説明

RFIDモジュールおよびコモンモード信号伝達を使用する物理層管理

相互接続または交差接続パッチング環境においてパッチコードプラグを接続および切断する過程を誘導、監視、および報告する能動的電子ハードウェア、ファームウェア、機械的アセンブリ、ケーブル、およびソフトウェアを含む、インテリジェントネットワークパッチフィールド管理システムが提供される。RFIDタグ集積チップを、本システムのいくつかの実施形態において使用して、スイッチポートにおけるパッチコードの挿入および除去の検出を可能にする。また、RFIDタグを使用して、ユーザを検出し、ユーザの許可レベルに基づいてネットワークへのアクセスを制御してもよい。また、ネットワークアクセスを、アウトレットジャックレベルにおいても制御することができる。本システムは、パッチコードまたはプラグの挿入または除去を検出するために、パッチコード接続を監視することができる。加えて、本システムは、ネットワーク全体をマッピングすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、ネットワーク物理層管理システムに関し、より具体的には、無線自動識別(radio frequency identification;RFID)モジュールと、RFIDモジュールと通信するためのコモンモード信号伝達システムとを組み込むシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
通信ネットワークは、数および複雑さにおいて増大し続けており、顧客のニーズを満たすように絶えず相互接続されている。パッチパネルは、水平配線(コンピュータおよび電話機等のエンドポイント機器が接続される)とネットワークスイッチとの間の中間要素として、通信ネットワークにおいて使用される。具体的には、パッチパネルは、ローカルエリアネットワーク(local area network;LAN)または他の通信システムの着信ラインおよび発信ラインを接続するネットワークポートのパネルを含む。LANでは、例えば、パッチパネルは、LANによるインターネットまたは別の広域ネットワーク(wide area network;WAN)への接続を可能にするスイッチまたはルータに、ネットワークのコンピュータを接続する。接続は、パッチコードで行われる。パッチパネルによって、パッチコードのプラグを差し込むことおよび引き抜くことにより接続を配置および再配置することが可能になる。
【0003】
エンドポイント機器とネットワークスイッチとの間の物理的な接続が追加、移動、または除去される場合、パッチパネルは、技術者が、パッチフィールド内のパッチコードの必要な設置または除去を完了する点である。パッチパネルによって、選択された信号の経路を技術者が迅速に変更することを可能にする利便性が提供される。
【0004】
パッチフィールド内におけるパッチコード接続に行われる変更の記録を維持することは重要である。パッチフィールドにおける変更に関する適切な文書化により、パッチコードのルーティングを常に把握することが確実になり、さらに、いかなる今後の変化も正しく完了することが確実になる。
【0005】
ネットワーク通信設備間での物理的ケーブル接続の実装および保守に関連する人為的な誤りは、ネットワークに対して相当な悪影響を及ぼし得る。このような悪影響は、ネットワーク技術者が行うネットワークケーブルの設置および除去作業順序の制御および検証の改善によって回避することができる。
【0006】
加えて、パッチコード管理システムの機能を、例えば、ネットワークスイッチポートからパッチフィールドを通して、例えば、エンドユーザ機器が接続可能であるアウトレットに管理の範囲を拡張し得る追加の物理層管理技術と組み合わせることが望ましい。さらに、銅ベースのネットワークでは、データ接続性およびネットワーク管理機能の両方について既存の4対イーサネット(登録商標)ケーブルを利用するこのようなシステムを有することが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のいくつかの実施形態では、ネットワークにおけるパッチコードの設置および除去を誘導するためのシステムが提供される。物理層管理に関連する信号は、ネットワーク上のデータの搬送に使用される標準的な差動モードイーサネット(登録商標)信号伝達を干渉しないコモンモード技法において、イーサネット(登録商標)ケーブル上に配置される。コモンモード管理信号を使用して、パッチコードのプラグ内またはアウトレットジャック等のジャック内に設けられることができるRFIDタグおよび送受信機と通信する。
【0008】
いくつかの実施形態では、RFIDタグは、イーサネット(登録商標)スイッチの面に取り付けられた装着バー上に設けられる。RFIDタグは、特殊パッチコードに設けられたRFIDアンテナと通信することができ、関連付けられたスイッチポートを識別するために使用されることができる。
【0009】
本発明のこれらの態様および他の態様について、図面を参照して、以下の発明を実施するための形態において当業者に説明する。本明細書に記述する実施形態が、本発明の範囲を制限しないことを意図することを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】4対のイーサネット(登録商標)ケーブルの斜視図である。
【図2】イーサネット(登録商標)ケーブル内に配置されたツイストペアの図である。
【図3】2つのツイストペアのイーサネット(登録商標)リンクを用いるコモンモード信号伝達技法の略図である。
【図4a】交差接続パッチパネル配置で使用するための、本発明の実施形態のブロック図である。
【図4b】交差接続パッチパネル配置で使用するための、本発明の実施形態のブロック図である。
【図4c】交差接続パッチパネル配置で使用するための、本発明の実施形態のブロック図である。
【図5a】相互接続パッチパネル配置で使用するための、本発明の実施形態のブロック図である。
【図5b】相互接続パッチパネル配置で使用するための、本発明の実施形態のブロック図である。
【図5c】相互接続パッチパネル配置で使用するための、本発明の実施形態のブロック図である。
【図6】アウトレットの外部にあるRFIDタグが検出可能および読み取り可能である本発明の実施形態のブロック図である。
【図6a】図6に示すシステムの別の実施形態の図である。
【図7】本発明の交差接続実施形態のより詳細なブロック図である。
【図8】本発明に従うシステムがアウトレットジャックにおけるRFIDタグと通信することを可能にする電気接続を示す略図である。
【図9】本発明の相互接続実施形態のより詳細なブロック図である。
【図10a】本発明のいくつかの実施形態に従う、ネットワークスイッチとともに使用するためのRFID装着バーを示す。
【図10b】本発明のいくつかの実施形態に従う、ネットワークスイッチとともに使用するためのRFID装着バーを示す。
【図10c】本発明のいくつかの実施形態に従う、ネットワークスイッチとともに使用するためのRFID装着バーを示す。
【図11】通信アウトレットが外部RFIDタグと通信するように備えられる、本発明の実施形態のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本出願は、イーサネット(登録商標)銅配線の特性を使用して、イーサネット(登録商標)データ信号伝達に影響を及ぼさずに、また、管理信号伝達のための追加の導体を用いるパッチコード等のカスタマイズされたパッチコードを必要とせずに、管理信号が、標準的なイーサネット(登録商標)データ信号伝達と組み合わせられることを可能にするシステムを提供する。図1は、標準的な4対のイーサネット(登録商標)ケーブル10の断面図である。ケーブル10は、第1、第2、第3、および第4のツイストペアの導体12、14、16、および18をそれぞれ含む。ツイストペアは、ペアセパレータ20によって相互に分離され得る。ツイストペアは、概して、それ自体がケーブルの長さに沿ってツイストするケーブル芯線に設けられる。
【0012】
図2は、ケーブル内にある場合の、ツイストペアの図表的表示であり、「スーパーペア」22および24の表示を含み、その各々は、2つのツイストペアの導体を含む。本システムに従うシステムは、スーパーペアを使用して、標準的なイーサネット(登録商標)データ信号伝達に干渉しない管理通信を可能にする。生じる電気バランスが良好になるため、スーパーペア22および24のように、対角線上に対向するツイストペアを使用することが好ましい。例えば、第1のスーパーペア22は、好ましくは、第1および第3のツイストペア12および16を含み、第2のスーパーペア24は、好ましくは、第2および第4のツイストペア14および18を含む。
【0013】
標準的なイーサネット(登録商標)データ信号伝達は、ツイストペアに沿った差動モード信号伝達を使用して達成されるが、本発明に従うシステムは、イーサネット(登録商標)ケーブルのツイストペアにおいてコモンモード信号伝達を使用して、標準的なイーサネット(登録商標)データ信号伝達を干渉せずに、イーサネット(登録商標)ケーブルに沿って管理信号を送信する。
【0014】
一実施形態では、コモンモード信号伝達は、図3に示すように、少なくとも1つのスーパーペアの導体上に設けられる。図3に示す実施形態では、ツイストペア14および18は、管理信号の搬送に使用されるスーパーペア24に組み合わせられる。第1および第2のコモンモード送受信機26および28は、第1および第2のコモンモード結合回路アセンブリ30および32のそれぞれを介して、スーパーペア24上でコモンモード信号を送信または受信するために使用される。
【0015】
双方向コモンモード通信チャネルは、種々の伝送周波数(例えば、150kHz)を使用することができ、情報は、終端インピーダンス変調を含む多くの変調技術を介して伝送されることができる。RFIDタグ集積チップ(integrated chip;IC)がこの機構を利用し、かつ電子機器のコストが極めて低いことから、終端インピーダンス変調は、好適な変調技術である。本変調技術では、エンドポイント受信機(すなわち、RFIDタグIC)は、受信コイル(場合により、受信アンテナと呼ばれる)において負荷抵抗器を切り替えることによって、終端インピーダンスを変更する。送信機(例えば、RFIDリーダ)は、その回路内の電圧変化を検知することによって、このインピーダンス変化を検出することができる。本技法は、エンドポイント受信機と送信機との間に通信チャネルを形成して、双方向通信チャネルを形成する方式である。また、終端インピーダンス変調は、RFID産業界において、「負荷変調」または「誘導結合変調」とも呼ばれる。
【0016】
図4a〜図4cは、本発明の種々の実施形態に従う交差接続システムの3つの実装を示す。図4a〜図4cおよび図5a〜図5cの各々は、ネットワークスイッチからアウトレットジャックまでの1つの通信リンクを示すが、本発明に従うパッチパネルおよびシステムが多くのこのようなリンクに対応可能であることを理解されたい。
【0017】
図4aに示す第1の実装は、2つのコモンモード信号伝達ノードを使用する。第1のコモンモード信号伝達ノード37は、第1のパッチパネル38に位置するRFID送受信機41である。第2のコモンモード信号伝達ノード39は、第2のパッチパネル40に位置するRFIDタグIC43である。標準的なイーサネット(登録商標)パッチコード42は、パッチフィールド44における2つのパッチパネル間に接続されるが、技術者を誘導するためのLEDを備える特殊パッチコードを、いくつかの実施形態において設けることができる。図4aの実施形態は、ネットワークスイッチ48と第1のパッチパネル38との間の接続性が変化しないことを仮定し、また、第2のパッチパネル40とアウトレットジャック46との間の接続性も変化しないことを仮定する。これは、図4aにおける点線によって表わされる。
【0018】
本システムの一実装は、図4aに示す通りであり、RFID送受信機41が1つのパッチパネルに設けられ、RFIDタグIC43が第2のパッチパネルに設けられる。より複雑な実施形態は、RFID送受信機とRFIDタグICとの両方が、各パッチパネルに設けられる。このような実施形態では、一方のパッチパネルにおける送受信機は、接続の確立に関する報告をする前に、別のパッチパネルからの応答を待つ。両方の送受信機が、コモンモード信号を同一のスーパーペア上に挿入し得るため、衝突回避機構が適所に存在しなければならない。多くの種類の衝突回避機構を使用することができ、その機構は、(a)ハイブリッド回路を介して、受信した信号から、送信された信号を分離すること、(b)「受信」時間が「送信」時間よりもかなり長くなるように、デューティサイクルにおける送信状態と受信状態との間で各パネルを循環させること、および/または(c)信号毎に異なる周波数で送信された「トークン」送信要求信号を使用し、この要求に最初に応答するどちらかのパネルが、「許可」送信信号を別の周波数で送信し、第1のパネルが送信することを可能にすることを含む。好適なアーキテクチャでは、両方のパッチパネル38および40は、設置過程をより簡単にするために同じである。
【0019】
いずれの種類のシステムでも、パッチコード42に沿ってパッチパネル38と40との間を通過する信号は、パッチフィールド44におけるパッチパネル間の接続をマッピング可能にするため、片方または両方のパッチパネルに接続されたNMSは、正確なパッチング情報で継続的に更新される。
【0020】
図4bに示す第2の交差接続実施形態では、第1のコモンモード信号伝達ノード37は、第1のパッチパネル38においてRFID送受信機41として設けられ、第2のコモンモード信号伝達ノード39は、アウトレットジャック46においてRFIDタグIC43として設けられる。本実施形態では、能動的物理層管理が、第1のパッチパネル38とアウトレットジャック46との間で可能になる。別の実施形態では、RFID送受信機41は、第2のパッチパネル40に設けられてもよいが、本実施形態では、第1のパッチパネル38における交差接続パッチコード位置は管理され得ない。RFID送受信機41が第1のパッチパネル38に位置するため、管理信号は、パッチコード42および第2のパッチパネル40を通過しなければならない。ゆえに、アウトレットジャック46におけるRFIDタグIC43が物理的位置等の情報に応答すると、第2のパッチパネル40上のパッチコード位置を判断することができる。本実施形態では、以下にさらに詳細に説明するようにパッチパネルに接続されるネットワーク管理システム(network management system;NMS)は、第1のパッチパネル38からアウトレットジャック46までの接続を完全に管理することができる。本実施形態では、点線で示すように、ネットワークスイッチ48と第1のパッチパネル38との間の接続性が変化しないことが仮定される。図4cに示す第3の実施形態は、図4aおよび図4bに示す実施形態の組み合わせであり、リンクのいかなる部分もその接続性において変化しないことを仮定する必要性を排除する。図4a〜図4cの実施形態の全てにおいて、誘導LEDをパッチパネル38および40に設けて、NMSが制御してもよい。
【0021】
図5a〜図5cは、本発明の3つの相互接続実施形態を示す。相互接続実施形態では、ネットワークスイッチ48とアウトレットジャック46との間のネットワーク経路にパッチパネル38が1つだけしか設けられない。図5aに示す第1の相互接続実施形態では、第1のコモンモード信号伝達ノード37は、パッチパネル38においてRFID送受信機41として設けられる。第2のコモンモード信号伝達ノード39は、ネットワークスイッチ48上に設置された装着バー52内にRFIDタグIC50として設けられる。RFIDアンテナがそのスイッチプラグに設けられた特殊パッチコード54は、ネットワークスイッチ48とパッチパネル38との間で接続される。点線で示すように、パッチパネル38とアウトレットジャック46との間の接続は、本実施形態において固定であることが仮定される。
【0022】
図5aに示す実施形態では、装着バー52上に設けられたRFIDタグIC50は、外部電源を必要とせず、RFIDタグIC50は、その電力を、パッチコード54上でRFIDタグIC50と通信する信号を介して引き出す。RFIDタグIC50は、隣に設置されるスイッチポートのプロキシとしての役割を果たす一意的な識別コードを含む。このプロキシ関係を使用して、パッチパネル38に接続可能であるNMSは、ネットワークスイッチ48上のポートとパッチパネル38のポートとの間の接続性を判断することができる。
【0023】
図5bは、第2の相互接続実施形態を示し、この実施形態では、第1および第2のコモンモード信号伝達ノード37および39は、それぞれ、第1のパッチパネル38に設けられたRFID送受信機41と、アウトレットジャック46に設けられたRFIDタグIC43として実装される。図5cに示す第3の相互接続実施形態は、図5aおよび図5bに示す第1および第2の交差接続実施形態の特徴を組み合わせる。
【0024】
図4b、図4c、図5b、および図5cの代替実施形態では、アウトレットジャックは、コモンモードを介して、ジャックにおける2つのワイヤペアに接続されるアンテナを含み、RFIDタグIDは、アンテナに隣接するアウトレット上に装着される。本実施形態では、ジャックは、アウトレットの識別を損なうことなく置換されることができる。このような実施形態について、図6aを参照して以下により詳細に説明する。
【0025】
ゾーンパッチパネルにおけるジャック等のネットワークインフラストラクチャにおける他の構成要素に同一の設計を利用して、ネットワークの種々の部分を文書化することができる。一意的な一連のIDコードが、ネットワークの類似の部分に位置する構成要素に割り当てられる。
【0026】
図6は、コモンモード信号伝達およびRFID機能性を利用して、NMSシステムを介したネットワークのユーザのための追加のサービスを可能にする本発明の実施形態を示す。本実施形態では、RFIDリーダ56は、アウトレットジャック46と一体であり、ユーザが持ち運び可能なRFIDタグ58と通信するように適合される。一実施形態では、RFIDタグ58は、ユーザにより持ち運ばれるクレジットカードサイズの物体内にパッケージ化される。いくつかのサービスが、図6の実施形態によって可能になり得る。例えば、イーサネット(登録商標)ジャックアクセス許可は、アウトレット46の直接制御下で実行されることができる。本システムを使用して、アウトレット46を通じたネットワークへのアクセスは、ユーザが許可を受けたことをアウトレット付近のRFIDタグ58が標示する場合にのみ許可される。
【0027】
また、アウトレットID情報のアウトレット提供および保守も、図6に示すシステムにおいて可能になり得る。これらの機能を使用して、RFIDタグ58は、アウトレット設置中にアウトレット46を初期化するために使用されることができ、RFIDリーダ56とRFIDタグ58との間の通信は、RFIDモジュールのうちの両方における情報が有効であることを確認するために使用されることができる。
【0028】
また、図6に従うシステムは、ドアアクセス、光制御、熱制御、在庫監視、およびその同等物等のサービスの許可も、NMSの制御下で可能にし得る。これらの特徴を使用して、ユーザは、特定の範囲における光設定または熱設定を変更することができるか、またはアウトレット46を使用して、アウトレット46に近接するRFID対応設備を監視することができる。
【0029】
また、図6のシステムを使用して、アウトレット46と、アウトレットの外部にあるが、RFID通信を確立するためにアウトレット46に十分近くに装着されたRFIDタグICが設けられるセンサとの間の通信を可能にすることもできる。温度センサ、湿度センサ、および大気速度センサ等のセンサは、位置に関する情報が所望される場所であればどこでも配置することができる。アウトレット46は、センサから情報を読み取り、かつその情報をNMSに提供するように適合されることができる。
【0030】
図6の代替実施形態では、RFIDタグIDは、ジャックアンテナに隣接するアウトレットに追加される。このような実施形態は、図6aに示され、図6aは、壁63に装着された面板61に設けられるRFIDタグID59と通信するように適合されるRFIDアンテナ57を含むジャック電子機器が設けられたアウトレットジャックを示す。水平配線65は、ワイヤキャップ67を使用してアウトレットジャック46において終端となる。アウトレットジャック46は、アウトレットジャックラッチ69によって、面板61に保持される。ジャックのバネ接点71は、コンピュータまたはVOIP電話機等のエンドユーザ機器に取り付けるためのパッチコードのプラグであり得るプラグ75のプラグ接点73との電気接点を作るように適合される。図6aの実施形態は、面板61に設けられたRFIDタグID59を使用するが、類似の実施形態が、RFIDアンテナ57との通信が維持可能である限り、別の位置にRFIDタグID59を有してもよいことを理解されたい。
【0031】
図7は、図4bに示す配置に類似する、本発明の交差接続実施形態をより詳細に図示する。4つのワイヤペア60が、ネットワークスイッチ48とアウトレットジャック46との間の通信リンクに図示される。PCまたはパワーオーバーイーサネット(登録商標)を動力とする機器等のエンドユーザ機器62は、アウトレットジャック46に接続される。図4bに示すようなRFID送受信機41は、パッチパネル38のパネル電子機器64および/またはジャック電子機器66において実装されることができる。同様に、図4bに示すようなアウトレット46に設置されたRFIDタグIC43は、アウトレットジャック46のジャック電子機器68内に設けられることができる。
【0032】
図8は、本発明のパッチパネル38内に設けられたRFID送受信機が、アウトレットジャック46内に設けられたRFIDタグIC43と通信することを可能にする電子機器を示す。コモンモード結合回路30および32は、パッチパネル38およびアウトレットジャック46内にそれぞれ設けられる。各ワイヤペア上の結合回路は、ペア上で伝搬する差動モード信号に対して高インピーダンスを形成し、これによって、差動モード信号に対する負荷効果が減少する。低インピーダンスは、スーパーペア22に沿って伝送されるコモンモード信号に提供される。図示するようなインダクタとコンデンサの各組み合わせは、パッチパネル38とアウトレットジャック46内のRFIDタグIC43との間におけるコモンモード通信周波数であるように設計される最小インピーダンス(共振周波数で発生する)を有する直列共振回路(例えばL1A&L1BおよびC1A&C1B)を形成する。これらの構成要素が、差動モード信号が含む高周波数に起因して、RJ45ジャック回路基板に存在することが好ましい。本配置は、RJ45ジャックプリント回路基板上で高周波数を維持し、PCB型RJ45ジャック上に必要とされる追加のピン配列を最小化し、他のワイヤに対する寄生結合を減少させる。
【0033】
アウトレットジャック46では、コモンモード結合回路32に加えて、RFIDタグIC43のみが必要とされる。典型的なRFID用途で使用され得る受信アンテナを使用するよりも、コモンモード回路の出力部は、RFIDタグIC43に直接取り付けられる。したがって、RFIDタグIC43は、スーパーペア22を形成するワイヤ上で直接通信することができる。同様に、RFIDリーダまたは送受信機41側では、アンテナを介してRFID信号を伝送する代わりに、送受信機41は、パッチパネル38のコモンモード結合回路30の入力部に直接取り付けられる。パッチパネル38のパネル電子機器64は、NMSと通信して物理層管理特徴を促進することができるプロセッサ70を含む。
【0034】
アウトレットジャック46のRFIDタグIC43は、いくつかの異なる種類の情報を含むことができる。RFIDタグIC43に含まれることができる情報の例として、(a)識別またはシリアルナンバー、(b)設置日およびパーマネントリンク試験日、(c)アウトレットジャック46および任意選択によりそれが接続されるパッチパネルの物理的位置、(d)ネットワークスイッチへのそのアクセスの観点からジャックの相対的重要性を反映するイーサネット(登録商標)アクセス優先(例えば、高、中、または低)、および(e)アウトレットジャックが、ミッドスパンまたはエンドスパン電源装置を介して供給されたパワーオーバーイーサネット(登録商標)を有するか、が挙げられる。一実施形態によると、RFIDタグIC43は、外部電源を必要とせず、その電力をコモンモード通信信号から引き出す。
【0035】
図9は、図5aに示す実施形態等の本発明の相互接続実施形態における電子構成要素の位置をより詳細に示す。装着バー52(図10a〜図10cに詳細に示す)は、ネットワークスイッチ48の個々のポート74に関連付けられるRFIDチップ50を保持する。特殊パッチコード54のプラグ78内に設けられたRFIDアンテナ72は、図9の詳細図に示すように、コモンモード結合回路76に接続される。RFIDアンテナ72は、プラグ78が差し込まれるスイッチポート74に関連付けられるRFIDタグIC50と無線通信する。また、LED80も、パッチコード接続の移動、追加、または変更中に技術者の誘導を支援するために、プラグ78内に設けられてもよい。LED80は、例えば、コモンモードにおいて代替スーパーペア(すなわち、スーパーペアは、RFIDアンテナ72との通信に使用されない)に印加されたDC電圧によって制御されることができる。
【0036】
図10a〜図10cは、イーサネット(登録商標)スイッチ48の面上に装着された装着バー52を示す。装着バー52には、多数のRFIDタグIC50が設けられ、各RFIDタグIC50は、スイッチポート74のうちの1つに対応する。図10aに示すように、RFIDタグ50aは、上部スイッチポート74aに関連付けられ、プラグ78aが上部ポート74aに差し込まれる場合にRFIDアンテナ72aと無線通信するように適合される。同様に、第2のRFIDタグ50bは、下部スイッチポート74bに関連付けられ、プラグ78bが下部ポート74bに差し込まれる場合に、RFIDアンテナ72bと無線通信するように適合される。各RFIDタグIC50は、識別情報を含み、それが関連付けられるスイッチポートのプロキシとしての役割を果たす。RFIDアンテナ72とRFIDタグIC50との間の通信を使用して、NMSは、スイッチポート74とパッチパネルポートとの間の接続性を判断することができる。図10bおよび図10cに示すように、装着バー52は、好ましくは、ネットワークスイッチ48の面上のスイッチポート78の上部配列と下部配列との間に装着される。
【0037】
図11は、図6に示す実施形態のより詳細な図を示し、本図面では、ユーザにより持ち運び可能なRFIDタグ58は、アウトレットジャック46に設けられるRFIDリーダ56と通信する。本実施形態では、第1のパッチパネル38とアウトレットジャック46との間の通信リンクにおける第1のスーパーペア22を使用して、アウトレットジャック46に設けられることができるRFIDタグICと通信することができ、第2のスーパーペア24を使用して、RFIDリーダ56と通信することができる。アウトレットのRFIDタグICおよびRFIDリーダ56との通信は、標準的な差動モードイーサネット(登録商標)信号伝達に悪影響を及ぼさずに、標準的なイーサネット(登録商標)配線の上でコモンモード信号伝達を使用して発生する。上述のように、RFIDタグ58は、ユーザ存在を検出すること、ユーザの好みを満たすように光および加熱もしくは冷却レベルを変更すること、またはユーザが使用を許可されるアクセスレベルに基づいてネットワークアクセスを制御することを含む、多くの目的のために使用可能である。
【0038】
本発明に従うシステムの全てにおいて、誘導指示を技術者に視覚的に標示可能にするために、特殊パッチコードに、そのプラグにおいてLEDを設けてもよい。さらに、同じ目的で、パッチパネルポートの隣にLEDを設けてもよい。
【0039】
本発明のインテリジェントパッチングおよびRFID読み取りシステムは、多数の機能および便益を提供する。これらは、パッチコードの移動、追加、および変更を誘導することができる。これらは、ネットワーク状態に関するリアルタイム情報を管理者に提供し、パッチコードの接続性を監視することができる。これらは、パッチフィールドをマッピングし、接続性の設置および除去に関する計画、実装、および文書化を促進することができる。さらに、本システムは、パッチフィールド変更を監視し、例えば、NMSとの通信によって、任意のパッチフィールド変更または潜在的なセキュリティリスクについて管理者に警告する。ウェブベースの管理システムを使用して、本システムの機能へのアクセスを可能にしてもよく、第3者ネットワーク管理システム、ヘルプデスクアプリケーション、および他の企業システムとインターフェースをとってもよい。
【符号の説明】
【0040】
22 スーパーペア
30、32 コモンモード結合回路
38 パッチパネル
43 RFIDタグIC
46 アウトレットジャック
64 パネル電子機器
70 プロセッサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
4つの対の導体を含むパッチコードを利用するイーサネット(登録商標)システムのための物理層管理システムであって、
第1のイーサネット(登録商標)アウトレットであって、前記パッチコードの少なくとも1つのスーパーペアの導体の上で信号を受信および送信するように構成された無線自動識別(radio frequency identification;RFID)送受信機を備える第1のイーサネット(登録商標)アウトレットと、
第2のイーサネット(登録商標)アウトレットであって、前記パッチコードの少なくとも1つのスーパーペアの導体の上で信号を受信および送信するように構成されたRFIDタグ集積回路(integrated circuit;IC)を備える第2のイーサネット(登録商標)アウトレットと、
を備える、物理層管理システム。
【請求項2】
前記第1のイーサネット(登録商標)アウトレットは、RFIDタグICをさらに備え、前記第2のイーサネット(登録商標)アウトレットは、RFID送受信機をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
衝突回避機構を実装するように構成された回路をさらに備える、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記衝突回避機構は、ハイブリッド回路を介して、受信した信号から、送信された信号を分離することを含む、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記衝突回避機構は、デューティサイクルにおける送信状態と受信状態との間で各イーサネット(登録商標)アウトレットを循環させることを含む、請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
前記衝突回避機構は、送信要求信号の使用を含む、請求項3に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1のイーサネット(登録商標)アウトレットおよび前記第2のイーサネット(登録商標)アウトレットは、1つ以上のパッチパネル内に含まれる、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記第1のイーサネット(登録商標)アウトレットは、パッチパネル内に含まれ、前記第2のイーサネット(登録商標)アウトレットは、アウトレットジャックである、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記第1のイーサネット(登録商標)アウトレットは、パッチパネル内に含まれ、前記第2のイーサネット(登録商標)アウトレットは、ネットワークスイッチ内に含まれる、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記RFIDタグICは、前記ネットワークスイッチ上に装着された装着バー内に含まれる、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記パッチコードは、前記RFIDタグICが、前記パッチコードの前記少なくとも1つのスーパーペアの上で信号を送信および受信することを可能にするように構成されたRFIDアンテナを含むプラグをさらに備える、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記アウトレットジャックは、RFIDアンテナをさらに備え、前記RFIDタグICは、前記アンテナに近接する前記アウトレットジャック上に装着される、請求項8に記載のシステム。
【請求項13】
前記RFIDタグICは、前記アウトレットジャックの壁に装着された面板内に含まれる、請求項8に記載のシステム。
【請求項14】
前記RFID送受信機は、前記第1のイーサネット(登録商標)アウトレットに関連付けられたジャック内に位置する回路内に含まれる、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記RFID送受信機は、前記第1のイーサネット(登録商標)アウトレットに関連付けられたパッチパネル内部に位置する電子機器内に含まれる、請求項2に記載のシステム。
【請求項16】
前記第1のイーサネット(登録商標)アウトレットおよび前記第2のイーサネット(登録商標)アウトレットのうちの少なくとも1つに関連付けられたジャック内に位置するコモンモード結合回路をさらに備え、前記コモンモード結合回路は、前記RFID送受信機および前記RFIDタグICに使用される通信周波数において最小インピーダンスを有するように構成され、前記RFIDタグICおよびRFID送受信機のうちの少なくとも1つは、前記コモンモード結合回路を介して、前記パッチコードの前記少なくとも1つのスーパーペアに電気接続される、請求項1に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図10a】
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【図10b】
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【図10c】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【図6】
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【図6a】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図11】
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【公表番号】特表2012−522428(P2012−522428A)
【公表日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−502228(P2012−502228)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際出願番号】PCT/US2010/028604
【国際公開番号】WO2010/111456
【国際公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(507202736)パンドウィット・コーポレーション (70)
【Fターム(参考)】