PEM燃料電池の内部水管理
水輸送手段(86)により燃料電池スタック50全体内で(燃料電池スタック(50)の各燃料電池内に配置される)同一又は異なる燃料電池の空気極水輸送板(34)から燃料極水輸送板(23)へ燃料電池生成水を輸送する。水輸送手段は、非常に高い透過性の陽子交換膜(21a)、炭化ケイ素粒子などの水輸送帯(90)、流量調節部(109)のある又は無い多孔質水輸送領域(107)、スタック全体にわたって延びる内部水マニホールド(112,113)、又は固体板(71)間の電池の組だけを通って延びる内部マニホールド(112a,112b,112c,112d,113a,113b,113c,113d)であってよい。例として、生成水の90%を酸化剤排気中に蒸気として移動し、30%を空気極水輸送板から水輸送手段(86)により燃料極水輸送板へ移動し、その内の20%を浸透と陽子の引力の正味の結果として燃料極から空気極へ流し、かつその内の10%を液体水として燃料極水輸送板から排出できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池スタックの外部において外部流路を設けることなく、単一の燃料電池、又は少数の燃料電池群内においてさえ、別の燃料電池からの、あるいは燃料電池スタック全体にわたって、水が混じり合うことなく、PEM燃料電池の空気極からPEM燃料電池の燃料極へ水を移動させることに関する。
【背景技術】
【0002】
図1において、従来の燃料電池スタック14は、約300個の燃料電池を有するが、燃料電池16と隣接する燃料電池18、19の部分とだけを示している。燃料電池16は、空気極と燃料極それぞれの触媒と共に陽子交換膜を含む膜電極アッセンブリ(MEA)21を備える。燃料極支持板22は、燃料流域通路26と溝28を有する多孔質の燃料極水輸送板23に隣接する。溝28は、隣接する空気極水輸送板31上の溝30と整合するときに、冷却水路29を形成する。同様に、空気極支持板32は、溝35を有する多孔質の空気極水輸送板34に隣接する。溝35は、隣の燃料電池19の別の燃料極水輸送板37の溝36と整合するときに、水路38を形成する。多くのPEM燃料電池において、1つの水輸送板中にのみ水路が存在するため、隣接する電池の連続的な水輸送板は平坦なものである。
【0003】
燃料電池18の空気極水輸送板31は、酸化剤反応物ガス通路40を有し、空気局水輸送板34は、酸化剤反応物ガス流域通路41を有する。燃料電池18は、部分的にのみ示しているが、膜電極アッセンブリ42、燃料極支持板43及び空気極支持板44を備え、この燃料電池の残部は簡略化のために省略されている。
【0004】
従来のPEM燃料電池発電設備において、水管理システムには、一方の側に反応ガスチャネル26,40,41,47を有し、他方の側に見ずチャネル29,38を有する多孔質水輸送板23、31、34、37を備える。図2を参照すると、従来の燃料電池スタック50は、図1の電池16,18,19に類似した約300個の電池を備える場合があり、また、水入口マニホールド52に水が進入し、チャネル29,38(図1)を通り、水出口マニホールド53から出て、熱交換器54又は逃し弁55のいずれかと通って横断するような水管理システムを有し得る。逃し弁55は、スタック50からライン61を介して温度情報を受信可能な制御器60に応答して、異なる度合いに選択的に開放することができる。水ポンプ63により、スタックと熱交換器を通って水が循環する。システムがアキュムレータ62を有する場合もある。この装置はスペースを取り、特に燃料電池で駆動する電気自動車ではそのようなスペースが不足している。さらに、電気ポンプによる寄生的な電力要求により、燃料電池プロセス全体の効率が低下する。
【0005】
特に自動車用途に対する燃料電池の始動に関する従来の知恵とは、燃料電池が凍結温度にさらされている場合、燃料電池を始動する前にこれを加熱することであり、このことは、自動車を運転できるようになる前に、かなりの遅延があることを意味する。その知恵に付随する目的とは、発電設備内に残留する水量を減少することであり、この水は、燃料電池発電設備を稼働する前に解凍して加熱しなくてはならなかった。2003年6月19日出願の、出願人が共通する、共に係属中の米国出願番号第10/465,006号において、PEM燃料電池スタックは、多孔質水輸送板中の反応ガス流域及び水流域と、不凍液である別個の冷却液流域を有する。機械的な水ポンプ、あるいはその他の水移動補助手段を使用することなく、多孔質板を通って水流中に漏れる反応ガスの気泡を、スタックの上端にある少なくとも1つの水出口マニホールドと連通する排気口を介して逃すことによって水管理を達成する。そのような水管理では、反応ガス気泡が存在し、かつその温度がスタック外部の水よりも高いことによって、水チャネル内の水の有効密度が低いため、水の移動は対流にも反応し得る。しかしながらこの装置には、燃料電池の外部に、水出口マニホールドから水入口マニホールドへ戻るように水を循環させる配管を依然として必要である。
【0006】
上述の問題点のいくつかは、燃料電池スタックの温度の制御、特に通常運転中の熱を除去するのに不凍液を使用することによって解消される。しかしながら、その結果、2〜4個の燃料電池毎に冷却板を使用しなくてはならず、このため、水輸送板23,31,34,37などの微小な多孔質の板で燃料電池を分離することが妨害される。図1に関連して説明した燃料電池においては、1つの燃料電池の空気極に生成した水、水輸送板を横断して隣接する電池の燃料極まで流すことが可能なため、PEMの脱水を非常に効果的に防ぐことができるが、固体の冷却剤に隣接した、あるいは(間に冷却剤を有さないそれら電池を分離するのに使用される)固体の分離板で分離される電池においては、このような機構を生起させることができない。
【0007】
循環する液体の水を有さない、いわゆる受動的な水管理の考え方は、電池スタックの入口で燃料を適切に加湿しないため、水輸送板と陽子交換膜が局部的に乾燥する。水輸送板が乾燥すると、燃料極流域から空気極水流域へガスが漏れる可能性がある。PEMが乾燥すると、電池内で生成された過酸化物による攻撃(腐食)に起因してPEMが劣化する。100%相対湿度近くまで電池が加湿されれば、このような乾燥の問題は避けられるが、システムがより複雑化したり容積と重量を増大したりすることが必要となり、さらには寄生的電力損失が増える。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的には、燃料電池スタックの外部において、機械式水ポンプ、水アキュムレータ又はその他の水管理装置を必要としないPEM燃料電池と、より高効率のPEM燃料電池、燃料電池スタックを水の凍結温度より低い温度に保持しやすい環境で使用するのに適したPEM燃料電池、寄生的電力が低減されたPEM燃料電池スタック、及び改良されたPEM燃料電池スタックの提供を含む。
【発明を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、PEM燃料電池中の生成水の一部が、液体の水として空気極水輸送板を介して空気極から除去され、その後燃料電池自体内で、燃料電池スタックから燃料極水輸送板へと内部的に輸送される。
【0010】
1つの形態において、本発明によれば、空気極基板、燃料極基板及び陽子交換膜(PEM)自体によって水輸送帯が形成される。他の形態において、本発明は、各燃料電池の1箇所以上の端部に沿って配設される多孔質の水輸送ゾーンを利用する。この形態では、空気極と燃料極の間の差圧によって水を輸送することができるか、あるいは、空気極水輸送板から電池端水輸送帯、さらに燃料極水輸送板まで燃料極水輸送板の毛管圧勾配を形成することにより水を輸送することができる。この毛管圧勾配は、水輸送板内で作用する表面張力により自然に形成される。燃料極水輸送板の含水量が不足し、空気極水輸送板の含水量が過剰になると、燃料極水輸送板内の平衡孔径は空気極水輸送板内の平衡孔径に相対して減少する。この機構により、空気極水輸送板に相対して、燃料極水輸送板内の毛管圧が大きくなり、電池の空気極側からその電池の燃料極側へ水が移動する。そのような場合、必要に応じて流れを規制する制限があってもよい。
【0011】
他の形態において、本発明は、50容積%〜70容積%の水和した超微孔性イオノマー相内に形成された、10容積%を超える微孔性の水充填相を具備し得る高い水透過性PEMを利用することができる。PEMは約20容積%〜約40容積%の構造的絶縁相を有し、平均長5μm〜10μmの1μm径の炭化ケイ素のウィスカーを備えることができる。約10μm〜25μm台の厚さを有する高い水透過性PEMを得るために、水和した超微孔性イオノマー相は、過フルオロスフホン酸イオノマーを含んでなるものであってよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図3を参照すると、1組につき2〜4個の燃料電池となるよう燃料電池を組分けする冷却板71と、それら自体は冷却板71で分離されない、燃料電池を分離するセパレーター板72を有する燃料電池スタック50において本発明の構想概念が概略的に示されている。不凍冷却装置74によってスタック50の冷却板71に不凍冷却液が供給される。
【0013】
供給源76から水素などの燃料が空気極の燃料ガス流域に供給され、燃料再循環ループ77があり得る。酸素や空気80などの酸化剤を、空気極酸化剤ガス流域41に供給することができる。水輸送板23,34から水を排出するよう、81,83を設けてもよい。反応物圧を制御するために、燃料ガス流域26中と酸化剤ガス流域41中に弁72,87を設けることができる。
【0014】
本発明の構成により、空気極水輸送板34から燃料極水輸送板23へと、燃料電池スタックの水を内部的に流すための、水輸送性能86が提供される。その最も広義において、本発明は、冷却板間の小さい電池の組、あるいは、燃料電池スタック全体における単一の電池内において、様々な方法で水輸送性能86を提供することを含むが、本発明はそれらの細部を制限するものではない。
【0015】
燃料極では、水は燃料ガス中に蒸発し、水分子は、陽子抵抗によって膜電極アッセンブリ21を通って空気局へ輸送される。乾燥を防止するために、この水(分子)は置き換えられなくてはならず、通常、当業界で既知の外部水管理システムによって水と置き換えられる。
【0016】
空気極では、生成水を空気極水輸送板で除去しなければ、過剰な生成水が蓄積されやすく、空気極における過剰な生成水によって、酸化剤の触媒への移行が妨げられ、燃料電池が酸化剤欠乏状態となる。典型的な場合、ほとんどの水は酸化剤ガス流中へ蒸発し、酸化剤ガス排出管を通って電池から離脱するが、その水のいく分かは水輸送板によって移動して外部へ排除されるため、燃料極が乾燥しないだけでなく、酸化剤ガス入口近くの空気極の膜電極アッセンブリが適切に加湿されるのを確実にするほどの水だけが戻る。
【0017】
本発明によれば、適切な作動パラメータ、並びに観ず輸送性能86により、水を直接燃料極へ、次いで燃料極水輸送板へ輸送することにより、空気極から十分な水を移動させることができる。水輸送の例として、約90%の生成水が、蒸気として空気極酸化剤ガス流域41からその排気系を介して移動する。次いで、そのうちの約30%の生成水は、水輸送性能86を介して空気極水輸送板34から燃料極水輸送板23へと輸送されることによって移動する。さらに、移動したうちの約10%の水は、弁87などの燃料極水排気系により電池から排出される。おおよそ20%の生成水MEA21を横断して、燃料極から空気極へ移動する。これは、陽子の吸引力と浸透の結果としての正味の水輸送を示している。前述の割合(パーセンテージ)は単に例示するものであって、本発明を特定の方法で実施した際に実際に得られるものではない。
【0018】
図4を参照すると、本発明の構成は、一形態において、不凍冷却液系89を内部に有する、水及びガス不透過性の導電性セパレーター板72か、あるいは水及びガス不透過性の導電性冷却板71によって、隣接する燃料電池から分離されている各燃料電池16aを含む。
【0019】
本発明の一実施態様によれば、燃料電池16aのそれぞれにおける膜電極アッセンブリ21aは、高い水透過性を有する陽子交換膜であり、米国特許出願第10/274,747号(2002年10月21日出願)に例示されているような型のものであってよい。しかしながら、前述の出願における高い水透過性PEMは、外部水管理システムを具備した装置においては利用されており、燃料電池の生成水はそのPEMを通って伝わり、処理される。本発明は、(停止時に水を除今日するための排水路は除いて)外部水管理設備を不要とするものであるため、細孔質の水充填相の量を、約10容積%以上、例えば、15容積%〜25容積%まで増大する必要がある。これは、前述の出願に開示の方法において容易に達成される。
【0020】
本発明の第2の実施態様を図5に示す。この実施態様では、水輸送帯90が、燃料電池16bの一端近くに設けられている。水輸送帯90は、燃料極触媒94と空気極触媒95と陽子交換膜91とを予め短くすることによって形成される。水輸送帯90領域(二重斜線部分)において、燃料極支持板22と空気極支持板32は、湿潤性で伝導性を有さない粒径5μm以下の、電池環境に対応した粒子が充填されている。例えば、炭化ケイ素は適した材料の1つである。膜91と触媒94,95の厚さは、図5においてはかなり強調して示されていることに注意されたい。この粒子材料は又、燃料極水輸送板23と空気極水輸送板34の間において、均一な電池厚を維持するのに十分な厚さになるよう、支持板22,32の表面上にスクリーン印刷(単斜線部分)することなどによって設けることができる。既存の支持板シール22a,32aを、燃料極支持板22、空気極支持板32のそれぞれの端部に設けることも可能である。
【0021】
本発明のこの実施態様は、冷却入口の端部に位置する燃料入口と空気出口を備えた、二路式の空気流路並びに二路式の燃料流路を有する燃料電池スタックに特別良好に適している。そのような構成により、燃料流が進入し、かつ加湿されることを必要とする位置から膜を横断した、大量の水を空気流から凝縮することができる。従って、電池のこの端部に水輸送帯90を配置することが最も好ましい。図5は、電池の端部に隣接して配置された水輸送帯を示している。水輸送帯は、電池の1つの端部に沿って、1つの端部の一部に沿って、2つの端部に沿って、2つの端部のそれぞれの一部に沿って、あるいは中央部分に配置することも可能である。
【0022】
空気極輸送板34の大部分を通って空気極水輸送板34中の水路38から水輸送帯90への水の流量、並びに、燃料極水輸送板23の大部分を通って燃料水路38への水の流量が不十分な場合、孔103,104を有する図6の形態を採用することができる。
【0023】
図7において、多孔質の水輸送用力107を、燃料電池16dの1つ以上の端部に設けて、空気極水輸送板34から燃料極水輸送板23へ水を誘導することができる。酸化剤燃料反応物ガスを、燃料反応物ガスの圧力よりも高い7〜14kPa(1又は2psi)の圧力まで加圧する必要がある場合、図8に示すように、電池16eの水輸送領域107内に流量調節部109を採用することができる。流量調節部は、領域107に沿った帯域からなるものであってよく、その帯域においては有孔率が低減されており、その場合、ウィッキングを促進しかつ電池16eから漏出する反応物ガスを抑制する気泡圧を提供するよう、輸送領域107の残部における孔径と同じかあるいはより小さい孔径を維持しなければならない。あるいは、流量調節部109は、減少された孔径を有する領域に沿った帯域からなるものであってよもよい。
【0024】
前述の本発明の実施態様の全ては、単一の燃料電池の空気極から燃料極への水の伝達に関する。本発明は、固体セパレーター板又は固体冷却板に連続した電池を除き、燃料電池のほとんどが、燃料極流域が、隣接する燃料電池の空気極流域に連続している場合をさらに包含し得る。
【0025】
図9には、明瞭にするために反応物流チャネルが省略された、冷却板71,72間に配置された複数の燃料電池16f,16gが示されている。また、全ての固体セパレーター板も省かれている。内部水マニホールド112,113が、それぞれ板71の上方左隅部と燃料電池16f,16g、板71の下方右隅部と燃料電池16f,16gを通って延びている。これらのマニホールド112,113は、水流チャネル38と流体的に連通しており、電池16fに関しては、燃料極水輸送板においてのみ存在し、空気極側の水輸送板34aは水流チャネルを有さず、板34aの孔は、隣接する燃料極水輸送板23に連続する水流チャネル38と完全に流体的に連通している。しかしながら、電池16gにおいては、空気極側の水輸送板34は、水流チャネル38を有する。水流チャネル38の全ては、内部水マニホールド112,113と液体的に連通している。
【0026】
図9の実施態様では、図10に示すように、内部水マニホールド112,113は、4つの燃料電池かつ水輸送板を通って延びているだけでなく、燃料電池スタック全体を通って延在している。このようにして、冷却空気客板71に連続する燃料極のそれぞれは、内部水マニホールド112,113から必要な水を受容する。同様に、冷却板71と連続する燃料電池16gのそれぞれからの過剰な生成水には、その燃料電池自体の水チャネル38(図9)を通って内部水マニホールド112,113中に移動する生成水を含む。
【0027】
しかしながら、本発明は又、図11に示すような冷却板間の電池組への水の流量を制限することを包含する。従って、内部水マニホールド112b,113b及び112c,113cは、それぞれ、4つの燃料電池16f及び16gだけを通過する。冷却板間の電池組への流量を制限するか、あるいは燃料電池スタック全体に流れるようにするか、いずれか一方を選択することは、実施する態様の特定の設計条件に依存するであろう。
【0028】
例示目的でのみであり、開示の代表的な割合(パーセンテージ)に関係なく、図12は、本発明の実用可能な構成全体を示している。他の電池の水と混じり合うことなく、水が電池内部でのみ移動する(図3〜図8)か、あるいは、相互に隣接する連続的な電池の間、及び固体冷却板の間に位置する電池の小さい組の電池の端部の間を水が移動するか(図1)、さらには又、スタックの燃料電池全てが相互に液体的に連通している(図9及び図10)。典型的な燃料電池の組において、燃料極から空気極への正味の水の流れは、生成水1モル当たり0.2モル台であり、100kPaにおいて、初期故障を引き起こし得る、燃料極ポンプ自体の乾燥を防ぐのに水素流中、約20%のモル比率である水が必要である。これは、65℃である露点と同じである。
【0029】
図12において、図示するように、陽子の引力並びに適切に水和された燃料極により、かつ部分的に浸透により、生成水の20%が燃料極流域から膜電極アッセンブリを通って空気極流域まで流れると想定した場合、生成水の90%が蒸気として空気極流域から出ると仮定することによって水平衡を達成することができる。これは、燃料電池に存在する反応物流の温度が既知の方法で制御されている限り、過剰な酸化剤反応物ガス圧を要することなく容易に達成される。生成水の30%が、ある水輸送性能86aによって(前述の、図4〜図11に関して説明したように)、燃料極水輸送板へ輸送される場合、その生成水の3分の2は、燃料極の燃料反応物ガス流域中に移動して空気極流域を流れ、又、残りの3分の1は液体として燃料極水輸送板から流出する。一定の液体の水を燃料極水輸送板から排出するのを確実にすることにより、燃料極流域の加湿、並びに膜電極アッセンブリを通って移動する水の補充が保証される。
【0030】
本発明は、このようにして(排出系を除く)外部水設備を必要とすることなく、また、固体セパレーター板及び/又は固体冷却板で燃料電池の領域を分離するかしないに関わらず、燃料極の加湿と空気極の過剰な水の除去を達成する。固体冷却板は、2〜6個の燃料電池ごとに使用することができるため、水管理と統合することなく、不凍冷却剤が冷却機能を引き継ぐことができるため、外部設備を要することなく、水管理を簡単なものとして、内部的に行えるものとすることができ、
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】明確化のために区分線を省略した、従来の燃料電池であり、隣接する燃料電池の部分を示す定型化された簡略的な側面断面図である。
【図2】従来の燃料電池発電設備の一部を示す、簡略的なブロック図である。
【図3】本発明を組込んだ燃料電池の一形態を示す簡略的な概念図である。
【図4】明確化のために区分線を省略した、空気極水輸送板から燃料極水輸送板への水の移動を容易にする、水和された超微細な多孔質イオノマー内に微細な開孔を備える陽子交換膜を有する、本発明による燃料電池を示す定型化された簡略的な側面断面図である。
【図5】明確化のために区分線を省略した、空気極水輸送板と燃料極輸送板の間に水輸送帯を有する、本発明による燃料電池を示す、定型化した簡略的な側面断面図である。
【図6】水移動孔を有する、図5の変更態様を示す図である。
【図7】明確化のために区分線を省略した、隣接する端部に多孔質水輸送板を有する本発明による燃料電池の定型化した簡略的な側面断面図である。
【図8】本発明による流れレストリクターを備える、図7の変更態様を示す図である。
【図9】本発明による、固体板の間にあり、それら固体板を貫通する内部水マニホsールドを有する複数の電池の透視図である。
【図10】図9の内部水マニホールドを示す、定型化した簡略的な側面図である。
【図11】本発明による、固体板間にある燃料電池間の水を案内する内部水マニホールドを示す、燃料電池の1つの組を示す簡略的な側面図である。
【図12】本発明による、水の流れを示す概略図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池スタックの外部において外部流路を設けることなく、単一の燃料電池、又は少数の燃料電池群内においてさえ、別の燃料電池からの、あるいは燃料電池スタック全体にわたって、水が混じり合うことなく、PEM燃料電池の空気極からPEM燃料電池の燃料極へ水を移動させることに関する。
【背景技術】
【0002】
図1において、従来の燃料電池スタック14は、約300個の燃料電池を有するが、燃料電池16と隣接する燃料電池18、19の部分とだけを示している。燃料電池16は、空気極と燃料極それぞれの触媒と共に陽子交換膜を含む膜電極アッセンブリ(MEA)21を備える。燃料極支持板22は、燃料流域通路26と溝28を有する多孔質の燃料極水輸送板23に隣接する。溝28は、隣接する空気極水輸送板31上の溝30と整合するときに、冷却水路29を形成する。同様に、空気極支持板32は、溝35を有する多孔質の空気極水輸送板34に隣接する。溝35は、隣の燃料電池19の別の燃料極水輸送板37の溝36と整合するときに、水路38を形成する。多くのPEM燃料電池において、1つの水輸送板中にのみ水路が存在するため、隣接する電池の連続的な水輸送板は平坦なものである。
【0003】
燃料電池18の空気極水輸送板31は、酸化剤反応物ガス通路40を有し、空気局水輸送板34は、酸化剤反応物ガス流域通路41を有する。燃料電池18は、部分的にのみ示しているが、膜電極アッセンブリ42、燃料極支持板43及び空気極支持板44を備え、この燃料電池の残部は簡略化のために省略されている。
【0004】
従来のPEM燃料電池発電設備において、水管理システムには、一方の側に反応ガスチャネル26,40,41,47を有し、他方の側に見ずチャネル29,38を有する多孔質水輸送板23、31、34、37を備える。図2を参照すると、従来の燃料電池スタック50は、図1の電池16,18,19に類似した約300個の電池を備える場合があり、また、水入口マニホールド52に水が進入し、チャネル29,38(図1)を通り、水出口マニホールド53から出て、熱交換器54又は逃し弁55のいずれかと通って横断するような水管理システムを有し得る。逃し弁55は、スタック50からライン61を介して温度情報を受信可能な制御器60に応答して、異なる度合いに選択的に開放することができる。水ポンプ63により、スタックと熱交換器を通って水が循環する。システムがアキュムレータ62を有する場合もある。この装置はスペースを取り、特に燃料電池で駆動する電気自動車ではそのようなスペースが不足している。さらに、電気ポンプによる寄生的な電力要求により、燃料電池プロセス全体の効率が低下する。
【0005】
特に自動車用途に対する燃料電池の始動に関する従来の知恵とは、燃料電池が凍結温度にさらされている場合、燃料電池を始動する前にこれを加熱することであり、このことは、自動車を運転できるようになる前に、かなりの遅延があることを意味する。その知恵に付随する目的とは、発電設備内に残留する水量を減少することであり、この水は、燃料電池発電設備を稼働する前に解凍して加熱しなくてはならなかった。2003年6月19日出願の、出願人が共通する、共に係属中の米国出願番号第10/465,006号において、PEM燃料電池スタックは、多孔質水輸送板中の反応ガス流域及び水流域と、不凍液である別個の冷却液流域を有する。機械的な水ポンプ、あるいはその他の水移動補助手段を使用することなく、多孔質板を通って水流中に漏れる反応ガスの気泡を、スタックの上端にある少なくとも1つの水出口マニホールドと連通する排気口を介して逃すことによって水管理を達成する。そのような水管理では、反応ガス気泡が存在し、かつその温度がスタック外部の水よりも高いことによって、水チャネル内の水の有効密度が低いため、水の移動は対流にも反応し得る。しかしながらこの装置には、燃料電池の外部に、水出口マニホールドから水入口マニホールドへ戻るように水を循環させる配管を依然として必要である。
【0006】
上述の問題点のいくつかは、燃料電池スタックの温度の制御、特に通常運転中の熱を除去するのに不凍液を使用することによって解消される。しかしながら、その結果、2〜4個の燃料電池毎に冷却板を使用しなくてはならず、このため、水輸送板23,31,34,37などの微小な多孔質の板で燃料電池を分離することが妨害される。図1に関連して説明した燃料電池においては、1つの燃料電池の空気極に生成した水、水輸送板を横断して隣接する電池の燃料極まで流すことが可能なため、PEMの脱水を非常に効果的に防ぐことができるが、固体の冷却剤に隣接した、あるいは(間に冷却剤を有さないそれら電池を分離するのに使用される)固体の分離板で分離される電池においては、このような機構を生起させることができない。
【0007】
循環する液体の水を有さない、いわゆる受動的な水管理の考え方は、電池スタックの入口で燃料を適切に加湿しないため、水輸送板と陽子交換膜が局部的に乾燥する。水輸送板が乾燥すると、燃料極流域から空気極水流域へガスが漏れる可能性がある。PEMが乾燥すると、電池内で生成された過酸化物による攻撃(腐食)に起因してPEMが劣化する。100%相対湿度近くまで電池が加湿されれば、このような乾燥の問題は避けられるが、システムがより複雑化したり容積と重量を増大したりすることが必要となり、さらには寄生的電力損失が増える。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的には、燃料電池スタックの外部において、機械式水ポンプ、水アキュムレータ又はその他の水管理装置を必要としないPEM燃料電池と、より高効率のPEM燃料電池、燃料電池スタックを水の凍結温度より低い温度に保持しやすい環境で使用するのに適したPEM燃料電池、寄生的電力が低減されたPEM燃料電池スタック、及び改良されたPEM燃料電池スタックの提供を含む。
【発明を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、PEM燃料電池中の生成水の一部が、液体の水として空気極水輸送板を介して空気極から除去され、その後燃料電池自体内で、燃料電池スタックから燃料極水輸送板へと内部的に輸送される。
【0010】
1つの形態において、本発明によれば、空気極基板、燃料極基板及び陽子交換膜(PEM)自体によって水輸送帯が形成される。他の形態において、本発明は、各燃料電池の1箇所以上の端部に沿って配設される多孔質の水輸送ゾーンを利用する。この形態では、空気極と燃料極の間の差圧によって水を輸送することができるか、あるいは、空気極水輸送板から電池端水輸送帯、さらに燃料極水輸送板まで燃料極水輸送板の毛管圧勾配を形成することにより水を輸送することができる。この毛管圧勾配は、水輸送板内で作用する表面張力により自然に形成される。燃料極水輸送板の含水量が不足し、空気極水輸送板の含水量が過剰になると、燃料極水輸送板内の平衡孔径は空気極水輸送板内の平衡孔径に相対して減少する。この機構により、空気極水輸送板に相対して、燃料極水輸送板内の毛管圧が大きくなり、電池の空気極側からその電池の燃料極側へ水が移動する。そのような場合、必要に応じて流れを規制する制限があってもよい。
【0011】
他の形態において、本発明は、50容積%〜70容積%の水和した超微孔性イオノマー相内に形成された、10容積%を超える微孔性の水充填相を具備し得る高い水透過性PEMを利用することができる。PEMは約20容積%〜約40容積%の構造的絶縁相を有し、平均長5μm〜10μmの1μm径の炭化ケイ素のウィスカーを備えることができる。約10μm〜25μm台の厚さを有する高い水透過性PEMを得るために、水和した超微孔性イオノマー相は、過フルオロスフホン酸イオノマーを含んでなるものであってよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図3を参照すると、1組につき2〜4個の燃料電池となるよう燃料電池を組分けする冷却板71と、それら自体は冷却板71で分離されない、燃料電池を分離するセパレーター板72を有する燃料電池スタック50において本発明の構想概念が概略的に示されている。不凍冷却装置74によってスタック50の冷却板71に不凍冷却液が供給される。
【0013】
供給源76から水素などの燃料が空気極の燃料ガス流域に供給され、燃料再循環ループ77があり得る。酸素や空気80などの酸化剤を、空気極酸化剤ガス流域41に供給することができる。水輸送板23,34から水を排出するよう、81,83を設けてもよい。反応物圧を制御するために、燃料ガス流域26中と酸化剤ガス流域41中に弁72,87を設けることができる。
【0014】
本発明の構成により、空気極水輸送板34から燃料極水輸送板23へと、燃料電池スタックの水を内部的に流すための、水輸送性能86が提供される。その最も広義において、本発明は、冷却板間の小さい電池の組、あるいは、燃料電池スタック全体における単一の電池内において、様々な方法で水輸送性能86を提供することを含むが、本発明はそれらの細部を制限するものではない。
【0015】
燃料極では、水は燃料ガス中に蒸発し、水分子は、陽子抵抗によって膜電極アッセンブリ21を通って空気局へ輸送される。乾燥を防止するために、この水(分子)は置き換えられなくてはならず、通常、当業界で既知の外部水管理システムによって水と置き換えられる。
【0016】
空気極では、生成水を空気極水輸送板で除去しなければ、過剰な生成水が蓄積されやすく、空気極における過剰な生成水によって、酸化剤の触媒への移行が妨げられ、燃料電池が酸化剤欠乏状態となる。典型的な場合、ほとんどの水は酸化剤ガス流中へ蒸発し、酸化剤ガス排出管を通って電池から離脱するが、その水のいく分かは水輸送板によって移動して外部へ排除されるため、燃料極が乾燥しないだけでなく、酸化剤ガス入口近くの空気極の膜電極アッセンブリが適切に加湿されるのを確実にするほどの水だけが戻る。
【0017】
本発明によれば、適切な作動パラメータ、並びに観ず輸送性能86により、水を直接燃料極へ、次いで燃料極水輸送板へ輸送することにより、空気極から十分な水を移動させることができる。水輸送の例として、約90%の生成水が、蒸気として空気極酸化剤ガス流域41からその排気系を介して移動する。次いで、そのうちの約30%の生成水は、水輸送性能86を介して空気極水輸送板34から燃料極水輸送板23へと輸送されることによって移動する。さらに、移動したうちの約10%の水は、弁87などの燃料極水排気系により電池から排出される。おおよそ20%の生成水MEA21を横断して、燃料極から空気極へ移動する。これは、陽子の吸引力と浸透の結果としての正味の水輸送を示している。前述の割合(パーセンテージ)は単に例示するものであって、本発明を特定の方法で実施した際に実際に得られるものではない。
【0018】
図4を参照すると、本発明の構成は、一形態において、不凍冷却液系89を内部に有する、水及びガス不透過性の導電性セパレーター板72か、あるいは水及びガス不透過性の導電性冷却板71によって、隣接する燃料電池から分離されている各燃料電池16aを含む。
【0019】
本発明の一実施態様によれば、燃料電池16aのそれぞれにおける膜電極アッセンブリ21aは、高い水透過性を有する陽子交換膜であり、米国特許出願第10/274,747号(2002年10月21日出願)に例示されているような型のものであってよい。しかしながら、前述の出願における高い水透過性PEMは、外部水管理システムを具備した装置においては利用されており、燃料電池の生成水はそのPEMを通って伝わり、処理される。本発明は、(停止時に水を除今日するための排水路は除いて)外部水管理設備を不要とするものであるため、細孔質の水充填相の量を、約10容積%以上、例えば、15容積%〜25容積%まで増大する必要がある。これは、前述の出願に開示の方法において容易に達成される。
【0020】
本発明の第2の実施態様を図5に示す。この実施態様では、水輸送帯90が、燃料電池16bの一端近くに設けられている。水輸送帯90は、燃料極触媒94と空気極触媒95と陽子交換膜91とを予め短くすることによって形成される。水輸送帯90領域(二重斜線部分)において、燃料極支持板22と空気極支持板32は、湿潤性で伝導性を有さない粒径5μm以下の、電池環境に対応した粒子が充填されている。例えば、炭化ケイ素は適した材料の1つである。膜91と触媒94,95の厚さは、図5においてはかなり強調して示されていることに注意されたい。この粒子材料は又、燃料極水輸送板23と空気極水輸送板34の間において、均一な電池厚を維持するのに十分な厚さになるよう、支持板22,32の表面上にスクリーン印刷(単斜線部分)することなどによって設けることができる。既存の支持板シール22a,32aを、燃料極支持板22、空気極支持板32のそれぞれの端部に設けることも可能である。
【0021】
本発明のこの実施態様は、冷却入口の端部に位置する燃料入口と空気出口を備えた、二路式の空気流路並びに二路式の燃料流路を有する燃料電池スタックに特別良好に適している。そのような構成により、燃料流が進入し、かつ加湿されることを必要とする位置から膜を横断した、大量の水を空気流から凝縮することができる。従って、電池のこの端部に水輸送帯90を配置することが最も好ましい。図5は、電池の端部に隣接して配置された水輸送帯を示している。水輸送帯は、電池の1つの端部に沿って、1つの端部の一部に沿って、2つの端部に沿って、2つの端部のそれぞれの一部に沿って、あるいは中央部分に配置することも可能である。
【0022】
空気極輸送板34の大部分を通って空気極水輸送板34中の水路38から水輸送帯90への水の流量、並びに、燃料極水輸送板23の大部分を通って燃料水路38への水の流量が不十分な場合、孔103,104を有する図6の形態を採用することができる。
【0023】
図7において、多孔質の水輸送用力107を、燃料電池16dの1つ以上の端部に設けて、空気極水輸送板34から燃料極水輸送板23へ水を誘導することができる。酸化剤燃料反応物ガスを、燃料反応物ガスの圧力よりも高い7〜14kPa(1又は2psi)の圧力まで加圧する必要がある場合、図8に示すように、電池16eの水輸送領域107内に流量調節部109を採用することができる。流量調節部は、領域107に沿った帯域からなるものであってよく、その帯域においては有孔率が低減されており、その場合、ウィッキングを促進しかつ電池16eから漏出する反応物ガスを抑制する気泡圧を提供するよう、輸送領域107の残部における孔径と同じかあるいはより小さい孔径を維持しなければならない。あるいは、流量調節部109は、減少された孔径を有する領域に沿った帯域からなるものであってよもよい。
【0024】
前述の本発明の実施態様の全ては、単一の燃料電池の空気極から燃料極への水の伝達に関する。本発明は、固体セパレーター板又は固体冷却板に連続した電池を除き、燃料電池のほとんどが、燃料極流域が、隣接する燃料電池の空気極流域に連続している場合をさらに包含し得る。
【0025】
図9には、明瞭にするために反応物流チャネルが省略された、冷却板71,72間に配置された複数の燃料電池16f,16gが示されている。また、全ての固体セパレーター板も省かれている。内部水マニホールド112,113が、それぞれ板71の上方左隅部と燃料電池16f,16g、板71の下方右隅部と燃料電池16f,16gを通って延びている。これらのマニホールド112,113は、水流チャネル38と流体的に連通しており、電池16fに関しては、燃料極水輸送板においてのみ存在し、空気極側の水輸送板34aは水流チャネルを有さず、板34aの孔は、隣接する燃料極水輸送板23に連続する水流チャネル38と完全に流体的に連通している。しかしながら、電池16gにおいては、空気極側の水輸送板34は、水流チャネル38を有する。水流チャネル38の全ては、内部水マニホールド112,113と液体的に連通している。
【0026】
図9の実施態様では、図10に示すように、内部水マニホールド112,113は、4つの燃料電池かつ水輸送板を通って延びているだけでなく、燃料電池スタック全体を通って延在している。このようにして、冷却空気客板71に連続する燃料極のそれぞれは、内部水マニホールド112,113から必要な水を受容する。同様に、冷却板71と連続する燃料電池16gのそれぞれからの過剰な生成水には、その燃料電池自体の水チャネル38(図9)を通って内部水マニホールド112,113中に移動する生成水を含む。
【0027】
しかしながら、本発明は又、図11に示すような冷却板間の電池組への水の流量を制限することを包含する。従って、内部水マニホールド112b,113b及び112c,113cは、それぞれ、4つの燃料電池16f及び16gだけを通過する。冷却板間の電池組への流量を制限するか、あるいは燃料電池スタック全体に流れるようにするか、いずれか一方を選択することは、実施する態様の特定の設計条件に依存するであろう。
【0028】
例示目的でのみであり、開示の代表的な割合(パーセンテージ)に関係なく、図12は、本発明の実用可能な構成全体を示している。他の電池の水と混じり合うことなく、水が電池内部でのみ移動する(図3〜図8)か、あるいは、相互に隣接する連続的な電池の間、及び固体冷却板の間に位置する電池の小さい組の電池の端部の間を水が移動するか(図1)、さらには又、スタックの燃料電池全てが相互に液体的に連通している(図9及び図10)。典型的な燃料電池の組において、燃料極から空気極への正味の水の流れは、生成水1モル当たり0.2モル台であり、100kPaにおいて、初期故障を引き起こし得る、燃料極ポンプ自体の乾燥を防ぐのに水素流中、約20%のモル比率である水が必要である。これは、65℃である露点と同じである。
【0029】
図12において、図示するように、陽子の引力並びに適切に水和された燃料極により、かつ部分的に浸透により、生成水の20%が燃料極流域から膜電極アッセンブリを通って空気極流域まで流れると想定した場合、生成水の90%が蒸気として空気極流域から出ると仮定することによって水平衡を達成することができる。これは、燃料電池に存在する反応物流の温度が既知の方法で制御されている限り、過剰な酸化剤反応物ガス圧を要することなく容易に達成される。生成水の30%が、ある水輸送性能86aによって(前述の、図4〜図11に関して説明したように)、燃料極水輸送板へ輸送される場合、その生成水の3分の2は、燃料極の燃料反応物ガス流域中に移動して空気極流域を流れ、又、残りの3分の1は液体として燃料極水輸送板から流出する。一定の液体の水を燃料極水輸送板から排出するのを確実にすることにより、燃料極流域の加湿、並びに膜電極アッセンブリを通って移動する水の補充が保証される。
【0030】
本発明は、このようにして(排出系を除く)外部水設備を必要とすることなく、また、固体セパレーター板及び/又は固体冷却板で燃料電池の領域を分離するかしないに関わらず、燃料極の加湿と空気極の過剰な水の除去を達成する。固体冷却板は、2〜6個の燃料電池ごとに使用することができるため、水管理と統合することなく、不凍冷却剤が冷却機能を引き継ぐことができるため、外部設備を要することなく、水管理を簡単なものとして、内部的に行えるものとすることができ、
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】明確化のために区分線を省略した、従来の燃料電池であり、隣接する燃料電池の部分を示す定型化された簡略的な側面断面図である。
【図2】従来の燃料電池発電設備の一部を示す、簡略的なブロック図である。
【図3】本発明を組込んだ燃料電池の一形態を示す簡略的な概念図である。
【図4】明確化のために区分線を省略した、空気極水輸送板から燃料極水輸送板への水の移動を容易にする、水和された超微細な多孔質イオノマー内に微細な開孔を備える陽子交換膜を有する、本発明による燃料電池を示す定型化された簡略的な側面断面図である。
【図5】明確化のために区分線を省略した、空気極水輸送板と燃料極輸送板の間に水輸送帯を有する、本発明による燃料電池を示す、定型化した簡略的な側面断面図である。
【図6】水移動孔を有する、図5の変更態様を示す図である。
【図7】明確化のために区分線を省略した、隣接する端部に多孔質水輸送板を有する本発明による燃料電池の定型化した簡略的な側面断面図である。
【図8】本発明による流れレストリクターを備える、図7の変更態様を示す図である。
【図9】本発明による、固体板の間にあり、それら固体板を貫通する内部水マニホsールドを有する複数の電池の透視図である。
【図10】図9の内部水マニホールドを示す、定型化した簡略的な側面図である。
【図11】本発明による、固体板間にある燃料電池間の水を案内する内部水マニホールドを示す、燃料電池の1つの組を示す簡略的な側面図である。
【図12】本発明による、水の流れを示す概略図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スタック中に設けられ、それぞれが空気極触媒と燃料極触媒の間の陽子交換膜(21,42)、燃料極触媒に隣接する燃料極支持板(22)、空気極触媒に隣接する空気極支持板(32)、燃料極支持板に隣接する燃料反応物ガス流域(26)を有する多孔質燃料極水輸送板(23)、及び空気極支持板に隣接する酸化剤反応物ガス流域(40,41)を有する多孔質空気極水輸送板(31,34)を有する膜電極アッセンブリを備える複数の燃料電池(16,18,19)と、
スタック中の少なくともいくつかの電池の間に配置される、1つ又はより多くの固体冷却板(72)と固体セパレーター板(72)から選択される複数の固体板、
を含んでなる燃料電池スタックであって、スタック内で、内部的にのみ少なくとも1つの燃料電池の空気極水輸送板から、その1つの電池、又は別の電池の燃料極水輸送板の少なくとも1つへ水を移動させるために、水輸送手段(21a,90,103,104,107,112,113)を燃料電池のそれぞれに配置することを特徴とする、燃料電池発電設備のための燃料電池スタック(50)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの燃料極水輸送板(23,34)(図11)が、別の燃料電池(16g)中にあり、かつ、1つの電池(16f)と別の電池(16g)は、それぞれ前記固体板(71)の1つに隣接して配置されることを特徴とする、請求項1記載の燃料電池スタック。
【請求項3】
前記固体板(71,72)の1つと連続する前記水輸送板(31,34)のそれぞれが、前記連続する固体板に隣接した水流域(38)を有することを特徴とする、請求項1記載の燃料電池スタック。
【請求項4】
固体冷却板(71,72)の連続する対の間に、2から5個の前記燃料電池(16f,16g)があることを特徴とする、請求項1記載の燃料電池スタック。
【請求項5】
前記固体板(71)の連続する対の間に、1から4個の固体セパレーター板(72)があることを特徴とする、請求項4記載の燃料電池スタック。
【請求項6】
前記水輸送手段が、前記燃料電池(16)のそれぞれ及び前記固体セパレーター板(71,72)のそれぞれを完全に通って延び、前記多孔質水輸送板(31,34)と液体的に連通する、少なくとも1つの内部水マニホールド(112,113)(図5)からなることを特徴とする、請求項5記載の燃料電池スタック。
【請求項7】
前記水輸送手段が、前記燃料電池のそれぞれと、前記固体板のそれぞれを完全に通って延びる少なくとも1つの内部水マニホールド(112,113)からなり、その少なくとも1つの内部水マニホールドは、前記多孔質水輸送板(31,34)と液体的に連通していることを特徴とする、請求項4記載の燃料電池スタック。
【請求項8】
前記水輸送手段が、前記スタックの一端における第1の固体板と、前記スタックの反対側の端部にある最後の固体板を除いて、前記燃料電池スタック全体にわたって延在する、少なくとも1つの内部水マニホールド(112,113)(図10)からなり、その少なくとも1つの内部水マニホールドは、前記多孔質水輸送板と液体的に連通していることを特徴とする、請求項1記載の燃料電池スタック。
【請求項9】
前記水輸送手段が、高い水透過性を有する陽子交換膜(21a)からなることを特徴とする、請求項1記載の燃料電池スタック。
【請求項10】
前記膜が、10容積%を超える微孔性の水充填相を有することを特徴とする、請求項9記載の燃料電池スタック。
【請求項11】
前記膜が、15容積%から25容積%の微孔性の水充填相を有することを特徴とする、請求項9記載の燃料電池スタック。
【請求項12】
前記水輸送手段が、湿潤性の、非導電性の5μm以下の孔径を有する粒子から構成される水輸送帯(90)を有し、その帯は、前記空気極水輸送板から前記燃料極水輸送板まで延在することを特徴とする、請求項1記載の燃料電池スタック。
【請求項13】
前記水輸送帯が、炭化ケイ素からなることを特徴とする、請求項12記載の燃料電池スタック。
【請求項14】
前記炭化ケイ素を、前記燃料電池の支持板上に、前記支持板及び前記触媒の厚さに適応させるよう十分な厚さでスクリーン印刷することを特徴とする、請求項13記載の燃料電池スタック。
【請求項15】
前記水流域(38)から前記水輸送帯(90)へと水を伝達するために、前記水輸送板に孔(103,104)が設けられていることを特徴とする、請求項13記載の燃料電池スタック。
【請求項16】
多孔質水輸送領域(107)(図7)が、少なくとも1つの燃料電池の少なくとも1つの端部に隣接しており、前記水輸送領域は、前記空気極水輸送板の少なくとも1つの端部と前記燃料極水輸送板の少なくとも1つの端部に連続し、かつ水連通することを特徴とする、請求項1記載の燃料電池スタック。
【請求項17】
前記輸送領域(107)(図8)が、前記空気極水輸送板と前記燃料極水輸送板の間に流量調節部(109)を備えることを特徴とする、請求項16記載の燃料電池スタック。
【請求項18】
前記燃料電池の空気極で生成した生成水の約90%が、前記燃料スタックから蒸気として移動して、前記酸化剤反応物ガス流域(41)中の排気中に放出され、前記燃料電池の空気極で生成した生成水の約30%全てが、前記スタック内で、前記スタックの前記空気極水輸送板(34)から前記スタックの前記燃料極水輸送板(23)へ移動し、かつ、前記燃料電池の前記空気極で生成した生成水の約10%が、前記燃料極水輸送板の排気系を通って液体の水として排出される(図12)ことを特徴とする、請求項1記載の燃料電池スタック。
【請求項19】
スタックの燃料電池の空気極で生成した生成水の80%から95%を蒸気として酸化剤反応物ガス流域(41)中の排気中に放出することと、
前記スタック内の少なくとも1つの水輸送路(21a,90,107,112,113)により、燃料電池の空気極で生成した生成水の25から40%を燃料電池の空気極水輸送板(34)から燃料電池の燃料極水輸送板(23)へ移動させることと、
燃料電池の空気極で生成した生成水の5%から15%を燃料極水輸送板からの排気中に移動させること、
を含んでなることを特徴とする、外部水管理装置を有さない燃料電池スタックを操作する方法。
【請求項20】
それぞれの燃料電池が、空気極触媒と燃料極触媒の間に陽子交換膜(21,21a)を有する膜電極アッセンブリと、空気極触媒に隣接する燃料極支持板(22)と、空気極触媒に隣接する空気極支持板(32)と、燃料電池支持板に隣接する燃料反応物ガス流域(26)を有する多孔質燃料水輸送板(23)と、空気極支持板に隣接する酸化剤反応物ガス流域(40,41)を有する多孔質空気極水輸送板(31,34)を備え、各電池の前記水輸送板の少なくとも1つは水流チャネル(38)と、固体冷却板(71)と固体セパレート板(72)のいずれか1つ以上から選択され、少なくともいくつかの電池の間に配置される複数の固体板を有する、燃料電池のスタックを有する燃料電池発電設備を操作する方法であって、
前記燃料電池スタック内において、内部的にのみ、少なくとも1つの前記燃料電池の前記空気極水輸送板から、同じ1つの燃料電池内(図4から図8)か又は、別燃料電池内(図10,図11)の少なくとも1つの燃料極水輸送板へ水を輸送することを特徴とする、燃料電池のスタックを有する燃料電池発電設備を操作する方法。
【請求項21】
それぞれの燃料電池が、空気極触媒と燃料極触媒の間に陽子交換膜(21,21a)を有する膜電極アッセンブリと、空気極触媒に隣接する燃料極支持板(22)と、空気極触媒に隣接する空気極支持板(32)と、燃料電池支持板に隣接する燃料反応物ガス流域(26)を有する多孔質燃料水輸送板(23)と、空気極支持板に隣接する酸化剤反応物ガス流域(40,41)を有する多孔質空気極水輸送板(31,34)を備え、各電池の燃料極水輸送板は、水流チャネル(38)と、前記燃料電池を、1つの組につき2から6個の燃料電池の組になるよう分離する複数の固体冷却板(71)を有し、その固体冷却板の1つに隣接する各燃料極水輸送板も又水流チャネル(38)を有する、燃料電池のスタックを有する燃料電池発電設備を操作する方法であって、
前記燃料電池スタック内において、内部的にのみ、前記燃料電池スタックの第1の端部の空気極水輸送板から、その第1の端部と反対側にある、前記燃料電池スタックの第2の端部の燃料極水輸送板へと、前記水輸送板の全てと液体的に連通する少なくとも1つの内部水マニホールド(112,113)を通って水を案内することを特徴とする、燃料電池のスタックを有する燃料電池発電設備を操作する方法。
【請求項1】
スタック中に設けられ、それぞれが空気極触媒と燃料極触媒の間の陽子交換膜(21,42)、燃料極触媒に隣接する燃料極支持板(22)、空気極触媒に隣接する空気極支持板(32)、燃料極支持板に隣接する燃料反応物ガス流域(26)を有する多孔質燃料極水輸送板(23)、及び空気極支持板に隣接する酸化剤反応物ガス流域(40,41)を有する多孔質空気極水輸送板(31,34)を有する膜電極アッセンブリを備える複数の燃料電池(16,18,19)と、
スタック中の少なくともいくつかの電池の間に配置される、1つ又はより多くの固体冷却板(72)と固体セパレーター板(72)から選択される複数の固体板、
を含んでなる燃料電池スタックであって、スタック内で、内部的にのみ少なくとも1つの燃料電池の空気極水輸送板から、その1つの電池、又は別の電池の燃料極水輸送板の少なくとも1つへ水を移動させるために、水輸送手段(21a,90,103,104,107,112,113)を燃料電池のそれぞれに配置することを特徴とする、燃料電池発電設備のための燃料電池スタック(50)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの燃料極水輸送板(23,34)(図11)が、別の燃料電池(16g)中にあり、かつ、1つの電池(16f)と別の電池(16g)は、それぞれ前記固体板(71)の1つに隣接して配置されることを特徴とする、請求項1記載の燃料電池スタック。
【請求項3】
前記固体板(71,72)の1つと連続する前記水輸送板(31,34)のそれぞれが、前記連続する固体板に隣接した水流域(38)を有することを特徴とする、請求項1記載の燃料電池スタック。
【請求項4】
固体冷却板(71,72)の連続する対の間に、2から5個の前記燃料電池(16f,16g)があることを特徴とする、請求項1記載の燃料電池スタック。
【請求項5】
前記固体板(71)の連続する対の間に、1から4個の固体セパレーター板(72)があることを特徴とする、請求項4記載の燃料電池スタック。
【請求項6】
前記水輸送手段が、前記燃料電池(16)のそれぞれ及び前記固体セパレーター板(71,72)のそれぞれを完全に通って延び、前記多孔質水輸送板(31,34)と液体的に連通する、少なくとも1つの内部水マニホールド(112,113)(図5)からなることを特徴とする、請求項5記載の燃料電池スタック。
【請求項7】
前記水輸送手段が、前記燃料電池のそれぞれと、前記固体板のそれぞれを完全に通って延びる少なくとも1つの内部水マニホールド(112,113)からなり、その少なくとも1つの内部水マニホールドは、前記多孔質水輸送板(31,34)と液体的に連通していることを特徴とする、請求項4記載の燃料電池スタック。
【請求項8】
前記水輸送手段が、前記スタックの一端における第1の固体板と、前記スタックの反対側の端部にある最後の固体板を除いて、前記燃料電池スタック全体にわたって延在する、少なくとも1つの内部水マニホールド(112,113)(図10)からなり、その少なくとも1つの内部水マニホールドは、前記多孔質水輸送板と液体的に連通していることを特徴とする、請求項1記載の燃料電池スタック。
【請求項9】
前記水輸送手段が、高い水透過性を有する陽子交換膜(21a)からなることを特徴とする、請求項1記載の燃料電池スタック。
【請求項10】
前記膜が、10容積%を超える微孔性の水充填相を有することを特徴とする、請求項9記載の燃料電池スタック。
【請求項11】
前記膜が、15容積%から25容積%の微孔性の水充填相を有することを特徴とする、請求項9記載の燃料電池スタック。
【請求項12】
前記水輸送手段が、湿潤性の、非導電性の5μm以下の孔径を有する粒子から構成される水輸送帯(90)を有し、その帯は、前記空気極水輸送板から前記燃料極水輸送板まで延在することを特徴とする、請求項1記載の燃料電池スタック。
【請求項13】
前記水輸送帯が、炭化ケイ素からなることを特徴とする、請求項12記載の燃料電池スタック。
【請求項14】
前記炭化ケイ素を、前記燃料電池の支持板上に、前記支持板及び前記触媒の厚さに適応させるよう十分な厚さでスクリーン印刷することを特徴とする、請求項13記載の燃料電池スタック。
【請求項15】
前記水流域(38)から前記水輸送帯(90)へと水を伝達するために、前記水輸送板に孔(103,104)が設けられていることを特徴とする、請求項13記載の燃料電池スタック。
【請求項16】
多孔質水輸送領域(107)(図7)が、少なくとも1つの燃料電池の少なくとも1つの端部に隣接しており、前記水輸送領域は、前記空気極水輸送板の少なくとも1つの端部と前記燃料極水輸送板の少なくとも1つの端部に連続し、かつ水連通することを特徴とする、請求項1記載の燃料電池スタック。
【請求項17】
前記輸送領域(107)(図8)が、前記空気極水輸送板と前記燃料極水輸送板の間に流量調節部(109)を備えることを特徴とする、請求項16記載の燃料電池スタック。
【請求項18】
前記燃料電池の空気極で生成した生成水の約90%が、前記燃料スタックから蒸気として移動して、前記酸化剤反応物ガス流域(41)中の排気中に放出され、前記燃料電池の空気極で生成した生成水の約30%全てが、前記スタック内で、前記スタックの前記空気極水輸送板(34)から前記スタックの前記燃料極水輸送板(23)へ移動し、かつ、前記燃料電池の前記空気極で生成した生成水の約10%が、前記燃料極水輸送板の排気系を通って液体の水として排出される(図12)ことを特徴とする、請求項1記載の燃料電池スタック。
【請求項19】
スタックの燃料電池の空気極で生成した生成水の80%から95%を蒸気として酸化剤反応物ガス流域(41)中の排気中に放出することと、
前記スタック内の少なくとも1つの水輸送路(21a,90,107,112,113)により、燃料電池の空気極で生成した生成水の25から40%を燃料電池の空気極水輸送板(34)から燃料電池の燃料極水輸送板(23)へ移動させることと、
燃料電池の空気極で生成した生成水の5%から15%を燃料極水輸送板からの排気中に移動させること、
を含んでなることを特徴とする、外部水管理装置を有さない燃料電池スタックを操作する方法。
【請求項20】
それぞれの燃料電池が、空気極触媒と燃料極触媒の間に陽子交換膜(21,21a)を有する膜電極アッセンブリと、空気極触媒に隣接する燃料極支持板(22)と、空気極触媒に隣接する空気極支持板(32)と、燃料電池支持板に隣接する燃料反応物ガス流域(26)を有する多孔質燃料水輸送板(23)と、空気極支持板に隣接する酸化剤反応物ガス流域(40,41)を有する多孔質空気極水輸送板(31,34)を備え、各電池の前記水輸送板の少なくとも1つは水流チャネル(38)と、固体冷却板(71)と固体セパレート板(72)のいずれか1つ以上から選択され、少なくともいくつかの電池の間に配置される複数の固体板を有する、燃料電池のスタックを有する燃料電池発電設備を操作する方法であって、
前記燃料電池スタック内において、内部的にのみ、少なくとも1つの前記燃料電池の前記空気極水輸送板から、同じ1つの燃料電池内(図4から図8)か又は、別燃料電池内(図10,図11)の少なくとも1つの燃料極水輸送板へ水を輸送することを特徴とする、燃料電池のスタックを有する燃料電池発電設備を操作する方法。
【請求項21】
それぞれの燃料電池が、空気極触媒と燃料極触媒の間に陽子交換膜(21,21a)を有する膜電極アッセンブリと、空気極触媒に隣接する燃料極支持板(22)と、空気極触媒に隣接する空気極支持板(32)と、燃料電池支持板に隣接する燃料反応物ガス流域(26)を有する多孔質燃料水輸送板(23)と、空気極支持板に隣接する酸化剤反応物ガス流域(40,41)を有する多孔質空気極水輸送板(31,34)を備え、各電池の燃料極水輸送板は、水流チャネル(38)と、前記燃料電池を、1つの組につき2から6個の燃料電池の組になるよう分離する複数の固体冷却板(71)を有し、その固体冷却板の1つに隣接する各燃料極水輸送板も又水流チャネル(38)を有する、燃料電池のスタックを有する燃料電池発電設備を操作する方法であって、
前記燃料電池スタック内において、内部的にのみ、前記燃料電池スタックの第1の端部の空気極水輸送板から、その第1の端部と反対側にある、前記燃料電池スタックの第2の端部の燃料極水輸送板へと、前記水輸送板の全てと液体的に連通する少なくとも1つの内部水マニホールド(112,113)を通って水を案内することを特徴とする、燃料電池のスタックを有する燃料電池発電設備を操作する方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2007−509461(P2007−509461A)
【公表日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−527161(P2006−527161)
【出願日】平成16年9月22日(2004.9.22)
【国際出願番号】PCT/US2004/031238
【国際公開番号】WO2005/031896
【国際公開日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【出願人】(500477447)ユーティーシー フューエル セルズ,エルエルシー (138)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月22日(2004.9.22)
【国際出願番号】PCT/US2004/031238
【国際公開番号】WO2005/031896
【国際公開日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【出願人】(500477447)ユーティーシー フューエル セルズ,エルエルシー (138)
【Fターム(参考)】
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