説明

RFIDタグ

【課題】 RFIDタグ100が、第2のID信号を送信中にオートパワーオフまでの所定時間に達しても、第2のID信号を送信し終えるようにする。
【解決手段】 RFIDタグ100が第1のID信号を送信中に、第1のID信号を送信する第1の押下操作とは異なる第2の押下操作により、第1のID信号から第2のID信号に切り替えてID信号を送信しているときにオートパワーオフまでの所定時間に達した場合には、制御手段102が、第2のID信号を送信し終えてからRFIDタグ100の無線送信手段103の動作を停止させるオートパワーオフ延長制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IDを無線方式で送信するRFIDタグに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、IDを所定の時間間隔で間欠的に無線方式で送信するRFIDタグのID信号を、単数または複数の特定の位置に設置された受信装置において受信することにより、タグが単数または複数の特定の位置の受信装置の一つの近傍に存在する事を知るという位置検出システムが知られている。そして、タグが電池駆動の場合、IDを所定の時間間隔で間欠的に送信し続けることは電池の消耗を早めるため、例えば、タグに設けた電源スイッチを操作してから所定時間経過するとID信号を送信する回路を停止させるオートパワーオフ機能を実装して電池寿命を長くする、という方法も既知のところである。
【0003】
また、特許文献1に開示されているように、操作スイッチを押下することによりタグを起動して緊急信号を送信するタグを利用することも提案されている。
【0004】
さらに、上記の位置検出システムのタグの操作スイッチを押下した場合に、第1のID信号とは異なる緊急信号である第2のID信号を送信するように構成することも可能である。
【特許文献1】実用新案登録第3104799号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、タグが前記オートパワーオフ機能を持っている場合、タグが前記緊急信号である第2のID信号を送信している場合でも、電源スイッチを操作してから所定時間経過すると第2のID信号の送信を自動的に停止してしまう。これは、緊急信号の送信操作をしたにもかかわらず、緊急信号が受信できなくなるという事態を引き起こす可能性があるため、緊急通報システムにおいてはタグのオートパワーオフ機能はマイナス要因になりかねないという問題点があった。
【0006】
本発明は、IDを無線方式で送信するとともに、オートパワーオフ機能を有するRFIDタグにおいて、確実に第2のID信号を送信することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は、第1のID信号と第2のID信号とを無線送信する無線送信手段と、押下操作が可能な操作スイッチと、前記無線送信手段の起動及び停止と、前記無線送信手段からの前記第1のID信号と前記第2のID信号の送信動作を制御する制御手段と、を有し、前記制御手段が、前記操作スイッチによる第1の押下操作に基づいて、前記無線送信手段を起動するとともに、該無線送信手段が起動してから所定時間経過後に前記無線送信手段を停止させるオートパワーオフ制御と、前記無線送信手段が起動してから停止するまで、前記第1のID信号を所定の時間間隔で間欠的に送信する第1のID送信制御と、前記操作スイッチによる、前記第1の押下操作とは異なる第2の押下操作に基づいて、前記第2のID信号を前記所定の時間間隔で間欠的に一定時間送信させる第2のID送信制御と、を行うRFIDタグであって、前記制御手段は、さらに、前記第2のID信号を送信中に、前記所定時間に達したときには、該第2のID信号を送信し終えてから、前記無線送信手段の動作を停止させるオートパワーオフ延長制御を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、タグが緊急通報用の第2のID信号を送信している一定期間は、タグのオートパワーオフ時間を延長させる事により確実に第2のID信号を送信し続けることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
次に、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は本発明の実施形態のRFIDタグ100の外観斜視図である。10は外装ケース、11は電池交換用の電池蓋、12は起動用の押下式の操作スイッチである。
【0010】
図2は、RFIDタグ100のブロック図である。制御手段102は操作スイッチ12の第1の押下操作で無線送信手段103を起動する。制御手段102はクロック信号発生手段102cから出力される基準クロック信号により所定の時間間隔で間欠的に第1のID信号を送信する。カウンタ1(102a)は第1のID信号または第2のID信号を送信する度にカウントし、カウンタ1(102a)が所定回数をカウントすると所定のオートパワーオフ時間経過したと判断して、無線送信手段を停止させて送信を終了するオートパワーオフ制御を行なう。制御手段102は、操作スイッチ12の前記第1の押下操作とは異なる第2の押下操作により、第1のID信号に代わって、クロック信号発生手段102cから出力される基準クロック信号により所定の時間間隔で間欠的に第2のID信号を送信する。カウンタ2(102b)は第2のID信号を送信する度にカウントし、カウンタ2(102b)が所定回数をカウントすると一定時間経過したと判断して第2のID信号の送信を停止する。制御手段102は、前記一定時間の経過中に前記所定のオートパワーオフ時間に達したときは、第2のID信号を前記一定時間送信してから無線送信手段を停止させて送信を終了するオートパワーオフ延長制御を行なう。
【0011】
図3は、図1に示すRFIDタグ100を使用した位置検出システムの概念図で、20は特定の位置に設置された複数の受信装置の一つ、21は受信装置20の受信アンテナ、22、25はLANケーブル、23はハブ、24はサーバーPCである。RFIDタグ100が受信装置20の近傍に入る事により、RFIDタグ100が送信したID信号は受信装置20、受信アンテナ21によって受信される。受信されたID信号はLANケーブル22に接続されたハブ23及びLANケーブル25を介して、受信装置20からサーバーPC24に転送される。サーバーPC24は、ID信号を受信装置20から転送されたことを検知することにより、RFIDタグ100が受信装置20の近傍にいると判断する。
【0012】
図4は、操作スイッチ12の第2の押下操作をしたときのオートパワーオフまでの残り時間が、第2のID信号を送信し続ける一定時間よりも長い場合のタイムチャートである。図4においては、操作スイッチ12の第1の押下操作を3秒未満の短押しとし、操作スイッチ12の第2の押下操作を3秒間の長押しとして説明する。T10で操作スイッチ12を押下すると、RFIDタグ100は起動して第1のID信号を所定の時間間隔で間欠的に送信する。T11はT10を起点とする所定のオートパワーオフ時間である。T13の時点で操作スイッチ12の3秒間の長押しを行なうと、RFIDタグ100は前記一定時間第2のID信号を送信する。前記一定時間を経たT15の時点でRFIDタグ100は第2のID信号の送信を停止して、再び第1のID信号の送信を開始する。前記所定のオートパワーオフ時間を経たT17の時点で、RFIDタグ100はオートパワーオフ機能により送信を停止する。
【0013】
図5は、操作スイッチ12の第2の押下操作をしたときのオートパワーオフまでの残り時間が、第2のID信号を送信し続ける一定時間よりも短い場合のタイムチャートである
。図5においては、操作スイッチ12の第1の押下操作を3秒未満の短押しとし、操作スイッチ12の第2の押下操作を3秒間の長押しとして説明する。T20で操作スイッチ12を押下すると、RFIDタグ100は起動して第1のID信号を所定の時間間隔で間欠的に送信する。T21はT20を起点とする所定のオートパワーオフ時間である。T23の時点で操作スイッチ12の3秒間の長押しを行なうと、RFIDタグ100は前記一定時間第2のID信号を送信する。前記所定のオートパワーオフ時間を経たT25の時点では、RFIDタグ100はまだ第2のID信号を送信し続ける前記一定時間を経ていないので、そのまま第2のID信号を送信し続ける。前記一定時間を経たT27の時点で、RFIDタグ100は第2のID信号の送信を停止する。T27では既に前記所定のオートパワーオフ時間を超えているので、RFIDタグ100は再び第1のID信号の送信を開始せずにそのまま停止する。
【0014】
図6は、制御手段102による、第1のID信号と第2のID信号の送信動作の制御に関するフローチャートである。
図6のフローチャートにそって第1のID信号と第2のID信号の送信動作を説明する。図6において、オートパワーオフ時間のカウンタ変数をCNT4、所定のオートパワーオフ時間の値をB、第2のID信号を送信し続ける時間のカウンタ変数をCNT3、第2のID信号を送信する一定時間の値をCとおく。また、操作スイッチ12の第2の押下操作は、3秒間の長押しとする。
【0015】
S61において操作スイッチ12が押下されると、S62においてCNT3に0を、CNT4に前記所定時間Bをセットする。S63では操作スイッチ12が押下されたかを判断する。操作スイッチ12が押下された場合、S51からS55までのフローで、前記第2の押下操作であるかを確認する。本実施例では、3秒間の長押しは、0.1秒間隔で30回操作スイッチ12が押下されているかを確認する。もし、30回とも押下されていたならば操作スイッチ12が3秒間長押しされたと判断する。S51で、変数Aを0にセットする。変数Aは、操作スイッチ12が30回押下されたか否かの判断に用いる変数である。そして、S52で0.1秒間待ち、S53で操作スイッチ12が解放されていない場合は、S54でAに1を足す。S53で操作スイッチ12が解放されている場合は、S64の処理を行なう。そして、S55でAが30に達した場合、すなわち、30回操作スイッチ12の押下が確認された場合は、S56においてCNT3に前記一定時間Cをセットして、S57で操作スイッチ12が解放されるまで待ってからS64の処理を行なう。これに対して、S55でAが30に達していない場合、すなわち、押下操作が30回未満である場合はS52に戻り、前述のように、S53で判断操作スイッチ12が解放されているとCNT3に一定時間CがセットされずにS64の処理を行なう。
【0016】
S64ではCNT3が0であった場合、S65でCNT4が0かを確認する。0でなければS66で第1のID信号を送信し、S67で次の送信までの所定間隔時間を待ち、S68でCNT4から1を引いてS63に戻る。S65でCNT4が0であった場合、オートパワーオフまでの所定時間を経過したと判断して、S70において無線送信手段の動作を停止して終了する。上記S63〜S57の一連のフローの中で第2の押下操作が行なわれた場合、S56においてCNT3に一定時間Cがセットされる。従ってS64ではCNT3は0でないと判断されて、S41において第2のID信号が送信される。S42では送信停止時間だけ待った後、S43でCNT3から1が引かれる。S44ではCNT4が0であるか、即ちオートパワーオフ時間を経過したか、を確認する。CNT4が0でない場合、S68でCNT4から1を引いてS63に戻る。CNT4が0の場合はCNT4から1を引かずにS63に戻る。上記一連のフローにより、CNT3=0、CNT4=0の場合のみS70の無線送信手段の動作を停止、に進むことが判る。つまり、オートパワーオフ時間の前記所定時間が経過しても、第2のID信号を送信し続ける前記一定時間が経過していない場合は、該第2のID信号を送信し終えてから、前記無線操作手段の動作を
停止させる、オートパワーオフ延長制御が行なわれる。
【0017】
以上のように、本実施形態によれば、オートパワーオフ機能を持つRFIDタグ100を第2のID信号を緊急信号として使用する緊急通報システムにおいても、第2のID信号を一定時間確実に送信できるので、位置を検出している途中で緊急信号が送信されなくなってしまう、という危惧が解消される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態のRFIDタグの外観斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態のRFIDタグのブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態のRFIDタグを使用した位置検出システムのブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態のRFIDタグのオートパワーオフまでの残り時間が、第2のID信号を送信し続ける一定時間よりも長い場合のタイムチャートである。
【図5】本発明の実施の形態のRFIDタグのオートパワーオフまでの残り時間が、第2のID信号を送信し続ける一定時間よりも短い場合のタイムチャートである。
【図6】本発明の実施の形態のRFIDタグの制御手段102による、第1のID信号と第2のID信号の送信動作の制御に関するフローチャートである。
【符号の説明】
【0019】
100 RFIDタグ
10 外装ケース
11 電池蓋
12 操作スイッチ
20 受信装置
21 受信アンテナ
22、25 LANケーブル
23 ハブ
24 サーバーPC

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のID信号と第2のID信号とを無線送信する無線送信手段と、押下操作が可能な操作スイッチと、前記無線送信手段の起動及び停止と、前記無線送信手段からの前記第1のID信号と前記第2のID信号の送信動作を制御する制御手段と、を有し、前記制御手段が、前記操作スイッチによる第1の押下操作に基づいて、前記無線送信手段を起動するとともに、該無線送信手段が起動してから所定のオートパワーオフ時間経過後に前記無線送信手段を停止させるオートパワーオフ制御と、前記無線送信手段が起動してから停止するまで、前記第1のID信号を所定の時間間隔で間欠的に送信する第1のID送信制御と、前記操作スイッチによる、前記第1の押下操作とは異なる第2の押下操作に基づいて、前記第2のID信号を前記所定の時間間隔で間欠的に一定時間送信させる第2のID送信制御と、を行うRFIDタグであって、
前記制御手段は、さらに、前記第2のID信号を送信中に、前記所定のオートパワーオフ時間に達したときには、該第2のID信号を送信し終えてから、前記無線送信手段の動作を停止させるオートパワーオフ延長制御を行うことを特徴とするRFIDタグ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2010−128897(P2010−128897A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−304380(P2008−304380)
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【出願人】(307023373)シチズン時計株式会社 (227)
【Fターム(参考)】