説明

PDPコンテキストを起動する方法

本発明は、例えば移動体電話などの移動体端末(MT)に接続するように構成された例えばラップトップなどの端末装置(TE)によって開始される、移動体端末(MT)を介してPDPコンテキストを起動する方法に関する。従来、移動体端末を介したPDPコンテキストのそのような起動は、端末装置のユーザに対し、極めて特殊な知識を有することを要求していた。極めて特殊な知識とは、例えば、GPRSによって定義された特別な予約番号や、接続先の特別なAPNを特定するための追加の数字(接続ID)などである。本発明は、移動体端末(MT)が端末装置(TE)からの起動トリガーを待ち受けるように構成され、且つ起動トリガーを受信すると起動を実行するように構成されているという点で、そのような起動を実行するユーザフレンドリーな方法を提供する。本発明は更に、移動体端末にも関連する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体端末に接続するように構成された端末装置によって開始される、移動体端末を介してPDPコンテキストを起動する方法であって、移動体端末がパケットベースの無線通信ネットワークに接続するように構成されている方法に関する。本発明は更に、端末装置に接続するように構成され、且つパケットベースの無線通信ネットワークに接続するように構成された移動体端末に関する。
【背景技術】
【0002】
セルラネットワーク以外のデータネットワークにおいては、端末装置をデータネットワークに接続させるための普及している標準は、イーサネット(登録商標)技術によるものである。端末装置における、IPアドレス及び他のパラメータの設定のために使用される通常のメカニズムは、ダイナミック・ホスト・コンフィギュレーション・プロトコル(DHCP)である。ブルートゥース(登録商標)によって相互接続される無線ネットワークにおいては、ブルートゥース(登録商標)のパーソナル・エリア・ネットワーク(PAN)のプロファイル、及びブルートゥース(登録商標)・ネットワーク・エンカプセレーション・プロトコル(BNEP)がイーサネット(登録商標)をエミュレートすることになり、端末装置は、設定のためにDHCPを使用し、且つ接続のためにIPを使用することが可能となる。
【0003】
例えばラップトップや携帯情報端末(PDA)などの端末装置を、例えばインターネットなどのパケット・データ・ネットワークに接続することは、パケットベースの無線通信ネットワーク(例えば、GPRS(汎用パケット無線サービス)ネットワーク)に接続する例えば移動体電話などの移動体端末(MT)の仲介によって達成可能である。
【0004】
現在、端末装置と移動体端末との間の接続は、端末装置が移動体端末へのPPP(ポイント・ツー・ポイント・プロトコル)リンクを起動することにより、達成される。端末装置と移動体端末との間でブルートゥース(登録商標)が使用される場合、シリアル接続及びその接続上でのPPPをエミュレートするために、ダイヤルアップのプロファイルが使用される。
【0005】
移動体端末が接続しようとするパケットベースの無線通信ネットワークがGPRS(汎用パケット無線サービス)ネットワークである場合、端末装置は、例えばインターネットや企業内ネットワークなどのパケット・データ・ネットワーク(PDN)における様々なネットワークポイントに接続できる。
【0006】
セルラネットワークに接続するために移動体端末を使用する目的で端末装置が移動体端末へのPPPリンクを起動する場合、移動体端末は、どのAPN(アクセスポイント名)が対象であり、そして、続いてどのPDP(パケット・データ・プロトコル)が起動するかを、知っていなければならない。現在、これらは、起動するコンテキストに関連する特別な予約番号を端末装置が指定することにより示される。このとき、1つの数字、即ち接続ID(CID)が、予め定義されたAPNのどれか、及び、移動体端末のために起動する対応するPDPコンテキストを指定する。
【0007】
端末装置がCIDを省略しても構わない下位互換モードが知られており、これにより、移動体端末は既定のPDPコンテキストを起動する。
【0008】
従って、端末装置が移動体端末を介してPDNに接続するためには、端末装置がPPPをサポートすることが必要である。更に、移動体端末が例えば企業内LANに接続する場合、端末装置は、デファクトスタンダードであるイーサネット(登録商標)及びDHCPのソリューションもサポートしていなければならない。端末装置は更に、パケットベースの無線通信ネットワークによって定義される特別な予約番号を指定するように構成されていなければならない。これは、エンドユーザの間では、一般的で周知な事実ではない。
【0009】
更に、上述の下位互換モードが不可能な場合、端末装置は、接続先として望まれるAPNに対応するCIDを含まなければならない。CIDに関する知識は、移動体端末において一覧表示されるデータアカウント(data accounts)を読むことにより取得できる。しかしながら、このことによって、エンドユーザは多数のステップを踏むことを要求され、移動体端末は種類ごとに異なるように機能する。それゆえ、このコンセプトは、大部分のユーザにとってあまりにも困難なものとなる。
【0010】
最後に、端末装置は、どのAPNを起動するかに関するユーザ入力を受信可能でなければならない。どのAPNを起動するかを指定する番号(この番号は、移動体端末におけるAPNのリストと同期している)が端末装置に事前に設定されていない限り、エンドユーザは、起動するAPNを選択することに関与しなければならない。それゆえ、端末装置は、この番号に関するエンドユーザからの入力を受信可能でなければならない。端末装置が、極めて限定的な入出力機能しか備えないデバイスである場合、エンドユーザは、この番号を入力することができないであろう。それゆえ、端末装置は、パケットベースの無線通信ネットワークを使用することができない。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の目的は、端末装置によって開始されるPDPコンテキストを移動体端末を介して起動する方法であって、上述の欠点を被らない方法を提供することである。
【0012】
これは、冒頭の段落に記載された発明が以下のステップを含むことを特徴とする場合に達成される。即ち、(a)移動体端末(MT)において、端末装置(TE)からのPDPコンテキストを起動するという要求を示す起動トリガーを、端末装置(TE)から待ち受けるステップと、(b)端末装置(TE)からの起動トリガーを検出すると、移動体端末(MT)において、PDPコンテキストを起動するか否かを決定し、起動する場合、どのPDPコンテキストを起動するかを決定するステップと、(c)PDPコンテキストを起動することが決定された場合、移動体端末(MT)からパケットベースの無線通信ネットワークにおけるサポートノードへPDPコンテキスト起動要求メッセージを送信するステップとを含む。
【0013】
ここで、端末装置(TE)は、パケットベースの無線通信ネットワークに対する端末装置(TE)におけるサポートが何ら要求されること無く、例えばGPRSやUMTSなどのパケットベースの無線通信ネットワークに移動体端末(MT)を介して接続することができる。従って、端末装置(TE)は、パケットベースの無線通信ネットワークに接続するために、標準プロトコル、即ち(例えばブルートゥース(登録商標)のPANプロファイルを使用してエミュレートされた)イーサネット(登録商標)及びDHCPを使用することができる。従って、更に、端末装置は、GPRSがパケット指向であるという理由で有利なことであるが、パケット指向の接続の仲介により、例えばGPRSのようなパケットベースの無線通信ネットワークに接続することができる。従って、APN又は起動するPDPコンテキストに関連する、いかなる予約番号、いかなる特別な電話番号、或いは移動体端末(MT)内に設定されるデータアカウントに関しても、端末装置(TE)のエンドユーザは知っていることを要求されないという点で、そのような接続を得る際の操作性が大幅に向上する。要約すれば、端末装置(TE)は、いかなる専用の設定或いはソフトウェアも無しに、例えばインターネットのようなネットワークアクセスとしてパケットベースの無線通信ネットワークを使用することができる。
【0014】
好適には、起動トリガーは、端末装置(TE)が移動体端末(MT)への接続を生成すること、端末装置(TE)が移動体端末(MT)へDHCP DISCOVERメッセージを送信すること、及び端末装置(TE)がルータ要請を送信することのうちのいずれかを含む。上述の起動トリガーの例は、ユーザの関与を最小限しか要求しないという点で、特にユーザフレンドリーである。端末装置(TE)と移動体端末(MT)との間の接続は、好適には、ブルートゥース(登録商標)のBNEP接続でよい。しかしながら、例えば赤外線、USB、或いはWLANのような他の可能性も考慮できる。
【0015】
好適な実施形態において、本発明の方法のステップ(b)は、PDPコンテキストを起動するか否か、及び(もしあれば)どのPDPコンテキストを起動するかのうちの少なくとも一方に関するユーザ入力のために問い合わせるステップを含む。従って、移動体端末(MT)は、エンドユーザの要求に適合するように構成され得る。移動体端末(MT)は、例えば、特定の端末装置(TE)からトリガーを受信すると既定のPDPコンテキストを自動的に起動するように構成されてもよいし、PDPコンテキストを起動するかそれとも端末装置(TE)からのトリガーを無視するかをユーザに問い合わせるように構成されてもよいし、或いは、可能なPDPコンテキストのリスト中のどのPDPコンテキストを起動するかをユーザに問い合わせるように構成されてもよい。
【0016】
本発明に従う方法の他の好適な実施形態においては、本発明に従う方法のステップ(b)は、予め定義されたPDPコンテキストを起動するように決定するステップを含む。このことは、PDPコンテキストに関して特に高速な起動をもたらす。
【0017】
好適には、本発明に従う方法は、(d)移動体端末(MT)において、パケットベースの無線通信ネットワークにおけるサポートノードからPDPコンテキスト起動応答メッセージを受信するステップを更に含む。また、好適には、本発明に従う方法は、PDPコンテキスト起動応答メッセージは、PDPコンテキストに関係するパケット・データ・ネットワーク(PDN)に端末装置(TE)が接続するための設定パラメータを含むことを特徴とする。この結果、PDPコンテキストの起動に必要なステップは、最小限のユーザの関与で実行可能である。
【0018】
好適には、本方法は、(e)移動体端末(MT)において終了トリガーを受信すると、移動体端末(MT)においてPDPコンテキストを終了するステップを更に含む。この結果、PDPコンテキストは、それほど多くのユーザの関与無しに、ユーザフレンドリーな方法で終了可能である。
【0019】
本方法の好適な実施形態において、終了トリガーは、端末装置(TE)が移動体端末(MT)への接続を終了すること、端末装置(TE)が移動体端末(MT)へDHCP RELEASEメッセージを送信すること、及び端末装置(TE)のパケット・データ・ネットワーク(PDN)への接続のための設定パラメータに関するリース時間が満了することのうちのいずれかを含む。
【0020】
本発明は更に、上述したものと同等の利点を備える移動体端末に関連する。
【0021】
以下、図面を参照し、好適な実施形態に関連して、本発明を更に十分に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1は、本発明の方法を実施するのに適したネットワークアーキテクチャを示す概略図である。図1に示す典型的なアーキテクチャは、GPRSネットワークのためのものであるが、本発明はあらゆる種類の無線PDNと共に利用可能である。GPRSネットワークにおいては、移動局(MS)は、GPRSのエアインタフェース(20)を扱う移動体端末(MT)と、PPP接続(10)を介して有線又は無線でMTに接続される端末装置(TE)とを含む。エアインタフェースのPDN側には、在圏GPRSサポートノード(SGSN)及びGPRS PDNが存在する。
【0023】
図2aは、本発明に従う方法100のフロー図である。本方法は移動体端末(MT)において実行され、フローはステップ110から開始する。続くステップであるステップ120において、移動体端末(MT)は、端末装置(TE)からの起動トリガーを待ち受ける(リッスンする)。起動トリガーとして、次に例示的に列挙するものがある。
【0024】
●例えばブルートゥース(登録商標)のBNEP接続を起動することによって端末装置(TE)が移動体端末(MT)への接続を生成すること。
●端末装置(TE)がDHCPサーバを探していることを示すDHCP DISCOVERメッセージを、端末装置(TE)が移動体端末(MT)へ送信すること。或いは、
●端末装置(TE)がルータを探していることを示すルータ要請(Router Solicitation)を、端末装置(TE)が送信すること。
【0025】
これらの起動トリガーはそれぞれ、端末装置(TE)がネットワーク(例えば、インターネット)への接続を希望しており、且つ、IPアドレス、及び(例えば、既定のルータ及びDNS(ドメインネームサーバ)などの)他のIPパラメータの設定を必要としていることを示すものとして解釈され得る。
【0026】
ステップ120からフローは継続し、130で起動トリガーが検出されたか否かが判定される。検出されなかった場合、起動トリガーを継続してリッスンするためにフローはステップ120に戻る。しかしながら、起動トリガーが検出されたとステップ130において判定された場合、フローはステップ140に進み、PDPコンテキストが起動されるか否かが決定される。移動体端末(MT)のユーザは、この決定に関与することが可能である。例えば、移動体端末(MT)は、PDPコンテキストを起動すべきか否かをユーザに問い合わせること、及び起動トリガーがどこから受信された場合に端末装置を無視するかをユーザに問い合わせること、のうちの少なくとも一方を行うことができる。移動体端末(MT)は、ユーザが上述の単数又は複数の問い合わせに応答しなかった場合に、端末装置(TE)からの起動トリガーを無視するように構成されてもよい。移動体端末(MT)は、ユーザによる移動体端末(MT)の操作が端末装置(TE)からの起動トリガーを無視することを示す場合に、所定の期間内はユーザに問い合わせること無く以後のその端末装置(TE)からの起動トリガーを無視するように構成されてもよい。最後に、移動体端末(MT)は、例えば起動トリガーが1以上の特定の端末装置(TE)から受信された場合のような特定の場合に、ユーザとのいかなる対話も行うこと無く、PDPコンテキストを起動するという決定をステップ140において実行するように構成されてもよい。
【0027】
ステップ140においてPDPコンテキストを起動しないと決定された場合、フローはステップ120に戻る。ステップ140においてPDPコンテキストを起動すると決定された場合、フローはステップ150に進み、どのPDPコンテキストが起動されるかが決定される。この場合も同様に、この決定にユーザが関与可能であってもよいし、移動体端末(MT)内で自動的に、即ちユーザとの対話無しにこの決定が実行されてもよい。前者の場合の一例として、移動体端末(MT)内の種々のデータアカウントに関連するPDPコンテキストのリストのうちの、どのPDPコンテキストを起動すべきかを、移動体端末(MT)はユーザに問い合わせる。後者の場合の一例として、移動体端末(MT)は、ステップ130における起動トリガーの検出、及びステップ140におけるPDPコンテキストを起動する決定に基づいて、予め定義されたPDPコンテキストを自動的に起動するように構成されてもよい。
【0028】
その後フローはステップ160に進み、PDPコンテキスト起動要求メッセージが移動体端末(MT)から、移動体端末(MT)が接続するように構成されているパケットベースの無線通信ネットワークにおけるサポートノード(SGSN)へ送信される。ステップ170においてフローは終了する。
【0029】
上述した方法により、起動するPDPコンテキストに関連するいかなる予約番号も知っていて指定するということを端末装置(TE)のユーザは要求されないという点で特にユーザフレンドリーな方法で、移動体端末(MT)に接続するように構成された端末装置(TE)によってPDPコンテキストが起動され得る。更に、移動体端末(MT)に接続するように構成された端末装置(TE)は、パケットベースの無線通信ネットワークに対する端末装置(TE)におけるサポートが何ら要求されること無く、例えばGPRSやUMTSなどのパケットベースの無線通信ネットワークに移動体端末(MT)を介して接続することができる。
【0030】
図2bは、本発明に従う方法100’のフロー図である。方法100’のステップ110乃至160は、図2aに示す方法100のステップ110乃至160に等しいので、ここでは改めて説明しない。図2bに示す方法100’において、ステップ180がステップ160に続く。ステップ180では、PDPコンテキスト起動要求メッセージが移動体端末(MT)から送信された先のGPRSネットワークにおけるSGSNから、移動体端末(MT)がPDPコンテキスト起動応答メッセージを受信する。受信されたPDPコンテキスト起動応答メッセージは、PDPコンテキストの起動開始が成功又は失敗したことを示し、成功の場合、端末装置(TE)が移動体端末(MT)を介してパケットベースの無線通信ネットワークに接続するために、例えばIPアドレスなどの、設定に関するパラメータも含んでいてよい。
【0031】
以下、ステップ180は成功であったと仮定し、PDPコンテキスト起動応答メッセージがSGSNによって送信されて移動体端末によって受信されたものとする。ステップ180が成功でなかった場合は、ステップ180はPDPコンテキスト起動応答メッセージが移動体端末(MT)によって受信されるまで繰り返されてもよい。続くステップ190は、DHCPによるアドレスの割り当てである。このステップの実行は、起動トリガーの種類と、SGSNからの応答メッセージがIPアドレスを含んでいたか否かとに依存する。
【0032】
<トリガーがDHCP DISCOVERメッセージであった場合>
●SGSNからの応答メッセージがIPアドレスを含んでいた場合
起動トリガーがDHCP DISCOVERメッセージであって、SGSNからの応答メッセージがIPアドレスを含んでいた場合は、移動体端末(MT)は続いてDHCP OFFERメッセージを端末装置(TE)へ送信する。DHCP OFFERメッセージは、IPアドレス、及びSGSNの応答メッセージに含まれていた他のあらゆるパラメータを含む。これにより、移動体端末(MT)は、端末装置(TE)のためのDHCPサーバとして機能する。
【0033】
●SGSNからの応答メッセージがIPアドレスを含んでいなかった場合
起動トリガーがDHCP DISCOVERメッセージであって、SGSNからの応答メッセージがIPアドレスを含んでいなかった場合は、移動体端末(MT)はDHCP DISCOVERメッセージをSGSNへ中継する。続いて移動体端末(MT)がSGSNからDHCP OFFERメッセージを受信すると、移動体端末(MT)は、このDHCP OFFERメッセージを端末装置(TE)へ中継する。このようにして、移動体端末(MT)は、端末装置(TE)のためのDHCPサーバとして機能する。
【0034】
<トリガーが、移動体端末(MT)への接続を生成することであった場合>
以下では、ブルートゥース(登録商標)接続の例を使用する。しかしながら、端末装置(TE)と移動体端末(MT)との間で生成される接続は、例えば赤外線、USB、或いはWLANなどの、適切ないかなる有線又は無線による接続であってもよい。更に、端末装置(TE)と移動体端末(MT)との間の接続は適切なセキュリティによって保護されており、権限のある端末装置(TE)のみが移動体端末(MT)の仲介によりパケットベースの無線通信ネットワークへ接続することができるものとする。
【0035】
●SGSNからの応答メッセージがIPアドレスを含んでいた場合
トリガーがBNEP接続の起動であって、SGSNからの応答メッセージがIPアドレスを含んでいた場合は、移動体端末(MT)は続いて、SGSNからの応答メッセージに含まれる、IPアドレス、及び他の関連するパラメータを格納する。格納したものは、端末装置(TE)が続いてDHCP DISCOVERメッセージを送信した時(場合)に使用するためのものである。移動体端末(MT)が端末装置(TE)からそのようなDHCP DISCOVERメッセージを受信すると、移動体端末は、IPアドレス及び(存在すれば)他の関連するパラメータを含むDHCP OFFER応答によって端末装置(TE)に応答しなければならない。この場合、移動体端末(MT)は、端末装置(TE)に対するDHCPサーバとして機能する。
【0036】
●SGSNからの応答メッセージがIPアドレスを含んでいなかった場合
トリガーがBNEP接続の起動であって、SGSNからの応答メッセージがIPアドレスを含んでいなかった場合は、移動体端末(MT)は、続いてくるDHCP DISCOVERメッセージをSGSNへ中継しなければならない。続いて移動体端末(MT)がSGSNからDHCP OFFERメッセージを受信すると、移動体端末(MT)は、このDHCP OFFERメッセージを端末装置(TE)へ中継しなければならない。このようにして、移動体端末(MT)は、端末装置(TE)のためのDHCPサーバとして機能する。
【0037】
ステップ190の完了後、端末装置(TE)は、パケットベースの無線通信ネットワークへ接続される。
【0038】
方法100’はステップ200に進み、PDPコンテキストの終了(deactivation)が行われる。以下のいかなる場合も、移動体端末(MT)はPDPコンテキストを終了し、端末装置(TE)に対してDHCPサーバ(或いは、DHCP中継局(relay))として機能することを停止しなければならない。
【0039】
●例えばBNEP接続などの、移動体端末(MT)への接続を端末装置(TE)が終了した場合。
●例えば端末装置(TE)が更新を要求しなかったなどの理由で、IPアドレスのリース時間が切れた場合。
●端末装置(TE)が移動体端末(MT)に対してDHCP RELEASEメッセージを送信した場合。
【0040】
ステップ210において方法100’は終了する。
【0041】
図3は、本発明に従う、端末装置(TE)と、移動体端末(MT)と、PDNにおけるサポートノード(SGSN)との間の通信を示すシーケンス図である。通信の最初の部分は、端末装置によって開始される起動トリガーである。上で説明したように、この起動トリガーは、端末装置(TE)と移動体端末(MT)との間のBNEP接続の起動であってもよいし、端末装置(TE)から送信されるDHCP DISCOVERメッセージであってもよいし、或いは、端末装置(TE)からのルータ要請であってもよい。続いて、移動体端末(MT)は、方法100又は方法100’の、ステップ130、140、及び150を実行する。即ち、起動トリガーを検出し(ステップ130)、PDPコンテキストを起動するか否かを決定し(ステップ140)、どのPDPコンテキストを起動するかを決定する(ステップ150)。続いて、移動体端末(MT)は、PDPコンテキスト起動要求メッセージを、在圏GPRSサポートノード(SGSN)へ送信する。上で説明したように、SGSNはPDPコンテキスト起動応答メッセージを送信し、その後、移動体端末(MT)は、端末装置(TE)のためのDHCP中継局として機能するかDHCPサーバとして機能するかに関わらず、DHCP OFFERメッセージを端末装置(TE)へ送信する。その後、端末装置(TE)は移動体端末(MT)を介してパケットベースの無線通信ネットワークに接続される。この接続は、破線によって図3に示されるように、事実上、どれだけの時間であっても継続可能である。最後に、端末装置のPDPコンテキストへの接続は、終了トリガーを用いて終了される。そのような終了トリガーは、端末装置(TE)が移動体端末(MT)に対する接続を終了させること、端末装置(TE)が移動体端末(MT)へDHCP RELEASEメッセージを送信すること、及び、端末装置(TE)のパケット・データ・ネットワーク(PDN)への接続のための設定パラメータに関するリース時間が満了することのうちの、少なくともいずれかであってよい。
【0042】
図4は、本発明に従う移動体端末(MT)の構成要素の一例を示すブロック図である。図4は、端末装置(不図示)からの起動トリガーを待ち受けるように構成された待ち受け手段(LSTM)30を示す。起動トリガーは、端末装置からの、PDPコンテキストを起動するという要求を示す。待ち受け手段は、決定手段(DCM)40に接続されている。決定手段40は、待ち受け手段30により端末装置から受信した起動トリガーの検出に基づき、PDPコンテキストを起動するか否かを決定し、起動する場合、どのPDPコンテキストを起動するかを決定するように構成されている。決定手段40は、例えば、メモリを備えるマイクロプロセッサであってもよい。決定手段40は更に、送信機50に接続されている。送信機50は、移動体端末からパケットベースの無線通信ネットワーク(不図示)におけるサポートノードへPDPコンテキスト起動要求メッセージを送信するように構成されている。従って、決定手段40がPDPコンテキストを起動するように決定すると、送信機50に対し、PDPコンテキスト起動要求メッセージを送信する命令或いは指示を送信する。送信が成功した場合、パケットベースの無線通信ネットワークにおけるサポートノードから送信されたPDPコンテキスト起動応答メッセージが、移動体端末内の受信機(RCV)60によって受信され得る。受信機60は、決定手段40に接続されている。
【0043】
好ましくは、移動体端末(MT)は更に、ディスプレイ(DSPL)80、及び例えばキーボード、キーパッド、タッチパネル(touch sensitive screen)などのユーザインタフェース(UI)90を含む。ディスプレイ80及びUI90は共に決定手段に接続されており、決定手段40は、例えばPDPコンテキストを起動するか否かとどのPDPコンテキストを起動するかとのうちの少なくとも一方に関して、(もしあれば)ユーザに入力を求めることができる。更に、移動体端末は好ましくは、決定手段40及び受信機60に接続された終了手段70を備える。終了手段70は、移動体端末(MT)において終了トリガーを受信すると、移動体端末(MT)においてPDPコンテキストを終了するように構成されている。終了トリガーは、終了トリガーの種類に依存して、受信機60又は待ち受け手段30によって受信され得る。
【0044】
上述した構成要素は独立した構成要素として記載されているが、あらゆる構成要素は、適切であれば一体に統合されてもよい。例えば、送信機50及び受信機60は、1つのアンテナに統合されてもよい。
【0045】
ここで使用されているように、「移動体端末」という用語は、あらゆる移動可能な又は携帯可能なデバイスを参照するように意図されており、例えば移動体電話、ページャ、コミュニケータ(即ち、電子手帳、スマートフォンなど)などの通信手段を含むことに注意されたい。更に、「含む/含んでいる(comprises/comprising)」という用語は、本明細書において使用される場合、言及された特徴、整数、ステップ、或いは構成要素の存在を明示するために記載されているが、1以上の他の特徴、整数、ステップ、構成要素、又はそれらの集合の存在或いは追加を排除するものではないということを強調しておく。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の方法を実施するのに適したネットワークアーキテクチャを示す概略図である。
【図2a】本発明に従う方法のフロー図である。
【図2b】本発明に従う方法のフロー図である。
【図3】本発明に従う、端末装置と、移動体端末と、PDNにおけるサポートノードとの間の通信を示すシーケンス図である。
【図4】本発明に従う移動体端末の構成要素の一例を示すブロック図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体端末(MT)に接続するように構成された端末装置(TE)によって開始される、前記移動体端末(MT)を介してPDP(パケット・データ・プロトコル)コンテキストを起動する方法であって、前記移動体端末(MT)はパケットベースの無線通信ネットワークに接続するように構成されており、前記方法は、
(a)移動体端末(MT)において、前記端末装置(TE)からの前記PDPコンテキストを起動するという要求を示す起動トリガーを、前記端末装置(TE)から待ち受けるステップ(120)と、
(b)前記端末装置(TE)からの起動トリガーを検出すると(130)、前記移動体端末(MT)において、PDPコンテキストを起動するか否かを決定し、起動する場合、どのPDPコンテキストを起動するかを決定するステップ(140,150)と、
(c)PDPコンテキストを起動することが決定された場合、前記移動体端末(MT)から前記パケットベースの無線通信ネットワークにおけるサポートノードへPDPコンテキスト起動要求メッセージを送信するステップ(160)と、
を含むことを特徴とする方法(100;100’)。
【請求項2】
前記起動トリガーは、
前記端末装置(TE)が前記移動体端末(MT)への接続を生成すること、
前記端末装置(TE)が前記移動体端末(MT)へDHCP DISCOVERメッセージを送信すること、及び
前記端末装置(TE)がルータ要請を送信すること
のうちのいずれかを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法(100;100’)。
【請求項3】
前記ステップ(b)は、PDPコンテキストを起動するか否か、及びどのPDPコンテキストを起動するかのうちの少なくとも一方に関するユーザ入力のために問い合わせるステップを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法(100;100’)。
【請求項4】
前記ステップ(b)は、予め定義されたPDPコンテキストを起動するように決定するステップを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法(100;100’)。
【請求項5】
(d)前記移動体端末(MT)において、前記パケットベースの無線通信ネットワークにおける前記サポートノードからPDPコンテキスト起動応答メッセージを受信するステップ(180)
を更に含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の方法(100;100’)。
【請求項6】
前記PDPコンテキスト起動応答メッセージは、前記PDPコンテキストに関係するパケット・データ・ネットワーク(PDN)に前記端末装置(TE)が接続するための設定パラメータを含むことを特徴とする請求項5に記載の方法(100;100’)。
【請求項7】
(e)前記移動体端末(MT)において終了トリガーを受信すると、前記移動体端末(MT)において前記PDPコンテキストを終了するステップ(200)
を更に含むことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の方法(100;100’)。
【請求項8】
前記終了トリガーは、
前記端末装置(TE)が前記移動体端末(MT)への前記接続を終了すること、
前記端末装置(TE)が前記移動体端末(MT)へDHCP RELEASEメッセージを送信すること、及び
前記端末装置(TE)の前記パケット・データ・ネットワーク(PDN)への前記接続のための前記設定パラメータに関するリース時間が満了すること
のうちのいずれかを含むことを特徴とする請求項7に記載の方法(100;100’)。
【請求項9】
端末装置(TE)に接続するように構成され、且つパケットベースの無線通信ネットワークに接続するように構成された移動体端末(MT)であって、
(a)前記端末装置(TE)からの前記PDPコンテキストを起動するという要求を示す起動トリガーを、前記端末装置(TE)から待ち受けるように構成された待ち受け手段(30)と、
(b)前記端末装置(TE)からの起動トリガーを検出すると、PDPコンテキストを起動するか否かを決定し、起動する場合、どのPDPコンテキストを起動するかを決定するように構成された決定手段(40)と、
(c)PDPコンテキストを起動することが決定された場合、前記移動体端末(MT)から前記パケットベースの無線通信ネットワークにおけるサポートノードへPDPコンテキスト起動要求メッセージを送信するように構成された送信機(50)と、
を備えることを特徴とする移動体端末(MT)。
【請求項10】
前記起動トリガーは、
前記端末装置(TE)が前記移動体端末(MT)への接続を生成すること、
前記端末装置(TE)が前記移動体端末(MT)へDHCP DISCOVERメッセージを送信すること、及び
前記端末装置(TE)がルータ要請を送信すること
のうちのいずれかを含むことを特徴とする請求項9に記載の移動体端末(MT)。
【請求項11】
前記決定手段(40)は、PDPコンテキストを起動するか否か、及びどのPDPコンテキストを起動するかのうちの少なくとも一方に関するユーザ入力のために問い合わせるように構成されたことを特徴とする請求項9又は10に記載の移動体端末(MT)。
【請求項12】
前記決定手段(40)は、予め定義されたPDPコンテキストを起動するように決定するように構成されたことを特徴とする請求項9又は10に記載の移動体端末(MT)。
【請求項13】
前記パケットベースの無線通信ネットワークにおける前記サポートノードからPDPコンテキスト起動応答メッセージを受信するように構成された受信機(60)を更に備えることを特徴とする請求項9乃至12のいずれか1項に記載の移動体端末(MT)。
【請求項14】
前記PDPコンテキスト起動応答メッセージは、前記PDPコンテキストに関係するパケット・データ・ネットワーク(PDN)に前記端末装置(TE)が接続するための設定パラメータを含むことを特徴とする請求項13に記載の移動体端末(MT)。
【請求項15】
前記移動体端末(MT)において終了トリガーを受信すると、前記移動体端末(MT)において前記PDPコンテキストを終了するように構成された終了手段(70)を更に備えることを特徴とする請求項9乃至14のいずれか1項に記載の移動体端末(MT)。
【請求項16】
前記終了トリガーは、
前記端末装置(TE)が前記移動体端末(MT)への前記接続を終了すること、
前記端末装置(TE)が前記移動体端末(MT)へDHCP RELEASEメッセージを送信すること、及び
前記端末装置(TE)の前記パケット・データ・ネットワーク(PDN)への前記接続のための前記設定パラメータに関するリース時間が満了すること
のうちのいずれかを含むことを特徴とする請求項15に記載の移動体端末(MT)。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−511222(P2008−511222A)
【公表日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−528611(P2007−528611)
【出願日】平成16年8月26日(2004.8.26)
【国際出願番号】PCT/EP2004/009635
【国際公開番号】WO2006/021229
【国際公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【出願人】(598036300)テレフオンアクチーボラゲット エル エム エリクソン(パブル) (2,266)
【Fターム(参考)】