説明

RFIDタグを用いたコンピュータモジュールのバージョンの管理方法

【課題】ハードウェアモジュール間およびハードウェアモジュールとファームウェアの整合性の不具合に起因した障害を未然に防ぐことを可能とするコンピュータモジュールのバージョン管理方法を提供する。
【解決手段】コンピュータ装置を構成する各ハードウェアモジュール(101〜103)にハードウェアID、ハードウェアバージョン、ファームウェアバージョンを記録したRFIDタグを取りつけ、RFID読取り装置にて各ハードウェアモジュールのバージョン、ファームウェアのバージョンを読取り、サポートセンタ(110)の整合表(112)を元に各ハードウェアモジュールのバージョンとファームウェアのバージョンの整合性を確認し、問題がある時はサポートセンタ(110)からファームウェア(111)をネットワーク(109)を通じてダウンロードする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコンピュータ装置においてそれを構成する各ハードウェアモジュールのバージョン管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータ装置のハードウェアモジュールのバージョンとそのファームウェアのバージョンとの間には依存関係がある。また、複数のハードウェアモジュール間のハードウェアモジュールのバージョンとハードウェアモジュールのファームウェアのバージョンにも依存関係がある。
【0003】
これらの依存関係に整合性が取れていないとコンピュータ装置が正常に動作しない。よって、各ハードウェアモジュールのバージョンとそのファームウェアのバージョンをコンピュータ装置を起動する前、もしくはハードウェアモジュールを増設した時は増設したハードウェアモジュールをコンピュータ装置でオンライン化する前に調べる必要がある。
【0004】
同様に、コンピュータ装置の動作中に新しいハードウェアモジュールを追加した時、追加したモジュールをオンラインにする前に追加したハードウェアモジュールのハードウェアバージョンとファームウェアバージョンの整合性と追加したハードウェアモジュールと追加したハードウェアモジュールと他のハードウェアモジュールの整合性を確認する必要がある。
【0005】
従来の技術には障害発生時にコンピュータ装置のハードウェアモジュールとソフトウェアモジュールのバージョン情報を確認する技術がある(例えば、特許文献1)。
【0006】
また、障害の未然防止としてソフトウェアのバージョンの整合性を確認する技術がある(例えば、特許文献2)。
【0007】
【特許文献1】特開2002−14850号公報
【特許文献2】特開2003−22188号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
文献1は障害が発生した後の整合性の確認手段であり、障害を未然に防ぐことはできない。また、文献2はファームウェア(ソフトウェア)のバージョンのみの確認であり、ハードウェアのバージョンの確認ができない。よって、ファームウェアがあるモジュールしか確認できず、ファームウェアの無いハードウェアだけのモジュールの確認もできない。
【0009】
また、従来の技術ではラックなど信号線が繋がっていないハードウェアモジュールの情報は読取ることができないため、整合性の確認を行うことも不可能である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
ハードウェアモジュールにRFIDタグを取り付け、RFIDタグにハードウェアモジュールのバージョンとハードウェアモジュールのファームウェアのバージョンを記録し、RFIDタグの読取り装置を使用して、ハードウェアモジュールのバージョンとハードウェアモジュールのファームウェアのバージョンを読取り、整合性を確認する。
【0011】
また、ハードウェアまたはファームウェアのみでは無く両方を合わせて整合性を確認し、各ハードウェアモジュール間の整合性もハードウェアとファームウェアの両方を組み合わせて確認を行う。
【0012】
整合性に不具合が見つかった時、ファームウェアの更新で解決が可能であればファームウェアを更新する。
【発明の効果】
【0013】
コンピュータ装置の起動前、もしくはハードウェアモジュールを増設した時は増設したハードウェアモジュールをコンピュータ装置でオンライン化する前に整合性を確認することにより、障害を未然に防ぐことが可能となる。
【0014】
また、RFIDタグを使用することにより信号線が無いハードウェアとの整合性も確認ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
システム全体図を図1に示す。本システムはコンピュータ装置(100)、サポートセンタ(110)、コンピュータ装置(100)とサポートセンタ(110)を繋ぐインターネットなどのネットワーク(109)から構成される。コンピュータ装置(100)は整合性を確認する対象であるRFIDタグを取り付けたハードウェアモジュール(101〜103)、RDIDタグの読取り/書込み装置(104〜105)、全体の制御装置(106)、RFIDタグから読取ったハードウェアモジュールのバージョン情報とファームウェアのバージョン情報を格納しておく記憶領域であるバージョン管理領域(108)、各モジュールの整合性情報を書込んでおく記憶領域(107)から成る。
【0016】
全てのハードウェアモジュールが1つ以上のRFIDタグ読取り/書込み装置から読み書きが可能な位置関係にRFIDタグ読取り/書込み措置を設置する。
【0017】
また、サポートセンタ(109)にはハードウェアモジュール用のファームウェア(111)、各ハードウェアモジュールとファームウェアの依存関係を表した整合表(112)があり109のネットワークを介してコンピュータ装置にダウンロードすることが可能で、サポートセンタの整合性の情報(112)はコンピュータ装置の各ハードウェアモジュールとファームウェアの整合性情報を格納領域(107)に書込まれる。
【0018】
RFIDタグの情報は図2に示す流れで行われ、108のハードウェアモジュールのバージョン情報とファームウェアのバージョンを格納する記憶領域に書込まれる。
【0019】
1つのRFIDタグの読取り/書込み装置は複数のハードウェアモジュールの読取りを受け持っており、例えば、RFIDタグ読取り/書込み装置1(104)はハードウェアモジュール(101〜102)RFIDタグの情報を読取る(201)。
【0020】
制御装置(106)はRFID読取り、書込み装置1(104)が読み取ったハードウェアモジュールのバージョンとハードウェアモジュールのファームウェアのバージョンをバージョン管理領域(108)に書込む(202)。
【0021】
この作業を全てのRFIDタグ読取り/書込み装置に対して行う(203)。
【0022】
ハードウェアモジュールに取り付けたRFIDタグは予め1つ以上のRFIDタグ読取り/書込み装置から読み書きが可能にしてあるため、全てのRFIDタグ読取り/書き込み装置から各ハードウェアモジュールのバージョンとハードウェアモジュールのファームウェアのバージョン情報を読み取れば全てのハードウェアモジュールに対し各ハードウェアモジュールのバージョンとハードウェアモジュールのファームウェアのバージョン情報を読み取ることが可能である。
【0023】
全てのハードウェアモジュールの情報を読み取ったら、同じハードウェアモジュールの情報を重複して読み取っていないか確認し、重複している情報を削除する(204)。
【0024】
尚、図4にRFIDタグに書込まれた情報を示す。RFIDタグにはRFIDタグのID(401)、ハードウェアモジュールを識別するためのID(402)、ハードウェアモジュールのバージョン(403)、ハードウェアモジュール内のファームウェアのバージョン(404)が記録されている。この内ファームウェアのバージョン(404)はファームウェアを更新した時、更新したファームウェアのバージョンに書き換えることが可能となっている。
【0025】
前記のRFIDタグの情報を読取る手順ではRFIDタグの全ての情報(401〜404)を読取り、バージョン管理領域(108)に書込む。
【0026】
ハードウェアモジュールのバージョンとハードウェアモジュールのファームウェアのバージョンの整合性の確認はシステムの起動前に行われ、整合性に問題を検出した時ファームウェアの更新で解決ができる時はファームウェアを更新し、更新したファームウェアのバージョンをファームウェアを更新したハードウェアモジュールのRFIDタグに書込む。
【0027】
図3はハードウェアモジュールのバージョンとハードウェアモジュールのファームウェアのバージョンの整合性の確認手順とファームウェアの更新手順である。
【0028】
確認に先立ってネットワーク(109)を介してサポートセンタ(110)にある整合性表(112)から最新の整合性の情報をダウンロードし、コンピュータ装置(100)の整合性情報領域(107)に書込む(301)。
【0029】
整合性情報は図5のフォーマットになっている。整合性情報領域(107)にはコンピュータ装置(100)に取り付けたハードウェアモジュール(101〜103)のみの情報を格納する。そして、各ハードウェアモジュール毎にハードウェアID(501)、ファームウェアバージョン(502)、他ハードウェアID(503)、必要ファームウェアバージョン(504)の情報を持つ。
【0030】
フームウェアバージョン(502)はハードウェアID(501)に対してそのハードウェアID(501)自身に必要なファームウェアバージョンを示す。
【0031】
他ハードウェアID(503)はハードウェアID(501)を持つハードウェアモジュールと依存関係のある他のハードウェアモジュールのIDである。
【0032】
必要ファームウェアバージョン(504)は他ハードウェアID(503)とハードウェアID(501)を持つハードウェアモジュールが同一コンピュータ装置(100)に搭載されたときハードウェアID(501)を持つハードウェアモジュールに必要なファームウェアのバージョンである。
【0033】
ハードウェアID(501)と他ハードウェアID(503)を同一コンピュータ装置(100)で使用することが不可能な時は必要ファームウェアバージョン(504)にそのことを示すバージョン番号、例えばオール1などを書込んでおく。または、同時使用不可を示すフラグの領域を図5のフォーマットに用意する。
【0034】
ハードウェアモジュール(501)と依存関係のあるハードウェアモジュールが複数同一コンピュータ装置(100)に存在する時は他ハードウェアID(503)と必要ファームウェアバージョン(504)と同様な情報を505の領域に必要なハードウェアモジュール分持つ。
【0035】
バージョン管理領域(108)のハードウェアモジュール1つ1つについて(302)図4に示すハードウェアバージョンとハードウェアのファームウェアのバージョンを、整合性情報領域(107)内の整合性情報と比較し問題が無いか確認をする(303)。
【0036】
整合性に問題があった時はファームウェアの更新で解決が可能か確認をする(304)。整合性情報領域(107)に必要ファームウェアバージョン(504)が書込まれていたらサポートセンタ(110)にそのバージョンのファームウェア(111)が登録されているか確認し、必要なファームウェアをダウンロードし、ファームウェアを更新する(305)。
【0037】
この時合わせて、該当ハードウェアモジュールのRFIDタグのファームウェアバージョン(404)もRFID読取り/書込み装置(104〜105)により更新する。
【0038】
同一コンピュータ装置(100)で使用不可能なハードウェアモジュールが搭載されていた時や該当ファームウェアがサポートセンタ(110)からダウンロードできなかった時はそのハードウェアモジュールに対し、不整合のチェックを付ける(306)。
【0039】
以上の整合性の確認を全てのハードウェアモジュールに対し行う。そして、不整合のチェックが全てのハードウェアモジュールに付いていなければコンピュータ装置(100)の起動を可能とし、1つでも不整合のチェックがついていて時は該当するハードウェアモジュールのハードウェアID、ハードウェアバージョン、ファームウェアバージョンを表示し、起動を中止する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】RFIDタグ読み取り装置を含めた計算機システム装置全体の構成図である。
【図2】RFIDタグ読み取り装置制御フロー図である。
【図3】システム全体の整合性チェック制御フロー図である。
【図4】RFIDタグのバージョン情報の構成図である。
【図5】整合性情報の構成図である
【符号の説明】
【0041】
100:コンピュータ装置
101〜103:ハードウェアモジュール
104〜105:RFIDタグ読取り/書込み装置
106:制御装置
107:整合性情報領域
108:バージョン管理領域
109:ネットワーク
110:サポートセンタ
111:ファームウェア
112:整合性表

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータ装置の各ハードウェアモジュールにRFIDタグを取り付け、コンピュータ装置に組み込んだ1つ又は複数のRFIDタグ読取り装置で各ハードウェアモジュールに取り付けたRFIDタグから各ハードウェアモジュールのバージョンと各ハードウェアモジュールのファームウェアのバージョンを読み取り、各ハードウェアモジュール間及び各ハードウェアモジュールとファームウェアの依存関係を示した整合情報と比較して整合性を確認することを特徴とするコンピュータモジュールのバージョン管理方法。
【請求項2】
各ハードウェアモジュールのバージョンと各ハードウェアモジュールのファームウェアのバージョンの整合性情報、並びに複数のハードウェアモジュール間のハードウェアモジュールのバージョンとハードウェアモジュールのファームウェアのバージョンの整合性情報をネットワークを通じてダウンロードしコンピュータ装置内の記憶領域に格納することを特徴とする請求項1記載のコンピュータモジュールのバージョン管理方法。
【請求項3】
各ハードウェアモジュールのバージョンと各ハードウェアモジュールのファームウェアのバージョン、又は複数のハードウェアモジュール間のハードウェアモジュールのバージョンとハードウェアモジュールのファームウェアのバージョンの依存関係に不具合を検出した時はネットワークを通じて適切なファームウェアをダウンロードしてインストールすることを特徴とする請求項2記載のコンピュータモジュールのバージョン管理方法。
【請求項4】
各ハードウェアモジュールのファームウェアのインストール時に、コンピュータ装置に組み込んだ1つ又は複数のRFIDタグ書込み装置で、各ハードウェアモジュールのRFIDタグのファームウェアのバージョン情報を書き換えることを特徴とする請求項3記載のコンピュータモジュールのバージョン管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−99306(P2006−99306A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−283023(P2004−283023)
【出願日】平成16年9月29日(2004.9.29)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】