説明

RFIDシステム及びこれを用いた入退室管理システム

【課題】 UHF帯及びマイクロ波帯などの高い周波数帯を用いた場合でも、読み取り対象としているタグだけを確実に読み取ることが可能なRFIDシステム及びこれを用いた入退室管理システムを提供することを目的とする。
【解決手段】 リーダ受信部が受信したRFIDタグからの返信波が複数有り衝突したとき、リーダ送信部がRFIDタグへ送信する質問波の送信エリアを狭めさせる送信制御をリーダ送信部に対して行うリーダ制御部を備えたこと特徴とするRFIDシステム及びこれを用いた入退室管理システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、Radio_Frequency_IDentification(以下、RFIDと称す)タグの誤読を防止するための読み取り方式を特徴とするRFIDシステム及びこれを用いた入退室管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
RFIDシステムは、ICチップを備えたRFIDタグとRFIDリーダライタ(RFIDリーダ)との間で無線通信を行うシステムである。RFIDタグには、バッテリーを搭載し、その電力で駆動するアクティブ型タグと、RFIDリーダライタからの電力を受けて、これを電源とし駆動するパッシブ型タグがある。アクティブ型はパッシブ型に比べ、バッテリーを搭載しているため、通信距離、通信の安定度などのメリットがある反面、構造の複雑化、サイズの大型化、高コストなどのデメリットもある。
【0003】
半導体技術の向上により、パッシブ型タグ用ICチップの小型化、高性能化が進み、パッシブ型タグの幅広い分野での使用が期待されている。パッシブ型タグにおいて、周波数帯が長波帯、短波帯のRFIDタグで適用されている電磁誘導方式では、RFIDリーダライタの送信アンテナコイルとRFIDタグのアンテナコイルとの間の電磁誘導作用でRFIDタグに電圧が誘起され、この電圧によりICチップを起動して通信を可能としている。したがって、RFIDリーダライタによる誘導電磁界内でRFIDタグが動作し、通信距離は数十cm程度という特性を有している。
【0004】
一方、UHF帯及びマイクロ波帯などの高い周波数帯を用いたRFIDタグでは、電波通信方式が適用されており、電波によりRFIDタグのICチップに電力を供給しているため、通信距離は1〜7m程度と大幅に向上している。したがって、通信距離の短い長波帯、短波帯のRFIDシステムでは実現が困難であった複数枚のRFIDタグの同時読み取り(実際は、後述のアンチコリジョン機能により順次読み取っている)や移動しているRFIDタグの読み取りなどが可能となり、その利用範囲は、大幅に広がると考えられる。このような特性から、UHF帯及びマイクロ波帯などの高い周波数帯を用いたRFIDシステムは、タッチレス入退室管理システムなどの構築に重要なキーパーツとなってきている。
【0005】
従来のRFIDシステムを用いた入退室管理システムや監視システムには、人の接近を検出することが可能な人感センサと連動させたもの(例えば、特許文献1)や人感センサ(人体検知装置)の感応領域(検知範囲)内にRFIDリーダの送信領域(検知範囲)を包含させて、RFIDリーダが使用する電力を減じるようにしたものがある(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
従来のRFIDシステムには、客が入退室する万引き防止システムのゲートへの適用を前提とした、複数枚のRFIDタグの同時読み取りを行う際のRFIDタグからの返信が混信することを避けるためのバイナリツリー方式やタイムスロット方式などのアンチコリジョン機能を使用又は応用したものがある(例えば、特許文献3)。特に、タイムスロット方式において、タイムスロット数を事前に設定するものもある(例えば、特許文献4)。バイナリツリー方式やタイムスロット方式のアンチコリジョン機能に関しては、特許文献3及び4に説明が記載されている。また、タイムスロット方式のアンチコリジョン機能に関しては、特許文献5にも記載されている。なお、RFIDタグからの返信が混信することを避けるための技術としては、他にRFIDリーダライタからの質問の電波の強さを変化させるものがある(例えば、特許文献6)。また、特許文献7には、UHF帯及びマイクロ波帯などの高い周波数帯を用いたRFIDシステムにおいて好適な指向性を変化させるものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−107362号公報(特に、第1図、第4図)
【特許文献2】特開2006−352703号公報(特に、第1図、)
【特許文献3】特開2009−141816号公報(特に、第1図〜第4図、段落番号[0003]〜[0007],[0017]〜[0035])
【特許文献4】特開2007−221348号公報(特に、第1図、段落番号[0004]〜[0008],[0015]〜[0063])
【特許文献5】特開2011−039730号公報(特に、第1図〜第5図)
【特許文献6】特開2009−017291号公報(特に、第1図〜第4図)
【特許文献7】国際公開第2005/125032号の再公表公報(特に、第1図,第3図〜第12図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、従来のRFIDシステムやこれを用いた入退室管理システム(監視システム)では、UHF帯及びマイクロ波帯などの高い周波数帯を用いた場合、長距離通信が可能なことが災いし、読み取り対象としているタグの付近にあるタグ(入退室管理システムにおいては、入場又は退場の意志がない人が保有するタグ)までを誤って読み取ってしまうという課題があった。また、特許文献2に記載のRFIDシステムと人感センサ(人体検知装置)とを用いたものは、UHF帯及びマイクロ波帯などの高い周波数帯を用いた場合を考慮していないので、上記課題を解決する手段や示唆の開示はなく、人感センサ(人体検知装置)の感応領域よりも、RFIDリーダの送信領域(検知範囲)が広い場合の開示もない。また、一般的に人感センサ(人体検知装置)の感応領域に対応させたRFIDリーダの送信領域(検知範囲)を構築することは、UHF帯及びマイクロ波帯などの高い周波数帯の電波の性質上困難である。
【0009】
この発明は、上記のような課題を解消するためになされたもので、UHF帯及びマイクロ波帯などの高い周波数帯を用いた場合でも、読み取り対象としているタグだけを確実に読み取ることが可能なRFIDシステム及びこれを用いた入退室管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明に係るRFIDシステムは、RFIDリーダから質問波を送信して、前記質問波を受信したRFIDタグが算出した占有期間に返信波を前記RFIDリーダへ返信するようにしたアンチコリジョン機能であるタイムロット方式を用いるRFIDシステムにおいて、前記RFIDリーダに設けられ、前記RFIDタグが単一の占有期間の算出するように指示する占有期間の算出指示情報を含む質問波を前記RFIDタグへ送信するリーダ送信部と、前記RFIDタグに設けられ、前記算出指示情報を含む質問波を受信するタグ受信部と、前記RFIDタグに設けられ、前記タグ受信部が受信した前記算出指示情報から、前記単一の占有期間の算出し、その占有期間に前記RFIDリーダへ前記RFIDタグのID情報を有する返信波を返信するタグ送信部と、前記RFIDリーダに設けられ、前記RFIDタグのID情報を有する返信波を受信するリーダ受信部と、このリーダ受信部が前記単一の占有期間に単一の前記返信波を受信したとき、その受信された返信波に含まれるID情報を読み取り、前記リーダ受信部が受信した前記返信波が前記単一の占有期間に衝突したとき、前記RFIDタグが単一の占有期間の算出するように指示する占有期間の算出指示情報を含む質問波の送信エリアを狭めさせる送信制御を前記リーダ送信部に対して行うリーダ制御部とを備えたこと特徴とするものである。
【0011】
請求項2の発明に係るRFIDシステムは、RFIDリーダから質問波を送信して、前記質問波を受信したRFIDタグが、前記質問波に含まれる占有期間の算出指示情報から、前記RFIDリーダへ返信する返信波の返信する占有期間を前記RFIDタグが算出して、その算出された占有期間に返信波を前記RFIDリーダに返信して、前記RFIDリーダが同じ占有期間に複数の前記返信波を受信したときに衝突が生じたとして、再度、占有期間の算出指示情報を含む質問波を送信するRFIDシステムにおいて、前記RFIDリーダに設けられ、前記RFIDタグが単一の占有期間の算出するように指示する占有期間の算出指示情報を含む質問波を前記RFIDタグへ送信するリーダ送信部と、前記RFIDタグに設けられ、前記算出指示情報を含む質問波を受信するタグ受信部と、前記RFIDタグに設けられ、前記タグ受信部が受信した前記算出指示情報から、前記単一の占有期間の算出し、その占有期間に前記RFIDリーダへ前記RFIDタグのID情報を有する返信波を返信するタグ送信部と、前記RFIDリーダに設けられ、前記RFIDタグのID情報を有する返信波を受信するリーダ受信部と、このリーダ受信部が前記単一の占有期間に単一の前記返信波を受信したとき、その受信された返信波に含まれるID情報を読み取り、前記リーダ受信部が受信した前記返信波が前記単一の占有期間に衝突したとき、前記RFIDタグが単一の占有期間の算出するように指示する占有期間の算出指示情報を含む質問波の送信エリアを狭めさせる送信制御を前記リーダ送信部に対して行うリーダ制御部とを備えたこと特徴とするものである。
【0012】
請求項3の発明に係るRFIDシステムは、RFIDタグのID情報を構成するコードのうち、先頭ビットの情報から順に得るためにRFIDリーダから質問波を送信して、前記質問波を受信したRFIDタグが返信波を前記RFIDリーダへ返信するアンチコリジョン機能であるバイナリツリー方式を用いるRFIDシステムにおいて、前記RFIDリーダに設けられ、前記RFIDタグが前記RFIDタグのID情報を構成するコードのうち、先頭ビットの情報を有する返信波を前記RFIDリーダへ返信させる指示情報である質問波を前記RFIDタグへ送信するリーダ送信部と、前記RFIDタグに設けられ、前記指示情報である質問波を受信するタグ受信部と、前記RFIDタグに設けられ、前記タグ受信部が受信した前記指示情報から、前記RFIDリーダへ前記RFIDタグのID情報を構成するコードのうち、先頭ビットの情報を有する返信波を返信するタグ送信部と、前記RFIDリーダに設けられ、前記RFIDタグのID情報を構成するコードのうち、先頭ビットの情報を有する返信波を受信するリーダ受信部と、このリーダ受信部が単一の前記返信波を受信したとき、その受信された返信波を送信した前記RFIDタグへそのID情報を返信波に乗せて返信させるID返信指示情報を有する質問波を前記リーダ送信部に送信させて、前記ID返信指示情報に基づいて前記RFIDタグがそのID情報を有する返信波を返信して前記リーダ受信部が受信したその返信波から、前記RFIDタグのID情報を読み取り、前記リーダ受信部が受信した前記返信波が衝突したとき、前記RFIDタグのID情報を構成するコードのうち、先頭ビットの情報を有する返信波を前記RFIDリーダへ返信させる指示情報である質問波の送信エリアを狭めさせる送信制御を前記リーダ送信部に対して行うリーダ制御部とを備えたこと特徴とするものである。
【0013】
請求項4の発明に係るRFIDシステムは、RFIDリーダから質問波を送信して、前記質問波を受信したRFIDタグが前記RFIDタグのID情報を構成するコードのうち、少なくとも一部を有する返信波を前記RFIDリーダへ返信するRFIDシステムであって、前記RFIDリーダに設けられ、前記RFIDタグが前記RFIDタグのID情報を構成するコードのうち、少なくとも一部を有する返信波を前記RFIDリーダへ返信させる指示情報である質問波を前記RFIDタグへ送信するリーダ送信部と、前記RFIDタグに設けられ、前記指示情報である質問波を受信するタグ受信部と、前記RFIDタグに設けられ、前記タグ受信部が受信した前記指示情報から、前記RFIDリーダへ前記RFIDタグのID情報を構成するコードのうち、少なくとも一部を有する返信波を返信するタグ送信部と、前記RFIDリーダに設けられ、前記RFIDタグのID情報を構成するコードのうち、少なくとも一部を有する返信波を受信するリーダ受信部と、このリーダ受信部が単一の前記返信波を受信したとき、その受信された返信波を送信した前記RFIDタグへそのID情報を返信波に乗せて返信させるID返信指示情報を有する質問波を前記リーダ送信部に送信させて、前記ID返信指示情報に基づいて前記RFIDタグがそのID情報を有する返信波を返信して前記リーダ受信部が受信したその返信波から、前記RFIDタグのID情報を読み取り、前記リーダ受信部が受信した前記返信波が衝突したとき、前記RFIDタグのID情報を構成するコードのうち、少なくとも一部を有する返信波を前記RFIDリーダへ返信させる指示情報である質問波の送信エリアを狭めさせる送信制御を前記リーダ送信部に対して行うリーダ制御部とを備えたこと特徴とするものである。
【0014】
請求項5の発明に係るRFIDシステムは、RFIDリーダから質問波を送信して、前記質問波を受信したRFIDタグが前記RFIDタグのID情報を有する返信波を前記RFIDリーダへ返信するRFIDシステムにおいて、前記RFIDリーダに設けられ、前記RFIDタグが前記RFIDタグのID情報を有する返信波を前記RFIDリーダへ返信させる指示情報である質問波を前記RFIDタグへ送信するリーダ送信部と、前記RFIDタグに設けられ、前記指示情報である質問波を受信するタグ受信部と、前記RFIDタグに設けられ、前記タグ受信部が受信した前記指示情報から、前記RFIDリーダへ前記RFIDタグのID情報を有する返信波を返信するタグ送信部と、前記RFIDリーダに設けられ、前記RFIDタグのID情報を有する返信波を受信するリーダ受信部と、このリーダ受信部が単一の前記返信波を受信したとき、その受信された返信波からID情報を読み取り、前記リーダ受信部が受信した前記返信波が衝突したとき、前記RFIDタグのID情報を有する返信波を前記RFIDリーダへ返信させる指示情報である質問波の送信エリアを狭めさせる送信制御を前記リーダ送信部に対して行うリーダ制御部とを備えたこと特徴とするものである。
【0015】
請求項6の発明に係るRFIDシステムは、前記リーダ送信部が、前記指示情報に前記RFIDタグが単一の占有期間で返信波を返信するように指示する期間指示情報を含む質問波を前記RFIDタグへ送信し、前記タグ送信部が、前記タグ受信部が受信した前記指示情報に含まれる前記期間指示情報から、前記単一の占有期間に前記RFIDリーダへ前記RFIDタグのID情報を有する返信波を返信するものである請求項5に記載のものである。
【0016】
請求項7の発明に係るRFIDシステムは、前記リーダ制御部が、送信エリアを狭めて送信した質問波を受信した前記RFIDタグからの返信波が衝突したとき、質問波の送信エリアをさらに狭めさせる送信制御を前記リーダ送信部に対して行うものである請求項1〜6のいずれかに記載のものである。
【0017】
請求項8の発明に係るRFIDシステムは、前記リーダ制御部が、前記リーダ受信部が前記返信波を受信しないとき、質問波の送信エリアを広げる送信制御を前記リーダ送信部に対して行うものである請求項1〜7のいずれかに記載のものである。
【0018】
請求項9の発明に係るRFIDシステムは、前記送信制御が、前記リーダ送信部に質問波の送信電力を変更するものである請求項1〜8のいずれかに記載のものである。
【0019】
請求項10の発明に係るRFIDシステムは、前記送信制御が、前記リーダ送信部に、質問波の送信ビームパターンのビーム幅を変更するものである請求項1〜8のいずれかに記載のものである。
【0020】
請求項11の発明に係る入退室管理システムは、請求項1〜10のいずれかに記載のRFIDシステムを用いたものであって、一のエリアと二のエリアとを仕切る仕切り部と、この仕切り部の開錠と施錠とを行う鍵開閉制御部と、前記RFIDタグのID情報ごとに前記仕切り部の開錠の可能・不可能が記憶された記憶部と、前記リーダ制御部が読み取った前記RFIDタグのID情報が、前記記憶部に記憶されているものであり、前記仕切り部の開錠の可能なものと記憶されていると判定した場合は前記鍵開閉制御部を開錠させる入退室制御部とを備えたこと特徴とするものである。
【0021】
請求項12の発明に係る入退室管理システムは、前記入退室制御部が、前記リーダ制御部が読み取った前記RFIDタグのID情報が前記記憶部に記憶され、かつ、前記仕切り部の開錠の不可能なものと記憶されていると判定した場合は、前記リーダ送信部から、前記仕切り部の開錠の不可能なものと記憶されているID情報を有するRFIDタグへ、所定の時間において質問波に対する応答波を出さないスリープ状態に遷移させるスリープ指示情報を含む送信波を送信させるものである請求項11に記載のものである。
【0022】
請求項13の発明に係る入退室管理システムは、前記リーダ制御部が、前記リーダ送信部が、前記仕切り部の開錠の不可能なものと記憶されているID情報を有するRFIDタグへ、所定の時間において質問波に対する応答波を出さないスリープ状態に遷移させるスリープ指示情報を含む送信波を前記仕切り部の開錠の不可能なものと記憶されているID情報を有するRFIDタグへ送信した後、前記仕切り部の開錠の不可能なものと記憶されているID情報を有するRFIDタグの返信波を返信させた質問波の送信エリアよりも広い送信エリアに、質問波を送信させる送信制御を前記リーダ送信部に対して行うものである請求項12に記載のものである。
【0023】
請求項14の発明に係る入退室管理システムは、音又は光を発する報知部を備え、前記入退室制御部が、前記リーダ制御部が読み取った前記RFIDタグのID情報が前記記憶部に記憶され、かつ、前記仕切り部の開錠の不可能なものと記憶されている判定した場合は、前記報知部から音又は光を発するものである請求項11に記載のものである。
【発明の効果】
【0024】
以上のように、請求項1に係る発明によれば、アンチコリジョン機能であるタイムロット方式を用いるRFIDシステムにおいて、質問波の送信エリアに存在し、RFIDリーダ(リーダアンテナ部)に最寄りのRFIDタグのID情報を読み取ることができるRFIDシステムを得ることができる。
【0025】
請求項2に係る発明によれば、RFIDリーダから質問波を送信して、前記質問波を受信したRFIDタグが、前記質問波に含まれる占有期間の算出指示情報から、前記RFIDリーダへ返信する返信波の返信する占有期間を前記RFIDタグが算出して、その算出された占有期間に返信波を前記RFIDリーダに返信して、前記RFIDリーダが同じ占有期間に複数の前記返信波を受信したときに衝突が生じたとして、再度、占有期間の算出指示情報を含む質問波を送信するRFIDシステムにおいて、質問波の送信エリアに存在し、RFIDリーダ(リーダアンテナ部)に最寄りのRFIDタグのID情報を読み取ることができるRFIDシステムを得ることができる。
【0026】
請求項3に係る発明によれば、RFIDタグのID情報を構成するコードのうち、先頭ビットの情報から順に得るためにRFIDリーダから質問波を送信して、前記質問波を受信したRFIDタグが返信波を前記RFIDリーダへ返信するアンチコリジョン機能であるバイナリツリー方式を用いるRFIDシステムにおいて、質問波の送信エリアに存在し、RFIDリーダ(リーダアンテナ部)に最寄りのRFIDタグのID情報を読み取ることができるRFIDシステムを得ることができる。
【0027】
請求項4に係る発明によれば、RFIDリーダから質問波を送信して、前記質問波を受信したRFIDタグが前記RFIDタグのID情報を構成するコードのうち、少なくとも一部を有する返信波を前記RFIDリーダへ返信するRFIDシステムであって、質問波の送信エリアに存在し、RFIDリーダ(リーダアンテナ部)に最寄りのRFIDタグのID情報を読み取ることができるRFIDシステムを得ることができる。
【0028】
請求項5に係る発明によれば、RFIDリーダから質問波を送信して、前記質問波を受信したRFIDタグが前記RFIDタグのID情報を有する返信波を前記RFIDリーダへ返信するRFIDシステムにおいて、質問波の送信エリアに存在し、RFIDリーダ(リーダアンテナ部)に最寄りのRFIDタグのID情報を読み取ることができるRFIDシステムを得ることができる。
【0029】
請求項6に係る発明によれば、請求項5に係る発明の効果に加え、質問波の送信エリアに複数のRFIDタグが存在しているときに、RFIDタグから返信波が確実に衝突させることができ、質問波の送信エリアを狭めさせる送信制御を適切に実行できるRFIDシステムを得ることができる。
【0030】
請求項7に係る発明によれば、請求項1〜6に係る発明の効果に加え、質問波の送信エリアを狭めさせる送信制御を実行した後も、RFIDタグから返信波が衝突した場合でも、質問波の送信エリアに存在し、RFIDリーダ(リーダアンテナ部)に最寄りのRFIDタグのID情報を読み取ることができるRFIDシステムを得ることができる。
【0031】
請求項8に係る発明によれば、請求項1〜7に係る発明の効果に加え、RFIDタグの存在を検出する可能性を高めたRFIDシステムを得ることができる。
【0032】
請求項9に係る発明によれば、請求項1〜8に係る発明の効果に加え、RFIDリーダ(リーダアンテナ部)から質問波の送信エリアの尖頭へ向かう距離方向にて容易に質問波の送信エリアの面積を制御できるRFIDシステムを得ることができる。
【0033】
請求項10に係る発明によれば、請求項1〜8に係る発明の効果に加え、RFIDリーダ(リーダアンテナ部)から質問波の送信エリアの尖頭へ向かう距離方向と交差する幅方向にて容易に質問波の送信エリアの面積を制御できるRFIDシステムを得ることができる。
【0034】
請求項11に係る発明によれば、請求項1〜10のいずれかに記載のRFIDシステムを用いた入退室管理システムであって、質問波の送信エリアに存在し、RFIDリーダ(リーダアンテナ部)に最寄りのRFIDタグのID情報を読み取り、仕切り部の開錠の可能なものかどうかの入退室の判断を実行できる入退室管理システムを得ることができる。
【0035】
請求項12に係る発明によれば、請求項11に係る発明の効果に加え、仕切り部の開錠の不可能なID情報を有するRFIDタグを処理から所定の時間の間、処理から除外できる入退室管理システムを得ることができる。
【0036】
請求項13に係る発明によれば、請求項12に係る発明の効果に加え、仕切り部の開錠の不可能なID情報を有するRFIDタグにより、仕切り部の開錠の可能なID情報を有するRFIDタグの認証を阻害する可能性を低減させた入退室管理システムを得ることができる。
【0037】
請求項14に係る発明によれば、請求項11に係る発明の効果に加え、仕切り部の開錠の不可能なID情報を有するRFIDタグが検出されたことを報知することが可能な入退室管理システムを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】この発明の実施の形態1に係るRFIDシステム及びこれを用いた入退室管理システムの機能ブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係るRFIDシステム及びこれを用いた入退室管理システムの動作フローチャートである。
【図3】この発明の実施の形態1に係るRFIDシステム及びこれを用いた入退室管理システムの入退室の状況を示す模式図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係るRFIDシステム及びこれを用いた入退室管理システムの入退室の状況を示す模式図である。
【図5】この発明の実施の形態2に係るRFIDシステム及びこれを用いた入退室管理システムの機能ブロック図である。
【図6】この発明の実施の形態3に係るRFIDシステム及びこれを用いた入退室管理システムの機能ブロック図である。
【図7】この発明の実施の形態4に係るRFIDシステム及びこれを用いた入退室管理システムの機能ブロック図である。
【図8】この発明の実施の形態4に係るRFIDシステム及びこれを用いた入退室管理システムの入退室の状況を示す模式図である。
【図9】この発明の実施の形態4に係るRFIDシステム及びこれを用いた入退室管理システムの入退室の状況を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1について図1〜4を用いて説明する。図1(a)はRFIDシステム(入退室管理システムを含む)のRFIDリーダを主とした機能ブロック図、図1(b)はRFIDシステムのRFIDタグを主とした機能ブロック図、図2(a)はRFIDシステムの基本動作を示すフローチャート、図2(b)はRFIDシステムのRFIDリーダ(リーダアンテナ部)に最寄りのRFIDタグのみを読み取る動作を示すフローチャート、図3(a)は入退室管理システムの入退室の状況を示す模式図(送信エリア初期)、図3(b)は入退室管理システムの入退室の状況を示す模式図(送信エリア変更後)、図4(a)は入退室管理システムの入退室の状況を示す模式図(送信エリア初期)、図4(b)は入退室管理システムの入退室の状況を示す模式図(送信エリア変更後)である。なお、図2における「S○○○」(○には正の整数が入る)とは、各処理ステップを示している。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0040】
図1〜4において、1はRFIDリーダ(RFIDリーダライタでもよい)、2はRFIDタグである。ここで、RFIDタグ2をRFIDリーダ1が読み取るべきものとする。詳しくは、RFIDリーダ1に最寄りの(最も近い位置に存在する)RFIDタグをRFIDタグ2とする。つまり、入退室管理においては、所有者が入室や退室を希望している場合の所有者が所有するRFIDタグ2となる。なお、2a〜2c・・2xはRFIDタグであるが、RFIDリーダ1が読み取るべきものではないとする。つまり、入退室管理においては、所有者が入室や退室を希望していない場合の所有者が所有するRFIDタグ2a〜2c・・2xとなる。以下、代表としてRFIDタグ2の構成を説明するが、RFIDタグ2a〜2c・・2x(RFIDタグタグ2a〜2x)も同様の構成として説明は省略する。3はRFIDリーダ1に設けられ、RFIDタグ2が単一の占有期間(タイムスロット)の算出するように指示する占有期間(タイムスロット)の算出指示情報を含む質問波をRFIDタグ2へ送信するリーダ送信部、4はリーダ送信部3から算出指示情報を含む質問波1αをRFIDタグ2へ放射するリーダアンテナ部である。点線で囲われたエリアが質問波1αの送信エリアである。5はリーダ送信部3とリーダアンテナ部4とを接続する送受を分離するリーダ方向性結合部であり、サーキュレータなどの方向性結合器で構成されるがフィルタで代用してもよい。リーダ送信部3,リーダアンテナ部4(送信時),リーダ方向性結合部5(送信時)の3つを広義のリーダ送信部とする。
【0041】
図1〜4において、6はRFIDタグ2に設けられ、算出指示情報を含む質問波を受信するタグ受信部、7は受信した算出指示情報を含む質問波をタグ受信部6へ送るタグアンテナ部、8はタグ受信部6とタグアンテナ部7とを接続する送受を分離するタグ方向性結合部であり、サーキュレータなどの方向性結合器で構成されるがフィルタで代用してもよい。タグ受信部6,タグアンテナ部7(受信時),タグ方向性結合部8(受信時)の3つを広義のタグ受信部とする。9はRFIDタグ2に設けられ、タグ受信部6が受信した算出指示情報から、単一の占有期間の算出するタグ制御部、10はタグ制御部9の内部に設けられたRFIDタグ2のID情報を保存したID記憶部、11はタグ制御部9が算出した占有期間にRFIDリーダ1へRFIDタグのID情報を有する返信波2α(返信波2β:RFIDタグ2a〜2xは複数あるが、便宜上、返信波はまとめて「2β」とする。)を方向性結合器8及びタグアンテナ部7を介して返信するタグ送信部である。タグ制御部9,タグ送信部11,タグアンテナ部7(送信時),方向性結合部8(送信時)の4つを広義のタグ送信部とする。
【0042】
図1〜4において、12はRFIDリーダ1に設けられ、RFIDタグ2のID情報を有する返信波をリーダアンテナ部4及びリーダ方向性結合器5を介して受信するリーダ受信部である。リーダ受信部12,リーダアンテナ部4(受信時),リーダ方向性結合部5(受信時)の3つを広義のリーダ送信部とする。13はリーダ受信部12が単一の占有期間に単一の返信波を受信したとき、その受信された返信波に含まれるID情報を読み取り、リーダ受信部12が受信した返信波が単一の占有期間に衝突したとき、RFIDタグ2が単一の占有期間の算出するように指示する占有期間の算出指示情報を含む質問波の送信エリアを狭めさせる送信制御をリーダ送信部(リーダアンテナ部4)に対して行うリーダ制御部、14はRFIDリーダ1の内部又は外部に設けられ、RFIDタグ2のID情報ごとに認証が可能か、不可能かが記憶された記憶部である。なお、記憶部14は、認証の一態様としてRFIDタグ2のID情報ごとに後述する仕切り部15の開錠の可能・不可能が記憶されている。
【0043】
図1〜4において、15は一のエリアと二のエリアとを仕切る遮断棒,フラッパーゲート,扉などの仕切り部である。図中では代表例として遮断棒を示している。遮断棒が下がり、人の入退室が不可能な状態が施錠の状態とし、遮断棒が上がり、人の入退室が可能な状態が開錠の状態とする。16は仕切り部15の開錠と施錠とを行う鍵開閉制御部である。仕切り部15が扉であれば、鍵開閉制御部16は一般的な電子錠システムでよい。また、仕切り部15が遮断棒やフラッパーゲートであれば、鍵開閉制御部16における開錠は遮断棒やフラッパーゲートを通行可能な状態することを指し、施錠は遮断棒やフラッパーゲートを通行不可能な状態することを指す。17はリーダ制御部13が読み取ったRFIDタグ2のID情報が、記憶部14に記憶されているものであり、仕切り部15の開錠の可能なものと記憶されていると判定した場合は鍵開閉制御部16を開錠させる入退室制御部、18は音又は光を発する報知部である。リーダ制御部13が読み取ったRFIDタグ2のID情報が記憶部14に記憶され、かつ、仕切り部の開錠の不可能なものと記憶されている判定した場合は、入退室制御部17が、報知部18を制御して音又は光を発せしめる。報知部18は、LEDなどの光源を用いた回転灯や警告灯などの照明装置を点灯又は点滅させることで、認証不可を報知するものであり、照明装置や不正を音声で報知するスピーカなどの音声発生装置に限らず、不正を画面上に表示して報知する表示装置でもよい。表示が光の情報を伴っている点で光を発するといえる。
【0044】
次にRFIDシステムの動作について説明する。実施の形態1に係るRFIDシステムは、RFIDリーダ1から質問波1αを送信して、質問波1αを受信したRFIDタグ2(RFIDタグ2a〜2x)ごとに算出した占有期間(タイムスロット)に返信波をRFIDリーダ1へ返信波2α(返信波2β)を返信するようにしたアンチコリジョン機能であるタイムロット方式を用いるものに適用したものに関する。このタイムロット方式を用いたRFIDシステムの基本動作を、図1のRFIDシステムの機能ブロック図と図2(a)のフローチャートとを用いて説明する。まず、RFIDリーダ1のリーダ制御部13がリーダ送信部3及びリーダアンテナ部4を制御して、質問波の送信エリア内に存在するRFIDタグへ送信する(S411)。以下、RFIDタグ2が送信エリアに存在する場合を例に説明を進める。
【0045】
RFIDタグ2のタグ受信部6は、タグアンテナ部7を介して、RFIDリーダ1からの質問波を受信すると、タグ制御部9は、タグ制御部9の内部の乱数生成部(タイムスロット計算部)がランダムに生成した乱数を用いて、RFID2タグからのRFIDタグ2のID情報を有する返信波の送信タイミング(返信タイミング)を算出する。例えば、2Bitのタイムスロット(占有期間)を算出する場合は、乱数生成部から生成される乱数(2進数)が「00」,「01」,「10」,「11」の四種類となるようなものに設定すればよい。乱数(2進数)の下二桁を抽出する形式にすれば容易に得られる。よって、RFIDタグ2は、4つの占有期間のいずれかでRFIDタグ2のID情報を乗せた質問波をRFIDリーダライタ1へ返信(送信)することになる。これはもちろん、他のRFIDタグ2a〜2xも同様である。つまり、質問波の送信エリア内に存在するRFIDタグ2,2a〜2xは、4つの占有期間のいずれかで返信波をRFIDリーダ1へ返信することになる。ここでは、所定の占有期間にRFIDタグ2からRFIDリーダライタ1へ返信波を返信(送信)するとして説明を進める。
【0046】
RFIDリーダ1がRFIDタグからの応答を受信、つまり、RFIDタグ2からの返信波が送信され、RFIDリーダ1のリーダ受信部12がリーダアンテナ部4を介して、返信波2αを受信する(S412)。S412にて、RFIDリーダ1が所定の占有期間に受信した返信波がRFIDタグ2からの返信波のみであった場合は、リーダ受信部12内で返信波が混信する(返信波が衝突する)ことがないので、受信された返信波に含まれるRFID2のID情報をリーダ制御部13が読み取る。ここで、ID情報が読み取れたRFIDタグ2へは、所定の時間において質問波に対する応答波を出さないスリープ状態に遷移させるスリープ指示情報を含む送信波を前述の質問波と同じ処理系統で送信してRFIDタグ2を所定の時間、スリープさせてよい。
【0047】
RFIDリーダ1が所定の占有期間に受信した返信波がRFIDタグ2からの返信波に加え、別の返信波も受信した場合(例えばRFIDタグ2aからの返信波)、つまり、リーダ受信部12が受信した返信波が所定の占有期間に衝突したとき、リーダ制御部13は、返信波を受信するために質問波を再度、送信する。ここで、ID情報を読取済みのRFIDタグからの返信波が無い方が、次回の読み取り時における返信波の衝突の可能性が低くなるので、前述のRFIDタグを所定時間に亘りスリープ状態に遷移させる手法が一般的である。
【0048】
以上のことから、換言すると、タイムロット方式を用いたRFIDシステムとは、RFIDリーダ1から質問波を送信して、質問波を受信したRFIDタグ2が、質問波に含まれる占有期間の算出指示情報から、RFIDリーダ1へ返信する返信波の返信する占有期間をRFIDタグ2が算出して、その算出された占有期間に返信波をRFIDリーダ1に返信して、RFIDリーダが同じ占有期間に複数の返信波を受信したときに衝突が生じたとして、再度、占有期間の算出指示情報を含む質問波を送信するものともいえる。
【0049】
図1のRFIDシステムの機能ブロック図と図2(b)のフローチャートとを用いて実施の形態1に係るRFIDシステムのRFIDリーダ(リーダアンテナ部4)に最寄りのRFIDタグのみを読み取る動作を説明する。まず、RFIDリーダ1のリーダ制御部13がアンチコリジョン機能の変更を設定する(S421)。次に、アンチコリジョン機能から単一の占有期間で、あえて衝突(混信)するRFIDタグから返信波を受信するために質問波を送信するために質問波へ乗せる情報(算出指示情報)を設定する(S422)。そして、リーダ制御部13がリーダ送信部3及びリーダアンテナ部4を制御して、RFIDタグ2,2a〜2xが単一の占有期間の算出するように指示する占有期間の算出指示情報を含む質問波1αの送信エリア内に存在するRFIDタグへ送信する(S423)。以下、RFIDタグ2が送信エリアに存在する場合を例に説明を進める。
【0050】
RFIDタグ2のタグ受信部6は、タグアンテナ部7を介して、RFIDリーダ1からの算出指示情報を含む質問波1αを受信すると、その算出指示情報から、タグ制御部9は、乱数生成部がランダムに生成した乱数の生成に関して、占有期間(タイムスロット)を「1」と設定することにより(タイムスロットの設定値が「1」)、実質的に乱数ではなく、単一の数値「00」を乱数生成部に生成(算出)させる。この乱数生成部が生成した単一の数値「00」から、RFID2タグからのRFIDタグ2のID情報を有する返信波2αの送信タイミング(返信タイミング)をRFIDリーダ1が指示する単一の占有期間とさせる。これはもちろん、他のRFIDタグ2a〜2xも同様である。つまり、質問波1αの送信エリア内に存在するRFIDタグ2,2a〜2xは、同じ占有期間に返信波(返信波2α,返信波2β)をRFIDリーダ1へ返信することになる。この場合、実質的には、「占有」ではないが、便宜上、「占有」という用語を使用する。なお、質問波1αの送信エリア内に存在するRFIDタグから同じタイミングで返信波がRFIDタグから送信することが可能であれば、タグ制御部9による単一の占有期間の算出(生成)は、タグ制御部9の内部の乱数生成部を用いずに、タグ制御部9が単一の占有期間を決定すればよい。また、それができるように、質問波1αを介してRFIDリーダ1からタグ制御部9へ指示すればよい。
【0051】
RFIDリーダ1がRFIDタグからの応答を受信、つまり、RFIDタグ2からの返信波2αが送信され、RFIDリーダ1のリーダ受信部12がリーダアンテナ部4を介して、返信波2αを受信する(S424)。その後、S425の処理ステップを行う。S424にて、RFIDリーダ1が単一の占有期間に受信した返信波がRFIDタグ2からの返信波2αのみであった場合は、リーダ受信部12内で返信波が混信する(返信波が衝突する)ことがないので、S426へ進み、受信された返信波2αに含まれるRFID2のID情報をリーダ制御部13が読み取る。読み取れたID情報は、記憶部14に記憶された情報と比較され、認証が可能かどうかをリーダ制御部で判断する。ここで、ID情報が読み取れたRFIDタグ2へは、所定の時間において質問波に対する応答波を出さないスリープ状態に遷移させるスリープ指示情報を含む送信波を前述の質問波1αと同じ処理系統で送信してRFIDタグ2を所定の時間、スリープさせてよい。
【0052】
S424にて、RFIDリーダ1が単一の占有期間に受信した返信波がRFIDタグ2からの返信波2αに加え、別の返信波も受信した場合(例えばRFIDタグ2aからの返信波2β)、つまり、リーダ受信部12が受信した返信波が単一の占有期間に衝突したとき、リーダ制御部13は、単一の占有期間でRFIDタグから返信波を受信するために質問波を送信するために質問波へ乗せる情報(算出指示情報)の送信エリアの設定を変更し、リーダ送信部3に対して、送信エリアを狭めさせる送信制御を行い、S423に戻る。なお、S423に戻る前に、S428として、送信エリア内に複数のRFIDタグが存在することを報知部18により報知(アラートを表示)してもよい。後述する実施の形態1に係るRFIDシステムを用いた入退室管理システムでは、RFIDタグの返信波の衝突を検知した場合、アラートを表示することで、入退室の意志のない人物に対して通信範囲から退避するように伝えることで、確実に入退室の意志のある人物のみ通信可能となる状況を作り出すことが可能である。S423に戻り、S423,S424,S425(衝突有り)の処理を経た場合、つまり、リーダ制御部13が、送信エリアを狭めて送信した質問波を受信したRFIDタグからの返信波が衝突したとき、質問波の送信エリアをさらに狭めさせる送信制御をリーダ送信部12に対して行えばよい。また、図2(b)には示していないが、S424にて、リーダ受信部12が返信波を受信しないとき、S422に戻り、リーダ制御部13が、質問波1αの送信エリアを広げる送信制御をリーダ送信部12に対して行ってもよい。
【0053】
実施の形態1に係るRFIDシステムでは、このような処理ステップを行うことで、RFIDリーダ1(リーダアンテナ部4)にもっと近い位置に存在するRFIDタグ2のみのID情報を読み取ることができる。RFIDリーダ1による送信エリアの狭め方(広め方)としては、リーダ送信部12に質問波1αの送信電力を変更(「送信エリアの狭めるときは、送信電力を下げる」,「送信エリアの広げるときは、送信電力を上げる」)、又は、質問波1αの送信ビームパターンのビーム幅を変更(「送信エリアの狭めるときは、ビーム幅を狭める」,「送信エリアの広げるときは、ビーム幅を広げる」)すればよい。もちろん、送信電力の変更とビーム幅の変更とを併用してもよいことはいうまでもない。なお、送信電力の変更を含め、ビーム幅の変更は、特許文献7に記載の送信ビームパターンが制御可能なアンテナなどのアレイアンテナを用いてリーダアンテナ部4を形成すればよい。
【0054】
実施の形態1に係るRFIDシステムは、このような性質を有するものであるので、初期の質問波1αの送信エリアは広いほうがよい。よって、初期の質問波1αの送信電力はある程度高いものを用いることが好適である。また、図2(b)のフローチャートで説明したS423,S424,S425(衝突有り)の処理を繰り返すにあたり、送信電力の変更とビーム幅の変更とを交互に行ったり、織り交ぜて行ったりしてよい。
【0055】
次に実施の形態1に係るRFIDシステムを用いた入退室管理システムの動作について説明する。ここで説明する入退室管理システムは前述のRFIDシステムを用いたものである。図3は実施の形態1に係る入退室管理システムを示す模式図である。図3(a)(b)は、仕切り部15によって仕切られた一方のエリア(一のエリア)と他方のエリア(二のエリア)の二つのエリアのうち、一方のエリアの通路にRFIDタグ2を所有する所有者とRFIDタグ2aを所有する所有者が存在している状態を示している。RFIDタグ2を所有する所有者は、仕切り部15に繋がる通路におり、その通路とT字路を形成している通路にRFIDタグ2aを所有する所有者がいる。RFIDタグ2を所有する所有者は、他方のエリアへの入室の意思があるものとする。RFIDタグ2aを所有する所有者は、仕切り部15に近い位置にはいるが、他方のエリアへの入室の意思はないものとする。
【0056】
図3(a)は、RFIDリーダ1のリーダアンテナ部4から送信される質問波1αの送信エリアが、RFIDタグ2を所有する所有者とRFIDタグ2aを所有する所有者との両方を包含する広いものとなっているので、RFIDリーダ1(リーダアンテナ部4)は、RFIDタグ2及びRFIDタグ2aからの返信波2α及び返信波2βの両方を受信し、RFIDリーダ1(リーダ受信部12)内で返信波2α及び返信波2βが衝突(混信)していまい、他方のエリアへの入室の意思があるRFIDタグ2を所有する所有者のID情報が読み取れないが、実施の形態1に係る入退室管理システムは、実施の形態1に係るRFIDシステムを用いたものであるので、図2(b)のフローチャートを用いて説明した前述の各処理を行うことで、図3(b)に示すように、RFIDリーダ1のリーダアンテナ部4から送信される質問波1αの送信エリアを狭めて、RFIDタグ2のみを読み取ることが可能となる。
【0057】
RFIDリーダ1(リーダ制御部13)に読み取れたRFIDタグ2のID情報は、記憶部14に記憶されているものであり、仕切り部15の開錠の可能なものと記憶されていると、入退室制御部17が判定した場合は鍵開閉制御部16を開錠させる。図3(b)には、その様子を点線矢印により遮断棒(仕切り部15)が上がる方向を模式的に示している。また、入退室制御部17が、リーダ制御部9が読み取ったRFIDタグ2のID情報が記憶部に記憶され、かつ、仕切り部15の開錠の不可能なものと記憶されている判定した場合は、報知部18から音又は光を発してRFIDタグ2を所有する所有者を警告してもよい。
【0058】
なお、リーダ制御部9が読み取ったRFIDタグ2のID情報が記憶部に記憶され、かつ、仕切り部15の開錠の不可能なものと記憶されている判定した場合でも、入退室管理システムに求められるセキュリティレベルが高い無い場合は、リーダ送信部12から、仕切り部15の開錠の不可能なものと記憶されているID情報を有するRFIDタグ2へ、所定の時間において質問波に対する応答波を出さないスリープ状態に遷移させるスリープ指示情報を含む送信波を送信させて、他方のエリアへの入室を希望する者の妨げにならないようにしてもよい。
【0059】
さらに、この所定の時間において質問波に対する応答波を出さないスリープ状態に遷移させるスリープ指示情報を含む送信波を仕切り部15の開錠の不可能なものと記憶されているID情報を有するRFIDタグ2へ送信した後、仕切り部15の開錠の不可能なものと記憶されているID情報を有するRFIDタグ2の返信波を返信させた質問波の送信エリアよりも広い送信エリアに、質問波を送信させる送信制御をリーダ送信部12に対して行うことで、より、他方のエリアへの入室を希望する者の利便性を向上させてよい。
【0060】
次に、通路が延びている方向に沿って仕切り部15がある場合や、前述のT字路であっても仕切り部15に繋がる通路が短い場合に好適な実施の形態1に係る入退室管理システムを説明する。図4は、前述のT字路であっても仕切り部15に繋がる通路が短い場合の実施の形態1に係る入退室管理システムを示す模式図である。図4(a)(b)は、仕切り部15によって仕切られた一方のエリア(一のエリア)と他方のエリア(二のエリア)の二つのエリアのうち、一方のエリアの通路にRFIDタグ2を所有する所有者とRFIDタグ2aを所有する所有者が存在している状態を示している。RFIDタグ2を所有する所有者は、仕切り部15に繋がる通路と、その通路とT字路を形成している通路との境界付近におり、仕切り部15に繋がる通路とT字路を形成している通路にRFIDタグ2aを所有する所有者がいる。図3と同様に、RFIDタグ2を所有する所有者は、他方のエリアへの入室の意思があるものとする。RFIDタグ2aを所有する所有者は、仕切り部15に近い位置にはいるが、他方のエリアへの入室の意思はないものとする。
【0061】
図4(a)は、RFIDリーダ1のリーダアンテナ部4から送信される質問波1αの送信エリアが、RFIDタグ2を所有する所有者とRFIDタグ2aを所有する所有者との両方を包含する広いものとなっているので、RFIDリーダ1(リーダアンテナ部4)は、RFIDタグ2及びRFIDタグ2aからの返信波2α及び返信波2βの両方を受信し、RFIDリーダ1(リーダ受信部12)内で返信波2α及び返信波2βが衝突(混信)していまい、他方のエリアへの入室の意思があるRFIDタグ2を所有する所有者のID情報が読み取れない。しかし、前述の図3(b)に示すように、RFIDリーダ1のリーダアンテナ部4から送信される質問波1αの送信エリアを狭めて、RFIDタグ2のみを読み取ることが可能となる場合もあるが、質問波1αの送信エリアを狭めた方によっては、換言すると、狭めた後の送信エリアの形状によっては、仕切り部15に繋がる通路とT字路を形成している通路が送信エリアに包含されてしまうおそれがある。つまり、T字路であっても仕切り部15に繋がる通路が短い場合では、仕切り部15に繋がる通路とT字路を形成している通路を通っているだけで、RFIDタグ2以外にも、他方のエリアへの入室を希望していない者のRFIDタグを読み取ってしまう(もちろん、ID情報が読み取れるわけではなく、衝突が生じる)おそれがある。
【0062】
このような(図4のような)場合は、図4(b)に示すように、リーダ制御部13の送信制御として、リーダ送信部12に、質問波1αの送信ビームパターンのビーム幅を狭めさせることで、仕切り部15に繋がる通路とT字路を形成している通路を通っているだけで、RFIDタグ2以外にも、他方のエリアへの入室を希望していない者のRFIDタグを読み取ってしまう可能性を減じることができる。このような処理は、リーダアンテナ部7の配置及びリーダアンテナ部7の送信ビームパターン(放射パターン)並びに仕切り部15周辺の通路などの環境などを総合的に判断して決定すればよい。
【0063】
実施の形態2.
この発明の実施の形態2について図2及び5を用いて説明する。実施の形態2に係るRFIDシステム及びこれを用いた入退室管理システムの説明は、実施の形態1に係るRFIDシステム及びこれを用いた入退室管理システムとの相違点を中心に説明を行う。説明がない部分は実施の形態1と同様である。図5(a)はRFIDシステム(入退室管理システムを含む)のRFIDリーダを主とした機能ブロック図、図5(b)はRFIDシステムのRFIDタグを主とした機能ブロック図、である。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。図5において、19はRFIDリーダ1に設けられ、RFIDタグ2がRFIDタグ2のID情報を構成するコードのうち、先頭ビットの情報を有する返信波をRFIDリーダ1へ返信させる指示情報である質問波をRFIDタグ2へ送信するリーダ送信部、20はリーダ送信部19から指示情報を含む質問波1αをRFIDタグ2へ放射するリーダアンテナ部である。リーダ送信部19,リーダアンテナ部20(送信時),リーダ方向性結合部5(送信時)の3つを広義のリーダ送信部とする。
【0064】
図5において、21はRFIDタグ2に設けられ、指示情報である質問波を受信するタグ受信部、22は受信した指示情報である質問波をタグ受信部21へ送るタグアンテナ部、タグ受信部21,タグアンテナ部22(受信時),タグ方向性結合部8(受信時)の3つを広義のタグ受信部とする。23はRFIDタグ2に設けられ、タグ受信部21が受信した指示情報から、RFIDリーダ1へRFIDタグのID情報を構成するコードのうち、先頭ビットの情報をID記憶部10から引き出すタグ制御部、24はタグ制御部23がID記憶部10から引き出したRFIDタグ2のID情報を構成するコードのうち、先頭ビットの情報を有する返信波2α(返信波2β)をRFIDリーダ1へ方向性結合器8及びタグアンテナ部22を介して返信するタグ送信部である。タグ制御部23,タグ送信部24,タグアンテナ部20(送信時),方向性結合部8(送信時)の4つを広義のタグ送信部とする。
【0065】
図5において、25はRFIDリーダ1に設けられ、RFIDタグ2のID情報を構成するコードのうち、先頭ビットの情報を有する返信波をリーダアンテナ部20及びリーダ方向性結合器5を介して受信するリーダ受信部である。リーダ受信部25,リーダアンテナ部20(受信時),リーダ方向性結合部5(受信時)の3つを広義のリーダ送信部とする。26はリーダ受信部25が単一の返信波を受信したとき、その受信された返信波を送信したRFIDタグ2へ、そのID情報を返信波に乗せて返信させるID返信指示情報を有する質問波をリーダ送信部24に送信させて、ID返信指示情報に基づいてRFIDタグ2がそのID情報を有する返信波を返信してリーダ受信部21が受信したその返信波から、RFIDタグ2のID情報を読み取り、また、リーダ受信部21が受信した返信波が衝突したとき、RFIDタグのID情報を構成するコードのうち、先頭ビットの情報を有する返信波をRFIDリーダへ返信させる指示情報である質問波の送信エリアを狭めさせる送信制御をリーダ送信部19に対して行うリーダ制御部である。
【0066】
次にRFIDシステムの動作について説明する。実施の形態2に係るRFIDシステムは、RFIDタグ2(RFIDタグ2a〜2x)のID情報を構成するコードのうち、先頭ビットの情報から順に得るためにRFIDリーダ1から質問波1αを送信して、質問波1αを受信したRFIDタグ2が返信波2α(返信波2β)をRFIDリーダ1へ返信するアンチコリジョン機能であるバイナリツリー方式を用いるものに適用したものに関する。このバイナリツリー方式を用いたRFIDシステムの基本動作を、図5のRFIDシステムの機能ブロック図と図2(a)のフローチャートとを用いて説明する。まず、RFIDリーダ1のリーダ制御部26がリーダ送信部19及びリーダアンテナ部20を制御して、質問波の送信エリア内に存在するRFIDタグへ送信する(S411)。以下、RFIDタグ2が送信エリアに存在する場合を例に説明を進める。
【0067】
RFIDタグ2のタグ受信部21は、タグアンテナ部22を介して、RFIDリーダ1からの質問波を受信すると、タグ制御部23は、タグ制御部9は、質問波の要請に応じ、RFIDタグ2のID情報における先頭ビットの情報から順に記憶部10から呼び出し、順次、返信波にその情報を乗せて返信する処理を行う。これはもちろん、他のRFIDタグ2a〜2xも同様である。以下、RFIDタグ2(RFIDタグ2a〜2x)が4種類あり、ID情報がそれぞれ「00」,「01」,「10」,「11」と設定されており、質問波1αの送信エリア内には、ID情報「00」を有するものと、ID情報「01」を有するものの二つのRFIDタグがある場合と、質問波1αの送信エリア内には、ID情報「00」を有するものの一つのRFIDタグがある場合の二つの場合があるとする。また、ここで、ID情報「00」を有するものはRFIDタグ2とし、ID情報「1」を有するものはRFIDタグ2aとして説明を進める。
【0068】
RFIDリーダ1がRFIDタグからの応答を受信、つまり、RFIDタグ2からの返信波が送信され、RFIDリーダ1のリーダ受信部12がリーダアンテナ部4を介して、返信波2αを受信する(S412)。S412にて、RFIDリーダ1が受信した返信波がRFIDタグ2からの返信波のみであった場合は、リーダ受信部12内で返信波が混信する(返信波が衝突する)ことがないので、RFIDタグ2のID情報における先頭ビットの次の情報を得ることで、RFIDタグ2のID情報を得ることができる。ここで、ID情報が読み取れたRFIDタグ2へは、所定の時間において質問波に対する応答波を出さないスリープ状態に遷移させるスリープ指示情報を含む送信波を前述の質問波と同じ処理系統で送信してRFIDタグ2を所定の時間、スリープさせてよい。
【0069】
RFIDリーダ1が受信した返信波がRFIDタグ2からの返信波に加え、RFIDタグ2aからの返信波があり、衝突したとき、リーダ制御部13は、ID情報における先頭ビットの情報が「0」のもののみから、返信波を受信するために質問波を再度、送信する。そして、RFIDリーダ1が受信した返信波がRFIDタグ2からの返信波のみであった場合は、リーダ受信部12内で返信波が混信する(返信波が衝突する)ことがないので、RFIDタグ2のID情報における先頭ビットの次の情報を得ることで、RFIDタグ2のID情報を得ることができる。ここで、ID情報が読み取れたRFIDタグ2へは、所定の時間において質問波に対する応答波を出さないスリープ状態に遷移させるスリープ指示情報を含む送信波を前述の質問波と同じ処理系統で送信してRFIDタグ2を所定の時間、スリープさせてよい。もちろん、リーダ制御部13は、ID情報における先頭ビットの情報が「1」のもののみから、返信波を受信するために質問波を再度、送信してもよい。この場合も、RFIDリーダ1が受信した返信波がRFIDタグ2aからの返信波のみであった場合は、リーダ受信部12内で返信波が混信する(返信波が衝突する)ことがないので、RFIDタグ2aのID情報における先頭ビットの次の情報を得ることで、RFIDタグ2aのID情報を得ることができる。
【0070】
図5のRFIDシステムの機能ブロック図と図2(b)のフローチャートとを用いて実施の形態2に係るRFIDシステムのRFIDリーダ(リーダアンテナ部20)に最寄りのRFIDタグのみを読み取る動作を説明する。まず、RFIDリーダ1のリーダ制御部23がアンチコリジョン機能の変更を設定する(S421)。次に、アンチコリジョン機能から、あえて衝突(混信)するRFIDタグから返信波を受信するために質問波を送信するために質問波へ乗せる情報(指示情報)を設定する(S422)。そして、リーダ制御部26がリーダ送信部19及びリーダアンテナ部20を制御して、RFIDタグ2,2a〜2xが指示情報である質問波1αの送信エリア内に存在するRFIDタグへ送信する(S423)。以下、RFIDタグ2が送信エリアに存在する場合を例に説明を進める。
【0071】
RFIDタグ2のタグ受信部21は、タグアンテナ部22を介して、RFIDリーダ1からの指示情報である質問波1αを受信すると、その指示情報から、タグ制御部23がRFIDタグ2のID情報における先頭ビットの情報から順に記憶部10から呼び出し、順次、返信波にその情報を乗せて返信する処理を行う。これはもちろん、他のRFIDタグ2a〜2xも同様である。つまり、質問波1αの送信エリア内に存在しておれば、RFIDタグ2,2a〜2xは、返信波(返信波2α,返信波2β)をRFIDリーダ1へ返信することになる。
【0072】
RFIDリーダ1がRFIDタグからの応答を受信、つまり、RFIDタグ2からの返信波2αが送信され、RFIDリーダ1のリーダ受信部25がリーダアンテナ部4を介して、返信波2αを受信する(S424)。その後、S425の処理ステップを行う。S424にて、RFIDリーダ1が単一の返信波がRFIDタグ2からの返信波2αのみであった場合は、リーダ受信部12内で返信波が混信する(返信波が衝突する)ことがないので、S426へ進み、一般的なバイナリツリー方式にて、RFIDタグ2からID情報を得る処理を行う。つまり、その受信された返信波を送信したRFIDタグ2へ、そのID情報を返信波に乗せて返信させるID返信指示情報を有する質問波をリーダ送信部19に送信させる。読み取れたID情報は、記憶部14に記憶された情報と比較され、認証が可能かどうかをリーダ制御部で判断する。ここで、ID情報が読み取れたRFIDタグ2へは、所定の時間において質問波に対する応答波を出さないスリープ状態に遷移させるスリープ指示情報を含む送信波を前述の質問波1αと同じ処理系統で送信してRFIDタグ2を所定の時間、スリープさせてよい。
【0073】
S424にて、RFIDリーダ1が受信した返信波がRFIDタグ2からの返信波2αに加え、別の返信波も受信した場合(例えばRFIDタグ2aからの返信波2β)、つまり、リーダ受信部25が受信した返信波が衝突したとき、リーダ制御部26は、RFIDタグのID情報を構成するコードのうち、先頭ビットの情報を有する返信波をRFIDリーダ1へ返信させる指示情報である質問波の送信エリアの設定を変更し、リーダ送信部19に対して、送信エリアを狭めさせる送信制御を行い、S423に戻る。なお、S423に戻る前に、S428として、送信エリア内に複数のRFIDタグが存在することを報知部18により報知してもよい。S423に戻り、S423,S424,S425(衝突有り)の処理を経た場合、つまり、リーダ制御部13が、送信エリアを狭めて送信した質問波を受信したRFIDタグからの返信波が衝突したとき、質問波の送信エリアをさらに狭めさせる送信制御をリーダ送信部19に対して行えばよい。また、図2(b)には示していないが、S424にて、リーダ受信部12が返信波を受信しないとき、S422に戻り、リーダ制御部26が、質問波1αの送信エリアを広げる送信制御をリーダ送信部12に対して行ってもよい。
【0074】
実施の形態2に係るRFIDシステムでは、このような処理ステップを行うことで、RFIDリーダ1(リーダアンテナ部4)にもっと近い位置に存在するRFIDタグ2のみのID情報を読み取ることができる。RFIDリーダ1による送信エリアの狭め方(広め方)としては、実施の形態1にて説明したものが実施の形態2でも適用できる。実施の形態2に係るRFIDシステムは、このような性質を有するものであるので、実施の形態1と同様に、初期の質問波1αの送信エリアは広いほうがよい。よって、初期の質問波1αの送信電力はある程度高いものを用いることが好適である。また、図2(b)のフローチャートで説明したS423,S424,S425(衝突有り)の処理を繰り返すにあたり、送信電力の変更とビーム幅の変更とを交互に行ったり、織り交ぜて行ったりしてよい。
【0075】
また、実施の形態2に係るRFIDシステムでは、RFIDタグのからRFIDリーダ1への返信波をあえて衝突させているので、バイナリツリー方式ではなく、RFIDリーダから質問波1αを送信して、質問波1αを受信したRFIDタグがRFIDタグのID情報を構成するコードのうち、少なくとも一部を有する返信波2α(返信波2β)をRFIDリーダ1へ返信するRFIDシステムであってもよい。
【0076】
詳しくは、リーダ送信部19が、RFIDタグがRFIDタグのID情報を構成するコードのうち、少なくとも一部を有する返信波をRFIDリーダ1へ返信させる指示情報である質問波をRFIDタグ2へ送信し、RFIDタグ2のタグ受信部21は、タグアンテナ部22を介して、RFIDリーダ1からの指示情報である質問波1αを受信すると、その指示情報から、タグ制御部23がRFIDタグ2のID情報を構成するコードのうち、少なくとも一部を有するID情報を返信波にその情報を乗せて返信する処理を行う。これはもちろん、他のRFIDタグ2a〜2xも同様である。つまり、質問波1αの送信エリア内に存在しておれば、RFIDタグ2,2a〜2xは、返信波(返信波2α,返信波2β)をRFIDリーダ1へ返信することになる。
【0077】
RFIDリーダ1がRFIDタグからの応答を受信、つまり、RFIDタグ2からの返信波2αが送信され、RFIDリーダ1のリーダ受信部12がリーダアンテナ部4を介して、返信波2αを受信する(S424)。その後、S425の処理ステップを行う。S424にて、RFIDリーダ1が単一の返信波がRFIDタグ2からの返信波2αのみであった場合は、リーダ受信部12内で返信波が混信する(返信波が衝突する)ことがないので、S426へ進み、受信された返信波を送信したRFIDタグ2へ、そのID情報を返信波に乗せて返信させるID返信指示情報を有する質問波をリーダ送信部19に送信させる。読み取れたID情報は、記憶部14に記憶された情報と比較され、認証が可能かどうかをリーダ制御部で判断する。ここで、ID情報が読み取れたRFIDタグ2へは、所定の時間において質問波に対する応答波を出さないスリープ状態に遷移させるスリープ指示情報を含む送信波を前述の質問波1αと同じ処理系統で送信してRFIDタグ2を所定の時間、スリープさせてよい。
【0078】
S424にて、RFIDリーダ1が受信した返信波がRFIDタグ2からの返信波2αに加え、別の返信波も受信した場合(例えばRFIDタグ2aからの返信波2β)、つまり、リーダ受信部25が受信した返信波が衝突したとき、リーダ制御部26は、RFIDタグのID情報を構成するコードのうち、少なくとも一部を有する返信波をRFIDリーダ1へ返信させる指示情報である質問波の送信エリアの設定を変更し、リーダ送信部19に対して、送信エリアを狭めさせる送信制御を行い、S423に戻る。なお、S423に戻る前に、S428として、送信エリア内に複数のRFIDタグが存在することを報知部18により報知してもよい。S423に戻り、S423,S424,S425(衝突有り)の処理を経た場合、つまり、リーダ制御部13が、送信エリアを狭めて送信した質問波を受信したRFIDタグからの返信波が衝突したとき、質問波の送信エリアをさらに狭めさせる送信制御をリーダ送信部12に対して行えばよい。また、図2(b)には示していないが、S424にて、リーダ受信部12が返信波を受信しないとき、S422に戻り、リーダ制御部13が、質問波1αの送信エリアを広げる送信制御をリーダ送信部12に対して行ってもよい。
【0079】
実施の形態2に係るRFIDシステムを用いた入退室管理システムの動作については、実施の形態1に係るRFIDシステムを用いた入退室管理システムと同様なので説明は省略する。
【0080】
実施の形態3.
この発明の実施の形態2について図2及び6を用いて説明する。実施の形態3に係るRFIDシステム及びこれを用いた入退室管理システムの説明は、実施の形態1及び2に係るRFIDシステム及びこれを用いた入退室管理システムとの相違点を中心に説明を行う。説明がない部分は実施の形態1と同様である。図6(a)はRFIDシステム(入退室管理システムを含む)のRFIDリーダを主とした機能ブロック図、図6(b)はRFIDシステムのRFIDタグを主とした機能ブロック図、である。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。図6において、27はRFIDリーダ1に設けられ、RFIDタグ2がRFIDタグ2のID情報を有する返信波をRFIDリーダ1へ返信させる指示情報である質問波をRFIDタグ2へ送信するリーダ送信部、28はリーダ送信部27から指示情報である質問波1αをRFIDタグ2へ放射するリーダアンテナ部である。リーダ送信部27,リーダアンテナ部28(送信時),リーダ方向性結合部5(送信時)の3つを広義のリーダ送信部とする。
【0081】
図6において、29はRFIDタグ2に設けられ、指示情報である質問波を受信するタグ受信部、30は受信した指示情報である質問波をタグ受信部29へ送るタグアンテナ部である。タグ受信部29,タグアンテナ部30(受信時),タグ方向性結合部8(受信時)の3つを広義のタグ受信部とする。31はRFIDタグ2に設けられ、タグ受信部29が受信した指示情報から、ID記憶部10から、RFIDタグ2のID情報を引き出すタグ制御部、32はタグ制御部31が引き出したRFIDタグ2のID情報を有する返信波をRFIDリーダ1へ返信するタグ送信部である。タグ制御部31,タグ送信部32,タグアンテナ部30(送信時),方向性結合部8(送信時)の4つを広義のタグ送信部とする。33はRFIDリーダ1に設けられ、RFIDタグ2のID情報を有する返信波をリーダアンテナ部28及びリーダ方向性結合器5を介して受信するリーダ受信部である。34はリーダ受信部33が単一の返信波を受信したとき、その受信された返信波からID情報を読み取り、リーダ受信部33が受信した返信波が衝突したとき、RFIDタグ2のID情報を有する返信波をRFIDリーダへ返信させる指示情報である質問波の送信エリアを狭めさせる送信制御をリーダ送信部27に対して行うリーダ制御部である。
【0082】
実施の形態1及び2に係るRFIDシステムとそれらのRFIDシステムを用いた入退室管理システムは、アンチコリジョン機能を変更して実行していたが、本願に係るRFIDシステムとそれらのRFIDシステムを用いた入退室管理システムは、あえて衝突(混信)するRFIDタグから返信波を受信すればよいので、単に、RFIDリーダ1から質問波を送信して、質問波1αを受信したRFIDタグ2がRFIDタグ2のID情報を有する返信波2αをRFIDリーダ1へ返信するものであってもよい。実施の形態3に係るRFIDシステムとこのRFIDシステムを用いた入退室管理システムは、このような場合のものである。
【0083】
図6のRFIDシステムの機能ブロック図と図2(b)のフローチャートとを用いて実施の形態3に係るRFIDシステムのRFIDリーダ(リーダアンテナ部28)に最寄りのRFIDタグのみを読み取る動作を説明する。まず、RFIDリーダ1のリーダ制御部23がRFIDタグのID情報を得るための設定を行う(S421)。次に、RFIDタグがRFIDタグのID情報を有する返信波をRFIDリーダ1へ返信させる指示情報である質問波へ乗せる情報を設定する(S422)。そして、リーダ制御部34がリーダ送信部27及びリーダアンテナ部28を制御して、RFIDタグ2,2a〜2xが指示情報である質問波1αの送信エリア内に存在するRFIDタグへ送信する(S423)。以下、RFIDタグ2が送信エリアに存在する場合を例に説明を進める。
【0084】
RFIDタグ2のタグ受信部29は、タグアンテナ部30を介して、RFIDリーダ1からの指示情報である質問波1αを受信すると、その指示情報から、タグ制御部23がRFIDタグ2のID情報を記憶部10から呼び出す処理を行う。これはもちろん、他のRFIDタグ2a〜2xも同様である。つまり、質問波1αの送信エリア内に存在しておれば、RFIDタグ2,2a〜2xは、返信波(返信波2α,返信波2β)をRFIDリーダ1へ返信することになる。
【0085】
RFIDリーダ1がRFIDタグからの応答を受信、つまり、RFIDタグ2からの返信波2αが送信され、RFIDリーダ1のリーダ受信部33がリーダアンテナ部4を介して、返信波2αを受信する(S424)。その後、S425の処理ステップを行う。S424にて、RFIDリーダ1が単一の返信波がRFIDタグ2からの返信波2αのみであった場合は、リーダ受信部12内で返信波が混信する(返信波が衝突する)ことがないので、S426へ進み、RFIDタグ2からID情報を得る処理を行う。読み取れたID情報は、記憶部14に記憶された情報と比較され、認証が可能かどうかをリーダ制御部で判断する。ここで、ID情報が読み取れたRFIDタグ2へは、所定の時間において質問波に対する応答波を出さないスリープ状態に遷移させるスリープ指示情報を含む送信波を前述の質問波1αと同じ処理系統で送信してRFIDタグ2を所定の時間、スリープさせてよい。
【0086】
S424にて、RFIDリーダ1が受信した返信波がRFIDタグ2からの返信波2αに加え、別の返信波も受信した場合(例えばRFIDタグ2aからの返信波2β)、つまり、リーダ受信部33が受信した返信波が衝突したとき、リーダ制御部34は、RFIDタグのID情報を有する返信波をRFIDリーダへ返信させる指示情報である質問波1αの送信エリアを狭めさせる送信制御をリーダ送信部27に対して行い、S423に戻る。なお、S423に戻る前に、S428として、送信エリア内に複数のRFIDタグが存在することを報知部18により報知してもよい。S423に戻り、S423,S424,S425(衝突有り)の処理を経た場合、つまり、リーダ制御部13が、送信エリアを狭めて送信した質問波を受信したRFIDタグからの返信波が衝突したとき、質問波の送信エリアをさらに狭めさせる送信制御をリーダ送信部27に対して行えばよい。また、図2(b)には示していないが、S424にて、リーダ受信部12が返信波を受信しないとき、S422に戻り、リーダ制御部34が、質問波1αの送信エリアを広げる送信制御をリーダ送信部12に対して行ってもよい。
【0087】
実施の形態3に係るRFIDシステムでは、このような処理ステップを行うことで、RFIDリーダ1(リーダアンテナ部4)にもっと近い位置に存在するRFIDタグ2のみのID情報を読み取ることができる。RFIDリーダ1による送信エリアの狭め方(広め方)としては、実施の形態1及び2にて説明したものが実施の形態3でも適用できる。実施の形態3に係るRFIDシステムは、このような性質を有するものであるので、実施の形態1と同様に、初期の質問波1αの送信エリアは広いほうがよい。よって、初期の質問波1αの送信電力はある程度高いものを用いることが好適である。また、図2(b)のフローチャートで説明したS423,S424,S425(衝突有り)の処理を繰り返すにあたり、送信電力の変更とビーム幅の変更とを交互に行ったり、織り交ぜて行ったりしてよい。
【0088】
実施の形態3に係るRFIDシステムを用いた入退室管理システムの動作については、実施の形態1及び2に係るRFIDシステムを用いた入退室管理システムと同様なので説明は省略する。なお、実施の形態3に係るRFIDシステム及びこのRFIDシステムを用いた入退室管理システムにおいて、質問波1αに対する返信波2α(返信波2β)を返信の期間を設定して確実に、質問波1αの送信エリア内に複数のRFIDタグが存在する場合に、それらからの返信波(返信波2α,返信波2β)を衝突させるために、リーダ送信部27が、指示情報にRFIDタグが単一の占有期間で返信波を返信するように指示する期間指示情報を含む質問波をRFIDタグへ送信し、タグ送信部32が、タグ受信部39が受信した指示情報に含まれる期間指示情報から、単一の占有期間にRFIDリーダ1へRFIDタグのID情報を有する返信波を返信するようにしてもよい。この場合は、実施の形態1に近い形態となる。
【0089】
実施の形態4.
この発明の実施の形態1について図7,8,9を用いて説明する。図7はRFIDシステム(入退室管理システムを含む)のRFIDリーダを主とした機能ブロック図、図8(a)は入退室管理システムの入退室の状況を示す模式図(送信エリア初期)、図8(b)は入退室管理システムの入退室の状況を示す模式図(送信エリア変更後)、図9(a)は入退室管理システムの入退室の状況を示す模式図(送信エリア初期)、図9(b)は入退室管理システムの入退室の状況を示す模式図(送信エリア変更後)である。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。図8及び9は、それぞれ、図3及び4に対応する。
【0090】
図7〜9において、35は仕切り部35から一点鎖線35aまでを感応領域(検知範囲)とする人感センサ(人体検知装置)である。人感センサ35はリーダ制御部13(リーダ制御部23,リーダ制御部31)と入退室制御部17とに接続され、RFIDタグを所有する所有者を含む、人を検知すると、検知信号をリーダ制御部13(リーダ制御部23,リーダ制御部31)と入退室制御部17とに送るものである。なお、図の簡便化のために、図8及び9には、人感センサ35自体は図示していない。図7に示すRFIDシステム(入退室管理システムを含む)のRFIDリーダを主とした機能ブロック図は、実施の形態1に係るものと対応させているが、実施の形態4に係るRFIDシステム及びこのRFIDシステムを用いた入退室管理システムは、実施の形態2及び3に係るものでも適用できることはいうまでもない。
【0091】
実施の形態1〜3に係るRFIDシステム及びこのRFIDシステムを用いた入退室管理システムでは、RFIDリーダ1から質問波1αを送信(放射)を開始するタイミングには言及していなかった。仮に、常時、RFIDリーダ1から質問波1αを送信(放射)しているとし、かつ、図8(a)及び図9(a)に記載の模式図において、RFIDタグ2を所有する所有者がいなく、RFIDタグ2aを所有する所有者のみがいた場合を検討すると、返信波の衝突が生じないので、RFIDタグ2aを所有する所有者の意思に関わらず、RFIDタグ2aのID情報を読み取ってしまうことにある。これは、RFIDシステムを用いた入退室管理システムでは、RFIDタグ2aのID情報の記憶部14に記憶されている定義(設定)に応じて、仕切り部15が開錠してしまうことなる。入退室管理システムにアンチパスバックシステムを使っていない場合は仕切り部15を開錠させてもよいが、入退室管理システムにアンチパスバックシステムを導入している場合や入退室管理システムに高いセキュリティレベルが求められている場合は、常時、RFIDリーダ1から質問波1αを送信(放射)していることが好ましくない。
【0092】
そこで、実施の形態4に係るRFIDシステム及びこのRFIDシステムを用いた入退室管理システムでは、RFIDリーダ1から質問波1αを送信(放射)を開始するタイミング(開始のトリガ)を人感センサ35によるものとし、入退室管理システムにアンチパスバックシステムを導入している場合や入退室管理システムに高いセキュリティレベルが求められている場合でも好適なものである。すなわち、図2(a)(b)にそれぞれ記載されている開始のステップは、人感センサ35が人を検知した検知信号をリーダ制御部13(リーダ制御部23,リーダ制御部31)と入退室制御部17とに送ったときに始まるものとなる。詳しく、説明すると、図8(a)及び図9(a)に示すように、RFIDタグ2を所有する所有者が人感センサ35の感応領域内に入ったときに、RFIDリーダ1から質問波1αを送信(放射)される。人感センサ35の感応領域の設定方法は、入退室管理システムにおいては、RFIDタグを所有する所有者が入室(退室)を希望している場合に、確実に位置する場所を目安に設定すればよい。
【0093】
このように、実施の形態4に係るRFIDシステム及びこのRFIDシステムを用いた入退室管理システムは、入退室管理システムにアンチパスバックシステムを導入している場合や入退室管理システムに高いセキュリティレベルが求められている場合においても、実施の形態1〜3において説明した効果を奏するだけでなく、人感センサ(人体検知装置)の感応領域に対応させたRFIDリーダ1の送信領域(検知範囲)を構築することが困難であっても、人感センサ(人体検知装置)を導入することが容易であるという効果も奏する。
【0094】
以上、実施の形態1〜4(本願)に係るRFIDシステム及びこのRFIDシステムを用いた入退室管理システムは、UHF帯及びマイクロ波帯などの高い周波数帯を用いたRFIDシステムを使用した場合、長距離通信が可能なことから、読み取る必要のないRFIDタグ(入室又は退出する意志のない人物のRFIDタグ)まで誤って読み取ってしまう、データ(ID情報)の誤読を防止することが可能となるという効果を奏する。
【符号の説明】
【0095】
1・・RFIDリーダ、2・・RFIDタグ、3・・リーダ送信部、4・・リーダアンテナ部、5・・リーダ方向性結合部、6・・タグ受信部、7・・タグアンテナ部、8・・タグ方向性結合部、9・・タグ制御部、10・・ID記憶部、11・・タグ送信部、12・・リーダ受信部、13・・リーダ制御部、14・・記憶部、15・・仕切り部、16・・鍵開閉制御部、17・・入退室制御部、18・・報知部、19・・リーダ送信部、20・・リーダアンテナ部、21・・タグ受信部、22・・タグアンテナ部、23・・タグ制御部、24・・タグ送信部、25・・リーダ受信部、26・・リーダ制御部、27・・リーダ送信部、28・・リーダアンテナ部、29・・タグ受信部、30・・タグアンテナ部、31・・タグ制御部、32・・タグ送信部、33・・リーダ受信部、34・・リーダ制御部、35・・人感センサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
RFIDリーダから質問波を送信して、前記質問波を受信したRFIDタグが算出した占有期間に返信波を前記RFIDリーダへ返信するようにしたアンチコリジョン機能であるタイムロット方式を用いるRFIDシステムにおいて、前記RFIDリーダに設けられ、前記RFIDタグが単一の占有期間の算出するように指示する占有期間の算出指示情報を含む質問波を前記RFIDタグへ送信するリーダ送信部と、前記RFIDタグに設けられ、前記算出指示情報を含む質問波を受信するタグ受信部と、前記RFIDタグに設けられ、前記タグ受信部が受信した前記算出指示情報から、前記単一の占有期間の算出し、その占有期間に前記RFIDリーダへ前記RFIDタグのID情報を有する返信波を返信するタグ送信部と、前記RFIDリーダに設けられ、前記RFIDタグのID情報を有する返信波を受信するリーダ受信部と、このリーダ受信部が前記単一の占有期間に単一の前記返信波を受信したとき、その受信された返信波に含まれるID情報を読み取り、前記リーダ受信部が受信した前記返信波が前記単一の占有期間に衝突したとき、前記RFIDタグが単一の占有期間の算出するように指示する占有期間の算出指示情報を含む質問波の送信エリアを狭めさせる送信制御を前記リーダ送信部に対して行うリーダ制御部とを備えたこと特徴とするRFIDシステム。
【請求項2】
RFIDリーダから質問波を送信して、前記質問波を受信したRFIDタグが、前記質問波に含まれる占有期間の算出指示情報から、前記RFIDリーダへ返信する返信波の返信する占有期間を前記RFIDタグが算出して、その算出された占有期間に返信波を前記RFIDリーダに返信して、前記RFIDリーダが同じ占有期間に複数の前記返信波を受信したときに衝突が生じたとして、再度、占有期間の算出指示情報を含む質問波を送信するRFIDシステムにおいて、前記RFIDリーダに設けられ、前記RFIDタグが単一の占有期間の算出するように指示する占有期間の算出指示情報を含む質問波を前記RFIDタグへ送信するリーダ送信部と、前記RFIDタグに設けられ、前記算出指示情報を含む質問波を受信するタグ受信部と、前記RFIDタグに設けられ、前記タグ受信部が受信した前記算出指示情報から、前記単一の占有期間の算出し、その占有期間に前記RFIDリーダへ前記RFIDタグのID情報を有する返信波を返信するタグ送信部と、前記RFIDリーダに設けられ、前記RFIDタグのID情報を有する返信波を受信するリーダ受信部と、このリーダ受信部が前記単一の占有期間に単一の前記返信波を受信したとき、その受信された返信波に含まれるID情報を読み取り、前記リーダ受信部が受信した前記返信波が前記単一の占有期間に衝突したとき、前記RFIDタグが単一の占有期間の算出するように指示する占有期間の算出指示情報を含む質問波の送信エリアを狭めさせる送信制御を前記リーダ送信部に対して行うリーダ制御部とを備えたこと特徴とするRFIDシステム。
【請求項3】
RFIDタグのID情報を構成するコードのうち、先頭ビットの情報から順に得るためにRFIDリーダから質問波を送信して、前記質問波を受信したRFIDタグが返信波を前記RFIDリーダへ返信するアンチコリジョン機能であるバイナリツリー方式を用いるRFIDシステムにおいて、前記RFIDリーダに設けられ、前記RFIDタグが前記RFIDタグのID情報を構成するコードのうち、先頭ビットの情報を有する返信波を前記RFIDリーダへ返信させる指示情報である質問波を前記RFIDタグへ送信するリーダ送信部と、前記RFIDタグに設けられ、前記指示情報である質問波を受信するタグ受信部と、前記RFIDタグに設けられ、前記タグ受信部が受信した前記指示情報から、前記RFIDリーダへ前記RFIDタグのID情報を構成するコードのうち、先頭ビットの情報を有する返信波を返信するタグ送信部と、前記RFIDリーダに設けられ、前記RFIDタグのID情報を構成するコードのうち、先頭ビットの情報を有する返信波を受信するリーダ受信部と、このリーダ受信部が単一の前記返信波を受信したとき、その受信された返信波を送信した前記RFIDタグへそのID情報を返信波に乗せて返信させるID返信指示情報を有する質問波を前記リーダ送信部に送信させて、前記ID返信指示情報に基づいて前記RFIDタグがそのID情報を有する返信波を返信して前記リーダ受信部が受信したその返信波から、前記RFIDタグのID情報を読み取り、前記リーダ受信部が受信した前記返信波が衝突したとき、前記RFIDタグのID情報を構成するコードのうち、先頭ビットの情報を有する返信波を前記RFIDリーダへ返信させる指示情報である質問波の送信エリアを狭めさせる送信制御を前記リーダ送信部に対して行うリーダ制御部とを備えたこと特徴とするRFIDシステム。
【請求項4】
RFIDリーダから質問波を送信して、前記質問波を受信したRFIDタグが前記RFIDタグのID情報を構成するコードのうち、少なくとも一部を有する返信波を前記RFIDリーダへ返信するRFIDシステムであって、前記RFIDリーダに設けられ、前記RFIDタグが前記RFIDタグのID情報を構成するコードのうち、少なくとも一部を有する返信波を前記RFIDリーダへ返信させる指示情報である質問波を前記RFIDタグへ送信するリーダ送信部と、前記RFIDタグに設けられ、前記指示情報である質問波を受信するタグ受信部と、前記RFIDタグに設けられ、前記タグ受信部が受信した前記指示情報から、前記RFIDリーダへ前記RFIDタグのID情報を構成するコードのうち、少なくとも一部を有する返信波を返信するタグ送信部と、前記RFIDリーダに設けられ、前記RFIDタグのID情報を構成するコードのうち、少なくとも一部を有する返信波を受信するリーダ受信部と、このリーダ受信部が単一の前記返信波を受信したとき、その受信された返信波を送信した前記RFIDタグへそのID情報を返信波に乗せて返信させるID返信指示情報を有する質問波を前記リーダ送信部に送信させて、前記ID返信指示情報に基づいて前記RFIDタグがそのID情報を有する返信波を返信して前記リーダ受信部が受信したその返信波から、前記RFIDタグのID情報を読み取り、前記リーダ受信部が受信した前記返信波が衝突したとき、前記RFIDタグのID情報を構成するコードのうち、少なくとも一部を有する返信波を前記RFIDリーダへ返信させる指示情報である質問波の送信エリアを狭めさせる送信制御を前記リーダ送信部に対して行うリーダ制御部とを備えたこと特徴とするRFIDシステム。
【請求項5】
RFIDリーダから質問波を送信して、前記質問波を受信したRFIDタグが前記RFIDタグのID情報を有する返信波を前記RFIDリーダへ返信するRFIDシステムにおいて、前記RFIDリーダに設けられ、前記RFIDタグが前記RFIDタグのID情報を有する返信波を前記RFIDリーダへ返信させる指示情報である質問波を前記RFIDタグへ送信するリーダ送信部と、前記RFIDタグに設けられ、前記指示情報である質問波を受信するタグ受信部と、前記RFIDタグに設けられ、前記タグ受信部が受信した前記指示情報から、前記RFIDリーダへ前記RFIDタグのID情報を有する返信波を返信するタグ送信部と、前記RFIDリーダに設けられ、前記RFIDタグのID情報を有する返信波を受信するリーダ受信部と、このリーダ受信部が単一の前記返信波を受信したとき、その受信された返信波からID情報を読み取り、前記リーダ受信部が受信した前記返信波が衝突したとき、前記RFIDタグのID情報を有する返信波を前記RFIDリーダへ返信させる指示情報である質問波の送信エリアを狭めさせる送信制御を前記リーダ送信部に対して行うリーダ制御部とを備えたこと特徴とするRFIDシステム。
【請求項6】
請求項5に記載のRFIDシステムは、前記リーダ送信部が、前記指示情報に前記RFIDタグが単一の占有期間で返信波を返信するように指示する期間指示情報を含む質問波を前記RFIDタグへ送信し、前記タグ送信部が、前記タグ受信部が受信した前記指示情報に含まれる前記期間指示情報から、前記単一の占有期間に前記RFIDリーダへ前記RFIDタグのID情報を有する返信波を返信するものであるRFIDシステム。
【請求項7】
前記リーダ制御部は、送信エリアを狭めて送信した質問波を受信した前記RFIDタグからの返信波が衝突したとき、質問波の送信エリアをさらに狭めさせる送信制御を前記リーダ送信部に対して行うものである請求項1〜6のいずれかに記載のRFIDシステム。
【請求項8】
前記リーダ制御部は、前記リーダ受信部が前記返信波を受信しないとき、質問波の送信エリアを拡げる送信制御を前記リーダ送信部に対して行うものである請求項1〜7のいずれかに記載のRFIDシステム。
【請求項9】
前記送信制御は、前記リーダ送信部に質問波の送信電力を変更するものである請求項1〜8のいずれかに記載のRFIDシステム。
【請求項10】
前記送信制御は、前記リーダ送信部に、質問波の送信ビームパターンのビーム幅を変更するものである請求項1〜8のいずれかに記載のRFIDシステム。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載のRFIDシステムを用いた入退室管理システムであって、一のエリアと二のエリアとを仕切る仕切り部と、この仕切り部の開錠と施錠とを行う鍵開閉制御部と、前記RFIDタグのID情報ごとに前記仕切り部の開錠の可能・不可能が記憶された記憶部と、前記リーダ制御部が読み取った前記RFIDタグのID情報が、前記記憶部に記憶されているものであり、前記仕切り部の開錠の可能なものと記憶されていると判定した場合は前記鍵開閉制御部を開錠させる入退室制御部とを備えた入退室管理システム。
【請求項12】
前記入退室制御部は、前記リーダ制御部が読み取った前記RFIDタグのID情報が前記記憶部に記憶され、かつ、前記仕切り部の開錠の不可能なものと記憶されていると判定した場合は、前記リーダ送信部から、前記仕切り部の開錠の不可能なものと記憶されているID情報を有するRFIDタグへ、所定の時間において質問波に対する応答波を出さないスリープ状態に遷移させるスリープ指示情報を含む送信波を送信させるものである請求項11に記載の入退室管理システム。
【請求項13】
前記リーダ制御部は、前記リーダ送信部が、前記仕切り部の開錠の不可能なものと記憶されているID情報を有するRFIDタグへ、所定の時間において質問波に対する応答波を出さないスリープ状態に遷移させるスリープ指示情報を含む送信波を前記仕切り部の開錠の不可能なものと記憶されているID情報を有するRFIDタグへ送信した後、前記仕切り部の開錠の不可能なものと記憶されているID情報を有するRFIDタグの返信波を返信させた質問波の送信エリアよりも広い送信エリアに、質問波を送信させる送信制御を前記リーダ送信部に対して行うものである請求項12に記載の入退室管理システム。
【請求項14】
請求項11に記載の入退室管理システムは、音又は光を発する報知部を備え、前記入退室制御部が、前記リーダ制御部が読み取った前記RFIDタグのID情報が前記記憶部に記憶され、かつ、前記仕切り部の開錠の不可能なものと記憶されている判定した場合は、前記報知部から音又は光を発するものである入退室管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−203835(P2012−203835A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−70420(P2011−70420)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】