PLCの開発支援装置、およびPLC開発支援用プログラム
【課題】操作性を向上したPLCの開発支援装置を提供することである。
【解決手段】PLCの開発支援装置は、PLCの制御内容について各種の設計を行う複数の設計項目の一覧を選択可能に表示する表示部を備える。PLCの開発支援装置は、複数の設計項目のうち、ユーザの所望の設計項目に対して、第一の記号34a〜34dを付す要求をユーザから受け付けて、第一の記号34a〜34dを付す記号付加手段と、記号付加手段により第一の記号34a〜34dが付された特定の設計項目を一括して表示するよう表示部を制御する表示制御手段とを含む。
【解決手段】PLCの開発支援装置は、PLCの制御内容について各種の設計を行う複数の設計項目の一覧を選択可能に表示する表示部を備える。PLCの開発支援装置は、複数の設計項目のうち、ユーザの所望の設計項目に対して、第一の記号34a〜34dを付す要求をユーザから受け付けて、第一の記号34a〜34dを付す記号付加手段と、記号付加手段により第一の記号34a〜34dが付された特定の設計項目を一括して表示するよう表示部を制御する表示制御手段とを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、プログラマブルコントローラ(以下、「PLC」と言う)の開発支援装置、およびPLC開発支援用プログラムに関するものであって、特に、ユーザがPLCの制御内容を設計する際に利用されるPLCの開発支援装置、およびこのようなPLCの開発支援装置に用いられるPLC開発支援用プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
産業用機器等の制御装置として用いられるPLCは、PLC全体を制御するCPUユニットや通信を行う通信ユニットや信号の入出力を行うI/Oユニット等の複数のユニットから構成される。このようなPLCにユーザの所望の制御を実行させるには、ユーザプログラムをどのように設計するか等、ユーザがPLCの制御内容を設計する必要がある。そして、この設計には、パソコン(コンピュータ)に所定のソフトウェアをインストールし、このインストールしたソフトウェアを用いることが一般的である。
【0003】
このようなユーザのPLCの開発を支援する開発支援装置が、例えば「オムロン社製 CX−Programmer サポートソフト Ver 9.0 日本語版(2009年発売)」(非特許文献1)に開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】オムロン社製 CX−Programmer サポートソフト Ver 9.0 日本語版(2009年発売)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図12は、非特許文献1に開示のPLCの開発支援装置の表示画面の一例を示す図である。図12を参照して、非特許文献1に開示のPLCの開発支援装置では、表示画面100として、設計項目101aの一覧を表示して、ユーザに設計する項目を選択させる設計メニュー画面101と、設計メニュー画面101にて選択された設計項目101aに対して、ユーザにプログラミング等の作業を行わせる作業用画面102と、プログラムチェック(コンパイル)を行った際に、プログラムのエラーの一覧を表示するエラー画面103とを含む構成である。
【0006】
ここで、ユーザがPLCの制御内容について各種の設計を行う際には、例えば、後日正しいパラメータ値を入力しようとして、プログラムチェック時にはエラーにならない適当なパラメータ値を入力している場合がある。このような場合、非特許文献1に開示のPLCの開発支援装置では、表示画面100にこのようなユーザの所望の箇所を表示することはできないため、ユーザは、後日、設計メニュー画面101に表示される設計項目101aを1つ1つ検索して、その所望の箇所を探し出す必要があり、作業が煩雑になってしまう。
【0007】
この発明の目的は、操作性を向上したPLCの開発支援装置、およびPLC開発支援用プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係るPLCの開発支援装置は、PLCの制御内容について各種の設計を行う複数の設計項目の一覧を選択可能に表示する表示部を備える。PLCの開発支援装置は、複数の設計項目のうち、ユーザの所望の設計項目に対して、第一の記号を付す要求をユーザから受け付けて、第一の記号を付す記号付加手段と、記号付加手段により第一の記号が付された特定の設計項目を一括して表示するよう表示部を制御する表示制御手段とを含む。
【0009】
こうすることにより、PLCの開発支援装置は、複数の設計項目のうちのユーザの所望の設計項目に第一の記号を付すことができると共に、この第一の記号を付した特定の設計項目を一括して表示することができる。したがって、ユーザにとっては、所望の設計項目に第一の記号を付しておくことにより、所望の設計項目を確認する際には、特定の設計項目として一括して表示されるため、その特定の設計項目を検索するのみでよい。その結果、操作性を向上することができる。
【0010】
なお、この一括して表示するとは、特定の設計項目をまとめて表示することを意味するものである。
【0011】
好ましくは、第一の記号には、所定のルールが予め定められており、第一の記号は、それぞれ異なる所定のルールを定められた複数種類の記号を含む。こうすることにより、ユーザにとって、第一の記号を付す際に、ルールに沿って複数種類に分けることができる。
【0012】
さらに好ましくは、表示制御手段は、複数種類の記号の中からユーザの所望の記号を選択される選択手段を含み、選択手段により選択された特定の設計項目を一括して表示するよう表示部を制御する。こうすることにより、ユーザにとって、特定の設計項目を表示する際に、所望の種類毎に分けることができる。
【0013】
さらに好ましくは、PLCの開発支援装置は、設計項目における設計内容が異常であるか否かを判断する異常判断手段を含み、記号付加手段は、異常判断手段により異常と判断した設計項目に対して、第一の記号とは異なる第二の記号を付す異常記号付加手段を含む。こうすることにより、設計内容が異常な設計項目においても第二の記号を付して、ユーザにわかりやすく示すことができる。
【0014】
さらに好ましくは、PLCの開発支援装置は、記号付加手段または異常記号付加手段により、設計項目に第一または第二の記号を付すと、複数の設計項目の一覧を表示する際に、第一または第二の記号を付した状態で複数の設計項目を表示するよう表示部を制御する記号付表示制御手段を含む。こうすることにより、設計項目の一覧から、第一または第二の記号を付した項目を容易に把握することができる。
【0015】
一実施形態として、表示部は、PLCの制御内容について各種の設計を行う複数の設計項目の一覧を設計メニュー画面にて表示し、第一の記号を付した特定の設計項目の一覧を特定項目表示画面にて表示する。
【0016】
この発明の他の局面においては、表示部を含むコンピュータを、PLCの開発支援装置として作動させるPLC開発支援用プログラムに関する。PLC開発支援用プログラムは、コンピュータに、PLCの制御内容について各種の設計を行う複数の設計項目の一覧を選択可能に表示部に表示させるステップと、表示された複数の設計項目のうち、ユーザの所望の設計項目に対して、第一の記号を付す要求をユーザから受け付けて、第一の記号を付すステップと、第一の記号を付された特定の設計項目を一括して表示部に表示させるステップとを含む。
【0017】
このようなPLC開発支援用プログラムは、複数の設計項目のうちのユーザの所望の設計項目に第一の記号を付すことができると共に、この第一の記号を付した特定の設計項目を一括して表示することができる。したがって、ユーザにとっては、所望の設計項目に第一の記号を付しておくことにより、所望の設計項目を確認する際には、特定の設計項目として一括して表示されるため、その特定の設計項目を検索するのみでよい。その結果、操作性を向上することができる。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、PLCの開発支援装置は、複数の設計項目のうちのユーザの所望の設計項目に第一の記号を付すことができると共に、この第一の記号を付した特定の設計項目を一括して表示することができる。したがって、ユーザにとっては、所望の設計項目に第一の記号を付しておくことにより、所望の設計項目を確認する際には、特定の設計項目として一括して表示されるため、その特定の設計項目を検索するのみでよい。その結果、操作性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この発明の一実施形態に係るPLCの開発支援装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【図2】表示画面の一例を示す図である。
【図3】展開表示状態のフィルター情報表示領域を示す図である。
【図4】フィルタ条件のリストを表示した状態のフィルター情報表示領域を示す図である。
【図5】第二の記号の付された設計項目をフィルタ結果表示領域に一括して表示した状態を示す図である。
【図6】ユーザの所望の設計項目を選択された状態を示す図である。
【図7】付していた第二の記号を消去して、フィルタ結果表示領域に「POU」の表示がない状態を示す図である。
【図8】ピンク色の記号を付した設計項目をフィルタ結果表示領域に一括して表示した状態を示す図である。
【図9】フィルタ結果表示領域に「条件に一致するものはありません」と表示した場合を示す図である。
【図10】CPUの動作を示すフローチャートである。
【図11】複数の記号を組合わせて検索する際の検索画面の一例を示す図である。
【図12】非特許文献1に開示のPLCの開発支援装置の表示画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、この発明の一実施形態に係るPLCの開発支援装置について説明する。図1は、この発明の一実施形態に係るPLCの開発支援装置10のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図1を参照して、PLCの開発支援装置10は、PLCの開発支援装置10全体を制御するCPU(Central Processing Unit)11と、ソフトウェアやデータ等を記憶するメモリ12と、通信ネットワークを介してPLC等の外部機器と接続する際のインターフェースとなる通信インターフェース13と、ユーザとのインターフェースとなり、文字の入力を受け付けるキーボード14と、ユーザとのインターフェースとなり、マウス等のポインティングデバイス15と、ユーザとのインターフェースとなり、表示画面を表示する画像表示器16とを含む。PLCの開発支援装置10のハードウェア構成は、一般的なパソコンの構成をそのまま採用することができ、本願発明のPLCの開発支援装置10は、図1に示すようなハードウェア構成上に、予めインストールされた所定のソフトウェアを実行することにより、実現されるものである。
【0021】
ここで、ソフトウェアを実行すると、CPU11が画像表示器16上に、PLCの開発支援装置10の表示画面を表示するよう画像表示器16を制御する。ここで、画像表示器16は、表示部として作動する。図2は、画像表示器16上に表示する表示画面20の一例を示す図である。図2を参照して、表示画面20は、機器の動作を制御するPLCの制御内容について各種の設計が必要となる設計項目の一覧を表示して、ユーザに設計する項目を選択させる設計メニュー画面30と、設計メニュー画面30の右側に位置して、設計メニュー画面30にて選択された設計項目に対して、パラメータの入力やプログラミング等の作業をユーザに行わせる作業用画面31とを含む。
【0022】
作業用画面31は、設計メニュー画面30にて選択された設計項目に対応する所定の作業をユーザに行わせるための画面である。図2では、設計メニュー画面30において「CPU・増設ラック」が選択された状態であって、例えばPLCを構成するユニットの増設を行う際に、増設位置の設計等を行わせるための画面である。ユーザは作業用画面31を用いて所望の作業を行う。
【0023】
設計メニュー画面30は、PLCのユニット構成に関する項目であって、例えばPLCを構築する際のPLCを構成するユニットの型式等を設計させる設計項目の一覧を表示するユニット構成表示領域32と、プログラミング構成に関する項目であって、例えばユーザプログラムを設計させる設計項目の一覧を表示するプログラミング構成表示領域33とを含む。設計メニュー画面30では、階層的に設計項目を表示する。例えば、図2では、プログラミング構成表示領域33では、「POU(プログラム・オーガニゼーション・ユニット)」が第一の層に位置し、この「POU」の構成要素となる「プログラム」と、「ファンクション」と、「ファンクションブロック」とが第一の層の下位である第二の層に位置するように表示する。そして、「プログラム」の構成要素となる「ラダープログラム0」と、「ラダープログラム1」とが第二の層の下位である第三の層に位置するように表示して、「ラダープログラム0」の構成要素となる「セクション1」と「セクション0」とが第三の層の下位である第四の層に位置するように表示する。
【0024】
ここで、ユニット構成表示領域32およびプログラミング構成表示領域33に表示する設計項目には、設計項目毎に第一の記号34a〜34dを付すことが可能である。第一の記号34a〜34dは、設計項目の文字の先頭に付される。図2では、「MC_Axis000(0)」、「MC_Axis001(1)」、「ラダープログラム0」の「セクション1」および「セクション0」、「ラダープログラム1」の「セクション1」に第一の記号34a〜34dを付している。CPU11は、第一の記号34a〜34dを付す要求をユーザから受け付けることにより、ユーザにより指定される所望の項目に第一の記号34a〜34dを付す。ここで、CPU11は、記号付加手段として作動する。そして、第一の記号34a〜34dを付した状態で、設定メニュー画面30に表示する。ここで、CPU11は、記号付表示制御手段として作動する。
【0025】
第一の記号34a〜34dとしては、例えばピンクや黄や緑や青等の複数種類の異なる色の記号を用いる。第一の記号34a〜34dには、予め所定のルールが定められており、この複数の色の違いにより、それぞれ異なる所定のルールが定められている。例えば、ピンクの記号34aの場合には、デバッグが未だ行われていない状態を示し、黄の記号34bの場合には、デバッグ中の状態を示し、緑の記号34cの場合には、デバッグ完了状態を示し、青の記号34dの場合には、試運転確認済みの状態を示す。また、丸や四角や三角等のような複数の異なる形状を用いてもよい。なお、本明細書中の図においては、ハッチングの種類を変えて、色の違いを表現している。
【0026】
また、CPU11は、ユニット構成表示領域32およびプログラミング構成表示領域33に表示する設計項目のうち、設計内容が異常であると判断した場合には、第二の記号35を付す。すなわち、第二の記号35は、設定内容が異常であることを示す記号である。ここで、CPU11は、異常判断手段、および異常記号付加手段として作動する。そして、第二の記号35を付した状態で、設定メニュー画面30に表示する。第二の記号35は第一の記号34a〜34dとは異なり、例えば、感嘆符(!)を用いる。また、クエスチョンマーク(?)のような他の形状を用いてもよい。第二の記号35は、第一の記号34a〜34dよりさらに先頭に付される。
【0027】
第二の記号35は、例えばユニット構成表示領域32に表示する設計項目において、数値の入力が行われる際に、範囲外の異常な値を入力されたか否かを判断して、判断した結果、異常な値を入力されたと判断した場合に付される。図2では、「MC_Axis000(0)」に第二の記号35を付している。また、プログラミング構成表示領域33に表示する設計項目において、ユーザによりユーザプログラムを作成されて、その作成されたユーザプログラムに対してプログラムチェック(コンパイル)を行った際に、パラメータが入力されていない等のエラーがあると判断した場合に付す。図2では、「セクション0」に第二の記号35を付している。
【0028】
ここで、設計メニュー画面30は、フィルター情報表示領域36をさらに含む。フィルター情報表示領域36は、上記した第一および第二の記号34a〜34d,35の付された特定の設計項目を一括して表示する領域であって、特定項目表示画面である。ここで、CPU11は、表示制御手段として作動する。フィルター情報表示領域36は、例えば、プログラミング構成表示領域33の下側に位置する。CPU11は、ソフトウェアを起動した際には、フィルター情報表示領域36をウィンドウバー37のみの省略表示状態で表示する。図2では、この省略表示状態で表示したものを示している。
【0029】
ここで、ユーザによりポインティングデバイス15を用いてウィンドウバー37のクリックを受け付けると、プログラミング構成表示領域33の上下幅を小さく表示して、ウィンドウを展開して展開表示状態で表示する。図3は、展開表示状態のフィルター情報表示領域36を示す図である。図3を参照して、ウィンドを展開すると、フィルタ条件設計ボタン38と、実行ボタン39と、フィルタ結果表示領域40とを表示する。
【0030】
ここで、フィルター情報表示領域36を展開表示状態で表示した際には、ウィンドウバー37の固定ボタン36aをユーザにより押下されると、展開表示状態を固定する。図2や図3では、固定ボタン36aを画鋲のマークで示している。なお、固定ボタン36aを押下されない場合には、例えばマウスオーバされない状態で5秒間が経過すると、再度省略表示状態に戻ってよい。
【0031】
フィルタ条件設計ボタン38は、このボタン38を押下されると、フィルタ条件のリスト38aを表示する。図4は、フィルタ条件のリスト38aを表示した状態のフィルター情報表示領域36を示す図である。フィルタ条件は、上記した第一および第二の記号であって、すなわち、記号に予め定められた所定のルールを指す。
【0032】
そして、リスト38aの中から、例えば第二の記号をユーザにより選択されて、実行ボタン39を押下されると、第二の記号の付された設計項目を検索して、フィルタ結果表示領域40に一括して表示する。ここで、CPU11は、選択手段として作動する。図5は、第二の記号の付された設計項目をフィルタ結果表示領域40に一括して表示した状態を示す図である。図5を参照して、フィルタ結果表示領域40には、第二の記号40aと、設計項目として、第一の層の項目40bおよび当該第一の層の下位に位置してエラーの発生している層の項目40cと、エラーの内容40dとが表示される。図5では、「モーション設定」の「MC_Axis000(0)」と、「POU」の「セクション0」とを表示している。
【0033】
なお、図3においては、フィルタ条件リスト38aの中から何らの選択も行われていないため、「条件に一致するものがありません」と表示した状態を示している。
【0034】
そして、フィルタ結果表示領域40に一括して表示した設計項目のうち、所望の設計項目をユーザにより選択される。図6は、所望の設計項目を選択された状態を示す図である。図6では、「POU」の「セクション0」を選択された状態である。図6を参照して、所望の設計項目をユーザにより選択されると、ユニット構成表示領域32およびプログラミング構成表示領域33において、選択された設計項目を表示するよう画面スクロールする。この場合、図中の33aで示すように、プログラミング構成表示領域33では画面スクロールして「セクション0」を表示した状態となっている。また、作業用画面31では、選択された設計項目の編集画面41を表示し、エラーの発生している箇所41aを例えば周囲の画面の色とは異なる色や、修正を促すような文字情報を表示することによって示している。
【0035】
なお、フィルタ結果表示領域40において、エラーの内容40dを図6に示すようにツールチップ41bで表示してもよい。
【0036】
そして、ユーザによりエラーの発生している箇所41aを編集画面41より編集されて、CPU11がエラーが直されたと判断すると、ユニット構成表示領域32およびプログラミング構成表示領域33において付していた第二の記号35を消去する。この場合、「POU」の「セクション0」におけるエラーがユーザにより修正され、CPU11はエラーが修正されたと判断し、プログラミング構成表示領域33の「POU」の「セクション0」に付していた第二の記号35を消去する。したがって、その後、フィルタ条件リスト38aの中から、再度ユーザにより第二の記号を選択されて、実行ボタン39を押下されても、フィルタ結果表示領域40には、当該設計項目「POU」を表示しない。図7は、付していた第二の記号35を消去して、フィルタ結果表示領域40に「POU」の表示がない状態を示す図である。図中の33aで示すように、プログラミング構成表示領域33の「セクション0」では、第二の記号35が消去されている。また、フィルタ結果表示領域40でも「POU」の表示がない。
【0037】
また、他の実施形態として、フィルタ条件リスト38aの中から、例えば第一の記号34a〜34dのうちピンク色の記号をユーザにより選択されて、実行ボタン39を押下されると、ピンク色の記号を付した設計項目を検索して、フィルタ結果表示領域40に一括して表示する。図8は、ピンク色の記号を付した設計項目をフィルタ結果表示領域40に一括して表示した状態を示す図である。なお、図8においては、設計メニュー画面30のみを示している。図8では、「POU」の「セクション0」の一つの設計項目のみを表示する。そして、この設計項目をユーザにより選択され、編集画面より編集されて、ピンク色の記号34aのルールが示す状態(未デバッグ)から黄色の記号34bのルールが示す状態(デバッグ中)になると、ユーザによりピンク色から黄色に記号の変更を受け付けて、記号の変更を行う。その後、フィルタ条件リスト38aの中から、再度ユーザによりピンク色の記号34aを選択されて、実行ボタン39を押下されても、ピンク色の記号34aに該当する設計項目はなく、フィルタ結果表示領域40に「条件に一致するものはありません」と表示する。図9は、フィルタ結果表示領域40に「条件に一致するものはありません」と表示した場合を示す図である。図9では、「POU」の「セクション0」に付された第一の記号はピンクの記号34aから黄色の記号34bになっている。
【0038】
このように、本願発明のPLCの開発支援装置10によると、複数の設計項目のうちのユーザの所望の設計項目に第一の記号34a〜34dを付すことができると共に、この第一の記号34a〜34dを付した特定の設計項目を一括して表示することができる。したがって、ユーザにとっては、所望の設計項目に第一の記号34a〜34dを付しておくことにより、所望の設計項目を確認する際には、特定の設計項目として一括して表示されるため、その特定の設計項目を検索するのみでよい。その結果、操作性を向上することができる。
【0039】
また、この場合、記号を付しておくことで、ユーザは、所望の設計項目の編集を抜けなく行うことができる。例えば、複数人で作業を行う場合や、複数の設計項目でエラーが発生する場合等のような一人で全体を見通すことが困難である場合に、フィルタ結果表示領域40に記号の付された設計項目を一括して表示されるため、編集作業の漏れを低減することができる。
【0040】
なお、上記では、図2〜図9を用いて、CPU11が画像表示器16上に表示する画面遷移を説明したが、この画面遷移の制御をフローチャートで示すと、図10のようになる。図10は、CPU11の動作を示すフローチャートである。
【0041】
図10を参照して、ソフトウェアを実行すると、図2に示すように、設定メニュー画面30と作業用画面31とを表示するよう制御する(図10において、ステップS11、以下ステップを省略する)。そして、ユーザからの要求により、第一の記号34a〜34dを付す(S12)。そして、図8に示すように、第一の記号34a〜34dのうちピンク色の記号をユーザにより選択されて実行ボタン39を押下されると、ピンク色の記号を付した設計項目を検索して、フィルタ結果表示領域40に一括して表示するよう制御する(S13)。
【0042】
なお、上記の実施の形態においては、フィルター情報表示領域36において、省略表示状態と展開表示状態と、2種類の表示状態を備える構成の例について説明したが、これに限ることなく、設計メニュー画面30がこのような2種類の表示状態を備えてもよい。
【0043】
また、上記の実施の形態においては、フィルター情報表示領域36を展開表示状態で表示した際に、ユーザにより固定ボタン36aを押下されると、展開表示状態を固定する例について説明したが、例えば、展開表示状態を固定した状態であっても、設計メニュー画面30を省略表示状態にした場合には、フィルター情報表示領域36も省略表示状態としてよい。
【0044】
また、設計メニュー画面30が省略表示状態であれば、フィルター情報表示領域36が省略表示状態となる5秒間の計測に換算しないこととしてもよい。
【0045】
また、上記の実施の形態においては、フィルタ条件として、1つの記号を選択して、その1つの記号を付した設計項目を検索する例について説明したが、これに限ることなく、複数の記号を組合わせて検索可能としてもよい。例えば、第一の記号34aまたは第二の記号35を付したOR条件で設計項目を検索可能としてもよい。この場合、検索した結果を表示する際に、表示順序は、例えば、第二の記号35を付した設計項目を上位に表示して、第一の記号34aを付した設計項目を下位に表示してもよい。なお、表示順序は、並び替えが可能であってもよい。なお、図11は、複数の記号を組合わせて検索する際の検索画面42の一例を示す図である。この検索画面42は、例えば、ポップアップウィンドウで表示してもよい。図11を参照して、ユーザにより第一の記号を選択される第一の領域42aとユーザにより第二の記号を選択される第二の領域42bとに分かれており、第一の領域42aにおいて、第一の記号を検索条件とするか否かをラジオボタンで設定されて、第二の領域において、第二の記号を検索条件とするか否かをラジオボタンで設定される。そして、第一の記号と第二の記号とをANDまたはORの検索条件に設定される。
【0046】
また、上記の実施の形態においては、第二の記号35は、プログラミング構成表示領域33に表示される設計項目において、ユーザプログラムに対してプログラムチェック(コンパイル)を行った際に、エラーがあると判断した場合に付す例について説明したが、プログラムチェックを行った際に、第二の記号35を付すと共に、エラーの一覧を表示するエラー画面を合わせて表示してもよい。
【0047】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示された実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0048】
この発明は、PLCのユーザプログラム等を作成する際に、有効に利用される。
【符号の説明】
【0049】
10 PLCの開発支援装置、11 CPU、12 メモリ、13 通信インターフェース、14 キーボード、15 ポインティングデバイス、16 画像表示器、20 表示画面、30 設計メニュー画面、31 作業用画面、32 ユニット構成表示領域、33 プログラミング構成表示領域、34a,34b,34c,34d 第一の記号、35 第二の記号、36 フィルター情報表示領域、36a 固定ボタン、37 ウィンドウバー、38 フィルタ条件設計ボタン、38a リスト、39 実行ボタン、40 フィルタ結果表示領域、40a 第二の記号、40b,40c 項目、40d エラーの内容、41 編集画面、41a 箇所、41b ツールチップ、42 検索画面、42a,42b 領域。
【技術分野】
【0001】
この発明は、プログラマブルコントローラ(以下、「PLC」と言う)の開発支援装置、およびPLC開発支援用プログラムに関するものであって、特に、ユーザがPLCの制御内容を設計する際に利用されるPLCの開発支援装置、およびこのようなPLCの開発支援装置に用いられるPLC開発支援用プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
産業用機器等の制御装置として用いられるPLCは、PLC全体を制御するCPUユニットや通信を行う通信ユニットや信号の入出力を行うI/Oユニット等の複数のユニットから構成される。このようなPLCにユーザの所望の制御を実行させるには、ユーザプログラムをどのように設計するか等、ユーザがPLCの制御内容を設計する必要がある。そして、この設計には、パソコン(コンピュータ)に所定のソフトウェアをインストールし、このインストールしたソフトウェアを用いることが一般的である。
【0003】
このようなユーザのPLCの開発を支援する開発支援装置が、例えば「オムロン社製 CX−Programmer サポートソフト Ver 9.0 日本語版(2009年発売)」(非特許文献1)に開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】オムロン社製 CX−Programmer サポートソフト Ver 9.0 日本語版(2009年発売)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図12は、非特許文献1に開示のPLCの開発支援装置の表示画面の一例を示す図である。図12を参照して、非特許文献1に開示のPLCの開発支援装置では、表示画面100として、設計項目101aの一覧を表示して、ユーザに設計する項目を選択させる設計メニュー画面101と、設計メニュー画面101にて選択された設計項目101aに対して、ユーザにプログラミング等の作業を行わせる作業用画面102と、プログラムチェック(コンパイル)を行った際に、プログラムのエラーの一覧を表示するエラー画面103とを含む構成である。
【0006】
ここで、ユーザがPLCの制御内容について各種の設計を行う際には、例えば、後日正しいパラメータ値を入力しようとして、プログラムチェック時にはエラーにならない適当なパラメータ値を入力している場合がある。このような場合、非特許文献1に開示のPLCの開発支援装置では、表示画面100にこのようなユーザの所望の箇所を表示することはできないため、ユーザは、後日、設計メニュー画面101に表示される設計項目101aを1つ1つ検索して、その所望の箇所を探し出す必要があり、作業が煩雑になってしまう。
【0007】
この発明の目的は、操作性を向上したPLCの開発支援装置、およびPLC開発支援用プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係るPLCの開発支援装置は、PLCの制御内容について各種の設計を行う複数の設計項目の一覧を選択可能に表示する表示部を備える。PLCの開発支援装置は、複数の設計項目のうち、ユーザの所望の設計項目に対して、第一の記号を付す要求をユーザから受け付けて、第一の記号を付す記号付加手段と、記号付加手段により第一の記号が付された特定の設計項目を一括して表示するよう表示部を制御する表示制御手段とを含む。
【0009】
こうすることにより、PLCの開発支援装置は、複数の設計項目のうちのユーザの所望の設計項目に第一の記号を付すことができると共に、この第一の記号を付した特定の設計項目を一括して表示することができる。したがって、ユーザにとっては、所望の設計項目に第一の記号を付しておくことにより、所望の設計項目を確認する際には、特定の設計項目として一括して表示されるため、その特定の設計項目を検索するのみでよい。その結果、操作性を向上することができる。
【0010】
なお、この一括して表示するとは、特定の設計項目をまとめて表示することを意味するものである。
【0011】
好ましくは、第一の記号には、所定のルールが予め定められており、第一の記号は、それぞれ異なる所定のルールを定められた複数種類の記号を含む。こうすることにより、ユーザにとって、第一の記号を付す際に、ルールに沿って複数種類に分けることができる。
【0012】
さらに好ましくは、表示制御手段は、複数種類の記号の中からユーザの所望の記号を選択される選択手段を含み、選択手段により選択された特定の設計項目を一括して表示するよう表示部を制御する。こうすることにより、ユーザにとって、特定の設計項目を表示する際に、所望の種類毎に分けることができる。
【0013】
さらに好ましくは、PLCの開発支援装置は、設計項目における設計内容が異常であるか否かを判断する異常判断手段を含み、記号付加手段は、異常判断手段により異常と判断した設計項目に対して、第一の記号とは異なる第二の記号を付す異常記号付加手段を含む。こうすることにより、設計内容が異常な設計項目においても第二の記号を付して、ユーザにわかりやすく示すことができる。
【0014】
さらに好ましくは、PLCの開発支援装置は、記号付加手段または異常記号付加手段により、設計項目に第一または第二の記号を付すと、複数の設計項目の一覧を表示する際に、第一または第二の記号を付した状態で複数の設計項目を表示するよう表示部を制御する記号付表示制御手段を含む。こうすることにより、設計項目の一覧から、第一または第二の記号を付した項目を容易に把握することができる。
【0015】
一実施形態として、表示部は、PLCの制御内容について各種の設計を行う複数の設計項目の一覧を設計メニュー画面にて表示し、第一の記号を付した特定の設計項目の一覧を特定項目表示画面にて表示する。
【0016】
この発明の他の局面においては、表示部を含むコンピュータを、PLCの開発支援装置として作動させるPLC開発支援用プログラムに関する。PLC開発支援用プログラムは、コンピュータに、PLCの制御内容について各種の設計を行う複数の設計項目の一覧を選択可能に表示部に表示させるステップと、表示された複数の設計項目のうち、ユーザの所望の設計項目に対して、第一の記号を付す要求をユーザから受け付けて、第一の記号を付すステップと、第一の記号を付された特定の設計項目を一括して表示部に表示させるステップとを含む。
【0017】
このようなPLC開発支援用プログラムは、複数の設計項目のうちのユーザの所望の設計項目に第一の記号を付すことができると共に、この第一の記号を付した特定の設計項目を一括して表示することができる。したがって、ユーザにとっては、所望の設計項目に第一の記号を付しておくことにより、所望の設計項目を確認する際には、特定の設計項目として一括して表示されるため、その特定の設計項目を検索するのみでよい。その結果、操作性を向上することができる。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、PLCの開発支援装置は、複数の設計項目のうちのユーザの所望の設計項目に第一の記号を付すことができると共に、この第一の記号を付した特定の設計項目を一括して表示することができる。したがって、ユーザにとっては、所望の設計項目に第一の記号を付しておくことにより、所望の設計項目を確認する際には、特定の設計項目として一括して表示されるため、その特定の設計項目を検索するのみでよい。その結果、操作性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この発明の一実施形態に係るPLCの開発支援装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【図2】表示画面の一例を示す図である。
【図3】展開表示状態のフィルター情報表示領域を示す図である。
【図4】フィルタ条件のリストを表示した状態のフィルター情報表示領域を示す図である。
【図5】第二の記号の付された設計項目をフィルタ結果表示領域に一括して表示した状態を示す図である。
【図6】ユーザの所望の設計項目を選択された状態を示す図である。
【図7】付していた第二の記号を消去して、フィルタ結果表示領域に「POU」の表示がない状態を示す図である。
【図8】ピンク色の記号を付した設計項目をフィルタ結果表示領域に一括して表示した状態を示す図である。
【図9】フィルタ結果表示領域に「条件に一致するものはありません」と表示した場合を示す図である。
【図10】CPUの動作を示すフローチャートである。
【図11】複数の記号を組合わせて検索する際の検索画面の一例を示す図である。
【図12】非特許文献1に開示のPLCの開発支援装置の表示画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、この発明の一実施形態に係るPLCの開発支援装置について説明する。図1は、この発明の一実施形態に係るPLCの開発支援装置10のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図1を参照して、PLCの開発支援装置10は、PLCの開発支援装置10全体を制御するCPU(Central Processing Unit)11と、ソフトウェアやデータ等を記憶するメモリ12と、通信ネットワークを介してPLC等の外部機器と接続する際のインターフェースとなる通信インターフェース13と、ユーザとのインターフェースとなり、文字の入力を受け付けるキーボード14と、ユーザとのインターフェースとなり、マウス等のポインティングデバイス15と、ユーザとのインターフェースとなり、表示画面を表示する画像表示器16とを含む。PLCの開発支援装置10のハードウェア構成は、一般的なパソコンの構成をそのまま採用することができ、本願発明のPLCの開発支援装置10は、図1に示すようなハードウェア構成上に、予めインストールされた所定のソフトウェアを実行することにより、実現されるものである。
【0021】
ここで、ソフトウェアを実行すると、CPU11が画像表示器16上に、PLCの開発支援装置10の表示画面を表示するよう画像表示器16を制御する。ここで、画像表示器16は、表示部として作動する。図2は、画像表示器16上に表示する表示画面20の一例を示す図である。図2を参照して、表示画面20は、機器の動作を制御するPLCの制御内容について各種の設計が必要となる設計項目の一覧を表示して、ユーザに設計する項目を選択させる設計メニュー画面30と、設計メニュー画面30の右側に位置して、設計メニュー画面30にて選択された設計項目に対して、パラメータの入力やプログラミング等の作業をユーザに行わせる作業用画面31とを含む。
【0022】
作業用画面31は、設計メニュー画面30にて選択された設計項目に対応する所定の作業をユーザに行わせるための画面である。図2では、設計メニュー画面30において「CPU・増設ラック」が選択された状態であって、例えばPLCを構成するユニットの増設を行う際に、増設位置の設計等を行わせるための画面である。ユーザは作業用画面31を用いて所望の作業を行う。
【0023】
設計メニュー画面30は、PLCのユニット構成に関する項目であって、例えばPLCを構築する際のPLCを構成するユニットの型式等を設計させる設計項目の一覧を表示するユニット構成表示領域32と、プログラミング構成に関する項目であって、例えばユーザプログラムを設計させる設計項目の一覧を表示するプログラミング構成表示領域33とを含む。設計メニュー画面30では、階層的に設計項目を表示する。例えば、図2では、プログラミング構成表示領域33では、「POU(プログラム・オーガニゼーション・ユニット)」が第一の層に位置し、この「POU」の構成要素となる「プログラム」と、「ファンクション」と、「ファンクションブロック」とが第一の層の下位である第二の層に位置するように表示する。そして、「プログラム」の構成要素となる「ラダープログラム0」と、「ラダープログラム1」とが第二の層の下位である第三の層に位置するように表示して、「ラダープログラム0」の構成要素となる「セクション1」と「セクション0」とが第三の層の下位である第四の層に位置するように表示する。
【0024】
ここで、ユニット構成表示領域32およびプログラミング構成表示領域33に表示する設計項目には、設計項目毎に第一の記号34a〜34dを付すことが可能である。第一の記号34a〜34dは、設計項目の文字の先頭に付される。図2では、「MC_Axis000(0)」、「MC_Axis001(1)」、「ラダープログラム0」の「セクション1」および「セクション0」、「ラダープログラム1」の「セクション1」に第一の記号34a〜34dを付している。CPU11は、第一の記号34a〜34dを付す要求をユーザから受け付けることにより、ユーザにより指定される所望の項目に第一の記号34a〜34dを付す。ここで、CPU11は、記号付加手段として作動する。そして、第一の記号34a〜34dを付した状態で、設定メニュー画面30に表示する。ここで、CPU11は、記号付表示制御手段として作動する。
【0025】
第一の記号34a〜34dとしては、例えばピンクや黄や緑や青等の複数種類の異なる色の記号を用いる。第一の記号34a〜34dには、予め所定のルールが定められており、この複数の色の違いにより、それぞれ異なる所定のルールが定められている。例えば、ピンクの記号34aの場合には、デバッグが未だ行われていない状態を示し、黄の記号34bの場合には、デバッグ中の状態を示し、緑の記号34cの場合には、デバッグ完了状態を示し、青の記号34dの場合には、試運転確認済みの状態を示す。また、丸や四角や三角等のような複数の異なる形状を用いてもよい。なお、本明細書中の図においては、ハッチングの種類を変えて、色の違いを表現している。
【0026】
また、CPU11は、ユニット構成表示領域32およびプログラミング構成表示領域33に表示する設計項目のうち、設計内容が異常であると判断した場合には、第二の記号35を付す。すなわち、第二の記号35は、設定内容が異常であることを示す記号である。ここで、CPU11は、異常判断手段、および異常記号付加手段として作動する。そして、第二の記号35を付した状態で、設定メニュー画面30に表示する。第二の記号35は第一の記号34a〜34dとは異なり、例えば、感嘆符(!)を用いる。また、クエスチョンマーク(?)のような他の形状を用いてもよい。第二の記号35は、第一の記号34a〜34dよりさらに先頭に付される。
【0027】
第二の記号35は、例えばユニット構成表示領域32に表示する設計項目において、数値の入力が行われる際に、範囲外の異常な値を入力されたか否かを判断して、判断した結果、異常な値を入力されたと判断した場合に付される。図2では、「MC_Axis000(0)」に第二の記号35を付している。また、プログラミング構成表示領域33に表示する設計項目において、ユーザによりユーザプログラムを作成されて、その作成されたユーザプログラムに対してプログラムチェック(コンパイル)を行った際に、パラメータが入力されていない等のエラーがあると判断した場合に付す。図2では、「セクション0」に第二の記号35を付している。
【0028】
ここで、設計メニュー画面30は、フィルター情報表示領域36をさらに含む。フィルター情報表示領域36は、上記した第一および第二の記号34a〜34d,35の付された特定の設計項目を一括して表示する領域であって、特定項目表示画面である。ここで、CPU11は、表示制御手段として作動する。フィルター情報表示領域36は、例えば、プログラミング構成表示領域33の下側に位置する。CPU11は、ソフトウェアを起動した際には、フィルター情報表示領域36をウィンドウバー37のみの省略表示状態で表示する。図2では、この省略表示状態で表示したものを示している。
【0029】
ここで、ユーザによりポインティングデバイス15を用いてウィンドウバー37のクリックを受け付けると、プログラミング構成表示領域33の上下幅を小さく表示して、ウィンドウを展開して展開表示状態で表示する。図3は、展開表示状態のフィルター情報表示領域36を示す図である。図3を参照して、ウィンドを展開すると、フィルタ条件設計ボタン38と、実行ボタン39と、フィルタ結果表示領域40とを表示する。
【0030】
ここで、フィルター情報表示領域36を展開表示状態で表示した際には、ウィンドウバー37の固定ボタン36aをユーザにより押下されると、展開表示状態を固定する。図2や図3では、固定ボタン36aを画鋲のマークで示している。なお、固定ボタン36aを押下されない場合には、例えばマウスオーバされない状態で5秒間が経過すると、再度省略表示状態に戻ってよい。
【0031】
フィルタ条件設計ボタン38は、このボタン38を押下されると、フィルタ条件のリスト38aを表示する。図4は、フィルタ条件のリスト38aを表示した状態のフィルター情報表示領域36を示す図である。フィルタ条件は、上記した第一および第二の記号であって、すなわち、記号に予め定められた所定のルールを指す。
【0032】
そして、リスト38aの中から、例えば第二の記号をユーザにより選択されて、実行ボタン39を押下されると、第二の記号の付された設計項目を検索して、フィルタ結果表示領域40に一括して表示する。ここで、CPU11は、選択手段として作動する。図5は、第二の記号の付された設計項目をフィルタ結果表示領域40に一括して表示した状態を示す図である。図5を参照して、フィルタ結果表示領域40には、第二の記号40aと、設計項目として、第一の層の項目40bおよび当該第一の層の下位に位置してエラーの発生している層の項目40cと、エラーの内容40dとが表示される。図5では、「モーション設定」の「MC_Axis000(0)」と、「POU」の「セクション0」とを表示している。
【0033】
なお、図3においては、フィルタ条件リスト38aの中から何らの選択も行われていないため、「条件に一致するものがありません」と表示した状態を示している。
【0034】
そして、フィルタ結果表示領域40に一括して表示した設計項目のうち、所望の設計項目をユーザにより選択される。図6は、所望の設計項目を選択された状態を示す図である。図6では、「POU」の「セクション0」を選択された状態である。図6を参照して、所望の設計項目をユーザにより選択されると、ユニット構成表示領域32およびプログラミング構成表示領域33において、選択された設計項目を表示するよう画面スクロールする。この場合、図中の33aで示すように、プログラミング構成表示領域33では画面スクロールして「セクション0」を表示した状態となっている。また、作業用画面31では、選択された設計項目の編集画面41を表示し、エラーの発生している箇所41aを例えば周囲の画面の色とは異なる色や、修正を促すような文字情報を表示することによって示している。
【0035】
なお、フィルタ結果表示領域40において、エラーの内容40dを図6に示すようにツールチップ41bで表示してもよい。
【0036】
そして、ユーザによりエラーの発生している箇所41aを編集画面41より編集されて、CPU11がエラーが直されたと判断すると、ユニット構成表示領域32およびプログラミング構成表示領域33において付していた第二の記号35を消去する。この場合、「POU」の「セクション0」におけるエラーがユーザにより修正され、CPU11はエラーが修正されたと判断し、プログラミング構成表示領域33の「POU」の「セクション0」に付していた第二の記号35を消去する。したがって、その後、フィルタ条件リスト38aの中から、再度ユーザにより第二の記号を選択されて、実行ボタン39を押下されても、フィルタ結果表示領域40には、当該設計項目「POU」を表示しない。図7は、付していた第二の記号35を消去して、フィルタ結果表示領域40に「POU」の表示がない状態を示す図である。図中の33aで示すように、プログラミング構成表示領域33の「セクション0」では、第二の記号35が消去されている。また、フィルタ結果表示領域40でも「POU」の表示がない。
【0037】
また、他の実施形態として、フィルタ条件リスト38aの中から、例えば第一の記号34a〜34dのうちピンク色の記号をユーザにより選択されて、実行ボタン39を押下されると、ピンク色の記号を付した設計項目を検索して、フィルタ結果表示領域40に一括して表示する。図8は、ピンク色の記号を付した設計項目をフィルタ結果表示領域40に一括して表示した状態を示す図である。なお、図8においては、設計メニュー画面30のみを示している。図8では、「POU」の「セクション0」の一つの設計項目のみを表示する。そして、この設計項目をユーザにより選択され、編集画面より編集されて、ピンク色の記号34aのルールが示す状態(未デバッグ)から黄色の記号34bのルールが示す状態(デバッグ中)になると、ユーザによりピンク色から黄色に記号の変更を受け付けて、記号の変更を行う。その後、フィルタ条件リスト38aの中から、再度ユーザによりピンク色の記号34aを選択されて、実行ボタン39を押下されても、ピンク色の記号34aに該当する設計項目はなく、フィルタ結果表示領域40に「条件に一致するものはありません」と表示する。図9は、フィルタ結果表示領域40に「条件に一致するものはありません」と表示した場合を示す図である。図9では、「POU」の「セクション0」に付された第一の記号はピンクの記号34aから黄色の記号34bになっている。
【0038】
このように、本願発明のPLCの開発支援装置10によると、複数の設計項目のうちのユーザの所望の設計項目に第一の記号34a〜34dを付すことができると共に、この第一の記号34a〜34dを付した特定の設計項目を一括して表示することができる。したがって、ユーザにとっては、所望の設計項目に第一の記号34a〜34dを付しておくことにより、所望の設計項目を確認する際には、特定の設計項目として一括して表示されるため、その特定の設計項目を検索するのみでよい。その結果、操作性を向上することができる。
【0039】
また、この場合、記号を付しておくことで、ユーザは、所望の設計項目の編集を抜けなく行うことができる。例えば、複数人で作業を行う場合や、複数の設計項目でエラーが発生する場合等のような一人で全体を見通すことが困難である場合に、フィルタ結果表示領域40に記号の付された設計項目を一括して表示されるため、編集作業の漏れを低減することができる。
【0040】
なお、上記では、図2〜図9を用いて、CPU11が画像表示器16上に表示する画面遷移を説明したが、この画面遷移の制御をフローチャートで示すと、図10のようになる。図10は、CPU11の動作を示すフローチャートである。
【0041】
図10を参照して、ソフトウェアを実行すると、図2に示すように、設定メニュー画面30と作業用画面31とを表示するよう制御する(図10において、ステップS11、以下ステップを省略する)。そして、ユーザからの要求により、第一の記号34a〜34dを付す(S12)。そして、図8に示すように、第一の記号34a〜34dのうちピンク色の記号をユーザにより選択されて実行ボタン39を押下されると、ピンク色の記号を付した設計項目を検索して、フィルタ結果表示領域40に一括して表示するよう制御する(S13)。
【0042】
なお、上記の実施の形態においては、フィルター情報表示領域36において、省略表示状態と展開表示状態と、2種類の表示状態を備える構成の例について説明したが、これに限ることなく、設計メニュー画面30がこのような2種類の表示状態を備えてもよい。
【0043】
また、上記の実施の形態においては、フィルター情報表示領域36を展開表示状態で表示した際に、ユーザにより固定ボタン36aを押下されると、展開表示状態を固定する例について説明したが、例えば、展開表示状態を固定した状態であっても、設計メニュー画面30を省略表示状態にした場合には、フィルター情報表示領域36も省略表示状態としてよい。
【0044】
また、設計メニュー画面30が省略表示状態であれば、フィルター情報表示領域36が省略表示状態となる5秒間の計測に換算しないこととしてもよい。
【0045】
また、上記の実施の形態においては、フィルタ条件として、1つの記号を選択して、その1つの記号を付した設計項目を検索する例について説明したが、これに限ることなく、複数の記号を組合わせて検索可能としてもよい。例えば、第一の記号34aまたは第二の記号35を付したOR条件で設計項目を検索可能としてもよい。この場合、検索した結果を表示する際に、表示順序は、例えば、第二の記号35を付した設計項目を上位に表示して、第一の記号34aを付した設計項目を下位に表示してもよい。なお、表示順序は、並び替えが可能であってもよい。なお、図11は、複数の記号を組合わせて検索する際の検索画面42の一例を示す図である。この検索画面42は、例えば、ポップアップウィンドウで表示してもよい。図11を参照して、ユーザにより第一の記号を選択される第一の領域42aとユーザにより第二の記号を選択される第二の領域42bとに分かれており、第一の領域42aにおいて、第一の記号を検索条件とするか否かをラジオボタンで設定されて、第二の領域において、第二の記号を検索条件とするか否かをラジオボタンで設定される。そして、第一の記号と第二の記号とをANDまたはORの検索条件に設定される。
【0046】
また、上記の実施の形態においては、第二の記号35は、プログラミング構成表示領域33に表示される設計項目において、ユーザプログラムに対してプログラムチェック(コンパイル)を行った際に、エラーがあると判断した場合に付す例について説明したが、プログラムチェックを行った際に、第二の記号35を付すと共に、エラーの一覧を表示するエラー画面を合わせて表示してもよい。
【0047】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示された実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0048】
この発明は、PLCのユーザプログラム等を作成する際に、有効に利用される。
【符号の説明】
【0049】
10 PLCの開発支援装置、11 CPU、12 メモリ、13 通信インターフェース、14 キーボード、15 ポインティングデバイス、16 画像表示器、20 表示画面、30 設計メニュー画面、31 作業用画面、32 ユニット構成表示領域、33 プログラミング構成表示領域、34a,34b,34c,34d 第一の記号、35 第二の記号、36 フィルター情報表示領域、36a 固定ボタン、37 ウィンドウバー、38 フィルタ条件設計ボタン、38a リスト、39 実行ボタン、40 フィルタ結果表示領域、40a 第二の記号、40b,40c 項目、40d エラーの内容、41 編集画面、41a 箇所、41b ツールチップ、42 検索画面、42a,42b 領域。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
PLCの制御内容について各種の設計を行う複数の設計項目の一覧を選択可能に表示する表示部を備えるPLCの開発支援装置であって、
前記複数の設計項目のうち、ユーザの所望の設計項目に対して、第一の記号を付す要求をユーザから受け付けて、前記第一の記号を付す記号付加手段と、
前記記号付加手段により前記第一の記号が付された特定の設計項目を一括して表示するよう前記表示部を制御する表示制御手段とを含む、PLCの開発支援装置。
【請求項2】
前記第一の記号には、所定のルールが予め定められており、
前記第一の記号は、それぞれ異なる所定のルールを定められた複数種類の記号を含む、請求項1に記載のPLCの開発支援装置。
【請求項3】
前記表示制御手段は、前記複数種類の記号の中からユーザの所望の記号を選択される選択手段を含み、前記選択手段により選択された特定の設計項目を一括して表示するよう前記表示部を制御する、請求項2に記載のPLCの開発支援装置。
【請求項4】
前記PLCの開発支援装置は、設計項目における設計内容が異常であるか否かを判断する異常判断手段を含み、
前記記号付加手段は、前記異常判断手段により異常と判断した設計項目に対して、前記第一の記号とは異なる第二の記号を付す異常記号付加手段を含む、請求項1〜3のいずれかに記載のPLCの開発支援装置。
【請求項5】
前記PLCの開発支援装置は、前記記号付加手段または前記異常記号付加手段により、設計項目に前記第一または第二の記号を付すと、複数の設計項目の一覧を表示する際に、前記第一または第二の記号を付した状態で複数の設計項目を表示するよう前記表示部を制御する記号付表示制御手段を含む、請求項4に記載のPLCの開発支援装置。
【請求項6】
前記表示部は、PLCの制御内容について各種の設計を行う複数の設計項目の一覧を設計メニュー画面にて表示し、前記第一の記号を付した特定の設計項目の一覧を特定項目表示画面にて表示する、請求項1〜5のいずれかに記載のPLCの開発支援装置。
【請求項7】
表示部を含むコンピュータを、PLCの開発支援装置として作動させるPLC開発支援用プログラムであって、
前記PLC開発支援用プログラムは、コンピュータに、
PLCの制御内容について各種の設計を行う複数の設計項目の一覧を選択可能に表示部に表示させるステップと、
表示された複数の設計項目のうち、ユーザの所望の設計項目に対して、第一の記号を付す要求をユーザから受け付けて、第一の記号を付すステップと、
第一の記号を付された特定の設計項目を一括して表示部に表示させるステップとを含む、PLC開発支援用プログラム。
【請求項1】
PLCの制御内容について各種の設計を行う複数の設計項目の一覧を選択可能に表示する表示部を備えるPLCの開発支援装置であって、
前記複数の設計項目のうち、ユーザの所望の設計項目に対して、第一の記号を付す要求をユーザから受け付けて、前記第一の記号を付す記号付加手段と、
前記記号付加手段により前記第一の記号が付された特定の設計項目を一括して表示するよう前記表示部を制御する表示制御手段とを含む、PLCの開発支援装置。
【請求項2】
前記第一の記号には、所定のルールが予め定められており、
前記第一の記号は、それぞれ異なる所定のルールを定められた複数種類の記号を含む、請求項1に記載のPLCの開発支援装置。
【請求項3】
前記表示制御手段は、前記複数種類の記号の中からユーザの所望の記号を選択される選択手段を含み、前記選択手段により選択された特定の設計項目を一括して表示するよう前記表示部を制御する、請求項2に記載のPLCの開発支援装置。
【請求項4】
前記PLCの開発支援装置は、設計項目における設計内容が異常であるか否かを判断する異常判断手段を含み、
前記記号付加手段は、前記異常判断手段により異常と判断した設計項目に対して、前記第一の記号とは異なる第二の記号を付す異常記号付加手段を含む、請求項1〜3のいずれかに記載のPLCの開発支援装置。
【請求項5】
前記PLCの開発支援装置は、前記記号付加手段または前記異常記号付加手段により、設計項目に前記第一または第二の記号を付すと、複数の設計項目の一覧を表示する際に、前記第一または第二の記号を付した状態で複数の設計項目を表示するよう前記表示部を制御する記号付表示制御手段を含む、請求項4に記載のPLCの開発支援装置。
【請求項6】
前記表示部は、PLCの制御内容について各種の設計を行う複数の設計項目の一覧を設計メニュー画面にて表示し、前記第一の記号を付した特定の設計項目の一覧を特定項目表示画面にて表示する、請求項1〜5のいずれかに記載のPLCの開発支援装置。
【請求項7】
表示部を含むコンピュータを、PLCの開発支援装置として作動させるPLC開発支援用プログラムであって、
前記PLC開発支援用プログラムは、コンピュータに、
PLCの制御内容について各種の設計を行う複数の設計項目の一覧を選択可能に表示部に表示させるステップと、
表示された複数の設計項目のうち、ユーザの所望の設計項目に対して、第一の記号を付す要求をユーザから受け付けて、第一の記号を付すステップと、
第一の記号を付された特定の設計項目を一括して表示部に表示させるステップとを含む、PLC開発支援用プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−194694(P2012−194694A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−57087(P2011−57087)
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
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