説明

RFIDタグの検知方法,RFIDタグ検知システム

【課題】複数の中空円筒型金属製対象物各々の内側に取り付けられたRFIDタグの配列順を特定することのできるRFIDタグの検知方法及びRFIDタグ検知システムを提供すること。
【解決手段】RFIDリーダアンテナを予め設定された一定速度での中空円筒型金属製対象物各々の内側に挿入しながら,予め設定された所定間隔ごとにRFIDタグの検知を行う検知工程(S1〜S7)と,上記検知工程における上記RFIDタグごとの検知時点に基づいて該RFIDタグ各々の配列順を特定する配列順特定工程(S8)とを実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,中空円筒型金属製対象物の内側に取り付けられたRFIDタグを検知するための技術に関し,特に,並べて配置された複数の中空円筒型金属製対象物各々に取り付けられたRFIDタグの配列順を特定するための技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
生産や流通の現場では,完成品や生産途中の中間製品等の各種製品が,フォークリフトや移動クレーン等の搬送装置により搬送される。このときその製品各々に,製品情報が記憶されたRFIDタグを取り付けておき,製品の搬送の際にそのRFIDタグを検知すれば,製品情報を効率的に管理することができる(例えば,特許文献1参照)。
また,例えば特許文献2には,容器状の対象物の外側にRFIDタグを取り付ける構成が開示されている。この構成では,外部のRFIDリーダのアンテナから無線信号をRFIDタグに向けて送信することにより,該RFIDタグを容易に検知することができる。しかし,このような構成では,RFIDタグが対象物の外側にあるため,他の対象物や周りの物体とぶつかったり,床や壁に押し付けられたりして破損するおそれがある。特に,対象物が重く多数の対象物を積み上げて保管するような場合には破損が起こりやすい。
そこで,RFIDタグの破損を避けるために,対象物の内側にRFIDタグを取り付けておき,RFIDリーダのアンテナを対象物の内側に挿入してRFIDタグを検知することが考えられる。
具体的に,RFIDタグを取り付ける対象物が,金属線又は金属板がコイル状に形成された線材コイル(中空円筒型金属製対象物の一例)である場合には,RFIDタグをその線材コイルの内側に形成された中空部に取り付けることが考えられる。
【特許文献1】特開2005−50171号公報
【特許文献2】特開2002−259934号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで,上記線材コイルなどの製品は,複数並べて配置された状態で搬送或いは管理される。このとき,上記RFIDタグを検知することによって上記線材コイル各々を識別することは可能である。しかしながら,上記RFIDタグ各々の配列順,即ち上記線材コイル各々がどのような順で配列されているかを特定することはできなかった。
したがって,本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり,その目的とするところは,複数の中空円筒型金属製対象物各々の内側に取り付けられたRFIDタグの配列順を特定することのできるRFIDタグの検知方法及びRFIDタグ検知システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために,本発明は,金属線又は金属板がコイル状に形成された複数の中空円筒型金属製対象物を中空部が連続するように並べて配置して,RFIDリーダアンテナを上記中空円筒型金属製対象物各々を順に通過するように上記中空部に挿入し,複数の上記中空円筒型金属製対象物各々の内側に取り付けられたRFIDタグを検知するRFIDタグの検知方法であって,以下の(1),(2)の各工程を実行することを特徴としている。
(1)上記RFIDリーダアンテナを予め設定された一定速度で上記中空部に挿入し或いは上記中空部から引き抜くと共に,予め設定された所定間隔ごとに上記RFIDタグの検知を行う検知工程。
(2)上記検知工程における上記RFIDタグごとの検知時点に基づいて該RFIDタグ各々の配列順を特定する配列順特定工程。
本発明によれば,上記所定間隔ごとにおける上記RFIDタグごとの検知結果によって,該RFIDタグの配列順序を特定することができる。例えば,上記RFIDタグ各々の最初の検知時点を時系列で並べることにより,該RFIDタグの配列順,即ち上記中空円筒型金属製対象物の配列順を特定することができる。
【0005】
但し,上記RFIDタグの検知時点にバラツキが生じている場合には,上記のように,上記RFIDタグ各々の最初の検知時点を時系列で並べて配列順を特定する手法では,配列順を正しく特定することができない場合がある。例えば,上記中空円筒型金属製対象物の内側の凹凸などの形状変化に起因して,上記RFIDタグの検知時点にバラツキが生じるおそれがある。
そこで,上記配列順特定工程の一例として,上記RFIDタグごとに,該RFIDタグの検知時点各々を示す数値の総和を,該RFIDタグが検知された回数で除した平均値を算出し,その算出された上記RFIDタグごとの上記平均値の順に応じて該RFIDタグ各々の配列順を特定する手法を採用することが考えられる。
このような上記配列順特定工程によれば,上記RFIDタグの検知時点にバラツキが生じている場合であっても,上記平均値の順に応じて,上記RFIDタグの配列順を正しく特定することができる。
【0006】
また,上記RFIDタグごとに,該RFIDタグが連続して検知された回数が最大となる検知範囲の開始時点を特定し,その開始時点の順に応じて,該RFIDタグ各々の配列順を特定する手法も,上記配列順特定工程の他の例として考えられる。このような上記配列順特定工程によっても,上記RFIDタグの検知時点にバラツキが生じている場合に,上記RFIDタグの配列順を正しく特定することができる。
ここで,上記手法では,上記RFIDタグが連続して検知された回数が最大となる検知範囲が複数存在する場合がある。そこで,この場合には,該検知範囲各々の開始時点を示す数値の平均値を算出し,その平均値の順に応じて該RFIDタグ各々の配列順を特定すればよい。
【0007】
ところで,上記RFIDタグの検知時点のバラツキが大きい場合には,ごく稀に,複数のRFIDタグの上記平均値や上記検知時点が重複してしまう場合がある。この場合には,複数のRFIDタグの上記平均値や上記検知時点に応じて該RFIDタグの配列順を特定することができない。
そこで,上記RFIDリーダアンテナを上記中空部に挿入する際に,上記検知工程及び上記配列順特定工程によって上記RFIDタグの配列順を特定することができなかった場合には,上記RFIDリーダアンテナを上記中空部から引き抜く際に,再度,上記検知工程及び上記配列順特定工程を行うことによって上記RFIDタグの配列順を特定することが望ましい。これにより,上記RFIDリーダアンテナの上記中空部への一度の挿脱作業によって,上記RFIDタグの配列順を正しく特定することができる可能性が高まる。
【0008】
ここで,上記RFIDリーダアンテナは,上記中空円筒型金属製対象物をその内側に挿入された状態で吊り上げ保持するフック部に設けられたものであることが考えられる。なお,上記フック部は,移動クレーンやフォークリフトなどの搬送装置に設けられたものである。
この場合には,上記中空円筒型金属製対象物を搬送する際,上記フック部を上記中空円筒型金属製対象物に挿入しながら或いは引き抜きながら,上記RFIDタグを検知して該RFIDタグの配列順を特定することができる。
【0009】
また,本発明は,RFIDタグ検知システムの発明として捉えてもよい。具体的に,本発明に係るRFIDタグ検知システムは,以下の(3),(4)の構成要素を具備して構成される。
(3)金属線又は金属板がコイル状に形成された複数の中空円筒型金属製対象物各々の中空部を順に通過するように上記中空部に挿入されるRFIDリーダアンテナ。
(4)上記RFIDリーダアンテナによる無線信号の送受信によって複数の上記中空円筒型金属製対象物各々の内側に取り付けられたRFIDタグを検知するRFIDタグ検知手段。ここで,上記RFIDタグ検知手段は,上記RFIDリーダアンテナを予め設定された一定速度で上記中空部に挿入し或いは上記中空部から引き抜くと共に,予め設定された所定間隔ごとに上記RFIDタグの検知を行う検知手段と,上記検知手段により検知された上記RFIDタグごとの検知時点に基づいて上記RFIDタグ各々の配列順を特定する配列順特定手段と,を備えている。
このように構成された上記RFIDタグ検知システムによれば,上記所定間隔ごとにおける上記RFIDタグごとの検知結果によって,該RFIDタグの配列順序を特定することができる。例えば,上記RFIDタグ各々の最初の検知時点を時系列で並べることにより,該RFIDタグの配列順,即ち上記中空円筒型金属製対象物の配列順を特定することができる。
【0010】
ここで,上記配列順特定手段が,上記RFIDタグごとに,該RFIDタグの検知時点各々を示す数値の総和を,該RFIDタグが検知された回数で除した平均値を算出し,その算出された上記RFIDタグごとの上記平均値の順に応じて該RFIDタグ各々の配列順を特定するものであれば,上記RFIDタグの検知時点にバラツキが生じている場合であっても,上記平均値の順に応じて,上記RFIDタグの配列順を正しく特定することができる。
また,上記配列順特定手段が,上記RFIDタグごとに,該RFIDタグが連続して検知された回数が最大となる検知範囲の開始時点を特定し,その開始時点の順に応じて,該RFIDタグ各々の配列順を特定するものである場合にも,上記RFIDタグの検知時点にバラツキが生じている場合に,上記RFIDタグの配列順を正しく特定することができる。
但し,この場合には,上記RFIDタグが連続して検知された回数が最大となる検知範囲が複数存在する場合がある。そこで,このような場合には,上記検知範囲各々の開始時点を示す数値の平均値を算出し,その平均値の順に応じて該RFIDタグ各々の配列順を特定すればよい。
【0011】
また,上記RFIDリーダアンテナを上記中空部に挿入する際に,上記検知手段及び上記配列順特定手段によって実行された上記RFIDタグの配列順の特定処理において上記RFIDタグの配列順を特定することができなかった場合,上記RFIDリーダアンテナを上記中空部から引き抜く際に,再度,上記検知手段及び上記配列順特定手段による上記RFIDタグの配列順の特定処理を実行させる再特定処理実行手段を更に備えてなる構成が望ましい。これにより,上記RFIDリーダアンテナの上記中空部への一度の挿脱作業によって,上記RFIDタグの配列順を正しく特定することができる可能性が高まる。
【0012】
ここで,上記RFIDリーダアンテナは,上記中空円筒型金属製対象物をその内側に挿入された状態で吊り上げ保持するフック部に設けられたものであることが考えられる。なお,上記フック部は,移動クレーンやフォークリフトなどの搬送装置に設けられたものである。
この場合には,上記中空円筒型金属製対象物を搬送する際,上記フック部を上記中空円筒型金属製対象物に挿入しながら或いは引き抜きながら,上記RFIDタグの配列順を特定することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば,上記所定間隔ごとにおける上記RFIDタグごとの検知結果によって,該RFIDタグの配列順序を特定することができる。例えば,上記RFIDタグ各々の最初の検知時点を時系列で並べることにより,該RFIDタグの配列順,即ち上記中空円筒型金属製対象物の配列順を特定することができる。
また,上記RFIDタグごとに,該RFIDタグの検知時点各々を示す数値の総和を,該RFIDタグが検知された回数で除した平均値を算出し,その算出された上記RFIDタグごとの上記平均値の順に応じて該RFIDタグ各々の配列順を特定すれば,上記RFIDタグの検知時点にバラツキが生じている場合であっても,上記RFIDタグの配列順を正しく特定することができる。また,上記RFIDタグごとに,該RFIDタグが連続して検知された回数が最大となる検知範囲の開始時点を特定し,その開始時点の順に応じて,該RFIDタグ各々の配列順を特定することによっても同様の効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下添付図面を参照しながら,本発明の実施の形態について説明し,本発明の理解に供する。尚,以下の実施の形態は,本発明を具体化した一例であって,本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
ここに,図1は本発明の実施の形態に係る線材コイル搬送装置Xの概略構成を示す模式図,図2は上記RFIDリーダ3で実行されるRFIDタグ検知処理の手順の一例を示すフローチャート,図3,4は上記線材コイル搬送装置Xに設けられたRFIDリーダ3の検知結果の一例を示す図,図5,6は上記RFIDタグ検知処理における配列順特定処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図1の右側に示すように,本発明の実施の形態に係る線材コイル搬送装置Xの搬送対象物は,金属線(又は金属板)がコイル状に形成された複数の線材コイル1a〜1c(中空円筒型金属製対象物の一例)である。例えば,上記線材コイル1a〜1cは,直径約10mm程度の鉄製線材が,直径約1000mm程度及び長さが1000mm〜2000mm程度の筒状(コイル状)に巻かれて束ねられたものである。したがって,上記線材コイル1a〜1cの内側には,中空部10が形成されている。上記線材コイル搬送装置Xは,上記中空部10が連続するように並べて配置された上記線材コイル1a〜1cを同時に吊り上げて搬送する。
上記線材コイル1a〜1c各々の環状部内側には,該線材コイル1a〜1cを識別するための識別情報などが記憶されたRFIDタグ(無線ICタグ)11a〜11cが取り付けられている。上記RFIDタグ11a〜11cは,電波や電磁波で読み取り器(後述のRFIDリーダ3)と交信する。なお,上記RFIDタグ11a〜11cは,発泡ポリエチレン・発泡ポリスチレンなどの誘電率の低い材料でできた不図示のスペーサを介して,上記線材コイル1a〜1cに取り付けられている。また,スペーサは磁性体などでもよい。
【0015】
次に,本発明の実施の形態に係る線材コイル搬送装置Xの概略構成について説明する。
図1の左側に示すように,上記線材コイル搬送装置Xは,上記線材コイル1a〜1cを吊り上げて搬送するためのフック部21と,該フック部21をほぼ水平状態に保持するハンガー部22とを有している。上記線材コイル搬送装置Xは,例えば移動クレーンやフォークリフトなどの搬送装置である。
上記線材コイル搬送装置Xは,上記フック部21を図1における右方向へ移動させて,上記線材コイル1a〜1c各々の中空部10に挿入することにより(図示する破線位置),該線材コイル1a〜1cを同時に吊り上げて搬送する。なお,上記線材コイル搬送装置Xは,上記線材コイル1a〜1cを搬送先に移動させた後,上記フック部21を図1における左方向へ移動させて,上記線材コイル1a〜1c各々の中空部10から引き抜くことにより,該線材コイル1a〜1cをその位置に載置する。
【0016】
また,上記線材コイル搬送装置Xは,上記線材コイル1a〜1c各々の内側に設けられた上記RFIDタグ11a〜11cを検知するためのRFIDリーダ3(RFIDタグ検知システムの一例)を備えている。
上記RFIDリーダ3は,無線信号(電波)を送受信するRFIDリーダアンテナ31(以下,「アンテナ31」と略称する)と,該アンテナ31によって送受信する無線信号を処理する信号処理部32とを備えている。
上記RFIDリーダ3は,上記アンテナ31を通じて上記RFIDタグ11a〜11cに対して無線信号を送信することにより,該RFIDタグ11a〜11cと交信する。これにより,上記RFIDリーダ3は,上記RFIDタグ11a〜11cから識別情報などを取得する。
上記アンテナ31は,例えばUHF帯ダイポールアンテナやループアンテナであり,半径方向に一様に電波を放射する。また,上記アンテナ31は,送信アンテナ及び受信アンテナの二つのアンテナで構成されたものであってもよい。上記アンテナ31及び上記信号処理部32は,同軸ケーブルなどの信号線で接続されている。
【0017】
上記信号処理部32は,制御回路321及び送信電力調整回路322を有している。なお,上記制御回路321は,上記線材コイル搬送装置Xを統括的に制御する制御部を兼ねるものであってもよい。
上記制御回路321は,上記アンテナ31を通じて上記RFIDタグ11a〜11cに送信(放射)する無線信号(送信信号)を生成し,これを上記アンテナ31に伝送(出力)する送信処理を行うものである。また,上記制御回路321は,上記RFIDタグ11a〜11cから送信されて上記アンテナ31で受信された無線信号(応答信号)の受信処理を行う機能も有している。上記受信処理では,上記無線信号(応答信号)に基づいて,上記RFIDタグ11a〜11cの識別情報などが取得される。さらに,上記制御回路321は,後述のRFIDタグ検知処理(図2のフローチャート参照)を実行する。
上記送信電力調整回路322は,上記制御回路321から上記アンテナ31を通じて出力される無線信号の信号強度(電力レベル)を調整する。具体的に,上記送信電力調整回路322は,不図示の信号アンプのゲインを調整することにより信号強度を調整する。ここで,上記送信電力調整回路322における信号アンプ(不図示)のゲインは,上記制御回路321からの指示によって変更される。
【0018】
ところで,上記線材コイル搬送装置Xでは,上記RFIDリーダ3のアンテナ31が,上記フック部21の先端に設けられている。したがって,上記アンテナ31は,上記フック部31で上記線材コイル1a〜1cを吊り上げる際に,該線材コイル1a〜1cの内側の中空部10に挿入される。
上記線材コイル搬送装置Xは,上記フック部21で線材コイル1a〜1cを保持して搬送するべく,上記フック部21を上記線材コイル1a〜1cに挿入する際或いは上記中空部10から引き抜く際に,上記RFIDリーダ3によって上記RFIDタグ11a〜11cと無線通信を行うことにより,該RFIDタグ11a〜11cから識別情報などの読み出しを行う。
また,上記線材コイル搬送装置Xでは,上記制御回路321によって後述のRFIDタグ検知処理(図2のフローチャート参照)が実行されることにより,上記RFIDタグ11a〜11cの配列順を特定することができる。
【0019】
以下,図2に示すフローチャートを参照しつつ,上記線材コイル搬送装置Xにおいて上記制御回路321によって実行されるRFIDタグ検知処理の手順の一例について説明する。以下,S1,S2,…は,処理手順(ステップ)の識別符号を表す。なお,本発明は,当該RFIDタグ検知処理の各工程を実行することを特徴とするRFIDタグの検知方法として捉えることができる。
当該RFIDタグ検知処理は,図1に示すように,複数の上記線材コイル1a〜1cを,該線材コイル1a〜1c各々の中空部10が連続するように並べて配置した状態で実行する。なお,ここでは線材コイル(中空円筒型金属製対象物)の数が3つ(線材コイル1a〜1c)である場合について説明するが,線材コイルの数が2つである場合や,4つ以上である場合にも同様に適用可能である。
まず,上記RFIDリーダ3に電源が投入されると,上記RFIDリーダ3のアンテナ31から送信される無線信号の信号強度の初期値が設定される(ステップS1)。この初期値は,予め任意に設定されるパラメータであって,予め上記制御回路321に含まれたメモリなどに記憶されている。
次に,上記線材コイル搬送装置Xでは,不図示の駆動手段が制御されることにより,上記フック部21が,上記線材コイル1a〜1c各々の内側を順に通過するように,上記中空部10に予め設定された一定速度で挿入される(ステップS2)。なお,かかる処理は上記線材コイル搬送装置Xを統括的に制御する不図示の制御部又は上記制御回路321によって実行される。これにより,上記アンテナ31は,上記線材コイル1a〜1c各々の内側を順に通過するように,上記中空部10に予め設定された一定速度で挿入されることになる。
【0020】
上記ステップS2において,上記アンテナ31の上記線材コイル1a〜1cへの挿入が開始されると,そのアンテナ31の挿入と共に,予め設定された所定間隔ごとにRFIDタグの検知処理が実行される(S3〜S7)。
まず,上記制御回路321は,上記アンテナ31を通じて無線信号を送信(放射)し,RFIDタグから応答信号(無線信号)を受信することにより該RFIDタグを検知する(ステップS3)。このとき,上記制御回路321は,上記応答信号に含まれた識別情報に基づいてRFIDタグを特定する。
そして,上記制御回路321は,上記ステップS3においてRFIDタグを検知した時点を示す検知時点Pの値と,そのとき検知されたRFIDタグの識別情報とを対応付けて,検知結果として不図示のメモリに記憶する(ステップS4)。ここで記憶された検知結果は,後述のステップS8で参照される。上記検知時点Pは,例えば上記アンテナ31が上記線材コイル1aに挿入されたときからの時刻の経過を示す数値である。ここでは,上記検知時点Pを示す数値として,上記ステップS3において検知された回数(P=1,2,…)を用いる。なお,上記検知時点Pは,上記アンテナ31を一定速度で挿入したときの所定間隔ごとの時点であるため,該アンテナ31の挿入位置と捉えることができる。また,ここでは,上記検知時点Pに検知回数を用いているが,例えば時刻や時間,距離,位置座標などを用いてもよい。
【0021】
次に,上記制御回路321は,上記アンテナ31が上記線材コイル1a〜1cに最後まで挿入されたか否かを判断する(ステップS5)。具体的に,上記制御回路321は,上記フック部21の位置を制御するための位置座標や,上記線材コイル搬送装置Xの制御部(不図示)からの通知信号などに基づいて,上記アンテナ31の挿入位置を判断する。また,上記アンテナ31が上記中空部10に最後まで挿入されたと判断するための他の手法として,上記アンテナ31の挿入又は引き抜きが完了したときにはRFIDタグを検知しないように,上記アンテナ31による検知範囲を狭い範囲に設定しておき,RFIDタグが一つも検知されなくなった場合や,RFIDタグが一つも検知されない状態が所定時間以上継続された場合に,上記アンテナ31の挿入又は引き抜きが完了したと判断することも考えられる。
ここで,上記アンテナ31が上記線材コイル1a〜1cに最後まで挿入されていないと判断された場合には(ステップS5のNo側),処理はステップS6に移行する。一方,上記アンテナ31が上記線材コイル1a〜1cに最後まで挿入されたと判断された場合には(ステップS5のYes側),処理は後述のステップS8に移行する。
【0022】
ステップS6では,上記制御回路321は,予め設定された所定時間が経過するまで処理を待機させる(S6のNo側)。そして,上記制御回路321は,上記所定時間が経過したと判断すると(ステップS6のYes側),処理をステップS7に移行させる。ステップS7では,上記制御回路321は,上記検知時点Pの値を1だけ加算し(P=P+1),処理をステップS3に戻す。これにより,上記ステップS3におけるRFIDタグの検知処理が,上記所定時間の経過(所定間隔)ごとに実行されることになる。
このように,上記RFIDリーダ3では,上記制御回路321によって,上記アンテナ31を上記線材コイル1a〜1cの上記中空部10に一定速度で挿入しながら,所定間隔ごとに上記RFIDタグ11a〜11c各々の検知を行うための検知処理(検知工程に相当)が実行される。ここに,かかる検知処理を実行するときの上記制御回路321が検知手段に相当する。
【0023】
そして,上記RFIDタグ11a〜11cごとの検知時点Pが検知結果として得られると,上記制御回路321は,上記RFIDタグ11a〜11c各々の検知時点に基づいて該RFIDタグ11a〜11cの配列順を特定するための配列順特定処理(配列順特定工程に相当)を実行する(ステップS8)。ここに,かかる配列順特定処理を実行するときの上記制御回路321が配列順特定手段に相当する。
例えば,簡単な手法として,上記RFIDタグ11a〜11c各々を,最初の検知時点Pが小さい順に並べることにより,上記RFIDタグ11a〜11cの配列順を特定することができる。即ち,上記RFIDタグ11a〜11c各々の最初の検知時点Pの順が,該RFIDタグ11a〜11cの配列順である。
【0024】
ここで,図3及び図4を用いて,上記検知処理(S1〜S7)が実行されることにより得られた検知結果の一例について説明する。ここに,図3,図4は,上記検知時点P各々における上記RFIDタグ11a〜11cの検知の有無(1:検知有り,0:検知なし)を示している。
図3は,上記検知処理による理想の検知結果の一例を示している。図3に示す検知結果では,上記アンテナ31が挿入されている位置(検知時点P)に応じて,上記RFIDタグ11a〜11c各々が順に個別に検知されている。具体的に,上記検知時点Pが2〜7のときは上記RFIDタグ11a,上記検知時点Pが10〜15のときは上記RFIDタグ11b,上記検知時点Pが18〜23のときは上記RFIDタグ11cが各々検知されている。
このような検知結果が得られた場合には,上記ステップS8において,上述したように,上記RFIDタグ11a〜11c各々を最初の検知時点Pが小さい順に並べることで,容易に該RFIDタグ11a〜11cの配列順を特定することが可能である。
【0025】
しかしながら,上記RFIDタグ11a〜11c各々の検知時点Pにバラツキが生じている場合には,上述の手法を適用することはできない。ここに,図4は,上記RFIDタグ11a〜11c各々の検知時点Pにバラツキが生じている場合の検知結果の一例を示している。
図4に示す検知結果では,上記RFIDタグ11aの最初の検知時点P(P=2)よりも前の検知時点P(P=1)において,上記RFIDタグ11bが検知されている。このような上記検知時点Pのバラツキは,例えば上記線材コイル1a〜1cの内表面の凹凸などの形状変化によって,該線材コイル1a〜1c内における上記無線信号の反射角度が変化することなどに起因して生じる。
このように,上記RFIDタグ11a〜11c各々の最初の検知時点Pが,該RFIDタグ11a〜11cの配列順に正しく並んでいない場合には,上述の手法で上記RFIDタグ11a〜11cの配列順を正しく特定することができない。
以下,図5及び図6を用いて,上記RFIDタグ11a〜11c各々の検知時点Pにバラツキが生じている場合(図4参照)でも,該RFIDタグ11a〜11cの配列順を正確に特定することのできる2通り(第1実施形態,第2実施形態)の手法について説明する。ここに,図5及び図6は,上記ステップS8において実行される配列順特定処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。なお,S101,S102,…,S201,S202,…は,処理手順(ステップ)の識別符号を表す。
【0026】
(第1実施形態)
図5に示すように,第1実施形態に係る上記配列順特定処理(ステップS8)では,上記制御回路321によって,ステップS101〜S105の処理が実行されることにより,上記RFIDタグ11a〜11cの配列順,即ち上記線材コイル1a〜1cの配列順が特定される。ここでは,図4に示す検知結果が得られた場合を例に挙げて説明する。
まず,上記制御回路321は,上記RFIDタグ11a〜11cごとに,該RFIDタグ11a〜11cが検知された検知時点Pの平均値Sa〜Scを算出する(ステップS101〜S103)。
具体的に,上記制御回路321は,下記の式(1)〜(3)により,上記RFIDタグ11a〜11cごとに,検知された検知時点Pの値を合計し,その合計値を検知回数で除することにより,該RFIDタグ11a〜11c各々の検知時点Pの平均値Sa〜Scを算出する。ここに,dは上記RFIDタグ11aの検知回数,P1,i(i=1,2,…d)は上記RFIDタグ11aのi番目の検知時点Pの値を示している。eは上記RFIDタグ11bの検知回数,P2,j(j=1,2,…e)は上記RFIDタグ11bのj番目の検知時点Pの値を示している。fは上記RFIDタグ11cの検知回数,P3,k(k=1,2,…f)は上記RFIDタグ11cのk番目の検知時点Pの値を示している。
【数1】

【数2】

【数3】

ここでは,平均値Sa=(2+3+4+5+7)/5=4.2,平均値Sb=(1+5+6+7+8+9+10+11)/8=7.125,平均値Sc=(15+16+17+18+21+22+23+24)/8=19.5という結果が算出される。
【0027】
次に,ステップS104では,上記制御回路321は,上記RFIDタグ11a〜11c各々の検知時点Pの平均値Sa〜Scを小さい順に並べる。ここで,上記平均値Sa〜Scは,Sa(4.2)<Sb(7.125)<Sc(19.5)である。
そして,上記制御回路321は,上記ステップS104で並べられた上記平均値Sa〜Scの配列順を,上記RFIDタグ11a〜11cの配列順,即ち上記線材コイル1a〜1cの配列順として特定する(ステップS105)。ここでは,上記アンテナ31を挿入しながら上記RFIDタグ11a〜11cの検知を行っているため,上記配列順は,上記アンテナ31の挿入方向に並んだ順を示している。
このように,上記RFIDタグ11a〜11cごとに,検知時点Pの総和を検知回数で除した平均値Sa〜Scを算出し,その算出された上記平均値Sa〜Scの順に応じて該RFIDタグ11a〜11c各々の配列順を特定すれば,例えば,図4に示したように上記RFIDタグ11bが上記RFIDタグ11aよりも先に偶然検知されたような場合であっても,上記RFIDタグ11a〜11cの配列順,即ち上記線材コイル1a〜1cの配列順を正確に特定することができる。
【0028】
(第2実施形態)
次に,図6を用いて,上記ステップS8の第2実施形態について説明する。
図6に示すように,第2実施形態に係る上記配列順特定処理(ステップS8)では,上記制御回路321によって,ステップS201〜S211の処理が実行されることにより,上記RFIDタグ11a〜11cの配列順,即ち上記線材コイル1a〜1cの配列順が特定される。ここでも,図4に示す検知結果が得られた場合を例に挙げて説明する。
まず,ステップS201では,上記制御回路321は,該ステップS201を実行する度に,上記RFIDタグ11a〜11cを順に一つずつ選択する。したがって,最初に上記ステップS201が実行される場合には,上記RFIDタグ11aが選択される。
以下,ステップS202〜S204の処理では,上記ステップS201で上記RFIDタグ11aが選択された場合を例に挙げて説明するが,上記RFIDタグ11b,11cが選択された場合にも同様の処理が実行される。
【0029】
ステップS202では,次のステップS203で参照する連続検知回数Nの初期値を1に設定する(N=1)。なお,上記連続検知回数Nは,上記制御回路321内のメモリなどに記憶される。
次に,上記制御回路321は,上記ステップS201で選択された上記RFIDタグ11aが検知された検知時点Pの中から,該RFIDタグ11aがN回連続して検知された検知時点Pを抽出する(S203)。以下,ここで抽出される検知時点Pを連続検知開始時点と称し,上記RFIDタグ11aに対応する連続検知開始時点をPaという。なお,上記RFIDタグ11bに対応する連続検知開始時点をPb,上記RFIDタグ11cに対応する連続検知開始時点をPcという。
具体的に,上記制御回路321は,下記の式(4)により,上記連続検知開始時点Paを抽出する。ここに,dは上記RFIDタグ11aの検知回数,P1,i(i=1,2,…d)は上記RFIDタグ11aのi番目の検知時点Pの値を示している。
【数4】

また,同様に,上記RFIDタグ11b,11cに対応する連続検知開始時点Pb,Pcを抽出する場合には,下記の式(5),(6)を用いる。ここに,eは上記RFIDタグ11bの検知回数,P2,j(j=1,2,…e)は上記RFIDタグ11bのj番目の検知時点Pの値を示している。fは上記RFIDタグ11cの検知回数,P3,k(k=1,2,…f)は上記RFIDタグ11cのk番目の検知時点Pの値を示している。
【数5】

【数6】

【0030】
ここでは,図4に示されているように,上記RFIDタグ11aは,上記検知時点Pが2,3,4である場合に,1回連続して検知されている。したがって,1回目の上記ステップS203では,上記検知時点Pが2,3,4である時点が,上記RFIDタグ11aの連続検知開始時点Paとして抽出される。
なお,上記連続検知開始時点Paは,上記制御回路321内のメモリなどに記憶される。また,上記制御回路321は,一つ前の上記連続検知開始時点Paを参照することができるように,上記連続検知開始時点Paを少なくとも2回分記憶する。
【0031】
そして,上記制御回路321は,上記連続検知開始時点Paの数が0であるか否かを判断する(ステップS204)。ここで,上記連続検知開始時点Paの数が少なくとも1つ以上であると判断された場合には(ステップS204のNo側),処理はステップS205に移行する。
ステップS205では,上記制御回路321は,上記連続検知開始時点Paが複数存在するか否かを判断する。ここで,上記連続検知開始時点Paが複数存在すると判断された場合には(ステップS205のYes側),処理はステップS206に移行する。ステップS206では,上記制御回路321は,上記連続検知回数Nが1だけ加算した後(N=N+1),処理をステップS203に戻す。これにより,再度,上記連続検知開始時点Paが抽出される。
他方,上記連続検知開始時点Paが複数存在しないと判断された場合,即ち上記連続検知開始時点Paが一つであると判断された場合には(ステップS205のNo側),処理は後述のステップS209に移行する。
【0032】
一方,上記ステップS204において,上記連続検知開始時点Paの数が0であると判断された場合には(ステップS204のYes側),処理はステップS207に移行する。
ステップS207では,上記制御回路321は,一つ前に抽出された上記連続検知開始時点Paの値を読み出す。但し,ここで,読み出される上記連続検知開始時点Paは複数である。
そこで,上記制御回路321は,上記連続検知回数Nが最大となる検知範囲の開始時点である上記連続検知開始時点Paが複数である場合には,次のステップS208において,その複数の上記連続検知開始時点Paの平均値を算出するための演算を行い,その算出された平均値を上記連続検知開始時点Paとして記憶する。そして,後述のステップS111ではここで算出された平均値に応じて上記RFIDタグ11a〜11cの配列順が特定される。
【0033】
ステップS209で,上記制御回路321は,上記RFIDタグ11a〜11cの全てに対応する連続検知開始時点Pa〜Pcを抽出したか否かを判断する。
ここで,上記連続検知開始時点Pa〜Pcの全てを抽出していないと判断されると(ステップS209のNo側),処理はステップS201に戻る。これにより,次の上記RFIDタグ11bについて同様の処理が実行されることにより,該RFIDタグ11bに対応する連続検知開始時点Pbが抽出される。さらに,その後,上記RFIDタグ11cについても同様の処理が実行され,該RFIDタグ11cに対応する連続検知開始時点Pcが抽出される。
このように,上記ステップS201〜S209が繰り返し実行されることにより,上記RFIDタグ11a〜11cごとに,連続して検知された回数が最大となる検知時点Pの初めの時点を示す上記連続検知開始時点Pa〜Pcが特定される。
具体的に,図4に示す検知結果が得られた場合には,上記連続検知開始時点Pa=2,Pb=5,Pc=18が抽出される。ここで,上記RFIDタグ11cに対応する上記連続検知開始時点Pcは,上記ステップS208において算出された平均値である(Pc=(15+21)/2)。
【0034】
そして,上記ステップS209において,上記連続検知開始時点Pa〜Pcの全てを抽出したと判断されると(ステップS209のYes側),処理はステップS210に移行する。
ステップS210では,上記制御回路321は,上記RFIDタグ11a〜11c各々の連続検知開始時点Pa〜Pcを小さい順に並べる。ここで,上記連続検知開始時点Pa〜Pcは,Pa(2)<Pb(5)<Pc(18)である。
そして,上記制御回路321は,上記ステップS210で並べられた上記連続検知開始時点Pa〜Pcの配列順を,上記RFIDタグ11a〜11cの配列順,即ち上記線材コイル1a〜1cの配列順として特定する(ステップS211)。ここでは,上記アンテナ31を挿入しながら上記RFIDタグ11a〜11cの検知を行っているため,上記配列順は,上記アンテナ31の挿入方向に並んだ順を示している。
【0035】
以上,説明したように,当該第2実施形態では,上記RFIDタグ11a〜11cごとに,該RFIDタグ11a〜11cが連続して検知された回数が最大となる検知範囲の開始時点である連続検知開始時点Pa〜Pcを特定し,その連続検知開始時点Pa〜Pcの順に応じて該RFIDタグ11a〜11c各々の配列順を特定している。したがって,上記RFIDタグ11a〜11cの検知時点にバラツキが生じている場合であっても,信頼性の高い検知結果のみを採用することができ,上記RFIDタグ11a〜11cの配列順を正確に特定することができる。
例えば,図4に示したように,上記RFIDタグ11bが上記RFIDタグ11aよりも先に偶然検知されたような場合,上記RFIDタグ11a〜11cの配列順を特定する際には,その離れた時点の検知結果は除外される。
【0036】
また,本実施の形態では,上記アンテナ31を上記線材コイル1a〜1cに挿入しながら上記RFIDタグ検知処理(図2参照)を行う場合を例に挙げて説明した。
一方,上記アンテナ31を引き抜きながら上記RFIDタグ検知処理を行うことも他の実施例として考えられる。この場合には,上記配列順は,上記アンテナ31の引き抜き方向に並んだ順を示すことになる。このとき,上記ステップS2では,上記アンテナ31の引き抜きが開始され,上記ステップS5では,上記アンテナ31が上記線材コイル1a〜1cから完全に引き抜かれたか否かが判断される。
さらに,上記アンテナ31を上記中空部10に挿入するときと,上記アンテナ31を上記中空部10から引き抜くときの両方で,上記RFIDタグ検知処理を行ってもよい。これにより,上記RFIDタグ11a〜11cの配列順の検知精度が高まる。
また,上記制御回路321が,上記アンテナ31を上記中空部10に挿入する際に実行された上記RFIDタグ検知処理(図2参照)において上記RFIDタグ11a〜11cの配列順を特定することができなかった場合には,上記アンテナ31を上記中空部10から引き抜く際に,再度,上記RFIDタグ検知処理(図2参照)を実行することが考えられる。なお,かかる処理を実行するときの上記制御回路321が再特定処理実行手段に相当する。これにより,上記アンテナ31の上記中空部10への一度の挿脱作業によって,上記RFIDタグ11a〜11cの配列順を正しく特定することができる可能性が高まる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は,移動クレーンやフォークリフト等の搬送装置で,複数の中空円筒型金属製対象物を同時に搬送する際に,該中空円筒型金属製対象物各々に取り付けられたRFIDタグをその配列順に検知するRFIDタグ検知システムに利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施の形態に係る線材コイル搬送装置Xの概略構成を示す模式図。
【図2】本発明の実施の形態に係る線材コイル搬送装置Xに設けられたRFIDリーダ3で実行されるRFIDタグ検知処理の手順の一例を説明するためのフローチャート。
【図3】本発明の実施の形態に係る線材コイル搬送装置Xに設けられたRFIDリーダ3の検知結果の一例を示す図。
【図4】本発明の実施の形態に係る線材コイル搬送装置Xに設けられたRFIDリーダ3の検知結果の一例を示す図。
【図5】RFIDタグ検知処理における配列順特定処理の手順の一例を説明するためのフローチャート。
【図6】RFIDタグ検知処理における配列順特定処理の手順の一例を説明するためのフローチャート。
【符号の説明】
【0039】
X…線材コイル搬送装置
1a〜1c…線材コイル
11a〜11c…RFIDタグ
21…フック部
22…ハンガー部
3…RFIDリーダ
31…RFIDリーダアンテナ
32…信号処理部
321…制御回路
322…送信電力調整回路
S1,S2,,,…処理手順(ステップ)番号
S101,S102,,,…処理手順(ステップ)番号
S201,S202,,,…処理手順(ステップ)番号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属線又は金属板がコイル状に形成された複数の中空円筒型金属製対象物を中空部が連続するように並べて配置して,RFIDリーダアンテナを上記中空円筒型金属製対象物各々を順に通過するように上記中空部に挿入し,複数の上記中空円筒型金属製対象物各々の内側に取り付けられたRFIDタグを検知するRFIDタグの検知方法であって,
上記RFIDリーダアンテナを予め設定された一定速度で上記中空部に挿入し或いは上記中空部から引き抜くと共に,予め設定された所定間隔ごとに上記RFIDタグの検知を行う検知工程と,
上記検知工程における上記RFIDタグごとの検知時点に基づいて該RFIDタグ各々の配列順を特定する配列順特定工程と,
を実行することを特徴とするRFIDタグの検知方法。
【請求項2】
上記配列順特定工程が,
上記RFIDタグごとに,該RFIDタグの検知時点各々を示す数値の総和を,該RFIDタグが検知された回数で除した平均値を算出し,その算出された上記RFIDタグごとの上記平均値の順に応じて該RFIDタグ各々の配列順を特定するものである請求項1に記載のRFIDタグの検知方法。
【請求項3】
上記配列順特定工程が,
上記RFIDタグごとに,該RFIDタグが連続して検知された回数が最大となる検知範囲の開始時点を特定し,その開始時点の順に応じて該RFIDタグ各々の配列順を特定するものである請求項1に記載のRFIDタグの検知方法。
【請求項4】
上記配列順特定工程が,
上記RFIDタグが連続して検知された回数が最大となる検知範囲が複数存在する場合に,該検知範囲各々の開始時点を示す数値の平均値を算出し,その平均値の順に応じて該RFIDタグ各々の配列順を特定するものである請求項3に記載のRFIDタグの検知方法。
【請求項5】
上記RFIDリーダアンテナを上記中空部に挿入する際に,上記検知工程及び上記配列順特定工程によって上記RFIDタグの配列順を特定することができなかった場合,上記RFIDリーダアンテナを上記中空部から引き抜く際に,再度,上記検知工程及び上記配列順特定工程を行うことによって上記RFIDタグの配列順を特定する請求項1〜4のいずれかに記載のRFIDタグの検知方法。
【請求項6】
上記RFIDリーダアンテナが,上記中空円筒型金属製対象物をその内側に挿入された状態で吊り上げ保持するフック部に設けられたものである請求項1〜5のいずれかに記載のRFIDタグの検知方法。
【請求項7】
金属線又は金属板がコイル状に形成された複数の中空円筒型金属製対象物各々の中空部を順に通過するように上記中空部に挿入されるRFIDリーダアンテナと,該RFIDリーダアンテナによる無線信号の送受信によって複数の上記中空円筒型金属製対象物各々の内側に取り付けられたRFIDタグを検知するRFIDタグ検知手段と,を具備してなるRFIDタグ検知システムであって,
上記RFIDタグ検知手段が,
上記RFIDリーダアンテナを予め設定された一定速度で上記中空部に挿入し或いは上記中空部から引き抜くと共に,予め設定された所定間隔ごとに上記RFIDタグの検知を行う検知手段と,
上記検知手段により検知された上記RFIDタグごとの検知時点に基づいて上記RFIDタグ各々の配列順を特定する配列順特定手段と,
を備えてなることを特徴とするRFIDタグ検知システム。
【請求項8】
上記配列順特定手段が,
上記RFIDタグごとに,該RFIDタグの検知時点各々を示す数値の総和を,該RFIDタグが検知された回数で除した平均値を算出し,その算出された上記RFIDタグごとの上記平均値の順に応じて該RFIDタグ各々の配列順を特定するものである請求項7に記載のRFIDタグ検知システム。
【請求項9】
上記配列順特定手段が,
上記RFIDタグごとに,該RFIDタグが連続して検知された回数が最大となる検知範囲の開始時点を特定し,その開始時点の順に応じて,該RFIDタグ各々の配列順を特定するものである請求項7に記載のRFIDタグ検知システム。
【請求項10】
上記配列順特定手段が,
上記RFIDタグが連続して検知された回数が最大となる検知範囲が複数存在する場合に,該検知範囲各々の開始時点を示す数値の平均値を算出し,その平均値の順に応じて該RFIDタグ各々の配列順を特定するものである請求項9に記載のRFIDタグ検知システム。
【請求項11】
上記RFIDリーダアンテナを上記中空部に挿入する際に,上記検知手段及び上記配列順特定手段によって実行された上記RFIDタグの配列順の特定処理において上記RFIDタグの配列順を特定することができなかった場合,上記RFIDリーダアンテナを上記中空部から引き抜く際に,再度,上記検知手段及び上記配列順特定手段による上記RFIDタグの配列順の特定処理を実行させる再特定処理実行手段を更に備えてなる請求項7〜10のいずれかに記載のRFIDタグ検知システム。
【請求項12】
上記RFIDリーダアンテナが,上記中空円筒型金属製対象物をその内側に挿入された状態で吊り上げ保持するフック部に設けられたものである請求項7〜11のいずれかに記載のRFIDタグ検知システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−87195(P2009−87195A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−258432(P2007−258432)
【出願日】平成19年10月2日(2007.10.2)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】