説明

PPARδ活性化作用を測定することを特徴とする物質の選択方法及び薬剤

【課題】本発明は、PPARδを活性化する作用を有する化合物を含有する熱産生亢進作用を有する物質の選択方法、及びその薬剤、並びに抗糖尿病、抗肥満、及び内臓蓄積脂肪低減化機能を有する薬剤を提供する。
【解決手段】本発明は、ペルオキシソーム増殖物質活性化受容体PPARδを活性化する作用を有する化合物を含有する、非ふるえ熱産生(nonshiveringthermogenesis;nST)を亢進させ、脂肪組織等の細胞中のミトコンドリアの脱共役呼吸又はミトコンドリア内膜でのプロトンリークを特異的に亢進させ、UCP1の発現量を増大させる作用を有する薬剤、該化合物を含有する抗糖尿病剤、抗肥満剤、内臓蓄積脂肪低減化剤である。また本発明は、PPARδ活性化作用の測定による該化合物の選択方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペルオキシソーム増殖物質活性化受容体δ(peroxisome proliferatoractivated receptor:PPARδ)活性化作用を測定することによる熱産生亢進作用を有する物質の選択方法、及びPPARδを活性化する作用を有する化合物を含有する熱産生亢進作用を有する薬剤に関する。また本発明は、脂肪酸、ピルビン酸を基質とするエネルギー代謝(呼吸)細胞内の小器官であるミトコンドリアの機能のうち、脱共役蛋白質(UCP)によって惹起される脱共役呼吸又はミトコンドリア内膜のプロトンリーク(以下、プロトンリークと総称する)を特異的に亢進させる薬剤に関する。さらに本発明は、抗糖尿病剤、抗肥満剤、内臓蓄積脂肪低減化剤、又は内臓脂肪蓄積抑制剤に関する。
【背景技術】
【0002】
生体のエネルギー代謝調節系は、摂食調節系とエネルギー消費調節系からなっている。エネルギー消費調節系は、生命維持のための基礎代謝に使用されるエネルギー消費と、それ以外のエネルギー消費に分けられる。後者の範疇で主要なものが熱産生である非ふるえ熱産生(nonshiveringthermogenesis;nST)で、その機能的な意義は生まれ立て時、寒冷暴露時、冬眠から覚める時などの体温維持や、過剰摂取エネルギーの消費による肥満、糖脂質代謝障害の防御などが挙げられる。特に、恒温動物である哺乳動物や鳥類、特に小動物において、体温維持のため、nSTは重要である。nSTの惹起機序には、ミトコンドリアのプロトンリーク、すなわち細胞の呼吸鎖の電子伝達系とATP合成の関与が重要である。
【0003】
褐色脂肪組織(BAT)には、その掲色脂肪細胞(BA)の呼吸鎖電子伝達系と、ATP合成を脱共役させる特異的蛋白質である脱共役蛋白質−1(UCP1)とよばれる約300アミノ酸からなる分子量32kDの蛋白質が、ミトコンドリアの膜に存在する。UCP1は約100個のアミノ酸からなるドメインの3回繰り返し構造からなり、各ドメインに2箇所ずつ、合計6箇所の膜貫通部位があって、これらの膜貫通部位がミトコンドリアの膜にチャネルを形成している。
【0004】
UCP1はプロトンを輸送するキャリアである。UCP1等が形成するプロトンチャネルは、電気化学的な勾配に従って自由にプロトンを透過させて熱を放出する機能を発現している。これがnSTとなる。つまりnSTは、プロトンチャネルのプロトン透過によって脱共役を起こし、脱共役によりATPの合成が低下し、ATPとADPの比を一定に維持するためにミトコンドリア内の呼吸が活発になり、その結果として大量の脂肪と糖が酸化されて熱が発生して生じる。
【0005】
UCP1の生理的意義としては、生まれ立て時、寒冷暴露時などにおける体温維持機能が重要であるが、そのほかにトランスジェニックマウスを使った研究より、肥満の防御に関与することが明らかになっている。肥満の発症、進展、維持にUCP1が関与していることは、様々な肥満モデルでUCP1の発現が低下していることから示唆されていた。例えば、BAT減少トランスジェニックマウスで過食無しに肥満が発症することが確認された(Lowellら、Nature,366,740−742(1993))。また、UCP1遺伝子を脂肪細胞特異的な遺伝子aP2のプロモーターに組込み、UCP1を強制的に大量発現させたマウスでは、体脂肪の減少、高脂肪食負荷による食餌性肥満に対する抵抗性が観察された(Kopeckyら、J.Clin.Invest.,96,2914−2923(1995))。さらに、UCP1の発現が1/3に抑えられたマウスでは、寒冷暴露時の体温維持能低下、体脂肪量増加による肥満、そしてインスリン抵抗性が確認された(LowellB.B.et al.,Nature 366,740−742(1993))。さらにUCP1のノックアウトマウスは寒冷非耐性であった(Enerback S.et al.,Nature 387,90−94(1997))。以上のように、UCP1が熱産性分子として体温調節やエネルギー消費に重要な役割を有し、肥満と密接な関係にあることは動物実験の結果から明らかとなっている。
【0006】
UCP1の発現量は、主に核内の遺伝子の転写レベルで調節されており、cAMP濃度上昇によりUCP1遺伝子発現は増加する(斎藤ら、最新医学、52,1095−1096(1997))。
【0007】
細胞内のエネルギー消費の約20〜40%はミトコンドリア内膜のプロトンリークによって生じると考えられている。BATが少量しかないヒト成人やその他の動物では、nSTの大部分は骨格筋や白色脂肪組織(WAT)で生じると考えられていた。以上のことから、BAT以外の組織におけるUCPの存在が推定されていた。1997年には、二つのグループから相次いでBAT以外の組織からUCP2のcDNAクローニングが報告された(Fleuryら、NatureGenet,15,269−272(1997);Gimenoら、Diabetes 46,900−906(1997))。
【0008】
ヒトUCP2はヒトUCP1と59%のホモロジーを示し、UCP1と同様に6箇所の膜貫通部位を有するチャネルを形成し、かつプリンヌクレオチド結合部位を有している。UCP2はUCP1とは異なり、全身組織に広汎に発現しており、特に肺、膵臓で高濃度で発現している。ほかにも心臓、肝臓、脳、腎臓、精巣、WAT、BAT、骨格筋で発現が検出されている。
【0009】
UCP2の機能については、高脂肪食負荷マウスで副精巣周囲脂肪組織のUCP2遺伝子発現の亢進が認められている。しかし、UCP2のノックアウトマウスは、寒冷条件下で体温維持能が正常であることが報告された(ArsenijevicD.et al.,Nature Genet 26,387−388(2000))。また上述のUCP1のノックアウトマウスでは、代償作用と考えられる、掲色脂肪組織におけるUCP2の大幅な発現亢進が認められるが、このマウスは寒冷非耐性であった(EnerbackS.et al.,Nature 387,90−94(1997))。さらに、UCP2は膵β細胞において細胞内ATP濃度変化を介し、インスリン分泌を抑制していることが示された(ZhangC.−Y.et al.,Cell 105,745−755(2001))。これは抗糖尿病の観点からみると相反する特性であった。以上のように、UCP2については、そのプロトンチャンネルとしての脱共役能は確認されているものの、現在までのところ、エネルギー消費/肥満との関連性は明らかにはされていない。
【0010】
生体内の余剰エネルギーは、まず優先的に内臓脂肪(特に腸管膜脂肪)として蓄積される。この内臓脂肪は他の部位の脂肪(特に皮下脂肪)に比べ、脂肪動員を受けやすく、速やかに分解され、消費される。この内臓脂肪(肥満)は生活習慣病(成人病)発症の多重危険因子とみなされている。その理由は、WATの白色脂肪細胞(WA)からの分泌脂肪酸が門脈を経由して直接肝臓に流入してインスリン抵抗性と脂肪合成を亢進し、その結果、耐糖能異常、高血圧および高脂血症を惹起し、最終的にはこれらが合併して動脈硬化を発症するに至るためである。したがって、内臓脂肪の蓄積抑制と蓄積内臓脂肪の低減化が、ヒト成人の糖尿病をはじめとする生活習慣病発症予防およびその治療に有効であると期待される。
【0011】
ペルオキシソーム増殖物質活性化受容体(peroxisome proliferator activated receptor:PPAR)は、その構造などから核内受容体(核ホルモン受容体)スーパーファミリーの一員と考えられている。これまで、PPARα、PPARδ(別称NUC−1、PPARβ、FAAR)、およびPPARγと称される3種のPPARのサブタイプが同定され、それらの遺伝子(cDNA)がクローニングされている(Lembergerら、Annu.Rev.Cell.Dev.Biol.,12,335−363(1996))。
【0012】
これら3種のうち、PPARαに関しては、そのリガンド効果を有することが知られているフィブレート系薬剤に、臨床で強い血清トリアシルグリセロールレベル低下作用が認められている(Formanら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,94,4312−4317(1997))。
【0013】
PPARγは特に脂肪組織で発現しており、脂肪細胞の分化に深く関与する因子であるとされている(Tontonozら、Genesand Development,8,1224−1234(1994);Tontonozら、Cell,79,1147−1156(1994))。種々のチアゾリジンジオン誘導体は、インスリン非依存性糖尿病(NIDDM:non−insulin−dependentdiabetes melitus)のモデル動物で血糖降下作用を示し、インスリン抵抗性解除作用を有する新しいNIDDM治療薬として期待されている。これらチアゾリジンジオン誘導体はまた、PPARγのリガンドとして作用し、PPARγを特異的に活性化することが最近の研究で明らかとなった(Lehmannら、J.Biol.Chem.,270,12953−12956(1995))。
【0014】
しかしながら、PPARδの生理作用は明らかにされていない(Willsonら、J.Med.Chem.43(4),527−50(2000))。WO97/28149号明細書にはPPARδリガンドの血中HDL上昇作用が、またWO99/04815号明細書にはPPARδ受容体を活性化する物質を投与することによるコレステロール低下作用が開示されている。しかし、PPARδと熱産生亢進作用との関係や、PPARδと脱共役蛋白質との関係については開示も示唆もされていない。
【0015】
また、アラキドン酸のような不飽和脂肪酸、カルバプロスタサイクリン(cPGI)、およびL−165041、(4−(3−(2−propyl−3−hydroxy−4−acetyl−phenoxy)propyloxy)−phenoxyacetic acid)がUCP2の発現を増加させることがわかった(The Journal Of Biological Chemistry,Vol.276,No.14,Issue of April 6,pp.10853−10860,2001)。しかし、UCP1とPPARδの関係については、明らかにされていない。
【0016】
【特許文献1】WO97/28149号明細書
【特許文献2】WO99/04815号明細書
【非特許文献1】Lowellら、Nature,366,740−742(1993)
【非特許文献2】Kopeckyら、J.Clin.Invest.,96,2914−2923(1995)
【非特許文献3】LowellB.B.et al.,Nature 366,740−742(1993)
【非特許文献4】Enerback S.et al.,Nature 387,90−94(1997)
【非特許文献5】斎藤ら、最新医学、52,1095−1096(1997)
【非特許文献6】Fleuryら、NatureGenet,15,269−272(1997)
【非特許文献7】Gimenoら、Diabetes 46,900−906(1997)
【非特許文献8】ArsenijevicD.et al.,Nature Genet 26,387−388(2000)
【非特許文献9】EnerbackS.et al.,Nature 387,90−94(1997)
【非特許文献10】ZhangC.−Y.et al.,Cell 105,745−755(2001)
【非特許文献11】Lembergerら、Annu.Rev.Cell.Dev.Biol.,12,335−363(1996)
【非特許文献12】Formanら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,94,4312−4317(1997)
【非特許文献13】Tontonozら、Genesand Development,8,1224−1234(1994)
【非特許文献14】Tontonozら、Cell,79,1147−1156(1994)
【非特許文献15】Lehmannら、J.Biol.Chem.,270,12953−12956(1995)
【非特許文献16】Willsonら、J.Med.Chem.43(4),527−50(2000)
【非特許文献17】The Journal Of Biological Chemistry,Vol.276,No.14,Issue of April 6,pp.10853−10860,2001
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明の目的は、熱産生を亢進させる作用を有する物質の選択方法、及びその薬剤を提供することである。さらに、本発明の目的は、抗糖尿病剤、抗肥満剤、内臓蓄積脂肪低減化剤、もしくは内臓脂肪蓄積抑制剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明者らは、生体エネルギー消費調節系のうちのnSTを促進することによる熱産生亢進作用に着眼した。そして、ミトコンドリアの脱共役呼吸の亢進、nSTの組織としては相対的に小さいBAT内ミトコンドリアのプロトンリーク亢進に加え、WAT内ミトコンドリアプロトンリーク、及び脱共役蛋白質同族体であるUCP1の機能を亢進させる手段を創造し、よってその効率を向上させることを意図した。
【0019】
本発明者らは、上記課題を解決することを目標として鋭意研究した結果、非特異的PPARリガンドであるカルバプロスタサイクリン(cPGI:6,9α−methylene−11α,15S−dihydroxy−prosta−5E,13E−dien−1−oicacid)やイロプロスト(Iloprost:5−{(E)−(1S,5S,6R,7R)−7−hydroxy−6−[(E)−(3S,4RS)−3−hydroxy−4−methyl−5−octen−6−inyl]−bicyclo[3.3.0]−octan−3−ylidene}pentanoicacid)が、骨格筋細胞もしくは脂肪細胞においてUCP1発現の亢進作用を有することを見出した。
【0020】
そして、この新たな知見、ならびにPPARαのリガンドであるフィブレート系化合物およびWy14643や、PPARγのリガンドであるチアゾリジンジオン系化合物にUCP1発現の亢進作用がほとんど認められないという知見を総合し、UCP1発現の亢進作用にはPPARδが主に関与しているのではないかと考え、PPARδ活性化作用を有する化合物について更に研究した。
【0021】
そして、PPARδ活性化作用を有する物質が、UCP1の発現亢進作用を示すことを、ヒトおよびげっ歯類の骨格筋細胞および脂肪細胞を用いた実験により明らかにした。
【0022】
さらに本発明者らは、このようにUCP遺伝子の発現がPPARδにより制御を受けていることから、PPARδ活性化作用を測定することによって、UCP1遺伝子の発現を増加させ、nST機能を増進させる、熱産生亢進作用を有する物質のスクリーニングが可能であることを見出した。
【0023】
すなわち、本発明は以下の事項を包含する。
(1)PPARδ活性化作用を測定することを特徴とする、熱産生亢進作用を有する物質の選択方法。
(2)PPARδ活性化作用を測定することを特徴とする、ミトコンドリアの脱共役呼吸を亢進させる作用を有する物質の選択方法。
(3)PPARδ活性化作用を測定することを特徴とする、ミトコンドリア内膜でのプロトンリークを亢進させる作用を有する物質の選択方法。
(4)PPARδ活性化作用を測定することを特徴とする、ミトコンドリア含有細胞のUCP1の発現量を増大させる物質の選択方法。
(5)PPARδ活性化作用を測定することを特徴とする、脂肪酸β酸化を亢進させる物質の選択方法。
(6)レポーター遺伝子を利用する、(1)から(5)のいずれかに記載の物質の選択方法。
(7)下記1)から3)の工程を含む(6)に記載の熱産生亢進作用を有する物質の選択方法。
1) UCP1遺伝子を発現する細胞にPPARδ活性化作用を有する物質を接触および/または導入する工程。
2) 前記細胞におけるUCP1遺伝子の発現量を測定する工程。
3) 前記細胞における前記UCP1遺伝子の発現量を増加させる化合物を選択する工程。
(8)前記UCP1遺伝子を発現する細胞が、脂肪細胞又は骨格筋細胞である(7)に記載の選択方法。
(9)前記UCP1遺伝子を発現する細胞が、脂肪細胞である(7)に記載の選択方法。
(10)PPARδを活性化する作用を有する物質を有効成分として含有する、熱産生亢進作用を有する薬剤。
(11)PPARδを活性化する作用を有する物質を有効成分として含有する、ミトコンドリアの脱共役呼吸を亢進させる薬剤。
(12)PPARδを活性化する作用を有する物質を有効成分として含有する、ミトコンドリア内膜でのプロトンリークを亢進させる薬剤。
(13)PPARδを活性化する作用を有する物質を有効成分として含有する、ミトコンドリア含有細胞のUCP1の発現量を増大させる薬剤。
(14)PPARδを活性化する作用を有する物質を有効成分として含有する、脂肪酸β酸化を亢進させる薬剤。
(15)前記PPARδを活性化する作用を有する物質が、非特異的PPARリガンド又はPPARδリガンドである(10)から(14)のいずれかに記載の薬剤。
(16)前記PPARδを活性化する作用を有する物質が、カルバプロスタサイクリン、イロプロスト、又はp−(3−(4−acetyl−3−hydroxy−2−propylphenoxy)propoxy)phenylacetic acidである(10)から(14)のいずれかに記載の薬剤。
(17)前記ミトコンドリアが骨格筋、白色脂肪組織、もしくは褐色脂肪組織の細胞のものである(11)から(13)のいずれかに記載の薬剤。
(18)前記ミトコンドリアが白色脂肪組織、もしくは褐色脂肪組織の細胞のものである(11)から(13)のいずれかに記載の薬剤。
(19)PPARδを活性化する作用を有する物質を有効成分として含有する、抗糖尿病剤、抗肥満剤、内臓蓄積脂肪低減化剤、もしくは内臓脂肪蓄積抑制剤。
(20)(10)から(18)のいずれかに記載の薬剤を有効成分として含有する、抗糖尿病剤、抗肥満剤、内臓蓄積脂肪低減化剤、もしくは内臓脂肪蓄積抑制剤。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明のnST組織のミトコンドリアのプロトンリーク等を特異的に亢進する作用を有する薬剤は、PPARδ活性化作用を有する化合物またはその誘導体を有効成分とする。本発明の薬剤は、上記有効成分そのものでも、それを含む適宜の配合物、組成物、混合物であってもよい。また、PPAR活性化作用を有する化合物とは、「PPARリガンド」としてPPARに結合することにより、PPARの標的遺伝子の転写活性化能を制御する化合物を指し、天然に存在するものに限られず、人工的に合成されたものも含まれる。
【0025】
上記有効成分の有用性を明らかにするために、実施例に具体的に示されているように、各種PPARリガンドを各種骨格筋細胞、脂肪細胞に添加してUCP1のmRNA量を測定した。その結果、測定したPPARαリガンド、PPARγリガンドに対し、有意にUCP1のmRNAの発現量が多いものはPPARδリガンドであった。なお、PPARδリガンドとしては、例えば、コレステロール低下作用を示す化合物としてWO9904815号明細書に記載された、p−(3−(4−acetyl−3−hydroxy−2−propylphenoxy)propoxy)phenylacetic acid(YM−16638)等が挙げられる。
【0026】
ある物質について、PPARに対する結合/活性化の程度を簡便かつ高感度に知る方法として、レポーター遺伝子が利用される。例えば酵母の転写因子であるGAL4のDNA結合領域とPPARのリガンド結合領域とを結合させた融合蛋白質発現用のベクター、およびGAL4の応答配列(GAL4binding element)に連結されたレポーター遺伝子を含むレポータープラスミドを導入した動物細胞を用いる方法が知られている(WO96/33724;Lehmannら、J.Biol.Chem.270,12953−12956(1995);Willsonら、J.Med.Chem.,39,665−668(1996))。レポーター遺伝子を利用する方法とは、例えば、まず被験化合物がPPARに結合又は活性化する物質であると、被験化合物がGAL4のPPARのリガンド結合領域に結合する。すると、PPARのリガンド結合領域に融合させたGAL4のDNA結合領域が、レポータープラスミドのGAL4の応答配列に結合し、レポーター遺伝子の発現が亢進する。レポーター遺伝子によって発現した蛋白質の活性等を測定すること、つまりレポーター活性を検出することによって、被験化合物がPPARに結合又は活性化する物質か否かが検出できる。
【0027】
したがって、PPARに結合する未知のリガンドのスクリーニングや被験化合物がPPARに結合するリガンドであるか否かの検査において、その天然または人工的に合成されたリガンドを検出し、単離することができる。なお、レポーター活性の検出は、レポーター遺伝子の種類に応じ、染色、蛍光、細胞の生死などを指標に、当業者の技術常識に基づいて適宜行うことができる。
【0028】
さらに、本発明におけるスクリーニング方法は、上述のレポーター活性の検出系に(a)UCP1遺伝子を発現する細胞に被験試料を接触および/または導入する工程、(b)該細胞におけるUCP1遺伝子の発現量を測定する工程、(c)該細胞におけるUCP1遺伝子の発現量を増加させる化合物を選択する工程、を加えることができる。
【0029】
スクリーニングに用いる「UCP1遺伝子を発現する細胞」としては、特に制限はないが、特に白色脂肪細胞や褐色脂肪細胞等の脂肪細胞、骨格筋細胞が好適である。細胞は、動物組織から分離した初代培養細胞であってもよく、癌化もしくは不死化した株化細胞であってもよい。脂肪細胞としては、例えば、後述する実施例に記載のヒト白色脂肪細胞、あるいはラット褐色脂肪細胞、3T3−L1(マウス脂肪細胞)などの各種脂肪細胞が、骨格筋細胞としては、例えば、SkMC(ヒト骨格筋細胞)、C2C12(マウス骨格筋細胞)などの各種骨格筋細胞が好適に用いられる。なおUCPファミリー(脱共役蛋白同族体)遺伝子としては、例えばUCP1遺伝子、UCP2遺伝子、UCP3遺伝子、UCP4遺伝子が挙げられる。
【0030】
本発明のスクリーニング方法の一工程では、これらUCP1遺伝子を発現する細胞に被験物質を接触および/または導入し、UCP1遺伝子の発現量を測定する。遺伝子の発現量の測定には、当業者によく知られた種々の方法を用いることが可能である。例えば、ノザンブロット法(Sambrookら、MolecularCloning,201−206(1987),Cold Spring Harbor Laboratory)あるいはRT−PCR法(Shafferら、Anal.Biochem.,190,292−296(1990))などの方法で、DNA、RNA又は蛋白質を測定することによって、行うことができる。
【0031】
UCP1遺伝子の発現量測定の結果、UCP1遺伝子の発現の有意な増加が認められれば、用いた被験試料の化合物はnST機能を増進させる作用を有する。nSTの組織内細胞のミトコンドリアで脂肪および糖が燃焼するためにはUCP1の発現が不可欠であるが、本発明の有効成分は、前記のように該組織内細胞のUCP1発現量を顕著に増大させる作用を有する。この分子レベルでの知見から、本発明の薬剤は内臓脂肪蓄積抑制および蓄積内臓脂肪の低減化に有効である。
【0032】
実際に、実施例ではPPARδリガンドにより発現が亢進したUCPが内臓脂肪蓄積を抑制および低減するべく機能しうること、すなわち細胞内の脂肪および糖の燃焼を促進することを確認するために、各種PPARリガンドを初代ヒト脂肪細胞に添加し、脂肪燃焼亢進の指標のひとつとして知られる脂肪酸β酸化を測定した。実施例に具体的に示されているように、UCPの発現量に比例して脂肪酸β酸化も亢進した。そして最も脂肪酸β酸化が亢進したのはPPARδリガンドであった。
【0033】
本発明の薬剤は、nSTに関与する骨格筋、脂肪等の非ふるえ熱産生組織細胞中のミトコンドリアにある内膜貫通型蛋白質のUCP1の発現量を増大させ、上記細胞中のミトコンドリアの脱共役呼吸、プロトンリーク、及び熱産生を特異的に亢進させる作用を有する。本発明の薬剤は、PPARδ活性化作用を有する化合物またはその誘導体を有効成分とするものであり、上記したように脂肪、骨格筋等のnST組織細胞中のUCP1の発現量を著しく増大させる高UCP1発現作用をもつ。本発明の薬剤は、UCP1発現活性を指標として同定および分離・精製することができる。そうして得られた物質を有効成分とすることで、特に抗肥満に著効を有する内臓蓄積脂肪低減化剤ないし内臓脂肪蓄積抑制剤を調製することができる。
【0034】
本発明の薬剤は、エネルギー代謝や脂質代謝を促進させ、血漿脂質を低下させるので、特に哺乳動物(例えばヒト、マウス、ラット、モルモット、イヌ、サル、ネコ、ウマ、ウサギ等)や鳥類の肥満の予防または治療に用いることができる。さらに、肥満に合併する疾患(例えば糖尿病、高血圧症、高脂血症、動脈硬化、虚血性心疾患等の成人病等)等の予防または治療にも有効である。
【0035】
当該低減剤又は抑制剤の担体としては、その使用形態に応じて、適当な充填剤、結合剤、増量剤、崩壊剤、表面活性剤、防湿剤、賦形剤、希釈剤などを使用することができる。製剤形態は、その使用目的に応じて適宜決定すればよく、特に限定されないが、例えば錠剤、顆粒剤、粉末剤、丸剤、カプセルなどの固剤や、液剤、懸濁剤、乳剤などが例示される。かくして得られる抗糖尿病剤、抗肥満剤、または内臓蓄積脂肪低減化剤ないし内臓脂肪蓄積抑制剤は経口投与が望ましく、その投与量は、投与する者の症状等に応じて適宜選択される。したがって、投与量、投与回数などは特に限定されない。
【実施例】
【0036】
次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明は当該実施例によって何ら限定されるものではない。なお、下記実施例において、各操作は特に明示がない限り、「モレキュラークローニング(MolecularCloning)」(Sambrook,J.,Fritsch,E.F.およびManiatis,T.著、Cold Spring Harbor LaboratoryPressより発刊)に記載の方法により行った。なお、市販の試薬やキットを用いる場合には市販品に添付の指示書に従った。
【0037】
[実施例1]
ヒト白色脂肪細胞におけるUCP1およびUCP2mRNA発現誘導に対する薬剤の影響
(1)ヒト白色脂肪細胞の培養とRNA調製
ヒト脂肪細胞は、皮下脂肪組織由来の未分化凍結前駆脂肪細胞(Cat.No.SP−F,Lot.No.L011399)を米国Zen−Bio社から購入した。これを24穴プレートにて培養し、業者の指示に従って分化誘導を行うことにより脂肪細胞を得、ヒト白色脂肪組織由来脂肪細胞として使用した。すなわち、24穴プレートで、preadipocytemedium培地中、コンフルエントな状態まで37℃でCOインキュベータで培養後、differentiationmedium培地に培地交換し、約72時間培養することにより分化誘導を行った。さらにadipocyte medium培地に培地交換し、14日間培養して白色脂肪細胞へと分化させた。この培養細胞についてさらに以下の条件で培養した。
【0038】
各種被験化合物を終濃度10μMとなるように培地に加え、6時間培養した(n=3)。各種被験化合物は、PPARαリガンドのベザフィブレート(Bezafibrate)、WY14643、PPARδリガンドのYM−16638、PPARγリガンドのトログリタゾン(Troglitazone)、ロシグリタゾン(Rosiglitazone)、非特異的PPARリガンドのcPGI、イロプロスト(Iloprost)、β3アドレナリンレセプターアゴニストのL755507とした。コントロールは被験化合物の溶媒であるDMSOを終濃度0.5%となるように加え、同様に培養した。培養した細胞を各々回収し、細胞溶解用緩衝液(RLT溶液、QIAGEN社製)150μlに懸濁した後、細胞を破砕し、細胞抽出液を得た。この細胞抽出液からトータルRNAを調製した。RNAの調製はRNA調製キット(商品名:RNeasytotal RNAキット、QIAGEN社製)を用いて指示書に従って行った。
【0039】
(2)UCP1 mRNA発現量の測定
前項(1)で得たRNA(トータルRNA、約0.1μg)をテンプレートとして、以下のようにリアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(RealTime PCR)によりUCP1 mRNA発現量を測定した。
【0040】
ヒトUCP1遺伝子用のPCRプライマーとしては、5’−AACCCACAGAGGTCGTGAAAG−3’(フォワード側プライマー)、および5’−CGTGTAGCGAGGTTTGATTCC−3’(リバース側センスプライマー)の2種を用いた。PCRプローブとしては、5’−CAGACTTCAAGCATAGAGCCATCTCCA−3’を用いた。プローブに結合した蛍光色素はFAMであった。また、2−Reporter Assayとして同時に測定したG3PDH mRNAの測定についてはPE Applied Biosystemsの推奨する方法に従って行った。なお、プライマーの化学合成はAmershamPharmacia Biotech社、プローブの化学合成(蛍光色素の結合を含む)はPEApplied Biosystems社に依頼した。
【0041】
調製した被験トータルRNA、上記プライマーおよびプローブ、市販のリアルタイム検出PCR用試薬キット(TaqManEZ RT−PCR Core Reagent Kit(商品名)、PE Applied Biosystems社製)を用いて反応チューブ1本あたり表1に示す反応液を調製した。
【0042】
【表1】

【0043】
PCR Perkin Elmer Microamp OpticalTube(商品名、PE Applied Biosystems社製)1本あたり上記反応液を25μl調製し、キャップをした後、ABIPRISM 7700 SequenceDetection System(商品名、PE Applied Biosystems社製)にセットし、以下の条件で反応を行った。
【0044】
混入DNAのUNGによる分解反応50℃、50分、逆転写工程60℃10分、UNGの失活95℃、2分の後、PCR反応を変性工程95℃、15秒、アニーリング工程58℃、90秒の条件(サイクル数:40サイクル)で行った。反応開始後、蛍光強度をリアルタイムで自動測定することによりUCP1mRNA発現量を測定した。UCP1 mRNA発現量は対照であるブランクコントロールを100とした場合の相対値で示し、G3PDHmRNA発現量で補正をかけて算出した。
【0045】
その結果を第1図に示した。UCP1 mRNA発現量は、PPARδリガンド(PPARδを活性化する作用を有する化合物)であるYM−16638でコントロールの約12倍の増加を示した。これにより、PPARδリガンドはかかる作用を顕著に発現することが明確となった。本実験においてPPARδリガンドはUCP1遺伝子を特異的に増強することが判明したことから、PPARδリガンドによるWATの機能亢進作用は、PPARδリガンドのWATへの直接的な作用であることがわかった。UCP1は、げっ歯類のみならず、ヒト白色脂肪細胞において顕著な発現の増大が観察されたことから、ヒトの糖尿病や肥満に対し、PPARδリガンドが極めて有効であることが示された。
【0046】
(3)UCP2 mRNA発現量の測定
前項(1)で得たRNA(トータルRNA、約0.1μg)をテンプレートとして、前項(2)と同様にリアルタイムポリメラーゼ連鎖反応によりUCP2 mRNA発現量を測定した。ヒトUCP2遺伝子用のPCRプライマーとしては、5’−CGCCAAATGAGCTTTGCCT−3’(フォワード側プライマー)、および5’−GCCCTTGGTGTAGAACTGTTTGA−3’(リバース側センスプライマー)の2種を用いた。PCRプローブとしては、5’−TGTCCGCATCGGCCTGTATGATTC−3’を用いた。プローブに結合した蛍光色素はFAMであった。
【0047】
その結果を第2図に示した。UCP2 mRNA発現量はPPARδリガンド(PPARδを活性化する作用を有する化合物)であるYM−16638で対照の約2倍の増加を示した。
【0048】
[実施例2]
ヒト白色脂肪細胞における遊離脂肪酸β酸化に対する薬剤の影響
実施例1で述べた方法と同様にヒト白色脂肪細胞を分化誘導後、上清を除去し、adipocytemedium培地にオレイン酸およびパルミチン酸をそれぞれ0.67mMおよび0.33mMとなるように溶解した培地500μlに交換した。各種被験化合物を終濃度10μMとなるように培地に加えた後、[9,10(n)−H]パルミチン酸(アマシャムファルマシア社製、終濃度1?Ci/ml)を加え、37℃で48時間培養した。被験化合物は、PPARδリガンドであるYM−16638、PPARαリガンドのWY14643、β3アドレナリンレセプターアゴニストのL755,507、PPARγリガンドのロシグリタゾン(Rosiglitazone)とした。コントロールは被験化合物の溶媒であるDMSOを終濃度0.5%となるように加え、同様に培養した。また培養中、細胞による[9,10(n)−H]パルミチン酸のβ酸化により生じたOが蒸散しないように、住友ベークラート社製ミニカルチャーフィルター(MS−30055)で培養プレートをシールした。
【0049】
48時間培養後、培地上清200μlを1.5mlエッペンドルフチューブに移し、50%トリクロロ酢酸を50μl添加し、氷上で30分間沈殿を形成させ、15,000rpmで10分間遠心した。次に、あらかじめ500μlの純水を入れた20mlガラスバイアルの中に蓋なし1.5mlエッペンドルフチューブを入れ、このエッペンドルフチューブに上記遠心で得られた上清を全量移し、ポリプロピレンパッキン付きの蓋で厳重に封をした。このバイアルを50℃で18時間加温してバイアル内をOで飽和させ、4℃で冷却後、遠心し(1000rpm、1分)、バイアル内のエッペンドルフチューブに残っている培地上清とエッペンドルフチューブを廃棄した。バイアル内に残ったOを含んだ純水に5mlの液体シンチレーター(ウルチマゴールド、パッカード社製)を加え、十分に混和後、カウントした。
【0050】
この結果を第3図に示した。PPARδリガンドYM16638 10μMにより細胞のβ酸化は30%亢進した。一方、PPARγリガンドrosiglitazone10μMでは15%の亢進、PPARαリガンドWY14643 10μMおよびβ3 adrenagic receptorアゴニストL755,507 10μMではβ酸化の亢進はみられなかった。この結果は実施例1で示した各種PPARリガンドのUCP1 mRNA発現亢進作用と良く相関している。すなわち、PPARδリガンドはUCP1遺伝子の発現亢進によりその蛋白量も増加させ、UCP1の機能の一つである遊離脂肪酸を基質としたβ酸化を亢進、ひいてはエネルギー代謝を促進し、内臓脂肪蓄積を抑制および低減させることを示すものである。このことからもPPARδリガンドがヒトの抗糖尿病、抗肥満に対して有効であることが示された。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明により、熱産生亢進作用等を有する物質が得られ、それを含む抗糖尿病剤、抗肥満剤、内臓蓄積脂肪低減化剤、又は内臓脂肪蓄積抑制剤等の薬剤が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】PPARδリガンドほか各種被験化合物によりヒト脂肪細胞において誘導されるUCP1 mRNA発現量を示す図である。
【図2】PPARδリガンドほか各種被験化合物によりヒト脂肪細胞において誘導されるUCP2mRNA発現量を示す図である。
【図3】PPARδリガンドほか各種被験化合物によりヒト脂肪細胞において惹起される遊離脂肪酸β酸化亢進の程度を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
PPARδを活性化する作用を有する物質を有効成分として含有する、熱産生亢進作用を有する薬剤。
【請求項2】
PPARδを活性化する作用を有する物質を有効成分として含有する、ミトコンドリアの脱共役呼吸を亢進させる薬剤。
【請求項3】
PPARδを活性化する作用を有する物質を有効成分として含有する、ミトコンドリア内膜でのプロトンリークを亢進させる薬剤。
【請求項4】
PPARδを活性化する作用を有する物質を有効成分として含有する、ミトコンドリア含有細胞のUCP1の発現量を増大させる薬剤。
【請求項5】
PPARδを活性化する作用を有する物質を有効成分として含有する、脂肪酸β酸化を亢進させる薬剤。
【請求項6】
前記PPARδを活性化する作用を有する物質が、非特異的PPARリガンド又はPPARδリガンドである請求項1〜5のいずれかに記載の薬剤。
【請求項7】
前記PPARδを活性化する作用を有する物質が、カルバプロスタサイクリン、イロプロスト、又はp−(3−(4−acetyl−3−hydroxy−2−propylphenoxy)propoxy)phenyl acetic acidである請求項1〜5のいずれかに記載の薬剤。
【請求項8】
前記ミトコンドリアが骨格筋、白色脂肪組織、もしくは褐色脂肪組織の細胞のものである請求項2〜4のいずれかに記載の薬剤。
【請求項9】
前記ミトコンドリアが白色脂肪組織、もしくは褐色脂肪組織の細胞のものである請求項2〜4のいずれかに記載の薬剤。
【請求項10】
PPARδを活性化する作用を有する物質を有効成分として含有する、抗糖尿病剤、抗肥満剤、内臓蓄積脂肪低減化剤、もしくは内臓脂肪蓄積抑制剤。
【請求項11】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の薬剤を有効成分として含有する、抗糖尿病剤、抗肥満剤、内臓蓄積脂肪低減化剤、もしくは内臓脂肪蓄積抑制剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−188538(P2006−188538A)
【公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−107637(P2006−107637)
【出願日】平成18年4月10日(2006.4.10)
【分割の表示】特願2003−514257(P2003−514257)の分割
【原出願日】平成14年7月17日(2002.7.17)
【出願人】(000003001)帝人株式会社 (1,209)
【Fターム(参考)】