説明

PTPシート製造装置

【課題】PTPシートを製造するにあたり、不良品の発生を低減することのできるPTPシート製造装置を提供する。
【解決手段】PTP包装機は、容器フィルム3にポケット部2を形成するポケット部形成装置、当該ポケット部2に錠剤を投入する錠剤投入装置、ポケット部2を塞ぐように帯状のカバーフィルム4を取着するシール装置等を備えている。シール装置は、フィルム受けロール18と、これに圧接するシールロール19とからなる。フィルム受けロール18は、その外周面に複数の平坦面41を有した略多角柱形状をなし、ポケット部2を収容するポケット受け凹部43を各平坦面41に有している。そして、フィルム受けロール18が、ポケット受け凹部43にポケット部2を引っ掛けて容器フィルム3を搬送しつつ、両ロール18,19間にて両フィルム3,4を加熱圧接することにより、容器フィルム3に対しカバーフィルム4が取着される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、錠剤等の内容物を収容するPTPシートを製造するためのPTPシート製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、錠剤等の内容物を収容するPTPシートは、内容物が充填されるポケット部が形成された容器フィルムと、その容器フィルムに対しポケット部の開口側を密封するように取着されるカバーフィルムとから構成されている。
【0003】
従来、PTPシートを製造する装置にあっては、帯状に形成された容器フィルムの原反が、最上流側においてロール状に巻回された状態でセットされている。そして、ここから引き出された帯状の容器フィルムは、ポケット部を形成する工程、当該ポケット部に内容物を充填する工程、カバーフィルムを取着する工程、各シート単位に打抜く工程等を経てPTPシートへと加工される。
【0004】
カバーフィルムを取着する工程においては、容器フィルムを搬送するフィルム受けロールと、当該フィルム受けロールに対し圧接するシールロールとの間を、容器フィルム及びカバーフィルムが加熱圧接状態で通過することで、容器フィルムに対しカバーフィルムが貼着され、ポケット部が塞がれることとなる。
【0005】
ここで、上記フィルム受けロールの外周面には、容器フィルムのポケット部に対応したポケット受け凹部が多数形成されており、容器フィルムは、自身のポケット部が前記ポケット受け凹部に嵌り込むようにしてフィルム受けロールに掛装されている。この状態で、フィルム受けロールが回転することで、ポケット受け凹部によりポケット部が引っ掛けられるようにして、容器フィルムが搬送される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−69966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、図7(a)に示すような従来の円柱状のフィルム受けロール91では、容器フィルム93のポケット部95が比較的大きい場合等には、当該容器フィルム93をフィルム受けロール91に掛装した際、図7(b)に示すように、当該容器フィルム93がフィルム受けロール91の外周面の円弧形状に沿って適切に湾曲せず、フィルム一般部(特にポケット部95周囲等)がフィルム受けロール91の外周面から浮き上がる、折れ曲がる等する。この状態で、シールロール98が押付けられると、ポケット部95の潰れ、ポケット部95間でのフィルム一般部の折れ曲がり、取着したカバーフィルム97にシワがよるなど、種々の不具合が発生するおそれがある。結果として、製品不良の発生が増加するおそれがある。
【0008】
一般に、PTPシートは、容器フィルムがPP(ポロプロピレン)等の樹脂材料により形成され、カバーフィルムがアルミニウム等の金属材料により形成されているが、近年では、遮光性や防湿性等の向上を図るといった観点から、容器フィルムまでもアルミニウム等により形成したものも見受けられる。アルミニウム等は、樹脂材料と比較して加工性(延性)が悪く、比較的ポケット部を大きく設計する必要がある。また、アルミニウム等は、樹脂材料と比較して弾力性がなく塑性変形しやすいため、変形した場合には元の形状に復元しにくい。その結果、上記不具合がより顕著に現れるおそれがある。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、PTPシートを製造するにあたり、不良品の発生を低減することのできるPTPシート製造装置を提供することを主たる目的の一つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以下、上記課題を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
【0011】
手段1.帯状の容器フィルムに対し、内容物を収容するためのポケット部を形成するポケット部形成手段と、
前記ポケット部に前記内容物を充填する充填手段と、
前記ポケット部に前記内容物が充填された前記容器フィルムに対し、前記ポケット部を塞ぐようにして帯状のカバーフィルムを取着するシール手段と、
前記容器フィルムに前記カバーフィルムが取着された帯状のPTPフィルムをPTPシート単位に打ち抜くシート打抜手段とを備えたPTPシート製造装置において、
前記シール手段は、
前記容器フィルムのポケット部を収容可能なポケット受け凹部を有し、当該ポケット受け凹部により前記ポケット部を引っ掛けつつ自身の回転により前記容器フィルムを搬送可能なフィルム受けロールと、当該フィルム受けロールに圧接可能な加熱用のシールロールとを備え、当該両ロール間に前記両フィルムを送り込み加熱圧接することにより、前記容器フィルムに対し前記カバーフィルムを取着する構成であって、
前記フィルム受けロールは、
その外周面においてその径方向と直交する複数の平坦面を有した略多角柱形状をなし、前記各平坦面において、前記ポケット受け凹部を有したものであることを特徴とするPTPシート製造装置。
【0012】
なお、ここでいう「略多角柱形状」には、複数の角部が尖った完全な多角柱形状のみならず、角部が丸みを帯びたもの等も含まれる。
【0013】
上記手段1によれば、ポケット部形成手段によって帯状の容器フィルムに対し内容物を収容するためのポケット部が形成され、シール手段によってポケット部を塞ぐように、カバーフィルムがシール状態で取着されることにより、帯状のPTPフィルムが生成される。シール手段は、ポケット部を収容可能なポケット受け凹部を有したフィルム受けロールと、加熱用のシールロールとを具備しており、カバーフィルムの取着は、ポケット部に内容物が収容された後、容器フィルム及びカバーフィルムを両ロールで加熱圧接することによりなされる。そして、打抜き手段により、PTPフィルムからPTPシートが打ち抜かれる。
【0014】
そして、本手段によれば、フィルム受けロールが、その外周面においてその径方向と直交する複数の平坦面を有した略多角柱形状をなし、各平坦面において、前記ポケット受け凹部を有した構成となっている。これにより、容器フィルムのポケット部及びその周囲のフィルム一般部に無理な応力をかけることなく、当該容器フィルムを適正にフィルム受けロールに掛装することができる。結果として、ポケット部周囲のフィルム一般部を平坦な状態でシールできるため、ポケット部の潰れ、ポケット部間でのフィルム一般部の折れ曲がり、取着したカバーフィルムにシワがよるなど、種々の不具合が発生を抑制することができる。
【0015】
なお、上記不具合を抑制するため、各種ロールを利用せず、容器フィルム等をまっすぐ伸びた状態で搬送する構成の装置を採用することも考えられるが、かかる構成では、装置全体が大型化することが懸念されるとともに、ポケット成形等に合わせてライン全体を間欠送り動作とせねばならず、生産速度の高速化の妨げとなる。また、フィルム受けロールの径を大きくしてポケット部の潰れ等を防止することも考えられるが、同様に、装置の大型化が懸念される。この点、本手段によれば、ロールを利用した連続送り動作により、生産速度の高速化を図るとともに、装置の大型化を抑制することができる。
【0016】
さらに、容器フィルムが樹脂材料よりなる場合には、ポケット部形成時に容器フィルムが加熱され、その後の熱収縮によりカールが発生するおそれがあるため、各種ロール等との接触による早期の冷却が必要となる。つまり、上述した各種ロールを利用しないでフィルムを搬送する装置では、容器フィルムが樹脂材料よりなるPTPシートの製造を行うことが難しい。この点、本手段によれば、ロールを利用することで、容器フィルムが樹脂材料又はアルミニウム等よりなる場合のいずれにおいても適切に対応することができる。
【0017】
手段2.前記フィルム受けロールの周方向における前記各平坦面の長さが、前記PTPフィルムの長手方向における前記PTPシートのシート形成ピッチのnピッチ分(nは1以上の自然数)に相当する長さとなっていることを特徴とする手段1に記載のPTPシート製造装置。
【0018】
上記手段2によれば、フィルム受けロールの各平坦面がPTPシートのnシート分に相当する範囲で形成されているため、各PTPシートの全域を平坦な状態でシールすることができ、上記手段1等の作用効果をPTPシート単位でより確実なものとすることができる。
【0019】
特に、容器フィルムが樹脂材料よりなる場合には、ポケット部形成時に容器フィルムを加熱するため、容器フィルムとカバーフィルムとを接着させた後、これらの熱収縮率の差等によりカールが発生するおそれがある。この点、本手段によれば、このようなカールの発生を抑制することができる。
【0020】
なお、フィルム受けロールの角部(非平坦部)に対応する部分に関しては、PTPフィルムに折れ曲がりが発生するおそれがあるが、当該折れ曲がり部分はPTPシート同士の境界部となるため、シート打抜き時において当該折れ曲がり部分を除く範囲でPTPシートを打ち抜くようにすれば、全体に反りのないPTPシートを得ることが可能となる。
【0021】
また、当該折れ曲がり部分を目印として利用することで、その後の工程(例えばシート打ち抜き工程等)をより正確に行うことが可能となる。
【0022】
手段3.前記シールロールは、円柱形状であることを特徴とする手段1又は2に記載のPTPシート製造装置。
【0023】
上記手段3によれば、略多角柱形状のフィルム受けロールと、円柱形状のシールロールとが圧接することにより、容器フィルム及びカバーフィルムのシールが行われる。このような構成とすることにより、例えばフィルム受けロール及びシールロールの両者が多角柱形状で、当該両者の平坦面同士を押付けながら、容器フィルム及びカバーフィルムをシールする構成よりも、各ロールの組付け誤差等を吸収しやすく、より均一な圧力で安定したシールを行うことができる。また、シールロール側を交換することなく、フィルム受けロール側のみ交換するだけで、多様な品種に対応することができ、汎用性の向上を図ることができる。
【0024】
手段4.前記ポケット受け凹部は、その内周側面が前記平坦面に直交するよう形成されていることを特徴とする手段1乃至3のいずれかに記載のPTPシート製造装置。
【0025】
上記手段4によれば、ポケット受け凹部の内周側面が平坦面に直交するよう形成されることにより、フィルム受けロールの回転軸線と直交する当該フィルム受けロールの断面部において、平坦面とポケット受け凹部との境界部とフィルム受けロールの回転中心とを結ぶ半径方向の直線と、平坦面との成す角αが90°よりも小さくなる。
【0026】
従来では、一般にポケット受け凹部は、その内周側面がフィルム受けロールの半径方向に沿って形成されていた。つまり、ポケット受け凹部の内周側面がフィルム受けロールの回転方向に対し直角となっていた。このため、フィルム搬送時にはポケット部に対しロール回転方向に応力Fがかかっていたところ、本手段によれば、ポケット部にかかる負荷をF×sinα分だけ軽減することができる。結果として、ポケット部の潰れ変形等の発生を抑制することができる。
【0027】
手段5.前記容器フィルム及び前記カバーフィルムがアルミニウムを主材料として形成されたものであることを特徴とする手段1乃至4のいずれかに記載のPTPシート製造装置。
【0028】
ここで、「アルミニウムを主材料として形成されている」とは、アルミニウム単体で形成されている場合は勿論のこと、樹脂フィルム層が介在されたアルミラミネートフィルムをも含む趣旨である。
【0029】
尚、上記課題でも述べたとおり、ポケット部の潰れ変形等の不具合は、容器フィルムが、ポリプロピレン(PP)やポリ塩化ビニル(PVC)等の樹脂素材からなる場合よりも、アルミニウムを主成分とする素材からなる場合において起こりやすい傾向にある。これは、上記樹脂素材に比べ、アルミニウムが塑性変形しやすく、一旦応力により変形してしまうと元の形状に復元しにくいからであると考えられる。
【0030】
従って、本手段の構成下において、上記手段1等の作用効果がより奏効することとなる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】(a)はPTPシートを示す斜視図であり、(b)はPTPフィルムを示す斜視図であり、(c)は、PTPシートの部分拡大断面図である。
【図2】PTP包装機の全体構成を説明するための概略図である。
【図3】シール装置の概略構成を示す模式図である。
【図4】PTPフィルムを示す側面図である。
【図5】(a)はポケット部の構成を説明するためのフィルム受けロールの部分拡大断面図であり、(b)は従来のポケット部の構成を説明するための従来のフィルム受けロールの部分拡大断面図である。
【図6】(a),(b)は、別の実施形態に係るシール装置の概略構成を示す模式図である。
【図7】(a)は従来のシール装置の概略構成を示す模式図であり、(b)は従来のフィルム受けロールに掛装された容器フィルムの状態を示す部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0033】
図1(a)〜(c)に示すように、PTPシート1は、複数のポケット部2を備えた容器フィルム3と、ポケット部2を塞ぐようにして容器フィルム3の裏側に取着されたカバーフィルム4とを有している。本実施形態における容器フィルム3及びカバーフィルム4はいずれもアルミラミネートフィルムにより形成されている。
【0034】
PTPシート1は、容器フィルム3及びカバーフィルム4から形成された帯状のPTPフィルム6(図1(b)参照)が打抜かれることで、シート状に製造される。
【0035】
図1(c)に示すように、各ポケット部2には、内容物としての錠剤5が1つずつ収容されている。
【0036】
次に、上記PTPシート1を製造するためのPTPシート製造装置としてのPTP包装機8の概略について説明する。
【0037】
図2に示すように、PTP包装機8の最上流側では、帯状の容器フィルム3の原反がロール状に巻回されている。
【0038】
PTP包装機8においては、ロール状に巻回された容器フィルム3が間欠的に移送されるようになっており、容器フィルム3の移送経路に沿って、ポケット部形成手段としてのポケット部形成装置14が配置されている。
【0039】
このポケット部形成装置14により、容器フィルム3に上記ポケット部2が形成される。ポケット部2の形成は、冷間加工により、容器フィルム3の移送動作間のインターバルにて行われる。
【0040】
さらに、ポケット部2が形成された容器フィルム3の移送経路に沿って、充填手段としての錠剤投入装置16、検査装置17、シール手段としてのシール装置10が配設されている。
【0041】
錠剤投入装置16は、所定間隔毎にシャッタを開くことで錠剤5を自由落下させるものであり、このシャッタ開放動作に伴って各ポケット部2に錠剤5が投入される。
【0042】
検査装置17は、錠剤5が各ポケット部2に確実に充填されているか否か、また錠剤5の異常の有無、異物混入の有無等の検査を行うためのものである。検査装置17は、ポケット部2の開口側からの検査を行う。
【0043】
また、帯状に形成されたカバーフィルム4の原反は、最上流側においてロール状に巻回されている。
【0044】
ロール状に巻回されたカバーフィルム4の引出し端は、シール装置10の方へと案内されている。シール装置10は、フィルム受けロール18及びシールロール19により構成されている。
【0045】
フィルム受けロール(送りロール)18には、シールロール19が圧接可能となっており、両ロール18,19間に容器フィルム3及びカバーフィルム4が送り込まれるようになっている。そして、容器フィルム3及びカバーフィルム4が、両ロール18,19間を加熱圧接状態で通過することで、容器フィルム3の裏側にカバーフィルム4が貼着され、ポケット部2がカバーフィルム4で塞がれる。これにより、錠剤5が各ポケット部2に充填されたPTPフィルム6が製造される。
【0046】
シール装置10の下流では、PTPフィルム6の移送経路に沿って、ミシン目形成装置22、刻印装置23及びシート打抜装置24が順に配設されている。ミシン目形成装置22は、PTPフィルム6の所定位置にミシン目を形成する機能を有する。刻印装置23はPTPフィルム6の所定位置にロットナンバー等の識別情報を示す刻印を付す機能を有する。シート打抜装置24は、PTPフィルム6をPTPシート1単位に打抜くシート打抜手段としての機能を有する。
【0047】
前記シート打抜装置24の下流側には、シート打抜装置24からの端材25を貯留するためのスクラップ用ホッパ26が設けられている。また、シート打抜装置24の下側には、打抜かれたPTPシート1を移送するためのコンベア28が設けられている。打ち抜かれたPTPシート1は、前記コンベア28によって、完成品用ホッパ29に移送される。その後、完成品用ホッパ29に収容されたPTPシート1は、2枚1組で互いのポケット部2同士を向き合うようにしてセットされた上で、複数組ずつ集積され積上げられる。最終的には、バンド(結束)工程や、製袋工程へと案内され、箱詰めされる。但し、検査装置17によって不良品判定された場合、その不良品判定となったPTPシート1は、図示しない不良シート排出機構によって別途排出される。
【0048】
なお、容器フィルム3やPTPフィルム6は、図2に示すように複数の送りロール18,30,31,32,34,36,37,38を介して搬送されるようになっている。これら送りロール18等には、その外周面に容器フィルム3等のポケット部2に対応したポケット受け凹部43が形成されている(図3参照)。送りロール18等の周方向に対するポケット受け凹部43の形成間隔と、容器フィルム3等の長手方向に対するポケット部2の形成間隔とが同等になっている。これにより、送りロール18等が、ポケット部2をポケット受け凹部43に収容しながら所定の駆動手段により回転駆動されることで、ポケット部2が潰されること無く、容器フィルム3等の移送が行われる。
【0049】
但し、本実施形態では、送りロール18,34が連続送り動作(連続回転)するのに対し、その他の送りロール30〜32,36〜38は、ポケット部形成装置14や、ミシン目形成装置22、刻印装置23、シート打抜装置24等の動作に合わせて間欠送り動作(間欠回転)する。
【0050】
このため、送りロール32,34間と、送りロール18,36間には、それぞれテンションロール33,35が設けられており、当該送りロール32,34間と送りロール18,36間における搬送動作の相違による容器フィルム3等の撓みを制御し、当該容器フィルム3等を常時緊張状態に保持している。
【0051】
PTP包装機8の概略は以上のとおりであるが、以下においてシール装置10の構成について、図3を参照してより詳しく説明する。
【0052】
上述したように、シール装置10は、フィルム受けロール18及びシールロール19により構成されている。
【0053】
本実施形態のフィルム受けロール18は、その回転軸18aに直交する断面形状が略正八角形状となった略八角柱形状をなす。これにより、フィルム受けロール18には、その外周面において、その径方向と直交しかつ回転軸18a方向に沿った8つの平坦面41が形成されている。
【0054】
各平坦面41は、フィルム受けロール18の周方向におけるその長さS(図3参照)が、PTPシート1のシート形成ピッチP(図4参照)に相当する長さとなっている。従って、各平坦面41には、容器フィルム3等のポケット部2を収容可能なポケット受け凹部43が2列ずつ形成される。
【0055】
フィルム受けロール18は、所定のモータによって回転駆動され、ポケット受け凹部43により容器フィルム3等のポケット部2を引っ掛けつつ自身の回転により当該容器フィルム3等を連続的に搬送する。
【0056】
また、図5(a)に示すように、ポケット受け凹部43は、その内周側面43aが平坦面41に直交するよう形成されている。これにより、フィルム受けロール18の回転軸18aと直交する当該フィルム受けロール18の断面部において、平坦面41とポケット受け凹部43との境界部Aとフィルム受けロール18の回転中心Oとを結ぶ半径方向の直線Lと、平坦面41との成す角αが90°よりも小さくなる。
【0057】
図5(b)に示すように、従来のフィルム受けロール70では、ポケット受け凹部71の内周側面71aがフィルム受けロール70の半径方向に沿って形成されていた。つまり、ポケット受け凹部71の内周側面71aがフィルム受けロール70の回転方向Kに対し直角となっていた。このため、フィルム搬送時には、ポケット受け凹部71の内周側面71aから容器フィルム3のポケット部2に対しロール回転方向Kに応力Fがかかっていたところ、本実施形態の構成によれば、ポケット部2にかかる負荷をF×sinα分だけ軽減することができる。結果として、ポケット部2の潰れ変形等の発生を抑制することができる。
【0058】
図3の説明に戻り、シールロール19は、その回転軸19aに直交する断面形状が円形状となった円柱形状をなす。シールロール19は、所定の加熱手段により所定温度に加熱される構成となっている。また、強固なシールを実現するために、シールロール19の外周面には、僅かに凸状に形成された格子状の網目が形成されている(図示略)。
【0059】
シールロール19は、所定のアーム51の一端部にて回転自在に支持されている。アーム51は、その回動軸52を支点として傾動可能に設けられている。アーム51の他端側には、シリンダやバネなどで構成される付勢手段53が設けられている。これにより、常時、シールロール19はフィルム受けロール18側へ押圧される。そして、シールロール19は、フィルム受けロール18(カバーフィルム4)の動きに従動して回転する。
【0060】
このような構成の下、上述したように、両ロール18,19間に容器フィルム3及びカバーフィルム4が送り込まれ、両フィルム3,4が両ロール18,19間を加熱圧接状態で通過することで、容器フィルム3の裏側にカバーフィルム4が貼着される。
【0061】
なお、図4に示すように、PTPフィルム6のうち、フィルム受けロール18の角部45(図3参照)に対応する箇所には、若干の折れ曲がり部分6aが発生するが、当該折れ曲がり部分6aはPTPシート1同士の境界部となるため、当該折れ曲がり部分6aが端材25となるように、シート打抜き時において当該折れ曲がり部分6aを除く範囲WでPTPシート1を打ち抜くようにすれば、全体に反りのないPTPシート1を得ることが可能となる。
【0062】
以上詳述したように、本実施形態によれば、フィルム受けロール18が、その外周面においてその径方向と直交する複数の平坦面41を有した略八角柱形状をなし、各平坦面41において、ポケット受け凹部43を有した構成となっている。これにより、容器フィルム3のポケット部2及びその周囲のフィルム一般部に無理な応力をかけることなく、当該容器フィルム3を適正にフィルム受けロール18に掛装することができる。結果として、ポケット部2周囲のフィルム一般部を平坦な状態でシールできるため、ポケット部2の潰れ、ポケット部2間でのフィルム一般部の折れ曲がり、取着したカバーフィルム4にシワがよるなど、種々の不具合が発生を抑制することができる。
【0063】
また、本実施形態によれば、フィルム受けロール18等を利用した連続送り動作により、生産速度の高速化を図るとともに、装置の大型化を抑制することができる。
【0064】
さらに、本実施形態では、シールロール19が円柱形状であるため、例えばフィルム受けロール18及びシールロール19の両者が多角柱形状で、当該両者の平坦面同士を押付けながら、容器フィルム3及びカバーフィルム4をシールする構成よりも、各ロール18,19の組付け誤差等を吸収しやすく、より均一な圧力で安定したシールを行うことができる。また、シールロール19側を交換することなく、フィルム受けロール18側のみ交換するだけで、多様な品種に対応することができ、汎用性の向上を図ることができる。
【0065】
加えて、フィルム受けロール18の各平坦面41は、フィルム受けロール18の周方向におけるその長さSが、PTPシート1のシート形成ピッチPに相当する長さとなっているため、PTPシート1の全域を平坦な状態でシールすることができ、上記作用効果をPTPシート1単位でより確実なものとすることができる。
【0066】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0067】
(a)上記実施形態では、内容物が錠剤5である場合について具体化しているが、内容物の種別、形状等については特に限定されるものではなく、例えば食品や電子部品等が内容物として充填される構成であってもよい。勿論、これらの内容物に対応して形成されるポケット部2の形状や大きさ等に関しても上記実施形態に限定されるものではない。
【0068】
(b)各フィルム3,4の材料は、アルミニウムを主材料とした金属材料に限定されるものではなく、樹脂材料など他の材質のものを採用してもよい。容器フィルム3がPPやPVC等の樹脂素材により形成されている場合であっても、ポケット部2の形状が比較的大きい場合には、ポケット部2の潰れなど上述した種々の不具合が発生し得る。
【0069】
(c)上記実施形態では、フィルム受けロール18が略八角柱形状となっている。これに限らず、平坦面を備えた多角柱形状のものであれば、他の構成を採用してもよい。また、フィルム受けロール18の角部45が尖った構成ではなく、角部45が丸みを帯びた構成を採用してもよい。このようにすれば、PTPフィルム6における上記折れ曲がり部分6aの発生を低減することができる。
【0070】
(d)上記実施形態では、ポケット受け凹部43の内周側面43aが平坦面41に直交するよう形成されている。これに限らず、例えばポケット受け凹部43の内周側面43aがフィルム受けロール18の半径方向に沿って形成され、平坦面41に対し傾斜した構成であってもよい。
【0071】
(e)ポケット部形成装置14の上流側において加熱装置を備えた構成としてもよい。このような構成とすることで、PTP包装機8が、容器フィルム3をアルミニウム製のみならず、例えばPPやPVC等の比較的硬質で所定の剛性を有する熱可塑性樹脂材料によっても製造可能に構成された包装機(兼用機)となる。勿論、アルミニウム製の容器フィルム3を形成する場合には加熱装置は使用されない。
【0072】
(f)上記実施形態では、フィルム受けロール18の周方向における各平坦面41の長さSが、PTPフィルム6の長手方向におけるPTPシート1のシート形成ピッチPの1ピッチ分に相当する長さに設定されているが、平坦面41の形成範囲はこれに限定されるものではない。例えば、各平坦面41の長さSが、PTPシート1のシート形成ピッチPのnピッチ分(nは2以上の自然数)に相当する長さとなるようにしてもよい。
【0073】
また、PTPシート単位ではなく、フィルム受けロール18の周方向における各ポケット受け凹部43に対応して(フィルム受けロール18の周方向において1列分のポケット受け凹部43を含む範囲)で平坦面を形成してもよい。但し、容器フィルム3が樹脂材料よりなる場合には、ポケット部2形成時の加熱に起因して、容器フィルム3とカバーフィルム4とを接着させた後、これらの熱収縮率の違い等によりカールが発生するおそれがあるため、各平坦面41の長さSがPTPシート1のシート形成ピッチPのnピッチ分(nは1以上の自然数)に相当する長さに設定されることが好ましい。
【0074】
(g)上記実施形態では、PTPフィルム6の幅方向(フィルム受けロール18の回転軸18a方向)に対し、PTPシート1が1枚分だけ形成される構成となっているが、これに限らず、PTPフィルム6の幅方向にPTPシート1が複数形成される構成としてもよい。勿論、かかる場合には、フィルム受けロール18の回転軸18a方向における各平坦面41の長さも、PTPシート1の複数枚分(PTPフィルム6の幅)に相当する長さを有することとなる。
【0075】
(h)上記実施形態では、フィルム受けロール18の上流側で搬送される容器フィルム3と下流側で搬送されるPTPフィルム6との成す角度が直角になっているが、これに限らず、例えば図6(a)に示すように、フィルム受けロール18の上流側で搬送される容器フィルム3と下流側で搬送されるPTPフィルム6との成す角度βが鋭角になるようにしてもよいし、図6(b)に示すように鈍角となるようにしてもよい。
【0076】
上記実施形態のように容器フィルム3がアルミニウム製の場合には、ポケット部2の潰れ変形防止等を図る上で、図6(b)のように上記角度βを鈍角に設定する方が好ましい。一方、容器フィルム3が樹脂製の場合には、ポケット部2形成時の加熱に起因したカールの発生防止等を図る上で、図6(a)のように上記角度βを鋭角に設定し、フィルム受けロール18と容器フィルム3との接触時間を長くして、冷却速度を速めることがより好ましい。
【符号の説明】
【0077】
1…PTPシート、2…ポケット部、3…容器フィルム、4…カバーフィルム、5…錠剤、6…PTPフィルム、8…PTP包装機、10…シール装置、14…ポケット部形成装置、16…錠剤投入装置、18…フィルム受けロール、19…シールロール、24…シート打抜装置、41…平坦面、43…ポケット受け凹部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状の容器フィルムに対し、内容物を収容するためのポケット部を形成するポケット部形成手段と、
前記ポケット部に前記内容物を充填する充填手段と、
前記ポケット部に前記内容物が充填された前記容器フィルムに対し、前記ポケット部を塞ぐようにして帯状のカバーフィルムを取着するシール手段と、
前記容器フィルムに前記カバーフィルムが取着された帯状のPTPフィルムをPTPシート単位に打ち抜くシート打抜手段とを備えたPTPシート製造装置において、
前記シール手段は、
前記容器フィルムのポケット部を収容可能なポケット受け凹部を有し、当該ポケット受け凹部により前記ポケット部を引っ掛けつつ自身の回転により前記容器フィルムを搬送可能なフィルム受けロールと、当該フィルム受けロールに圧接可能な加熱用のシールロールとを備え、当該両ロール間に前記両フィルムを送り込み加熱圧接することにより、前記容器フィルムに対し前記カバーフィルムを取着する構成であって、
前記フィルム受けロールは、
その外周面においてその径方向と直交する複数の平坦面を有した略多角柱形状をなし、前記各平坦面において、前記ポケット受け凹部を有したものであることを特徴とするPTPシート製造装置。
【請求項2】
前記フィルム受けロールの周方向における前記各平坦面の長さが、前記PTPフィルムの長手方向における前記PTPシートのシート形成ピッチのnピッチ分(nは1以上の自然数)に相当する長さとなっていることを特徴とする請求項1に記載のPTPシート製造装置。
【請求項3】
前記シールロールは、円柱形状であることを特徴とする請求項1又は2に記載のPTPシート製造装置。
【請求項4】
前記ポケット受け凹部は、その内周側面が前記平坦面に直交するよう形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のPTPシート製造装置。
【請求項5】
前記容器フィルム及び前記カバーフィルムがアルミニウムを主材料として形成されたものであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のPTPシート製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−20774(P2012−20774A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−161184(P2010−161184)
【出願日】平成22年7月16日(2010.7.16)
【出願人】(000106760)シーケーディ株式会社 (627)
【Fターム(参考)】