説明

RFIDを利用した遺失防止システム

【課題】遺失の監視が不要な監視不要領域内から退場するユーザが所持している監視システムのシステム状態を検査できる遺失防止システムを提供する。
【解決手段】遺失防止システム1には、リクエスト信号を受信すると個別IDを発信するICタグ5及びICタグ5が装着された監視対象4の遺失を監視する監視装置3とから少なくとも構成される監視システム2と、監視システム2のシステム状態を検査する監視システム検査装置6と、監視不要領域から退場するユーザを検出するユーザ検出装置7が含まれ、監視システム検査装置6は、ユーザ検出装置7からユーザIDを含む退場データが通知されると、監視不要領域から退場するユーザが所持する監視システムの検査として、監視装置3との通信を確立する動作を行い、監視装置3と通信できない場合、検査不合格と判定し警告を発する処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RFIDを利用して遺失防止を図るシステムに関する発明で、更に詳しくは、遺失防止を確実に運用するための発明である。
【背景技術】
【0002】
データ通信を非接触で行う認識システムであるRFIDシステム(RFID :Radio Frequency Indetification)は、流通業、販売業など様々な分野での利用が検討され、RFIDシステムを利用したシステムの一つとして、遺失を監視するためのシステムが発案されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、RFIDシステムのICタグを監視対象に装着しておき、ICタグと非接触でデータ通信する携帯情報端末(携帯電話)は、ICタグとのデータ通信が不可能となった時点で、第1の警告を発すると共に、ICタグとのデータ通信が通信不可能となった時点での位置情報を表示し、更に、再度、ICタグとのデータ通信が通信可能となった時点で第2の警告を発する発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−304002号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1のように、監視対象に装着するICタグと、ICタグと非接触でデータ通信することにより監視対象の遺失を監視する監視装置(特許文献1では、携帯情報端末)で構成される監視システムでは、監視対象を監視する監視対象を身に付けるのをユーザが忘れた場合や、監視装置の電源が切れていた場合、外出先で監視対象を監視できない問題が発生する。また、監視装置に設定されていないICタグがある場合、該ICタグが装着された監視対象を外出先で監視できない問題も発生する。
【0006】
そこで、本発明は、遺失の監視が不要な監視不要領域内(例えば、オフィス内)から監視不要領域外(例えば、オフィス外)へユーザが退場する際に、監視不要領域外へ退場するユーザが所持している監視システムのシステム状態を検査できる遺失防止システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決する第1の発明は、リクエスト信号を受信すると個別IDを発信するICタグ及び前記ICタグが装着された監視対象の遺失を監視する監視装置とから少なくとも構成される監視システムと、前記監視システムのシステム状態を検査する監視システム検査装置と、前記監視対象の監視が不要な監視不要領域から退場するユーザを検出するユーザ検出装置を含む遺失防止システムであって、前記監視システム検査装置が前記監視不要領域からユーザが退場することを把握できるように、前記ユーザ検出装置は、前記監視不要領域から退場するユーザを検出すると、前記監視不要領域からユーザが退場することを示す退場データを前記監視システム検査装置に通知する処理を行う。
【0008】
また、前記監視システム検査装置は、前記監視装置とデータ通信する手段を有し、前記ユーザ検出装置から前記退場データが通知されると、前記監視不要領域から退場するユーザが所持する前記監視システムの検査として、前記監視装置との通信を確立する動作を行い、前記監視装置と通信できない場合、検査不合格と判定し警告を発する処理を行う。
【0009】
第2の発明は、第1の発明に記載の遺失防止システムにおいて、前記ユーザ検出装置は、前記監視不要領域へ退場するユーザを識別できるように、ユーザ認証して該ユーザのユーザIDを取得し、ユーザIDを含む前記退場データを前記監視システム検査装置へ送信する処理を行う。また、前記監視システム検査装置は、ユーザIDに関連付けて、ユーザが所持する前記監視装置の装置IDが記憶されたユーザDBを有し、前記監視システムの検査として、前記ユーザ検出装置から通知されたユーザIDに関連付けられた装置IDと、通信を確立した前記監視装置から取得した装置IDを照合する動作を行い、装置IDの照合に失敗した場合、検査不合格と判定し警告を発する処理を行う。
【0010】
第3の発明は、第2の発明に記載の遺失防止システムにおいて、前記ユーザDBには、ユーザIDに関連付けて、ユーザが所持する前記監視対象に装着された前記ICタグの個別IDが記憶され、前記監視システム検査装置は、前記ICタグとデータ通信する手段を有し、前記監視装置との通信を確立した後、前記監視システムの検査として、前記リクエスト信号を利用して得られた前記ICタグの個別IDと、前記ユーザ検出装置から通知されたユーザIDに関連付けられた個別IDを照合し、個別IDの照合に失敗した場合、検査不合格と判定し警告を発する処理を行う。
【0011】
第4の発明は、第3の発明に記載の遺失防止システムにおいて、前記監視システム検査装置は、個別IDの照合に成功した後、前記監視システムの検査として、前記監視対象の監視開始を前記監視装置に対して指示し、前記監視装置は、前記リクエスト信号を利用して前記ICタグの個別IDと、前記監視装置に設定されている個別IDを照合し、個別IDの照合に失敗した場合、個別IDの照合に失敗したことを前記監視システム検査装置に通知すると共に警告を発する処理を行う。
【0012】
第5の発明は、第2の発明から第4の発明に記載の遺失防止システムにおいて、前記監視システムの検査結果を、前記監視不要領域からユーザが退場する際に利用するゲートの開錠に反映できるように、前記監視不要領域から退場するユーザのユーザ認証に成功し、かつ、前記監視システムの検査に合格すると、前記監視不要領域からユーザが退場する際に利用するゲートを開錠するゲート装置を含み、前記ユーザ検出装置は前記監視不要領域から退場するユーザのユーザ認証結果を前記ゲート装置へ通知し、前記監視システム検査装置は、前記監視システムの検査結果を前記ゲート装置へ通知する。
【発明の効果】
【0013】
このように、本発明によれば、遺失の監視が不要な監視不要領域内(例えば、オフィス内)から監視不要領域外(例えば、オフィス外)へユーザが退場する際に、監視不要領域外へ退場するユーザが所持している監視システムのシステム状態を検査できる遺失防止システムを提供できる。
【0014】
詳しくは、前記監視不要領域から退場するユーザが所持する前記監視システムの検査として、前記監視装置との通信を確立する動作を行うことで、監視不要領域から退場するユーザが所持する前記監視システムの前記監視装置が動作することを確認できる。更に、前記ユーザ検出装置から通知されたユーザIDに関連付けられた装置IDで特定される前記監視装置との通信を確立する動作を行うことで、ユーザが前記監視装置を不正に持ち出していないことを確認できる。更に、前記リクエスト信号を利用して得られた前記ICタグの個別IDと、前記ユーザ検出装置から通知されたユーザIDに関連付けられた個別IDを照合することで、前記監視不要領域へ退場するユーザが所持する前記監視対象に過不足がないことを確認できる。更に、前記監視対象の監視開始を前記監視装置に対して指示することで、前記監視対象の設定ミスが前記監視装置に無いことを確認できる。更に、前記監視システムの検査結果を、前記監視不要領域からユーザが退場する際に利用するゲートの開錠に反映できるようにすることで、前記監視システムの検査に成功しなければ、ユーザは前記監視不要領域から退場できなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施形態に係る遺失防止システムの構成を説明する図。
【図2】ICタグを説明する図。
【図3】監視装置を説明する図。
【図4】ユーザ検出装置を説明する図。
【図5】監視システム検査装置を説明する図。
【図6】遺失防止システム1の動作を説明する第1の図。
【図7】遺失防止システム1の動作を説明する第2の図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
ここから,本発明の実施形態について,本発明の技術分野に係わる当業者が,発明の内容を理解し,発明を実施できる程度に説明する。なお、これから説明する実施形態は本発明の一実施形態にしか過ぎず、本発明は,これから説明する実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能である。
【0017】
図1は、本実施形態に係る遺失防止システム1の構成を説明する図である。図1に図示したように、本実施形態に係る遺失防止システム1には、RFID(RFID :Radio Frequency Identification)のICタグ5と、ICタグ5が装着された監視対象4(例えば、USBメモリやノート型パーソナルコンピュータ)の遺失を監視する監視装置3とから構成される監視システム2が含まれる。
【0018】
監視システム2を構成するICタグ5は、遺失の監視を要する監視対象4に装着され、個別IDを発信するリクエスト信号を受信すると、ICタグ5が記憶している個別IDを発信する。また、監視システム2を構成する監視装置3は、特許文献1のように、リクエスト信号を一定間隔毎に発信し、予め設定されている個別IDを受信できなかった場合は遺失に係る警告を発する処理を行うことで、ICタグ5が装着された監視対象4の遺失を監視する装置で、監視システム2は、遺失の監視が不要な監視不要領域(図1では、オフィスの室内)を出るユーザによって携帯されて、監視不要領域外(図1では、オフィスの室外)で利用される。
【0019】
電源が切れているなどして、監視装置3の電源がON状態でない場合、又は、ユーザが監視対象4の少なくとも一つを所持し忘れた場合など、監視システム2のシステム状態に異常がある場合、監視不要領域外において監視システム2が正常に機能しないため、図1の遺失防止システム1には、監視システム2に加え、 監視不要領域を退場するユーザを検出し、監視不要領域を退場するユーザを検出したことを示す退場データを監視システム検査装置6へ通知するユーザ検出装置7と、監視不要領域から退場するユーザが所持する監視システム2のシステム状態を検査する監視システム検査装置6が含まれ、ユーザ検出装置7及び監視システム検査装置6は、監視不要領域と監視不要領域外の境界(図1では、オフィスの入退室口)に設置される。
【0020】
ユーザ検出装置7としては、赤外線などにより人体検出センサや、ドアの開閉を検出するセンサが考えられるが、本実施形態のユーザ検出装置7は、監視不要領域から退場するユーザが所持するIDカードからユーザIDを読み取り、IDカードから読み取ったユーザIDがユーザ検出装置7に記憶されているか確認することで、監視不要領域から退場するユーザをユーザ認証し、該ユーザIDを含む退場データを監視システム検査装置6へ送信する処理を行う。
【0021】
監視システム検査装置6は、退場データがユーザ検出装置7から通知されると、監視システム2を検査するために、監視装置3との通信を確立する動作を行い、監視装置3と通信を確立できない場合、検査不合格と判定し警告を発信する処理を少なくとも行う。監視装置3との通信を確立する動作を行うことで、電源が切れているなどして、監視不要領域を退場する監視装置3の電源がON状態であることを検査できる。
【0022】
また、本実施形態では、監視システム検査装置6に、ユーザIDに関連付けて、ユーザが所持する監視装置3の装置IDを記憶させ、ユーザ検出装置7から通知されたユーザIDに関連付けられた装置IDで特定される監視装置3との通信を確立する動作を行うことで、ユーザが監視不要領域を退場する際に、ユーザが監視装置3を不正に持ち出していないことを確認できるようにしている。
【0023】
更に、本実施形態では、監視システム検査装置6に、ユーザIDに関連付けて、ユーザが所持する監視対象4に装着されたICタグ5の個別IDを記憶させ、リクエスト信号を利用して得られたICタグ5の個別IDと、ユーザ検出装置7から通知されたユーザIDに関連付けられた個別IDを照合し、個別IDの照合に失敗した場合、検査不合格と判定し警告を発する処理を行うことで、ユーザが監視不要領域を退場する際に、監視対象4を所持し忘れていないか検査できるようにしている。
【0024】
更に、本実施形態では、監視システム検査装置6が、監視対象4の監視開始を監視装置3に対して指示することで、ユーザが監視不要領域を退場する際に、監視対象4の設定ミスが監視装置3に無いことを確認できるようにしている。
【0025】
更に、本実施形態の遺失防止システム1には、監視システム2の検査の合格した場合にのみ、監視不要領域からユーザが退場できるようにするために、監視不要領域から退場するユーザのユーザ認証結果及び監視システム2の検査結果に基づき、監視不要領域からユーザが退場する際に利用するゲートの施錠を管理するゲート装置8を含ませている。
【0026】
ここから、図1で図示した遺失防止システム1を構成する各装置・システムについて説明する。まず、ICタグ5について説明する。図2は、ICタグ5を説明する図である。
【0027】
遺失を監視する監視対象4に装着されるICタグ5は、ICタグ5を個体識別するための個体IDを記憶したメモリ51と、非接触によりデータ通信するRF回路50が少なくとも実装された記録担体で、遺失を防止したい監視対象4にICタグ5を装着する装着方法としては、キーホルダや両面シールを用いる装着方法や、監視対象4に埋め込む装着方法が考えられる。
【0028】
ICタグ5の種類としては、内蔵された電池で動作するアクティブ型と外部装置から電力を受けて動作するパッシブ型の2種類があり、本発明はいずれの種類でも利用可能であるが、遺失の監視を目的とする場合、アクティブ型の通信距離(数十m)は必要とされないため、通信距離が数mである近傍型のパッシブ型を用いるとよい。
【0029】
次に、監視装置3について説明する。図3は、監視装置3を説明する図である。監視装置3は、コンピュータを用いて実現される装置で、通信手段として、監視対象4に装着されたICタグ5とデータ通信するICタグリーダライタ30と、監視システム検査装置6と無線通信する無線通信回路31を備え、更に、監視装置3を制御する制御手段32と、制御手段32が警告を発する際に利用する警告手段33を備え、監視装置3には、監視装置3を識別するための装置IDが記憶されている。
【0030】
監視装置3のICタグリーダライタ30は、監視対象4に装着されたICタグ5と非接触によりデータ通信するために監視装置3に備えられ、ICタグリーダライタ30はICタグ5のRF回路50に対応した回路になる。例えば、ICタグ5のRF回路50としてUHF帯に対応した回路を用いる場合、監視装置3のICタグリーダライタ30もUHF帯に対応した回路になる。
【0031】
監視装置3の無線通信回路31は、後述する監視システム検査装置6と無線通信するために監視装置3に備えられ、監視装置3の無線通信回路31は、ICタグ5と非接触によりデータ通信するICタグリーダライタ30と異なる通信方式の回路であることが望ましく、例えば、該通信方式としてBluetoothを利用できる。
【0032】
監視装置3の警告手段33は、光、音、振動等により警告を発信する手段で、光により警告を発信する場合はLEDやディスプレイが監視装置3に備えられ、音や音声により警告を発信する場合はスピーカが監視装置3に備えられ、また、振動により警告を発信する場合は振動子が監視装置3に備えられる。
【0033】
監視装置3の制御手段32は、コンピュータプログラムを利用して実現される手段で、監視装置3の動作を検査する命令を監視システム検査装置6から受信すると、監視装置3から受信した命令に対応した処理を実行する処理を行う。なお、監視装置3から受信した命令に対応した処理の詳細については後述する。
【0034】
ユーザ検出装置7について説明する。図4は、本実施形態に係るユーザ検出装置7を説明する図である。
【0035】
本実施形態において、ユーザ検出装置7は、監視不要領域へ入退場するユーザ、すなわち、オフィスへ入退室するユーザをユーザ認証することで、該ユーザのユーザIDを取得し、ユーザIDを含む退場データを監視システム検査装置6へ送信する処理を行う装置で、ユーザ認証にユーザIDを使用していればユーザ認証方式は問わないが、図4に図示したように、本実施形態のユーザ検出装置7は、ユーザが所持するIDカードから、IDカードに記憶されているユーザIDを読み取るためのカードリーダ70と、カードリーダ70が読み取ったユーザIDが、ユーザ検出装置7に記憶されているユーザIDに含まれているか確認することでユーザ認証を行い、ユーザ認証結果をゲート装置8へ通知するユーザ認証手段71を備える。
【0036】
次に、ゲート装置8について説明する。ゲート装置8は、監視不要領域からの退場、すなわち、オフィスからの退室を少なくとも管理するシステムで、ユーザ検出装置7から通知されたユーザ認証結果によってユーザ認証の成功が示され、かつ、監視システム検査装置6から通知された監視システム2の検査結果によって全ての検査の合格が示されている場合、オフィスのドアの施錠を開錠する動作を行う装置である。
【0037】
次に、監視システム検査装置6について説明する。図5は、監視システム検査装置6を説明する図である。監視システム検査装置6は、コンピュータを用いて実現される装置で、通信手段として、監視対象4に装着されたICタグ5とデータ通信するICタグリーダライタ60と、監視装置3と無線通信する無線通信回路61を備え、更に、監視不要領域から退場するユーザが携帯している監視システム2のシステム状態を検査する制御手段62と、音や音声にて警告を発する警告手段63と、オフィスへの入退室が許可されているユーザのユーザIDに関連付けて、ユーザの所持が許可された監視装置3の装置IDと、ユーザが所持する監視対象4に装着されたICタグ5の個体IDを記憶したユーザDB64を備えている。
【0038】
監視システム検査装置6のICタグリーダライタ60は、監視対象4に装着されたICタグ5と非接触によりデータ通信するために監視装置3に備えられ、ICタグリーダライタ60はICタグ5のRF回路50に対応した回路になる。例えば、ICタグ5のRF回路50としてUHF帯に対応した回路を用いる場合、監視装置3のICタグリーダライタ60もUHF帯に対応した回路になる。
【0039】
また、監視システム検査装置6の無線通信回路61は、監視不要領域から退場するユーザが所持する監視装置3と無線によりデータ通信するために監視システム検査装置6に備えられ、監視システム検査装置6の無線通信回路61は監視装置3の無線通信回路31に対応した回路になる。例えば、監視装置3の無線通信回路31としてBluetoothを用いる場合、監視システム検査装置6の無線通信回路61もBluetoothになる。
【0040】
ここから、図1で図示した遺失防止システム1の動作を説明しながら、監視装置3の制御手段31及び監視システム検査装置6の制御手段61について詳細に説明する。図6は、遺失防止システム1の動作を説明する第1の図で、S1からS8及びS20からS22の各ステップを説明する図である。また、図7は、遺失防止システム1の動作を説明する第2の図で、S9からS14及びS23からS24の各ステップを説明する図である。
【0041】
まず、図6を用いて説明する。ユーザが監視不要領域から退場する際、すなわち、ユーザがオフィスから退室する際に、オフィスの退室口に設けられたユーザ検出装置7のカードリーダ70にIDカードをかざすと、ユーザ検出装置7のユーザ認証手段71は、カードリーダ71を用いてIDカードからユーザIDを読み取ることでユーザからユーザIDを取得し(S1)、IDカードから読み取ったユーザIDがユーザ検出装置7に記憶しているか確認することでユーザ認証を行い(S2)、ユーザ認証に失敗、すなわち、IDカードから読み取ったユーザIDがユーザ検出装置7に記憶していない場合、ユーザ認証の失敗を示すユーザ認証結果をゲート装置8へ送信する処理を実行して(S20)、この手順を終了する。
【0042】
また、ユーザ認証に成功、すなわち、IDカードから読み取ったユーザIDがユーザ検出装置7に記憶している場合、ユーザ検出装置7のユーザ認証手段71は、ユーザ認証の成功を示すユーザ認証結果をゲート装置8へ送信した後(S3)、該ユーザIDを含む退場データを監視システム検査装置6へ通知する処理を実行する(S4)。
【0043】
監視システム検査装置6の制御手段62は、ユーザ検出装置7からユーザIDが通知されると、まず、監視システム2の検査の一つとして、監視不要領域から退場するユーザが所持する監視装置3が動作するか検査するために、無線通信回路61を用いて、ユーザが所持する監視装置3を探す探索信号を発信することで、監視装置3との通信を確立し、監視装置3から装置IDを取得する(S5)。
【0044】
なお、探索信号を受信した監視装置3の制御手段32は、無線通信回路31を用い監視システム検査装置6に対して自機の装置IDを送信し、探索信号を受信した監視装置3が無ければ、監視システム検査装置6には装置IDが送信されない。
【0045】
監視システム検査装置6の制御手段62は、監視装置3から装置IDが受信できない場合、監視装置3の電源がON状態でないと判定できるため、監視装置3の不所持を示す警告を警告手段63に発させた後、監視システム2の検査不合格をゲート装置8に通知して(S21)、この手順を終了する。
【0046】
また、 監視システム検査装置6の制御手段62は、監視装置3から装置IDを受信した場合、ユーザDB64を参照して、ユーザ検出装置7から引き渡されたユーザIDに関連付けられた装置IDを取得し、ユーザDB64から取得した装置IDと監視装置3から受信した装置IDが同一であるか照合し(S6)、照合に失敗した場合、許可されていない監視装置3をユーザが所持していると判定できるため、監視装置3の不正持ち出しを示す警告を警告手段63に発させた後、監視システム2の検査不合格をゲート装置8に通知して(S21)、この手順を終了する。
【0047】
監視システム検査装置6の制御手段62は、装置IDの照合に成功した場合、ICタグリーダライタ60を用いて、ICタグ5を検出するためのリクエスト信号を発信し、ICタグ5を検出する動作を行う(S7)。
【0048】
ICタグ5を検出する動作を行うと、監視システム検査装置6の制御手段62は、ユーザDB64を参照して、ユーザ検出装置7から通知されたユーザIDに関連付けられた個別IDを取得し、ユーザDB64から取得した個別IDとICタグ5から受信した個別IDを照合し(S8)、個別IDの照合に失敗した場合、ユーザが所持している監視対象4が過不足していると判定できるため、監視対象4の過不足を示す警告を警告手段63に発させた後、監視システム2の検査の失敗をゲート装置8に通知して(S22)、この手順を終了する。
【0049】
ここから、図7を用いて説明する。ユーザが所持している監視対象4の過不足がないと判定した場合、監視システム検査装置6の制御手段62は、監視対象4の監視を行う命令を監視装置3に対して送信する処理を行い(S9)、監視装置3の制御手段62は、ICタグリーダライタを用いて、ICタグ5を検出するためのリクエスト信号を発信し、ICタグ5を検出する動作を行う(S10)。
【0050】
そして、監視装置3の制御手段32は、監視装置3に設定されている個別IDとICタグ5から受信した個体IDを照合し(S11)、個別IDの照合に失敗すると、監視対象4の異常を示す警告を警告手段33に発させた後、監視対象4の過不足を監視システム検査装置6に通知し(S23)、個別IDの照合に成功した場合、監視対象4の異常を示す警告を警告手段33に発させることなく、監視対象4の正常を監視システム検査装置6に通知する(S12)。
【0051】
監視システム検査装置6の制御手段62は、監視装置3から監視対象4の過不足が通知されると、監視装置3に個別IDの設定ミスがあると判定し、監視システム2の検査の失敗をゲート装置8へ通知して(S24)、この手順を終了する。
【0052】
また、監視システム検査装置6の制御手段62は、監視装置3から監視対象4の正常が通知されると、監視システム2の検査の成功をゲート装置8へ通知し(S13)、ゲート装置8はドアの施錠を開錠して(S14)、この手順を終了する。
【符号の説明】
【0053】
1 遺失防止システム
2 監視システム
3 監視装置
4 監視対象
5 ICタグ
6 監視システム検査装置
7 ユーザ検出装置
8 ゲート装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
リクエスト信号を受信すると個別IDを発信するICタグ及び前記ICタグが装着された監視対象の遺失を監視する監視装置とから少なくとも構成される監視システムと、前記監視システムのシステム状態を検査する監視システム検査装置と、前記監視対象の監視が不要な監視不要領域から退場するユーザを検出するユーザ検出装置を含む遺失防止システムであって、
前記ユーザ検出装置は、前記監視不要領域から退場するユーザを検出すると、前記監視不要領域からユーザが退場することを示す退場データを前記監視システム検査装置に通知する処理を行い、
前記監視システム検査装置は、前記監視装置とデータ通信する手段を有し、前記ユーザ検出装置から前記退場データが通知されると、前記監視不要領域から退場するユーザが所持する前記監視システムの検査として、前記監視装置との通信を確立する動作を行い、前記監視装置と通信できない場合、検査不合格と判定し警告を発する処理を行う、
ことを特徴とする遺失防止システム。
【請求項2】
前記ユーザ検出装置は、前記監視不要領域へ退場するユーザをユーザ認証することで、該ユーザのユーザIDを取得し、ユーザIDを含む前記退場データを前記監視システム検査装置へ送信する処理を行い、
前記監視システム検査装置は、ユーザIDに関連付けて、ユーザが所持する前記監視装置の装置IDが記憶されたユーザDBを有し、記監視システムの検査として、前記ユーザ検出装置から通知されたユーザIDに関連付けられた装置IDと、通信を確立した前記監視装置から取得した装置IDを照合する動作を行い、装置IDの照合に失敗した場合、検査不合格と判定し警告を発する処理を行うことを特徴とする、請求項1に記載の遺失防止システム。
【請求項3】
前記ユーザDBには、ユーザIDに関連付けて、ユーザが所持する前記監視対象に装着された前記ICタグの個別IDが記憶され、前記監視システム検査装置は、前記ICタグとデータ通信する手段を有し、前記監視装置との通信を確立した後、前記監視システムの検査として、前記リクエスト信号を利用して得られた前記ICタグの個別IDと、前記ユーザ検出装置から通知されたユーザIDに関連付けられた個別IDを照合し、個別IDの照合に失敗した場合、検査不合格と判定し警告を発する処理を行うことを特徴とする、請求項2に記載の遺失防止システム。
【請求項4】
前記監視システム検査装置は、個別IDの照合に成功した後、前記監視対象の監視開始を前記監視装置に対して指示し、前記監視装置は、前記リクエスト信号を利用して前記ICタグの個別IDと、前記監視装置に設定されている個別IDを照合し、個別IDの照合に失敗した場合、個別IDの照合に失敗したことを前記監視システム検査装置に通知すると共に警告を発する処理を行うことを特徴とする、請求項3に記載の遺失防止システム。
【請求項5】
前記監視不要領域から退場するユーザのユーザ認証に成功し、かつ、前記監視システムの検査に合格すると、前記監視不要領域からユーザが退場する際に利用するゲートを開錠するゲート装置を含み、前記ユーザ検出装置は前記監視不要領域から退場するユーザのユーザ認証結果を前記ゲート装置へ通知し、前記監視システム検査装置は、前記監視システムの検査結果を前記ゲート装置へ通知することを特徴とする、請求項2から請求項4のいずれか一つに記載の遺失防止システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−226484(P2012−226484A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−92170(P2011−92170)
【出願日】平成23年4月18日(2011.4.18)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】