説明

RAFT剤の製造方法、RAFT剤を用いるポリマー粒子の水性分散液の製造方法およびその方法により得た水性分散液から得られる製品

【課題】ポリマー粒子の水性分散液の製造する方法、その水性分散液の用途、その製法に使用する両親媒性連鎖移動剤、及びそれらの製造方法の提供。
【解決手段】ポリマー粒子の水性分散液を製造する方法であって、工程(i)連続水性相と、1種又はそれ以上のエチレン系不飽和モノマーを含む分散有機相と、該有機相用の安定剤としての両親媒性RAFT剤とを有する分散液を作製し、そして工程(ii)該両親媒性RAFT剤の制御下で該1種又はそれ以上のエチレン系不飽和モノマーを重合してポリマー粒子の水性分散液を形成させる工程を含む方法、この方法に用いるための新規両親媒性RAFT剤、これらの両親媒性RAFT剤を作る際に有用な新規RAFT剤及びそれらの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマー粒子の水性分散液、特に、両親媒性連鎖移動剤を用いてポリマー粒子の水性分散液を製造する方法に関する。本発明はまた、新規両親媒性連鎖移動剤、それらの製造方法、並びにかかる両親媒性連鎖移動剤の製造に有用な連鎖移動剤に関する。
【背景技術】
【0002】
乳化重合は、ポリマー粒子の水性分散液を製造する最も効果的な手段の一つを与える。従って、この重合技法は、ペイント、接着剤、充填剤、プライマー及びシーラントのような製品に用いるのに適合した水性分散液を製造するために、工業界により広範に採用されてきた。
【0003】
慣用乳化重合系は、最初に、水、モノマー、界面活性剤及び開始剤を含む。乳化重合法は、一般に、界面活性剤の助けでもってモノマー(有機相)を水(水性相)中に分散して乳濁液をもたらすことにより始まる。開始剤(通常、連続水性相中に溶解される)は、重合を開始させるフリーラジカルの源を与える。分散有機相はモノマーを成長ポリマー鎖に付与し、しかして成長ポリマー鎖は今度は小さいポリマー粒子を形成する。形成中及び最終形態において、ポリマー粒子は、界面活性剤により、合体しないように安定化される。それ故、該重合法は、生成物として、ポリマー粒子の水性分散液をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
商業的使用のためのポリマー粒子の水性分散液を提供するのに非常に有用であるけれども、現在の乳化重合技術は、いくつかの固有の問題を呈する。たとえば、ペイントの場合のように、分散液又は分散液から作製された製品が表面に施用されそして乾燥して皮膜を形成する場合、該分散液中の遊離界面活性剤が該表面に移行しそしてポケット中に局在し、それにより該皮膜(特に、感水性域において)の表面性質に悪影響する傾向にあり得る。また、重合は、典型的には、古典的フリーラジカル重合法により達成され、しかして古典的フリーラジカル重合法は、生じるポリマーの分子量及び構造の両方を効果的に制御する能力が限られており、またブロックコポリマーを生成する能力を有さない。
【0005】
界面活性剤の移行を制限する一つの手法は、不飽和疎水性尾部を有する両親媒性化合物、すなわちいわゆる「サーフマー(surfmers)」を用いることであった。重合中、サーフマーはモノマーを安定化して、ポリマー粒子を慣用態様で成長させる。成長ポリマー粒子内に埋められるようになる不飽和疎水性尾部は、成長鎖と反応してサーフマーを粒子に効果的に固着させ得る。しかしながら、かかる技法の使用は、生じるポリマー粒子の構造を制御する能力をほとんど与えない。
【0006】
重合反応のラジカル化学現象を改変する選択肢は、全く限られていた。しかしながら、フリーラジカル化学における最近の発展が、乳化重合への可能な適応に利用され得る化学現象の範囲をある程度広げてきた。特に、ニトロキシド介在ラジカル重合(NMRP)、原子移動リビング重合(ATRP)、可逆的付加−フラグメント化連鎖移動(RAFT)により最良に例示される退化移動技法のような、いわゆる制御/リビングラジカル重合技法が研究されてきた(Macromolecules 2001,34,5885〜5896)。
【0007】
国際公開第98/01478号パンフレットに記載されているようなRAFT法は、十分に定められた分子構造及び低い多分散性を有するポリマーが製造されることを可能にするラジカル重合技法である。この技法は、スキーム1に従って成長ラジカル(Pn)と反応するよう提案されたところの一般式(1)
【化1】

の連鎖移動剤(CTA又はRAFT剤)を用いる。
【0008】
【化2】

【0009】
連鎖移動剤(1)の有効性は、複合配列の速度定数に依存すると信じられる。特に、スキーム1によるポリマーの形成は、剤(1)への成長ラジカルの付加についての並びに中間体ラジカル(2)及び(3)のフラグメント化についての高い速度定数(成長についての速度定数に対して)を要求する平衡に頼ると信じられる。
【0010】
RAFT重合に関連した速度定数は、基質、ラジカル及び形成される生成物に関しての安定性、立体効果及び極性効果の間の複合的相互作用により影響される。特定のモノマー及びモノマーの組合わせの重合は、種々の因子及び剤1についての構造的好ましさを持ち込む。特定の系についての因子の相互作用は、得られた結果に基づいておおむね合理的に説明されてきた。いかなる特定の系の重合にも影響するすべての因子の明確な確定は、まだ決定されていない。
【0011】
RAFT技術はフリーラジカル重合を用いてのブロックコポリマーの製造の手段を与え、また多くの重合法に関して優れた制御手段を与え得るけれども、乳化、ミニエマルジョン、懸濁重合法、等において該技術を用いる際に難点に遭遇してきた。乳化重合へのRAFT化学現象の成功的適応は、重合条件がRAFT制御下で重合過程が進行し得るようなものであることを要する。更に、多分散性及び分子量に関して制御を維持するために、RAFT剤は、重合の開始時に反応場所(核化粒子)に局在されかつすべての粒子の間に均質に分布されねばならない。これらの条件を達成するために、RAFT剤は、重合の持続時間よりはるかに速いかつ核形成期間よりはるかに速い時間枠にてモノマー液滴から核化ポリマー粒子に拡散するように十分に水溶性であるべきである。その代わりに、RAFT剤の移動を助けるために、水混和性共溶媒が用いられ得る。かかる要件は反応系を「微調整」することにより満たされ得るが、しかしこれは実際に達成するのが困難である。
【0012】
RAFT剤の拡散に関連した問題を軽減するために、ミニエマルジョン又はシード乳化技法のような、乳化重合を遂行する代替態様が最近示された。両方の場合において、RAFT剤は、反応を開始するに先だって重合場所に直接的にかつ均一に導入され得、それにより上記の要件を満たす。かかる技法は、古典的フリーラジカル重合と比べて、重合過程に関して優れた制御をもたらすことが示された。しかしながら、両技法は慣用界面活性剤を用い、そしてそれらにより製造された分散液は上記の界面活性剤移行問題を受ける。更に、両技法は共界面活性安定剤及び他の添加剤を必要とし、しかして不所望成分を重合用混合物中に持ち込み、そしてRAFT法の潜在的利益が示され得ない点まで最終生成物の性質を損なう。
【0013】
発明の要約
それ故、慣用界面活性剤を必要とすることなしに慣用乳化重合技法を用いて、RAFT重合の利点を示し得るポリマー粒子の水性分散液を生成させる方法を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0014】
従って、第1側面において、本発明は、ポリマー粒子の水性分散液を製造する方法であって、次の工程すなわち
(i)連続水性相と、1種又はそれ以上のエチレン系不飽和モノマーを含む分散有機相と、該有機相用の安定剤としての両親媒性RAFT剤とを有する分散液を作製し、そして
(ii)該両親媒性RAFT剤の制御下で該1種又はそれ以上のエチレン系不飽和モノマーを重合してポリマー粒子の水性分散液を形成させる
工程を含む方法を提供する。
【0015】
第2側面において、本発明は、一般式(4a)
【化3】

〔ここで、
各Xは独立して、重合性モノマーの残基であり、
nは、1から100であり、
1は、−CH(CH3)COOH、−CH(CO2H)CH2CO2H又は−CH(CH3)CONRabであり、ここでRa及びRbは同じ又は異なりそして独立してH、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ、C6〜C12アリール、C7〜C18アルキルアリール又はC6〜C12ヘテロアリールから選択され、しかもそれらの各々は−CO2H、−CO2R′、−SO3H、−OSO3H、−SOR′、−SO2R′、−OP(OH)2、−P(OH)2、−PO(OH)2、−OH、−OR′、−(OCH2−CHR)w−OH、−CONH2、CONHR′、CONR′R″、−NR′R″、−N+R′R″R″′から選択された1個又はそれ以上の親水性基で置換され、ここでRはC1〜C6アルキルから選択され、wは1から10であり、R′、R″及びR″′は独立してC1〜C6アルキル及びC6〜C12アリール(これらは−CO2H、−SO3H、−OSO3H、−OH、−(COCH2CHR)w−OH、−CONH2、−SOR及びSO2R並びにそれらの塩から選択された1個又はそれ以上の親水性置換基で置換されてもよい)から選択され、そして
Zは、置換又は非置換のアルキル、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のアリールアルキル、置換又は非置換のアルキルチオ、置換又は非置換のアリールチオ、置換又は非置換のアリールアルキルチオ及び置換又は非置換のアシルアミノから選択される〕
の両親媒性RAFT剤を提供する。
【0016】
第3側面において、本発明は、一般式(5a)
【化4】

〔ここで、
1は、−CH(CH3)COOH、−CH(CO2H)CH2CO2H又は−CH(CH3)CONRabであり、ここでRa及びRbは同じ又は異なりそして独立してH、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ、C6〜C12アリール、C7〜C18アルキルアリール又はC6〜C12ヘテロアリールから選択され、しかもそれらの各々は−CO2H、−CO2R′、−SO3H、−OSO3H、−SOR′、−SO2R′、−OP(OH)2、−P(OH)2、−PO(OH)2、−OH、−OR′、−(OCH2−CHR)w−OH、−CONH2、CONHR′、CONR′R″、−NR′R″、−N+R′R″R″′から選択された1個又はそれ以上の親水性基で置換され、ここでRはC1〜C6アルキルから選択され、wは1から10であり、R′、R″及びR″′は独立してC1〜C6アルキル及びC6〜C12アリール(これらは−CO2H、−SO3H、−OSO3H、−OH、−(COCH2CHR)w−OH、−CONH2、−SOR及びSO2R並びにそれらの塩から選択された1個又はそれ以上の親水性置換基で置換されてもよい)から選択され、そして
Zは、置換又は非置換のアルキル、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のアリールアルキル、置換又は非置換のアルキルチオ、置換又は非置換のアリールチオ、置換又は非置換のアリールアルキルチオ及び置換又は非置換のアシルアミノから選択される〕
のRAFT剤を提供する。
【0017】
本発明の第2及び第3側面は公知のRAFT剤を包含するようには意図されていないけれども、本発明の第1側面は、いかなる適当な両親媒性RAFT剤(先行技術に記載されていたかもしれないものさえ)の使用にも関する、ということが理解されるべきである。
第4側面において、本発明は、α,β−不飽和カルボニル又はチオカルボニル化合物へのジチオカルボニル化合物の共役付加によりRAFT剤を製造する方法を提供する。
【0018】
好ましい具体的態様の説明
本明細書において用いられる場合、別段記載されていなければ、用語「水性分散液」は、分散有機相及び連続水性相を有する多相系を指す。有機相はモノマー相、ポリマー相又はそれらの混合物であり得、また顔料、安定剤及び可塑剤のような、当該技術に知られた他の液体、固体又は半固体成分を含み得る。有機相はまた、油中水型エマルジョンのような多相系であり得る。有機相が液体である場合、分散液は乳濁液とも称され得る。有機相が固体又は半固体である場合は、分散液はコロイド懸濁液と称され得る。表面被覆分野において、かかるコロイド懸濁液はしばしば乳濁液と称されそしてそれらを製造する方法は乳濁重合と呼ばれるけれども、ポリマー粒子の最終水性分散液についてのより正確な用語は「ラテックス」である。
【0019】
本明細書において用いられる場合、別段記載されていなければ、用語「両親媒性RAFT剤」は、RAFT剤が界面活性剤様性質を示すように親水性領域及び疎水性領域の両方を備えた構造を有するRAFT剤を指す。
【0020】
本明細書において用いられる場合、別段記載されていなければ、用語「安定剤」は、分散液を合体しないように安定化することの可能な両親媒性化合物を指す。安定剤が連続水性相中の分散液体有機相を安定化するよう作用している場合、該安定剤は乳化剤とも称され得る。
【0021】
従って、安定剤として作用する両親媒性RAFT剤への言及は、分散液を合体しないように安定化する又はミセルを形成する両親媒性RAFT剤への言及である。両親媒性RAFT剤が水性媒質中の分散有機相の安定化を達成する方法は、主として、利用される重合方法に依存する。たとえば、慣用乳化重合法において、本発明によれば、水性媒質中での両親媒性RAFT剤と添加モノマーとの重合が、水性媒質中の安定化有機相の分散液を生成すると信じられる。安定化有機相はモノマー及び両親媒性RAFT剤を含み、しかして両親媒性RAFT剤は、重合に因り、非不安定にされる(すなわち、他の分散有機相と自由に交換しない又は周囲の水性相中に溶解しない)。懸濁重合又はミニエマルジョン技法において、両親媒性RAFT剤による安定化は、少なくとも最初に、慣用の界面活性剤又は安定剤とほぼ同じ具合に起こると信じられる。
【0022】
本発明の方法は、有利には、慣用界面活性剤を必要とすることなしにポリマー粒子の水性分散液を形成する能力を与える。加えて、該方法は、RAFT制御重合下でポリマー粒子を形成する手段を与える。
【0023】
本発明は、広く多種多様なポリマー粒子の水性分散液を製造する方法を想定する。特に、該方法は、ペイント、シーラント、プライマー及び接着剤用途に用いるための分散液を製造するのに格別適合する。
【0024】
本発明の方法は、慣用乳化、ミニエマルジョン及び懸濁重合法において用いられ得る。すべてのかかる方法において、両親媒性RAFT剤は、水性相中の貯留モノマー液滴(究極的に、ポリマー粒子に発達することにならない)と連合しない又は該液滴を安定化しないことが好ましい。もしこれが起こると、生じるポリマー粒子の分子量及び多分散性に関しての制御は悪影響されると信じられる。かかる貯留モノマー液滴の連合又は安定化を最小にする又は避けるために、本発明の方法の工程(i)における分散液が作製されるやり方は、用いられる重合方法に依存して変動し得る。たとえば、慣用乳化重合において、工程(i)の分散液は、水中の両親媒性RAFT剤の溶液を形成させそして該両親媒性RAFT剤の制御下で添加エチレン系不飽和モノマーを重合することにより作製されることが好ましい。
【0025】
乳化重合に適用される場合、水溶性RAFT剤がモノマーとの十分な重合を受けて水不溶性になるまで水中のモノマー液滴の形成を避けるように、モノマーの添加が制限されることも好ましい。この手法は両親媒性RAFT剤を非不安定にして、安定化有機相(便宜上、以後非不安定ミセルと称される)を生成すると信じられる。これは、両親媒性RAFT剤が個々に水性相中に移行するのを効果的に防ぐと信じられ、そしてそれ故該剤が水相中の貯留モノマー液滴と連合する又は該液滴を安定する可能性を減じる。従って、この段階において、水性相中の「安定化」モノマー液滴を形成することなしに非不安定ミセルを膨潤するために、更なるモノマーがより大きい速度にて添加され得る。生じた膨潤ミセル、又はモノマーを含む分散有機相は、好都合には、合体しないように両親媒性RAFT剤により安定化され、そして所望されるポリマー粒子の水性分散液を形成すべきモノマーの更なる重合を容易にし得る。
【0026】
追加の両親媒性RAFT剤が新たな粒子又は成長粒子の慣用乳化重合中に添加される場合、両親媒性RAFT剤が水溶性であること並びに水性相中の貯留モノマー液滴の形成を避けるように両親媒性RAFT剤の添加中のモノマーの添加速度が制限されることも好ましい。
【0027】
本発明の方法は、慣用乳化重合に適用される場合、好ましくは、回分法としてよりむしろ連続又は半連続添加法として行われる。これに関して、回分法は、両親媒性RAFT剤が究極的にポリマー粒子に発達しないモノマー液滴と連合し得る又は該液滴を安定化し得る状況をもたらすことになりそうである。回分法が用いられることになっている場合は、ミニエマルジョン技法が用いられることが好ましい。
【0028】
ミニエマルジョン及び懸濁重合の場合において、本発明の方法の工程(i)の分散液は、水不溶性両親媒性RAFT剤及びエチレン系不飽和モノマーを含む組成物を形成させそしてこの組成物を水と一緒にすることにより作製されることが好ましい。好ましくは、この場合における両親媒性RAFT剤は、モノマー中に溶解される。工程(i)の分散液が作製され得る代替の好ましいやり方は、水不溶性両親媒性RAFT剤及び水を含む組成物を形成させそしてこの組成物をエチレン系不飽和モノマーと一緒にすることを含む。水不溶性両親媒性RAFT剤を用いることにより、該剤は本質的にモノマーと不可逆的に連合されるようになりそして個々に水相中に移行するのが効果的に防がれると信じられる。上記に論考されたように、この効果は、該剤が水相中の貯留モノマー液滴と連合する又は該液滴を安定化する可能性を減じる。「組成物」により、一緒にされた時に溶液、分散液又は混合物を形成する成分の集合体が意味される。
【0029】
「この組成物を一緒にする」に言及される場合、該組成物が分散液を形成するように一緒にされることが意味される。これに関して、一緒にされた組成物に剪断を適用することのような、分散液の形成を促進する手段は、当該技術において周知である。水不溶性両親媒性RAFT剤及び水を含む組成物を形成させる場合において、この組成物がエチレン系不飽和モノマーと一緒にされる前に、分散液を形成させる手段にこの組成物を付すことが必要であり得る。
【0030】
一般に、水不溶性両親媒性RAFT剤は、水に添加された時に清澄溶液を形成しない。
【0031】
ミニエマルジョン及び懸濁重合の場合において、存在するモノマーの実質的にすべてを安定化するのに十分な両親媒性RAFTが用いられることも好ましい。この手法により、すべてのモノマー液滴が粒子になるはずであり、そして貯留モノマー液滴は実質的に避けられる。従って、慣用乳化法とは対照的に、これらの方法は回分法として行われることが好ましい。しかしながら、重合が回分法として行われる場合、反応中のいかなる時点においても水溶性両親媒性RAFT剤が実質的に存在しないことが好ましい。しかしながら、最初に回分法として行われるミニエマルジョンは、引き続いて、更なるモノマー及び両親媒性RAFT剤の添加による連続添加法として進行するように適応され得る。これらの状況下では、水溶性RAFT剤を添加すること、しかも存在するモノマーの実質的にすべてが水相中に溶解されるか又は形成されたポリマー中で溶媒和されるかのどちらかになるような時点にて該添加が行われることが好ましい。この状態が達成されると、更なるモノマー及び水溶性RAFT剤が反応系に添加され得る。しかしながら、この場合において、水溶性RAFT剤を依然として存在させながら遊離モノマー液滴の形成を避けるような速度にて、モノマーが添加されることが好ましい。
【0032】
本発明の方法がミニエマルジョン及び懸濁重合において適用される場合、予備形成ポリマー及び/又は固体粒子をポリマー粒子の分散相内に組み込むことも可能である。更に、好ましさが劣るけれども、水溶性両親媒性RAFT剤の存在下でミニエマルジョン重合を行うことも可能である。
【0033】
本発明において用いるのに適した両親媒性RAFT剤は、一般式(4)
【化5】

(ここで、各Xは独立してエチレン系不飽和モノマーの重合残基であり、nは0から100好ましくは0から60最も好ましくは0から30の範囲の整数であり、R1は1個又はそれ以上の親水性基で置換されてもよい有機基であり、そしてZはラジカル付加の方にチオカルボニル基の十分な反応性を促進し得る一方、重合の容認され得ない遅延になる程度まではフラグメント化速度を遅くしないいかなる基でもある)を有するものを包含する。好ましいR1基は、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシアリール又はヘテロアリール、しかもそれらの各々は−CO2H、−CO2R′、−SO3H、−OSO3H、−SOR′、−SO2R′、−OP(OH)2、−P(OH)2、−PO(OH)2、−OH、−OR′、−(OCH2−CHR)w−OH、−CONH2、CONHR′、CONR′R″、−NR′R″、−N+R′R″R″′から選択された1個又はそれ以上の親水性基で置換され、ここでRはC1〜C6アルキルから選択され、wは1から10であり、R′、R″及びR″′は独立してアルキル及びアリール(これらは−CO2H、−SO3H、−OSO3H、−OH、−(COCH2CHR)w−OH、−CONH2、−SOR及びSO2R並びにそれらの塩から選択された1個又はそれ以上の親水性置換基で置換されてもよい)から選択される。特に好ましいR1基は、−CH(CH3)CO2H、−CH(CO2H)CH2CO2H、−C(CH32CO2Hを包含するが、しかしそれらに制限されない。好ましいZ基は、置換又は非置換アルコキシ、置換又は非置換アリールオキシ、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換ヘテロシクリル、置換又は非置換アリールアルキル、置換又は非置換アルキルチオ、置換又は非置換アリールアルキルチオ、ジアルコキシ−又はジアリールオキシ−ホスフィニル[−P(=O)OR22]、ジアルキル−又はジアリール−ホスフィニル[−P(=O)R22]、置換又は非置換アシルアミノ、置換又は非置換アシルイミノ、置換又は非置換アミノ、R1−(X)n−S−及びいかなるメカニズムによっても形成されたポリマー鎖を包含し、ここでR1、X及びnは上記に定義されたとおりであり、そしてR2は置換又は非置換C1〜C18アルキル、置換又は非置換C2〜C18アルケニル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換ヘテロシクリル、置換又は非置換アラルキル、置換又は非置換アルカリールから成る群から選択される。特に好ましいZ基は、−CH2(C65)、C1〜C20アルキル、
【化6】

(ここで、eは2から4である)及び−SR3(ここで、R3はC1からC20アルキルから選択される)を包含するが、しかしそれらに制限されない。
【0034】
2及びZ基についての好ましい随意置換基は、エポキシ、ヒドロキシ、アルコキシ、アシル、アシルオキシ、カルボキシ(及び塩)、スルホン酸(及び塩)、アルコキシ−又はアリールオキシ−カルボニル、イソシアナト、シアノ、シリル、ハロ、及びジアルキルアミノを包含する。
【0035】
式(4)の両親媒性RAFT剤についてR1及びZの両方を選択する際に、特に好ましいR1及びZ基のいずれかの組合わせから生じる該剤もまた特に好ましい。親水性基が−N+R′R″R″′である場合、連合対アニオンが存在する。
【0036】
他の適当な両親媒性RAFT剤は、R1が1個又はそれ以上の疎水性基で随意に置換された有機基であるところの上記の式(4)を有するものを包含する。この場合において、Zは、好ましくは、1個又はそれ以上の親水性基で置換されてもよい有機基である。
【0037】
本明細書において用いられる場合の用語「アリール」及び「ヘテロアリール」は、それぞれ1個又はそれ以上の芳香族又はヘテロ芳香族環を含むか又はから成りかつ環原子によって結合されるいかなる置換基をも指す。環は単又は多環式環系であり得るけれども、単又は二環式5又は6員環が好ましい。適当な環の例は、ベンゼン、ビフェニル、テルフェニル、クァテルフェニル、ナフタレン、テトラヒドロナフタレン、1−ベンジルナフタレン、アントラセン、ジヒドロアントラセン、ベンゾアントラセン、ジベンゾアントラセン、フェナントラセン、ペリレン、ピリジン、4−フェニルピリジン、3−フェニルピリジン、チオフェン、ベンゾチオフェン、ナフトチオフェン、チアントレン、フラン、ベンゾフラン、ピレン、イソベンゾフラン、クロメン、キサンテン、フェノキサチイン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドール、インドリジン、イソインドール、プリン、キノリン、イソキノリン、フタラジン、キノキサリン、キナゾリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナントリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、イソチアゾール、イソオキサゾール、フェノキサジン、等(それらの各々は置換されていてもよい)を包含するが、しかしそれらに制限されない。
【0038】
本明細書において、「随意に置換された」は、基がアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ハロ、ハロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニル、ハロアリール、ヒドロキシ、アルコキシ、アルケニルオキシ、アリールオキシ、ベンジルオキシ、ハロアルコキシ、ハロアルケニルオキシ、アセチレノ、カルボキシミジル、ハロアリールオキシ、イソシアノ、シアノ、ホルミル、カルボキシル、ニトロ、ニトロアルキル、ニトロアルケニル、ニトロアルキニル、ニトロアリール、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルケニルアミノ、アルキニルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、ベンジルアミノ、イミノ、アルキルイミン、アルケニルイミン、アルキニルイミノ、アリールイミノ、ベンジルイミノ、ジベンジルアミノ、アシル、アルケニルアシル、アルキニルアシル、アリールアシル、アシルアミノ、ジアシルアミノ、アシルオキシ、アルキルスルホニルオキシ、アリールスルフェニルオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロキシ、ヘテロシクラミノ、ハロヘテロシクリル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アルキルスルフィニル、アリールスルフィニル、カルボアルコキシ、アルキルチオ、ベンジルチオ、アシルチオ、スルホンアミド、スルファニル、スルホ及びリンを含有する基、アルコキシシリル、シリル、アルキルシリル、アルキルアルコキシシリル、フェノキシシリル、アルキルフェノキシシリル、アルコキシフェノキシシリル、アリールフェノキシシリル、アロファニル、グアニジノ、ヒダントイル、ウレイド及びウレイレンから選択された(しかしそれらに制限されない)1個又はそれ以上の基で更に置換されていてもいなくてもよいことを意味する。
【0039】
本明細書において用いられる場合の用語「ハロゲン」及び「ハロ」は、別段特記されていなければ、I、Br、Cl及びFを指す。
【0040】
上記の定義において、単独にて又は「アルケニルオキシアルキル」、「アルキルチオ」、「アルキルアミノ」及び「ジアルキルアミノ」のような複合語にてのどちらかにて用いられる用語「アルキル」は、直鎖状、分枝状又は環状アルキル、好ましくはC1-20アルキル又はシクロアルキルを指す。直鎖状及び分枝状アルキルの例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、アミル、イソアミル、sec−アミル、1,2−ジメチルプロピル、1,1−ジメチルプロピル、ヘキシル、4−メチルペンチル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、1,1−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、1,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、1,2,2−トリメチルプロピル、1,1,2−トリメチルプロピル、ヘプチル、5−メトキシヘキシル、1−メチルヘキシル、2,2−ジメチルペンチル、3,3−ジメチルペンチル、4,4−ジメチルペンチル、1,2−ジメチルペンチル、1,3−ジメチルペンチル、1,4−ジメチルペンチル、1,2,3−トリメチルブチル、1,1,2−トリメチルブチル、1,1,3−トリメチルブチル、オクチル、6−メチルヘプチル、1−メチルヘプチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル、ノニル、1−、2−、3−、4−、5−、6−又は7−メチルオクチル、1−、2−、3−、4−又は5−エチルヘプチル、1−、2−又は3−プロピルヘキシル、デシル、1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−及び8−メチルノニル、1−、2−、3−、4−、5−又は6−エチルオクチル、1−、2−、3−又は4−プロピルヘプチル、ウンデシル、1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−又は9−メチルデシル、1−、2−、3−、4−、5−、6−又は7−エチルノニル、1−、2−、3−、4−又は5−プロピルオクチル、1−、2−又は3−ブチルヘプチル、1−ペンチルヘキシル、ドデシル、1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−、9−又は10−メチルウンデシル、1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−又は8−エチルデシル、1−、2−、3−、4−、5−又は6−プロピルノニル、1−、2−、3−又は4−ブチルオクチル、1−2−ペンチルヘプチル、等を包含する。環状アルキルの例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、等のような単又は多環式アルキル基を包含する。
【0041】
用語「塩」は、イオン化形態の化学種を指し、そして酸付加塩及び塩基付加塩の両方を包含する。本発明に関して、適当な塩は、RAFT化学現象を妨害しないものである。
【0042】
用語「対アニオン」は、対応するカチオンの電荷と釣り合うべき負電荷を与えることの可能な化学種を指す。対アニオンの例は、Cl-、I-、Br-、F-、NO3-、CN-及びPO3-を包含する。
【0043】
用語「アルコキシ」は、直鎖状又は分枝状アルコキシ、好ましくはC1-20アルコキシを指す。アルコキシの例は、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ及び種々のブトキシ異性体を包含する。
【0044】
用語「アルケニル」は、一、二又は多エチレン系不飽和の先に定義されたとおりのアルキル又はシクロアルキル基を含めて、直鎖状、分枝状又は環状アルケンから形成された基、好ましくはC2-20アルケニルを指す。アルケニルの例は、ビニル、アリル、1−メチルビニル、ブテニル、イソブテニル、3−メチル−2−ブテニル、1−ペンテニル、シクロペンテニル、1−メチル−シクロペンテニル、1−ヘキセニル、3−ヘキセニル、シクロヘキセニル、1−ヘプテニル、3−ヘプテニル、1−オクテニル、シクロオクテニル、1−ノネニル、2−ノネニル、3−ノネニル、1−デセニル、3−デセニル、1,3−ブタジエニル、1,4−ペンタジエニル、1,3−シクロペンタジエニル、1,3−ヘキサジエニル、1,4−ヘキサジエニル、1,3−シクロヘキサジエニル、1,4−シクロヘキサジエニル、1,3−シクロヘプタジエニル、1,3,5−シクロヘプタトリエニル及び1,3,5,7−シクロオクタテトラエニルを包含する。
【0045】
用語「アルキニル」は、先に定義されたとおりのアルキル及びシクロアルキル基と構造上同様なものを含めて、直鎖状、分枝状又は環状アルキンから形成された基、好ましくはC2-20アルキニルを指す。アルキニルの例は、エチニル、2−プロピニル及び2−又は3−ブチニルを包含する。
【0046】
単独にて又は「アシルオキシ」、「アシルチオ」、「アシルアミノ」又は「ジアシルアミノ」のような複合語にてのどちらかにての用語「アシル」は、カルバモイル基、脂肪族アシル基、及び芳香族環を含有するアシル基(芳香族アシルと称される)又は複素環式環を含有するアシル基(複素環式アシルと称される)、好ましくはC1-20アシルを指す。アシルの例は、カルバモイル;ホルミル、アセチル、プロパノイル、ブタノイル、2−メチルプロパノイル、ペンタノイル、2,2−ジメチルプロパノイル、ヘキサノイル、ヘプタノイル、オクタノイル、ノナノイル、デカノイル、ウンデカノイル、ドデカノイル、トリデカノイル、テトラデカノイル、ペンタデカノイル、ヘキサデカノイル、ヘプタデカノイル、オクタデカノイル、ノナデカノイル及びイコサノイルのような直鎖状又は分枝状アルカノイル;メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、t−ペンチルオキシカルボニル及びヘプチルオキシカルボニルのようなアルコキシカルボニル;シクロプロピルカルボニル、シクロブチルカルボニル、シクロペンチルカルボニル及びシクロヘキシルカルボニルのようなシクロアルキルカルボニル;メチルスルホニル及びエチルスルホニルのようなアルキルスルホニル;メトキシスルホニル及びエトキシスルホニルのようなアルコキシスルホニル;ベンゾイル、トルオイル及びナフトイルのようなアロイル;フェニルアルカノイル(たとえば、フェニルアセチル、フェニルプロパノイル、フェニルブタノイル、フェニルイソブチリル、フェニルペンタノイル及びフェニルヘキサノイル)及びナフチルアルカノイル(たとえば、ナフチルアセチル、ナフチルプロパノイル及びナフチルブタノイル)のようなアラルカノイル;フェニルアルケノイル(たとえば、フェニルプロペノイル、フェニルブテノイル、フェニルメタクリロイル、フェニルペンテノイル及びフェニルヘキセノイル)及びナフチルアルケノイル(たとえば、ナフチルプロペノイル、ナフチルブテノイル及びナフチルペンテノイル)のようなアラルケノイル;フェニルアルコキシカルボニル(たとえば、ベンジルオキシカルボニル)のようなアラルコキシカルボニル;フェノキシカルボニル及びナフチルオキシカルボニルのようなアリールオキシカルボニル;フェノキシアセチル及びフェノキシプロピオニルのようなアリールオキシアルカノイル;フェニルカルバモイルのようなアリールカルバモイル;フェニルチオカルバモイルのようなアリールチオカルバモイル;フェニルグリオキシロイル及びナフチルグリオキシロイルのようなアリールグリオキシロイル;フェニルスルホニル及びナフチルスルホニルのようなアリールスルホニル;複素環式カルボニル;チエニルアセチル、チエニルプロパノイル、チエニルブタノイル、チエニルペンタノイル、チエニルヘキサノイル、チアゾリルアセチル、チアジアゾリルアセチル及びテトラゾリルアセチルのような複素環式アルカノイル;複素環式プロペノイル、複素環式ブテノイル、複素環式ペンテノイル及び複素環式ヘキセノイルのような複素環式アルケノイル;並びにチアゾリルグリオキシロイル及びチエニルグリオキシロイルのような複素環式グリオキシロイルを包含する。
【0047】
本明細書において単独にて又は「複素環式アルケノイル」、「ヘテロシクロキシ」(「ヘテロシクルオキシ」)若しくは「ハロヘテロシクリル」のような用語の一部として用いられる場合の用語「複素環式」、「ヘテロシクリル」及び「ヘテロシクル」は、N、S及びOから選択された1個又はそれ以上のヘテロ原子を含有しかつ随意に置換されていてもよい芳香族、擬似芳香族及び非芳香族環又は環系を指す。好ましくは、環又は環系は、3から20個の炭素原子を有する。環又は環系は、「ヘテロアリール」の定義に関連して上記に記載されたものから選択され得る。
【0048】
非常に好ましい両親媒性RAFT剤は次の化合物を包含するが、しかしそれらに制限されない。すなわち、
【化7】

ここで、R3、X及びnは、先に定義されたとおりである。
【0049】
本発明の方法に従って用いるための両親媒性RAFTを選択するとき、それが重合の条件下で加水分解安定性を示すことが好ましい。これに関して、トリチオカルボニル両親媒性RAFT剤が特に好ましい。
【0050】
式(4)を有する両親媒性RAFT剤の重要な特徴は、それらの両親媒性という本質である。両親媒性は、親水性領域及び疎水性領域の種々の組合わせによって与えられ得る。好ましくは、両親媒性RAFT剤は、それらの両親媒性を下記のいずれかから得る。すなわち、
【0051】
1)疎水性端部と親水性端部の組合わせ;Z基が疎水性を一方の端部に付与し、そしてR1及び−(X)n−が親水性を他方の端部に付与する。この場合において、−(X)n−は親水性モノマーに由来し得又はR1に向かって漸進的に親水性になるテーパー状コポリマーであり得る;あるいは
【0052】
2)疎水性端部と親水性端部の組合わせ;Z基が親水性を一方の端部に付与し、そしてR1及び−(X)n−が疎水性を他方の端部に付与する。この場合において、−(X)n−は疎水性モノマーに由来し得又はR1に向かって漸進的に疎水性になるテーパー状コポリマーであり得る;あるいは
【0053】
3)疎水性端部と親水性端部の組合わせ;Z基及び−(X)n−が疎水性を一方の端部に付与し、そしてR1が親水性を他方の端部に付与する;あるいは
【0054】
4)疎水性端部と親水性端部の組合わせ;Z基が疎水性を一方の端部に付与し、−(X)n−が親水性を他方の端部に付与し、そしてR1は、−(X)n−及びR1の正味効果がその端部に親水性をもたらすことになるような疎水性である;あるいは
【0055】
5)親水性両端部と疎水性中央セクションの組合わせ;Z=−S−(X)n−R1であり、各R1は同じでも異なっていてもよくそして親水性を各端部に付与し、そして−(X)n−が疎水性を中央セクションに付与する;あるいは
【0056】
6)−(X)n−内での疎水性と親水性の組合わせ;R1に最も近いところの−(X)n−基の部分が親水性を付与し、そしてチオカルボニルチオ基に最も近いところの−(X)n−基の部分が疎水性を付与する。この場合において、式(4)の−(X)n−は更に、次の一般式(13)を有するブロックコポリマーを与えるべき−(A)m−(B)o−として表され得る。すなわち、
【化8】

ここで、式(13)は、(X)nが−(A)m−(B)o−である式(4)の部分集合であり、しかして各々のA及びBは独立して、−(A)m−が疎水性を付与しそして−(B)o−が親水性を付与するようなエチレン系不飽和モノマーの重合残基であり、そしてm及びoは1から99好ましくは1から50一層好ましくは1から30最も好ましくは1から15の範囲の整数であり、そしてZは上記に記載されたとおりである。Zはまた、その極性が−(A)m−の極性と一緒になってRAFT剤のその端部に対して総合疎水性を高めるように選ばれ得る。−(B)o−により付与される親水性に加えて、R1もまた親水性であり、そしてRAFT剤のその端部に対して総合親水性を高め得、あるいはR1は、−(B)o−及びR1の正味効果がRAFT剤のその端部に対して総合親水性をもたらすことになる限り疎水性であり得る;あるいは
【0057】
7)親水性両端部と疎水性中央セクションの組合わせ;一般式(13)のZは−S−(A)m−(B)o−R1であり、しかして−(A)m−及び−(B)o−は上記に定義されたとおりである。各R1は同じでも異なっていてもよく、そして−(B)o−R1の組合わせが総合親水性を一方の端部に付与し、そして−(B)o−R2の組合わせが総合親水性を他方の端部に付与する。このタイプの両親媒性RAFT剤の疎水性部分は、−(A)m−に由来する。
【0058】
好ましくは、本発明の方法に従って用いられる両親媒性RAFT剤は、用いられるべき乳化重合の特定の態様に適合するようそれらの両親媒性が適応されるように選ばれる。これに関して、一般式(13)において定義された整数m及びoは、次のように選択され得る。すなわち、
【0059】
i)慣用乳化重合について、mは好ましくは1から20一層好ましくは1から15最も好ましくは1から10の範囲にあり(より大きい疎水性モノマーについてはかかる好ましい範囲内のより低い値にあり、そしてより小さい疎水性モノマーについてはかかる好ましい範囲内のより高い値にある);(B)がイオン性モノマーに由来する場合、oは好ましくは1から30一層好ましくは1から10最も好ましくは1から5の範囲にあり、そして(B)が非イオン性モノマーに由来する場合、oは好ましくは1から80一層好ましくは1から40最も好ましくは1から30の範囲にある。
【0060】
ii)ミニエマルジョン及び懸濁重合について、mは1又はそれ以上であり、好ましくはmは5又はそれ以上であり、一層好ましくはmは10又はそれ以上であり;oは慣用乳化重合について上記に定められたとおりである。
【0061】
本発明の両親媒性RAFT剤について定められた制限は、それらが有機相の水性分散液についての適切な安定剤になるのに必要な制限である、ということが認識される。一般に、様々なタイプのモノマーの更なる重合は、活性RAFT剤当たり重合されたポリマーの量により制限されるnの値をもたらす。nのかかる値は、100より実質的に大きくあり得る。
【0062】
従って、安定剤として、両親媒性RAFT剤は、親水性端部が水性相中に配向しそして疎水性端部が有機相中に配向する界面相互作用によって、分散有機相を合体しないように安定化する。
【0063】
分散有機相はまた、慣用界面活性剤又はいずれかの他の界面活性剤のような他の安定剤により安定化され得る。当業者は、この目的のために適した界面活性剤の範囲を正しく認識するであろう。好ましくは、分散有機相は、両親媒性RAFT剤のみにより安定化される。
【0064】
重合中、分散有機相は、典型的には、ポリマー及び1種又はそれ以上のエチレン系不飽和モノマーから成る。しかしながら、有機溶媒又はシード粒子のような他の成分もまた、有機相中に存在し得る。重合の特質に依り、開始剤又はその成分もまた有機相中に存在し得る。
【0065】
慣用乳化重合におけるシード粒子の使用は、十分に確立された技法である。典型的には、かかる粒子はポリマー粒子の形態にあり、そしてそれらは用いられるモノマー中で膨潤する能力を有するように選択される。当業者は、所与の反応系について適当なシード粒子を選択する際の考慮基準を容易に正しく認識するであろう。
【0066】
連続水性相中における有機相の分散は、通常、この混合物をたとえば何らかの剪断手段によって掻き混ぜることにより達成される。慣用乳化、ミニエマルジョン及び懸濁重合技法における分散液の形成方法及び剪断の役割は、当業者により容易に正しく認識される。
本発明の方法によれば、エチレン系不飽和モノマーは両親媒性RAFT剤の制御下で重合されて、ポリマー粒子の水性分散液を形成する。
【0067】
重合は、通常、フリーラジカルの源からの開始を必要とする。開始ラジカルの源は、適当な化合物(過酸化物、ペルオキシエステル又はアゾ化合物のような熱開始剤)の熱誘発ホモリチック開裂、モノマー(たとえば、スチレン)からの自然発生、レドックス開始系、光化学開始系、又は電子ビーム、X線若しくはガンマ線のような高エネルギー放射線のような、フリーラジカルを発生させるいかなる適当な方法によっても与えられ得る。開始系は、反応条件下で、開始剤又は開始ラジカルと反応の条件下の両親媒性RAFT剤との不都合な相互作用が実質的にないように選ばれる。開始剤は、理想的には、反応媒質中における所要溶解性も有すべきである。
【0068】
熱開始剤は、重合温度において適切な半減期を有するように選ばれる。これらの開始剤は、次の化合物の一つ又はそれ以上を含み得る。すなわち、
2,2′−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2′−アゾビス(2−シアノブタン)、ジメチル2,2′−アゾビス(イソブチレート)、4,4′−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、1,1′−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2−(t−ブチルアゾ)−2−シアノプロパン、2,2′−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2′−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2′−アゾビス(N,N′−ジメチレンイソブチルアミジン)二塩酸塩、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2′−アゾビス(N,N′−ジメチレンイソブチルアミジン)、2,2′−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2′−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−エチル]プロピオンアミド}、2,2′−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2′−アゾビス(イソブチルアミド)二水和物、2,2′−アゾビス(2,2,4−トリメチルペンタン)、2,2′−アゾビス(2−メチルプロパン)、t−ブチルペルオキシアセテート、t−ブチルペルオキシベンゾエート、t−ブチルペルオキシネオデカノエート、t−ブチルペルオキシイソブチレート、t−アミルペルオキシピバレート、t−ブチルペルオキシピバレート、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、ジシクロヘキシルペルオキシジカーボネート、ジクミルペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、ジラウロイルペルオキシド、ペルオキシ二硫酸カリウム、ペルオキシ二硫酸アンモニウム、次亜硝酸ジ−t−ブチル、次亜硝酸ジクミル。このリストは、網羅されていない。
【0069】
光化学開始剤系は、反応媒質中における所要溶解性を有しかつ重合の条件下でラジカル生成について適切な量子収率を有するように選ばれる。それらの例は、ベンゾイン誘導体、ベンゾフェノン、アシルホスフィンオキシド及び光レドックス系を包含する。
【0070】
レドックス開始剤系は、反応媒質中における所要溶解性を有しかつ重合の条件下でラジカル生成の適切な速度を有するように選ばれる。この開始系は、次の酸化体及び還元体の組合わせを包含し得るが、しかしそれらに制限されない。すなわち、
酸化体: ペルオキシ二硫酸カリウム、過酸化水素、t−ブチルヒドロペルオキシド
還元体: 鉄(II)、チタン(III)、チオ亜硫酸カリウム、重亜硫酸カリウム。
【0071】
他の適当な開始系は、最近の教本に記載されている。たとえば、Moad及びSolomon,「the Chemistry of Free Radical Polymerisation」,Pergamon,ロンドン,1995,pp53〜95が参照される。
【0072】
慣用乳化及びミニエマルジョン法用の好ましい開始系は、認められ得るくらいに水溶性であるものである。適当な水溶性開始剤は、4,4′−アゾビス(シアノ吉草酸)、2,2′−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2′−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2′−アゾビス(N,N′−ジメチレンイソブチルアミジン)、2,2′−アゾビス(N,N′−ジメチレンイソブチルアミジン)二塩酸塩、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2′−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−エチル]プロピオンアミド}、2,2′−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2′−アゾビス(イソブチルアミド)二水和物、及びそれらの誘導体を包含するが、しかしそれらに制限されない。
【0073】
懸濁重合用の好ましい開始系は、重合されるべきモノマー中に認められ得るくらいに可溶であるものである。モノマーに可溶な適当な開始剤は、モノマーの極性に依存して変動し得るが、しかし典型的には、周知物質2,2′−アゾビスイソブチロニトリルにより例示されるアゾ化合物のような油溶性開始剤を包含する。容易に入手できる化合物の他のクラスは、アセチル及びベンゾイルペルオキシドのようなアシルペルオキシドクラス、並びにクミル及びt−ブチルペルオキシドのようなアルキルペルオキシドである。t−ブチル及びクミルヒドロペルオキシドのようなヒドロペルオキシドもまた、広範に用いられる。懸濁法に適用できる好都合な開始方法は、ラジカル生成が比較的温和な温度において起こるレドックス開始である。これは、熱誘発凝集過程がないようにポリマー粒子の安定性を維持するのを助け得る。
【0074】
所与の重合法における水性相はまた、他の添加剤、たとえばpHを調整すべき添加剤を含有し得る。
【0075】
本発明の方法は、多くの様式の乳化重合、たとえば慣用乳化重合、ミニエマルジョン重合、シード乳化重合及び懸濁重合において適用され得る。該方法がかかる方法において適用される場合、かかる方法について現在認められている重合メカニズムが働くと信じられる。しかしながら、本発明の方法を用いる方法は、安定剤として作用する両親媒性RAFT剤により見分けられ、しかして重合は両親媒性RAFT剤の制御下にある。
【0076】
従って、本発明の方法が慣用乳化重合において適用される場合、両親媒性RAFT剤は重合が開始される時に存在し、そして成長して非不安定であるミセルになりそして粒子を形成する。この過程により、両親媒性RAFT剤は、重合の初期段階の間反応場所に置かれる。特に、活性疎水性RAFT部分が反応場所の方へ配向され、そしてフリーラジカル過程に関して制御を効果的に成し遂げ得る。
【0077】
両親媒性RAFT剤が重合に関して制御を成し遂げること、すなわち、モノマーの重合がRAFT介在フリーラジカル過程下で進行することが、本発明の方法の重要な特徴である。重合が両親媒性RAFT剤の制御下で進行することを確実にするために、RAFT化学種の数は、最終ポリマーの所望分子量特性を達成するように、反応の経過中に生成されるところの重合場所に達する開始ラジカルの和より大きいことが好ましい。一般に、粒子に入り込む開始ラジカルの総数は、系中に存在する両親媒性RAFT剤の数より少ないべきである。好ましくは、開始ラジカルの総数は、存在する両親媒性RAFT剤の数の50パーセント未満一層好ましくは20パーセント未満である。
【0078】
本発明の方法によれば、重合が開始された後かつ反応が両親媒性RAFT剤の制御下で進行中、重合は、該剤のリビング端におけるエチレン系不飽和モノマーの挿入によって維持され得る。生じるポリマー粒子の組成及び構造は、モノマーの選択及び制御的添加によって適応され得る。
【0079】
広範囲のエチレン系不飽和モノマーが、本発明の方法に従って用いられ得る。適当なモノマーは、フリーラジカル法により重合され得るものである。該モノマーはまた、他のモノマーと重合されることが可能であるべきである。様々なモノマーの共重合性を決定する因子は、当該技術において十分に文献に記載されている。たとえば、Greenlee,R.Z.,Polymer Handbook,第3版(編者Brandup,J.及びImmergut.E.H.),Wiley,ニューヨーク,1989,p.II/53が参照される。かかるモノマーは、一般式(14)を有するものを包含する。すなわち、
【化9】

ここで、
U及びWは独立して、−CO2H、−CO22、−COR2、−CSR2、−CSOR2、−COSR2、−CONH2、−CONHR2、−CONR22、水素、ハロゲン及び随意に置換されたC1〜C4アルキル(ここで、置換基は独立して、ヒドロキシ、−CO2H、−CO21、−COR2、−CSR2、−CSOR2、−COSR2、−CN、−CONH2、−CONHR2、−CONR22、−OR2、−SR2、−O2CR2、−SCOR2及び−OCSR2から成る群から選択される)から成る群から選択され、そして
【0080】
Vは、水素、R2、−CO2H、−CO22、−COR2、−CSR2、−CSOR2、−COSR2、−CONH2、−CONHR2、−CONR22、−OR2、−SR2、−O2CR2、−SCOR2及び−OCSR2から成る群から選択され、
ここで、R2は、随意に置換されたC1〜C18アルキル、随意に置換されたC2〜C18アルケニル、随意に置換されたアリール、随意に置換されたヘテロアリール、随意に置換されたカルボシクリル、随意に置換されたヘテロシクリル、随意に置換されたアラルキル、随意に置換されたヘテロアリールアルキル、随意に置換されたアルカリール、随意に置換されたアルキルヘテロアリール及びポリマー鎖から成る群から選択され、ここで置換基は独立して、アルキレンオキシジル(エポキシ)、ヒドロキシ、アルコキシ、アシル、アシルオキシ、ホルミル、アルキルカルボニル、カルボキシ、スルホン酸、アルコキシ−又はアリールオキシ−カルボニル、イソシアナト、シアノ、シリル、ハロ、アミノ(それらの塩及び誘導体を含めて)から成る群から選択される。好ましいポリマー鎖は、ポリアルキレンオキシド、ポリアリーレンエーテル及びポリアルキレンエーテルを包含するが、しかしそれらに制限されない。
【0081】
モノマーの例は、マレイン酸無水物、N−アルキルマレイミド、N−アリールマレイミド、ジアルキルフマレート及び環化重合性モノマー、アクリレート及びメタクリレートエステル、アクリル及びメタクリル酸、スチレン、アクリルアミド、メタクリルアミド、及びメタクリロニトリル、これらのモノマーの混合物、並びにこれらのモノマーと他のモノマーとの混合物を包含するが、しかしそれらに制限されない。当業者により認識されるように、コモノマーの選択は、それらの立体的及び電子的性質により決定される。様々なモノマーの共重合性を決定する因子は、当該技術において十分に文献に記載されている。たとえば、Greenlee,R.Z.,Polymer Handbook,第3版(編者Brandup,J.及びImmergut.E.H.),Wiley,ニューヨーク,1989,p.II/53が参照される。
【0082】
有用なエチレン系不飽和モノマーの特定例は、次のものを包含する。すなわち、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート(すべての異性体)、ブチルメタクリレート(すべての異性体)、2−エチルヘキシルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、メタクリル酸、ベンジルメタクリレート、フェニルメタクリレート、メタクリロニトリル、アルファ−メチルスチレン、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート(すべての異性体)、ブチルアクリレート(すべての異性体)、2−エチルヘキシルアクリレート、イソボルニルアクリレート、アクリル酸、ベンジルアクリレート、フェニルアクリレート、アクリロニトリル、スチレン、官能性のメタクリレート、アクリレート及びスチレンであってしかもグリシジルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート(すべての異性体)、ヒドロキシブチルメタクリレート(すべての異性体)、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、トリエチレングリコールメタクリレート、イタコン酸無水物、イタコン酸、グリシジルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート(すべての異性体)、ヒドロキシブチルアクリレート(すべての異性体)、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、トリエチレングリコールアクリレート、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−tert−ブチルメタクリルアミド、N−n−ブチルメタクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−エチロールメタクリルアミド、N−tert−ブチルアクリルアミド、N−n−ブチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−エチロールアクリルアミド、ビニル安息香酸(すべての異性体)、ジエチルアミノスチレン(すべての異性体)、アルファ−メチルビニル安息香酸(すべての異性体)、ジエチルアミノアルファ−メチルスチレン(すべての異性体)、p−ビニルベンゼンスルホン酸、p−ビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、トリメトキシシリルプロピルメタクリレート、トリエトキシシリルプロピルメタクリレート、トリブトキシシリルプロピルメタクリレート、ジメトキシメチルシリルプロピルメタクリレート、ジエトキシメチルシリルプロピルメタクリレート、ジブトキシメチルシリルプロピルメタクリレート、ジイソプロポキシメチルシリルプロピルメタクリレート、ジメトキシシリルプロピルメタクリレート、ジエトキシシリルプロピルメタクリレート、ジブトキシシリルプロピルメタクリレート、ジイソプロポキシシリルプロピルメタクリレート、トリメトキシシリルプロピルアクリレート、トリエトキシシリルプロピルアクリレート、トリブトキシシリルプロピルアクリレート、ジメトキシメチルシリルプロピルアクリレート、ジエトキシメチルシリルプロピルアクリレート、ジブトキシメチルシリルプロピルアクリレート、ジイソプロポキシメチルシリルプロピルアクリレート、ジメトキシシリルプロピルアクリレート、ジエトキシシリルプロピルアクリレート、ジブトキシシリルプロピルアクリレート、ジイソプロポキシシリルプロピルアクリレートから選択されたもの、ビニルアセテート、ビニルブチレート、ビニルベンゾエート、ビニルクロライド、ビニルフルオライド、ビニルブロマイド、マレイン酸無水物、N−フェニルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール、ブタジエン、エチレン及びクロロプレン。このリストは、網羅されていない。
【0083】
慣用乳化重合、ミニエマルジョン重合及び懸濁重合において適用される場合、本発明の方法は、回分、半連続又は連続態様にて操作され得る。好ましくは、慣用乳化重合は半連続又は連続態様にて操作され、そしてミニエマルジョン重合及び懸濁重合は回分態様にて操作される。
【0084】
半連続及び連続操作態様は、ポリマー多分散性に関しての制御と共にポリマー構造の優れた制御を呈する。これらの操作態様によれば、モノマーは徐々に又は複数の段階にて添加され得、それにより種々のモノマー及び他の添加剤が反応の経過中に導入されることを可能にする。高い固形分含有率において、大きいポリマー粒子は、十分には安定化され得ない。この場合において、粒子の表面に安定化用部分を補充するために、両親媒性RAFT剤もまたモノマーと共に反応物に添加され得る。従って、生じるポリマー粒子の水性分散液は、典型的には、ポリマー粒子当たりより大きい安定化効果を生じるよう作用する過剰の両親媒性RAFT剤に因り、より安定になる。
【0085】
慣用乳化重合において適用される場合、本発明の方法は、好ましくは、半連続又は連続態様にて操作される。かかる態様を実施する好ましい方法は、熱開始剤及び水と一緒に、選択された水溶性両親媒性RAFT剤を反応容器に添加することを含む。必要とされる場合、他の試薬、たとえばpHを調整すべき緩衝剤もまた添加され得る。典型的には、用いられるすべての試薬は溶存酸素を本質的に含まず、また重合を開始するに先だって、反応溶液は窒素のような不活性ガスでパージされる。次いで、開始剤が熱誘発ホモリチック開裂を受けるように、溶液温度が増加される。次いで、モノマーが添加され、そして重合が両親媒性RAFT剤の制御下で進行し得る。この段階におけるモノマーの添加は、貯留モノマー液滴が形成するのを避けるべき速度に維持され、そして十分なモノマーが付加されて両親媒性RAFT剤を本質的に水不溶性にするような時点までかかる速度にて続行される。その時点にて、非不安定性ミセルが形成すると信じられる。次いで、同じでも異なっていてもよい更なるモノマーが、所望の重合度が起こるまで、好ましくは50%近くの固形分含有率を有するラテックスをもたらすために、連続的に又は複数の段階にてのどちらかにて、より大きい速度にて添加される。追加の両親媒性RAFT剤は重合の経過中に添加され得るが、しかし先に記載されたようにモノマーの添加速度を調整することが好ましい。
【0086】
上記の好ましい半連続又は連続態様の技術的変型もまた想定される。たとえば、重合は、最初に、たとえば慣用界面活性剤を用いそして古典的フリーラジカル重合による重合を行うことにより、両親媒性RAFT剤の使用なしに行われ得る。反応中のある時点において、水溶性両親媒性RAFT剤が導入される。添加されたRAFT剤は成長ポリマー粒子と連合し、そしてこの段階において、モノマーの添加速度は先に記載されたように調整されることが好ましい。両親媒性RAFT剤へのモノマーの重合付加によって、該剤は成長粒子に固着されるようになり、それにより安定剤として作用する。この段階において、添加された両親媒性RAFT剤は非不安定になっており、そしてモノマーの添加速度は増加され得る。引き続く重合の進行及び特質は、添加された両親媒性RAFT剤の量及びそれが添加される時に依存する。この場合において、生じる反応系は、両親媒性RAFT剤が成長粒子の表面に堅固に結合されるようになった場合、安定剤として慣用界面活性剤及び両親媒性RAFT剤の両方を含有する。
【0087】
上記の方法の代替方法として、重合は、最初に両親媒性RAFT剤の制御下で行われそして次いで古典的フリーラジカル法により進行させられ得る。この場合において、RAFT制御下での重合は、特定の組成及び/又は構造的効果をもたらすように続行され得る(すなわち、粒子の表面に置かれるべき選択されたモノマーを重合する)。この効果を達成すると、次いで、引き続く重合が、古典的フリーラジカル過程下で進行し得る。
【0088】
先に記載されたように本発明の方法が慣用乳化重合の初期段階中に適用されかつ他の界面活性剤化学種が存在しない場合、モノマーの添加速度は重合速度より小さいことが好ましい。これらの条件下で、安定化成長ポリマー粒子は形成すべき時間を有し、そして非安定化モノマー液滴の形成を避けるのに十分な速度にて添加モノマーと反応する。反応のこの早期段階における非安定化モノマー液滴の形成は、凝塊形成、及びモノマー液滴中に成長ラジカルが入り込むことによって形成ポリマー粒子のより高い多分散性に通じ得る。非安定化モノマー液滴はまた、小さい成長ポリマー粒子を包囲し得る。反応速度が進行しそして両親媒性RAFT剤が非不安定になるつれて、非安定化モノマー液滴の形成に関連した問題は、より有意でなくなる。回分乳化重合の場合において、存在するモノマーの実質的にすべてを安定化するのに十分な両親媒性RAFT剤が用いられることが好ましい。所望される場合、非安定化モノマー液滴の形成を避けるために、他の界面活性剤化学種が、乳化重合を遂行するいかなる態様に対しても添加され得る。
【0089】
先に記載されたように、本発明の方法は、多くの様式の乳化重合技法に適用され得る。該方法の先の論考から、当業者は、該方法がかかる技法にどのように適用され得るか容易に正しく認識するはずである。
【0090】
最近、ミニエマルジョン又はシード乳化技法のような、慣用乳化重合を遂行する代替態様が、RAFT剤の拡散に関連した問題を軽減するために示された。しかしながら、両技法は慣用界面活性剤を用い、そしてそれらにより製造された分散液は上記の界面活性剤移行問題を受ける。更に、両技法は共界面活性安定剤及び他の添加剤を必要とし、しかして不所望成分を重合用混合物中に持ち込み、そしてRAFT法の潜在的利益が示され得ない点まで最終生成物の性質を損なう。
【0091】
本発明の方法をミニエマルジョン重合に適用することにより、両親媒性RAFT剤以外の追加の界面活性剤は、安定なラテックスを確立するのに必要とされない。好ましくは、かかる重合において用いられる両親媒性RAFT剤の疎水性部分は、両親媒性RAFT剤を連続相中に本質的に不溶性にするのに十分に疎水性である。これらの条件下で、新たな粒子の核形成を安定化すべき不安定性両親媒性RAFT剤は連続相中に実質的に存在しない。
【0092】
本発明の方法に従ってミニエマルジョンを遂行する好ましい方法は、最初に水不溶性両親媒性RAFT剤を製造し、そしてそれを重合されるべき疎水性モノマー中に溶解することを含む。用いられるべき水不溶性両親媒性RAFT剤の疎水性部分が、最終ラテックス生成物を製造する際に用いられるべきモノマーと同じモノマーに由来する場合、水不溶性両親媒性RAFT剤は、有利には、究極的にミニエマルジョンの分散有機相を形成するモノマー中において塊状重合により製造され得る。次いで、当業者に周知の適切な機械的手段を用いて、水不溶性両親媒性RAFT剤/モノマー溶液が水中に乳化される。次いで、適切なフリーラジカル開始剤が系に添加され、そして重合が両親媒性RAFT剤の制御下で進行すること以外は慣用ミニエマルジョンの態様と同様な態様にて重合が進行する。大部分は、両親媒性RAFT剤が水に不溶でありかつ乳化が十分に強力である限り、最終生成物の粒子サイズは、反応において初期に存在する両親媒性RAFT剤の量により制御される。有利には、両親媒性RAFT剤がミニエマルジョンを安定化するように作用するのみならず、成長疎水性尾部が、オストワルト熟成として知られた効果である小さい乳化液滴から大きい乳化液滴へのモノマーの拡散による乳化不安定化の周知の過程に抗して実質的保護を与え得る。
【0093】
多くの点において、懸濁重合における本発明の方法の適用は、ミニエマルジョンにおける適用と同様である。懸濁重合は、伝統的には、乳化重合又はミニエマルジョン重合のどちらかよりもはるかに大きいポリマー粒子を生成させるために用いられる。かかる粒子はまた架橋され得、そしてそれ故皮膜形成性であり得ない。懸濁ポリマー粒子は、通常、最初に連続水性相とモノマーを含む分散有機相とを含む分散液を作製することにより形成される。次いで、モノマーの重合が、所望サイズのポリマー粒子の水性分散液の形成をもたらすことになる。所望される場合、ポリマー粒子は、公知技法を用いて水性媒質から分離されそして収集され得る。
【0094】
ミニエマルジョン重合について記載されたように、本発明に従って遂行される懸濁重合は、好ましくは、水不溶性両親媒性RAFT剤でもって行われる。好ましくは、水不溶性RAFT剤は、分散有機相に可溶である。両親媒性RAFT剤が水又は有機相のどちらにも可溶でない場合、両親媒性RAFT剤をこれらの二相の間の界面に分布させるために、分散有機相を形成させる際に有意的により大きい剪断が用いられねばならない。好ましくは、用いられる開始剤は、重合されるモノマーに可溶である。
【0095】
水溶性両親媒性RAFT剤を利用する本発明の方法はまた、シード添加乳化重合において慣用RAFT剤を用いる現在の実施を有意的に単純化するために用いられ得る。これに関して、モノマー及び界面活性の水溶性両親媒性RAFT剤は、引き続く重合がRAFT制御下で進行するようにラテックスシードに添加され得る。
【0096】
ペイント、接着剤、プライマー、充填剤及びシーラントのような処方物において、ラテックスは、通常、結合成分である。処方物はまた、典型的には、着色顔料、増量剤、皮膜形成助剤及び他の添加剤のような他の処方成分(すべて種々のレベル及び種々の組合わせにて存在する)を含む。いくつかの処方物において、特定の材料特性を達成するために又は増粘のような特殊機能のために、ラテックスの配合物が存在し得る。処方コンパウンドの材料特性が、所期用途に必要な性能レベルを与える原因となる。
【0097】
ラテックスの組成は、いかなる製品の性能にとっても決定的に重要である。慣用の乳化ポリマー加工は、硬度又はゴム状弾性を達成するために、モノマーの組合わせを用いてポリマーを処方する仕方についての十分に確立された知識から導かれる材料特性の実質的に制限のない変動を斟酌する。慣用の知識はまた、ポリマー粒子の構造内の特殊なモルホロジーを達成するように、重合中モノマーが添加されるやり方によって、比較的鋭敏な変動を斟酌する。使用中、処方物中の担体水は蒸発しそしてポリマー粒子は一緒になりかつ物理的に絡み合って又は合体して、最終材料特性を与える。ポリマーの粒子性は、重要であり得る。粒子はポリマー組成について同じ又は異なり得る表面及び内部を有し、またたいていの用途は、個々のポリマー粒子性の外観がすべて失われるように粒子が完全に合体することを要する。慣用の乳化ポリマーがこの要求を満たす程度は、ポリマー分子のサイズ及び組成についての分布をもたらすところのフリーラジカル重合過程の統計的特質により制限される。いったん形成された粒子のコロイド安定性を維持すべき追加の要件も存在する。
【0098】
他の比較的特殊な用途において、ポリマー粒子は、それらの粒子性を保持するよう要求され得る。かかる用途は、イオン交換樹脂、ゲル透過クロマトグラフィー用カラム充填材料及び高価値用途(生物医学用途における診断キットのような)として用いられるところの制御構造の架橋粒子を含む。かかる用途について、本発明の利点は、高価な界面活性剤又は他の安定剤の高レベルを必要とすることなしに、実際の粒子形成に対して与えられる制御である。
【0099】
ペイント、プライマー、充填剤、シーラント及び接着剤用途に用いるためのポリマー粒子の水性分散液を形成させることに関して、RAFT制御重合の顕著な特徴は、ポリマー粒子の構造を制御する能力である。有利には、本発明の方法は、ポリマー粒子の全体にわたって重合モノマーの分布を適応させる手段を与える。特に、該方法は、ポリマー粒子の戦略的場所において特定の又は特殊なモノマーを重合する手段を与える。
【0100】
ポリマー粒子の選択的表面改質は、特定の又は特殊なモノマーの初期重合により達成され得る。たとえば、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート(TFEM)のような高疎水性モノマーが重合の初期段階において導入されて、重合TFEMが集中した高疎水性表面領域をもたらし得る。この態様にてTFEMをポリマー粒子に導入することは、かかる粒子がペイント処方物中に組み込まれる場合、ペイント皮膜に対して耐汚れ性を増進し得る。その代わりに、アクリルアミド、ジメチルアミノエチルメタクリレート又はウレイドモノマーのような比較的極性のモノマーが最初に重合され得、あるいは重合に用いられるべき両親媒性RAFT剤の親水性部分が既にかかるモノマーを含み得る。ポリマー粒子の表面におけるかかる極性モノマーの組込みは、被覆用途に用いられる場合、困難な表面への接着を助け得る。特に、両親媒性RAFT剤の親水性端部の一部として、これらのモノマーを粒子の表面に置くことにより、接着促進剤としてのそれらの性質が最大にされる(皮膜形成中基材と自由に相互作用するそれらの能力に因り)ようにされる。典型的には、これらの特定の又は特殊なモノマーは、比較的低いレベルにて、好ましくは総モノマー含有量の10%未満にて、一層好ましくは総モノマー含有量の5%未満にて添加される。
【0101】
上記に記載されたように、ポリマー粒子形成という特質はまた、粒子の内部組成が制御されることを可能にし得る。特に、内部コア及び外部シェルを与えるために、粒子の内部組成は、粒子の表面組成から変動され得る。最も単純な場合、特定のモノマーが方法のある段階において重合されそして異なるモノマーがより後の段階において重合されてブロックコポリマーを形成することにより、粒子が形成され得る。このようにして、軟質皮膜を形成する外部を有する硬質ポリマー粒子、及び皮膜を形成しない硬質スキンを有する軟質弾性粒子が形成され得る。用語「硬質」及び「軟質」ポリマーにより、ホモポリマーガラス転移温度Tgがそれぞれ室温より高い又は低い場合のモノマーから形成されるポリマーが意味される。典型的処方物において用いられる硬質用モノマーはメチルメタクリレート及びスチレンを包含するのに対して、軟質用モノマーは、典型的には、エチル、ブチル及び2−エチルヘキシルアクリレートのようなアクリル酸のエステルである。
【0102】
本発明の方法によるポリマー粒子の水性分散液の製造及び製造されたポリマー粒子は、ポリマーを形成させる手段だけでなく、安定剤としても両親媒性RAFT剤を利用する。重合過程における両親媒性RAFT剤の参加によって、安定化用部分は、ポリマー粒子に効果的に固着されるようになる。従って、該方法は、界面活性剤の存在の不利(特に、界面活性剤の移行)を受けないポリマー粒子及びポリマー粒子の水性分散液を製造する手段を与える。慣用界面活性剤との組合わせにて用いられる場合、該方法は所要慣用界面活性剤の量を効果的に減じ、そしてそれにより該界面活性剤のマイナス的効果を最小にする手段を与える。
【0103】
商業用ラテックス処方物の共通の特徴は、低レベル(1〜5%)の、アクリル及びメタクリル酸のような酸モノマーの使用である。かかる処方物が慣用アニオン性界面活性剤単独により安定化される場合、酸モノマーの使用が、分散液の安定性を維持するために必須である。従って、高剪断試験及び凍結融解試験により測定される場合の改善安定性を有する最終処方物をもたらすために、少量の該酸モノマーは、典型的には、メチルメタクリレート、スチレン及びアクリレートエステルのような他のモノマーと共重合される。かかる分散液に与えられる安定性は、塩基の添加によっての酸単位のイオン化からもたらされ、しかして該イオン化は粒子表面上の電荷を増加する効果を有し、そしてそれにより安定性を改善する。該界面活性剤の不存在下では、安定性は、はるかに高いレベルの酸性モノマーの使用又は開始剤残基に由来する表面電荷の導入若しくは他のメカニズムによってのみ得られ得る。この手法の不利は、高レベルの荷電基の導入から生じる低減感水性である。
【発明の効果】
【0104】
本発明の驚くべき特徴は、慣用処方の実施で達成され得るよりはるかに低い酸モノマーのレベルでもって、アニオン的に安定化された分散液のコロイド安定性を維持する能力である。たとえば、ポリマーラテックスは50%を越える固形分含有率まで生成され得、しかも共重合酸モノマーのレベルは総ポリマー含有量の1%未満である。
【0105】
本発明に従って生成され得るラテックスの粒子サイズ特性もまた、低レベルの酸モノマーが小さいポリマー粒子を安定化することが可能であることにおいて驚きである。40nmの数平均粒子サイズを有するポリマー粒子は、通常の加工技法によっては製造するのが容易でなく、一般に、より小さい粒子に関連した追加の表面積を安定化するために、より多量の界面活性剤の使用を要する。本発明に従って得られ得る粒子サイズ特性は、ポリマー固形分を基準として10%若しくはそれ以上の界面活性剤充填量又はそれ以上でもってのみ、先行技術方法を用いて達成され得る。ペイント、プライマー、シーラント及び接着剤のような、ポリマーラテックスがその湿潤状態にて用いられるたいていの用途について、この過剰の界面活性剤は、該ラテックスから誘導される皮膜の性質に悪影響を及ぼし得る。
【0106】
本発明の方法に用いるための特定の両親媒性RAFT剤の選択は、特に重要である。上記に記載されたように、それらの両親媒性という本質、及び有機相を安定化するそれらの能力が、二つの重要な側面である。両親媒性RAFT剤は、それらが重合に関して制御を成し遂げる能力を有するように選択される、ということも重要である。かかる制御の証拠は、加工中乳化重合反応物をサンプリングしそして生じたポリマーをゲル透過クロマトグラフィーのような適当な技法によって分析することにより、容易に得られ得る。制御がある場合、ポリマー分子のサイズは、転化率と共に線形様式にて大きくなる。制御の失敗は、他のメカニズムによるポリマー形成を示す追加のピークの出現でもって明らかになる。両親媒性RAFT剤が凝集して反応性ミセルにそして究極的にポリマー粒子になる過程は、RAFT反応スキームを破壊し得る。溶液重合又は塊状重合におけるモノマーの特定の組合わせの制御は、特定の両親媒性RAFT剤が乳化重合反応を十分に制御することができることを保証するものではない。良好な制御は、両親媒性RAFT剤が成長粒子を安定化する唯一の手段であるよう選ばれる乳化重合反応において好ましい。制御なしでは、粒子形成は、選ばれるモノマーの組合わせに依存して困難であり得る。制御が反応の早期段階において失敗する場合、反応が進行するにつれて粒子の安定化の失敗及びポリマー凝塊の形成という結果となる。しかしながら、いったん粒子が形成されると、完全制御の維持は比較的重大でない問題であり、そして理想的挙動からのいくらかの逸脱は一般に許容され得る。
【0107】
本発明に従って用いるための適当な両親媒性RAFT剤を考慮する際に、式(4)におけるR1により表される基は、性質上親水性又は疎水性のどちらかであるように選択され得る。R1はチオカルボニルチオ基から幾分移動されることに因り、両親媒性RAFT剤の反応性を改変する際のその役割は、nが増加するにつれて制限されるようになる。しかしながら、基−(X)n−R1及び−(A)m−(B)o−R1(式13)が、重合を再開始することができるフリーラジカル脱離基であることが重要である。
【0108】
Zの選択は、典型的には、重合に関して制御を成し遂げる能力を有する両親媒性RAFT剤をもたらすことに関して比較的重要である。式(4)の化合物についてのZ基を選択する際に、かかる基が−(X)n−R1又は−(A)m−(B)o−R1(式13)基と比べてより良好な脱離基である脱離基を与えないことが重要である。この制限により、モノマー挿入は、−(X)n−R1又は−(A)m−(B)o−R1とその最も近い硫黄原子との間で優先的に起こる。
【0109】
式(4)の両親媒性RAFT剤は、多数の方法により製造され得る。好ましくは、それらは、次の一般式(5)
【化10】

〔ここで、Z及びR1は、先に定義されたとおりである〕
を有するRAFT剤の制御下でエチレン系不飽和モノマーを重合することにより製造される。
【0110】
一般式(5)のRAFT剤からの一般式(4)の両親媒性RAFT剤の製造を考慮するときに正しく認識すべき重要な点は、式(4)の化合物に関連した両親媒性が分散液の有機相を安定化するのに又はミセル型構造を形成するのに十分であることである。式(5)の化合物もまたいくらかの両親媒性を有し得るが、しかしこれは、一般に、分散液の有機相を安定化するのに又はミセル型構造を形成するのに不十分である。式(4)の化合物に関して十分な安定化性質を達成するために、式(5)の化合物は、引き続いて、適切なエチレン系不飽和モノマーと反応される。このように述べたが、式(4)に関してn=0である場合、かかる化合物は乳濁液の有機相を安定化するのに又はミセル型構造を形成するのに十分な両親媒性を固有的に有することが理解されるべきである。この場合において、式(4)は式(5)に等しく、そしてR1及びZは、適当な両親媒性RAFT剤をもたらすために、独力で十分な親水性及び疎水性を付与する。
【0111】
エチレン系不飽和モノマーは、フリーラジカル法により重合され得るいかなるかかるモノマーでもあり得る。有機相を安定化するのに又はミセル型構造を形成するのに十分な両親媒性をRAFT剤に付与するために、かかるモノマーは、それらの親水性又は疎水性資質について選ばれる。
【0112】
適当な親水性エチレン系不飽和モノマーの例は、アクリル酸、メタクリル酸、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、アクリルアミド及びメタクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリレート、N−メチルアクリルアミド、ジメチルアミノエチルメタクリレート、又は水溶性ポリマーを直接的に若しくは適当な後反応により生じる他のモノマーを包含するが、しかしそれらに制限されない。
【0113】
適当な疎水性エチレン系不飽和モノマーの例は、ビニルアセテート、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、スチレン、アルファ−メチルスチレン、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、エチルヘキシルメタクリレート、クロチルメタクリレート、シンナミルメタクリレート、オレイルメタクリレート、リシノレイルメタクリレート、ビニルブチレート、ビニルtert−ブチレート、ビニルステアレート、ビニルラウレート、又は水不溶性ポリマーを生じる他のモノマーを包含するが、しかしそれらに制限されない。
【0114】
重合は水溶液又は有機溶媒のどちらか中で行われ得、しかしてその選択は、主として、重合されるべきモノマーの特質により指定される。重合はまた、モノマーそれ自体中で行われ得る。
【0115】
重合反応は、通常、ラジカルの源からの開始を要する。先に記載された開始系はまた、両親媒性RAFT剤を製造する際に適用され得る。しかしながら、この場合において、開始剤もまた、モノマー又はモノマー混合物に可溶であり得る。
【0116】
1が親水性である式(4)又は(13)の両親媒性RAFT剤を製造するための好ましい方法は、最初に適当なRAFT剤を選択することを含む。選択されたRAFT剤は、反応容器内で熱開始剤、溶媒及び親水性モノマーと一緒にされる。典型的には、用いられるすべての試薬は溶存酸素を本質的に含まず、また重合に先だって、反応溶液は窒素のような不活性ガスによりパージされて残存酸素が除かれる。引き続いて、開始剤の熱誘発ホモリチック開裂が起こるように溶液の温度を増加することにより、反応が開始される。次いで、重合反応がRAFT剤の制御下で進行し、それにより更なる親水性をRAFT剤の親水性端部に親水性モノマーの挿入によって付与する。Zが十分に疎水性である式(4)の化合物については、第2モノマーの重合は必要とされ得ない。Zが十分には疎水性でない式(4)の化合物又は式(13)の化合物については、親水性モノマーの消尽時に、疎水性モノマーが、直ちに又は中間生成物が単離される場合はより後の段階において、溶液に添加され、そして重合がRAFT制御下で続行されて式(13)のブロックコポリマーをもたらし得る。R1が疎水性をRAFT剤に付与するようもくろまれる場合、当業者は、上記の方法が「逆の」剤を製造するように等しく適用され得ることを正しく認識するであろう。
【0117】
式(4)又は(13)の化合物が上記に記載された方法に従って製造されかつ水が溶媒として用いられる場合、十分な疎水性モノマーがRAFT剤上に重合された反応時点に達すると、成長RAFT剤は、引き続いて非不安定性ミセルを形成するように自己集合すると信じられる。
【0118】
驚くべきことに、自己集合して非不安定性ミセル構造を形成する成長RAFT剤はそれらの活性を維持して、重合をRAFT制御下で該ミセルの疎水性コア内で続行させ得る。この方法により、ポリマー粒子の水性分散液を製造するために更なるモノマー及び追加の試薬を供給することによって重合は続行され得、かくして両親媒性RAFT剤はその場で効果的に製造される。
【0119】
本発明の方法を遂行する好ましい態様として、両親媒性RAFT剤は、上記に記載されたようにその場で製造される。次いで、生じた両親媒性RAFT剤は、ポリマー粒子の水性分散液を製造するために、本発明の方法に従って用いられる。
【0120】
本発明の方法が遂行され得るやり方には、多くの技術的変型がある。たとえば、RAFT剤が、最初に、性質上実質的に両親媒性にならないように、たとえば性質上実質的に親水性であるRAFT剤をもたらすように、特定のモノマーとの部分重合を受け得る。次いで、このRAFT剤は単離されそしておそらく貯蔵された後、両親媒性RAFT剤の引き続く製造における中間RAFT剤として用いられ得る。従って、引き続いて、疎水性部分が第2反応において又は乳化重合の経過中に親水性RAFT剤に付加されて、式(13)の化合物の両親媒性ジブロック構造をもたらし得る。その代わりに、中間RAFT剤として単離する前の実質的に親水性のRAFT剤に、多数の疎水性モノマー単位を付加することも望ましくあり得る。かかるRAFT剤の極性に依存して、乳化重合反応又は水系第2反応におけるその引き続く使用は、それが適正に分散されるようになるのを助けるべき水混和性共溶媒を必要とし得る。かくして、本発明の方法を遂行する更なる好ましい態様は、両親媒性RAFT剤の形成において引き続いて用いるための中間RAFT剤を単離することを含み、しかして該両親媒性RAFT剤は次いで本発明の方法に従って用いられ得る。
【0121】
上記に記載されたように、両親媒性RAFT剤の製造用の適当なRAFT剤は、次の一般式(5)
【化11】

〔ここで、R1及びZは、先に定義されたとおりである〕
を有する。
【0122】
RAFT剤としての式(5)により包含される特定の化合物の有効性はその移動定数に依存し、しかして移動定数はR1及びZ基の特質、モノマー並びに実施中の反応条件により決定される。これらの考慮事項は、両親媒性RAFT剤に関して上記に論考されている。式(5)のRAFT剤に関して、かかる考慮事項は、本質的に同じである。特に、基R1及びZが両親媒性RAFT剤までずっと担持されるので、それらの選択は、同様な考慮事項を受ける。しかしながら、チオカルボニルチオ基へのより近い近接に因り、R1基は、RAFT剤としての特定の化合物の有効性において有意的役割を果たす。式(5)のRAFT剤についてR1及びZ基の両方を選択する際に、特に好ましいR1及びZの組合わせから生じる該剤もまた特に好ましい。
【0123】
非常に好ましいRAFT剤は次の式(15〜21)を包含するが、しかしそれらに制限されない。すなわち、
【化12】

ここで、R3は、先に定義されたとおりである。
【0124】
RAFT剤を選択するとき、それが乳化重合の条件下で加水分解安定性を示すことが好ましい。これに関して、トリチオカルボニルRAFT剤が特に好ましい。
【0125】
本発明の第4側面に従って用いられるジチオカルボニル化合物は、ジチオエステル、ジチオカーボネート、トリチオカーボネート、ジチオカルバメート、等であり得る。重要なことは、それがZ−C(S)S-成分を有することである。α,β−不飽和化合物は、共役付加後にRAFT剤をもたらすことが可能であるいかなるかかる化合物でもよい。
【0126】
好ましい具体的態様において、本発明は、RAFT剤の製造方法であって、式(I)
【化13】

〔ここで、Mは水素、有機カチオン又は金属であり、そしてZは、ラジカル付加の方にチオカルボニル基の十分な反応性を促進し得る一方、重合の容認され得ない遅延になる程度まではフラグメント化速度を遅くしないいかなる基でもある〕
の化合物の式(II)
【化14】

〔ここで、
EWGは、−CO2H、−CO22、−COR2、−CSR2、−CSOR2、−COSR2、−CN−SO22、−SOR2、−CONH2、−CONHR2、−CONR22から選択された電子吸引基であり、
【0127】
3は、H、C1-6アルキルから選択され、あるいはR4又はEWGのどちらかと一緒に−C(O)−O−基を形成し、
4は、H、C1-6アルキル、アリール、ヘテロアリール、−CO2H、−CO22、−COR2、−CSR2、−CSOR2、−COSR2、−CN−SO22、−SOR2、−CONH2、−CONHR2、−CONR22から選択され、そして
5は、H、C1-6アルキル、アリール、ヘテロアリールから選択され、
ここで、R2は、随意に置換されたC1〜C18アルキル、随意に置換されたC2〜C18アルケニル、随意に置換されたアリール、随意に置換されたヘテロアリール、随意に置換されたカルボシクリル、随意に置換されたヘテロシクリル、随意に置換されたアラルキル、随意に置換されたヘテロアリールアルキル、随意に置換されたアルカリール、随意に置換されたアルキルヘテロアリール及びポリマー鎖から成る群から選択され、ここで置換基は独立して、アルキレンオキシジル(エポキシ)、ヒドロキシ、アルコキシ、アシル、アシルオキシ、ホルミル、アルキルカルボニル、カルボキシ、スルホン酸、アルコキシ−又はアリールオキシ−カルボニル、イソシアナト、シアノ、シリル、ハロ、アミノ(それらの塩及び誘導体を含めて)から成る群から選択される〕
の化合物の二重結合に対する共役付加を含む方法を提供する。
【0128】
好ましくは、R3、R4及びR5の少なくとも一つは、ラジカル移動に対する共役付加生成物の反応性に寄与する。
【0129】
上記の式(I)の好ましいZ基は、−CO2H、−SO3H、−OSO3H、−OH、−(COCH2CHR)w−OH、−CONH2、−SOR及びSO2R並びにそれらの塩から選択された1個又はそれ以上の親水性置換基で随意に置換されたものを包含する。特に好ましいR1は、−CH(CH3)CO2H、−CH(CO2H)CH2CO2H、−C(CH32CO2Hを包含するが、しかしそれらに制限されない。好ましいZ基は、随意に置換されたアルコキシ、随意に置換されたアリールオキシ、随意に置換されたアルキル、随意に置換されたアリール、随意に置換されたヘテロシクリル、随意に置換されたアリールアルキル、随意に置換されたアルキルチオ、随意に置換されたアリールアルキルチオ、ジアルコキシ−又はジアリールオキシ−ホスフィニル[−P(=O)OR22]、ジアルキル−又はジアリール−ホスフィニル[−P(=O)R22]、随意に置換されたアシルアミノ、随意に置換されたアシルイミノ、随意に置換されたアミノ、R1−(X)n−S−及びいかなるメカニズムによっても形成されたポリマー鎖を包含し、ここでR1、X及びnは上記に定義されたとおりであり、そしてR2は随意に置換されたC1〜C18アルキル、随意に置換されたC2〜C18アルケニル、随意に置換されたアリール、随意に置換されたヘテロシクリル、随意に置換されたアラルキル、随意に置換されたアルカリールから成る群から選択される。特に好ましいZ基は、−CH2(C65)、C1〜C20アルキル、
【化15】

(ここで、eは2から4である)及び−SR3(ここで、R3はC1からC20アルキルから選択される)を包含するが、しかしそれらに制限されない。
【実施例】
【0130】
さて、本発明は、本発明のいくつかの好ましい具体的態様を示す次の例に関して記載される。しかしながら、次の記載の個別性は本発明の先の記載の一般性に取って代わるべきでない、ということが理解されるべきである。
【0131】
実施例1: 2−[(2−フェニルエタンチオイル)スルファニル]プロパン酸(20)の合成
【化16】

エーテル中のベンジルマグネシウムクロライドの溶液(1.0M,40mL,40mmol)を、窒素下の乾燥テトラヒドロフラン(40mL)中の二硫化炭素(4.0mL,66mmol)の氷冷溶液に、撹拌しながらゆっくり添加した。30min後、2−ブロモプロパン酸(3.6mL,6.2g,40mmol)を添加し、そしてこの反応物を周囲温度にて撹拌した。48h後、この混合物をエチルアセテート(200mL)中に注ぎ、そして水(3×100mL)及び次いで飽和塩化ナトリウム溶液(100mL)で洗浄した。有機層を乾燥(硫酸マグネシウム)し、そして蒸発させた。この残存液を蒸留(120°/0.13Pa,Kugelrohr)して、未反応2−ブロモプロパン酸を除去した。次いで、残留物をエーテル(200mL)中に溶解し、そして5%重炭酸ナトリウム溶液(4×50mL)で抽出した。一緒にされた水性抽出物をエーテル(100mL)で洗浄し、次いで2M塩酸でpH<1に酸性化した。生じた混合物をエチルアセテート(2×100mL)で抽出し、そして一緒にされた有機抽出物を水(2×50mL)、飽和塩化ナトリウム(50mL)で洗浄し、そして次いで硫酸マグネシウムでもって乾燥した。溶媒の蒸発により標題化合物(20)が赤色液体(3.73g,39%)として得られ、しかして放置するとゆっくり固化した。
【0132】
実施例1a: 実施例1からの2−[(2−フェニルエタンチオイル)スルファニル]プロパン酸(20)を用いての、それぞれ重合度n=ほぼ5及びn=ほぼ20を有するポリ(アクリル酸)−ブロック−ポリ(ブチルアクリレート)マクロRAFT剤の製造
50mL丸底フラスコ中におけるTHF(5.0g)中の2−[(2−フェニルエタンチオイル)スルファニル]プロパン酸(20)(0.416g,1.73mmol)、4,4′−アゾビス(4−シアノペンタン酸)(95mg,0.30mmol)及びアクリル酸(0.624g,8.78mmol)の溶液を、15min電磁撹拌しかつ窒素でスパージした。次いで、フラスコを85°にて2h加熱した。この期間の終わりに、ブチルアクリレート(4.50g,35mmol)をフラスコに添加し、そして加熱を85°にて更に3h続行した。生じたジブロックコポリマーは、RAFT制御下での形成に一致した分子量特性を示した。このコポリマー溶液は、54.3%固形分を有していた。
【0133】
実施例1b: 実施例1aからのマクロRAFT剤を用いてのポリ(ブチルアクリレート−コ−メチルメタクリレート)ラテックスの製造
4,4′−アゾビス(4−シアノペンタン酸)(25mg,0.08mmol)、実施例1aからのジブロックコポリマー溶液(マクロRAFT剤3.23g(1.02mmol)を含有する溶液5.96g)、水(48.0g)及び水酸化ナトリウム(0.12g,3.0mmol)を100mL丸底フラスコ中に入れ、そして15min窒素でスパージしながら電磁撹拌し、次いで撹拌を続行しながら85°にて加熱した。15min後、メチルメタクリレート(19.5g,0.195mol)とブチルアクリレート(19.5g,0.152mol)の混合物を、数回に分けて45min間隔にて添加した(次の重量が各工程において添加された。すなわち、4g、5g、6g、7g、8g、9g)。最後の添加後、反応物を85°に更に3h保ち、そして次いで冷却した。このラテックスは45%固形分であり、そして40nmの数平均粒子サイズ(CHDF)を有していた。
【0134】
実施例1c: 実施例1からの2−[(2−フェニルエタンチオイル)スルファニル]プロパン酸(20)を用いての、両ブロックについて重合度n=ほぼ20を有するポリ(アクリル酸)−ブロック−ポリ(ブチルアクリレート)マクロRAFT剤の製造
THF(10.0g)中の2−[(2−フェニルエタンチオイル)スルファニル]プロパン酸(20)(0.563g,2.34mmol)、4,4′−アゾビス(4−シアノペンタン酸)(0.102g,0.32mmol)及びアクリル酸(3.40g,47.2mmol)の溶液を、20min撹拌しかつ窒素でスパージすることにより脱酸素した。次いで、この溶液を85°にて2h加熱し、そしてその後ブチルアクリレート(6.06g,47.0mmol)を添加した。加熱を更に4h続行して、重合を完了した。
【0135】
実施例1d: 実施例1cからのマクロRAFT剤を用いてのポリ(ブチルアクリレート−コ−メチルメタクリレート)ラテックスの製造
実施例1cからのジブロックコポリマー溶液(マクロRAFT剤4.05g(0.95mmol)を含有する溶液8.11g)、4,4′−アゾビス(4−シアノペンタン酸)(0.25g,0.80mmol)、水(47.9g)及び水酸化ナトリウム(1.27g,31.8mmol)を、15min窒素をこの溶液に通気しながら撹拌した。次いで、この混合物を85°に加熱し、そして15min平衡化させた後、メチルメタクリレート(13g,0.13mol)とブチルアクリレート(13g,0.10mol)の混合物を、4g、4g、4g、4g、5g及び5gの逐次分量で1h間隔にて添加した。サンプルを各添加に先だって採り、そしてサンプル中のポリマーの分子量をゲル透過クロマトグラフィー(ポリスチレン標準)により決定した。ピーク分子量(ポリスチレン標準)が下記の表に時間の関数として示されており、そしてその漸進的増加は、重合がRAFT制御下にあることを示す。最終ラテックスは、34%の固形分含有率を有していた。
【0136】
【表1】

【0137】
実施例1e: 実施例1cからのマクロRAFT剤を用いての、より高固形分含有率のポリ(ブチルアクリレート−コ−メチルメタクリレート)ラテックスの製造
実施例1cからのジブロックコポリマー溶液(マクロRAFT剤1.2mmolを含有する溶液10.0g)、4,4′−アゾビス(4−シアノペンタン酸)(25mg,0.089mmol)、水(48mL)及び水酸化ナトリウム(1.25g,31.3mmol)を、15min窒素でスパージしながら電磁撹拌し、次いで撹拌を続行しながら85°にて加熱した。15min後、メチルメタクリレート(22.5g,0.225mol)とブチルアクリレート(22.5g,0.176mol)の混合物を、5g、6g、7g、8g、9g及び10gの逐次分量で45min間隔にて添加した。最終ラテックスは、42.1%固形分を有していた。透過電子顕微鏡法を用いての粒子サイズ測定により、60nm未満の最終粒子直径が指摘された。
【0138】
実施例2: 2−[(2−フェニルエタンチオイル)スルファニル]コハク酸(21)の合成
【化17】

エーテル中のベンジルマグネシウムクロライドの溶液(1.0M,200mL,0.20mmol)を、窒素下で乾燥テトラヒドロフラン(200mL)に添加した。次いで、二硫化炭素(20mL,25g,0.33mol)を、撹拌しながらゆっくり添加した。15min後、フマル酸(23.2g,0.20mol)を添加し、そしてエーテルを蒸留によりほとんど除去した。更なるテトラヒドロフラン(100mL)を添加し、そしてこの溶液を還流下で14h加熱した。この反応物を冷却しそしてエーテル(1L)中に注ぎ、次いで水(3×100mL)及びその後飽和重炭酸ナトリウム(5×200mL)で抽出した。重炭酸塩抽出物を一緒にしそしてエーテル(2×100mL)で抽出し、次いで濃塩酸でpH<1にゆっくり酸性化し、そしてエチルアセテート(3×200mL)で抽出した。一緒にされた有機層を水(200mL)及び飽和塩化ナトリウム(100mL)で洗浄し、そして次いで蒸発させた。この粗製混合物を50:50エーテル/石油エーテル(100mL)と共に粉砕することにより結晶化した。この固体を収集し、そして65°の水(150mL)中に入れると、該固体のほとんどが溶解した。次いで、この混合物を氷浴中で急速に冷却し、そして生じた結晶を収集しそして冷水(3×33mL)で洗浄した。次いで、この固体を、水(150mL)とエチルアセテート(600mL)とテトラヒドロフラン(50mL)の混合物中に溶解した。水を除去し、そして有機相を水(3×100mL)、飽和塩化ナトリウム(100mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムでもって乾燥しそして蒸発させて、標題化合物(21)が黄色固体(18.4g,33%)として得られた。
【0139】
実施例2a: 実施例2からの2−[(2−フェニルエタンチオイル)スルファニル]コハク酸(21)を用いての、重合度n=ほぼ23を有するポリ(アクリル酸)マクロRAFT剤の製造
テトラヒドロフラン(10mL)中の2−[(2−フェニルエタンチオイル)スルファニル]コハク酸(21)(700mg,2.46mmol)、4,4′−アゾビス(4−シアノペンタン酸)(40mg,0.14mmol)及びアクリル酸(4.0mL,58mmol)の溶液を窒素でスパージし、次いで60°にて14h加熱した。この溶液を減圧下で蒸発乾固させて、ゲル透過クロマトグラフィー(ポリスチレン標準)により示される場合の平均重合度n=ほぼ23を有するポリ(アクリル酸)が得られた。
【0140】
実施例2b: 実施例2aからのマクロRAFT剤を用いてのポリ(ブチルアクリレート)ラテックスの製造
実施例2aからのポリ(アクリル酸)マクロRAFT剤(1.2g,0.60mmol)及びトリエチルアミン(0.55mL,4.0mmol)を水(40mL)中に溶解しそして窒素でスパージし、次いで電磁撹拌しながら68°に加熱した。10min後、ブチルアクリレート(2.0mL,14mmol)及び4,4′−アゾビス(4−シアノペンタン酸)(50mg,0.18mmol)を添加し、そして撹拌を1h続行した。次いで、更なる4,4′−アゾビス(4−シアノペンタン酸)(10mg,0.035mmol)を添加し、そしてブチルアクリレート(2.1mL,0.16mol)の添加を0.25mL/minの速度にて始めた。添加の終わりにおいて、ラテックスの固形分含有率は34%であり、そして分子量特性は、制御重合について予期されるとおりであった。
【0141】
実施例2c: 実施例2からの2−[(2−フェニルエタンチオイル)スルファニル]コハク酸(21)を用いての、重合度n=ほぼ15を有するポリ(アクリル酸)マクロRAFT剤の製造
テトラヒドロフラン(50mL)中の2−[(2−フェニルエタンチオイル)スルファニル]コハク酸(21)(3.12g,11.0mmol)、4,4′−アゾビス(4−シアノペンタン酸)(200mg,0.71mmol)及びアクリル酸(11.3mL,0.164mmol)の溶液を窒素でスパージし、次いで68°にて9h加熱した。生じた溶液を減圧下で蒸発乾固させて、ゲル透過クロマトグラフィー(ポリスチレン標準)により示される場合の平均重合度n=ほぼ15を有するポリ(アクリル酸)が得られた。
【0142】
実施例2d: 実施例2cからのマクロRAFT剤を用いてのポリ(ブチルアクリレート−コ−スチレン)ラテックスの製造
実施例2cからのポリ(アクリル酸)マクロRAFT剤(350mg,0.26mmol)を水(10mL)中に溶解し、窒素でスパージし、次いで撹拌しそして68°に加熱した。トリエチルアミン(0.31mL,2.2mmol)及び4,4′−アゾビス(4−シアノペンタン酸)(50mg,0.18mmol)を添加し、次いで5min後、スチレンとブチルアクリレートの1:1混合物(2.0mL)を1.0mL/minの速度にて添加した。この添加が完了した時、水(2mL)中に溶解された更なる実施例2cからのポリ(アクリル酸)(300mg,0.22mmol)及びトリエチルアミン(0.40mL,5.4mmol)を、0.1mL/minの速度におけるスチレンとブチルアクリレートの1:1混合物(12mL)と同時に、0.02mL/minの速度にて添加した。添加が完了した後、撹拌及び加熱を2h続行した。最終ラテックスは48%固形分を有し、そして分子量特性は、制御重合について予期されるとおりであった。
【0143】
実施例2e: 実施例2からの2−[(2−フェニルエタンチオイル)スルファニル]コハク酸(21)を用いての、それぞれ重合度n=ほぼ5及びn=ほぼ20を有するポリ(アクリル酸)−ブロック−ポリ(ブチルアクリレート−コ−トリフルオロエチルメタクリレート)であるフッ素化マクロRAFT剤の製造
2−[(2−フェニルエタンチオイル)スルファニル]コハク酸(21)(0.995g,3.5mmol)、及び4,4′−アゾビス(4−シアノペンタン酸)である開始剤(196mg,0.70mmol)を、100mL丸底フラスコ中でテトラヒドロフラン(30g)中に溶解した。次いで、アクリル酸(1.26g,17.5mmol)を添加し、フラスコをゴムセプタムで密封し、そして窒素を溶液に15min通気した。このフラスコを油浴中に80°にて2h浸し、その後トリフルオロエチルメタクリレート(5.88g,35mmol)とブチルアクリレート(4.49g,35mmol)の混合物を反応物中に滴加した。4.5h後、少量の追加の開始剤を添加し、そして加熱を更に4h続行した。赤外分析により、モノマーのすべてが消費されていたことが示された。最終溶液は、29.1%固形分であった。
【0144】
実施例2f: 実施例2eからのフッ素化マクロRAFT剤を用いてのポリ(ブチルアクリレート−コ−メチルメタクリレート)ラテックスの製造
100mL丸底フラスコ中の4,4′−アゾビス(4−シアノペンタン酸)(120mg,0.43mmol)、水(17.4g)及び10%(w/w)水酸化ナトリウム溶液(0.95g,2.4mmol)を、開始剤がすべて溶解するまで電磁撹拌した。実施例2eからのジブロックコポリマー溶液(マクロRAFT剤0.45g(0.12mmol)を含有する溶液1.53g)を、高速撹拌しながら1minにわたって添加し、そして生じた混合物を10min撹拌して完全溶解を達成した。次いで、フラスコをゴムセプタムで密封し、そして溶液を15min撹拌しかつ窒素でスパージした。次いで、この反応物を加熱浴中に80°にて浸し、そして15min平衡化させた。次いで、メチルメタクリレート(6.00g,60.0mmol)とブチルアクリレート(6.00g,46.9mmol)の混合物を、シリンジから数回に分けて添加した。すなわち、2.6mLの最初の添加が、30min後、30min間隔にての各々1.3mLの8回の更なる添加により後続された。最終ラテックスは、39.2%の固形分含有率、及び多分散性Dw/Dn=1.11でもって平均粒子サイズDn=68.9nm(CHDF)を有していた。
【0145】
実施例3: 2−{[(ブチルスルファニル)カルボノチオイル]スルファニル}プロパン酸(15,R3=C49)の合成
【化18】

アセトン(700mL)及びテトラプロピルアンモニウムブロマイド(5.58g,21.0mmol)を、水(36mL)中の水酸化ナトリウム(10.5g,0.263mol)の溶液に撹拌しながら添加し、そして次いで1−ブタンチオール(23.7g,0.263mol)を添加した。20min後、二硫化炭素(17mL,21.7g,0.285mol)を添加し、そして撹拌を15min続行し、その後2−ブロモプロパン酸(40.14g,0.263mol)を添加した。反応物を一晩撹拌し、次いで2M塩酸(100mL)でpH<1に酸性化した。アセトンを減圧下で除去し、そして残存混合物をエーテル(400mL)で抽出した。この抽出物を水(2×100mL)、飽和塩化ナトリウム溶液(200mL)で洗浄し、乾燥(硫酸ナトリウム)し、そして蒸発させた。油状残留物を氷(500g)の添加により結晶化し、結晶を濾過により収集しそして水(5×100mL)で洗浄し、そして次いで真空乾燥器中で室温にて乾燥した。生じた不純生成物をエーテル(400mL)中に再溶解し、そして飽和重炭酸ナトリウム(5×150mL)で抽出した。一緒にされた水性抽出物を濃塩酸でpH<1に酸性化し、そしてエーテル(400mL)で抽出した。この有機抽出物を飽和塩化ナトリウム(200mL)で洗浄し、乾燥(硫酸ナトリウム)し、そして減圧下で蒸発させた。残留物を氷(500g)の添加により結晶化し、そしてこの固体を収集しそして水(5×150mL)で洗浄し、次いで真空乾燥器中で乾燥して、標題化合物(15,R3=C49)が黄色固体(39.0g,62%)として得られた。
【0146】
実施例3a: 実施例3からの2−{[(ブチルスルファニル)カルボノチオイル]スルファニル}プロパン酸(15,R3=C49)を用いての、重合度n=ほぼ5を有するポリ(アクリル酸)マクロRAFT剤の製造
2−{[(ブチルスルファニル)カルボノチオイル]スルファニル}プロパン酸(15,R3=C49)(3.30g,13.9mmol)、4,4′−アゾビス(4−シアノペンタン酸)(387mg,1.38mmol)、アクリル酸(5.01g,69.6mmol)及び水酸化ナトリウム(554mg,13.9mmol)を丸底フラスコ中で水(6.75g)中に溶解し、そしてゴムセプタムで蓋した。この溶液に窒素を5分間通気し、その後油浴中に60°にて2時間浸した。エレクトロスプレー質量分析法により、重合度n=ほぼ5であると確認された。
【0147】
実施例3b: 実施例3aからのマクロRAFT剤を用いてのポリ(ブチルアクリレート)ラテックスの製造
実施例3aからのポリ(アクリル酸)(マクロRAFT剤0.304g(0.508mmol)を含有する溶液0.585g)、4,4′−アゾビス(4−シアノペンタン酸)(73mg,0.26mmol)、水酸化ナトリウム(83.4mg,2.09mmol)及び水(80.3g)を丸底フラスコに添加し、しかしてこのフラスコを次いでゴムセプタムで密封した。この溶液を、15分間電磁撹拌しかつ通気窒素の流れでもって脱酸素した。このフラスコを油浴中に60°にて浸し、そしてブチルアクリレートの添加を開始した。20.0g(0.156mol)の総添加量を与えるために、この添加は、0.10gの最初の添加、その後1.00g/hにて2h、その後5.97g/hにて更なる3hの連続供給から成っていた。重合がより高い転化率に達するようにするために、反応をモノマー供給の停止後更に1時間進行させた。分子量(ポリスチレン標準)、固形分及び粒子サイズ(CHDF)データは、次の表に与えられている。
【0148】
【表2】

【0149】
実施例3c: 実施例3aにおける記載に従って製造されたポリ(アクリル酸)マクロRAFT剤及び開始剤としての過硫酸カリウムを用いてのポリ(ブチルアクリレート)ラテックスの製造
実施例3aに記載された手順に従って製造されたポリ(アクリル酸)マクロRAFT剤の溶液(マクロRAFT剤0.316g(0.528mmol)を含有する溶液0.601g)、過硫酸カリウム(73mg,0.27mmol)、水酸化ナトリウム(83mg,2.1mmol)及び水(80.8g)を丸底フラスコ中に入れ、しかしてこのフラスコを次いでゴムセプタムで密封した。この溶液を渦動させてRAFT剤を分散し、通気窒素の流れでもって脱酸素しながら電磁撹拌した。このフラスコを油浴中に60°にて浸し、そしてブチルアクリレート添加を開始した。20.0g(156mmol)の総添加量を与えるために、0.10gの最初の添加に、1.00g/hにて2h、次いで5.97g/hにて更に3hの連続供給を後続させた。転化率を最大にするために、モノマー供給の終了後、加熱を更に1時間続行した。
【0150】
実施例3d: 実施例3からの2−{[(ブチルスルファニル)カルボノチオイル]スルファニル}プロパン酸(15,R3=C49)を用いての、それぞれ重合度n=ほぼ5及びn=ほぼ20を有するポリ(アクリル酸)−ブロック−ポリ(ブチルアクリレート)マクロRAFT剤の製造
ジオキサン(15g)中の2−{[(ブチルスルファニル)カルボノチオイル]スルファニル}プロパン酸(15,R=C49)(1.13g,4.7mmol)、4,4′−アゾビス(4−シアノペンタン酸)(0.13g,0.47mmol)及びアクリル酸(1.72g,23.8mmol)の溶液を、50mL丸底フラスコ中で作製した。この溶液を5min磁気撹拌しかつ窒素でスパージし、次いで60°にて3h加熱した。この期間の終わりにおいて、ブチルアクリレート(12.04g,93.91mmol)をフラスコに添加し、そして加熱を80°にて更に20h続行した。生じたコポリマー溶液は、52.5%固形分を有していた。
【0151】
実施例3e: 実施例3dからのマクロRAFT剤を用いてのミニエマルジョン重合によるポリ(ブチルアクリレート)ラテックスの製造
実施例3dからのポリ(アクリル酸)−ブロック−ポリ(ブチルアクリレート)マクロRAFT剤溶液(マクロRAFT剤3.99g(1.2mmol)を含有する溶液7.60g)を100mLビーカー中でブチルアクリレート(24.5g,191mmol)及び水(46g)と混合し、そして激しく電磁撹拌した。次いで、水酸化ナトリウム(0.25g,6.2mmol)をこの混合物に添加して、白色乳濁液を形成させた。1h撹拌した後、Vibra-Cell Ultrasonic Processor(Sonics and Materials, Inc.)標準プローブを30%振幅にて用いて、該乳濁液を超音波処理に7分間付して、白色ミニエマルジョンを生じさせた。このミニエマルジョンを、4,4′−アゾビス(4−シアノペンタン酸)(28mg,0.10mmol)を含有する100mL丸底フラスコに移した。このフラスコをゴムセプタムで密封し、そしてミニエマルジョンを10min電磁撹拌しかつ窒素でスパージし、次いで油浴中で60°にて3h加熱した。この加熱期間の終わりにおいて、ラテックスは、36%固形分及び88nmの平均粒子サイズ(HPPS)を有していた。
【0152】
実施例3f: 実施例3からの2−{[(ブチルスルファニル)カルボノチオイル]スルファニル}プロパン酸(15,R3=C49)を用いての、それぞれ重合度n=ほぼ5及びn=ほぼ20を有するポリ(アクリル酸)−ブロック−ポリスチレンマクロRAFT剤の製造
2−{[(ブチルスルファニル)カルボノチオイル]スルファニル}プロパン酸(15,R3=C49)(0.666g,2.8mmol)、4,4′−アゾビス(4−シアノペンタン酸)(80mg,0.28mmol)及びアクリル酸(1.02g,14.2mmol)を、25mL丸底フラスコ中でジオキサン(7.5g)中に溶解した。この溶液を5分間磁気撹拌しかつ窒素でスパージし、次いで60°にて3h加熱した。この期間の終わりにおいて、スチレン(5.9g,57mmol)をフラスコに添加し、そして加熱を80°にて更に20h続行した。生じたコポリマー溶液は、45%固形分を有していた。
【0153】
実施例3g: 実施例3fからのマクロRAFT剤を用いてのミニエマルジョン重合によるポリスチレンラテックスの製造
実施例3hからのポリ(アクリル酸)−ブロック−ポリスチレンマクロRAFT剤溶液(マクロRAFT剤2.1g(0.86mmol)を含有する溶液4.7g)を100mLビーカー中でスチレン(5.04g,48mmol)及び水(45.5g)と混合し、そして激しく電磁撹拌した。次いで、水酸化ナトリウム(0.17g,4.3mmol)をこの混合物に添加して、白色乳濁液を形成させた。1h撹拌した後、Vibra-Cell Ultrasonic Processor(Sonics and Materials, Inc.)標準プローブを30%振幅にて用いて、該乳濁液を超音波処理に10分間付して、白色ミニエマルジョンを生じさせた。このミニエマルジョンを、4,4′−アゾビス(4−シアノペンタン酸)(15mg,0.052mmol)を含有する50mL丸底フラスコに移し、このフラスコをゴムセプタムで密封し、そして溶液を窒素で10分間スパージし、電磁撹拌し、次いで油浴中で60°にて3h加熱した。ポリマーの分子量分布を、転化率の関数として、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC,Waters HR4、HR3及びHR2カラムを備えたShimadzu,テトラヒドロフラン中5%酢酸溶離液、ポリスチレン標準、屈折率検出及びPolymer Laboratories CirrusTMソフトウエア)により決定した。平均分子量はほとんど線形に増加した一方、ポリマーの多分散性は常に1.2未満であり、スチレン重合が反応中マクロRAFT剤の制御下にあったことを指摘した。反応期間の終わりにおいて、固形分含有率は12%でそして平均粒子サイズは98nmであった。
【0154】
実施例3h: 実施例3fからのマクロRAFT剤を用いてのミニエマルジョン重合による、不飽和ポリエステルと共重合されたスチレンからのラテックスの製造
この実施例において用いられる不飽和ポリエステルは、マレイン酸無水物、フタル酸無水物及びプロピレングリコールから作られた専売物質(Dulux Australia)であり、そしてスチレン中66%溶液として供給される。
実施例3fからのポリ(アクリル酸)−ブロック−ポリスチレンマクロRAFT剤溶液(マクロRAFT剤2.15g(0.86mmol)を含有する溶液4.77g)を100mLビーカー中でスチレン(5.4g,52mmol)、不飽和ポリエステル樹脂(4.6g;スチレン中66%反応性ポリエステル)及び水(40g)と混合し、そして激しく電磁撹拌した。水酸化ナトリウム(0.18g,4.5mmol)をこの混合物に添加して、白色乳濁液を形成させた。1hの撹拌後、Vibra-Cell Ultrasonic Processor(Sonics and Materials, Inc.)標準プローブを30%振幅にて用いて、該乳濁液を超音波処理に10分間付して、白色ミニエマルジョンを生じさせた。このミニエマルジョンを、4,4′−アゾビス(4−シアノペンタン酸)(20mg,0.070mmol)を含有する50mL丸底フラスコに移した。このフラスコをゴムセプタムで密封し、そして10min窒素を乳濁液に通気しながら電磁撹拌した。次いで、このフラスコを、油浴中に60°にて3h浸した。この期間の終わりに、加熱を停止し、そして更なる分量の4,4′−アゾビス(4−シアノペンタン酸)(12mg,0.043mmol)をフラスコに添加した。この溶液を窒素で更に5minスパージし、温度を70°に上げ、そして加熱を更に3h再び続けた。最終ラテックスは23%固形分を有し、また137nmの平均粒子サイズ(HPPS)を有していた。
【0155】
実施例3i: 実施例3aにおける記載に従って製造されたポリ(アクリル酸)マクロRAFT剤を用いてのポリ(ブチルアクリレート)−ブロック−ポリスチレンのコア−シェル乳濁ポリマーの製造
実施例3aに記載された手順に従って製造されたポリ(アクリル酸)マクロRAFT剤の溶液(マクロRAFT剤0.350g(0.59mmol)を含有する溶液0.639g)、4,4′−アゾビス(4−シアノペンタン酸)(0.081g,0.29mmol)及び水酸化ナトリウム(0.094g,2.4mmol)を、100mL丸底フラスコ中で水(80g)中に溶解した。このフラスコをゴムセプタムで密封し、溶液を10min電磁撹拌しかつ窒素でスパージし、そして次いで60°に加熱した。次いで、脱酸素されたブチルアクリレート(10g,78mmol)を、次のように三段階にて3.5hにわたってシリンジポンプにより添加した。すなわち、最初に0.1gを投与し、次いで2hにわたって2gそして最後に1.5hにわたって7.9gを投与した。ブチルアクリレート添加が終了された後、加熱を更に1h続行した。この期間の終わりにおいて、脱酸素されたスチレン(10g,96mmol)を反応物に添加し、温度を75°に上げ、そして加熱を更に20h続行した。生じたラテックスは21%の固形分を有し、そしてTEM及びHPPSにより決定された平均粒子サイズは50nmであった。ラテックス粒子のコア−シェル特質が、電子顕微鏡法により示された。
【0156】
実施例3j: 実施例3dからのマクロRAFT剤を用いての、ミニエマルジョン重合及びその後の緩速ブチルアクリレート添加を含む二段階法によるポリ(ブチルアクリレート)ラテックスの製造
実施例3dからのポリ(アクリル酸)−ブロック−ポリ(ブチルアクリレート)マクロRAFT剤溶液(マクロRAFT剤1.04g(0.31mmol)を含有する溶液1.98g)、ブチルアクリレート(5.67g,44.2mmol)、水(50g)及び水酸化ナトリウム(67mg,1.7mmol)を100mLビーカー中で混合し、そして1h激しく電磁撹拌した。Vibra-Cell Ultrasonic Processor(Sonics and Materials, Inc.)標準プローブを30%振幅にて用いて、生じた乳濁液を超音波処理に2分間付した。生じたミニエマルジョンを、4,4′−アゾビス(4−シアノペンタン酸)(63mg,0.22mmol)を含有する100mL丸底フラスコに移した。このフラスコをゴムセプタムで密封し、そして10min電磁撹拌しかつ窒素でスパージし、次いで油浴中で70°にて加熱した。1h後、シリンジポンプを用いて、ブチルアクリレート(35.4g,276mmol,窒素スパージングにより脱酸素されたもの)を反応物に2hにわたって添加した。ブチルアクリレート添加の終わりに、加熱を更に1h続行した。最終ラテックスは、41%の固形分含有率及び132nmの平均粒子サイズ(HPPS)を有していた。
【0157】
実施例4: 2−{[(ドデシルスルファニル)カルボノチオイル]スルファニル}プロパン酸(15,R3=C1225)の合成
【化19】

ドデカンチオール(2.50g,12.5mmol)、アセトン(40mL)及びテトラプロピルアンモニウムブロマイド(0.27g,0.10mmol)を、水(5mL)中の水酸化ナトリウム(0.50g,12.5mmol)の溶液に添加した。生じた溶液を氷浴中で冷却し、そして二硫化炭素(0.75mL,0.95g,12.5mmol)で処理した。20min後、2−ブロモプロパン酸(1.91g,12.5mmol)を添加し、そしてこの混合物を周囲温度にて12h撹拌した。この溶液を1/4容量まで蒸発させ、そして2M塩酸(50mL)でゆっくり酸性化し、次いで水(150mL)で更に希釈した。生じた固体を収集しそしてエーテル/石油エーテルから再結晶して、標題化合物(15,R3=C1225)が黄色結晶(3.33g,76%)として得られた。
【0158】
実施例4a: 実施例4からの2−{[(ドデシルスルファニル)カルボノチオイル]スルファニル}プロパン酸(15,R3=C1225)を用いての、重合度n=ほぼ5を有するポリ(アクリル酸)マクロRAFT剤の製造
2−{[(ドデシルスルファニル)カルボノチオイル]スルファニル}プロパン酸(15,R3=C1225)(1.00g,2.86mmol)、4,4′−アゾビス(4−シアノペンタン酸)(82mg,0.29mmol)及びアクリル酸(1.03g,14.3mmol)を丸底フラスコ中でジオキサン(4.0g)中に溶解し、そしてゴムセプタムで蓋した。この溶液に窒素を5分間通気し、その後油浴中に60°にて2時間浸した。1H−NMR分光法及びエレクトロスプレー質量分析法により、重合度n=ほぼ5であると確認された。
【0159】
実施例4b: 実施例4aからのマクロRAFT剤を用いてのポリ(ブチルアクリレート)ラテックスの製造
実施例4aからのポリ(アクリル酸)(マクロRAFT剤0.36g(0.51mmol)を含有する溶液1.07g)、4,4′−アゾビス(4−シアノペンタン酸)(73mg,0.26mmol)、水酸化ナトリウム(104mg,2.6mmol)及び水(80.0g)を丸底フラスコに添加し、しかしてこのフラスコを次いでゴムセプタムで密封した。この溶液を、電磁撹拌しかつ通気窒素の流れでもって脱酸素した。このフラスコを油浴中に60°にて浸し、そしてブチルアクリレートの添加を開始した。20.0g(0.156mol)の総添加量を与えるために、この添加は、0.10gの最初の添加、その後1.00g/hにて2h、その後5.97g/hにて更なる3hの連続供給から成っていた。重合が高い転化率に達するようにするために、反応をモノマー供給の停止後更に1時間進行させた。生じたラテックスは19.1%固形分を有し、そしてラテックスポリマーはMn=57800と共に、Mw/Mn=1.79(ポリスチレン標準)を有していた。
【0160】
実施例4c: 実施例4からの2−{[(ドデシルスルファニル)カルボノチオイル]スルファニル}プロパン酸(15,R3=C1225)から直接的にポリ(ブチルアクリレート)ラテックスの製造
2−{[(ドデシルスルファニル)カルボノチオイル]スルファニル}プロパン酸(15,R3=C1225)(182mg,0.520mmol)及び25%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液(223mg,0.614mmol)を丸底フラスコ中の水(80.0g)に添加し、そしてこの混合物を振とうしてRAFT剤を溶解した。次いで、4,4′−アゾビス(4−シアノペンタン酸)(76mg,0.27mmol)を添加し、そしてフラスコをゴムセプタムで蓋しそして振とうした。この溶液を、15分間電磁撹拌しかつ通気窒素の流れでもって脱酸素した。このフラスコを油浴中に60°にて浸し、そしてブチルアクリレート添加を開始した。20.0g(0.156mol)の総添加量を与えるために、最初の添加(0.10g)に、1.00g/hにて2h、次いで5.97g/hにて更に3hの連続供給を後続させた。重合が高い転化率に達するようにするために、反応をモノマー供給の停止後更に1時間進行させた。固形分、分子量(ポリスチレン標準)及び粒子サイズ(CHDF)データは、次の表に与えられている。
【0161】
【表3】

【0162】
実施例5: 2−{[(ブチルスルファニル)カルボノチオイル]スルファニル}コハク酸(16,R3=C49)の合成
【化20】

トリエチルアミン(13.9mL,10.1g,100mmol)を、エーレンマイヤーフラスコ中におけるテトラヒドロフラン(20mL)中のブタンチオール(9.00g,100mmol)及び二硫化炭素(12.6g,10.0mL,166mmol)の撹拌溶液に、シリンジにより添加した。この反応物を周囲温度にて1h撹拌し、次いでテトラヒドロフラン(90mL)中のマレイン酸(38.3g,330mmol)の撹拌溶液中に急速に注いだ。エーレンマイヤーフラスコを更なるテトラヒドロフラン(総量約10mL)でゆすぎ、しかしてこれもまた該マレイン酸溶液に添加した。この反応物を周囲温度にて0.5h撹拌し、次いで3M−HCl(50mL)を含有する水(200mL)中に注ぎ、そして3:1(v/v)のエーテル−ジクロロメタン(250mL)で抽出した。水性層をいくらか存在する不溶性黄色物質からデカントし、次いで更なる3:1(v/v)のエーテル−ジクロロメタン(40mL)で抽出した。これらの二つの有機抽出物を一緒にしそして水(6×250mL)で洗浄し、次いで上層がもはや黄色でなくなるまで、0.5M重炭酸ナトリウム溶液(7×50mL)で抽出した。一緒にされた重炭酸塩抽出物をジクロロメタン(2×70mL)で洗浄し、次いで700mLの総容量まで水で希釈し、そして激しい(電磁)撹拌下で10M−HClで酸性化した。数分後、初期の油状沈殿物は固化した。撹拌を一晩続行し、そして生成物を濾過により収集し、水で十分に洗浄しそして風乾して、標題化合物(16,R=C49)が鮮やかな黄色の微結晶(24.0g,85%)として得られた。
【0163】
実施例5a: 実施例5からの2−{[(ブチルスルファニル)カルボノチオイル]スルファニル}コハク酸(16,R3=C49)を用いての、重合度n=ほぼ15を有するポリ(アクリル酸)マクロRAFT剤の製造
小さいガラスバイアルに、2−{[(ブチルスルファニル)カルボノチオイル]スルファニル}コハク酸(16,R3=C49)(0.564g,2.00mmol)、4,4′−アゾビス(4−シアノペンタン酸)(32mg,0.10mmol)、アクリル酸(2.16g,30.0mmol)及び水(5.40g)を装填した。小さい撹拌棒磁石を入れ、そしてバイアルをゴムセプタムで栓をし、次いで15min撹拌しかつ窒素でスパージした。次いで、この反応物を加熱しそして85°にて4h撹拌し、しかして冷却後、33%固形分を含有するわずかに粘稠な明澄黄色溶液が得られた。ポリ(アクリル酸)マクロRAFT剤の分子量(Mn=1500)は、1H−NMRスペルトルから推定された。
【0164】
実施例5b: 実施例5aのマクロRAFT剤を用いてのポリ(ブチルアクリレート−コ−スチレン−コ−アクリル酸)ラテックスの製造
【表4】

【0165】
撹拌棒磁石及び段階Aを含有する100mL丸底フラスコをゴムセプタムで密封しそして窒素で30min脱酸素し、次いで加熱浴中に85°にて、平衡化させるのに十分な時間浸した。次いで、この予備平衡化された反応フラスコに、実施例3aのマクロRAFT溶液が組み込まれている段階Bを添加した。撹拌を開始し、そして段階Cをシリンジにより1mL分量ずつ5minにわたって添加した。更に0.5h後、段階D(シリンジにより20min間隔にて0.5mL分量ずつ)及び段階E(4hにわたって滴下漏斗から滴下的に)の同時添加を開始した。段階Eの添加の終了後、加熱及び撹拌を更に2h続行した。生じたラテックスは39.0%固形分であり、そしてラテックスポリマーはMn=66400と共に、Mw/Mn=1.49(ポリスチレン標準)を有していた。
【0166】
実施例5c: 実施例5からの2−{[(ブチルスルファニル)カルボノチオイル]スルファニル}コハク酸(16,R3=C49)を用いての、重合度n=ほぼ15を有するポリ(アクリル酸)マクロRAFT剤の製造
2−{[(ブチルスルファニル)カルボノチオイル]スルファニル}コハク酸(16,R3=C49)(2.82g,10.0mmol)、4,4′−アゾビス(4−シアノペンタン酸)(0.28g,1.0mmol)、アクリル酸(10.8g,150mmol)及び水(41.8g)を、撹拌棒磁石を含有する100mL丸底フラスコ中に入れた。このフラスコをゴムセプタムで密封し、そして30min撹拌しかつ窒素でスパージし、次いで85°にて5h加熱しかつ撹拌した。生じた黄色溶液は、24.6%固形分を有していた。ポリ(アクリル酸)マクロRAFT剤の分子量(重合度n=ほぼ15に相当するMn=1360)、及び未反応モノマー(<0.7%)は、1H−NMR分光法により推定された。
【0167】
実施例5d: 実施例5cのマクロRAFT剤を用いてのポリ(メチルメタクリレート−コ−スチレン−コ−ブチルアクリレート−コ−アクリル酸)ラテックスの製造
【表5】

【0168】
マルチネック口に機械撹拌機及び還流凝縮器が取り付けられた500mLフラスコに、段階Aを添加した。このフラスコを30min窒素で脱酸素し、次いで水浴中に80°にて、平衡化させるのに十分な時間浸した。段階Bの移動を助けるべき加熱の開始前に、アリコート(約5mL)をシリンジにより取り出した。
段階Bを小さいバイアル中で組成し、次いで段階Aのフラスコに添加し、段階Aの該アリコートを用いて該バイアルをゆすいだ。
段階Cを、蠕動ポンプにより15分にわたって添加した。このフラスコの内容物は、数分内で曇った。
15分後、段階D(1.5hにわたって)及び段階E(3hにわたって)の同時添加を開始した。モノマー供給管路を段階Fで洗浄し、そして次いで段階Gを添加した。この反応物を加熱し、そして更に30分間撹拌した。
段階Hを添加し、そして段階Iを45分にわたって供給した。段階J及びKを、15分間隔にて添加した。
この反応物を室温に冷却し、そして段階L及びMを添加した。
生じたラテックスは、40.1%の固形分を有していた。
【0169】
実施例5e: 実施例5cのマクロRAFT剤を用いてのポリ(メチルメタクリレート−コ−ブチルアクリレート−コ−トリフルオロエチルメタクリレート−コ−アクリル酸)ラテックスの製造
【表6】

マルチネック口に機械撹拌機及び還流凝縮器が取り付けられた500mLフラスコに、段階Aを添加した。このフラスコを30min窒素で脱酸素し、次いで水浴中に80°にて、平衡化させるのに十分な時間浸した。段階Bの移動を助けるべき加熱の開始前に、アリコート(約5mL)をシリンジにより取り出した。
段階Bを小さいバイアル中で組成し、次いで段階Aのフラスコに添加し、段階Aの該アリコートを用いて該バイアルをゆすいだ。
段階Cを1分にわたって滴加し、そして反応物を20分間保持した。
段階Dを、蠕動ポンプにより1時間にわたって添加した。このフラスコの内容物は、数分内で曇った。
【0170】
段階E(1.5hにわたって)及び段階F(3hにわたって)の同時添加を開始した。モノマー供給管路を段階Gで洗浄し、そして次いで段階Hを添加した。この反応物を加熱し、そして更に30分間撹拌した。
段階Iを添加し、そして段階Hを45分にわたって供給した。段階K及びLを、15分間隔にて添加した。
この反応物を室温に冷却し、そして段階M及びNを添加した。
完成ラテックスは、41.5%の固形分を有していた。
【0171】
実施例5f: 実施例5eとして製造されたRAFTラテックスをベースとしたペイントの製造
【表7】

段階A成分を、適当な大きさの容器に、撹拌しながら順に添加した。段階B成分を添加し、そして次いで高速度にて20min分散した。一緒にされた段階A及びBを別の容器に添加し、そして段階C及びDを用いて分散容器をゆすいだ。段階E成分を予備混合し、そして一緒にされたA〜Dに撹拌しながら添加し、そしてこの一緒にされたものを更に20分間撹拌した。段階Gを予備混合しそして鉛筆様細流として添加し、そしてこのペイントを段階Hで最終的に調整した。
【0172】
この実験ペイントは、重量固形分51.5%、容量固形分37.7%及び顔料容量濃度50.5%を有していた。
【0173】
このペイントを、比較品としての商業用の高級品質の内部用水性白色ペイントと共に、単一シールドパネルに並んで施用した。これらのペイントは、比較できる皮膜厚を達成するように、ワイヤドローダウンバーで施用された。これらのペイントを50°にて1時間乾燥しそして次いで様々な普通の家庭汚れを両皮膜に施し、そして1時間放置した後、慣用の家庭用噴霧クリーナーでもって除去した。汚れは、様々な親水性タイプたとえばコーヒー、赤ワイン、水性マーカー並びに比較的疎水性すなわちクレヨン、油性パステル、口紅及びグリースから選択された。皮膜の表面上に残された汚れの残存量を、除去の程度に基づいて採点した。すなわち、5=最良(すなわち、完全除去)、0=最悪(無除去)。
【表8】

【0174】
マクロRAFT安定剤の一部として付加されたフッ素化モノマーを含有する実施例5eのラテックスをベースとした実施例5fのペイントは、商業用の対照ペイントより優れた耐汚れ性を示す。
【0175】
実施例5g: 実施例5からの2−{[(ブチルスルファニル)カルボノチオイル]スルファニル}コハク酸(16,R3=C49)を用いての、重合度n=ほぼ15を有するポリ(2−ヒドロキシエチルアクリレート)マクロRAFT剤の製造
50mL丸底フラスコに、4,4′−アゾビス(4−シアノペンタン酸)(0.16g,0.50mmol)、2−{[(ブチルスルファニル)カルボノチオイル]スルファニル}コハク酸(16,R3=C49)(1.41g,5.00mmol)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(8.70g,75.0mmol)及び水(15.8g)を装填した。このフラスコにゴムセプタムを嵌め、そして30min窒素で脱酸素しながら内容物を電磁撹拌した。次いで、このフラスコを浴中に85°にて浸しそして4h撹拌し、その後更なる水(15.0g)を添加した。生じた溶液は、24.6%固形分を有していた。1H−NMRは重合度n=ほぼ15を指摘し、また約1%の未反応2−ヒドロキシエチルアクリレートを示した。
【0176】
実施例5h: 実施例5gのマクロRAFT剤を用いてのポリ(ブチルアクリレート−コ−メチルメタクリレート−コ−アクリル酸)ラテックスの製造
【表9】

撹拌棒磁石を含有する三つ口丸底フラスコに段階A及びBを装填し、0.5h窒素で脱酸素し、次いで浴中に85°にて浸し、そして撹拌しながら、約1.5hにわたってヒルシュベルグ漏斗により段階C(前もって脱酸素されたもの)をそして次いで約4hにわたって段階D(前もって脱酸素されたもの)を添加した。冷却後、少量の凝塊(60□mフィルター)の除去により、24.9%固形分の安定なラテックスが得られた。
【0177】
実施例5i: 実施例5からの2−{[(ブチルスルファニル)カルボノチオイル]スルファニル}コハク酸(16,R3=C49)を用いての、総合重合度n=ほぼ10を有する2−ヒドロキシエチルアクリレートとメトキシPEG−7メタクリレートのコポリマーをベースとしたマクロRAFT剤の製造
Sartomer CD-550は、1H−NMRにより決定される場合の平均重合度n=ほぼ7を有するメトキシポリ(エチレングリコール)のメタクリレートエステルである。
50mL丸底フラスコに、4,4′−アゾビス(4−シアノペンタン酸)(0.16g,0.50mmol)、2−{[(ブチルスルファニル)カルボノチオイル]スルファニル}コハク酸(16,R3=C49)(1.41g,5.00mmol)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(2.90g,25.0mmol)、Sartomer CD-550(10.2g,25.0mmol)及び水(22.0g)を装填した。このフラスコにゴムセプタムを嵌め、そして30min窒素で脱酸素しながら内容物を電磁撹拌した。次いで、このフラスコを浴中に60°にて浸しそして4h撹拌し、その後更なる水(22.0g)を添加した。生じた溶液は、24.4%固形分を有していた。1H−NMRは3%の未反応2−ヒドロキシエチルアクリレートを示し、また検出できるCD-550を示さなかった。
【0178】
実施例5j: 実施例5iのマクロRAFT剤を用いてのポリ(ブチルアクリレート−コ−メチルメタクリレート−コ−アクリル酸)ラテックスの製造
【表10】

撹拌棒磁石を含有する三つ口丸底フラスコに段階A及びBを装填し、0.5h窒素で脱酸素し、次いで浴中に60°にて浸し、そして撹拌しながら、約1.5hにわたってシリンジポンプにより段階C(前もって脱酸素されたもの)をそして次いで約4hにわたって段階D(前もって脱酸素されたもの)を添加した。冷却後、少量の凝塊(60□mフィルター)の除去により、26.1%固形分の安定なラテックスが得られた。
【0179】
実施例5k: 実施例5からの2−{[(ブチルスルファニル)カルボノチオイル]スルファニル}コハク酸(16,R3=C49)を用いての、総合重合度n=ほぼ10を有する2−ヒドロキシエチルアクリレートとメトキシPEG−11メタクリレートのコポリマーをベースとしたマクロRAFT剤の製造
Sartomer CD-552は、1H−NMRにより決定される場合の平均重合度n=ほぼ11を有するメトキシポリ(エチレングリコール)のメタクリレートエステルである。
50mL丸底フラスコに、4,4′−アゾビス(4−シアノペンタン酸)(0.16g,0.50mmol)、2−{[(ブチルスルファニル)カルボノチオイル]スルファニル}コハク酸(16,R3=C49)(1.41g,5.00mmol)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(2.90g,25.0mmol)、Sartomer CD-552(14.6g,25.0mmol)及び水(29.0g)を装填した。このフラスコにゴムセプタムを嵌め、そして30min窒素で脱酸素しながら内容物を電磁撹拌した。次いで、このフラスコを浴中に85°にて浸しそして4h撹拌し、その後更なる水(28.0g)を添加した。生じた溶液は、24.9%固形分を有していた。1H−NMRは2%の未反応2−ヒドロキシエチルアクリレートを示し、また検出できるCD-552を示さなかった。
【0180】
実施例5l: 実施例5kのマクロRAFT剤を用いてのポリ(ブチルアクリレート−コ−メチルメタクリレート−コ−アクリル酸)ラテックスの製造
【表11】

撹拌棒磁石を含有する三つ口丸底フラスコに段階A及びBを装填し、0.5h窒素で脱酸素し、次いで浴中に70°にて浸し、そして撹拌しながら、約1.5hにわたってシリンジポンプにより段階C(前もって脱酸素されたもの)をそして次いで約4hにわたって段階D(前もって脱酸素されたもの)を添加した。冷却後、少量の凝塊(60□mフィルター)の除去により、23.4%固形分の安定なラテックスが得られた。
【0181】
実施例6: 2−{[(ドデシルスルファニル)カルボノチオイル]スルファニル}コハク酸(16,R3=C1225)の合成
【化21】

トリエチルアミン(13.0mL,9.4g,93mmol)を、エーレンマイヤーフラスコ中におけるテトラヒドロフラン(25mL)中のドデカンチオール(20.2g,100mmol)及び二硫化炭素(12.6g,10.0mL,166mmol)の撹拌溶液に、シリンジにより添加した。この反応物を周囲温度にて1h撹拌し、次いでテトラヒドロフラン(90mL)中のマレイン酸(38.3g,330mmol)の撹拌溶液中に急速に注いだ。エーレンマイヤーフラスコを更なるテトラヒドロフラン(総量約10mL)でゆすぎ、しかしてこれもまた該マレイン酸溶液に添加した。この反応物を周囲温度にて0.5h撹拌し、次いで3M−HCl(50mL)を含有する水(200mL)中に注ぎ、そして3:1(v/v)のエーテル−ジクロロメタン(250mL)で抽出した。水性層をいくらか存在する不溶性黄色物質からデカントし、次いで更なる3:1(v/v)のエーテル−ジクロロメタン(40mL)で抽出した。これらの二つの有機抽出物を一緒にし、水(4×250mL)で洗浄し、そして蒸発させた。この粗製生成物をエタノール(150mL)中に溶解し、そして激しく(電磁)撹拌しながら水(1200mL)にゆっくり添加した。撹拌を一晩続行し、そして生成物を濾過により収集し、水で十分に洗浄し、風乾しそして少量のエタノールを含有するヘキサンから再結晶して、標題化合物(16,R3=C1225)が黄色粉末(30.2g,77%)として得られた。
【0182】
実施例6a: 唯一の安定剤としての実施例6からの未変性2−{[(ドデシルスルファニル)カルボノチオイル]スルファニル}コハク酸(16,R3=C1225)を用いてのポリ(ブチルアクリレート)ラテックスの製造
2−{[(ドデシルスルファニル)カルボノチオイル]スルファニル}コハク酸(0.206g,0.522mmol)、4,4′−アゾビス(4−シアノペンタン酸)(73mg,0.26mmol)、水酸化ナトリウム(42mg,1.06mmol)及び水(80.5g)を丸底フラスコに添加し、しかしてこのフラスコを次いでゴムセプタムで密封した。この溶液を渦動させてRAFT剤を分散し、そして次いでフラスコ内容物を通気窒素の流れでもって脱酸素しながら電磁撹拌した。このフラスコを油浴中に60°にて浸し、そしてブチルアクリレート添加を開始した。20.0g(0.156mol)の総添加量を与えるために、この添加は、0.10gの最初の添加、その後1.00g/hにて2h、その後5.97g/hにて更なる3hの連続供給から成っていた。重合がより高い転化率に達するようにするために、反応をモノマー供給の停止後更に1時間進行させた。
【0183】
実施例7: 2−{[(ドデシルスルファニル)カルボノチオイル]スルファニル}−2−メチルプロパン酸(19,R3=C1225)の合成
【化22】

アセトン(30mL)中のドデカンチオール(12mL,50mmol)及びテトラプロピルアンモニウムブロマイド(0.54g,2.0mmol)の撹拌溶液を50%水酸化ナトリウム溶液(4.2g,53mmol)で処理し、そしてその後アセトン(10mL)中の二硫化炭素(2.4mL,50mmol)の溶液をゆっくり添加した。この混合物を20min撹拌し、しかしてその時点までに固体のほとんどが溶解していた。次いで、クロロホルム(6.0mL,25mmol)を添加し、そして次いで50%水酸化ナトリウム溶液(20mL)及び固体水酸化ナトリウム(2.5g,62.5mmol)を添加した。熱の発生を制御するために、このフラスコを水浴中に置いた。2h後、この混合物をアセトン(50mL)で希釈し、そして濾過した。収集された固体を、アセトン(2×25mL)で洗浄した。一緒にされた濾液及び洗液を減圧下で蒸発させてほぼ乾固し、次いで水(200mL)で希釈し、そして濃塩酸でpH<1に酸素化した。沈殿物を収集し、水(2×30mL)で洗浄し、そして乾燥した。生じた固体を50:50のエーテル/石油エーテル(200mL)中に溶解し、そして蒸発させてほぼ乾固した。石油エーテル(50mL)を添加し、そして生じた溶液を4°に一晩保って生成物を結晶化した。所望トリチオカーボネート(19,R3=C1225)が、黄色結晶(5.31g,29%)として得られた。
【0184】
実施例8: 2,2′−[(チオキソメチレン)ジ(スルファニル)]ビス(2−メチルプロパン酸)(24)の合成
【化23】

この化合物をLai,J.T.、Filla,D、Shea,R.,Macromolecules 2002,35,6754の手順に従って製造し、しかして黄色微粉末として得られた。
【0185】
実施例8a: 実施例8からの2,2′−[(チオキソメチレン)ジ(スルファニル)]ビス(2−メチルプロパン酸)(24)を用いての、2つの親水性端部を有しかつ重合度n=ほぼ10を有するポリ(アクリル酸)マクロRAFT剤の製造
2,2′−[(チオキソメチレン)ジ(スルファニル)]ビス(2−メチルプロパン酸)(22)(0.150g,0.532mmol)、4,4′−アゾビス(4−シアノペンタン酸)(30mg,0.11mmol)、アクリル酸(0.388g,5.38mmol)、水酸化ナトリウム(42.5mg,1.06mmol)、水(2.00g)及びジオキサン(1.00g)を、10mL丸底フラスコ中に入れた。このフラスコをゴムセプタムで密封し、そして渦動させて内容物を溶解した。生じた溶液を、5min窒素を通気することにより脱酸素した。次いで、このフラスコを油浴中に60°にて浸し、そして重合を2h進行させた。
【0186】
実施例8b: 実施例8aのマクロRAFT剤を用いてのポリ(ブチルアクリレート)ラテックスの製造
実施例8aからのポリ(アクリル酸)溶液(マクロRAFT剤0.262g(0.262mmol)を含有する溶液1.76g)、4,4′−アゾビス(4−シアノペンタン酸)(71mg,0.25mmol)、水酸化ナトリウム(83mg,2.1mmol)及び水(83.3g)を丸底フラスコに入れ、しかしてこのフラスコを次いでゴムセプタムで密封した。この溶液を渦動させてRAFT剤を分散し、そして次いで磁気撹拌しかつ通気窒素の流れでもって脱酸素した。このフラスコを油浴中に60°にて浸し、そしてブチルアクリレート添加を開始した。20.0g(0.156mol)の総添加量を与えるために、0.10gの最初の添加に、1.00g/hにて2h、次いで5.97g/hにて更に3hの連続供給を後続させた。モノマー添加の終了後、加熱を更に1時間続行した。
【0187】
実施例9: 2−アミノ−1−メチル−2−オキソエチルブチルトリチオカーボネート(25,R3=C49)の合成
【化24】

アセトン(230mL)、テトラプロピルアンモニウムブロマイド(1.86g,6.67mmol)及びブタンチオール(9.3mL,7.8g,8.8mmol)を水(12mL)中の水酸化ナトリウム(3.5g,88mmol)の溶液に添加し、そしてこの混合物を施栓フラスコ中で20min撹拌した。二硫化炭素(5.7mL,7.2g,95mmol)を添加し、そしてこの溶液を更に20min撹拌した。2−ブロモプロピオンアミド(13.3g,87.5mmol)を添加し、そしてこの混合物を14h放置した。この反応物を2M塩酸(50mL)で酸性化し、そして減圧下での蒸発により容量を約100mLに減じた。残留物を水(400mL)で希釈し、そしてエチルアセテート(400mL)で抽出した。有機層を水(100mL)及び飽和塩化ナトリウム(100mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムでもって乾燥し、そして減圧下で蒸発乾固した。残留物をエーテル(200mL)及び石油エーテル(150mL)中に溶解し、そしてシリカゲルで3/4満たした10cm直径ブフナー漏斗に通した。濾液を約1/2容量に濃縮して、標題化合物が黄色結晶の収穫物として得られた(15.7g,76%)。該シリカゲルをエチルアセテートで洗浄し、そして次いで結晶の第1収穫物からの母液と一緒にした。生じた溶液を減圧下で蒸発乾固し、そしてエーテル/石油エーテルを用いてのクロマトグラフィーにより部分的に精製した。エーテル/石油エーテルからの再結晶により、該トリチオカーボネートの第2収穫物が得られた(3.76g,18%)。一緒にされた収穫物のエーテル/石油エーテルからの再結晶により、分析上純粋なサンプルが得られた。(17.5g,84%)。
【0188】
実施例9a: 実施例9からの2−アミノ−1−メチル−2−オキソエチルブチルトリチオカーボネート(25,R3=C49)を用いての、重合度n=ほぼ15を有するポリアクリルアミドマクロRAFT剤の製造
2−アミノ−1−メチル−2−オキソエチルブチルトリチオカーボネート(25,R3=C49)(0.556g,2.34mmol)、2,2′−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}(97mg,0.024mmol)、アクリルアミド(2.50g,35.2mmol)、ジオキサン(15.2g)及び水(5.01g)を、10mL丸底フラスコに添加した。これをゴムセプタムで蓋しそして渦動させてRAFT剤を溶解し、そして生じた溶液を、5min窒素を通気することにより脱酸素した。次いで、このフラスコを油浴中に60°にて2h、次いで85°にて更に2h浸して、重合を遂行した。
【0189】
実施例9b: 実施例9aからのポリアクリルアミドマクロRAFT剤を用いての、非イオン的に安定化されたポリ(ブチルアクリレート)の製造
実施例9aからのポリアクリルアミドマクロRAFT剤溶液(マクロRAFT剤0.524mmolを含有する溶液4.40g)、2,2′−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}(0.105g,0.257mmol)、塩化ナトリウム(0.153g,2.62mmol)及び水(80.0g)を丸底フラスコに添加し、しかしてこのフラスコを次いでゴムセプタムで密封した。この溶液を渦動させてRAFT剤を分散し、そして次いで通気窒素の流れでもってフラスコ内容物を脱酸素しながら電磁撹拌した。このフラスコを油浴中に75°にて浸し、そしてブチルアクリレート添加を0.10gの初期添加で開始し、その後1.00g/hにて2h、次いで5.97g/hにて更に3h連続供給して20.0g(0.156mol)の総添加量を与えた。重合が高い転化率に達するようにするために、モノマー供給の終了後、加熱を1h続行した。
【0190】
実施例9c: 実施例9からの2−アミノ−1−メチル−2−オキソエチルブチルトリチオカーボネート(25,R3=C49)を用いての、それぞれ重合度n=ほぼ25及びn=ほぼ13を有するポリ(アクリルアミド)−ブロック−ポリスチレンマクロRAFT剤の製造
50mL丸底フラスコ中におけるジオキサン(10g)及び水(3.1g)中の2−アミノ−1−メチル−2−オキソエチルブチルトリチオカーボネート(0.233g,0.983mmol)、2,2′−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}(0.042g,0.102mmol)及びアクリルアミド(1.78g,25.1mmol)の溶液を、5min電磁撹拌しかつ窒素でスパージした。次いで、このフラスコを、80°にて1.5h加熱した。この期間の終わりに、スチレン(2.02g,19.4mmol)をフラスコに添加し、そして加熱を80°にて更に20h続行した。生じたコポリマー溶液は、19.7%固形分を有していた。
【0191】
実施例9d: 実施例9cからのマクロRAFT剤を用いてのポリ(スチレン−コ−ジビニルベンゼン)懸濁ポリマーの製造
2,2′−アゾビス(イソブチロニトリル)(0.48g,2.9mmol)を、超音波浴を用いて、250mLボトル中のスチレン(41.3g,0.40mol)及びジビニルベンゼン(0.58g,4.5mmol)中に溶解した。清澄な溶液が得られた時、実施例9cからのジブロックコポリマー溶液(マクロRAFT剤0.33g(0.098mmol)を含有する溶液1.7g)及び水(157g)を添加し、そしてこの混合物を10分の期間にわたって断続的に激しく振とうした。かくして得られた粗製分散液を、15,000psiにて動作するAvestin Emulsiflex C50ホモジナイザーに5分の期間再循環させた。生じた乳濁液を250mL丸底フラスコに移し、5min窒素でスパージし、オーバーヘッド撹拌機でもって138rpmにて撹拌し、そして水浴中で70°に加熱した。その撹拌速度及び温度にてかつ窒素ブランケット下で、反応を21h続行した。実質的に1から10□m(光学顕微鏡法により推定される場合)の粒子サイズを有する粒子の分散液が得られた。
【0192】
実施例9e: 実施例9からの2−アミノ−1−メチル−2−オキソエチルブチルトリチオカーボネート(25,R3=C49)を用いての、重合度n=ほぼ5を有するポリ(N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート)マクロRAFT剤の製造
2−アミノ−1−メチル−2−オキソエチルブチルトリチオカーボネート(25,R3=C49)(0.288g,121mmol)、2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(34mg,0.13mmol)、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)(0.956g,6.09mmol)、ジオキサン(2.25g)及び水(2.24g)を、10mL丸底フラスコ中に入れた。このフラスコをゴムセプタムで蓋しそして渦動させてRAFT剤を溶解し、そしてこの溶液を、5min窒素を通気することにより脱酸素した。次いで、このフラスコを油浴中に60°にて2.5h浸して、重合を進行させた。
【0193】
実施例9f: 実施例9eからのポリDMAEMAマクロRAFT剤を用いての、カチオン的に安定化されたポリ(ブチルアクリレート)ラテックスの製造
実施例9eからのポリDMAEMAマクロRAFT剤溶液(マクロRAFT剤0.52mmolを含有する溶液2.47g)、2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(71mg,0.26mmol)、32%塩酸(0.210g,1.84mmol)及び水(80.1g)を丸底フラスコ中に入れ、しかしてこのフラスコを次いでゴムセプタムで密封し、そして渦動させてRAFT剤を分散した。次いで、生じた溶液を、通気窒素の流れでもって脱酸素しながら電磁撹拌した。このフラスコを油浴中に60°にて浸し、そしてブチルアクリレート添加を開始した。20.0g(0.156mol)の総添加量を与えるために、0.10gの最初の添加に、1.00g/hにて2hの連続供給、次いで5.97g/hにて更に3hの供給を後続させた。重合が高い転化率に達するようにするために、モノマー供給の終了後、加熱を更に1時間続行した。
【0194】
実施例10: ベンジル2−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−1−メチル−2−オキソエチルトリチオカーボネートの合成
【化25】

撹拌しながら、水(5mL)中の水酸化ナトリウム(1g,25mmol)の溶液をアセトン(70mL)に添加し、その後テトラプロピルアンモニウムブロマイド(0.53g,20mmol)をそして次いでベンジルメルカプタン(3.11g,25mmol,2.94mL)を添加した。20min後、二硫化炭素(2.12g,27.5mmol,1.76mL)を滴加して、鮮やかな黄色の着色がもたらされた。生じた溶液を更に15min撹拌した後、2−ブロモプロパン酸(3.83g,25mmol,2.26mL)を滴加し、そして次いで全体を17h撹拌した。曇った黄色混合物が得られるまで、アセトン及び過剰の二硫化炭素を高真空下で除去した。これを水(100mL)で希釈し、そして2M−HClで酸性化した。生じた黄色油をエーテル中に抽出し、一緒にされた抽出物を乾燥(Na2SO4)し、そして溶媒を高真空下で除去した。残存する粘稠液を蒸留(80°/0.13Pa,Kugelrohr)して未反応2−ブロモプロパン酸を除去して、2−{[(ベンジルスルファニル)カルボノチオイル]スルファニル}プロパン酸が粘稠油として残され、しかして放置すると固化した(3.71g,54%)。この化合物(13.6mmol)をテトラヒドロフラン(40mL)中に溶解し、そして固体のまま何回かに分けて1,1′−カルボニルジイミダゾール(2.64g,16.3mmol)で処理し、そして次いでCO2の遊離が止むまで全体を室温にて30min撹拌した。次いで、生じた溶液を−50°に冷却し、そして滴下的にエタノールアミン(1.00g,16.3mmol,0.98mL)で処理した。この反応混合物を、室温に温めながら一晩撹拌した。テトラヒドロフランを高真空下で除去し、そして不均質残留物をエチルアセテート(80mL)中に溶解し、そして水(2×40mL)で洗浄した。有機層を乾燥(Na2SO4)しそして高真空下で蒸発させて、橙色液が得られ、しかしてこの橙色液をシリカでのフラッシュクロマトグラフィー(エチルアセテート)に付した。生成物が黄色油(0.91g,21%)として得られた。ヘキサン/エーテルと共に粉砕して、標題化合物が薄黄色微粉末(0.69g)として得られた。
【0195】
実施例11: 3−{[(tert−ブチルスルファニル)カルボノチオイル]スルファニル}プロパン酸の合成
【化26】

撹拌しながら、水(5mL)中の水酸化ナトリウム(1.0g,25mmol)の溶液をアセトン(70mL)に添加し、その後テトラプロピルアンモニウムブロマイド(0.53g,20mmol)をそして次いでtert−ブチルメルカプタン(2.26g,25mmol,2.82mL)を添加して、白色沈殿物が形成された。20min後、二硫化炭素(2.12g,27.5mmol,1.67mL)を滴加して、該沈殿物をゆっくり消失させそして橙色溶液を形成させた。生じた溶液を更に40min撹拌した後、2−ブロモプロパン酸(3.83g,25mmol,2.26mL)を滴加し、そして次いで全体を18h撹拌した。アセトン及び過剰の二硫化炭素を高真空下で除去して、橙色油が得られた。これを水(100mL)で希釈して、pH4の水溶液が得られた。これをエーテルで抽出し、一緒にされた抽出物を乾燥(Na2SO4)し、そして溶媒を高真空下で除去した。残存する粘稠橙色液を液体窒素中で凍結しそしてフリーザー中に20h置いておき、しかしてその時間中に固体が発現した。この固体をヘキサンと共に2h撹拌しながら粉砕し、そして次いで濾過し、更なるヘキサンで洗浄した。標題化合物が、黄色固体(2.06g,35%)として得られた。
【0196】
実施例11a: 実施例11からの3−{[(tert−ブチルスルファニル)カルボノチオイル]スルファニル}プロパン酸から直接的にポリ(ブチルアクリレート)ラテックスの製造
3−{[(tert−ブチルスルファニル)カルボノチオイル]スルファニル}プロパン酸(0.123g,0.517mmol)、水酸化トリメチルアンモニウムの25%水溶液(0.187g,0.512mmol)及び水(80.5g)を100mL丸底フラスコ中に入れ、そして音波浴中で5min音波処理してRAFT剤を溶解した。次いで、4,4′−アゾビス(4−シアノペンタン酸)(83mg,0.30mmol)をフラスコに添加し、しかしてこのフラスコを次いでゴムセプタムで密封し、そして渦動させて開始剤を分散した。次いで、生じた溶液を、5min通気窒素の流れでもって脱酸素しながら磁気撹拌した。このフラスコを油浴中に60°にて浸し、そしてブチルアクリレート添加を開始した。20.0g(0.156mol)の総添加量を与えるために、0.10gの最初の添加に、1.00g/hにて2hの連続供給、次いで5.97g/hにて更に3hの供給を後続させた。重合が高い転化率に達するようにするために、モノマー供給の終了後、加熱を更に1時間続行した。
【0197】
本明細書におけるいかなる先行技術への言及も、その先行技術がオーストラリア国における一般常識の一部を成すという自認でも又はいかなる形式の示唆でもなく、またそう解されるべきでない。
【0198】
本明細書及び請求項の全体にわたって、文脈が別段命じない限り、語「含む」、及び「含み」のような変形は、記載された整数若しくは工程又は整数若しくは工程の群の包含を意味するよう理解され、しかしいかなる他の整数若しくは工程又は整数若しくは工程の群の排除も意味しないよう理解される。
【0199】
本明細書に記載された発明は、特定的に記載されたもの以外の変型及び改変が可能である、ということを当業者は正しく認識するであろう。本発明は、その精神及び範囲内に入るすべてのかかる変型及び改変を包含する、ということが理解されるべきである。本発明はまた、本明細書に個々に又は集合的に言及又は指摘された工程、特徴、組成物及び化合物のすべて、並びにかかる工程又は特徴のいずれか二つ又はそれ以上のいずれかの及びすべての組合わせをも包含する。
【0200】
以下に、本願発明に関連する発明の実施形態について列挙する。
[実施形態1]
ポリマー粒子の水性分散液を製造する方法であって、次の工程すなわち
(i)連続水性相と、1種又はそれ以上のエチレン系不飽和モノマーを含む分散有機相と、該有機相用の安定剤としての両親媒性RAFT剤とを有する分散液を作製し、そして
(ii)該両親媒性RAFT剤の制御下で該1種又はそれ以上のエチレン系不飽和モノマーを重合してポリマー粒子の水性分散液を形成させる
工程を含む方法。
[実施形態2]
工程(i)の分散液が、水中の両親媒性RAFT剤の溶液を形成させそして該両親媒性RAFT剤の制御下で添加エチレン系不飽和モノマーを重合することにより作製される、実施形態1に記載の方法。
[実施形態3]
工程(i)の分散液が、水不溶性両親媒性RAFT剤及びエチレン系不飽和モノマーを含む組成物を形成させそしてこの組成物を水と一緒にすることにより作製される、実施形態1に記載の方法。
[実施形態4]
RAFT剤が、有機溶媒と一緒に、又は、有機溶媒は用いないでモノマー中に溶解される、実施形態3に記載の方法。
[実施形態5]
工程(i)の分散液が、水不溶性両親媒性RAFT剤及び水を含む組成物を形成させそしてこの組成物をエチレン系不飽和モノマーと一緒にすることにより作製される、実施形態1に記載の方法。
[実施形態6]
一般式(4a)
【化27】

〔ここで、
各Xは独立して、重合性モノマーの残基であり、
nは、1から100であり、
1は、−CH(CH3)COOH、−CH(CO2H)CH2CO2H又は−CH(CH3)CONRabであり、ここでRa及びRbは同じ又は異なりそして独立してH、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ、C6〜C12アリール、C7〜C18アルキルアリール又はC6〜C12ヘテロアリールから選択され、しかもそれらの各々は−CO2H、−CO2R′、−SO3H、−OSO3H、−SOR′、−SO2R′、−OP(OH)2、−P(OH)2、−PO(OH)2、−OH、−OR′、−(OCH2−CHR)w−OH、−CONH2、CONHR′、CONR′R″、−NR′R″、−N+R′R″R″′から選択された1個又はそれ以上の親水性基で置換され、ここでRはC1〜C6アルキルから選択され、wは1から10であり、R′、R″及びR″′は独立してC1〜C6アルキル及びC6〜C12アリール(これらは−CO2H、−SO3H、−OSO3H、−OH、−(COCH2CHR)w−OH、−CONH2、−SOR及びSO2R並びにそれらの塩から選択された1個又はそれ以上の親水性置換基で置換されてもよい)から選択され、そして
Zは、置換又は非置換のアルキル、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のアリールアルキル、置換又は非置換のアルキルチオ、置換又は非置換のアリールチオ、置換又は非置換のアリールアルキルチオ及び置換又は非置換のアシルアミノから選択される〕
の両親媒性RAFT剤。
[実施形態7]
一般式(5a)
【化28】

〔ここで、
1は、−CH(CH3)COOH、−CH(CO2H)CH2CO2H又は−CH(CH3)CONRabであり、ここでRa及びRbは同じ又は異なりそして独立してH、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ、C6〜C12アリール、C7〜C18アルキルアリール又はC6〜C12ヘテロアリールから選択され、しかもそれらの各々は−CO2H、−CO2R′、−SO3H、−OSO3H、−SOR′、−SO2R′、−OP(OH)2、−P(OH)2、−PO(OH)2、−OH、−OR′、−(OCH2−CHR)w−OH、−CONH2、CONHR′、CONR′R″、−NR′R″、−N+R′R″R″′から選択された1個又はそれ以上の親水性基で置換され、ここでRはC1〜C6アルキルから選択され、wは1から10であり、R′、R″及びR″′は独立してC1〜C6アルキル及びC6〜C12アリール(これらは−CO2H、−SO3H、−OSO3H、−OH、−(COCH2CHR)w−OH、−CONH2、−SOR及びSO2R並びにそれらの塩から選択された1個又はそれ以上の親水性置換基で置換されてもよい)から選択され、そして
Zは、置換又は非置換のアルキル、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のアリールアルキル、置換又は非置換のアルキルチオ、置換又は非置換のアリールチオ、置換又は非置換のアリールアルキルチオ及び置換又は非置換のアシルアミノから選択される〕
のRAFT剤。
[実施形態8]
α,β−不飽和カルボニル又はチオカルボニル化合物へのジチオカルボニル化合物の共役付加によりRAFT剤を製造する方法。
[実施形態9]
式(I)
【化29】

〔ここで、Mは水素、有機カチオン又は金属であり、そしてZは、ラジカル付加の方にチオカルボニル基の十分な反応性を促進し得る一方、重合の容認され得ない遅延になる程度まではフラグメント化速度を遅くしないいかなる基でもある〕
の化合物の式(II)
【化30】

〔ここで、
EWGは、−CO2H、−CO22、−COR2、−CSR2、−CSOR2、−COSR2、−CN−SO22、−SOR2、−CONH2、−CONHR2、−CONR22から選択された電子吸引基であり、
3は、H、C1-6アルキルから選択され、あるいはR4又はEWGのどちらかと一緒に−C(O)−O−基を形成し、
4は、H、C1-6アルキル、アリール、ヘテロアリール、−CO2H、−CO22、−COR2、−CSR2、−CSOR2、−COSR2、−CN−SO22、−SOR2、−CONH2、−CONHR2、−CONR22から選択され、そして
5は、H、C1-6アルキル、アリール、ヘテロアリールから選択され、
ここで、R2は、置換又は非置換のC1〜C18アルキル、置換又は非置換のC2〜C18アルケニル、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のヘテロアリール、置換又は非置換のカルボシクリル、置換又は非置換のヘテロシクリル、置換又は非置換のアラルキル、置換又は非置換のヘテロアリールアルキル、置換又は非置換のアルカリール、置換又は非置換のアルキルヘテロアリール及びポリマー鎖から成る群から選択され、ここで置換基は独立して、アルキレンオキシジル(エポキシ)、ヒドロキシ、アルコキシ、アシル、アシルオキシ、ホルミル、アルキルカルボニル、カルボキシ、スルホン酸、アルコキシ−又はアリールオキシ−カルボニル、イソシアナト、シアノ、シリル、ハロ、アミノ(それらの塩及び誘導体を含めて)から成る群から選択される〕
の化合物の二重結合に対する共役付加を含む、実施形態8に記載の方法。
[実施形態10]
Z基が、置換又は非置換のアルコキシ、置換又は非置換のアリールオキシ、置換又は非置換のアルキル、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のヘテロシクリル、置換又は非置換のアリールアルキル、置換又は非置換のアルキルチオ、置換又は非置換のアリールアルキルチオ、ジアルコキシ−又はジアリールオキシ−ホスフィニル[−P(=O)OR22]、ジアルキル−又はジアリール−ホスフィニル[−P(=O)R22]、置換又は非置換のアシルアミノ、置換又は非置換のアシルイミノ、置換又は非置換のアミノ及びいかなるメカニズムによっても形成されたポリマー鎖から選択され、ここでR2は置換又は非置換のC1〜C18アルキル、置換又は非置換のC2〜C18アルケニル、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のヘテロシクリル、置換又は非置換のアラルキル、置換又は非置換のアルカリールから成る群から選択される、実施形態9に記載の方法。
[実施形態11]
両親媒性RAFT剤が、一般式(4)
【化31】

〔ここで、各Xは独立してエチレン系不飽和モノマーの重合残基であり、nは0から100の範囲の整数であり、R1は1個又はそれ以上の親水性基で置換されてもよい有機基であり、そしてZはラジカル付加の方にチオカルボニル基の十分な反応性を促進し得る一方、重合の容認され得ない遅延になる程度まではフラグメント化速度を遅くしないいかなる基でもある〕
を有する、実施形態1から5のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態12]
1基が、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシアリール又はヘテロアリールから選択され、しかもそれらの各々は−CO2H、−CO2R′、−SO3H、−OSO3H、−SOR′、−SO2R′、−OP(OH)2、−P(OH)2、−PO(OH)2、−OH、−OR′、−(OCH2−CHR)w−OH、−CONH2、CONHR′、CONR′R″、−NR′R″、−N+R′R″R″′から選択された1個又はそれ以上の親水性基で置換され、ここでRはC1〜C6アルキルから選択され、wは1から10であり、R′、R″及びR″′は独立してアルキル及びアリール(これらは−CO2H、−SO3H、−OSO3H、−OH、−(COCH2CHR)w−OH、−CONH2、−SOR及びSO2R並びにそれらの塩から選択された1個又はそれ以上の親水性置換基で置換されてもよい)から選択され、そして
Z基が、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のヘテロシクリル、置換又は非置換のアリールアルキル、置換又は非置換のアルキルチオ、置換又は非置換のアリールアルキルチオ、ジアルコキシ−又はジアリールオキシ−ホスフィニル[−P(=O)OR22]、ジアルキル−又はジアリール−ホスフィニル[−P(=O)R22]、置換又は非置換のアシルアミノ、置換又は非置換のアシルイミノ、置換又は非置換のアミノ、R1−(X)n−S−及びいかなるメカニズムによっても形成されたポリマー鎖から選択され、ここでR1、X及びnはこの請求項に又は請求項11に定義されたとおりであり、そしてR2は置換又は非置換のC1〜C18アルキル、置換又は非置換のC2〜C18アルケニル、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のヘテロシクリル、置換又は非置換のアラルキル、置換又は非置換のアルカリールから成る群から選択される、実施形態11に記載の方法。
[実施形態13]
両親媒性RAFT剤が、一般式(4)
【化32】

〔ここで、X、n及びZは請求項11に定義されたとおりであり、そしてR1は1個又はそれ以上の疎水性基で置換された有機基である〕
を有する、実施形態1から5のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態14]
ペイント、充填剤、接着剤、プライマー又はシーラントを製造する方法であって、実施形態1から5のいずれか一項に従って分散液を製造し、そしてこの分散液を1つ又はそれ以上の処方成分と一緒にすることを含む方法。
[実施形態15]
実施形態1から5のいずれか一項に記載の方法に従って製造されたポリマー粒子の分散液を含むペイント、充填剤、接着剤、プライマー又はシーラント。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(4a)
【化1】

〔ここで、
各Xは独立して、エチレン系不飽和モノマーの重合残基であり、
nは、1から100であり、
1は、−CH(CH3)COOH、−CH(CO2H)CH2CO2H又は−CH(CH3)CONRabであり、ここでRa及びRbは同じ又は異なり、そして独立してH、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ、C6〜C12アリール、C7〜C18アルキルアリール又はC6〜C12ヘテロアリールから選択され、しかもそれらの各々は−CO2H、−CO2R′、−SO3H、−OSO3H、−SOR′、−SO2R′、−OP(OH)2、−P(OH)2、−PO(OH)2、−OH、−OR′、−(OCH2−CHR)w−OH、−CONH2、−CONHR′、−CONR′R″、−NR′R″、−N+R′R″R″′から選択された1個又はそれ以上の親水性基で置換され、ここでRはC1〜C6アルキルから選択され、wは1から10であり、R′、R″及びR″′は独立してC1〜C6アルキル及びC6〜C12アリール(これらは−CO2H、−SO3H、−OSO3H、−OH、−(COCH2CHR)w−OH、−CONH2、−SOR及び−SO2R並びにそれらの塩から選択された1個又はそれ以上の親水性置換基で置換されてもよい)から選択され、そして
Zは、置換又は非置換のアルキル、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のアリールアルキル、置換又は非置換のアルキルチオ、置換又は非置換のアリールチオ、置換又は非置換のアリールアルキルチオ及び置換又は非置換のアシルアミノから選択される〕
の両親媒性RAFT剤。
【請求項2】
一般式(5a)
【化2】

〔ここで、
1は、−CH(CO2H)CH2CO2H又は−CH(CH3)CONRabであり、ここでRa及びRbは同じ又は異なりそして独立してH、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ、C6〜C12アリール、C7〜C18アルキルアリール又はC6〜C12ヘテロアリールから選択され、しかもそれらの各々は−CO2H、−CO2R′、−SO3H、−OSO3H、−SOR′、−SO2R′、−OP(OH)2、−P(OH)2、−PO(OH)2、−OH、−OR′、−(OCH2−CHR)w−OH、−CONH2、−CONHR′、−CONR′R″、−NR′R″、−N+R′R″R″′から選択された1個又はそれ以上の親水性基で置換され、ここでRはC1〜C6アルキルから選択され、wは1から10であり、R′、R″及びR″′は独立してC1〜C6アルキル及びC6〜C12アリール(これらは−CO2H、−SO3H、−OSO3H、−OH、−(COCH2CHR)w−OH、−CONH2、−SOR及び−SO2R並びにそれらの塩から選択された1個又はそれ以上の親水性置換基で置換されてもよい)から選択され、そして
Zは、置換又は非置換のアルキル、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のアリールアルキル、置換又は非置換のアルキルチオ、置換又は非置換のアリールチオ、置換又は非置換のアリールアルキルチオ及び置換又は非置換のアシルアミノから選択される〕
のRAFT剤。
【請求項3】
一般式(5a)
【化3】

〔ここで、
1は、−CH(CH3)COOHであり、そして
Zは、置換又は非置換のアルキル、置換のアリール、置換又は非置換のアリールアルキル、置換又は非置換のアルキルチオ、置換又は非置換のアリールチオ、置換又は非置換のアリールアルキルチオ及び置換又は非置換のアシルアミノから選択される〕
のRAFT剤。
【請求項4】
α,β−不飽和カルボニル又はチオカルボニル化合物へのジチオカルボニル化合物の共役付加によりRAFT剤を製造する方法。
【請求項5】
式(I)
【化4】

〔ここで、Mは水素、有機カチオン又は金属であり、そしてZは、ラジカル付加の方にチオカルボニル基の十分な反応性を促進し得る一方、重合の容認され得ない遅延になる程度まではフラグメント化速度を遅くしないいかなる基でもある〕
の化合物の式(II)
【化5】

〔ここで、
EWGは、−CO2H、−CO22、−COR2、−CSR2、−CSOR2、−COSR2、−CN−SO22、−SOR2、−CONH2、−CONHR2、−CONR22から選択された電子吸引基であり、
3は、H、C1-6アルキルから選択され、あるいはR4又はEWGのどちらかと一緒に−C(O)−O−基を形成し、
4は、H、C1-6アルキル、アリール、ヘテロアリール、−CO2H、−CO22、−COR2、−CSR2、−CSOR2、−COSR2、−CN−SO22、−SOR2、−CONH2、−CONHR2、−CONR22から選択され、そして
5は、H、C1-6アルキル、アリール、ヘテロアリールから選択され、
ここで、R2は、置換又は非置換のC1〜C18アルキル、置換又は非置換のC2〜C18アルケニル、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のヘテロアリール、置換又は非置換のカルボシクリル、置換又は非置換のヘテロシクリル、置換又は非置換のアラルキル、置換又は非置換のヘテロアリールアルキル、置換又は非置換のアルカリール、置換又は非置換のアルキルヘテロアリール及びポリマー鎖から成る群から選択され、ここで置換基は独立して、アルキレンオキシジル(エポキシ)、ヒドロキシ、アルコキシ、アシル、アシルオキシ、ホルミル、アルキルカルボニル、カルボキシ、スルホン酸、アルコキシ−又はアリールオキシ−カルボニル、イソシアナト、シアノ、シリル、ハロ、アミノ(それらの塩及び誘導体を含めて)から成る群から選択される〕
の化合物の二重結合に対する共役付加を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
Z基が、置換又は非置換のアルコキシ、置換又は非置換のアリールオキシ、置換又は非置換のアルキル、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のヘテロシクリル、置換又は非置換のアリールアルキル、置換又は非置換のアルキルチオ、置換又は非置換のアリールアルキルチオ、ジアルコキシ−又はジアリールオキシ−ホスフィニル[−P(=O)OR22]、ジアルキル−又はジアリール−ホスフィニル[−P(=O)R22]、置換又は非置換のアシルアミノ、置換又は非置換のアシルイミノ、置換又は非置換のアミノ及びポリマー鎖から選択され、ここでR2は置換又は非置換のC1〜C18アルキル、置換又は非置換のC2〜C18アルケニル、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のヘテロシクリル、置換又は非置換のアラルキル、置換又は非置換のアルカリールから成る群から選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
ポリマー粒子の水性分散液を製造し、そしてこの水性分散液を1つ又はそれ以上のペイント用成分と一緒にすることを含む、ペイントの製造方法であって、
前記水性分散液が、次の工程、
(i)連続水性相と、1種又はそれ以上のエチレン系不飽和モノマーを含む分散有機相と、該有機相用の安定剤としての両親媒性RAFT剤とを有する分散液を作製し、そして
(ii)該両親媒性RAFT剤の制御下で該1種又はそれ以上のエチレン系不飽和モノマーを重合してポリマー粒子の水性分散液を形成させる工程を含む方法によって製造された、ポリマー粒子の水性分散液である、
ここで、前記両親媒性RAFT剤が、一般式(4)で表せられる、
【化6】

〔ここで、各Xは独立してエチレン系不飽和モノマーの重合残基であり、nは0から100の範囲の整数であり、R1は1個又はそれ以上の親水性基で置換されてもよい有機基であり、
そしてZ基が、ラジカル付加の方にチオカルボニル基の十分な反応性を促進し得る一方、重合の容認され得ない遅延になる程度まではフラグメント化速度を遅くしないいかなる基でもある。]
ペイントの製造方法。
【請求項8】
ポリマー粒子の水性分散液を製造し、そしてこの水性分散液を1つ又はそれ以上の充填剤用成分と一緒にすることを含む、充填剤の製造方法であって、
前記水性分散液が、次の工程、
(i)連続水性相と、1種又はそれ以上のエチレン系不飽和モノマーを含む分散有機相と、該有機相用の安定剤としての両親媒性RAFT剤とを有する分散液を作製し、そして
(ii)該両親媒性RAFT剤の制御下で該1種又はそれ以上のエチレン系不飽和モノマーを重合してポリマー粒子の水性分散液を形成させる工程を含む方法によって製造された、ポリマー粒子の水性分散液である、
ここで、前記両親媒性RAFT剤が、一般式(4)で表せられる、
【化7】

〔ここで、各Xは独立してエチレン系不飽和モノマーの重合残基であり、nは0から100の範囲の整数であり、R1は1個又はそれ以上の親水性基で置換されてもよい有機基であり、
そしてZ基が、ラジカル付加の方にチオカルボニル基の十分な反応性を促進し得る一方、重合の容認され得ない遅延になる程度まではフラグメント化速度を遅くしないいかなる基でもある。]
充填剤の製造方法。
【請求項9】
ポリマー粒子の水性分散液を製造し、そしてこの水性分散液を1つ又はそれ以上の接着剤用成分と一緒にすることを含む、接着剤の製造方法であって、
前記水性分散液が、次の工程、
(i)連続水性相と、1種又はそれ以上のエチレン系不飽和モノマーを含む分散有機相と、該有機相用の安定剤としての両親媒性RAFT剤とを有する分散液を作製し、そして
(ii)該両親媒性RAFT剤の制御下で該1種又はそれ以上のエチレン系不飽和モノマーを重合してポリマー粒子の水性分散液を形成させる工程を含む方法によって製造された、ポリマー粒子の水性分散液である、
ここで、前記両親媒性RAFT剤が、一般式(4)で表せられる、
【化8】

〔ここで、各Xは独立してエチレン系不飽和モノマーの重合残基であり、nは0から100の範囲の整数であり、R1は1個又はそれ以上の親水性基で置換されてもよい有機基であり、
そしてZ基が、ラジカル付加の方にチオカルボニル基の十分な反応性を促進し得る一方、重合の容認され得ない遅延になる程度まではフラグメント化速度を遅くしないいかなる基でもある。]
接着剤の製造方法。
【請求項10】
ポリマー粒子の水性分散液を製造し、そしてこの水性分散液を1つ又はそれ以上のプライマー用成分と一緒にすることを含む、プライマーの製造方法であって、
前記水性分散液が、次の工程、
(i)連続水性相と、1種又はそれ以上のエチレン系不飽和モノマーを含む分散有機相と、該有機相用の安定剤としての両親媒性RAFT剤とを有する分散液を作製し、そして
(ii)該両親媒性RAFT剤の制御下で該1種又はそれ以上のエチレン系不飽和モノマーを重合してポリマー粒子の水性分散液を形成させる工程を含む方法によって製造された、ポリマー粒子の水性分散液である、
ここで、前記両親媒性RAFT剤が、一般式(4)で表せられる、
【化9】

〔ここで、各Xは独立してエチレン系不飽和モノマーの重合残基であり、nは0から100の範囲の整数であり、R1は1個又はそれ以上の親水性基で置換されてもよい有機基であり、
そしてZ基が、ラジカル付加の方にチオカルボニル基の十分な反応性を促進し得る一方、重合の容認され得ない遅延になる程度まではフラグメント化速度を遅くしないいかなる基でもある。]
プライマーの製造方法。
【請求項11】
ポリマー粒子の水性分散液を製造し、そしてこの水性分散液を1つ又はそれ以上のシーラント用成分と一緒にすることを含む、シーラントの製造方法であって、
前記水性分散液が、次の工程、
(i)連続水性相と、1種又はそれ以上のエチレン系不飽和モノマーを含む分散有機相と、該有機相用の安定剤としての両親媒性RAFT剤とを有する分散液を作製し、そして
(ii)該両親媒性RAFT剤の制御下で該1種又はそれ以上のエチレン系不飽和モノマーを重合してポリマー粒子の水性分散液を形成させる工程を含む方法によって製造された、ポリマー粒子の水性分散液である、
ここで、前記両親媒性RAFT剤が、一般式(4)で表せられる、
【化10】

〔ここで、各Xは独立してエチレン系不飽和モノマーの重合残基であり、nは0から100の範囲の整数であり、R1は1個又はそれ以上の親水性基で置換されてもよい有機基であり、
そしてZ基が、ラジカル付加の方にチオカルボニル基の十分な反応性を促進し得る一方、重合の容認され得ない遅延になる程度まではフラグメント化速度を遅くしないいかなる基でもある。]
シーラントの製造方法。
【請求項12】
次の工程、
(i)連続水性相と、1種又はそれ以上のエチレン系不飽和モノマーを含む分散有機相と、該有機相用の安定剤としての両親媒性RAFT剤とを有する分散液を作製し、そして
(ii)該両親媒性RAFT剤の制御下で該1種又はそれ以上のエチレン系不飽和モノマーを重合してポリマー粒子の水性分散液を形成させる工程を含む方法によって製造されたポリマー粒子の水性分散液、
ここで、前記両親媒性RAFT剤が、一般式(4)で表せられる、
【化11】

〔ここで、各Xは独立してエチレン系不飽和モノマーの重合残基であり、nは0から100の範囲の整数であり、R1は1個又はそれ以上の親水性基で置換されてもよい有機基であり、
そしてZ基が、ラジカル付加の方にチオカルボニル基の十分な反応性を促進し得る一方、重合の容認され得ない遅延になる程度まではフラグメント化速度を遅くしないいかなる基でもある。]
を含むペイント。
【請求項13】
次の工程、
(i)連続水性相と、1種又はそれ以上のエチレン系不飽和モノマーを含む分散有機相と、該有機相用の安定剤としての両親媒性RAFT剤とを有する分散液を作製し、そして
(ii)該両親媒性RAFT剤の制御下で該1種又はそれ以上のエチレン系不飽和モノマーを重合してポリマー粒子の水性分散液を形成させる工程を含む方法によって製造されたポリマー粒子の水性分散液、
ここで、前記両親媒性RAFT剤が、一般式(4)で表せられる、
【化12】

〔ここで、各Xは独立してエチレン系不飽和モノマーの重合残基であり、nは0から100の範囲の整数であり、R1は1個又はそれ以上の親水性基で置換されてもよい有機基であり、
そしてZ基が、ラジカル付加の方にチオカルボニル基の十分な反応性を促進し得る一方、重合の容認され得ない遅延になる程度まではフラグメント化速度を遅くしないいかなる基でもある。]
を含む充填剤。
【請求項14】
次の工程、
(i)連続水性相と、1種又はそれ以上のエチレン系不飽和モノマーを含む分散有機相と、該有機相用の安定剤としての両親媒性RAFT剤とを有する分散液を作製し、そして
(ii)該両親媒性RAFT剤の制御下で該1種又はそれ以上のエチレン系不飽和モノマーを重合してポリマー粒子の水性分散液を形成させる工程を含む方法によって製造されたポリマー粒子の水性分散液、
ここで、前記両親媒性RAFT剤が、一般式(4)で表せられる、
【化13】

〔ここで、各Xは独立してエチレン系不飽和モノマーの重合残基であり、nは0から100の範囲の整数であり、R1は1個又はそれ以上の親水性基で置換されてもよい有機基であり、
そしてZ基が、ラジカル付加の方にチオカルボニル基の十分な反応性を促進し得る一方、重合の容認され得ない遅延になる程度まではフラグメント化速度を遅くしないいかなる基でもある。]
を含む接着剤。
【請求項15】
次の工程、
(i)連続水性相と、1種又はそれ以上のエチレン系不飽和モノマーを含む分散有機相と、該有機相用の安定剤としての両親媒性RAFT剤とを有する分散液を作製し、そして
(ii)該両親媒性RAFT剤の制御下で該1種又はそれ以上のエチレン系不飽和モノマーを重合してポリマー粒子の水性分散液を形成させる工程を含む方法によって製造されたポリマー粒子の水性分散液、
ここで、前記両親媒性RAFT剤が、一般式(4)で表される、
【化14】

〔ここで、各Xは独立してエチレン系不飽和モノマーの重合残基であり、nは0から100の範囲の整数であり、R1は1個又はそれ以上の親水性基で置換されてもよい有機基であり、
そしてZ基が、ラジカル付加の方にチオカルボニル基の十分な反応性を促進し得る一方、重合の容認され得ない遅延になる程度まではフラグメント化速度を遅くしないいかなる基でもある。]
を含むプライマー。
【請求項16】
次の工程、
(i)連続水性相と、1種又はそれ以上のエチレン系不飽和モノマーを含む分散有機相と、該有機相用の安定剤としての両親媒性RAFT剤とを有する分散液を作製し、そして
(ii)該両親媒性RAFT剤の制御下で該1種又はそれ以上のエチレン系不飽和モノマーを重合してポリマー粒子の水性分散液を形成させる工程を含む方法によって製造されたポリマー粒子の水性分散液、
ここで、前記両親媒性RAFT剤が、一般式(4)で表される、
【化15】

〔ここで、各Xは独立してエチレン系不飽和モノマーの重合残基であり、nは0から100の範囲の整数であり、R1は1個又はそれ以上の親水性基で置換されてもよい有機基であり、
そしてZ基が、ラジカル付加の方にチオカルボニル基の十分な反応性を促進し得る一方、重合の容認され得ない遅延になる程度まではフラグメント化速度を遅くしないいかなる基でもある。]
を含むシーラント。

【公開番号】特開2009−173943(P2009−173943A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−92491(P2009−92491)
【出願日】平成21年4月6日(2009.4.6)
【分割の表示】特願2003−556449(P2003−556449)の分割
【原出願日】平成14年12月20日(2002.12.20)
【出願人】(501254014)ユニバーシティ オブ シドニー (1)
【Fターム(参考)】