説明

PETプリフォーム検査装置

【課題】容易かつ確実にPETプリフォームのサポートリングの異常を行うことができるPETプリフォーム検査装置を提供する。
【解決手段】PETプリフォーム検査装置10は、PETプリフォーム1のサポートリング5上方に配置されたリング状照明部14と、リング状照明部14の上方に配置されサポートリング5からの反射光を撮像する検査カメラ13とを備えている。検査カメラ13に、検査カメラ13からの検査情報に基づいてサポートリング5の異常を検出する検出部20が接続されている。検出部20は検査カメラ13から検査情報に基づいて周辺明度差比較により異常ドットを検出し、この異常ドットの合計値が設定値を越えた場合にサポートリング5の異常と判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PETプリフォームの検査装置に係り、とりわけPETプリフォームのサポートリングの異常を検出することができるPETプリフォーム検査機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、お茶、果汁飲料、飲料水等をはじめとする食品飲料において、PETボトルの普及が著しい。PETボトルは、軽さ、手軽さの特徴をもつため、消費者に受け入れられ、普及してきた。PETボトルの製造において、その前段階では、プリフォームと呼ぶ試験管状のプラスチックボトルを射出成形により成形し、更にブロー成形機によりプリフォームから通常のPETボトルを成形している。このPETボトルの製造工程においては、プリフォームまたは、PETボトルを様々な観点から検査する装置についての特許出願が行われてきた。
【0003】
例えば、PETボトルのネックリングの形状を検査する装置が開示されているが(特許文献1参照)、これは、ネックリングへ光を投光する投光部と、光が投光されたネックリングを撮影し、映像データを生成するカメラと、ネックリング基準形状を有しているかを判定するコントローラとを有している。
【0004】
同様に、PETボトルの形状を検査する装置であって、ネックリングへ光を投光する投光部と、カメラと、コントローラを有するネックリング検査装置が開発されている(特許文献2参照)。
【0005】
さらにPETプリフォームを搬送工程中に、画像処理して胴部の欠陥を検出する胴部検査手段と、欠陥のあるPETプリフォームをコンベアライン外方へ排出する排出手段を設けたプリフォーム検査装置が開示されている(特許文献3参照)。
【0006】
この他にも様々な観点からのPETボトルの検査装置に係る特許出願は行われているが、PETプリフォームのサポートリングの異常を容易かつ確実に検査する装置は未だ開発されていない。そのため、PETプリフォームのサポートリングの異常を容易かつ確実に検査することができる検査装置は、従来より、長く待ち望まれていた。
【特許文献1】特開2005−308441
【特許文献2】特開2007−113923
【特許文献3】特開2001−91472
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、PETプリフォームを用いてPETボトルを製造するPETボトルの製造工程において、PETプリフォームのサポートリングの異常を容易かつ確実に検査することができるPETプリフォームの検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、サポートリングを含む口部と、口部下方に位置する胴部とを有するPETプリフォームの検査装置において、サポートリング上方に配置され、サポートリングを照らすリング状照明部と、照明部上方に配置され、サポートリングからの反射光を撮像する検査カメラと、検査カメラに接続され、検査カメラからの検査情報に基づいてサポートリングの異常を検出する検出部とを備え、検出部は検査カメラからの検査情報に基づいて、周辺明度差比較により異常ドットを検出し、この異常ドットの合計値が設定値以上となった場合にサポートリングの異常と判断することを特徴とするPETプリフォームの検査装置である。
【0009】
本発明は、検出部はサポートリングの形状に合わせた複数の検査ゲートを設定し、各検査ゲート毎に周辺明度差比較により異常ドットを検出し、各検査ゲート毎にこの異常ドットの合計値が設定値以上となったか否か判断することを特徴とするPETプリフォームの検査装置である。
【0010】
本発明は、検出部はサポートリングの背景色に合わせて複数の検査ゲートを設定するとともに、各検査ゲート毎の設定値はサポートリングの背景色に応じて定められていることを特徴とするPETプリフォームの検査装置である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、検査カメラからのPETプリフォームのサポートリングに関する検査情報に基づいて、検出部において周辺明度差比較により異常ドットが検出され、この異常ドットの合計値が設定値を越えた場合にサポートリングの異常と判断される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0013】
図1乃至図5は、本発明によるPETプリフォームの検査装置の一実施の形態を示す図である。
【0014】
まず図4により、PETプリフォームについて説明する。図4に示すように、PETプリフォーム1はサポートリング5を含む口部3と、口部3の下方に位置する胴部2とを有している。また口部3外面には、雄ねじ3aが予め形成されており、このような構成からなるPETプリフォーム1はリジェクタ23を有するブロー成形機22(図1参照)に送られる。そしてこのブロー成形機22において、PETプリフォーム1はブロー成形金型(図示せず)に挿入され、PETプリフォーム1に対してブロー成形を施すことにより、PETボトル7が成形される(図5参照)。またPETボトル7の口部3には雄ねじ3aに係合するキャップ8が挿着される。
【0015】
次に図1乃至図3により、PETプリフォームの検査装置について説明する。
【0016】
図1乃至図3に示すように、PETプリフォームの検査装置10は、PETプリフォーム1のサポートリング5および胴部2の異常を検査するものであり、リジェクタ23を含むブロー成形機22の上流側に配置されている。
【0017】
このようなPETプリフォームの検査装置10は、フレーム10aと、フレーム10a近傍に位置するとともに、PETプリフォーム1を保持搬送するプリフォーム保持搬送機構11と、プリフォーム保持搬送機構11により保持搬送されたPETプリフォーム1のサポートリング5上方に配置され、サポートリング5を照らすLED照明リングフラット等のリング状照明部14と、リング状照明部14の更に上方に配置され、サポートリング5からの反射光を撮像するデジタル倍速のカラーCCDカメラ等の検査カメラ13とを備えている。
【0018】
このうちリング状照明部14および検査カメラ13は、いずれもフレーム10aに固着されている。またプリフォーム保持搬送装置11は、図2(a)に詳述するように、フレーム10a近傍に位置しPETプリフォーム1を保持搬送するスターホイルからなっている。
【0019】
また検査カメラ13に、検査カメラ13からの検査情報(撮像情報)に基づいてサポートリング5の異常を検出する検出部(コントローラ)20が接続されている。
【0020】
さらに、フレーム10aの下部には、PETプリフォーム1の胴部2に対して照射されたレーザ光を受光して胴部2の異常を検出するレーザセンサ15が取付けられており、レーザセンサ15で受光した検査情報は検出部20へ送られ、この検出部20においてPETプリフォーム1の胴部の異常が検出される。
【0021】
なお、PETプリフォーム1の胴部2に対して照射されるレーザ光は、PETプリフォーム1を挟んでレーザセンサ15と対向して配置されたレーザ照射部16から照射される。
【0022】
ところで検査カメラ13から検出部20へ送られた検査情報は検出部20内で処理され、周辺明度差比較により異常ドットが検出される。そして検出部20内において、この異常ドットの合計値が設定値以上となった場合に、サポートリング13が異常と判定される。
【0023】
なお、検出部(コントローラ)20には、検査カメラ13により撮像されたサポートリング5の画像を表示するモニタ21が接続されている(図1および図2(b))。このモニタ21において、サポートリング5の画像とともに、サポートリング13の異常判定の結果も表示される。
【0024】
次にこのような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
【0025】
まず、サポートリング5を含む口部3と、胴部2とを有するPETプリフォーム1が作製され(図4参照)、このPETプリフォーム1はブロー成形機22側へ送られこのブロー成形機22のブロー成形金型内でブロー成形されてPETボトル7が得られる(図5参照)。
【0026】
ところでPETプリフォーム1はこのブロー成形機22へ送られる前に、ブロー成形機22の上流側に配置されたPETプリフォームの検査装置10において、PETプリフォーム1のサポートリング5の異常の有無および胴部2の異常の有無が検査される。
【0027】
具体的には、PETプリフォームの検査装置10において、PETプリフォーム1はスターホイル等のプリフォーム保持搬送機構11により保持されて順次回転搬送され、フレーム10aにより保持されたリング状照明部14および検査カメラ13の下方に達する。このときPETプリフォーム1のサポートリング5はリング状照明部14と同軸上に配置され、胴部2はレーザセンサ15とレーザ照射部16との間に位置する。
【0028】
次にリング状照明部14によりPETプリフォーム1のサポートリング5が照らされ、サポートリング5からの反射光が検査カメラ13により撮像される。
【0029】
次に検査カメラ13からの検査情報は検査部20へ送られる。検出部20では検査カメラ13からの検査情報に基づいて、周辺明度差比較により異常ドットを検出し、この異常ドットの合計値が設定値以上となった場合にサポートリング5に破損、欠けまたは変形等の異常が発生したと判定する。
【0030】
この場合、検出部21はサポートリング5の形状に合わせた複数の検査ゲート24、例えばゲート0、ゲート1、ゲート2、ゲート3を設定し、各検査ゲート24毎に周辺明度差比較をして異常ドットを検出するとともに、各検査ゲート24毎にこの異常ドットの合計値が設定値以上となったか否か判定してもよい。
【0031】
このように検出部21が複数の検査ゲート24を設定し、各検査ゲート24毎に異常ドットの合計値が、予め求められた設定値を越えたか否か判定する場合、各検査ゲート24は検査カメラ13で撮像するサポートリング5の背景色に合わせて設定することが好ましい。
【0032】
このように各検査ゲート24をサポートリング5の背景色に合わせて設定する場合、各検査ゲート24毎の設定値を背景色に合わせて可変とすることができる。このため、サポートリング5の背景色に合わせて、適切かつ確実にサポートリング5の異常を検出することができる。
【0033】
ここでモニタ21上におけるサポートリング5の画像および各検査ゲート24の配置位置を図3に示す。図3において、ゲート0およびゲート1の背景色はプリフォーム保持搬送機構11に対応する同一の白色となっており、ゲート2およびゲート3の背景色は空間に対応する同一の黒色となっている。
【0034】
この間、レーザセンサ15によりPETプリフォーム1の胴部2の破損、欠けおよび変形等の異常が検出され、レーザセンサ15からの検査情報が検出部20へ送られる。
【0035】
検出部20において、PETプリフォーム1のサポートリング5の異常が検出され、あるいはまた胴部2の異常が検出された場合、検出部20はPETプリフォーム1の異常信号をブロー成形機22へ送る。ブロー成形機22では、検出部20からの異常信号に基づいて、リジェクタ23から異常が検出されたプリフォーム1を外方へ排出する。このため、ブロー成形機22において、正常なプリフォーム1のみを用いて、精度の良好なPETボトル7を製造することができる。
【0036】
以上のように本実施の形態によれば、PETプリフォームの検査装置10の検出部20により、PETプリフォーム1の胴部2およびサポートリング5の破損、欠けおよび変形等の異常を迅速かつ精度良く検出することができる。このため検出部20からの異常信号に基づいて、ブロー成形機22のリジェクタ23により異常と判定されたPETプリフォーム1を容易かつ確実に外方へ排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】図1は本発明によるPETプリフォームの検査装置を示す概略図。
【図2】図2(a)はPETプリフォームの検査装置の詳細図、図2(b)はモニタを示す図。
【図3】図3はモニタの表示画像を示す図。
【図4】図4はPETプリフォームを示す側面図。
【図5】図5はPETボトルを示す側面図。
【符号の説明】
【0038】
1 PETプリフォーム
2 胴部
3 口部
5 サポートリング
7 PETボトル
8 キャップ
10 PETプリフォームの検査装置
10a フレーム
11 プリフォーム保持搬送機構
13 検査カメラ
14 リング状照明部
20 検出部
21 モニタ
22 ブロー成形機
23 リジェクタ
24 検査ゲート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サポートリングを含む口部と、口部下方に位置する胴部とを有するPETプリフォームの検査装置において、
サポートリング上方に配置され、サポートリングを照らすリング状照明部と、
照明部上方に配置され、サポートリングからの反射光を撮像する検査カメラと、
検査カメラに接続され、検査カメラからの検査情報に基づいてサポートリングの異常を検出する検出部とを備え、
検出部は検査カメラからの検査情報に基づいて、
周辺明度差比較により異常ドットを検出し、この異常ドットの合計値が設定値以上となった場合にサポートリングの異常と判断することを特徴とするPETプリフォームの検査装置。
【請求項2】
検出部はサポートリングの形状に合わせた複数の検査ゲートを設定し、各検査ゲート毎に周辺明度差比較により異常ドットを検出し、各検査ゲート毎にこの異常ドットの合計値が設定値以上となったか否か判断することを特徴とする請求項1記載のPETプリフォームの検査装置。
【請求項3】
検出部はサポートリングの背景色に合わせて複数の検査ゲートを設定するとともに、各検査ゲート毎の設定値はサポートリングの背景色に応じて定められていることを特徴とする請求項2記載のPETプリフォームの検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−121888(P2009−121888A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−294611(P2007−294611)
【出願日】平成19年11月13日(2007.11.13)
【出願人】(593046706)キリンディスティラリー株式会社 (4)
【Fターム(参考)】