る。
【0080】
3’認識基法の別の実施形態において、上流オリゴヌクレオチドの3’部分はペプチド核酸から成る。上流オリゴヌクレオチドの3’部分がペプチド核酸から成る場合、結合部分は、3’ペプチド核酸部位にハイブリダイズする相補的オリゴヌクレオチドであり得る。あるいは、他の結合基が3’ペプチド核酸部位に組み込まれ得る。
【0081】
3’認識基法の別の特定の実施形態において、上流オリゴヌクレオチドは、3’認識基に対して5’側に改変ヌクレオチドを含み、ヌクレアーゼはその改変ヌクレオチドで上流オリゴヌクレオチドを切断する。1つの実施形態において、ヌクレアーゼは、改変ヌクレオチドが2重鎖中に存在する場合、それが2重鎖中にない場合よりも優先的に、改変ヌクレオチドで上流オリゴヌクレオチドを切断する。ヌクレアーゼが改変ヌクレオチドを、それが2重鎖中にある場合に、より優先的に切断する場合の特定の実施形態において、改変ヌクレオチドはリボヌクレオチドであり、ヌクレアーゼはRNAse Hである。特定の実施形態において、そのRNAse Hは、Thermus thermophilus DNAポリメラーゼ、Thermus thermophilus RNAse H、ヒトRNAse H、またはE.coli RNAse Hである。
【0082】
切断部位として使用され得る別の改変ヌクレオチドは、脱塩基性ヌクレオチドである。脱塩基性ヌクレオチド残基はDNAグリコシラーゼにより生成され得る。DNAグリコシラーゼは、塩基をその糖に結合させているN−グリコシド結合の加水分解を介してDNA内の塩基を除去する酵素である。ほとんどのDNAグリコシラーゼは、ウラシルグリコシラーゼを例外として、2本鎖DNAに対して非常に選択的である(Dodson ML,Michaels MLおよびLloyd RS(1994)Unified Catalytic Mechanism for DNA Glycosylases.The Journal of Biological Chemistry 269(52):32709−32712)。DNAグリコシラーゼによって生成された脱塩基性部位は、除去された塩基がプリンであるかピリミジンであるかに依存して、それぞれ脱プリン部位または脱ピリミジン部位と呼ばれる。したがって、それらは本明細書中では、脱プリンまたは脱ピリミジンにちなんで、APヌクレオチドと呼ばれる。DNAグリコシラーゼにより生成されたようなAPヌクレオチド残基は、下図の中央の分子に示されている。
【0083】
DNAグリコシラーゼは2つのグループに分類され得る。単機能性DNAグリコシラーゼは、グリコシド結合の加水分解を触媒し、脱塩基性部位を生成するのみである。二機能性DNAグリコシラーゼはさらなる脱塩基性部位リアーゼ活性を有し、β−脱離を介して3’C−O結合の切断をもたらす。これは、下図において右向き矢印で示されている。いくつかの二機能性酵素はまた、β−脱離を介して5’C−O結合を切断し、遊離4−ヒドロキシ−ペント−2,4−ジエナール、ならびに遊離5’−ホスホリル末端およびAPヌクレオチド残基に隣接するヌクレオチドにおける遊離3’−ホスホリル末端で終結する2つのDNA分子を産生する(Friedberg,E.C.;Walker,G.C.,Siede,W.1995.DNA Repair and Mutagenesis.Washington,D.C.:ASM Press.,156ページ)。
【0084】
APヌクレオチド残基を有するオリゴヌクレオチドは、下図において左向き矢印で示されているように、脱プリン/脱ピリミジンエンドヌクレアーゼ(APエンドヌクレアーゼ)によって、APヌクレオチドに対して5’側を切断され得る。これらは遊離3’−OH、ならびにAPヌクレオチド残基上において、5’−リン酸を残す。APエンドヌクレアーゼはまた、下図において上段右にある分子から、3’末端α,β−不飽和アルデヒドを切断し、3’−OH末端および遊離4−ヒドロキシ−5−ホスホ−2−ペンテナールを残す。
【0085】
【化3】

2つのよく知られたAPエンドヌクレアーゼは、E.coli由来のような、エキソヌクレアーゼIII、およびAPE 1 APエンドヌクレアーゼである。別のAPエンドヌクレアーゼは、E.coli由来のエンドヌクレアーゼIVである。
【0086】
例示的なDNAグリコシラーゼおよびAPエンドヌクレアーゼ、ならびにそれらの活性についてのいくつかの詳細は、以下の表に示されている。
【0087】
【表5】

【0088】
【表6】

【0089】
【表7】

【0090】
【表8】

ヌクレアーゼは時に、3’末端リン酸を残し、これは上流オリゴヌクレオチドの伸長またはライゲーションを防止する。したがって、この3’末端リン酸を除去するため、その混合物に3’ホスファターゼを含むことが、時々必要である。特定の実施形態において、その混合物はさらに、3’ホスファターゼを含む。特定の実施形態において、3’ホスファターゼはエキソヌクレアーゼIII、エキソヌクレアーゼIV、または酵母APエンドヌクレアーゼである。
【0091】
2重鎖中において優先的な改変ヌクレオチドでの切断を包含する方法の1つの特定の実施形態において、その改変ヌクレオチドは8−オキソー7,8−ジヒドロー2’−デオキシグアノシン;7−メチルグアニン;2,6−ジアミノ−4−ヒドロキシ−5−N−メチルホルムアミドピリミジン;4,6−ジアミノ−5−ホルムアミドピリミジン;5−ヒドロキシ−2’−デオキシシチジン;5−ヒドロキシ−2’−デオキシウリジン;またはN−メチルグアニンを含む;およびヌクレアーゼはホルムアミド−ピリミジン−DNAグリコシダーゼである、そして、その混合物は3’ホスファターゼをさらに含む。
【0092】
2重鎖中において優先的な改変ヌクレオチドでの切断を包含する方法の1つの特定の実施形態において、その改変ヌクレオチドは、7,8−ジヒドロ−8−オキソグアニン;ホルムアミドピリミジン;2,6−ジアミノ−4−ヒドロキシ−5−ホルムアミドピリミジン;または8−オキソグアニンを含む;およびヌクレアーゼは8−オキソグアニンDNAグリコシダーゼであり、そしてその混合物はAPエンドヌクレアーゼをさらに含む。
【0093】
2重鎖中において優先的な改変ヌクレオチドでの切断を包含する方法の1つの特定の実施形態において、その改変ヌクレオチドは、5,6−ジヒドロチミン;6−ヒドロキシ−5,6−ジヒドロチミン;シス−チミングリコール;トランス−チミングリコール;5−ヒドロキシ−5−メチルヒダントイン;メチルタルトロン尿素;尿素;5−ヒドロキシシトシン;5−ヒドロキシウラシル;ウラシルグリコール;ジヒドロウラシル;6−ヒドロキシウラシル;グリコール;β−ウレイドイソ酪酸;5−ヒドロキシ−6−ヒドロチミン;5,6−ジヒドロウラシル;5−ヒドロキシー6−ヒドロウラシル;5−ヒドロキシー2’−デオキシシチジン;または5−ヒドロキシ−2’−デオキシウリジンを含む;およびヌクレアーゼはエンドヌクレアーゼIIIまたはチミングリコールDNAグリコシダーゼであり、そして、その混合物は、APエンドヌクレアーゼをさらに含む。
【0094】
別の特定の実施形態において、改変ヌクレオチドはAPヌクレオチドであり、ヌクレアーゼはAPエンドヌクレアーゼである。改変ヌクレオチドがAPヌクレオチドである場合の特定の実施形態において、ヌクレアーゼはエキソヌクレアーゼIII、エンドヌクレアーゼIV、APE 1 APエンドヌクレアーゼ、または酵母APエンドヌクレアーゼである。
【0095】
3’認識基法の特定の実施形態において、上流オリゴヌクレオチドの5’部分は、3’認識基とは異なる5’認識基を含む。反応後、所望の生成物は5’認識基を含むが、3’認識基を含まない、一方で上流オリゴヌクレオチドは両方の認識基を含む。したがって、反応混合物を3’認識基に結合する結合基を含む基質に接触させる工程は、未消化上流オリゴヌクレオチドを除去する。その混合物が5’認識基に結合する結合基を含む基質に接触される場合、所望の生成物は反応混合物から除去される。したがって、本発明の別の特定の実施形態は、上流オリゴヌクレオチドの5’部分が、3’認識基と異なる5’認識基を含む方法である。この実施形態において、その方法は、(その混合物を3’認識基に結合する結合基を含む基質に接触させる工程の後)その混合物を5’認識基に結合する結合基を含む基質に接触させる工程をさらに包含し得る。
【0096】
(5’認識基法)
本発明は、組み込まれていないオリゴヌクレオチドを反応混合物から除去するための別の方法を提供する。本方法は、工程(a):以下(i)核酸リガーゼ、(ii)ヌクレアーゼ、(iii)3’部分および5’部分を有する下流オリゴヌクレオチド(その5’部分が5’認識基および5’末端ヌクレオチドを含む)、および(iv)テンプレート核酸、を含む混合物を形成する工程、を包含する。その核酸リガーゼ、およびヌクレアーゼは、同じまたは別個の酵素複合体である。本方法はまた、工程(b):ヌクレアーゼを用いて、下流オリゴヌクレオチドの5’部分を消化する工程、および工程(c):リガーゼを用いて、消化された下流オリゴヌクレオチドを上流オリゴヌクレオチドへ連結する工程(その連結工程がポリヌクレオチド生成物を形成する)を包含する。その方法は、工程(d):その混合物と5’認識基に結合する結合基を含む基質とを接触させ、組み込まれていない下流オリゴヌクレオチドを反応混合物から除去する工程、をさらに包含する。本方法は、本明細書中において、以降は「5’認識基法」と呼ばれる。
【0097】
5’認識基法の特定の実施形態において、下流オリゴヌクレオチドの5’末端ヌクレオチドは、未消化下流オリゴヌクレオチドのライゲーションを防止する結合基で改変される。特定の実施形態において、結合基は、5−メルカプト、5’−アミノ、5’−二リン酸、5’−三リン酸、または5’−デオキシヌクレオチドである。
【0098】
特定の実施形態において、結合基は5’認識基を含む。1つの特定の実施形態において、下流オリゴヌクレオチドは、5’認識基が除去されない限り、連結され得ない。
【0099】
5’認識基法の1つの特定の実施形態において、ヌクレアーゼは5’→3’エキソヌクレアーゼである。1つの特定の実施形態において、5’→3’エキソヌクレアーゼは、優先的に1本鎖DNAを消化する。そのようなエキソヌクレアーゼの1つは、New England Biolabsから入手可能であるRecJである。
【0100】
5’認識基法の別の特定の実施形態において、ヌクレアーゼは活性化工程が適用されるまでは不活性である。
【0101】
5’認識基法の別の特定の実施形態において、5’末端ヌクレオチドは5’認識基の全てまたは一部を含む。別の特定の実施形態において、内部ヌクレオチドは5’認識基の全てまたは一部を含む。
【0102】
5’認識基法の1つの特定の実施形態において、下流オリゴヌクレオチドの5’部分はテンプレートと非相補的である。「非相補的」により、5’部分がテンプレートに対してヌクレオチド配列が完全には相補的でないことが意味される。5’部分はテンプレートに対する1塩基のミスマッチを有し得るかもしくはテンプレートに対して相補的な、連続したヌクレオチドを有さないことが有り得るか、またはテンプレートに対して中間相補性の配列を有し得る。5’部分がテンプレートに対して非相補的である場合、下流オリゴヌクレオチドの3’部分は、一般にテンプレートに対して5’部分よりも相補的である。3’部分は一般にテンプレートに対して完全に相補的であるが、その反応条件下で下流オリゴヌクレオチドがそのテンプレートにハイブリダイズし、そして別のハイブリダイズしたオリゴヌクレオチドへ連結するためにリガーゼの基質として働き得る、そのテンプレートに対して十分に相補的な任意の配列を有し得る。
【0103】
5’認識基法の1つの実施形態において、下流オリゴヌクレオチドの5’部分に含まれる全てのヌクレオシドは、ヌクレアーゼによる加水分解に耐性のある結合により連結される。この場合において、ヌクレアーゼがその下流オリゴヌクレオチドを切断する場合、それは通常、その下流オリゴヌクレオチドの5’部分全体を切断する。ヌクレアーゼ耐性のある結合としては、メチルホスホネート結合およびホスホロチオネート結合が挙げられる。
【0104】
5’認識基法の別の実施形態において、下流オリゴヌクレオチドの5’部分に含まれる全てのヌクレオシドはホスホジエステル結合によって結合され、下流オリゴヌクレオチドの3’部分は加水分解に耐性のある結合を含む。例えば、加水分解に耐性のある結合は、メチルホスホネート結合またはホスホロチオネート結合であり得る。この実施形態では、5’→3’エキソヌクレアーゼは、加水分解に耐性のある結合で消化を停止させて、隣接するヌクレオチド上に5’末端リン酸を残す傾向がある。したがって、この結合は消化の所望の終点に配置され得る。
【0105】
5’認識基法の1つの実施形態において、下流オリゴヌクレオチドの5’部分はLヌクレオチドからなる。
【0106】
本発明の方法におけるテンプレート核酸はDNAまたはRNAであり得る。
【0107】
5’認識基法の1つの実施形態において、結合基を含む基質は、サイズ排除クロマトグラフィー樹脂であり、その混合物はその樹脂を通される。この方法は、5’認識基を含む未反応オリゴヌクレオチドが除去されると同時に、未反応のヌクレオチドのような小分子の除去を可能にする。本明細書中で使用される場合、「樹脂」は、デキストラン、ポリアクリルアミド、アガロース等、およびそれらの混合物のような、天然ポリマーおよび合成ポリマーの両方を指す。
【0108】
5’認識基法の別の特定の実施形態において、下流オリゴヌクレオチドの5’部分はLヌクレオチドから成る、これは、ヌクレオチドがL型立体配置であることを意味する。L核酸は一般的にリガーゼによって認識されない、したがって、5’部分がLヌクレオチドからなる下流オリゴヌクレオチドは通常、その5’部分が除去されない限りリガーゼによってその5’部分に連結され得ない。5’認識基法の別の特定の実施形態において、下流オリゴヌクレオチドの5’部分はペプチド核酸である。
【0109】
5’認識基法の別の実施形態において、下流オリゴヌクレオチドは、改変ヌクレオチド3’→5’認識基を含み、ヌクレアーゼはその改変ヌクレオチドで下流オリゴヌクレオチドを切断する。1つの実施形態において、ヌクレアーゼは、改変ヌクレオチドが2重鎖中に存在する場合に、それが2重鎖中にない場合よりも優先的に改変ヌクレオチドで上流オリゴヌクレオチドを切断する。
【0110】
ヌクレアーゼが改変ヌクレオチドで、それが2重鎖中に存在する場合に、より優先的に切断する場合の1つの実施形態において、改変ヌクレオチドはリボヌクレオチドであり、ヌクレアーゼはRNAse Hである。
【0111】
5’認識基法で、ヌクレアーゼが改変ヌクレオチドで、それが2重鎖中に存在する場合に、より優先的に切断する場合の1つの実施形態において、改変ヌクレオチドは、8−オキソ−7,8−ジヒドロ−2’−デオキシグアノシン;7−メチルグアニン;2,6−ジアミノ−4−ヒドロキシ−5−N−メチルホルムアミドピリミジン;4,6−ジアミノ−5−ホルムアミドピリミジン;5−ヒドロキシ−2’−デオキシシチジン;5−ヒドロキシ−2’−デオキシウリジン;またはN−メチルグアニンであるかまたはそれらを含み;そしてヌクレアーゼはホルムアミド−ピリミジン−DNAグリコシダーゼである。
【0112】
5’認識基法で、ヌクレアーゼが改変ヌクレオチドで、それが2重鎖中に存在する場合に、より優先的に切断する場合の別の実施形態において、改変ヌクレオチドは8−ヒドロキシグアニンを含み、ヌクレアーゼは8−ヒドロキシグアニンエンドヌクレアーゼまたはN−メチルプリンDNAグリコシダーゼである。
【0113】
5’認識基法で、ヌクレアーゼが改変ヌクレオチドを、それが2重鎖中に存在する場合に、より優先的に切断する場合の別の特定の実施形態において、改変ヌクレオチドは7,8−ジヒドロー8−オキソグアニン;ホルムアミドピリミジン;2,6−ジアミノ−4−ヒドロキシ−5−ホルムアミドピリミジン;または8−オキソグアニンを含み、そしてヌクレアーゼは8−オキソグアニン−DNAグリコシラーゼである。
【0114】
5’認識基法で、ヌクレアーゼが改変ヌクレオチドで、それが2重鎖中に存在する場合に、より優先的に切断する場合の別の特定の実施形態において、改変ヌクレオチドはAPヌクレオチドである。改変ヌクレオチドがAPヌクレオチドである場合の特定の実施形態において、ヌクレアーゼはリアーゼ活性を有するDNAグリコシラーゼである。
【0115】
ヌクレアーゼは時に、遊離5’−OHを残し、これはライゲーションの基質ではあり得ない。したがって、この5’−OHにリン酸を1つ付加するために、その混合物に5’キナーゼを含めることは、時に必要である。特定の実施形態において、その混合物は5’キナーゼをさらに含む。
【0116】
5’認識基法の特定の実施形態において、下流オリゴヌクレオチドは、改変ヌクレオチド3’→5’認識基を含み、ヌクレアーゼはその改変ヌクレオチドで下流オリゴヌクレオチドを切断して5’末端APヌクレオチドを残し、その混合物はデオキシリボホスホジエステラーゼ(dRpase)をさらに含む。「dRpase」は、本明細書では5’末端APヌクレオチドを除去する酵素として定義される。一例として、E.coli RecJタンパク質(Friedberg,E.C.;Walker,G.C.およびSiede,W.1995.DNA Repair and Mutagenesis.Washington,D.C.:ASM Press)がある。
【0117】
5’認識基法の特定の実施形態において、下流オリゴヌクレオチドの3’部分は5’認識基とは異なる3’認識基を含む。反応後、所望の生成物は3’認識基を含むが、5’認識基を含まない。他方、未消化下流オリゴヌクレオチドは両方の認識基を含む。したがって、反応混合物を5’認識基に結合する結合基を含む基質に接触させる工程は、未消化下流オリゴヌクレオチドを除去する。その混合物が3’認識基に結合する結合基を含む基質に接触される場合、所望の生成物は反応混合物から除去される。したがって、5’認識基法の別の特定の実施形態は、下流オリゴヌクレオチドの3’部分が、5’認識基と異なる3’認識基を含む方法である。この実施形態において、その方法は、(その混合物を5’認識基に結合する結合基を含む基質に接触させる工程の後)その混合物を3’認識基に結合する結合基を含む基質に接触させる工程をさらに包含し得る。
【0118】
(認識/結合基)
認識基はヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドに付加され得る、または当該分野で公知の技術により、合成可能な任意の部分においてオリゴヌクレオチドに組み込まれ得る。結合基もまた、合成可能な任意の部分において担体に付加され得る。例えば、適切な試薬と反応条件が、Advanced Organic Chemistry,パートB:Reactions and Synthesis,第2版,CaryおよびSundberg(1983);Advanced Organic Chemistry,Reactions,Mechanisms,and Structure,第2版,March(1977);Protecting Groups in Organic Synthesis,第2版,Greene,T.W.およびWutz,P.G.M.,John Wiley&Sons,New York;ならびにComprehensive Organic Transformations,Larock,R.C.,第2版,John Wiley&Sons,New York(1999)などで開示されている。標識試薬および予め標識されたヌクレオチドはまた、Applied Biosystems Corp,Foster City,California;Glen Research Corp.,Sterling,Virginia;およびProlinx,Inc.,Redmond,Washingtonのような民間の業者からも入手可能である。認識基、または認識基が標識されたヌクレオチドは、オリゴヌクレオチド合成装置により、オリゴヌクレオチドに組み込まれたヌクレオチド単位の1つとしてオリゴヌクレオチドに組み込まれ得る。
【0119】
結合基が付加された担体は、多くの民間業者から入手可能である。例えば、ストレプトアビジンでコーティングされた磁性ビーズは、Dynal,Oslo,Norwayから入手可能である。サリチルヒドロキサム酸およびフェニルボロン酸基を組み込んだ担体は、Prolinx,Redmond,Washingtonから入手可能である。ニッケル−NTA錯体でコーティングされた磁性アガロースビーズはQiagenから入手可能である。
【0120】
適切な認識基で標識されたヌクレオチドには、下に示すように、6−FAMTM−dU(Applied Biosystems)およびビオチン−dUが挙げられる。
【0121】
【化4】

【0122】
【化5】

ヌクレオチドに付加できる状態にある別の適切な認識基は、N−ヒドロキシスクシンイミド−テトラメチルローダミン(NHS−TAMRA)(Applied Biosystems)である。N−ヒドロキシスクシンイミドエステル化認識基は、付加物を形成するように、アミノ基と反応する。したがってTAMRA−NHSエステルは、オリゴヌクレオチドの3’末端ヌクレオチドへ認識基を付加するように、3’アミノオリゴヌクレオチドと反応し得る。
【0123】
【化6】

【実施例】
【0124】
本発明がより容易に理解され得るために、本発明を説明することが意図された以下の実施例が参照される。しかし発明はこれらの範囲に限定されない。
【0125】
(実施例1)
100μlのPCR反応を、PCR緩衝液(Applied Biosystems)、各dNTP 200μM、各プライマー0.25μM、酵素2.5単位、およびファージラムダDNA 25ngを含む0.2ml MICROAMPチューブ内で実行した。反応液を95℃で10分間加熱し、その後94℃、15秒間および68℃、1分間の30サイクルの温度サイクルに供し、その後、最後のサイクルを72℃、7分間の伸長と4℃での最終保持にて行った。反応を非プルーフリーディング酵素(AMPLITAQ,Applied Biosystems)、またはプルーフリーディングポリメラーゼ(PFU TURBO,Stratagene)を用いて行った。全ての反応は、TAMRA−PC02を逆方向プライマーとして使用した。ミスマッチ#1のための順方向プライマーはF−PC01−BdTであった。ここで2つの3’末端ヌクレオチド、ビオチン−dTおよびC、はミスマッチである。ミスマッチ#2のための順方向プライマーはPC01−FAMであった、ここで、2つの3’末端ヌクレオチド、Cおよび3’−フルオレセインdT CPG、はミスマッチである。マッチ#1のための逆方向プライマーはF−PC01であった。プライマー配列は、3’末端を右にして、以下に示されている。
【0126】
【化7】

予測された生成物は500bpであった。ゲル電気泳動は、非プルーフリーディング酵素が、マッチしたプライマーを用いて予測される生成物を生成することができたこと、しかしいずれのミスマッチされたプライマーを用いてもできなかったこと、を明らかにした。プルーフリーディング酵素は、対照的に、マッチした、およびミスマッチした逆方向プライマーの両方を用いて、期待される生成物をよい収量で生成した(データは示されていない)。
【0127】
(実施例2)
100μlのPCR反応を、2mM MgSO、各dNTP 200μM、各プライマー0.25μM、PFU TURBOポリメラーゼ2.5単位、およびラムダDNA 25ngにおいて、PCR緩衝液を含む0.2ml MICROAMPチューブ内で実行した。温度サイクルプログラムは、例1と同様である。生成物反応混合物1μlを、GS STR POP4(C)ランモジュール、1秒注入、7.5kV/注入、15kV/ラン、60℃、30分間を利用して、ABI310 Genetic Analyzer(Applied Biosystems)を用いて解析した。
【0128】
生成物反応混合物の一部を、組み込まれていないビオチン化プライマーを除去するため、磁性ストレプトアビジン−コーティングビーズ(Dynal,Oslo,Norway)に接触させた。磁性ストレプトアビジン−コーティングビーズに接触する前後の反応混合物のサンプルを、電気泳動および蛍光検出により解析した。これらの実験は、そのビーズが、組み込まれていないTAMRA標識されたプライマーを除去することも、TAMRAおよびFAM標識を有するがビオチンを有さない生成物を除去することもなしに、組み込まれていないビオチン化プライマーを除去することを示した。
【0129】
(参考文献)
【0130】
【化8】



本明細書中で引用された全ての参考文献は、本明細書中に参考として援用される。
【配列表】



【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応混合物から組み込まれていないオリゴヌクレオチドを除去する方法であって、該方法は、以下:
(a)以下:
(i) DNAポリメラーゼまたは核酸リガーゼ;
(ii) ヌクレアーゼ;
(iii) 3’部分および5’部分を有する上流オリゴヌクレオチドであって、該3’部分は3’認識基および3’末端ヌクレオチドを含む、オリゴヌクレオチド;および
(iv) テンプレート核酸;
を含む混合物を形成する工程であって、ここで(i)および(ii)は同じかまたは別個の酵素の複合体である、工程;
(b)該ヌクレアーゼを用いて、該上流オリゴヌクレオチドの該3’部分を消化する工程;
(c)該ポリメラーゼを用いて、該消化された上流オリゴヌクレオチドを伸長させる工程、または該リガーゼを用いて、該消化された上流オリゴヌクレオチドを下流オリゴヌクレオチドへ連結させる工程であって、該伸長工程または該連結工程がポリヌクレオチド生成物を形成する、工程;ならびに
(d)組み込まれていない上流オリゴヌクレオチドを該反応混合物から除去するために、該混合物と該3’認識基に結合する結合基を含む基質とを接触させる工程、
を包含する、方法。
【請求項2】
前記(i)がDNAポリメラーゼであり、工程(c)は、前記ポリヌクレオチド生成物を形成するために、該ポリメラーゼを用いて、前記消化された上流オリゴヌクレオチドを伸長させる工程である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、ここで前記混合物が、3’部分および5’部分を有するプライマーをさらに含み、ここで、該3’部分は3’認識基および3’末端ヌクレオチドを含み;そして、前記上流オリゴヌクレオチドおよび該プライマーが同じ3’認識基を含み、前記テンプレート核酸は2本鎖であり、該上流オリゴヌクレオチドおよび該プライマーは、該テンプレート核酸の反対鎖にハイブリダイズし;ここで該方法は、以下:
前記ヌクレアーゼを用いて、該プライマーの3’部分を消化する工程;
ポリヌクレオチド生成物の生成のために、前記ポリメラーゼを用いて、該消化されたプライマーを伸長させる工程;ならびに、
組み込まれていないプライマーを該反応混合物から除去するために、該混合物と該3’認識基に結合する結合基を含む基質とを接触させる工程、
をさらに包含する、方法。
【請求項4】
請求項2に記載の方法であって、ここで前記混合物が、3’部分および5’部分を有するプライマーをさらに含み、ここで、該3’部分は3’認識基および3’末端ヌクレオチドを含み;そして、前記上流オリゴヌクレオチドおよび該プライマーが異なる3’認識基を含み、前記テンプレート核酸は2本鎖であり、該上流オリゴヌクレオチドおよび該プライマーは、該テンプレート核酸の反対鎖にハイブリダイズし;ここで該方法は、以下:
前記ヌクレアーゼを用いて、該プライマーの3’部分を消化する工程;
ポリヌクレオチド生成物の生成のために、前記ポリメラーゼを用いて、該消化されたプライマーを伸長させる工程;ならびに、
組み込まれていないプライマーを該反応混合物から除去するために、該混合物と該プライマーの該3’認識基に結合する結合基を含む基質とを接触させる工程、
をさらに包含する、方法。
【請求項5】
前記混合物が、3’認識基を含まないプライマーをさらに含み、前記テンプレート核酸は2本鎖であり、前記上流オリゴヌクレオチドおよび該プライマーが該テンプレート核酸の反対鎖にハイブリダイズする、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記ポリメラーゼがDNA依存性DNAポリメラーゼである、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記ポリメラーゼが逆転写酵素である、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記混合物が、DNA依存性DNAポリメラーゼをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記逆転写酵素およびDNA依存性DNAポリメラーゼが同じ酵素複合体である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記酵素複合体が、Anaerocellum thermophilumDNAポリメラーゼ、Bacillus pallidus DNAポリメラーゼ、Bacillus stearothermophilus DNAポリメラーゼ、Carboxydothermus hydrogenoformans DNAポリメラーゼ、Thermoactinomyces vulgaris DNAポリメラーゼ、Thermoanaerobacter thermohydrosulfuricus DNAポリメラーゼ、Thermosipho africanus DNAポリメラーゼ、Thermotoganeapolitana DNAポリメラーゼ、Thermus aquaticus DNAポリメラーゼ、Thermus thermophilus DNAポリメラーゼ、またはThermus ZO5 DNAポリメラーゼである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記DNAポリメラーゼおよびヌクレアーゼが同じ酵素複合体である、請求項2に記載の方法。
【請求項12】
前記ヌクレアーゼが3’→5’エキソヌクレアーゼである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記酵素複合体が、Pyrococcus furiosusポリメラーゼTHERMALACE、DEEP VENT DNAポリメラーゼ(Pyrococcus sp.GB−D)、VENT DNAポリメラーゼ(Thermococcus litoralis)、Bacillus stearothermophilus DNAポリメラーゼ、9TM DNAポリメラーゼ(Thermococcus sp.9N−7株)、ACUPOL DNAポリメラーゼ、PROOFSTART DNAポリメラーゼ(Pyrococcus sp.)、Pyrococcus woesei DNAポリメラーゼ、Thermococcus gorgonarius DNAポリメラーゼ、AMPLITHERM DNAポリメラーゼ、KOD DNAポリメラーゼ(Pyrococcus kodakarensis)、Thermococcus fumicolans DNAポリメラーゼ、DYNAZYME EXT DNAポリメラーゼ(Thermus brockaianus)、Thermosipho africanus DNAポリメラーゼ、Pyrodictium occultum DNAポリメラーゼ、Pyrococcus kodakarensis DNAポリメラーゼ、Thermotoga maritima DNAポリメラーゼ、Thermotoga neapolitana DNAポリメラーゼ、Bacillus pallidus DNAポリメラーゼ、Carboxydothermus hydrogenoformans DNAポリメラーゼ、Pyrococcus furiosus DNAポリメラーゼ、Pyrococcus sp.GB−D DNAポリメラーゼ、Thermococcus litoralis DNAポリメラーゼ、Thermococcus sp.9N−7株DNAポリメラーゼ、またはThermus brockaianus DNAポリメラーゼである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記DNAポリメラーゼおよびヌクレアーゼが別個の酵素複合体である、請求項2に記載の方法。
【請求項15】
前記ポリメラーゼが、Thermus aquaticus DNAポリメラーゼ、Thermus thermophilus DNAポリメラーゼ、ZO5 DNAポリメラーゼ(Thermus sp.ZO5)、SPS17 DNAポリメラーゼ(Thermus sp.SPS17)、Thermoactinomyces vulgaris DNAポリメラーゼ、Thermoanaerobacter thermohydrosulfuricus DNAポリメラーゼ、Anaerocellum thermophilum DNAポリメラーゼ、または、FY7 DNAポリメラーゼ(Thermoanaerobacter thermohydrosulfuricus FY7)である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記ヌクレアーゼが、ポリメラーゼ活性が失われた、3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を有する変異体ポリメラーゼである、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記ヌクレアーゼが、Pyrococcus furiosusポリメラーゼ THERMALACE、DEEP VENT DNAポリメラーゼ(Pyrococcus sp.GB−D)、VENT DNAポリメラーゼ(Thermococcus litoralis)、Bacillus stearothermophilus DNAポリメラーゼ、9TMDNAポリメラーゼ、(Thermococcus sp.9N−7株)、ACUPOL DNAポリメラーゼ、PROOFSTART DNAポリメラーゼ(Pyrococcus sp.)、Pyrococcus woesei DNAポリメラーゼ、Thermococcus gorgonarius DNAポリメラーゼ、AMPLITHERM DNAポリメラーゼ、KOD DNAポリメラーゼ(Pyrococcus kodakarensis)、Thermococcus fumicolans DNAポリメラーゼ、DYNAZYME EXT DNAポリメラーゼ(Thermus brockaianus),Thermosipho africanus DNAポリメラーゼ、Pyrodictium occultum DNAポリメラーゼ、Pyrococcus kodakarensis DNAポリメラーゼ、Thermotoga maritima DNAポリメラーゼ、Thermotoga neapolitana DNAポリメラーゼ、Bacillus pallidus DNAポリメラーゼ、Carboxydothermus hydrogenoformans DNAポリメラーゼ、 Pyrococcus furiosus DNAポリメラーゼ、 Pyrococcus sp.GB−D DNAポリメラーゼ、Thermococcus litoralis DNAポリメラーゼ、Thermococcus sp.9N−7株DNAポリメラーゼ、または、Thermus brockaianus DNAポリメラーゼの変異体である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ポリメラーゼが、3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を有する野生型ポリメラーゼの変異体形態であり、ここで、該変異体形態はエキソヌクレアーゼ活性が失われている、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記ポリメラーゼが、Pyrococcus furiosus ポリメラーゼ THERMALACE、DEEP VENT DNAポリメラーゼ(Pyrococcus sp.GB−D)、VENT DNAポリメラーゼ(Thermococcus litoralis)、Bacillus stearothermophilus DNAポリメラーゼ9TM DNAポリメラーゼ(Thermococcus sp.9N−7株)、ACUPOL DNAポリメラーゼ、 PROOFSTART DNAポリメラーゼ(Pyrococcus sp.)、Pyrococcus woesei DNAポリメラーゼ、Thermococcus gorgonarius DNAポリメラーゼ、AMPLITHERM DNAポリメラーゼ、KOD DNAポリメラーゼ(Pyrococcus kodakarensis)、Thermococcus fumicolans DNAポリメラーゼ、 DYNAZYME EXT DNAポリメラーゼ(Thermus brockaianus)、Thermosipho africanus DNAポリメラーゼ、Pyrodictium occultum DNAポリメラーゼ、Pyrococcus kodakarensis DNAポリメラーゼ、Thermotoga maritima DNAポリメラーゼ、Thermotoga neapolitana DNAポリメラーゼ、Bacillus pallidus DNAポリメラーゼ、Carboxydothermus hydrogenoformans DNAポリメラーゼ、Pyrococcus furiosus DNAポリメラーゼ、Pyrococcus sp.GB−D DNAポリメラーゼ、Thermococcus litoralis DNAポリメラーゼ、Thermococcus sp.9N−7株DNAポリメラーゼ、または、Thermus brockaianus DNAポリメラーゼの変異体形態である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記混合物が、様々な量の3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を有するDNAポリメラーゼを、2種類またはそれ以上含む、請求項2に記載の方法。
【請求項21】
前記ヌクレアーゼが、活性化工程が適用されるまでは不活性である、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記ヌクレアーゼが、PROOFSTART DNAポリメラーゼである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記(i)が核酸リガーゼであり、工程(c)は、前記ポリヌクレオチド生成物を形成するために、該リガーゼを用いて、前記消化された上流オリゴヌクレオチドを下流オリゴヌクレオチドへ連結する工程である、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記上流オリゴヌクレオチドの3’末端ヌクレオチドが、前記未消化上流オリゴヌクレオチドの伸長またはライゲーションを防止するブロック基で改変されている、請求項2または23に記載の方法。
【請求項25】
前記ブロック基が、3’−デオキシヌクレオチドである、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記ブロック基が、3’−ホスホグリコアルデヒド、3’−リン酸、3’−メルカプト、または3’−アミノである、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記ブロック基が、3’認識基を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
前記上流オリゴヌクレオチドが、前記3’認識基を除去しない限り伸長または連結され得ない方法である、請求項2または23に記載の方法。
【請求項29】
前記ヌクレアーゼが3’→5’エキソヌクレアーゼである、請求項1に記載の方法。
【請求項30】
前記3’末端ヌクレオチドが前記3’認識基の全てまたは一部を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項31】
前記上流オリゴヌクレオチドの内部ヌクレオチドが、前記3’認識基の全てまたは一部を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項32】
前記上流オリゴヌクレオチドの3’部分が前記テンプレートと相補的ではない、請求項1に記載の方法。
【請求項33】
前記上流オリゴヌクレオチドの3’部分内の全てのヌクレオシドが、前記ヌクレアーゼによる加水分解に耐性がある結合により連結される、請求項1に記載の方法。
【請求項34】
前記結合が、メチルホスホネート結合である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記結合が、ホスホロチオネート結合である、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記上流オリゴヌクレオチドの3’部分内の全てのヌクレオシドが、ホスホジエステル結合により連結されており、そして前記上流オリゴヌクレオチドの5’部分が、加水分解に耐性がある結合を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項37】
前記加水分解に耐性のある結合が、メチルホスホネート結合、またはホスホロチオネート結合である、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記上流オリゴヌクレオチドの3’部分がLヌクレオチドから構成されている、請求項1に記載の方法。
【請求項39】
前記テンプレート核酸がDNAである、請求項1に記載の方法。
【請求項40】
前記テンプレート核酸がRNAである、請求項1に記載の方法。
【請求項41】
前記基質が、サイズ排除クロマトグラフィー樹脂である、請求項1に記載の方法。
【請求項42】
前記認識基が抗体により認識される基であり、前記結合基が抗体である、請求項1に記載の方法。
【請求項43】
前記認識基がジゴキシゲニンである、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記認識基がフルオレセインである、請求項42に記載の方法。
【請求項45】
前記認識基がビオチンである、請求項42に記載の方法。
【請求項46】
前記認識基がビオチンであり、前記結合基がアビジンまたはストレプトアビジンである、請求項1に記載の方法。
【請求項47】
前記認識基がフェニルボロン酸を含み、前記結合基がサリチルヒドロキサム酸を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項48】
前記認識基がサリチルヒドロキサム酸を含み、前記結合基がフェニルボロン酸を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項49】
前記認識基がポリヒスチジンであり、前記結合基がニッケルカチオンである、請求項1に記載の方法。
【請求項50】
前記認識基が前記上流オリゴヌクレオチドのヌクレオチド配列であり、前記結合基が相補的なヌクレオチド配列である、請求項1に記載の方法。
【請求項51】
前記上流オリゴヌクレオチドが、前記3’認識基に対して5’側に改変ヌクレオチドを含み、前記ヌクレアーゼが、該上流オリゴヌクレオチドを該改変ヌクレオチドで切断する、請求項1に記載の方法。
【請求項52】
前記改変ヌクレオチドが2重鎖中に存在する場合に、2重鎖中にない場合よりも優先して、前記ヌクレアーゼが、前記上流オリゴヌクレオチドを該改変ヌクレオチドで切断する、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記改変ヌクレオチドがリボヌクレオチドであり、前記ヌクレアーゼがRNAse Hである、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記RNAse Hが、Thermus thermophilus DNAポリメラーゼ、Thermus thermophilus RNAse H、ヒトRNAse H、またはE.coli RNAse Hである、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記改変ヌクレオチドが、8オキソ−7,8−ジヒドロ−2’−デオキシグアノジン;7−メチルグアニン;2,6−ジアミノ−4−ヒドロキシ−5−N−メチルホルムアミドピリミジン;4,6−ジアミノ−5−ホルムアミドピリミジン;5−ヒドロキシ−2’−デオキシシチジン;5−ヒドロキシ−2’−デオキシウリジン;または、N−メチルグアニンを含み;そして
前記ヌクレアーゼが、ホルムアミドピリミジン−DNAグリコシラーゼであり;そして
前記混合物が、3’ホスファターゼをさらに含む、請求項52に記載の方法。
【請求項56】
前記改変ヌクレオチドが、7,8−ジヒドロ−8−オキソグアニン;ホルムアミドピリミジン;2,6−ジアミノ−4−ヒドロキシ−5−ホルムアミドピリミジン;または、8−オキソグアニンを含み;そして
前記ヌクレアーゼが、8−オキソグアニンDNAグリコシラーゼであり;そして
前記混合物が、APエンドヌクレアーゼをさらに含む、請求項52に記載の方法。
【請求項57】
前記改変ヌクレオチドが、5,6−ジヒドロチミン;6−ヒドロキシ−5,6−ジヒドロチミン;シス−チミングリコール;トランス−チミングリコール;5−ヒドロキシ−5−メチルヒダントイン;メチルタルトニル尿素;尿素;5−ヒドロキシシトシン;5−ヒドロキシウラシル;ウラシルグリコール;ジヒドロウラシル;6−ヒドロキシウラシル;グリコール;β−ウレイドイソ酪酸;5−ヒドロキシ−6−ヒドロチミン;5,6−ジヒドロウラシル;5−ヒドロキシ−6−ヒドロウラシル;5−ヒドロキシ−2’−デオキシシチジン;5−ヒドロキシ−2’−デオキシウリジンを含み;そして
前記ヌクレアーゼが、エンドヌクレアーゼIII、またはチミングリコールDNAグリコシラーゼであり;そして
前記混合物が、APエンドヌクレアーゼをさらに含む、請求項52に記載の方法。
【請求項58】
前記改変ヌクレオチドが、APヌクレオチドであり、前記ヌクレアーゼが、APエンドヌクレアーゼである、請求項52に記載の方法。
【請求項59】
前記混合物が、3’ホスファターゼをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項60】
前記3’ホスファターゼがエキソヌクレアーゼIII、エキソヌクレアーゼIV、または、酵母APエンドヌクレアーゼである、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記上流オリゴヌクレオチドの5’部分が、前記3’認識基とは異なる5’認識基を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項62】
請求項61に記載の方法であって、以下の工程(e):前記混合物と前記5’認識基に結合する結合基を含む基質とを接触させる工程、をさらに包含する、方法。
【請求項63】
反応混合物から組み込まれていないオリゴヌクレオチドを除去する方法であって、該方法は、以下:
(a)以下:
(i) 核酸リガーゼ;
(ii) ヌクレアーゼ;
(iii) 3’部分および5’部分を有する下流オリゴヌクレオチドであって、該5’部分は5’認識基および5’末端ヌクレオチドを含む、オリゴヌクレオチド;および
(iv) テンプレート核酸;
を含む混合物を形成する工程であって、ここで(i)および(ii)は同じかまたは別個の酵素の複合体である、工程;
(b)該ヌクレアーゼを用いて、該下流オリゴヌクレオチドの該5’部分を消化する工程;
(c)該リガーゼを用いて、該消化された下流オリゴヌクレオチドを上流オリゴヌクレオチドへ連結させる工程であって、該連結工程がポリヌクレオチド生成物を形成する、工程;ならびに
(d)組み込まれていない下流オリゴヌクレオチドを該反応混合物から除去するために、該混合物と該5’認識基に結合する結合基を含む基質とを接触させる工程、
を包含する、方法。
【請求項64】
前記下流オリゴヌクレオチドの5’末端ヌクレオチドが、前記未消化下流オリゴヌクレオチドのライゲーションを防止するブロック基で改変されている、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記ブロック基が、5’−メルカプト、5’−アミノ、5’−ジホスフェート、5’−トリホスフェート、または5’−デオキシヌクレオチドである、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記ブロック基が、5’認識基を含む請求項64に記載の方法。
【請求項67】
前記下流オリゴヌクレオチドが、前記5’認識基を除去しない限り連結され得ない方法である、請求項63に記載の方法。
【請求項68】
前記ヌクレアーゼが5’→3’エキソヌクレアーゼである、請求項63に記載の方法。
【請求項69】
前記ヌクレアーゼがRecJである、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記ヌクレアーゼが、活性化工程が適用されるまでは不活性である、請求項63に記載の方法。
【請求項71】
前記5’末端ヌクレオチドが前記5’認識基の全てまたは一部を含む、請求項63に記載の方法。
【請求項72】
前記下流オリゴヌクレオチドの内部ヌクレオチドが、前記5’認識基の全てまたは一部を含む、請求項63に記載の方法。
【請求項73】
前記下流オリゴヌクレオチドの5’部分が前記テンプレートと相補的ではない、請求項63に記載の方法。
【請求項74】
前記下流オリゴヌクレオチドの5’部分内の全てのヌクレオシドが、前記ヌクレアーゼによる加水分解に耐性がある結合により連結される、請求項63に記載の方法。
【請求項75】
前記結合が、メチルホスホネート結合である、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
前記結合が、ホスホロチオネート結合である、請求項74に記載の方法。
【請求項77】
前記下流オリゴヌクレオチドの5’部分内の全てのヌクレオシドが、ホスホジエステル結合により連結されており、前記上流オリゴヌクレオチドの3’部分が、加水分解に耐性がある結合を含む、請求項63に記載の方法。
【請求項78】
前記加水分解に耐性のある結合が、メチルホスホネート結合、またはホスホロチオネート結合である、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
前記下流オリゴヌクレオチドの5’部分がLヌクレオチドから成る、請求項63に記載の方法。
【請求項80】
前記テンプレート核酸がDNAである、請求項63に記載の方法。
【請求項81】
前記テンプレート核酸がRNAである、請求項63に記載の方法。
【請求項82】
前記基質が、サイズ排除クロマトグラフィー樹脂である、請求項63に記載の方法。
【請求項83】
前記認識基が抗体により認識される基であり、前記結合基が該抗体である、請求項63に記載の方法。
【請求項84】
前記認識基がジゴキシゲニンである、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
前記認識基がフルオレセインである、請求項83に記載の方法。
【請求項86】
前記認識基がビオチンである、請求項83に記載の方法。
【請求項87】
前記認識基がビオチンであり、前記結合基がアビジンまたはストレプトアビジンである、請求項63に記載の方法。
【請求項88】
前記認識基がフェニルボロン酸を含み、前記結合基がサリチルヒドロキサム酸を含む、請求項63に記載の方法。
【請求項89】
前記認識基がサリチルヒドロキサム酸を含み、前記結合基がフェニルボロン酸を含む、請求項63に記載の方法。
【請求項90】
前記認識基がポリヒスチジンであり、前記結合基がニッケルカチオン−キレート錯体である、請求項63に記載の方法。
【請求項91】
前記認識基が前記下流オリゴヌクレオチドのヌクレオチド配列であり、前記結合基が相補的なヌクレオチド配列である、請求項63に記載の方法。
【請求項92】
前記下流オリゴヌクレオチドが、前記5’認識基に対して3’側に改変ヌクレオチドを含み、前記ヌクレアーゼが、該下流オリゴヌクレオチドを該改変ヌクレオチドで切断する、請求項63に記載の方法。
【請求項93】
前記改変ヌクレオチドが2重鎖中に存在する場合に、2重鎖中にない場合よりも優先して、前記ヌクレアーゼが、前記下流オリゴヌクレオチドを該改変ヌクレオチドの部分で切断する、請求項92に記載の方法。
【請求項94】
前記改変ヌクレオチドがリボヌクレオチドであり、前記ヌクレアーゼがRNAse Hである、請求項93に記載の方法。
【請求項95】
前記RNAse Hが、Thermus thermophilus DNAポリメラーゼ、Thermus thermophilus RNAse H、ヒトRNAse H、またはE.coli RNAse Hである、請求項94に記載の方法。
【請求項96】
前記改変ヌクレオチドが、8オキソ−7,8−ジヒドロ−2’−デオキシグアノシン;7−メチルグアニン;2,6−ジアミノ−4−ヒドロキシ−5−N−メチルホルムアミドピリミジン;4,6−ジアミノ−5−ホルムアミドピリミジン;5−ヒドロキシ−2’−デオキシシチジン;5−ヒドロキシ−2’−デオキシウリジン;または、N−メチルグアニンを含み;そして
前記ヌクレアーゼが、ホルムアミドピリミジン−DNAグリコシラーゼである、請求項93に記載の方法。
【請求項97】
前記改変ヌクレオチドが、8−ヒドロキシグアニンを含み、前記ヌクレアーゼが、8−ヒドロキシグアニンエンドヌクレアーゼ、またはN−メチルプリンDNAグリコシラーゼである、請求項93に記載の方法。
【請求項98】
前記改変ヌクレオチドが、7,8−ジヒドロ−8−オキソグアニン;ホルムアミドピリミジン;2,6−ジアミノ−4−ヒドロキシ−5−ホルムアミドピリミジン;または、8−オキソグアニンを含み;そして
前記ヌクレアーゼが、8−オキソグアニン−DNAグリコシラーゼである、請求項93に記載の方法。
【請求項99】
前記改変ヌクレオチドが、APヌクレオチドであり、前記ヌクレアーゼが、リアーゼ活性を有するDNAグリコシラーゼである、請求項93に記載の方法。
【請求項100】
消化工程後に、前記ヌクレアーゼが、5’末端APヌクレオチドを残し、前記混合物が、dRpaseをさらに含む、請求項92に記載の方法。
【請求項101】
前記下流オリゴヌクレオチドの3’部分が、前記5’認識基とは異なる3’認識基を含む、請求項63に記載の方法。
【請求項102】
請求項101に記載の方法であって、工程(d)の後に、以下の工程(e):前記混合物と前記3’認識基に結合する結合基を含む基質とを接触させる工程、をさらに包含する、方法。

【公表番号】特表2006−500011(P2006−500011A)
【公表日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−523344(P2004−523344)
【出願日】平成15年7月20日(2003.7.20)
【国際出願番号】PCT/US2003/023022
【国際公開番号】WO2004/009851
【国際公開日】平成16年1月29日(2004.1.29)
【出願人】(500069057)アプレラ コーポレイション (120)
【住所又は居所原語表記】850 Lincoln Centre Drive Foster City CALIFORNIA 94404 U.S.A.
【Fターム(参考)】