説明

R−(+)−MCPP酸のポリエチレングリコールエステル

R−(+)−2−(4−クロロ−2−メチルフェノキシ)−プロピオン酸の新規エナンチオマー濃縮ポリエチレングリコールエステルおよびその任意の混合物は根の成長抑制剤としてきわめて適しており、建築構造物および建築材料を保護するものとして使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新規R−(+)−2−(4−クロロ−2−メチルフェノキシ)プロピオン酸のエナンチオマー濃縮ポリエチレングリコールエステル、これらの互いの任意の混合物、その製造方法および根の浸透阻害剤としてのその使用に関する。
【0002】
建築材料を通過する根の浸透は材料に好ましくない損傷を生じる。植物の根は特に封止材料、屋根を保護する膜のような可塑的に変形する材料およびビチューメンを破壊することがある。下水管および排水管のシールへの、平坦な屋根の覆いへの、輸送管、橋建造物および水圧構造物のビチューメン防護物への根の浸透、および薄いビチューメン道路に侵入および通過する根の浸透は一般的に知られた問題である。建築物、道路および輸送管の漏れ、腐食および損傷が生じることがある。
【0003】
この種の損傷を回避するために、F.Hegemann、Abiogene Bitumenadditive、Bitumen Teere Asphalte Peche 24 105(1973)は建築材料への根の阻害活性成分の添加を記載する。
【0004】
ドイツ特許第1196115号は根の阻害作用を有する2−(4−クロロ−2−メチルフェノキシ)プロピオン酸のポリエチレングリコールを記載する。
【0005】
ドイツ特許第4412330号は分子量分布170〜230を有するポリエチレングリコールから出発する2−(4−クロロ−2−メチルフェノキシ)プロピオン酸のポリエチレングリコールの製造方法を記載し、得られた生成物は改良された根の阻害作用を有すると言及される。
【0006】
WO9506408号は建造物、建築材料および根の浸透に対する保護化合物を保護するための2−(4−クロロ−2−メチルフェノキシ)プロピオン酸の特定のエステルの使用を記載する。
【0007】
更に2−(4−クロロ−2−メチルフェノキシ)プロピオン酸を使用する穀物保護での除草剤の用途において、R(+)異性体がS(+)異性体またはラセミ混合物より明らかに有効であることが知られている(B.Åberg,Swedisch,J.agric.Res.1973,3,49参照)。
【0008】
意想外にも、一般式(I)のR−(+)−2−(4−クロロ−2−メチルフェノキシ)プロピオン酸の新規エナンチオマー濃縮ポリエチレングリコールエステルおよびその互いの混合物が根の阻害剤として相当するラセミ体2−(4−クロロ−2−メチルフェノキシ)プロピオン酸のポリエチレングリコールエステルまたはS−(−)−2−(4−クロロ−2−メチルフェノキシ)プロピオン酸のポリエチレングリコールエステルより明らかに良好な活性を有することが見出された。
【0009】
本発明は、一般式(I):
【0010】
【化1】

で表され、式中、
RがHまたは式:
【0011】
【化2】

で表される基を表し、
nが1〜20の整数を表し、
がキラル炭素原子のR配置を表す
R−(+)−2−(4−クロロ−2−メチルフェノキシ)プロピオン酸のエナンチオマー濃縮ポリエチレングリコールエステルおよびその互いの任意の混合物に関する。
【0012】
本発明の目的のためにエナンチオマー濃縮はエナンチオマー純粋化合物または一方のエナンチオマーが他方のエナンチオマーに比べてこれ以後eeと記載するエナンチオマー過剰で存在する化合物のエナンチオマーの混合物である。有利にエナンチオマー過剰は70〜100%ee、より有利に80〜100モル%、特に有利に90〜100モル%である。
【0013】
本発明の目的のためにエナンチオマー濃縮は式(I)および(III)中のRで示される炭素原子の配置である。
【0014】
本発明は更に一般式(I)のエナンチオマー濃縮化合物またはその互いの混合物の工業材料、特に建築材料および建築助剤を、侵入するまたは通過する根の浸透から保護する使用に関する。
【0015】
本発明によるR−(+)−2−(4−クロロ−2−メチルフェノキシ)プロピオン酸のエナンチオマー濃縮ポリエチレングリコールエステルおよび本発明による混合物の使用により、根の浸透通過を防ぐために必要な使用量を明らかに減少することができる。これは活性エナンチオマーのみを使用し、不活性化合物を周囲に導入しないので、特に生態的理由で勧められる。
【0016】
遊離した状態でR−(+)−2−(4−クロロ−2−メチルフェノキシ)プロピオン酸の除草活性がラセミ体2−(4−クロロ−2−メチルフェノキシ)プロピオン酸の活性より高いことは穀物保護から知られているが、例えばフィルムまたは屋根の覆いでの根の浸透阻害作用に穀物保護の除草作用を適用することは思いつかないことである。除草剤の適用の場合は好ましくない植物を破壊するが、根の浸透阻害剤の使用は浸入する根の成長を防ぐことのみを目的とする。根の浸透阻害剤は、封止材料、フィルムまたは屋根の覆いの膜に使用する場合は、除草作用を示さず、例えば生長した根の支持物および湿分バリアーとして適している。
【0017】
更に一般的な技術認識と異なり、本発明による式(I)の化合物が製造条件下でおよび工業材料へのその導入条件下でラセミ化を引き起こさないことは意想外であると考えなければならず、この場合に200℃までの温度が必要である。
【0018】
有利な一般式(I)のエナンチオマー濃縮化合物またはその互いの混合物はRが前記のものを表し、nが2〜10の整数を表すものである。
【0019】
特に有利な一般式(I)のエナンチオマー濃縮化合物またはその互いの混合物はRが前記のものを表し、nが2〜8の整数を表すものである。
【0020】
更に本発明は一般式(I)のエナンチオマー濃縮化合物の任意の混合物に関する。
【0021】
一般に本発明によるこれらの混合物は一般式(I)の個々の成分をそれぞれ80質量%までの濃度で含有し、式(I)の個々の成分の合計は100質量%になる。本発明による有利な混合物はnが3〜10である一般式(I)の個々の成分をそれぞれ0〜80質量%およびnが1である一般式(I)の個々の成分およびnが2である一般式(I)の個々の成分をそれぞれ0〜5質量%含有し、式(I)の個々の成分の合計は100質量%になる。
【0022】
本発明による一般式(I)の化合物の特に有利な混合物はnが3〜8である一般式(I)の個々の成分をそれぞれ80質量%まで、nが9である一般式(I)の個々の成分およびnが10である一般式(I)の個々の成分をそれぞれ0〜10質量%およびnが1である一般式(I)の個々の成分およびnが2である一般式(I)の個々の成分をそれぞれ1質量%未満で含有する混合物であり、一般式(I)の個々の成分の合計は100質量%になる。
【0023】
一般式(I)のR−(+)−2−(4−クロロ−2−メチルフェノキシ)プロピオン酸の本発明によるエナンチオマー濃縮ポリエチレングリコールエステルは、一般式(II):
【0024】
【化3】

(式中、nは1〜20、有利に2〜10の数である)で表される少なくとも1種のポリエチレングリコールを、式:
【0025】
【化4】

で表されるエナンチオマー濃縮R−(+)−2−(4−クロロ−2−メチルフェノキシ)プロピオン酸と一緒に、適当な場合は1種以上の触媒の存在で、形成される反応水を蒸留分離することにより製造できる。適当な場合は蒸留による反応水の除去を真空を適用することにより促進することができる。更に例えば酸のような触媒を適当な場合は使用することもできる。
【0026】
一般式(III)のR−(+)−2−(4−クロロ−2−メチルフェノキシ)プロピオン酸と一般式(II)のポリエチレングリコールのモル比は一般に1:1.2〜2.2:1である。
【0027】
有利に一般式(III)のR−(+)−2−(4−クロロ−2−メチルフェノキシ)プロピオン酸と一般式(II)のポリエチレングリコールのモル比は1:1〜2.1:1である。
【0028】
反応温度は広い範囲で変動することができる。一般に反応温度は100〜250℃である。
【0029】
反応温度は有利に130〜230℃、特に150〜210℃である。
【0030】
蒸留による反応水の除去は真空を適用することにより促進することができる。これに関して反応の開始時にできるだけ早くまたは反応の進行中にのみ真空を適用することが可能である。
【0031】
一般に真空は0.5ミリバールに低下することができ、1ミリバールまでの真空を有利に使用する。
【0032】
反応に使用されるエナンチオマー濃縮R−(+)−2−(4−クロロ−2−メチルフェノキシ)プロピオン酸はポリエチレングリコールと同様に知られており、商業的に入手可能である。
【0033】
一般式(I)のエナンチオマー濃縮化合物の混合物は一般式(I)の個々のエナンチオマー濃縮成分を混合するかまたは製造に純粋なポリエチレングリコールの代わりに一般式(II)のポリエチレングリコールの混合物を使用することにより取得することができる。
【0034】
混合物の合成に使用されるポリエチレングリコール混合物は一般に一般式(II)の個々のポリエチレングリコールをそれぞれ80質量%までの量で含有することができ、個々の成分の合計は100質量%になる。
【0035】
nが3〜10である一般式(II)の個々のポリエチレングリコールをそれぞれ80質量%までおよびnが1である一般式(II)のポリエチレングリコールおよびnが2である一般式(II)のポリエチレングリコールをそれぞれ0〜5質量%まで含有するポリエチレングリコール混合物を使用することが有利であり、使用される一般式(II)のポリエチレングリコールの合計は100質量%になる。
【0036】
nが3〜8である個々のポリエチレングリコールをそれぞれ80質量%まで、nが9である一般式(II)のポリエチレングリコールおよびnが10である一般式(II)のポリエチレングリコールそれぞれ0〜10質量%およびnが1である一般式(II)のポリエチレングリコールおよびnが2である一般式(II)の個々のポリエチレングリコールそれぞれ1質量%未満を含有する一般式(II)のポリエチレングリコールの混合物を使用することが特に有利であり、使用される一般式(II)のポリエチレングリコールの合計は100質量%になる。
【0037】
本発明による一般式(I)のエナンチオマー濃縮R−(+)−2−(4−クロロ−2−メチルフェノキシ)プロピオン酸のポリエチレングリコールおよびこれらの一般式(I)のエナンチオマー濃縮R−(+)−2−(4−クロロ−2−メチルフェノキシ)プロピオン酸のポリエチレングリコールエステルの互いの混合物は特に建築物、例えば下水管、パイプ、家屋、屋根、街路、橋建造物、水圧構造物、および建築材料、および建築助剤,例えばセメント、ポリマーフィルム、屋根の覆い、および建設分野の製品、例えば塗料、シーラント、浸入し、貫通する根の浸透に対する防護物の保護のために使用することができる。
【0038】
本発明による一般式(I)の化合物またはその混合物は一般に保護すべき工業材料に直接適用するかまたはこれらの材料と混合することができる。従って例えば建築物を直接本発明による一般式(I)の化合物またはその混合物で処理することができ、または本発明による一般式(I)の1種以上の化合物を含有する建築分野の製品、例えばビチューメンまたはコールタールピッチをベースとするもので処理することができる。例えば建築材料および建築助剤を本発明による一般式(I)の化合物またはその混合物と混合することができる。
【0039】
建築分野の製品は市販されている建築分野の製品、例えばビチューメンまたはコールタールピッチをベースとするものまたは塗料、またはシーラントまたは防護化合物を本発明による式(I)の1種以上の化合物で処理するかまたは混合することにより製造することができる。建築材料、建築助剤および建築分野の製品は一般に式(I)のエナンチオマー濃縮活性成分をそれぞれ建築分野の製剤または製品に対して0.01〜20質量%、有利に0.01〜5質量%、特に0.1〜2質量%の量で含有する。
【0040】

例1
(テトラエチレングリコールとR−(+)−2−(4−クロロ−2−メチルフェノキシ)プロピオン酸のジエステル)
R−(+)−2−(4−クロロ−2−メチルフェノキシ)プロピオン酸60g(0.28モル)、テトラエチレングリコール24.7g(0.13モル)およびp−トルエンスルホン酸0.5gを、蒸留ブリッジを備えた丸底フラスコ中に一緒に入れ、内部温度180℃で6時間攪拌した。形成される反応水をこの工程の間に蒸留分離する。その後温度を160℃に低下し、反応水を更に80ミリバールの圧力下で6時間経過して蒸留分離した。残留物をシリカゲル(酢酸エチル/トルエン=1:1)により濾過した。溶剤を蒸発してテトラエチレングリコールとR−(+)−2−(4−クロロ−2−メチルフェノキシ)プロピオン酸のジエステル71g(理論値の68%)が淡い赤の油状物として得られた。
〔α〕20=+15.4°(c=1、エタノール)、エナンチオマー過剰率>95モル%。
【0041】
例2
(テトラエチレングリコールとrac−2−(4−クロロ−2−メチルフェノキシ)プロピオン酸/比較化合物のジエステル)
rac−2−(4−クロロ−2−メチルフェノキシ)プロピオン酸60g(0.28モル)、テトラエチレングリコール24.7g(0.13モル)およびp−トルエンスルホン酸0.5gを、蒸留ブリッジを備えた丸底フラスコ中に一緒に入れ、内部温度180℃で6時間攪拌した。形成される反応水をこの工程の間に蒸留分離した。その後温度を160℃に低下し、更に反応水を80ミリバールの圧力下で6時間経過して蒸留分離した。残留物をシリカゲル(酢酸エチル/トルエン=1:2)により濾過した。溶剤を蒸発してテトラエチレングリコールとrac−2−(4−クロロ−2−メチルフェノキシ)プロピオン酸/比較化合物のジエステル82gが油状物として得られた、〔α〕20=+0.1°(c=1、エタノール)。
【0042】
例3
R−(+)−2−(4−クロロ−2−メチルフェノキシ)プロピオン酸719gおよびトリエチレングリコール33.6%、テトラエチレングリコール65.5%およびペンタエチレングリコール1.2%からなるグリコール混合物385gを、蒸留ブリッジを備えた平らな平面の反応容器に導入し、気圧下、4時間以内で温度を200℃に高めた。一部の不純物と一緒に形成される反応水をこの工程の間に蒸留分離した。その後真空(2ミリバール)を適用して更に反応水を除去し、200℃で16時間攪拌を継続した。その後混合物を冷却し、反応生成物を底部の弁から排出した。これにより褐色油状物1010gが得られた。
【0043】
光学純度を測定するために、NaOH1.5gをエタノール10mlに溶解し、前記生成物10gで処理し、混合物を室温で2時間攪拌した。その後混合物を水100mlに注入し、CHClで2回洗浄し、希釈HClでpH=1〜2に酸性にした。引き続き油状物を10%NaOHに再び溶解し、トルエンで洗浄し、HCl(10%)で酸性にすることにより酸を再び沈殿した。真空で乾燥後、光学回転を測定した。〔α〕20=+15.3°(c=1、CHCl)。反応に使用したR−(+)−2−(4−クロロ−2−メチルフェノキシ)プロピオン酸は光学回転〔α〕20=+15.1°(c=1、CHCl)を示し。得られた生成物はエナンチオマー過剰率>95モル%を有した。
【0044】
例4
(S−(−)−2−(4−クロロ−2−メチルフェノキシ)プロピオン酸の比較化合物)
S−(−)−2−(4−クロロ−2−メチルフェノキシ)プロピオン酸39g(0.18モル)、テトラエチレングリコール16.48g(0.08モル)およびp−トルエンスルホン酸0.1gを、蒸留ブリッジを備えた丸底フラスコ中に一緒に入れ、内部温度180℃で6時間攪拌した。形成される反応水をこの工程の間に蒸留分離した。その後温度を160℃に低下し、反応水を更に80ミリバールの圧力下で6時間経過して蒸留分離した。残留物をシリカゲル(酢酸エチル/トルエン=1:1)により濾過した。溶剤を蒸発してテトラエチレングリコールとS−(−)−2−(4−クロロ−2−メチルフェノキシ)プロピオン酸のジエステル37.4g(=理論値の75%)がオレンジの油状物として得られた。
〔α〕20=−15.7°(c=1、エタノール)。
【0045】
例5
(例3の生成物の熱処理)
例3の生成物4gをo−ジクロロベンゼン40ml中で180℃で48時間攪拌した。大部分のo−ジクロロベンゼンを真空下で蒸留分離した。その後50%NaOH0.6gおよびエタノール4mlの混合物を冷却しながら添加し、混合物を室温で16時間攪拌した。引き続きこの混合物を水40mlに注入し、pH値を10より高くした。混合物を急いでCHClで3回洗浄し、HClで酸性にして、油状物が分離し、ゆっくり結晶化した。これを吸引濾過し、真空で乾燥し、もう一度n−ヘキサンと一緒に攪拌し、再び真空乾燥した。これにより褐色−ベージュ色の結晶1.52gが得られた。
〔α〕20=+15.3°(c=1、エタノール)。
【0046】
例6
(添加剤での例3の生成物の熱処理)
例3の生成物4g、砕いた石灰石2g、SBSゴム2gおよびo−ジクロロベンゼン40gを180℃で48時間攪拌した。
【0047】
まずメタノール50mlを添加し、溶解しない材料を濾過し、濾液を真空で蒸発した。その後50%NaOH0.6gおよびエタノール4mlの混合物を冷却しながら残留物に添加し、混合物を室温で16時間攪拌した。この混合物を引き続き水40mlに注入し、pH値を10より高くした。混合物を急いでCHClで3回洗浄し、水相をHClで酸性にして、油状物が分離し、ゆっくり結晶化した。これを吸引濾過し、真空で乾燥し、n−ヘキサンと一緒にもう一度攪拌し、再び真空乾燥した。これによりベージュ色の結晶1.55gが得られた。
〔α〕20=+15.6°(c=1、エタノール)。
【0048】
例7
例1および2の化合物および混合物をDIN4062により記載されるとおり根の浸透に関するその活性を試験した。
【0049】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I):
【化1】

で表され、式中、
RがHまたは式:
【化2】

で表される基を表し、
nが1〜20の整数を表し、
R*がキラル炭素原子のR配置を表す
R−(+)−2−(4−クロロ−2−メチルフェノキシ)プロピオン酸のエナンチオマー濃縮ポリエチレングリコールエステルまたはこれらの互いの任意の混合物。
【請求項2】
一般式(I)中でnが2〜10の整数である請求項1に記載のエナンチオマー濃縮化合物またはこれらの互いの混合物。
【請求項3】
請求項1記載の一般式(I)の少なくとも2個のエナンチオマー濃縮化合物0〜80質量%を含有し、一般式(I)の個々の成分を全部加えると100質量%になる混合物。
【請求項4】
請求項1記載の一般式(I)で表されるR−(+)−2−(4−クロロ−2−メチルフェノキシ)プロピオン酸のエナンチオマー濃縮ポリエチレングリコールエステルまたはこれらの互いの混合物の製造方法において、一般式(II):
【化3】

(式中、nは1〜20の数である)で表される少なくとも1種のポリエチレングリコールを、式:
【化4】

で表されるエナンチオマー濃縮R−(+)−2−(4−クロロ−2−メチルフェノキシ)プロピオン酸と一緒に、適当な場合は1種以上の触媒の存在で、形成される反応水を蒸留分離することを特徴とする、一般式(I)で表されるR−(+)−2−(4−クロロ−2−メチルフェノキシ)プロピオン酸のエナンチオマー濃縮ポリエチレングリコールエステルまたはこれらの互いの混合物の製造方法。
【請求項5】
工業材料の中へのおよび工業材料を通過する根の浸透から工業材料を保護するための請求項1から3までのいずれか1項に記載の一般式(I)で表されるR−(+)−2−(4−クロロ−2−メチルフェノキシ)プロピオン酸のエナンチオマー濃縮ポリエチレングリコールエステルの使用。
【請求項6】
工業材料が建築物、建築材料および建築助剤である請求項5記載の使用。
【請求項7】
請求項1から3までのいずれか1項に記載の一般式(I)で表されるエナンチオマー濃縮化合物および少なくとも1種の溶剤または希釈剤および適当な場合は更に加工助剤、充填剤および添加剤を含有する組成物。
【請求項8】
請求項1から3までのいずれか1項記載の一般式(I)で表されるエナンチオマー濃縮化合物を直接保護すべき工業材料に被覆するかまたは工業材料と混合するか、または工業材料を請求項7記載の組成物で処理することからなる、工業材料の中へのおよび工業材料を通過する根の浸透から工業材料を保護する方法。
【請求項9】
請求項1から3までのいずれか1項記載の一般式(I)で表されるエナンチオマー濃縮化合物を含有する工業材料。
【請求項10】
工業材料の中へのおよび工業材料を通過する根の浸透から工業材料を保護するための請求項7記載の組成物の使用。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I):
【化1】

で表され、式中、
RがHまたは式:
【化2】

で表される基を表し、
nが1〜20の整数を表し、
R*がキラル炭素原子のR配置を表す
R−(+)−2−(4−クロロ−2−メチルフェノキシ)プロピオン酸のエナンチオマー濃縮ポリエチレングリコールエステルまたはこれらの互いの任意の混合物。
【請求項2】
請求項1記載の一般式(I)の少なくとも2個のエナンチオマー濃縮化合物0〜80質量%を含有し、一般式(I)の個々の成分を全部加えると100質量%になる混合物。
【請求項3】
請求項1記載の一般式(I)で表されるR−(+)−2−(4−クロロ−2−メチルフェノキシ)プロピオン酸のエナンチオマー濃縮ポリエチレングリコールエステルまたはこれらの互いの混合物の製造方法において、一般式(II):
【化3】

(式中、nは1〜20の数である)で表される少なくとも1種のポリエチレングリコールを、式:
【化4】

で表されるエナンチオマー濃縮R−(+)−2−(4−クロロ−2−メチルフェノキシ)プロピオン酸と一緒に、適当な場合は1種以上の触媒の存在で、形成される反応水を蒸留分離することを特徴とする、一般式(I)で表されるR−(+)−2−(4−クロロ−2−メチルフェノキシ)プロピオン酸のエナンチオマー濃縮ポリエチレングリコールエステルまたはこれらの互いの混合物の製造方法。
【請求項4】
工業材料の中へのおよび工業材料を通過する根の浸透から工業材料を保護するための請求項1から3までのいずれか1項に記載の一般式(I)で表されるR−(+)−2−(4−クロロ−2−メチルフェノキシ)プロピオン酸のエナンチオマー濃縮ポリエチレングリコールエステルの使用。
【請求項5】
請求項1から3までのいずれか1項に記載の一般式(I)で表されるエナンチオマー濃縮化合物および少なくとも1種の溶剤または希釈剤および適当な場合は更に加工助剤、充填剤および添加剤を含有する組成物。
【請求項6】
請求項1から3までのいずれか1項記載の一般式(I)で表されるエナンチオマー濃縮化合物を直接保護すべき工業材料に被覆するかまたは工業材料と混合するか、または工業材料を請求項7記載の組成物で処理することからなる、工業材料の中へのおよび工業材料を通過する根の浸透から工業材料を保護する方法。
【請求項7】
請求項1から3までのいずれか1項記載の一般式(I)で表されるエナンチオマー濃縮化合物を含有する工業材料。
【請求項8】
工業材料の中へのおよび工業材料を通過する根の浸透から工業材料を保護するための請求項5記載の組成物の使用。

【公表番号】特表2006−525262(P2006−525262A)
【公表日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−505278(P2006−505278)
【出願日】平成16年4月27日(2004.4.27)
【国際出願番号】PCT/EP2004/004414
【国際公開番号】WO2004/098288
【国際公開日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【出願人】(504419760)ランクセス ドイチュラント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (58)
【氏名又は名称原語表記】Lanxess Deutschland GmbH
【住所又は居所原語表記】D−51369 Leverkusen、 Germany
【Fターム(参考)】