説明

RFIDかんばん及びこれを用いた部品手配システム

【課題】EDIシステムを利用した部品手配システムに用いられるカード型RFIDかんばんを提供する。
【解決手段】発注者100は、かんばんデータ12を生成してEDIサーバコンピュータ101に送信する。受注者200は、かんばんデータ12をEDIサーバコンピュータ101から受信してデータライタ14に供給する。データライタ14はリサイクルされた消去済みかんばん24にかんばんデータ12を書き込んでかんばん16を発行し、納入すべき部品18に添付する。発注者100は、納入された部品18に添付されたかんばん16をアンテナ72で読み取る。かんばん16は、標準的サイズのRFIDカードに形成され、発注者100への納入時に部品18が収納されている部品箱50の外側面に設けられた保持部52に保持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RFID(Radio Frequency Identification:電波による自動認識)を所謂かんばんに用いたRFIDかんばんに関し、特に、EDI(Electric Data Interchange:電子データ交換)システムを利用した部品手配システムで用いられるRFIDかんばんに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、EDIシステムにより受発注データや取引データを交換して生産管理を行うことが提案されている。
【0003】
下記の特許文献1には、EDIにより生産業務を受注する受注者の生産管理を支援するEDI対応型生産管理システムであって、EDIに関するデータのアップロード及びダウンロードを受け付ける外部のサーバに対してネットワークを介して通信を行う通信手段と、当該受注者の生産管理に関するデータを記憶した生産管理データベースと、前記サーバから前記ネットワークを介して生産業務に関連した所定のデータをダウンロードするダウンロード手段と、前記ダウンロードしたデータに基づいて前記生産管理データベースを更新するデータベース更新手段と、前記生産管理に関する所定のデータを前記ネットワークを介して前記サーバに対してアップロード要求を行うアップロード手段を有することが開示されている。
【0004】
この構成によれば、発注者は、注文情報や検収情報を、労力をかけずに受注者に確実に提供することができ、受注者は、注文情報や検収情報を、労力をかけずに確実に取得することができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−312646号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、単にEDIデータにより受注者側の生産管理データを更新するだけでは、SCM(Supply Chain Management:サプライチェーンマネジメント)により多数の企業間をデータ連携して物づくりの流れ全体を最適化する方式、特に自動車業界で一般的に運用されているかんばん生産方式には必ずしも適していない。
【0007】
かんばん生産方式は周知であるが、簡単に説明すると以下のとおりである。すなわち、発注者が製品製造のために部品を消費すると、次の製造のために必要となる部品の機種、数量、納期、納入部署その他この発注に関する必要情報を特定したかんばんを発行し、受注者はこのかんばんの要求に対応して部品を納入する。このとき、かんばんは単に注文情報ではなく、予め発注者と受注者との間で設定された月次単位の必要量を予測した数量を内示情報として取り交わし、受注者は内示情報に合わせて予測した量を予め製造準備を進めており、かんばんが発行されることにより始めて発注確定となる。次工程が前工程に対して部品を要求するプル方式の生産管理が行われているので、単にEDIデータに基づいて生産管理データを更新しただけでは、受注者側の生産管理を効率的に展開することができない。
【0008】
また、かんばん生産方式では、かんばん情報に基づいて紙のかんばんを作成し、納入する部品に紙のかんばんを付けて納入し、発注者は紙かんばんに基づいて部品の受領、検収行為を行い、受領、検収が終わって部品が消費されると、紙かんばんは外れかんばんとして廃棄処分される。毎日の生産に必要な部品それぞれに紙かんばんが使用されるため、毎日膨大な量の紙が消費されてしまう。環境への負荷を軽減するために、廃棄される紙かんばんの量を削減することが求められている。
【0009】
本発明の目的は、EDIシステムを利用した部品手配システムをより効率的に運用または構築可能にするRFIDかんばんを提供し、また、紙かんばんの廃棄を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、発注者側端末装置と、受注者側端末装置と、前記発注者側端末装置と前記受注者側端末装置との間でEDIデータを送受するためのEDIサーバコンピュータと、前記発注者側端末装置に接続され、書換可能な記憶媒体からRFIDによりデータを読み出すデータ読出手段と、前記受注者側端末装置に接続され、書換可能な記憶媒体にデータを書き込むデータ書込手段とを備える部品手配システムであって、前記発注者側端末装置は、納入されるべき部品についてのデータであるかんばんデータを前記EDIサーバコンピュータに送信し、前記受注者側端末装置は、前記EDIサーバコンピュータから前記かんばんデータを受信して前記データ書込手段に供給し、前記データ書込手段は、前記かんばんデータを前記書換可能な記録媒体に書き込むとともに前記かんばんデータの少なくとも一部をかんばん表面に書換可能に印刷することで発注者に納入する部品に添付されるべきかんばんを生成し、前記データ読出手段は受注者から納入された前記部品に添付された前記かんばんからRFIDにより前記かんばんデータを読み出す、部品手配システムにおいて用いられるRFIDかんばんであって、前記RFIDかんばんは、標準的サイズの樹脂製カード型に形成されており、発注者への納品時に前記部品が収納されている部品箱の外側面に設けられた保持部に保持されることを特徴とする。
【0011】
本発明のRFIDかんばんにおいて、前記かんばん表面とは反対側の裏面に電波吸収シートが設けられてもよい。
【0012】
また、本発明のRFIDかんばんにおいて、前記部品箱にも書換可能な記録媒体が付設されており、前記データ読出手段によって前記RFIDかんばんから読み出されたかんばんデータが前記データ読出手段によって前記部品箱の記憶媒体から読み出されたデータと照合されてもよい。
【0013】
さらに、本発明のRFIDかんばんにおいて、前記記録媒体は、UHF帯の電波によりデータの書き込み又は読み出しが行われるICタグであってもよい。
【0014】
本発明に係る部品手配システムは、上記いずれかの構成のRFIDかんばんを用いたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、EDIシステムを利用した部品手配システムにおいてカード型のRFIDかんばんを用いることで、部品手配システムをより効率的に運用または構築することができ、また、紙かんばんの廃棄を無くすことができる。
【0016】
また、RFIDかんばんが樹脂製カード型に形成されていることで、かんばんデータの書き込みおよび消去、かんばん明細の印刷および消去、部品箱の保持部に対するかんばんの出し入れ、外れかんばんの洗浄や運搬などの取扱時にかんばんが折れ曲がることによって内部のICタグが破損するのを効果的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施形態のシステム構成ブロック図である。
【図2】実施形態の処理フローチャートである。
【図3】実施形態の処理フローチャートである。
【図4】実施形態のRFIDかんばんの平面図である。
【図5】(a),(b)ともに、実施形態のRFIDかんばんを部品箱に保持するための保持部を示す正面図である。
【図6】実施形態のRFIDかんばんが取り付けられる部品箱の斜視図である。
【図7】実施形態のRFIDかんばんが添付された部品が入庫されるときに、データ読出手段によってRFIDからかんばんデータが読み出される様子を概略的に示す図である。
【図8】実施形態のRFIDかんばんが添付された部品が入庫されるときに、データ読出手段によってRFIDからかんばんデータが読み出される別の形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面に基づき本発明の実施形態について説明する。
【0019】
図1に、本実施形態におけるEDIシステムを利用した部品手配システムの全体構成ブロック図を示す。書換可能な記録媒体の一つであるUHF帯の電波によりデータの書き換えおよび読み出しが可能なICタグを内蔵したカード型のRFIDかんばん(以下、適宜に「かんばん」とだけいう)16を用いたシステムである。
【0020】
この部品手配システムにおいて、発注者100と受注者200は、EDIサーバコンピュータ101を介してEDIデータを送受する。EDIサーバコンピュータ101は、入出力インタフェース、CPU(あるいはMPU)、ROMやRAM、ハードディスク、光ディスク装置、フラッシュメモリ等のメモリ、メモリコントローラ、データバス等を備える。また、EDIサーバコンピュータ101は、EDIゲートウェイサーバコンピュータ及び受発注サーバコンピュータを備え、EDIゲートウェイサーバコンピュータで発注者からのEDIデータを受信して受発注サーバコンピュータに供給する。ゲートウェイサーバコンピュータは、標準データ形式のEDIデータを送受するインタフェースの他、非標準データ形式のEDIデータを送受するインタフェースを有してもよい。また、ゲートウェイサーバコンピュータは、非標準データ形式のEDIデータを標準データ形式のEDIデータに変換する変換手段を有してもよい。該変換手段は、CPU及びメモリで構成され、メモリは予め標準データ形式と非標準データ形式の対応関係を記憶する変換辞書を記憶する。受発注サーバコンピュータは、標準データ形式のEDIデータをWeb上で送受可能なデータに変換する。受注者200は、端末装置を用いてこの受発注サーバコンピュータにアクセスし、標準的なWeb手順で発注者100からのEDIデータを受信する。EDIサーバコンピュータ101は、例えば発注者100側で管理される。
【0021】
発注者100は、注文業務の処理により確定情報が整うと、EDIデータとしてのかんばんデータ12を作成して、自己のサーバコンピュータあるいは端末装置からEDIサーバコンピュータ101に送信(アップロード)する。EDIサーバコンピュータ101は、発注者100からのかんばんデータ12をWeb上で送受可能に処理して記憶する。
【0022】
受注者200は、自己の端末装置を用いてEDIサーバコンピュータ101からかんばんデータ12を受信(ダウンロード)し、データライタ14およびサーマルプリンタ15に供給する。データライタ14は、ICタグに対してデータを書き込む装置であり、供給されたかんばんデータ12をICタグに書き込む。また、サーマルプリンタ15は、感熱方式により書換可能なかんばん表面をサーマルヘッドで選択的に加熱することによって印刷する装置であり、かんばんデータ12に含まれるかんばん明細が印刷される。このように、かんばんデータ12がICタグに記憶され且つかんばん明細がかんばん表面に印刷されて、かんばん16が発行される。
【0023】
かんばんデータ12の書き込みおよびかんばん明細の印刷を行うかんばんは、以前のかんばんデータ12が消去され且つかんばん表面がサーマルプリンタで白紙状態に戻されたかんばん、すなわち消去済かんばん24を再利用したものである。例えば感熱方式のかんばん表面は約1000回の書換えが可能であり、また、ICタグの破損等が無ければそれ以上の回数のかんばんデータ書換えが可能である。
【0024】
なお、上記ではかんばん16の書換可能なかんばん表面が感熱方式であるものとして説明したが、これに限定されず、他の書換可能な方式、例えば静電方式、電気泳動方式などにより書換可能な表示方式をかんばん表面に適用してもよい。また、ICタグのデータ書換えを行うデータライタと、かんばん表面の印刷を行うサーマルプリンタとが一体に構成されてもよい。
【0025】
受注者200は、予め発注者100との間に取り決めた内示情報に従って部品18を生産しており、かんばん16の発行により部品18を引き当てる。そして、かんばん16が指示する納品形態の部品箱50(図5参照)に部品18を所定数量ずつ収納して、かんばん16を部品箱50の保持部52(図5参照)に添付して出荷する。かんばん16が添付された部品18は、発注者100に運搬される。
【0026】
部品18にかんばん16を添付して出荷する際に、EDIサーバコンピュータ101から受信したかんばんデータ12の指示する数量が納期までに揃って指示とおりに納入する場合の他、数量が揃わずかんばんデータ12の指示する数量より少なく納入する場合、あるいはかんばんデータ12の指示を分納する場合もあり得る。このような納入進捗情報はEDIデータとして受注者200の端末装置からEDIサーバコンピュータ101に送信される。発注者100は、EDIサーバコンピュータ101から受注者200の納入進捗情報を受信することで、納入進捗情報を部品18の実際の納入前に知ることができ、実際に部品18が納入された時点での検収作業が大幅に効率化される。図では、納入進捗情報は受注者200のデータライタからEDIサーバコンピュータ101を介して発注者100のデータリーダに供給されているが、受注者200の端末装置から送信してもよく、また、発注者100の端末装置で受信し、端末装置でデータリーダからのデータと納入進捗情報とを照合してもよい。
【0027】
発注者100は、受注者200から納入された部品18を受領する。また、納入された部品18に添付されたかんばん16(かんばんデータ12が書き込まれたICタグ)をデータリーダ20で読み取る。データリーダ20の具体例については後述する。読み取ったかんばんデータ12は、発注者100の端末装置、あるいは基幹業務システム等のシステムに取り込まれる。発注者100が受領した部品18は、自動車等の製品の製造に使用されて消費される。部品18が消費されると、当該部品18に添付されたかんばん16は外れかんばん16として、データ消去装置22およびサーマルプリンタ23に供給される。データ消去装置22は、外れかんばん16に記憶されているかんばんデータ12を消去して消去済かんばん24を生成する。サーマルプリンタ23は、サーマルヘッドでかんばん表面に印刷可能な装置であるが、この場合には外れかんばん16のかんばん表面に表示されたかんばん明細をサーマルローラで均一加熱することにより消去して白紙に戻すために用いられる。
【0028】
かんばんデータ12が消去され且つ白紙に戻された消去済かんばん24は、発注者100から受注者200に運搬され、受注者200では消去済かんばん24をデータライタ14およびサーマルプリンタ15に供給して再利用する。なお、外れかんばん16のうち、かんばん表面に付着した油汚れが著しいと判断されたものについては、専用の洗浄装置による洗浄が行われる。この汚れた外れかんばんの洗浄は、発注者側で行うのが好ましいが、受注者側で行ってもよい。
【0029】
このように、かんばん16は部品18とともに発注者100に運搬され、発注者100でかんばんデータ12を消去し且つかんばん明細を白紙に戻して消去済かんばん24として受注者200に戻し、受注者200ではこの消去済かんばん24を再利用してかんばん16を再び生成するので、データの書込不良あるいは読取不良に起因する廃棄やかんばん表面の書換限界に伴う廃棄を除き、紙かんばんのような大量廃棄がない。
【0030】
また、受注者200は、EDIサーバコンピュータ101から受信したかんばんデータ12をデータライタ14に供給し、データライタ14でRFIDにかんばんデータ12を書き込むことでかんばん16を発行できるので、効率的にかんばん16を発行して部品18に添付し納入することができる。
【0031】
さらに、かんばん16の発行と並行して、納入進捗情報を受注者200から発注者100に供給し、発注者100は実際の部品納入とは別個に納入進捗情報を得ることができるので、納入された部品の検査や納入状況の確認作業が効率化する。
【0032】
図2に、発注者100と受注者200との間の部品納入処理フローチャートを示す。発注者100は、受注者200との間で内示情報を定め(S101)、この内示情報に基づいて所要量計算を行って、内示情報としてEDIサーバコンピュータ101に送信する(S102)。
【0033】
受注者200は、EDIサーバコンピュータ101にアクセスし、発注者100からの内示情報を受信する(S201)。受注者200は、受信した内示情報に基づいて材料を手配し、生産計画を立案する(S202)。
【0034】
発注者100は、引き続き、所要量計算に基づいて、かんばんの回転枚数を計算するとともに(S103)、かんばんの発行増減を平準化し(S104)、発注情報としてEDIサーバコンピュータ101に送信する(S105)。発注情報は自己のデータベースに登録され、適宜検索される(S106)。
【0035】
ここで、かんばんの平準化について説明する。かんばんの平準化は、外れかんばんを用いて行われる。すなわち、部品が出庫されて外れたかんばんの情報を収集し、外れかんばんの情報からかんばん発注数を決定して発注情報を作成する。仕入先・便毎に発注情報作成時刻を登録し、その時間までに外れたかんばんを集計して発注情報を作成する。かんばん発注時に、かんばん回転枚数の変化量からかんばんの増減を行う。かんばん回転枚数が変更となる日を基準とし、増の場合はその前に、かんばんサイクル+1便で増を行い、減の場合は基準日の後にサイクル+1便で減を行う。そして、便当たりのかんばん発注枚数が便毎に平準化されるように、便当たりの上限・下限を設定して調整することで平準化する。1便当たりのかんばん枚数の平均値に対して上限値、下限値を設定し、上限値を超えて外れたかんばんは次回の発注に回し、下限値未満しか外れなかった場合はかんばんを追加して発注し、その分は次便以降で調整する。
【0036】
再び図に戻り、受注者200は、EDIサーバコンピュータ101からこの情報を受注情報として受信する(S208)。受注情報は自己のデータベースに登録され、適宜検索される(S209)。受注者200は、この受注情報に基づいて生産手配及び出荷準備を行うとともに(S203)、かんばん等の帳票発行を行う(S205)。具体的には、RFIDのかんばん16とJAMA帳票(自動車工業会で規定された標準かんばん帳票)を発行する(S206,S207)。そして、かんばん16は、部品18に添付されて発注者100に納入される(S204)。
【0037】
発注者100は、受注者200から納入された部品を受け取り、添付されたかんばんからかんばんデータ12を読み取ることで入庫検収し(S107)、検収データを検収実績としてEDIサーバコンピュータ101に送信する(S108)。また、発注者100は、入庫検収データに基づいて在庫データを更新し(S110)、部品に添付されていたかんばん16からかんばんデータ12を消去するとともにかんばん明細を白紙に戻して外れかんばんとする(S111)。
【0038】
受注者200は、EDIサーバコンピュータ101からこの検収実績データを受信する。(S210)。
【0039】
図3に、本実施形態の部品納入処理における日時処理のフローチャートを示す。自動車会社では、ジャストインタイムと称して部品在庫をもたないで自動車の組立を行うため、部品納入業者は毎日多頻度納入を行って組立ラインに部品を供給している。発注者100は、発注数を決定して(S120)、発注を毎日何度も行い(S121)、確定発注情報としてかんばんデータと、このかんばんデータの少なくとも一部からなるかんばん明細(納入数、納入場所、便数、納入形態等の詳細指示情報)を、EDIサーバコンピュータ101に送信する。
【0040】
受注者200は、EDIサーバコンピュータ101から確定発注情報を受信し(S220)、この確定発注情報(受注者200から見れば確定受注情報)に基づいて生産手配と出荷準備を行う(S221)。また、受注者200は、納期回答情報を作成してEDIサーバコンピュータ101に送信する。受注者200は、出荷準備が整うと、売上計上するとともに(S222)、部品18をかんばん16と共に発注者100へ納入する(S223)。
【0041】
発注者100は、受注者200からの納期回答をEDIサーバコンピュータ101から受信して納期を確認する(S122)。また、受注者200から納入された部品18を受け入れ(S123)、部品18を検収するとともに(S124)、受領情報をEDIサーバコンピュータ101に送信する。受注者200は、この受領情報をEDIサーバコンピュータ101から受信し、保管する(S224)。
【0042】
発注者100は、部品が納期までに納入されていない場合、未納督促情報を生成してEDIサーバコンピュータ101に送信する(S125)。受注者200は、この未納督促情報を受信し(S225)、改めて該当部品の納期回答情報を作成してEDIサーバコンピュータ101に送信する(S226)。発注者100は、この納期回答情報をEDIサーバコンピュータ101から受信して確認する(S126)。
【0043】
EDIサーバコンピュータ101を用いてかんばんデータ12や内示情報、納期回答情報、受領情報、未納情報等を送受信することで、効率的に部品納入管理を行うことができる。
【0044】
図4は、上述した部品手配システムで用いられるRFIDかんばん16のかんばん表面を示す平面図である。かんばん16は、例えばキャッシュカード、クレジットカード等のカード類と同等の標準的サイズを有する樹脂製カードとして形成されており、その内部にICタグが埋設されている。このICタグに記憶されたかんばんデータ12は、データリーダ20を構成するアンテナから発せられるUHF帯の電波によって例えば数m離れた位置から非接触で読み出されることができる。
【0045】
かんばん16の書換可能なかんばん表面には、受注者側のサーマルプリンタ15によって印刷されたかんばん明細が表示されている。かんばん明細には、かんばんデータ12の少なくとも一部の情報が含まれており、ここでは発注者名(A社)31、受注者名(B社)32、納入場所33、納入された部品の品番34、納入形態35、便名36、収容数37などが表示されている。
【0046】
また、かんばん16において、かんばん表面と反対側の裏面に電波吸収シートが貼着されていてもよい。このようにすれば、後述する部品箱が金属製であるか或いは箱内に収納される部品18が金属製部品である場合に、金属製の箱や部品による電波の反射および吸収を抑制して、データ読出手段によるかんばんデータの読出精度を向上させることができる。
【0047】
図5は、納入時に部品18が収納されている部品箱(製品箱ともいう)50の斜視図である。部品箱50は、上述したように電波の吸収および反射を抑制するために樹脂製の筐体であることが好ましい。また、部品箱50の少なくとも一外側面54に、好ましくは互いに交差する二外側面54,56に、かんばん16を部品箱50に添付するための保持部52が設けられている。なお、保持部52は、部品箱50の3つまたは4つの外側面に設けられてもよい。
【0048】
そして、後述するように、多数の部品箱50がパレット(スキットともいう)上に積載されて納入される場合には、データリーダによる読取精度の確保または向上のために、かんばん16が挿入された保持部52が外側へ面した状態で積載されるのが望ましい。ただし、部品箱50およびそれに収納される部品18のいずれもが樹脂製である場合には、保持部52に挿入されたかんばん16が内側に向いた状態(すなわち外側から視認できない状態)で積載されていても、データリーダを構成するアンテナから照射される電波の回り込みによってかんばんデータ12の読み出しが可能である。
【0049】
図6に、部品箱50の保持部52に挿入されたかんばん16が拡大して示されている。図6(a)に示すように、保持部52は、例えば透明または半透明のプラスチックシートの左右縁部および下縁部を部品箱50の外側面に接着することによりポケット状に形成され、上方からかんばん16を保持部52内に挿入して保持させることができる。また、保持部52を構成するプラスチックシートには、上縁部に開口する切込部58が形成されており、保持部52内に保持されたかんばん16の一部分が切込部58を介して露出するよう構成してある。これにより、作業者が軍手等の手袋をしたままでかんばん16を保持部52から容易に取り出すことができる。
【0050】
また、保持部52は、ポケット状のものに限らず、部品箱50の外側面にかんばん16を一部露出状態で保持させる機能を有すれば、種々の形態および形状のものであってもよい。例えば図6(b)に示すように、保持部52は、クリップ状のものであってもよい。この例では、所定間隔を置いて平行に配置され、各下端部が部品箱50の外側面にそれぞれ固定されると共に各上端部がカード挿入を容易にするために若干外側へ傾斜した2つの爪部60によって構成されている。
【0051】
上述したように本実施形態のカード型RFIDかんばん16は、標準的サイズを有する樹脂製カードとして形成されており、その内部にICタグが埋設されている。これにより、汎用性が高いICカードをRFIDかんばんとして利用することができ、RFIDかんばんの単価を低減することができる。
【0052】
また、樹脂製カードからなるRFIDかんばん16によれば、かんばんデータの書き込みおよび消去、かんばん明細の印刷および消去、部品箱50の保持部52に対するかんばんの出し入れ、外れかんばんの洗浄や運搬などの取扱時にかんばんが折れ曲がることによって内部のICタグが破損するのを効果的に抑制することができる。
【0053】
さらに、標準的サイズのカード型RFIDかんばん16としたことで、データライタ、サーマルプリンタ、外れかんばんの洗浄装置などの各種装置ついて、従来の特殊サイズのかんばんに対応した比較的大型の装置ではなく小型で汎用性のある装置を使用することが可能となり、これによりシステム構築および運用に必要となる設備コストやランニングコストも抑えられる。
【0054】
次に、図7を参照して、部品箱50に収容された部品18が発注者の入庫場所70に納入されるときに、データ読出手段によってかんばん16からかんばんデータ12が読み出される様子について説明する。
【0055】
上記入庫場所70には、ローラ搬送装置74が床76に設置されている。また、ローラ搬送装置74に至る搬送経路上には、それぞれ略門型をなす第1のゲート78および第2のゲート80が所定間隔で立設されている。これらのゲート78,80は、組立式のものとすることができ、必要に応じて分解して組み立て直すことで設置場所を容易に変更することができる。
【0056】
各ゲート78,80の2本の脚部には、データリーダを構成するアンテナ72が所定高さにそれぞれ取り付けられている。この例では、かんばんデータ12の読出精度を確保する又は向上させるために、合計4つのアンテナ72がデータリーダとして用いられ、各アンテナ72の読取可能範囲がほぼ交差する中央領域82においてかんばん16からのデータ読出しを行うこととした。
【0057】
ただし、アンテナ72の個数は、アンテナのデータ読取性能などに応じて適宜に変更可能である。例えば、1つのアンテナ72だけを用いてもよいし、第1および第2のゲート78,80のいずれかの2つのアンテナ72を用いてもよいし、あるいは、5つ以上のアンテナを用いてデータリーダを構成してもよい。また、アンテナを設置する位置や高さも、アンテナのデータ読取性能や設置個数などに応じて、又は、かんばんデータ12の読出精度が最良となるように、適宜に設定される。
【0058】
図7に示すように、発注した部品18が受注者から納入されるとき、部品18をそれぞれ収納した多数の部品箱50がパレット84上に積み重ねられた状態でトラックなどによって入庫場所70へ運搬されてくる。そして、フォークリフトなどによってパレット84が台車86上に載せられる。この台車86の取手部88は、中央領域82に移動した際に第1のゲート72のアンテナ72によるかんばんデータ12の読取精度を低下させないように、プラスチック製のものとするのが好ましい。
【0059】
それから、作業者90によって押された台車86が第1のゲート78をくぐって中央領域82を通過するとき、各アンテナ72によってパレット84上に積載された多数の部品箱50にそれぞれ添付されたかんばん16からかんばんデータ12を迅速かつ一括に読み取ることができる。このとき、1つのかんばん16について各アンテナ72によって複数回読み取られても、最初に読み込まれたかんばんデータ12だけが記憶されるようプログラム処理されているので、かんばんデータ12が重複することはない。
【0060】
このようにして、発注した多数の部品18が納入される際に必要となる検収作業を極めて迅速かつ正確に行うことができる。実際に、1つのパレット84上に50〜100個の部品箱が積載された状態ですべてのかんばん16からかんばんデータ12を正確に読み取れることが確認できた。
【0061】
かんばんデータ12の読出しを終えた各部品箱50は、パレット84に載せられたままで台車86からローラ搬送装置74にフォークリフト等で移され、ローラ搬送装置74を用いて所定の保管場所へと搬入される。
【0062】
図7を参照して上述したかんばんデータ12の読み取り形態においては、パレット84上に積載された部品箱50が台車86で運ばれる途中で各部品箱50からかんばんデータ12を読み取るものとして説明したが、これに限定されるものではない。例えば、図8に示すように、ローラ搬送装置74が第1のゲート78に対応する位置まで延伸して設置されており、台車86からローラ搬送装置74上に移されたパレット84がローラ搬送装置74により搬送されてアンテナ72の読取可能範囲の中央領域82を通過するときに、パレット84上に積載された各部品箱50からかんばんデータ12を読み取るようにしてもよい。
【0063】
この場合、ローラ搬送装置74を第1のゲート78から第2のゲート80に向かう方向に若干の上り傾斜に形成しておけば、ローラ搬送装置74上に移されたパレット84を作業員90の力で押して移動させるときに上記中央領域82を通過する際の移動速度が抑制されることになり、これにより各部品箱50からのかんばんデータ12の読み取り精度を向上させるのに有効である。
【0064】
また、ローラ搬送装置74の下方の床76に設置されてローラ間から上方に突出可能なストッパ92を設けてもよい。このストッパ92を突出状態としてパレット84をローラ搬送装置74上で一旦停止させてかんばんデータ12の読み取りを行ってもよい。このようにすれば、かんばんデータ12の読み取り精度をさらに向上させるのに有効である。
【0065】
なお、上述した実施形態の部品手配システムでは、かんばん16にICタグが内蔵されていることだけを説明したが、図5に示すように、部品18を収納する部品箱50にもICタグ57が別個に付設されていてもよい。このICタグ57には、部品箱50を特定するためのID情報が記憶されている。
【0066】
このように部品箱50にもICタグ57を設ければ、入庫場所の読取領域82を通過する際に各アンテナ72に読み取られるかんばんデータ12の数と部品箱50の数とが一致しない場合には、データを読み取れていないかんばん16があるか又はかんばん16が添付されていない部品箱50が存在するとして、確認作業を行うことができる。これにより、部品納入時の検収作業の確実性をより向上させることができる。
【符号の説明】
【0067】
16 RFIDかんばん、50 部品箱、52 保持部、72 アンテナ、100 発注者、101 EDIサーバコンピュータ、102 EDIゲートウェイサーバコンピュータ、103 受発注サーバコンピュータ、200 受注者。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発注者側端末装置と、受注者側端末装置と、前記発注者側端末装置と前記受注者側端末装置との間でEDIデータを送受するためのEDIサーバコンピュータと、前記発注者側端末装置に接続され、書換可能な記憶媒体からRFIDによりデータを読み出すデータ読出手段と、前記受注者側端末装置に接続され、書換可能な記憶媒体にデータを書き込むデータ書込手段とを備える部品手配システムであって、前記発注者側端末装置は、納入されるべき部品についてのデータであるかんばんデータを前記EDIサーバコンピュータに送信し、前記受注者側端末装置は、前記EDIサーバコンピュータから前記かんばんデータを受信して前記データ書込手段に供給し、前記データ書込手段は、前記かんばんデータを前記書換可能な記録媒体に書き込むとともに前記かんばんデータの少なくとも一部をかんばん表面に書換可能に印刷することで発注者に納入する部品に添付されるべきかんばんを生成し、前記データ読出手段は受注者から納入された前記部品に添付された前記かんばんからRFIDにより前記かんばんデータを読み出す、部品手配システムにおいて用いられるRFIDかんばんであって、
前記RFIDかんばんは、標準的サイズの樹脂製カード型に形成されており、発注者への納入時に前記部品が収納されている部品箱の外側面に設けられた保持部に保持される
ことを特徴とするRFIDかんばん。
【請求項2】
請求項1に記載のRFIDかんばんにおいて、
前記かんばん表面とは反対側の裏面に電波吸収シートが設けられていることを特徴とするRFIDかんばん。
【請求項3】
請求項1または2に記載のRFIDかんばんにおいて、
前記部品箱に書換可能な記録媒体が付設されており、前記データ読出手段によって前記RFIDかんばんから読み出されたかんばんデータが前記データ読出手段によって前記部品箱の記憶媒体から読み出されたデータと照合されることを特徴とするRFIDかんばん。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のRFIDかんばんにおいて、
前記記録媒体は、UHF帯の電波によりデータの読み出しが行われるICタグであることを特徴とするRFIDかんばん。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載のRFIDかんばんを用いた部品手配システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2011−118572(P2011−118572A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−274280(P2009−274280)
【出願日】平成21年12月2日(2009.12.2)
【出願人】(308013436)小島プレス工業株式会社 (386)
【Fターム(参考)】