PET−MRI装置
【課題】高周波コイルとPET検出器との干渉を抑えてMR画像のSN比を向上させる。
【解決手段】実施形態に係るPET−MRI装置は、静磁場磁石と、傾斜磁場コイルと、高周波コイルと、MR画像再構成部と、PET検出部と、PET画像再構成部とを備える。高周波コイルは、静磁場内に置かれた被検体に高周波磁場を印加し、該高周波磁場及び傾斜磁場の印加により前記被検体から発せられる磁気共鳴信号を検出する。PET検出部は、リング状に形成され、前記被検体に投与された陽電子放出核種から放出されるガンマ線を検出する。そして、前記高周波コイルが有するコイル導体は、前記PET検出部の外表面を被覆する第1の高周波シールドによって形成される。
【解決手段】実施形態に係るPET−MRI装置は、静磁場磁石と、傾斜磁場コイルと、高周波コイルと、MR画像再構成部と、PET検出部と、PET画像再構成部とを備える。高周波コイルは、静磁場内に置かれた被検体に高周波磁場を印加し、該高周波磁場及び傾斜磁場の印加により前記被検体から発せられる磁気共鳴信号を検出する。PET検出部は、リング状に形成され、前記被検体に投与された陽電子放出核種から放出されるガンマ線を検出する。そして、前記高周波コイルが有するコイル導体は、前記PET検出部の外表面を被覆する第1の高周波シールドによって形成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、PET(Positron Emission Tomography)−MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置とPET(Positron Emission Tomography)装置とを組み合わせたPET−MRI装置の実現に向けた検討が進められている。PET−MRI装置は、例えば、頭部の検査への応用、特に、アルツハイマー病の診断における利用が期待されている。
【0003】
かかるPET−MRI装置は、MRI装置の構成要素である高周波コイルと、PET装置の構成要素であるPET検出器とを有する。高周波コイルは、被検体に高周波磁場を印加したり、その高周波磁場及び傾斜磁場の印加により被検体から発せられる磁気共鳴信号を検出したりする。また、PET検出器は、被検体に投与された陽電子放出核種から放出されるガンマ線を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2008−525161号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術では、高周波コイルとPET検出器との干渉によって、MR画像のSN比(信号対雑音比)が低下する場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係るPET−MRI装置は、静磁場磁石と、傾斜磁場コイルと、高周波コイルと、MR画像再構成部と、PET検出部と、PET画像再構成部とを備える。高周波コイルは、静磁場内に置かれた被検体に高周波磁場を印加し、該高周波磁場及び傾斜磁場の印加により前記被検体から発せられる磁気共鳴信号を検出する。PET検出部は、リング状に形成され、前記被検体に投与された陽電子放出核種から放出されるガンマ線を検出する。そして、前記高周波コイルが有するコイル導体は、前記PET検出部の外表面を被覆する第1の高周波シールドによって形成される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、第1の実施形態に係るPET−MRI装置の構成を示す図である。
【図2】図2は、図1に示した傾斜磁場コイルの内部構造を示す断面図である。
【図3】図3は、第1の実施形態に係る送受信用高周波コイル及びPET検出部を示す図である。
【図4】図4は、第2の実施形態に係る送受信用高周波コイルを示す図である。
【図5】図5は、第3の実施形態に係るPET−MRI装置の構成を示す図である。
【図6】図6は、第3の実施形態に係る送信用高周波コイル及びPET検出部を示す図である。
【図7】図7は、第3の実施形態に係る送信用高周波コイルの外観を示す図である。
【図8】図8は、第4の実施形態に係る送信用高周波コイルの外観を示す図である。
【図9】図9は、第5の実施形態に係る送信用高周波コイルの外観を示す図である。
【図10】図10は、第5の実施形態に係る第1の高周波シールドの断面を示す図である。
【図11】図11は、第6の実施形態に係る送信用高周波コイルの外観を示す図である。
【図12】図12は、第7の実施形態に係る送信用高周波コイルの外観を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態について説明する。図1は、第1の実施形態に係るPET−MRI装置100の構成を示す図である。図1に示すように、このPET−MRI装置100は、静磁場磁石1、寝台2、傾斜磁場コイル3、傾斜磁場コイル駆動回路4、送受信用高周波コイル5、送受信切り替え器6、送信部7、受信部8、MRデータ収集部9、計算機10、コンソール11、ディスプレイ12、PET検出部13及び14、PETデータ収集部15、PET画像再構成部16、及びシーケンスコントローラ17を有する。
【0009】
静磁場磁石1は、略円筒状のボア内に静磁場を発生させる。ここで、ボアは、静磁場磁石1の内周側に形成される空間であり、PET−MRI装置100による撮像が行われる際に被検体Pが配置される。寝台2は、被検体Pが載せられる天板2aを有する。この寝台2は、撮像時に天板2aをボア内へ移動することで、被検体Pを静磁場内に移動する。
【0010】
傾斜磁場コイル3は、磁場強度がX,Y,Z方向に直線的に変化する傾斜磁場Gx,Gy,Gzを被検体Pに印加する。この傾斜磁場コイル3は、略円筒状に形成され、静磁場磁石1の内周側に配置される。傾斜磁場コイル駆動回路4は、シーケンスコントローラ17による制御のもと、傾斜磁場コイル3を駆動する。
【0011】
送受信用高周波コイル5は、送受信切り換え器6から送信される高周波パルスに基づいて、静磁場内に置かれた被検体Pに高周波磁場を印加する。また、送受信用高周波コイル5は、高周波磁場及び傾斜磁場の印加により被検体Pから発せられる磁気共鳴信号を検出し、検出した磁気共鳴信号を送受信切り換え器6に送信する。この送受信用高周波コイル5は、傾斜磁場コイル3の内周側に配置される。
【0012】
ここで、第1の実施形態では、送受信用高周波コイル5は、略円筒状に形成されたバードケージ型コイルであり、2つのエンドリングと複数のラングとを有する。エンドリングは、リング状に形成されたコイル導体であり、ラングは、棒状に形成されたコイル導体である。2つのエンドリングは、リング面が対向するように配置される。また、複数のラングは、それぞれが2つのエンドリングを架け渡すように配置され、各エンドリングの円周方向に略等間隔に配列される。なお、かかる送受信用高周波コイル5については、後に詳細に説明する。
【0013】
送受信切り替え器6は、シーケンスコントローラ17による制御のもと、送信時と受信時とで送受信用高周波コイル5の動作を切り替える。送信時には、送受信切り替え器6は、送信部7から送信される高周波パルスを送受信用高周波コイル5に送信する。また、受信時には、送受信切り替え器6は、送受信用高周波コイル5によって検出された磁気共鳴信号を受信部8に送信する。
【0014】
送信部7は、シーケンスコントローラ17による制御のもと、送受信切り替え器6を介して送受信用高周波コイル5に高周波パルスを送信する。受信部8は、シーケンスコントローラ17による制御のもと、送受信切り替え器6を介して送受信用高周波コイル5から磁気共鳴信号を受信し、受信した磁気共鳴信号をMRデータ収集部9に送る。
【0015】
MRデータ収集部9は、シーケンスコントローラ17による制御のもと、受信部8から送られた磁気共鳴信号を収集する。また、MRデータ収集部9は、収集した磁気共鳴信号を増幅及び検波した後にA/D変換し、デジタル信号に変換された磁気共鳴信号を計算機10に送る。計算機10は、コンソール11により制御され、MRデータ収集部9から送られた磁気共鳴信号に基づいてMR画像を再構成する。また、計算機10は、再構成したMR画像をディスプレイ12に表示させる。
【0016】
PET検出部13及び14は、それぞれリング状に形成され、被検体Pに投与された陽電子放出核種から放出されるガンマ線(消滅放射線を含む)を計数情報として検出する。また、PET検出部13及び14は、検出した計数情報をPETデータ収集部15に送る。これらPET検出部13及び14は、例えば、半導体素子によってガンマ線をアナログ信号に変換して検出する複数の半導体検出器をリング状に配置して形成される。また、PET検出部13及び14は、傾斜磁場コイル3の内周側に、静磁場磁石1の軸方向に間隔を開けて配置される。また、PET検出部13及び14は、静磁場磁石1によって発生する静磁場の磁場中心を挟むように配置される。
【0017】
ここで、第1の実施形態では、PET検出部13及び14は、それぞれ第1の高周波シールドによって被覆される。そして、PET検出部13の外表面を被覆する第1の高周波シールドと、PET検出部13の外表面を被覆する第1の高周波シールドとが、送受信用高周波コイル5が有する2つのエンドリングを形成する。なお、かかるPET検出部13及び14については、後に詳細に説明する。
【0018】
PETデータ収集部15は、シーケンスコントローラ17による制御のもと、同時計数情報を生成する。このPETデータ収集部15は、PET検出部13によって検出されたガンマ線の計数情報を用いて、陽電子放出核種から放出されたガンマ線を略同時に検出した計数情報の組み合わせを同時計数情報として生成する。
【0019】
PET画像再構成部16は、PETデータ収集部15により生成された同時計数情報を投影データとしてPET画像を再構成する。このPET画像再構成部16によって再構成されたPET画像は、計算機10に送信されてディスプレイ12に表示される。シーケンスコントローラ17は、撮像時に実行される各種撮像シーケンス情報を計算機10より受け取り、上述した各部を制御する。
【0020】
次に、図1に示した傾斜磁場コイル3の内部構造について説明する。図2は、図1に示した傾斜磁場コイル3の内部構造を示す断面図である。図2において、上側は傾斜磁場コイル3の円筒外側を示しており、下側は円筒内側を示している。図2に示すように、傾斜磁場コイル3は、円筒の内側(図2の下側)から円筒の外側(図2の下側)に向かって、メインコイル3a、メインコイル側冷却層3b、シムトレイ挿入ガイド層3c、シールドコイル側冷却層3d、シールドコイル3eを順に積層して形成される。
【0021】
ここで、メインコイル側冷却層3bには、主にメインコイル3aを冷却するためのメインコイル側冷却管3fが配設される。また、シールドコイル側冷却層3dには、主にシールドコイル3eを冷却するためのシールドコイル側冷却管3gが配設される。メインコイル側冷却管3f及びシールドコイル側冷却管3gは、それぞれ、傾斜磁場コイル3の円筒形状に合うように螺旋状に形成されている。また、シムトレイ挿入ガイド層3cには、それぞれ内部に複数の鉄シムが収められた複数のシムトレイ3hが挿入される。
【0022】
さらに、メインコイル3aの内周側には、第2の高周波シールド3iが設けられる。この第2の高周波シールド3iは、傾斜磁場コイル3と送信用高周波コイル5との間に配置され、送信用高周波コイル5から発生する高周波を遮蔽する。このように第2の高周波シールド3iを配置することによって、送信用高周波コイル5から発生する高周波と傾斜磁場コイル3とのカップリングを防ぐことができる。
【0023】
次に、第1の実施形態に係る送受信用高周波コイル5並びにPET検出部13及び14の詳細について説明する。図3は、第1の実施形態に係る送受信用高周波コイル5並びにPET検出部13及び14を示す図である。なお、図3は、略円筒状に形成された送受信用高周波コイル5、PET検出部13及び14それぞれの軸を含む断面を示している。
【0024】
送受信用高周波コイル5は、被検体Pに印加する高周波磁場を発生させたり、被検体Pから発せられる磁気共鳴信号を検出したりするためのコイル導体を有する。具体的には、図3に示すように、送受信用高周波コイル5は、コイル導体として、エンドリング18と、エンドリング19と、複数のラング20とを有する。
【0025】
エンドリング18及び19は、それぞれリング状に形成されたコイル導体であり、それぞれのリング面がZ方向に対向するように配置される。また、各ラング20は、それぞれ棒状に形成されたコイル導体であり、エンドリング18とエンドリング19とを接続する。各ラング20は、エンドリング18とエンドリング19との間を架け渡すように配置され、エンドリング18及び19の円周方向に略等間隔に配列される。
【0026】
そして、第1の実施形態では、エンドリング18は、PET検出部13の外表面を被覆するように形成された第1の高周波シールド21により形成される。すなわち、第1の実施形態では、エンドリング18は、リング状に形成されたPET検出部13を銅版などの導体からなる第1の高周波シールド21で囲むことで形成される。なお、エンドリング19も同様に、PET検出部14の外表面を被覆するように形成された第1の高周波シールド22により形成される。
【0027】
このように、PET検出部13及び14をそれぞれ第1の高周波シールドで囲むことによって、PET検出部13から発生するノイズが磁気共鳴信号を受信する受信系に混入するのを防ぐことが可能になる。また、PET検出部13及び14が送受信用高周波コイル5の効率を劣化させるのを防ぐことも可能になる。また、送受信用高周波コイル5によって送信される高周波がPET検出部13及び14に悪影響を与えるのを防ぐことも可能になる。
【0028】
また、図3に示すように、第1の実施形態に係る送受信用高周波コイル5は、コンデンサ23と、送受信用ケーブル24と、高周波遮断回路25と、信号及び制御線26と、信号及び制御線27と、高周波遮断回路28及び29とを有する。
【0029】
コンデンサ23は、複数のラング20それぞれの中央部付近に挿入される。このコンデンサ23によって、送受信用高周波コイル5は、その内周側に形成される撮像領域Iに所望の周波数で均一な高周波磁場を発生させるように調整される。すなわち、送受信用高周波コイル5は、いわゆるローパス型のバードケージ型コイルである。
【0030】
送受信用ケーブル24は、一方の端部がコンデンサ23に接続され、他方の端部が送受信切り替え器6に接続される。そして、送受信用ケーブル24は、送受信切り替え器6から送信される高周波パルスを送受信用高周波コイル5へ伝送する。また、送受信用ケーブル24は、送受信用高周波コイル5によって検出された磁気共鳴信号を送受信切り替え器6へ伝送する。かかる送受信用ケーブル24としては、例えば、同軸ケーブルが用いられる。また、送受信用ケーブル24には、高周波遮断回路25が接続される。
【0031】
信号及び制御線26は、一方の端部がPET検出部13に接続され、他方の端部がPETデータ収集部15に接続される。そして、信号及び制御線26は、PET検出部13によって検出された計数情報をPETデータ収集部15へ伝送する。この信号及び制御線26は、送受信用高周波コイル5との干渉を避けるためにシールドされる。また、信号及び制御線26には、高周波遮断回路28が接続される。
【0032】
信号及び制御線27は、一方の端部がPET検出部14に接続され、他方の端部がPETデータ収集部15に接続される。そして、信号及び制御線27は、PET検出部14によって検出された計数情報をPETデータ収集部15へ伝送する。この信号及び制御線27は、送受信用高周波コイル5との干渉を避けるためにシールドされる。また、信号及び制御線27には、高周波遮断回路29が接続される。
【0033】
上述したように、第1の実施形態では、送受信用高周波コイル5が、エンドリング18及び19を有する。そして、エンドリング18は、PET検出部13の外表面を被覆する第1の高周波シールド21によって形成され、エンドリング19は、PET検出部14の外表面を被覆する第1の高周波シールド22によって形成される。すなわち、第1の実施形態では、リング状に形成されたPET検出部13及び14をそれぞれ第1の高周波シールド21及び22で覆うことで、送受信用高周波コイル5のコイル導体が形成される。したがって、第1の実施形態によれば、送受信用高周波コイル5とPET検出部13との干渉、及び、送受信用高周波コイル5とPET検出部14との干渉を抑えることができ、MR画像のSN比を向上させることが可能になる。
【0034】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態は、第1の実施形態で説明した送受信用高周波コイル5に関する。図4は、第2の実施形態に係る送受信用高周波コイル5を示す図である。図4では、送受信用高周波コイル5が有する2つのエンドリングのうち、エンドリング18の断面を示している。図4に示すように、第2の実施形態では、PET−MRI装置100は、PET検出部13の他に、プリアンプ30、A/D変換器31と、I/Oインターフェース32と、光ファイバー33とを有する。
【0035】
PET検出部13は、半導体検出器によりガンマ線をアナログ信号に変換して出力する。プリアンプ30は、PET検出部13から出力されるアナログ信号を増幅する信号増幅部である。A/D変換器31は、プリアンプ30により増幅されたアナログ信号をデジタル信号に変換する第1の信号変換部である。
【0036】
I/Oインターフェース32は、A/D変換器31により得られたデジタル信号を光信号に変換する第2の信号変換部である。光ファイバー33は、一方の端部がI/Oインターフェース32に接続され、他方の端部がPETデータ収集部15に接続される。この光ファイバー33は、第1の実施形態で説明した信号及び制御線26として用いられる。
【0037】
そして、第2の実施形態では、第1の高周波シールド21は、PET検出部13とともに、プリアンプ30、A/D変換器31及びI/Oインターフェース32を被覆するように形成される。これにより、PET検出部13の半導体検出器から生じるノイズを遮蔽することができる。また、PET検出部13によって検出された信号は光ファイバー33を介して伝送されるので、デジタル信号により生じるノイズを防ぐことができる。
【0038】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。第1の実施形態では、PET−MRI装置100が、送受信兼用の高周波コイルである送受信用高周波コイル5を有する場合について説明した。第3の実施形態では、PET−MRI装置が、送信用の高周波コイルと受信用の高周波コイルとをそれぞれ有する場合について説明する。
【0039】
図5は、第3の実施形態に係るPET−MRI装置200の構成を示す図である。図1に示すように、このPET−MRI装置200は、静磁場磁石1、寝台2、傾斜磁場コイル3、傾斜磁場コイル駆動回路4、送信用高周波コイル35、受信用高周波コイル36、送信部37、受信部38、MRデータ収集部9、計算機10、コンソール11、ディスプレイ12、PET検出部43及び44、PETデータ収集部15、PET画像再構成部16、及びシーケンスコントローラ17を有する。なお、静磁場磁石1、寝台2、傾斜磁場コイル3、傾斜磁場コイル駆動回路4、MRデータ収集部9、計算機10、コンソール11、ディスプレイ12、PETデータ収集部15、PET画像再構成部16、シーケンスコントローラ17は、第1の実施形態と同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0040】
送信用高周波コイル35は、送信部37から送信される高周波パルスに基づいて、静磁場内に置かれた被検体Pに高周波磁場を印加する。この送信用高周波コイル35は、傾斜磁場コイル3の内周側に配置される。
【0041】
ここで、第3の実施形態では、送信用高周波コイル35は、略円筒状に形成されたバードケージ型コイルであり、2つのエンドリングと複数のラングとを有する。エンドリングは、リング状に形成されたコイル導体であり、ラングは、棒状に形成されたコイル導体である。2つのエンドリングは、リング面が対向するように配置される。また、複数のラングは、それぞれが2つのエンドリングを架け渡すように配置され、各エンドリングの円周方向に略等間隔に配列される。なお、かかる送信用高周波コイル35については、後に詳細に説明する。
【0042】
受信用高周波コイル36は、高周波磁場及び傾斜磁場の印加により被検体Pから発せられる磁気共鳴信号を検出し、検出した磁気共鳴信号を受信部38に送信する。この受信用高周波コイル36は、例えば、撮像対象の部位に応じて被検体Pの表面に配置される表面コイルである。例えば、被検体Pの体部が撮像される場合には、2つの受信用高周波コイル36が被検体Pの上部及び下部に配置される。
【0043】
送信部37は、シーケンスコントローラ17による制御のもと、送信用高周波コイル35に高周波パルスを送信する。受信部38は、シーケンスコントローラ17による制御のもと、受信用高周波コイル36から磁気共鳴信号を受信する。また、受信部38は、受信した磁気共鳴信号をMRデータ収集部9に送る。
【0044】
PET検出部43及び44は、それぞれリング状に形成され、被検体Pに投与された陽電子放出核種から放出されるガンマ線(消滅放射線を含む)を計数情報として検出する。また、PET検出部43及び44は、検出した計数情報をPETデータ収集部15に送る。これらPET検出部43及び44は、例えば、半導体素子によってガンマ線をアナログ信号に変換して検出する複数の半導体検出器をリング状に配置して形成される。また、PET検出部43及び44は、傾斜磁場コイル3の内周側に、静磁場磁石1の軸方向に間隔を開けて配置される。また、PET検出部43及び44は、静磁場磁石1によって発生する静磁場の磁場中心を挟むように配置される。
【0045】
ここで、第3の実施形態では、PET検出部43及び44は、それぞれ第1の高周波シールドによって被覆される。そして、PET検出部43の外表面を被覆する第1の高周波シールドと、PET検出部44の外表面を被覆する第1の高周波シールドとが、送信用高周波コイル35が有する2つのエンドリングを形成する。なお、かかるPET検出部43及び44については、後に詳細に説明する。
【0046】
次に、第3の実施形態に係る送信用高周波コイル35並びにPET検出部43及び44の詳細について説明する。図6は、第3の実施形態に係る送信用高周波コイル35並びにPET検出部43及び44を示す図である。なお、図6は、略円筒状に形成された送信用高周波コイル35、PET検出部43及び44それぞれの軸を含む断面を示している。
【0047】
送信用高周波コイル35は、被検体Pに印加する高周波磁場を発生させるためのコイル導体を有する。具体的には、図6に示すように、送信用高周波コイル35は、コイル導体として、エンドリング48と、エンドリング49と、複数のラング20とを有する。
【0048】
エンドリング48及び49は、それぞれリング状に形成されたコイル導体であり、Z方向に沿ってリング面が対向するように配置される。また、各ラング20は、棒状に形成されたコイル導体であり、エンドリング48とエンドリング49とを接続する。各ラング20は、エンドリング48とエンドリング49との間を架け渡すように配置され、エンドリング48及び49の円周方向に略等間隔に配列される。
【0049】
そして、第3の実施形態では、エンドリング48は、PET検出部43の外表面を被覆するように形成された第1の高周波シールド51により形成される。すなわち、第3の実施形態では、エンドリング48は、リング状に形成されたPET検出部43を銅版などの導体からなる第1の高周波シールド51で囲むことで形成される。なお、エンドリング49も同様に、PET検出部44の外表面を被覆するように形成された第1の高周波シールド52により形成される。
【0050】
このように、PET検出部43及び44を第1の高周波シールドで囲むことによって、PET検出部43及び44から発生するノイズが磁気共鳴信号を受信する受信系に混入するのを防ぐことが可能になる。また、PET検出部43及び44が送信用高周波コイル35の効率を劣化させるのを防ぐことも可能になる。また、送信用高周波コイル35によって送信される高周波がPET検出部43及び44に悪影響を与えるのを防ぐことも可能になる。
【0051】
また、図6に示すように、第3の実施形態に係る送信用高周波コイル35は、コンデンサ23と、送受信用ケーブル24と、高周波遮断回路25と、信号及び制御線26と、信号及び制御線27と、高周波遮断回路28及び29とを有する。なお、コンデンサ23、送受信用ケーブル24、高周波遮断回路25、信号及び制御線26、信号及び制御線27、高周波遮断回路28及び29については、第1の実施形態と同様であるので、ここでは説明を省略する。ただし、第3の実施形態では、送受信用ケーブル24は、一方の端部がコンデンサ23に接続され、他方の端部が送信部37に接続され、送信部37から送信される高周波パルスを送信用高周波コイル35へ伝送する。
【0052】
ここで、第1の実施形態で説明した送受信用高周波コイル5との違いは、送信用高周波コイル35が、送信時には所望の同調状態にし、受信時にはコイルを非同調状態にするスイッチ部をラング20に有する点である。このスイッチ部は、例えば、PINダイオード41及びチョーク付き給電ケーブル42により実現される。
【0053】
図7は、第3の実施形態に係る送信用高周波コイル35の外観を示す図である。図7に示すように、PINダイオード41は、ラング20に直列に挿入される。また、チョーク付き給電ケーブル42は、PINダイオード41の両端に接続され、PINダイオード41に給電する。
【0054】
送信時には、チョーク付き給電ケーブル42を通してPINダイオード41に順方向に電流が流れることで、PINダイオード41がON状態になり、送信用高周波コイル35が同調状態となる。一方、受信時には、チョーク付き給電ケーブル42を通してPINダイオード41に逆電圧が印加されることで、PINダイオード41がOFF状態となり、送信用高周波コイル35が非同調状態となる。これにより、受信用高周波コイル36による磁気共鳴信号の受信が可能となる。
【0055】
上述したように、第3の実施形態では、送信用高周波コイル35が、エンドリング48及び49を有する。そして、エンドリング48は、PET検出部43の外表面を被覆する第1の高周波シールド51によって形成され、エンドリング49は、PET検出部44の外表面を被覆する第1の高周波シールド52によって形成される。すなわち、第3の実施形態では、リング状に形成されたPET検出部43及び44をそれぞれ第1の高周波シールド51及び52で覆うことで、送信用高周波コイル35のコイル導体が形成される。したがって、第3の実施形態によれば、送信用高周波コイル35とPET検出部43との干渉、及び、送信用高周波コイル35とPET検出部44との干渉を抑えることができ、MR画像のSN比を向上させることが可能になる。
【0056】
なお、上記第3の実施形態では、送信用高周波コイル35がエンドリングを有する場合について説明したが、受信用高周波コイル36が、被検体Pを囲むように配置されるリング状のコイル導体を有する場合もある。この場合には、受信用高周波コイル36が有するリング状のコイル導体として、第1の高周波シールドで被覆されたPET検出部を用いるようにしてもよい。すなわち、第3の実施形態では、送信用高周波コイル35が有するコイル導体及び受信用高周波コイル36が有するコイル導体の少なくとも一方が、PET検出部の外表面を被覆する第1の高周波シールドによって形成される。
【0057】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態について説明する。第4の実施形態は、第3の実施形態で説明した送信用高周波コイル35に関する。図8は、第4の実施形態に係る送信用高周波コイル35の外観を示す図である。図8に示すように、第4の実施形態では、送信用高周波コイル35において、PINダイオード41及びチョーク付き給電ケーブル42からなるスイッチ部が、ラング20の略中心に配置される。
【0058】
さらに、第4の実施形態では、2つのコンデンサ53及び54が、スイッチ部を中心にして対称な位置に配置される。送信用の電力は、コンデンサ53及び54のいずれか一方の両端、又は、両方を挟む両端から供給すればよい。このように、第4の実施形態では、スイッチ部を中心にして、送信用高周波コイル35の対称性が確保される。この結果、スイッチ部の位置が等電位面になるので、チョークに負荷がかからなくなる。これにより、コンデンサの電気的な調整を容易に行うことができるようになる。
【0059】
(第5の実施形態)
次に、第5の実施形態について説明する。第5の実施形態は、第3の実施形態で説明した送信用高周波コイル35に関する。第5の実施形態では、送信用高周波コイル35において、第1の高周波シールド51及び52が、それぞれスリット(隙間)を有する。図9は、第5の実施形態に係る送信用高周波コイル35の外観を示す図である。図9に示すように、例えば、第1の高周波シールド51には、その周方向に沿って第1の高周波シールド51を複数の導体に分割する複数のスリット55が形成される。同様に、第1の高周波シールド52にも、複数のスリット56が形成される。
【0060】
これにより、各第1の高周波シールドにおいて、周方向に分けられた複数の導体間で直流電流が流れないようになる。すなわち、周方向に分けられた複数の導体それぞれが直流(DC:Direct Current)的に絶縁される。この結果、MR撮像が行われる際に、傾斜磁場によって第1の高周波シールド51の表面に誘起される渦電流を抑制することができる。さらに、渦電流によって発生する渦電流磁場が抑制されるので、渦電流磁場によって生じる画像劣化を防ぐことが可能になる。
【0061】
なお、第1の高周波シールド51及び52は、渦電流が発生するのを抑えることが要求される一方で、所望の高周波をシールドすることも要求される。図10は、第5の実施形態に係る第1の高周波シールド51の断面を示す図である。図10に示すように、例えば、第1の高周波シールド51は、外側のシールド部材51aと内側のシールド部材51bとの間に誘電体51cを配置することで形成される。
【0062】
ここで、外側のシールド部材51aには複数のスリット55aが形成されており、各スリット55aによって、シールド部材51aが複数の導体61aに分けられている。同様に、内側のシールド部材51bにも複数のスリット55bが形成されており、各スリット55bによって、シールド部材51bが複数の導体61bに分けられている。そして、外側のシールド部材51aと内側のシールド部材51bとは、互いのスリットの位置が第1の高周波シールド51の周方向にずれるように配置される。
【0063】
このような配置により、誘電体51cを挟んで導体61aと導体61bとが重なる部分が容量性素子として機能するようになる。そして、誘電体51cの厚みを十分に薄くすることによって、第1の高周波シールド51の状態を所望の周波数に対して非常にインピーダンスが低い状態、つまり導通に近い状態とすることができる。また、スリット55a及び55bによって複数の導体61a及び61bそれぞれが直流的に絶縁されるので、第1の高周波シールド51の表面に渦電流が発生するのを抑えることができる。
【0064】
このように、第5の実施形態によれば、第1の高周波シールド51の表面に渦電流が発生することを抑えつつ、所望の高周波をシールドすることができるようになる。
【0065】
(第6の実施形態)
次に、第6の実施形態について説明する。第6の実施形態は、第3の実施形態で説明したPET−MRI装置200が、第1の高周波シールド51及び52の外表面に設けられた冷却手段を有する場合について説明する。PET検出部で用いられる半導体検出器は一般的に熱に影響されやすい。この一方で、プリアンプやA/D変換器は一般的に通電状態で熱を発生する。そして、プリアンプやA/D変換器から発生した熱が第1の高周波シールド51及び52を介して半導体検出器に伝達することで、特性の劣化を招くことがある。第6の実施形態では、第1の高周波シールド51及び52に冷却手段を設けることで、プリアンプやA/D変換器から発生する熱を逃がすことができるようにしている。
【0066】
図11は、第6の実施形態に係る送信用高周波コイル35の外観を示す図である。図11に示すように、例えば、冷却手段として、第1の高周波シールド51の外周面に複数の放熱フィン71が設けられる。各放熱フィン71は、それぞれ板状の部材で形成され、第1の高周波シールド51の外周面から突出するように設けられる。また、各放熱フィン71は、第1の高周波シールド51の外周方向に所定の間隔で配置される。なお、第1の高周波シールド52の外周面にも同様に、複数の放熱フィン72が設けられる。
【0067】
このように、第6の実施形態によれば、第1の高周波シールド51及び52の外周面に放熱フィン71及び72を設けることで、プリアンプやA/D変換器から発生する熱を逃がすことができる。一般的に、MRI装置には、送信用高周波コイル35が配置されるボア内に通風するための機構が設けられている。この機構により発生する風が放熱フィン71及び72に当たることで、冷却効果が向上する。
【0068】
(第7の実施形態)
次に、第7の実施形態について説明する。第7の実施形態は、第3の実施形態で説明したPET−MRI装置200が、放熱フィン及び71及び72ではない他の冷却手段を有する場合について説明する。
【0069】
図12は、第7の実施形態に係る送信用高周波コイル35の外観を示す図である。図12に示すように、例えば、冷却手段として、第1の高周波シールド51の外周面に沿って冷却用配管81が設けられる。冷却用配管81は、第1の高周波シールド51の外周面に接触させて配置される。なお、第1の高周波シールド52の外周面にも同様に、冷却用配管82が設けられる。これら冷却用配管81及び82に、一定の温度の冷媒(例えば、水など)を流すことによって、エンドリング48及び49内で発生する熱を除去することができる。なお、冷却用配管は、第1の高周波シールドの内側に設けられてもよい。この場合には、例えば、冷却管は、第1の高周波シールドからボア内に発せられる熱が冷却されるように、第1の高周波シールドの内周面から離して配置される。または、冷却管は、第1の高周波シールドの内周面に接触させて配置されてもよい。このように、第1の高周波シールドの内側に冷却管を配置することで、第1の高周波シールドの内周面から発せられた熱が被検体に伝わるのを抑えることができる。
【0070】
以上、第1〜第7の実施形態をそれぞれ別々に説明したが、各実施形態は適宜に組み合わせて実施することが可能である。例えば、第2の実施形態で説明した送受信用高周波コイル5の構成を第3の実施形態で説明した送信用高周波コイル35に適用することも可能である。また、例えば、第6及び第7の実施形態で説明した冷却手段を第1の実施形態で説明したPET−MRI装置100に適用することも可能である。
【0071】
また、上記実施形態では、第1の高周波シールドで被覆されたPET検出部を高周波コイルが有する2つのエンドリングそれぞれとして用いる場合について説明した。しかしながら、PET画像を生成するためには、必ずしもPET検出部を2つ設ける必要はない。そこで、PET検出部が1つだけ設けられる場合には、高周波コイルが有する2つのエンドリングのいずれか一方のみに、第1の高周波シールドで被覆されたPET検出部を用いるようにしてもよい。
【0072】
また、他の実施形態では、送信用高周波コイルが複数のコイル導体を有し、当該複数のコイル導体のうち少なくとも1つのコイル導体が、PET検出部の外表面を被覆する第1の高周波シールドによって形成されてもよい。例えば、送信用高周波コイルが、2つのエンドリング以外にもリング状に形成されたコイル導体を有するような場合に、それら複数のコイル導体の全てについて、第1の高周波シールドで被覆されたPET検出部を用いてもよい。また、それら複数のコイル導体のうち一部のコイル導体について、第1の高周波シールドで被覆されたPET検出部を用いてもよい。
【0073】
さらに、上記実施形態において、PET−MRI装置が少なくとも2つのPET検出部を備え、複数のコイル導体のうち少なくとも1つのコイル導体が、少なくとも2つのPET検出部のうち少なくとも1つのPET検出部を被覆する第1の高周波シールドによって形成されてもよい。例えば、PET−MRI装置が2つのPET検出部を備える場合に、一方のPET検出部のみを第1の高周波シールドで被覆して送信用高周波コイルのコイル導体として用い、もう一方のPET検出器については、送信用高周波コイルから独立して設ける。このとき、独立して設けられたPET検出器は、第1の高周波シールドで被覆されてもよいし、被覆されなくてもよい。
【0074】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0075】
100 PET−MRI装置
1 静磁場磁石
3 傾斜磁場コイル
5 送受信用高周波コイル
10 計算機
16 PET画像再構成部
18,19 エンドリング
21,22 第1の高周波シールド
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、PET(Positron Emission Tomography)−MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置とPET(Positron Emission Tomography)装置とを組み合わせたPET−MRI装置の実現に向けた検討が進められている。PET−MRI装置は、例えば、頭部の検査への応用、特に、アルツハイマー病の診断における利用が期待されている。
【0003】
かかるPET−MRI装置は、MRI装置の構成要素である高周波コイルと、PET装置の構成要素であるPET検出器とを有する。高周波コイルは、被検体に高周波磁場を印加したり、その高周波磁場及び傾斜磁場の印加により被検体から発せられる磁気共鳴信号を検出したりする。また、PET検出器は、被検体に投与された陽電子放出核種から放出されるガンマ線を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2008−525161号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術では、高周波コイルとPET検出器との干渉によって、MR画像のSN比(信号対雑音比)が低下する場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係るPET−MRI装置は、静磁場磁石と、傾斜磁場コイルと、高周波コイルと、MR画像再構成部と、PET検出部と、PET画像再構成部とを備える。高周波コイルは、静磁場内に置かれた被検体に高周波磁場を印加し、該高周波磁場及び傾斜磁場の印加により前記被検体から発せられる磁気共鳴信号を検出する。PET検出部は、リング状に形成され、前記被検体に投与された陽電子放出核種から放出されるガンマ線を検出する。そして、前記高周波コイルが有するコイル導体は、前記PET検出部の外表面を被覆する第1の高周波シールドによって形成される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、第1の実施形態に係るPET−MRI装置の構成を示す図である。
【図2】図2は、図1に示した傾斜磁場コイルの内部構造を示す断面図である。
【図3】図3は、第1の実施形態に係る送受信用高周波コイル及びPET検出部を示す図である。
【図4】図4は、第2の実施形態に係る送受信用高周波コイルを示す図である。
【図5】図5は、第3の実施形態に係るPET−MRI装置の構成を示す図である。
【図6】図6は、第3の実施形態に係る送信用高周波コイル及びPET検出部を示す図である。
【図7】図7は、第3の実施形態に係る送信用高周波コイルの外観を示す図である。
【図8】図8は、第4の実施形態に係る送信用高周波コイルの外観を示す図である。
【図9】図9は、第5の実施形態に係る送信用高周波コイルの外観を示す図である。
【図10】図10は、第5の実施形態に係る第1の高周波シールドの断面を示す図である。
【図11】図11は、第6の実施形態に係る送信用高周波コイルの外観を示す図である。
【図12】図12は、第7の実施形態に係る送信用高周波コイルの外観を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態について説明する。図1は、第1の実施形態に係るPET−MRI装置100の構成を示す図である。図1に示すように、このPET−MRI装置100は、静磁場磁石1、寝台2、傾斜磁場コイル3、傾斜磁場コイル駆動回路4、送受信用高周波コイル5、送受信切り替え器6、送信部7、受信部8、MRデータ収集部9、計算機10、コンソール11、ディスプレイ12、PET検出部13及び14、PETデータ収集部15、PET画像再構成部16、及びシーケンスコントローラ17を有する。
【0009】
静磁場磁石1は、略円筒状のボア内に静磁場を発生させる。ここで、ボアは、静磁場磁石1の内周側に形成される空間であり、PET−MRI装置100による撮像が行われる際に被検体Pが配置される。寝台2は、被検体Pが載せられる天板2aを有する。この寝台2は、撮像時に天板2aをボア内へ移動することで、被検体Pを静磁場内に移動する。
【0010】
傾斜磁場コイル3は、磁場強度がX,Y,Z方向に直線的に変化する傾斜磁場Gx,Gy,Gzを被検体Pに印加する。この傾斜磁場コイル3は、略円筒状に形成され、静磁場磁石1の内周側に配置される。傾斜磁場コイル駆動回路4は、シーケンスコントローラ17による制御のもと、傾斜磁場コイル3を駆動する。
【0011】
送受信用高周波コイル5は、送受信切り換え器6から送信される高周波パルスに基づいて、静磁場内に置かれた被検体Pに高周波磁場を印加する。また、送受信用高周波コイル5は、高周波磁場及び傾斜磁場の印加により被検体Pから発せられる磁気共鳴信号を検出し、検出した磁気共鳴信号を送受信切り換え器6に送信する。この送受信用高周波コイル5は、傾斜磁場コイル3の内周側に配置される。
【0012】
ここで、第1の実施形態では、送受信用高周波コイル5は、略円筒状に形成されたバードケージ型コイルであり、2つのエンドリングと複数のラングとを有する。エンドリングは、リング状に形成されたコイル導体であり、ラングは、棒状に形成されたコイル導体である。2つのエンドリングは、リング面が対向するように配置される。また、複数のラングは、それぞれが2つのエンドリングを架け渡すように配置され、各エンドリングの円周方向に略等間隔に配列される。なお、かかる送受信用高周波コイル5については、後に詳細に説明する。
【0013】
送受信切り替え器6は、シーケンスコントローラ17による制御のもと、送信時と受信時とで送受信用高周波コイル5の動作を切り替える。送信時には、送受信切り替え器6は、送信部7から送信される高周波パルスを送受信用高周波コイル5に送信する。また、受信時には、送受信切り替え器6は、送受信用高周波コイル5によって検出された磁気共鳴信号を受信部8に送信する。
【0014】
送信部7は、シーケンスコントローラ17による制御のもと、送受信切り替え器6を介して送受信用高周波コイル5に高周波パルスを送信する。受信部8は、シーケンスコントローラ17による制御のもと、送受信切り替え器6を介して送受信用高周波コイル5から磁気共鳴信号を受信し、受信した磁気共鳴信号をMRデータ収集部9に送る。
【0015】
MRデータ収集部9は、シーケンスコントローラ17による制御のもと、受信部8から送られた磁気共鳴信号を収集する。また、MRデータ収集部9は、収集した磁気共鳴信号を増幅及び検波した後にA/D変換し、デジタル信号に変換された磁気共鳴信号を計算機10に送る。計算機10は、コンソール11により制御され、MRデータ収集部9から送られた磁気共鳴信号に基づいてMR画像を再構成する。また、計算機10は、再構成したMR画像をディスプレイ12に表示させる。
【0016】
PET検出部13及び14は、それぞれリング状に形成され、被検体Pに投与された陽電子放出核種から放出されるガンマ線(消滅放射線を含む)を計数情報として検出する。また、PET検出部13及び14は、検出した計数情報をPETデータ収集部15に送る。これらPET検出部13及び14は、例えば、半導体素子によってガンマ線をアナログ信号に変換して検出する複数の半導体検出器をリング状に配置して形成される。また、PET検出部13及び14は、傾斜磁場コイル3の内周側に、静磁場磁石1の軸方向に間隔を開けて配置される。また、PET検出部13及び14は、静磁場磁石1によって発生する静磁場の磁場中心を挟むように配置される。
【0017】
ここで、第1の実施形態では、PET検出部13及び14は、それぞれ第1の高周波シールドによって被覆される。そして、PET検出部13の外表面を被覆する第1の高周波シールドと、PET検出部13の外表面を被覆する第1の高周波シールドとが、送受信用高周波コイル5が有する2つのエンドリングを形成する。なお、かかるPET検出部13及び14については、後に詳細に説明する。
【0018】
PETデータ収集部15は、シーケンスコントローラ17による制御のもと、同時計数情報を生成する。このPETデータ収集部15は、PET検出部13によって検出されたガンマ線の計数情報を用いて、陽電子放出核種から放出されたガンマ線を略同時に検出した計数情報の組み合わせを同時計数情報として生成する。
【0019】
PET画像再構成部16は、PETデータ収集部15により生成された同時計数情報を投影データとしてPET画像を再構成する。このPET画像再構成部16によって再構成されたPET画像は、計算機10に送信されてディスプレイ12に表示される。シーケンスコントローラ17は、撮像時に実行される各種撮像シーケンス情報を計算機10より受け取り、上述した各部を制御する。
【0020】
次に、図1に示した傾斜磁場コイル3の内部構造について説明する。図2は、図1に示した傾斜磁場コイル3の内部構造を示す断面図である。図2において、上側は傾斜磁場コイル3の円筒外側を示しており、下側は円筒内側を示している。図2に示すように、傾斜磁場コイル3は、円筒の内側(図2の下側)から円筒の外側(図2の下側)に向かって、メインコイル3a、メインコイル側冷却層3b、シムトレイ挿入ガイド層3c、シールドコイル側冷却層3d、シールドコイル3eを順に積層して形成される。
【0021】
ここで、メインコイル側冷却層3bには、主にメインコイル3aを冷却するためのメインコイル側冷却管3fが配設される。また、シールドコイル側冷却層3dには、主にシールドコイル3eを冷却するためのシールドコイル側冷却管3gが配設される。メインコイル側冷却管3f及びシールドコイル側冷却管3gは、それぞれ、傾斜磁場コイル3の円筒形状に合うように螺旋状に形成されている。また、シムトレイ挿入ガイド層3cには、それぞれ内部に複数の鉄シムが収められた複数のシムトレイ3hが挿入される。
【0022】
さらに、メインコイル3aの内周側には、第2の高周波シールド3iが設けられる。この第2の高周波シールド3iは、傾斜磁場コイル3と送信用高周波コイル5との間に配置され、送信用高周波コイル5から発生する高周波を遮蔽する。このように第2の高周波シールド3iを配置することによって、送信用高周波コイル5から発生する高周波と傾斜磁場コイル3とのカップリングを防ぐことができる。
【0023】
次に、第1の実施形態に係る送受信用高周波コイル5並びにPET検出部13及び14の詳細について説明する。図3は、第1の実施形態に係る送受信用高周波コイル5並びにPET検出部13及び14を示す図である。なお、図3は、略円筒状に形成された送受信用高周波コイル5、PET検出部13及び14それぞれの軸を含む断面を示している。
【0024】
送受信用高周波コイル5は、被検体Pに印加する高周波磁場を発生させたり、被検体Pから発せられる磁気共鳴信号を検出したりするためのコイル導体を有する。具体的には、図3に示すように、送受信用高周波コイル5は、コイル導体として、エンドリング18と、エンドリング19と、複数のラング20とを有する。
【0025】
エンドリング18及び19は、それぞれリング状に形成されたコイル導体であり、それぞれのリング面がZ方向に対向するように配置される。また、各ラング20は、それぞれ棒状に形成されたコイル導体であり、エンドリング18とエンドリング19とを接続する。各ラング20は、エンドリング18とエンドリング19との間を架け渡すように配置され、エンドリング18及び19の円周方向に略等間隔に配列される。
【0026】
そして、第1の実施形態では、エンドリング18は、PET検出部13の外表面を被覆するように形成された第1の高周波シールド21により形成される。すなわち、第1の実施形態では、エンドリング18は、リング状に形成されたPET検出部13を銅版などの導体からなる第1の高周波シールド21で囲むことで形成される。なお、エンドリング19も同様に、PET検出部14の外表面を被覆するように形成された第1の高周波シールド22により形成される。
【0027】
このように、PET検出部13及び14をそれぞれ第1の高周波シールドで囲むことによって、PET検出部13から発生するノイズが磁気共鳴信号を受信する受信系に混入するのを防ぐことが可能になる。また、PET検出部13及び14が送受信用高周波コイル5の効率を劣化させるのを防ぐことも可能になる。また、送受信用高周波コイル5によって送信される高周波がPET検出部13及び14に悪影響を与えるのを防ぐことも可能になる。
【0028】
また、図3に示すように、第1の実施形態に係る送受信用高周波コイル5は、コンデンサ23と、送受信用ケーブル24と、高周波遮断回路25と、信号及び制御線26と、信号及び制御線27と、高周波遮断回路28及び29とを有する。
【0029】
コンデンサ23は、複数のラング20それぞれの中央部付近に挿入される。このコンデンサ23によって、送受信用高周波コイル5は、その内周側に形成される撮像領域Iに所望の周波数で均一な高周波磁場を発生させるように調整される。すなわち、送受信用高周波コイル5は、いわゆるローパス型のバードケージ型コイルである。
【0030】
送受信用ケーブル24は、一方の端部がコンデンサ23に接続され、他方の端部が送受信切り替え器6に接続される。そして、送受信用ケーブル24は、送受信切り替え器6から送信される高周波パルスを送受信用高周波コイル5へ伝送する。また、送受信用ケーブル24は、送受信用高周波コイル5によって検出された磁気共鳴信号を送受信切り替え器6へ伝送する。かかる送受信用ケーブル24としては、例えば、同軸ケーブルが用いられる。また、送受信用ケーブル24には、高周波遮断回路25が接続される。
【0031】
信号及び制御線26は、一方の端部がPET検出部13に接続され、他方の端部がPETデータ収集部15に接続される。そして、信号及び制御線26は、PET検出部13によって検出された計数情報をPETデータ収集部15へ伝送する。この信号及び制御線26は、送受信用高周波コイル5との干渉を避けるためにシールドされる。また、信号及び制御線26には、高周波遮断回路28が接続される。
【0032】
信号及び制御線27は、一方の端部がPET検出部14に接続され、他方の端部がPETデータ収集部15に接続される。そして、信号及び制御線27は、PET検出部14によって検出された計数情報をPETデータ収集部15へ伝送する。この信号及び制御線27は、送受信用高周波コイル5との干渉を避けるためにシールドされる。また、信号及び制御線27には、高周波遮断回路29が接続される。
【0033】
上述したように、第1の実施形態では、送受信用高周波コイル5が、エンドリング18及び19を有する。そして、エンドリング18は、PET検出部13の外表面を被覆する第1の高周波シールド21によって形成され、エンドリング19は、PET検出部14の外表面を被覆する第1の高周波シールド22によって形成される。すなわち、第1の実施形態では、リング状に形成されたPET検出部13及び14をそれぞれ第1の高周波シールド21及び22で覆うことで、送受信用高周波コイル5のコイル導体が形成される。したがって、第1の実施形態によれば、送受信用高周波コイル5とPET検出部13との干渉、及び、送受信用高周波コイル5とPET検出部14との干渉を抑えることができ、MR画像のSN比を向上させることが可能になる。
【0034】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態は、第1の実施形態で説明した送受信用高周波コイル5に関する。図4は、第2の実施形態に係る送受信用高周波コイル5を示す図である。図4では、送受信用高周波コイル5が有する2つのエンドリングのうち、エンドリング18の断面を示している。図4に示すように、第2の実施形態では、PET−MRI装置100は、PET検出部13の他に、プリアンプ30、A/D変換器31と、I/Oインターフェース32と、光ファイバー33とを有する。
【0035】
PET検出部13は、半導体検出器によりガンマ線をアナログ信号に変換して出力する。プリアンプ30は、PET検出部13から出力されるアナログ信号を増幅する信号増幅部である。A/D変換器31は、プリアンプ30により増幅されたアナログ信号をデジタル信号に変換する第1の信号変換部である。
【0036】
I/Oインターフェース32は、A/D変換器31により得られたデジタル信号を光信号に変換する第2の信号変換部である。光ファイバー33は、一方の端部がI/Oインターフェース32に接続され、他方の端部がPETデータ収集部15に接続される。この光ファイバー33は、第1の実施形態で説明した信号及び制御線26として用いられる。
【0037】
そして、第2の実施形態では、第1の高周波シールド21は、PET検出部13とともに、プリアンプ30、A/D変換器31及びI/Oインターフェース32を被覆するように形成される。これにより、PET検出部13の半導体検出器から生じるノイズを遮蔽することができる。また、PET検出部13によって検出された信号は光ファイバー33を介して伝送されるので、デジタル信号により生じるノイズを防ぐことができる。
【0038】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。第1の実施形態では、PET−MRI装置100が、送受信兼用の高周波コイルである送受信用高周波コイル5を有する場合について説明した。第3の実施形態では、PET−MRI装置が、送信用の高周波コイルと受信用の高周波コイルとをそれぞれ有する場合について説明する。
【0039】
図5は、第3の実施形態に係るPET−MRI装置200の構成を示す図である。図1に示すように、このPET−MRI装置200は、静磁場磁石1、寝台2、傾斜磁場コイル3、傾斜磁場コイル駆動回路4、送信用高周波コイル35、受信用高周波コイル36、送信部37、受信部38、MRデータ収集部9、計算機10、コンソール11、ディスプレイ12、PET検出部43及び44、PETデータ収集部15、PET画像再構成部16、及びシーケンスコントローラ17を有する。なお、静磁場磁石1、寝台2、傾斜磁場コイル3、傾斜磁場コイル駆動回路4、MRデータ収集部9、計算機10、コンソール11、ディスプレイ12、PETデータ収集部15、PET画像再構成部16、シーケンスコントローラ17は、第1の実施形態と同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0040】
送信用高周波コイル35は、送信部37から送信される高周波パルスに基づいて、静磁場内に置かれた被検体Pに高周波磁場を印加する。この送信用高周波コイル35は、傾斜磁場コイル3の内周側に配置される。
【0041】
ここで、第3の実施形態では、送信用高周波コイル35は、略円筒状に形成されたバードケージ型コイルであり、2つのエンドリングと複数のラングとを有する。エンドリングは、リング状に形成されたコイル導体であり、ラングは、棒状に形成されたコイル導体である。2つのエンドリングは、リング面が対向するように配置される。また、複数のラングは、それぞれが2つのエンドリングを架け渡すように配置され、各エンドリングの円周方向に略等間隔に配列される。なお、かかる送信用高周波コイル35については、後に詳細に説明する。
【0042】
受信用高周波コイル36は、高周波磁場及び傾斜磁場の印加により被検体Pから発せられる磁気共鳴信号を検出し、検出した磁気共鳴信号を受信部38に送信する。この受信用高周波コイル36は、例えば、撮像対象の部位に応じて被検体Pの表面に配置される表面コイルである。例えば、被検体Pの体部が撮像される場合には、2つの受信用高周波コイル36が被検体Pの上部及び下部に配置される。
【0043】
送信部37は、シーケンスコントローラ17による制御のもと、送信用高周波コイル35に高周波パルスを送信する。受信部38は、シーケンスコントローラ17による制御のもと、受信用高周波コイル36から磁気共鳴信号を受信する。また、受信部38は、受信した磁気共鳴信号をMRデータ収集部9に送る。
【0044】
PET検出部43及び44は、それぞれリング状に形成され、被検体Pに投与された陽電子放出核種から放出されるガンマ線(消滅放射線を含む)を計数情報として検出する。また、PET検出部43及び44は、検出した計数情報をPETデータ収集部15に送る。これらPET検出部43及び44は、例えば、半導体素子によってガンマ線をアナログ信号に変換して検出する複数の半導体検出器をリング状に配置して形成される。また、PET検出部43及び44は、傾斜磁場コイル3の内周側に、静磁場磁石1の軸方向に間隔を開けて配置される。また、PET検出部43及び44は、静磁場磁石1によって発生する静磁場の磁場中心を挟むように配置される。
【0045】
ここで、第3の実施形態では、PET検出部43及び44は、それぞれ第1の高周波シールドによって被覆される。そして、PET検出部43の外表面を被覆する第1の高周波シールドと、PET検出部44の外表面を被覆する第1の高周波シールドとが、送信用高周波コイル35が有する2つのエンドリングを形成する。なお、かかるPET検出部43及び44については、後に詳細に説明する。
【0046】
次に、第3の実施形態に係る送信用高周波コイル35並びにPET検出部43及び44の詳細について説明する。図6は、第3の実施形態に係る送信用高周波コイル35並びにPET検出部43及び44を示す図である。なお、図6は、略円筒状に形成された送信用高周波コイル35、PET検出部43及び44それぞれの軸を含む断面を示している。
【0047】
送信用高周波コイル35は、被検体Pに印加する高周波磁場を発生させるためのコイル導体を有する。具体的には、図6に示すように、送信用高周波コイル35は、コイル導体として、エンドリング48と、エンドリング49と、複数のラング20とを有する。
【0048】
エンドリング48及び49は、それぞれリング状に形成されたコイル導体であり、Z方向に沿ってリング面が対向するように配置される。また、各ラング20は、棒状に形成されたコイル導体であり、エンドリング48とエンドリング49とを接続する。各ラング20は、エンドリング48とエンドリング49との間を架け渡すように配置され、エンドリング48及び49の円周方向に略等間隔に配列される。
【0049】
そして、第3の実施形態では、エンドリング48は、PET検出部43の外表面を被覆するように形成された第1の高周波シールド51により形成される。すなわち、第3の実施形態では、エンドリング48は、リング状に形成されたPET検出部43を銅版などの導体からなる第1の高周波シールド51で囲むことで形成される。なお、エンドリング49も同様に、PET検出部44の外表面を被覆するように形成された第1の高周波シールド52により形成される。
【0050】
このように、PET検出部43及び44を第1の高周波シールドで囲むことによって、PET検出部43及び44から発生するノイズが磁気共鳴信号を受信する受信系に混入するのを防ぐことが可能になる。また、PET検出部43及び44が送信用高周波コイル35の効率を劣化させるのを防ぐことも可能になる。また、送信用高周波コイル35によって送信される高周波がPET検出部43及び44に悪影響を与えるのを防ぐことも可能になる。
【0051】
また、図6に示すように、第3の実施形態に係る送信用高周波コイル35は、コンデンサ23と、送受信用ケーブル24と、高周波遮断回路25と、信号及び制御線26と、信号及び制御線27と、高周波遮断回路28及び29とを有する。なお、コンデンサ23、送受信用ケーブル24、高周波遮断回路25、信号及び制御線26、信号及び制御線27、高周波遮断回路28及び29については、第1の実施形態と同様であるので、ここでは説明を省略する。ただし、第3の実施形態では、送受信用ケーブル24は、一方の端部がコンデンサ23に接続され、他方の端部が送信部37に接続され、送信部37から送信される高周波パルスを送信用高周波コイル35へ伝送する。
【0052】
ここで、第1の実施形態で説明した送受信用高周波コイル5との違いは、送信用高周波コイル35が、送信時には所望の同調状態にし、受信時にはコイルを非同調状態にするスイッチ部をラング20に有する点である。このスイッチ部は、例えば、PINダイオード41及びチョーク付き給電ケーブル42により実現される。
【0053】
図7は、第3の実施形態に係る送信用高周波コイル35の外観を示す図である。図7に示すように、PINダイオード41は、ラング20に直列に挿入される。また、チョーク付き給電ケーブル42は、PINダイオード41の両端に接続され、PINダイオード41に給電する。
【0054】
送信時には、チョーク付き給電ケーブル42を通してPINダイオード41に順方向に電流が流れることで、PINダイオード41がON状態になり、送信用高周波コイル35が同調状態となる。一方、受信時には、チョーク付き給電ケーブル42を通してPINダイオード41に逆電圧が印加されることで、PINダイオード41がOFF状態となり、送信用高周波コイル35が非同調状態となる。これにより、受信用高周波コイル36による磁気共鳴信号の受信が可能となる。
【0055】
上述したように、第3の実施形態では、送信用高周波コイル35が、エンドリング48及び49を有する。そして、エンドリング48は、PET検出部43の外表面を被覆する第1の高周波シールド51によって形成され、エンドリング49は、PET検出部44の外表面を被覆する第1の高周波シールド52によって形成される。すなわち、第3の実施形態では、リング状に形成されたPET検出部43及び44をそれぞれ第1の高周波シールド51及び52で覆うことで、送信用高周波コイル35のコイル導体が形成される。したがって、第3の実施形態によれば、送信用高周波コイル35とPET検出部43との干渉、及び、送信用高周波コイル35とPET検出部44との干渉を抑えることができ、MR画像のSN比を向上させることが可能になる。
【0056】
なお、上記第3の実施形態では、送信用高周波コイル35がエンドリングを有する場合について説明したが、受信用高周波コイル36が、被検体Pを囲むように配置されるリング状のコイル導体を有する場合もある。この場合には、受信用高周波コイル36が有するリング状のコイル導体として、第1の高周波シールドで被覆されたPET検出部を用いるようにしてもよい。すなわち、第3の実施形態では、送信用高周波コイル35が有するコイル導体及び受信用高周波コイル36が有するコイル導体の少なくとも一方が、PET検出部の外表面を被覆する第1の高周波シールドによって形成される。
【0057】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態について説明する。第4の実施形態は、第3の実施形態で説明した送信用高周波コイル35に関する。図8は、第4の実施形態に係る送信用高周波コイル35の外観を示す図である。図8に示すように、第4の実施形態では、送信用高周波コイル35において、PINダイオード41及びチョーク付き給電ケーブル42からなるスイッチ部が、ラング20の略中心に配置される。
【0058】
さらに、第4の実施形態では、2つのコンデンサ53及び54が、スイッチ部を中心にして対称な位置に配置される。送信用の電力は、コンデンサ53及び54のいずれか一方の両端、又は、両方を挟む両端から供給すればよい。このように、第4の実施形態では、スイッチ部を中心にして、送信用高周波コイル35の対称性が確保される。この結果、スイッチ部の位置が等電位面になるので、チョークに負荷がかからなくなる。これにより、コンデンサの電気的な調整を容易に行うことができるようになる。
【0059】
(第5の実施形態)
次に、第5の実施形態について説明する。第5の実施形態は、第3の実施形態で説明した送信用高周波コイル35に関する。第5の実施形態では、送信用高周波コイル35において、第1の高周波シールド51及び52が、それぞれスリット(隙間)を有する。図9は、第5の実施形態に係る送信用高周波コイル35の外観を示す図である。図9に示すように、例えば、第1の高周波シールド51には、その周方向に沿って第1の高周波シールド51を複数の導体に分割する複数のスリット55が形成される。同様に、第1の高周波シールド52にも、複数のスリット56が形成される。
【0060】
これにより、各第1の高周波シールドにおいて、周方向に分けられた複数の導体間で直流電流が流れないようになる。すなわち、周方向に分けられた複数の導体それぞれが直流(DC:Direct Current)的に絶縁される。この結果、MR撮像が行われる際に、傾斜磁場によって第1の高周波シールド51の表面に誘起される渦電流を抑制することができる。さらに、渦電流によって発生する渦電流磁場が抑制されるので、渦電流磁場によって生じる画像劣化を防ぐことが可能になる。
【0061】
なお、第1の高周波シールド51及び52は、渦電流が発生するのを抑えることが要求される一方で、所望の高周波をシールドすることも要求される。図10は、第5の実施形態に係る第1の高周波シールド51の断面を示す図である。図10に示すように、例えば、第1の高周波シールド51は、外側のシールド部材51aと内側のシールド部材51bとの間に誘電体51cを配置することで形成される。
【0062】
ここで、外側のシールド部材51aには複数のスリット55aが形成されており、各スリット55aによって、シールド部材51aが複数の導体61aに分けられている。同様に、内側のシールド部材51bにも複数のスリット55bが形成されており、各スリット55bによって、シールド部材51bが複数の導体61bに分けられている。そして、外側のシールド部材51aと内側のシールド部材51bとは、互いのスリットの位置が第1の高周波シールド51の周方向にずれるように配置される。
【0063】
このような配置により、誘電体51cを挟んで導体61aと導体61bとが重なる部分が容量性素子として機能するようになる。そして、誘電体51cの厚みを十分に薄くすることによって、第1の高周波シールド51の状態を所望の周波数に対して非常にインピーダンスが低い状態、つまり導通に近い状態とすることができる。また、スリット55a及び55bによって複数の導体61a及び61bそれぞれが直流的に絶縁されるので、第1の高周波シールド51の表面に渦電流が発生するのを抑えることができる。
【0064】
このように、第5の実施形態によれば、第1の高周波シールド51の表面に渦電流が発生することを抑えつつ、所望の高周波をシールドすることができるようになる。
【0065】
(第6の実施形態)
次に、第6の実施形態について説明する。第6の実施形態は、第3の実施形態で説明したPET−MRI装置200が、第1の高周波シールド51及び52の外表面に設けられた冷却手段を有する場合について説明する。PET検出部で用いられる半導体検出器は一般的に熱に影響されやすい。この一方で、プリアンプやA/D変換器は一般的に通電状態で熱を発生する。そして、プリアンプやA/D変換器から発生した熱が第1の高周波シールド51及び52を介して半導体検出器に伝達することで、特性の劣化を招くことがある。第6の実施形態では、第1の高周波シールド51及び52に冷却手段を設けることで、プリアンプやA/D変換器から発生する熱を逃がすことができるようにしている。
【0066】
図11は、第6の実施形態に係る送信用高周波コイル35の外観を示す図である。図11に示すように、例えば、冷却手段として、第1の高周波シールド51の外周面に複数の放熱フィン71が設けられる。各放熱フィン71は、それぞれ板状の部材で形成され、第1の高周波シールド51の外周面から突出するように設けられる。また、各放熱フィン71は、第1の高周波シールド51の外周方向に所定の間隔で配置される。なお、第1の高周波シールド52の外周面にも同様に、複数の放熱フィン72が設けられる。
【0067】
このように、第6の実施形態によれば、第1の高周波シールド51及び52の外周面に放熱フィン71及び72を設けることで、プリアンプやA/D変換器から発生する熱を逃がすことができる。一般的に、MRI装置には、送信用高周波コイル35が配置されるボア内に通風するための機構が設けられている。この機構により発生する風が放熱フィン71及び72に当たることで、冷却効果が向上する。
【0068】
(第7の実施形態)
次に、第7の実施形態について説明する。第7の実施形態は、第3の実施形態で説明したPET−MRI装置200が、放熱フィン及び71及び72ではない他の冷却手段を有する場合について説明する。
【0069】
図12は、第7の実施形態に係る送信用高周波コイル35の外観を示す図である。図12に示すように、例えば、冷却手段として、第1の高周波シールド51の外周面に沿って冷却用配管81が設けられる。冷却用配管81は、第1の高周波シールド51の外周面に接触させて配置される。なお、第1の高周波シールド52の外周面にも同様に、冷却用配管82が設けられる。これら冷却用配管81及び82に、一定の温度の冷媒(例えば、水など)を流すことによって、エンドリング48及び49内で発生する熱を除去することができる。なお、冷却用配管は、第1の高周波シールドの内側に設けられてもよい。この場合には、例えば、冷却管は、第1の高周波シールドからボア内に発せられる熱が冷却されるように、第1の高周波シールドの内周面から離して配置される。または、冷却管は、第1の高周波シールドの内周面に接触させて配置されてもよい。このように、第1の高周波シールドの内側に冷却管を配置することで、第1の高周波シールドの内周面から発せられた熱が被検体に伝わるのを抑えることができる。
【0070】
以上、第1〜第7の実施形態をそれぞれ別々に説明したが、各実施形態は適宜に組み合わせて実施することが可能である。例えば、第2の実施形態で説明した送受信用高周波コイル5の構成を第3の実施形態で説明した送信用高周波コイル35に適用することも可能である。また、例えば、第6及び第7の実施形態で説明した冷却手段を第1の実施形態で説明したPET−MRI装置100に適用することも可能である。
【0071】
また、上記実施形態では、第1の高周波シールドで被覆されたPET検出部を高周波コイルが有する2つのエンドリングそれぞれとして用いる場合について説明した。しかしながら、PET画像を生成するためには、必ずしもPET検出部を2つ設ける必要はない。そこで、PET検出部が1つだけ設けられる場合には、高周波コイルが有する2つのエンドリングのいずれか一方のみに、第1の高周波シールドで被覆されたPET検出部を用いるようにしてもよい。
【0072】
また、他の実施形態では、送信用高周波コイルが複数のコイル導体を有し、当該複数のコイル導体のうち少なくとも1つのコイル導体が、PET検出部の外表面を被覆する第1の高周波シールドによって形成されてもよい。例えば、送信用高周波コイルが、2つのエンドリング以外にもリング状に形成されたコイル導体を有するような場合に、それら複数のコイル導体の全てについて、第1の高周波シールドで被覆されたPET検出部を用いてもよい。また、それら複数のコイル導体のうち一部のコイル導体について、第1の高周波シールドで被覆されたPET検出部を用いてもよい。
【0073】
さらに、上記実施形態において、PET−MRI装置が少なくとも2つのPET検出部を備え、複数のコイル導体のうち少なくとも1つのコイル導体が、少なくとも2つのPET検出部のうち少なくとも1つのPET検出部を被覆する第1の高周波シールドによって形成されてもよい。例えば、PET−MRI装置が2つのPET検出部を備える場合に、一方のPET検出部のみを第1の高周波シールドで被覆して送信用高周波コイルのコイル導体として用い、もう一方のPET検出器については、送信用高周波コイルから独立して設ける。このとき、独立して設けられたPET検出器は、第1の高周波シールドで被覆されてもよいし、被覆されなくてもよい。
【0074】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0075】
100 PET−MRI装置
1 静磁場磁石
3 傾斜磁場コイル
5 送受信用高周波コイル
10 計算機
16 PET画像再構成部
18,19 エンドリング
21,22 第1の高周波シールド
【特許請求の範囲】
【請求項1】
静磁場を発生させる静磁場磁石と、
前記静磁場内に置かれた被検体に傾斜磁場を印加する傾斜磁場コイルと、
前記被検体に高周波磁場を印加し、該高周波磁場及び前記傾斜磁場の印加により前記被検体から発せられる磁気共鳴信号を検出する高周波コイルと、
前記高周波コイルにより検出された磁気共鳴信号に基づいてMR画像を再構成するMR画像再構成部と、
前記被検体に投与された陽電子放出核種から放出されるガンマ線を検出するリング状のPET検出部と、
前記PET検出部により検出されたガンマ線に基づいて生成された投影データからPET画像を再構成するPET画像再構成部とを備え、
前記高周波コイルが有するコイル導体は、前記PET検出部の外表面を被覆する第1の高周波シールドによって形成されることを特徴とするPET−MRI装置。
【請求項2】
前記傾斜磁場コイルと前記高周波コイルとの間に配置され、前記高周波コイルから発生する高周波を遮蔽する第2の高周波シールドをさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載のPET−MRI装置。
【請求項3】
前記高周波コイルは複数のコイル導体を有し、当該複数のコイル導体のうち少なくとも1つのコイル導体が、前記PET検出部の外表面を被覆する第1の高周波シールドによって形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載のPET−MRI装置。
【請求項4】
少なくとも2つのPET検出部を備え、
前記複数のコイル導体のうち少なくとも1つのコイル導体が、前記少なくとも2つのPET検出部のうち少なくとも1つのPET検出部を被覆する第1の高周波シールドによって形成されることを特徴とする請求項3に記載のPET−MRI装置。
【請求項5】
前記少なくとも2つのPET検出部のうち少なくとも2つのPET検出部が、前記静磁場の磁場中心を挟むように配置されており、
前記複数のコイル導体のうち少なくとも2つのコイル導体が、前記磁場中心を挟むように配置された前記2つのPET検出部を被覆する2つの第1の高周波シールドによって形成されることを特徴とする請求項4に記載のPET−MRI装置。
【請求項6】
前記高周波コイルは、略円筒状に形成されたバードケージ型コイルであり、当該バードケージ型コイルが有する2つのエンドリングのうち少なくとも一方のエンドリングが、前記少なくとも2つのPET検出部のうち1つのPET検出部を被覆する第1の高周波シールドによって形成されることを特徴とする請求項4又は5に記載のMET−MRI装置。
【請求項7】
静磁場を発生させる静磁場磁石と、
前記被検体に傾斜磁場を印加する傾斜磁場コイルと、
前記静磁場内に置かれた被検体に高周波磁場を印加する送信用高周波コイルと、
該高周波磁場及び前記傾斜磁場の印加により前記被検体から発せられる磁気共鳴信号を検出する受信用高周波コイルと、
前記受信用高周波コイルにより検出された磁気共鳴信号に基づいてMR画像を再構成するMR画像再構成部と、
前記被検体に投与された陽電子放出核種から放出されるガンマ線を検出するリング状のPET検出部と、
前記検出部により検出されたガンマ線に基づいて生成された投影データからPET画像を再構成するPET画像再構成部とを備え、
前記送信用高周波コイルが有するコイル導体及び前記受信用高周波コイルが有するコイル導体の少なくとも一方は、前記PET検出部の外表面を被覆する高周波シールドによって形成されることを特徴とするPET−MRI装置。
【請求項8】
前記傾斜磁場コイルと前記送信用高周波コイルとの間に配置され、前記送信用高周波コイルから発生する高周波を遮蔽する第2の高周波シールドをさらに備えたことを特徴とする請求項7に記載のPET−MRI装置。
【請求項9】
前記送信用高周波コイルは複数のコイル導体を有し、当該複数のコイル導体のうち少なくとも1つのコイル導体が、前記PET検出部の外表面を被覆する第1の高周波シールドによって形成されることを特徴とする請求項7又は8に記載のPET−MRI装置。
【請求項10】
少なくとも2つのPET検出部を備え、
前記複数のコイル導体のうち少なくとも1つのコイル導体が、前記少なくとも2つのPET検出部のうち少なくとも1つのPET検出部を被覆する第1の高周波シールドによって形成されることを特徴とする請求項9に記載のPET−MRI装置。
【請求項11】
前記少なくとも2つのPET検出部のうち少なくとも2つのPET検出部が、前記静磁場の磁場中心を挟むように配置されており、
前記複数のコイル導体のうち少なくとも2つのコイル導体が、前記磁場中心を挟むように配置された前記2つのPET検出部を被覆する2つの第1の高周波シールドによって形成されることを特徴とする請求項10に記載のPET−MRI装置。
【請求項12】
前記送信用高周波コイルは、略円筒状に形成されたバードケージ型コイルであり、当該バードケージ型コイルが有する2つのエンドリングのうち少なくとも一方のエンドリングが、前記少なくとも2つのPET検出部のうち1つのPET検出部を被覆する第1の高周波シールドによって形成されることを特徴とする請求項10又は11に記載のMET−MRI装置。
【請求項13】
前記PET検出部は、ガンマ線をアナログ信号に変換して出力し、
前記PET検出部から出力されたアナログ信号を増幅する信号増幅部と、
前記信号増幅部により増幅されたアナログ信号をデジタル信号に変換する第1の信号変換部と、
前記第1の信号変換部により得られたデジタル信号を光信号に変換する第2の信号変換部と、
前記第2の信号変換部により得られた光信号を伝送する光ファイバーとを備え、
前記第1の高周波シールドは、前記PET検出部とともに、前記信号増幅部、前記デジタル信号変換部及び前記光信号変換部を被覆するように形成されることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一つに記載のPET−MRI装置。
【請求項14】
前記第1の高周波シールドは、スリットを有することを特徴とする請求項1〜13のいずれか一つに記載のPET−MRI装置。
【請求項15】
前記第1の高周波シールドの外表面又は内側に設けられた冷却手段をさらに有することを特徴とする請求項1〜14のいずれか一つに記載のPET−MRI装置。
【請求項1】
静磁場を発生させる静磁場磁石と、
前記静磁場内に置かれた被検体に傾斜磁場を印加する傾斜磁場コイルと、
前記被検体に高周波磁場を印加し、該高周波磁場及び前記傾斜磁場の印加により前記被検体から発せられる磁気共鳴信号を検出する高周波コイルと、
前記高周波コイルにより検出された磁気共鳴信号に基づいてMR画像を再構成するMR画像再構成部と、
前記被検体に投与された陽電子放出核種から放出されるガンマ線を検出するリング状のPET検出部と、
前記PET検出部により検出されたガンマ線に基づいて生成された投影データからPET画像を再構成するPET画像再構成部とを備え、
前記高周波コイルが有するコイル導体は、前記PET検出部の外表面を被覆する第1の高周波シールドによって形成されることを特徴とするPET−MRI装置。
【請求項2】
前記傾斜磁場コイルと前記高周波コイルとの間に配置され、前記高周波コイルから発生する高周波を遮蔽する第2の高周波シールドをさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載のPET−MRI装置。
【請求項3】
前記高周波コイルは複数のコイル導体を有し、当該複数のコイル導体のうち少なくとも1つのコイル導体が、前記PET検出部の外表面を被覆する第1の高周波シールドによって形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載のPET−MRI装置。
【請求項4】
少なくとも2つのPET検出部を備え、
前記複数のコイル導体のうち少なくとも1つのコイル導体が、前記少なくとも2つのPET検出部のうち少なくとも1つのPET検出部を被覆する第1の高周波シールドによって形成されることを特徴とする請求項3に記載のPET−MRI装置。
【請求項5】
前記少なくとも2つのPET検出部のうち少なくとも2つのPET検出部が、前記静磁場の磁場中心を挟むように配置されており、
前記複数のコイル導体のうち少なくとも2つのコイル導体が、前記磁場中心を挟むように配置された前記2つのPET検出部を被覆する2つの第1の高周波シールドによって形成されることを特徴とする請求項4に記載のPET−MRI装置。
【請求項6】
前記高周波コイルは、略円筒状に形成されたバードケージ型コイルであり、当該バードケージ型コイルが有する2つのエンドリングのうち少なくとも一方のエンドリングが、前記少なくとも2つのPET検出部のうち1つのPET検出部を被覆する第1の高周波シールドによって形成されることを特徴とする請求項4又は5に記載のMET−MRI装置。
【請求項7】
静磁場を発生させる静磁場磁石と、
前記被検体に傾斜磁場を印加する傾斜磁場コイルと、
前記静磁場内に置かれた被検体に高周波磁場を印加する送信用高周波コイルと、
該高周波磁場及び前記傾斜磁場の印加により前記被検体から発せられる磁気共鳴信号を検出する受信用高周波コイルと、
前記受信用高周波コイルにより検出された磁気共鳴信号に基づいてMR画像を再構成するMR画像再構成部と、
前記被検体に投与された陽電子放出核種から放出されるガンマ線を検出するリング状のPET検出部と、
前記検出部により検出されたガンマ線に基づいて生成された投影データからPET画像を再構成するPET画像再構成部とを備え、
前記送信用高周波コイルが有するコイル導体及び前記受信用高周波コイルが有するコイル導体の少なくとも一方は、前記PET検出部の外表面を被覆する高周波シールドによって形成されることを特徴とするPET−MRI装置。
【請求項8】
前記傾斜磁場コイルと前記送信用高周波コイルとの間に配置され、前記送信用高周波コイルから発生する高周波を遮蔽する第2の高周波シールドをさらに備えたことを特徴とする請求項7に記載のPET−MRI装置。
【請求項9】
前記送信用高周波コイルは複数のコイル導体を有し、当該複数のコイル導体のうち少なくとも1つのコイル導体が、前記PET検出部の外表面を被覆する第1の高周波シールドによって形成されることを特徴とする請求項7又は8に記載のPET−MRI装置。
【請求項10】
少なくとも2つのPET検出部を備え、
前記複数のコイル導体のうち少なくとも1つのコイル導体が、前記少なくとも2つのPET検出部のうち少なくとも1つのPET検出部を被覆する第1の高周波シールドによって形成されることを特徴とする請求項9に記載のPET−MRI装置。
【請求項11】
前記少なくとも2つのPET検出部のうち少なくとも2つのPET検出部が、前記静磁場の磁場中心を挟むように配置されており、
前記複数のコイル導体のうち少なくとも2つのコイル導体が、前記磁場中心を挟むように配置された前記2つのPET検出部を被覆する2つの第1の高周波シールドによって形成されることを特徴とする請求項10に記載のPET−MRI装置。
【請求項12】
前記送信用高周波コイルは、略円筒状に形成されたバードケージ型コイルであり、当該バードケージ型コイルが有する2つのエンドリングのうち少なくとも一方のエンドリングが、前記少なくとも2つのPET検出部のうち1つのPET検出部を被覆する第1の高周波シールドによって形成されることを特徴とする請求項10又は11に記載のMET−MRI装置。
【請求項13】
前記PET検出部は、ガンマ線をアナログ信号に変換して出力し、
前記PET検出部から出力されたアナログ信号を増幅する信号増幅部と、
前記信号増幅部により増幅されたアナログ信号をデジタル信号に変換する第1の信号変換部と、
前記第1の信号変換部により得られたデジタル信号を光信号に変換する第2の信号変換部と、
前記第2の信号変換部により得られた光信号を伝送する光ファイバーとを備え、
前記第1の高周波シールドは、前記PET検出部とともに、前記信号増幅部、前記デジタル信号変換部及び前記光信号変換部を被覆するように形成されることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一つに記載のPET−MRI装置。
【請求項14】
前記第1の高周波シールドは、スリットを有することを特徴とする請求項1〜13のいずれか一つに記載のPET−MRI装置。
【請求項15】
前記第1の高周波シールドの外表面又は内側に設けられた冷却手段をさらに有することを特徴とする請求項1〜14のいずれか一つに記載のPET−MRI装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−152551(P2012−152551A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−1500(P2012−1500)
【出願日】平成24年1月6日(2012.1.6)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年1月6日(2012.1.6)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]