説明

PEM−燃料電池スタックのバックアップ発電機の作動の管理

電気エネルギーを電気負荷に供給するために直列に電気接続された、複数の積み重ねられたPEM燃料電池(3)によって形成された燃料電池スタック(2)と、各燃料電池(3)によって供給された電圧を測定するための電池電圧モニタ(4)と、燃料電池スタック(2)と電気負荷の間に接続された電気エネルギー管理調節装置(5)と、燃料電池(3)内で起こる化学反応に必要な空気量を供給するためのブロワ(6)と、燃料電池スタック(2)の出口と入口の間で水素を再循環させるための水素リサーキュレータ(7)と、水素の一次パージをより低流量で、水素の二次パージをより高流量で行うための水素パージ装置(8)と、発電機(1)の作動を、その起動時、停止時、および定常作動中とで異なるように管理するようプログラムされたコントローラ(10)とを備える、PEM−燃料電池スタックのバックアップ発電機(1)を提供する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、具体的には幹線給電がない時にバックアップすることを目的とする燃料電池発電機であって、複数の燃料電池が、燃料ガス電極(アノード)および酸化ガス電極(カソード)上にそれぞれ供給された燃料ガスおよび酸化ガスから電気エネルギーを発生させるために積み重ねられた、燃料電池発電機に関する。特に、本発明は、水素を燃料として使用するプロトン交換膜(PEM)タイプの燃料電池のシステムであって、PEM電池の加湿の特定の管理が行われる、システムに関する。
【背景技術】
【0002】
知られているように、PEM−燃料電池技術に基づいて電気および熱のエネルギーを発生させるためのシステムの管理に関して、適正な加湿の維持は、最も繊細な側面の1つである。
【0003】
燃料電池は、エネルギー・ベクトルとして水素を使用するための技術的に最も期待できる解決策の1つになっている。これらは、電気化学反応を利用することによって、化学エネルギーを電気エネルギーに変換することができる装置である。
【0004】
単一PEM電池では、アノードで1つ、カソードで1つの、計2つの半反応が同時に起こる。PEM電池のアノードおよびカソードは、適切な触媒混合物(たとえばPtベースの混合物)の層によって両側がコーティングされた、プロトンを導くことができる硫酸ポリマーの膜によって通常は構成された電解質によって分離されている。電解質は、一般的には、水素イオンがアノードからカソードまで電解質を横切ることができるようにイオン輸送流体(たとえば水)で飽和されている。
【0005】
燃料電池内で起こる全体反応は、
2H+O→2HO(1)
であり、これに伴って熱および電気エネルギーが生じ、またこれは、アノ−ドで起こる半反応、すなわち
2H→4H+4e(2)
およびカソードで起こる半反応、すなわち
+4H+4e→2HO(3)
のそれぞれ2つの半反応の合計の結果である。
【0006】
したがって、アノードに供給されるのは水素であり、水素は触媒層内に拡散し、そこで水素イオンおよび電子に解離され、電子は、膜がこれらに対して不透過性である前提で、外部の電気回路を横切ってカソードまで至り、電流および対応する電位差を発生させる。代わりにカソードに供給されるのは、酸素を含有するガス状混合物であり、ガス状混合物は、電解質を横切った水素イオンおよび外部電気回路からの電子と反応する。
【0007】
プロトンの通過がポリマー膜を通して起こるのは、正確には水分子によるものであるため、試薬ガスを加湿することが必要である。湿度が極めて低いと、プロトンがアノード区画からカソード区画まで通過することがさらに難しくなり、その結果、燃料電池のパフォーマンスのレベルが低下し、一方で湿度が極めて高いと、液体状態に凝縮し、その結果、触媒部位が閉塞し、燃料電池のパフォーマンスのレベルが低下する。故に、試薬ガスの加湿は、燃料電池システムを管理する上で非常に繊細なパラメータである。
【0008】
明確に規定された最大電圧の発生は、反応(1)に関連付けられるため、より高い電圧に到達するために、一般的には複数の燃料電池が、スタックを形成するように直列に連結される。
【0009】
具体的には幹線給電の喪失が発生した場合にバックアップすることを目的とする燃料電池発電機は、スタックに加えて、油圧回路(ポンプ、管、ディシペータ(dissipater)など)、ガス流の供給および排出の回路(水素の供給管、酸化ガス状混合物の供給管など)、制御システム(制御ユニット、温度、流量、および圧力を測定する計測器、アクチュエータなど)を備える。これらの要素の集合体は、一般に、「バランス・オブ・プラント」(BoP)と称される。そのようなシステムの数多くの知られている実施形態では、BoPは、場合によってはプロセス中に生成された水の回収によってスタック入口の空気を加湿するための装置を備える。この装置は、一般には、膜を部分的に通り過ぎる流出ガスから、その膜の他方の側を通りすぎる入来ガスへの、水分子の浸透勾配による移動を可能にする、一続きのポリマー膜によって構成される。
【0010】
さらに、一部の実施形態は、ブロワまたはポンプの使用により、スタックから出て行く流れの少なくとも一部の再循環、およびその「新しい」ガスとの混合を企図しているが、これは、効率性の低下、システムの騒音の増大、および故障リスクの増大を引き起こす。
【0011】
最後に、一般的には空気がカソードガスとして使用されており、故にブロワまたはポンプが、カソード回路自体のヘッドの損失に打ち勝ちながらスタックに供給するために必要である。
【0012】
上記で説明したすべての特徴を含むシステムは、たとえば特許文献1から知られている。前記システムでは、出口におけるカソードガスおよびアノードガス両方の一部の再循環が、圧縮機を用いて行われる。しかし、外部の湿度供給源を用いて機能する、少なくともアノードガスを加湿するためのシステムを維持することを必要とする。
【0013】
ここまで説明してきたことから推測され得るように、バックアップ電力発生システムの知られている実施形態は、比較的コストがかかり、扱いにくく、また、これらがバックアップシステムであり、結果的には間欠的にしか介入しないように設計されている前提で、可動部分(ポンプ、圧縮機など)が、たとえば、これらがまさに必要とされるときに壊れないように正確な制御を必要とする限り、システムの信頼性が低下することを防止するために正確かつ入念なルーチンを維持することが必要である。
【0014】
さらに、知られているシステムは、出口側から供給された水によって機能するか、または上述した膜式交換機を介して部分的に回収された水によって機能するかに関係なく、常に加湿システムの使用を企図している。実際には、先に述べたように、ユーザが利用できるエネルギー発生システムにおけるPEM燃料電池の適正な作動は、適度な膜の加湿を必要とする。電池内の水分量が少ないと、燃料電池は脱水され、結果としてスタックの耐用年数が短縮され、一方で水分量が多いと、試薬の流入が減少し、結果としてユーザが利用できる電力の発生量が減少する。膜の加湿の程度は、とりわけ起動および停止中、とりわけバックアップ用途で使用されるエネルギー発生システムに起こるように、起動がそれぞれ時間を隔てる場合に影響を与える。
【0015】
既存の解決策は、通常、水分過剰または水分不足(under−hydration)の問題を被らない材料から作製される膜−電極一体構造(MEA)の探求に集中している。しかし、前記解決策は、燃料電池の一時的な閉塞または低水和などの問題にユーザが遭遇した場合、発電機への直接的介入を可能にする余裕はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】米国特許出願公開第5543238号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
結果として、本発明の目的は、具体的には上記で説明した欠点を克服する、バックアップ用途に合わせて考案された燃料電池発電機であって、特に、プラントおよび運用コストの低減ならびに発電機の効率性および信頼性の向上を可能にすると同時に、その全体的寸法を低減し、適切に検出された危機的状況を受けて発電機への直接的介入を可能にする、燃料電池発電機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明によれば、PEM−燃料電池スタックのバックアップ発電機は、請求項1に規定されたように提供される。
【0019】
次に、本発明のより良好な理解のために、その好ましい実施形態を、単なる非限定的な例として添付の図を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の理解に必要な部分のみが示された、本発明のPEM−燃料電池スタックのバックアップ発電機のブロック図である。
【図2】本発明の、電流密度の関数とする単一の燃料電池の電圧のプロットを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1には、PEM−燃料電池スタックのバックアップ発電機が全体的に1で示されており、この発電機は、基本的に、
−電気エネルギーを電気負荷(図示せず)に供給するために直列に電気接続された、複数の積み重ねられたPEM燃料電池3によって形成された燃料電池スタック2と、
−燃料スタック2に結合された、各燃料電池3によって供給された電圧を測定するための電池電圧モニタ(CVM)4と、
−燃料電池スタック2と電気負荷の間に接続された、電気エネルギー管理調節ユニット5と、
−各燃料電池3内で起こる化学反応に必要な空気量を供給するように設計されたブロワ6と、
−燃料電池スタック2の出口と入口の間で水素を再循環させるための水素リサーキュレータ7と、
−水素の一部を環境内またはカソード回路内に放出するための水素パージ装置8であって、水素の一次パージをより低流量で、水素の二次パージをより高流量でそれぞれ行うために、較正された水素パージ一次弁9および水素パージ二次弁10の対を備える、水素パージ装置8と、
−電池電圧モニタ4、電気エネルギー管理調節装置5、ブロワ6、水素リサーキュレータ7、および水素パージ装置8に接続された電子コントローラ11であって、次に説明する様式、すなわち最適な膜加湿状態での燃料電池スタック2の作動を可能にして、その有用な耐用年数を維持し、電気負荷が必要とする電力を常に供給するという様式に従って、発電機1の作動を管理するように構成された、電子コントローラ11とを備える。
【0022】
各燃料電池3は、基本的に、膜−電極一体構造(MEA)および2つの二極式板を備え、これらは、ガスケット、ヘッド部分、ばねなどの二次構成要素を使用して、またはタイ・ロッドを閉じることによって組み立てられる。膜−電極一体構造は、水素原子をプロトンおよび電子に分離するために用いられるものであり、約70℃の作動温度、および70℃で70.5%の相対湿度を有する。一塩基流体の存在下で最適に作動する2つの二極式板は、試薬(空気または酸素、水素)を膜−電極一体構造に輸送する機能、および電流の収集器として作用する機能を実行する。
【0023】
単一の燃料電池3の電圧は、燃料電池3自体から必要とされる電力の関数であり、図2に表すプロットをたどり、ここでは、縦座標は、60℃で測定された燃料電池3の平均電圧を示しており、一方で横座標の軸は、燃料電池3自体の必要とされる電流密度を示している。
【0024】
燃料電池3の直列の電気接続により、燃料電池スタック2によって供給される電圧は、個々の燃料電池によって供給される電圧の合計にすぎず、図2に示したものに類似するプロットを呈する。個々の燃料電池によって供給される電圧の分布における均一性は、膜−電極一体構造の性能および持続性に関する重要なパラメータである。
【0025】
各燃料電池3によって供給された電圧は、電池電圧モニタ4によって測定され、この電池電圧モニタ4は、燃料電池スタック2上に装着され、合目的に設計されて、個々の燃料電池3に接続された金属棒が設けられる。各燃料電池3によって供給される電圧は、燃料電池3内の流体力学現象特有である時定数より高い頻度、たとえば20msごとに測定される。
【0026】
燃料電池スタック2によって発生した電圧のプロットは、発電機1によって発生した電気エネルギーが、電気負荷によって直接使用されるには最適ではないことを意味している。前記欠点は、電気エネルギー管理調節ユニット5によって克服され、このユニットは、燃料電池スタック2によって供給された電流を測定することに加えて、燃料電池スタック2に電気負荷が必要とする電力を供給させると同時に、燃料スタック2をその耐用年数にわたって、電圧および電流に関して最適な状態で作動させるという役割を有する。
【0027】
上記の目的のために、電気エネルギー管理調節ユニット5は、半導体デバイス(ダイオード、MOSFET)や、昇圧または降圧のタイプのトポロジに従って接続され、すなわち、電気エネルギーをその電圧および電流を変化させることによって変換することができ、つまり2つの値の一方は独立的に変化し、他方は電力需要量の結果となる、誘導性および容量性リアクタンスなどの電気エネルギーの変換のための静的要素によって構成される。前記役割は、ブリッジ・ユニット(電池または超コンデンサ)の管理によって実行することもできる。
【0028】
水素リサーキュレータ7の機能に関しては、燃料電池スタック2内の水素は、理想的には、その後の電気エネルギーへの変換のために格納装置から取り出された水素と、燃料電池スタック2内に適切な相対湿度を維持するために再循環される水素の2つに分けられる。全出力の電力の状態においては、この2つの寄与は、最適比になることが実験的に見出された約4:3の割合となる。水素の再循環される部分は、燃料電池スタック2の出口から除去され、水素リサーキュレータ7を通って燃料電池スタックの入口にもたらされ、水素リサーキュレータ7は、さらなる機能として、燃料電池スタック2の出口から入口まで再循環される水素の圧力を、通常は20から50mbarに上昇させる機能を有する。
【0029】
コントローラ11は、電池電圧モニタ4および電流エネルギー管理調節ユニット5それぞれによって供給された電圧および電流の測定値を取得し;取得された測定値、および後で説明する管理ロジックに基づいて、電流エネルギー管理調節ユニット5、ブロワ6、および水素リサーキュレータ7の性能目標を決定し;電流エネルギー管理調節ユニット5、ブロワ6、水素リサーキュレータ7、および水素パージ装置8を、所与の性能目標を達成するように適切に制御するようにプログラムされる。
【0030】
特に、コントローラ11は、発電機1の作動のさまざまな管理ロジックを、すなわち1つは起動特有の、1つは定常作動特有の、1つは停止特有の、発電機の作動モードに従って実施するようにプログラムされる。以下で前記モードを別個に詳細に説明する。
【0031】
1.起動
発電機1の起動は、いわゆる「負荷受け入れ」のために特に極めて重要なステップであり、この間燃料電池スタック2は、いかなる燃料電池3も湿度および加湿の問題を有することなく、電気負荷が必要とする電力を供給させられる。この目的のため、コントローラ11は、
−一次水素パージ弁9を開き、これを開いたまま保って、水素の連続的な一次パージを行い、
−二次水素パージ弁10を周期的に開閉し、あるデューティ・サイクル、すなわち9sおよび4sにそれぞれ対応する、二次水素パージ弁10の開時間および閉時間の初期値から始めて、開時間が、各デューティ・サイクルにおいて所与の量、好都合には20%延ばされるデューティ・サイクルに従って、以下の状態:
・燃料電池3の電圧が、好都合には0.4Vである所与の最小許容電圧より小さいこと、
・燃料電池3の電圧が、最適な加湿状態でのスタックの各タイプにおいて実験的に得られた公称参照値に対して、好都合には10%に等しい最大許容変動値を上回る量で変化すること、
・燃料電池スタック2の電圧が、公称参照値に対して、好都合には10%に等しい最大許容変動値を上回る量で、好都合には60秒に等しい最大許容時間より長い時間変化すること、および
・発電機1の電源を入れてから、好都合には2分である最大許容時間より長い時間が経過したこと、
のうち1つが確認されるまで、水素の周期的な二次パージを行うようにプログラムされる。
【0032】
2.定常作動
発電機1の定常作動は、膜−電極一体構造の瞬間的な脱水または「洪水」のために、燃料電池スタック2が、電力の供給に対して最適でない状態で作動することになる場合があり、その結果スタック自体の有用な耐用年数が短縮され、ユーザへのサービスが非効率になる恐れがあるため、極めて重要なステップを構成し得る。
【0033】
その結果、起動ステップが終了した後、コントローラ11は、電気負荷が必要とする電力に基づいて、燃料スタック2から引き出される電流を、所与の増加率、好都合には10A/sで上昇させ、次いで、電気負荷が必要とする電力に対応し、いずれの場合も好都合には180Aである所与の最大値を上回らない電流値に安定させるように電気エネルギー管理調節ユニット5を制御するようにプログラムされる。
【0034】
さらに、コントローラ11は、
−以下の状態:
・燃料電池3の電圧が、好都合には0.4Vである所与の最小許容電圧を下回ること、
・燃料電池3の電圧が、公称参照値に対して、好都合には10%に等しい最大許容変動値より大きい量で変化すること、および、
・燃料電池スタック2の電圧が、公称参照値に対して、好都合には10%に等しい最大許容差より大きい量で、好都合には60sである最大許容時間より長い時間の間、変化すること、
のうち1つが確認されたことを検出し、
−上述の状態の1つが確認されたとき、検出された状態が止まるまで、燃料電池スタック2から引き出された電流が、ここでも好都合には10A/sの所与の低下率で小さくなるように電気エネルギー管理調節装置5を制御するようにプログラムされる。電気エネルギーは、ブリッジ・ユニットの管理によって部分的に電気負荷に供給される。
【0035】
さらに、コントローラ11は、水素循環器7、ブロワ6、および水素パージ装置8を、電気エネルギー管理調節ユニット5によって供給された電力に応じて管理するようにプログラムされる。特に、上述の前記状態の1つが確認されたとき、コントローラ11は、通常必要とされるもの以上の所与の空気流量を、たとえば4%多く供給するようにブロワ6を作動させ、一次水素パージ弁9および二次水素パージ弁10を、起動手順で説明したように制御するようにプログラムされる。
【0036】
3.停止
発電機1の停止は、水が燃料電池3の二極式板に留まることがあり、これが、対応する膜−電極一体構造への試薬の送出を閉塞させ、故に、燃料電池3を、発電機1のその後の起動を可能するのに必要な低水和状態に持っていくことを妨げ得るため、極めて重要なステップを構成し得る。
【0037】
この問題を防止するために、コントローラ11は、
−燃料電池スタック2を、従来は20℃に設定される温度まで冷却するまで待機し、強制冷却システムによって蓄積された熱の排出を加速させ、
−冷却終了時、冷却中に凝縮した水を取り除くためにブロワ6を作動させ、
−一次水素パージ弁9を開き、これを開いたまま保ち、したがって水素の連続的な一次パージを行われるようにプログラムされる。
【0038】
本発明によるPEM−燃料電池スタックのバックアップ発電機1の特性の精査から、同じタイプの知られている発電機に優るこれが有する利点は、明白である。特に、これは、同じタイプの知られている発電機と比べてより高い効率性および信頼性を有するだけでなく、危機的状況が適切に検出された場合にオペレータの直接的介入も可能にする。
【0039】
最後に、説明し例示したPEM−燃料電池スタックのバックアップ発電機に対して、付属の特許請求の範囲で規定された本発明の保護の範囲から逸脱することなく、改変および変更を加えてよいことは明確である。
【0040】
特に達成可能である、最小許容電圧、最大許容変動値、最大許容時間、引き出された電流の増大および減少率、ならびに最大電流は、先に示したものとは異なる値をとることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直列に電気接続された、複数の積み重ねられたPEM燃料電池(3)によって形成された、電気エネルギーを電気負荷に供給する燃料電池スタック(2)と、
各燃料電池(3)によって供給された電圧を測定するための電池電圧モニタ(4)と、
前記燃料電池スタック(2)と前記電気負荷の間に接続された、電気エネルギー管理調節ユニット(5)と、
前記燃料電池(3)内で起こる化学反応に必要な空気量を供給するブロワ(6)と、
前記燃料スタック(2)の出口と入口の間で水素を再循環させる水素リサーキュレータ(7)と、
水素の一次パージをより低流量で、水素の二次パージをより高流量で行うように構成された、水素パージ装置(8)と、
前記電池電圧モニタ(4)、前記電気エネルギー管理調節装置(5)、前記ブロワ(6)、前記水素リサーキュレータ(7)、および前記水素パージ装置(8)に接続され、発電機(1)の作動を、その起動時、停止時、および定常作動中とで異なるように管理するよう構成された、コントローラ(11)と、
を備える、PEM−燃料電池スタックのバックアップ発電機(1)であって、
前記コントローラ(11)が、以下の作動:
水素の連続的な一次パージを行うように前記パージ装置(8)を制御すること、
パージ時間が、所与の初期値から始まり、各デューティ・サイクルにおいて所与の量だけ延ばされるデューティ・サイクルに従って、以下の状態:
燃料電池(3)の電圧が、所与の最小許容電圧より低いこと、
燃料電池(3)の電圧が、参照値に対して、所与の最大許容変動値を上回る量で変化すること、
前記燃料電池スタック(2)の電圧が、参照値に対して、所与の最大許容差を上回る量で、最大許容時間より長い時間変化すること、および、
前記発電機(1)の電源を入れてから、最大許容時間より長い時間が経過したこと、
のうち1つが確認されるまで、水素の周期的な二次パージを行うように前記パージ装置(8)を制御すること、
を実施することによって、前記発電機(1)の起動を管理するようにさらに構成される、PEM−燃料電池スタックのバックアップ発電機。
【請求項2】
前記コントローラ(11)が、さらに、
前記電池電圧モニタ(4)および前記電気エネルギー管理調節装置(5)によって供給された電圧および電流の測定値を取得し、
前記取得された測定値、および、管理ロジックに基づいて、前記電流エネルギー管理調節ユニット(5)、前記ブロワ(6)、および前記水素リサーキュレータ(7)の性能目標を決定し、
前記電流エネルギー管理調節ユニット(5)、前記ブロワ(6)、および前記水素リサーキュレータ(7)、および前記水素パージ装置(8)を、前記所与の性能目標を達成するように制御するように構成される、請求項1に記載のPEM−燃料電池スタックのバックアップ発電機。
【請求項3】
前記コントローラ(11)が、以下の作動:
前記燃料電池スタック(2)を冷却し、設定温度に到達するまで待機することと、
冷却終了時、冷却中に凝縮した水を取り除くように前記ブロワ(6)を作動させることと、
水素の連続的な一次パージをもたらすように前記水素パージ装置(8)を制御することと、
を実施することによって前記発電機(1)の停止を管理するようにさらに構成される、請求項1または2に記載のPEM−燃料電池スタックのバックアップ発電機。
【請求項4】
前記コントローラ(11)が、
前記電気負荷が必要とする電力に基づいて、前記燃料電池スタック(2)から引き出される電流が、所与の増加率で上昇して、電流負荷が必要とする電力に対応し、所与の最大電流を上回らない電流値で安定させるように、前記電気エネルギー管理調節装置(5)を制御することを実施することによって、前記発電機(1)の定常作動を管理するようにさらに構成される、請求項1から4のいずれか一項に記載のPEM−燃料電池スタックのバックアップ発電機。
【請求項5】
前記コントローラ(11)が、
以下の状態、すなわち:
燃料電池(3)の電圧が、所与の許容電圧より小さいこと、
燃料電池(3)の電圧が、参照値に対して、最大許容差を上回る量で変化すること、および
前記燃料電池スタック2の電圧が、参照値に対して、最大許容変動値を上回る量で、最大許容時間より長い時間変化すること、
のうち1つが確認されたことを検出することと、
前記状態の1つが確認されたとき、前記燃料スタック(2)から引き出された電流が、前記検出された状態が止まるまで、所与の減少率で小さくなるように前記電気エネルギー管理調節装置(5)を制御することと、
を実施することによって、前記発電機(1)の定常作動を管理するようにさらに構成される、請求項4に記載のPEM−燃料電池スタックのバックアップ発電機。
【請求項6】
前記コントローラ(11)が、以下の作動:
前記電気エネルギー管理調節装置(5)によって供給された電力に応じて水素リサーキュレータ(7)を制御することと、
前記状態の1つが確認されたとき、
通常必要とされるもの以上の所与の空気流量を供給するように前記ブロワ(6)を制御することと、
請求項3に記載したように、水素の一次パージおよび水素の二次パージをもたらすように前記水素パージ装置(8)を制御することと、
を実施することによって、前記発電機(1)の定常作動を管理するようにさらに構成される、請求項4または請求項5に記載のPEM−燃料電池スタックのバックアップ発電機。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載のPEM−燃料電池スタックのバックアップ発電機(1)のコントローラ(11)。
【請求項8】
PEM−燃料電池スタックのバックアップ発電機(1)のコントローラ(11)にロード可能であり、実行時、前記コントローラ(11)を、請求項1から7のいずれか一項に記載の通りに構成させるように設計される、ソフトウエア。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−515342(P2013−515342A)
【公表日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−545463(P2012−545463)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【国際出願番号】PCT/IB2010/003320
【国際公開番号】WO2011/077229
【国際公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(512162292)エレクトロ パワー システムズ エッセ.ピ.ア. (3)
【Fターム(参考)】